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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所8

2管理人 ◆h6U6vDPq/A:2011/03/04(金) 23:23:37 ID:7A0XfQVw
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36Qn3fxtl:2011/03/06(日) 07:37:57 ID:iRnXPAs.
>>1 管理人様
スレ立て乙です。いつもありがとうございます。

>>前スレ421 5uxL6QIl様
まず、30機撃墜クラブ入りおめでとうございます!
このアメリーペリーヌも甘っ甘でGJ!
やっぱりペリーヌには、笑っててほしいですよね。


>>同427 Hwd8/SPp様
エーリカ、マジ天使。
振り回されっぱなしのエイラがいい味だしてます。


さて。新スレ1本目で少々恥ずかしいですが、エーリカゲルト置いていきます。
よろしければどうぞ。

4彼女が制服に着替えたら〜エーリカ編〜 (1/2 @ 6Qn3fxtl):2011/03/06(日) 07:39:16 ID:iRnXPAs.
「ハールートーマァァァン!!!!!!!!」
今日も今日とて、どっかの軍バカ大尉の大声が寝ぼけた頭によく響く。
目の前にいるんだからそんなに大声出さなくても聞こえますって。
あんまり大声出して基地壊しちゃだめだよ、トゥルーデ。
ロマーニャの基地は急ごしらえなんだから。

「あぁ、おはよ。トゥルーデ」
「おはよ、じゃない! 今何時だと思ってるんだ!何時だと!」
エーリカちゃんは今起きたばっかりだから、まだ朝ですよ。
あたり前じゃないですか。
「もう昼食の時間も過ぎてるんだぞ!いい加減にしろ!」
あー。またお昼食べそこねたよ。今日は宮藤とリーネが担当だから、
きっとおいしかったんだろうな。あとで二人に頼んで何かつくってもらおっと。

「どうしていつもいつもそうやってだらしない生活がしていられるんだっ!!!
軍人としてどうこうの前に、カールスラント人として
もうちょっとしっかりできんのか、しっかり!!!」
寝巻き---といってもほとんど下着だけだけど---をだらしなく着崩した私は、
両肩をがっしり掴まれてぐわんぐわんとゆさぶられる。
あぁ、自分の作ったシュトルムに巻き込まれたときってこんな感じだ……。
「お前はっ……!!!それでも人間かっ!!!」

これはひどい。カールスラント軍で一番、ひょっとすると世界中の全ウィッチの中でも
1、2を争うぐらいのスーパー美少女エース、エーリカ・ハルトマンちゃんを捕まえて
その言い方ってないんじゃないだろうか。
さすが、頭の中に軍規と訓練と妹しか入ってない人は見る目がないよ。

「別にいいじゃん、誰が見てるわけでもないんだし」
「そうはいかん! 栄誉あるカールスラント空軍航空歩兵たる我々は、
常に全カールスラント人、ひいては全人類の規範となるべくだな……」
「……トゥルーデ、いつもそんなことばっかり考えてたら胃に穴あくよ……」
「お前はもう少し考えろっ!!!」
わかったわかった。考えます。考えますから耳元で大きな声で叫ぶのはやめてください。
いつかみたいに優しい声で私の名前を呼んでくださいな。

「……ともかく、着衣の乱れは心の乱れ!
ほら、ブラウスにアイロンかけておいてやったから、さっさと制服に着替えろ」
わーい。ちょうどブラウスが見つからないなーって思ってたとこだったんだー。
ありがとう、トゥルーデお姉ちゃん。愛してるよ。
「ふざけたこといっとらんでさっさと着替えんか」
はーい。

5彼女が制服に着替えたら〜エーリカ編〜 (2/2 @ 6Qn3fxtl):2011/03/06(日) 07:39:43 ID:iRnXPAs.


……もしもし、ゲルトルート・バルクホルン大尉?
「なんだ?」
どうしてそこにいらっしゃるので?
「お前が二度寝しないか、制服の襟が曲がっていないか、
肩章がきちんと付いているか確認するためだ。まるで訓練生だな」
チェックしてくれるのはありがとうございます。
でもね。私は着替えたいわけですよ。
「だから早く着替えろといってるだろう」
いや、だから。
「なんだ……何が言いたいんだ?」
すいませんけど、着替える間ぐらい、部屋を出ていてもらえませんか?
……何その『なにいってんだこいつ』っていう視線は。

「部屋を出ていったら、二度寝をするかだらしない格好をするか、
いずれにせよひどいことになるだろう。だから見張っているんだ」
……少女のプライバシーを土足で踏みにじるのは感心しませんぜ、大尉。
「何がプライバシーだ。私は上官としてお前を監督する義務と責任があるのだ」
いや、だからそこはいいの。着替えてからチェックすればいいことだから。
……だからその『わかんない』って顔やめてってば。 

「だから早く着替えろといってるだろう。それとも、着替えを手伝って欲しいのか?」
「ちがうよっ!」
「だったら早くしろ!」
「だから!……あっち向いててよ、お願いだから」

……なにさ、その呆れたような顔は。
「お前はバカか?下着姿で、ましてやズボンを履かずに基地内を
うろつくような奴がどうして着替えくらいで恥ずかしがるんだ!!」
恥ずかしいよ!年頃の女の子だもん!
下着も替えるし、ズボンも脱ぐんだぞ!
「いつも一緒に風呂に入ってるだろうが!」
「それとこれとは別!」
「今さら恥ずかしがるような間柄じゃないだろ!」


「バカ……!」
トゥルーデだから、恥ずかしいんじゃん。いわせんな。
そりゃ……いつも散々なところ見せてるけど、私にだって、
気になる人には見せたくないものはあるんだよ。
気になる人は特別なんだよ。
戦況を読むのは得意なくせに、こういう気配りができないんじゃ
いまどきの若い子はついてこないよ。この堅物。


「さぁ、くだらんことを言ってないでさっさと着替え……」
「いいから出てけーー!!!」
「おっ、おい!!!」

無理やりに廊下に追い出したら、さっきより少し静かになった。
基地内では静粛を旨とすべし、だもんね。大尉殿。

「……ほんとに、バカ……」
だれかあの大尉に“新人教育”をしてやってくださいな。
きっと私よりも問題児です、あの人。


fin.

66Qn3fxtl:2011/03/06(日) 07:40:23 ID:iRnXPAs.
以上です。トゥルーデ、マジトゥルーデ。

75uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/03/06(日) 23:50:53 ID:yBaIbMmY
こんばんは、今日はサーシャ大尉の誕生日という事で
ニパーシャで1本書いてみました。ではどうぞ

8ニパのプレゼント 1/2:2011/03/06(日) 23:53:38 ID:yBaIbMmY

「いや〜、今日も3人揃って派手に墜ちたね」
回収班のトラックに、ボロボロになったストライカーユニットを乗せながらクルピンスキー中尉が陽気に言う。
何でこの人は撃墜してもいつも笑っていられるんだろうか。
基地のキューベルワーゲンでわざわざ迎えに来てくれたロスマン先生も同じく疑問に思ったらしく、
いつものように中尉の頭を指示棒でぺしぺしと叩きながら、呆れたように溜息をついた。

「『派手に墜ちたね』じゃないわよ、全く。何であんたはそんなにヘラヘラしていられるの?」
「何事も楽しまないと損だよ先生。ほら、笑おうよ。怒ってたらせっかくの可愛い顔も台無しだよ」
「笑えるわけないでしょ! あなた達、この1週間でストライカーを何機ダメにしたと思ってるの?
大体あなた達は……まぁいいわ、続きは基地に帰ってからにしましょう。さ、3人とも早く乗って」
「はぁ〜、こりゃ帰ったらお説教だな」
隣のカンノが憂鬱そうに溜息をつきながら言う。
「また正座しないといけないのか……」
私もカンノと同様に溜息をついてキューベルワーゲンに乗り込む。
それにしてもクルピンスキー中尉、何だか妙に生き生きしてるような……?

「ところで先生、出撃前に話してた件だけど……」
「ええ。それならちゃんと隊長に許可は取ったわ。日が暮れる前に早く行きましょう」
「ん? このまま真っすぐ基地に帰るんじゃないのか?」
「やだなぁ、ナオちゃん。今日はクマさんの誕生日だよ。誕生日プレゼントも買わないでのこのこと基地に戻ったら、
絶対怒られるよ」
「いや、どちみちストライカー壊した件は怒られるわよ」
と、すかさず中尉に突っ込むロスマン先生。
そっか、今日はサーシャ大尉の誕生日だったっけ。
全く、そんな特別な日に3人揃って仲良く撃墜だなんて本当に情けない。

「ところで、プレゼントって何買うんですか?」
私がそう尋ねると、中尉は少し考えるような仕草を取った。
「う〜ん、クマさんって機械とかは大好きだけどオシャレには疎そうだしなぁ……ボクとしては
アクセサリーとかがいいと思うんだけど、先生はどう思う?」
「そうね、私もアクセサリーがいいと思うわ。大尉、あんなに綺麗なのにオシャレしないのは勿体ないもの」
「決まりだね。それじゃあ早速、アクセサリショップへしゅっぱーつ!」

――数十分後、街のアクセサリショップ

「ふ〜ん、アクセサリショップって色々置いてあるんだな……」
ショーウィンドウに並んでいるアクセサリの数々を見つめながらカンノが呟く。
「カンノはこういう店、来るの初めてなのか?」
「当たり前だろ。オレが好き好んでこういう店に来ると思うか?」
「いや、思わない……ん? これは……」
ショーウィンドウに並んであった金色のネックレスがふと私の目に止まる。
「このネックレス、すごく綺麗だな」
私は、サーシャ大尉がこのネックレスを付けた姿を想像してみる。
うん、上手く言葉に言い表せないけどとても似合いそうな気がした。
「お、ニパ君中々良い物に目をつけたね。先生、このネックレスなんかいいんじゃない?」
「どれどれ……本当、すごく可愛らしくて綺麗なネックレスね……店主さん、これ下さい」
ロスマン先生が財布からお金を取り出し、ネックレスを購入する。
一見子供にしか見えない先生が大金を出すものだから、店主さんはとても驚いていた。
「さすが先生、太っ腹だね」
「あら、今支払ったお金は隊長に頼んで、あなた達の給料を前借りしたものよ」
「へぇ〜……って、ええ!? ボク達の給料使っちゃったの?」
「当然でしょ? あなた達が1番大尉に迷惑かけてるんだから」
「うぅ、確かにそれは否定できない……」
「うん」
私とカンノは納得したように頷く。

9名無しさん:2011/03/06(日) 23:53:48 ID:jvpevUq.
そんなトゥルーデが大好きです。

GJ!

10ニパのプレゼント 2/2:2011/03/06(日) 23:54:10 ID:yBaIbMmY

「ねぇ、そう言えば誰がプレゼントを渡すの?」
帰りの車中、ロスマン先生が不意に私たちにそう尋ねてきた。
「う〜ん、ボクが渡したら何か誤解されそうだし……ニパ君がいいんじゃない?」
「ああ。オレもニパがいいと思う」
「そうね。私もニパが一番適任だと思うわ」
「ちょ、ちょっと待って! 何で私なんですか? 別にカンノでもいいじゃないか」
「いや、オレあの人の前だと緊張して上手く喋れないと思うし……
それに、そのネックレスに1番最初に目を付けたのはニパじゃないか」
「それはそうだけど……何だか恥ずかしいよ」
「大丈夫大丈夫。いざとなったらボクがフォローしてあげるから」
私にウインクしながら微笑むクルピンスキー中尉。
かえって不安になるのは何故だろうか。

――十数分後、502基地

「全く、あなた達は何機ストライカーを壊せば気が済むんですか!」
予想通り、基地に帰ってくるや否やサーシャ大尉のお説教タイムが始まった。
私たち3人は冷たい床の上で正座して、大尉のお説教を黙って聴いていた。
「ニパ君、ここいらでプレゼントを渡したほうがいいんじゃないかな」
隣に座っているクルピンスキー中尉が小声でそう囁きかけてきた。
「え? このタイミングでですか?」
「うん。いいかい? プレゼントを渡しながらこう言うんだ……ごにょごにょ」
「こら! 2人とも何をこそこそ話しているんですか?」
「大尉、あの……!」
「何ですか? ニパさん」
私は意を決してポケットの中からネックレスの入った小さな箱を取りだし、それを大尉の前に差し出す。
「大尉、誕生日おめでとうございます! これ、私たちからの誕生日プレゼントでぅっ……です!」
「そこ噛むのかよ……」
後ろでカンノがぼそっと呟く。
だけど、私はそこで挫けずに今中尉に言われた言葉を続ける。
「このネックレス、綺麗で可愛い大尉に絶対似合うと思います!」
……言っちゃった。一瞬、辺りに沈黙が流れる。
サーシャ大尉は驚いたような表情を浮かべた後、ゆっくりと口を開いた。
「え、えっと……ありがとうございます。私、すごく嬉しいです」
大尉は優しく微笑むと箱からネックレスを取り出し、それを首に付けた。
わぁ、想像以上に似合っててすごく可愛い。
「似合ってるよ、クマさん」
「ありがとうございます。でも、これで今日の件が帳消しになったりはしませんからね。
3人とも夕食までそこで正座していてください」
「あ、やっぱり正座はしてないといけないのね……」

夕食まで正座しているのは辛かったけど、大尉が私の選んだプレゼントを気に入ってくれて本当に良かった。

――――――

「さっきの台詞、中尉に言わされてたんですか?」
夕食後、2人きりになった談話室で大尉が私にそう尋ねてきた。
「えっと、台詞を考えたのは中尉だけど綺麗で可愛い大尉に似合うと思ったのは本心です……」
「ニパさん、ズルいです。そんな事言われたら何も言い返せないじゃないですか……」
大尉が顔を真っ赤にして俯く。
そ、その表情は反則ですよ大尉。
「大尉、ごめん! 私、我慢できないです!」
大尉の仕草と表情があまりにも可愛かったので、気が付けば私は大尉の唇に口付けを落としていた。
「んっ……ニ、ニパさん!? い、いきなり何を……」
「好きだよ、サーシャ」
そう言って私はもう1度サーシャ大尉にキスをする。

――なぁイッル、オラーシャのウィッチって不思議な魅力を持ってるよな。

115uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/03/07(月) 00:03:13 ID:t9Tmvf1Y
以上です。たまには積極的なニパさんも悪くないかなと思ったり。
サーシャ、誕生日おめでとう!
早いものでサーシャがフミカネさんブログで公開されてから、もう1年経つんですね。

前スレ>>424 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。素敵なエイラーニャをありがとうございます。
エッチな本をサーニャに見せるエーリカが面白いです。

>>429 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。エーリカとシャーリーとは珍しい組み合わせですね。
本編ではほとんど絡まない2人ですが、結構気合いそうですよね。

>>4 6Qn3fxtl様
GJ&お久しぶりです。こういうエーゲルいいな〜
エーリカマジ乙女!

12名無しさん:2011/03/20(日) 01:54:10 ID:FEn4luTI
今なら言える

トゥルーデ、誕生日おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!

13Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 17:55:55 ID:JhZywWNo
自分からも…おおおおおおっ!!!!
トゥルーデ!誕生日おめでとうおおおおおお!!!!

あ、どうも。皆さま感想を書いて頂きありがとうございます!感想・返信をしてない自分を許してください!!
久しぶりに『ヘルマの発情』シリーズ…なのですが、色々あったので今回はいつものハイテンションを封印し、特別編を投稿してみたいと思います。
トゥルーデの誕生日に関するエピソードです。


【特別編・ヘルマの軍規違反】

「有給ください!」
「…何故?」
「それはその…私のお祖母ちゃんの入院の準備がありまして…」
「却下」
「何故でありますか?!」
「手術の日ならまだしも、別に入院の準備なら行かなくて良いと思う」
「じゃ、じゃあ手術です!!」
「じゃあって何?」
「ぐぬぬっ…」

いきなりこんな会話からで申し訳ございません!
ストップ、買い占め!第131先行実験隊「ハルプ」第三中隊所属、ヘルマ・レンナルツであります!
ただいま3月19日の午後1時。お昼の休憩を終え、真っ先にハルトマン中尉の研究室のドアを叩いたであります!

「えと…さっきのお祖母ちゃんの入院は違くて、あの…えと…家族の人に留守を頼まれましたであります!」
「…レンナルツ曹長、今は寮暮らしでしょう?」
「うっ…!とっ、とにかく休みが欲しいであります!!」
「休んでも良いけど、帰ったら曹長のジェットストライカーがあると約束はしない…」
「それは明らかなパワハラであります!!!(泣)」


***

14Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 17:56:33 ID:JhZywWNo
>>13の続き。

「はあ…ダメだったでありますかぁ…」

その後、小一時間に渡る説得をしたのでありますがダメでした…。
落ち込んで廊下を歩いていると………

「あ、ヘルマ!」
「………」
「おーい、レンナルツ曹長」
「………」
「ヘチマ曹長?」
「………」
「フランツ・フェルディナンド曹長?」
「…あ、シュナウファー大尉」
「あなたそんな名前じゃないでしょう…」
「どうしたんでありますか?」
「いやあ…下を向いてで歩いて、明らかに残念オーラが漂ってたから…何かあったの?」
「…シュナウファー大尉、もし!裁判になったら!」
「裁判?」
「裁判になったらですね…私が有利になる証言をお願いするであります!」
「は、はあ???」
「私、決めました!徹底的に戦うであります!」
「ちょ…ちょっと待って、話が見えないんだけれども…;;」









私は自室に戻り、バッグに衣服などを入れていたであります...

「えと…軍服の上OK、下OK、歯みがきセットOK、ズボンOK、おもらしした用に予備OK…そして…例のアレOK!よし、完璧であります!」

出発は夜明け前の3時!結果、ハルトマン中尉やシュナウファー大尉を裏切る結果となりますが………
こんな娘でごめんなさい、ここで過ごした日々…楽しかったであります(泣)


***

15Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 17:57:02 ID:JhZywWNo
>>14の続き。



まだ日が出ていない…と言うか、誰もいない倉庫にそおっと入るであります...

「私のジェットストライカーはと…暗くてよく見えないであります;;あ、あった!」

閉まっている倉庫から引っ張り出し、ここでエンジンを始動すると音が大きくバレてしまう可能性があるので近くの丘まで持って行くであります;;

「おっ…重いっ…;;;」




20分ほどかけて、少し基地が遠く見えるような丘でエンジンを始動。そのまま発進するであります!

「シュバルツェカッツェ(黒猫)2番、発進するであります!!」

そうして、ロマーニャ・ベネツィア方面に飛んだであります...















































ゴオォォォォッ...

いくらシールドを張ってるとは言え、少々寒い感じがするであります。
もう一枚着こんでくれば良かったでありますねぇ…

…あんま今は考えたくないでありますが、もしこの無断でストライカーを使ったら
…うん、業務上横領罪でありますよね??いや、もしくは窃盗罪…;;;
今からでも遅くないであります、帰ろうかなあ…?;;
…いや!例のアレを渡すまでは!!!!
私はバルクホルン大尉にアレを渡すまでは帰れないんです、枕元にポッと置いてすぐ基地に戻るんであります!!

と、顔をパンパン両手で叩いたであります!!
………んっ!?

「もしかして…?」

赤い光が見えるであります…

「でも今日は確か、輸送機などはなかったハズ…!!」

やはりあれは…ネッ、ネウロイであります!しかも大型の!!!!
…ごめんなさい、バルクホルン大尉…私はまず軍人であります…!!
やはり軍人としての全うな義務を果たすべきでありまして…っ!!

すぐさまポケットから無線を取り出し、

「こちらシュバルツェカッツェ2番シュバルツェカッツェ2番、司令部聞こえるでありますか??!!北北東の方角から大型ネウロイ接近中、ただちにナイトウィッチの派遣をお願いします!到着までの間、私が足を止めます!!!!」


***

16Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 17:57:56 ID:JhZywWNo
>>15の続き。




「………」

あの後すぐ、無事にシュナウファー大尉率いる第1夜間戦闘航空団第4飛行隊が到着。
私も応戦したであります…が!基地に帰ったらもう大変;;
まあ………ねえ?察してくださいであります;;;

まあ司令に殴られた…であります。そして罰として、2日間の営倉入り。
…後からシュナウファー大尉から聞いた話なのですが、ハルトマン中尉が直談判しに行って除隊だけはやめるよう懇願。
結果的にネウロイも発見・退治できたことから、2日間の営倉入りだけで済んだんだそう。

コツコツコツ...

「…レンナルツ曹長」
「ハルトマン中尉」
「もう…出て良い」
「はい…であります…」
















パシンッ!!!!

営倉から出てすぐ、私はハルトマン中尉に平手打ちされたであります…

「…馬鹿」
「もっ、申し訳ございませんであります…っ」
「何で言わなかったの…?」
「………」
「バルクホルン大尉に会いに、ロマーニャ方面へ行こうとしたんでしょう?」
「…はい」
「正直に言ったら、私だって…501部隊へ、ストライカー部品の運送名目であなたを派遣させた」
「………」
「バルクホルン大尉をお祝いしたいのは、私も一緒…」
「………」
「しばらく、頭…冷やしなさい」
「申し訳ございません…」

すると急に、

ギュッ...

「ハッ、ハルトマン中尉…?」
「心配させないで、あくまでもあのストライカーは試作品なの…」
「ごめんなさい…」
「まだ長距離の実験もしてないから…」
「もう二度としません…っ」

離れると…いきなり手に何かを握らせられたであります。

「あなたは2日ほど頭を冷やした方が良い」
「あの、これ…」
「今日は自分の部屋に戻りなさい」

そう言うとスタスタ自分の研究室に戻るハルトマン中尉。
手に握らせられたのは………

「何でありますかこれ…『アーヘン発ベネツィア行き』…航空券っ??!!」


***

17Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 17:59:57 ID:JhZywWNo
>>16の続き。

【第501部隊基地内のエーリカ・バルクホルンの部屋】

「えぇいハルトマン!何故ズボンを履かないのだ!?」
「だって…ないんだもん」
「きっ、貴様…っ!!それでもカールスラント軍z(ry」

コンコン...

