したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所8

102mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/27(金) 19:19:22 ID:7xyPRekM
>>101 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです! かなりアブノーマルなお話しですねw
ガランドさんが“紳士”過ぎるw


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
某所でのネタ話から、
思い付いた“ifファンタジー”な話をひとつ。
ではどうぞ。

103hunter life 01/03:2011/05/27(金) 19:20:21 ID:7xyPRekM
 トゥルーデはふと目を覚ました。いつものベッドの筈が、肌に触れるシーツが妙にちくちくと感じる。
 部屋で寝ていた筈が……どこか異国の地に見える。色とりどりの木の葉が舞い、遠くから川の流れも聞こえる。
 ゆっくりと身体を起こして気付いた。見覚えのないモノを身に纏っている。
「何だ、これは?」
「似合ってるよ、トゥルーデ」
 横から聞こえたエーリカの声。振り向くと、彼女も何やらいつもとは違った服装……いや、「鎧」を着込んでいる。
 しかし鎧と言っても妙なもので、中世の騎士団が着用していたものとは何かが違う……何かの素材を豪快に使っている感じだ。
「さて、リミットは五十分だよ」
「何の事だ?」
 エーリカは短めの剣を二本、肩に掛けると歩き出した。
「おい、ちょっと待て、私には何が何だか」
「大丈夫よ、トゥルーデ」
 ベッドの脇、焚き火の前でくつろいでいるのはミーナ。ミーナも何か不思議な鎧を纏っていたが、出撃する雰囲気ではない。
「フラウ、トゥルーデ。エリア6に反応。翼は畳んで……今は随分とリラックスしているみたいね」
「じゃあ、さっさと行ってぼころう」
「?」
 銃は? 私のMG42は? ストライカーは? と言うかここはどこだ?
 色々と質問したかったが、その場の雰囲気に気圧され、ああ、と頷くしかできない。
 ミーナの横では、いつもより大き過ぎる……扶桑刀に似た刀……を背負った美緒が、遠くを魔眼で見ていた。
「弱点は頭、雷属性に弱い。ペリーヌがトネールを使えばな……。破壊可能部位は……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ少佐。私には何の事かさっぱりわから……」
「ほら」
 美緒から、ひとふりの「ハンマー」を渡される。拳銃の一部をやたらと大きくした様な、不格好な武器。
「とりあえずこれでも何とかなるだろう」
「は、はあ……」
「大丈夫、お前ならすぐやれるさ……本当は私も行きたいんだが、ミーナに止められてな」
 刀の柄に手を掛け、物凄く残念そうな美緒。しかし服の袖をミーナがぎゅっと握っている辺り、強烈な意思表示と見える。
「まあ、少佐はミーナとここでゆっくりしていてくれ」
 トゥルーデはよいしょとハンマーを担ぐと、エーリカの後を追った。

「エリア6に行くには、こっちが良いんだよ」
 小さな滝の横を抜け、ごつごつした山肌をとことこと走っていくエーリカ。
「なあ、ハルトマン」
「大丈夫、皆も先に行ってるから」
「皆? ああ、他の奴等か」
「あ……ミヤフジ達が敵に見つかった」
 ぽつりと呟くエーリカ。
「おいおい。急がないと」
「大丈夫、裏からシャーリーとルッキーニも回って来ているし、辺りの雑魚はエイラとサーニャが片付けてるよ」
「なるほど。それは心強いな」
「あそこの谷を下りるとエリア6。急ごう、トゥルーデ」
 そこで、ぐうう、とトゥルーデの腹が鳴る。
「そう言えば、何か腹が減ったんだが……」
「はいどうぞ」
 慣れた感じで、コンロを渡される。と言ってもシャーリーが簡単なバーベキューをしそうな程度には大きい。
「エーリカ、お前どこからこんなモノを?」
「肉はさっきのエリアに居た鳥から剥ぎ取ったものを……」
「鳥? あの丸っこいやつか」
「そそ」
「なんか、色々と違う気がする……」
 頭を抱えるトゥルーデ。エーリカから生の肉を渡される。どしりと重い。
「はい、火にかけて」
 焼く事しばし。エーリカはにやにやと見ていたが、トゥルーデは加減が分からず派手に焦がしてしまう。
「ありゃ。まあ、たべてみたら?」
 がぶりとかじりついて豪快に食べるが、途中で焦げ臭さと苦さに耐えられずむせてしまう。
「私の携帯食料あげるよ。はい」
「すまない」
「さあ、急ごう。ミヤフジ達が危ない」

 谷を下りた所は、実に見事な景色が広がっていた。
 滝のすぐ脇を流れる風流な川の流れ、鮮やかな色で舞う木の葉……、そして見た事もない、大型の“生物”。
「おぉい! 何だあれは! ネウロイじゃないよな!? 違うよな!?」
「慌てない。飛竜種の一種で……」
 飛び掛かってくる巨大生物を紙一重で回避する。
「ああ、バルクホルンさんにハルトマンさん、遅いですよ……もう駄目かと思いました」
「立ちなさい宮藤さん。まだまだ行けるはずですわ。リーネさんは背後から狙撃を」
「は、はい!」

 場違いな巨大生物を相手に、これまた場違いな面子が、普段とは異なった武装で立ち向かっていた。

104hunter life 02/03:2011/05/27(金) 19:22:10 ID:7xyPRekM
「あれ? 弾がない……弾詰まり?」
 銃の様子を確認するリーネ。
「リーネさん、しゃがみ撃ちするときは残弾に気を付けろとあれ程……」
「ひゃああ!」
 突進をまともに浴びてごろごろと転がるリーネ。
「ああ、リーネちゃん!」
「宮藤さん、リーネさんに治癒を」
「はい」
 三人は辛うじて連携を取っている。
「さて、私達も行こうか。トゥルーデは頭だけ狙えば良いから」
「頭? ああ」
 訳も分からぬまま、ハンマーを手に取り、敵に向かう。
「なんか戦況結構酷いね。皆、目塞いでね。行くよー」
 エーリカはそう言うと、何か手榴弾みたいなモノを投げた。途端に辺りが眩く光り、敵が立ちくらみを起こす。
 好機とばかりにエーリカは両手に剣を握り、するりと懐に潜り込むとまるで疾風の如く舞い、敵を刻んでいく。
 間も無く剣が紅く光り、エーリカの身体からもオーラが見えた。
「まずは下ごしらえ完了。さっさと行くよ〜」
 更に速く、すばしこく、攻撃を避け、鮮やかに敵を斬りつけていく。思わずその動きに魅了されるトゥルーデ。
「ほらほらー。トゥルーデもさっさと頭を殴る」
「わ、分かってる!」
 重いハンマーをぶんと振り、敵の脳天目掛けて振り下ろす。敵がよろけたところで、もう一撃、さらに一撃と加える。
最後に思いっきりスイングし、頭をぐらつかせる。
「良い感じだね」
「そうか? 私にはよく……」
「お待たせー」
「ニャハー おまたせー」
 遠くから声が聞こえたかと思うと、背後からどかどかと何かが突進して来た。どんと背中を突かれ、派手に転ぶトゥルーデ。
 突進して来たのは槍を構えたシャーリー。持ち前の加速で勢いを付け、まるで敵を突き抜けるかの様にずばずばと強引にダメージを与える。
「おいリベリアン、気を付けろ! 今、私を吹っ飛ばしたな?」
「軸線上に居たアンタが悪い」
「なんだと」
「ほらシャーリー早くー」
 一方のルッキーニはえらく軽装で、異国風の銃器を手にすると、ぱぱぱんと連射を浴びせる。
「百発百中〜」
 銃を手ににんまりと笑う。
「お、ここに居たカ。周りの雑魚はあらかた退治してきたから、残ってるのはコイツだけダナ」
 谷の奥から、エイラとサーニャがやって来た。
「右ダナ」
 エイラはサーニャの手を取り、ささっと位置取りをする。襲い来る敵の尻尾は見事に空を切り、弾かれた落ち葉が水に濡れる。
「ねえエイラ、もうすぐこの敵……」
 サーニャが魔導針で様子を伺う。
「ヨシ。おーい宮藤、シビレ罠準備シロー」
「は、はい!」
「ツンツン眼鏡はトネール禁止ナ。皆を巻き込むからナ」
「何度も連発出来ませんわよ!」
「トゥルーデ、ついでに脇のブレードみたいな部分も壊してね」
「注文が多いな」
 文句を言いながらも、何とかげしげしと殴りつけ、翼の端に傷を付ける。悲鳴を上げる敵。
「大丈夫。もう捕獲行ける」
 サーニャがエイラの手を握って、声を上げる。
「宮藤、準備は?」
「は、はい! 大丈夫です!」
 狙いを芳佳に定めて突進する敵。しかし途中には罠が置かれており、ビリビリと拘束される。
 そこに芳佳が何発か麻酔用の弾を投げつけた所で、敵はがくりと崩れ落ち、寝いびきを立て始めた。
「お疲れー」
「お疲れ様」
 揃った皆は口々に健闘を称え合う。
「案外早かったね。五分針ぎりぎりってとこ」
 エーリカが時計を見て言った。
「なんだそれ」
 意味が分からないトゥルーデ。
「まあいいからいいから」
「で、この寝ているのはどうするんだ」
「ギルドが引き取ってくれるよ」
「??」
「もう。トゥルーデはもうちょっと勉強しないと」
 エーリカは笑いながらこつん、とトゥルーデの兜を小突いた。

105hunter life 03/03:2011/05/27(金) 19:22:43 ID:7xyPRekM
 はっと目が覚める。
 いつもの部屋の天井……いつものベッド。
 トゥルーデは自分の身体をぺたぺたと触って感触を確かめる。パジャマと、下着、ズボン以外、身に付けていない。
 当然だ。ここは501の基地の中。私は非番で……
 そこで、エーリカがすぐ横で寝ている事に気付く。だらしなく伸びた腕がトゥルーデの額に当たったらしい。
「何だったんだ……さっきのは」
 時計を見る。寝直すには微妙な時間だ。まだ十分も経っていない。
「……ん?」
 何か違和感を覚えるも、トゥルーデは首を振り、まあいい、と呟いてごろんとベッドに横になった。

end

106名無しさん:2011/05/27(金) 19:23:00 ID:7xyPRekM
以上です。
ネタが分かる人には分かると思いますが……
誰得なものを、失礼しました。

ではまた〜。

107Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:21:59 ID:VayjPsec
どうもこんにちは〜。いきなりですが、最近書いたものを投稿させて頂きます!
…と言っても実はこの間投稿した「ヘルマの弟子入り」とネタが若干被っててお蔵入りした作品だったのですが…もったいないので投稿させて頂きます!

【Ihr wahrer Charakter】

砂漠の中に設営されたテント。
そこに、数人の司令官やウィッチが定例の会議をしている。

「ネウロイは昨日に攻めてきたので、今日出る確率は低いわ」

会議を仕切っているのは『ケイ』こと加東圭子。

「なので、各自訓練等をしておくこと。以上、解散!」

会議を終えると、次々とテントの中から出て行く...

「…さてと、夕飯の下ごしらえを」

最後の方に、立つ人物が一人。彼女の名はライーサ・ペットゲン。
テーブルの上に置いていたメモ帳を忘れないように取り、調理場のあるテントへ向かおうと席を立つ…が、

「あ、ライーサさん!忘れ物ですよ!」

ライーサが立った際に落としてしまったメモ帳に挟まれてたと思われる一枚の写真を取る、傍にいた稲垣。

「あれ…行っちゃった」

既に彼女の姿はなく、ふと手にしている写真を見てみる。

―――誰のサインだろう…?

その写真の裏には誰かのサインがあり、表面を見てみると…

「…えっ?」







「ライーサさん!」
「あ、マミ。どうしたの?」
「あの…これ」
「へっ…?」

調理場のあるテントにて、稲垣は先ほどライーサが落とした写真を渡す

「…っ!!」
「あの…何故?」
「だっ、誰にも言わないで…ね」
「は…はあ…」
「………」
「…お好きなんですか?」
「うん!」

若干、鼻息を荒くして答えるライーサ。
寡黙な人…という印象を持っていた稲垣は、普段の彼女からは感じられない姿にただただ驚く…

「もしかして…マミも!?」
「あ…えと、上官としては…ですけど」
「そ…そうなんだ」


***

108Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:22:38 ID:VayjPsec
>>107の続き。

所変わり、マルセイユのテント。

「なあケイ」

いつもとは違い、真剣な表情をするマルセイユ。

「ん?何よ?…と言うか、あなたも仕事しなさい」
「私は事務仕事は苦手なんだ」

何故かマルセイユのテント内で事務仕事しているケイ

「そもそも、なんでここで仕事をしているんだ?」
「このテントが一番涼しいんだもの」
「だからって…」
「…で、何?何か呼ばなかった」
「あ、ああ。最近…なんかその…気持ち悪いんだ」
「飲み過ぎよ」
「違う!そうゆう気持ち悪さじゃなくてだな!」
「じゃあ何よ?」
「…なんかその…後を付けられてる感じがするんだ」

すると何事も無かったかのように仕事に戻るケイ

「おい!」
「まさかその歳で幽霊が怖いとか、どんだけよ」
「違うっ!」
「はいはい、今夜一緒に寝てあげるわ」
「子供扱いすんな!」
「じゃあ何?!私、今忙しいんだけど!!」
「…誰かにストーキングされてるっぽいんだ」
「アナタの熱狂的ファンなんじゃないのかしら?」
「そうゆうのはマティルダが排除してくれてる」
「…まあもしそれが本当なら、外部からの犯行は無理ね」

事務仕事をしていた手を一旦止め、ケイは肩を回し始める...

「肩が凝るわねえ…で、こんな僻地まで追っかけてくるファンって今まで居たかしら?」
「…あ、ケイが来る前に1人だけ居た!私の熱狂的なファンでな…マンションの権利書を持って来たファンがな」
「じゃあソイツじゃないの?」
「いや、権利書だけ貰ってカールスラントに強制送還して…本国で裁判したからもう来ないな」
「逆恨みの犯行じゃないの?」
「うーん…」
「じゃあソイツじゃ、ないんじゃない」
「…真面目に聞いてくれ、ケイ!」
「あー…アホくさ」

突然ケイは立ち上がり、机の上に広げてあった書類をまとめ始める

「自称『アフリカの星』が…なんて弱気なことを言ってるのよ!それより戦闘で怖い経験を何回かしてきたでしょ?!」
「だから!…その怖さとはまた違った怖さなんだって!!例えば…シャワーを覗かれてる気がしたりとかな!」
「じゃあ何って言うの?」
「私が考えるに…同性の犯行だな」
「そう。わかった」

そう言い残すと、テントから出て行った。

「…話を聞け、バカ!」


***


所戻って、調理場のあるテント。

「…アルバム、見たい?」
「へっ…??いや…結構です;;;」
「見たい…よね?!」

もの凄い勢いで稲垣に迫るライーサ

「わっ、わかりました!!みっ、見たいです!!見たいし、痛いです;;腕を掴まないでください!!;;」

すると、どこから取り出したのか『ライーサのマル秘アルバム』を取り出す...

「いっ、一体どこから…?」
「これは私が1年間毎日撮り続けた記録なんだけど…」
「えと………え、ウソッ!?」
「この写真撮るの…大変だったなあ」
「ちょちょちょ!!」
「え、焼き増しして欲しいの?フィルム残ってたかなあ…」
「ちっ、違います!」


***

109Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:23:19 ID:VayjPsec
>>108の続き。

そして、その日の深夜。

「…ん?」

たまたま用があり、テントとテントの往き来をしていたケイはマルセイユのテント付近で不審な影を見つける

「もっ、もしかして…」

『例えば…シャワーを覗かれてる気がしたりとかな!』
と、昼にマルセイユが言っていたことを思い出す。

「ま…まさか!!」












バッ!!

テントに忍び寄る不審な人物の腕を掴む

「アナタ!!そこで何やってるの??!!」
「っ!!」
「…ラッ、ライーサ??!!」
「こっ…こんばんは〜」
「…こんばんは」

そこに居たのは意外過ぎる人物だったので、思わず変なリアクションを取ってしまうケイであった。

「何してるの?!…って、それーっ!!」
「シ〜ッ!!声が大きいですって;;」
「あ、ごめん;;…じゃなくて!それ私のカメラじゃない!」

そして、ライーサの手には何故かケイのカメラがあった...

「あの…これは…今から、バードウオッチングにですねぇ;;」
「私のライカで?」
「あの…これは…この間ヨドバシのポイントを使って………ごめんなさい!!!!」
「………」

ケイにより強制的に、テントへ連れて行かれるライーサ。

「…話を聞こうか」
「別に!悪気はないんです!!」
「どう見てもあるわよ!自覚ないの?!」
「ただ…ティナの天使のような寝顔が撮りたくて…エヘヘヘ…すみません、ヨダレが」
「うわああ…」

若干、引くケイ。

「あの…騒がしいですが、どうしたんですか?」

よほど騒いでいたのか、心配になってやって来た稲垣。

「マミ!ライーサがね、」
「あー…」
「何か知ってるの?!」
「あれは…私も良くないと思います」
「え?え?」
「ライーサさん…昼に、私にマル秘アルバムを見せて来たんです」
「アルバム?」
「ええ…一年間に渡って撮り続けていたマルセイユさんの写真のです」
「今度本国の出版社へこの写真を持ち込んで、写真集かカレンダーを作ってもらう予定です」
「何勝手に他人の写真集作ろうとしてるのよ!」
「大丈夫です、出版社に知り合いが居ますので」
「そうゆう問題じゃない!」

ケイは頭を抱えながら、席に座る。

110Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:24:02 ID:VayjPsec
>>109の続き。

「はああ…」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわよ!まさか身内の犯行だったとは…」
「…あ、あのぅ」

すると、今まで黙っていた稲垣が手を挙げる...

「どうしたのよ?」
「ライーサさん…マルセイユさんがお好きなんですよね?」
「はい」
「あのぅ…なんで…?」
「だってカッコ良いじゃありませんかぁ!!!!」
「………」
「………」

いつもと180度キャラが違うライーサに困惑する、2人である…。

「ちなみに、ティナの何でも知ってますよ?!ティナの好きな飲み物は牛乳、好きな花はパンジー、好きな映画は『カサブランカ』、好きな漫画は『聖闘士星矢』、好きな芸能人は中井貴一、好きなお笑い芸人はオール阪神」
「もう良いっ!!!!」
「うっ…うわああ…」
「…まだまだ知ってますよ?ティナが最近気になる物は『ポケットドルツ』とか」
「ライーサさんって、マルセイユさんのマネージャーさんですか??」
「いや、れっきとしたストーカーね…ねえライーサ」

少々呆れ顔で質問するケイ

「そんなん詳しいなら、付き合っちゃえば良いじゃない」
「…それはちょっと」
「へ???」
「何でですか?!」
「確かにティナは好きです、けど…」
「「けど?」」
「いつまでも…心の奥にしまっておきたいんです」
「…はあ?」
「だって永遠の片想いって最高じゃないですか?」
「最高なの?マミ」
「私に聞かないでください;;;」
「そもそも…私とティナの出会いは本国のJG27に居た時です…」
「ちょっと待ってライーサ、その話って長い?」
「ええ、長いです」
「…まあ良いわ、続けて」

そして、延々と2時間に渡って
ライーサがどれだけマルセイユを慕っているかを聞かされたケイ。

111Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:24:36 ID:VayjPsec
>>110の続き。

「Zzz...」
「…だったんです。そうした時に、ティナが…ケイさん!ケイさん!」
「…あ」
「『あ』じゃないです!!聞いてました?!」
「うん、聞いてた聞いてた…Zzz」
「ちょっと寝ないでください!!」
「ごめん…続けて」
「もう…それで、私とティナで『なわとび選手権』に出ましてですね…」

ちなみに稲垣は既にリタイアし、地面に横になって寝ている...

そして朝陽が差し込む時間となった。

「…というワケで、私はティナが好きなんです!あ、好きと言っても『LOVE』じゃなくて『LIKE』なんですけどね」
「………おはよ」
「…おはようございます」
「で、終わったの?」
「ええ、私とティナにおける歴史。カールスラント編」
「え?!まだあるの?!」
「はい、アフリカ編もありますが…それが何か?」
「うわあ…」
「さあ、朝マックして訓練に備えましょう!」
「ねえライーサ」

寝ぼけ眼で、話しかけるケイ。

「あなたはマルセイユを想っている」
「???」
「そして、マルセイユのパートナーであり親友である」
「…昨夜、それを話したじゃないですか」
「それをね…世間は『LOVE』に分類されるものよ?」
「…へ???」
「断言する、あなたはねえ!…マルセイユのことが好きなのよ!愛してるのよ!」
「まさかそんな………え?」
「さあ行くのよ!ライーサ・ペットゲン!マルセイユのところへ!」
「あの、仰ってることの意味が…?」
「早く行きなさいってば!!!!」
「はっ、はい!!!!」

ケイに圧倒されたのか、ライーサは走ってテントの外へ出て行った。

「…あ、おはようございます」
「あ、マミ。おはよう」
「今のやり取りって…?」
「…もう腹立って、デタラメ言ったわ」
「えぇぇ…」
「したら、今…」
「あ〜…」
「………」
「………朝ごはん、食べに行きましょうか」
「そうね」



後日、マルセイユにベタベタくっついているライーサの姿を目撃する隊員が続出。
見る者は皆、驚いたという。

それもそうと、勤務中は『寡黙』『真面目』で通っているライーサ。
しかし勤務が終わるとスイッチが入ったかのように、ベタベタし…あげくの果てには甘い声を出すのだ。


***


「なあケイ…」

神妙な顔つきでケイに相談するマルセイユ...

「ん?どうしたの?」
「最近のライーサ…変じゃないか?」
「変って…どの辺がよ?」
「人が変わったと言うか、なんと言うかその…」
「…気のせいよ」
「確かにアイツは本国時代からの仲間だ、戦友だ。しかし、それ以上の関係ではないんだ」
「そう」
「でも最近やけに私に話かけてくるようになってな…」
「良いことじゃないの」
「…いや違うんだ!!怖いんだケイ!助けてくれ、アイツはたぶん私に変な水を段ボールごと買わせようとしてるんだ!」
「………」
「『ねずみ講』に引っ掛かけようとしてるんだ、アイツは!それか変な宗教か!」
「………あなたってば、どれだけ仲間を信じてないのよ…」

ライーサの意外な一面と、
マルセイユは意外と小心者だということがわかった、出来事であった…。



【おわれ】

112Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/29(日) 12:27:39 ID:VayjPsec
以上です、スレ占拠失礼しました〜。
書いた本人が言うのもちょっとアレですが、
個人的にライーサがテントに盗み入ろうとケイに捕まった時の、

「…ラッ、ライーサ??!!」
「こっ…こんばんは〜」
「…こんばんは」

おケイさんが動揺し過ぎて至って普通な事を発したやり取りが好きですw

113名無しさん:2011/06/01(水) 11:49:57 ID:URZ1zLjw
良し!

114Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/06/04(土) 15:39:39 ID:sOgep9S2
こんにちは!連投ではございますが、新しいのを書いたので投下させて頂きます!
6月4日は、ストパンキャラで一番好きなエルマさんの誕生日!なんで、ビューエル作品を書いてみました!


【ここに居なきゃいけない理由】

「あなたねえ!何度言ったらわかるの?!」
「ひいっ!!トモコ中尉ぃ、ごめんなさいっ!」

廊下で、そして大声で智子に怒られているエルマ。

「戦闘の時に逃げ腰になるなってあれほど…っ!!」
「っ…!!」

必死に涙をこらえているエルマ...

「あのねえ!泣けば良いってものじゃないわよ?!」
「なっ、泣いてなんか…っ!!」
「ほら泣くわよ、3・2・1…」
「うわあああああん!!!!」
「はああ…」

すると背後から、

「Oh!トモコがエルマを泣かせたねー!」
「ちょっ、キャサリンあなたねえ!」

蜂の巣をつっついたように騒ぎだすキャサリン。
いつの間にかハルカとジュゼッピーナがエルマの背後に移動し、

「大丈夫ですよ〜、エルマ中尉」
「今度は私たちがトモコ中尉を泣かせる番なんで」
「ひいっ?!」
「ト・モ・コ中尉ぃ〜」
「泣かせちゃ…いけませんよぉ〜」
「いっ…いやあああああ!!!!」

そうして、廊下でもみくちゃにされるトモコ。
スキを見計らい、ビューリングが食堂へ連れて行った…。



エルマの目の前に熱々のコーヒーカップを置くビューリング。

「落ち着いたか」
「はい…ひっく…」
「ったく…アイツも怒り過ぎだ」
「私が…私が悪いんです!」
「まあそんな悲観するな。後で私からもキツく言っておく」
「…ビューリングさんは」
「ん?」
「ビューリングさんは、どうしてそんな強いんですか?」
「強い?私がか?」
「ええ…」
「…何言ってるんだ、私はもの凄く弱いぞ」
「へ…???」

今まで吸っていたタバコを灰皿に一旦置く

「こう見えてもな、死んだヤツのことが今でも忘れられないんだ」
「………」
「アイツ、今生きてたらこれくらいの階級で…もっと言えば結婚してたかもしれない。何せ一人の未来を奪ったからな」

俯くエルマ...

「もっと言えば、悪夢に魘されるんだ。アイツが私のことを恨んでるって感じの」
「ごめんなさい、なんか変なこと聞いちゃって…。話題変えませんか?あ、ペンギンの可愛さについてだとか!」
「…今の流れからペンギンの話か?」
「………私、実家帰ろうと思うんです」
「は…?」
「もうわかったんです、このスオムスの空は私には守れないって」
「ちょちょちょ…ちょっと待て!どうゆうことだ?」
「その言葉通り…軍を辞めようかと。入った時は、この国を守りたい!と思いました。けど…けど今は、もう皆さんが居ます!もう私が別に居なくても大丈夫ですよ!」
「…っ!!」

ガンッ!!!!

