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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7

137名無しさん:2010/12/31(金) 23:48:12 ID:s2fLTA/s
以上です。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
除夜の鐘のエーゲルです。

皆様、来年も良いお年を!

ではまた〜。

138mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/01(土) 04:43:41 ID:MdJvQlxw
あけましておめでとうございます。mxTTnzhmでございます。
>>135-136「the bells on new year's eve」
の裏側をちょこっと書いてみました。
オチも何も無いですがどうぞ。

139the night watch bell:2011/01/01(土) 04:45:23 ID:MdJvQlxw
 ごーん、と低い音が周囲に響く。
「うむ、これを聴くと、年越しを感じるな、宮藤」
「はい、坂本さん! でも……」
「どうした?」
「ロマーニャの基地に勝手に持ち込んで、取り付けて、鳴らしちゃって良いんでしょうか?」
「はっはっは、問題無い! ミーナから許可は貰っている。わざわざ扶桑から取り寄せたんだ、風情も出るだろう」
「さすが坂本さん」
「それに、501は煩悩を持った者が妙に多いからな。……宮藤、お前もだぞ?」
「え? は、はい!」
「だから今夜は百八回……いや、全員分の鐘を突く位の勢いで鐘を突いて突いて突きまくるぞ! はっはっは!」
「坂本さん、それは多過ぎです。流石に夜が明ける気がします」
「はっはっは、問題無い! 扶桑の有名な寺では一日中鳴り響いて皆の煩悩を清めているのだ」
「はあ……」
「ちょっと美緒! 今の音、何!?」
「ああミーナか、良い所に来た。除夜の鐘をだな」
「これが……貴方がさっき言ってた、鐘? 随分重厚で大きいのね」
「これでもサイズは小さい方だぞ、ミーナ。扶桑にはシャーリーが数人分位すっぽり入る大きさの鐘だって有るんだ」
「……扶桑の習慣ってホント、変わってるのね」
「どうしたんですかミーナ中佐、眉間に皺寄せて」
「基地の者全員に、この鐘の音をどう説明しようかと思って」
「扶桑の者なら誰もが知っている! 問題無い! はっはっは!」
「他国の人間は誰も分からないわよ! いきなり基地中に鳴り響いて、びっくりしたわ……」
「ではミーナ、教えてやろう。この除夜の鐘とは、大晦日の夜、百八回鳴らす事で、個人の煩悩を清める効果が有る、とされている」
「そ、そうなの……しかし、この鐘、妙に余韻が耳に残るわね」
「欧州の教会に有る様な鐘とは構造も鳴らし方も違うからな」
「ウジャー ここだよシャーリー! 見つけた!」
「ああ、これかあ。さっきの妙な音の発生源は」
「おお、シャーリーとルッキーニ。ちょうどいい所に来た。お前達も鐘を突け」
「え? あたし達が鐘を?」
「ウニャ なんで?」
「この鐘を突くと煩悩が消えるのだ。ルッキーニ、お前は煩悩だらけだからな」
「なにそれー」
「まあ、良いからやってみろ」
「ホイショー」

コーン

「ルッキーニ、それじゃあ力が足りんな。かすった程度で軽い音になっているぞ」
「じゃあ、バルクホルンを呼んで来よう。確かミーティングルームに居た様な。あいつに魔力解放して貰って……」
「鐘が割れるから止めてくれ」
「ああ、やっぱり。じゃあ、代わりにあたしが」

ゴーン……

「おお、なかなかスジがあるぞシャーリー! 良い響きだ! ……ん? ルッキーニは何処へ行った?」
「アウアー…… シャーリー、中響く……」
「おいルッキーニ大丈夫か!? 何で鐘の中に入ってたんだよ?」
「何か面白〜い響き方してたから、中入ったらもっと面白〜いかもと思ってぇ……」
「だからって中に入る奴があるか? 耳大丈夫か?」
「耳は大丈夫だけど、頭の中がごわんごわん、ゆれてる感じする……」
「おいおい……」
「はっはっは! ルッキーニも少しは煩悩が消えたか?」
「少佐、それはちょっと違うと思います」
「じゃあ、次は私が鳴らしますね」
「宮藤さん、私にもやらせて頂戴」
「あ、はいミーナ中佐。どうぞ」

ゴーーーン……

「ミーナもなかなか良いぞ! 力がこもった、良い突き方だ」
「美緒、貴方の為を思って、ね。例えば、この前の、遺跡の事とか……」
「私? 遺跡? 何の事だ? はて……」
「こ、これだからッ!!!」
「ちょっ、おいミーナ待て! すまん宮藤、適当に突いててくれ。私はミーナを追い掛ける」
「は、はあ……坂本さん行っちゃった」
「少佐……。ありゃ中佐がかわいそうだわ」
「まあ、とりあえず鐘、突きますね。501の皆さんの幸せを祈って」
「何かそう言うと雰囲気出るな、宮藤」
「はい」
「あたしももう一回鳴らす〜」

 除夜の鐘は尽きることなく朝まで続く。

end

140名無しさん:2011/01/01(土) 04:46:46 ID:MdJvQlxw
以上です。
もっさんは酒を飲まなければ(煩悩は)
大丈夫だと思うんですけど、どうなんでしょう?

今年も皆様にとって良い年であります様、ご祈念致します。
また、本年も宜しくお願い致します。

ではまた〜。

141mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/01(土) 06:16:31 ID:MdJvQlxw
あけましておめでとうございます。たびたびmxTTnzhmでございます。
>>139「the night watch bell」の続きを投下します。
ではどうぞ。

142the night watch bell II:2011/01/01(土) 06:19:11 ID:MdJvQlxw
 厳かに鳴り響く鐘の元に、近寄る人影。
「お前ラうるさーイ! 真夜中に何鳴らしてんだヨ!? サーニャが起きちゃったじゃないカー!」
「あ、エイラさんにサーニャちゃん」
「あれ、二人は夜間哨戒じゃなかったのか?」
「私達だってたまには休ませろヨ。で、せっかくの休みかと思ったらこの騒ぎダヨ! で、何だよこの妙に残る音ハ……」
「除夜の鐘です。扶桑の風習で、百八回突くと、ひとの煩悩が消えるんですよ?」
「煩悩……そう言う習慣は扶桑の中でやってクレ。わざわざ基地の中でするなヨ。何事かと思うダロ?」
「芳佳ちゃん。私、少し、やってみたい」
「えええサーニャ、やる気?」
「うん。エイラも一緒に、どう?」
「え? う、う、うん……サーニャが言うなら、仕方ないなあ。一回だけダゾ?」
「エイラさん、サーニャちゃん、綱を持って……そう。そんな感じ。それで勢いを付けて、突いてみて」
「エイラ……手、触れてる」
「だって仕方ないじゃないカー」
「ニヒー 何か結婚式みたいだよシャーリー」
「面白いなお前達」
「シャーリー達に言われたくないヨ!」
「良い音出してね、サーニャちゃん」
「じゃあ行くよ、エイラ」
「お、オウ!」

ゴーン……

「二人共上手ですね! 良い響きです!」
「サーニャと私にかかればざっとこんなモンだナ」
「でも何か……エイラ、煩悩増えてね?」
「なっ!? シャーリー、ナニイテンダ!? そんな事……」
「ちょっと貴方達、真夜中に一体何の騒ぎですの!? まったく五月蠅くて眠れやしない! 今何時だと思って……」
「あ、ペリーヌさんにリーネちゃん」
「芳佳ちゃん、さっきからずーっと聞こえてたヘンな音って、これ?」
「扶桑から取り寄せたんだよ。除夜の鐘って言ってね……」
「宮藤さん、貴方また扶桑の迷惑な……」
「そうでもないぞペリーヌ。これは百八回鳴らす事で人の煩悩を消し去る、とても有り難いものなのだ」
「しょ、少佐! いつの間に?」
「いやあ、ちょっとミーナを追い掛けて、な……」
「あ、坂本さんお帰りなさい」
「何だ、結局殆ど来てるじゃないか。どうだペリーヌ。お前も一回位突いてみたらどうだ?」
「そっそれは勿論、有り難く、やらせて頂きますわ!」

ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン……

「うむ。良い音だ。ペリーヌもなかなかうまいな」
「ととんでもない! 少佐、ありがとうございます!」
「でもペリーヌぅ、そんなムキになって連打しなくてもぉー」
「ペリーヌ、それハ煩悩あり過ぎって事カ?」
「ペリーヌ、お前煩悩幾つ有るんだー?」
「そそそんな事有りませんわ!? 三人共、変な詮索はお止めなさい!」
「芳佳ちゃん、一緒に突こう?」
「うん、良いよリーネちゃん。一緒に……」

ゴーン……

「うむ。良い音だ。二人共見事だ……ん? 宮藤、もうリーネから離れても良いんだぞ?」
「はっ!? いえ、何でも無いです、大丈夫です」
「宮藤、お前煩悩が増えてないか?」
「きっ気のせいです!」
「なるほど、これが扶桑の鐘か。大きいな」
「おお、バルクホルンとハルトマン」
「結局トゥルーデと一緒に来ちゃった」
「せっかくだからお前達も鳴らすと良い。ほら」
「少佐が言うなら……」
「ちょっとバルクホルン待て。魔力解放はしなくて良いからな。お前の場合はそーっとで良いんだ」
「この鐘はそんなに脆いものなのか?」
「いや堅物、あんたの力が強過ぎるんだよ」
「何だとリベリアン?」
「良いからトゥルーデ、一緒にやってみよう?」
「ああ。試しにやってみるか」

ゴーーン……

「近くで聴くと、また迫力が有るな……余韻も凄いな」
「はっはっは! これで煩悩がまたひとつ消えた訳だ」
「そうかなぁ、少佐? 増えてないですかね?」
「何? シャーリー、どう言う事だ?」
「いや、まあ良いんですけどね……」

end

143名無しさん:2011/01/01(土) 06:19:33 ID:MdJvQlxw
以上です。
501の皆で仲良く除夜の鐘!
各キャラのネタを提供して頂いたLWqeWTRG様には多大なる感謝を。
改めて御礼申し上げます。

ではまた〜。

144名無しさん:2011/01/01(土) 21:56:27 ID:devTzLeA
新年明けましておめでとうございます、Hwd8/SPpです。
>>135-136>>139>>142のmxTTnzhmさま、いつも自分の作品にコメントありがとうございます!
まさか今年初めて投稿された作品が「ring」シリーズとは!
今年もこのシリーズのさらなる発展を願っております。

このスレのご覧の皆様、本年もよろしくお願いします。

145mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/02(日) 01:28:28 ID:dy4eoBxU
>>144 Hwd8/SPp様
感想どうもありがとうございます。
私も、Hwd8/SPp様の、今後のご活躍をお祈りしております。
毎回ハイテンションな「ヘルマの発情」シリーズ、楽しみにしてます。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。

146happy holiday 01/03:2011/01/02(日) 01:29:25 ID:dy4eoBxU
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
今夜は何と新年最初の、年始スペシャル! 素敵なゲストを呼んで居るゾ。さあ、登場ッ!

「いやーどうもどうもはじめまして……な訳あるかっ!」

オオー、年始早々、ニパのノリツッコミダゾ。

「何だよ! 私がスペシャルなゲストなのかよ? ……他に誰か呼ぶんじゃなかったの?」

いやー何か皆忙しかったり既に予定入ってたりしてさー残念残念。

「『私だけ暇人です』みたいな言い方するな!」

「じゃあご予定は?」

「うっ……。サーニャさんもきついなあ……ははは」

そうだよニパ。久々にスオムスに帰っても良かったンダゾ? ウインド大尉とか心待ちに……

「わあ! その話はストップ! もうやめて……やめてくれよお……」

何故泣く!?

「エイラ、あんぱりニパさんいじめちゃダメ。でもニパさん、スオムスで何があったの?」

「スオムスだけじゃないよ。帰りたいけど、帰れない……うっうっ」

何ダヨそれ。まあ後で話聞いてやるからサー。とりあえずいつものラジオ始めるゾ。

「エイラ、今年最初のお便り」

ほいほい。じゃあ最初の一枚……「恋するオオカミちゃん」さんから。この人常連さんダナ。

『今年こそは先に……と思っていましたが、去年、先を越されました。
別に競う訳じゃなかったんですけど……、はあ。
どうしたら良いんでしょう?』

なんか、夜の砂浜に一人座って哀愁漂う背中まで見えた気がしたけど多分気のせいダナ。
漠然とし過ぎだけど、とりあえずズバリ言わせて貰うゾ。

去年は去年! 今年は今年で先に行ケ!

「それ、あんま意味無くね?」

そうでもないぞニパ。ずっと引きずると、一年じゃなく「一生」レベルで考えちゃうからいけないんダ。
だから「一年」を単位に、ああする、こうすると決めて襲い掛か……もとい、頑張れば良いンダヨ。

「一年……ねえエイラ、エイラは去年本気出した?」

うえっ? サーニャ、何をいきなり……

「イッル、まさか去年は本気出して無かったのか?」

ニパも何で食いついてくるンダヨ。去年は……うーん。じゃあ今年は本気出すゾ。今年こそ……その、あの……ええっト……

「エイラの、ばか」

ちっ違うんだサーニャ! これはその……

「何この、私だけ置いてけぼりな空気……」

147happy holiday 02/03:2011/01/02(日) 01:30:19 ID:dy4eoBxU
サーニャ違うんだ、だからこっち向いてヨー……

「知らない、エイラ」

「なんだかなあ。二人共ラジオのOA中なのに喧嘩してどうするんだよ。二人共やめなってば。
……ま、たまには私も手紙読んでみるか。暇だし。
えっと、扶桑の『アイパッチ侍』さんから……って誰だこれ?
とりあえず読んでみよう。どれどれ」

『扶桑では「一年の計は元旦にあり」と言いますが……』

「へえ、扶桑じゃそう言うんだ……」

『今年の抱負を教えて下さい』

「な、何だこのお便り? いや、これ質問おかしいだろ? 普通自分の悩みとかを聞いてくるのに
なんで私の事聞いてくるんだ?」

ニパ、読んだからには答え宜しくナ。

「ちょっ! ……一年の抱負? つまり何をするか目標を言えって事だろう?」

そうそウ。

「なら、私の目標はひとつ。絶対に墜落しないッ!」

無理ダナ。

「全否定! しかも早っ!」

ニパが墜落しないなんて、サルミアッキの入ってないお菓子箱みたいなもんダゾ。
有り得ないネ。

「その例え、イッルと私達以外に通じるのか……?」

どうだろウ。

「私分からない」

えっ、サーニャ?

「ニパさん、次のコーナー行きましょ」

「うん、良いけど……何かさめてるなあ、サーニャさん。大丈夫?」

148happy holiday 03/03:2011/01/02(日) 01:31:15 ID:dy4eoBxU
うう……じゃあ次のコーナー。第四回目ダゾ。「エイラのカップル占い」はい拍手ゥ〜。

ぱちぱちぱちぱち〜

カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
さて今回は「私のお父さんは世界一」さんカラ、この人と「ブリタニアで一番!」さんのお二人について、リクエストを頂きましタ。
……何か微妙なラジオネームダゾ。まあイイケド。
早速占ってみせるゾ。

……。

「どうなのエイラ?」
「どうなんだよイッル?」

悪くないナ。このままお互いもっと積極的になれば、将来は明るいゾ。多分。
でも、「私のお父さんは世界一」さんは「本能的に胸に行く」って暗示が出てるカラ、
「ブリタニアで一番!」さんはその辺割り切るしか無いゾ。頑張レ。

「胸……。エイラも人の胸よく触るよね」

「そうだな。イッルは昔からどうしようもない……」

「何で、私は触ってくれないの? ……ぐすっ」

さ、サーニャ!? ラジオで何て事言い出すンダ? 何故泣く!?