「あのぅ…バルクホルン大尉」
「おう、なんだ宮藤」
「お客様です」
「客?私にか?」
「はい。以前この部隊に来た方なのですが…」

キイッ...

「…レ、レンナルツ曹長」
「あ、やっほ♪」
「………」

なんだろう、バルクホルン大尉の顔を見た瞬間に私…っ!!

「うっ…ううっ…」

今まで我慢してたものが一気にこみあげてきて…っ!!

「バルクホルン大尉っ!!!うっ…ううっ…うわ〜んっ!!!!」
「っ?!ちょ…どうしたレンナルツ曹長!?何故泣いている?!」
「だって…だってっ!!うわ〜んっ!!!!」
「え、えっと…あの…」
「…とりあえず、ギュッとするか頭を撫でたら?」
「あ、うん…そうしよう」

するとバルクホルン大尉は優しく私を抱きしめ、頭を撫でてくれたであります...

「どうした…?何があった…?」
「私…軍人として踏み外す行動を…っ」
「???」

私は15分以上、パルクホルン大尉の胸で泣いてしまったであります…

18Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/20(日) 18:00:46 ID:JhZywWNo
>>17の続き。

「落ち着いたか?」
「はい…であります」

いつの間にかハルトマン中尉…あ、エーリカ・ハルトマン中尉でありますよ?…は外で出てしまってこの部屋は私と大尉2人っきりであります。

「…さっき、ミーナから聞いたがお前ってヤツは…」
「もう二度としません…であります」
「まっ、私は以前こんなことを聞いたことがある。『失敗は尊い月謝である』とな」
「はい…」
「人は失敗をしないと、成長はしない。今回の行動は…その…」
「…正直、営倉に入った時は軍を辞めることも考えたであります。けど…ネウロイを目撃した時、バルクホルン大尉よりネウロイを優先しました。今自分が何をすべきか…を冷静に考えたんです、営倉で」
「そうか」
「やっぱり…やっぱり、私は軍務が大事なんだなあって。戦いが終わった後、なんでこんなバカな真似をしたんだろうって…」
「…なあ、この話止めにしないか?」
「へ?」
「いや…その…お前はじゅうぶん反省した!それで終わりだ」
「でもカールスラント軍人として…」
「なんだ、叱られたいのか?」
「そんな訳では…」
「じゃあ終わりだ。コーヒー飲むか?とびっきり甘いの」
「はっ…はいでありますっ!!!」

…そうして、温かいコーヒーを持ってきてくれたであります。

「そういや、何故ここに来ようと思ったんだ?」
「…あ!」
「どうした?」
「えと…この…」

急いでリュックの中から例のアレを…

「少し遅くなりましたが…バルクホルン大尉!お誕生日、おめでとうございます!!!」
「…へ???」
「これ…私とクリスさんで選んだプレゼントです!」
「クッ、クリスとか??!!」
「はい…あとお手紙も貰ってます」
「お前…クリスと仲が良いのか…」
「はい!…まあクリスさんはロンドンに居るので、1〜2か月に一度しか会えませんが;;」
「ありがとう!」

ギュッ...

また抱きしめられたであります!
…あれ、何時もならテンションMAXなのに今日はその…色々あった後だから、なんかその…心地よい?と言うか…

「本当にありがとう!」
「このプレゼントを渡したくて…ここに来ました」
「これからもクリスと…仲良くしてやってくれ」
「………はい!であります!」
「その笑顔!それでこそレンナルツだ!」

もうしばらくこのままでいても…良いでありますよね…?







【おわり】


***

長文、失礼しました。

19名無しさん:2011/03/21(月) 19:41:52 ID:zlKI5KhE
>>18
ヤバいよヤバいよ
キュンキュンした!!
ウルスラは片思い……なのかな

20名無しさん:2011/03/21(月) 23:42:16 ID:u9c.3jVo
>>18
ウルスラの心遣いにキュンときました。GJ。
お姉ちゃんはやっぱりいいお姉ちゃんですね。

21Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/22(火) 17:20:38 ID:IKdUgetM
どうも、>>18です。

>>19
ウルスラが片思い…なるほど!その設定は考えていませんでした!;;
今後の展開の参考に、ぜひさせて頂きます!!

>>20
お姉ちゃんは自分の中でペリーヌ・エイラに次ぐ、ほぼ「ネタキャラ」扱いなのですがまあ誕生日…と言うことで「良いお姉ちゃん」に仕立てました!
映画版ジャイアン…みたいな??!!


ご両名方、感想ありがとうございます!

22名無しさん:2011/04/05(火) 22:25:52 ID:EsefF5Ys
こんばんは、DXUGy60Mです。
最近あるキャラクターに熱が出てきたものですから、そのキャラのSSを2レス程分投下致します。
最後までお読み頂けたら、幸いに思います。

23その表情は彼女しか知らない:2011/04/05(火) 22:31:13 ID:EsefF5Ys

私は今、どんな顔をしているのでしょうか?
額を近づけ、図面を覗き込む二人。リネット・ビショップさんと・・・ペリーヌ中尉。
このガリアの地で再び中尉に会えたときには、昔みたく中尉の隣に居られるのだと
思った。でも、中尉の隣にはあの方がいらっしゃった。
先の決戦の詳細は人づてにも書面でも幾度も耳にし、目を通した。
ネウロイ化した扶桑の戦艦「赤城」のコアを破壊するため、わずか三人で戦艦内部に
進入し、見事にコアを撃破するエピソードを。
その時の三人が中尉とリネットさん、そして扶桑の宮藤芳佳さん。
その時の活躍を思うと、中尉の隣にいるべきなのはリネットさんなのだという思いが、
決めつけるように無理矢理納得させるように私の心の中に溢れる。
私は今、どんな顔をしているのでしょうか?
前に誰かに云われたことがある。
アメリーはいつも困っているような泣いているような顔をしていると。
多分、今もそんな顔をしているのだと思う。
困っているような泣いているような顔を。
二人の姿を見ているとなぜか哀しいような、辛いような、でも涙が零れるようなの
とは違う気持ちになる。それは、寂しい時の気持ちに似ている。でも、寂しいのは
誰もいないからだけれど、今は・・・あの二人がいるからこんな気持ちになるのだと思う。
「あぁ、アメリーさん」
リネットさんが私に気づくと「あら、いらしてたの」と中尉も私のほうを振り向いた。
「あの、頼まれていた書類です」
「ありがとうございます」リネットさんは笑顔を浮かべながら、私の差し出した書類を受け取った。
素敵な笑顔だ。ウィルマさんの溌剌とした笑顔とはまた違う、どこか繊細なでも優しさに満ちた笑顔を私に向けた。
私の方はどうだろう? やっぱりぎこちない笑顔をしているのかな?
「あの」
「あっ、はい?」
「表情が・・・あまり優れないようですけど」
「そ、そうでしょうか?」私は思わず頬に手を当てる。
「体調管理はしっかりなさいまし。ガリア復興のためとはいえ張り切りすぎて、
身体を壊してはもともこもありませんからね」
「は・・・はい、気を付けます。では、私はこれで」
二人に背を向けトボトボと歩く。
ふと、テットリング基地のことを思い出す。
そうか―あの時も、私は中尉の隣にいたのではなくて、ただ―中尉の背中を小さな子どもみたいに追っかけていただけなんだと。

24その表情は彼女しか知らない:2011/04/05(火) 22:36:02 ID:EsefF5Ys

私たちウィッチには宿泊場所として、あまり損傷がなかった元・ホテル
の一室がそれぞれに割り当てられた。もちろん、電気も水道も通じてないけど。
私は制服を脱ぎ、ネクタイを外して粗末なハンガーにそれをかけた。
一日の作業で身体はクタクタだった。
シャツとズボン姿でベッドに倒れ込み、少し上気した頬をわずかに冷たいシーツにあてる
「今日も、中尉とあんまり喋れなかったな」
思わずそうつぶやいてから頭を振った。
私は起き上がり、洗面台にへと向かう。洗面台の鏡の前に立ち、自分の姿を映す。
そこあるのは、泣いているような困っているような表情。
「・・・もっと綺麗に笑いたいな」下がっている眉毛に手をあてて上げてみる。
「こ・・・こんな感じかな。あぁ、でも眉間にしわが出来ちゃうな」
それに口元が変に歪んでいる。眉毛に当てていた手を口元に持ってくる。
唇の両端を人差し指でキュッと上げる。
「こ・・・こんな、感じかな? でも・・・」
「何をしていますの?」
「――――! ひゅ、ひゅうい!」
「それも、そんな格好で」
「あ、あの―す、すぐに着替えます!」
「いいですわよ、そのままで。勝手に入ってきたのは私なのですから」
中尉はクスリと笑った。二人でベッドに腰をかける。
中尉はそのままでいいって言ったけど、この格好のまま中尉の横に座るのは少し
恥ずかしかった。頬に熱を感じる。横目でチラリと中尉を見る。
「お茶をお持ちしましたの」そう言われて、中尉がポットと二つのカップを乗せた
お盆を持っていることに初めて気がついた。
「す、すいません。私のためにわざわざ」
「かまいませんわ」膝の上にお盆を置いて、中尉はカップに液体を注ぐ。
懐かしい匂いが鼻に届く。
これは―。
「・・・カモミール」
「えぇ、お疲れのようでしたからね」どうぞ、と中尉にカップを手渡される。
カップの中に私の顔が映る、やっぱりそこには困ったような泣き出しそうな顔をしている私がいた。
「すみばせん」
「・・・まったく、これぐらいのことで泣かれても困るのですが」
中尉はカップを口に近づけながら、呆れたようにでも優しいトーンでつぶやく。
だけど、どうしても、涙がこぼれた。
「その・・・ちゅぶいがとなりにいてくれて、わたしのために・・・おちゃ」
「アメリー!」
「はい?」
「もう少し、笑ったらどうです?」
「・・・わ、笑いたいです。私も。で、でも、なんだか上手くいかなくて」
「笑えますわよ。このガリアで貴女に再びお会いした時には、もう少し良い笑顔を
していましたもの。そうですわね、この眉毛が悪いのかしら?」
中尉の人指し指が眉間に当たる。ヒヤリとした感覚が伝わる。
「さっきも、一生懸命に練習をしていたのですし。もっと、素敵な笑顔を見せれそ
うなものですけどね」
「――――! み、見てたんですか!?」
「悪いとは思いましたが、一部始終を。ほら、また泣きそうな顔になっておりますわよ」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら、中尉は今度は私の唇の両端を上げる。カップを両手に持
った私にはどうすることもできない。
「ちゅ、ちゅうい!」
「今こそ日頃の練習の成果を見せる時ですわよ」
「し、してません! さっき、ちょっとだけやってみただけです!」
「あら、じゃあやはり筋がよろしいんではありませんの。頬を当てたくなるような
表情をしていますわよ」
そう言いながら中尉は楽しそうに笑った。
この時に私がどんな表情をしていたのかは、中尉しか知らないことなのです。

Fin

25mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/04/07(木) 23:06:01 ID:4XzKSQVc
>>24 DXUGy60M様
GJ! これはステキなアメリーヌ。
ペリーヌさんとアメリーの優しさがとても素晴らしいです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

26ribbon II 01/02:2011/04/07(木) 23:07:06 ID:4XzKSQVc
 朝日が眩しい食堂の席、いつもより遅い食事の席に着いたミーナは、彼女よりも遅れて席に着いたトゥルーデを見つけ、
少し驚いて見せた。
「あらトゥルーデ、どうしたの」
「ん? どうかしたかミーナ?」
「私が聞いてるのよ。いつもなら隊の中でも早くに食事する貴方が、今日はこんな遅いなんて」
「いや、それは」
 恥とも照れとも言える顔を作るトゥルーデ。良く見ると、髪結いのリボンが片方無く、辛うじて結ってある方も、
今にも解けそうだ。
「あら、その髪」
「ああ。このリボン、大分使い込んで居たから、とうとうボロボロになってしまった。もう結べないな」
「なら、新しいのを……」
「そうなんだが。でも……」
 トゥルーデは手元の使い込まれたリボンを見つめ、名残惜しそうに微笑む。
 そんな彼女を見たミーナはふふっと笑った。
「それは取っておけば良いわ。確かこの前送られて来た補給物資に、日用品とか生活用品が有ったから、探せば有るんじゃないかしら」
「そうか。それは助かる」
 トゥルーデはそそくさと食事を済ませると、代わりのリボンを探しに、駆け足で出て行った。

 リストを元に物資を漁ると……果たして、積み荷の中から、髪結い用かどうかは分からないが、幾つかリボンが出て来た。
 鮮やかで、色の種類も太さも豊富だ。
 その中から今までと同じ色柄のものを選び、髪を結ってみる。
 しゅるりと、簡単に解ける。
「ありゃ。……困ったな」
「何が?」
「いや、髪が……って、居たのか?」
 背中にエーリカが張り付いているのに気付かず、驚くトゥルーデ。
「真後ろ取ったー」
「こう言う時にそう言う事を言うもんじゃない」
「なに? 非常事態?」
「見て分からないか?」
「トゥルーデ、髪切った?」
「どうしてこの状況でそうボケられるんだ」
「冗談冗談。リボン取りに来たなら、ここで結ばなくても」
「自室だろうと戦場だろうと、いつ解けてもすぐ結び直せる様にだな……」
「良いから、行こう」
 エーリカに手を握られ、部屋へと連れ戻される。

27ribbon II 02/02:2011/04/07(木) 23:07:39 ID:4XzKSQVc
「それでエーリカ」
「何、トゥルーデ?」
「このリボンは光沢が有って手触りも良い。上等な品だ。但し」
「但し?」
「滑り過ぎなんだ」
「それ、普通は滑らかって言うんだよ」
「しかしだな……私の髪に合わない様だ。どうも、いつもみたいにうまく結べない」
 何度か試し、そのたびにしゅるりと解けてしまうリボンを見て溜め息を付く。
 しゅるり、とエーリカはトゥルーデの胸のリボンを解いた。
「こら、何処を解いてるんだ」
「こっち使ったら?」
「胸はどうするんだ」
「そのままで。お得だよ」
「だらしないだろう。それに誰が得をするんだ」
「私と……ミヤフジ?」
「何故エーリカと、宮藤が」
「そそ、こうやって」
「こら、やめろエーリカ……くすぐったい」
 こちょこちょとトゥルーデの胸元をいじるエーリカの髪の毛が、トゥルーデの頬と鼻先を擦る。
 エーリカのおふざけか、制服の上とシャツも少しはだけ、ネクタイ代わりに結んでいる胸のリボンも結び目を解かれる。
「ちょ、ちょっと……」
 言葉が止まる“堅物”。
 エーリカは手を休め、トゥルーデを改めてじーっと見た。
 いつもの、がちがちに結んだ髪も、きちっと決まった制服の姿でもなく……ゆったりと髪を垂らし、
服のシワもぞんざいに、少し胸をはだけた感じで少しだけ照れている、いとしのひと。
「良いよ、トゥルーデ。こりゃファンが増えるね」
「何だ、ファンって」
「私、ファンだから」
「何だそれは」
「で、ファンは私だけ」
「どうして」
「私だけのトゥルーデだから。誰にも渡さないよ」
「あのなあ……」
「とりあえず」
 エーリカはトゥルーデの横に座ると、髪に半ば埋もれた耳をかき分け、そっと口付けした。
「ひゃうっ、何を……」
「トゥルーデのせいだよ。そんなに色っぽいから」
「エーリカが勝手に私を遊んで……」
「とりあえず、今日はトゥルーデそのまま」
 答えるスキを与えず、今度は唇を塞ぐ。
 長い長いキスを味わい、深く呼吸する。息が熱くなるのが分かる。
「エーリカ、今日は何かおかしいぞ」
「トゥルーデのせいだかんね」
「意味が分からない」
「分からなくて良いよ。でも、今日は私に付き合ってよ」
「付き合うもなにも……」
 私達は非番じゃないか、と言う言葉が出せない。
 エーリカの執拗な口吻と、肌を這う舌の攻撃に耐えかね、あふう、と吐息が漏れる。
「トゥルーデ……」
「分かったよ、エーリカ」
 トゥルーデは髪を結ぶ事も、リボンを何とかする事も、服を直す事も諦め……エーリカをよいしょと抱えると、
ベッドに連れて行った。にしし、と笑うエーリカ。

 二人は夕食を過ぎても部屋から出てこなかった。
 その事では、誰も何も言わなかった。

「あれ、包装用のリボン、何処行ったんだろう……」
「おかしいね、もう一回ミーナ中佐に聞いてみようか」
 リーネと芳佳は、補給品のリストを見ながら、首を傾げた。

end

28名無しさん:2011/04/07(木) 23:08:32 ID:4XzKSQVc
以上です。
ふと思い付いたので書いてみました。
髪を解いたお姉ちゃんは良いなあ、と……。

ではまた〜。

29mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/04/12(火) 20:43:31 ID:pGa/HaPc
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ひとつ思い付いたカップリングをひとつ。
ではどうぞ。

30loiter 01/03:2011/04/12(火) 20:44:07 ID:pGa/HaPc
「なあ、ハルトマン」
「どしたのシャーリー」
 昼食のハンバーガーを頬張りながら会話するふたり。
 食堂は人もまばら。早めに食事を済ませて立ち去った者、慌てて食事を詰め込んで任務に赴いた者、
そもそも食べる気が無いらしく来ない者も居る始末。
 今他に居るのは、美緒と入れ違いに入ってきたミーナしか居ない。奥の厨房では、芳佳とリーネが食事の配膳やら食器洗いやらで大忙し。

 ぱくりと一口食べ、付け合わせのポテトフライをもそもそ食べた後で、シャーリーは改めて話を振った。
「今日さ。ヒマ?」
「ヒマも何も、私もシャーリーも非番じゃん」
「ああ、そうだったっけか」
「で? シャーリーは今日もストライカーいじり?」
「うんにゃ。どうしようか考えてた」
 頬杖をついてぼけっと答えるシャーリー。
「いつもみたいにルッキーニと遊べば? そう言えばルッキーニどうしたの?」
「ルッキーニね。今日は朝から虫取りとか言って、外出てったっきり。何処をほっつき歩いてるのやら」
「なるほど」
「そう言うハルトマンはどうしたんだ? あの堅物……」
「トゥルーデは今、哨戒任務中。それが終わったら、午後はミーナと一緒に軍司令部に行く予定」
「そっか。お互いヒマって事か」
 気怠そうにハンバーガーをかじるエーリカに、シャーリーは片肘をついたまま声を掛ける。
「なあ、たまには二人でどっか行かないか?」
「えー? 行くって何処へ? 勝手に基地の外出られないし……」
 面倒臭そうに応えるエーリカ。横でゆっくり食事をしていたミーナが二人に声を掛ける。
「あら、二人が暇なら、近くの町までお使いに行ってきてくれると助かるんだけど」
「町? ローマですか?」
 がたんと席を立ち行く気満々のシャーリー。
「そこまでは行かないけど……近くの漁港に」
「ぎょ、漁港? 何しに行くんですか」
 驚くシャーリーに、厨房から芳佳が答えた。
「確か、地元の漁師さんが『たくさん魚が獲れたから、どうぞ』って……ですよね、ミーナ中佐?」
「ええそうなの。せっかくの申し出だし、……ほら、物資もここ最近不足気味でしょ? だからちょうど良いかと思って」
「魚かあ。骨取るの面倒なんだよね」
「アジとかイワシなら、細かく叩いてつみれにして……ミンチにしてハンバーグ風に出来ますよ。食べやすくて栄養もあって美味しいですよ?」
 さらっと答える芳佳。
「……ま、何もしないよりは良いか。行こうハルトマン」
「うー」
 部屋で寝ていたい、と言わんばかりの表情もお構いなしに、シャーリーに連れられ、エーリカは基地を出た。

 シャーリーご自慢のトラックがエンジン音を控えめに轟かせながら、基地の入口から外へと出る。
「たまには外出しないとね」
「ローマでおかし買いたかったー」
「ローマねえ……。そっちはそのうち機会も有るだろう」
「うー」
「ま、漁港は近くだから五分と掛からないよ」
 ハンドル片手に、渡された地図を見て経路を確認するシャーリー。
「じゃあ何でトラックなのさ」
「貰える魚の量は、大きなカゴ数杯分って言うじゃないか。ハルトマン達のキューベルワーゲンじゃそこまで積めないだろう?」
「それ以前に魚臭くなるのが……」
「トラックはその辺適当で良いのさ。使い勝手がね」
 地図を仕舞う。前方に障害物が無いのを確認すると、シャーリーの目の色が変わる。
「舌噛むなよ?」
 エーリカが何か言う前に、シャーリーは素早くシフトチェンジすると、アクセルペダルを目一杯踏んだ。
 テールを滑らせながら、爆走するトラック。

 基地の入口でその様子を見ていた芳佳とリーネは、あわわ、と言う表情をする。リーネがおろおろしてミーナに問う。
「あの、ミーナ中佐……?」
「……まあ、仕方ないわね」
 事故らなければいいわ、と付け加えると、苦い顔をしたミーナは書類を手に、執務へと戻った。

