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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7

37Magic Box 1/1:2010/12/06(月) 22:53:08 ID:4G7Wc9Yw

「ドミニカ、起きてる?」
「起きてるなら開けてほしいな」
時刻は零時を少し過ぎた頃、部屋の扉をトントンとノックする音が私の耳に響く。
扉の向こうからはマルチナとパティの声。
一体、こんな時間に私に何の用だろう?
私が部屋の扉を開けると同時に、クラッカーの音が鳴り響いた。
「「ドミニカ、誕生日おめでとう!」」
と、朗らかな笑みで微笑むマルチナとパティ。
そうか、今日はもう12月6日――私の誕生日だったな。
「はい、これぼく達からのプレゼントだよ」
そう言って私に、人が1人入れそうな程大きい箱を差し出してくれるマルチナ。
「2人ともこれをわざわざ私のために?」
「うん。ドミニカならきっと気に入ると思うよ。じゃ、そういうことで」
「ごゆっくり〜」
「お、おい」
私が礼を言う前にパティとマルチナは、その場を去ってしまった。
まぁ礼なら明日、食堂で会った時に言えばいいか。
そんなことを考えながら私は、プレゼントの箱を抱え上げベッドの上に乗せる。
……意外と重いな、何が入っているんだ?
飾りのリボンを解き、箱を開けると中には――

「大将! 誕生日おめでとうございます!!」
軍服の上からリボンをぐるぐる巻きにしたジェーンの姿があった。
参ったな。まさか本当に人が、それも私の最愛の人が入ってるとは。
「……フ」
リボンに身を包んだジェーンがあまりにも可愛らしくて私も思わず笑みがこぼれる。
「ちょっと! 笑わないでくださいよ〜。これでも私、大将に何をプレゼントするかこの1週間ずっと悩んでたんですからね。
ボクシンググローブは去年のプレゼントだったし、時計は一昨年のプレゼントだったし……そこで、今年はパティさん達に
協力してもらって、私自身が大将のプレゼントになろうと思ったんです!」
と、可愛い顔して大胆な事を言うジェーン。
全く、そんな事言われたらこっちだってスイッチ入っちゃうじゃないか。
「最高の誕生日プレゼントだ、ジェーン」
私は箱の中のジェーンを抱え上げ、彼女をそのままベッドに押し倒す。
「大将……んっ」
ジェーンの唇に口付けを落としながら、リボンを解き、彼女の服を一枚一枚脱がしていく。
「……明日は竹井やドッリオ達に怒られるかもな」
「へ? それってどういう……」
「言葉通りの意味さ」
私は、もう一度ジェーンに深い口付けを落とす。
「大将っ……んんっ」
私も服を脱ぎ捨て、お互いに一糸纏わぬ姿で抱き合った。

さて、今夜は長い夜になりそうだ。

〜Fin〜

――――――――

以上です。大将誕生日おめでとう!

38名無しさん:2010/12/06(月) 22:59:58 ID:ZyPXkdR2
>>37
GJです。おおう、何と言う誕生日プレゼント!
大将も504も大胆ですなw 良いニヤニヤをありがとうございました。

39名無しさん:2010/12/06(月) 23:13:30 ID:rUsLzwVU
まとめサイト見れない…

40mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/07(火) 21:52:42 ID:XpRqMOTA
>>37 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! プレゼントがジェーンそのものって504もジェーンも凄いw
素敵な誕生日SSありがとうございました。大将ウハウハですね。

>>39
保管庫のサーバのトラブルらしいですね。
避難所の
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1236773034/
こちらなどをご参照下さい。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で思い付いたネタをざっと書いてみました。
「実験的」と言えば聞こえは良いですが……お察し下さいorz
ではどうぞ。

41inception II 01/04:2010/12/07(火) 21:55:27 ID:XpRqMOTA
 リーネの挙動が乱れストライカーに被弾し、くるくると回る独楽の様に、ぽちゃりと海に墜落した。
 すぐさま他のウィッチ達に助けられ、基地に後送され、治療が開始された。
「リーネちゃんは大丈夫なんですか」
 目を閉じたまま動かないリーネの横で、芳佳が担当の女医に聞いた。
「問題無いわ。怪我そのものは貴方の治癒魔法で完治していますから。ただ……」
「ただ?」
 ごくりと唾を飲み込む芳佳、言葉を続ける女医。
「被弾した時のショックで……落ち込んだり、ヒステリックになったりするかも知れないですね」
「えっ、そんな……」
「大丈夫だとは思うけど……どうかしら」

 目を覚ましたリーネは「大丈夫だよ芳佳ちゃん、問題無いから」と笑って見せたが、
その後のトレーニングでミスを連発、食事当番でもお鍋を焦がしてしまったりと良い所がない。
「大丈夫だから、ちょっと疲れてるのかな……」
 と気丈に振る舞うリーネ。しかし、大皿を割ってしまった時のリーネは……明らかに震えていた。
 指がかじかんだ様に小刻みに震え、やがて腕にも伝播する。
「リーネちゃん?」
 心配してリーネの肩を持つ芳佳。びくりと震えたリーネは、芳佳をどーんと突き飛ばした。
「離してっ!」
 厨房の端まで転がる芳佳。壁に頭を打ち付け、いたた……と呟く。額の横が切れたらしく、僅かに出血している。
 異変に気付いた隊員達が、厨房に集まった。
「おい何だ今の騒ぎは!? 宮藤、大丈夫か?」
「わ、私は……その、リーネちゃんが」
 シャーリーとエーリカがすぐさま芳佳を抱き起こし、トゥルーデがハンカチで芳佳の血を拭う。
「な、なんでも……ないんです」
 涙目のリーネ。
 芳佳は衝撃でふらっと来たのか、だらしなくシャーリーの胸に顔を埋めた。
「宮藤、大丈夫か!」
「一体何の騒ぎですの?」
「芳佳ぁ、大丈夫?」
 訳が分からないといった感じのペリーヌ。ルッキーニも心なしか心配そうだ。
「何でもないなら、何故宮藤を投げ飛ばす?」
 立ち上がり、詰問するトゥルーデ。
「リーネ、どうした。何があっ……」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ」
 美緒の問いを、リーネの悲鳴が切り裂いた。

 睡眠薬を無理矢理飲まされ、静かに眠るリーネ。
「やっぱりね……」
 女医は溜め息混じりに、リーネの様子を聞き取り、診断カルテに何かを書き込む。
「それで先生、リーネちゃんは」
 したたかに頭を打ち付けた芳佳は、大事を取って包帯で額を巻かれていた。
「リーネさんは、恐らく戦闘によるストレス、いわゆる精神的なダメージね……それを受けていると思います」
「リーネちゃんが? 私の治癒魔法で治せますか?」
「宮藤さんの治癒魔法は主に外傷や疾病だと思うから……精神的なものは難しいんじゃないかと」
「そんな……リーネちゃん」
「ねえ、芳佳ちゃん」
 芳佳の傍らに立ったのは、サーニャ。
「私、前、エイラの夢の中に、魔法を使って入った事が有るの。それを応用すれば、何とか……なりませんか、先生?」
 サーニャの提案を受けた女医は戸惑ったが、カルテと分厚い医学事典を睨めっこしたあと、小さく頷いた。
「難しいと思うけど……やってみる価値は有るかも知れないですね」

 芳佳とサーニャは、ベッドに横になり手を繋ぐ。そして横に居る、寝たきりのリーネの手をそっと繋いだ。
「良い、芳佳ちゃん? 何が有っても動揺しない事。もしどうしようもなくなった時の“目覚め”の合図は……」
「うん、さっき聞いたよ。分かってる」
 真剣な表情で、芳佳は頷いた。
「では、行きます……」
「サーニャぁ……無事に帰って来いヨ」
「エイラ、貴方が側に居てくれれば大丈夫よ」
 サーニャはふと微笑んだ。そして静かに魔力を発動させ、魔導針が輝く。
 ぶうん、と魔導針の光が増幅される。
 手を繋いだサーニャと芳佳は、横になり、目を静かに閉じた。

42inception II 02/04:2010/12/07(火) 21:55:57 ID:XpRqMOTA
  ここは何処?
  芳佳は辺りを見回した。
  ブリーフィングルームでもない、石造りの巨大な部屋。いや、回廊と言った方が正しいか。その位の奥行きが有った。
  陽の光は無く、部屋の隅に掲げられた巨大なキャンドルが整然と並び、ぼんやりと周囲を照らす。
  横にサーニャが居る。眠りから目覚めた様に、目を擦る。
  「サーニャちゃん」
  「芳佳ちゃん。……よかった、すぐに会えて」
  「うん。リーネちゃんを捜しに行こう」
  「大丈夫、すぐ見つけるから」
  サーニャの魔導針が光る。
  「こっち」
  サーニャが芳佳の手を取り、進む。
  しかし「大回廊」は行けども行けども先が見えず……流石に立ち止まってしまう。
  「サーニャちゃん、何でこんなにこの部屋長いの?」
  「リーネちゃんの意識の中だから……」
  「そっか。リーネちゃん」
  「大丈夫、すぐそこに」
  サーニャが手を伸ばすと、ぶわっと一瞬のうちに周りの景色が動き、どこからともなく大きな扉が現れた。
  「外に何か有る。気を付けてね、芳佳ちゃん」
  「うん」
  閂を外す。お互い手をぎゅっと握ったまま、扉に力を込め、開ける。

  そこは地平線の彼方まで広がる農場。
  眩しい程の陽の光に満ち、作物はたわわに実り、鳥が鳴き動物がうたう、長閑で平和過ぎるシーンだった。
  「芳佳ちゃん、あそこに」
  サーニャが指し示す方向に、リーネが居た。
  ブルーベリー畑で、摘み取り作業をしている。
  「リーネちゃーん!」
  「あ、芳佳ちゃん! サーニャちゃんも!」
  「リーネさん、元気そうで良かった」
  「私は元気。大丈夫だよ? ほら見て、今年のブルーベリーは豊作だよ! 美味しいんだから」
  リーネは採れたてのブルーベリーを数粒、芳佳に分け与えた。
  「へえ、すごい!」
  笑顔の芳佳、リーネ。そして一人浮かない顔のサーニャ。
  「リーネさん」
  「どうしたのサーニャちゃん?」
  「帰りましょう、元の世界……私達のあるべきところに」
  「何を言ってるのサーニャちゃん? ここ、私の実家だよ?」
  「あなたは第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』の狙撃手です。リーネさん。農場主では無い筈です……今は」
  さっと表情が変わるリーネ。
  「違うの……これは違うの。夢なんかじゃないの。本当なの」
  「今私達が通ってきた回廊……本当は私達に来て欲しくなかったから、あんな……」
  「そんな事、無い!」
  空の色がさっと変わる。
  それまでの澄んだ青空が一変、燃え盛る大地から障気が沸き立つ、どす黒く染まる赤い戦火の渦巻く風景が現れる。
  一瞬にしてブルーベリー畑が燃え盛る。
  芳佳が手にしていたブルーベリーの粒は、血の色をした液体に変わって手からこぼれ落ちた。どろっとした生々しい感触。
  空を劈く無数のネウロイ、撃ち出されるビーム。
  それをかわしながら突き進む、無数の、見た事もないウィッチ達。
  「サーニャちゃん、これは……」
  「大丈夫、リーネちゃんの夢だから」
  「でも、ネウロイがこっちに……」
  「大丈夫」
  リーネ、サーニャ、芳佳の頭上で、間も無く激しい戦闘が開始された。
  辺りは銃弾とビームが交錯し、次々と小型ネウロイが撃破され、
  またひとり、ひとりとウィッチが大型ネウロイの集中打を浴び、墜落していく。
  「また、汚れちゃった……私の居場所」
  「リーネちゃん」
  「もう来ないでっ!」
  刹那、世界がぴたりと止まった。
  ネウロイも、ウィッチも、全員が芳佳とサーニャの方を向いた。全ての銃口が向けられる。
  放たれるビームと、銃弾。
  芳佳は咄嗟に魔法でシールドを展開した。ぽんと肩を叩くサーニャ。
  「どうしたの、サーニャちゃん?」
  「ここは何処か、忘れたの?」
  「リーネちゃんの、夢……」
  「じゃあ、無駄に魔力を使うのは止めて。シールドをしまって」
  「そんな事したら、皆死んじゃう!」
  「良いから、私の言う通りに」
  「ええっ」
  サーニャが芳佳の手を取った。思わずシールドが切れる。
  サーニャを、芳佳を、そしてリーネに、無数の銃弾が降り注ぎ、ビームが浴びせられる。
  シールドと言う「抵抗」を失った三人の身体。
  間も無くぼろ切れの如く、血にまみれ、四肢が吹き飛び、原形を留めなくなる。
  「大丈夫」
  サーニャの言葉が響く。
  そうだ……芳佳は思い出した。そして、顔の見えぬウィッチが放った銃弾が、芳佳の眉間を貫いた。

43inception II 03/04:2010/12/07(火) 21:56:29 ID:XpRqMOTA
    気が付くと、身体も服も元に戻り、全く別の場所に立っていた。
    「ここは?」
    周りを見る。
    「あれ、ここ、ブリタニアの基地?」
    基地の廊下らしい。てくてくと歩いて行くと、見えた。リーネの部屋だ。
    「あ、でもその前にサーニャちゃんを捜さないと」
    「私ならここに居るよ」
    ふっと芳佳の頭上から降ってくるサーニャ。
    「さすがだねサーニャちゃん、夢の中だから何でもアリだね」
    「芳佳ちゃんだってやろうと思えばすぐ出来るんだから」
    「いや、サーニャちゃん、なんか慣れてるなって……やっぱりエイラさんと?」
    顔を真っ赤にしてうつむくサーニャ。
    「芳佳ちゃんの……バカ」
    「ああ、ごめんねサーニャちゃん、そんなつもりじゃ」
    「行こう」
    リーネの扉の前に立つ。
    「まさか夢の中にブリタニアの基地が出てくるなんて……」
    芳佳は笑って扉を開けた。
    どどっと扉の向こうから大量の熱々ご飯が雪崩れ込んでくる。
    「な、なにこれっ熱っ! 窒息するっ!」
    「玄関開けたら2tのご飯……」
    サーニャはいつ抜け出したのか、熱々のご飯の上に立っていた。
    そしてご飯まみれになった芳佳をよいしょ、と引き揚げた。
    「リーネちゃんの部屋だよね、何でこんな事に?」
    「それは、芳佳ちゃんの主食がご飯だから?」
    「どう言う事?」
    「とにかく、行こう」
    サーニャは芳佳の手を取り、ご飯の中を歩く。
    割れる海の如く、ご飯が廊下の中央をずばっと空間を作り、目指す扉がもう一度見えた。
    「今度はお味噌汁とか、無いよね?」
    「大丈夫……だと思う」
    そっと扉を開ける。
    ベッドの上で泣いているリーネ。
    傍らには、投げ捨てられたボーイズ対戦車ライフル。
    リーネの横にはボロボロになったストライカーユニットが転がっている。
    「リーネちゃん」
    「私のせいで、みんなが」
    「私は大丈夫だよ。みんなも。誰だって一度くらい墜落するって、ハルトマンさんもバルクホ……」
    「芳佳ちゃんは」
    言葉を遮って、虚ろな目をしたリーネが芳佳の顔を見る。顔が青白く精気がない。
    瞬間移動したかの如く、芳佳の眼前にリーネの顔が見えた。
    「どうしてそんなにしつこいの? どうしてそんなに諦めないの?」
    「どうしてだろうね。私……リーネちゃんが好きだから」
    「芳佳ちゃん、ゴメン。私、芳佳ちゃんに応えてあげられそうに……」
    「リーネちゃん!」
    ふわふわした感触のリーネを、芳佳はぎゅっと掴んだ。
    「私、私は絶対に諦めない。リーネちゃんと一緒に帰るまで」
    その時、ターン、と乾いた銃声が響く。