ビューリングは近くにある椅子を蹴り、ビクッと反応するエルマ...

「ふっ、ふざけるな!!!!」
「…なんでビューリングさんが怒るんです?私がここに居なきゃいけない理由でもあるんですか?」
「それは………それはなあ!!!!」
「…ほら、すぐ言えないじゃないですか」
「………」
「すぐに言葉が出てこない…ってことは、それほどの活躍をしてないんですよ私」
「………」
「…何か言ってくださいよ!!!!」

初めてだろうか、エルマは大声を上げる。

「…ごめんなさい、もう寝ます」
「………」


***

115Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/06/04(土) 15:40:16 ID:sOgep9S2
>>114の続き。


翌朝、事件が起こる…。

朝食時にみんなが食堂で集まっていた時だ。

「…あれ、エルマ中尉は?」
「朝見たねー!買い物行ってくるとか言ってたねー」
「…おいおい、この間買い出しをしたばっかだろ?」
『………』

ビューリングの一言により、静まりかえる食堂…。

「ちょっと寝室へ行ってくる!」
「待って、私も行くわ!!」























案の定、

「ない…」
「ないな…」

エルマのベッド周辺にあったはずの、私物の本や服などが無くなっている。

「わ…私のせいだ」
「ちょっと、何言ってるのビューリング」

ビューリングは脱力したのか、ベッドに腰かけた

「あー…ちょっと吸って良いか?」
「何言ってるの…」

焦る智子と、何がどうなってるのかわからないビューリング。
タバコに火を付け、

「ふう…」

一服する。

「…よくこんな時に吸えるわね」
「…全然美味しくないな」
「当たり前よ!」
「どうして…あんなことを言ったんだろう…」
「何?!あなた、エルマに何か言ったの?!」
「言った…」
「あぁぁぁ………なんて言ったの?」
「言ったというか、答えられなかった」
「何をよ?」
「昨日な…」

立ち上がり、窓の外を見るビューリング。

「アイツから相談されてたんだ。ここに居る理由をな」
「…で?」
「答えられなかった」
「はあ…なんで…」
「じゃあお前は答えられるのか?!」
「私に振らないでよ!」
「お前だって答えられないじゃないか!どうして私が責められなければならないんだ!」
「はぁ?!責任転嫁?!」
「2人とも、うるさい…」
「「っ??!!」」

言い争っている2人の後ろには、ベッドの上で学術書を読んでいるウルスラの姿がそこにあった。

116Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/06/04(土) 15:40:44 ID:sOgep9S2
>>115の続き。

「ウ、ウルスラ…」
「あなたいつの間に…」
「朝食を摂った後、すぐにここへ戻ってきた」
「そう…」
「………」
「…今日は何日?」

…とウルスラを本を閉じ、眼鏡を外す。

「今日?6月の3日だけど」
「それがどうしたんだ?」
「そう…」
「???」
「トモコー!ビューリングー!」

すると遠くからドタドタと走って来る音がし、

「Oh!ウルスラも一緒ねー!」
「どうしたの?」
「フツーにエルマが帰ってきたねー」
「「…はぁ??!!」」


***


ドタドタドタ...

「あ、トモコ中尉にビューリング少尉おはようございます」
「おはようって…お前…」
「ちょっと!!何処行ってたの?!」
「何処に行ってたって…買い出しですが?」

エルマは手に持っていた紙袋を見せる

「あれ、キャサリンさんに言ったんですが…。買い置きのバターとかジャムとかが無くなって補充しに、あとジュゼッピーナさんからパスタを買ってきて欲しいって。あとシャンプーも!」
「…で?」
「えと…早起きしてバスに乗って市場へ行って来たんですが…どうしたんです?2人とも」
「じゃあ!お前のベッドの周りの本とか服は?!」
「今日シーツとかをまとめて洗おうと思ってですねぇ…で、ついでに周りも掃除しちゃおうって思って」
「よ…良かったぁ」
「へ??何がですか??」
「…このバカ!心配かけさせないでよね!」
「えぇぇぇ?!トモコ中尉…;;」

そして、大股開きで智子は何処かへと行った…。




























「ふう…」

辺りがシンと静かな、そろそろ日付けが変わろうかとする時間に、
ビューリングは基地の敷地内にあるちょっとした内庭でタバコを吸っていた。

117Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/06/04(土) 15:41:08 ID:sOgep9S2
>>116の続き。

「あ、ビューリング少尉」
「…エルマか」
「寝ないんですか?」
「ああ」
「そうですか…」
「お前こそ寝ないのか?」
「ええ」
「どうしてだ?」
「いやあ…なんか眠くなくって」
「そうか…」
「………」
「………」
「…昨日はごめんなさい」
「へ?あ、ああ。私こそ悪かった」
「私、もうちょっと…もうちょっとだけ頑張ってみようかと思います」
「ふん…」

奇妙な時間が、2人の間を流れる...

「…衝撃的な発言しても良いですか?」
「程度による」
「じゃあ話しますね………実は今朝、実家へ戻ろうと思ったんです」
「っ?!」

ビューリングは驚き、吸っていたタバコを地面に落としてしまった。

「荷物も纏めて、離隊届もちゃんと書いて…みんなが寝てる時間に基地から出て行こうと思って」
「………」
「けど、バレてしまったんですね〜…ウルスラ曹長に」
「そ、そうだったのか…」
「今でも腕が赤くなってるんですが…必死に私を引き留めようとして、ギュッと掴んできたんです。で、ムキになって私も無理やり引っ張ろうとして…」
「珍しいな、アイツがか」
「ええ、いつもとは人が違うみたいに。ウルスラ曹長、昨日のやり取りを全て聞いてたそうです」
「………」
「あ、そもそも私はよく一緒にシャワー入ってウルスラ曹長の頭を洗ってるんです。したら、『誰が髪を洗ってくれるの?』って…怒られちゃいました、あはは」
「アイツはもう1人で洗えるだろ…;;」
「でも良いんです、その一言で…私にもちゃんと仕事があるんだって」
「…じゃあ何で外に出たんだ?」
「シャンプー」
「…は?」
「ウルスラ曹長…明日、私の誕生日だってことを覚えてたそうなんです。したら、いつも洗ってくれてるから明日は私のを洗ってくれるって」
「………」
「こんなこと言われちゃったら、出るにも出られなくなりますって」
「………」
「さてと、私明日の訓練に備えてもう休みます。おやすみなさい」
「あ…ああ、おやすみ」

部屋に戻ろうとしたエルマを、

「なあ!おい」
「はい?」
「わっ、私…おっお前のその笑顔…好きだぞ。ずっとここに居てほしいって思ってる」
「へっ?!」

そして、ビューリングは今口走ったことを思い出したのか顔を真っ赤にする...

「えっあっ…その、な…」
「もしかしてビューリングさんも『女の子好きー』なんですか?!ケモノさんなんですか?!」
「違うっ!」
「…ふふふ、わかってます。ありがとうございます、なんか…元気が出ました」
「そうか?」
「はい」
「あの…お礼してもよろしいでしょうか?」
「お礼?」
「ええ」

と、エルマはビューリングに近づき…


チュッ...


一瞬、何をされたのかわからないビューリング。
エルマは彼女の頬にキスをしたのだ…。

「…おい」
「はい?」
「なんのつもりだ?」
「お礼です」
「………」
「…私のおばあちゃんが、ケンカや励ましの言葉をもらったらほっぺにチューしなさいって言わました」
「そ、そうか…」
「おやすみなさい」
「あ…ああ」

ニコニコと、自分のベッドへ戻って行く…。

次の日、『いらん子中隊』の全員によるエルマ誕生日パーティーが行われた。
そして当時に、ビューリングはこの日を境にエルマへ特別な感情を抱くようになったのであった…。



【おわり】

118mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/06/08(水) 22:36:56 ID:fcKFZbW6
>>117他 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
連続でGJです!
一途すぎて豹変するライーサも、ビューエルもステキです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いた小ネタを元に書いてみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

119tester 01/02:2011/06/08(水) 22:38:27 ID:fcKFZbW6
 訓練のお手本になる様な、見事な着陸を決め滑走路をゆっくりとタキシングする。そのままハンガーに戻ったトゥルーデは、
なびいてほつれる髪も気にせず、手にした銃器をラックにそっと置くなり、待ち構えていたウルスラに言い放った。
「こんないい加減な作りでは、実戦で役に立たないぞ」
 ウルスラは手元の書類に幾つかメモをしながら、トゥルーデに答える。
「技術部としては的確な運用を考慮して製作したつもりですが」
 トゥルーデはストライカーユニットを履いたまま、腰に手を当て、それは違うと反論する。
「『つもり』では困るのだ。実戦では何が起こるか分からない。だからあらゆる可能性を考えてリスクを可能な限り低くするのがお前達の仕事な筈だ」
「ごもっともです」
 ウルスラはそう答えたっきり、手元の書類を見たまま。トゥルーデは何か言いかけたが、一呼吸置いて、声を掛ける。
「……とりあえず、このままでは、この銃は絶対にジャムを起こす」
「分かりました。持ち帰って再度調整します」
「そうしてくれ。他には?」
「今回は、有りません。試験終了です。お疲れ様でした」
「分かった。ハルトマン中尉も少し休め」
 それだけ受け答えすると、トゥルーデはストライカー格納装置に自分のストライカーを固着し、よいしょと脱ぎ、
すたすたとハンガーから去っていった。恐らくシャワーでも浴びるのだろう。
「相変わらず、厳しいですね、バルクホルンさん」
 横でやり取りを見ていた芳佳が呆れ半分に呟く。
「いえ、良いんです」
 ウルスラは機材と書類を片付けながら、ぽつりと言う。
 無表情。
 その顔色から、何かの感情を読み取る事は、芳佳には無理な事だった。芳佳は何と声を掛けるかか迷っているうちに、
ハンガーにとてとてとやってくる足音に振り向く。
「芳佳ちゃん! お茶とお菓子の準備出来たよ! ハルトマン中尉もどうぞ」
 リーネがやって来て、皆をミーティングルームに招待する。

 朝からあいにくの雨天で始まった今回の試作銃器のテスト。過酷な状況下で出来るならこれ幸いとばかりに
トゥルーデは真っ先に試作の銃器を担いで曇天の空に昇っていったが……、銃の仕上がりに不満だったのか、
フィーリング、反動、射撃時の姿勢変化、排莢の具合など、事細かに様子を無線越しに実況し、
基地に戻ってからは責任者のウルスラを掴まえてあれやこれやと“説明”した。
 ところがその「説明」の様子がまるで説教に見えたものだから、周りは少々肝を冷やした。

 皆の輪の中に混じり、ちびりちびりと紅茶を飲むウルスラ。今日は散々だったねと皆に励まされたりしながら、
自身は表情を余り出さずに紅茶のカップをずっと持っている。
 そこに、実の姉であるエーリカがやって来て、隙間に入り込む様にするっとウルスラの横に腰掛けた。
「お疲れウーシュ。トゥルーデ五月蠅かったでしょ」
「いえ」
「そう? ハンガーからトゥルーデの怒鳴り声がこっちまで聞こえて来たよ」
 苦笑いするエーリカ。クッキーをひとつ食べて、美味しいよ、とウルスラに薦める。
 ウルスラは言われるがままに受け取り、もそもそと食べ、紅茶を一口飲む。
「疲れた時は甘いモノが一番だって」
 笑うエーリカにつられ、もう一枚クッキーを食べる。
「ありがとう、姉様」
「気にしない気にしない」
 ウルスラにはすぐ分かる。自分の姉は、無神経な様でいて、とても相手の事を思いやる事に長けている。
 今もまさに、自分に向かって、最大限の「気遣い」と言う名の姉妹間の愛情を注いでくれているのだ。
 辺りには余り悟られぬ様に。
 そんな姉をちらりと見て、ウルスラは何とも言えぬ気分になる。何か言おうとしたが、うまく言葉に出来ない。
 こう言う時、本は何と言えば良いと言っていた? 書物や教科書でこう言う時の対処法を教えてくれる事は滅多に無い。
 教科書や教本は良く読むが所謂「純文学少女」ではなかったウルスラには、余計に難しく感じる。
 巧い方程式、戦術と言うものは、対人コミュニケーションと言う分野に於いては難解極まるものだ。
 やがて、紅茶で唇を潤したウルスラは、エーリカに聞こえる程度のちいさな声で呟いた。

120tester 02/02:2011/06/08(水) 22:39:08 ID:fcKFZbW6
「トゥルーデ姉様は」
「ん? どうしたのウーシュ」
「優しいですね」
 妹の思いも寄らぬ言葉に驚く姉。
「え? あんなにガンガン言われたのに?」
「裏返し、ですよ」
「あー。ウーシュの言いたい事分かった」
 エーリカはウルスラの言葉を聞いて、はにかんだ。
「本当は誰も傷付いて欲しくない。だから、試作の武器には……」
「まあ、適当に審査されるよりは良いかもね」
 エーリカはウルスラの頭をくしゃっと撫でた。小さく微笑む双子の妹。

 さっぱりとした表情で、遅れてやって来たトゥルーデ。団欒の輪を見回し、ウルスラの姿を見つけると、つかつかと歩み寄った。
「来ていたのか、ウルスラ」
「ウーシュで良いですよ」
「ああ、そうだったな。おっと、リーネすまない」
 トゥルーデはリーネから紅茶を受け取ると、エーリカとウルスラの横に腰掛けた。
 シャワーを浴びた後なのだろうか、髪が濡れ、下着も新しくなっている。石けんの香りが微かに漂ってくる。
「ところで。あー、その、なんだ。さっきは少し言い過ぎた。済まなかった」
 紅茶を一口含んだ後、らしくなく、反省してみせる「お姉ちゃん」。
「良いんです。あれ位厳しく言って貰わないと私達も弛みます。それに」
「?」
「エースの言葉には重みが有りますから」
「何だ何だ、急に私を持ち上げて、気持ち悪い。私をおだてても何も出ないぞ」
 少々困惑の表情を浮かべるトゥルーデ。
「あれ、トゥルーデ姉様……」
 ウルスラは紅茶のカップをそっと置くと、おもむろにトゥルーデの髪に手を伸ばし、しゅるりと髪縛りの片方を解く。
「お、おい。何をするんだ」
「ほんの少し、泡の跡が残ってます……急ぎましたね。髪に悪いですよ」
 まじまじと魅入るウルスラ。本人にはその気がなくても……あくまでも科学的観察だったのだが……
その仕草、手指の動きが気になって仕方ない。エーリカの双子の妹だからか。
「こら」
 エーリカに、ぐにゅーと頬をつねられ無理矢理顔を彼女の方に向けられる。
「なんて顔してるの」
「なっ! 私がそんなおかしな顔する訳無いだろう!?」
 焦って弁明するトゥルーデを見て、一瞬笑顔を作るエーリカは、すぐに「狩人」の目をして言った。
「照れてる。可愛いけどさ〜。でもあんまり度が過ぎると許さないよ?」
「おいおい……って、ウーシュもいつまで私の髪で遊んでいるんだ!?」
「すいません。よく手入れされてますが、少々毛先が」
「大丈夫だ、戦闘では関係無い。問題無い」
「私が気にします」
「何? どう言う事だ」
「トゥルーデ姉様には……」
「おっとそこまでだよウーシュ」
 エーリカはウルスラの前で人差し指を立てると、もう片方の手で、しゅるりとトゥルーデの髪縛りを解く。
「こらお前達! 私の前で喧嘩をするな! と言うか勝手に髪を解くな!」
「誰のせいだと思ってるの?」
「何っ?」
 呆気に取られ、意味が分からず身体が固まるトゥルーデ。スキを見逃さず、双子の「ハルトマン」は一斉に飛び掛かった。
「うわ、やめ……うひゃひゃ……」
 二人の“同時攻撃”に悶え、笑い、苦しむトゥルーデ。

 傍から様子を見ていた501の隊員達は、いつもの事かとすました顔。
 やれやれと溜め息をついたり、変わらず自分達のお喋りを続けたり。
 でも、ハルトマン姉妹とトゥルーデのいちゃつきは視界の隅にしっかりと入れている。
 501はそう言う意味でも「戦場」であり、そして同時に平和なのだ。

end

121名無しさん:2011/06/08(水) 22:39:25 ID:fcKFZbW6
以上です。
単純に兵器テストのネタだけの筈だったのですが。
もっとお姉ちゃんは愛されると良いと思います。

ではまた〜。

122アキゴジ:2011/06/19(日) 23:55:17 ID:cN7m1A9I
はじめまして、アキゴジと申します。
ここに来るのは初めてですが、芳佳ちゃんとバルクホルン大尉を書かせていただきます。
注:エロ有りでバルクホルン大尉が病んデレ気味です。苦手な方はご注意ください。

123私は妹さんの代わり 1:2011/06/20(月) 02:15:43 ID:XP.hz/ro
 私は眠れずにいた。何故だかわからないけど寝付く事が出来なかった。こんな事は一度もなかったのに、何だか珍しいかな、と思う。
芳佳「少し歩いていれば、眠くなるかな・・・」
 そう思った私は部屋を出て廊下を歩きだす。誰もいない静かな夜の廊下をただひたすら歩く。
芳佳「坂本さんかミーナ中佐に見つかったら、何て言われちゃうかな・・・眠れないんですって言ったら話し相手ぐらいにはなってくれるかな?」
 窓の外を見ながら独り言を呟く・・・独り言を呟くなんて自分でもおかしいな、と思ってしまう。いつもなら夜になれば訓練の疲れですぐに眠くなってしまう。だけど、今日の夜は不思議と眠くならなかった。どうしてだろう?そう思いながら夜空を見上げる。今はサーニャちゃんが夜間哨戒に出ている頃だろう。眠くなれないくらいならいっその事、夜間哨戒に出た方がよかったかもしれないと思う。
芳佳「・・・さびしいな」
 無理もない。誰もいないこんな夜だもの。一人になれば、誰だってさびしさを感じる。
芳佳「戻ろうかな・・・」
???「宮藤、こんな所でどうした 消灯時間はもう過ぎているぞ」
 私が部屋に戻ろうと思った瞬間、隣にバルクホルンさんが立っていた。
芳佳「バルクホルンさん・・・」
バルクホルン「珍しいな、お前が夜に寝ていないなんて」
芳佳「あはは・・・そうですね、自分でもそう思います でもバルクホルンさんも同じじゃないですか?」
バルクホルン「フッ・・・まぁな・・・」
 バルクホルンさんがこんな夜にいるのも珍しい。普段の彼女なら夜になればとっくに眠っているはずだ。しかし、今は私の隣にいる。
芳佳(話し相手になってくれないかな・・・)
 そういう考えが思い浮かぶが、何を話せばいいかわからなくなる。
バルクホルン「・・・宮藤」
芳佳「あ、はい」
バルクホルン「私の部屋に来ないか?こんな所にいても心細いだろう」
芳佳「え、あ、いやそんな・・・一人で大丈夫です」
バルクホルン「だが、お前はさっきさびしいと言ってたじゃないか」
芳佳「・・・聞こえていたんですか」
バルクホルン「あぁ・・・ずいぶんと人恋しそうにな」
 そのあと、しばらく沈黙が続いた。

124私は妹さんの代わり 2:2011/06/20(月) 22:36:19 ID:XP.hz/ro
 沈黙が続く中で、何だか落ち着けなくなっていた。バルクホルンさんがすぐそこにいるのが気になって仕方がない。すると、バルクホルンさんが話しかける。
バルクホルン「宮藤、自分の部屋に戻ってもどうせ眠れないだろう?私が相手をしてやる、だから私の部屋に来い」
芳佳「え・・・でも」
バルクホルン「何を遠慮している、私が来いと言っているんだ さぁ行くぞ」
芳佳「え、あ、ちょ、ちょっと!バルクホルンさん!」
 躊躇しているヒマもなく、私はバルクホルンさんに腕を掴まれながら部屋に連れて行かれる。気のせいか、バルクホルンさんの腕の力が妙に痛いほど強く掴まれている気がした。

芳佳「・・・えっと・・・バルクホルンさん、ホントにいいんですか?」
バルクホルン「遠慮がすぎる奴だな、いちいちそんな事を気にしてもしょうがないだろう」
芳佳「それは、そうですけど・・・」
バルクホルン「それに、お前には少し役目を担ってもらおうと思ってな・・・」
芳佳「役目・・・?」
 その言葉を聞いた瞬間、何故か私は嫌な空気に包まれた。
芳佳「あ、あの・・・バルクホルンさん、役目って一体・・・」
バルクホルン「言葉で教える必要はない、その身体ですぐに教えてやる」
芳佳「ど、どういう事ですか?」
バルクホルン「宮藤、言葉で教える必要はない、と言っただろう」
芳佳「は、はい・・・」
 戸惑う私にいらついたのか、バルクホルンさんは重くのしかかるような言葉を言い放ち、私を黙らせた。突然の事に私は恐怖で身体が震えだす。
バルクホルン「宮藤」
芳佳「は、はい・・・」
バルクホルン「ベッドに座れ」
芳佳「え・・・な、何で」
バルクホルン「ベッドに座れ、わからないのか?」
芳佳「う・・・は、はい・・・」
 バルクホルンさんの鋭い剣幕に私は逆らう事が出来ず、そのままベッドに腰掛ける。
バルクホルン「うむ、それで良い・・・」
 すると、バルクホルンさんは笑顔を浮かべながら私の方に近づいて来た。私は彼女のその笑顔に、とてつもなく不安を感じた。
芳佳「あ、あの、バルクホルンさん」
バルクホルン「・・・」
 バルクホルンさんは笑顔を浮かべたまま、私の髪をなでる。普通なら嬉しく思うはずなのに、何故か嫌な気分になる。どうしてだろう?
バルクホルン「さて・・・宮藤、役目を担ってもらうぞ」
芳佳「え?あの、それって・・・」
チュッ
芳佳「ッ!?」
 戸惑う私にバルクホルンさんはキスをした。突然の事に私は離れようとするが、隊の中で最も力強いバルクホルンさんに身体を捕らえられているため、抵抗する事が出来ない。
芳佳(バルクホルンさん・・・何で・・・何でこんな事を・・・)
チュプ・・・クチュ・・・ヂュル・・・レチョ・・・
芳佳「んっ!んんっ!んんんん〜〜〜〜っ!!」
 息苦しくなるくらいに唇を押しつけられ、舌で私の口の中を弄ぶ。私はもう頭がおかしくなりそうだった・・・。

125mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/06/22(水) 23:12:04 ID:e55HorT2
>122 アキゴジ様
GJです。こう言うお姉ちゃんもアリなんですねw


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いた事を元に書いてみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

126magical girl:2011/06/22(水) 23:13:31 ID:e55HorT2
「ねえトゥルーデ」
 耳元に甘い声で囁かれたトゥルーデは、瞼を無理矢理こじ開ける。
 薄目で見ると、いつ起きたのか、エーリカがトゥルーデの顔を見て、にやっと笑っている。
「どうした?」
「いつもは早いのにね。寝坊?」
「何っ!?」
 慌てて身体を起こして時計を見る。まだ起床時間ではない事を確認すると、やれやれとばかりにゆっくりと身体を横たえる。
「二度寝?」
「まだ朝にもなってないだろう」
「少佐はさっき出て行ったよ」
「少佐は朝になる前から出掛けていくからな……で?」
 まだ眠気が残るトゥルーデは、曖昧に……ややぶっきらぼうに問う。
 エーリカはそんなトゥルーデを見た後、解かれてベッド上で自由に広がる髪をすくって、軽くキスをする。
「何だ、エーリカ……」
「ねえ、トゥルーデ」
 エーリカは繰り返した。
 甘い囁き。
 そして、囁きは続く。
「私達、『魔法少女』、らしいよ?」
 突然の言葉に意味が分からず、ぼんやりと数秒考えた後、どう言う事だと答えるのが精一杯。
「言葉の通り。さしずめ私は『せくしー魔法美少女』ってとこかな」
「なんだそれは」
 トゥルーデは呆れて、寝返りを打とうとした。
 エーリカは逃すまいとトゥルーデの身体を抱きしめ、顔を正面に持ってくる。
 見事に捕まった格好の堅物大尉は、眠気と呆れが混じった顔で呟く。
「私達はウィッチ、魔女だろう。違うのか」
「そうじゃなくてね、トゥルーデ」
「じゃあどう言う事なんだ」
「魔法少女」
 無邪気に繰り返される言葉を聞いて、トゥルーデは思わず笑った。
「一体何なんだ。私はもう十九で、少女と呼べる歳でも……」
「トシの話はしない方が良いよ。ミーナの前では特にね」
「何故ミーナが出てくる……」
「まあ良いから」
 エーリカは何か言いかけたトゥルーデの唇をそっと塞ぐ。
 少し呻いたトゥルーデも、エーリカの愛情を受け容れ、お互いの感触を確かめ合う。
 つつっと、唇を離す。
 微かに雫が零れ落ち、ベッドのシーツに小さな染みを作る。
「ねえ、トゥルーデ」
 彼女の声で、次に彼女が何を求めているかトゥルーデには分かっていた。

 エーリカ、お前って奴は……。

 トゥルーデは心の中でそう呟くと、エーリカの肩をぎゅっと抱きしめ、とびっきりのキスをプレゼントする。
そっと唇を這わせ、頬をなぞり、首筋にきゅっと吸い口を付ける。エーリカも負けじとトゥルーデに同じ事をする。
 やがて、目覚まし時計の存在に気付くまで……アラームはエーリカが止めたので鳴らなかった……、
二人はお互いの肌を肌で感じ、気持ちを確かめる。それを何度も繰り返す。
頭の中が、心が覚醒する。酔いしれる。お互いの感触、ココロを。

