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仮投下スレ

1184 ◆L62I.UGyuw:2011/11/10(木) 19:37:13 ID:5OgotkG.0
愉しそうに、本当に愉しそうに、女は言った。
最悪だ。
どうやら自分は、女の期待通りに踊っただけだったらしい。
突き付けられた黒々とした銃口が、全ての希望を呑み込んでいく。
女が焦らすようにゆっくりと引き金を絞っていく。
これは、本当に終わりだ。ひよのはついに目を瞑った。
そして、炸裂音が、響いた。



建物の振動が続いている。

まだ意識がある。死んでいない。
何が起こったのか解らなかった。
瞼を上げる。

「……あらぁん?」

女は胡乱気に手元を見ている。
西洋彫刻のような彼女の手が、見る影もなく破壊されていた。

気付く。
静謐な青い光。

太極符印。水面にちょこんと頭を出したそれが起動している。
女が撃った拳銃、エンフィールドNo.2。それはミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが最初に太公望を襲ったときに用いたもの。
太極符印はその攻撃パターンを記憶しており、そのため放たれた銃弾に対して自動迎撃を行ったのだ。
勿論、ひよのにそこまでは解らない。
しかし起こった事象は正確には解らずとも、太極符印が、太公望が、致命的な一撃を防いでくれたことだけは理解した。

「――太公望さん」

思わずひよのの口から漏れる命の恩人の名前。
そして、その名に、女は思いがけず過剰な反応を示した。

「たい、こうぼう」

ずたずたになった手を見て、徐々に光が弱まる太極符印を眺め、そして女はもう一度、たいこうぼう、と反芻する。
ゆらりと女の頭が揺れ、ひよのの腿を掴む力が緩んだ。
何が起こったのかを考えるよりも先に、全力で女の胸を蹴り飛ばす。
女の爪が腿を浅く裂いて、そしてどぼんとひよのの体が水に落ちる。


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