「おいイッル、サーニャさん泣いてるぞ。何したんだよ?」

違う、何もしてなイ! いや、これはその、あの、他の奴はスキンシップを兼ねてサイズを比べてるだけで、
サーニャは違うンダ……だから話聞いてよサーニャ!

「おい、イッル……。おいってば……。また二人の世界に行ってしまった。
しょうがない、なんかいつになくイッルがテンパッてるので、今日は私が代わりに〆るぞ。
コホン。
この番組は、いつでも皆さんからのお便りを待っています。
各コーナー宛のお便りは501JFW『エイラさんとサーニャさん』宛てに、そっと送って下さいね。
深夜のこの時間をもっと楽しくするには、貴方の本気なお便りが必要です。
今年も一年、この時間、この秘密のチャンネルで貴方をお待ちしてます。
では皆様の健康とご武運をお祈りして、バイバイ!」

「凄いニパさん。エイラより上手」

「えっ本当サーニャさん? いや、何か照れるな……」

こっち向いてクレ、サーニャぁぁぁ……

end

149名無しさん:2011/01/02(日) 01:32:37 ID:dy4eoBxU
以上です。
この「ラジオ」シリーズは今後も適当に
のんびりやっていきたいと思いますので
宜しくお願い致します。

ではまた〜。

150mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/03(月) 04:28:01 ID:clrc1UAM
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ことしは兎年、と言う事で、とある絵師さんのイラストを元に
短いSSを書いてみました。例によってオチは無し……。
ではどうぞ。

151virtual rabbit:2011/01/03(月) 04:30:18 ID:clrc1UAM
「あけましておめでとうございます、シャーリーさん」
「おー宮藤か。ハッピーニューイヤーだな。おめでとさん」
「聞いて下さいシャーリーさん、今年はシャーリーさんの年なんですよ」
「なんだいそりゃ。また扶桑の風習か何かかい?」
「卯年なんですよ、今年は」
「はあ……ウサギ、ねえ。確かにあたしの使い魔はウサギだけど」
「だから今年はシャーリーさんの年なんです!」
「そう言われても、いまいちピンと来ないね。なんかあたしに関係あるのかい?」
「さあ……どうでしょう……」
「あっははは、宮藤、私の胸凝視してるな! 素直だなあ宮藤は!」
「えっそんな事ないです! たまたまです」
「そうやってリーネの胸も見てるから……」
「ちっ違います! とにかく、今年はシャーリーさんの年って事で」
「うーん……まあ、良い意味で覚えとくよ。ありがとな宮藤」
「それでですね、シャーリーさん」
「ん?」
「今年はきっと良い事有ると思うんです。例えば、すっごい早くなるとか」
「速くって……またストライカーで音速越え出来るとか、か?」
「もしかしたらジェットストライカーに乗れるかも知れませんよ」
「それは楽しみだね。でもあたしはもうちょっとレシプロで頑張ってみるよ」
「そこで、いつもスピードの為に頑張ってるシャーリーさんの為に、今日はこれをご用意しました!」
「おお、ありがと……って何だい、この布……随分と派手だけど」
「扶桑の晴れ着ですよ」
「晴れ着? ……それがスピードと何か関係あるのかい?」
「袖の形状が飛行機の翼に似てるって、坂本さんが言ってました」
「何、それは本当か?」
「はい。……酔っ払いながら」
「おい、何か急に信憑性が怪しくなってきてるぞ。大丈夫か?」
「大丈夫です、ものは試しで一度着て下さい」
「……まあ暇だし良いけど。なんか下着っぽいの付けたり、面倒だな……この太い布は?」
「それは帯です」
「ベルトじゃないんだ」
「恥ずかしくないですよ」
「なんだそりゃ」
「大丈夫です、私、お母さんから着付けも教わってますから……わあ、シャーリーさんステキです、似合ってます!」
「……なんか胸が苦しくてちょっと重いけど、うん。まあ、思ったよりは動けるかな?」
「さあ、是非飛んでみて下さい!」
「よし、新年最初のフライトと行くか!」
「頑張って下さいね! 私が速度計測しますから!」

「ああ……宮藤。やっぱりダメだったよ」
「あうぅ、残念です」
「どうも服全体が重くて……デッドウエイトになってる感じがしてね」
「そうですか……」
「ちなみに扶桑で、これを着て飛ぶウィッチとか居るのかい?」
「お正月には居るんじゃないでしょうかねぇ」
「何、そのアバウトな答え」
「とりあえず、色々貪欲にチャレンジすると良いと思います!」
「ポジティブなのは良いんだけど、年始早々あたしで遊んでないか?」
「気のせいです」

end

152名無しさん:2011/01/03(月) 04:31:40 ID:clrc1UAM
以上です。
某所に晴れ着姿のシャーリーさんのイラストが
たくさん有ったので、ちょっと書いてみた次第です。
オチが無いのはいつもの事で……orz

ではまた〜。

1535uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 00:49:38 ID:fpj31Tjk
皆様、新年あけましておめでとうございます。
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2です。今年もよろしくお願いします。

>>98 DXUGy60M様
GJです。姫様かっこいいですね。
こんなにかっこいい姫様ならマリーも惚れちゃいますね。

>>144 Hwd8/SPp様
GJです。フェデリカ少佐とヘルマとは珍しい組み合わせですね。
今後の「ヘルマの発情」シリーズでのヘルマと色んなウィッチ達との絡み、とても楽しみです。

>>130-143>>145-152 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。いつも素晴らしい作品の数々をありがとうございます。
芳ーニャとシャー芳いいですね。芳佳かわいいよ芳佳

さて、今年は兎年ということでナオ定で一本書いてみました。
保管庫NO.1403「あなたのために」の続きです。ではどうぞ。

154うさぎのおはなし:2011/01/04(火) 00:50:19 ID:fpj31Tjk

「定子、起きてるか?」
石造りの部屋の扉をコンコンと叩きながら、オレは部屋の主の返事を待つ。
……おかしいな、いつもならすぐに開けてくれるのに今日は一向に扉が開く気配がない。
「……入るぞ」
オレが少々遠慮がちに扉をゆっくりと開けると、部屋のベッドにはうずくまっている定子の姿があった。
白いハンカチで目頭を抑えている。もしかして、泣いてるのか?

「おい、定子! どうしたんだ? しっかりしろ!」
定子が泣くなんて余程のことがあったに違いない。
オレは慌ててベッドの定子へと駆け寄る。
「あ、ナオちゃん。どうしたんですか?」
目を真っ赤に腫らした定子がオレの方を見ながら訊いてくる。
「どうしたもこうしたもねぇよ! お前何で泣いてんだ……ん?」
オレはふと、定子が綺麗な装丁の本を持っているのに気付く。
「えっと、もしかして……それ読んで泣いてたのか?」
「ええ。すごく切ない話だったんで」
「なんだ、驚かすなよ……てっきりオレは中尉の奴に、その……何かされたのかと思ったよ」
「ふふっ、クルピンスキー中尉は女の子を泣かすような事、しないと思いますよ」
どうだかね、あの女たらしのことだ。
影で何人もの女を泣かせてたって不思議じゃない。
「ところでナオちゃん、どうして私の部屋に?」
「ああ、そうだ。すっかりここに来た目的を忘れてたよ」
オレはポケットから煎餅の入った袋を何枚か取り出す。
さっきジョゼから貰ったものだ。
「一緒に食べようぜ」

「それで、なんて本読んで泣いてたんだ? ほらよ」
オレは煎餅の入った袋を3枚ほど定子に渡しながら、尋ねる。
「あっ、ありがとうございます。これ、サーシャ大尉から借りたオラーシャの文学なんですけど、
ナオちゃんは読んだことありますか?」
「オラーシャの文学はあんまり読んだことないな。どんな話だったんだ?」
「えっとですね、主人公は恋するウサギの女の子なんですよ」
「それはまた、随分とメルヘンな物語だな」
オレは煎餅をバリバリとかじりながら呟く。
「ええ。それである日、その女の子の恋人のウサギが戦争に行ってしまうんです」
ウサギの戦争? 何だそりゃ。
オレは2本足で立ってるウサギが戦車に乗って、戦う場面を想像してみる。
う〜ん、中々にシュールな絵面だ。
「2人は再会を約束しあうんですけど、彼は戦場で死んじゃうんです。それでも彼女は約束を信じて待ち続けるんです。
何日も何ヶ月も……」
「それで、彼女はどうなったんだ?」
「……1年ほどして彼女も病気で亡くなっちゃうんです。悲しいですよね、再会を誓いあったのに二度と逢うことがなかったなんて」
定子が少し俯きながら呟く。
今定子が話してくれたオラーシャの文学、ネウロイとの戦いに身を投じてるオレ達にも決して無縁な話じゃないんだよな。
オレ達だって大切な人と突然別れる日がくるかもしれない状況で戦ってるんだから。

「ねぇ、ナオちゃん」
定子がオレに寄りかかりながら言う。
「こういう話、知ってますか? ウサギは寂しいと死んじゃうって」
「ああ。でもそれって、迷信じゃないのか?」
「迷信なんかじゃないですよ。ほら、私も使い魔がウサギですけど寂しいのは怖いですし……
何よりナオちゃんのいない人生なんて考えられないです。ナオちゃんがもしいなくなったら私、きっと寂しくて死んじゃいます」
定子のその言葉を聞いて、思わずオレはドキリとしてしまった。
おいおい、定子の奴、さり気なくすごく恥ずかしいこと言ってないか?
「……ナオちゃんは、私とずっと一緒にいてくれますか?」
定子は目を潤ませながら、オレの方を見てくる。
オレの2つ上とは思えないほど可愛らしく、守ってやらないといけないような瞳をしている。
「絶対、とは言い切れない。オレいつも無茶な戦いばっかりやってるし、物語のウサギみたいに
突然別れる日がこないなんて保障はどこにもない。でも……」
「でも、何ですか?」
「オ、オレが定子を残して死ぬわけないだろ。オレが死んだら誰がお前を守るんだよ」
思わず声が上擦ってしまう。自分でも恥ずかしい事を言ってるのは分かってる。
だけど、定子の事を、一生をかけて守りたいというこの気持ちに偽りはなかった。

「ありがとう、ナオちゃん。私たち、ずっと一緒にいれるといいね」
定子が頬笑みながらオレの事を強く抱きしめてくる。
「お、おい定子……」
「ふふっ、ナオちゃんってやっぱり暖かい」
やれやれ、こりゃ当分離してもらえそうにないな。
でもまぁ、定子の喜ぶ顔が見れるならこうやって抱きしめられるのも悪くないかな。

〜Fin〜

1555uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 00:50:57 ID:fpj31Tjk
以上です。去年はラジオに始まり、あなたとできること、アニメ第2期、いやぷにと色々と充実した一年でした。
劇場版も決定したことで今年もストライクウィッチーズから目が離せませんね。
個人的には504やJG52辺りの話をもっと書いていければいいなと思っています。
それでは皆様、本年もよろしくお願い致します。

1565uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 15:39:48 ID:fpj31Tjk
こんにちは、フミカネさんのTwitterイラストの
バニーロスマン先生を見てたら思いついた話を投下していきます。
ではどうぞ。

157Ein Kaninchenmädchen:2011/01/04(火) 15:41:14 ID:fpj31Tjk
「ねぇ、伯爵」
「何だい? 先生」
「これは一体何の真似なのかしら?」
夕食を終え、明日の教練の準備をしようとしていたところに、ニセ伯爵が何やら怪しげな箱を持ってやってきた。
私がその箱を開けてみると、中に入ってたのはウサギの耳をしたカチューシャにチョーカー、アームウォーマーとブーツ、
それと、綿でできたふわふわの尻尾。
早い話がバニーさん変身セットというわけだ。
「ほら、先生もうすぐ誕生日じゃない。これはボクからのひと足早い誕生日プレゼントってことで」
「これを私に着ろって言うの?」
私は、箱の底に入っていた布の面積が異様に狭いトップスとテープ状のズボンを見ながら言う。
なんなのよこれ! ほとんど裸じゃない。
「うん。絶対エディータに似合うと思うんだ」
「ふざけないでよ。何で私がこんな格好を……」
「ティナに手紙贈った時、ウェディングドレス着てくれたじゃん」
「あ、あれはその場のノリって奴で……」
「じゃあ、これもその場のノリで着てよ」
「お断りします」
私がぴしゃりと言い放つと、ヴァルディは目に涙を浮かばせながらこう呟いた。
「ぐすん……そうだよね、エディータは本当は私の用意した服なんて着たくなかったんだよね……いつも無茶ばっか言ってごめん」
嘘泣きだと分かっているのに、ヴァルディの可愛らしい表情を見て、私は思わずドキリとしてしまう。
……つくづく私もヴァルディには弱いわね。
「わ、分かったわよ! 着ればいいんでしょ、着れば!」
私がそう言うと、ヴァルディは一転して明るい表情になって、
「本当!? 着てくれるの? やった!」
子供のようにはしゃぎ回った。
今のヴァルディの涙に騙された女の子って一体、どれくらいいるんだろう。
ひょっとしたら、ヴァルディのネウロイ撃墜数より多いんじゃないかしら。

「えっと、今から着替えるんだけど……」
「うん。だから、ボクが見ててあげるよ」
「出て行け!」
「分かったよ。じゃあ外で待ってるから着替え終わったら言ってね。エディータの素敵な変身ぶり、楽しみにしてるから」
ヴァルディはそう言い残して私の部屋を一旦後にする。
私は、箱の中に入ってるバニーガールの衣装をもう一度見てみる。
勢いでOKしちゃったとは言え、いざ着るとなるとやっぱり恥ずかしいわね……
ええい! こうなりゃもうヤケよ。
私は勢いよく軍服とズボンを脱いで、バニーガールの衣装を身に付ける。

「……入っていいわよ」
「お邪魔しま〜す……わぁ、驚いたな。天使のように可愛いよ、エディータ」
「すごく、スースーするんだけどっ……」
それもその筈、今私の下半身を覆っているのはテープ状のズボンと綿でできた尻尾のみ。
こんな格好、こいつ以外の誰かに見られたら恥ずかしさのあまり死んでしまうかもしれない。
「本当に似合ってるよエディータ。その、今夜……どうだい?」
ヴァルディが綿のしっぽを千切りながら耳元でそう囁きかけてきた。
「ひゃっ! このっ……変態!」
「痛っ!」
私は、指示棒をヴァルディの頭めがけて思いっきり投げつける。
「痛たた……ただの冗談じゃないか、エディータ」
「あんたの冗談はいつも冗談に聞こえないのよ!」
「手厳しいね。でも、すごく似合ってるよ。ボクの心のアルバムに一生焼き付けておきたいくらい」
「……寒いわよ」
「そりゃ、ほとんど裸に近い格好だからね」
「そうじゃなくて、あんたの台詞が」
私がそう言うと、ヴァルディはいつもの伯爵スマイルで微笑みながら、私の事を抱きしめてきた。
「なんならもっと寒い事、言ってあげる……エディータ、世界で一番愛してるよ」
「……ヴァルディの馬鹿」
私はヴァルディの告白に応えるように少し背伸びをして、彼女の唇に思いっきりキスをしてやった。

〜Fin〜

1585uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 15:43:07 ID:fpj31Tjk
以上です、今朝、フミカネさんのバニーロスマン先生を見てたらつい筆が進んでいました。
ではまた

159名無しさん:2011/01/05(水) 02:40:28 ID:2aJgieNU
>>158
おお、クルロス乙です

160名無しさん:2011/01/05(水) 17:45:43 ID:0rZcWyHA
>>158
合法!合法!!

