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仮投下スレ

1180 ◆L62I.UGyuw:2011/11/10(木) 19:34:21 ID:5OgotkG.0
「チィィ、てめえやっぱ人間じゃねえだろ」
「大人しくボコられとけって。今なら八分の七殺しで済ませてやっから」
「ほとんど死んでるじゃねえか、そいつはよ」

軽口を叩きつつ、体勢を整え互いに間合いを測る。
と、怪物が顔の前に右手を翳した。雷光を警戒して、銀時は動きを止める。
怪物はにまりと笑って言った。

「まァ、慌てんなって。いいこと教えてやるからよ」
「あァ?」
「上の色んなとこによ、面白ェモンがあったぜ。――コレよ。こんな四角いのが、そこら中にな。何だと思う?」

いつの間にか怪物の左手には分厚いウエハース状の物体が握られている。
一瞥して、しかし知るかボケと言い捨てて間合いを詰める銀時。

「おいおい、待てっつってんだろ。仕方ねえな、答えを教えてやるよ。こいつは時限爆弾ってヤツだ。
 ま、どこのどいつが仕掛けていったのかまでは知らねェがな。傍迷惑なヤロウもいたもんだぜ。
 あァ、ついでにもう一つ教えておくがな――そろそろ爆発する頃だぜ、こいつ」

んだと、と銀時が言ったその途端、怪物がウエハースを放り投げた。


***************


戻ってきた。
周囲を何度も見回し、今いる場所が間違いなく元いた水族館であることを確認して、沙英はほっと肩の力を抜いた。

工場地下を抜けるのは沙英にとっては非常に――向こう十年は夢に見るであろうくらいに――恐ろしい体験だったのだが、しかしともかく自力で元の場所まで戻ってこれたことに安堵する。

体力よりも気力が尽きかけた辺りで階段を発見し、それを上ってみると、自動車が乱暴に通ったと思しきタイヤの跡があった。
そしてそのタイヤ跡を辿っていったところ、水族館に繋がる非常口まで簡単に辿り着いた。
拍子抜けしたが、苦労を求めている訳ではないので素直に喜んでおくことにする。
それはいいとして。

「うわ……」

思わず声が出てしまう。それほどに目の前の光景は惨憺たる有様だった。
見渡す限りの全ての水槽が壊れて、見るも無残な姿を晒している。
水の循環装置なども軒並み停止したらしく、機械音も聞こえない。水槽の照明も全て落ちている。
しかし電気系統が別なのか、フロアの照明はまだ生きていた。暗所に慣れた目には眩し過ぎるくらい明るい。


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