31loiter 02/03:2011/04/12(火) 20:44:49 ID:pGa/HaPc
 数分と掛からず漁港に到着した二人は、予め用意されていた新鮮な魚介類をカゴや樽一杯に貰うと、端からトラックの荷台に積み込んだ。
「いやー、どうもありがとうございます」
 恰幅の良い、漁師のおかみさんらしき方々に囲まれ、シャーリーが礼を言う横で、黙々と荷台にカゴを乗せるエーリカ。
「じゃ、このカゴとか、使い終わったら後で返しに来ますんで」
 魚が傷まないうちにと、話も早々に切り上げ、二人はトラックに乗り込み、漁港を後にする。
「うわー、カゴ持っただけなのにすごい魚臭い……」
 服の裾を持ってすんすんと匂いを嗅ぎ、幻滅するエーリカ。
「しょうがないだろ。我慢我慢」
「シャーリー、町の人と話してばっかりだったじゃん」
「まあ、少しは御礼も言っておかないとさ。大丈夫、宮藤達が何か面白美味しい料理作ってくれるさ」
「まーた宮藤頼み?」
「あたしはせいぜい網焼きで焼く位しか出来ないからね」
 トラックに揺られながら、速度控えめに運転するシャーリー。ちらっと横目でエーリカを見、聞く。
「で、ハルトマンはどうなのよ」
「私は、料理するなってミーナとトゥルーデから命令されてる」
「はは、命令か……ってどんなだよ」
「私が作ると、食べ物じゃなくなるんだって」
「どんな魔法だ」
「私に聞かれても」
「ま、今回あたし達は物資運搬係だから、後は料理係に任せれば良いさ」
「料理係ねえ……確かにミヤフジは扶桑の料理なら良いけど、他が……」
「まあ、ねえ。また甘辛ソースの煮魚とか出てくるのかな」
「嫌いなの?」
「魚って骨有るじゃん? 呑み込んで喉に刺さると痛くてさ」
「ちまちましてるよね」
「まあ、不味くはないけどさ。魚は」
 それきり会話が途絶えるふたり。
 のろのろと道を進むトラック。
 暫くして、エーリカが口を開く。
「行きと違って、帰りのスピード、ゆっくりすぎない?」
「魚を山程積んでるし、そーっと走らないとな」
「さっさと運ぶんじゃなかったの?」
「まあまあ」
「さては」
 エーリカはにやっと笑った。
「理由付けて私とデートしたかった?」
 ぴくりと表情を少しだけ変えた後、平然とした顔を無理に作ってシャーリーは答えた。
「デートねえ。そう言うのなら、もうちょっと洒落たとこ……ローマにでも行ければ雰囲気出て良いんじゃね?」
「今から行く?」
「こんな大量の魚荷台に積んで?」
「ローマで屋台でも出して売れば良いんだよ」
「軍人が魚屋か?」
 あはは、と笑うシャーリーは、少しした後に首を横に振った。
「駄目だ。中佐に怒られるし、せっかくくれた漁師さんに悪いよ」
 それを聞いたエーリカは、くすっと笑った。
「な、なんだよ」
 シャーリーをちらっと見て、エーリカは後ろ手に腕を組んでふふーんとにやけた。
「シャーリーも、似てるね」
「似てる? 誰と」
「言うと怒るから言わない」
「分かった。あの堅物と似てるって言いたいんだな?」
「ノーコメント」
 キキッ、とブレーキを踏んで、トラックを路肩に停める。じっとエーリカの顔を見る。
「な、何さ?」
「あいつと一緒にすんな」
「それ言うだけの為にトラック停めたの?」
「いや……」
 シャーリーはのろのろとトラックを走らせた
「まあ、どうなんだろうね……あたしは」
「どうしたのいきなり黄昏れて」
 それきり、再び、無言の車内。ごとんごとんと、すすむたび車がゆれる。舗装のいきとどいていない道路は、気持ちのいいドライブを
たのしむにはかなり条件がわるかった。とはいえ、わるいのはそれだけではない。
(なにか失敗したかな)
 助手席にすわるエーリカは顔をそむけて窓のそとをぼんやりとながめながら、だまってしまった運転手の気配を耳のうしろのあたりで
感じていた。
 彼女とふたりきりになると、たまにうまくいかなくなった。シャーリーはおしゃべりだ。だから、だまってしまうだけですこし意味深だった。
 彼女とのあいだのそういう空気は、あまり得意ではない。彼女とは、軽快な会話をたのしんでいないと不安になる。それなのに、
シャーリーからことばをうしなわせてしまった。原因がなにかはわからないが、自分の失言のせいだということくらいには思いあたっている。
 エーリカは意味もなくすんと鼻をならした。シャーリーは、なにも言わない。

32loiter 03/03:2011/04/12(火) 20:45:22 ID:pGa/HaPc
「仮定の話だとして」
 どれくらいの沈黙があったかは、見当をつける気にもならなかった。シャーリーはやっとのことでそれをやぶって話をした。ただし、
こちらはちらりとも見ない。そのおかげでぎくりと肩がゆれたことに気づかれることはなく、ほっとしながらエーリカはつづきをうながす
ようにうんと言った。
「好きになった人には、既に好きな人がいました。さあどうする」
「自分が好きにするしか無いんじゃない?」
「ホントに?」
「相手の事考えるのも必要だけど」
「だよなー」
「どうしたのシャーリー。誰か好きな人でも出来たの? ルッキーニじゃなくて」
「いや、違うんだ、そうじゃなくて」
「まさかトゥルーデ?」
「なんでいちいち堅物なんだ」
「じゃあ、誰?」
「だから仮定の話だってばよ」
「なら、そう言う事にしとく」
「ああ。そうしといてくれ」
 シャーリーはわざと乱暴にギアチェンジをすると、基地目指して走るトラックの速度を上げた。
 あいかわらず窓越しの景色を見ながら、エーリカは頬杖をついていた。耳のうしろがぴりぴりする。微妙な空気、空々しい会話だと思った。
そういうのはきらいじゃないはずなのに、相手がシャーリーだと途端に居心地がわるくなる。その理由をしりたいと、いつも思った。けれど、
答えをさがそうとはしなかった。本当は、もうわかっているのかもしれない。
 結局また沈黙。重苦しいわけではない、ただ、すこしだけかなしくなる。エーリカには、シャーリーのかんがえていることがわからなかった。
しりたいのにしることができなかった。自分が彼女に望んでいること、彼女が自分に望んでいること、なにもかもが全然見えなくて、気味が
わるいくらいに胸がいたんだ。
「……お。見えてきた」
 やがて、見慣れた501の基地が姿を見せた。海のほとりに浮かぶ、偉大なる遺跡を包容する501の心臓部。ふたりの時間がおわりをつげよう
としている。エーリカはどこかでほっとしていた、ただし、シャーリーもまた同感であることはしるよしもない。途端に空気がゆるんで、肩の
力がぬけてゆく。すっかりとざされていたふたつの口も、ゆっくりと他愛ないおしゃべりを再開する。
「早速、宮藤達に料理作って貰おう」
「シャーリー、扶桑の食事好きだね」
「美味ければ何でもいいのさ」
「缶詰肉とかあるじゃん」
「ルッキーニじゃないけど、あれは勘弁……」
「そう言えばカゴの中に、足いっぱいあってうねうねしたのが……」
「タコかよ!? あれは勘弁……ルッキーニと宮藤は平気で食べるけど、あれ人間の食いもんじゃないだろ!」
「そんな嫌そうな顔しなくても。他に色々有るし」
「まあそうだけどさ……」
「おかしなシャーリー」
「へ?」
「何でもない。タコ食べられる様になると良いね」
「どう言う意味だよ、それ」
「な〜んでも」
 501基地の扉が開かれ、トラックはするりと門を潜った。
 芳佳とリーネが出迎える。
 かご一杯の魚介類を見て、今夜は魚尽くしですよ、と力強く言った芳佳を複雑な視線で見るシャーリー。
 大丈夫、シャーリーさんに蛸は出しませんから、と言われてほっとする。
 そんなリベリアン娘を見て、ふっと笑うと、カールスラントの気ままな天使はすっと姿を消した。

end

33名無しさん:2011/04/12(火) 20:45:39 ID:pGa/HaPc
以上です。
お互い気にはなるけど、
微妙にすれ違い気味なシャーリカ……。
新しい可能性と言う事で。

ではまた〜。

34256kb:2011/04/13(水) 18:59:52 ID:EdDb8UYQ
2月に本スレで書いたエイラ誕生日SSの続きを投下。

※本スレpart32 >>684 「音よ伝えて」を読んでからだとよりお楽しみ頂けます。

35256kb - 音よ伝えて After (1/2):2011/04/13(水) 19:02:48 ID:EdDb8UYQ


   ― 音よ伝えて After ―


 ニパへ

 早速だが、例のレコードを聞かせてもらった。
 おまえは本当にバカだ。わざわざわたしなんかの誕生日のためにあんなの作って、サーニャ
まで巻き込んじゃってさ。
 五〇二だって暇じゃないんだろ? それなのに隊ごと巻き込んで、というか、おまえが乗せ
られたのか、そこまでは知らないけど、とりあえずおまえが相変わらずなようで安心した。
 こんなことを書いておいてなんだけど、すごく嬉しかった。本当に。
 とても素敵な、一生忘れられない誕生日になったと思う。
 ありがとうな。
 でも、いろんな意味で恥ずかしかったから、今度会ったら怒る。

 今回は少し短いけど、書くことがうまくまとまらないのでこれで。
 また手紙を書くよ。

 平和になった空の下で会う日を楽しみにしている。

 愛する戦友へ、心を込めて。

 エイラ・イルマタル・ユーティライネン

 p.s. 他の五○二の隊員にもよろしくと伝えてくれ。

   ◇

 イッルから届いた手紙は相変わらず、彼女のぶっきらぼうな面が見え隠れするものだった。
「イッルのやつ……」
「ニパ君は本当に愛されているんだねえ」
「そんなことないですよ……って中尉!?」
 いつの間にかクルピンスキー中尉が背後から手紙を覗き込んでいた。
 慌てて文面を隠すが、中尉は意に介さずにやにやとわたしを見て笑う。
「そういう情熱的な言葉に弱いんだよ、ボクは」
「そもそもスオムス語読めるんですか?」
「いいや。でも、ニパ君の顔を見ればどんなことが書いてあるかは大体わかる」
「そ、そうですか」
「自分の部屋に戻る時間も惜しくて食堂で手紙を開いちゃうせっかちなニパ君とは、珍しいも
のが見れたね。そろそろご飯の時間だよ?」
「わかってますよ!」
 これでは感傷に浸る間もない。食事が終わってから改めて部屋で眺めることにしよう。
 そう思って手紙をしまおうとした時、あることに気付いた。
「……あれ?」
 イッルの手紙はいつも通りスオムス語で書かれているのだが、追伸の下の最後の一文だけが
違う言語で書かれているのだ。
 これは、カールスラント語だろうか。何故わざわざこんな手の込んだことを……。
「中尉、ここの部分なんですけど」
 せっかく近くにカールスラント人がいるのだし、中尉に文の内容を尋ねてみる。
「うん? どれどれ」
 中尉がよどみなくその一文を読み上げた。

36256kb - 音よ伝えて After (2/2):2011/04/13(水) 19:03:52 ID:EdDb8UYQ
「『それと、クルピンスキー中尉に例のニシンの缶詰を是非とも勧めてやって欲しい』」
「えっ!?」
 その一瞬で、その文の意味を理解した。
「ということで、是非とも勧めてくれたまえ」
「嫌です」
「どうしてだい? せっかくそう書いてあるのに」
「いえ、大変なことになるので」
「美味しすぎて奪い合いになるとか?」
「そんな可愛いものじゃありません」
 クルピンスキー中尉の誘いを断固拒否する。しなければならない。
 録音の最後でサーニャさんに手を出しそうなことを言ったから、こんなことを書いたのか!
慌てて切ったけど、サーニャさんに惚れ込んでいるイッルが聞き逃すはずもなく。
 もし本当にアレを勧めてしまったら、中尉だけでなく基地中大騒ぎになってしまう。そんな
事態はごめんだ。ただでさえストライカーの件で肩身が狭いというのに!
「中尉! またニパさんを困らせて遊んでいたんですか!」
 食堂に入ってきたポクルイーシキン大尉が中尉をたしなめた。
「ただの世間話だよ、大尉。ニシンの缶詰がどうのってね」
「ニシンの缶詰?」
 一瞬の間の後、はっとおぞましいものを見たような表情を浮かべる大尉。
 大尉はアレのことを知っているようだ……。
「ニパさん、もしかして――」
「スオムスの方もニシンを召し上がるんですね。扶桑でもニシンを食べるんですよ」
 調理に精を出していたシモハラさんがキッチンから出てきて、大尉の言葉を遮った。
「いや、その……」
 厳密にはアレはスオムスではなく、その隣国であるバルトランドのものなのだが、それは今
重要なことではない。
「なんだ、今日はニシンか?」
「いえ、今日はお肉です。もうすぐ出来ますからもう少し待ってくださいね、菅野さん」
 頷いて大人しくわたしの隣の席に着くカンノに続いて、ラル隊長とロスマン曹長も食堂に入っ
てくる。
「ほう、ニシンか。あれはマリネにすると美味いんだ」
「そうなんですか。お酢などもありますから、試してみてもいいかもしれませんね」
「わたしも、ちょっと気になります」
「ね」
 おずおずと会話に加わったジョゼさんにシモハラさんが同意する。
「せっかくの機会だ、エディータが教えてやればいい」
「そうね、たまにはそういうのもいいかしら」
 和やかな雰囲気が広がり、胸を撫で下ろす。なんとか、ニシン話は終結へ向かいそうだ。
 いや、向かいそうだったのだが、
「で、そのニシンの缶詰はどうなんだい、ニパ君?」
 クルピンスキー中尉はそれを許してくれなかった。
「そうそう、せっかくですから、そちらのも教えてくれませんか、ニパさん?」
 しかもそこにシモハラさんまで加わってくる。
 クルピンスキー中尉だけならともかく、シモハラさんの何も知らない純粋な探究心からの行
動には、ポクルイーシキン大尉も下手に口を挟めないようだった。
「えーっと……」
 下手に話してしまうと逆に食べてみたいと言い出す人がいないとも言い切れない以上、なん
とか話題を逸らさなければならない。
 手紙の余計な一文でこんなことになるなんて。
 わたしも、今度会ったら怒ろう。その口実が出来た。

 イッルのやつめ、次に会う日が楽しみだ。


Loppu.

37256kb:2011/04/13(水) 19:06:52 ID:EdDb8UYQ
手紙が遅配で気付いたら春でしたが無害です。
本スレが移行期だったのでこっちにこっそり投下させていただきました。
失礼します。

38mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/04/14(木) 22:58:54 ID:XF0ZJctI
>>256kb様
お久しぶりです! そして超GJ! 本スレ投下分も合わせて拝読しました。
501と502メンバーの合唱に心打たれました。エイラは幸せ者ですね。
そしてニパも相変わらずついてないというか伯爵容赦無しw


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
前回>>30-32「loiter」の続きが出来ましたので
投下します。ではどうぞ。

39loiter II 01/04:2011/04/14(木) 22:59:51 ID:XF0ZJctI
「補給物資の買い出し!?」
 朝のミーティングでミーナの言葉を聞いたシャーリーは文字通り椅子から飛び上がると手をびしぃっと挙げた。
「あたしが行きます! このあたしが!」
「ウニャー あたしもいきたーい!」
 同じく手を挙げたルッキーニを見て、シャーリーと美緒は苦い顔をした。
「ルッキーニ、お前は駄目だ」
「ヴェーなんでー」
「この前の事を忘れたのか?」
 美緒に問われ、おろおろするルッキーニ。
「うっ……でも、でもいいじゃんかー! なんかあたしのおかげで基地にいろ〜んなモノ増えたしぃ〜」
「そう何度も同じ事が起きると思うか!?」
「はい……」
 美緒に一喝されしおしおとしぼむロマーニャ娘。
「さて。今回は食料品と雑貨だ。希望者が有れば、少々の私物や消耗品の調達も頼むと良いだろう。何か無いか?」
 美緒はミーナから資料を幾つか受け取ると、ページをめくって隊員達に聞いた。

 そして準備が進められ……門の前にトラックが横付けされた。
 ドライバーは勿論シャーリー。但し助手席に乗るのは、何故かエーリカ。
「飛ばすなよ。安全運転でな」
 見送るトゥルーデが、腕組みしてシャーリー達の居る運転席を見上げる。
「大丈夫だって。あたしのドライビングテクニックはそこらのラリードライバーよりも安全、かつ速いんだ」
「何故言い切れる?」
 短く鋭く切り返されたシャーリーは、あぁ〜、と一瞬目を泳がせた後適当に答えた。
「ま、まあ……例えだよ例え。さ、行くかハルトマン」
「うー、寝てたかった」
「ハルトマン、たまにはお前も働け!」
「はいはい分かったよトゥルーデ。じゃねー」
 皆に見送られ、トラックはのろのろと基地の門をくぐり、外へと出た。
 基地と隊員達が見えなくなった瞬間、トラックが爆走を開始したのは言うまでもない。

「と言う訳で、ハルトマンが来たがっていたローマだ。どうだい?」
 ハンドル片手に、うーんと背伸びするシャーリー。ついでに片手でぐるっと辺りの景色を指さし、エーリカに教える。
「途中、あんなに飛ばして大丈夫なの?」
 呆れるエーリカ。道中の滅茶苦茶な飛ばしっぷりに車酔いもせず至って気楽な感じだ。
 ぼんやりと窓の外を眺める。車の流れも人通りそこそこで、「戦争をしている」と言う感じは余り感じ無い。
 街の所々に古代からの遺跡が散見され、ロンドンよりは退屈しなくて済みそうだが……実際のところ、
古代のものにあまり興味が無く、何より、今居る基地そのものが古代遺跡(の一部)であるエーリカにとっては、
ロンドンもローマも関心度は同じ様なものだった。
「大丈夫。前方視界よし、対向車無し。問題無いね」
 気楽に答えるシャーリーをちらっと見る。何でこんなにはしゃいでいるのか。薄々感じてはいるが、まさかと疑念を打ち消す。
 一方のシャーリーは、せっかく来たのにエーリカは何でこんなにテンションが低いのか謎であった。
「あの運転じゃミヤフジもリーネも来ない訳だわ。ま、私でいいのかな」
「何か言ったか?」
 言葉とは裏腹に何故か心躍る感じのシャーリー。ついアクセルをふかし過ぎてないか、隣のカールスラント娘に悟られまいとうまく誤魔化す。
「別に。私は自分のおかしが買えれば良いよ」
 エーリカはぼそっと呟く。
「なんか後ろ向きだな。とりあえず買い物済ませよう。店は知ってる。前にも来た事が有るからな」
 シャーリーはやる気のないエーリカを見て少し苛立ったが、まあ、まだ序盤戦、本当の戦いはこれからだと言い聞かせ、
平静を装う。本当はもっとテンションを上げて欲しかったが、あいにく相手は勝手知ったるルッキーニではない。
丁寧に丁寧に扱わないと。……しかしよくあの堅物はうまく手懐けてるな、と変なところで感心する。
「じゃあそこで」
「なんか、やる気無いんだよな〜ハルトマンは」
 たった一言だけの返事を聞いて、シャーリーは溜め息をついた。

40loiter II 02/04:2011/04/14(木) 23:01:14 ID:XF0ZJctI
 百貨店で全ての買い物を済ませた後、袋一杯の荷物を担いだ二人はふらふらと道端に停めたトラック目指して歩く。
「これで全員分。……みんな、要らないとか言って注文多過ぎなんだってば」
 ぼやくエーリカに、シャーリーも横目で見ながら愚痴る。
「ハルトマンだってお菓子買い過ぎだろ。どんだけ買ってんだよ」
 エーリカの背負うお菓子満載の袋を見て呆れた。ハロウィンなんてレベルじゃない。
まさに「子供にプレゼントを与えて歩く」聖人ニコラウスと言うべきか。
但し中身が全部彼女のものだと言う事が大きな違いだが。これを見てあの堅物は何と言うか……。
「このお菓子は、私の給金からも出してるから良いの。おかし〜、今度こそおかし〜」
 尋常ならざる執念を見せるエーリカ。この為だけに生きてきた、この為だけにやってきた、といわんばかりの表情。
「食べ過ぎると太るぞ」
「シャーリーみたいに胸だけ太るからいいよ」
 思わぬところで自分の名が出たリベリアン娘は、少し表情が崩れた。そのままもやもや溜まっていた感情を笑い飛ばす。
「あっははは! ハルトマンも面白い事言うなあ!」
「まあ出来たら苦労しないけどね」
 まだテンションの低いエーリカに少しがっかりしながら、シャーリーは言葉を選んだ。
「……ま、とりあえずトラックに積み込むか」
「はいはい」
 結局、無言でのそのそと荷台に詰め込んでいく二人。

 十分後、二人は洒落た場所に居た。シャーリーは両手を広げて自分の庭みたいに自慢する。
「で、ここがあたしと宮藤お薦めのカフェだ」
「そんな美味しいの?」
「勿論。これはまさに役得だな……あ、すいませーん」
 ウエイトレスを呼びつけると、メニューを開き、あれこれと注文する。
「これは……ひとつ、いや、ふたつお願い」
 ジェスチャーも交えて注文しまくるシャーリー。テーブルに頬杖をつき、退屈そうに眺めるエーリカ。
「私はメニュー全然分からないよ」
「任せろ」
 シャーリーの“自信”は何処から来るのかエーリカには分からなかった。
 だがシャーリーとしては、前回の“戦訓”から、明らかな手応えを既に感じていた。
 ハルトマンは絶対に美味いと言う、いや言わせてみせると何故か燃えていた。自分でも分からない位に。
 程なくして、コーヒーとケーキが運ばれて来た。
「役得ってこう言う事?」
 ぼやくエーリカに、シャーリーはフォークを取ると、ほら、と勧めて見せた。
「まあ食べてみなって」
 眠たそうな視線をケーキに向ける。
 基地でリーネや芳佳が作っているケーキとは全く違い、見た目からして洗練されている。
 角の辺りを切り崩して、なにげに口に運ぶ。
 味覚が唸り、意識と感覚が全開になる。目を見開くエーリカ。
「……おいしい!」
「だろ? この美味さは万国共通だね。ローマ万歳って感じだ」
「うん。おいしい」
 頷きながら、ケーキをぱくつくエーリカ。速度は速くなる一方で、呑気に様子を見ていたシャーリーも少々不安になる。
「わ、こら! そんなにがっつくな! あたしの分まで無くなるだろ!」
「すいません、今の同じのふたつ」
 通り掛かったウエイトレスに追加注文するエーリカ。
「ふたつ? そんなに食べるのか?」
「ひとつはシャーリーの分」
「ああ、そりゃどうも……」
 二人は代金の事もそっちのけで、ひたすらにケーキを楽しんだ。