161名無しさん:2011/01/05(水) 17:45:53 ID:0rZcWyHA
>>158
合法!合法!!

162名無しさん:2011/01/05(水) 21:24:09 ID:G/eRhS3M
>>155
小林源文氏の某漫画を思い出してしまったw>二本足で歩くウサギ
定ナオほっこりしました。GJです。

>>158
合法、合法( ゚∀゚)o彡゚
伯爵も、のってしまう先生も大好きです。

163名無しさん:2011/01/06(木) 04:29:30 ID:VQ3K0HtA
SSの中で伯爵がヴァルディって呼ばれることがままあるけど、ヴァルトルートの愛称ってヴァルディなの?

164名無しさん:2011/01/06(木) 05:20:40 ID:afxF.z8Y
公式じゃないけど、ヴァルトルートって名前のドイツ人名の場合の愛称はヴァルディってなっても間違いではないらしいよ

165名無しさん:2011/01/06(木) 10:41:59 ID:fxwh/ufM
トゥルーデだとゲルトと被るしな

166名無しさん:2011/01/06(木) 12:36:45 ID:VQ3K0HtA
なるほどさんくす
他にもそういう愛称ってないかな
もしくはそういうの調べるサイトとか
今後の参考にしたいんだ

167名無しさん:2011/01/06(木) 15:11:41 ID:a0411NPU
>>163
ヴァルディよりもヴァリィの方がより正しいっぽいよ。

168名無しさん:2011/01/06(木) 15:15:54 ID:a0411NPU
http://www2u.biglobe.ne.jp/~simone/more/alp/index.htm
ここだと愛称がのってたりのってなかったり。

愛称じゃないけど名前の意味があるこことか面白い。
http://www.policedog.or.jp/chishiki/g-w.htm

あとはfacebookへ行ってその名前の人が親しい人間からどう呼ばれているかを確認するというても使えるね>愛称

169名無しさん:2011/01/06(木) 16:01:45 ID:afxF.z8Y
まあ実際の外国人の愛称よりかわいくて響きがいいほうがいいじゃん。ジョゼとかさ

170名無しさん:2011/01/06(木) 16:24:51 ID:sw5e7/UA
しかしジョゼって聞くとどうしても 
おいジョゼ山 すいません誤変換ですジョゼさん おいって言ったねヘンリエッタ 
が先に出る。

171名無しさん:2011/01/07(金) 11:51:05 ID:An0INKc6
>>158
合法先生ロスマンちゃんカワイイ!!

172名無しさん:2011/01/07(金) 16:24:12 ID:jKlPqcTc
みんな返答ありがとう、>>163です
たしかにヴァルディよりヴァリィのほうが女性っぽいね
まぁでもロスマン先生はあえて皮肉で「ヴァルディ」って呼んでるのかもしれないけどw
そのほうがロスマン先生と伯爵っぽいかななんて

173名無しさん:2011/01/07(金) 23:45:16 ID:An0INKc6
>>172
なるほど、それいいですね!(^^)

174名無しさん:2011/01/08(土) 14:55:44 ID:Tf4dcaLY
ヴァルディって呼び方、かわいくて好きですよ。あとDVD特典の設定集にロスマン先生の愛称は「パウラ」ってなってたけどこれって常にそう呼ばれてるわけじゃないんでしょうかね?

175名無しさん:2011/01/08(土) 17:53:47 ID:xehb5XJg
>>174
エーリカで言うところの「フラウ」みたいなもんじゃない?
常に呼ばれてるものじゃないと思う

愛称と言えばペリーヌが本名じゃなくて愛称だってことは割と最近まで知らなかった

176名無しさん:2011/01/08(土) 19:49:54 ID:.yCy0LRU
愛称っていうか勝手に自分で名乗ってるだけだよねきっと
501でも何人かはピエレッテって名前知らなそう

177mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/08(土) 21:56:36 ID:5XPAe8dI
>>154>>157 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
連続投下GJです! 定子×ナオちゃんのほっこりと
合法先生と伯爵の大人な雰囲気が最高です。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ちょっと珍しいカップリングを二本連続で投下します。
エロスな成分が有りますので、お嫌いな方は要注意です。
ではどうぞ。

178cherry and berry 01/03:2011/01/08(土) 21:57:21 ID:5XPAe8dI
 芳佳は目覚めた。目覚めたと言うより、起こされたと言った方が正しい。
 太腿に、何かの感触が残る。それは指か何かやわらかいモノが、這いずった痕。そのショックで起きたのかも知れない。
 目を開けるも、視界はタオルか何かの布で縛られて、何が起きているか分からない。
 口も布で縛られる。んー、うー、と唸るのがやっと。
 全身が束縛されている。椅子に手足を縛られ、がたがたと揺らすも、身動き一つ取れない。
(どうして私が?誰か!)
「おはよう、芳佳ちゃん」
 声の主はサーニャだった。穏やかで優しげな声。
(サーニャちゃん!?)
 芳佳は大声を上げたつもりだったが、がっしりと食い込んだ布に阻まれ、言葉が出ない。
「やっと起きてくれた?寝間着姿も可愛いよ」
 闇の中で、声と気配が動く。正面から右、背後、そして耳元。
「これでもう大丈夫だね」
(……!)
 射抜かれるような、昏く冷たい囁き。その一瞬の変貌に芳佳は恐怖した。
 しかしそれがまるで気のせいであったかと錯覚するような優しい声が続く。
「芳佳ちゃんがもうどこにも行かないって思うと、すごく安心する……」
(何でそんな嬉しそうなの?それに、何でこんな……)
 芳佳は戸惑った。どうしてこうなったのか聞きたかった。そして早く解放して欲しかった。でも……
「ねえ、芳佳ちゃん。リーネさんばっかりって、ずるいよね」
 およそ考えつかなかった科白に困惑する芳佳。唸りながら首を横に振る。
 その様子を見てサーニャは満足そうに微笑むと、おもむろに芳佳の身体を強く抱きしめた。
 動けない芳佳を、それでも足りないというようにきつく、苦しいほどに────
 そして首筋に顔をうずめ、甘い香りにうっとりと恍惚の表情を浮かべる。
 思いがけない温かさに少しだけ気を緩める芳佳であったが、
 次に聞こえてきたのは、背筋の凍りつくような、狂気さえ感じるほどのぞっとする声だった。
「嘘ばっかり。嘘吐きな子は、お仕置き、しないとね」
 耳元に、ふーっと息が吹きかけられる。ひゃうっと首をすくめる。サーニャの甘い吐息が、僅かに残る。
 数秒の空白。芳佳は、柔らかな耳たぶをじっとりと舐られて居る事を感じる。
 びくびく、と身体が勝手に動く。
「芳佳ちゃん、ここも弱いんだ」
「う……あ……」
「ふふっ、言わなくても大丈夫、芳佳ちゃん」
 首筋に、唇を這わせる。唾液の雫が僅かに滑り、痕を引いて鎖骨にまで到達する。
 身じろぎ出来ない程、きつく締められている。抵抗出来ない。関節がぎりぎりと軋む。
 ふう、と息をつき、舌なめずりする音が聞こえる。
(まさかサーニャちゃん?)
 ぺろり、と不意に鼻先を舐められる。んんっ、と思わず首をすくめる。
「可愛い芳佳ちゃん」
 サーニャは芳佳をそっと抱きしめ、布の上からそっと唇を重ねた。
 僅かな感触だが、触れ合う事で、サーニャ本人である事、彼女の意志で行為が続いている事を知る。

179cherry and berry 02/03:2011/01/08(土) 21:57:47 ID:5XPAe8dI
 長い長いキスが終わり、サーニャはぎゅっと、芳佳を抱きしめた。
「次はどうしようかな……」
 サーニャはそう言うと、両手で芳佳の体をまさぐるように撫で始める。
 そしてぴったりくっついた芳佳の太腿に触り、無理矢理押し広げた。
「芳佳ちゃん、ふふ、その格好……」
 抵抗するも、サーニャのしなやかな指先で撫でられると、不思議と力が入らなくなる。何故?
 だらしなく股を広げている格好になる芳佳。羞恥心と、困惑と不安、それらが入り交じる。
「芳佳ちゃんの表情、もっと見てみたいな」
 そう言うと、サーニャはおもむろに芳佳の股をつつーっとなぞり、秘めたる場所に辿り着く。
 躊躇なくズボンの中に手を入れ、じんわりと湿ったポイントに、細い指を入れる。
 くちゅ、くちゅ、と音がする。
 芳佳は玩ばれている。音しか聞こえないこの状況で、サーニャにやられ放題。
 だけど。
 理性とは別に身体的反応は実に素直で、芳佳の秘所はサーニャの指のリズムに合わせて、じんわりと汗をかく。
「んーっ!んんー!」
「ここが良いの?芳佳ちゃん、随分いやらしいんだ……」
 サーニャは指を更に奥に入れ、乱暴にかき混ぜ、敏感な場所をいじり、つねり、きゅっとつまんだ。
「んんんーーっ!」
 芳佳は自然と腰を振っていた。サーニャの指に反応して、自分から求めていた。
(違う、違うの……こんなんじゃ……)
「んっ、んん、んんっ……」
「芳佳ちゃんのイク顔、見せてね」
 サーニャは耳元で言うと、芳佳のアナルにまで指を伸ばし、中指を挿れ、こすり、前と後ろ両方で玩ぶ。
 耐えきれなくなった芳佳はがくがくと腰をびくつかせ、極みに達すると、だらしなく力が緩んだ。
「可愛い、芳佳ちゃんのイク顔。もうちょっと見せてね」
 サーニャはまだ痙攣が止まらない芳佳を更に虐めた。間も無く、快楽の第二波が絶頂となり芳佳を襲う。
 俎の鯉。まさに魚のように激しく、小刻みに痙攣して、動けない体が跳ねる。
 サーニャは腹で息を繰り返す芳佳の太腿にまたがり、縛っていた轡を解く。
 呼吸を整える間もなく、もう一度強引に、今度は直に口吻を交わす。
「っぷは、はあっ……はあっ……サーニャちゃん、どうして、こんな……んんっ……」
 サーニャは芳佳の口に、先程まで自身を苛めていた指を入れた。
「自分のは、自分で綺麗にしないとね」
「ん……」
 もう片方の指を、にちゃっと言わせ、代わる代わる指を芳佳に舐らせるサーニャ。ふふ、と笑う。
「じゃあ、いい顔をしたご褒美」
 息つく暇も無く、口に何かが押し込まれる。ほのかに甘い。パンケーキらしかった。
「しっかり食べて、元気出してね?」
 とんでもない状況なのに、サーニャの言う通りにしてしまう芳佳はもはや考えることもできない。
 一口、二口と食べさせられると、サーニャの濃いキスが待っている。
「芳佳ちゃん、お水欲しい?」
 サーニャは立ち上がって薄手のカップに紅茶を注ぐと、芳佳に咥えさせた。
「うまく飲んでごらん。落とすと火傷するかも?」
「ほ……ほんはあ……」
 カップを噛んだまま、何も出来ない芳佳。サーニャはそんなのお構いなしに、芳佳の鎖骨につーっと舌を這わせる。
「ひっ!」
 びくりとした拍子に、カップを落とす。太腿の上で一度バウンドして中身を芳佳にぶちまけた後、
カップは床に落ちてばりんと割れた。
「あっつい!」
「もう、粗相しちゃダメでしょ、芳佳ちゃん?」
「サーニャちゃん、酷い……ひどいよぉ……」
「泣かないで芳佳ちゃん。だって私だけの芳佳ちゃんだから」

180cherry and berry 03/03:2011/01/08(土) 21:58:12 ID:5XPAe8dI
「どうして?どうしてサーニャちゃん?」
 サーニャはひとつ縄を解くと、芳佳の寝間着に手を掛けた。
「あ、サーニャちゃん、待って」
 肩の端を引っ張り、ずるっと剥く感じで下に下ろし、肌を露わにさせる。
 芳佳の乳房が顔を出した。
「残念賞?でも私にはとっても可愛く見える」
 サーニャは寝間着の間から飛び出した芳佳の乳首をじっくりと眺める。
「み、見ないで……」
「わかった」
 言うなり、サーニャは芳佳の乳を、吸った。マシュマロの様な柔らかさを楽しんでいる。
「いやぁ……やめて、サーニャちゃん……」
「もっと刺激を与えれば、もっと大きく、可愛くなれるから」
 サーニャは執拗に芳佳に乳首を舐り、舌の上で転がした。
「お乳と言えば、ミルクよね」
 いつ用意したのか、温かなミルクの入った瓶を、芳佳の乳房にたらりと流す。
 胸から腰に掛けて、白い液体が流れていく。
 そしてゆっくりと、ほんのり甘味のついた芳佳の乳房を舐るサーニャ。
「いや……やめ……うんっ……あはあっ……」
「いやらしい芳佳ちゃん。上も下も、びしょ濡れ」
「ち、違うの、サーニャちゃん……私、私……」
 サーニャがほんの少し歯を立て、きゅっと吸った。
 スイッチが入ったのか、芳佳はだらしなく喘ぎ、またもがくがくと身体を震わせた。
「胸でもいっちゃった。いやらしいんだから。でも、可愛い」
 椅子の下には既に、芳佳の体液とミルクがだらしなく混じり水たまりが出来ていた。
「芳佳ちゃん、次のお願い聞いてくれたら、椅子からベッドに移してあげる」
「サーニャちゃん……」
 芳佳は既に逃げる気力も失せ、ぼんやりとサーニャを見ていた。
 逆らえない。
 抗えない。
「これからはちゃんと、私だけを見て」
 芳佳は、耳元で囁くサーニャの甘い吐息を胸一杯に吸い込み、吐き出した。
「うん……」
 小さく、頷く。
「じゃあ、行きましょう」
 ここが何処かも分からず、未だ身体の自由が利かないまでも、芳佳は、ただ全てをサーニャに委ねる他無かった。
 椅子ごとベッドに持って行かれ……そして何かに繋ぎ止められ……ごろりとベッドに転がる。
「可愛い。芳佳ちゃん。もうずっと、一緒だよ?」
 サーニャの声が、頭の上から聞こえた。その後何をされどうなったのか、芳佳の記憶は途絶えた。