「で、結局」
 もそもそとトゥルーデは寝坊した言い訳を考えながら、エーリカに問うた。
「何が?」
「お前の言っていた『魔法少女』の意味だ」
「深く考えないの」
「何だかな。とりあえず、寝坊した理由を……」
「それは私から言うよ」
「余計ややこしくなるだろう」
「じゃあこれ、はい」
 エーリカは絆創膏をおもむろに取り出し、トゥルーデの首筋にぺたっと貼った。
「少しでも隠す努力はしておかないとね」
 はにかんで笑うエーリカを見て、かあっと頬が熱くなる。エーリカの手から一枚取ると、彼女の首筋にも一枚貼る。
「ありがとうトゥルーデ。行こう?」
「ああ」
 身体の“同じ位置”に絆創膏を貼り付けた二人は、足取りも軽く、食堂目指して走り出す。
 いつもと、変わらぬ風景。変わらぬ「魔法少女」ふたりの姿。

end

127名無しさん:2011/06/22(水) 23:13:46 ID:e55HorT2
以上です。
思い付きで書いたので、ただいちゃついてるだけと言う……。

ではまた〜。

128アキゴジ:2011/06/23(木) 22:04:44 ID:ERoWoP4s
>125 mxTTnzhm様
ありがとうございます。それとエーゲル最高でしたw
本当は坂本少佐でいってみようかなって思ってたんですが、むしろシスコン気味のバルクホルン大尉にやってもらった方が面白そうだなと思ったんで書いてみましたw
ちなみにPS2のゲーム「ストライクウィッチーズ あなたとできること A Little Peaceful Days」をプレイしたせいで芳佳ちゃん×全員にはまってしまいましたw

では以前の続きを書きます。

129私は妹さんの代わり 3:2011/06/23(木) 22:55:07 ID:ERoWoP4s
チュル・・・ネチョ・・・クチュ・・・
芳佳「ん・・・ん・・・・・・んん・・・」
 あまりにも長く息苦しいキスを続くせいで私は思わず涙がこぼれる。そして「早く離して」と思いながら弱々しい声を漏らす。
バルクホルン「・・・」
チュパッ
芳佳「ッハア!!ハァ・・・!ハァ・・・!ウッ・・・エフッ!エフッ!」
 ようやく唇が離され、その解放感と同時に私は呼吸を整えようとするが、勢い余って思わずむせてしまった。そしてだらしなく口から唾液が滴り、目から涙がこぼれ落ちる。
芳佳「・・・ハァ・・・ハァ・・・バルク、ホルン、さん・・・何で、何でこんな事を・・・」
バルクホルン「・・・知りたいか?」
芳佳「ハァ・・・ハァ・・・!」
 私は息継ぎをしながらコクリとうなずく。とても息苦しくて、声を出す暇が無い。
バルクホルン「・・・まぁ良いだろう、これからもお前にはこうやってもらうのだから、教えてやるとしよう」
芳佳「ハァ・・・ッハァ・・・」
バルクホルン「お前には私の妹の代わりをやってもらう」
芳佳「・・・!?それって、どういう・・・」
バルクホルン「言葉通りだ、その意味は言わずともわかるだろう」
芳佳「・・・バルクホルンさん、まさか妹さんにこんな事を・・・」
バルクホルン「いや、私はクリスにそんな事をしてはいない」
芳佳「じゃあ・・・何で私にはこんな事をするんですか!?」
バルクホルン「・・・お前はクリスじゃないからだ」
芳佳「え・・・?」
バルクホルン「お前は確かにクリスに似ている、でもお前は宮藤芳佳という別人だ だからクリスの代わりと同時に私の慰めになってもらおうと思ったのだ」
芳佳「・・・そんな・・・そんな・・・」
 その言葉に、私は涙が更に溢れだした。憧れている人にこんな事をされると思うと、ショックのあまり泣きださずにはいられない。
バルクホルン「泣くな宮藤、私はとても嬉しいんだ お前がいるだけで私はクリスと一緒にいられる心地がするんだ・・・」
 そう言いながら、バルクホルンさんは私を抱きしめる。
芳佳「・・・離してください」
バルクホルン「・・・悪いが、お前の頼みは聞けない 私が満足するまでは絶対に離さないぞ」
芳佳「・・・お願いです、バルクホルンさん・・・離してください・・・」
 私は耐えきれなくなり、涙をこぼしながらバルクホルンさんに離してくださいと要求する。しかし、私の必死な要求をバルクホルンさんは一方的に拒否する。
バルクホルン「仕方が無いな・・・」
スッ・・・
芳佳「・・・!?何をするんですか・・・?」
 バルクホルンさんは急に私の服に手を入れだしてきた。私は思わず身体が震えだす。
バルクホルン「簡単な事だ、受け入れてくれないのなら・・・無理矢理受け入れさせてやるまでだ」
芳佳「いや・・・やめて・・・やめてくださいバルクホルンさん、お願いします・・・もうやめ」
プニュ、クリクリ
芳佳「あっ・・・あうぅ・・・」
 私の服に入ってきたバルクホルンさんの手は服の上から私の乳首をつまみ、指でゆっくりとかき回す。
芳佳「ダメ・・・やだ・・・やめ、やめて、もういやです、もう・・・あっ」
バルクホルン「宮藤・・・もう誰にも渡さない、お前は私のモノだ」
芳佳「いや・・・やめて・・・・・・いやだ〜・・・」
 私は情けないほどに泣きながら弱々しい悲鳴を上げる。しかし、誰にも聞こえない。バルクホルンさんに身体を弄ばれながら私の時間は過ぎていった・・・。

130アキゴジ:2011/06/23(木) 23:02:04 ID:ERoWoP4s
とりあずここまでです。まだまだ続くかもしれません。
それでは失礼します。

131Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:09:57 ID:nI2wGBNM
>>129 アキゴジ様
久しぶりの18禁小説ですね(^◇^)
やはりトゥルーデはSじゃなくっちゃ!そして泣く宮藤…たまりませんなあ!

さて、「妹」つながりでこんな作品を書いたんで投稿したいと思います。
とあるテレビ番組で、「ビスクドール」なるフランスの人形を見まして…ふとペリーヌがこのコスプレが似合うじゃないか?!と思いつきのまま書きました!
…思いついたまま書いてしまっただけに、後半はめっちゃgdgdですが;;

ぜひ読んでみてください!

132Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:10:31 ID:nI2wGBNM
【ツンツンメガネとビスクドール】


ネウロイの襲撃も無さそうな、夏のとても暑いある日。

「トゥルーデ!」
「なんだ?」

自室にてトレーニングをしていた、バルクホルン。

「クリスからの手紙だよ!」
「本当か?!」

と、ハルトマンが手に持っていた手紙を半ば強引に奪い取るバルクホルンであった。

「おぉクリス…クリス…クリス!!…おっと、ヨダレが…」
「うわあ…気持ち悪いよ、トゥルーデ」
「えぇい!構わん!クリスのためだったらキャラ崩壊しても良いくらいだ!戦闘の時だけちゃんとしてれば良いんだ!」
「…早く読みなよ」
「おお、そうだな」

手紙の封を開けると、そこには可愛らしい便箋が入っており、姉へのメッセージが書かれていた。

「ほうほう…」
「ねね、なんて書いてあるの?!」
「お前には見せてやらん!!!!」
「…そうですか」
「嘘だ嘘だ、そんなに引かないでくれハルトマン;;」

そして、その手紙をハルトマンに渡す。
渡された本人は笑顔でその手紙を読み…、

「ねえねえ」
「なんだ?」
「クリスが何かを欲しがるって珍しいねえ」
「え?!そんなこと書いてあったか?!」
「…何読んでるのさ;;」
「いや…このクリスの書いた文字、その文体から滲み出ている、姉を欲する思いがもう…」
「………」
「だーかーらー!引かないでくれ!」
「意外とクリスも年頃の女の子だねえ」
「へ?なんでだ?」
「ほら、お人形さんが欲しいって」
「そうかそうか…じゃあ五徳堂の陸軍軍人の人形をヤフオクで、」
「年頃の女の子がそんなのを欲しがる?フツー…」
「ふむ…じゃあ、じゃあ何なんだ!!全く!」
「え、逆ギレ?!」

今までタンクトップ姿であったが、急に上に羽織るバルクホルン。

「ちゃんと読みなよ、えと…ビスクドールが欲しいんだって」
「はて…?」
「どしたの?」
「いや…クリスって、今まで人形で遊んでる姿は見たことなかったなって…な」
「気が変わったんじゃないのー?」
「あり得ない、クリスはクリスだ」
「…使い方間違えてるよ?;;」
「じゃあ何故…」
「まあ良いよ、今度ローマへ行ったら見に行こうよ」
「そうだな」


***

133Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:11:03 ID:nI2wGBNM
>>132の続き。


そして次の休暇。
エーリカとバルクホルン、そして何故かペリーヌもだが買い出しに同行していた。

助手席に座るバルクホルンは後ろの席に座っているペリーヌに話し掛ける

「悪いなペリーヌ」
「いいえ、正直ハルトマン中尉と2人で買い出しだなんて不安で不安で」
「ちょっとー、何それぇー」
「でもどうして買い出しにバルクホルン大尉も?」
「いや…ちょっとな」
「トゥルーデ、妹への贈り物を買いに行くんだってー」
「エーリカ!」
「そっ、そうなんですの?!」
「ゴホン…まあ…な」
「素敵じゃありませんか」
「そ…そうか?」
「えぇ!妹さんのためにだなんて…!」
「なっ、なら貴様も私の『いもうと』にしてやろう!」
「それは結構ですわ」
「………」
「………」

そして車が1時間走ったかという頃、

「…トゥルーデ?」
「ん?どうした?」
「どうしたのさ?」

バルクホルンはずっと、窓枠に肘を置き景色を見ていた

「いや…クリスのことをだな」
「…パンツをくんかくんかしたいとか?」
「そうだな…あの、数日間熟成させた匂いが…って、おぉい!」
「けけけーっ」
「それにペリーヌ!お前はドン引きするな!!!!」
「だって今の…結構本気のリアクションじゃあ…?」
「で、何を考えてたのさ?」
「…クリスの将来のことだ」
「将来?」
「あぁ」
「…と言いますと?」

後部座席のペリーヌが体を乗り出し、バルクホルンに質問をする。

「結婚…するのかなあってな」
「ねえ、トゥルーデ」

すると、ハルトマンはいきなりハンドルを握りながら真剣な顔をし…

「もし…したらどうするの?」
「一緒に住む」
「えぇぇぇっ??!!」
「トゥルーデ…実の姉が妹夫婦と同居するだなんて初めて聞くよ;;」
「え、おかしいか?」
「おかしいも何も…;;;」
「じゃっ、じゃあもし!もし、妹さんご夫婦がその…」
「あぁー…」
「なんだ?ペリーヌ。何をそんなに恥ずかしがってるんだ?」

ペリーヌは顔を赤くし、モジモジしながら、

「その…子作り…するときは」
「別に構わないぞ、むしろ作って欲しいぐらいだ。そうだなあ…2人は欲しいな、1人は男で1人は女だな」
「なんかトゥルーデ…子供の名前も決めそう」
「何言ってんだ!…もちろんだろう!私とクリスで名前を決める!」
「旦那さんは無視なのね;;;」
「もっと言えば子どもの保護者会や運動会にも参加してそうですわ…;;」
「何言ってんるんだ、私は保護者だぞ」
「あくまでも義理のね;;」

134Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:11:35 ID:nI2wGBNM
>>133の続き。

しかし、ペリーヌはちょっとマズそうな顔で…、

「でも大尉…それに、自分の愛する妹さんがどこの馬の骨がわからない男に、体を捧げる訳ですわよ?」
「…何言ってるんだペリーヌ、私にとってセックスは『スポーツ』だ!」
「おぉ、言うねえトゥルーデ」
「私とクリスは深い絆で結ばれてるのさ(ドヤ」
「深い絆…と言うか、血の繋がった姉妹でしょ;;」
「ふう…これはあくまでも私の推測ですわ」
「なんだ、言ってみろ」
「たぶん妹さんご夫婦は大尉を気遣って、夫婦2人でロマーニャへ旅行と偽り『子作り旅行』をするんですわ」
「…続けろ、ペリーヌ」
「もう妹さんは、大尉に見せたことのないような顔を旦那さんの前でするんですわ」
「…問題ない」
「ロマーニャのリゾートホテルにて一戦交えて、シャワー浴びて、一戦交えて、シャワー浴びて、シャワー、一戦、シャワー、一戦、一戦、シャワー、一戦…」

何故か脂汗を流すバルクホルンは、ずっと握り拳をしたままである…。

「そしてヘトヘトになって帰ってくるんですわ」
「…そっ、それで子供が出来たんなら万々歳だ」
「ヘトヘトになって、『お姉ちゃん、疲れたー』って言って行く前既に作り置きしてたアイスバインを大尉の夕食に出すんですわ」

すると急に、

「たっ…大尉っ…!!くるし…っ!!!!」
「っ!!!!」
「ちょ…トゥルーデ落ち着きなって!」

体を乗り出していたペリーヌの首を絞めるバルクホルン
すぐさま車を路肩に停め、

「殺す!旦那を殺す!アイスバインを出す前に殺す!!!!」
「落ち着きなってトゥルーデ!あくまでもこれはペリーヌのフィクション!…ね?」
「そ…そうか!」
「ゲホッゲホッ…た、大尉…」
「済まないペリーヌ、つい…」
「『つい』のレベルですの?!今のは!!??」


***

135Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:12:32 ID:nI2wGBNM
>>134の続き。


「…ねえトゥルーデ」
「何だ?」
「これってさ…」
「ん?」
「通貨の単位はマルクだよな?」
「…同感だ」

ハルトマンとバルクホルンは用事を済まし、余った時間でおもちゃ屋に来ていた。

「…やっぱり現実見よう、トゥルーデ。ここはロマーニャ、リラだよ!!」
「しまったなあ…今月は使える金がないんだ」
「クリスの入院費の他に何か支払ったの?」
「新たなトレーニングマシンをな」
「………」
「そっ、そういうエーリカこそ金はないのか!?」
「エーリカちゃんは全てお給料をお菓子代に使ってまーす」
「クソッ…」
「お待たせしましたわっ!」

2人が悩んでいる間に、ペリーヌもおもちゃ屋にて合流する。

「どうしたんですの?」
「あ、ペリーヌ。お前は今いくら持っている?」
「え…!?カツアゲ!?」
「違うっ!あ…あれが欲しいんだ…」

指を差したのはいかにも高価そうな陶器で出来た人形のビスクドール

「懐かしいですわあ…」
「え、ペリーヌ持ってたの?!」
「ええ。昔ですが、よくお人形さん遊びしてましたわ」
「意外ーっ」
「失礼な、私にだって『乙女心』はありますのよ!?」
「今でもペリーヌの家が残ってればなあ…」
「…ごめんなさい大尉、貸してあげたいのは山々ですがお給料のほとんどをガリア復興費に使っているもので…」
「そう…か。そうか、わかった。悪かったな、ペリーヌ」
「す…すいません…」
「エーリカ、私はちょっと疲れた。お菓子を買って来ても良いぞ、私はちょっと車の中で休んでる」
「え、トゥルーデ…?」

そして、明らか様に肩を落として店から出て行くバルクホルン。
残された2人は…

「なんか…」
「ん?」
「なんか、可哀そうですわね」
「まああんなに高い物だとは私もわからなかったよ」
「今回は残念ですが…また来月、お給料が入ったら買いに」
「…っ!!」

何かを思い出したかのように、豆電球が頭の上に浮かんだハルトマン
停めている車まで戻り、シートを倒して横になっている相棒に…

「ねえトゥルーデ!」
「…おっ、なんだ?」
「可愛ければOKなんだよね?!」
「???」
「だーかーらー!クリスへの贈り物」
「可愛ければ…ってワケじゃないな、あの人形がやっぱり…」
「ちょっと待ってて!1時間くらい」
「…そうか。待ってる、終わったら起してくれ」
「了解!」


















「あ…あのぅ、中尉」
「んー?」

ハルトマンとペリーヌが居たのは…

「何故私たちはここに…?」
「見ればわかんじゃん」
「いや、わかりますわ。けど…いまだに状況整理出来ませんわ」
「おっ…おやっさん、一枚お願いしまーす」

2人が居たのは街中の写真館。

136Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:13:20 ID:nI2wGBNM
>>135の続き。


そしてペリーヌは、

「あ、あのぅ…」
「おっ!大丈夫、似合ってるよー!これぞ、ビスクドール3D!」
「3Dどころか、実際に着てます;;」

フリフリな水色のドレスに、白い靴下。
そして黒い靴に、小花の束とリボンが付いた帽子を被ってカメラの前に座っている。

「でも…ホンット、絵になるねえ」
「………」
「ほら、そんなムスッとしない!クリスに送るんだから!」
「でっ、でも…妹さんは本物が欲しいと思ってるんですよ?」
「うん」
「そんな…私なんかの写真を送っても…虚しくなるだけですわ」
「なんか誤解してない?ペリーヌ」
「はい?」
「確かに今月は買えないけど…今月はこの写真で我慢してもらうんだ」
「中尉…」
「あ、トゥルーデには内緒だよ!」
「…嫌です!」
「へ…??」
「その時は…私も、ぜひ少しですがお出ししますわ」
「…ありがとう、ペリーヌ」
「いいえ、これは貴族として当然の行為…ノーブレスオブリージュですわ」
「あ!」

何かを思い出したかのように、ビスクドールもといペリーヌに近づくハルトマン

「ふふふー♪」
「なっ…何ですの?!」
「えい!」
「きゃっ!」

近づいたと思えば、眼鏡を強引に取ったのであった

「みっ、見えないですわ!」
「眼鏡を取った方がよりお人形さんっぽく見えるよー!あ、おやっさん一枚お願いします♪」


***

137Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/03(日) 00:13:47 ID:nI2wGBNM
>>136の続き。


数日後...


「エーリカ!」
「ん?」

基地内にてバルクホルンの怒鳴り声が廊下じゅうに響く

「おっ、お前クリスに何か送ったのか??」
「え、うーん…どうしよっかなあ」
「はあ?私が言ってる意味通じてるか?」
「ごめん、冗談。送ったよ」
「何をだ?」
「ペリーヌの写真」
「…だからか」

その場でしゃがみ込み、

「クリスが…ペリーヌに会いたがってる」
「へ、そうなの?!」
「なあ…一体、何をしたんだ?お前らは」
「…さあね」
「『さあね』ってお前!!」
「ペリーヌは会わせても大丈夫っしょ、少なくともエイラよりは」
「…まっ、まあそうだが」
「じゃあ良いじゃん」
「ぐぬぬっ…あ、あとお前に伝言だ」
「ん?」
「『本物』の方はいらないって書いてあったんだが」
「…そっか」
「でも珍しいな、物が欲しいって突然言い出したら今度はペリーヌに会いたいだなんて」
「まっ、気が変わったんじゃない?聞いた話によるとクリスって相当な『ウィッチおたく』なんでしょ?」
「ああ…最近はマルセイユにハマってて困る…」

いつの間にか傍の椅子に座り、

「と言うか思い出した、何故あの人形を欲しがったのか」
「なんでなんで?」
「戦いが始まる前…私が軍に入る前にだ、父から誕生日祝いに人形を貰ったんだ」
「ふんふん」
「で、いつかあげてやるって言って…先の大戦で、その人形を失くしてしまったんだがな」
「…あのさ」
「どうした?」
「つまり、人形をダシに甘えたかったんじゃないかな?」
「はぁ?」
「人形が欲しいって言えば、ブリタニアの病院に来てくれるかも!って思ったのかもよ」
「…?」
「だぁかぁらぁ!クリスは…トゥルーデに会いたがってるんだってこと!」
「…はっ!!??」
「もう…鈍感なんだからトゥルーデは、危うく伯爵にお見舞い行くよう頼む寸前だったよ」
「アイツを呼ぶな、絶対!…そもそも私のしたことがっ!!!!」
「行っといで」
「ブリタニアにか…?」
「うん、お土産のペリーヌと一緒に」
「お土産って…お前なあ;;」
「ミーナには私が言っとく」
「た、頼む」
「うん」

焦った表情で部屋から出て行くバルクホルン。

「はぁ…マジ天使なエーリカちゃんは、今日も天使のお仕事をしましたよーだ」

とベッドの上で寝っころがる。

「…たまにはウルスラにも手紙を書くかな」

急に起き上がり、そのまま机へと向かった。

そしてその後、バルクホルンとペリーヌは2日間休暇を取ってブリタニアへ向かったのであった…。

【おわり】

138mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/03(日) 23:46:14 ID:DbxettRQ
>>130 アキゴジ様
GJです。R18な内容にぐっときますね。

>>137 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! エーリカマジ天使というか気配りガールですね…。お姉ちゃん…w


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
久々に、食事の最中思い付いた事をネタに書いてみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

139getting muddy 01/03:2011/07/03(日) 23:47:33 ID:DbxettRQ
 朝食を前に、自室前の廊下の壁にもたれ、横の窓から外を見るウィッチが一人。
 おさげの髪が、窓から入り込むそよ風にゆらりゆらりと揺られ、毛先が乱される。
 外は雨上がりの清々しい晴れ……しかし彼女の顔は曇ったまま。
 偶然通り掛かったシャーリーは、その陰鬱な雰囲気を背負ったままのカールスラントの大尉を見つけ、よっ、と声を掛けてみた。
「どうした堅物。何か外に面白いモンでも有るのか?」
「……」
 無言でちらりとシャーリーを見、またぷいと外を見るトゥルーデ。
「何だ、瞑想でもしてるのか? まあとりあえず朝飯位食えよ」
 シャーリーはこれ以上は付き合いきれないとばかりに、早々に見切りを付け手を振りその場を離れようとした。
「お前は」
「ん?」
 思わず立ち止まるシャーリーに、同僚の大尉は重い口調で問い掛けた。
「泥をすすった事は有るか?」
「はあ? 泥? 何言ってんだバルクホルン」
「私は……」
 輝きが失せ、澱んだ目で言いかけたトゥルーデ。
 どん、と背中を叩かれ、うっ、と呻く。
 衝撃を与えたのはエーリカ。
「まーた、何一人で暗くなってるの。シャーリー困ってるじゃん」
 慣れた手つきでぐい、と首根っこを掴む。
「いや、あたしは別に構わないよ。割といつもの事だしさ」
 軽く笑って済ますシャーリー。エーリカも日常茶飯事とばかりにぐいぐいとトゥルーデを掴む。
「ま、そうだけど悪いし〜」
「こら、ハルトマ……」
 エーリカに何か言いかけたトゥルーデは、エーリカにぐいと手を引かれた。軽く触れ合う唇。
「と言う訳で、悪いねシャーリー」
 不機嫌そうな大尉を無理矢理黙らせたエーリカは、笑顔を作ってにやけてみせる。
 二人の様子を見せつけられたシャーリーは、やれやれと苦笑すると、今度こそ手を振って別れ、食堂に向かった。

「今朝は親子丼ですよー。しっかり食べて元気つけて下さいね」
 芳佳が腕を振るって、朝から丼物を作る。真っ先に席についたシャーリーに、熱々の丼をひとつ渡した。
 その食べ物を見たシャーリーは仰天した。
「お、おい、これ!」
 芳佳はええ、と頷くと得意げに説明した。
「親子丼ですよ。今日は朝から訓練って聞いたので、皆さんに元気つけて貰いたくて、リーネちゃんと二人で頑張りました!」
「い、いや、その気持ちは嬉しいんだけどさ」
 シャーリーは困惑しながら丼の中身を指差して言葉を続けた。
「卵に火通ってないぞ? これ半生じゃないのか? 食えるのか?」
「あれ、シャーリーさん、半熟はお嫌いですか?」
「いや……そもそも生の卵って食えないだろ」
「扶桑じゃ生卵食べますけど」
「いやいや、ここのは大丈夫なのか? てか生の白身、感触がなんかドロっとしてハナミ……」
「シャーリー、食べる気無くす様な事いわないでー」
 焦るリベリアンの隣に座ったロマーニャ娘がぶーたれる。
「ああゴメンなルッキーニ」
「じゃあ、火の通ってる卵のものに換えますね。はいどうぞ」
 芳佳は丼をひとつ取り替えてシャーリーに渡すと、自分の席に「半熟」の丼を置いた。
「悪いね」
「宮藤、食事当番であるからには、皆の好みや食の習慣もきちんと把握しないといけないぞ。余り無理強いは良くない」
 ミーナと揃って座る美緒が、芳佳に諭してみせる。
「すいません、気を付けます坂本さん。あ、坂本さんは半熟でも……」
「いや、私も火を通した方が」
「はあ」
「宮藤さん、私は何でもいいわよ」
「え、いや、ちゃんと火を通しますから」
 笑うミーナに、少し戸惑う芳佳。
 結局、改めてしっかりと卵に火を通し、皆に振る舞う事となった。

「うん。まあ、ソイソースの甘辛い感じは良いね」
 シャーリーはもぐもぐと食べながら感想を言った。
「卵、次は気を付けますから」
「うん、まあ宜しくな」
「シャーリー、おにくちょーだい!」
 言うなりぱくりとシャーリーの丼から鶏肉をかっさらうルッキーニ。
「おい、あたしの肉」
「あたーしぃ、もっとたーくさん食べてぇ、シャーリーみたいなナイスなバディになるの。で、このタマネギ要らないからあげるね」
「そっか。ならもっと食べないとな。でも好き嫌いはダメだぞー」
 シャーリーは笑いつつ、ルッキーニと丼の具を分け合う。

