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仮投下スレ

1168人生は大車輪:2011/09/15(木) 11:36:52 ID:8hW82z.c0


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少し間を置き、アイズは尋ねた。

「お前はここに何しに来た。ただ『観測者』の行動を確かめるためだけに来た訳じゃないだろう。
 招集でもかかったのか」
「ああ、そうだった。
 次の放送について、"彼"から連絡があるらしいよ」

ところでと前置きし、アノンは運命は何かと問いかけた。
正反対の運命論を同時に発し、皮肉を投げ合う観測者に呆れかえる。

「煮ても焼いても食えないよ。

 それにしたって、演奏を代わってほしいなんて。
 僕は彼の演奏が好きなのにさ」

神に盲信しつつも不満げに、連絡については愚痴を漏らした。

「彼にも考えがある、それだけだ」
「君が世界的なピアニストだからっていうのは聞いてる。
 でも、だからといって降りることはない。
 しかも『凡庸に弾け』って注文つきで」
「何かが起きるのを予想、いや……期待しているんじゃないかな。
 彼は千里眼は持ってないにせよ、先見性は誰よりもある」
「先手を読むのではなく、チェックメイトの手から組み立てるチェスのように」

混じることのない白と黒の盤を、アイズは撫でる。
城も兵士も女王様も、決まった方向にしか動けない。
さて、手駒が必死に守っている王様は果たして盤上にいるのだろうか。
転がる駒をくるくると指さし、犬養はこの祭儀の"打ち手"を思う。

「彼のレシピには、多くの材料が並んでいて贅沢だ。
 沢山の駒(材料)がどう動くかも、レシピの一部になっているのだろうね」
「……未来が分かるのと、神様であることとは、似ているのに」

見た目幼いセイバーのもとへ帰ろうと、うっすらと興奮をしたアノンが、会話を締める。

「まさか」

アイズが否定する。
先ほど『運命は変えられない』と、犬養と見解の違いで対立していたのに、
どういった風の吹き回しだとアノンは訝る。

「未来は無確定だが……運命は、作られている。
 彼は解りきった運命を少しでも楽しくしようとして警察にいる節がある。
 運命を見ているのであって、未来を見通しているんじゃない」
「運命は一本道だ。
 けれど未来は一本道じゃない――」

アイズに続いて、犬養もさらさらと運命の持論を説く。
にっこり笑って、付け足した。

「――だから観測する必要がある。
 独立した理由は、それで納得してもらえないかな?」


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