end

--

まずは一本目です。
サーニャさんと芳佳ちゃん、続きをどうぞ。

181cherry and berry II 01/02:2011/01/08(土) 21:58:43 ID:5XPAe8dI
 あれから何時間……いや、何日経ったのだろう。芳佳は茫洋と考えを巡らせた。
 でも。
 窓もなく、仄暗い石造りの部屋の中では、日暮れも朝も感じ取る事は出来なかった。
 何より、両手をベッドに縛られ、目隠しがされたまま。このまま何も出来なく、何も見えなくなるのでは、と思うと辛い。
「芳佳ちゃん、おはよう」
 甘い声が耳元から聞こえる。思わず首をすくめると、声の主は優しく芳佳の頭を撫で、頬にキスをした。
「そんなに怯えないで。まるで生まれたての子犬みたい」
「だって……」
「芳佳ちゃん、何処にも行かないから、私安心出来る」
 服が微かに擦れる音。声の主が芳佳の横たわるベッドに腰掛けたのだと推測する。
 今度は何をするの、サーニャちゃん?
 芳佳はぼんやりと、そんな事を考えていた。
「まずは、ちゃんと食事を取らないとね。あーん……」
 言われるままに口を開ける。きゅっと押し込まれたのは……恐らくサンドイッチ。
 ハムとレタスのさっぱり感が、場違いな程新鮮で、あっという間に食べてしまう。
「芳佳ちゃん、食いしん坊なんだから。でも、ちゃんと食べてね」
 頷く前に、また口に押し込まれる。鼻で息をしながら、急いで噛み、ごくりと飲み込む。
 ふふっ、とサーニャの笑う声が聞こえる。とても楽しそう。
「芳佳ちゃん、子犬みたい……可愛い」
 つつーっと、肌をなぞられる。びくりと肩を震わせる芳佳。
 肌を伝ったサーニャのか細い指は、とある所で止まり、肌の弾力を確かめる。
 胸の膨らみを、むにむにとつつく。
「少し、大きくなった?」
「私、分からないよ……」
「じゃあ、分かるまで、頑張ろう?」
「えっ……ひゃうっ!」
 サーニャが芳佳の胸に手を当て、じっくりと、優しく揉みし抱く。
 先端の突起に指をかけ、くりくりと玩ぶ。芳佳は何処かリズミカルなその動きに翻弄され……、
一度は復活した理性が、また飛びそうになる。
 ちゅうっと、サーニャは芳佳の乳首を吸った。舌の上で、転がす。
 段々と先の方が固くなるのを感じる。
「いやぁ……サーニャちゃん」
「恥ずかしくないよ? だって私と芳佳ちゃんだけの秘密だもの」
「でも……んあっ……だめ……だめっ……」
「何がだめなの?」
 悪戯っぽく囁くサーニャ。
「だって……サーニャちゃん……うあっ……私、また……ううっ……」
 堪える芳佳。理性が快楽で消し去られない様に、歯を食いしばって抵抗する。
「そう言う芳佳ちゃんも、可愛い。私、好きよ」
「だからって、どうして縛ったままで……」
「芳佳ちゃんが逃げちゃうから」
「どうして……あっ……いやっ……」
 サーニャは芳佳の身体を撫で、揉んだ。唯一自由に動く足で抵抗するも、まるで蛇の様にするりとかわされ、
そして絡め取られ、動きが取れなくなる。
「芳佳ちゃん、胸だけでイッちゃういやらしい子だもんね」
 サーニャの一言。そして芳佳の敏感な場所へ伸びる手。じっとりと汗ばんだ芳佳の身体は、既に理性を失い
快楽に溺れたまま、サーニャの手中にあった。微かに躍動する身体。
「だめ……だめなの……いやああ……あ。ああっ……あー……」
 よだれを垂らしたまま、芳佳は乳首を硬くしたまま、絶頂のスイッチが入り、がくがくと身体をびくつかせる。
 また、イッちゃった……。
 芳佳はぼんやりと、恥じらいと身体の疼きとが入り交じった感情で、サーニャの声のする方に顔を向ける。

182cherry and berry II 02/02:2011/01/08(土) 21:59:32 ID:5XPAe8dI
「芳佳ちゃん、可愛いよ」
 キスをされる。舌が絡む。芳佳は“あの日”以来、サーニャを肌で感じ耳で聞くしかなかったが、
それでも全てをありのままに受け容れる。
 逃げられないから。
 それとも、逃げたくないと言う邪念にも似た気持ちが、少しでも有るのだろうか?
 だが答えを出す前に、サーニャは次の行動に移った。
「じゃあ、次は……」
 サーニャはだらしなく伸ばされた芳佳の足を取り、太腿を舌で舐めた。火照った身体、うっすらと汗ばむ肌に、
まるで吸い付くかの様に、芳佳を味わい、舐め取っていく。
 サーニャは芳佳のヴァギナに手を伸ばし、軽やかなタッチで玩ぶ。
 すすん、とサーニャは匂いを嗅いだ。
 僅かな音を聞き、芳佳は声を上げた。
「や……。やめて。匂い嗅がないで……お風呂入ってないし、臭うし」
「芳佳ちゃんの身体。少し酸っぱいね。でもチーズにも似た感じで……何のチーズだろうね」
「そ、そんなの良いから……」
「今度のサンドイッチにはチーズ入りだね」
「どうして……ひゃっ!」
 芳佳は腰を浮かせた。サーニャが突然芳佳の敏感な場所にキスして、そのまま舌を入れてきたから。
「やめ……やめて……だめえっ!」
 サーニャの舌はまるで魔術の様に魅惑的で……腰の力が抜け、そして気付くと腰を僅かに振っている自分に気付く芳佳。
「だめなの……そこだけは……やめて……」
「芳佳ちゃん、そこだけって本当?」
 サーニャはふふっと悪戯っぽく笑うと、芳佳のお尻に手を回し、撫で回した。その指は芳佳の尻穴へと向かう。
 それを触覚で察知した芳佳は逃げようとするも、間も無くサーニャに掴まり、なすがままになる。
「芳佳ちゃんのお尻……小さいけど柔らかくて……それでいて引き締まってて好き」
「サーニャちゃん」
「私のもの。芳佳ちゃんは全部私のもの」
「そんな……」
「だから……」
 サーニャは芳佳を、前も後ろもきゅうきゅうに責め立てた。まるで演奏するかの様な指使い、舌使い、リズム。
 芳佳は、やめて、と繰り返したが、身体は快感に浸り、リズミカルに腰が浮き、前と後ろの秘所をぐいぐいと、サーニャに押しつける。
 サーニャは舌で芳佳のクリトリスをちょっと持ち上げ、唇でふにゅっと噛んだ。同時に、アナルに入れた指をぐいと奥に挿し込む。
 たまらず芳佳は悲鳴に近い嬌声を上げた。
 またも全身が痙攣し、前からはぽたぽたと愛液が垂れる。足先がつった様に固まり、びく、びくと震える。
 びくつく身体。止まらない。止めてくれない。
 でも、もっと……。もっとして欲しい。
 理性は既に薄れ、気持ち良さだけを追い求めるケダモノへと変化していた。
 縛られたままの腕もそのまま、足もだらしなく投げ出し、大事な部分も解放したまま。
「もっとぉ……」
 芳佳は、小さな声で、震えながら言った。
「芳佳ちゃん、もう一度。良く聞かせて」
「サーニャちゃん……私……」
「はっきり言ってくれたら、もっと気持ち良くしてあげる」
「サーニャちゃん……お願い。もっと、もっとして」
「何をして欲しい?」
 サーニャは芳佳を抱くと、涙とよだれを垂らし、だらしなく喘ぐ芳佳にキスをした。
 はうっと芳佳が声を出し、だらしなくサーニャへの懇願を繰り返すと、サーニャはくすっと笑い、芳佳の身体へ覆い被さった。
 間も無く、芳佳は声を出した。サーニャの名を呼び、そして激しい快楽の悲鳴。
 繰り返される情事。サーニャの楽しみは、芳佳の悦びにシフトする。

end

183名無しさん:2011/01/08(土) 21:59:43 ID:5XPAe8dI
以上です。

どうして二人はこうなったのかとか
この後どうなるのとかは……
まあ、あんまり気にしない方向でよしなに。

ではまた〜。

184名無しさん:2011/01/09(日) 02:09:56 ID:UUuOAH7k
芳ーニャ…だと……?!許せるッ!!!

185名無しさん:2011/01/10(月) 16:32:36 ID:w8kcTlug
そーいや明日はロスマン先生の誕生日らしいね
祝わねば…

186名無しさん:2011/01/10(月) 17:22:57 ID:5Vyk9gjE
>>185
期待してるぜ

1875uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/10(月) 21:30:35 ID:RRQDnFrc
>>177-183 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、えっちなサー芳でお腹いっぱいです。
個人的に芳佳は結構受け属性強いと思います。

こんばんは、今日はるっちーの誕生日ということでマルチナ×ルチアナで1本書いてみました。
ではどうぞ。

188マルチナのせくしーカレンダー 1/2:2011/01/10(月) 21:31:25 ID:RRQDnFrc
――1月7日、504JFWにて

「え? ルチアナへの誕生日プレゼント?」
「うん。何をプレゼントしたらいいと思う?」

ルチアナの誕生日を3日後に控えたその日、ぼくはフェルを自分の部屋に呼んでルチアナへのプレゼントの相談をしていた。
一応、隊のみんなでお金を出し合って購入したプレゼントはあるのだけれど、それとは別にいつもお世話になってるルチアナに
日頃の感謝を込めて、ぼく個人から彼女に何か特別なものをプレゼントしたいと考えていた。
そこで、原隊の隊長でケンカ友達でもあるフェルに相談を持ちかけたんだけど……

「そうねぇ……リボンを身体に巻いて『ぼくがプレゼントだよ♪』って言うのはどうかしら?」
「それ、ぼくが前にジェーンやシャーリーに勧めた方法じゃん。自分でやるのは何だか恥ずかしいよ」
「あら。人に勧めといて自分はできないの?」
「じゃ、じゃあフェルは、竹井にプレゼントとして自分を差し出せるの?」
「な、なんでそこで竹井の名前が出てくるのかしら!? でも、そう言われると確かに、
自分をプレゼントにするのって恥ずかしい気がするわ……」
「だよね……」

ぼくもフェルも顔を真っ赤にして黙り込んでしまう。
ぼくったら、何て恥ずかしいことを人に勧めてたんだろう……

「えっと……じゃあ裁縫道具セットをプレゼントするのはどうかしら? ほら、ルチアナって裁縫得意だし」
しばらくの沈黙の後、フェルが口を開く。
「それは去年プレゼントしたよ」
「それじゃあ、調理器具とかは?」
「それは一昨年」
「う〜ん、やっぱり自分をプレゼントするしかないんじゃないかしら?」
「だから、それは絶対ダメだって〜」
「ふふふ、話は聞かせて貰ったわ!」
その時、突然ベットの中からフェデリカ少佐が現れた。
ええ!? 一体どうなってるの!?
「少佐、いつからそこに!? てゆうか何でぼくのベッドから?」
「細かいことは気にしないで。それよりティナ、誕生日プレゼントに困ってるならいいアイデアがあるわよ」
「え? なに」
ところでさらっと流そうとしてるけど、人の部屋のベッドに潜り込むのは「細かいこと」じゃないと思うんだけど。
「ふふっ、それはね……ティナのせくしーカレンダーよ!」
「は?」
一瞬、フェルの部屋に再び沈黙が流れる。
呆れ顔のぼく達とは対照的にフェデリカ少佐の顔は妙に得意げだった。

せくしーカレンダー――それは、前線で戦う兵士達の戦意高揚のためにかつてフェデリカ少佐が企画した
文字通りウィッチのせくしーなカレンダーのことだ。
まぁ結局、「高揚し過ぎちゃうから危ない」との理由でロマーニャ公からやんわりと止められたらしいけど……
「それって少佐の趣味じゃ……」
「ええそうよ。私はティナのあんな写真やこんな写真を撮ることができるし、ルチアナは喜んでくれる。
こういうのを扶桑の諺で『一石二鳥』っていうらしいわ」
うわ、あっさりと認めちゃったよこの人。
でも、考えてみればカレンダーは貰って困るものじゃないよね。
少佐の言う「あんな写真」や「こんな写真」がどんなものなのかはちょっと気になるけど……
「分かった。やってみるよ」
ぼくがそう言うと、少佐はお菓子を貰った子供のような笑顔を浮かべてきた。
「ティナならそう言ってくれると思ったわ。それじゃあ早速だけど、これを着て頂戴」
少佐がぼくの部屋のクローゼットからバレリーナの衣装を取り出しながら言う。
「え? これを着るの?」
「ええ、ティナにバレリーナの衣装は欠かせないでしょ。フェル、悪いんだけど私の部屋からカメラを取ってきてくれるかしら?
隊の記録用のじゃなくて、私の趣味用の方ね」
「了解」

189マルチナのせくしーカレンダー 2/2:2011/01/10(月) 21:31:50 ID:RRQDnFrc
――数分後

「少佐、カメラを持ってきました」
ぼくが(フェデリカ少佐に凝視されながら)バレリーナの衣装に着替え終わると同時に、フェルが少佐のカメラを持ってやってきた。
「ご苦労様。それじゃ、始めましょうか」
「う、うん」
こうしてフェデリカ監督のもと、カレンダー用の写真撮影が始まった。
最初の数枚はベッドに座ってるだけのシンプルな写真の撮影だったんだけど……

「う〜ん、今のままでも可愛いけど、もうちょっとせくしーなポーズが欲しいわね」
4枚目の写真を撮り終わった後、少佐が不意に呟いた。
「せ、せくしーなポーズって何!?」
「口で説明するより、実際に見て貰ったほうが早いわ。フェル、お手本を見せてあげて」
「な、何で私が!? てゆうか私もせくしーポーズがどんなものなのか知らないんですけど」
「それなら大丈夫。私が教えてあげるから。あのね……」
少佐はフェルにこっそりと耳打ちをする。
黙って聞いていたフェルの顔がだんだんと真っ赤になっていく。
あれ? 口で説明できるなら、少佐がぼくに直接教えてくれれば良かったんじゃ……
「ふ、ふざけないでください! なんで私がそんなポーズを……」
「あら。赤ズボン隊のリーダーさんは、困っている仲間を見捨てるような薄情者だったかしら?」
そう微笑みながらフェルに圧力をかけるフェデリカ少佐。
……絶対にサディストだよ、この人。
「わ、分かりました! やりますよ。いい、マルチナ? よ〜く見てなさい」
フェルはそう言うと、ぼくの口からはとても言えないようなポーズをとり、それを少佐に激写される。
ヤバイよこれ。バレリーナの格好でそんなポーズとったら、色々とシャレになんないって!
「さ、こんな感じでせくしーポーズとってみて」
せくしーポーズをとるのはすごく恥ずかしいけど、フェルの犠牲を無駄にしちゃダメだよね。
ぼくは覚悟を決めてせくしーポーズをとる。
父様、母様、何て言うか……名家のレディらしからぬ親不孝な娘に育っちゃってごめんなさい。

――そして3日後の昼、談話室にて

「それで、これが完成したティナのせくしーカレンダーってわけね」
カレンダーの完成品を見ながら竹井がそう呟く。
「……恥ずかしいからあんまり見ないで」
結局、あの後バレリーナでの撮影を終えるとフェデリカ少佐の部屋に連れて行かれ、
水着やナース服、更にはサンタ服など計11着の衣装に着替えさせられた。
しかも、全部の衣装でそれぞれ違うせくしーポーズを強要された。
もし、父様や母様がこのカレンダーを見たら一体何て言うだろう……考えたくもないや。
「ルチアナ、こんなカレンダーで喜んでくれるかな」
「大丈夫よ。だって、ティナが身体を張って撮ったカレンダーだもの。きっと気に入ってくれるわ」
ぼくの頭を撫でながら、そう微笑んでくれる竹井。
竹井は本当に良い人だね。少佐やフェルが一目置くのも分かる気がするよ。
「ありがと、竹井。それじゃあルチアナに渡してくるね」
「頑張ってね」