140getting muddy 02/03:2011/07/03(日) 23:48:03 ID:DbxettRQ
 隊員達があらかた食事を終え席を立った頃、遅れてトゥルーデとエーリカがやって来た。
 お二人が遅いって珍しいですね、何か用事でも? と芳佳は聞いたが特に返事らしい返事はなく、首を傾げつつ二人に丼を渡す。
「扶桑の食べ物だね」
「親子丼です」
「ふーん、面白そうだね。ありがとミヤフジ。さ、食べようトゥルーデ」
「ああ」
 二人並んで座り、親子丼を口に運ぶ。
「扶桑の味だね。ちょっと甘めのソースっぽい」
 エーリカはそう言うと、美味しいんじゃない? と芳佳に笑ってみせた。良かった、と喜ぶ扶桑の娘。
 トゥルーデは無言、無表情のまま、淡々と食事を口に運ぶ。
「どう、トゥルーデ?」
「ああ」
「また、さっきの話?」
「いや……」
「どうしたんですかバルクホルンさん? なんか顔色良くないですけど……別の食事……お雑炊とか作ります?」
「あー、大丈夫だよミヤフジ。ちょっとネガティブ入ってるだけだから」
「は、はあ」
 何の事かいまいち分からない芳佳は、無理矢理作り笑いをして見せた。
「宮藤は、泥を……」
「トゥルーデ、もうやめなって」
「え、泥、ですか? 泥がどうしたんです?」
「気にしないで」
「宮藤、お前は泥をすすった事は有るか」
「それは『食べた』って事ですか?」
 いきなりの問い掛けに、芳佳は戸惑ったが、一秒きっかりで、きっぱりと答えた。
「それは無いです」
「だよね」
 苦笑するエーリカ。
「バルクホルンさんは、有るんですか?」
 逆に聞かれたトゥルーデは、何かを言いかけたが、
「口の周り汚れてるよー」
 とエーリカに無理矢理ハンカチで口の周りをこしょこしょとくすぐられ、思わずふふっと笑ってしまう。
「扶桑では、とある地方で昔、大飢饉の時に泥の団子を作って食べたって噂話が有ります……あまり良い話ではないですけど」
 芳佳はそう説明すると、少し悲しそうな顔をした。
「そもそも泥って、食べ物じゃないですよね。食べたらお腹壊しますし」
 冷静に言う芳佳に相槌をうつエーリカ。
「だよね。流石、医者の娘ミヤフジ」
「いえいえ」
「……だが」
 それでも何か言いかけたトゥルーデ。
 エーリカはちょっとゴメン、と芳佳に目くばせすると、おもむろにトゥルーデを抱きしめ、頬に唇を這わせた。
「ちょっ、ちょっと、止め……」
「止めて欲しいなら、トゥルーデももう止める?」
「わかっ……分かったから……」
「じゃあ約束ね」
 エーリカはそっとトゥルーデから離れると、にこっと笑う。
 根負けしたのか、暗い表情だったトゥルーデも、苦笑した。少し表情が和らぐ。改めて芳佳に向き直り、口を開く。
「すまなかったな、宮藤。変な事を聞いて」
「いえ、良いんです。なんか私も変な事言ってしまったみたいで」
「気にしないでミヤフジ。あ、リーネが呼んでるよ」
「あ、はい! どうしたのリーネちゃん?」
 芳佳はリーネが居る厨房へと、とたとたと早足で戻った。

141getting muddy 03/03:2011/07/04(月) 00:17:57 ID:QAlfqNmM
mxTTnzhmです。

この続きはしたらばのNGワードに引っ掛かってしまったので……
(どの箇所が掛かったのか謎ですが)
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/251538
こちらに最後の部分をうpしましたので、宜しければどうぞ。
パスワードは「sw」です。


とりあえず以上です。
朝から親子丼もどうかと思いましたが、
芳佳ならやりかねないかなーとか思ったり。
お姉ちゃんはたまに思い出し鬱気味になるのかなーとか
勝手に妄想したり。

ではまた〜。

142名無しさん:2011/07/04(月) 01:27:46 ID:MekLqfDM
>>141
いつも乙です。
調べてみたところ、引っかかったのは「たたみ○○○○に、エーリカは」のところの○○○○の部分でした。
”様”を平仮名にする等の対処をすれば書き込めると思います。

143mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/04(月) 19:34:43 ID:mzs5XCEA
>>142
わざわざ調べて頂き誠に有り難う御座いました。
まさかそんなNGワードが有ったとは……。

今後は色々と気を付けたいと思います。

144mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/05(火) 21:38:44 ID:Zdewv2ro
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
とあるPVを見ていて、思い付いた事をヒントに書いてみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

145ignition:2011/07/05(火) 21:42:18 ID:Zdewv2ro
 ねえトゥルーデ、知ってる? 私、魔法少女なんだよ?
 ……前にもそんな話聞いたって? またまた〜。
 とりあえず聞いてよ。暇なんでしょ、トゥルーデ?

 いちいち小言とか理由言わないと私の側に座らないとことか、いつもと一緒だね。
 ま、良いけど。もっと側に来てよ。……うん、イイ感じ。
 え? 勿体ぶらずに話せって? 慌てないで。ちょっと良いムードになったら話してあげる。
 分かるよね、トゥルーデ?

 顔真っ赤だよトゥルーデ。そういうとこ好きだよ。ふふ。
 じゃあ話すね。私、魔法少女なんだ。
 ……繰り返すなって? そう言えばこの前この事、ちょっと話し掛けて途中のままだったっけ。
 ふーん。トゥルーデ、無関心みたいで意外としっかり覚えてるんだよね。
 そういうとこ嫌いじゃないけど。にしし。

 私にはね、固有魔法の他にもうひとつ、魔法を持ってるんだ。
 知ってた?
 知らない? まあそうだよね。だって話すの初めてだもん。トゥルーデが一番最初。
 どんな魔法かって? まあ慌てないで。

 そうだね。
 何て説明したら良いのかな。

 例えば、エイラとサーにゃんがケンカしてたとするじゃん?
 そこには、決まって、ある色のカケラが転がってるんだよ。紅に近いかな。
 ネウロイのコアじゃないってば。そんな物騒なものじゃないし私より先に少佐に見つかっちゃうよ。
 で、私が、そっと忍び寄って、カケラを見つけて、持ち去る。
 そうするとエイラとサーにゃんは「ゴメンネ」抱き合って仲直り。って訳。

 例えば、ペリーヌとリーネがお茶の淹れ方、選び方でもめたりしてるよね?
 テーブルの隅、見てごらん。同じ色のカケラが有るから。
 私がさりげなくテーブルからそのカケラを取ると、ペリーヌのツンツン口調が収まってリーネも微笑む。

 例えば、ミーナと少佐が些細な事で口を利かなくなったとか、あるよね?
 部屋でひとり黄昏れてるミーナの横には、今にも割れそうなカケラが有ってね。
 私がそっと持ち去ると、少佐が入ってきて、……あとは分かるよね?
 ミーナだし。少佐はあんな感じだし。

 どう? こう言うの。私のもうひとつのチカラ。
 え、仲直りさせるだけかって? 分かってないなあ、トゥルーデ。
 私が魔法少女だから、出来るんだよ? せくしーぎゃるだし、私。
 どうしたのトゥルーデ? そのカケラはどうやって処理するのかって?
 溜め込んで、私がどうにかなるんじゃないかって?

 心配性だね、トゥルーデ。分かってるよ、トゥルーデ。
 そうやっていつも私の事気にしてくれるの、嬉しい。

 カケラはね、ぎゅーっとまとめてひとつにして、私がゴクリって呑み込む。
 そうすれば綺麗になくなるよ。ちょっと胃がボンッてなって舌がひりっとするけど、結構美味しいんだ。ハッカみたいで。

 大丈夫、慌てないでトゥルーデ、本当に心配性だね。私は大丈夫だって。
 どうしてそんな事言えるのかって? 「負の感情」を食べて平気な訳有るか、って?

 トゥルーデ、気付いてない?
 今の話、ぜんぶ嘘。
 もとはね、絵本で見た妖精の話なんだ。何でも……

 ちょ、ちょっとトゥルーデ。どうしたの急に怒って……

 うん。ゴメンね、心配させて。
 でもそうやって、いつも怒ってもすぐ抱きしめて、私の身を案じてくれる。嬉しいよ。
 やっぱり、トゥルーデは笑顔の方が良いよね。私も嬉しくなる。そう。笑って。
 トゥルーデの身体、温かい。たまに熱く熱く火照って、私も着火しそうだよ。


 そうだ、この話、皆にもしてみる?
 どんな顔するか、見てみたいと思わない?
 あ、トゥルーデは嘘が付けないからタチだから、難しいかな?
 でも、やってみる? 一緒に。

end

146名無しさん:2011/07/05(火) 21:48:56 ID:Zdewv2ro
以上です。
エーリカの独白という形でやってみましたが、
難しいですね、さすが天使。

とあるPVとは、世界的歌姫Avril Lavigne嬢のものです。
描写とかそのまんまですが(汗) 興味のある方はぜひ。
彼女の公式サイトから見られます。

と言うか、こんなステキな「固有魔法」(戦闘関連じゃなく)
持ったウィッチが居ても良いだろうなとか思ったり。

ではまた〜。

147mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/06(水) 23:56:23 ID:wrNOYF9I
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
とある場所で思い付いた事をヒントに書いてみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

148reflection beat 01/02:2011/07/06(水) 23:56:56 ID:wrNOYF9I
 しとしとと雨の降る日。
 訓練や任務を終え、特にやる事もなくなった隊員達は、暇を持て余し、何の気なしにミーティングルームに集う。
 間も無くたわいもないお喋りなど始まるのが常だが……、ふと見渡すと、数名居ない。
「ハルトマンは何処へ?」
 辺りを探し、思わず口にしたトゥルーデに、シャーリーが暇そうにトランプのカードをめくりながら答える。
「あー。さっきサーニャと一緒にどっか行ったぞ。トイレじゃね?」
「にしては遅いな」
「サーニャが帰って来ない。サーニャが……」
 トランプのカードを片手に、落ち着きが無いスオムスのエース。
「お前を見ているとこっちまで不安になるぞエイラ。もっとしゃんと出来ないのか」
「そう言う大尉だっテ、何かせわしないじゃないカ」
「そんな事……」
「待っタ」
 エイラがトゥルーデの口を押さえる。何か聞こえたのか、エイラは何も言わずにそーっと部屋から出て行こうとする。
「待てエイラ、何処へ行く」
 トゥルーデもついていく。

 みっつ隣の部屋。扉が開いている。そこは空き部屋だったが、雨漏りがするらしく、床が所々濡れている。
 そこに、何処から集めて来たのか、コップやらバケツやらを沢山並べて天井から垂れてくる雨粒を受けとめている。
 エイラが「嗅ぎ付けた」通り、サーニャとエーリカはそこに居た。
「あ、エイラ」
 サーニャは笑った。
「サーニャ、今歌ってなかったカ?」
「さすがエイラだね。サーにゃんの歌なら遠くからでも聞こえるって?」
 苦笑するエーリカ。
「ハルトマン、お前達何をしていたんだ」
 トゥルーデの問いに、ふふんと得意げなエーリカ。
「サーにゃんとね、雨漏り対策ついでの暇潰し。聞いてみて」
 しーっと人差し指を立てて皆を沈黙させる。

 ……ぽと。ぽた。ぽちゃん。ぴちゃん。ぱちゃっ。ぽと。ぽた。ぱたっ……

 雨粒の音。大きさもかたちもばらばらの器に受けとめられ、それぞれ違った音を出す。
 それがでたらめの様で、一定のリズムを刻んでいる。

 サーニャがそこに、即興のハミングでメロディをつける。

 別の場所に雨粒が垂れてくる。エーリカは厨房から持ちだしたであろう茶碗をひとつ、受け皿として床に置く。

 偶然か必然か。
 ゆったりと、しかしはっきりとしたビートを刻む。

 それは人の心臓の鼓動に近い柔らかなリズムで……サーニャの魅惑的なハミングとも相まって、不思議な「コンサート」となる。

149reflection beat 02/02:2011/07/06(水) 23:57:23 ID:wrNOYF9I
(なるほど。サーニャはそう言えば音楽が得意、だったな)
 部屋の壁にもたれ、一人無言で頷くトゥルーデ。エーリカはするりと横に来ると、にしし、と笑ってみせた。
 ……またお前って奴は。
 カールスラントの大尉は声に出さずエーリカに目でそう言うと、エーリカは「気にしない」とばかりにそっと腕を絡めてくる。
 エイラはサーニャの横で、ほんわかとした面持ちで彼女の声に魅了されている。
「こう言うのも、悪くない、か」
 彼女にだけ聞こえる位の囁き声を愛しの人から聞いた金髪の小柄な天使は、こくりと頷いた。

 ふと後ろを見ると……いつの間に聞きつけたのか、部屋のドアの付近には他の隊員達が群がっていた。
 ぎくりとするトゥルーデに、しーっと指を当てるシャーリー。
 あたしも何かやりたいと今にも飛び出しそうなルッキーニを押さえて、よく聞いてご覧、と小声で諭す。
 最初は、ん〜、と複雑な顔をしていたロマーニャ娘も、次第にその声に惹かれ、小さく手拍子をする。
 少しびっくりした様子のサーニャも、雰囲気を察し、構わず即興のハミングを続ける。

「私は雨は好きではないが……エーリカ、今だけは止んで欲しくないな」
「トゥルーデもそう思う?」
 小声で囁き合い、穏やかな表情を浮かべる。

「ねえ、私だけなのもちょっと恥ずかしいから、皆で」
 サーニャは周りを見て、提案した。ルッキーニは早くもバケツの端を木切れでとんかんと叩いて笑っている。
「お、良いねえ。ちょうど天然の楽器があるし」
「私はサーニャと……」
「デュエットする?」
 微笑まれ、かちこちと頷くエイラ。
 自然と始まった手拍子に合わせ……水の音、人の歌声、器の響き……さまざまな“楽器”が集うコンサートが始まる。

「ねえシャーリー。あたしももっと音遊びしたい〜」
 ルッキーニはシャーリーに言う。
「ま、いいじゃないか。そのうち凄い遊びになったりしてな」
「へ、何それ」
「いや、私達にとっては、未来の出来事かも知れないぞ?」
 シャーリーは意味深にそう言うと、笑ってルッキーニの頭を撫でた。

 芳佳達が夕飯を知らせに来るまで、小さな楽団は自らの音を楽しんだ。

end

150名無しさん:2011/07/06(水) 23:57:56 ID:wrNOYF9I
以上です。

仮に、ゲーセンで音ゲーやったら
サーニャさんは上手いのではと思います。
あとミーナさんも。

ではまた〜。

1515uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 07:57:16 ID:WNRSMlUo
>>150
GJです。501の音楽隊、賑やかで楽しそうですね

お久しぶりです。
>>58で言ってたハルトマン姉妹の誕生日SSがようやく完成したのですが、私が無計画なばかりに
4月中どころか6月すら過ぎてしまいました。本当に申し訳ないです(;´д`)
ですが、来年までお蔵入りにするのも何なので投下させて頂きます。

1525uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 07:58:10 ID:WNRSMlUo
【ひとりじゃないから】

「なに、これ……」
気がつくと私の目の前には焼け野原が広がっていた。
辺りの木々は燃え盛り、周りには瓦礫の山が散乱している。
そして上空には今までに見たことないくらい巨大なネウロイと、それに交戦するウィッチ達の姿。
巨大ネウロイはウィッチ達の攻撃をもろともせずにビームを撃ち出し、1人また1人とウィッチを地上に墜としていく。
「ウーシュ!」
墜ちていくウィッチの中に自分の半身の姿を見て、私は全身の血の気が引いていくのを感じた。
「そんな……嘘、だよね……?」
私は急いでウーシュのもとへと駆け寄って、その華奢な身体を抱きかかえる。
ウーシュの身体からは止めどなく血が溢れ出し、軍服を真っ赤に染めていく。
「やだよ、こんなの……」
目を開けてよ、ウーシュ……!

――――――――――――

「ウーシュ!」
大声とともに私はがばっと起き上がる。
辺りを見回すと見慣れたガラクタや衣服の山が散乱していた。
「夢か……」
汗で額に張り付いた髪を払いながら、私は呟く。
そうだよね、あんな悪夢みたいな出来事が現実なわけないよね……
あんな悪夢を起こさないために私たちは戦ってるんだから。
「エーリカ、大丈夫か? 随分うなされてたぞ」
「トゥルーデ……」
ジークフリート線の向こうから顔をひょっこり覗かせたトゥルーデが心配そうに訊ねてくる。
「えへへ、私の寝顔を凝視してたの? 照れるなぁ」
ここで今見た夢の話をしても、トゥルーデをかえって心配させるだけだよね。
私は笑いながら話をはぐらかした。
「な!? そ、そそそんなわけあるか! と、とにかく、起きたならさっさと着替えて朝食を食べにいくぞ」
「……うん」
私は軍服に袖を通しながら、部屋のカレンダーに目をやる。
今日は4月19日――私とウーシュの生まれた日。
全く、そんな日に限って私は何て夢見てんだろうね。
「エーリカ」
「何? トゥルーデ」
「その……本当に大丈夫か?」
トゥルーデが背中越しに優しく声をかけてくれた。
私は振り返りながら、笑顔で応える。
「大丈夫だよ、心配してくれてありがとね」

1535uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 07:58:50 ID:WNRSMlUo

「おはよ、エイラ」
「ああ、おはようハルトマン……って、何でお前がこんな朝早くに起きてるんだよ!」
エイラが食堂に入るや否や、私を見て驚いたように後ずさりする。
何もそこまで驚かなくてもいいんじゃないかな?
「大袈裟だなぁ。私が起きてるのがそんなに珍しかった?」
「ああ、すごく珍しい」
「明日は雪が降るかもな」
と、横からトゥルーデが冗談交じりに呟く。
「トゥルーデまでひどーい!」
私は頬を膨らませて、拗ねたふりをしながら言う。
「皆さん、温かいスープができましたよ」
そこに宮藤がスープの入った皿をトレイに乗せてやってきた。
スープの美味しそうな匂いが辺りに漂う。
「わぁ、美味しそう。ありがと、宮藤」
「いえ……あ、そうだ。ハルトマンさん、妹さんって何か好き嫌いとかありますか?
今日の誕生会に何作るかリーネちゃんと相談してたんですけど……」
誕生会――その単語を聞いて、起きてから沈み気味だった気持ちも少し明るくなる。
そう、予定では今日の午後ウーシュがこっちに来ることになっていた。
何でも滅多に逢えない私たちのために、トゥルーデとミーナが今日の誕生会を企画してくれたみたい。
ウーシュと一緒に誕生日を過ごすのなんて何年ぶりかな。
トゥルーデとミーナには後でいっぱいお礼を言わないとね。
「う〜ん、そうだなぁ……納豆以外なら食べると思うよ」
「ええ!? どうしてですかー! 納豆美味しいのに……」
「悪いが宮藤、私も納豆だけはどうにも苦手だ」
「私も苦手ダナ。ネバネバしてて臭いし……まぁシュールストレミングには遠く及ばないけどな」
「あはは、さすがにあれより臭いものはないって〜」
それから私たちはしばらくの間笑い合った。
本当に501のみんなといると退屈しないね。
早くウーシュともこの楽しみを共有したいな。

「みんな揃ってるかしら」
そこにミーナと坂本少佐がなんだか難しそうな顔をして食堂にやってきた。
「何かあったの?」
私が訊ねるとミーナは深刻そうな表情で口を開いた。
「ええ。全員、至急ミーティングルームに集まってくれるかしら?」
「エイラは悪いがサーニャを呼んできてくれ」
「あ、ああ分かった……」
坂本少佐に言われてエイラは、サーにゃんを呼びに食堂を出る。
私たちもミーティングルームに向かうため、食堂を後にした。

1545uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 07:59:56 ID:WNRSMlUo

――十数分後、ミーティングルーム

「サーニャ、大丈夫か?」
「うん、大丈夫……」
エイラは夜間哨戒明けで眠そうなサーにゃんを支えながら、席に着く。
「全員揃ったな」
坂本少佐はエイラ達が席に着いたのを確認すると、中央のスクリーンにロマーニャの地図を映し出す。
「昨晩、サン・ミケーレ島の上部にネウロイが複数出現したそうです」
ミーナが映し出された地図のヴェネツィアの辺りを指示棒で差し示しながら言う。
あれ? サン・ミケーレ島って確か……
「サン・ミケーレ島……ですか?」
宮藤が疑問の表情を浮かべながら呟く。
「ああ。ヴェネツィアの潟に浮かぶ島だ。戦死したウィッチの魂を祀る場所……ウィッチの墓場だ」
「ウィッチの、墓場……」
坂本少佐のその言葉を聞いて、私の脳裏に今朝見た夢の光景が蘇る。
ネウロイに対抗できる力を持っているとはいえ、私たちウィッチだって人間だ。
時にはネウロイという強大な力に敵わずに死ぬことだってある。
私は目の前で仲間を失ったことこそないけど、撤退戦の時には何人ものウィッチが亡くなったという話を何度も耳にした。
ウィッチだって死ぬ時は死ぬんだ。
そう、夢の中の無数のウィッチ達やウーシュみたいに……ダメだ私、こんな時に何考えてんだよ。
今はミーティングに集中しなくちゃ。

「駐屯地のウィッチがこのネウロイに応戦し、何とか振り払ったそうですが部隊の被害は甚大でほとんどのウィッチが負傷、
現在、戦闘が可能なウィッチは1人しかいないそうです」
「その上、厄介なことに戦闘中にネウロイが1機、姿をくらましたそうだ」
「消えたということか……?」
トゥルーデが驚いたように訊ねる。
「ああ。恐らく、以前サーニャ達が戦ったネウロイと同一のものだろう」

「現在、第504統合戦闘航空団はみんなも知っているように部隊再編成中のため、代わりに我々が援軍に赴くことになりました」
「バルクホルンにハルトマン、それにサーニャ。今回の任務はお前たちに頼みたい。現地のウィッチと協力して、
ネウロイを見つけ出し撃破に当たってくれ」
「了解」
「OK!」
「分かりました」
「はいはいはいはい! ちょっと待て! 私は!?」
「エイラは待機だ。こちらにもいつネウロイが来るか分からないからな」
勢いよく立ちあがりながら、手を挙げ自分の存在をアピールするエイラに坂本少佐がぴしゃりと言い放つ。
「そんな〜」
「心配するな、エイラ」
気が抜けたようにその場にへなへなと座り込んだエイラの肩をぽんぽんと叩きながら、トゥルーデが言った。
「私たちWエースが一緒なんだ。サーニャには傷一つだって付けさせはしない。そうだろ? エーリカ」
「え? う、うん……大丈夫だよ、エイラ。サーにゃんも私たちも絶対無事に帰ってくるから」
私はエイラに、というよりはほとんど自分に言い聞かせるようにそっと呟いた。
「本当だな〜? サーニャに何かあったら、ハルトマンもバルクホルン大尉も承知しないんだかんな〜」
「心配しないで、エイラ。私は平気だから」
「サ、サーニャ……」
エイラの手をぎゅっと握りながらサーにゃんが微笑む。
ねぇ、エイラ。サーにゃんは君が思っているよりずっと強いコだよ。
「よし! それでは3人とも早速準備にかかってくれ」
「くれぐれも無茶はしないでね」
「了解!」
坂本少佐達に見送られながら、私たちは出撃準備のためにミーティングルームを後にした。

1555uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 08:01:06 ID:WNRSMlUo

「ハルトマンさん!」
出撃の準備を終え、格納庫から飛び立とうとしたちょうどその時、宮藤が息を切らして駆け込んできた。
「どうしたの? 宮藤」
「あ、あの……気をつけてくださいね」
「え?」
「えっと……何て言うか今朝のハルトマンさん、いつもより元気なさそうだったから私心配で……余計なお世話だったらごめんなさい」
と、申し訳なさそうな顔で宮藤が言った。
私の事を心配してわざわざ格納庫まで来てくれたんだ。
本当に宮藤は良いコだね、トゥルーデが気に入るのも無理ないよ。
「心配してくれてありがとね。私は大丈夫だよ。午後にはウルスラが来ることになってるから、宮藤は誕生会の準備お願いね」
私は宮藤の頭を撫でながらそう告げると、トゥルーデとサーにゃんに続いて空へと飛び立った。

「サーにゃん、大丈夫?」
サン・ミケーレ島に向かう途中、私は夜間哨戒明けで碌に寝てないであろうサーにゃんの横顔を覗きながら訊ねる。
「あ、はい。大丈夫です」
意外にも冴えた目でサーにゃんがそう答える。
「そっか。ならいいんだけど」
「お前のほうこそ大丈夫なのか?」
「へ?」
不意にトゥルーデが私の方を見ながら問いかけてきた。
「宮藤も言ってたが今日のお前、何だか元気がないぞ。今朝うなされてた事と何か関係があるんじゃないか?」
鈍感なトゥルーデにしては珍しくついた言葉だった。
私は平然を装いながらそれとなく話題を変える。
「何でもないよ。それよりさ、サン・ミケーレ島ってヴェネツィアの北部だけど着くのにどれくらいかかるのかな?」
私が話題を変えるとトゥルーデもそれ以上は追及しなくなった。
それから二、三言軽い会話を交わした後はみんな無言になり目的地のサン・ミケーレ島を目指して飛行を続けた。

「見えたぞ、あそこだ」
しばらくして目的地のサン・ミケーレ島が見えた。
四角い形の壁で囲まれた小さな島だった。
少し目を凝らすと、人影が手を振っているのが見える。
「現地のウィッチがお出迎えしてくれてるみたいだね」
私も地上の人影に手を振り返し、トゥルーデやサーにゃんと一緒にサン・ミケーレ島へと降り立った。