44inception II 04/04:2010/12/07(火) 21:56:57 ID:XpRqMOTA
    芳佳は音の所在を確かめた。立ちこめる硝煙の臭い。
    自分の腹を、リーネが拳銃で撃ち抜いたのだ。
    「ほら、無理だよ。芳佳ちゃん」
    どくどくと流れ出る血流。
    「今、芳佳ちゃんの命を奪ってあげる」
    意識が混濁しかける芳佳。
    「大丈夫」
    横に居るサーニャが呟くと、不思議と痛みが戻る。
    「さっきから、サーニャちゃんも何?」
    リーネが向けた拳銃を握り、銃口を明後日の方に向ける。ぱんぱん、と乾いた音が続く。
    部屋の調度品が割れ、粉々になる。
    やっとの思いで拳銃を払い除けた芳佳は、リーネをぎゅっと抱きしめ、言った。
    「リーネちゃん。私は、リーネちゃんの命を、魂を、リーネちゃんの恐怖心から奪い返す!」
    「何バカな事言ってるの芳佳ちゃん……証拠は?」
    「証拠は、私とリーネちゃん。この身体の熱さ、分かる?」
    流れが止まらない血の中……ベッドの中央に広がる血溜まりの中で、芳佳は続けた。
    「私は、既にリーネちゃんを抱きしめてる。これからも、ずっと。だって、リーネちゃんが好きだから」
    芳佳は、狼狽えるリーネに、そっと口吻をした。
    動きが止まるリーネ。
    「ね、リーネちゃん。私、リーネちゃんと何処までも一緒だよ? 愛してる」
    「何処までも……?」
    「そう。何処までも」
    「本当に?」
    「勿論、本当だよ」
    「じゃあ、一緒に……」
    「うん。帰ろう?」
    笑顔の芳佳に、リーネは涙ながらに笑顔を見せ、もう一度キスをした。
    キスをした二人。
    その瞬間を逃さず、サーニャはぱちんと指を鳴らす。
    二人の動きが、固まる。
    サーニャは手にした拳銃で芳佳とリーネのこめかみを撃ち抜く。
    サーニャはぱちんと指をもう一度鳴らした後、自身のこめかみにまだ硝煙くすぶる銃口を当て、引き金を引いた。


「あれ、ここ何処?」
 リーネはゆっくり起き上がり、ぼんやりとする視線で辺りを見た。
 501の隊員が全員で、リーネを見ている。
「えっ、これは一体」
「うーん……リーネちゃん」
 ごろりと転がり、リーネに抱きつく芳佳。
「ちょ、ちょっと芳佳ちゃん、皆の目の前だよっ!」
「あ、あれ? もう終わり?」
 眠たそうに目を開ける芳佳。横ではエイラが一人騒いでいた。
「オワ!? サーニャも目覚めタ! サーニャ、大丈夫かサーニャ?」
「エイラ……ただいま」
「お帰リ、サーニャ」
 美緒は、サーニャ、芳佳、リーネの三人を魔眼でじっと見ていた。
「どう?」
 ミーナの心配そうな顔。美緒は眼帯で目を覆うと、ゆっくりと頷いた。
「大丈夫だ、問題無い」

 その後サーニャは魔力を消耗し過ぎたと言う事で、エイラと一緒に寝室に戻った。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
 驚く女医。眠りから目覚めたリーネと芳佳を診て、二人共大丈夫そう、と診察した後カルテに何か書いている。
「リーネさんは、暫くは実戦には出さず、トレーニングと日常生活で問題が無いかチェックします」
 ミーナは女医からの報告を受け、告げた。
「ええ、そうして下さい。でも、彼女はもう大丈夫だと思います」
「そうですか……良かった。本当に」
 ミーナはほっと息をついた。
「ありがとう、芳佳ちゃん。私、また芳佳ちゃんのお陰で……」
「ううん、リーネちゃんの為だもん」
「これ、夢じゃないよね?」
「もちろん!」
 無邪気に笑い合う二人。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
 女医は余程感心したのか、全く同じ言葉を繰り返した。美緒は笑った。
「ウィッチに不可能は有りませんから」

end

45名無しさん:2010/12/07(火) 21:57:37 ID:XpRqMOTA
以上です。
お分かりの通り「“目覚め”の合図」は
その夢の中で「銃で頭を撃ち抜く」事です。
某ペル●ナ3みたいですが、お気になさらず……。
「夢の中へ〜」と言うネタそのものは某映画からヒントを得ましたが
そのタイトルは言うまでもありません……orz

ではまた〜。

46名無しさん:2010/12/10(金) 00:37:31 ID:NLKuTd4M
ラジオ、今月いっぱいで終わるのか…

47名無しさん:2010/12/10(金) 20:58:30 ID:GixI4qWc
>>46
え、それマジで? ソース希望。

48名無しさん:2010/12/12(日) 17:52:40 ID:9zBRbtGM
>>47
ソースも何も放送聞いてみるといいですよ

49カカシ:2010/12/12(日) 23:14:17 ID:VRtjYe3Q
まとめサイトっていつ復活するの?

50名無しさん:2010/12/12(日) 23:17:55 ID:zPI1qPpQ
鯖の復旧は年末以降になるっぽいね

51名無しさん:2010/12/13(月) 02:14:55 ID:NCteKEVs
マジで?
どこから聞いたの?

52名無しさん:2010/12/13(月) 02:24:23 ID:WiM.lfJY
ソースは元鯖サイト

53名無しさん:2010/12/13(月) 18:37:56 ID:NCteKEVs
そうですか
ありがとうございます

54名無しさん:2010/12/13(月) 22:33:59 ID:zyhQrpe6
年末まで読みかけの続きはお預けか…待ち遠しいな。

555uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/13(月) 23:46:10 ID:w8Ubk0wU
>>40 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、素晴らしい芳リーネをありがとうございます。
美緒の締めの一言もいいですね。

こんばんは、マルちゃんの誕生日ということで伯爵×マルちゃんで一本書いてみました。
といっても、伯爵は直接出てきませんが……
では、どうぞ

56Ein Brief 1/2:2010/12/13(月) 23:47:01 ID:w8Ubk0wU

「相変わらず、凄い量ですね」
昼食のトレーを抱えたマミが、私のテントに入るや否や驚嘆の声をあげる。
今日は12月13日、毎年この日になると大小様々な箱や、手紙が私のもとに贈られてくる。
早い話が全部私への誕生日プレゼントというわけだ。

「厚意はありがたいんだが、こうも多いと一つ一つチェックするのも面倒だな」
マミから昼食のトレーを受け取りながら、私は思わず溜息をつく。
正直、空でネウロイと戦っていたほうがよっぽど気は楽だ。
「人気があるのは良いことじゃないですか。よかったら手伝いましょうか?」
「ああ、そうしてくれると助かる」

――それからしばらくの間、私とマミとマティルダとで届いたプレゼントを一つ一つ見ていった。
アフリカでは中々手に入らない酒のプレゼントがあったのは特にありがたかった。
最も、私への想いが延々と綴られている反応に困るような手紙も中にはあったりしたが……

「マルセイユ大尉、第502統合戦闘航空団のヴァルトルート・クルピンスキー中尉からも手紙が届いてますよ」
「伯爵から?」
マミからその手紙を受け取り、封を開く。
確かに、JG52時代の同僚、伯爵ことクルピンスキーの癖のある字だ。
私は、その癖のある字にどこか懐かしさを覚えながら、2通ある手紙の1通目を読み進めていった。

『拝啓 ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユ殿←本当に長い名前だね』
「余計なお世話だ」
『久しぶりだね。元気にしてるかい? アフリカは良いところだよね。行ったことないけど』
「相変わらず適当な奴だ」
人はそう簡単には変わらないか、そんなことを考えながら私は手紙の続きを読んでいく。

『君に報告したいことがあるんだ。実はこの度、ボクとロスマン先生は結婚することになったんだ』
「な!? ロスマンの奴、血迷ったか!?」
1枚目の手紙に添えられた写真には、ウェディングドレスに身を包んだロスマンの姿があった。
伯爵とロスマンが結婚だと? あまりの衝撃的な出来事に私は口に含んでいた牛乳を思わず吹き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
牛乳で汚れたテントを拭きながら、マティルダが私に問いかけてきた。
「あ、ああ大丈夫だ。悪いな、マティルダ」
私は気を落ち着かせ、2通目の手紙を読み進めていった。

『……なんてね。冗談だよ、冗談。まぁ君がこんな話にまんまと騙されるわけないとは思うけど。
先生のウェディングドレス姿、中々似合ってるだろ?』
「あ、あいつら……!」
まんまと騙された。ロスマンの奴、この為だけにわざわざウェディングドレスを用意したんだろうか。
考えてみれば戦闘時以外のあいつは、伯爵以上の享楽家だったな。
私は手紙を破りたい衝動をなんとか抑え、続きを読んでいった。

57Ein Brief 2/2:2010/12/13(月) 23:48:06 ID:w8Ubk0wU

『君が501でフラウとやり合ったっていう話はこっちにも届いているよ。是非見てみたかったなぁ。
バルクホルンはきっと、落ち着きがなかったんだろうね。あっ、そうそう。バルクホルンといえば、
この前、彼女の妹のクリスちゃんのお見舞いに行ったんだけど、その時に君のサインが入ったブロマイドを
嬉しそうに見せてくれたよ。君って確かサインはしない主義だったよね、何かいいことでもあったのかな?』
「……ふん」
その文を読んで、私はこの前の501での出来事を思い出す。
ハルトマンとはいつか必ず決着をつけてやる。

『最後になるけど、ティナ、誕生日おめでとう。君と離れてから随分経つけど、今でもボクにとって君は、
かけがえのない戦友で仲間だからね。もちろん、ロスマン先生やラル隊長、バルクホルン達も。
いつかまた、みんなで笑って語り合える日がくるといいね。それじゃ、お元気で
変わらぬ友情を込めて ヴァルトルート・クルピンスキー』
手紙の最後の文を読み終わって、私は思わず笑みがこぼれた。
伯爵は一見いい加減そうに見えてその実、仲間想いの良いヤツだ。
あいつのそういった面も変わってなくて、少しだけ安心感を覚える。

「マルセイユ大尉、クルピンスキー中尉からプレゼントも届いてますよ」
「プレゼント?」
私はマミから伯爵のプレゼントが入った箱を受け取る。
その箱に入っていたのは……

「な、なんだこれは!」
中に入っていたのは、私にはおよそ似合わないピンク色のワンピースだった。
伯爵の奴、私にこんなものを贈ってくるなんて一体何を考えているんだ?
私が箱の底を覗いてみると、そこには伯爵の字でこう書かれていた。

『ボクからのプレゼント、気に入ってくれたかい? この服、バルクホルンがクリスちゃんにプレゼントしたものと
同じものなんだ。これを着た写真を撮って、ボクに贈ってくれると嬉しいな』
ふざけるな! なんで私がバルクホルンの奴が、妹にプレゼントした服と同じものを着ないといけないんだ。
こんなものを着るくらいなら、裸のほうがマシだ。
少しでもあいつのことを見なおした私が馬鹿だった。

「ティナ、隊長が呼んでるけど……って、何その服?」
「ラ、ライーサ、これはその……」
そこに何とも間の悪いタイミングでライーサが私のテントを尋ねてきた。
「すごく可愛らしい服ね。着るの?」
「き、着るわけないだろ!」
「「……っ!」」
「お、おい! マミもマティルダもさり気なく笑うな!」

――その後、私はケイに無理矢理このワンピースを着せられ、写真を撮らされた。
後日、その写真は伯爵たちのもとに贈られることになるが、それはまた別の話。

〜Fin〜

――――――――
以上です。マルちゃん、誕生日おめでとう!
保管庫の復旧は年末以降になるんですね、なんだか寂しいです。
ではまた

58名無しさん:2010/12/14(火) 01:59:06 ID:h3ARV0FY
おお、珍しい組み合わせだなぁ
伯爵×マルちゃんか…なんか二人で並ぶと凄く眩しい気がする
JG52時代の話が見てみたい

59名無しさん:2010/12/14(火) 23:04:38 ID:HqOWi2hs
>>57
GJ!いい加減伯爵ワロタ
手紙と服ひとつでマルセイユを翻弄するとはまさに伯爵w
面白かったです!

60名無しさん:2010/12/15(水) 16:44:33 ID:GW3N6NH.
>>56
さすが伯爵!そこにシビれるあこがれるゥ!!
つかロスマン先生なにやってんのwwww

61名無しさん:2010/12/15(水) 17:46:17 ID:idUPe8SE
マルピンスキーとは新しくていいね
伯爵が劇場版に出たらカールスラント組との過去話とか聞けるのにな

62名無しさん:2010/12/15(水) 22:34:59 ID:iG3FUtt2
特に絡みなんかも無い筈なのに、何故か色んな所でこの組み合わせ見るなw

63名無しさん:2010/12/15(水) 23:59:04 ID:lETw9nqo
元同僚という接点はあるぞ
エーリカやバルクホルンとの関係もあるしな

64名無しさん:2010/12/16(木) 00:16:27 ID:8T2CmcXg
それはそうだけど、逆に言えばそれだけじゃない?
何の描写も無いところが妄想心をくすぐるんだろうか

65名無しさん:2010/12/16(木) 00:39:00 ID:n5t0t2Ag
クルセイユいいな

66名無しさん:2010/12/17(金) 00:40:36 ID:zwCxFUJc
ラジオ、残すところあと二回か。
今年最初の木曜日に始まって今年最後の木曜日に終わるんダナ。

67名無しさん:2010/12/19(日) 12:17:50 ID:Igoe74FM
ラジオ終わるしファンブックもキャラソンも延期だし、年末は寂しくなりそーだぜ…

68名無しさん:2010/12/19(日) 22:33:12 ID:bJwM9RbM
ttp://sukima.vip2ch.com/up/sukima004783.jpg
隊長自重しr・・・いいぞ、もっとやれ

69名無しさん:2010/12/19(日) 22:36:09 ID:R31D9u8M
どうも、「ヘルマの発情」シリーズのHwd8/SPpです。
まとめサイト…早く復旧して欲しいですねえ;;でも何が原因で鯖が落ちたんでしょうか…?;;

あ、亀レスですが>>22様。ありがとうございます、肝心のお姉ちゃんは誰が好きなのか…?う〜ん、それは全く考えてなかったです!
シリーズを展開させていく時に改めて考えていきたいと思います!個人的にはシャーゲルが一番好きなんですがね〜!