ぼくは談話室を後にして、ルチアナの部屋へと向かう。
ああ、なんだか胸がすごくドキドキしてきた……

「ルチアナ、いる?」
ぼくは、ルチアナの部屋の扉をコンコンと2回叩く。
「ティナ、どうしたの?」
10秒も待たずにルチアナが扉を開けてくれた。
ちょ、ちょっと待って! まだ心の準備ができてないんだけど!
「えっと、ルチアナ、た、誕生日おめでとう! これ、ぼくからのプレゼントだよ!」
ぼくは勢いに任せてルチアナにカレンダーを渡す。
「ありがとう。これは……カレンダー?」
ルチアナがぼくのせくしーカレンダーを1枚ずつゆっくりとめくっていく。
うぅ、自分をプレゼントにするのよりよっぽど恥ずかしいよ。
「ティナ、すごく可愛いよ。これを私のために?」
「うん、発案したのはフェデリカ少佐だけど」
「本当にありがとう、ティナ。素晴らしい誕生日プレゼントだよ」
ルチアナがそう微笑みながら、ぼくを優しく抱きしめてくれた。
「ふぇ……ル、ルチアナ!?」
「このカレンダー、大切に使わせてもらうね」
「う、うん……ありがと」

その言葉通り、ルチアナはぼくのせくしーカレンダーを部屋に飾ってくれた。
彼女の部屋を訪ねる度に自分のあられもない姿が映ったカレンダーが目に入るのはやっぱり恥ずかしいけど、
ルチアナが喜んでくれて本当に良かったよ。

〜Fin〜

1905uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/10(月) 21:32:20 ID:RRQDnFrc
以上です。赤ズボン隊は自分達の色恋沙汰には疎かったりしたら萌えます。
フェルちゃんとマルチナがどんなポーズをとらされたのかは、皆様のご想像にお任せします。
ではまた

191名無しさん:2011/01/10(月) 23:40:32 ID:rGc7wlP.
こんばんは、ここ何日かmxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様やzet4j65z ◆le5/5MRGKA様の長編モノを読破していたHwd8/SPpです。
長編って…書きたいんですが、書けないないんですよねぇ…。

今回は502モノで「伯爵にまつわる一枚の写真」です。タイトルだけなら感動モノっぽく聞こえますが…ギャグです。どうぞ!


【伯爵にまつわる一枚の写真】
「あら伯爵、読書?」

深夜、ロスマンは誰も居ないはずの食堂に水を飲もうと足を運ぶとソファーに座り本を読んでいるクルピンスキーを見かける。

「先生、どうしたんだい?こんな時間に」
「水を飲もうと」
「残念、ボクを欲しがってるのかと」
「バカ…何読んでるの?」
「え?本だよ」
「それはわかるわよ;;何の本?」

読んでる本が気になったロスマンはクルピンスキーに近付く。

「ん?これだよ、カントの哲学書」

本には『Zum ewigen Frieden. Ein philosophischer Entwurf(永遠平和のために)』と書いてある。

「…まあ驚いたわ。あなたってばゴシップ誌しか読んでないイメージがあったから」
「失敬な!『anan』だって読んでるさ!…セックス特集だけね!」
「まっ、明日の訓練に響かない程度で切り上げて寝なさいよ」
「いや…もう寝ようかな」

パタンと本を閉じ、スッと立ち上がり笑顔で…

「では先生、グーテ ナハト」
「えぇ」

クルピンスキーが自室へ戻ったため、食堂はロスマン一人になった。

「さっ、私もお水を飲んで…んっ?」

ふと足元を見やると何やら一枚の写真が落ちている。

「これ、伯爵のものだわ…」

拾って、写真を見たロスマンだが...

「だっ、誰なのこれっ!!??」


***

192名無しさん:2011/01/10(月) 23:41:31 ID:rGc7wlP.
>>191の続き。


翌日の食堂。
みんな一斉に起きてきて、朝食を摂っている。

「ごちそうサマンサタバサー♪」
「伯爵!そんなふざけて!」
「やー熊さんが怒ったー!食われちゃうー!」
「待ちなさい、エセ伯爵!!」

サーシャとクルピンスキーはふざけており、何処かへと消えた...

「…あっ、あのラル隊長」
「どうした?」
「その…昨夜ですね」
「昨日の夜どうしたんだ?あ、ジョゼおかわり頼めるか。…どうした?」
「その…こんなのを拾ってしまいましてですね…」

テーブルの真ん中に拾った写真を置く。

「かっ、可愛ぃ!!!!」
と素早く下原が反応する。

そう、そこに映っていたのは長髪で水色の子供用ドレスを着飾り、クマのぬいぐるみを抱いている少々嫌々な顔をした少女が写っていたのだ。

「だっ誰ですか!?ここに写ってるの!!??」
ジョゼも若干興奮気味である。

「確かに可愛いんですが…」
と困り顔のロスマン。

「………なんか怪しい匂いがしねえか?」
と呟く菅野。

「私も思った…これって…」
ニッカも恐る恐る発言する。

ガチャンッ!!

すると突然ラルがフォークを持ちながら立ち上がり、
「これは淫行だっ!!!!」
と叫ぶ。

「…隊長、とりあえず落ち着いてください」
「えぇい、落ち着いてられるか?!今までクルピンスキーの事は大目に見てきた!だが…これはないな!庇いきれないな!」
「ちょっと待ってロスマン先生、伯爵はもしかして…?」
「この未成年に手を出したに違いない!!」
「えぇぇぇぇぇ…」
「…別に良いんじゃね?」

菅野は食べかけのウインナーを頬張る。

「考えてみろ!『世界を守るウィッチーズの実態 中尉(18)が未成年相手に淫行』と言うゴシップ誌が発売されるのかもしれないんだぞ?!」
「えっ?!」
「そのスキャンダルで第502統合戦闘航空団は解散、いや…全世界の統合戦闘航空団は解散になる!!」
「隊長、話が飛躍し過ぎな気が…;;;」
「あぁどうしよう…ロスマン、お前今いくら持ってる?」
「えっ??!!どうしたんです?!」
「これはもう示談だ!相手の親御さんにキチンと話し合いをし、これは無かった事に!」
「隊長落ち着いてください!いつもと若干キャラが違いますよ?!」

必死に止めるジョゼだが、彼女の声はラルに届いてないようだ…。

「…まっ待ってください隊長!クルピンスキーに限ってはさすがに…ほら!手を繋いだだけとか?!」

「そもそも付き合ってると言う前提なのかよ…」
と菅野がまたまた呟く。

「手を繋ぐだと?!…おい、そしたらひと昔前の渋谷ならデート代3万は請求されるだろ!!」
「伯爵だったらデートだけでは済まない…ハズ」

何故かどんぞこに突き落とされるラルとロスマン…。

「どうしましょう…」
「…とりあえず、食器を片づけましょう」
「はい」
この話に飽きたのか、さっさと食器を片づけ始める下原とジョゼ。

193名無しさん:2011/01/10(月) 23:42:02 ID:rGc7wlP.
>>192の続き。




「あれぇ、どうしたの?みんな」
「隊長とロスマンさんどうしたんですか?!」

いつの間にかクルピンスキーとサーシャが帰って来ている。

「あ、この写真だけど…」
「あー…見られちゃったかぁ」
「誰なんだ?それ」
「…聞きたい?」
「もしかして一夜限りの関係の女…じゃないよな?」
「何を言ってるのさ!さすがに幼女にまで手は出さないさ!」
「うわあ…説得力ねえ…」
「まあ下は10歳、上は50歳までOKだけどね」
「良い加減、それ誰なんだってば」
「これ?………ボクだけど」














「「ええええええっ!!??」」
「ビッ、ビックリしたあ!!」
「ちょっ…どうゆう事だクルピンスキー!!」
「説明しなさいよ!」
「なんだい2人とも、血相を変えて;;」
「これって…あなたなのっ?!」

コクリと首を縦に振るクルピンスキー。

「あんま知られたくなかったんだよねぇ…今は髪短いけど、小さい頃は髪が長くて…あ!長い髪をバッサリ切る直前に撮ったんだっけなー♪」
「「………」」
「…なに先生、髪長くして欲しいのかい?だったら今日からでも伸ばすけど」
「…バカーッ!!!!」

バシッ!!

「へぶしっ!!??」

とりあえず一発殴ってから退室するロスマン。

「…とりあえずムカつくから、トイレ掃除よろしくな。クルピンスキー伯爵」
ポンと肩に手を置き、笑顔でそう言うラル。

「…ちょっと待ってくださいってばー!何故にボクが!!」
と冗談ながら、ラルを追いかけて行くクルピンスキー。

食堂には下原、ジョゼ、ニッカ、菅野、サーシャが残る。
しかし、サーシャは顔を赤くしてプルプルしている...

「どうしたんです?サーシャ大尉」
「…っ!!」
「熱でもあるんですか??」
「…行きつけの花屋の娘よ、この娘」
「「「「ええっ??!!」」」」
「大事な娘さんだからって…あんだけ手を出すなって言ったのに…っ!!」

と台所から包丁を持ち出すサーシャ。

「ちょっ!!大尉!」
「やめてみんな!私を止めないで!!アイツを刺してから私もっ!!」
「落ち着いてくださいぃぃぃ!!!!」
「やめろって!」

必死に止める下原、ジョゼ、ニッカ。


そんな中、温かい緑茶を啜りながら一言。
「…で結局、手を出したのか?出してないのか?」
一人疑問に思っていた菅野であった…。


【おわれ】

194名無しさん:2011/01/11(火) 02:35:23 ID:L1kTkpDU
伯爵wwww流石ネタが尽きませんなw
あ、ロスマン先生誕生日おめでとー!

195名無しさん:2011/01/11(火) 04:24:26 ID:bXSOJwvE
伯爵×熊さんもアリかもしれない

196名無しさん:2011/01/11(火) 07:07:31 ID:lWfbR5vY
いいレスを見かけたので甜菜

326 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2011/01/10(月) 23:48:47 ID:uM7SSOi3

エーゲル・シャーゲルだとトゥルーデが受けみたいな印象だけど逆もまた良し
明るくて社交的娘と生真面目委員長娘だと、どうしても前者がグイグイ引っ張っていくイメージが出来てしまうけど、
例えばキスするってなったときに、普段は明るいエーリカやシャーリーが急にしおらしくなるととても萌える
するとトゥルーデに隠れていた年上属性が発揮され、私に任せなさい的なマスラオ属性へと変化し、
普段攻めな娘はそこで普段受けな娘に惚れ直すわけだ
でもトゥルーデは鈍感だから惚れ直させてることに気づかないわけだ、ちょっとだけ天然ジゴロ
さらに普段と違う立場で秘め事を行うわけだから、ギャップ萌えというかちょっとだけインモラルな雰囲気も漂うと思う
トゥルーデは何となくエロいオーラを出してるし、そうなるはず
すると年上属性に反比例する形で、今度は相手の方の隠れていた年下属性が一気に表出し、行為の最中は植物状態、されるがままとなる
インモラルな雰囲気で行われる濃厚な秘め事が終わって夜が明けると、年下っ娘はからかったりしてくると思いきや、一転してデレデレになってる
からかってくるときの笑顔のままで抱きついてきたりするから、最初は困惑するんだけど、頭をなでたりして実はまんざらじゃない

シャーリー・エーリカが攻めから受けになったのではなくて、
むしろトゥルーデが受けから攻めに転化したことにより、シャーリー・エーリカが受けにならざるを得なかったということ
トゥルーデは素晴らしいポテンシャルを秘めていると思う
あと書いてる途中で考えたけど、パティアンについても同じようなシチュを適応できる気がした

197名無しさん:2011/01/11(火) 10:12:14 ID:HGp0K3j2
なんと深い洞察

198zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:07:02 ID:.JmIX76w
ここしばらく本スレに投下してたけど、やっぱり雰囲気悪いのでこっちに書きます。
というわけで、ロスマン先生誕生日おめでとう!

短めのが一本書けたので投下します。

●ペテルブルグ1945 プレゼント

 オストゼー……国際共通ではバルト海上空、高度1000。
 低く垂れ込めた雲と舞い散る粉雪を貫いて、翼たちが舞う。
 現在、502統合戦闘航空団所属のウィッチ4人は補給船団救援の任務に当たっていた。
 とはいえ魔力の衰えが進んでいる私は十分な実力を持ちながらも暴走しがちな前衛3人のお目付け役と言えなくも無い。
 でも、今日に限っては私は用無しだったかもしれない。
 指揮官であるクルピンスキー中尉を中心として、菅野少尉も、カタヤイネン曹長も素晴らしい連携を見せ、危なげない戦闘をしている。
 私のすることといったら3人をいつも視界の中に入れて安全圏で旋回を繰り返す事くらいで、そうこうしているうちにネウロイは船団への攻撃を諦めたのか、徐々に撤退に移って行った。
 3人の様子を見ると、彼女達は殿として残った小型ネウロイ数機に手間取っているようだった。
 ネウロイの動き自体は大した様に見えないのだけれど……。
 3人で追い詰めて、どこかに誘導しようとしている?
 その動きを見てピンと来た。
 あの時の、あの娘たちと同じ事をしようとしているわね。
 周囲の警戒を怠らずに彼女達の動向を見守る内に過去の記憶がよみがえり、自然と頬が緩む。
 そう、あれもこんな風に雪の降る寒い空だった。

199zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:09:54 ID:.JmIX76w
 ――――。
 1940年1月、今日の私はボニン司令からの特別の計らいでお休みを頂いていた。
 とはいえここは前線、いつ敵が来てもおかしくないし、要請があれば出撃するつもりでいた。
 そこに、声をかけてくる少女二人組。

「ね、パウラー」
「ロスマン、ちょっといいか?」
「フラウとハンナ、二人揃ってなんて珍しいわね」

 鮮やかな金髪のショートに、私と同じく小柄な背格好の彼女はエーリカ・ハルトマンで、背が高く、将来性に溢れた体型の方がハンナ・マルセイユ。

「わたしたち、今日出撃予定なんだけどさ」
「もしも時間があったら一緒についてきて欲しい」
「一体どうしたの?」
「ここまでパウラにお世話になった分の成果を見せたくてさ」
「わたしたちがどれだけ強くなったかを見て、わたしたち二人のどちらが上かをロスマンに判断して欲しい」
「えー、今日は勝負は抜きって言ったじゃーん」
「こんな機会は他に無いぞ、ロスマンの目なら信用できる」
「うー、めんどくさー」

 いきなりこんなお誘いがくるとは、どうやら天は私に休むなと言っているらしい。
 まぁ、冗談はさておき、目をかけていた二人の願いなら無下には出来ない。

「はいはい、そんな所で喧嘩はしない」
「でもハンナがー」
「だって、いい機会じゃ無いか
「フラウはそんなに嫌がらない。競い合えるライバルがいると言うのは素晴らしい事よ」「えー?」
「ふふん」
「ハンナも、そこまでムキにならない。折角の素敵なロッテなんだから、相手が嫌がるような事はしない。闘志は胸に秘めて自分を磨きなさい」
「う……」
「へへー」
「ま、とにかくあなた達には付き合うわ。成長を見せて頂戴」
「うん」
「ああ」