41loiter II 03/04:2011/04/14(木) 23:01:42 ID:XF0ZJctI
「さて。たっぷりと美味しいケーキも食べた事だし」
「うん」
「少しのんびりするか」
 コーヒーのカップを手にすると、上品を気取って一口飲んでみせるシャーリー。
「良いの? またこの前みたいに敵が来たら……」
「その時の為に、トラックにストライカーユニットと格納装置積んできてるんじゃないか。あたしとハルトマンなら大丈夫だって」
「そう言う問題?」
「気にしない気にしない」
「ま、いいけど」
 いちいち「めんどくさい」と言いたそうなエーリカを見て、シャーリーは内心少々の怒りと不安、焦りを覚えていた。
 だがヘタに刺激してそっぽを向かれても困るし、かと言って自分の言いたい事も言えない様じゃ台無しだ。
 しかしエーリカはエーリカで、シャーリーに何と言って良いか考えあぐねていた。ヘンに気を遣い過ぎてもいけないし、
かと言ってこのまま退屈そうにしていてもシャーリーに悪い。折角色々案内してくれてるのに。
 ぼんやりと、時間だけが過ぎる。
 だらっとコーヒーを飲んでいるエーリカに、シャーリーは思い切って言った。
「でさ」
「?」
「どうよ? あたし達」
「どうって言われても……」
「デートしたいってこの前ハルトマンが言うから、連れて来たんだぞ?」
 ああ、言ってしまった、とシャーリーは思ったが、もうこの際どうにでもなれ、とやけっぱちでの発言。
 それに、ここで言わないと、タイミングを逸してしまいそうで。
 意外にも、エーリカの返事は素直なものだった。こくりと頷いて、金髪の天使は一言呟いた。
「……分かってる」
 エーリカの微かな笑顔と、不安の混じった複雑な表情を見て、シャーリーは半分喜び、半分失望した。
「意地の悪い奴だなー。分かってるなら何で最初から……」
「良いのかなって」
 エーリカは珍しく、思っている事を素直に口にした。
「何が」
「私達。だって、シャーリーにはルッキーニが居て、私には……」
 エーリカ自身の、素直なキモチ。
 彼女には世話焼きなトゥルーデが居て、一方のシャーリーはルッキーニと親子に近い関係だ。
 その事を正直に言うと、不意にシャーリーは真面目な顔を作って、言った。
「それは、言うなよ」
「え」
「ここでは、言うな」
「だって」
「ここだけで良いから、言うな」
 繰り返す。
 シャーリーの偽らざるキモチ。せめてローマ市内だけでも良い。基地に帰ったらさっぱり忘れても構わない。
だけどせめてこのちょっとした“デート”の間だけでも、言わないで欲しかったのだ。
「……面白いね、リベリアンジョーク」
 控えめな答えでお茶を濁そうとするエーリカ。
「ジョーク扱いかよ」
 少しすねるシャーリー。
 エーリカは頬杖をついたまま、微笑しながら言った。
「でもまあ、基地帰ってこんな事言ったら、他の二人がパニック起こしそうだしね」
「ま、まあ……そうかもな」
「ルッキーニとトゥルーデかぁ。油と火って感じ?」
「どんなだよ」
「にしし。気にしない」
 ここでエーリカは笑った。
 つられてシャーリーも笑った。
 分かってる。こいつは誰も傷付けたくないが為に、自分の感情を殺そうとしている、とシャーリーは感じていた。
 適当に振る舞っている様で実に鋭い観察眼で相手を見ている事も。
 だからこそ、あの堅物相手に、うまくやっているし、堅物も何だかんだで面倒を見ているのだろう。
 ……だけど、いや、だからこそ、少し位は自分をさらけ出して、もう少し踏み込んで言えば、自分の方を向いて欲しいと思った。
 でも、やっぱりそれは叶わぬ夢なのかも知れない。
 シャーリーは扶桑の魔女程天然でも無いし、強引に自分の所に引き入れる程の身勝手さも無かった。
 お互い、何だかんだで常識人なのかも知れなかった。

42loiter II 04/04:2011/04/14(木) 23:02:05 ID:XF0ZJctI
「ねえシャーリー」
「うん? どうした?」
「あと少ししたら、起こしてね」
 エーリカはひとつあくびをすると、テーブルに突っ伏した。
「お、おい、ハルトマン……」
 シャーリーはカップを置いて立ち上がった。そして溜め息一つつくと、エーリカの方に回って、自分の制服のジャケットを
そっとエーリカの身体に被せた。
 ……そういやそうだ。基地を出てから買い物でずっと回っていたんだから、疲れて当然だろう。
 シャツの姿になったシャーリーは、残り僅かなコーヒーを一口含むと、ふう、と一息ついた。
 そしてエーリカは、身体が少し重くなったと感じた。それはシャーリーの制服が由来とすぐに悟る。
 シャーリーは何だかんだで、気を遣ってくれる。トゥルーデとはまた違ったアプローチで。
 けど、何処か似ている部分も有って……戦場で背中を預ける程ではないけど、それでもある種の安心感は有った。
 だから目の前でぐう〜と寝てしまう。寝たふりをして反応を試す程、エーリカも悪魔ではなかった。
「平和だなあ……」
 ぽつりと呟いたシャーリーの言葉が、何処か抜けていて、寂しく感じる。
 エーリカはあえて反応せず、目を閉じたまま、シャーリーの温もりが微かに残る制服をかぶったまま、じっとしている。
 気怠い昼下がり。
 陽の光がふたりに熱分を与え、時折流れるそよ風が適度に体温を調節してくれる。
 ふう、と最後のコーヒーを飲み終えると、シャーリーは頬杖をついた。
「夕暮れまで……は無理か」
 そう言って自嘲気味に笑うシャーリーの言葉を聞いて、思わずくすっと笑ってしまうエーリカ。
「もう一回笑ったら、帰るぞ〜」
 のんびりしたシャーリーの台詞を聞いて、小さく頷いた。

end

43名無しさん:2011/04/14(木) 23:03:47 ID:XF0ZJctI
以上です。
シャーリカと言う可能性を追究してみました。
なかなかに難しく、また面白いかと。

ではまた〜。

44Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/04/17(日) 15:47:09 ID:Lzji4BPk
>>39 mxTTnzhmさま
シャーリカ…シャーリカですと?!読んでみて結構合うなあこの2人と思いました。
意外(?!)にも息がピッタリそうなカップルですねぇ〜!!

さて、お久しぶりです。今回はギャグ物が書きたいな〜…と思いこんなのを書いてみました!結構前から温めてたネタです!それではどうぞ!


【Alright!!】

ここは基地内の廊下。
窓のある角っこでビューリングと智子は話をしていた。

「ねえ…私たちのこと、バレてないわよね?」
と周りをキョロキョロする智子。

「ああ、大丈夫だ」
心配する智子をよそに、タバコを吹かすビューリング。

「…ねえ、エリザベス」
「やめろ、恥ずかしいだろその呼び名…」

珍しく顔を赤くするビューリング

「良いじゃない、2人っきりなんだし」
「…なんだ」
「あなた平気なの?私がその…毎晩その…ハルカやジュゼッピーナに…」
「別に」
「ちょっ、ちょっと!!すっ、少しは妬いても良いんじゃない??!!」
「別に私はお前と『カラダ』目的で付き合ってるんじゃない」
「それはよくわかってるけど…」
「なんだ…して欲しいのか?」
「へ…?」

ビューリングが発言した後、いきなり廊下で智子を押し倒す

「ちょっ…エリザベス!!正気??!!」
「いつだって私は正気だ」
「後でするから今はっ!!!」

バサッ!!!!

「………」
「っ!?ウルスラ曹長?!」
「おっ、お前いつから…!?」

2人が廊下にて押し倒したり、押し倒されている間に
いつの間にかウルスラが彼らの後ろに立っていた。
そして、ウルスラの周りには書類が散乱していた。

「あー、あのな…これはな」
珍しくあたふたするビューリング。

「これはね、その…運動?金魚運動?いや、ツイスターゲーム?」
支離滅裂な事を言い出す智子。

あわてる2人を尻目に、
「………」
無言で散乱した書類を拾い集め、傍の会議室へと入って行った...

「………」
「………」
「………どうするんだ?」
「み…見られちゃったわね…」
「終わりだ、いっそ私を殺してくれ…」
「それは同じよ、エリザベス…」
「………」
「………」











2人は10分間、何も言わずその場で茫然と立っていた。

ガチャッ...

すると、先ほどウルスラが入って行った会議室のドアが開く。

「あの〜ぅ…智子中尉とビューリング少尉、そろそろ入ってくれます?ミーティングがそのぅ…始まるんですけど」

声の主はエルマであった。


***

45Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/04/17(日) 15:48:13 ID:Lzji4BPk
>>44の続き。


「遅いねー、トモコとビューリングー。日が暮れるかと思ったねー」
「………」
「………」

無言でそそくさと部屋へ入る2人。

「さて、始めましょう!」
「…何を始めるのよ?」

そしてやっと智子が口を開き、

「以前から行ってたじゃないですかぁ!!『いらん子中隊』って名前があんまり良くないんで改名しようって!!」
「なんかそんなこと言ってたわね…」

『こんなくだらない事でわざわざ会議なんか開かないで!』と普段なら怒る智子だが、今日はそれどころの気分じゃない。
彼女が気になるのは、一応『会議中』にも関わらず学術書を読み漁っているウルスラのことだ。もちろんビューリングの視線もウルスラへ向いている。

「トモコ中尉とビューリング少尉!」
「はっ、はぃぃぃ?!」
「…っ?!」
「ちゃんと会議に集中してください!!」
「ごめん」
「済まない…」
「じゃあ始めますよ〜!ジャ〜ン!」

珍しくノリノリで、進行役兼書記係を引き受けたエルマは机の下から段ボールで作られた投票箱を取り出す。

「これって何ですか?」
と疑問の声を上げるハルカ。

「あ、これ食堂の脇にあったわ」
実はこの箱の存在を知っていたジュゼッピーナ。

「はい!基地のみんなにも考えてもらおうと思って投票箱を設置したんです!もちろんハッキネン司令の許可を取ってます!」

エルマが箱をひっくり返すと、投票用紙がドサッと出てくる。

「見てくださいこの反響!いかにこの部隊が好かれているかわかりますね!」
「やったねー、エルマ中尉!」
「いやいや、これもキャサリンさん達のおかげですって!」
「…早く開票しなさいよ」
「あ、すみません;;じゃあ始めますよ!『エルマタイム』!」
「エッ、エルマタイム?」
「じゃあ発表します!!!!」

と明るく、大声で投票用紙をランダムに選び、開いて読み上げる。

「スオムスいらん子中隊」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…次、読みますね」

先ほどの勢いは何処かへ行ってしまったのか、急に声のトーンが落ち発表をし続けるエルマ。

「『スオムス義勇独立飛行中隊』……『スオムスいらん子中隊』……『スオムスいらん子中隊』……『スカイガールズ』……『スオムスいらん子中隊』……『スオムスいらん子中隊』……」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「…まだ続けますかぁ?!」

何故か涙目で、そしてキレ気味で一同に話しけるエルマであった…。


***

46Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/04/17(日) 15:49:34 ID:Lzji4BPk
>>45の続き。


「エルマ中尉は?」
「あぁ、さっきキャサリンが部屋に行って慰めに行きましたー。精神的ダメージが強すぎて、大泣きしているそうでーす」
「まああんなに張り切ってましたもんねぇ、少しでも悪いイメージを払しょくしようと必死でしたもん」
「あんなんじゃヘコむわよ…」

そしてハルカは残りの投票用紙を取り出す、

「他にどんなことが………うわ、半数以上が『スオムスいらん子中隊』。まあこの名前、浸透してきましたもんね」
「あとは『第08MS小隊』だの『ハイスクール奇面組』だの」
「『バーミヤン』だなんて…コイツ、真面目に考えて投票してないわ」
「『トイレが詰まりやすくなっています。修理してください』だって」
「そうそう、私も思ってました。でも御意見箱になってる…」

そして智子はある一枚の投票用紙を取り上げる、

「えと何なに、『トモコ中尉とビューリング少尉は付き合ってる』…っ!!??」

ドスンッ!!!!

「ちょっ…ビューリング少尉、どうしたんですか??!!」

何故かビューリングは椅子から転げ落ちていた...

「こっ…これ…っ!!」
「嘘よっ!!嘘だわっ、こんなのっ!!!!こんなの、誰が書いてこの箱の中に入れたの??!!」
「さ、さあ…;;;」
「落ち着いてください智子中尉;;」

刀を取り出した智子を必死に取り押さえるハルカとジュゼッピーナ。

「それにビューリング少尉、タバコ持つとこ…逆ですよ」
「え?………熱っ!!!!」


***

47Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/04/17(日) 15:50:58 ID:Lzji4BPk
>>46の続き。

「大丈夫ねー?」
「大丈夫だ、問題ない」
「…それどっかで聞いたことあるフレーズねー」
「良いから早く包帯を巻け!」

誰も居なくなった会議室にて、キャサリンはビューリングの手当てをしていた

「それにしてもどうしたねー?」
「あのなあ!人のプライベートをいちいち詮索するな!」
「悲しいことを言わないでねー、私たち『スオムスいらん子中隊』仲間よー?」
「はああ…」

キイィッ...

部屋に入ってきたのは…、

「ウッ、ウルスラ…?」

学術本を片手にウルスラが入ってきたのであった。

「ごめんなさい。ここまで大事になるとは思わなかった」
「やっぱり犯人はお前か…」
「???」
「…悪いがキャサリン、ちょっと席を外してくれないか?」
「えー」
「『えー』じゃない、出てけ」
「はーい。用事が済んだら呼んでねー」

とキャサリンを退室させた。

「あのなあ…お前なあ…」
「こんな大事になった事は謝る、けど発表した事は謝らない」
「………お前っ!!」
「2人が付き合ってる事を発表して何が悪いの?」
「そっ、それは…」
「見てて、すごくもどかしい」
「は???」
「堂々と発表した方が、清々する」
「は…はあ…;;」

あまりのウルスラらしくない発言に、とても驚くビューリング。

「ビューリングにはどこか、罪悪感でも感じてるの…?」
「罪悪感?何がだ?」
「親友を死なせてしまった自分は、恋愛なんかしてはいけないって」
「…そこまでは思っていないが…でも確かに、そうゆう身分ではないと最近まで思っていた」
「なんで過去形?」
「トモコが変えてくれたんだ、私を」
「トモコ中尉が?」
「ああ。つい最近まで私は…悪夢に魘されていた、親友だったアイツを自分が殺してしまったんだと」
「………」
「そんな魘されてる時、ふと目を覚ますと心配してくれたのか額にかいた汗を必死に拭いててくれたんだ。トモコは」
「それがきっかけ?」
「まあ…そんなところだ。私を闇のどん底から救ってくれた」
「………」

48Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/04/17(日) 15:51:25 ID:Lzji4BPk
>>47の続き。

「色々なアドバイスしてくれたぞ、アイツが死んでから一回も墓に行ってなくて…今度行くべきだと言ってくれたり」
「…じゃあなおさら、発表すべき」
「あのなあ…私はな、」
「ビューリング少尉はトモコ中尉が好き」
「…な、何故話が一番最初に戻るんだ??!!」
「中途半端に付き合うのはトモコ中尉に悪い…と思う」
「…そうか」






そして夕食時、

「えと…お前らに報告がひとつある」
「あ、あのね…みんな…」

そうして、『交際宣言』をした智子とビューリングであった…。




















「あ、あの…ついでにやはり『スオムスいらん子中隊』の改名も…」
「もうその事はどうでも良いねー…;;」


【おわり】

49mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/04/19(火) 18:21:53 ID:i73GjE1A
>>48 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! 投票箱意見が適当過ぎてワロタ
ビューリングとトモコも良いですね。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」続編となります。
ではどうぞ。

50free free:2011/04/19(火) 18:24:24 ID:i73GjE1A
 それは、雨上がりの早朝の出来事。
 まだ日も昇らないうちから、部屋を分断する「ジークフリート線」を超えてくるウィッチがひとり。
 そこらに散らばるがらくたやよく分からない物体をかきわけ、時折蹴飛ばしたり踏み潰しつつ、ベッドの近くでごろりと横になるエーリカの傍に近付いた。

「ハルトマン」
 辛うじて毛布を掛けて眠っていたエーリカは、寝る前に読んでいたであろう本を頭の上からずらし、退ける。
 目をしょぼしょぼさせて問う。
「どうしたのトゥルーデ、改まって」
 聞かれた“堅物”大尉は、腰に手を当て、きりりとした感じで聞いた。
「何か欲しい物はないか? 例えば……」
「おかし」
「即答か……」
 いささか幻滅気味の同僚を傍目に、よいしょと身体を起こすエーリカ。ぼさぼさの髪をふぁさっとかきあげ、何事かと聞き返す。
「どうしたのトゥルーデ? 私、何か変な事言った?」
 眠気はまだ残るが、意識は次第にはっきりしてきた。まだ起床時間ではない事を、目覚まし時計を見て確認する。
「いや、それはいつもの事だろう。他に無いのか?」
 繰り返ししつこく聞いてくる“相棒”を見て、エーリカは目覚ましを横に置くと、一呼吸置いて答える。
「無い事は無いけど……でも今日に限ってどうして?」
 トゥルーデは、何故かいらっとした表情でなおも聞いてくる。
「今日は何の日だ?」
 なるほど、と思い当たったエーリカは、ベッドにごろっと横になって答える。
「お休みの日〜」
「違う! 今日はお前と妹ウルスラの誕生日だろうが!」
 ふふ、何となく分かっていたよ、とエーリカはひとりごちる。
 毛布にくるまりながら、上目遣いにトゥルーデを見る。
「トゥルーデ、何か用意してくれるの?」
 急に風向きが変わった事に気付いたのか、目の前に立っているカールスラント娘が慌てているのがよく分かる。
「そ、それは、同じ仲間としてだな……」
 しどろもどろになるトゥルーデ。はっきり言えば良いのに、と思うも、それはもう少しだけ後にしようと思う。
「もしかして、食堂でみんな待ってるとか?」
 一応確認する。
「こんな朝っぱらから流石に……」
 いささか呆れ気味のトゥルーデを見て、ふむふむ、と考えを巡らすエーリカ。
「そっかー」
「で。決まったのか」
 何度目かの質問。その訊き方、相変わらず野暮だねと内心ぼやくとエーリカは毛布の端からそっとトゥルーデの手を取った。
「もう決めてるんだよね」
 指を絡める。ぐいと引っ張り、腕も一緒に絡めていく。
「ハルトマン。何故私の手を……」
 焦りがはっきり顔に出た“お姉ちゃん”を見て、微笑むエーリカ。
「鈍いなあ、トゥルーデ」
 やっぱり、もっとしないと分からないかな、と、一気に実力行使に出る。
「ちょ、ちょっと……おい、髪を解くな、服を脱がすな!」
「私、トゥルーデだけで良いよ」
「お、おい……」
 それ以上は言わせないよ、とばかりに唇を重ねる。
 最初は少し躊躇っていたが暫く繰り返すうちに観念したのか、ゆっくり息をつくと、はああ、と熱い吐息混じりに、名を呼んできた。
「エーリカ」
「そう、それでいいの、トゥルーデ。私だけのトゥルーデ」
(……まあ、こう言う事は今日だけじゃないんだけど)
 お祝いしてくれるなら、こう言うのもアリだよね。
 エーリカはトゥルーデの耳元でそう呟くと、舌を這わせる。お楽しみはこれから。

 その後、朝のミーティング後に始まったエーリカの誕生祝いで誰よりも照れていたのはトゥルーデだった。
 その理由は、トゥルーデ、そしてエーリカだけが知っている。
 ふたりだけの内緒。
 実際の所501隊員からすると今更秘密でもなかったが……とりあえず祝いは続いた。

end

51名無しさん:2011/04/19(火) 18:24:44 ID:i73GjE1A
以上です。
エーリカ誕生日おめでとう!
EMT!EMT! と言う事で。

ではまた〜。

525uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/04/22(金) 00:25:25 ID:JxnhOYu2

>>22 DXUGy60M様
GJです、素晴らしいアメリーヌをありがとうございます!
可愛らしいアメリーとかっこいいペリーヌが素敵すぎます。

>>34 256kb様
GJです、手紙のエイラがかっこいいですね。
伯爵の明日はどっちだ

>>44 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです、恋人になりたての智ちゃんとビューさんが可愛らしいです。
ウルスラマジ天使!

