したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

仮投下スレ

1167人生は大車輪:2011/09/15(木) 11:36:29 ID:8hW82z.c0

観測者はそれを裏切る。
ウィンリィは島にいる趙公明たちとは別の"ハンター"たちから取り上げ調達した。
当然他の仕事を妨害している。
邪魔になると判断されれば殺されるリスクが高まるというのに、
手に入れられるのはゾッドとウィンリィを観測目標に使った時の結果だけだ。

「答えないのであれば、こちらから言いましょう。
 あなた方が何時間も前に起こした行動が、少しずつ作用してきています」

アテネはきっぱりと断言した。
詮索、投入、考察、全ては過程に過ぎないのだと。
二人から返答はない。



時計は容赦なく針を回す。
例えそれが恐ろしくゆっくりだったとしても、動きは不可逆だった。
かの嫉妬深いヘラを型どった神でも、跳躍できたのは時系列の違う平行世界の範囲内だけだ。
後退もやり直しもない。
一寸の光陰軽んずべからず。
時間を無駄にしないように、観測者は動いているらしい。

「黙秘のままですか。
 それもいいでしょう、いつかわかることですから。
 いずれにせよ、予定されているであろう運命(シナリオ)に大した違いはないでしょう。
 それでもやはりあなた方の行動は未来を意図的に変えている節があります。
 どんな日記であっても改変されるかされないかの、取るに足らないささやかな未来ですが……
 これをどう説明するのです?」

観測者の領域へ足を踏み入れる。
女神の名に恥じない、堂々とした発言だった。
落ち着き払った犬養がそれを真摯に受け止める。


「未来は変わる。変えられるさ」


アテネは目を据える。

「運命はあらかじめ決まっている一本道だ。
 けれど未来は一本道だとは限らない。
 同じ結末に辿り着くにしても、未来は細分化している。
 運命≒未来だ。
 決定論なのに未来は可変性があって、予測は不可能。
 だから観測する必要がある。
 細かい差異は『観測者効果』が起こっているだけだ」

真意のとれない説明は、足元が冷えきるような不気味さがあった。

「結局誰もがシステムの一部なんだ」

それにしても、とアイズは思い返す。
数時間前、観測者は依頼を承っていた。
その時と同じことを犬養はアテネに話している。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板