 そして私たちは3人で出撃する事になった。
 ボニン司令には折角休みをやったのにと苦笑されたけれど無事飛行許可をもらう事が出来、哨戒飛行の時間がやってきた。
 哨戒と言ってもここは最前線、ほぼ確実に接敵が見込まれる任務。
 そして案の定ネウロイは現れた。
 セオリー通りの高速一撃離脱戦法を私が舌を巻くほどの精度でこなすフラウと、回避の位置取りだけは基本に忠実に、いざ攻撃に移ると変幻自在の機動と射撃で次々にネウロイに命中を与えるハンナ。
 動きは対照的だし地上でのトラブルは耐えないけれど、二人は素晴らしいウィッチだと私の目に映った。
 私が大して何をするまでも無く敵編隊は駆逐され、残りは一機。
 これもあっという間に撃墜して終わるかと思いきや、二人の動きが途端に精彩を欠くようになった。
 特に敵が強いわけでもないし、被弾した気配は無かったし、ストライカーの不調にも見えない。

「二人とも、大丈夫!? すぐに行くわ!」

 無線で呼びかけながら加勢しようとするも、返って来るのは拒絶の声。

『パウラ、ダメ』
『そこを動くなロスマン」』

 一体どういうことだろうと思った直後に、二人の連携が上手く行き、翼端や動翼、尾翼などの末端部分を蜂の巣にされた瀕死のネウロイが私の目の前へともがく様に上昇してきた。
 絶好の獲物だった。

『パウラ、いまだ!』
『そいつにトドメを!』

200zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:11:50 ID:.JmIX76w
 言われるまでも無く、MG42を一連射。
 胴体中心部を蜂の巣にされたこのネウロイはそのまま力なく錐揉みに入ると墜落する前に空中でばらばらになった。

「ナイスキル、パウラ」
「普段から遠慮をする事は無いと言うのに……」
「今のは一体……もしかして、私のためにわざと?」
「うん、そーだよ」
「今日はロスマンの誕生日と聞いた」
「だからお世話になった私たちからの……」
「「バースデープレゼント」」
「え……その為に最後の一機を?」

 その問いに二人が頷く。

「まったく、もう……二人とも!」

 強い口調でそう言い、懐から取り出した指示棒で二人の頭をぺち、ぺちと叩く。

「いたっ」
「な、なにをする!?」
「いくら強くなったからと言って、慢心は身を滅ぼすわ。だから最後まで手を抜かない!」
「で、でもさ、パウラっていつもサポートに徹してよっぽどの事が無いと撃墜に関わったりしないし……」
「こうでもしなければスコアを稼いでくれないだろう? それを……」
「わかっているわ」

 今度は指示棒をしまうと、二人の首に両手を回してまとめてハグして頬ずり。

「わっ、パウラ!?」
「ロスマン!?」
「わたしはあなた達が活躍してくれるだけで嬉しいわ、だから危険な事はしないでいつも全力で戦って、どんな時も生きて戻ってきて」
「うん」
「ああ」
「それと、今日の誕生日プレゼント、本当に嬉しかったわ。ありがとう、二人とも!」
「「はいっ」」

 帰還後はボニン司令とバルクホルン中尉たちがささやかなパーティを用意していてくれた。

 そんなJG52時代のささやかな思い出。


 ――――。
 あの時と一緒だ。
 そんな気がする。
 その証拠にほら、また私の目の前に追い込まれたネウロイがもがき苦しむようにして上昇してくる。

『せんせー、そいつやっちゃって』
『やっちまえ! ロスマン!』
『曹長、頼む!』

 うん、やっぱりだ。
 私ももう二十歳。
 これは現役のウィッチとして最後の撃墜になるかもしれない。
 様々な思いを胸に、引き金を引く。
 飛び散るネウロイ。
 通信機越しに聞こえてくる、三者三様の歓声。
 でも、心遣いよりも撃墜よりも、みんなが怪我せずに任務を終える事ができたのが一番のプレゼントだと思ったのは秘密にしておくとしましょう。
 近寄ってきた三人に、あの時と同じ様にお小言を言ってから「ありがとう」を言おうと心に決め、みんなの下へと飛んだ。

 1945年1月11日。
 私は20歳になった。

201zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:16:42 ID:.JmIX76w
以上となります。
改めてロスマン先生おめでとう。
そして赤ズボンで一番好きなルチアナの誕生日になにもかけなくてごめんなさい。

あと今年もこちらのスレにお世話になります。
ヨロシク。

202名無しさん:2011/01/11(火) 19:31:32 ID:GKdqUczs
>>196
ナイス考察
シャーゲルとエーゲルの関係がちょっと整理できたよ
エーリカやシャーリーは素をあまり出さないようだから何を考えてるのか想像し辛い

203名無しさん:2011/01/11(火) 19:42:02 ID:GKdqUczs
>>201
後輩に愛されてるロスマン先生かわいいですGJ

204名無しさん:2011/01/11(火) 19:45:01 ID:ZCeZJwvM
>>201
設定だけの502含めて本当キャラ動かすの上手いなー、乙でした!

205名無しさん:2011/01/11(火) 21:24:49 ID:L1kTkpDU
>>201
GJ!ロスマン先生誕生日おめでと〜!

206名無しさん:2011/01/11(火) 21:50:49 ID:bi9WIhVU
>>189
毎晩ルチアナが高揚してるんですねわかりますGJ!

>>193
伯爵無双ワロタ 賑やか502GJ

>>196
これは深い考察だ……。同様のカプが複数存在するとみた。

>>201
これはまたイイハナシダナー ロスマン先生愛されすぎGJ!

2075uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/12(水) 05:44:53 ID:9RpbE4Ek
>>191 Hwd8/SPp様
GJです。伯爵とクマさんのやりとりが面白いですね。

>>196

お姉ちゃんは普段はヘタレだけど、いざという時にはカッコよく決めてくれていたら萌えます。
エーリカやシャーリーが乙女っぽくなったら尚良いです。

>>198 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
お久しぶりです。リアルタイム投下GJです。
暖かくてすごく良い話ですね。

おはようございます。6時間近く遅れてしまいましたが、ロスマン先生の誕生日SSを2レス投下していきます。
ではどうぞ

208ロスマン先生のお誕生会 1/2:2011/01/12(水) 05:45:35 ID:9RpbE4Ek
――1940年1月、カールスラント空軍JG52

JG52の朝の食堂はいつも賑やかだ。
所属するウィッチのほとんどが同じ時間帯に食事をとり、その日一日の訓練や戦闘の話題に花を咲かせている。
私も整備兵さんから朝食のプレートを受け取り、ラル中尉と伯爵が談笑しているテーブルの席に着く。
「おはよう、2人とも」
私が2人に声をかけると、彼女達は何故か一瞬驚いたような表情を浮かべ、その後すぐに挨拶を返してくれた。
「おはよう、先生」
「やぁ、おはようエディータ」
「何の話をしてたの? 随分と楽しそうだったけど」
私がなんとなく聞いてみると、2人は急に困ったような表情になる。
……聞いちゃいけない事だったかしら。
「その……今日の作戦の打ち合わせだよ。な? クルピンスキー」
「う、うんそう。作戦の打ち合わせ……先生、悪いんだけどボク達のプレート、後で下げといてくれるかい?
ちょっとこれからやらなきゃいけない事があって……それじゃ!」
「あ、ちょっと!」
伯爵とラル中尉は私からほとんど逃げるように食堂を出て行った。
すごく怪しいわ、あの2人に限らず最近みんなの様子がおかしい。
最も、JG52は元々良くも悪くも個性的な面々が集まっている部隊なのだけれど、
それを抜きにしてもここ数日のみんなは、なんだか様子が変だ。
今の伯爵達のように何人かで談笑しているところに私が入ると、みんな急に静かになるという場面が多々あった。
みんなして私に聞かれたくないような話をしているのかしら。

「あ、いけない。早く食べないと午前の教練に間に合わないわ」
みんなの様子が少し変なのは確かに気になるけど、そればっかりを気にしてるわけにもいかない。
今日は午前の教導が終わったら、午後からJG53のミーナ中尉と今度の共同作戦の打ち合わせがある。
私は朝食を急いで食べて、午前の教導へと急ぐ。

――数時間後

「まだ、もうちょっと時間があるわね」
無事に教導を終え、軽めの昼食をとった後時計を見てみると、時刻は午後1時ごろ。
ミーナ中尉との打ち合わせまでまだ1時間ほど時間があったので、私は時間を潰す為に談話室へと足を運んだ。

「だから、ここは絶対こうしたほうがいいって」
「……なるほど」
談話室では、ハルトマンとバルクホルン中尉が大きめの紙を広げて何やら話し合いをしていた。
何かの設計図かしら。
「2人とも、何の話をしてるの?」
「わわっ! ロスマン先生!?」
「曹長、今日はヴィルケ中尉との打ち合わせでは?」
私が声をかけると、2人は母親に隠し事がばれた子供のような表情で私を見てくる。
何もそんなに驚かなくても……
「ミーナ中尉との打ち合わせはこれからよ。ところで、その紙は何?」
私がそう尋ねると、バルクホルン中尉は設計図のような紙を自分のポケットの中にしまってしまう。
そんなに私に見られたくないものだったのだろうか。
「すまないな、曹長。今はまだ秘密だ。それじゃあハルトマン、そちらの準備もぬかるなよ」
「りょ〜か〜い」
中尉はそう言い残して談話室を後にする。
部屋に残ったのは、私とハルトマンの2人だけ。
私がハルトマンの隣に腰掛けると、彼女はそわそわと落ち着かない素振りを見せる。
「え〜と……そうだ! 先生、見てこれ! 私の妹がやったんだよ! すごいでしょ」
ハルトマンが目を輝かせながら、テーブルに置いてあった新聞を私に見せてくれた。
その新聞の一面には、スオムスの義勇独立飛行中隊のウィッチが巨大爆撃兵器ディオミディアを撃墜したとの記事が載っていた。
なんでも、ハルトマンの双子の妹がその義勇独立飛行中隊の一員なのだという。

「大型の撃墜なんてそう簡単にできることじゃないわ……すごいじゃない 」
「えへへー、でしょでしょ?」
妹の活躍を自分の事のようにハルトマンは喜んでいた。
本当にあなたは妹想いの良い娘ね。
「ところで……今、バルクホルン中尉と何の話をしてたの? 準備がどうとか言ってたけど……」
私がそう尋ねると、ハルトマンは再びそわそわし出す。
「えっと、何て言うかその……ごめん、先生! そう言えば、ボニン司令に呼びだされてたの忘れてたよ! それじゃ、また後でね!」
「あ! 待って、ハルトマン!」
ハルトマンも先ほどの伯爵達と同様、逃げるように談話室を出て行った。
あれ? もしかして私、避けられてる?

209ロスマン先生のお誕生会 2/2:2011/01/12(水) 05:45:59 ID:9RpbE4Ek

「私、嫌われてるのかしら」
その日の夕方、ミーナ中尉との打ち合わせが終わった後、私は中尉を自分の部屋に招き入れ、
ここ最近自分がみんなに避けられているかもしれないという話を彼女に話していた。
「気にしすぎじゃないかしら。ここのみんながロスマンさんの事を嫌ってるようには見えないけど」
「でも、心当たりは何個かあるの……この間だって、訓練の時つい厳しく叱っちゃったし……」
「ロスマンさん……」
「そりゃ、私だってみんなに厳しく言うことはあるけれど、それはみんなの事を大切に思ってるからで……うぅっ」
みんなに嫌われていると思うと、なんだか悲しくなってきて私の目からはいつの間にか涙が溢れていた。
「ちょ、ちょっとロスマンさん!? 落ち着いて」
ミーナ中尉はポケットの中から可愛らしいハンカチを取り出して、それを私に渡してくれた。
「ありがとう、ミーナ中尉」
私はミーナ中尉からそのハンカチを受け取って、涙を拭きとる。
その直後、部屋のドアをコンコンと叩く音が私の耳に鳴り響く。
「ボニンだ、入ってもいいか?」
「ええ、どうぞ……」
扉が開かれ、ボニン司令が姿を現す。
「おお、ヴィルケ中尉もいたのか……曹長、少し目が腫れてるように見えるが大丈夫か?」
「え、ええ大丈夫です……司令、私に何の用でしょう?」
「何の用も何も、今日の主役がいないとパーティーが始まらないじゃないか。早く来てくれ。よければヴィルケ中尉も一緒に来てくれないか?」
「え? パーティー?」

「ほら、急いで」
私がボニン司令に急かされながら、食堂に入るとクラッカーの音が一斉に鳴り響いた。
『ロスマン先生、誕生日おめでとう!』
「え?」
私は今のこの状況を理解するのに少々時間がかかった。
テーブルには美味しそうな料理の数々、そして、目の前にはJG52の大切な仲間達。
みんな私のほうを見て、頬笑みかけてくれる。
すっかり忘れてた……今日は1月10日、他ならぬ私の誕生日だ。

「みんな、これ全部私のために……?」
私は食堂の辺りを見回す。
色とりどりの飾り付けが施されていて、とても綺麗だった。
「そうだよ。みんなロスマン曹長のために何日も前からこっそり準備をしていたんだ。クルピンスキー少尉を中心にね」
「え? 伯爵が?」
私は伯爵の方を見る。彼女はいつもの伯爵スマイルで私に微笑みかけてくれた。
「ボク達、先生にはいつもお世話になっているからね。日頃の感謝を込めて、盛大に誕生日を祝ってあげたかったんだ。
ほら、見てこのケーキ。バルクホルンが作ったんだよ。すごくない?」

ここ最近、みんなの様子が少しおかしかった理由が今分かった。
私を驚かせるためにこっそりパーティーの準備をしていたんだ。
それなのに私は嫌われてるなんて勘違いしちゃって……
「伯爵……」
気が付けば私は伯爵の事を抱きしめていた。
「へ? ちょ、ちょっと!? 先生!?」
「ありがとう、それとごめんなさい……私、最近なんだかみんなに避けられていたから嫌われてるって、
勝手に勘違いしちゃって……うぅっ」
私の目からは再び涙が溢れる。もちろん、悲しい涙じゃなくて嬉し涙だ。
「ボク達のほうこそごめん。驚かせるためとはいえ、先生に寂しい思いさせちゃって……でも、ボク達が
先生の事、嫌いなわけないじゃない。みんな優しくて面白い先生の事が大好きだよ」
「ふふっ、やっぱりロスマンさんの思い過ごしだったみたいね」
伯爵から離れた私にミーナ中尉が再びハンカチを差し出してくれた。
私はそのハンカチを受け取って、涙を拭う。
「うん。本当にありがとう、みんな」
「さ、曹長。このロウソクの灯を吹き消してくれ」
部屋の明かりを消して、ロウソクに灯を灯しながら、ボニン司令が言った。
「はい」

――この大好きな仲間達ともうしばらく、一緒にいられますように。

私は、そんな想いを込めながらロウソクの灯を思いっきり吹き消した。

〜Fin〜

2105uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/12(水) 05:46:36 ID:9RpbE4Ek

以上です。
遅れた上に、微妙にzet4j65z ◆le5/5MRGKA様とネタが被ってしまって非常に申し訳ないです……
書いてる途中でミーナ×ロスマン先生もありかなとか思ったりしたので、いずれこの組み合わせで何か書くかもです。

ではまた

211名無しさん:2011/01/12(水) 13:19:44 ID:Il5jcWWA
>>210
GJ! JG52は仲良しで読んでほっこりしました
ミーナさんのさりげないフォローが良い!