>>49 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
いつものエーゲルGJです!
シャーリカの関係も素晴らしいです。

さて、皆様お久しぶりです。
訳あって3月の間に投下できなかった誕生日話をまとめて投下していきます。
1本目は保管庫NO.1331「天使ミーナVS悪魔ミーナ」の続編で、ラルさん×ミーナ中佐というちょっと変わったCPです。
ではどうぞ

53天使ミーナVS悪魔ミーナ RETURNS 1/2:2011/04/22(金) 00:26:37 ID:JxnhOYu2
「ん……」
燦々と降り注ぐ朝の日差しに照らされ、私は目を覚ます。
窓の外からは小鳥たちの気持ち良さそうな囀りが聴こえてくる。
「やあミーナ、起きたかい? 今日は良い天気だね」
目を覚ましてからしばらくの間、昨日の出来事を思い出しぼーっとしていると、隣から明るく陽気な声が私の名前を呼ぶ。
「グ、グンドュラさん……」
朗らかに微笑む彼女を見て、私は自分の顔が真っ赤になるのを感じる。
昨日の出来事がいっそ夢だったらどんなに良かったことか。
「昨日は楽しかったよ。君の意外な一面が見れてね」
「あ、あなただって、いきなりあんな事……」
私はシーツに包まり俯きながら、グンドュラさんから目を反らす。
「ごめんごめん。でも、あそこでああしなかったら逆に私がやられていた。そうだろ?」
「そ、それはその……」
明るい口調でそう語るグンドュラさんに私は何も言い返せなくなってしまう。
そう、全てのきっかけは昨日の夜……

――――――――――――

――1947年3月、バルクホルンの家

「いやー、寮を抜け出して夜の街に繰り出したのが上官にバレた時はさすがのボクも終わったと思うね」
「あはは! 伯爵面白〜い!」
その日は、トゥルーデの家で久しぶりにカールスラントのみんなで集まって昔話に花を咲かせていた。
ロスマンさんが誕生日の近い私とグンドュラさんとトゥルーデのために作ってくれたケーキを肴に、他愛のない話で盛り上がる。
「お、おい……エーリカもクルピンスキーもクリスが上で寝てるんだからもう少し静かにしてくれないか?」
すっかりできあがってるフラウとクルピンスキーさんに対して、トゥルーデが呆れながら言う。
「そっか、クリスちゃんもう寝てるんだね。それじゃあクリスちゃんのベッドに突撃と行こっかな」
「おっ、いいね〜伯爵。私も行くー!」
「き、貴様ら……ふざけるな〜!」
トゥルーデが顔を真っ赤にさせながら、クリスちゃんの寝室へ向かおうとしたフラウ達を追いかけまわす。
「うわっ、トゥルーデが怒った!」
「逃っげろ〜」
「逃がすか〜! 待て!」
えっと……なんて言うかトゥルーデが一番この場を騒がしくしているんじゃないかしら。

「やれやれ……一番騒がしいのはバルクホルンじゃないか」
グンドュラさんも私と同じ事を考えていたらしく、走り回る3人を見ながら呆れたように呟く。
「本当ね……でも良かった、ああやってみんなとまた大騒ぎするトゥルーデが見られて。
彼女、一時期自暴自棄になってたみたいだから……」
ロスマンさんが複雑そうな表情でトゥルーデの方を見ながら言った。
それを聞いたグンドュラさんも腕を組み、考え込むような表情になる。
「それもそうだな。ミーナもあの時は大変だっただろう? その……色々と」
「そうね、辛くなかったと言えば嘘になるけど……フラウや501のみんなが私たちを
支えてくれたから、辛かった出来事も乗り越えられたわ」
私は当時の事を思い出しながら、グンドュラさんの問いにそう答える。
トゥルーデやフラウや美緒、それに501のみんなのおかげで今日の私があると言っても過言ではない。
本当、素晴らしい"家族"を持ったものだと心から思えた。
最も、その家族達に頭を悩ませられた事もたくさんあったけど……
そんな事をロスマンさん達に語りながら、私はワインを飲み進めた。

――数十分後……

「駄目だ〜もう歩けない……先生、おんぶして」
「できるわけないでしょ……ほら、しっかりしなさい」
ロスマンさんが顔を真っ赤にしたクルピンスキーさんの肩に手を回して身体を支える。
「どうしたの先生〜? こんなにひっついちゃって今日は随分大胆だね〜」
「何馬鹿な事言ってるのよ。じゃあトゥルーデ、私とニセ伯爵は奥の寝室を借りるわね」
「ああ分かった。エーリカ、お前はどこで寝る?」
トゥルーデが寝室に向かうロスマンさん達を見送りながら、真っ赤な顔で酔いつぶれているフラウに問いかける。
「にひひ〜。私、トゥルーデと一緒に寝たい〜」
フラウがトゥルーデにハグしながらそう答える。
抱きつかれたトゥルーデは、まんざらでもなさそうな表情で頬を赤らめた。
「……分かった分かった、ちょっと待ってろ。グンドュラはどうする……って、寝てるのか」
「う〜ん、むにゃむにゃ……」
トゥルーデは、気持ち良さそうに眠っているグンドュラさんの身体を揺すって起こそうとするも、中々起きる気配がない。
「仕方ない、寝室まで連れてってやるか」
見かねたトゥルーデがグンドュラさんを抱え上げながら言った。
「ミーナ、グンドュラと同じ部屋でいいか?」
「ええ、構わないけど」

54天使ミーナVS悪魔ミーナ RETURNS 2/3:2011/04/22(金) 00:28:42 ID:JxnhOYu2

≪数分後、2階のとある部屋≫

「これでよし、と」
トゥルーデがグンドュラさんをベッドに乗せ、身体の上からシーツをそっとかける。
「それじゃお休み、ミーナ」
「お休み〜、ミーナ」
「ええ、お休みなさい。トゥルーデ、フラウ」
トゥルーデとフラウを見送った後、寝巻きに着替えて眠りに就こうとしたちょうどその時、
グンドュラさんがごろんと寝返りを打つのが見えた。
寝返りを打った拍子にグンドュラさんの身体を包んでいたシーツがベッドからずり落ちる。
「ん〜、むにゃむにゃ……」
「あらあら、グンドュラさんったら……」
私がシーツをかけ直すためにグンドュラさんに近づいた時、不意に彼女のお尻が目に入る。
「グンドュラさんってすごく形の良いお尻、してるわね……」
彼女の丸みを帯びた柔らかそうなお尻を見てたら、自分の中でもやもやとした気持ちが湧き上がってくる。
ああ、触りたいわ……

『触っちゃいなさいよ、ミーナ』
(出たわね、悪魔ミーナ!)
久しぶりに自分の中の悪魔が私に囁きかけてきた。
『ミーナ、これは今まで501の隊長として頑張ってきたあなたへのご褒美よ。
グンドュラさんのお尻を好きなだけ触りなさい』
(で、でも……)
確かに今のグンドュラさんは無防備だ、触るには絶好の機会と言えるだろう。
しかし、今の自分にはまだかろうじて理性が残っていた。
『悪魔ミーナの言うことを聞いちゃ駄目よ、ミーナ!』
(天使ミーナ……!)
これまた久しぶりに天使の自分が心の中で囁きかけてきた。
『いかなる理由があろうと、相手の合意もなしにお尻を触るなんて人として最低よ!』
(そ、そうよね……)
『何よ! 今まで一度も私に勝ったことないくせに!』
悪魔ミーナが天使ミーナにそう言い返す。
そう、私の中で天使と悪魔が対立を始めると勝つのはいつも決まって悪魔ミーナだった。
その結果、いつも私は自分の欲に負けて暴走してしまい、隊のみんなに迷惑をかけたものだ。
(や、やっぱり合意もなしにお尻を触るのは良くないわよね……)
私が自分の欲を振り払おうとしたその時、悪魔ミーナが再び囁きかけてくる、
『いいことミーナ? ここでグンドュラさんのお尻を触らないというのは彼女に対する冒涜よ!
ウィッチ達の健康的なお尻を触る事こそ、あなたの義務なのよ!』
悪魔ミーナのその言葉で自分の中で何かが吹っ切れた。
そうだ、ウィッチのお尻を触る事が私に課せられた義務なのだ。

「そうよね、ちょっとだけなら……いいわよね?」
私がグンドュラさんのお尻に触れようとしたその瞬間、彼女はむくりと起き上がり、私の腕をつかんできた。
「え?」
「やれやれ、お尻好きって噂は聞いてたけど本当だったんだね。眠ってたらそのままやられるとこだった」
「お、起きてたの?」
私は胸をドキドキさせながら、グンドュラさんに訊ねる。
「ああ。『グンドュラさんってすごく形の良いお尻、してるわね……』辺りからね……えいっ」
「きゃっ!」
私はそのままグンドュラさんにあっさりと押し倒されてしまう。
さすがフラウ、トゥルーデに次ぐ撃墜数第3位のウルトラエースなだけあるわね……って、感心してる場合じゃない。
この状況、かなりマズいんじゃないかしら?
「私のお尻を触りたかったのかい? でも、私からしてみれば……」
グンドュラさんが私のお尻に手を回し、ズボンに手をかけてそれをするすると脱がしていく。
「ちょ、ちょっと……」
「君のお尻のほうがよっぽど興味深い」
グンドュラさんはそう微笑むと、私のお尻をそっと撫でてくる。
「あぁ……ぁんっ」
お尻を撫でられるのが気持ちよくて、私は思わず声を洩らしてしまった。
「グ、グンドュラさん……はぁっん……」
お尻を撫でる手が段々激しくなり、それに呼応するかのように私の声も大きくなる。
「これが噂の200機目撃墜を達成したというお尻か……確かに素晴らしい触り心地だ」
「そ、それは言わないでよ……あぁん」
「ミーナ、もっと気持ち良くしてあげるね」
そう言って、私のお尻を優しく揉んでくるグンドュラさん。
お尻を揉まれる感覚に私はびくりと身体を震わせる。
「グンドュラさん……ダ、ダメっ……あっ、ぁん」
「ミーナ、可愛いよ」
グンドュラさんのその言葉を最後に、私の意識はそこで途切れた……

55天使ミーナVS悪魔ミーナ RETURNS 3/3:2011/04/22(金) 00:30:38 ID:JxnhOYu2
――――――――――――

「おーい! ミーナ、グンドュラ! 朝食ができたぞ」
回想が終わると同時に、下のほうからトゥルーデが私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。
下から漂ってくる朝食の美味しそうな匂いが私の食欲をくすぐる。
「分かった、今行くよー!……さてと、それじゃ私は先に行ってるよ。ミーナも着替えたらすぐに来てね」
「え、ええ……」
私は1階へ降りたグンドュラさんを見送った後、自分のお尻をそっと触ってみた。
昨日彼女に触られた感触がまだ残っているような気がした。
「また今度、触ってもらおうかしら……」
私はズボンを穿き替えながら、不意に呟く。
たまにはこんなスリルも悪くないわよね?

〜Fin〜


――――――――――――

以上です。内容はほとんど誕生日関係ないですね。
続いてはあくしずのピンナップ(ttp://skm.vip2ch.com/hirame/hira026098.jpg)を元にしたトゥルーデ×エーリカです。
若干えっちな表現が含まれています。ではどうぞ

56Double Angels:2011/04/22(金) 00:31:54 ID:JxnhOYu2

「トゥルーデ! 誕生日おめでとー」
3月20日、私は今日が誕生日のその人の背中めがけて思いっきりハグをする。
トゥルーデは最初ビックリしていたけど、抱きついてきたのが私だと分かると振り向き、優しく微笑んでくれた。
「ああ、ありがとうエーリカ……って、何だその格好は!」
「天使だよ。見て分からない?」
今私が身に付けているのは白と水色をベースにした露出度の高いトップスとベルト、それに輪っかと羽の装飾。
そう、早い話が天使の格好をしているというわけだ。
「いや、だから何でそんな格好をしているのか聞いたんだ」
と、腕を組み困ったような表情で訊ねてくるトゥルーデ。
「えへへ、可愛いでしょ? この前の休日に買ってきたんだ。もちろんトゥルーデの分もあるよ。はい、これ」
私は自分が今着てるのと同じ衣装をプレゼントとしてトゥルーデに渡す。
「一緒に着よ」
「こ、断る! 何で私がそんな格好を……」
う〜ん、やっぱりそんな簡単に着てくれないか。
いいもんね、それなら無理矢理着せちゃうから。
「へへ、ちょっとじっとしててねトゥルーデ」
「お、おいエーリカ! いきなり何するんだ!」
私はトゥルーデの軍服を脱がして天使の衣装を着せていく。
トゥルーデも抵抗しようと思えば出来たはずなのにそれをしないって事は、私と密着してるのがまんざらでもなかったのかな。
「後は輪っかを付けてと……よし、これでOK!」
「エーリカ、やっぱり私にはこんな格好似合わないと思うが……」
天使の衣装を纏ったトゥルーデが恥ずかしそうに頬を染めながら俯く。
ねぇトゥルーデ、その表情はちょっと卑怯じゃないかな?

「もう……トゥルーデ可愛すぎ」
「エ、エーリカ!?」
気が付けば私はトゥルーデの事をぎゅっと抱きしめていた。
着替えさせた時よりも一層お互いの肌と肌が密着する。
トゥルーデの胸に耳を当ててみると、激しい胸の鼓動が聞こえてきた。
「トゥルーデ、すごくドキドキしてるね……」
「あ、当たり前だ、大好きなエーリカにいきなり抱きしめられたんだから……」
「え?」
不意にトゥルーデに大好きと言われ、私も思わず顔が真っ赤になってしまう。
「どうした、顔が真っ赤だぞ?」
「うぅ、トゥルーデの意地悪……」
私がそう呟くと、トゥルーデは悪戯っぽく頬笑みながら私にキスをしてきた。
「トゥルーデ……あぅ」
「ふ、可愛い奴め」
そう言いながらトゥルーデは、右手を私の肩に回して左手で私の太ももの辺りを撫でてくる。
「トゥルーデ……あぁっ……んっ」
トゥルーデに撫でれるのがあまりにも気持ちよくて、私はつい普段出さないような声を洩らしてしまう。
それを聞いたトゥルーデは一層激しく私の太ももを撫でてきた。
「エーリカ、すごく綺麗だ」
「ひゃっ……んっ」
トゥルーデはそれからしばらくの間私の太ももを撫でた後、今度は私のベルトの中に自分の左手を侵入させてくる。
ちょ、ちょっと待って! 今私ズボン穿いてないからそんなところ撫でられたらやばいって!
「ひゃっ……トゥルーデ、そ、そこっ、ダメ……あぁん」
「な!? 何でお前はズボンを穿いていないんだ!?」
「な、何でって、いつも通り見つからなかったから……ぁんっ」
私がそう応えるとトゥルーデはぴょこんと使い魔の耳と尻尾を出して、私をベッドに押し倒した。
「へ? トゥ、トゥルーデ?」
私がトゥルーデの顔を覗き込むと、彼女は顔を真っ赤に紅潮させていた。
「全く……お前は私をどれだけドキドキさせれば気が済むんだ」
それはこっちの台詞だよ、私だってトゥルーデの傍にいるとドキドキが止まらないんだから。
それにしても、今日は随分積極的だねトゥルーデ。
ひょっとして、誕生日だから気持ちが舞い上がってるのかな?

「いいよ、今日はトゥルーデの好きにして」
私のその言葉を聞いて、トゥルーデは顔を更に真っ赤にさせる。
「……どうなっても知らないぞ」
そう呟きながら、トゥルーデは左手を再び私のベルトの中に侵入させてきた。
「んっ……トゥルーデ……ひゃぁん」
「エーリカ、愛してる」
そう耳元で囁かれ、もう一度私の唇に自分の唇を重ねてくるトゥルーデ。
ありゃりゃ、どうやら私、トゥルーデの中で眠ってたワンちゃんを起こしちゃったみたい。
でも、こんなに元気ならまだまだ一緒に飛べるかもね。
ねぇトゥルーデ、来年の今日はどんな服を一緒に着よっか?

〜Fin〜

―――
以上です。エーゲルマジ天使! ところで、どうしてエーリカはピンナップだとおっぱいが増量するんでしょうね。
最後は保管庫NO.1453「Magic Box」の続編でパティ視点のジェーン×ドミニカです。ではどうぞ

57Double Angels 1/2:2011/04/22(金) 00:33:26 ID:JxnhOYu2

「ジェーンに私をプレゼントしようと思うんだ」
時刻は23時を少し過ぎた頃、私とティナが談話室でトランプで遊んでるところに
ドミニカがやってきて、不意にそんな事を言うもんだから思わず吹き出しそうになった。
「えっと、今……なんて?」
「ほら、この前の私の誕生日に2人がジェーンをプレゼントしてくれただろう?
それと同じ事を私もやろうと思ってな」
と、部屋の時計を見ながらドミニカが言う。
そう言えばあと数十分もしないうちにジェーンさんの誕生日ね。
「つまり、またぼく達に協力してほしいってこと?」
「ああ、そういう事だ」
「ぼくは別にいいけど……パティはどうする?」
「もちろん協力するわ。ジェーンさんの反応も見てみたいしね」
「よし! そうと決まれば善は急げだね。ぼく、隊長からおっきな箱借りてくるよ」
悪戯っぽく微笑みながらティナは一旦談話室を後にする。
さてと、それじゃあ私は主役の大将さんに飾り付けでも施すとしますか。

――それから10分後

「後はここをこうして……これでよし、と」
「お、おいパティ……ちょっと巻きすぎじゃないか?」
「え? そんな事ないと思うけど……ところでドミニカ、さっきから気になってたんだけどその箱は何?」
全身をリボンでぐるぐる巻きにされても尚、ドミニカが大事そうに抱えている小さな箱を見ながら私は尋ねる。
「ああ、これはさっき私とルチアナで作ったジェーンのバースデーケーキだ。最も、私は横で見てただけだけどな」
「要はそれ、ルチアナが1人で全部作ったのね」
「まぁ、そうとも言うな」
ニヤリと笑いながら、私のツッコミにそう言い返すドミニカ。
「隊長に頼んでおっきめの箱、貰ってきたよ」
ちょうどそこに、大きな箱を持ったティナがニコニコ顔で談話室に戻ってきた。
よし、これで準備はOKね。
「それじゃあドミニカ、私たちはジェーンさんを連れてくるから箱の中で待っててね」
「ああ、頼む」
私たちはリボンでぐるぐる巻きになってるドミニカを箱に入れて、その上からそっとフタを被せた。
後は箱の中の眠り姫を目覚めさせる王子様を連れてくるだけね。

58Double Angels 2/2:2011/04/22(金) 00:34:09 ID:JxnhOYu2
――更に10分後

「パティさん! マルチナさん! どこに連れてくつもりですか?」
「今に分かるよ。ほら、早く早く」
私とティナはジェーンさんの手を引っ張って彼女を談話室まで連れて行く。
「ささ、入って入って」
「は、はい……えっと、この箱は何ですか?」
ジェーンさんは、部屋の真ん中に不自然に置かれている大きな箱を見て首を傾げる。
「へへ、誕生日おめでと、ジェーン」
「それは私たちからの誕生日プレゼントだよ、開けてみて」
「ええ!? いいんですか? こんな大きなプレゼント……」
「うん。ほら、早く開けて開けて」
「ありがとうございます。では、早速開けてみますね」
ジェーンさんは戸惑いながらも箱のフタをゆっくりと開けていく。
ふふっ、ジェーンさんがどんな反応をするか楽しみね。
「ジェーン、誕生日おめでとう」
「わわっ! た、大将!?」
箱から出てきたリボンに身を包んだドミニカにビックリしたジェーンさんは思わずその場で尻もちをついた。
うん、中々面白いリアクションね。
「何だ、そんなに驚くことないじゃないか。前にお前も私に同じことをしてくれただろう?」
「そ、それはそうですけど……まさか箱の中に人が入ってるなんて思わないじゃないですか」
「4ヶ月前の私も同じことを思ったさ。さ、今日はジェーンが私を好きにしていいぞ」
と、聞いてるこっちが赤面するような台詞を平然と言い出すドミニカ。
何と言うか、さすがロマーニャ人の血が入ってるだけあるわね。
「た、大将! いきなり何言い出すですか!」
ティナのズボンと同じくらい顔を真っ赤にしながら、ジェーンさんは慌てふためく。
「どうした? 私がプレゼントじゃイヤだったか?」
「い、いえ……そんな事ないですけど……」
顔を一層真っ赤にさせて、しばらくの間黙りこむジェーンさん。
やがて何かを決意したような表情で立ちあがり、ドミニカの前でこう呟いた。
「本当に……好きにしていいんですね?」
その台詞を言い終わるか言い終わらないうちに、ジェーンさんはドミニカの唇にそっと自分の唇を寄せる。
「わぁ、ジェーンって意外と大胆だね」
「う、うん……」
私たちがそのままリベリオン夫婦の行く末を見守っていると、ジェーンさんが驚くべき行動に出た。
「うわぁ、すごく美味しそうなケーキですね」
「私とルチアナで作ったケーキだ、食べてくれ」
「はい、頂きます!」
ジェーンさんはドミニカがルチアナと共同(正確にはルチアナが1人で)作ったケーキの生クリームを
ドミニカの首に塗ると、生クリームごとその首をペロリと舐める。
あらら、もう完全に私たちの存在なんてお構いなしね。
「お、おいジェーン、そんなとこっ……んっ」
「えへへ、ケーキも大将も美味しいです。次は頬に塗りますね」

ジェーンさんはそれから数十分もの間、ドミニカの身体に生クリームを塗って舐めるという行為を繰り返し続けた。
何て言うか……2人とも末永くお幸せにね。

〜Fin〜

―――
以上です。気がつけばハルトマン姉妹の誕生日過ぎてました……
今月中にはどうにか誕生日話を完成させたい……ではまた

59鋼の魔女はかく語りき:2011/04/23(土) 20:07:45 ID:VUHe331U
最初に言っておくよ。
私はあんた達が大嫌いだ。
戦う力も無いくせに口先ばかり達者で、私達ウィッチがどんな気持ちで、その青春時代を仲間の血と硝煙と自ら流した涙に染めたかなんて理解しようともしない。
繰り返すけど私は偉そうにふんぞり返って指示を出す事しか出来ない上層部も、それに媚びへつらう政治家も大嫌いだ。
でも、私は戦わなければいけないんだ。
でも、私は戦わなければいけないんだ。
人質にされている家族の為、死んでいった仲間の為、これから産まれてくる少女がウィッチとして戦わなくても良いように、私は飛べなくなっても戦い続けるんだ。
後の歴史に名を残すで有ろう彼女はこの様に前置きし、私に一冊の手帳を差し出し語り始めた。
彼女の許可を得てまずはその手帳の内容を記す。

60鋼の魔女はかく語りき2:2011/04/23(土) 20:09:11 ID:VUHe331U
美緒の表情が暗い。過日赤城が沈みその乗員が皆行方不明とし処理されたからだろうか?
一人ストライカーで帰還した彼女は何時もの豪放磊落な彼女ではなく、暗い影を帯びていた。
宮藤博士の墓所で泣きながら何か呟いていたそうだし心配だわ。
私は指揮官として最低だ。
副官の不調に気を取られていて新兵の不安に気付かなかった。
今も、彼女がブリタニア有数の資産家でありウィッチの家系の生まれで、その彼女を戦死させてしまった事によってブリタニア軍との折り合いが悪くなる事を打算的に考えてしまう。
此処まで読んだ時にふと彼女が話しかけてきたので、その言葉を挿入する。
なに青い顔をしかめてるのさ?
あんた達が興味津々な乙女の日記だよ。
もっと楽しそうに読みなよ。
おどけてみせるが彼女の瞳は全く笑っておらず、深い闇がのぞいていた。
続くかもしれない

61mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/04/24(日) 20:08:15 ID:4e6zd.as
>>52 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
大量投下GJです!
悪魔ミーナvs天使ミーナ吹いたw さすがラル隊長ですね。
天使エーゲルとプレゼント大将も素敵です!