今回は「ヘルマの〜」シリーズではなく、忘年会シーズンって事でスオムスいらん子中隊の忘年会について書きました!
読んで頂ければな…と思います!



【いらん子中隊の忘年会】

12月20日。
カウハバ基地近くのスナック「ふきでもの」にて、
スオムス義勇独立飛行中隊こと「スオムスいらん子中隊」の忘年会が催されたのである…。

「えと皆さん…2時間まで飲み放題だそうです!」
「何ここ…汚い店ねえ」
「中尉ぃ〜私と飲みましょう?」
「こんな小娘より成熟した私と一緒に?」
「パスタ准尉はあっち行っててください!シッシッ!」
「マンマミーア!あなた私より位は下でしょ?!」
「そんなのお酒の席じゃ関係ないんですぅ〜!」
「だぁっ!!もう!!!!うるさいわよアンタ達っ!!!」
「あ、あの〜ぅ…」

必死に頑張って仕切るエルマ…だが、誰も聞いていない様子である。

「飲み物だけでも注文を…」
「飲み物?そうねえ…」
「スコッチを頼む」
「バドワイザーはあるかー?」
「じゃあ私は扶桑酒かな」
「じゃあ私も!」
「私もっ!!!」
「…オレンジジュース」
「じゃあ私もオレンジジュースで…」

一通り注文をし終えた一同。
だが………

「Oh!何言ってるねー、今日は一年のしめくくりねー!!いっぱいお酒飲むねー!!」
「え…でも私は…」
「…じゃあオレンジジュースとナポリタン大盛」
「ナポリタンはお酒じゃ…;;;」
「そうねえ…ウルスラはわかるとして、エルマ!あなた何か飲みなさい!!」
「えぇっ?!」
「隊長命令…だわよ?」
「はいぃ…」

急いでお酒のメニューを見始めるエルマ。
すると横に居たビューリングは、

「なんだ、飲めないのか?」
「お恥ずかしながら…」
「だったらカシスオレンジだな」
「美味しいんですか?」
「まあ…始めはこうゆう、甘いのから入ると良いぞ」
「ありがとうございます!じゃあ…カシスオレンジ!」


***

70名無しさん:2010/12/19(日) 22:37:10 ID:R31D9u8M
>>69の続き。

【1時間後】


智子の扶桑酒を注いでるキャサリン

「ストップ!ストップ、ストップひばりくん!…ケッケッケ」
「トモコー、明らかに飲み過ぎねー」
「さっきから親父ギャグ連発なんですよ…」
「ねえ中尉、世界四大文明と言ったら?」
「えと…エジプト文明とメソポタミア文明と黄河文明…加納典明!ケッケッケ」
「もうパスタ准尉!トモコ中尉で遊ばないでください!」
「ケッケッケ…まだ飲み足りないわ〜っ!!」

そんな騒いでる集団とは打って変わり、店の角のソファーではエルマ、キャサリン、ウルスラの3人が静かに飲んでいた。

「大丈夫か?」
「はい…お酒って…美味しいですね」
「そうか…」
「…飲み過ぎには注意」
「大丈夫です、智子中尉みたいには…ならないと思います…あ、ジントニックを!」


***


【さらに1時間後】


「…ジントニック…トニック無しで」
「エッ、エルマ…どうしたねー?;;」

エルマの目が完全に据わっていた...

「あん?」
「ジントニックのトニック無しじゃただのジンだな」

とタバコを吹かし始めるビューリング。

「そこぉ!何か言いましたぁ?」
「だからジントニックのトニック無しじゃ」
「うるさい!もっと短く言ってください!!!!」
「え…?」
「ったくぅ…この隊は全く、規律がなってないんですよぉ規律がぁ」

いつの間にかエルマは度数の強い酒の瓶を持ち、空のコップに注いでいる...

「ちょっとエルマ!飲みすぎねー;;」
「うっさい、黙ってろおっぱいバカ」
「お…おっぱいバカ…?」
「そこのパッツン小娘」
「…へ???」

エルマに指ざしで指名されるハルカ

「ちょっとこっち来い」
「えと…エルマ中尉…??」
「良いから隣に座れってんだぁ!!!」
「はいぃ!!」

すぐさまハルカはエルマの座っているソファーへ移動し、隣に移動する。

「…おい、そこのパスタも!」
「はい…」

エルマが怖いのか、珍しく若干怯えているジュゼッピーナも呼ばれる…。

「あ、あの…智子中尉は呼ばなくて大丈夫なんですか???」
「あぁん?」

智子は既にソファーにて寝ていた

「よ〜しよしよし…」
「ひぃぃぃぃ!!!」
「こここ今度晩御飯のおかず…一品差し上げますからお許しをぉ!!」
「ねえぱっつん小娘とパスタ〜♪」
「は、はいぃぃぃ?」

恐る恐るハルカがエルマの方を向くと、満面の笑みが広がる…
そしていつでもキスが出来るじゃないか?と言う距離で…










ゴンッ☆

71名無しさん:2010/12/19(日) 22:37:46 ID:R31D9u8M
>>70の続き。





「キャアアアアアア!!!!」

なんとハルカはエルマによって頭突きされたのであった…
そしてハルカは気絶。

「ちょっと…中尉、どうしたんです?」
「あれぇ〜?パッツン小娘、額から血が出てるぅ〜あはははは」
「ヤバい…逃げるねー!」

キャサリンは未だ本を読んでいるウルスラを無理やり引っ張ろうとすると…

「あはは〜!そうはさせるもんですかぁ〜!!!!」


***


チュンチュン...


「あれ…っ?私ってば…」

エルマが朝起きると、医務室のベッドの上に居たのだ…。

「…気がついたか」
「ビューリング大尉…おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「あの…昨日、私…?」

シャーッ!!

すると突然、ベッドを囲っていたカーテンが開かれる。

「エルマ・レイヴォネン中尉!あなたは…あなたはなんて事を…っ!!!!」
「ハッキネン大尉!!??」
「貴官に10日間の自室禁固、そして7日間の社会貢献活動を命じます!」
「…へ???」
「本当は営倉入りにしようとも思ったんですが…」
「え…?えと…よく話が見えないのですがぁ…;;;」

するとビューリングは無言で立ちあがり、どこからかテレビを持って来て電源を付けた。

72名無しさん:2010/12/19(日) 22:38:40 ID:R31D9u8M
>>71の続き。




「………」

映像の内容は、密かにビューリングが昨夜の忘年会を16mmカメラで撮影したもので、それを編集したものだ。
内容としてハルカに頭突きを決めた後の様子が生々しく映し出されていたのだ
例えば、必死に逃げようとするキャサリンとウルスラに向かって客がキープしてあったボトルの数々を投げつける。
必死にそれを止めようとするジュゼッピーナに対し、チョークスリーパーホールドを決める。
そして寝てるのを良いことに、智子を全裸にしそしてそのまま体上につまみとして出されたチーズやサラミを盛りつける…いわゆる「女体盛り」をしたのだ…。

動画は『劇終』という文字と、銅鑼の音と共に終了した。


「どうだ?」
「わあ…ジャッキー・チェンの映画のエンディングみたいですねぇ、NGシーンが流れるみたいで」
「そんな冗談言ってられるのか?」
「………そそそそそんなわけないじゃないですかぁ!!!!どうしましょぉ〜ビューリング大尉ぃ〜!!私、とんでもない事をみなさんにぃ〜(泣)」
「そうだな…こればかりは、謝るしか」
「そうですよねぇ、そうですよねぇ…(泣)」

そして必死に謝ったが、キャサリン以外(彼女は「しょうがないねー、エルマもストレスが相当溜まってたのねー」と許してくれたが)は口を聞いてくれず、
もっと言えば智子の訓練においてエルマだけ厳しくなったり、ハルカとジュゼッピーナは全然気にしてませんよと言いつつ地味な嫌がらせを数日間受けたエルマであった…。

エルマが虐げられてるのを見て、ウルスラはこう呟いた…。

「酒は飲んでも…飲まれるな…」




みなさんもほどほどに。






【おわれ】

73名無しさん:2010/12/19(日) 22:41:39 ID:bJwM9RbM
>>69
GJです、ところでビューリングって大尉ではなく少尉では?

74名無しさん:2010/12/19(日) 23:48:59 ID:0imLA2i2
>>69です。

>>73様。
あ!今、まとめwiki見たら少尉でしたね〜('A`)
すみません;;;

75名無しさん:2010/12/20(月) 03:25:45 ID:.S4y8eNc
ウルスラに被害がなかったのはビューリングが匿ってたからだな
ウルスラがちょっと震えながらビューリングの服とかをギュッと掴んでるといいと思う

76名無しさん:2010/12/21(火) 12:46:33 ID:P6eVDfDc
>>68 丈の長い服を着ているということはつまりミーナとリーネが結婚したということですね俺得です

77名無しさん:2010/12/22(水) 17:19:36 ID:EbAN2ATY
百合スレまとめサイト消えちゃったの?

78名無しさん:2010/12/22(水) 18:30:42 ID:rMNsiQRU
http://rejec.net/
元サーバが物理的に故障しちゃったらしい
対応は早くても年末年始以降になるとか

79名無しさん:2010/12/22(水) 19:04:50 ID:EbAN2ATY
>>78
oh…
残念だ
サンクス

80名無しさん:2010/12/22(水) 20:41:09 ID:kULvG7sc
キャラソンCD発売中止ってマジか…
嘘だと言ってよバーニィ…

81名無しさん:2010/12/23(木) 01:02:25 ID:0bjPmq4w
先生に怒られたいがために色んなウィッチに手を出しまくる伯爵って電波をいまさっき受信したんだな

82mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/23(木) 01:25:46 ID:5gr1RUbg
>>57 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ!伯爵が手紙でも暴走w と思ったらロスマン先生までw
ホント、みんな良いキャラですよね。面白かったです。


>>69 Hwd8/SPp様
GJ! 賑やかないらんこ中隊良いですね。
面白かったです。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
そう言えば冬至だなー、と思い付いたネタを短くざっと書いてみました。
キャラ間の呼称については、フミカネ先生のSSを元に
「こうだろうな」と言う感じで書いていますのでご容赦を。

83citrus:2010/12/23(木) 01:27:22 ID:5gr1RUbg
 504基地の片隅に設置された扶桑式の風呂。隊員達の憩いの、そして癒しの場。
 浴槽に浮かぶ黄色い物体をひとつ取り、ドミニカは不思議そうな顔をジェーンに向けた。
「何で柑橘類を風呂に入れるんだ?」
「これって扶桑の風習だそうですよ。このユズとか言うのと一緒に風呂に入ると風邪ひかないとか」
 扶桑の風習はよく分からん、と呟くドミニカ。恐らく醇子辺りが、錦と天姫の為に本国から取り寄せたんだろうと推測する。
 でも、こうして皆ものんびり入ってると言う事は彼女なりの……、なるほど。とドミニカは軽く頷いた。
 一人柚子を持って頷いているドミニカを見て、不思議そうな顔をするジェーン。
 ぽたり、と天井から結露した雫が垂れる。
「ひっ、冷た! 大将、早く入りましょうよ」
 言われたドミニカは振り返って言った。
「ジェーンは入らなくても大丈夫だな」
「何でですか大将」
「アレは風邪ひかないって言うだろ……いたた」
「馬鹿なのは大将です!! さっさと入るです!」
 ジェーンに掴まれ、どぼんと肩まで湯に浸かる。
 誰かが握り潰したのか、柚子の残骸が幾つか湯の底に沈んでいる。
 しかしほのかな香り、少しだけひりっとした感触の湯は思ったよりも心地良く、身体を温める。
「美容にも良いらしいって、さっきフェルが言ってた」
 先に風呂に入っていたパティが柚子を指して言った。横でぼんやりと柚子を眺めていたアンジーもパティの声に反応する。
「隊長は真っ先に入ってたけど……そんなに効果が有るんだろうか」
「ま、竹井の言う事だから案外効果あるんじゃない?」
「らしい……か」
 つんつんと湯に浮かぶ柚子をつつく。
「皮と実から出るオイルとかエキスが良いんだって。もっと綺麗になったら私ホレちゃうかもね〜」
 ニヤニヤしながらアンジーを見るパティ。
「こ、こら! 私をそんな目で見るな! 可愛いとか関係無いだろ!」
「やだもうアンジーったら、可愛いんだから」
「……もう出る」
 顔を真っ赤にして浴槽から立ち上がるアンジー。照れか湯の火照りかは分からない。
「もうちょっとだけ一緒してよ、アンジー、お願いだから」
 パティにすがりつかれ……アンジーはやれやれと言った顔でもう一度ゆっくり浴槽に腰を下ろした。
「仕方ない」
 そんな二人のやり取りを見ていたドミニカ。
「大将、どうしたんです?」
「美容に良いらしい」
「さっきアンジェラさんとパトリシアさんが言ってたじゃないですか」
「ひとつ貰っていくか」
「へっ?」
 周りに浮いていた柚子の中でも特に色艶の良いのをひとつ掴むと、ざばあとドミニカは立ち上がる。
「さ、出るぞジェーン。一つ試したい事が出来た」
「それは何です?」
「まあ、来れば分かるさ。じゃあお先に」
 ドミニカは、浴槽から出たばかりのジェーンを引っ張り、風呂から去っていった。

 そんな“おしどり夫婦”を見ていたパティは、アンジーの脇をちょちょっと突いて言った。
「ねえ、どう思う? あの二人?」
「……割とどうでもいい」
「やっぱり……」
 湯気がほのかに香り、水蒸気となって窓や天井に付着し、雫となり、垂れ、落ちる。
 ぽたりと、一滴アンジーの頭に落ちた。
「つめたっ」
「水も滴る……ってね」
「風呂だぞ」
「そう言えばそうね」
 それきり何も言わず、ただそっと寄り添い、風呂を楽しむ二人。
 のんびりと、冬至の夕暮れは過ぎて行く。

end

84名無しさん:2010/12/23(木) 01:27:41 ID:5gr1RUbg
以上です。
504もフミカネ先生のご活躍で、
だいぶキャラが固まってきた感じですかね?
502と合わせて先が楽しみです。

ではまた〜。

85LWqeWTRG:2010/12/23(木) 04:36:18 ID:aB5UY9eA
>>84
GJです。
504も濃いい面子が揃ってますよね。
いろいろ暴れてくれそうで楽しみです。


もうそろそろ早朝という時間ですが眠れないので投下します。
幼稚園児ネタとかいうイミフな電波を受信して書いてしまったので変なものになってます。
それでもよろしければどうぞ。
2レスえいらにゃです。