212名無しさん:2011/01/12(水) 17:24:55 ID:zj6mvRRw
>>210
遅ればせながらロスマン先生お誕生日おめでとうございます!!
みんな大好きロスマン先生!

213名無しさん:2011/01/12(水) 23:07:08 ID:743mSc8I
保管庫また見れなくなってない?

214名無しさん:2011/01/12(水) 23:12:55 ID:yHe0mSt.
また落ちてるくさいな

215名無しさん:2011/01/12(水) 23:33:47 ID:WyBz2FTo
また落ちたのか・・・

216zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/13(木) 02:15:32 ID:aGH8qJW2
>>210
危なかった……初期プロットなら話の流れが完全にかぶるところだったw
空飛ばせたいと思ってああいう話にしてよかったです〜。
でも、誕生日にネタが被るのは幸せなことだと思います!

っていうか、みすった所を修正してもらおうと思ったら保管庫落ちてるとかorz

217名無しさん:2011/01/14(金) 06:06:36 ID:nr/yfWIw
ま た 落 ち た か

218名無しさん:2011/01/14(金) 11:26:14 ID:nr/yfWIw
と思ったら復旧しとるがなァーーーーッ?!!!

219名無しさん:2011/01/14(金) 18:08:54 ID:meWNjL3w
安定しない鯖だな・・・

220zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:36:24 ID:xRqkhKMU
某所で垂れ流された妄想をもとにえろいのを一本書きました。
ビューxエルでおもらし注意です。

●スオムス19XX 遅刻の理由


 廊下で視線があった。
 何となく見つめ返したその深い瞳が音も無く間合いを詰めてきて、おもむろに腕を掴まれた。

「え?」

 わたしの疑問符を無視してビューリングさんが囁く。

「キスがしたい」
「え……ええっ!?」

 あまりにも唐突なその一言に焦る。
 だってここは廊下のど真ん中ですよ。
 誰かに見られちゃうかもしれませんよ。
 等といった抗議を声を上げようと口を開いた矢先にそこを塞がれる。

「!?」

 もちろん塞いだのは、彼女の唇。
 けだものさんとしか言いようの無い、問答無用な勢いだった。

「んっ……」
「んむっ……ぁっ」

 流されて、重ねられてしまった唇に、舌先が入り込んでくる。
 タバコとコーヒーのものが入り交じった彼女のキスの香り。
 初めはそんなに好きじゃなかったのに、いつの間にか馴らされてる自分がいる。
 好きな人のものだとアバタもエクボで、"臭い"も"香り"に変わるんだなぁ、ってしみじみと思ってみる。
 舌を絡めると、彼女のその香りももっと強くなってくる。
 その腕の拘束は弱い。
 抵抗して、振り払って逃げようと思えば簡単にできそうな力加減。
 でも、逃げる気は起きなかった。
 このキスを、続けたい。

「んんっ……」
「んくっ……っ……」

 舌を絡めあう、大人のキスが続く。
 唇を重ねた分だけ、心が近くなる気がする。
 いつのまにか拘束は抱擁に変わって、私の方からも彼女を抱き返していた。
 だって、どうせ流されるなら、気分よく流されたい。
 密着した分だけ、RAFの革ジャンの下に隠されたふくよかな感触が私の胸へと返ってくる。
 密着した分だけ、きっと私のドキドキも伝わってる。
 密着した分だけ、普段は人に考えを読ませないクールな彼女の感情が、たくさん流れこんでくる。
 好きだ、って。
 わたしの事をいつまでだって守りたい、一緒にいたい、って。
 わたしもですよ。
 わたしもあなたの事を守りたい。

「……ふぅ」
「……はうぅ」

221zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:38:02 ID:xRqkhKMU
 唇が離れる。
 熱っぽい目で見詰め合って一呼吸。
 なんだか一拍置いたらまた恥ずかしさが募ってくる。
 っていうかここは廊下ですよ。
 いつ誰が来て見られてしまうかもわからないわけで……そ、それにこのあと会議があってみんなで集まらなきゃいけないし、そもそもわたしはその前にお花摘み的な用を足して置くついでにビューリングさんを呼びにきたわけであって……。

「ビュー……」
「続きをしよう」
「へっ?」

 わたしの声を静かな一言で両断し、再び間合いがゼロになる。
 クールな瞳がもう一度迫り、キスの時の軌道ずれて、首筋へと唇が落ちる。

「んぁっ……」

 壁に追い詰められて、胸元を開かれ、首周りにつつーっと舌を這わせられる。

「だ、だめですよっ……こ、こんなっ……と、ころ……でっ……」

 さっきからわたしが主張してると折りココは廊下……って、まともに主張できていませぇん!

「大丈夫だ。みんな既に会議室に移動している」

 って、状況と動向把握されてるしっ。

「で、でもっ……」

 わたしはそもそも、その……おトイレに行きたくて……。
 と、続けたいのに、わたしの呼吸を熟知したビューリングさんは自然に割り込んで一方的に思いを伝えてくる。

「エルマのかわいい姿が見たくなった。自分まで満足しようとは思っていない。お前なら感じやすいからすぐに済む。よって会議には遅れない。問題無いな」

 よく整った、デキル美人な顔を幾分上気させて、とんでもない事を告げられた。
 わたしのかわいい姿が見たい……それだけで胸の奥がきゅんきゅんする。
 自分まで満足しようとは思っていない……それってつまりわたしだけが一方的に……その、されるって事です?
 わたしが感じやすいからすぐ済む……って、べ別にそういうわけではなくて、ビューリングさんが凄く的確なだけです!
 よって会議には遅れない……と言われても問題がなくなるわけじゃありませんよぉ。

「えっ、ちょ……ひゃんっ」

 色々と伝えたい事を声に出して主張すると言う行為に度々失敗し、流されて身体をまさぐられる。
 で、出来れば部屋の中でっ! 
 っていうか先におトイレっ!

「声を出せば気付かれるかもしれないぞ」
「んくっ……」

 更に声を出しちゃいけないと思うと、今度はどうしようもない喘ぎが漏れないように両手を使って自分の口を塞ぐ。
 そうなると、身体の守りが疎かになってしまう。
 膝をわたしの脚の間に分け入らせつつ胸をまさぐっていたビューリングさんの腕が、わたしのガードが上がった事を確認すると股間へと這わせられる。

222zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:39:56 ID:xRqkhKMU

「んむっ!」

 い、いまそこを触られたら漏れちゃう!

「湿っているぞ、私を歓迎してるならもっと喜んでくれていいんだが」
「あぁんっ……そ、それ、はぁ……はぁんっ!」

 喋ろうとすると高い喘ぎが廊下に響いてしまうので、恥ずかしくて上手く出来ない。
 でも、ちゃんと伝えないと本当に漏れちゃう。
 どうしよう!? どうしよう!? とオロオロ狼狽する間に、股間をまさぐる手が大胆になって、重ね穿きズボンどころか下のズボンの中まで一気に侵入してくる。

「っっっ!!!」
「どんな表情でも、エルマはかわいいな」

 どんな表情でも良いんならわざわざこんな事しないでくださぁい。
 と、そんな思いを込めて涙目で睨み付けるけれど、どうやらそれは逆効果だったようで、指先が本格的に私の敏感な粘膜をこすり始める。

「ひっ、んっ……くぅっ! んんっ、んっ、んんんっ!!! 

 そもそもが怖くて自分で触れないような所ばかりを執拗に責めて来るなんて、ひどいですビューリングさん。
 敏感すぎて辛いからその手の動きを邪魔したい。
 脚を閉じれば簡単にそれは出来るはずなんだけど、出来ない。
 壁に追い詰められた上に膝を挟み込まれているせいだ。
 空戦と同じで、どこまでも抜け目無く先に布石を打ってくる。
 でも……だめ……そんなにそこをつんつんぐりぐりされたら……はうぅ。

「手で口を塞ぎ続けるのが辛いなら、もう一度キスで塞いでやる」

 耳たぶを甘がみされながら、少し熱っぽい声でそんな事を囁かれた。
 うう、どんどん抵抗力が失われていくのがわかる。
 わかるけど、本当に漏れちゃう。

「ひんっ!」

 いつの間にか、制服のボタンが全開にされていて、その隙間から忍び込んだ左手が直接おっぱいへと触れた。

「ビュ……あ、あのぅ……んんっ! お、おしっ……んむっ……」
「んっ……」

 なんとか気力を振り絞って現状を伝えようとしたら、キスで口を塞がれてしまった。
 こ、これは、本当にまずいかもしれません!

「んふっ……んんっ……」

 キスと同時に、ビューリングさんの動きも加速する。
 胸は乳首を挟んで全体を揉み、下のほうは中指を浅く女陰へと差し入れつつ親指で陰核を強くこするようにしてきた。
 特に親指の動きが辛かった。
 その動きによって時折包皮がめくり挙げられて本体へと触れ、その度に痺れるような快感のパルスが背を駆け上る。
 きっとキスで口を塞いでもらっていなければはしたない喘ぎ声を廊下いっぱいに響かせてしまっていただろうと思う。
 でも、わたしはといえば抵抗するどころかただその皮ジャンへと縋りついて身を任す事しかできない。
 イッたら、漏らしてしまう。
 そんな確信がある。
 あるけれど、キスが心地よくて、指使いが気持ちよくて、このまま愛しいこの人にイかされたいという思いが強くて、流される。

223zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:49:02 ID:9bRMqJag

「んっ、んっ、んっ、んぅ、んぅぅ、んっ、んっ、んんっ、んんんんっ!」

 指の動きが更に強く、早くなって、トドメとばかりに包皮をめくり挙げる動きへと変わる。
 あらわにされた一番敏感な場所に、強く指が押し付けられ、ギュッと擦られた。
 ああ、わたし、もう駄目です。

「んんんんんんんんんんん~~~~~~~~~!!!!!!!!」

 ぷしっ。
 ああっ、やっぱり……。
 大きな快感がはじけると共に、下半身が弛緩して、思い通りにならない動きが生まれてしまう。
 ちょろちょろ……じわーっ。
 一度決壊したそこは、止まらない。
 ビューリングさんの手を汚し、そこと太腿を伝ってズボンへと染み込み、情けない跡を刻んでいく。
 はぅ……おもらし、しちゃいましたぁ。

「はぁぁっ……、こんな……ところ、でぇ……」

 緩んだままの下半身から迸る物は、止まる気配を見せない。
 きっと落ち着くまで流れ続けてしまうだろうと思う。

「エルマ?」
「んんんっ……と、とまりませぇん」
「ふっ、仕方の無いヤツだな……」
「びゅ、りんぐ……さぁん……ひっく、うぇ……」

 恥ずかしくて、泣いてしまう。

「すまなかった。さっきから何かを伝えようとしてたのは、こういうことだったんだな。こうなったのも私のせいだ。ちゃんと片付けも手伝ってやるから、今は全部出して楽になってしまえ」

 その左手で頭を胸に抱きこんでくれて、軽くぽんぽんしてくれた。
 その優しさに嬉しくなった私は、下手に力を入れるのを諦めて、全部出してしまう事にした。

 結局、後片付けと着替えをしていたせいで、私たちは会議に遅れる事になってしまった。

 ――――。

「もー!作戦会議の時間なのに何やってるのよあの二人は!」

 ガチャッ

「遅いっ!!」
「ひっ す、すいません……!」
「エルマ中尉が遅れるなんて珍しいネー。何かあったねー?」
「(コクコク)」
「そ、それは……」
「遅れてすまないな」
「全く……ビューリング、貴女も何やってたのよ!!」
「ん?あぁ、ちょっと『休憩』してただけだ」
「ちょっと、ビューリングさん!?」
「な、ななな……なにやってんのよあんた達は!!」
「はぁ……トモコが増えたねー」
「私はそんなんじゃないわよ!!」
「ななな何でバラしちゃうんですかあああぁぁぁぁ~~~!!」

 ポカポカポカ。
 うう、恥ずかしいです~。

224zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:50:39 ID:9bRMqJag
以上となります。
とある人との合作のような感じなんですが、許可をいただいたのでこちらに投下しました。
おもらしでごめんなさい。

225名無しさん:2011/01/15(土) 11:12:03 ID:XkX8IAds
>>224
おもらしとはまた斬新な!
しかしいらん子だと違和感がない不思議。GJ!

226名無しさん:2011/01/15(土) 17:50:10 ID:H3A4TZwI
>>224
ビューリングさん容赦なさ過ぎて吹いた
エルマさんがイッた時のセリフが文字化けしてるの俺だけ?

227mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/15(土) 22:08:07 ID:dY08I1LU
>>189 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! カレンダー見てルチアナが高揚し過ぎやしないか心配ですw

>>193 Hwd8/SPp様
GJ! 伯爵がフリーダムでワロタw いつもハイテンションで面白いです。

>>201 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 全員のキャラが立っててお見事です。流石です。

>>210 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE様
GJ! ロスマン先生愛され過ぎですね。ミーナさんとの絡みも期待してます。

>>224 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! ビューリングさんの情け無用っぷりとエルマさんの薄幸に泣いたw


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
内容は(アニメ2期本編と)と時期的に前後するかも知れませんが
その辺はご容赦を……。
ではどうぞ。

228account for... 01/03:2011/01/15(土) 22:08:47 ID:dY08I1LU
 カールスラント軍司令部より一通の手紙が届く。それは執務室でミーナから手渡された。
 二百五十機超の撃墜記録達成についてのささやかな祝辞と、原隊復帰後の昇進等について書かれている。
 そのかしこまった手紙をざっと読み終えると、トゥルーデはふう、と溜め息をついた。
「あら、どうしたのトゥルーデ? 何か問題でも?」
 ミーナはトゥルーデの顔色を見て質問した。
「いや。問題とか、別にそう言う事ではないのだが……」
「既に二百五十以上もの撃墜記録を作っているのよ。撃墜の内容はどうであれ、その数字を無視する事は軍の上層部だって出来ない筈よ?」
「いや、そう言う事じゃない。違うんだ、ミーナ……」
 言いかけて、思わず手紙を握る手に力が入る。
 くしゃっと言う音がする。手元を見ると、せっかくの手紙がしわくちゃに握り潰されていた。
 ああ、と言う顔を作るカールスラントの“堅物”。
「はいはい、分かってるわよ、トゥルーデ」
「何だ、その問題無いと言わんばかりの表情は」
 いぶかしむトゥルーデを見て、ミーナはふふっと笑った。
「さあ、お昼よ。まずは食事に行きましょう」
 トゥルーデはミーナに肩を持たれ、押されるかたちで執務室から出る。手紙はポケットに押し込んだ。

