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仮投下スレ

1177 ◆L62I.UGyuw:2011/11/10(木) 19:31:55 ID:5OgotkG.0
暗く単調な通路に気だるげな声が響く。
声に諦めの色が混じっているのはこれが最初の呼びかけではないからで、実のところ既に十度目の呼びかけだからなのだが、案の定返事はない。
大量の水によって細かく分断された地下階層では、声が遠くまで届かないのだ。
水を掻き分けながら進んでいた銀時は、分岐路で立ち止まって濡れた白髪をわしゃわしゃと掻き回す。

「んだよオイちょっとマジでそろそろ出てきて下さいよっつーの。つーかここどこよ。なんか不安になってきたんですけど。
 もしかして俺無視して外出てんじゃねーよな。……イヤイヤこんな頼りになる銀さん置いてなんてそんなまさかそんな。
 …………オ――――――――イ! もう誰でもいーから出てこいやァァァァァァァァ!」

残響が闇に溶けて空しく消える。
溜息。
ぶつくさと呟きながらも、また歩き始める。
行き止まりに突き当たっては引き返し、水没した通路を潜って抜け、水の迷宮を探索していく。
何度目かの水路を抜け、何度目かの分かれ道を通り、そして銀時は何度目かの行き止まりにぶつかった。
金属製の扉だ。鍵が掛かっている。ここに来るまでにも似たような扉は何度か見た。
これまでなら諦めて引き返すところだったが、いい加減イラついていた銀時は、おもむろに腰の刀を抜き、

「うるァァァァァァァァァァァァァ!!」

気合一閃。八つ当たり気味に扉をぶった斬った。

「へっ、ハナっからこーやって進めば……えっ、アレッ、ちょっっ」

少し考えれば解ることだが、扉の両側で水位が等しいとは限らない。
どばんと、扉の斬り口を抉じ開け、水が勢いよく溢れ出た。
当然ながら、銀時はそれを全身でもろに食らうことになる。

「あばっばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!」

なす術なく押し流され、銀時は無様に転がっていった。

少しの間、土左衛門の如くぷかり、ぷかりと浮かんでいた。
散々である。クソったれな神様は、どうやら本格的に自分を嫌っているらしい。

ざぱんと派手な音を立てて立ち上がり、鞘に溜まった水を出して刀を納める。
そしておもむろに振り向いて、誰もいない十字路を見透かすようにした。

「つーか、そこのオメーはさっきから何やってんだコラ。みせもんじゃねーぞ」
「いえ、面白かったもので、つい」


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