86名無しさん:2010/12/23(木) 04:37:21 ID:aB5UY9eA
「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「なにしてるの?」
「たろっとのれんしゅー」
「たろっと?」
「ひとのうんせいをうらなうんだよ」
「へー、すごいねー」

「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「わたしのもうらなえる?」
「さーにゃちゃんのうんせい?」
「うん」
「いいよっ、うらなったげる! こっちきて!」
「うんっ!」

「こほん、それではさーにゃちゃんのうんせいをうらないます」
「はーい」
「…えっとね、まずはかーどまぜて……、これをこうして……」
「わくわく」
「あれ?」
「え?」
「う」
「どうしたの?」
「えへへ…、まちがえちゃった……」
「そっかぁ…、つぎはがんばってね」


「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ねむたくなあい?」
「うん、だいじょうぶ」
「おなかすいてなあい?」
「だいじょうぶ」
「そっかぁ」
「ねむたくなったらえいらちゃんといっしょにおひるねする」
「…うんっ!」


「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ぴあのひいて?」
「うん、いいよ」

87名無しさん:2010/12/23(木) 04:38:12 ID:aB5UY9eA
「♪」
「わたし、さーにゃちゃんのピアノだいすきなんだ」
「ふぇっ?」
「きれいで、あたたかくって、すっごくすてき!」
「や、やだ、えいらちゃんってば…」
「だってほんとのことだもん。わたしさーにゃちゃんだいすき!」
「!?」

「さーにゃちゃん…?」
「あ、あの…えっとね…?」
「うん…」
「しあわせに、してください…」
「え? うん」
「ほんと!?」
「う、うん」
「じゃあ、わたしえいらちゃんのおよめさんだねっ」
「ええっ!?」
「わたしたちけっこんするんじゃないの…?」
「えええっ!? なんで!?」
「ふぇ…してくれないの…?」
「うぇぇっ!? いやっ、ちがっ、…する! けっこんする!」
「…ほんと?」
「ほんとほんと! わたしがさーにゃちゃんをまもってあげる!」
「えへへ…、ありがと」


「けっこんするならちかいのきすしなくちゃ」
「きす?」
「ちゅーするの」
「!!?」
「どうしたの?」
「ちゅーしたら、あかちゃんできちゃう!」
「え?」
「わわわわたしたちにはまだはやいよさーにゃちゃん!」
「だいじょうぶよ、えいらちゃん」
「?」
「えいらちゃんのあかちゃん、きっとかわいいから!」



END

88名無しさん:2010/12/23(木) 04:41:21 ID:aB5UY9eA
以上です。
ひらがなばかり読みづらくて申し訳ないです。
タイトルは「ほしぞら幼稚園」です。

それでは失礼します。

89名無しさん:2010/12/23(木) 08:58:53 ID:u5yfEDQg
>>88
なんとロリロリしい…
ともかくGJです

90名無しさん:2010/12/23(木) 21:37:30 ID:qvOHhkJg
>>88
これは素晴らしい!頭身低いエイラーニャ可愛い過ぎる
GJ!

91名無しさん:2010/12/24(金) 00:00:56 ID:QV3JTF0c
キャラソンCDって延期になったんですか?それとももう発売されないんですか?

92名無しさん:2010/12/24(金) 06:10:51 ID:Wmffo2Fk
>>81
なにそれ素敵

935uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/25(土) 01:59:36 ID:00EtlIPc
>>69 Hwd8/SPp様
GJ! 面白かったです。
酔っ払ったエルマさん、鬼畜w

>>82 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。ドミジェンは鉄板として
パティ×アンジーの雰囲気もいいですね。

>>85 LWqeWTRG様
GJです。ちびエイラーニャが可愛すぎて悶えました。
他のキャラVerもぜひ見てみたいです。

こんばんは、2時間近く遅れてしまいましたが、ルッキーニの誕生日SSが出来たので投下していきます。
シャッキーニ(むしろルッキーニ×シャーリーかな?)で2レスお借りします。
ではどうぞ

94ゴニョゴニョするの 1/2:2010/12/25(土) 02:00:27 ID:00EtlIPc

「う〜ん、どうしよっかなー」
商品棚に並んである可愛らしいぬいぐるみを見ながら、あたしはぽつりと呟く。
ここはローマのとあるお店。
以前、ルッキーニや宮藤と一緒に買い出しに来たこともあるこのお店であたしが何を探しているのかと言うと……

「あら、シャーリー大尉じゃない」
「ん? その声は……」
聞き覚えのある声に呼ばれ、振りかえるとそこにいたのはフェルナンディア、マルチナ、ルチアナの3人。
504の赤ズボン隊の面々だ。
「おう、ティナにルチアナ。それに、フェルニャニュデュ……」
「フェルナンディアよ。わざとやってるでしょ」

あたしがわざとらしく名前を噛んだことにむっとして、頬を膨らませるフェル。
怒ってる表情も可愛らしい奴だな。

「ごめんごめん、ほんの冗談だよ。それで、フェル達はどうしてここに?」
「物資の補給です。ここには大抵のものが揃ってますから」
「そう言うシャーリー大尉こそ、どうしてここに?」
「実はさ、ルッキーニへの誕生日プレゼントを買いに来たんだ。まぁ、まだ何を買うかは決めてないんだけど」
「へぇ〜、ルッキーニちゃんってもうすぐ誕生日なんだ? 何日生まれなの?」
「24日だよ」
今日は12月21日、ルッキーニの誕生日が3日後に迫ってるというのにあたしはと言えば、まだ彼女へのプレゼントを決めていなかった。
いっそのこと、出かける前にルッキーニにそれとなく何が欲しいのか聞いとくべきだったな。

「クリスマスイブに誕生日だなんてなんだが素敵ですね」
と、目をきらきらさせながら言うルチアナ。
「そうかなぁ? クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にされそうだし、ぼくは嫌だな……あっ、そうだ!
良いこと思いついたよ。フェル、ルチアナ、ちょっと耳貸して。ごにょごにょ……」
ティナがニヤリと笑いながらフェルとルチアナにこっそりと耳打ちをする。
一体何の話をしてるんだ?
「あら、それは名案ね。シャーリー大尉、ちょっと来てもらえるかしら?」
「へ?」

――数分後、パンタローニロッシグッズ、いわゆる赤ズボン隊のグッズが置いてあるコーナーにあたしは連れてこられていた。

「こ、これをあたしがルッキーニにプレゼントするのか?」
「そうよ。可愛いでしょ」
猫の模様が入った赤いズボンをあたしに見せながら、フェルは微笑む。
確かに、赤ズボン隊のグッズが売ってるっていう話は前に聞いたけど、まさか赤ズボンそのものが売ってるとは。
なんでもロマーニャではこの赤ズボンをクリスマスにプレゼントする習慣があるのだとか。
「それで、シャーリーはルッキーニにこれをプレゼントして、こう言えばいいんだよ。ごにょごにょ……」
ティナが今度はあたしにそっと耳打ちをしてきた。
「な!? あたしがそれをルッキーニに言うのか!?」
「うん。そうすればきっと、シャーリー達は素敵なクリスマスを過ごせると思うよ」
満面の笑みをあたしに向けながらそう言うティナ。
可愛い顔して随分と大胆なことを言う奴だ。赤ズボン隊、恐るべし。

95ゴニョゴニョするの 2/2:2010/12/25(土) 02:00:54 ID:00EtlIPc

――そして、ルッキーニの誕生日当日

「じゃじゃーん! みんな、見て見て〜」
クリスマスパーティー兼ルッキーニの誕生会が終わり、みんなが談話室で談笑しているところに、
ルッキーニがあたしがプレゼントした赤いズボンを身に付けて入ってきた。
……やばい、可愛すぎる。
今のルッキーニにはいつもの縞々のズボンを穿いてる時とはまた違う可愛らしさがあって、なんだかすごく胸がドキドキしてくる。
お、落ちつけシャーリー。ここでドキドキするのはまだ早いぞ。
「わぁ、ルッキーニちゃん、可愛い〜」
「でしょでしょ? 芳佳、もっと褒めて〜。ねぇシャーリー、どう? 似合ってるかな?」
「ああ、似合ってるぞ。なぁ、ルッキーニ」
「なに、シャーリー?」
いよいよだ、いよいよ3日前、ティナに耳打ちされたことをルッキーニに言う時が来た。
あたしの胸の鼓動は先ほどより一層高鳴りを増す。
「実はさ、そのズボン、誕生日プレゼントじゃなくてクリスマスプレゼントなんだ」
「へ? それってどういう意味?」
「誕生日プレゼントが別にあるってことさ」
「え、本当!? どこにあるの?」
ルッキーニが目をきらきらさせながら、あたしの方を見てくる。
あたしは、そんな純粋なルッキーニの唇にそっと口付けを落とす。
「んっ……シャーリー?」
「……ルッキーニ、あたしを誕生日プレゼントに貰ってくれないか?」
「え?」

談話室に少しの間、沈黙が流れた。
その場にいた全員が、顔を真っ赤にしながらあたし達のことを見ていた。
最も、ハルトマンと坂本少佐は半分ニヤついていたけど。

「……それってつまり、あたしがシャーリーのことを好きにしてもいいってこと?」
沈黙を最初に破ったのはルッキーニだった。
心なしか彼女の目はさっきより一層輝いてるように見えた。
「ああ。なんてったってあたしはルッキーニの誕生日プレゼントだからな」
「ぱふぱふやゴニョゴニョもOK?」
「ああ、もちろん」
あたしがそう応えると、ルッキーニが今日一番の笑顔で笑ってくれた。
「やたっ! ぱふぱふし放題〜。じゃ、行こっシャーリー」
あたしはルッキーニに腕を引っ張られながら、談話室を後にする。
なぁ、みんな。
もしあたしがルッキーニにぱふぱふやゴニョゴニョされて明日の朝起きれなくて、
寝坊したとしても大目に見てくれよ。

〜Fin〜

965uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/25(土) 02:02:27 ID:00EtlIPc
以上です。ルッキーニ、誕生日おめでとう! それと遅れてごめん。
ちなみに、イタリアでは本当にクリスマスに赤い下着をプレゼントする習慣が
あるようです。
ではまた

97名無しさん:2010/12/25(土) 10:25:27 ID:bqArtca6
>>96
GJ!シャーリーお持ち帰りキタコレ
クリスマスに素晴らしいSSをありがとうございました。

98名無しさん:2010/12/25(土) 20:04:02 ID:eHNSsd9A
こんばんは、DXUGy60Mです。
クリスマスということで、クリスマスSSを投下致します。
最後までお読み頂けたら幸いに思います。

99Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:07:28 ID:eHNSsd9A

「騒がしいものだな、サトゥルヌス祭というものは」
「はい」
金と銀。好対象の髪を持つ二人は、窓の外の喧騒に目を遣る。
表では数人のウィッチが来たるサトゥルヌス祭のために色とりどりの飾り付けをしていた。
「街のほうでは、もっと賑やかみたいですよ」カップを持った両手を膝に揃えるようにしながら、
ハイデマリー・W・シュナウファーは右に視線を送る。
「まぁ、1年に1度の楽しみであるからな」
ムダの無い、スラリとした足を組み直しながら、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・
ザイン・ウィトゲンシュタインはカップの中の黒い液体を身体に流し込んだ。
「楽しい・・・んでしょうね」
「ん? まるでサトゥルヌス祭を楽しんだことの無いような口振りではないか?」
ハイデマリーがボソリとつぶやいた言葉を、ハインリーケは聞き逃さなかった。
「いえ・・・楽しかった思い出はあります。でも・・・それは・・・」
「それは?」
ハインリーケはカップを傾けながらも視線だけは、ハイデマリーを見据えていた。
「その・・・幽霊とサトゥルヌス祭を過ごしたんです」

何度かお話ししたことがあると思いますけど、私は小さい頃は魔力を上手く制御できなく
て、家からは一歩も出られなかったんです。部屋には暗幕が垂らされて、光源は小さな豆電球が一つ。
ただ、それっぽっちの光でも私には十分過ぎる光でした。
いつも部屋は白っぽい光で満たされていましたけど、私の心はそれ以上に暗く沈んでいました。
誰とも会えない部屋で、いつ終わるかわからない時間を過ごす。
楽しみといえば本を読むことばかり。
ただ・・・物語の主人公のイキイキとした姿を見る度に、私は・・・こんなところで何をしているんだろう。と自分の境遇が怨めしくなりました。
そして、囚われのお姫様が救い出される度に、誰かが私をここから連れ出してくれるのでは、と淡い希望を抱きました。
でも、外の世界では私は生きられない、外の世界の光が・・・私から光を奪う。
どうしようもない現実の壁はちっぽけな私の希望を閉じ込めました。
現実の世界にも虚構の世界にも私の行くあてなんか無かったんです。

私には、本当に何も無かった。

何もせず。ただ時間が過ぎるのを待つ日々が増えていきました。
・・・でも、両親は健在でした。カーテンを閉め、僅かなロウソクを立てての夕食。
これが私にとって唯一世界と繋がる方法で、生きている喜びを感じられる瞬間でした。
その日は、七面鳥やケーキが並べられていました。サトゥルヌス祭のお祝いでした。
当然、きらびやかな飾りなんかはありませんでしたけど。
夕食を終えて、プレゼントの本を抱えながら部屋に戻りました。
そしたら・・・無性に寂しくなりました。
サトゥルヌス祭のお祝いをしてくれたのは嬉しかったけど・・・楽しくはなかったんです。
本当は本に描かれたきらびやかなパーティーをしてみたかった。
たくさんの友達を招いて、皆でおしゃべりをして、歌を歌いたかった。
友達なんて一人もいはしなかったんですけど。
私は、ベッドにもぐりながら窓をじっと見つめていました。
もしかしたら、サトゥルヌス神が窓を叩いて私を連れ出してくれるんじゃないかなって。でも、いつまでたってもサトゥルヌス神は現れませんでした。
そんなことはわかりきっていたことですけど、それでも私は窓辺に近づき、普段開くことのない暗幕を開きました。
その時でした。
私の目の前には、窓の外の世界には、淡い月の光を受け、白く輝く幽霊たちがいたんです。彼らは無言でした。
でも、ゆらゆらと楽しげに空を舞う姿を見ながら、私は気がつくと涙を流していました。
そこにある世界が、夜の闇の中でしか生きられず、そこでしか輝くことのできない彼らの世界こそ、私が生きるべき世界なんだ。
私はそう思いました。
そして、彼らがいなくなるまで私は、その時間、空間を幸せな気分で過ごしていたんです。

100Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:17:22 ID:eHNSsd9A

「で、それで終わりか?」
「は・・・はい」
「だらだらと長い話の終わりがそれか、下らぬ」
ハインリーケは酷く長いため息をつく。
ハイデマリーはこうなることを予期してか、表情を変えることなく俯く。
いや、そもそも表情のバリエーションが少ないのかもしれない。その心情を表情から察することは出来ない。
「幽霊たちと過ごしたと言うから何事かと思えば、そんなものはただの雪であろう。雲間
からの月の光が雪に反射したものを、当時のそなたの目の夜間視能力によってその淡い光を
多く取り込み過ぎた。それが幽霊のように見えた。ただそれだけであろう」
「はい、恐らく」
「長い時間を費やしてこれだけか」
ふぅ、と再びため息をつきながらはハインリーケ立ち上がった。
「わらわは部屋に戻る」そう言いながら立ち去ろうとしたがふと向き直ると、
ハイデマリーを指差し「そうだ、そんなに友人が欲しいのなら、靴下に入れておいてもら
えるようにサトゥルヌス神にでも頼んでおいたらどうだ」
言い終わると、皮肉めいた微笑を残して、スラリとした肢体を反転させさ、その場を去った。
ハイデマリーはその姿を見ながら、ハインリーケの言った通りにすべきなのかもしれないと、またも俯いてしまった。

101Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:17:56 ID:eHNSsd9A

サトゥルヌス祭当日の夜。

ハイデマリーはシフト関係で夜間哨戒の任務は無く、早々に床に入った。
いつ頃だろうか。
ハイデマリーは自分を呼ぶ声が聞こえるような気がした。
しかし、どうせ気のせいだとハイデマリーは目を閉じたままだ。
だが、おい! わらわの声が聞こえぬのか! ハイデマリー・W・シュナファー!
間違いなく自分を呼んでいる声にハイデマリーは何事かと目を開いた。
眼前にはハインリーケがいた。
「・・・あの、なんでしょう? 緊急の召集でしょうか?」
「まさか、本当に友人が欲しいと書いてはおらぬだろうな?」
「え? ・・・いえ、書いていませんが」どうも会話がちぐはぐだ。
「そうか・・・ならば耄碌したサトゥルヌス神が何か勘違いをしたのだろう。まったく。
突然連れ去られたときには、営利目的の誘拐事件か何らかの策謀かとも思ったが、まさかここに行き着くとは」
ハインリーケは両腕を組み、憮然とした調子でそう呟く。
ハイデマリーは何となく自分の置かれた状況を理解したが、それでも不思議そうにハインリーケを見詰める。
ふと、足元に目がいく。
ハインリーケはブーツを履いたまま、片足だけが靴下に突っ込まれている状態だった。
その靴下にハイデマリーは見覚えがなかった。

102Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:18:12 ID:eHNSsd9A

「しかし、目が冴えてしまったな。ハイデマリー!」
「は、はい」
「わらわの身体に適度な疲れをもたらすために夜間飛行としゃれこもうではないか」
「え?」
「既にストライカーユニットは用意してある」
「・・・既に?」
「たまたま用意されていた」
小首を傾げながらのハイデマリーの言葉を言下に遮り、ハインリーケは窓に近寄りそれを開いた。
肌を刺す風が流れ込む。窓の下には確かにストライカーユニットが設えてあった。
「さぁ。参いろうか」
「あ・・・あのまだ準備が」
ハイデマリーは薄手の寝間着姿のままだ、これでは外に出ては寒い。
「上着はこれを着れば良い」ハインリーケは、足元にあった何かをハイデマリーに向かっ
て放り投げた。ハイデマリーはそれを受け取ると、手のひらに滑らかな感触と暖かみを感
じた。渡されたのは上品に仕立てられたベルベット地のコートであった。
これもハイデマリーには覚えが無い代物だった。
ハイデマリーがコートに腕を通していると、「これも使うが良い」そう言うと、
自分のブーツといつの間にか一揃えになった靴下を手渡された。
ハイデマリーは慌ててそれらを着込むと、窓辺に近づく。
ハインリーケは、既にストライカーユニットを装着し、身体を部屋に向けながら中空に浮遊していた。
「あ・・・あの、私はどうすれば」
「飛び込めば良い」
「え?」
ハインリーケはにわかに腕を広げた。
「怖がるで無い。下手な地面より余程盤石だ」
ハインリーケは自信に満ちた目でハイデマリーを見つめた。
ハイデマリーはその瞳に応えるように、窓枠に足をかけると夜の闇に身体を踊らせた。

「誰かを抱いての夜の飛行は初めてだな。ハイデマリー、誰かに抱かれて空を飛ぶのは初めてか?」
「はい」
身長差のある2人であり、ハイデマリーは出来る限り身を縮めての腕の中に収まろうとしていた。
ハインリーケの腕の中は暖かく柔らかくて、とても良い匂いがした。香水のようでもあるが、
ハイデマリーには匂いの元は判然とせず、ハインリーケが生まれながらにこの匂いを纏っているようにも思えた。
「星も月も今夜は見えぬな」
ハイデマリーは顔を上にあげる。空は厚い雲に覆われていた。ふと、頬に冷たさを感じる。
「雪か。白きサトゥルヌス祭というわけだな」
天空に向けた2人の視界には、ちらちらと雪が舞い降りてきていた。
「寒くはないか?」
ハインリーケの腕の力が強まる。
「いえ、大丈夫です」ハイデマリーも自然とハインリーケの首に回していた腕の環を縮め、
ハインリーケに身体を密着させた。
「・・・柔らかいな」
「え? 何ですか?」
「何でもない」
ハインリーケはどこかムスッとした顔つきとなる。
「あっ」
「ん? どうした?」
「月が」
天空の暗幕に切れ目が入る。そこから、夜の女神が顔をのぞかせた。
舞い落ちてくる雪は、女神の祝福を浴びるようにして夜の闇の中でその存在を一層強調した。
「ハイデマリー」
「はい?」
「今も幽霊に見えるか?」
「いえ、流石に今は」
ハイデマリーは雪を見ながら自嘲気味な表情を浮かべた。
あの時あんなに憧れた存在にも関わらず、それはただの自然現象にしか見ることはできなかった。
「もう一緒にいる必要もあるまい。・・・今はわらわがいるであろう。わらわはあの亡霊どもに負けるのか?」
「いえ・・・そんなことは」
ハイデマリーはハッとしてハインリーケを見つめる。
「そうであろう」ハインリーケは、勝ち誇った満足気な笑みを浮かべた。
「それに・・・こんなぬくもりは、あのものどもでは味わえぬぞ」
ハイデマリーは幽かに口元を緩める。本当に、本当に心地の良い空間だった。

・・・うん。

Fin

103mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/25(土) 22:53:51 ID:seowT7Jw
>>88 LWqeWTRG様
GJ! ちいさなエイラーニャ、これはほっこりしますね!
幼稚園の砂場とか、部屋の片隅で普通に会話してそうで和みました。

>>96 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! プレゼント&お持ち帰りキター! これは萌えます!
赤ズボンの3人が普通に言う辺り流石ロマーニャ人はひと味違うw

>>102 DXUGy60M様
GJ! 姫様かっこいい! もうハイデマリーのナイト(騎士)と言うか守護者ですね!
ハイデマリーの思い出も儚げで良いです。素晴らしいです。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜はクリスマス……SW世界では別名らしいですが、
とりあえず思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

104ribbon 01/03:2010/12/25(土) 22:54:26 ID:seowT7Jw
 年末の祝祭日、久しぶりにちょっとした贅沢な夕餉の席での事。
 シャーリーは、風呂上がりのトゥルーデに異変を感じた。
 いつもはぎゅっと縛っているふたつのお下げ。ひとつが無い。
 左のひとつはいつも通りぎゅっと髪をまとめているが、右にあるべき結びは無く、髪がはらりはらりと、ほつれ、艶やかにしだれている。
 思わずごくり、と唾を飲み込むシャーリー。
「な、何だシャーリー。私をそんな目で見るな」
「え、どんな目してた?」
「いや……何でもない」
 歯切れの悪いトゥルーデ。
「いや、あんたの髪の毛、片方縛ってないからどうしたのかと思ってさ」
「こっこれは……」
「また何かやったのかい?」
「違うんだ。風呂で、ハルトマンにちょっとした賭けで負けて……その」
「あー、それ以上は言わなくて良いよ。大体分かる」
「そうか」
「でもさ。珍しいね、堅物が賭けするなんて。それに……」
 ずいと近付き、ふふんと笑ってトゥルーデを見るシャーリー。
「こうして見ると、なかなかどうして、あんたも可愛いな」
「なっ、何を言う! リベリアン貴様からかっているな!?」
「あー。言い方が悪かった。美人に見えるぞ」
「……」
 悪意の無い笑顔で言われ、言葉に困るトゥルーデ。
「あ、いたいたシャーリー!」
「おおー、ルッキーニ。どうした」
「みてみて、あたしの髪〜」
「おお。よく見たら結び方変えたのか〜面白いな」
「でしょでしょ?」
 よく見るとトゥルーデと同じ様な結び方をしている。
「なんかバルクホルンに似てないか?」
「ウニュー ハルトマン中尉にじゃんけんで負けてこんな髪に」
「何だ、ルッキーニもハルトマンにやられたのか。風呂で何やってたんだよ。しかしこうやって見ると……姉妹、には見えないか」
 ニヤニヤ顔のシャーリーはルッキーニとトゥルーデを見比べて言った。
「あのなあ、リベリアン……」
「やーだー、あたしシャーリーがいいんだもん!」
 シャーリーの胸に顔を埋めるルッキーニ。
「あはは、ルッキーニは可愛いなあ」
「……やれやれ。今日はサトゥルヌス神祝祭だと言うのに」
 シャーリーとルッキーニのやりとりに付いて行けず、席に戻る。

105ribbon 02/03:2010/12/25(土) 22:55:12 ID:seowT7Jw
 いつの間に来ていたのか、エーリカがにやついてトゥルーデを待っていた。
「どう?」
「どうと言われても……結んでいないと何かと不便だ」
「そうじゃなくて、周りの反応」
「え?」
「トゥルーデ鈍感だから……」
 エーリカは、トゥルーデの縛り紐をひとつ手にしてにやけ、周囲を見た。
 つられて一緒に他の隊員を見る。
 ペリーヌと視線が合う。はうっとした顔を一瞬見せたペリーヌは、ぷいと顔を背けた。
 芳佳とリーネはこっちを見てひそひそと何か話していたが、トゥルーデの視線を受けてびくりと身体を震わせて食事に専念する。
 サーニャは、寝起きなのかぼけーっとトゥルーデの髪を見て居たが、エイラに無理矢理食事を食べさせられる。
「ほらね」
「何?」
「少し感じ変えただけで、みんなトゥルーデの事気になって」
「普段と勝手が違うから皆戸惑っているんじゃないのか」
「違うんだな〜これが。ねー、ミヤフジ」
「は、はい!?」
「どう? トゥルーデの、この髪」
 言いながら、さりげなく下ろされた髪の毛をふぁさっとトゥルーデの顔の前に持ってくる。
「はい! 凄く可愛いと思います!」
「何ぃ!? 可愛いだと?」
「ご、ごめんなさい……でもバルクホルンさん、いつもそんな髪しないから……」
「まあ、な……普段は邪魔にならない様に結んでいるんだが……どうも鬱陶しい」
 本人はばさっと煽ったつもりだったのだが、それがどうにも乙女の仕草に見えたらしく、芳佳とリーネはほわわ、と言った顔をしている。
「な、何だその顔は?」
「バルクホルンさん、いっそ両方下ろしませんか?」
「私は寝る時と風呂以外、髪は縛る主義だ」
「今日だけお願いします! もっと見たいです!」
「見たい? 見世物じゃないぞ」
「ね、トゥルーデ?」
 横で頬杖をついてにやつくエーリカ。
「私からもお願いします。たまには雰囲気の違うバルクホルン大尉も見てみたいです」
 リーネも芳佳と一緒になってお願いに回る。
「私も……少し見てみたい」
「サーニャまで……」
「おい大尉、サーニャが言ってるんダ、少し位良いダロ〜?」
「エイラ、何でお前に命令されないといけないんだ。お前こそ髪を縛れ髪を」
「イヤダネ」
「まあ、今日は半分で勘弁してあげてよ」
 トゥルーデの横に立ち、ふぁさっと、髪をすくい上げて、はらはらとこぼすエーリカ。
「こらエーリカ、勝手に……」
 それを見た隊員達はトゥルーデの前にずいと近付いて言った。
「バルクホルンさん、髪手入れしたらもっと綺麗になれます!」
「そうです、縛ってるだけなんて勿体ないです!」
 いつの間にか隊員に囲まれてたじろぐトゥルーデ。
「いや、た、戦いには必要ないだろう。と言うかこれは個人の勝手だ!」
 席を立ち、皆に背を向ける。髪がなびき、嗚呼、と皆の溜め息が漏れる。
「たまには言う事聞いてよお姉ちゃん」
「!?」
 姉、の単語に反応したトゥルーデは、物凄い勢いで振り向き、声の主を探す。
 何の事は無い、いつの間にか隊員に紛れて茶化すエーリカだった。
「こらエーリカ! 声色変えて何て事言うんだ! 来い!」
 トゥルーデはエーリカの首根っこを掴まえると、食堂から出て行った。
 ミーナは、あらあらと言った感じでその様子を苦笑いして見ていた。

106ribbon 03/03:2010/12/25(土) 22:55:43 ID:seowT7Jw
 部屋に戻ったトゥルーデとエーリカは、ベッドの上で気怠そうに髪をいじくっていた。
「つまんないの、トゥルーデ」
「遊ばれてる私の身にもなれ……」
「でも、私は良いと思うよ。髪。縛らなくても」
「どうして」
「そうやって縛ってると、何か息苦しくない?」
「動きやすいし邪魔にならない」
「機能的な事じゃなくてさ……見てると何かそんな気するよ」
「そう、言われても」
「じゃあ、私の前では半分で良いから髪解いてよね。そう言うトゥルーデ見ていたい」
 手を伸ばし、髪をすくう。はらはらとしだれ落ちるダークブラウンの髪の匂いを嗅ぎ、そっと口付けする。
「や、やめてくれ……くすぐったい」
「私の髪、ちょっと短いからさ。トゥルーデみたいに長いの、羨ましいよ。いっそミーナみたいに長くしてみたら?」
「うーん……もっと面倒だな」
「そう? 私はちょっと興味有るな」
「まあ……そのうちに」
「とりあえず、今は半分で良いかな」
 トゥルーデに抱きつき、そのままベッドに押し倒すエーリカ。
「後で、全部解いてあげるよ、トゥルーデ」
「また何か思い付いたな、エーリカ」
「ちょっとね。……ねえ、トゥルーデ」
 顔を近付けたエーリカを拒まず、そのまま受け容れるトゥルーデ。
 唇が重なる。
 エーリカは口吻を続けながら、トゥルーデの結んでいる片方の髪を解いた。
「今夜、楽しくなりそうだね。トゥルーデ。今日は何の日か知ってるよね?」
「ああ。家族や大切な人と過ごす日……」
「分かってるなら、ね。トゥルーデ」
「エーリカ……」
 トゥルーデに何も言わせず、エーリカはもう一度唇を重ねた。」

 その頃、ミーナはひとり、部屋の鏡を前に己の髪を見、あれこれ試していた。
「案外、難しいものね……」
「どうしたんだミーナ」
「きゃっ美緒! 部屋入ってくるならノック位してよ!」
「ああすまん、つい忘れてた。……で、何をやっているんだ?」
 不思議そうにミーナの髪を見る美緒。目の前で慌てふためくカールスラントの乙女は、自分の髪を何か結ぼうとしているらしかった。
「ちょっと……ね」
 気まずそうに言うミーナを見て、美緒は笑った。
「結ぶなら、私と同じにしてみるか? 佐官二人で同じ格好だったら、祭のちょっとした余興になるな」
「他の子達がヘンに思うでしょう……もう、美緒ったら。知らない」
「冗談だ……おいミーナ」
 501の“聖なる夜”は変わらず更けていく。

end

107名無しさん:2010/12/25(土) 22:56:29 ID:seowT7Jw
以上です。
アガハリさんの、髪が半分解けたトゥルーデのイラストを見て
反射的に思い付いたのがこのSSです。
しかし、今日はクリスマスだけどSW世界では「クリスマス」ではなく
「サトゥルヌス神祝祭」なんですね。つい最近知りました……orz

ところで、保管庫早く復旧すると良いですね。復旧楽しみにしてます
&気長に待ってます。

ではまた〜。

108名無しさん:2010/12/25(土) 23:32:47 ID:7JpSKIXI
こんばんは、Hwd8/SPpです。
今日は様々な方が投稿されてますね(*^_^*)
この流れに乗っかって投稿します!