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日は何の日、と言う事で軽く書いてみました。
ではどうぞ。

62playfully 01/02:2011/04/24(日) 20:08:49 ID:4e6zd.as
(嫌いなら、何でわざわざ来たんだろう……)
 アンジーは思いを巡らせながら、執務室へと急いだ。

 執務室をノックすると、どうぞー、と気楽な声が帰って来た。がちゃりとドアを開け、中に入る。
「あらどうしたの、アンジー。むっつりした顔で。何かイケナイ事でもあった?」
 つまらなそうに片肘をついて書類を読んでいたフェデリカは、横目でアンジーの顔を見て作り笑いをして見せた。
「隊長。さっきのはどういうおつもりですか」
 一歩一歩近付き、机の前に立つと、怒鳴る訳でもなく、ただ、怒りを押し殺した声で問うアンジー。
 “さっき”の出来事。それは誕生日祝いもそこそこに、極めて適当な態度でさっさと切り上げてしまった祝いの主役。
そんな彼女に対する、アンジーの悲しみと若干の怒り。
「何って言われても。私はまだまだイケてる自信はあるけど、流石にああいう事するトシでもないと思っただけよ」
 あっけらかんと答えるフェデリカ。顔色を変えるアンジー。
「だからって……」
 ばんと机に手を置き……叩くとも言う……、フェデリカをじっと“見る”アンジー。
 そんな馬鹿真面目なヒスパニアンを見たフェデリカは、物怖じ一つせず、あらあらと様子を見た後くすっと笑い、
やおら立ち上がるとアンジーの身体をつつっと指でなぞり、そっと後ろから抱きしめた。
「分かってる、アンジー。貴方、優しい子ね」
「隊長……」
 突然の抱擁に慌てるアンジー。身体の距離が近過ぎるスキンシップはまだ少々不慣れだ。
「あのロマーニャ三バカ娘を筆頭におバカな事ばっかりだからちょっとは腹の立つ事もあるでしょうけど、大目に見てやって。
同じ赤ズボン隊のひとりとしてね」
「でも、私は」
 なおも食い下がるアンジーに、フェデリカは笑顔のまま、言葉を続けた。
「良いのよ。たまには私抜きでどんちゃん騒ぎしても」
「そ、それはいつもの事で」
「あはは。アンジーはいつも横目で見てるだけだからね。何故見てるの? 見てるだけなの?」
「何故って……」
 フェデリカはアンジーを真正面に見る。肩をぐっと掴み、真面目な顔を作って言った。
「貴方も、もっと楽しみなさい。生きてるうちじゃないと楽しめないわよ?」
「……」
 引退間近の、魔女の言葉は殊の外重い。手から肩にかかる力だけでなく、言葉の力も、意味も。
「この前の怪我もそう。死ぬ気で戦うのと、死んでも良いと思って戦う事は別。分かる?」
 先日の戦いと負傷の事を言われ、言い返せず、肯定するしかなかった。
「……はい」
 脇に目を逸らしたアンジーを見、フェデリカはもう一度アンジーを抱きしめ、耳元で囁いた。
「なら、明日を生きる為に、戦いなさい。そして今日を生き抜いて、とことん楽しむ。それでいいわね?」
「め、命令とあらば」
「どこまでもカタいんだから」
 フェデリカはもう一度、笑った。そしてアンジーの耳元でそっと囁いた。
「もう、行ってあげなよ。心配してる娘がいるから」
「えっ?」
「私の授業はここまで。さ、出てった出てった」
 フェデリカに唐突に腕を引かれ……、そのまま執務室の外にぽいと追い出される。

63playfully 02/02:2011/04/24(日) 20:09:11 ID:4e6zd.as
 びっくりした顔で目の前に居たのはパティ。突然の“パス”を出された格好で、何処か挙動不審に見える。
「うわ、アンジー。た、隊長……、どうだった?」
 恐る恐る聞いてくるブリタニア娘を前に、アンジーは答えに詰まる。
「うーん、まあ……」
「怒ってた?」
「怒ってはなかった。皆で騒げって」
 アンジーの答えを聞いたパティは、やれやれと身体の緊張を解いた。
「それは大丈夫。もう随分と騒いでるから」
「あいつら……」
 パティはアンジーの肩を抱くと、にやっと笑い、誘う。
「まあ良いじゃない。アンジーもどう?」
「わりとどうでもいい」
 ぶっきらぼうな答えを聞いたパティは、アンジーの耳元でわざとひそひそ声で囁いてみる。
「隊長の言葉、いきなり反故にするの」
 パティの吐息絡みの言葉を聞いたアンジーは、耳まで真っ赤にして、驚く。
「ちょっ、パティ、まさか聞いてた?」
「さあ、どうだかね」
 パティはさっと身を翻すと、一歩退いた。一歩踏み出すアンジーは警告した。
「ちょっと待て。盗み聞きは良くない」
「なら、私を捕まえたら教えてあげる」
 悪戯っぽい笑みを浮かべて、パティはパーティー会場になっている食堂目掛けて走り出す。
「ま、待てぇ!」
「あはは、アンジーこっちこっち!」
 パティとアンジーの短い鬼ごっこは、食堂の目前で終わる。
 肩を掴まれ、そのまま廊下にすっ転ぶ。
 身体がもつれ、廊下で抱き合ったかたちになったパティとアンジー。真剣な目で見るアンジー。
「で、どうなんだ」
「ここまでして、知りたい?」
 悪戯っぽく笑うパティ。
 その時、食堂のドアが開き、ドミニカとジェーンがひょっこり顔を出した。
「おや、大きな物音の正体は……」
「大将、じっと見てたら悪いですよ」
「こりゃ邪魔したな」
 言うなり、ばたんとドアを閉めるドミニカ。
「ちっ違う! 誤解するな!」
「誤解じゃなくしてもいいんだけどなー」
「えっ」
 驚くアンジーの前で、少し頬を染めたパティが居る。
 アンジーは食堂に乱入して「くだらない会合をただちに中止させる」か、「目の前のパティの企みを暴く」か、
いずれにせよ迷い、困惑し、身動きが取れなくなった。
 目の前のパティをまずどうするか……どうでも良くない事が、始まろうとしていた。

end

64名無しさん:2011/04/24(日) 20:09:22 ID:4e6zd.as
以上です。
フェデリカ姉さん誕生日おめ!
なぜかアンジー主体になってしまいましたが、
まあそれはそれで。

ではまた〜。

65mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/01(日) 20:58:42 ID:a.V9DEwY
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日は5月1日で501の日! と言う事で軽く書いてみました。
ではどうぞ。

66twister 01/02:2011/05/01(日) 20:59:30 ID:a.V9DEwY
 夜明け前、しんと静まりかえった基地内の木立。
 静寂過ぎて張り裂けんばかりの緊張感の中、必死に刀を振るう魔女がひとり。
 かけ声は鋭く、手にした刀の切れ味に負けずとも劣らず。

 不意に身の背後へ迫る「何か」を感じ、切っ先を向ける。
「ギニャ! 斬るのなしー」
 樹上から姿を現し、悲鳴を上げる。
「なんだ、ルッキーニか。いきなりどうした」
「ニヒヒ 後ろ取ったから勝ち〜」
「何だそれは。稽古でもしにきたのか?」
「違うよ」
 あっさりと否定する天真爛漫なロマーニャ娘を前に、扶桑軍人は顔色を曇らせる。
「で、何だルッキーニ」
「んーとね、少佐、あたしね、夢の中ですんごい戦法思い付いたの!」
「ほう、どんな?」
 “戦法”に興味を持ち、刀を鞘に収める美緒。
「あのね、あのね」
 ルッキーニは木から飛び降りると、目をきらきらさせて、両方の手をひらひらさせながら、語った。
「こう言う感じでネウロイが居るでしょ? そこであたしは、こっからギューンとこっち行って、
そうすると敵も追ってくるから、そこであたしがグルングルンスバーな感じでギュワーンして、
で、敵も負けじとグルグルしてくるから、あたしはもっとズバーっとゴーして、
最後ヨイショッって感じでクルクルーってして、最後ずどーん」
 擬音の多さに何をどうしたいのか意図が全く分からず、眉間にしわを寄せる。
「これは……シャーリーに通訳を頼むべきなのか」
「あ、シャーリーまだ寝てるよ。さっきまで寝ないでずっとストライカーの整備してたから」
「そうか。あいつも熱心だな。って任務は……ああ、今日シャーリーは非番か。なるほどな」
 ひとりスケジュールを思い出し合点する美緒。
「でね少佐。シャーリー起こすのかわいそうだし、少佐にどうって聞いてみたくなって」
「ふむ……」
 美緒は顎に手を遣り考えた。
 これは……。
「よしルッキーニ、お前が実際にやってみせろ。私が見届けてやる」
「えっホント?」
「ああ。数分程度ならちょっとした訓練で済むし、ミーナもうるさく言わんだろう」

67twister 02/02:2011/05/01(日) 21:00:30 ID:a.V9DEwY
 数分後、基地上空で揃って飛ぶ美緒とルッキーニ。
「じゃあ、少佐、ネウロイね」
「私が敵役なのか……まあ、必然的にそうなるか」
 何やら不吉めいた言葉を聞くも、とりあえず受け流す美緒。
「で、あたしの後をついてきてね」
 二人は一応模擬戦用の銃器を担いでいるが、あくまでマニューバの確認と言う事で模擬弾は装填していない。
「じゃあ、行くね」
 ルッキーニはそう言うと、前方に急加速した。
 流石はロマーニャの誇るG55、速度は大したものだ。
 美緒も負けじと後を追う。よく整備された紫電改は美緒の思うままに挙動する。
 唐突に、ルッキーニが振り向いた。
「ここで、さっきのグルングルンスバーな感じでギュワーンいくよ。少佐はまっすぐ飛んでね」
 言うなり、ルッキーニは急上昇を始める。美緒も少し後ろをついて行く。
 するとどうだろう、美緒を中心軸にして、滑らかにロールしながら上昇していく。
「ハイGバレルロールか?」
 美緒はルッキーニの挙動を見、唸った。
 しかし不安もある。
 上昇角が急過ぎる。
「おいルッキーニ、このままだと……」
 言いかけ、息を呑む美緒。
 案の定失速したルッキーニは、加速が止まり、重力に従って「下降」を開始する。
 良くないパターン。
 焦る美緒に、ルッキーニが笑いかけた。
「ここで、クルクルー、で、どかーん!」
 ルッキーニの身体を持とうとした鼻先で、ルッキーニは身体を捻らせ、下降しながら美緒に狙いをつけた。
 二人の身体が重なる。
 美緒は奥歯を噛みしめ、ルッキーニをストライカーごとがっしりと受けとめる。
 何とか安定したホバリング状態に移った後、ゆっくりとルッキーニの身体を離し、雷を落とす。
「こらルッキーニ! あんなでたらめな急上昇で、危ないじゃないか」
「でも、少佐をねらって、ずどーんって……」
 ちょっとしょげるルッキーニ。
 そこで美緒ははたと思い返す。
 なるほど……。
 わざとストールさせ、自重に任せてターンし、急降下攻撃、と言う事か。
 美緒は笑った。
「そうか、そう言う事かルッキーニ。面白い。なかなか面白いぞ」
「えっ、ホント、少佐?」
「ああ。なかなか興味深い発想だったぞ。でもこれはネウロイ相手の実戦ではどうかなぁ」
「アチャー やっぱり?」
「まあ、そうだな。場合によっては……応用が利くかも知れないな。これで終わりか?」
「うん。ありがと少佐。付き合ってくれて」
「はっはっは。少し肝を冷やしたが……まあ、たまにはこう言う訓練も良いな」
 二人は笑った。

 帰投後、ハンガーで仁王立ちで待っていたのはミーナ。
 笑顔で事の顛末を話そうとした矢先にきついお叱りを受け、とほほ……としぼむ美緒とルッキーニ。
 基地の整備員から連絡を受け、慌てて司令所からふたりの様子を「見て」いたのだ。
「二人が交錯してそのまま墜落したらと思って、救護班まで準備させかけたのよ?」
「すまん、ミーナ」
「ごめんなさーい……」
「命が幾つあっても足りないわよ、貴方達と付き合っていると……」
「これは訓練を許可した上官の責任でもある。と言う訳でルッキーニは大目に見てやってはくれないか」
 珍しい、美緒の申し出。ぴくり、と耳が動いたミーナは、あらあら、と言った顔を作りルッキーニの頭をぽんと叩いた。
「全く……ああ言う危なっかしい飛行訓練は程々にね?」
「はーい」
「もう行って良いわ。報告書は何とかしておくから」
「ありがとミーナ中佐!」
 ルッキーニは喜びスキップでハンガーから退散した。
 同じく、基地に戻ろうとした美緒は何故かミーナに肩を掴まれた。
「ん? どうしたミーナ?」
「上官の責任、って言ったわよね?」
「あ、ああ……」
「分かってるわよね? まずは報告書、次は……」
「分かった分かった。隊長殿の、仰せのままに」
「宜しい。じゃあ、行きましょうか」
 何故か嬉しそうなミーナ。
 機嫌が良くなるなら、まあ良いか……。
 美緒はぼんやりとそんな事を思いつつ、ミーナと一緒に執務室へ向かった。

end

68名無しさん:2011/05/01(日) 21:01:50 ID:a.V9DEwY
以上です。
空戦は本当に思い付きですので、
リアリティとか皆無です。
その辺りはご容赦を……。

続いてもう一本投下しますのでよしなに。

69high wind 01/02:2011/05/01(日) 21:03:53 ID:a.V9DEwY
 強風吹きすさぶ501の基地。
 隊員達は基地の中に閉じこもってしまったが、あえてこの風の中、外で過ごすウィッチがふたり。
「珍しいね、こんな風強いなんて」
「ああ。これは離着陸が大変だ。気をつけないとな」
 ベランダから滑走路を眺め、ぼんやりと呟くエーリカとトゥルーデ。
「今日の哨戒任務誰だっけ?」
「シャーリーと宮藤だったか……、まあ、あの二人なら大丈夫だろう」
「そうだね。ミヤフジがちょっと心配?」
「まあ、大丈夫じゃないか?」
 気にしてないぞ、と言う顔を作るトゥルーデ、それを見てふふんと笑うエーリカ。
 午後の休憩(お茶会)も基地のミーティングルームで……と言う事になり、外のベランダに出て辺りを見ているのは
エーリカとトゥルーデの二人だけ。
「まさか、お前のせいじゃないだろうな」
 不意にトゥルーデが呟く。
「どうして私?」
 数秒の沈黙の後、トゥルーデはぷいと横を向いた。
「いや、何でもない」
「まさか、私の固有魔法が暴走したとか言いたい? またまた〜」
「……」
 顔を見せないトゥルーデを見て、エーリカはトゥルーデの肩をぽんぽんと叩いた。
「あれ、マジだった? トゥルーデが冗談言うとはねー。こりゃ今夜は大荒れだよ」
「そこまで言うか!? ……ちょっとした冗談のつもりだったんだ」
「みんなには言わない方が良いよ。多分私以上の反応するだろうから」
「言われなくても」
 ようやく横顔を見せるトゥルーデの頬は、ほんのり赤く……それは強風のせいか、照れのせいかは分からない。
「ま、この風に対抗してみても良いんだけどね」
 両手を風に向かって突き出してみるエーリカ。慌てて止めるトゥルーデ。
「無茶は止めろ。変に力が掛かって、基地が壊れたりしたらどうするんだ」
「それもそっか」
 結局、ベランダに肘つき、風もお構いなしに流れゆく風を感じる。
 ぼんやりと眺める辺りの景色は……海が激しく波打ち、木々が風に翻弄され、時折何かのゴミか紙屑が飛んでいく程度には、
普段よりも変化はしていた。しかし、大嵐が来た程ではなく、ただただ風が強いだけであった。
 ぶわっと、空気の塊が二人を包み、一瞬で抜けていく。
 風圧に圧され少しよろけたエーリカの肩を、がっしりと掴むのはトゥルーデ。
 ただ力が強いだけでなく……さりげない優しさも持った、501の「頼れる姉」。
 エーリカはそのまましだれ掛かり、そして手を伸ばし、トゥルーデの髪縛りを片方解いた。
「お、おい!」
 またも吹き抜ける一陣の風。
 エーリカが持つリボンの軛から解き放たれたトゥルーデの髪は、片方だけ、ざーっと押し寄せる空気に流され、激しく波打った。
「これだから、私は縛っていた方が良いんだ……落ち着かない」
「私は別に良いけどな」
「どうして」
「楽しいし、トゥルーデっぽいし」
「私っぽい? 何処がだ」
「ベッドの上で眠るトゥルーデ?」
「な、な、なんてことを……」
「にしし」
「とりあえずリボンを返せ」
「部屋戻ったらね。今こんな風の中でうまく縛れないでしょ。リボン飛んでくのも嫌だし」
 そう言うと、エーリカはリボンを服の胸ポケットにしまった。
「全く……」

70high wind 02/02:2011/05/01(日) 21:04:12 ID:a.V9DEwY
「あ、見て。シャーリーとミヤフジだ」
 ハンガーからよろつきながらタキシングしてくるシャーリーと芳佳を見る。
「今から任務か。強風で……大丈夫か」
「さっきトゥルーデ大丈夫だって言ったじゃん」
「まあ、そうだが」
「じゃあ、見てようよ」
「ああ」
 シャーリーと芳佳のロッテは……ふらつきながらも離陸した。離陸直後、シャーリーと芳佳がこっちを見た。
 控えめに手を振るシャーリーと芳佳。エーリカとトゥルーデも手を振り返す。
 やがて、シャーリーと芳佳はストライカーを加速させ、あっという間に上昇した。
「雲の上に出るつもりか……上空の風はどうなっているんだ」
「そこまで心配?」
「いや、大丈夫だな」
「そそ。問題ないってね」
 エーリカはそこで、くしゅんと小さくくしゃみをした。トゥルーデはハンカチを取り出しエーリカの鼻を拭く。
「もう戻るか。あんまり風に当たり過ぎても良くない。ストライカーも無しでな」
「そう言えば、何で外の様子見ようって事になったんだっけ?」
「それは……」
 言われて気付く。その辺りの記憶が何故か曖昧な事に。
 まあ、良いか……。トゥルーデはそう呟くと、エーリカと一緒にミーティングルームに向かった。
 きっとリーネが二人の為に熱いお茶を淹れて待っているだろう。残った連中が少なからず茶化すだろう。
 しかし501とはそう言う部隊であり、そんな家族的な雰囲気こそが強さの源かも知れない。
 きっとミーナは控えめに、美緒は豪快に笑うだろう。それで良いのだ。それが501なのだ。

end

71名無しさん:2011/05/01(日) 21:05:22 ID:a.V9DEwY
以上です。
強風下でストライカーが発進出来るかどうか……
その辺の考察が曖昧ですが、雰囲気って事でよしなに。

ではまた〜。

72Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:18:13 ID:puEpBQFU
こんばんは!

>>65 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.cさま
毎度毎度、読ませて頂いてキュンキュンしています!少佐とルッキーニ…これまた斬新な組み合わせですね!
掛け合いが新鮮でした、ルッキーニの擬音の多さだとか;;あと「ring」シリーズ…最高です!バルクホルンの洒落を言って恥ずかしがるところとかw

今回は『ヘルマの発情』シリーズ最新作を投稿したいと思います!

73Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:18:52 ID:puEpBQFU
【ヘルマの弟子入り】

「少し遅くなりましたが…バルクホルン大尉!お誕生日、おめでとうございます!!!」
「…へ???」
「これ…私とクリスさんで選んだプレゼントです!」
「クッ、クリスとか??!!」
「はい…あとお手紙も貰ってます」
「お前…クリスと仲が良いのか…」
「はい!…まあクリスさんはロンドンに居るので、1〜2か月に一度しか会えませんが;;」
「ありがとう!」

ギュッ...

最近、寮近くで住み着いてる野良猫が発情期でうるさくて眠れません!
…あ、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケであります!
これは、その…この間の、『特別編・ヘルマの軍規違反』直後の話であります………。

「本当にありがとう!」
「このプレゼントを渡したくて…ここに来ました」
「これからもクリスと…仲良くしてやってくれ」
「………はい!であります!」
「その笑顔!それでこそレンナルツだ!」
「ありがとうございます、バルクホルン大尉…私、ここに来て正解だったでありま………ひいっ!!??」
「…ん?どうした?レンナルツ」
「ああああああの…」

わっ、私!見てはいけないモノを見てしまったでありますっ!!!!

「ん?どうした?」

ドアが少し開いていていてですね…その隙間から光る2つの怪しげなモノが…っ!!

「あら、バレちゃったかしら?」
「なんだミーナか…」

その…隙間からミーナ中佐が見ていて…なんか背中がゾクッとしたんでありますよ!マジで!!

「ねえヘルマさん」
「はいぃぃっ??!!」
「…とりあえず、抱き合うのはいったんやめにしてもらえないかしら?」
「あ…」

気付けば、ずっとバババババルクホルン大尉と…その抱き合ってたであります;;

「今夜はここに泊っていくということで、大丈夫よね?」
「へ…??」
「ウルスラさんから聞いてるわ、あなたの事を。よろしく頼みますってね」

えぇぇぇっ??!!
そんなん無理です、ダメであります!!
だってここに泊まるイコール、ミーナ中佐に『いただかれちゃう』ってことですから!
…てかさっきからミーナ中佐、顔は笑ってるけど目は獲物を狙う目でありますよ??!!

