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仮投下スレ

1158人生は大車輪:2011/09/15(木) 11:30:16 ID:8hW82z.c0


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車の吹かしと破壊音が地上から唸って聞こえた。

地下室に散らばっている"彼女"を一人だけ引き上げ確認する。
鼓動は確かに感じられる。
しかし"彼女ら"は、ナイブズの知る同胞、プラントとは別物になってしまったように思えてならなかった。
しっかり形が残っているのだが、生産の能力は失われていた。
それぞれの意思すら、ない。人間でいうなら、脳死のような状態に陥っている。
意思が未知の生命エネルギーにより内部から壊されていた。
融合をしたら取り返しのつかない事態に発展すると、本能的に悟った。
皆既月食について考えたからこそ、手出しが出来ない。

子供がプラントの一部を持っていったのに手出ししなかった理由はこれが大きい。
融合は……無理だと判断した。
無言の助け声に、謝罪を述べる。

プラントドームに『01』と数字が振られている。
まだどこかにプラントドームが『02』『03』などと割り振られ存在する証だった。

同時に、生産ラインの動力源して同胞を結びつけた者と、同胞を内部レベルで書き替えてしまったエネルギーに、やり場のない怒りを抱く。
工場は生産を止め、エネルギーの主は自爆しているというのだから尚更だ。
報復も、エネルギーの解析も出来ない。
怒りの矛先は《神》へ向けられる。


だが失望だけしているのではない。

地下室を横切り、通路が通じている。
片側の扉は緩んでいる。
あの子供が開けてみようとしたか、何かしらでこじ開けようとした跡は残されていた。

エレザールの鎌を僅かに開いた隙間に入れ、力任せに破壊する。
鎌の柄はもげ、扉は歪んだ。
鎌を捨てた途端、爆破解体のように、建築物破壊が目的だとありありとわかる爆発が起きた。
地下室まで潰れはしなかったが、瓦礫の崩落音に階段を見ると、崩れたコンクリートで塞がれていた。
薄々予感はしていたが、やはり退路は断たれた。


「……ここしかないのか」




出力を最低限まで抑え、目では見えない刃を出現させる。
扉だけを一刀両断する。
この程度の出力であれば、貴重なエンジェルアームの限界値を削ることもないだろう。

この工場は巨大な墓標。
死んだのは人間だけではないと、プラントも被害者なのだと、この墓標に刻んだ。


「またここに来る。
 ……《神》の首を持ってな」


なじられたプラントを背に、そう誓う。


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