【ジョゼの減量計画】

「まだおかわりありますよー?」

食堂に下原の声が響く。
この日、ガリア方面から援助物資が届き、その中に名物の菓子である「シュ・ア・ラ・クレム」ことシュークリームも冷凍されて届いたのであった。

「あ、はいはいはい!!!!私、頂きますっ!!!!」

「ジョゼ…お前よく食うなあ…」
と緑茶が入った湯呑を片手に呆れる菅野。

「腹壊すなよ?」
雑誌を読みながら声をかけるニッカ。

「大丈夫、お腹痛くなったら自分がジョゼ君にイチジク浣腸するからねっ!」
と満面の笑みで言うクルピンスキー。

「大丈夫!大丈夫ですからっ!!!!…下原さん、お願いします」
「え…?でも3個目じゃあ…?」
「私、こう見えても『やせの大食い』なんですっ」
「ギャル曽根みたいだね、ジョゼ君」
「まさかぁ〜!」

冗談のつもりで腹太鼓を叩くジョゼ。

ポンッ!

…良い音が鳴ったが、次の瞬間!

バチーンッ!!

「あれっ…?」

バシッ!!!

「あ痛っ!!!!」

なんと、事もあろうかサーシャのおでこに自分の着ていた服のボタンが勢い良くヒットしたのである。
しばらく無言で悶絶するサーシャ。その様子を笑いながらクルピンスキーは、

「うわあ、ホームビデオ大賞が受賞出来るレベルだよジョゼ君;;よりによっておでこにだなんて…あはは」
「ごめんなさいっ、サーシャさん;;;」
「…っ!!ジョゼさんそこに正座!!」
「はいぃぃぃ??!!」

109名無しさん:2010/12/25(土) 23:33:25 ID:7JpSKIXI
>>108の続き。


食堂のフローリングに正座するジョゼ。
いつの間にか菅野とニッカは居なくなっており、その場にはサーシャとクルピンスキーと正座しているジョゼだけである。

「なんですか?!この肉は!」
ジョゼのわき腹の、少し出た肉をつまむサーシャ。

「痛たたたたた!!!!」
「ちょっと熊さん、暴力的だよ?平和に;;ね?」
「ごめんなさいっ!;;」
「それに熊さん、おでこが赤いし!」
「誰のせいで赤くなったのかしらぁ?」
「ごめんなさ〜い;;」
「ったく…前から言おうと思ってたけど、ジョゼさんは食生活が乱れ過ぎです!」
「ごもっともです…」
「何を食べたか言ってみなさい!」
「えっと…今日のですか?」
「えぇ、今日のよ!」
「まず7時30分に朝ご飯で…食パン2枚ロールパン3個、目玉焼き2個にサラダ1ボール…そしてヨーグルトを食べました。あ、下原さんの分も戴きました」
「…何!?目玉焼き2個だなんて…2つも食べたらあなたコレステロールが!!」
「はいはい、熊さんは検診センターのおばちゃんじゃないでしょー。さっ、続けて」
「…洗濯物干してたりしててちょっと小腹が空いたんで、冷蔵庫にあったチーズを食べました」
「え?!ジョゼさん、2時間30分の間隔でまた食事?!」
「はい。6Pチーズのうち4P食べました」
「ほとんど食べてるじゃないの!!!!」

ジタバタ暴れるサーシャを後ろから抑え込むクルピンスキー。

「さっ続けて」
「12時過ぎにお昼ごはんで…私が担当しました。そして作った鮭のクリームパスタを2人前」
「どうりで私の分が少なかったワケね!!」
「うわあ、熊さん人間的に小さいよ;;;」
「お昼の3時に下原さんとおやつで、扶桑から送られてきたと言う塩大福3つと芋羊羹5切れ頂きました。7時に夜ごはんでふかし芋4個に北欧風ミートボールを2皿、ポタージュスープを3杯おかわりしました」
「………」
「…あれ、熊さんもうコメントしないの?」
「だって…どう言ったら良いのやら…」
「ジョゼ君、それが全てかい?」
「…あ!」
「まだ何かあるんですか??!!」
「…明け方に『キャベツ太郎』食べました」









今度は脱衣所へ移動する3人。

「ふえ〜ん!なんで脱がすんですかぁ?!」

何故か下着姿のジョゼ。

「熊さん…いつもだったら女性のこうゆう恰好見ると興奮するんだけど、今日は興奮しないなあ。どうしてかな?」
「決まってます!ジョゼさんがデバラ焼き肉のたれだからです!!!!」
「………」
「………」
「ジョゼさんがデバラ焼き肉のたれだからです!」
「熊さん、二回も言わなくて良いよ…。スベってるのわからないのかい?」
「…っ!!もう早く体重計に乗っちゃいなさい!!!!」
「はいぃ…」

ゆっくりと体重計に乗るジョゼ。

「…伯爵、ジョゼさんは何キロ?」
「うーん…千葉ロッテの岡田選手の背番号だね」


***

110名無しさん:2010/12/25(土) 23:34:01 ID:7JpSKIXI
>>109の続き。


翌朝。

「あれ?どうしたジョゼ?」
「おはようございます」
「朝練に参加するの?」
「はい!今日から私もお願いします!!」

菅野とニッカがいつもしている朝練に参加する事となったジョゼ。
サーシャによるジョゼのダイエット計画として、

①朝練による運動
②食事制限
③暇な時間は筋トレ

と言う運びになった。

朝練後、
朝食なのだが…。

「ジョゼさんは…食べないんですか?」
「大丈夫です!下原さん、このフルーツ盛り合わ……じゃない、リンゴだけください!」

ジョゼの朝食はリンゴ1個のみである。

「ロッキーみたいですね…」

サーシャによるジョゼの一日の食事メニューはこうだ。
朝:リンゴ1個
昼:ミネラルウォーター
晩:リンゴ1個
のメニューになった。

***


こうしてメニューが続いて早3日…そして事件は朝練時に起こったのだ。

「おいジョゼ、大丈夫か?」
「えぇ、大丈…夫ですからっ」
「おいおい明らかに大丈夫じゃないだろ、様子が変だぞ…?;;」
「寝て…ないからかもしれませんね………っ!!」

バタッ!!


「おいジョゼ!しっかりしろ!」
「医務室に運ぶぞ!!!!」


















「………んっ」
「おっ、起きたか」
「たっ、隊長??!!」

ジョゼが目覚めると病室のベッドの上に寝かされており、
ラルが横に居た。

「まあまあ横になってろ」
「すみません…」
「栄養失調だそうだ。話を聞くと、お前あんだけ食うのに急にやめたそうだな?」
「はい、そのぉ…」
「さっき泣きながらサーシャが私に謝ってきてな…謝るのはキミにだろうって」
「でもお前もお前だ。明らかにおかしいだろ、リンゴとミネラルウォーターって」
「確かに…疑問には思ってましたが、サーシャさんが怖かったですし…」
「大丈夫、キツーく叱っておいた。だけどもう終わり、サーシャを責めたりするな」
「はい、わかりました」
「あと1時間もすれば起きても良いそうだ。それまでまだ寝てなさい」
「了解です…」

111名無しさん:2010/12/25(土) 23:35:09 ID:7JpSKIXI
>>110




そして1時間後。
起きたジョゼがまず向かったのは良い匂いがする食堂であった

「んっ…良い匂い」
「あ、ジョゼさん!!」

声をかけたのは下原であったが、厨房にはサーシャもいた。

「サーシャさんがですね…お詫びがしたいって」
「え、でも…」
「気付いたそうなんです、カロリーが少ない物であれば普通に食べても良いのではないかって」
「あ…ありがとうございます!!!!」


こうして徐々に体力が回復していったジョゼであった………。


「おかわり!」
「えっ?!ちょっとジョゼさん?!」
「カロリーハーフは2倍食え!これがデブキャラの鉄則です!」
「あなたいつからデブキャラに転身?!………ジョゼさん、そこに正座!」


【おわれ】



なんか今回は久しぶりにハジけ過ぎた感じがします;;;

112mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/25(土) 23:56:26 ID:seowT7Jw
>>111 Hwd8/SPp様
GJです。毎回ハイテンションで楽しく拝見してます。


たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜はクリスマス……SW世界では「サトゥルヌス神祝祭」ですが、
もうひとつ思い付いた短いネタをひとつ。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。

113in the holy night:2010/12/25(土) 23:58:17 ID:seowT7Jw
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
さて今夜は何の日かわかるかナ? ……そう正解、今日はサトゥルヌス神祝祭ダ!
別の世界じゃ「クリスマス」って言うらしいけどナ。まあお祝いだから細かい事はどうでもいいんじゃないカ?

「……」

さて、今夜はクリスマス……じゃなくてサトゥルヌス神祝祭スペシャル!
と言う事でリスナーの皆様からのお便りを読むゾ〜。
って、お便りたったの一枚? サーニャ、今夜はこれダケ?

「うん。早く読んで」

一枚だけ、カ……。何かこの時期こんな展開が有った様な無かった様ナ……。
では早速読むゾ。ラジオネーム「ついてないひと」……これ、502JFWカラ??

「それが何か?」

ま、またカヨ……。読みたくないんだけド……

「読んで」

はい、読みまス。サーニャが妙に怖いンダナ。

『イッル、ずっと待ってたけど、いつになったらあの日の約束果たしてくれるんだよ!?
私が502に行ってて、そっち行けないのを良い事に、サーニャさんと何かしてないだろうな?
まずは本妻の私をs

(紙を破る音)

……。

「……」

ササササーニャ違う、これは誤解ダ! ニパの悪戯ダ!

「何が誤解なの? ニパさんて悪戯好きだったっけ?」

サーニャ、こっち見て話シヨウ? てか何でフリーガーハマーのセーフティ外したのか
意味不明ナンデスケド……。てかこんな展開前にも有った様ナ……。

「エイラ。『本妻』って何? 意味を教えて?」

……いや、だから冗談なんだってバ。ホント。
てかニパ二度もふざけやがって、今度会ったらまずは撃墜ダナ。

「じゃあ、まずはエイラから?」

フリーガーハマーこっちに向けないでくれるかなサーニャ?

「エイラ」

はい、何でしょウ?

「色々お話ししよう? 哨戒終わったら、色々と……そう、いろいろ、と」

いいい今すぐ話シヨウ! サーニャは物凄い誤解をしてるゾ。本当ダッテ! ……そんな目で私を見るナー!
うう、ニパ覚えてろよチクショー! 何の恨みが有っテ……

とととりあえず今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」をワンフレーズだけ聴きながらお別れデス。

end

114名無しさん:2010/12/25(土) 23:58:34 ID:seowT7Jw
以上です。
この後エイラとサーニャがどうなったかは……
まあ、クリスマスもといサトゥルヌス神祝祭ですからね!


ではまた〜。

115名無しさん:2010/12/26(日) 21:33:56 ID:azXKpOf.
クリスマス終了のお知らせ

116名無しさん:2010/12/26(日) 23:04:41 ID:.gZuS5yc
エーゲル最高です!!

117mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/26(日) 23:56:51 ID:xnltHbC6
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
なお今回は、前回の>>113「in the holy night」の続きになります。
ではどうぞ。

118day after tomorrow 01/02:2010/12/26(日) 23:57:20 ID:xnltHbC6
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
さて今夜は……サトゥルヌス神祝祭の後夜祭スペシャルダゾ。リスナー皆さんはお祭りの夜をどんな感じで過ごしたカナ?
……私? 昨日の夜は散々だったゾ。サーニャの機嫌直って貰うのにどんだけ大変だったかって、そりゃあ、

「で、約束はまだなのかよイッr

(MG42の射撃音)

さて、そんな訳でサーニャ、リスナーさんからの手紙を宜しくお願いシマス。

「エイラ……ニパさん登場し終わってないのに撃墜してる……」

前回の公約だからナ。ま、ちょっとした軽い挨拶みたいなもんダヨ。もう紹介なんて良いから、ささ、お手紙お手紙。
ええっと……? 公表すると色々ややこしくなるので所属と国籍は内緒でお願いします、の、匿名希望さん、カ。
……ふむふむ。なんか彼女も大変そうダナ。ではお便り読むゾ。

『エイラさん聞いて下さい。私の部下(ウィッチ)が、突然、部隊の転属願いを出してきたんです。
何事かと思って一対一で話を聞いてみたら、付き合ってた他の隊員(ウィッチ)と別れたので
隊に居場所がなく、このまま居ても皆に迷惑が掛かるからどこか別の部隊に行きたい、との事でした。
私達は別に恋愛してる訳じゃなくてネウロイと戦ってるんだからそんなの関係ないし許さない、と
引き留めたのですが、彼女曰く「同じ隊に居る以上、毎日一緒だし、どうしても気になって目が行ってしまう」と。
エイラさん、彼女は優秀な部下なのでこう言う形での隊員の損失は避けたいし許し難いです。
どうやって引き留めたらいいでしょう?』

なるほど、人間関係か……難しいけどズバリ言わせて貰うゾ。
匿名希望さん、部下の子にはこう言うんだゾ。

ネウロイだけに目を向けロ!