「あ、あのぅ…」
「何かしら?」
「この辺にビジネスホテルとかないですかね…?」
「ないわ」
「じゃっ、じゃあ部隊の他の方々に迷惑掛けるとアレなんで野宿します!」
「迷惑なんかじゃないわ、泊まっていきなさい」
「そうだぞレンナルツ、お前は居ても全然迷惑なんかじゃないぞ!」

ううっ…バルクホルン大尉、そのお言葉と笑顔は反則でありますって!!


***

74Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:20:04 ID:puEpBQFU
>>73の続き。


【数時間後】


「うううっ…(泣)」
「ねえヘルマさん…良かったわ。もう一回戦、どうかしら?」

掛け布団にくるまり、泣いてる私…であります。てか、なんで私とミーナ中佐は同室なんでありますかぁ??!!
…そして、やはりミーナ中佐に『いただかれちゃった』であります…。

「なに泣いてるのかしら?」
「ごっ、ご自身がなされてることがわからないのですか?!パワハラ…いや!れっきとしたセクハラですよ!!」
「あのね、ヘルマさん」

するとミーナ中佐はベッドから抜け、傍のテーブルに置いてあるガラス製のピッチャーを手に取り、グラスに水を注いだであります。

「私くらいの役職だと…こうゆう軽いことは揉み消すことが出来るのよ」
「非常に、そして淡々と最低なことを言いますね…;;」
「管理職となると色々とねえ…ストレスが溜まるのよ」
「わっ、私はミーナ中佐の人柱じゃありませんってば!!」
「人柱?…聞こえが悪いわね。あくまでもあなたの意志でベッドに入ってベッドで行為をした…って解釈だけど?」
「…絶対に偉くなったら、あなたをっ!!」
「何か言ったかしら?」
「いいえ!!」
「ふふふっ…さっ、も一回しましょう」
「…へ???」


***

75Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:21:01 ID:puEpBQFU
>>74の続き。


「イタタタ…」

翌朝、腰がものすごく痛いであります;;
まあ…あの後4・5回撃墜されてしまいましらからねえ…;;;

バレないようベッドからそっと抜け出し、裏庭へ行く私。
するとそこには…

「あ!あの人…!」

ガリア復興の際、一時期『時の人』となっていたガリアのぺリーヌ・クロステルマン中尉ではありませんか!!
恐る恐る近づいて…、

「おっ…おはようございます」
「きゃっ!?」
「わっ!!??」

そっ、そんなに驚かなくても;;;
それに私までも驚いちゃったであります;;;

「なっ、何ですのあなたは!?」
「あ、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツであります!」
「前にも来た方ですわよね?」
「はい。失礼ですが、自由ガリア空軍のぺリーヌ・クロステルマン中尉でありますよね??」
「いかにも私がそうですが」
「わあ…!!有名人に会えるだなんて…!!」
「有名人?私が?」
「はい!」

少し頬を赤く染めるクロステルマン中尉…であります。
『ブループルミエ』と呼ばれるトップエースも、意外と恥ずかしがり屋さんなんでありますね〜!

「リネット曹長とガリア復興で活躍してたそうですね?!我がカールスラントでも新聞の一面を飾ったことがありますよ!」
「それは本当ですの?!」
「ええ!ヤフーニュースでもトップニュースに!」
「そ、そうですの;;」
「あ、あとこの間あれにも出てませんでした?!『あの人は今!?』に!!」
「………」

あ…あれれぇ???

「なっ、何をなされてるんですか?こんな朝早い時間に」
「種を植えてるんですの」
「種?そういやここ…」

周りを見渡すと、軍事基地とは思えないほどの綺麗な花々!
昔、小さい頃に読んだ童話の世界…ような花畑がそこにあったであります。

76Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:21:26 ID:puEpBQFU
>>75の続き。

「綺麗な花々でありますねえ…」
「そ、そうかしら?」
「それに…良い香りですねえ」
「ハーブも育ててるからですわ」
「お詳しいんですか?」
「まあ…ちょっと」
「スゴいであります!」

有名人の意外な一面も…ちょこっと見れたでありますね。

「コホン…これはレモングラス、あれはベルガモット、こっちがマジョラム」
「結構色々な種類のを栽培なされてるんでありますね!」
「まっ!貴族として当然の嗜みですわ!(ドヤ」

…え、ドヤ顔?!私の中の『ペリーヌ・クロステルマン』像のポイントが20点マイナスであります…;;

「あの…」
「何ですの?」
「単刀直入に聞きますが、クロステルマン中尉は坂本少佐がお好きなんでありますよね?」
「なっ!!何故それを…!?」
「公式設定ですから」
「何ですの?!それ」
「そんなことはどうでも良いんで、教えてください」
「あ、あれは憧れから来るものでありますわ!!」
「…ですよねえ」
「だから何ですの?」
「付き合いたい…って思わないんでありますか?」

すると、クロステルマン中尉は近くのベンチに座ったであります。

「そりゃあ…もしお付き合いが出来るのなら、したいですわ」
「ええ」
「けど…今の関係が、一番良いかなって最近思い始めてて…」
「………」
「少佐といつか結ばれる!と思ってるから、日々の生活が楽しいのではないのかしら…って思いますわ」
「べっ、勉強になるであります!!!!」
「かかか顔が近いっ!!」
「ス、スミマセン;;そうでありますよね…前から欲しかった物がいざ手に入ると…楽しさが半減することと一緒でありますよね?」
「まあ…そんなところですわね」

正直、昨日あのままずっとバルクホルン大尉に抱きしめられてたら…どんなに夢見心地だったのでしょう…
けど…『憧れ』は『憧れ』のままにしておくから、その分パワーになって跳ね返って来るものだと思うであります!

「クロステルマン中尉!…いや、ペリーヌ姉やん!!!!」
「ペッ、ペリーヌ姉やんですって??!!」
「あっしを…今日から弟子入りさせてください!!!!」
「ちょちょちょ…どうゆうことかしら???」
「まずは性格をツンツンにした方が良いのでありますね??!!」


***

77Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 00:22:29 ID:puEpBQFU
>>76の続き。


そして帰る時間がやって来たであります。
ハルトマン中尉の運転で、バルクホルン大尉と私の3人で空港まで送ってもらい、車中にて…

「バルクホルン大尉」
「レンナルツ、どうした?」
「あの…えと、昨日は色々迷惑かけて申し訳ございません!!」
「全然迷惑だなんて思っていないぞ、心配するな」
「そのうちトゥルーデ、レンは『いもうと』だって言うかもねー」

なんか良い感じだったのに、ハルトマン中尉が横槍を入れてきたであります!
全く、この人はもう!!

「エーリカ!」
「へへーんだ」
「ゴホン…けど、レンは…我々501部隊の家族…ではないが…親戚だな」
「親戚…でありますか?」
「ああ。バカンスに遊びにくるような感覚で、疲れたら私のところに来れば良い」
「あれぇ、ここは戦場だよー?遊びに来るところはないよー?」
「えぇい!さっきから茶々を入れるなハルトマン!!!!」
「はは…あははは」
「あ、レン!ウルスラによろしくね」
「はい!であります!」

そう言って、私はウルスラ・ハルトマン中尉の『粋な計らい』によって生み出された休暇…いや、謹慎?
まあどっちでも良いであります!

そして、本国へ戻ってから真っ先にハルトマン中尉の研究室へ。

「この度は申し訳ございませんした!以後、あのようなことがないよう心がけますので明日から心機一転頑張ります!」
「…そう」
「あとこれは…501部隊の宮藤軍曹からお土産の里芋の煮っころがしです…あ、タッパーの蓋が緩くて汁がこぼれててベトベトですが;;」
「…姉さまは、元気だった?」
「はい!ぜひ会いたいと仰ってました!」
「そう…」

普段はあまり見せることのない笑顔を、見せたであります。
良かった…これで以前の関係に戻ったであります!

上機嫌で部屋に戻ると、

「ん…んっ?」

ドアに何か手紙が挟まってるではありませんか!!

「何でしょう…?」

恐る恐る手紙を開けると、そこには1枚の写真とメモが。

「…えっ!?」

写真とは………ベッドの中でいつの間にか中佐に撮られた…その、その…そのぅ…いわゆる『ニャンニャン写真』であります;;;

「な…何でありますか?!これっ!!」

そしてメモには、
『あなたは私からは逃げられないわ。 ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ』
と。

「………優秀な弁護士を探さないと;;」

ヘルマ・レンナルツ13歳、一難去ってまた一難…まだまだ苦労は絶えません…トホホ。

【おわれ】

78Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/05/05(木) 10:44:46 ID:puEpBQFU
どうも、作者です。

>>73についていきなり訂正が!
『…あ、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケであります!』
って…ヘルマ、自己紹介で誰の名前を言ってるのでしょうか?;;正しくは、
『…あ、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツであります!』
です;;;

凡ミスをしてしまい、すみません;;;

79mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/06(金) 01:30:55 ID:Md54HCKw
>>78 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
細かいミスはキニシナイ! 誰にでも有る事ですし。
ともかく、毎度のテンション&細かいネタにGJです!


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いた食事ネタをひとつ。
ではどうぞ。

80reheater 01/02:2011/05/06(金) 01:31:35 ID:Md54HCKw
 倉庫の片隅で、何やら荷物らしき物体と格闘している同僚を見つけたトゥルーデ。
 何をしているかと思い近付きながら声を掛ける。
「どうしたリベリアン」
 振り向いたシャーリーは、一瞬ぎくりとした顔をしたが、トゥルーデの顔を見ると、無理に笑顔を作った。
「あ、堅物か。バーベキューしようと思ってさ。準備してたんだけど……」
 言ったそばから、ごろんと転がり落ちる、ドラム缶の破片。
「そのドラム缶……前に作ったバーベキューグリルとか言う……」
「そう。こっちでも一応作ったんだけど、圧力弁がうまく開かなくてね……」
 機械いじりが得意なシャーリーが、自ら作った仕掛けを前に、何やら自信なさげだ。
「空気弁だろう? 見た目単純な構造なのにな」
 前に見た装置を再度眺め、ぽつりと言うトゥルーデに、シャーリーは言葉を返す。
「機械音痴なあんたに言われるとちょっと腹立つけど……まあ、実際そうなんだけどさ」
「どこかに何かが引っ掛かってるんじゃないか? 試しに、誰かに切って貰ったらどうだ」
「切るって?」
「例えば少佐に……」
 言いかけて言葉を止めるトゥルーデ。
 考え込むシャーリー。そして、ドラム缶を指差して言う。
「あの人、グリルを縦まっぷたつにしそうだからやめてくれよ」
「まさかドラム缶を扶桑刀で斬るなんて……。いや、そう言えば確かネウロイ斬ってたな」
「だろ? だから少佐は良いって」
 “調節”以前に“破壊”されそうな不吉を感じ取ったシャーリーは、両手で「NO THANK YOU」の仕草をした。
「じゃあ、簡単な網焼きの方で良いんじゃないか。いつも豪快に火柱を上げてやっている……」
 トゥルーデの提案を聞いて頷くシャーリー。
「ああ、グリルね。まあそれでも良いか。せっかくだから堅物もどうよ」
「暇だし手伝ってやらん事もない」
 言い終わると同時に、ぐうぅ、とトゥルーデの腹が鳴る。横を向き、無かった事に出来ないか辺りに視線を巡らすも
陽気なリベリアンの前では無駄だった。
 シャーリーは笑いながら真面目なカールスラント軍人に声を掛ける。
「素直に腹減ったって言えないのかねー。じゃあ、グリルの準備するからこっちのドラム缶持って。あと炭と……」
 重量物ばかりを指定され、疑惑の目を向けるトゥルーデ。
「何だか重労働じゃないか、私だけ」
「魔法を有効活用するのさ」
「納得いかない」
「まあ良いじゃないか。とりあえず、これバルコニーに運んどいてくれ。あたしは肉と野菜の下ごしらえしてくる」
「お、おいっ! 私にこっちを全部やれと言うのか!?」
「運ぶだけでいいよ。まあ、火くらい起こしてくれても良いけど。うまく出来るかい?」
「火起こし位出来るに決まってるだろう。カールスラント軍人を甘く見るな」
「じゃあそう言う事で宜しく」
「ま、待て!」

 三十分程経過した後、二人は再び顔を合わせた。それぞれが準備した用具と、具材を突き合わせる。
 満足そうに頷くシャーリー。横で腕組みし様子を見るトゥルーデ。
 グリルに種火と炭をセットし……火を付け……炭がオレンジ色になる程加熱した所で、下ごしらえした肉やら野菜を
適当に載せ、じゅうじゅうと香ばしい音を上げ、焼いていく。
「こんなに肉を使って大丈夫なのか」
 腕組みして様子を眺めるトゥルーデ。
「宮藤とリーネが使って良いって言うから持って来た。大丈夫だろ」
 じゃんじゃん盛っていくシャーリー。
「アバウトだな」
「これ位豪快な方が美味いんだ」
 呆れるトゥルーデ。
「よし。もっと火力だ」
 焼き加減を確かめながら、シャーリーは炭の入った袋を指差した。
「これ以上無闇に炭を入れたら、熱過ぎて肉が焦げるぞ」
「大丈夫。どさーっと」
「蒸気機関車じゃあるまいし……」
 言いながらも、適当に炭を放り込んでいくトゥルーデ。

81reheater 02/02:2011/05/06(金) 01:32:06 ID:Md54HCKw
 やがて立ち上る煙と、香りにつられた隊員達が集まり……ちょうど昼食の時間と言う事で……めいめいに食器と飲み物が渡され……
「イエー カンパーイ!」
 全員で祝杯の音頭を取り飲み物を口にしたあと、即席のバーベキューを堪能する。
「結局パーティーみたいになってないか」
「みたい、と言うより思いっきりパーティー化してるんだけど」
 辺りを見回しながら、何故か軽い疲労を覚える501の大尉ふたり。
「ただの昼飯の筈が……どうしてこうなったんだ」
 他の隊員に促されるまま、肉を焼き、皿に盛り付けるシャーリー。
「ニヒー いいじゃんシャーリー! 楽しんだモノ勝ちだよ! おいし〜いお肉ちょーだい!」
 空になった皿を持って、シャーリーの前でくるくると踊るルッキーニ。
「こらルッキーニ、肉だけじゃなく野菜も食べないと」
「ヤダー! もっと食べてシャーリーみたいになるんだもん」
 顔を見合わせるシャーリーとトゥルーデ。
「まあ、良いんじゃないか」
 思わぬトゥルーデの答えに眼をぱちくりさせるシャーリー。
「珍しいな。いつもなら栄養のバランスを〜とか言うのに。熱でも有るのか?」
「何を言う。私は至って普通だ。何だその疑いの目は」
「……ま、良いか。さて、あんたの相棒にもしっかり食べさせてやりなよ。待ってるぞ。ほら」
 皿に肉を大盛りにして、トゥルーデに渡す。
「ああ……。そうする」
 トゥルーデはエーリカの座るテーブルに向かう。
「何だかんだで、甘いね、堅物は」
 ま、それで良いんだけどね。とこっそり呟くシャーリーの言葉は誰にも聞こえず。
 けど、横でもふもふと料理を美味しそうに頬張るルッキーニの笑顔を見ていると、軽いもやもやとした気分も晴れていく。
「どしたのシャーリ−?」
「ん? 何でもない。ほら。もっと食べなよ」
「ありがとシャーリー」
 満面の笑みにつられ、自らの顔もほころぶ。
 そこへ、お皿を持って芳佳とリーネもやって来た。
「シャーリーさん、このお肉美味しいです! 何か隠し味でも?」
「塩胡椒程度だけどな。あー、ビネガー少し入れた位かな」
「へえ。凄いですねえ」
「芳佳ちゃん、どこ見てるの」
「あう……」
「あっはっは! 宮藤もしっかり食べないと大きくなれないぞ?」
「そーそー。あたしみたいにねー」
「ルッキーニちゃんに言われたくないよー」
「ニャハー 芳佳はまだまだ残念賞だから〜」

 賑やかな様子を見る、指揮官二人。へきしっ、と帯刀した扶桑軍人がくしゃみをする。
「あら、美緒どうしたの? 風邪?」
「いや、朝から時折……誰か私の噂でもしていたのか?」
「まさか。さ、私達もせっかくのバーベキュー、頂きましょう」
「ああ。賑やかで良いな」
 ミーナと美緒の登場に隊員達は活気付き、早く早くと手を引き……いつしか、本格的なパーティーとなる。

end

82名無しさん:2011/05/06(金) 01:32:19 ID:Md54HCKw
以上です。
501でバーベキュー的な食事……となると、
何だかんだでパーティー化すると妄想してしまいます。

ではまた〜。

83名無しさん:2011/05/06(金) 03:29:44 ID:giQxMOO2
>>82
GJ! シャーリーとお姉ちゃんの焼く肉、おいしそうです。
バーベキューに限らず、501は食事のたびにパーティー化してそうwww

84mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/14(土) 19:55:35 ID:SfedFCjM
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いたネタをひとつ短めに。
ではどうぞ。

85position:2011/05/14(土) 19:56:47 ID:SfedFCjM
 ミーティングルームでの、午後のひととき。
 リーネと芳佳が準備した美味しい紅茶とお菓子を前に、皆のたわいもないお喋りが始まる。

「ん? 何読んでるの? それ何の雑誌?」
「フットボール」
「?」
「足で球を蹴るスポーツの事だよ」
「扶桑には貴族がやる『蹴鞠』ってのがありまして……」
「ゴメンそれはよく分からない」
「その足で蹴る球技、サッカーとは言わないのか」
「国によって言い方違うんじゃね? リベリオンで『フットボール』って言うとサッカーとはまた他の競技に……」
「面白そうだね。501(ウチ)はちょうど十一人居るから、今度サッカーしない?」
「しても良いけど……誰と」
「例えば、隣の504とか」
「乱闘になりやしないか心配だ」
「何でそこまで心配するのさ」
「ウチは、やっぱりエースと言う事でトゥルーデと私のツートップ?」
「いや、むしろ堅物はゴールキーパーだろう」
「何で私がキーパーなんだ」
「鉄壁というか、いかにも堅物にぴったりじゃないか」
「何だとリベリアン」
「まあまあ。じゃあ、フォワードは少佐で?」
「私か? 球技は良くわからんのだが大丈夫なのか。シールドは張れないが」
「シールド使うスポーツじゃないから大丈夫よ、美緒」
「そもそもシールドが必要なスポーツなんて有るのかヨ?」
「となると、ミッドフィルダーかディフェンダー辺りにはミーナ中佐が良いな。チームの司令塔って感じでさ」
「ついでに固有魔法使えば位置把握も完璧だね、ミーナ」
「ええっ? 流石にスポーツで固有魔法使うのはどうかと思うわ……」
「エイラ、私、人と張り合うのは……」
「大丈夫、サーニャは私が守るゾ」
「いや、ゴールも守ってくれよ」
「じゃあ中盤で二人でお互いを守るヨ」
「何か違うぞそれ」
「芳佳ちゃん、私達は?」
「どうしよう、リーネちゃん」
「宮藤とリーネか。二人は……そうだな、ペリーヌと三人で、中盤でプレス掛ければ良いんじゃないか?」
「プレス? 何ですかそれ?」
「相手を威圧するんだ」
「威圧……」
「芳佳ちゃん、何で私の胸見るの!?」
「こ、この豆狸は……ッ!」
「ニヒー 二人共胸ぺたんこだしー、プレスプレスー」
「ルッキーニさんに言われたくはありませんわ!」
「ルッキーニは何処がいいかな……てかよく考えたら、501の大半がフォワード向きな気がしてきた」
「むしろ守備的な奴の方が少なくないか?」
「そうかな?」
「えっ」
「えっ」
「うーむ。球技の事は良く分からんのだが……とりあえず斬れば良いのか?」
「斬る!? 何を!?」
「あのー少佐、この球技、扶桑刀は使いませんから」
「てか刀使う球技って有るのか」
「ふむ……やっぱりよく分からんな」
「まあ、トゥルーデはキーパー決定ね」
「だから何で私はそこ限定なんだ」
「だってキーパーって……何でもない」
「はっきり言わんか! 気になるだろう」
「シャーリーもトゥルーデはキーパー向きだって思わない?」
「あー……。うん。分かる。何かそんな感じ」
「どんな感じなんだ?」
「えっと、ほら。こう、妹達を包み込む愛情、みたいな?」
「ちょっと違わない?」
「意味が分からない! てかサッカーと妹は関係無いだろう」
「攻め込んでくる妹達を受けとめる、みたいな」
「ふむ。私を姉と慕うなら、喜んで受け容れるぞ」
「いやだからそこは守りなって」
「結局何の話なんダヨー」

 紅茶とお菓子の甘い香りが漂う中、止まることなくかしましい会話は続く。

end

86名無しさん:2011/05/14(土) 19:57:42 ID:SfedFCjM
以上です。
JFW対抗サッカーとか有ったら見て見たい気もします。
その前に守備位置でもめそうですけど。

ではまた〜。

87mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/19(木) 21:53:59 ID:xndhmOP2
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
またも、ちょっと思い付いたネタをひとつ短めに。
ではどうぞ。