「ベンヴェヌーテ! よく来てくれたわね」
ストライカーを島の格納庫に収め、地上に降り立つと褐色の肌が眩しい陽気そうなウィッチが出迎えてくれた。
あれ? この人、どこかで見たような……
「感謝するわ。バルクホルン大尉にハルトマン中尉。それにリトヴャク中尉」
「私たちの事、知ってるの?」
「もちろん! バルクホルン大尉とハルトマン中尉と言えば世界的に有名なエースだもの。それにリトヴャク中尉、
あなたとユーティライネン中尉のラジオ、いつも楽しく聴いてるわ」
「あ、ありがとうございます」
「おっと、紹介が遅れたわね。私はジュゼッピーナ・チュインニ、階級は准尉よ」
「チュインニ准尉と言うと……あの第四航空隊のジュゼッピーナ・チュインニ准尉か?」
と、トゥルーデが目を丸くしながら訊ねる。
「昔の話よ。アガリを迎えた今は母国のロマーニャで教官みたいなことをやってるの」
あっ、そうか。この人、どこかで見たことあると思ったら昔新聞で見たんだ。
ロマーニャ人にして元カールスラント空軍第4航空群第2大隊のエース、ジュゼッピーナ・チュインニ准尉、
確かネウロイとの戦闘中に被弾してその後は成り行きでスオムスの義勇独立飛行中隊に配属されたとかなんとか……
「あれ? って事はもしかしてウルスラの昔の同僚さん?」
「ええ。あなたの妹とは苦楽を共にした仲よ。双子だとは聞いてたけど本当にそっくりね」
「まぁ、性格は全然違うけどね」
「ねぇジュゼ、私の事忘れてない?」
「あっ、ごめんごめん。この娘はエンリーカ・タラントラ准尉、バナナが大好きだから『バナナ』って呼んであげて」
「よろしく〜」
と、チュインニ准尉の横のこれまた陽気そうなウィッチが、私たち一人一人に握手を求めてきた。
「わっ、すごくすべすべしてる……」
「へへ、バナナは美容にもいいんだよ。私なんて毎日食べてるからほら、こんなにすべすべ」
へぇ〜、バナナって美容にも良いんだ。私も今度から毎日食べてみようかな……おっと、今はこんな事考えてる場合じゃなかった、
早くネウロイを捜さないと……ねぇ、トゥルーデ……

1565uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 08:01:54 ID:WNRSMlUo

「……何してるの?」
私が振り返ると、そこにはチュインニ准尉に身体のあちこちを触られているトゥルーデの姿があった。
「ふふ〜ん、あなた、結構可愛いわね。私の好みかも」
「な!? ど、どこを触っているんだ……」
「ジュゼは女の子大好きだからね、あれはジュゼの挨拶みたいなものだから気にしないで」
と、何気ない口調で私とサーにゃんに語るバナナ。
ふ〜ん、まるで伯爵みたいなウィッチだね。
「と、とにかく! 早速、この近辺にネウロイが潜んでいるのか調べたいから離してくれないか?」
トゥルーデがそう言うと、チュインニ准尉は一転して真剣な表情になってトゥルーデから手を離した。
「あっ、そうだったわね。早速調査しましょうか。バナナ、あなたも手伝ってくれる?」
「もちろん。ウィッチ達の安らぎの場所をネウロイなんかに壊させたくないもん」

――それから十数分後……

「どうだサーニャ? ネウロイの反応は確認できるか?」
『いえ、確認できません……』
上空でバナナと一緒に索敵に当たっているサーにゃんの透き通った声が、インカムに届く。
サーにゃんの固有魔法でも発見できないなんて、この辺りにはもういないのかな……
「どうする、トゥルーデ?」
私が訊ねると、トゥルーデは少し考え込むような表情をした後、ゆっくりと口を開いた。
「……一旦状況をミーナに報告しよう。サーニャ、タラントラ准尉、ご苦労だった。戻ってきてくれ」
『分かりました』
『了解!』

「チュインニ准尉、そういうわけで501と連絡を取りたいんだが、無線機はあるか?」
「ええ、それなら仮設基地の電信室にあるわ」
「案内してくれ」
トゥルーデとチュインニ准尉が仮設基地の方へ駆けていくのを見送りながら私は、その場に腰を下ろす。
辺りには白く塗られた墓標がいくつも並んでいた。
「自然に囲まれてて良い場所だね……ここでならゆっくり眠れそう」
墓標にはウィッチ達の名前と没年が一つ一つ丁寧に刻まれていた。
母様がウィッチとして戦っていた頃から現在まで、戦っていた時代も、国籍も年齢もみんなバラバラだ。
ただ1つ共通しているのは、ここに眠っているウィッチ達はみんなネウロイのいない平和な世界を実現するために戦って、
その夢を実現できず志半ばに亡くなったという事だ。
「私も夢を叶える前に死んじゃうのかな……」
不意にらしくもない事を口にしてしまう。
ダメだ、どうも今日の私はネガティブ思考でいけない。
しっかりしろ、エーリカ・ハルトマン!
私は自分の頬をばちんと叩いて立ち上がる。

「この島にはウィッチ達の何年分もの想いが詰まってるんですね」
気が付けば、私の隣には索敵から帰ってきたサーにゃんとバナナの姿があった。
サーにゃんが白い墓標に刻まれた名前の一つ一つを見ながら呟いた。
「うん。だから私、この場所が好き。辛い時にここに来ると、この島のみんなが励ましてくれてるような気がするんだよね。
『頑張れ』って。そりゃ、何人もの同志が亡くなってるのは辛いけど……でも、彼女達の果たせなかった想いを果たす事ができるのは、
今を生きてる私たちだけでしょ? だから私はくよくよしないで前を見て進もうって思ったの。何事もね」
そう言いながらバナナが私にウインクを向けてきた。
彼女の言う通り、くよくよしててもしょうがない――今を変えられるのは今を生きてる私たちだけなんだから。
「我武者羅にでも前に進むしかないって事だね」
「そういう事。さ、早くジュゼ達のとこに行こっ」

1575uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 08:02:44 ID:WNRSMlUo

「バナナ、あなたに良い報せがあるわ。今病院に連絡したんだけど……」
仮設基地のドアを開くと、チュインニ准尉が口を開いた。
何でも、昨日ネウロイの襲撃を受けて負傷したバナナの仲間達の容体が回復に向かっているらしい。
「3日もすれば退院できるそうよ」
「本当!? 良かった……」
ほっとしたように胸を撫で下ろすバナナ。
と、その直後どこからかぐぅという音が鳴り響いた。
「あ、ほっとしたらお腹が空いちゃった……」
バナナがその台詞を言い終わらないうちに、私のお腹からも良い音が鳴る。
「あ、そう言えば朝ごはんの途中で呼び出されたから全然食べてなかったんだっけ……」
「ふふっ、じゃあお昼にしましょうか。バナナ、あなたも手伝って」
「は〜い」
私はキッチンへ向かうチュインニ准尉とバナナを見送りながら、ソファに座っているトゥルーデの横に腰掛ける。
それから、サーにゃんを手招きして自分の膝に乗せてあげる。
「寝てていいよ。今日は碌に寝てないでしょ?」
「あ、はい……ありがとうございます」
それから数秒もしないうちにサーにゃんは眠りの世界へと落ちていった。
「それで、ミーナは何だって?」
私は横に座っている自分の相棒に訊ねる。
「ああ。もう少しここに残ってネウロイを捜してくれとの事だ。昼食を摂ったら私たちも索敵に当たろう」
「うん。その……今朝はごめんね」
「え?」
「トゥルーデは私の事心配してくれていたのに、何でもないように振る舞っちゃって。今朝、変な夢を見ちゃってね……」
私は今朝見た夢の事をトゥルーデに話した。
トゥルーデは私の目を見ながら黙って話を聞いてくれた。
「それで、そんな夢を見た後にウィッチの墓場に行くって事になったものだから私、自分も戦死しちゃうんじゃないかって
急に不安になっちゃって……でも今は大丈夫だよ。バナナと話してたら、気持ちも少し楽になったから」
「……そうだったのか」
私が話を終えると同時に、トゥルーデは私の肩に腕を回してそっと引き寄せてきた。
「へ? ちょ、ちょっとトゥルーデ!?」
「エーリカ、確かに私たちは個々の力はあまりに無力だ。だが、私たちは1人じゃない。仲間と一緒ならどんなネウロイだって倒せる」
「ネウロイはひとりぼっちだけど、私たちは独りじゃない。だから、私たちは絶対に負けません……今の言葉はエイラの受け売りですけど」
いつの間にか目を覚ましていたサーにゃんが私の膝元で頬を染めながら言う。
へぇ〜、エイラの奴ヘタレだと思っていたけどサーにゃんの前でそんなかっこいい事言ったんだ……
「そういう事だ、エーリカ。仲間がいる限り私たちは負けない。だから、死ぬなんて考えるな」
まさか、一時期は戦って死ぬ事ばかり考えていたトゥルーデにこんな事言われるなんて思ってもいなかったけど、今は不思議とそんなトゥルーデの言葉が何よりも頼もしく思えた。

「……ありがと。トゥルーデ、サーにゃん」
「全く、不安事があったなら今朝話してほしかったぞ。それとも私は、そんなに頼りなかったか?」
「そ、そうじゃないけど、変に夢の話をしてもトゥルーデをかえって心配させるだけだと思って……」
「何も話してくれないほうがよっぽど心配だ。何でも1人で背負い込もうとするな」
「そういうトゥルーデだって、いつも何でも1人で背負い込もうとしてるじゃん」
「う、そ、それはその……」
私が反論すると、トゥルーデは思わず言い淀む。
そんな彼女の慌てた表情が可愛らしくて私も思わず笑みがこぼれる。
「へへ、私たち案外似たもの同士だね」
私がそう言うと、トゥルーデも笑顔で応えてくれた。
「ああ、そうだな」
「……あ」
「どうしたの? サーにゃん」
私が訊ねるとほとんど同時に基地内にサイレンが鳴り響く。
「この音……!」
キッチンにいたチュインニ准尉とバナナも慌てて飛び込んできた。
「ネウロイが現れたんだ! 行こう!」
私たちは格納庫まで一目散に向かい、ストライカーを装着して空へと飛び立った。

1585uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 08:04:39 ID:WNRSMlUo

「敵発見!」
サン・ミケーレ島の上空に現れた巨大なネウロイと私たちは対峙する。
私たちが砲撃を開始すると、巨大ネウロイは突如その姿を消した。
「消えた!?」
「いえ、まだ近くにいます! バルクホルンさんとタラントラ准尉は攻撃を続けてください。距離約2800……」
サーにゃんが固有魔法でネウロイの位置を確認しながら冷静に対処する。
トゥルーデとバナナが連射を続けると、ネウロイが再び姿を現した。
今度はコアの位置もはっきりと確認できた。
「見えた!」
「ハルトマンさん!」
ネウロイのビームをシールドで受け止めながら、サーにゃんが叫ぶ。
「OK!」
私はネウロイの真上に移動して、狙いをそのコアへと定める。
ねぇネウロイ、この島に眠っているウィッチ達は君たちとの戦いから解放されてゆっくり眠ってたんだよ?
彼女達の安らぎを妨げるなんて、私が絶対に許さないんだから。
「いっけぇええええええ!」
私は全身の力を込めてMG42のトリガーを引く。
弾は剥き出しになったコアに命中し、爆散する。
「やった……私たち、勝ったんだ!」

「ああ。ネウロイは無事、撃墜できた」
仮設基地に戻ってすぐ、トゥルーデはミーナにネウロイを撃墜した事を報告する。
私はそんなトゥルーデの後ろ姿を見ながら、ある事を思いついていた。
「トゥルーデ、代わって」
「え? あ、ああ……ミーナ、エーリカに代わる」
私はトゥルーデから受話器を受け取って、ミーナとの対話に応じる。
『どうしたの、フラウ? 今ちょうどウルスラさんが到着したところよ』
「あのさミーナ、1つお願いがあるんだけど……」

――数時間後、サン・ミケーレ島船着き場

「ここがサン・ミケーレ島か」
「綺麗なところね」
島の船着き場にゴンドラが到着し、坂本少佐とミーナを先頭に501のみんなが次々と島に降り立つ。
そう、私が思いついたある事とはこの島で私たちの誕生会を開いてほしいというものだった。
突然の無茶なお願いにも関わらず、ミーナは快くこの件を承諾してくれた。
本当にありがとね、ミーナ。
「ウーシュ!」
「ウルスラ!」
私とチュインニ准尉はゴンドラから降りてきた最愛の妹に思いっきりハグをする。
「へへ、元気だった? 逢いたかったよ〜」
「ふふっ、久しぶりね。背も少し伸びたんじゃない?」
「姉様、ジュゼッピーナ、苦しい……」
私たちがしばらくの間、ウーシュの事を抱きしめていると突如お腹から自分でもビックリするくらい大きな音が鳴る。
「姉様……」
「あはは、そう言えば朝も昼もほとんど食べてなかったんだっけ……」
それを聞いた宮藤が満面の笑みを浮かべながら、私の方を見る。
「ふふっ、ちょっと待っててくださいね。私とリーネちゃんが腕によりをかけて美味しいご馳走を作りますから」

――数十分後

「それでね、ネウロイが消えたと思ったらサーニャちゃんが冷静に敵の位置を私たちに教えてくれたの。あの時のサーニャちゃん、すごくカッコよかったよ!」
「いえ、私はそんな……」
「そうだろそうだろ。サーニャはすごいんだ。もっと褒めてもいいんだぞ」
「エイラがいばる事じゃないと思うが……それより、エーリカとウルスラがどこに行ったか知らないか?」
「ん? ああ、あの2人ならさっき外に出てったぞ」

1595uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/08(金) 08:05:58 ID:WNRSMlUo
「……綺麗だね」
「……うん」
私たちは島の岸辺から今まさに沈もうとしている夕陽をぼんやりと眺めていた。
遠くの方ではルッキーニとペリーヌが墓標の一つ一つに手を合わせているのが見える。
「ねぇ、ウーシュ」
私は隣に座っているウーシュの手をそっと握りながら呟いた。
「何? 姉様」
「私、生まれ変わってもウーシュのお姉さんでいたいな」
「私も、姉様の妹がいい」
ウーシュもそう言って頬笑みながら私の手を握り返してくれた。

「2人ともここにいたのか」
「あ、トゥルーデ」
「エーリカ、ウルスラ、誕生日おめでとう」
トゥルーデはそう言って、私たちにそれぞれ小さな箱を渡してくれた。
「これは?」
「私とミーナで決めたプレゼントだ」
私たちが箱を開けてみると中にはハート型のペンダントが入っていた。
私のは赤色、ウーシュのは青色をベースとしたもので2つのペンダントは対になっていた。
「わぁ、可愛い……ありがと、トゥルーデ」
「ありがとうございます」
「礼なら後でミーナに言ってくれ。さ、基地に戻るぞ。宮藤とリーネがご馳走を作って待っている」
「うん!」
私はトゥルーデとウーシュの手をとって、仮説基地へと歩んでいく。
世界が平和になるにはまだまだ時間がかかるかもしれないけど、この島で眠っているみんなの努力が無駄にならないためにも
今は、少しずつでもいいから前を見て進もうと思った。
辛い事があっても大丈夫。だって私は一人じゃないから――共に歩んでくれる"家族"がいるから。

〜Fin〜

―――――――――――――

以上です。この話はファンブックで佐伯さんが仰っていた2期4話の没案を元に書いてみました。
ですので、時系列は2期4話と5話の間くらいの話と思っていただければ幸いです。
また、空戦を書いたのは初めてなので至らぬ点も多々あると思いますがご容赦を。
さて、今日はいよいよエーゲルラジオの日ですね。久々にエーリカやトゥルーデの声を聴けると思うと嬉しい限りです。
最後に、フミカネ先生twitterの未来のエーリカがイケメン過ぎて辛いです。
ではまた

160アキゴジ:2011/07/08(金) 21:51:18 ID:Fs/btNOQ
おやおや、いつの間にやら増えてきましたね。ではもっと増やすために続き行きますか。

161私は妹さんの代わり 4:2011/07/08(金) 23:00:14 ID:Fs/btNOQ
 あの長い夜から何日も過ぎていた。あの時以来、バルクホルンさんは私が訓練を終えた後に
バルクホルン(宮藤、今日も頼むぞ)
 小声でそう言って、すぐにその場を立ち去る・・・。私は、嫌だった。毎回、あんな事をされるのがとてつもなく嫌だった。でも、逆らえばどんな事をされるかわからない。だから私は夜になるとバルクホルンさんの部屋に行く。誰にも気づかれる事なく・・・。
芳佳「・・・バルクホルンさん」
バルクホルン「うむ、来てくれたな・・・良い子だ」
 私はバルクホルンさんの言葉に不安を感じる。しかし、私の身体は無意識にバルクホルンさんの方に歩み寄る・・・。そして、私が近くに来ると、バルクホルンさんは私の身体を抱きしめる。痛いほどに、でも、私には何故か、痛いはずなのに嬉しく感じてしまう。何故?
バルクホルン「さぁ・・・宮藤、始めようか」
芳佳「・・・はい・・・」

スッ・・・クニュ・・・フニュ・・・プニ・・・

芳佳「んっ・・・あっ・・・はっ・・・」
 バルクホルンさんは早速手を出し、指で私の身体を愛撫する。恥ずかしいとわかっているのに、私は善がり声を上げる。
芳佳「はぁ・・・はぁ・・・」

フニフニ・・・キュッ

芳佳「あっ・・・んん・・・」
バルクホルン「・・・フフ」

スッ、クチュ

芳佳「あっ!バ、バルクホルンさん・・・」
バルクホルン「嫌か?しかしそういう割には、ずいぶん湿っているぞ?」

クチュ、チュル、ヌチャ

芳佳「あっ!あっ!バルクホルンさん、ダメ!ダメェッ!」
バルクホルン「・・・そんなに気持ち良いのか、よしよし・・・もっと激しくしてやろうか」

グチャグチャグチャ!ヌヂュ!グチョ!ジュブ!

芳佳「あぁっ!あうぅっ!んあ!あうん!」
バルクホルン「良いぞ宮藤、ほら、もっと声を聞かせてくれ」
芳佳「はひっ!バ、バルク、ホルンさん!そ、そんなにいじると・・・ああっ!ひうぅっ!」
バルクホルン「そうだ・・・良いぞ宮藤、もっとだ・・・もっとだ!」

ジュブジュブジュブ!グチョ!グリュッ!

芳佳「あぁっ!やあん!んはあっ!バルクホルンさん!もう・・・もう・・・ダメ!ダメェッ!!」

プシャアアァァァァァァァ・・・

 バルクホルンさんの激しい指の動きに、私の股間の汁はものすごい勢いで吹き出してしまった。
芳佳「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
バルクホルン「フフ・・・なかなか良かったぞ宮藤 だが、こんなに漏らしてしまうとは・・・悪い子だな」
芳佳「ふえ・・・?」
バルクホルン「悪い子にはお仕置きが必要だ・・・」
芳佳「え・・・?え・・・!?」

162私は妹さんの代わり 5:2011/07/09(土) 00:16:20 ID:o0Q9rBA6
芳佳「今度は・・・何をするんですか?」
バルクホルン「・・・こうするのさ」

ガッ!

芳佳「ひぃっ・・・!」
 バルクホルンさんは突然私のお尻を激しく掴んだ。
芳佳「バ、バルクホルンさん・・・!?」
バルクホルン「さぁ、お仕置きだ」

シュッ、ズプゥッ!!

芳佳「ひゃあううぅぅっ!!?」
 バルクホルンさんは私のお尻の穴に指を、思いっきり刺し込んできた。私はたまらなくなり泣き声を上げてしまう。
バルクホルン「フフフ・・・なかなか良い声を出すじゃないか宮藤、そうでなくてはお仕置きをやる意味が無い」
芳佳「お・・・お仕置きって・・・」
バルクホルン「では、始めるぞ」
芳佳「へっ・・・!ま、待って・・・」

ジュル!グリグリグリグリ!

芳佳「ああぁぁっ!!ひぃっ!!んあぁっ!!」
 バルクホルンさんは指で激しく私のお尻の穴をいじり始める。これには思わず声を上げないわけにはいかなかった。
芳佳「ひゃうぅっ!!バ、バルクホルンさん!!やめて!やめてくださ、あああぁぁぁぁっ!!」
バルクホルン「いいぞ・・・いいぞ“芳佳”、もっとだ・・・もっと泣け!」
芳佳「ら、らめです!そんなにお尻の穴を激しくいじったら・・・また!また!中から出ちゃうぅっ!!」
バルクホルン「そうか・・・また出そうなのか・・・別に出しても構わんぞ?今はお仕置き中だからな」

ジュルジュルジュルッ!グチョッ!ズリュウッ!

芳佳「ひああぁぁっ!!そ、そんなに指を激しく動かしたら・・・お尻の中が変になるうぅっ!!」
バルクホルン「・・・もう限界か、もう少し続けたいところだが、これ以上やるとかわいそうだな・・・では早々にイカせてやるとしよう」

ズプッ!グチュッ!

芳佳「ひぃっ!?」

ズブッ!ズブッ!グリュ、ジュル、ズチュッ!

芳佳「あへぇっ!指が!バルクホルンさんの指が三本も入ってるっ!」
バルクホルン「フフ・・・良い顔だぞ、“芳佳” ほら、出していいぞ 思い切って出せ」
芳佳「あぁっ!出る!出ちゃう!また!おしっこ出ちゃううぅぅぅっ!!!!」

プシャアアアアァァァァァァ・・・

芳佳「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
バルクホルン「今日は実に楽しかった・・・また頼むぞ、“芳佳”」


 薄れゆく意識の中で私は気付いた。バルクホルンさんが私の事を“芳佳”と呼んでくれていた。それに私は妙な嬉しさを感じた・・・そして


芳佳「うん・・・・・・お姉ちゃん・・・」

163アキゴジ:2011/07/09(土) 00:18:17 ID:o0Q9rBA6
とりあえず、今日はここまでです。すいません、まだ終わりそうにありません(汗)
けど、もしかしたら次で終わるかもしれません。では!

164mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/09(土) 20:39:24 ID:LxJUELgI
>>159 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 素敵な双子誕生日祝いに乾杯です!空戦も手に汗握る緊迫感が良いですね。

>>163 アキゴジ様
GJです。続きを楽しみにしてます〜。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
フミカネ先生のIFシリーズを拝見して思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

165if you say...:2011/07/09(土) 20:39:54 ID:LxJUELgI
  トゥルーデにははっきりと聞こえた。エーリカの決意ともとれる、一言。
 「私がしっかりしたら安心してくれる?」
  分かってはいる。
  しかし、とトゥルーデは反論した。
 「お前、それがどう言う事か分かっているのか? 今までの様に、ただ単純に戦ってさえいれば良いと言う訳では無い。
  部隊間の連絡調整、部隊の指揮、今までお前がやった事の無い……」
 「分かってるよ。大丈夫、トゥルーデが全部出来たんだもの。私にだって出来るよ」
  少し大人びた天使は、やや伸び気味になった髪をふぁさっとかきあげ、笑顔を作る。
  そう。
  この控えめな微笑みに、何度助けられて来たか。
  しかし、今は……。
  ネウロイを、最後の一匹をこの大陸から叩き出すまで、戦いから逃げる訳には行かない。トゥルーデの決心。
  それを見透かしたかの様に、エーリカは繰り返した。
 「私がしっかりしたら安心してくれる?」
  いつ来たのか、クリスがそっと腕を取る。
 「もう、銃を握らなくても良いから。お姉ちゃん、私と手を繋ごう? 一緒に暮らそう? もう一度、二人で」
  最愛の妹、クリスに言われる。冷たく固い銃のグリップとは正反対の……、柔らかく、小さな手がトゥルーデの手を握る。
  トゥルーデの瞳が潤む。
  違う。そうじゃない。
  トゥルーデは首を振った。確かにとても素敵な未来……だが、違う。
  違うんだ。

 トゥルーデは叫んだ。
 そして自分自身の声に驚いて、がばっとベッドから飛び起きた。
 声と動きに反応したのか、横に寝ていたエーリカもうーんとひとつ唸って、目を開けた。

「私がトゥルーデに引退勧告?」
 エーリカはふわあ、とあくびをしながらトゥルーデに問うた。
「夢の中、での話だ。あくまでも、夢だからな」
「随分はっきりと具体的な夢を見るんだね」
 エーリカはそっとトゥルーデの顔に手をやると、そっと指先で目尻を拭った。
「泣いてる」
「しっ仕方ないだろう……あんな夢」
 嫌がっても、結局はエーリカのなすがままにされるトゥルーデ。
 指先から伝わる彼女の優しさ、それに対する自分の不甲斐なさを一層に感じ、うつむく。
「しっかし、トゥルーデが泣く程って相当だよね。私がねえ……」
 パジャマ姿で、トゥルーデのふとももに頭を載せるエーリカ。トゥルーデが膝枕する格好になる。
 うつむいた顔を覗き込むポジションに位置を取った小柄な天使は、愛しの人の顔をじっと見た。
 トゥルーデも、否が応でもエーリカと目が合ってしまう。ぼんやりと彼女の姿を見る。
 夢の中でもその輝きが変わらなかったブロンドの髪は……違う事と言えば、伸び具合。
「ずるいぞ」
 ぽつりとそう言うと、トゥルーデはふとももをくすぐるエーリカの髪を、そっとすくい上げる。
 はらりはらりとしだれ落ちるエーリカの髪はいつもと変わらぬ輝き、美しさ。そして長さ。繰り返すうち、言われる。
「トゥルーデ、ちょっと引っ張ってるよ?」
「ああ、すまない。つい」
「もう。らしくないなあ。もっとしゃんとしなよ」
「エーリカ、お前にだけは言われたくない」
「そんな事言っちゃってさ」
 エーリカは身を起こすと、トゥルーデにずいと顔を近付け、悪戯っぽく、言った。
「私がしっかりしたら、安心してくれる?」
 トゥルーデはごくりと生唾を飲んだ。
 その言葉、何故?
 彼女の心情を察したかの様に、エーリカはすぐに笑顔を作ると、そっと頬に手を添え、軽く唇を重ねた。
 ゆっくりとお互いの気持ちを落ち着ける、魔法のひとつ。
 しんと静まりかえった夜。
 二人の鼓動が少しばかり高鳴る。
 そのまま身体に腕を回し、身体を預ける。甘え方も心得ているエーリカ。トゥルーデに、勝ち目は無かった。

「言うかもね」
 ベッドにもう一度二人して横になって暫くした後、ぽつりとエーリカは言った。
「言うって、何を」
「トゥルーデが夢で見た事」
「何っ!?」
 ぎょっとして顔を向けるトゥルーデ。エーリカはくすりと笑い、トゥルーデの唇を人差し指の先でちょこんと押さえてみる。
「でも、少し違う所も有ると思うけどね」
「それはどう言う……」
 エーリカは何も言わず、トゥルーデの手を握った。微かに擦れ合う、ふたりの指輪の感触。
 指先から伝わった彼女の思いを受けとめ、トゥルーデはそっとエーリカを抱きしめた。

 今は、まだ。せめてもう少し。
 彼女の偽らざるキモチ。

end

166名無しさん:2011/07/09(土) 20:40:31 ID:LxJUELgI
以上です。
フミカネ先生のIFシリーズはもっと見たいですが
将来の姿というのもちょっと複雑な気分ですね。
でもみんなイケメン過ぎてもう……。

ではまた〜。

167名無しさん:2011/07/10(日) 01:35:51 ID:jPeSxMng
ひさびさに来たら大量の良作SSが……!すばらしい!