「本来の目的に集中しろって事?」

そそ。とにかく敵に集中。敵をひたすら撃墜。そうすれば自然と元カノの事なんか忘れるゾ。
しかも戦技もスコアも伸びまくり。良い事だらけダナ〜。
……まあ、結局はどうしても見ちゃうだろうけどナ、元カノ。

「それじゃ、ダメじゃない」

まあ、こう言う人間関係は何処でもきついと思うけどナー。
でも私達はウィッチだから、本来の目的と言うか、使命を忘れちゃダメダゾ。

「だからイッルは中尉になったのかっ!」

あれ、ニパが戻って来た。早いナ。って言ってる意味が分からないゾ。

「イッルはやっぱり私の事忘れる為に501に行って、サーニャさんと!」

……おい、どこをどうしたらそんな話になるんだヨ!?
それに何ダヨ、この前の、悪戯の手紙。

「悪戯な訳あるか! イッル、私に原隊で言ったよな!? 私をy

(MG42の射撃音)
(フリーガーハマーのバックブラスト音)

みんな、とりあえず冷静になろウ。

「冷静になるのに撃つの? エイラ、撃つの凄い早かったけど」

サーニャも何故かフリーガーハマーを早撃ちした気がするゾ。
まあ匿名希望さん、そう言う訳で頑張って下さいネ。

119day after tomorrow 02/02:2010/12/26(日) 23:58:01 ID:xnltHbC6
次のお便り。……これは、ウィッチからじゃないけど、たまにはまあ良いのかなァ。後夜祭だし。
ブリタニア在住、「妹」さんから。

『入院中の私に、お友達が新しく出来たんです。
そのお友達はお姉ちゃんと同じウィッチで、とても面白くて優しい人なんです。
でも、私のお姉ちゃんは、そのお友達にとても冷たいんです。
「あんな奴と話していると時間の無駄だ」とか「バカが移る」とか、ひどいんです。
この前病院で偶然お友達とお姉ちゃんが会った時も
「貴様、私の妹に手を出すつもりかっ!!」ってものすごい怒って……。
どうしたらお姉ちゃんとお友達が仲良くなれますか?』

まさか、この「お姉ちゃん」って……

「た、多分、そうだと思う」

うーん。難しいナァ。でもとりあえず「妹」さん、ズバリ言わせて貰うゾ。

お姉ちゃんとそのお友達で食事行って仲良くすすれば良いと思うゾ。

「なあイッル、それ502JFWの(自主検閲)じゃね?」

ニパいつの間に。てかいきなり特定出来ちゃう名称出しちゃ駄目ダロ。あえて伏せるゾ。

「だってこの前、(自主検閲)がブリタニアにお見舞いに行ってたって聞いたから、その人で多分合ってるよ」

ホホウ。で、その人って……

「まあ、知っての通り、変態だね。その『お姉ちゃん』て人が怒るのも無理無いと思う。だってもの凄いいい加減なんだもん」

なんかもう伏せても意味無い気がしてきたゾ……。
でも仮にその人だとしたら、「お姉ちゃん」と元の部隊が一緒って前に聞いたからあんまり仲良くないとは思えないケド……

「エイラ。仲間として仲が良いのと、妹のお友達というポジションだと見方も変わると思う」

うーん、確かにサーニャの言う通りダナ……。

「いや、あれは確かに『お姉ちゃん』じゃなくても心配するレベルだと思う」

ニパまで真面目な顔して……一体どんな人なんだヨ。
でも結局、こう言うお姉ちゃんは、どんなお友達が出来ても気になってしょうがない性格なんだと思うゾ。
これはもう「心配性」とかそっちの方向だと思うナ。
でも逆を言えばそれだけ「妹」さんの事を大事に思ってるって事だから、その意味では安心してイイゾ。

「あんまり解決になってない様な……」

ともかく、後夜祭はこんな感じで以上!
次は新年スペシャルとか有るかも知れないゾ? あんな人やこんな人がゲストに来るかも?

「えっ」

「えっ」

な、何だヨ。二人してそんな目で私をミンナー! たまにはゲスト来たって良いダロ?

「あれ? エイラ、ニパさんはゲストじゃないの?」

「て事はイッル、私はゲストじゃないのか? じゃあ私、レギュラーって事? やっt

(MG42の射撃音)
(フリーガーハマーのバックブラスト音)

ニパと掛けて番組のエンディングと解く。そのココロは……どちらもオチ(落ち)が有りマス。……ってベタな謎かけダナ。

「エイラ、そんな事言ってないで。何気にニパさん3回墜落してる。さすがにかわいそう」

大丈夫、今日は後夜祭だから。サーニャも撃ってたし。

「そう言う理由?」

最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
占いコーナーは、次回に乞うご期待!

end

120名無しさん:2010/12/26(日) 23:59:06 ID:kx0VnQs2
以上です。
この続きは、そのうち書きたいですね。

ではまた〜。

121名無しさん:2010/12/27(月) 20:32:40 ID:7I8AT1V.
ラジオ終わるのか……さびしい

122名無しさん:2010/12/29(水) 10:29:08 ID:eoulqTvw
保管庫復活したね

123名無しさん:2010/12/30(木) 16:59:23 ID:05.iGgSg
年の瀬にこんばんは、Hwd8/SPpです。
あ、保管庫復活おめでとうございます!!!年内に復活して良かったです〜。

今回は「ヘルマの発情」シリーズからです!



【ヘルマの出張】

「レンナルツ…ちょっと」
「はい?…であります」

どうも、最近苦手なニンジンを克服しようと野菜ジュースを飲んでいる第131先行実験隊「ハルプ」第三中隊所属、ヘルマ・レンナルツであります!

「明日から、ロマーニャへ飛んで」
「…へ??」
「これに参加してきて」

…とハルトマン中尉から封筒の中から1枚の紙を取り出し、それを渡されたであります。

「…テストパイロット労働組合?」
「そう。これに顔出してきて」
「でも………」
「上の言う事を聞くのも、たまには大事」
「ははあ…」

ハルトマン中尉も珍しく上の人の話を聞いたのでありますね;;;


***


我々のいるカールスラント・アーヘンからロマーニャ・ベネツィアまで飛行機を乗り継いで約3時間。
機内にて、封筒に入っていた小冊子を読んでいたであります。

「何なに…今回、テストパイロット労働組合の設立にあたりささやかではございますが親睦会を兼ねた立ち上げ式を催したいと思います………世界はまだネウロイの被害を受けてるってのに呑気でありますね!」

でもまあ1人でプンプンしてもしょうがないであります!
もっと言えばテストパイロットとはウィッチとして「上がり」を迎えた…ベテラン、いわば様々な戦いを経験してきた先輩方が務めるもの。もしその会場にネウロイが攻めてきても大丈夫なんじゃないですかね?

「代表のフェデリカ・N・ドッリオ…この人、絶対に自分の事が大好きなんであります!」

だって表紙が…自分の水着姿なんでありますよ…?;;

「う…う〜ん;;大丈夫…かなあ?;;」


***

124名無しさん:2010/12/30(木) 17:00:11 ID:05.iGgSg
>>123の続き。



ロマーニャ・ベネツィアにある高級ホテル。そこの宴会場にて立ち上げ式が催されてたであります…が!

「みんなドレスやスーツ…;;」

会場に居た様々な国から参加したテストパイロットの方々はドレス等を着用していたでありますが、私だけカーキ色の軍服。もしかして…浮いてるでありますか??!!

「しょっ、しょうがないであります;;;」






さっきも言った通り本来、テストパイロットは「あがり」を迎えたウィッチが務める役職。
なので13歳の私がこの役職に抜擢されるということは異例だそうで(シュナウファー大尉談)。
そしてパーティーの最中、様々なウィッチに声をかけられ…第一声は「若い!良いわねー!」と始まり、色々なアドバイスを頂いたであります。
先輩ウィッチ方の有難いお話を聞けるのは良いんですが、何せお酒は飲めない…まあこの間の失態もありますが、そのせいであまり楽しめないであります。
ちょっと話疲れた頃、

「えぇい、せっかくだから何か食べるであります!!!」

…とビュッフェコーナーにあったミートソースのパスタを食べるであります。

「うん、流石本場!美味しいであります!!」
「あら、ホント?」
「はい!!」

…ん?今声かけてきたの誰でありますか?!

「お口に合って良かったわ」
「…あなたは?」
「ん?私?…ジュリエッタ・マシーナよ」
「…それ女優さんじゃあ…?;;」
「あ、バレた??まあ良いわ。いらっしゃい、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツ曹長」
「有難うございます!!もしかして貴方様は…!?」

と私はリュックから小冊子を取りだすであります。

「表紙の…あ!ドッリオ少佐!失礼しましたっ!!!!」
「良いの良いのよ〜…それにしても、なんで軍服??」
「軍人たるもの、軍服は死ぬまで着続けるもの…と!」
「うん;;その気持ちは大事だけど、時と場合によるわね;;」
「…と言いますと?」
「え〜とね…このパーティーは普段疲れたウィッチ達を解放させる目的もあるの。なのにあなたのその格好を見たら仕事モードから離れられなくなっちゃうでしょ?」

正しい…!確かに、そう考えるとドッリオ少佐が言ってる事は正しいであります;;;

「ごめんなさい…」
「別に謝る事はないんだけれど!;;…あ、でも」
「何か…?」

ゆっくりと私の軍服の胸の辺りを指差すドッリオ少佐。

「胸が発達してない事でありますか…?」
「違う違う…もっと重大な事よ」
「…あっ!!??」

やってしまったであります…っ!!!
軍服に先ほどのパスタソースが…撥ねてるであります!

「あぁぁぁぁ…っ」
「替えの服はあなた、持ってないの?」
「はい…この軍服しか…。どうしよう…」
「あっ!」

今一瞬、ドッリオ少佐の頭の上に豆電球が!?;;

「良いわ、ちょっとこっち来て!」
「へっ?!」

…と少し強引に腕を掴まされ、会場を出たであります。
連れて行かれる事約3分…着いたのは1階のロビー近くにある貸衣裳屋さん。

「あ、ここで服をお借りすれば!」
「う〜ん…ただ単に服を借りるだけじゃツマらないわね」
「え??」
「良いわ、メイクさんも」
「っ!!??」

…ドッリオ少佐、強引過ぎます;;
と言うかこの貸衣裳屋さん!ドレスしかないではありませんか!!!

「よし、さっそく変身してみよう♪」
「変身って…えぇっ?!」


***

125名無しさん:2010/12/30(木) 17:04:37 ID:05.iGgSg
>>124の続き。

約30分後。

シャーッ...

試着室のカーテンが開かれるとともに、ドッリオ少佐は

「うわあ…可愛い!可愛過ぎる!可愛過ぎて殴りたくなるわ!!」
「それ、冗談なんですか?本気ですか?;;」
「ウソに決まってるじゃな〜い。ものすごく似合ってるわ!」

実は言うと…鏡は一切見てなかったであります;;
何故か怖くて…軍服を脱いだ自分はどうなんだろう?と言う一種の不安があったんであります。
恐る恐る目を開け、全身の写る鏡を見たであります………

「えっ…これ、自分でありますか…?」
「うん、そうよ」

そこにはフリフリとした薄いピンク色のドレス、そしてツインテールの髪型にした自分が居たであります。
ただこの髪型だとずいぶん幼く見えるでありますね;;;

「でも…ちょっと恥ずかしいであります;;」
「なぁに言ってるの、会場の中だけなんだから。それで外へ出なさいとは言わないから;;」
「でも…うわあ…うわあ!!!!」
「ふふふふ…」

何だろう、自然と笑みがこぼれて来たであります!変わった自分…これはこれで楽しいのかもしれませんね!!!

「仕上げにっと…」
「何ですか?」

そして瓶を片手にドッリオ少佐は笑っていたであります。

「あ、これ?ガリアのなんだけどね…シャネルの『No.5』って言うフレグランスよ」
「チャンネル?」
「シャネル!そんなうさんくさいブランド品じゃないんだから;;」

あ…良い匂いであります!教科書で読んだ、ガリアに居た昔のお姫様…マリー・アントワネットになった気分でありますね!

「さっ、行こっか」
「はい!」



その後、おめかしした格好でパーティーへまた行ったであります。
お姫様の時代にあった「社交界」…なんだか今の私にわかる気がするかもでありますね!
最後に参加全員で記念撮影!…カメラマンの方にワガママ言って、こっそり私だけの写真も撮ってもらったであります!


***

126名無しさん:2010/12/30(木) 17:06:03 ID:05.iGgSg
>>125の続き


「ヘルマ・レンナルツ曹長!只今戻ってきたであります!」

帰国し、まずはロマーニャのお土産を私にウルスラ・ハルトマン中尉の研究室へ。

「………」
「あの〜ぅ、ハルトマン中尉…只今戻ってきたであります…?」
「………」
「あの〜…」
「知ってる」

あれ…?
なんか不機嫌でありますね;;;

「………」
「あ、ハルトマン中尉。これ、お土産の『ロマーニャまんじゅう』です」
「………」
「えっと…」

すると無言である紙を出してきたであります。

「何ですか?これ?」
「…請求書」
「へ???」
「別に遊びに行けって私は言った訳じゃない」
「はっ、はあ…」
「そして経費を私用に使うのは良くない」

…んんっ!!??
それは………

「ドッ、ドレスの請求書?!」

貸し衣裳のドレス代、ヘアメイク代、軍服のクリーニング代、お写真代、二次会のカラオケ代、ちょっとお姫様気分になりたくて注文したルームサービス代、そしてホテルのサービス料込で…

「えっと………え?!これ…ゼロが2つほど多い気が;;」
「そんな事、私は知らない」

扶桑円にして約15万円。
と言うかでありますねぇ!!あの流れだったら普通、ドッリオ少佐が…っ!!!!

「あとこんな写真も郵送で」
「っ??!!」
「…レンナルツにツインテールは似合わない」

…と謎の笑みを浮かべて、奥の部屋へ行ってしまったハルトマン中尉でした…。
ちなみにお代は私のお給料…だけじゃ足りなかったので、シュナウファー大尉に借りて事なきを得たであります!
こんな偏見はあまり良くないでありますが…さすが「細かい事を気にしないの陽気なロマーニャ人」と少し思ってしまったであります…。



【つづく】


少し早いですが、皆さん!良いお年を〜っ!!