「おめでとうございます!」
 食堂では芳佳達が待ち構えていて、入室するなり方々から祝福の声が飛んで来た。
 よく見ると501の全員が揃っている。
「な、何だこの騒ぎは」
「何って、バルクホルンさんのお祝いですよ。二百五十撃墜を、カールスラント軍から認められて……」
「ああ、その話か」
 まるで他人事の様に答えるトゥルーデ。
 テーブルに用意されたお祝いのケーキを見る。
 ケーキ自体はあり合わせのものだと推測する。多分大急ぎで芳佳やリーネ達が一生懸命作ったのだろう。
 それ自体はとても有り難いのだが、その心遣いが、トゥルーデの心の「すれ違い」を増幅させる。
 勿論分かっては居る。だが……。
 トゥルーデは一応皆の善意に答えるかたちで、有難うと礼を言った後、芳佳に聞いた。
「しかしどうして、私の事を知っているんだ? 誰から聞いた」
「それは、秘密です。でもバルクホルンさん、凄いじゃないですか」
「私にはとても真似出来ません……」
 リーネももじもじしながら言う。
「流石は大尉、素晴らしいスコアですわ。認定おめでとうございます。同じ部隊である事に誇りを感じます」
 ペリーヌらしい祝辞。
「なかなかどうして、大したもんじゃないか。おめでとう」
「おめでとー! ニヒヒ」
 シャーリーもルッキーニを連れ、祝福する。
「ああ……まあ……」
 曖昧な返事を返すトゥルーデを見てにやつくシャーリーとルッキーニ。
「おめでとう、ございます……」
「おめでとナー、大尉」
 眠そうなサーニャを連れたエイラも一応声を掛けてきた。
「サーニャ寝そうじゃないか。無理しなくて良いんだぞ?」
「ま、こう言う時位はナー」
「さあ、みんなでお祝いしましょう」
 ミーナの一声で、祝宴は始まった。

 祝宴と言っても最初のうちだけで、後はめいめいがケーキやお菓子、それにちょっとした豪勢な食事、飲み物を口にし、
いつもと大して変わらない、賑やかな団らんの場と化した。
 トゥルーデはそんな場の変化を見てとると、気付かれぬ様、独りそっと食堂から抜け出した。
 廊下に出て、天井を仰ぐ。ポケットからしわくちゃになった手紙を取り出し、じっと見つめる。
 違う。私が思っている事は、言いたい事は……、私は……。
「何処行くの、トゥルーデ」
 声に振り向く。いつ来たのか、エーリカだった。こう言う辺り、相変わらず目ざとく、鋭い。
「ちょっと、気分転換を、な」
「気分転換も何も、最初から出来てないでしょ」
「それは……」
 心の中を覗かれた様な気分で、答えに詰まるトゥルーデ。
「トゥルーデ、どっか行くの?」
 エーリカがぼそっと呟いた。
「行くもんか! 軍の命令など……いや、命令だから、仕方無い、か」
 瞬間的にかっとなったものの、すぐに冷静さを取り戻す。
「でも今はっきり言ったよね? 行きたくないって。そう言えば良いのに」
「仮にも私は軍人だ。ネウロイと戦っている以上……」

229account for... 02/03:2011/01/15(土) 22:09:13 ID:dY08I1LU
「じゃあ聞くけど、トゥルーデは一体何者? 誰の為に戦ってる? そして、一番大事なこと。誰の恋人かな?」
 エーリカは意地悪くそう言うとにやっと笑い、トゥルーデから手紙を奪うと彼女のポケットに押し込み、手をそっと握った。
 温かいエーリカの手。そして二人の指に輝く、同じかたち、同じ輝きの指輪。
 トゥルーデは、うつむき、はあ、と一つ溜め息をついて頷いた。
「ああそうだよ、エーリカ。私は……。だから、行きたくないんだ」
 気付くと、エーリカを抱きしめていた。トゥルーデの胸に顔を埋めるエーリカ。
 エーリカの髪を撫でる。さらさらとしたブロンドの髪が指の間からこぼれる。鼻をくすぐるのは、紛れもない愛しの人の匂い。
 いつも一緒に居て。これからも一緒だと信じたかった。だけど、とトゥルーデは思う。
「私と離れるのがイヤなら、イヤってはっきり言えば良いのに」
 ぽつりと呟くエーリカ。
「私は……」
「そこんとこ、バカ真面目なんだよね。ガランド少将みたいにはっきり言えば良いんだよ、トゥルーデ」
 トゥルーデは答えられず、ただ、エーリカを抱きしめる。彼女の温もりが、しばしの安らぎと猶予を与える。
「軍からの手紙になんて書いてあったかは知らないけどさ」
 エーリカが呟く。静かに聞いているトゥルーデに、エーリカが尚も語りかける。
「トゥルーデはどうしたいの? 結果はどうあれ、もっと自分の気持ちに素直になりなよ」
 エーリカの言葉を聞いて、思わずふっと笑うトゥルーデ。
「お前の言う通り、私はどうにもカタいらしいな」
「今更、トゥルーデ?」
 エーリカは呆れて笑い、言葉を続けた。
「ちなみに私が三百超えした時はどうだった?」
「あの時は、ああ……そう言えば」
「ね。大丈夫だって」
 エーリカはトゥルーデの顔を上目遣いに見た。
「まさか、手紙には二百五十撃墜の事、触れてなかったとか?」
「そんな事あるか」
「じゃあ、まずは、そっちを喜ぼうよ。私の時も、トゥルーデお祝いしてくれたじゃない」
「ああ、あの騒ぎか……」
 三百撃墜時の“ささやかな”お祝い、そして、ブリタニア基地での勲章授与の顛末を思い出し、苦笑いする。
「今回はトゥルーデ、勲章無し?」
「さあな。送られて来たのはさっきの手紙一通だけ。中身はおめでとうの一言と、原隊復帰後の昇進についてだけだった」
「なら、望みはあるよ。私からもガランド少将に言ってみる」
「エーリカ……」
「だって。私達、一緒じゃないと……」
 エーリカはトゥルーデの腰に腕を回した。
 結びつく二人の視線。近付く顔。瞳が閉じ、交わる唇。
 しばしお互いの気持ちを確かめた後、エーリカはぽつりと言った。
「一緒じゃないと、イヤだ」
「分かった、エーリカ。お前を悲しませる事はしない」
「本当?」
「ああ。やっと気付いたよ。私は軍人だが、同時にエーリカ、お前の……」
「元気出たね、トゥルーデ」
「えっ?」
「食堂入って来た時から、なんか浮かない顔してたから」
「そうか」
「誰だって気付くよ。さっきの、約束だよ?」
「ああ。守る。守ってみせるさ。絶対に」
「じゃあ、食堂に戻ろう?」
「何? どうして」
「みんな、聞きたがってるよ。手紙の内容。そしてトゥルーデのキモチ」
「な、何ぃ? それは改めて言うもんじゃ……」
「ダメ。ちゃんとトゥルーデの口から言わないとね」
 そう言って、エーリカはトゥルーデの身体を持って、食堂に戻ろうとする。
 トゥルーデは、笑った。そしてエーリカの頬にキスをする。
「トゥルーデ?」
「分かったよ。行こう。もう一度、皆と話したい」
「でしょでしょ? あ、まだケーキ残ってるかな?」
「さあな」
 二人は揃って、食堂の扉をばーんと開けた。
 隊員達は全員残っていた。そして「祝宴の主」の帰還を待ちわびたのか、二人の姿を見てか、拍手と、ひゅーとからかいの口笛も飛ぶ。
「すまない、途中で抜け出して。ちょっと、気分転換を」
「どんなダヨー、言えヨー」
「うっうるさい! それで……皆に、話したい事が有るんだ。私は……」
 ちらりとエーリカを見る。エーリカは笑顔で、小さく頷いた。
「私は……」

230account for... 03/03:2011/01/15(土) 22:11:06 ID:dY08I1LU
 短くも、明快なトゥルーデの決意を聞いた501の面々は沸き立ち、祝宴は第二席と言う事で続けられた。
 トゥルーデとエーリカを冷やかしたりもしたが、皆、笑顔で祝福する。
「ね? トゥルーデ。家族って良いものでしょう?」
 トゥルーデとエーリカに、ミーナが近付いて来て話しかける。
「家族……。そうだったな。隊の皆は家族。ミーナがそう、何度も教えてくれた」
 同郷のエースの言葉を聞いたミーナは笑った。
「あの時はつい手も出ちゃったけど……今はもうその必要もないわね。心配しないで、何か有ったら私からも……」
「すまない、ミーナ。私も自ら言うが、万が一の時は……頼む」
「大丈夫よ。私達、家族でしょう? 501の?」
 力強いミーナの言葉に頷くトゥルーデ。横で無邪気に笑うエーリカ。
 間もなくカールスラントの三人は、それぞれ他の隊員達に引っ張られ、祝いの輪へと引き戻される。
 戦いを忘れる、つかの間の時間へと。

end

--

以上です。
公式ファンブックや公式サイトによると
アニメ2期開始時点で既に250スコア超えらしいので
ちょっとどうかと思ったのですが、書いてみました。
お姉ちゃん流石! と言う事でよしなに。

ではまた〜。

231名無しさん:2011/01/15(土) 22:44:12 ID:uct3aVr2
>>224
ビューリングさんマジパねぇっす。

232名無しさん:2011/01/17(月) 01:34:50 ID:F.bTmc92
最近は秘め声2とかでもシャーゲルに若干おされぎみで、エーゲル分が不足している気がする。
公式でも同人でもいいから燃料増えねぇかなぁ〜

233名無しさん:2011/01/17(月) 09:41:48 ID:n4azZav2
エーゲルと言えば、未恵さんもさくらさんも本当にエーゲル好きだなって
ファンブック読んでて思った。
「夫婦」とか「愛してる」とか公式のファンブックで言っちゃっていいの

234名無しさん:2011/01/17(月) 22:47:41 ID:n4azZav2
フミカネさんのTwitterに定ちゃんの正座伝授編ktkr

235名無しさん:2011/01/17(月) 22:49:22 ID:EjaGIKPs
こんばんは、Hwd8/SPpです。
「ヘルマの発情」シリーズ最新作を書いたんで投下します!


【ヘルマと姫】

キイッ...

「あ、ヘルマ」
「こんばんは…ご一緒してもよろしいでありますか?」

あ、どうも!第131先行実験t…この自己紹介、まだ要ります?ヘルマ・レンナルツ曹長です。
好きな食べ物はチョコレートです!(ビシッ

今夜も哨戒前のシュナウファー大尉と遅めのティータイムであります。

「………ヘルマって」
「はい?」
「ここ最近…丸くなったわよねえ」
「えっ…!?まさか太ったって…」
「違うわ、性格的に。前は規則規則って言ってたけど」
「いっ、いえ!カールスラント軍人としての誇りは捨ててません!!」
「はいはい…お茶、お代わりいる?」
「はい!ぜひ…でも何故そのような話を?」
「ねえ、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉って知ってるかしら?」
「ハ…ハインリーケ・プリン…え?」
「ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉」
「…あ、ハインリーケ大尉!確かシュナウファー大尉の宿敵で、廊下ですれ違うと睨みつけ合うとか」
「あなたも読んだのね…」
「はい!」

すると何処からか大尉は週刊誌を取りだしたであります!

「この間発売された週刊誌で特集組まれてありましたよね〜…『本誌独占 ナイトウィッチ、真の女王対決』って」
「はああ…そのせいでかぁ…」
「何なに、シュナウファー大尉がハインリーケ大尉の目の前にして大声で悪口を言ったって書いてありますが…本当でありますか?!」
「ウソに決まってるじゃない!!!」
「ハインリーケ大尉がシュナウファー大尉が嫌いで今月末に502部隊に転属か?!と書いてあるであります」
「それもウソ…」
「シュナウファー大尉も除隊し、婚約予定?!そして妊娠4カ月…え!?結婚するんでありますか?!デキ婚でありますか?!社会的地位は低いでありますよ、デキ婚は!」
「あるわけないじゃない!!!!相手は誰よ、相手は?!」
「そして両者の派閥争いが激しい…と書いてあるであります」
「それは…あながち間違いじゃないわね」
「へ…???」
「別に私はあの人に対して特に何も思ってないんだけれど…あの人、なんかコワいしそれに週刊誌でこんな記事書かれちゃったら…ねえ?」
「一体…どんな人なんでありますか?そもそもナイトウィッチって私と関わりあるのってシュナウファー大尉しか…」
「…ほら」

若干、呆れ顔で窓の外を指さすであります。
指差す向こうには………

「ブッ!!!」
「ちょっ、こぼさないでよ、もう…」
「きっ、気付かなかったであります!!何者ですか、あの方は!!??」

ナント、木に登ってずっと私たちの事を外からハインリーケ大尉が見ていたであります!!

236名無しさん:2011/01/17(月) 22:49:53 ID:EjaGIKPs
>>235の続き。

「ジーッとこっちを見てるでありますよ?;;」
「はあ…だから…」
「入ってもらったらいかがですか?」
「…良いわ、開けて頂戴」
「はい…」

私は指示された通り窓を開けるや否や…

「ハイデマリー・W・シュナウファー大尉ぃ!!!!」
「ひいっ??!!」
「…はあ…何か御用でしょうか?」
「妾と決闘を申し込む!!」
「…決闘って、どんなのよ?;;」
「チェスだ!」
「意外と普通…でありますね;;;」

すると突然、ハインリーケ大尉がこっちに…

「この小娘は誰なんだ、シュナウファー大尉!?」
「こっ、小娘?」
「ヘルマ・レンナルツ曹長よ」
「よし、お主は出てけ!」
「えぇぇっ…」
「あのねえ!ハインリーケ大尉!!」

急に立ち上がったシュナウファー大尉…
あれ、怒ってる…?

「私たちは今、楽しみながらお茶を楽しんでたの!!あなたずっと外から見てたからわかるでしょう?!この際だからはっきり言います、邪魔しないで!!」
「ハインリ…じゃない、シュナウファー大尉…?名前が長いから間違えたであります;;」
「わっ、妾はただ…ただっ!!」
「ただ何?私に対していっつも怖いけど、何かあなたに悪い事した?!」

んっ!?
ハインリーケ大尉…手に何かを隠し持ってるであります…

「もうやめて!!同じナイトウィッチだけど…今後一切、仕事上だけの付き合いにしてくれる??!!」
「シュナウファー大尉…ちょっと」
「何、ヘルマ?」
「…ハインリーケ大尉、あなたはただシュナウファー大尉と仲良くなりたかっただけじゃありませんか?」
「っ!?なっ、何故それを!!」
「手に持ってるそれであります…」

そう、ハインリーケ大尉が持っていたのは…!!

「それって…百貨店の紙袋でありますよね??」
「うっ…」
「どうゆう事、ヘルマ?」
「わっ、妾は…お主と一緒にこのハイビスカスのハーブティーを飲もうと思っていたのだ…」
「眼球疲労にとても役立つそうです。この間、町へ出かけた際に売ってたであります!」
「えっ…うそ…つい、私にケンカを吹っかけてきたのかと………ごめんなさい」
「ふっ、ふん!別にお主のために買ってきたのではない!!!!」

うわあ…典型的なツンデレでありますね;;
しかもさっき「お主と一緒に」って言ったのに、それを否定するでありますか?!

「…ヘルマ、お湯を沸かしてくれるかしら?」
「はっ、はいであります!」
「それに…椅子をもう一つ持ってきて頂戴。ハインリーケ大尉が座る席がないでしょ?」
「シュナウファー大尉…」
「素直に最初っから言えば良いじゃない、お茶を飲もうって」

あ…良かったぁ…シュナウファー大尉に笑顔が戻ってきたであります!!


***


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