>>137
エーリカマジ天使! 気配り上手な天使のお話はいいですね。


>>145
素敵な魔法ですね。エーリカがいうと違和感がないのがさらにいい……。

>>159
ナイスウルリカ。 トゥルーデもイケメンすぎてずるいです。


そして
>>162
このお姉ちゃんはすごい。


皆さんGJ!!

1685uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/11(月) 23:16:25 ID:lazItB.I
>>160 アキゴジ様
GJです。ドSなお姉ちゃんたまらないです。

>>164 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。未来のウィッチーズを見れたのは嬉しいような、ちょっと寂しいような複雑な気持ちになりますよね。
時が経ってもエーゲルの信頼関係は変わらないでしょうね、絶対。

こんばんは。今日は現在、コンプエースにて連載中の漫画「片翼の魔女たち」に登場するフランちゃんの誕生日ということで、
ウィルマさん×フランちゃんで1本書いてみました。ではどうぞ

1695uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/11(月) 23:17:01 ID:lazItB.I
【フランと勝負ズボン】

「えーっと、頼まれてたものはこれで全部かな」
買い物リストのメモにチェックを入れながら、栗色の髪の少女が隣の橙色の髪の少女に呟く。
彼女達はブリタニア連邦に位置する島、「ワイト島分遣隊」のウィッチ、
ウィルマ・ビショップ軍曹とアメリー・プランシャール軍曹だ。
2人は同隊の角丸隊長に頼まれ、本土のお店で必要な物を買い揃えていた。
「買い忘れた物とかないよね?」
「あっ、はい。必要な物は全部揃いました……あっ!」
「どうしたの?」
「いえ。そう言えばフランさん、もうすぐ誕生日だなーって思って」
「え? そうなの?」
そう、今日は7月8日――ウィルマとアメリーの同僚、フランシー・ジェラード少尉の誕生日の3日前だった。
その事をアメリーから聞いたウィルマは、少し考え込んでから口を開いた。
「せっかくだから何かプレゼント買っていこっか。船の時間までまだあるしね」
「はい!」
ウィルマの提案にアメリーが元気よく返事をする。
かくして彼女達は、フランへの誕生日プレゼントを探す事になったのだが……

「う〜ん、フランさんが気に入りそうなものってなんだろう……」
お店の商品棚の周りをうろうろしながら、アメリーが呟く。
しばらくアメリーが辺りをうろついていると、ふとある物が目に止まる。
「あっ、このゴーグルなんかいいかも」
アメリーの目にふと止まったのは、バイクレース用のゴーグル。
フランの尊敬するウィッチ、シャーロット・E・イェーガー中尉がバイクレースで世界記録を樹立したレーサーという事もあり、
彼女がゴーグルに興味を持っていた事をアメリーは知っていた。
「うん。このゴーグルなんかフランさんに似合いそう……あれ? ウィルマさんどこ行っちゃったんだろ……」
アメリーがいつの間にかいなくなったウィルマをキョロキョロと捜していると、不意に後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
「お〜い、アメリー〜! フランへのプレゼント、決まった?」
「あっ、はい。ウィルマさんは?」
「へへ、私はね……ズバリ! これをプレゼントしようと思うの」
「ええ!?」
ウィルマが差し出したそれを見て、アメリーは思わず顔が真っ赤になってしまう。
「ウィルマさん! 本当にそ、それをフランさんにプレゼントするんですか?」
「うん。なんだかフランにすごく似合いそうじゃない?」
そう言って悪戯っぽく笑うウィルマを見て、3日後が不安になるアメリーなのであった……

1705uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/07/11(月) 23:17:53 ID:lazItB.I

――それから3日後の深夜

「ふぁ〜あ、ねむ……なんなのよ、こんな時間に」
眠気眼を擦りながら、寝間着姿のフランがウィルマ達の部屋の前で呟く。
0時になったらここに来るようにとウィルマに言われていたのだ。
フランが渋々ドアをコンコンと叩くと、扉の向こうから「どうぞ〜」という声が聞こえてくる。
「あ、開けてくれるわけじゃないのね……」
フランが仕方なしにドアを開けると、同時に、クラッカーの音が部屋に鳴り響いた。
「へ?」
「フランさん、誕生日……」
「おめでとう!」
目の前にはクラッカーを持ってニコニコしているウィルマとアメリーの姿。
突然の出来事にフランは、状況を理解するのに多少の時間がかかった。
「え、えっと……」
「ほら、今日ってフランの誕生日でしょ? もしかして忘れてた?」
「ううん、忘れてたわけじゃないけど……祝ってもらえるなんて思ってなかったから……」
「ふふっ、誕生日は1年に1度の特別な日なんだから盛大に祝わないと。ね、アメリー?」
「はい。角丸隊長に頼んで午後にはみんなで誕生会を開く事になりました。ですがその前に、
私たちで個別にプレゼントを渡したいと思いまして」
アメリーはそう言って、小包みをフランに渡す。
フランがその小包みを受け取り、中身を見ると思わず感嘆の声が漏れる。
「わぁ、素敵……」
「フランさんが興味を持ってたバイクレース用のゴーグルです。イェーガー中尉のゴーグルと比べると、見劣りするでしょうけど……」
「ううん、そんな事ない……ありがと、アメリー」
アメリーからプレゼントされたゴーグルを大事そうに抱えながら、フランは微笑んだ。
「はい! じゃあ次は私の番ね。フラン、きっとあなたに似合うと思うの」
「え? なになに……」
フランは続けてウィルマから小包みを受け取り、その中身を見て驚愕する。

「な、何よこれ!」
中に入っていたのは、布の面積が異様に狭い、お尻の部分がT字になっているズボンだった。
「『てぃーばっく』っていうズボンらしいわ。1939年頃からお祭りの時に、リベリオンのダンサーが着用するようになったんだって」
「そんな事聞いてるんじゃないわよ! 何であたしにこんな物を……」
「ほら、フランっていつも紐ズボン穿いてるから、大胆なズボンが好きなのかなーって思って」
「あのねぇ……あのズボンは軍から支給されたもので、別にあたしが趣味で穿いてるわけじゃないんだけど」
「へー、そうだったの……まぁ、せっかくだし試しに穿いてみてよ」
「は、穿けるわけないでしょ! バカ!!」
「まぁまぁ、いいからいいから」
ふとフランは下半身がスースーするのを感じた。
気が付けば、いつの間にかズボンをウィルマに脱がされていたのだ。
「きゃっ! な、何すんのよ! ウィルマのバカ!!」
「へへ、フランったらせくし〜」
中年男性のような笑みを浮かべながらウィルマは、フランにTバックのズボンを穿かせていく。
その様子をアメリーは、顔を赤らめながらただ黙って見る事しかできなかった。

「わぁ、フラン可っ愛い〜」
「うぅ、これなら何も穿かないほうがよっぽどマシだわ……こんなズボン、誰が好んで穿くのよ」
「お店の人が言ってたんだけどね、このズボンを穿けばここ一番の勝負にも絶対勝てるようになるんだって」
それを聞いて、フランは朱に染まった顔を更に赤くする。
「へ!? しょ、勝負って、あたしまだそういう事するのは早いし……」
「えっ、"そういう事"って何? 私はネウロイとの戦闘の事を言ったんだけど……少尉殿は一体、何の勝負を連想してたのかな〜?」
「……ウィ、ウィルマのアホ〜!」
これ以上ないくらいに顔を真っ赤にしたフランがウィルマの肩の辺りをぽかぽかと殴りかかる。
「うんうん。やっぱフランはちょっと生意気でマセてるほうが可愛いわ。なでなでしてあげる」
「な!? あたしに向かってその態度! じょーかんぶじょくなんだから〜」

(ふふっ、最初はどうなるかと思ったけど、何だかフランさんが楽しそうで良かったです)
自分より小さな上官の頭をくしゃくしゃに撫でるウィルマと、小言を言いながらもまんざらでもなさそうな顔をするフラン。
そんな2人の様子を微笑ましく見守るアメリーなのであった。


―――――――――――

以上です。フランちゃん、(それとマロニー大将と副官さん)誕生日おめでとう!
今後もワイト組の動向に目が離せませんね。ラウラちゃんと角丸隊長の当番回も楽しみです。ではまた

171mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/15(金) 18:39:55 ID:2OFlbuf.
>>170 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! ワイト島分遣隊キター! ウィルマさん積極的過ぎです!


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
フミカネ先生のIFシリーズから思い付いたネタをもうひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

172IF you say... II 01/02:2011/07/15(金) 18:41:17 ID:2OFlbuf.
 とたとたと早足で近付く靴音。そして開けるのももどかしいと言わんばかりの鍵の開け方。
 そんな音を出すのは、お姉ちゃんだけ。クリスには分かっていた。
 勢い良くドアが開く。
「お帰り、お姉ちゃん」
「今帰った。遅くなってすまない」
「また何かもめ事?」
「いや、いつもの事と言えばいつもの事なんだが……地上勤務は骨が折れるな。面倒臭い仕事ばかりで。
空を飛んでいた方がまだマシだ。ミーナの苦労が今更分かった気がするよ」
「そう言えばミーナさん、お元気なの?」
「彼女はいつだって元気さ」
「良かった」
「さあ、待たせて済まなかったな。今すぐ食事を作ろう」

 トゥルーデとクリスは、基地から程近い場所に住まいを借り、そこで暮らしていた。
 地上勤務とは言え、まだ軍人であるトゥルーデは、すぐさま基地に行ける様、構えて居た。
 しかし病状が快方に向かうクリスの世話もしなければならないトゥルーデは……
 今はむしろ、比重がクリスの方に傾きつつあった。

 手早く食事を作り、食卓を囲む。琥珀色に周りを照らすランプの横で、つつましくも楽しい団欒のひととき。
「はほへ、ほへえひゃん……」
「こら、口の中にモノを入れたまま喋るんじゃない。何を言っているか分からないだろう。落ち着けクリス」
「ごめんお姉ちゃん。伝えたい事があって」
 ごくりと飲み込むと、クリスはトゥルーデに向き直った。
「どうしたんだ。改まって。……言ってごらん」
 微笑むトゥルーデに、クリスは言った。
「好きな人が出来たんだけ……」
 カシャーン、とスプーンが食器に当たる音。
 カタカタカタと、小刻みにトゥルーデの手が震える。
「……な、な、な。なんだってぇー!?」
 絶叫いや悲鳴に近い問いを発する姉。妹の答えを待たず、がたんと席を立ち、壁に頭を付けぶつぶつと呟く。
「い、いつかこう言う日が来る、とは覚悟はしていた……だがしかし、早すぎないか?」
 トゥルーデは振り返ると、ずいとクリスに詰め寄った。
「何処の誰だ? どんな奴だ? 名前は? 何処の国の人だ? ええい面倒だ、今すぐここに連れて来い!」
 どん、とテーブルを叩く姉の手に、そっと自分の手を重ねる。
「落ち着いてお姉ちゃん」
 クリスは笑うと、続きを話した。
「病院で知り合った子の話だから。私じゃないよ」
 それを聞いたトゥルーデは、ふらふらと席に戻ると、どっかと腰を落ち着け、やや乱れた髪を整え、こほんと咳をした。
「ふむ……。まあ、そう言う事だろうとは思っていた」
「またまた〜。お姉ちゃん、うろたえすぎ」
「そ、そんな事は無いぞ!」
「でも、それだけ私を心配してくれてるって事だよね」
「そっそれは当たり前だろう! たった一人の妹をだな……」
 クリスはくすくす笑う。
「で、その子に好きな人が出来たから、クリスに相談して、クリスが私に相談、と言う訳か」
「そうそう。お姉ちゃんなら何でも知ってるかと思って」
「任せろ」
 頬に一筋の汗が流れるが、これは錯覚だと言い聞かせるトゥルーデ。
「若いうちは、まずハメを外しすぎない事が大事だぞ。お互い節制と節度を持って……」
「お姉ちゃん、教会の厳しい神父さんみたい」
 クリスは笑った。
「いや、当然だろう。何か間違いが有ったら困る」
「間違いって?」
「それは……」
「お姉ちゃん達を見てたら、もっと具体的な事を聞けるかと思ったんだけどな」
「私達?」
 クリスは、ほら、と、後ろを指差した。

173IF you say... II 02/02:2011/07/15(金) 18:42:36 ID:2OFlbuf.
 ばたーんと家の扉が開かれる。
「二人共ただいま! あれ、私の食事は?」
 エーリカだった。顔に少々疲労の色が出ているが、いつもと変わらない笑顔。
「お帰りエーリカ。遅かったな」
「お帰りなさい、エーリカお姉ちゃん」
「いい子にしてたクリス? ねえお腹空いたトゥルーデ」
「分かった分かった。用意してあるから、まずはその汚れた手を洗ってこい」
「すぐ食べたーい」
「駄目だ。清潔な手で食事をしないと、巡り巡って腹を壊す」
「全く、オヨメさんだよねトゥルーデは」
「なっ!」
 顔を真っ赤にするトゥルーデ。にやにやしながらエーリカは洗面所に向かった。くすくすと笑うクリス。

 戻って来た頃には、食器は全て並べられ、シチュー、パンに肉料理と、エーリカの分が用意されていた。
「お腹すいたーいただきます」
 スプーンとフォークを手に、もくもくと食べるエーリカ。
「どうだ? 隊の任務には慣れたか?」
「トゥルーデ、昨日もそれ聞いてたよ」
「私と違って、お前は不慣れだろうから……」
「つまり心配してくれてるって事だよね」
 クリスに言われた事をエーリカにも言われ、頬を赤らめるトゥルーデ。
 大丈夫、とエーリカは言うと、シチューのジャガイモを頬張りながら続けた。
「毎日が面白い事の発見でね。トゥルーデやミーナもこんな事してたんだ、とかね。色々」
「大変だろう」
「まあね。でも苦痛じゃないよ」
「本当か? 強がりじゃないだろうな」
 問い詰められたエーリカは苦笑いした。
「まあ少しはあるけど、大丈夫だって。それがトゥルーデとの約束でもある訳だし」
「私はいつでも戻……」
「大丈夫」
 エーリカは繰り返すと、笑顔を作った。
「トゥルーデが皆を守った様に、今度は私が守るからね」
「ばっ馬鹿……」
 そんな姉達のやり取りをみていたクリスは、ぽんと手を叩いた。
「そう、それだよ、お姉ちゃん」
「? 何の事だ?」
「どうして二人はそんなに仲が良いの?」
「聞きたいクリス? 話すと長〜くなるよ?」
 にやつくエーリカ。興味津々のクリス。
「こらこら二人共やめないか。ところでクリス、その子の話だけど、詳しい事情が分からないと何とも言えないぞ」
「トゥルーデ、話誤魔化そうとしてない?」
「いや違う。クリスにさっき相談されたんだ」
「私も聞きたい」
「聞いてよエーリカお姉ちゃん。お姉ちゃんったらね、私の友達の相談なのに、私に好きな人が出来たって勘違いして……」
「それは見たかったなー。大体想像付くけど」
「あれはクリスの言い方が悪い。誤解を招く」
「トゥルーデも早とちりするからね」
「それで二人に聞きたいんだけど……」
「何でも良いよ?」
 パンを頬張りながら笑うエーリカ。「ともだち」の話を始めるクリス。
 トゥルーデはそんな二人を目の前に、手にしていたスプーンを持ち直す。ぼんやりと映り込む、歪んだ自分の顔。
 つい昨日までの激闘。生きるか死ぬかの戦いの中に居た筈の自分。
 それが今はどうだ。大切な二人を前に、腑抜けて間抜けな笑顔を作っている。
 こんな事で良いのか?
「いいんじゃない?」
 トゥルーデは、エーリカの言葉を聞いて我に返った。愛しの人の顔を見る。
「トゥルーデ、考えすぎだよ」
 苦笑するエーリカ。何の事だとはぐらかすも、じーっと見つめられ、逆に答えに窮する。
「良いなあ、お姉ちゃん達。私も早く……」
「わあっ、クリスにはまだ早い!」
 焦るトゥルーデの手を引き、エーリカが言う。
「いや、良いんじゃない? その時は色々と教えてあげるよ」
「本当? ありがとうエーリカお姉ちゃん」
「お前が教えるのはろくでもない事ばかりだからな」
「まあまあトゥルーデ」
 ほのかに照らされる灯りの下、平和で幸せなひとときが続く。
 それは“死線”を潜り抜けた者に与えられる、最高の幸福。

end

174名無しさん:2011/07/15(金) 18:43:35 ID:2OFlbuf.
以上です。
“その後”を考えて、こう言うパターンもアリかなとか。
IFシリーズは色々考えちゃいますね。

ではまた〜。

175mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/15(金) 21:33:03 ID:2OFlbuf.
再びこんばんは。mxTTnzhmでございます。
某漫画からヒントを得たネタで一本書いてみました。
ではどうぞ。

176count your mark 01/03:2011/07/15(金) 21:33:39 ID:2OFlbuf.
 午前十時きっかりに、その数字は現れた。
 頭の上にピコンと表示されたその「数」は、ウィッチによりまるで違っていた。
 突然の事態に混乱を来す501。
「これはどう言う事? 何なのこれは?」
「落ち着けミーナ。とりあえず直接の害は無さそうだが……まさかネウロイの仕業か?」
「ウィッチによって数が違うってのも気になるな」
「美緒、魔眼で分からない?」
「撃墜数じゃないか? はっはっは」
「いや、笑い事じゃなくてね」
「とりあえず全員を集めて調査を!」
 ミーナの号令で、全員が(夜間哨戒明けで寝ていたサーニャとエイラも叩き起こされ)調査を開始した。

 ブリーフィングルームに集まった501の面々。
「現状、判明している事を報告します」
 いつにない緊張の面持ちでミーナは皆に告げた。
「この数字が現れ、見えているのは私達ウィッチ同士だけ。ウィッチ以外の人間は……基地内の男性も女性も、その兆候は無く、
私達には見える数も、全く見えないそうよ」
「なるほど。やっぱりウィッチの能力に関係してるとか。例えば魔力とか」
 シャーリーが頬杖付いて仮説を立てる。
「それはどうかしら。仮に撃墜数だとすると、皆のスコアと合わないわ」
 否定するミーナ。
「これは天が与え指し示した罪の数ですわ!」
 ペリーヌが立ち上がり、新たな説を唱える。
「罪? どんな?」
「例えば、懲罰とか」
「仮に懲罰だとしたら、ペリーヌがゼロなのはともかく、他の隊員も全員一以上有るってのはおかしいよな」
「そ、それは……」
「他の部隊にも問い合わせたけど、この様な事態にはなっていないそうよ」
「じゃあウチ(501)だけかあ。何だろうね」
「やはりこれは、ネウロイの仕業かっ!?」
 握り拳を作るトゥルーデ。
「今の所、この数に変動は無いから、恐らく何かの数値だと思われるわ。あと、坂本少佐と宮藤さんのは……」
「漢字で表示されてますね」
 美緒と自身の頭の上の数を指差す芳佳。梵字にも似た崩し字、そして旧い書体で書かれている為、扶桑のウィッチでないと判読しにくい。
「ラテン語圏の私達は、ラテン数字だな。何か微妙に分かりにくいな」
「とりあえず、ハルトマン中尉とルッキーニ少尉を先程哨戒任務から呼び戻したので、これから全ウィッチを……」
「身体検査でもするのか?」
 この前の「虫型ネウロイ」の様に、基地の中まで侵入し悪事を働いているのかと考えを巡らせ、だんと机を叩くトゥルーデ。
「一体どうすれば良いんだ!?」
 のほほんと構えて居たシャーリーは、エイラとサーニャの数を見て呟いた。
「……サーニャとエイラはなんか数が多いな」
「わ、分かったゾ。これはラジオだ。ラジオの回数ダ」
「二人でそんなに放送したのか?」
「えうッ……」
「あ、二人が帰ってきましたよ」
 芳佳が指し示す。
 ドアがぎぃーと開いて、エーリカとルッキーニが帰還した。
「あれ、どうしたのみんな。深刻そうな顔して」
 いつもと変わらないエーリカ。彼女の頭上にも、数が見える。
「あ、見てみて、あれ。ちゃんと出てる! みんな見える見える!」
 何故か嬉しそうなルッキーニ。当然彼女にも数字が現れている。
 皆の数字をしげしげと観察するエーリカとルッキーニ。
 しばしの沈黙。
 やがて「またお前達か」と言う、全員からの刺す様な視線に晒される。
「や、やだなー。どうしたの皆」
「ヤダナー、ナー」
 冷や汗を一筋拭い作り笑いするエーリカとルッキーニ。一歩退く。
「事情を聞きます。二人を拘束して」
 一歩踏み出したミーナは、冷気の籠もった目で二人を射抜いた。

177count your mark 02/03:2011/07/15(金) 21:34:09 ID:2OFlbuf.
 間も無く捕縛され(椅子に座らされ)たエーリカとルッキーニはあっさりと口を割った。
 そして事の次第を聞いたウィッチ達は驚きの声を上げた。
「キスした回数?」
 全員で声を上げ、改めて、頭上に浮かぶ数字をまじまじと見る。そして他のウィッチのと比べ……
「こら、じろじろ見るな!」
「大尉だって見てるじゃないカー!」
「ほほう。サーニャ、お前結構……」
「しょ、少佐まで何見てンダヨ!」
 ミーナから“尋問”を受けるエーリカは、いともあっさりとネタばらし。
「そ。これはキスの回数だよ。朝食の時に、セクシー魔法少女の私が、とある魔法の粉を鍋の中に……」
「誰がセクシー魔法少女だ。大体、皆の食事に毒物を混入させるとは何事だ! 重罪だぞ」
 トゥルーデが腰に手を当て追及する。
「毒じゃないじゃーん」
「色々な意味で毒だ! 大体、こんなプライベートな数字を、互いに可視可能な状態にしてどうする?」
「面白いじゃん?」
 あっけらかんと答えるエーリカを見て、呆れるシャーリー。
「あのなあ……お前達、ちょっと遊び過ぎじゃないか」
「ウジュー、ごめんね、シャーリー」
 頭にたんこぶをつくった……美緒の鉄拳がその理由だが……涙目のルッキーニは、シャーリーにすり寄ると、
子猫の如く、唇をシャーリーに合わせた。
 刹那の出来事だった。
 ルッキーニと、シャーリーの頭の上に輝く数が、ぴこーんとひとつずつ増える。
 実際の現場を見、そして数が増えるさまを目の当たりにした隊員達は、動揺を隠せない。
「うわ、本当だ!」
「ちょ、ちょっと……」
「これはまずいんじゃないか」
 動揺する一同。
「でも、シャーリーとルッキーニの数、シャーリーの方が僅かに多いね。何で?」
「えっ、シャーリー、あたし以外の誰かと?」
「うーん、どうだろう。なあ堅物」
「な、何故私に振るッ!?」
「動揺し過ぎダゾ大尉。隠しても隠しきれてないシ」
「芳佳ちゃん……芳佳ちゃんの数、私読めないよ」
「だだ大丈夫、リーネちゃんと一緒だよ?」
 咄嗟に適当に答えて頷く芳佳。
「わあ、嬉しい! 私達一緒だね!」
 抱き合う芳佳とリーネ。
「お待ちなさいそこの二人! 数が一緒だなんておかしいでしょうに!」
 納得いかないペリーヌの頭上を見た芳佳とリーネは、可哀相なものを見る目をした。
「ペリーヌさん……」
「ペリーヌさん……」
「ちょっ、これは、その……」
 頭上の数字を、手でかき消す素振りをしつつ慌てふためくペリーヌ。
「なあサーニャ、私と数が微妙に違うんだけド」
「……私の方が少し多いね」
「さサーニャ? そ、それってどう言う事ダ? まさか私以外に? ……何で何も言わないんだ、答えてくれサーニャぁぁぁ」
「エイラが壊れかけてるぞ、誰か止めてやれ」
「無理だなー」
「ねえ、宮藤さん?」
「なんでしょうミーナ中佐」
「み……坂本少佐の数字を教えて欲しいんだけど」
「ええっと、ミーナ中佐よりも多いですね、倍くらい」
「ば、倍!? ちょっと美緒! どう言う事!?」
「おいおい穏やかでないなミーナ、私は何もしてないぞ」
「じゃあその数字はどう言う事なの!? きっちり説明して貰います!」
「いや、私は全く記憶に無くてだな……若い頃に原隊で……扶桑で、いや、戯れが有ったかも知れないが記憶に無い……」
「記憶に無い……まさか」
「ネウロイか?」
「じゃなくて酒のせいだろ、少佐のアレは」
 呆れる隊員達をよそに、ミーナと美緒の押し問答が続く。
「だがミーナ、お前だってそれなりにカウントが多いじゃないか。それはやっぱり……」
「昔の事はもう良いの!」
「おい危ない! 拳銃を向けるなミーナ!」
「なんか中佐の機嫌が急に悪くなったが大丈夫か?」
「大丈夫じゃない、問題だ」
「トゥルーデと私の数は……私の方がちょっと多いね」
「何故だ」
「さあねー。JG52の頃とか……」
「な、何ぃ? さてはクルピンスキーか!? それともあのマルセイユか? 誰なんだ相手は!?」
「にしし。教えて欲しかったらキスして」
「ぐぬぬ……」
「今度は大尉が慌て始めたゾ」

178count your mark 03/03:2011/07/15(金) 21:34:33 ID:2OFlbuf.
「この数字、過去に出した最高速度だったら面白かったのになあ」
「そう考えるのはお前だけだリベリアン」
「ま、楽しければいいんじゃない? 堅物も考え過ぎだって」
「お気楽だな、リベリアン。見ろ、501全体が混乱してるじゃないか」
「そう言う割には皆楽しそうだけど? ……あれ、中佐が少佐連れてどっか行こうとしてるぞ」
「お、おい、ミーナ待て!」
 声を掛けたが止められる筈もなく、指揮官不在となってしまう501。
「ま、いいんじゃね?」
 気楽に構えるシャーリーを前に、トゥルーデは辺りの状況を見回して言った。
「一体どうするんだ。これで何か有ったら501は戦わずして負けてしまうぞ」
「その前に、何に負けるのさ」

 昼食前、突如としてその数字は霞と消えた。
 ミーナの厳命により、一度は記録された各隊員の数値も全て破棄され、極秘扱いとされた。
 そしてミーナが美緒を何処かへ連れて行った事も、全て伏せられた。
 全ては、無かった事に……。

end

179名無しさん:2011/07/15(金) 21:35:29 ID:2OFlbuf.
以上です。
かなり泥沼になりそうな予感が……。

ではまた〜。

180アキゴジ:2011/07/16(土) 15:51:39 ID:LeldTBSE
どうもです。みなさんの作品、どれも素晴らしいですね!
さて・・・今度こそ終わらせるぞ・・・。

181私は妹さんの代わり 6:2011/07/16(土) 17:22:36 ID:LeldTBSE
 訓練を行っていて、最近私は気になっていた。ここのところ、どうも宮藤の様子がおかしい事を。何と言えばいいか・・・こう、いつもの様な元気が感じられなかった・・・。

芳佳「・・・・・・」
坂本「・・・宮藤」
芳佳「・・・あ、はい・・・」
坂本「何かあったのか?ずいぶんやつれてるように見えるが・・・」
芳佳「・・・え?あはは・・・なに言ってるんですか坂本さん・・・私は、いつも通りですよ・・・」

 まったくそうには見えない・・・まるで今までの宮藤とは思えなかった。まさか、誰かが宮藤に何かをしたのだろうか・・・?しかし、そんな事をする者がいるのだろうか?