127名無しさん:2010/12/30(木) 23:29:51 ID:JxvVjz.k
ラジオ、いよいよ今夜最終回か

128名無しさん:2010/12/31(金) 00:57:10 ID:Quwii3aY
保管庫復活で素直にうれしい

129名無しさん:2010/12/31(金) 01:37:06 ID:Quwii3aY
>>123
GJです。今さらですけど「生真面目」なヘルマが見る影も無い。。。笑
漫画版読んだことないのでキャラが掴めていないのですが、ついつい調子に乗ってしまうところが可愛いです。

130mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/31(金) 02:27:20 ID:ErIZwjwI
>>126 Hwd8/SPp様
GJです。ヘルマがどんどん加速していますね。良い意味で。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所でのネタをヒントにひとつ書いてみました。
ではどうぞ。

131tiny orange 01/02:2010/12/31(金) 02:28:42 ID:ErIZwjwI
 夕食も終わり、隊員達はそれぞれの場所で、思い思いの自由なひとときを過ごす。
 芳佳は補給で送られて来た木箱を開けると、中から果実を取り出し、カゴに盛った。それをミーティングルームに持って行く。
 窓際でひとり、ぼんやりと月を見ているサーニャを見かける。
(あれ、今はエイラさんと一緒じゃないんだ……)
 と不思議に思うも、芳佳はサーニャの横に座り、扶桑からの“プレゼント”を差し出した。
「サーニャちゃん、はい、みかんどうぞ」
「ミカン? 扶桑の果物?」
「よく分かったね。甘くて美味しいんだよ」
「ありがとう、芳佳ちゃん。あの……」
「ああ、食べ方ね。こうやって外の皮をむいて……中の薄皮はそのまま食べても良いし、また剥いても良いし」
「うん」
 サーニャは芳佳に教わった通り、一房剥いて、口に含んだ。ぎゅっと詰まった甘味が口の中で溢れ出し、舌に馴染む。
「甘い」
 ふっと微笑むサーニャ。
「良かった。身体にも良いから、たくさん食べてね」
「ありがとう。芳佳ちゃん」
「それで、サーニャちゃん……」
「はっはっは、扶桑にはみかんにまつわる様々な言い伝えがあってな、例えば嵐を恐れず江戸にミカンを運んだ大商人の話が……」
 芳佳の言葉を遮って突然背後から話し掛ける美緒。扶桑の蘊蓄を話したいらしかった。
「あの、坂本さんもみかん食べたいなら言って下さい」
「すまん、ひとつくれ。……いや、やっぱり四つだ」
「えっ、四つも一気に食べるんですか? ふたつで十分ですよ」
「とにかく四つだ。……うむ。すまんな宮藤。では」
 美緒は四つのみかんを手にすると、すたすたと歩きミーティングルームを後にする。
 しばし美緒の勢いにぽかんとするも、芳佳とサーニャは二人でみかんを食べる。
 皮を剥き、少しの酸っぱさを感じる香りを楽しみ、実を食べ、甘味と滋養を得る。
 部屋の片隅で、二人してもくもくと、みかんを食べる。二人共ひとつ食べ終わったところで、芳佳が手ぬぐいを差し出す。
「素手で食べるから、手が黄色くなるんだよね。食べ過ぎちゃっても手が黄色くなるんだけど」
「不思議ね」
 くすっと笑うと、サーニャは芳佳の手ぬぐいを借り、手を拭く。芳佳はみかんをもう一つカゴから出した。
「もう一個食べる?」
「……半分位で、いいかな」
「じゃあ私と半分こしよう?」
 芳佳は慣れた手つきでみかんをざっくりと半分に裂き、丁寧に皮を剥いて、サーニャに渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「それで、サーニャちゃん」
「どうかしたの?」
「あの、いつもエイラさんと一緒なのに、今日はどうしたのかなって……」
「今日は、別々」
「そう、なんだ。……ごめんね、変な事聞いて」
「気にしないで。私も、どうして良いか分からなかったから。……ただ、月を見てた」
「そう。……月、綺麗だね」
 頷くサーニャ。
 二人揃って月を見上げる。鋭い鎌の様な三日月が、ゆったりと空に浮かぶ。微かな月の光が、二人を癒す。
「芳佳ちゃんは……その、リーネさんは?」
「私も、ちょっと……」
 へへ、と頭を掻いて苦笑いする芳佳。
「じゃあ、一緒だね」
「そうだね。一緒」

132tiny orange 02/02:2010/12/31(金) 02:29:58 ID:ErIZwjwI
 芳佳はみかんの房を剥いた。剥かれた房をじっと見つめる。薄皮から露わになった橙色の甘露。
 控えめな部屋の照明と、外からの僅かな月明かりが、不思議な色に変える。
 ふと、サーニャが屈んだ様に見えた。芳佳は手を掴まれ……食べようとしていた一房が、サーニャの口に移った事を知る。
「え? サーニャちゃん?」
「ちょっと、意地悪してみたくなっちゃった」
「ひどい、サーニャちゃん」
 二人で、くすくす笑う。
「本当、甘くて美味しいね。ロマーニャの果物にも負けない……」
 サーニャはぽつりと感想を述べる。
「だって扶桑のみかんだから」
 自信ありげに答える芳佳。
「そうね、きっと」
「今度はちゃんと、私が剥いて食べさせてあげるから……はい、どうぞ」
 芳佳は丁寧に薄皮も剥いて、サーニャに差し出した。
「ちょっと、恥ずかしい……」
「さっきは自分から食べたのにぃ」
「じゃあ、いただきます……甘い」
「もっと食べてね。元気出して」
「芳佳ちゃんも、私が剥いてあげるから」
「あはは……ありがとう」
 一房ずつ、食べさせ合う二人。芳佳の手は軽やかで、サーニャの指先はすらっとしてこまやかで……二人共、戦場で武器を握る手とは思えない。
 今はただ、部屋の窓辺でゆっくりと、扶桑の果物を味合う乙女。ふたりの少女。

「あら、小さいオレンジね」
 執務室に籠もって書類作成の途中だったミーナは、美緒の入室を切欠に筆を止め、橙の果物に興味を持った。。
「扶桑のみかんでな。扶桑からの補給の中に入っていた様だ。宮藤はさっそく嗅ぎ付けて食べている様だが」
「あら、宮藤さんたら。でも、故郷の味は恋しくなるものよね……美緒も?」
「まあそうだな……、扶桑の冬と言えばコタツにみかんだからな」
 美緒は昔を懐かしむ様に呟いた。
「こたつ?」
「扶桑の暖房器具だ。今度持ってこさせるか」
「何でも持って来たり作ったり、扶桑人の行動力は妙なところで凝っているのよね。あのお風呂と言い……」
 苦笑するミーナ。
「まあともかく、少し休んで食べないか? 幾つか持って来た」
 ミーナにぽんとふたつ渡す美緒。
「あら、有り難う」
「食べ方を教えよう。こうやって手で剥いて……食べる。皮は柔らかいから簡単に素手で剥ける」
「本当ね。……あら、美味しい」
 ミーナは一房口に含んで、笑った。
「皮は薬にもなるし、風呂に浮かべても良い。実は今味わって貰った通りだ。まだ沢山有るからどんどん食べろ」
「でも、みんなにも食べて貰いたいじゃない?」
 美緒は笑った。そして言葉を続けた。
「心配ない。皆の分は充分に有る。それに、一番に持って来たのは、ミーナに食べて貰いたかったからな」
「えっ」
「いつも苦労を掛けるな」
 いつになく真面目な美緒。ミーナはみかんを剥く手を止め、ふふっと笑った。
「気を遣って貰わなくても、十分よ。はい」
 美緒の口元に一房、みかんを差し出すミーナ。
「な、何を……」
「すまないと思っているなら、口を開けてこれを食べなさい、坂本少佐?」
 狼狽える美緒に、優しい声で“命令”するミーナ。
「そう来たか……ならば仰せの通りに」
 美緒はぱくっと、一房を口にする。くすくす笑うミーナ。

 基地での夜は、また更けていく。

end

133名無しさん:2010/12/31(金) 02:30:49 ID:ErIZwjwI
以上です。
某所でのネタをもとに、さくっとひとつ。

今年も皆様有り難う御座いました。
また来年も宜しくお願いします。

ではまた〜。

134mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/31(金) 23:46:17 ID:s2fLTA/s
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
年越し用に一本書いてみました。
ではどうぞ。

135the bells on new year's eve 01/02:2010/12/31(金) 23:46:55 ID:s2fLTA/s
 新年を直前に控えた夜……何処からか、鈍い金属の音が響く。
「何だ、あの奇妙な音は?」
 食後にひとりミーティングルームでくつろいでいたトゥルーデは、音の所在と由来に疑問を持ち、呟いた。
「『除夜の鐘』って言うらしいよ、トゥルーデ」
 エーリカが横に腰掛け、扶桑の小粒なオレンジをひとつ渡す。
「除夜? 鐘? 何だそれは? ……ああ、扶桑のみかんか。有り難う」
 エーリカとトゥルーデは、二人してもそもそとみかんを食べる。
 半分程食べたところで、エーリカが口をもぐもぐさせながらトゥルーデに言った。
「鐘鳴らすのは扶桑の風習で、大晦日に聞くと縁起が良いとか何とか、少佐が言ってた」
 聞きかじりの伝聞をトゥルーデに伝える。
「なる程。故郷の風習か。別に構わないが……先に言って欲しいな。何か警報か、もしくは付近の遺跡の装置かと間違う」
 先日起きた、基地周辺での「遺跡の出来事」を思い返すトゥルーデ。そして言葉を続ける。
「で、扶桑と言うからには」
「そう。少佐が扶桑から……」
「鐘って……。今は戦時で金属も不足してるだろうに、よく基地(ここ)まで持って来られたな」
「だから小さめなんだって」
 エーリカが言ったそばから、ごーん、と鈍く低い音が、耳の奥から頭の中を抜けて行く。
「あの大きさと音でか!? 扶桑の鐘は一体どんな……」
「まあいいじゃん。のんびりしようよ」
「……」
 やれやれと呟き、残りのみかんの皮を剥く。手を動かしながら、考えるトゥルーデ。
 鐘、か。
 故郷に有った、教会の鐘楼を思い出す。礼拝やお祝い等のたびに、盛大に、そして厳かに鳴ったあの鐘を。
 ネウロイに全てを飲み込まれた今となっては、その音を聞く事も出来ない。
 そして故郷から遠く離れたロマーニャの基地で、片隅から響く……聞き慣れない“鐘”の音を聞いている。
 また一回、鳴った。さっきよりも間隔が短い。
「一体何回鳴らすんだ」
「百八回らしいよ」
「なんでそんなに多いんだ?」
「さあね。少佐なら知ってるんじゃない?」
「その少佐は今何処に?」
「ミヤフジ達と一緒に鐘を突いてるって」
「ああ……」
 何故か嬉しそうな美緒の顔、特徴的な笑い声が一瞬聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。
「さっき面白そうって、シャーリーとルッキーニも行ったよ」
「なる程そう言う事か。さっきとはまるで違う軽くてでたらめなテンポの鳴らし方は、多分あいつらだな」
 こーん、と掠った様な音が聞こえる。
「打ち間違えたか」
「トゥルーデ気になる? 一緒に行く? 一緒に鳴らす?」
「いや……別に良い。私が鳴らしたところで、ヘタに力を入れて壊してしまっては……」
「トゥルーデ?」
 エーリカに顔を覗き込まれる。そして、手にしていたみかんをばくっと食べられる。
「おわ? 私のみかんが」
「トゥルーデ、スキだらけ。ご馳走様」
「おい……。まあ、いいか」
「トゥルーデの考えてる事、言ってあげようか」
「エーリカ……」
「鐘の事思い出して、それから故郷の事考えてたんでしょう?」
 エーリカの言葉に、どぎまぎしてしまうトゥルーデ。何故分かったと呟くと、エーリカは笑った。
「トゥルーデの考える事だもの。大丈夫」
「何が大丈夫なんだ」
「いつかカールスラントも解放して、元に戻せば良いじゃない」
「ああ、いつか、な」
「そうやって希望を持とうよ、トゥルーデ」
 屈託のないエーリカの笑みを見ているうちに、心和らぎ、少しの安堵を覚える。
「そうだな」
 ゆっくり頷くトゥルーデ。

136the bells on new year's eve 02/02:2010/12/31(金) 23:47:17 ID:s2fLTA/s
「鐘が鳴るときは、私とトゥルーデの結婚の時かな?」
 不意にエーリカが言って、嬉しそうに笑った。
「なっ、何を言うかと思えば」
「そういうのも良いよね」
 ふふー、と意味ありげに笑うエーリカ。
「その時はみんなに来て貰おう。私達の家族に、501の全員でしょ、あと誰呼ぼうか? そうだ、JG52の仲間も……」
「エーリカも先走って考えすぎだぞ」
「良いじゃない、考える位自由でさ。楽しいよ」
 エーリカはそう言うと、頭の後ろで腕を組んで、ふふーんと歌う様になにか思いを巡らせている。
 ……お前はいつもそうだ、とトゥルーデはエーリカの笑顔を見て思う。
 決まって考え事……それも楽観的とは言えない……をしている時に、突然割り込んで来て、笑顔を振りまく。適当な事も言う。
 その姿、その言葉、その笑顔で、私は何度心を掻き乱された事か。
 でも。
 そのお陰で、私は心の平衡を保っていられるのだろう。と結論付ける。
「有り難う、エーリカ」
 そっとエーリカの肩を抱き寄せ、呟くトゥルーデ。
「どうしたのトゥルーデ?」
「何となく、だ」
「これも扶桑の鐘のせい?」
「さあ、な」
 少し照れ気味のトゥルーデに、エーリカが笑いかける。
「でも、こう言うのも、良いよね」
 二人っきりのミーティングルーム。基地に響き、抜けて行く鐘の音は、どこか奇妙で、しかし不思議と厳かで……。
 お互い寄り添っているだけで、何も要らない。そんな気分にさせてくれる。
「今夜は三日月なんだ。綺麗だね、トゥルーデ」
「ああ」
 二人して窓辺から、外の月を眺める。美しい弧を描き輝く月を見て、思う。
 こう言う年の暮れも良いな。
 思った事をそのまま口にしてしまい、言った後で気付き、顔を赤くするトゥルーデ。
「トゥルーデ、かっこつけてる?」
「そ、そんなんじゃない」
 ぷいと横を向くトゥルーデ。
「でも私のトゥルーデだから許す」
 愛しの人の頬を両手でぎゅっと押さえ、その顔を正面に持ってくるエーリカ。
「なんだ、エーリカ」
「何度も言わせないの」
 そう言ってエーリカはそっとトゥルーデの唇を奪う。
「誰かに見られたら……」
「気にしない気にしない」
「気にしろ……」
 言葉では拒絶しながらも、トゥルーデはエーリカをしっかりと抱きしめる。
 そして、ゆっくりと唇を重ねる。
 触れ合う唇。いつもと変わらない、柔らかさと温かさ、しっとりとした甘い感触。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
 お互い名を呼ぶ。もう一度キスを交わす。
 長い口吻が終わり、そっと顔を離した所で、ごーんとひとつ強めの鐘が辺りに響いた。
 絶妙なタイミングに、二人はおでこをくっつけ、ふっと笑いあった。
 時計を見る。もうすぐ年が明ける。
「来年も宜しくね、トゥルーデ」
「私こそ、エーリカ」
「来年もずっと一緒だと良いね」
「ああ」
 エーリカの肩をそっと抱き、頷くトゥルーデ。
 守るべき者。そしてトゥルーデにとって、絶対唯一の存在。エーリカの肩を抱く力も自然と強くなる。
 エーリカにとっても、トゥルーデは同じ存在。そっとトゥルーデの腰に腕を回し、お互い抱き合う。
 鐘の音が時折聞こえる以外、二人の呼吸しか聞こえない、静かな時間、空間。
 質素だが贅沢で幸せな時間を、二人は過ごす。
 エーリカが、小さく笑った。トゥルーデはその顔を見て、心が癒され、自然と笑顔になる。
 もう一度、二人はお互いの気持ちを確かめるべく、距離を縮め、ゼロにする。
 お互いの服を通じて、そして唇を通して、温もりを感じ合う。
 じっくりと堪能するかの如く、何度も二人は繰り返した。

end


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