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魔界都市新宿 ―聖杯血譚― 第3幕

328流星 影を切り裂いて ◆/sv130J1Ck:2017/02/20(月) 23:00:51 ID:NJSF5ysM0
人の居ない方へ居ない方へと移動を続けたザ・ヒーローとクリストファー・ヴァルゼライドは、人気の無い寂れた場所に来ていた。
群がって来る野次馬や、逆に非難する者たち、道路を封鎖する警官を避けて移動するうちに、南榎町の一角に辿り着いていた。
移動しながらヴァルゼライドの手傷を癒してはいるものの、余りにも損傷が酷く、癒えるのは相当の時間と魔力を費やさねばならない様だった。
ヴァルゼライドは全く意に介しておらず、意気軒昂だが、ザ・ヒーローとしては看過できる傷では無い。
それに、魔力の消費も無視出来無い。ザ・ヒーローが今後の事を考え、僅かに焦燥を抱いていると、不意にザ・ヒーローの背筋を悪寒が走り抜けた。
無言で大きく前方に飛ぶザ・ヒーロー。ヴァルゼライドも同じであったらしく、並んで飛びながら、宙で身を捻って180度向きを変え、最優先で修復した刀を左右の手で抜きガンマレイを纏わす。
同じくヒノカグツチを抜き、宙で方向を転換し構えるザ・ヒーロー。
そして二人の足が未だ地につかぬうちに、天空より飛来した銀色の影が、先程まで二人の居た地点に着弾。
アスファルトの路面が20m範囲に渡って砕けて大穴が空き、更にその周囲の路面が70m程陥没し、爆弾でも投下されたかの様な音と震動が生じた。
音速を超えて飛来する瓦礫を撃ち落としながら再度後方に飛びす去るザ・ヒーロー。
隣で同じ様に飛びす去るヴァルゼライドが、着弾地点目掛けガンマレイを放つ。
生じた土煙も未だ飛来する瓦礫も消し飛ばし、穿たれた穴に着弾したガンマレイが再度の爆発を起こし、上空数百mにまで噴煙と土砂を噴き上げ、周囲に瓦礫を降り注がせる。

─────!?

何かを感じたのか、咄嗟に後ろを振り向くヴァルゼライド。その顔面に勢い良く拳が叩き込まれ、ヴァルゼライドをガンマレイにより更に広がった穴の中に叩き込む。
即座に反応したザ・ヒーローがヒノカグツチを薙ぎつけるが、真紅の剣身が斬撃を阻み、ザ・ヒーローの攻撃と同時に放たれていた前蹴りが、ザ・ヒーローを蹴り飛ばした。

瞬時に15mも飛ばされた処で、地にヒノカグツチを突き立てて急制動をかけ、5m程の溝を地に刻んでザ・ヒーローは停止した。
間髪入れず、穴の中から崩落する瓦礫を足台として踏み抜いたヴァルゼライドが躍り出て、ガンマレイを纏った双刀を勢い良く振り下ろすが、既に場所を移していた襲撃者を捉えられず、路面に鍔元まで刀身を埋め込むだけに終わった。

「何者だ」

ザ・ヒーローが問う。〈新宿〉で今まで対峙した相手に対し、ザ・ヒーローが声を掛けるのはこれが最初。相手の返答など最初から期待していない。仕切り直す為の時間稼ぎだった。

「クリストファー・ヴァルゼライド………。俺はお前を殺しに来た」

問いに対する答え。返した者は総身を銀の鎧で覆い、髑髏を思わせる蝗の様な頭部に、エメラルド色の瞳を鈍く輝かせた剣士。世紀王シャドームーンに他ならなかった。

「お前も糞蠅の様に、楽に勝ちを貪りに来たのか」

立て直したヴァルゼライドが、鋼が軋むような声で問う。先刻の蝿の王を思い出して怒りに再度火が着いたのか、刀身に纏ったガンマレイが輝きを増した。


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