88tomato:2011/05/19(木) 21:54:51 ID:xndhmOP2
クリス! ああ久しぶりだ! 会いたかった! 元気になったか? ……え、声が大きい? ああ、すまない、久々に会うから、ちょっと気持ちが。
繰り返し聞くが、元気になったか? ……そうか、だいぶ良くなってきたか。それは良い事だ。
リハビリも続けて、どんどん元気になるんだぞ。お姉ちゃんとの約束だぞ。私も頑張るからな。
……ん? 後ろのモノは何かって? ああ忘れていた。下ろして良いぞハルトマン。
今日は、クリスの為に、とあるものを持って来たんだ。健康に良いと言われてるもので……え、何だハルトマン。
『私にモノを持たせすぎ』じゃないかって? 何を言う、妹との再会を一秒でも早くと思う私にだな……あー、いや、すまない。
さて、この木箱に入っているモノなんだが……そう、これは、いや違う。トマトジュースだ。
トマトはクリスも知っているだろう? ジュースにして飲むと、身体に良いらしい。
もっとも、何事も食べ過ぎ飲み過ぎはダメだけどな。規則正しい食事、バランスの取れた食事が一番と言う事だ。
で、クリスの食事の中に、このトマトジュースを組み入れてみてはどうかと思ってだな……え、量が多いって?
そ、そうかな? とりあえず手持ちの金で買えるだけ買っただけなんだが……クリスもハルトマンも何故笑ってるんだ!?
まあ、とりあえず飲んでみると良い。早速……看護婦さん、申し訳無いがコップと栓抜きを持ってきてくれませんか?
ああ申し訳無い。

……さて、このトマトジュースはリベリ……いや、同僚のシャーリーがわざわざ故郷の国から取り寄せてくれたものなんだ。
さっきも言ったが、よく分からなかったので、手持ちの金を全部渡して頼んだのだが……ちょっと多かったか? まあいい。
ロマーニャのトマトでジュースにしないのかって? ロマーニャのトマトは調理用が多くてジュースでは飲まないらしい。
私も品種の違いはよく分からないが……色々有るんだろうな。
さて、早速飲んでみるといい。もっともっと健康になれるぞ。
……え? トマトそのまんまの味? そりゃまあ、トマトをジュースにしたものだからな。
塩かコショウで味付けしてみるか?
どれ貸してみろ。私も飲んでみよう。……確かにぬるいと味が微妙だな。冷やすと良いかも知れない。
後で看護婦さんに氷でも……どうしたハルトマン。……え。病院に迷惑をかけ過ぎだって?
そうか? 愛する妹の為に何でもしようと思うのは当たり前じゃないか。
クリスもどうした。何!? あんまり好みじゃなかったか? 身体に良いと聞いて買ったのだが……うーむ。
では、ひとケースだけ置いていこう。あとは基地に持って帰って、皆で飲むとしよう。
気にするなクリス。私もたまには勘違いというか、勢いでやり過ぎることがあ……何を言いたいハルトマン。
いつもの事じゃないかって? やかましい!
とりあえず、一瓶開けてしまったからには私が責任を持って飲むとしよう……こう、一気飲みの感じで飲めば……
ぶわっはははははは!
こーらーハルトマン! 飲んでる時に後ろからくすぐるとは何事だ!? さっきから何を……
はっ!? クリス!? どうしたその姿は!? 何で血だらけに? 一体どうしたって言うんだ!?
……私がトマトジュースを吹いたから? そ、そうか。済まなかった……ってハルトマン! お前のせいでクリスが!
とりあえず着替えだ。そして顔と頭を洗って……看護婦さん! 着替えと入浴を頼む!
え、今は入浴時間じゃないから無理だって? なら仕方ない。ハルトマン、基地にクリスを連れて帰るぞ!
何を言っている? 基地には少佐が作らせた立派な風呂が有るじゃないか。少し借りる位、ミーナだって許してくれる筈だ!
ストライカーはどこだ!? 何だエーリカこんな時に? 落ち着けって? 落ち着いていられるか? クリスがーっ!

……さっきは取り乱してすまなかった。普通にタオルで拭いて着替えれば良かっただけだったな。
クリス、何を笑ってる? ……何? いつも先走り過ぎだって? そんな事は無いぞ。私はいつだって冷静だ。
ハルトマン、何が言いたい? いつも通りだから問題無いって? あのなあハルトマン……、元はと言えばお前が!
まあ……、何だ……。色々と手伝ってくれた事は、感謝している。
こっこら! クリスの前で何を……

ど、どうしたクリス? ……え? やっぱり二人は、お似合いだねって?

ああ、そうだ。私にとってかけがえのない“家族”の一人だ。

end

89名無しさん:2011/05/19(木) 21:56:37 ID:xndhmOP2
以上です。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編と言う事でよしなに。
トマトジュースって意外と歴史が浅いものだと
wikipedia先生に教わりました。まあ細かい点はご容赦を。

ではまた〜。

90mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/05/19(木) 23:38:41 ID:xndhmOP2
たびたびこんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫の方でリクエストを頂いたので、
>>85「position」の続きを書いてみました。
ではどうぞ。

91formation "501" 01/02:2011/05/19(木) 23:40:14 ID:xndhmOP2
 今日も美味しいお菓子と紅茶を片手に、のんべんだらりと会話が続く。

「この前のサッカーの話だけど」
「うんうん」
「何か有ったのか?」
「504の隊長さんに話付けてきた」
「えっマジで?」
「本当に試合やるのカヨ?」
「なんかよく分からないけど、向こうはみんなノリノリだったよ」
「お気楽ロマーニャン達め……」
「あたしらも似た様なもんだけどね」
「JFW対抗戦って事で、501はサッカーでも一番を目指すよ!」
「“でも”って何だ? そもそも、何かで一番とか目指していたのか私達は……」
「トゥルーデ細かい事考えないの」
「しかし、よく504の隊長が許可してくれたな」
「んー、なんかね。『面白そうなのは大好物』とか言ってたよ」
「……何か危険な香りがする」
「ミーナは良いよね? 親善試合」
「し、親善!? まあ……、そうね。向こうが良いって言うなら考えるけど、どう思う美緒?」
「とりあえず、何をするんだミーナ?」
「えっ!?」
「そこからカヨ!」
「剣術なら負けないつもりだが」
「だから少佐、刀から離れろッテ! サッカーダヨサッカー!」
「うーむ、何をすればいいんだ」
「手とか腕、肘を使わずに足だけ使って相手からボールを奪って、追いすがる相手をかわして、相手のゴールにボールを蹴り入れるだけの簡単な……」
「難しそうだな」
「まあ、確かに難しいんだけどね」
「少佐は……そうだな、攻撃的ミッドフィールダーなんかどうだろう」
「何だそれは」
「魔眼を使って相手の弱点を探して、フォワードに伝えれば良いんですよ。あわよくばスキをみてゴールを……」
「なるほど、私にも出来る事があるんだな」
「……スポーツで固有魔法使うのはどうかと思うんだけど」
「そんな中佐はディフェンダーかミッドフィールダーで、固有魔法使ってフィールド全員の位置把握をしてチーム全員に指示を出して下さい」
「私も固有魔法使わないといけないの?」
「中佐の三次元空間把握能力はとても有効だと思うんですけどね」
「スポーツで固有魔法って、なんかズルしてるみたいで……」
「良いんですよバレなきゃ」
「そう言うものなの?」
「ルッキーニはその俊足と身軽さを活かして、サイドから一気に攻め込むのも有りだな」
「ニャハーおもしろそう」
「確かに、ルッキーニは身体軽いし動きも速いから、キーパー以外何処でもいけそうだな」
「イエー あったし〜、万能選手って事?」
「器用貧乏とも言うんダゾ?」
「ぶー。エイラひどい!」

92formation "501" 02/02:2011/05/19(木) 23:41:04 ID:xndhmOP2
「しかし、考えてみると501(ウチ)はフォワード向きなの多いな」
「そうだな」
「例えば、エイラも固有魔法使えば無敵じゃね?」
「フォワードにもディフェンダーにもゴールキーパーにも向いているな」
「私は痛いの嫌だから、ボール来たら避けるヨ」
「おい!」
「避けたらダメだろ避けちゃ!」
「……前の“特訓”を思い出して、色々と頭が痛くなってきましたわ」
「落ち着けペリーヌ」
「じゃあキーパーはやっぱりバルクホルンで」
「だからどうして私なんだ」
「あの……私は何か出来ますか?」
「サーニャか。魔導針で相手の位置補足とか」
「ディフェンダー向きだな。中佐と同じポジションでもいけそうだな」
「だからサーニャは私が守るって言ってるダロー!」
「だからサッカーで何でサーニャを守る事に固執するんだ。スポーツだぞ?」
「ロマーニャ人は油断ならないからナ。サーニャに何かしたら絶対許さないゾ」
「落ち着けエイラ」
「いや待てよバルクホルン。ここはエイラの特性を活かして、むしろサーニャをキーパーに……」
「なるほど、そうすればエイラは絶対に相手から……」
「コラー! サーニャをエサに私を動かすナー!」
「ところでシャーリー、お前は何処のポジションなんだ」
「あたし? サイド辺りのミッドフィルダーでいいんじゃね? ボール貰ったら一気に加速して距離詰めてゴール!」
「加速か……なんか卑怯だな」
「卑怯って言うな!」
「私はどうするのトゥルーデ?」
「ハルトマンはフォワードだろう。純粋に身体能力高いし、何よりウチのエースだからな」
「シュトルムー、とか?」
「それを相手にやったら多分一発退場だと思う」
「ペリーヌもそうだな。相手に電撃とかかましたら、レッドカードに……」
「ルッキーニも多重シールドとか使うなよ?」
「エーなんでー? 相手に直接身体触れないからいいじゃん」
「そう言う問題じゃない」
「リーネは宮藤、ペリーヌと一緒にディフェンダーが良いな。三人のチームワークでオフサイドトラップ仕掛けるのも良いな」
「それは構いませんけど……鈍臭い宮藤さんが私達について来られるか心配ですわ。しくじったらゴールがら空きですし」
「酷いペリーヌさん! なら私とリーネちゃんで合体攻撃を……」
「何をするつもりだ宮藤」
「そうだなー。特にリーネの狙撃能力で、フォワードに的確なパスを」
「それ『狙撃』って言うんですか? 私、ボール蹴る事そんなに無いから……」
「大丈夫、魔法魔法」
「はあ」
「で、宮藤は負傷した仲間を治療すると」
「あの……私、フィールドに居なくても良いんじゃないですか? ベンチで待機でも」
「いや、サッカーは十一人でやるものだから」
「そんな輝いた顔で言われても……」
「ところで、チームの監督は誰?」
「えっ」
「えっ」

 リーネがおかわりの紅茶を淹れ、皆に振る舞う。まったりとした甘い香りの中、お喋りは途切れる事無く続く。

end

93名無しさん:2011/05/19(木) 23:42:24 ID:xndhmOP2
以上です。
501は(固有魔法有りだと)サッカーでも
最強メンバーの様な気がします……なんとなくですが。

ではまた〜。

94zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:50:41 ID:ZPhgFrmQ
おひさしぶりっす。
5/20にウィルマの誕生日ネタを書いたんですが、
こっちの方に投下できなかったので某所に上げたりしてました。

保管庫1384【ファラウェイランド1945 舞台裏の取引】の続き物なのでちゃんとこちらにも投下します〜。

95zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:51:05 ID:ZPhgFrmQ
「ふぅ」
「『ふぅ』じゃないでしょ。溜息つきたいのはこっちなんだけど」
「フムン」
「『フムン』でもないわっ! キョトンとした表情で見つめ返されても困るわよっ」
「そうか……ほら、ビールだ。それとも紅茶の方がよかったかな?」
「だからそういうんじゃなくってぇ」

 まだ少し上気したままの、それでいてどこか余裕のある事後の横顔。
 どう考えても私の反応を楽しんでいる。
 腹立たしさを落ち着かせるため、少しの間でも彼女の顔を見ず意識しないようにする為、大した尿意は無いけれどトイレに行く事にする。
 私はシーツを胸元に引き寄せながら上半身を起こした。

「花摘み? 場所はわかる?」
「馬鹿にしないで」

 毎度の事ながら半ば無理矢理連れ込まれたホテル。
 かなり高級な部屋であるとは言え、極端に広いわけじゃない。
 トイレぐらい、ドアを一つ二つ開ければすぐに見つけられるに決まってるじゃない。

「フム……おっと」

 私がシーツを引きながら立ち上がった事によって、上半身を起こしてビールジョッキを傾けていた彼女の身体が露になった。
 同性の私でも見惚れる様なすらりとした肢体、バランスも形もいい乳房。
 さっきまでの情事を思い出して思わず赤くなる。
 悔しい事に、この女……アドルフィーネはセックスが上手い。
 同性同士だからイイ所をわきまえてるとか、そういうのじゃ説明が付かないほどに、その……気持ちよくしてくれる。

96zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:51:57 ID:ZPhgFrmQ
 正直な所、ダーリンよりも凄い。
 原因は多分、あの魔眼だというのはわかっている。
 あれで私の一番いいところを探り当てて弄りこんで来てるんだと思う。
 そして、まだ朝までは長い。
 きっとまた、体力が切れるまでいっぱいされちゃうんだろうな……。
 と、そんな思考が無意識に脳内を満たすけど、くすりと笑う彼女の表情に現実へと引き戻される。
 考えてる事、見透かされた?

「いい表情」
「うっ……」

 やっぱり。
 現役の将官ともなると、人の思考を読むのも上手いって事なのかしら。

「と、とにかく! トイレの場所は教えてくれなくても構わないわ。自分で探すから」

 アドルフィーネにに背中を向けつつシーツを体に巻く。
 彼女から完全にシーツを剥ぎ取る恰好になるけれど、気にしない。

「その角度で君を眺めるのは初めてだが……なるほど、背中からお尻にかけてのラインも絶品だ。本当に君は素晴らしいよ。先に魅力に気付けなかった自分を恥じる。魔眼など、名ばかりだ、全く嘆かわしい」
「はいはい」

 芝居がかった彼女の台詞を尻目に、ベッドを離れる。

「本当にそちらにはトイレが無いんだが……」
「でも、部屋のドアはそっちでしょう」

 視界内にあるドアを指差す。

「その通りではあるのだが、その向こうには無いという事を言いたいのだ」
「じゃ、どこにあるの?」
「待ちたまえ」

 私に待機を命じたアドルフィーネは、おもむろにジョッキのビールを飲み干した。

「ふぅ……よし、用意が出来た」
「どういうこと?」
「わからないのかな?」
「あんたがナニ考えてるかなんてわかるはず無いでしょ」
「フムン」

 裸のまま、ベッドに腰掛けて右手に空のジョッキを持ち、少し考えるような仕草のアドルフィーネ。

97zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:52:46 ID:ZPhgFrmQ
どんな状況のどんな態度でもサマになる美人ってのはいるものね、と思い知らされる瞬間。

「つまり、だ」

 右手に持ったジョッキを、左手で指差す。

「ここが君のトイレと言う事なんだが」
「は?」
「これが君のトイレだと」
「もう一回」
「これに君が用を足すんだ。ジョボジョボと」
「だ、だれがするかっ!!」

 思いっきり叫んだ!
 平手……いや、グーでパンチを食らわせなかったのは我ながらなかなかの自制心だと思う。

「この、変態っ!!!」
「フム、君に罵られるのは実に心地いい。気が済むまで罵って構わないので気持ちよく用を足して欲しい」

 ぐっ、とジョッキを近づける。

「くっ」

 このマイペースな自己中変態のVIPには既に常識など通用しない。

「わかった! わかったわよ! やってやるわよ! やればいいんでしょ!」

 投げやりに言い放ちながらジョッキをひったくり、床へと置き、その上にしゃがみこむ。

「み、見ないでよね……」
「それは無理だ。見たいが為にこうしたんだから」
「へんたい」
「結構だ。さぁ」

 わざわざベッドの上に座りなおし、軽く開いたフトモモの上に肘を置いて鑑賞モードのアドルフィーネ。

「せめて後ろくらい向かせてよね」
「却下だ。ついでに目線はこちらに貰おう」
「へんたいっ!!」
「結構だ。さぁ」
「くっ」

 覚悟を決めて、腰の位置を合わせる。

98zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:53:21 ID:ZPhgFrmQ
 ジョッキが大きいせいで、何となくお尻の高さが落ち着かない。
 ついでに元々大した尿意があったわけでも無かった所に加えて、妙な緊張状態を強いられているせいで、出すものが出せそうに無い。
 人の前で、ジョッキの前で脚を開いて座り込んで……こんな恥ずかしいポーズをとっているって言うのに、早く終わらせたいのにどうにもならない。

「いいよ、そのまま。無理せずゆっくり」
「わ、わたしは、早く終わらせたいのっ!」
「そんなに早く私に見せたいのか、それは光栄だ」
「ううっ……」

 悔しい。
 何を言っても、なんだか相手を期待させて喜ばせている様にしか思えないなんて、本当に悔しい。
 でも、妹の……リーネのためには逆らえない。
 ううん、違う。
 本当に一番悔しいのは、多分わたしの中のどこかが、この状況を許容して、こんな変態行為を楽しんでしまっているって言う事。
 だから、ほら、その証拠に、まだおしっこを出していないのに、開かれたアソコがヌルヌルになってる。

「ああ、ステキだよ、ウィルマ。すごくいやらしい」

 そんな私の心を見透かしているのだろう目の前の年上の彼女は、惜しげもなく股間をさらすだけでは飽きたらず、そこに手を差し入れて自慰をしながら私の観察を続けている。
 私はといえば、そんなアドルフィーネに言われるがまま、その淫蕩に濡れた瞳へと自らの意思で視線を合わせ、ジョッキの上でもどかしく腰をくねらせるだけだった。
 そして、その状態のままどれくらいの時間が過ぎたのだろう?
 10分? 20分?
 時計を見ていないので正確なところはわからないけれど、実は思っているほど時間は経っていなくて、ものの一分くらいだったのかもしれない。
 とにかく、私にとっては長時間の羞恥に耐え……いえ、流されながら無理矢理高めた尿意がやっと実を結んでくれた。
 ぷしっ、と尿道から噴出す感覚。
 次にそれはジョッキのガラスを叩く少し高い音へと変わり、やがて水面へと当たる彼女の称した音となる。
 じょぼじょぼじょぼ……。
 同時に、感度の高まった身体は、尿道の粘膜を液体で擦られるという単なる排泄行為にまで昂ぶりを憶え、ただひたすらに自分が落ちていくのを感じる。
 そして、その間も視線は彼女に向けられ、絡めとられていた。

99zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:54:09 ID:ZPhgFrmQ
 股間から響く排尿の熱さと、目線を合わせる事でいやでも自覚してしまうこの羞恥の感覚が、たまらなく私の淫蕩な部分を燃え上がらせる。

「ウィルマ……」

 永い永い羞恥と恍惚の時間から開放されると同時に、蕩けたアドルフィーネの瞳が迫ってくる。

「アドルフィーネ……」

 私はすっかり力が抜けて、ジョッキの上に座り込んでいる状態だった。
 更にそのジョッキと身体の僅かな隙間に、私の濡れた女性自身に、彼女自身の粘液で濡れてぬらりとした光を反射する指先が、挿し入れられる。

「ひんっ」
「ウイルマ、これですっきりしたのなら服を着てこの部屋を出ていってくれて構わない。まだ私を感じたりないというのなら、この指先の導きに従ってもう一度ベッドの上に来てくれて構わない。どう?」

 問題の指先は、私の粘膜をやわやわと撫で続けている。
 耐えられない。
 耐えられっこない。
 こんなに昂ぶって、濡れて、気持ちがいいのに、この部屋を出ていけるはずがない。

「あぁ……あなたは、ずるいわ」
「軍で重用されるには必要な資質だよ。褒め言葉と受け取っておこう。で、どう?」

 再度の問い掛けに、私はふらつきながら立ち上がり、倒れるようにして抱きついた。
 それが彼女の指先に導かれた答だった。

「アドルフィーネ……」
「いい子だ、ウィルマ」

 そして、熱に浮かされた夜は深まっていく。

 ――――。

100zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:54:33 ID:ZPhgFrmQ

 朝。

「じゃあ、私はこれで」
「待ち給え」

 何時ものように先に出ていこうとするとアドルフィーネに呼び止められた。

「何よ」
「今日はフロントまで送ろう」
「別に見送りなんて……」
「好意は受け取るものさ、ウィルマ」

 これだ。
 彼女の落ち着き払った声で名前を呼ばれると、何だか逆らいがたい雰囲気になる。
 そして、結局今回も押し切られ、恋人同士のように肩を抱かれてフロントへ。
 するとそこには、派手な花束とトランクが置かれていた。

「これは?」
「ハッピーバースデイだ、ウィルマ」
「え……」
「ささやかながら花束と、そちらのトランクにはドレスが入っている。ぜひ次の夜会には着てきて欲しいものだ」

 あ、うちのダーリンは軍務で忙しくて跳び回って私の誕生日に何もしてくれてないのに、アドルフィーネは、ちゃんと……。
 なんだか、すごく嬉しい。
 私ってばすごく単純だ。
 たったこれだけの事でアドルフィーネへの反発心が薄れていく。
 本当に、とても、嬉しい。

「知って……覚えていてくれたの? 私の誕生日」
「フフ……、当然だ。私は君の生理の周期まで熟知している。その証拠に、最中に呼び出したことはないと思ったが?」

 前言撤回!

「こ、このへんたいっ!」
「今に始まった話ではないだろう」
「帰るっ!」

 話していても埒があかないと判断した私は、花束をふんだくってから乱暴にトランクを引っ張り、背を向ける。

「今度のキミの妹、リネット嬢の誕生日にも何かを贈りたい。ついては今度また買い物にでも付き合ってほしい。よろしいか?」
「しらないっ!」
「フム、ではスケジュールはこちらで調整させて頂こう。もちろん、周期は避けるので安心してほしい」
「ふんっ!」

 一瞬だけ反応して返事をしてから、再び背を向けてホテルを出て行く。
 また、次も流されてしまいそうな予感を、胸に秘めながら。

101zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/05/24(火) 18:57:07 ID:ZPhgFrmQ
以上となります。

っていうか、注意書きとタイトル忘れてたっ!
内容には「エロス」と「おしっこ」な内容が含まれています。
タイトルは、
【●ファラウェイランド1945 5月20日】
となります。

リーネちゃんの誕生日にもこの続きで書くぞー!
おっぱ!


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