坂本「宮藤・・・別に遠慮する事は」
バルクホルン「坂本少佐、すまないが席を外してくれないか?宮藤と話があるんだ」
坂本「・・・バルクホルンか、しかし・・・」
芳佳「坂本さん、私からもお願いします」
坂本「む・・・そうか・・・わかった」

 今の状態の宮藤に頼まれては断りようも無い。やむをえず私は2人の邪魔にならないよう他の場所へ歩く。・・・しかし、少々変なモノを感じた。バルクホルンが着た途端、宮藤の表情が嬉しそうになっていた事を・・・。普通なら部下が嬉しそうな顔をしているなら、嫌な感じなどしないはずだ。だが、さっきの宮藤の表情に、私は妙な違和感を感じた。

坂本(まさかバルクホルン・・・お前が・・・)

 夜になり、私は廊下を見回ってみる事にした。

坂本(こんな時間に限って、宮藤が妙な事をするとは思えんが・・・)

 そう考えながら歩いていると、誰かの影が見えた。

坂本(あの部屋は、確かバルクホルンの・・・!?)

 バルクホルンの部屋の前にいた人影は、宮藤だった。私は思わず立ち止まるが、宮藤はまったく私に気づいていない。

芳佳「バルクホルンさん・・・入っても良いですか?」
バルクホルン「あぁ、良いぞ」

ガチャ、バタン!!

坂本(何故宮藤があそこに・・・!?宮藤に何をする気だ!?バルクホルン・・・!)

 私は嫌な予感がした。ばれないように、ゆっくりとドアに近づき、耳を澄ましてみる。

芳佳「・・・はぁ・・・はぁ・・・お姉、ちゃん・・・」
バルクホルン「フフ・・・今日もかわいいな、芳佳・・・」

チュッ

芳佳「ん・・・んんん・・・ん・・・」
坂本「・・・!?」
バルクホルン「さぁ、芳佳、今日はどうしてほしい?」
芳佳「えっとね・・・芳佳のここをね、舐めてほしいの」
バルクホルン「あぁここか・・・ずいぶん濡れているな・・・私に舐めてほしくて漏らしてしまったのか?」
芳佳「うん・・・だって、お姉ちゃんのなめなめ気持ち良いんだもん・・・」
バルクホルン「そうか・・・私が舐めるのがそんなに良いのか、よしよし、わかった」
芳佳「ありがとう、お姉ちゃん じゃあ、ズボン脱ぐね」
バルクホルン「いや、脱ぐ必要は無い、そのままでいい」
芳佳「え?いいの?」
バルクホルン「あぁ」
芳佳「じゃあ・・・お姉ちゃん、舐めて」
バルクホルン「うむ・・・」

ペロ

芳佳「ひゃう・・・!」

ペロペロ、ヌチャ、クチュクチュ・・・

芳佳「はぁ・・・はぁ・・・!お姉ちゃん・・・もっと、もっと・・・!芳佳のお股、ペロペロしてぇ・・・!」

坂本(そんな・・・宮藤が・・・!)

 信じられなかった。バルクホルンが宮藤を犯している・・・!それどころか、宮藤はそれを嬉しそうに受け入れているのだ・・・!宮藤をあんな風に変えた犯人が・・・バルクホルン・・・貴様だったとは・・・!

182私は妹さんの代わり 7:2011/07/16(土) 20:06:20 ID:LeldTBSE
芳佳「はぁ・・・はぁ・・・お姉ちゃん・・・!お姉ちゃん・・・!」

レロ、ネチョ、ハム・・・

芳佳「あっ!そこ・・・噛んだら、ダメェ・・・!」
バルクホルン(・・・なら、これはどうだ・・・?)

チュッ、チュッ、チュッ、チュウ〜

芳佳「ひゃああぁんっ!お、お姉ちゃん!そんなに吸ったら、漏れちゃう!漏れちゃうよぉ〜!」

レロレロレロ、チュル、カプ

芳佳「あっ!あっ!お姉ちゃん!出る!出る!出ちゃうううぅぅぅ〜!!」

プシャアアアァァァ・・・

バルクホルン「フフ・・・どうだ芳佳・・・気持ちよかったか?」
芳佳「うん・・・すごく・・・良かった・・・♪」
バルクホルン「そうか・・・それじゃ次は」

バンッ!!

芳佳「ひっ!!」
坂本「バルクホルンッ!!!!」
バルクホルン「・・・すまない芳佳・・・少し待ってくれるか?」
芳佳「う、うん・・・」
バルクホルン「よし・・・ところで、何の用だ?坂本少佐、ずいぶんと荒れているじゃないか」
坂本「ふざけるな!!」

ガシッ!!

坂本「貴様・・・!よくも・・・よくも宮藤を!」
バルクホルン「何をそんなにいきり立っているんだ?私はただ宮藤の望む事をやっていただけだぞ?」
坂本「貴様が無理矢理そうさせたんだろう!!宮藤が自分からこんな事を望むはずが無い!!」
バルクホルン「フン・・・だったらどうする?この場で私を殺すのか?宮藤の前で」
坂本「何・・・!?」
芳佳「・・・」

 宮藤は、震えながら私を見ていた。怒り狂うような私に怯えながら・・・。

坂本「・・・宮藤・・・」

 私はバルクホルンから手を離し、宮藤に伸ばそうとした。だが・・・

芳佳「・・・!!」(ビクッ!!)
坂本「うっ・・・」

 宮藤は私の手が目の前に来た途端に身体を震わす。そして目には涙が流れていた・・・。

坂本「宮藤・・・」
バルクホルン「いけないな少佐・・・大切な部下を怯えさせるとは、あなたはそれでも宮藤の上司か?」
坂本「・・・黙れ、バルクホルン・・・!!」

 私は睨み殺すような眼差しをバルクホルンに突き刺す。しかし、奴はまったく微動だにしない。

バルクホルン「とにかくだ、あなたがそんな事では宮藤が怯えてしまってかわいそうだ・・・すぐに出て行ってもらおうか」
坂本「貴様・・・!!」
バルクホルン「フッ・・・ずいぶんと鋭い剣幕だな・・・なぁ芳佳、あんな少佐に連れて行かれたいか?」
坂本「汚い手で宮藤を触るな!!宮藤から手を離せ!!このゲスが!!!!」
芳佳「・・・出て行ってください」
坂本「!?」
芳佳「坂本さん・・・出て行ってください」
坂本「み、宮藤・・・?」
芳佳「そんな顔をした坂本さんなんか・・・見たくありません・・・!」
坂本「・・・!!」
バルクホルン「そういうわけだ・・・少佐、出て行ってもらおうか」
坂本「バルクホルン、貴様・・・!!」
バルクホルン「・・・フン・・・」

ガシッ!!

坂本「なっ・・・!!」
バルクホルン「私の固有魔法が怪力である事をわかっているはずだ もっとも、魔力が衰え始めた少佐ではどうにもできまい・・・」
坂本「黙れ・・・!!」

ブンッ!!ドカッ!!

坂本「ガッ・・・!!」

 私を掴んだバルクホルンはものすごい勢いで部屋から廊下に投げ捨て、壁に叩きつけられた。

バルクホルン「宮藤は私がもらい受ける、だから少佐は精々衰えていく自分の身を案ずる事だな」
坂本「くっ・・・貴様・・・!!」
バルクホルン「それでは、ゆっくり身体を休めてくれ 宮藤の、元上司よ」

バタンッ!!

坂本「くっ・・・!!バルクホルン・・・返せ!!!宮藤を・・・返せえええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 私は何度もバルクホルンの部屋の前で叫んだ。宮藤を取り戻したいがために、何度も叫んだ。しかし、私の叫びは虚しく響き渡るだけだった・・・。

坂本「・・・うっ・・・くっ・・・!宮藤・・・宮藤・・・!!」

 私は泣いた。宮藤を奪われた事に悔しさを感じながら泣いた。身体を動かせないまま、宮藤の名を叫びながら・・・。




宮藤(坂本さん・・・ごめんなさい 私はもうバルクホルンさんに心を許してしまいました だから、もう坂本さんの傍にはいられません でも、坂本さん、私を失っても泣かないでください 私はいつだって坂本さんを忘れません 坂本さんが教えてくれた事を、坂本さんと過ごした日々を、一生忘れません だから、坂本さんも私を忘れないでください いつまでも、ずっと、ずっと・・・)

183アキゴジ:2011/07/16(土) 20:09:01 ID:LeldTBSE
お、終わった・・・ようやく終わらせる事ができた・・・。
あ、ちなみに今回は坂本少佐の視点で書いてみました。微妙なバッドエンドにしまいましたが・・・(汗)

184Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:41:24 ID:CgdObdj.
こんばんは〜!
まずは感想から!

>>176 mxTTnzhmさま
お〜!キスした回数が頭上に現れる…今まであったようで、無かったシステムですね!
と言うか、シュールですw
それにしてもルッキーニとエーリカ…新しい組み合わせですね!ぜひ、「ring」シリーズにてこの2人の物語が読みたいです!

>>180 アキゴジさま
なんかもっさん…怖いですね!そしてバルクホルンも怖い;;
バッドエンドですかぁ…ハッピーエンドのVerも見たいですね〜!


さて!久々の「ヘルマの発情」シリーズです!
禁断の…○オチネタですw

185Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:42:23 ID:CgdObdj.
【ヘルマの出張 inアフリカ】


「寒いとこと暑いとこ…どっちが良い?」
「へ???」

訓練途中にハルトマン中尉からこんな事を言われたであります。

「えっと…?」
「良いから。どっちが良い?」
「あ…暑いところであります」
「わかった」

その時、何がわかったのかよく知らなかったのでありますが………その結果、


***


【3日後】


「あ…暑いであります…」

飛行機がアフリカの空港に着き、タラップを使って降りた瞬間…ヨーロッパの気候と全く違う事にまず驚いた事であります!
汗を拭いても拭いても流れてくるであります、こんな事なら事前に半袖を着ておくべきだったでありますね…。

あ、この間盗まれたので新しい自転車を買いました!ヘルマ・レンナルツであります!(ビシッ













「あづい…」

どんな気候条件でも耐久出来るかどうか…という研究のため、今私はここに居るであります。
と言うか、立ってるだけで暑いとは何事でありますか!?なんかムカムカしてきた〜!!

「おつかれ様ぁ」
「あ、シャーロット軍曹!お疲れ様です」

いつの間にか私の後ろにカースルラントのシャーロット軍曹が居て、

「いやあ…ホンット、暑いねえ…」
「やはり、ここに長く居ても暑く感じるくらいですか?」
「ヘルマちゃん…めっちゃ運悪いね」
「へ???」
「だって今年一番アフリカで暑い日だと思うよ?」
「………」
「しっかも世の中は節電ムードだし…ああ!もう暑い!!!!」
「落ち着いてください;;」
「じゃっ、これから私は戦車の試験だから」
「はい!…であります」

と会話をして、シャーロット軍曹は訓練へ行ったであります。
…でもまあ、知らない寒い場所よりは良かったです。だって…だってここには…っ!!!

「マルセイユ大尉が!」

そう…マルセイユ大尉が居るであります!


***

186Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:43:18 ID:CgdObdj.


「あ…あそこでありますね…」

カメラを片手に、テントの横でコソコソしてる私…であります。
アフリカへ来る直前、ブリタニア経由でこっちへ来たのでありますが…クリスからのお願いで、マルセイユ大尉の生写真が欲しいと。

「IXY持っていくし〜…何ちゃって」

軍部からこっそりと許可をもらって、借りてきたこのライカ!
カールスラントが誇る技術で、マルセイユ大尉を激写しようかと!

「つっ、使い方よくわからないであります;;えと…まずピントを合わせないと…」

そんな作業を、テント横でコソコソしていると…

「…あ、あのぅ」
「ひいぃぃっ??!!」
「きゃっ!」

そこには、

「あの…何をなされてるんでしょうか…?」

以前、何かの文献で読んだ『扶桑人形』のような顔立ち・格好の人が後ろから声を掛けてきたであります!」

「何もしてません!何もしてません、だから何もしてませんからっ!!!!」
「あの…まだ何も;;;」
「へっ??!!」
「あのぅ…どちら様ですか??」
「はっ?!」
「受付はなされましたか?」
「うっ、受付?;;」
「不審者…じゃなさそうですが…あ、もちろんマルセイユ大尉のファンの方で…?」
「まあ一応…そんなとこになりますかね;;;」
「じゃあこちらへ」
「へ??」

…と、その『扶桑人形』のようなお方に何処かへ連れて行かれるであります。
もしかして…拷問部屋?!

「あ、あの…別に、本当に悪気はなかったんです!!」
「???」
「なんで、本国に連絡だとかそうゆうのは勘弁してください;;;」
「いや…別に連絡などはしませんが…」

そしたらですね…とあるテントの前に連れて来られたであります!

「こちらで氏名や住所をお書きください」
「は…???」
「『マルセイユ合衆国』です」
「は…はぁ??!!」

…テントの上にはデカデカと、『マルセイユ合衆国』という文字が;;;
何でありますか?!これって…;;;

「これって…?」
「マルセイユ大尉って全世界に人気があるんですよね」
「ええ、知ってます…;;」
「私の上官である加東圭子少佐がファンが大勢来るのならこうゆうのを作ろうって」
「…;;;」

うわあ…こんな事、私が言うのもアレですが…軍人は公務員ですよ?;;
色々と法律に引っ掛かる気が…;;;

「おケイさんが『細けえ事はいいんだ』って言ってました」
「あのAAみたいに?」
「はい」

187Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:43:42 ID:CgdObdj.
「…;;」
「あ、こちらに氏名と住所をお書きください」
「え、ああ…わかりました;;」

色々とツッコむべき所はありますが、言われた通り申込用紙に名前と住所を…

「むっ!?」

なんで収入を書く欄が…?;;

「あの…書きました…」
「確かに受け取りました。入場料が75エジプトポンドです」
「えっ?!入場料…取るんでありますかぁ??!!」
「ええ、まあ…」
「え〜…っ;;;」
「あ、ドルでもマルクでも大丈夫ですよ?」

ちょちょちょ!扶桑円にして1000円って…高くないでありますかぁ??!!
…でもまあせっかく来たし。クリスへのお土産にも…まっ、しょうがないでありますねぇ…;;;

「わかりました、じゃあエジプトポンドで」
「かしこまりました」
「あ、一応領収書ください。『ウルスラ・ハルトマン』宛てで」
「はい」
「でも運良かったですね」
「はい?」

おつりを受け取ると、先ほどからガイド役になってる『扶桑人形』のようなお方がニッコリと。

「今の時間ならマルセイユ大尉、テントに居るかもしれないですよ!」
「えええ…マルセイユ大尉のプライベートを公開してるんでありますかぁ??!!」
「はい。機嫌が良ければ一緒に記念撮影も」
「うわあ…;;ディズニーランドのミッキーの家じゃあるまいし…」
「では、お楽しみください」
「今軽くスルーしたでありますよね?!」


***


入るとすぐに、豪華なテントが。

「…『マルセイユの部屋』って…そのまんま;;」

でもまあさすが、『アフリカの星』!
やはり優遇されてますねえ!

「ごっ、ごめんくださ〜い…」
「ん?」
「あ…!」

ちょちょちょちょちょ!!!!
めっ、目の前に…マルセイユ大尉が!!!!

ほら、よくディズニーのミッキーの家へ入る前は
『はあ?なんでそんなのでテンション上がんの?』
って言うけれど、実際にミッキーと会ったら真っ先に
『ミッキー!!!!』
って叫んだり抱きつく人が居るじゃないですかぁ?それと同じ原理です!

「マルセイユ大尉ぃ〜!!!!」
「おおっ、今日もまた濃いのが来たなあ」
「会いたかったでありますぅ〜、ぜひ一緒に写真を!」
「おー、良いぞ!こっちへ来い!」
「はい!…でありますっ!!!」

先ほどの『扶桑人形』のようなガイドの方にライカを渡して、

「それじゃあ行きますよ〜、はいチーズ!」

カシャッ!!

「あ、ありがとうございます!」

188Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:44:03 ID:CgdObdj.
「こんなので良いのか?」
「はい!あと、サインを…っ!!」
「それは無理だ」
「…へ?」
「無理だ」
「…そこを何とか;;」
「無理」
「…何とかゴリ押しで;;」
「無理」
「………」

「マルセイユ大尉!」
「お、どうした?」

すると、さっきまで中にいて一旦外に出たと思った『扶桑人形』のお方が急いでテントの中へ入ってきたであります!
緊急事態でありますかね?!

「ネウロイです!小型ネウロイが3機確認されました」
「よし、わかった。ケイは?」
「既に無線などの調整をしています」
「急いで準備するぞ!…そこの子猫ちゃん!」
「わっ、私でありますか?!」
「ああ。ちょっと…厄介な客人が来た、ちょっとだけ席を外すぞ!」

走ってテントから出て行く大尉であります…

「あの…私も一応、ウィッチであります…;;;」

…でもこうやって地上から戦いを見てる場合じゃありません!


***


「すいません、ネウロイが確認されたって本当ですか?」
「ええ、まあ」

私はすぐさま実験場所へ戻り、

「じゃあ今すぐ私のジェットストライカーを」
「でもしかし!」
「私はウィッチであります!…このまま見過ごすわけにもいけません!」

きっ…決まったぁ!いやあ、カッコ良いなあ私ってば…。

「…わかりました。総員に告ぐ、今から出撃準備!」

部隊のリーダーがみんなを呼び、出撃準備をし出したであります。

10分もかからないうちに…、

「お気をつけて」

189Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:44:20 ID:CgdObdj.
「はい!………シュバルツェカッツェ2番、発進するであります!!」

相変わらず暑いですが、出撃し…すぐさま大尉たちの戦っている場所へ!



「っ…!!クソッ!!」

どうやら苦戦していたようで…あ!大尉!後ろ後ろ!!
ネウロイの流れ弾が…!!

「わ、私の出番でありますよ〜!!!!」

手に持っていた銃で………っ!


ターンッ!!!


命中!

「お、お前は…?」
「あ…先ほどはどうも」
「お前、ウィッチだったのか…?」

どうやらマルセイユ大尉は鳩が豆鉄砲を喰らった様子であります…

「なっ、なかなかの腕前だな…お前」
「はいっ!」
「名前」
「へ?」
「名前!教えろ!」
「はいっ!!第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツ曹長であります!」


***

190Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/07/16(土) 22:44:40 ID:CgdObdj.


「れぇんなるつそうちょうでぇ…ありますぅ…」
「お客様…お客様?」
「からあげにはぁ…れもんをかけるたいぷでぇ…ありますぅ…」
「お客様!あの…」
「…っ!」

え…!?ここどこでありますか…!?

「え…ここ、どこでありますか?!」
「当機は無事アフリカへ着陸しました」
「ひっ…飛行機…?」
「はい。ぐっすりとお休みになられたようで」

周りを見渡すと、すっかり乗客の居なくなった機内。
えぇぇ…まさかの、このシリーズ作品始まって以来の夢オチぃ!?
だったらミーナ中佐との出来事も…夢オチに…;;;

「…申し訳ないであります。今すぐ降りる準備を」
「この度はご搭乗ありがとうございました」

CAさんを尻目に、急いでタラップを駆け下りると…

「ゲッ!?なんでありますか…!!」

『歓迎!ヘルマ・レンナルツ曹長』と書いた垂れ幕を持っている2人組が…;;
その垂れ幕の方へ行くと、右側の人が話しかけてきたであります。

「ヘルマ・レンナルツ曹長ですか?」
「いかにも私が…そうであります」
「私、カールスラント陸軍のシャーロット軍曹です。お迎えにあがりました」
「どっ、どうもであります!!!」

と、出迎えてくれたシャーロット軍曹と握手をしたであります。
むっ!?ニコニコと見ている左の人…どっかで見たような…

「あ…あっ!!」
「っ?!ど、どうかなさいましたか?!」
「アナタ!『マルセイユ合衆国』の!?」
「『マルセイユ合衆国』?えと…扶桑の稲垣真美ですがぁ…」

思い出した!『マルセイユ合衆国』のガイド役だった、あの『扶桑人形』のお方であります!!

「知り合い…ですか?」
「いえ…初対面です;;」
「…もしかして…あれは、予知夢?!」




そしてその後無事に7日間の、砂漠での実験を終了した私。
残念ながらもちろん『マルセイユ合衆国』はなく、そもそもマルセイユ大尉とは会えませんでしたが…

「えと…大尉の写真付きポストカード、プロマイド写真、缶バッチ、タオル、Tシャツ、クッキー、大尉プロデュースのCDに漬物…」

基地周辺のお土産屋で、クリスへのお土産に最適なグッズを購入。
やはり、お土産になるくらい有名なお方だから…私はまだまだ会えないのでありますかねえ…?

「ふう…」

そんな、ため息をついて本国へ帰った私であります…。




【おわれ】

191mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/07/17(日) 22:27:55 ID:WTaQN8lI
>>183 アキゴジ様
GJです。なんかある意味で壮絶なバトルですね……いわゆる修羅場的な。

>>190 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! ヘルマの夢オチワロタw でもアフリカ部隊は元々ああ言うノリですからね……。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
資料集を見ていて思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

192like no other 01/02:2011/07/17(日) 22:28:51 ID:WTaQN8lI
「こーらーハルトマン!」
 今日も食卓で怒号が飛ぶ。行く手を遮るトゥルーデの手をひらりひらりとかわし、隙を突いて彼女の皿から最後の芋を奪うと
ぽいと口に放り込み、鼻歌混じりに食堂から出て行くエーリカ。
 怒りも虚しく結果的に食事を分捕られただけに終わったトゥルーデは、はあ、と溜め息を付いて席に戻った。
「バルクホルンさん、せめてお味噌汁でも」
 気を遣う芳佳に、ひとつ頷くトゥルーデ。
「すまないな宮藤。軽く頼む」
「はい」
 半分程に注がれた扶桑の味噌スープをぐいと飲むと、トゥルーデは立ち上がった。
「何処へ行くの?」
 ミーナの問い掛けに、ぶっきらぼうに答えるトゥルーデ。
「訓練だ」
「あら、貴方今日は非番でしょ?」
「非番だからこそ、技術に磨きを掛けないと」
「それにしては、さっきハルトマンにやられっぱなしだったけどな」
「ウジャー」
 シャーリーとルッキーニに笑われ、尚更腹が立ったのか、トゥルーデはぎろりと一睨みすると、つかつかと食堂から出て行った。
「相変わらずだねえ、堅物は」
 肩をすくめておどけてみせる楽天的リベリアン。
「まあ、今日はハルトマンが訓練でもあるからな。ちょうど相手には良いんじゃないか?」
「そっか。ハルトマン、今日訓練だったっけ。まあ確かに彼女に立ち向かえるのは……」
 スプーンをくわえたまま、天井を見、後ろ手に腕を組むシャーリー。ルッキーニも同じ格好をするも仰け反りすぎて椅子事転倒する。
「おぉい、大丈夫かルッキーニ」
「頭打ったぁ。痛ぁい……」
「馬鹿だなあ。ほら、痛いの痛いのとんでけーってな」
「ありがとシャーリー」
「全く。お前達も、二人の訓練を見ておくと良い。色々参考になるんじゃないか?」
 美緒がたしなめつつ二人に提案する。
「いや、あの二人は……」
 言い淀むシャーリー。
 どうした? と聞き返す美緒に、シャーリーは半ば諦めが混じる笑いを見せて、言った。
「もうね、何か違うんですよ」

「いっただきっ!」
 エーリカの見越し射撃もトゥルーデにはお見通しだったのか、軽くスライドされて避けられる。
 代わりに飛んで来たのは両腕に抱えられたMG42の、雨あられと降り注ぐ弾丸。勿論模擬演習用の銃、そしてペイント弾だから死にはしない。
 だが鬼人と化した形相でひたひたと背後に迫るトゥルーデを見、エーリカはやれやれと首を振って見せた。
「どうしたハルトマン、まだまだだぞ!」
「トゥルーデ、本気になり過ぎ。私がカバーするポジション、がら空きじゃん」
「なっ! そんな訳……」
「今日は一対一でやってるから無理だけど、私がもう一人居たら今ので確実にトゥルーデ仕留めてるよ」
「それはハルトマンも同じだぞ!」
 言われて、やっぱり、と気付くエーリカ。
 怒ってるのか何なのか、妙に突っかかってくるトゥルーデを前に考えあぐねる。
 でも、トゥルーデに最初に(朝食の席で)仕掛けたのは私だっけ、と気付くエーリカ。理由は自分にも分からない。
 とりあえず、迫るトゥルーデをロー・ヨー・ヨーでかわすとハイGバレルロールで追い掛けながら仕掛ける。
 突き放されヘッドオンになりかけたところでスライスバックで眼下に逃げる。なおも追いすがるトゥルーデ。

「なんか二人共、随分と熱が入っているな」
 司令所から様子を見る美緒が、魔眼で時折二人の様子を眺め、呟く。
「あの子達、何かの切欠で火が付いたのかもね」
 同じく、様子を見るミーナは心配そうだ。
「訓練だからと、かえってやり過ぎて問題を起こされても困るな……おっと、今のは危ない」
「そうね。そろそろね……バルクホルン大尉、ハルトマン中尉、今日の模擬戦は終了、そこまでです。帰投しなさい」
 無線越しに二人に伝える。特に威圧感は出さなかったつもりだったのだが、二人は突然戦意を失ったかの様に、
大人しく滑走路に着陸し、ハンガーに向かった。
「あら珍しい。もうちょっと続くかと思ったのだけど」
「ミーナのその言い方じゃなあ」
 笑う美緒に、何か変だった? と聞くミーナ。
「流石は501の“母”だな。さしずめ私は……」
「もう、美緒ったら茶化さないで」
 苦笑せざるを得ないミーナだった。

193like no other 02/02:2011/07/17(日) 22:29:21 ID:WTaQN8lI
 帰還するなり手短に報告を済ませ、気分転換代わりに揃ってシャワーを浴びるトゥルーデとエーリカ。
 結局二人は互いに被弾無し、“戦果”も無しと言う訓練結果に終わった。
 二人の間には沈黙が漂う。
 シャワーの勢いの良い水音だけが辺りに響く。石壁に弾かれる飛沫もまた、訓練で火照った身体をクールダウンさせるにはちょうど良い。
 かいた汗を流すべく、石けんで身体を洗う。
 ぽつりと、トゥルーデが言う。
「手を抜いたのか」
 聞き逃さなかったエーリカは、即座に答えた。
「まさか」
「じゃあさっきの機動は何だ。本来なら」
「やめようよ、トゥルーデ」
「何っ?」
「今更泡まみれのままで、もう一度空に昇って決着でも付ける気?」
「そ、それは流石に」
「じゃあ、もうやめようよ」
 エーリカに二度止められ、言いかけた事を呑み込む。
 トゥルーデは少しうつむき、派手に飛び散る水飛沫も構わず、髪を洗う。
 突如として、背中に小さな膨らみを感じる。素肌と素肌が、石けんという極薄い皮膜ひとつ隔てて密着する。
 鼓動が、聞こえる。
「今朝はごめんね」
 そっと呟かれたその言葉。そんな事でこの私が……、との思いとは裏腹に、しっかりと彼女を正面から抱きしめている自分に気付く。
「もう良い。もう良いんだ、エーリカ」
「本当?」
 ふっと笑みをこぼしたトゥルーデ。
「私もつくづく大人げないと思う」
「何でも本気。それがトゥルーデの良い所」
「悪い所でもあるんじゃないのか?」
「自覚してるならよ〜し」
「エラソウに」
「トゥルーデにだけだもんね」
「まったく……」
 絶え間なく流れるシャワーの中、そっと抱き寄せ、唇を重ねる。
 石けんもあらかた流れ落ち、二人の髪はべったりと張り付いている。
 素肌の触れ合い。ぬるい温度のシャワーの中で、お互いの鼓動を感じ、もう一度、気持ちを確かめ合う。
「今度は、どうする?」
 悪戯っぽく笑ったエーリカに、トゥルーデは答えた。
「言うまでもないな」
 二人は目を合わせ、笑った。そしてもう一度、キスをした。

 唯一無二の存在。
 お互いにとっての、愛しの人を表現する言葉。
 良きライバルであり、喧嘩友達でもあり、背中を任せられる仲間、そして……。

end

194名無しさん:2011/07/17(日) 22:30:20 ID:WTaQN8lI
以上です。
お風呂場(シャワー)でいちゃいちゃ、
と言うのは今後も考えてみたいと思います。

ではまた〜。

195名無しさん:2011/07/21(木) 23:24:17 ID:62igiZdY
はじめまして。
初めてスト魔女SSを書いてみたので投稿させて頂きたく、
1レスほどお借りします。

エイラ&芳佳であまり百合ではないかもしれませんが、
読んでいただけると幸いです。

196未来の先にあるもの:2011/07/21(木) 23:25:46 ID:62igiZdY
「エイラさん、エイラさんってすごいですよねー」
 いつもの間延びしたような口調で唐突にそんなことを言い出した宮藤に対して私は困惑しつつもいつもの横柄な態度でもって応じた。
「んー、なに言ってんダ、オマエ。それだけ言われてもなんのことかさっぱりダゾ」
 あぁ、そっか、ごめんなさい、と少しだけ顔を赤らめた宮藤に私は毎度の如く溜息を吐く。こいつはどこまでが本気なんだろうか。真面目なのは間違いないんだけど。
「で、私のどこがなんだって? そんなことよりもサーニャのすごいところをもっとダナ……」
「エイラさんの未来視の固有魔法ですよ。あれ、ホントにすごいなぁ、って」
 こいつ、サーニャのことは全力でスルーかよ。あとでお仕置きダカンナ。
 と、頭の中で愚痴を零すのは宮藤の曇りなき真っ直ぐな視線に少しの気恥ずかしさを感じていたからだ。こいつはお世辞でもなくちょっとした世間話の種にでもなく、本心からそう言っている。そういう奴だって知っていても、私は動揺する心を隠せていないだろう。私もまたそういう奴だから、嬉しさをほんの一握りだけ滲ませたしかめっ面で宮藤を見やった。
「べ、別にそんなんじゃネーヨ。魔法は人それぞれなんだし、ミヤフジだって治癒魔法とかシールドとか、誰にも負けない魔法が」
 そこでまたこいつも慌てて、いやいや私なんてまだまだで、って言うのだろう。と思ったところで予想外の反応が返ってきた。
「いえ、そういうことじゃなくって……。その、なんて言ったらいいのか自分でもよくわからないんですけど。エイラさんには、その魔法を使うときに、何が視えてるんですか?」
 期待と不安と好奇心と猜疑心と、いろんな感情が入り混じった瞳に射抜かれた私は言葉を失った。
 たまに宮藤はこういう表情をする。言ってしまえば何を考えているのか判らない表情だ。そして宮藤は私の解に何を求めているのだろうか。
 未来視って言っても別に明日や明後日のことが判るわけじゃねーぞ、とか、訓練したってオマエが身につけられる代物じゃねーんだぞ、とか、そういう当たり障りの無いものではないのだろう。
 しばらく逡巡してから、私が出した解は否定の言葉だった。
「別に私は未来を視ているわけじゃないんダゾ」
 それを受け取って宮藤はどう反応したらよいものかというように口をポカーンと開けた状態で固まった。
「あの、えと、それはどういう……」
「だから、私が視るのは未来じゃない。逆に言えば、無数の未来が視えている、ってとこダナ」
 さっきまでの無表情とは打って変わって、あからさまに頭上にクエスチョンマークを展開させている宮藤はほっておいて私は言葉を続ける。
「私が視るのは決まり切った未来なんかじゃないし、可能性の一つや二つなんかでもない。そんなハッキリしたもんじゃないんダ。ミヤフジ、オマエが何を考えてんのかは知んないけどサ、未来に正解なんかないんダ。不正解もない。いや、もっと言えば不正解しかない。だから私は、最悪の結果にならないように全力で対処してるだけなんだ。それで、何が視えてるか、だったっけ? 言葉にできるもんじゃないんだけどナ、強いて言うなら小さな結晶みたいなもんかな。水晶みたいに透き通った小さな小さなカケラ。それを通して私は視るんだ。無数に分散していく光をナ。そんでそのカケラに辿り着いたらな、ソレは粉々に砕けてハジけるんダ。それじゃ未来は視えないじゃないかって? そうだ、そうなんだよ。未来はこの掌の中でな、一度壊れるんだ。そして、壊れた未来を再構成して、私の思ったように描くんだ。私は未来に沿って動いているわけじゃない、未来は私が決めているんダ」
 少しばかり長くなってしまったがとりあえず言いたいことを言いたいだけ吐き出した。相変わらず宮藤は解せぬといった表情を崩していないが、何か思うところもあるのだろう、ぶつぶつと独りごちてそしてまた私に向き直った。
「えっと、じゃあ、エイラさんがネウロイのビームとかを全部避けれるのは……」
「そう難しく考えんな。たいしたことじゃない。ただ他の人より、そういう感覚が鋭くて頭の回転が速いだけサ」
 ナンテコトナイッテ、と戯けてみせた私に対して宮藤は、やっぱりすごいじゃないですかー、とまた照れるようなことを言い出した。そして私はまた適当にあしらっての繰り返し。結局、宮藤の問いの真意は解らなかったが、私もいい加減な解答をしたんだから何も言わなかった。
 未来は視えるもんじゃないゾ、自分で創り出せばいいんダナ。

197アキゴジ:2011/07/22(金) 21:24:42 ID:HQQQ.cn.
>Hwd8/SPp様
ヘルマ曹長、まさかの夢オチwドンマイでありますw
ハッピーエンドVerですか・・・すいません無理です。さすがに芳佳ちゃんが妹に堕ちてしまった状態ではさすがにハッピーエンドは難しいです・・・。

>mxTTnzhm様
お風呂でいちゃいちゃ・・・ゴクリ、期待していますw
まあ、自分の部下があぁされてしまえば、そりゃ坂本少佐も怒って修羅場状態でしょうしね・・・もしミーナ中佐まで加わってしまったらとんでもない事に・・・(汗)

>名無し様
エイ芳キタ−!何というか、お互いを認め合っているって感じが良かったです!

えぇ〜どうもアキゴジです。「いやす なおす ぷにぷにする」をプレイしてたら思いついたネタです。とりあえずどうぞ!

198お姉ちゃんって呼んで!:2011/07/22(金) 21:59:57 ID:HQQQ.cn.
 ここは501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズの基地。何やら台所が賑やかです。中にいるのはバルクホルン大尉、ハルトマン中尉、シャーリー大尉のようです。

ハルトマン「へぇ〜トゥルーデ、宮藤に“お姉ちゃん”って言われてそんな反応してたんだ・・・」(ニヤニヤ)
シャーリー「そうなんだよ、そしたらあいつの嬉しそうな顔ときたらさ・・・!プッ・・・ククク・・・」
バルクホルン「お、おい!その話はやめろと何度言ったらわかるんだ!」
ハルトマン「そう言って、本当はすごく嬉しいんでしょ、トゥルーデ?」
バルクホルン「べ、別に嬉しくなどない!ただ宮藤が強引に言ってきただけで・・・」
シャーリー「ふ〜ん・・・そう思ってるんだ・・・それを聞いたら、宮藤きっと泣いちゃうかもしれないぞ?」
バルクホルン「なっ・・・!?」
ハルトマン「だよね〜せっかくトゥルーデを励ましてあげようと思ってくれてる宮藤の純粋な気持ちを、トゥルーデは踏みにじっちゃうつもりなんだね・・・」
バルクホルン「ち、違うぞ!私は決して宮藤の気持ちをわかっていないわけではない!」
シャーリー「でも今の発言からして、そういう風には聞こえなかったよな?」
ハルトマン「うん、明らかにそういう風には聞こえない」
バルクホルン「くっ・・・貴様ら・・・!」

ガチャッ

芳佳「あの〜どうかしたんですか?」
バルクホルン「なっ!み、宮藤!?」
芳佳「へ?バルクホルンさん、何ですか?」
バルクホルン「い、いや!なんでもない!」
ハルトマン「お、宮藤だ!ちょうど良かった!実はさ・・・」
バルクホルン「おい!ハルトマン!言うな!絶対に言うな!」
ハルトマン「え〜?何で〜?言っても良いじゃ〜ん」
バルクホルン「ダメだ!絶対にダメだ!!」
シャーリー「まぁまぁ、かわいい妹の前だからってそうムキになるなよ、お姉ちゃん♪」
バルクホルン「黙れリベリアン!!貴様になど言われたくもないわ!!」
シャーリー「じゃあ宮藤に言われたらどうなのさ?」
バルクホルン「なっ・・・!?」
芳佳「え・・・?あぁ、ひょっとしてバルクホルンさん」
バルクホルン「ま、待て宮藤!言うな!言わないでくれ!!(本当は言われたいがこいつらの前では・・・!!)」
芳佳「お姉ちゃん♪」
バルクホルン「!!!!」

カァ――――・・・

ハルトマン「アハハハハハハハ!!トゥルーデ、顔真っ赤だ〜!!」
シャーリー「ダ−ハッハッハッハッハッハッ!!ダ、ダメだ、息が・・・ククククク・・・!」
バルクホルン「くっ・・・貴様ら〜〜〜!!!!」

199お姉ちゃんって呼んで!2:2011/07/22(金) 22:51:17 ID:HQQQ.cn.
ハルトマン「わっ!トゥルーデが怒った!」
シャーリー「宮藤!もう一回言ってやれ!」
芳佳「へ?じゃあ・・・お姉ちゃん!怒っちゃやだよ!」
バルクホルン「うぐっ・・・!」
シャーリー「お〜、止まった」
ハルトマン「トゥルーデはホントにクリスに弱いな〜、あ、宮藤に弱いって言った方が正しいかな?」
シャーリー「アッハハハハハハハハ!!そりゃ言えてるな!アハハハハハハ!!」
バルクホルン「くっ・・・貴様らさっきから調子に乗りおって・・・!」
芳佳「でもバルクホルンさん、そんなに困る事でもないんじゃないですか?」
バルクホルン「お前は困らないかもしれないが、私は困るんだ!!」
芳佳「そう、ですか・・・」
バルクホルン「うっ・・・なんだ宮藤・・・そんな、悲しむ事はないだろう?」
芳佳「だって・・・バルクホルンさんがクリスさんに会えなくて寂しそうだから、私、言ってあげてるのに・・・」
バルクホルン「そ、それは・・・」
芳佳「うっ・・・グスッ・・・」
バルクホルン「なっ!?お、おい!宮藤!?」
ハルトマン「あ〜あ〜、トゥルーデが宮藤泣かしちゃった」
シャーリー「ハルトマンと同じカールスラントのエースのくせに、妹にそっくりの女の子を泣かせちゃうなんて、やっぱりカタブツはカタブツだな〜」
バルクホルン「も、元はと言えば貴様らが調子に乗ったのが悪いのだろうが!」
ハルトマン「でも宮藤泣かしたのはトゥルーデじゃん」
バルクホルン「うっ・・・!」
芳佳「うっ・・・あうぅ・・・」
シャーリー「お〜、よしよし宮藤、泣くな泣くな、良い子だから笑ってくれよ、な?」
バルクホルン「おいリベリアン!どさくさにまぎれて宮藤に抱きつくな!」
シャーリー「うっさいな〜、宮藤を泣かした本人にとやかく言われる筋合いは無いんだよ、カタブツは黙ってろよ」
バルクホルン「くっ・・・さっきからカタブツカタブツと・・・!」
シャーリー「じゃあ、お前から宮藤に謝れよ」
バルクホルン「い、言われなくてもそのつもりだ!」
シャーリー「だってさ、ほら、宮藤」
芳佳「はい・・・」
バルクホルン「み、宮藤・・・その・・・すまない・・・別に私は嬉しくないわけではないんだ」
芳佳「・・・本当ですか?」
バルクホルン「ほ、本当だ、ただ・・・他人の前ではあまりやらないでほしいんだ・・・」
芳佳「・・・はい!」
ハルトマン(お、笑ってくれた)
バルクホルン「・・・!!(ダメだ・・・やはりクリスに似ている・・・!)」
ハルトマン「うんうん、一件落着、だね」
シャーリー「みたいだな」
ハルトマン「それじゃあ・・・宮藤」
芳佳「はい、何ですか?ハルトマンさん」
ハルトマン「トゥルーデが人前で言われるのは恥ずかしいみたいだからさ・・・私の事お姉ちゃんって呼んでよ!」
バルクホルン「なっ!?」
芳佳「え〜?何でそうなるんですか?」
ハルトマン「何だよ〜?私だって妹いるんだよ〜?」
芳佳「それは知ってますけど、ウルスラさんはウィッチだし、大丈夫じゃないですか?」
ハルトマン「心外だな〜、私はあの子がウィッチだから心配なんだよ だから宮藤、言ってよ♪私の事お姉ちゃんって♪」
芳佳「でもハルトマンさんってあんまり心配性じゃなさそうですし・・・」
ハルトマン「そんな事無いよ〜 これでも誰よりも心配性なんだよ〜?ね〜言ってよ〜宮藤〜」
芳佳「い、言えないです・・・」
ハルトマン「え〜?何でだよ〜?」

200お姉ちゃんって呼んで!3:2011/07/23(土) 00:13:52 ID:HBC3wHnI
芳佳「バルクホルンさんじゃないと言えません・・・」
バルクホルン(み、宮藤・・・!)ジ〜ン
ハルトマン「む〜、トゥルーデは良くて、何で私じゃダメなんだよ〜?」
芳佳「そんな膨れっ面になっても困ります・・・」
ハルトマン「む〜・・・宮藤のケチ」
芳佳「ケチって言われても・・・」
シャーリー「アハハハハハ、まぁ、ハルトマンってお姉ちゃんって感じはあんまりしないもんな〜」
ハルトマン「む〜、シャーリーまでそういう事を・・・」
シャーリー「ならさ宮藤、私に言ってくれよ、お姉ちゃんってさ」
芳佳「え?でもシャーリーさんならルッキーニちゃんに言ってもらえば良いじゃないですか」
シャーリー「今は宮藤に言ってほしいんだよ、な?良いだろ?」
芳佳「う〜・・・理由が無いから言えません」
シャーリー「何だよ〜?強情だなぁ宮藤は」
芳佳「そ、そう言われても・・・」
バルクホルン「いい加減にしろ、二人とも 宮藤が困ってるだろ」
ハルトマン「邪魔しないでよトゥルーデ、取り込み中なんだからさ〜」
シャーリー「そうだぞ、大体、お前だけお姉ちゃん呼ばわりされるのなんてちょっとずるいぞ」
バルクホルン「宮藤が言えないと困ってるんだ いちいちそういう事を気にする理由があるのか?」
ハルトマン「トゥルーデは人前で言われるのが恥ずかしいんでしょ?私達は別に気にしないもん」
バルクホルン「宮藤は言えないと困っているんだ かわいそうだと思わないのか?」
ハルトマン「ふっふ〜ん、なら、私達のどっちかに言ってくれるまでやめないもんね〜♪」
バルクホルン「あのな・・・」

ガチャッ

ミーナ「あら?どうしたのみんな?」
坂本「ずいぶんと賑やかだな、何かあったのか?」
シャーリー「お、坂本少佐にミーナ中佐」
ハルトマン「ふふふ・・・実はね・・・」

説明中・・・

坂本「ほお・・・そうだったのか、バルクホルンが宮藤に・・・」
シャーリー「そうそう、もうゆでダコみたいに顔真っ赤にしてさ・・・」
ミーナ「でも優しいわね、宮藤さんは いつもクリスを心配しているトゥルーデのためにそんな事をしてくれるなんて」

ナデナデ・・・

芳佳「えへへ、ありがとうございます」
バルクホルン(ミーナ・・・!宮藤の頭を撫でるとは・・・!私なんか一度もやった事ないのに!)
ハルトマン「でもさ〜、トゥルーデだけ良いなんてずるいよ〜」
バルクホルン「どうでもいいだろう、そんな事ぐらい」
ハルトマン「どうでもよくないよ〜!」
シャーリー「とにかく、宮藤が私達の内の誰かに言ってくれるまではやめるつもりはない!あ、カタブツは抜きな」
バルクホルン「何故私は抜きなんだ!?」
シャーリー「だってお前さっき言われてたじゃん」
ハルトマン「だからトゥルーデは抜きだよ〜♪」
バルクホルン「ふ、ふざけるな!」

201お姉ちゃんって呼んで!4:2011/07/23(土) 01:03:16 ID:HBC3wHnI
坂本「まぁ落ち着けバルクホルン、とにかく宮藤が言ってくれればそれで済むのだろう?」
ハルトマン「うん、そうだよ」
芳佳(なんだか疲れてきちゃったな〜・・・それにさっきから私、振り回されっぱなしだよ・・・)
ミーナ「宮藤さん、大丈夫?何だか疲れているみたいだけど・・・」
芳佳「あ、いえ、大丈夫です、気にしないでください」
坂本「宮藤、ハルトマンとシャーリーには言えないのだろう?なら、私はどうだ?」
芳佳「え?坂本さんですか?」
坂本「あぁ」
芳佳「う〜ん・・・」
ハルトマン(ねえねえ、坂本少佐ならどうなんだろうね?宮藤は)
シャーリー(う〜ん・・・あの宮藤の様子からして・・・)
芳佳「・・・ごめんなさい坂本さん、無理です・・・」
坂本「む・・・そうか・・・」
シャーリー(やっぱり・・・)
ハルトマン(ダメか・・・)
ミーナ「この際、宮藤さんにお姉さんって呼んでいいのはトゥルーデ限定でも良いんじゃないかしら?その方が・・・」
ハルトマン「ちょっと待った!」
ミーナ「どうかしたの?エーリカ」
ハルトマン「まだミーナが終わってないよ」
ミーナ「え?私は・・・」
シャーリー「確かに、少佐もやったんだし、中佐だけやらずに終わるのは納得いかないね」
坂本「うむ、そこは私も同感だな」
ミーナ「み、美緒まで・・・」
ハルトマン「とにかく!ほら、ミーナ!宮藤の前に立って!」
ミーナ「きゃっ!ちょ、ちょっとエーリカ!」
芳佳(あぁ・・・ミーナ中佐まで・・・どうしようかな・・・)
ハルトマン「さ、宮藤!言えるか言えないか、はっきり答えて!」
シャーリー「さすがに宮藤も疲れてきてるだろうし、中佐で最後にしてもらおうか」
芳佳(・・・もういいや)
ミーナ「あの、宮藤さん・・・」
芳佳「・・・お・・・」
バルクホルン(!!)
ハルトマン(おっ!?)
シャーリー(宮藤が初めて・・・!)
坂本(む・・・)
芳佳「お・・・お・・・」
ミーナ「・・・」
芳佳「お、おね・・・」
バルクホルン(み、宮藤!言うな!言ったらダメだ!!)
シャーリー(言うのか!?言うのか!?)
ハルトマン(言え!言っちゃえ宮藤!)
坂本(・・・)
芳佳「お・・・お・・・お・・・」
ミーナ(宮藤さん、顔が真っ赤に・・・無理して言う必要は・・・)
芳佳「・・・お・・・ん」
バルクホルン(!?)
ハルトマン(今言った!)
シャーリー(宮藤!聞こえるように!聞こえるように言ってくれ!)
坂本(・・・まさか・・・)
芳佳「・・・・・・お母・・・・・・さん」
ミーナ「!」
ハルトマン&シャーリー「・・・え?」
坂本(やはりな・・・)
バルクホルン(なん・・・だと?)
芳佳「お、お母・・・さん」
ハルトマン&シャーリー(また言った!)
ミーナ「宮藤さん・・・」
芳佳「あ・・・あ、あの、ミーナ中佐・・・」
ミーナ「何?」
芳佳「ご・・・ご、ごめんなさい!」

ガチャッ!タッタッタッタッタッタ・・・

ハルトマン「あ!宮藤!待ってよ!」
シャーリー「お〜い!宮藤〜!!」
バルクホルン「あ、こら!待て!二人とも!」

ガチャッ!ダダダダダダダダダダダ・・・

坂本「行ってしまったな・・・」
ミーナ「・・・」
坂本「・・・ミーナ?」
ミーナ「お母さん、かぁ・・・ウフフ」
坂本(宮藤・・・私ではダメだったのか?)

 台所に残ったのは、芳佳ちゃんにお姉ちゃんと言われず残念そうに思う坂本少佐と、お母さんと言われて嬉しそうに笑顔を浮かべるミーナ中佐でありました。

終わり


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板