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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7

237名無しさん:2011/01/17(月) 22:50:23 ID:EjaGIKPs
>>236の続き。



数日後、私は食堂でシュナウファー大尉と出会ったので話しかけたであります。

「仲良くなったのでありますか?」
「う〜ん…まあね。まああのプライドの高さとツンツンさは残ってるけど」
「まあ…良かったんじゃありませんか?」
「まあねえ〜。あんなに馬鹿にしてたナイトウィッチの無線通信コミュニティもこっそり始めたり、さりげなくmixiも始めてたり」
「あはははは…」
「あ、私は会議があるから行ってるわね」
「はい!」

シュナウファー大尉を見送った後、とりあえず席に座る私。
ん…何か熱い視線を感じるであります…???
その視線のする方へ向くと………

「…ぶっほ!!??」

柱の影からハンカチを噛みながらこっちを見ているハインリーケ大尉が!!
いくらなんでもステレオタイプじゃありませんか??!!
そう思ってると、ズカズカとこっちに来るでありませんか!!;;

「ヘルマ・レンナルツ曹長!!!!」
「はっ、はいぃぃぃ??!!」

あまりの迫力に声が裏返ったであります;;

「おっ………」
「お…?」
「お主に決闘を申し込む!!!!」
「えぇぇぇっ??!!」
「あっ、あんなにシュナウファー大尉と仲良くと…っ!!」

ん…っ?
もしかしてハインリーケ大尉って…

「…あ、そうゆう事でありますか!」
「何を考えておる??!!」

なんか面倒な事になりそうであります………。


【おわれ】

238mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/18(火) 21:29:41 ID:X/fm39Wo
>>237 Hwd8/SPp様
GJ! ヘルマもハイディも姫様もハイテンションですねw
これもヘルマのパワー……?


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
短いのをひとつ思い付いたのでどうぞ。

239thaw:2011/01/18(火) 21:30:10 ID:X/fm39Wo
 ピアノも有るミーティングルーム隅の角っこに、二重に敷かれた畳。その広さは約四畳半程。
 そこだけ扶桑の民家から切り抜かれた様な奇妙な空間……畳の中央には、冬の風物詩が置かれていた。
 ふんわりと掛かる綺麗な布団。そっと置かれたテーブル。
 慣れた感じで入って温もる芳佳、ちょこんと足を入れて温かさを確かめるサーニャの姿があった。
「芳佳ちゃん、これが『こたつ』?」
「そうだよ。温かいでしょ」
「うん……」
 炬燵布団の上、テーブル部分に置かれたみかんの篭を不思議そうに見るサーニャ。芳佳はサーニャの顔を見て、微笑んだ。
「サーニャちゃん、こたつにはみかん。これが扶桑の冬の……」
「はっはっは! その通りだな宮藤。こたつには掘炬燵と置炬燵の二種類があるが、今回は扶桑から畳と置炬燵を持ってきた」
 いつ来たのか、ささっとこたつに入る美緒。温かさを実感し、うむ、と頷く。
「うむ、良い感じだ」
「わざわざ扶桑から取り寄せたんですか、坂本さん」
 驚く芳佳に美緒は力強く頷く。
「そうだ。寒さをしのぐにはこれが一番だからな!」
 力説する美緒を横目に、サーニャは掛け布団を少しめくって覗いた。
「芳佳ちゃん。これ、中はどうなってるの?」
「ええっとね、小さな火鉢を入れて、それを小さな木の枠で囲って、やけどしないように作ってるんだよ」
「そうなんだ……あったかい」
 掛け布団を元に戻し、ほんのりとした温もりを感じるサーニャ。
「でしょう? で、暖まりながら、こうやってみかんを食べて……」
「そして、眠くなったら少し足を伸ばして、横になると……。実に良いな……」
 言いながら横になり、うとうとし始める美緒。あまりの展開の速さにびっくりする芳佳。
「さ、坂本さん寝ちゃだめです!」
「そうよ何のんびりしてるの美緒。ちょっと……」
 こちらもいつ来たのか、ミーナが美緒の眼前に立っていた。畳の向こうから、呆れ気味に美緒を呼ぶ。
「ああすまんミーナ、今行く」
 急に呼ばれた美緒はらしくなくよろよろと立ち上がると、ミーナについて行った。
「坂本さん行っちゃった……」
 呆気にとられる芳佳。
「坂本少佐、扶桑のものよく持ってくるよね」
 サーニャがぽつりと呟く。
「そうだね。もしかして私に気を遣ってくれてるのかな……。でも、みんなでおこた出来ると楽しいよね」
 芳佳はそう言って笑った。
「そうね。オラーシャにはこう言う暖房、無いから……」
 少し足を伸ばして、ぬくもるサーニャ。
「そうだ、オラーシャの暖房ってどんなのがあるの?」
 芳佳の問いに答えるサーニャ。
「暖炉かな……部屋全体を暖かくするから」
「そっか。違うんだね、色々と」
「でも、501(ここ)だと色々な国の事が分かるから、楽しい」
「良かった。坂本さんも喜ぶよ」
「一番楽しそうなの、芳佳ちゃんだと思う」
「えっそうかな」
「だって、みかん食べて、ぬくぬくして……」
 そう言いながら、サーニャは、芳佳の頬にそっと手を伸ばす。
「ひゃっ! サーニャちゃんの手、冷たい……」
「あ、ごめんね」
 思わず引っ込めたサーニャの手を、ぎゅっと握る芳佳。
「大丈夫。手の冷たい人は心が温かいって、おばあちゃんが言ってたから」
「そうなんだ……私には、分からない」
 少し悲しそうな顔をするサーニャ。黄昏にも似たその横顔を見て芳佳は一瞬どきりとしたが、すぐに言葉が出る。
「サーニャちゃんは大丈夫だよ。せっかくだし、もっとこたつで暖まろう?」
 芳佳に手を握られる。芳佳の手は温かく、とても気持ち良い。
 ずっと触れても吸われ尽くされる事の無い様な……、そんな芯のある温もりを、芳佳の手から感じる。

 もっと触れてみたら……どうかな。

 サーニャは芳佳の入る位置にそそっと場所を変え、一緒に潜り込む。
 二人の身体の側面が、ぴたりとくっつく。
「ちょっ、狭いよ、サーニャちゃん」
「だって、温かいの、足と腰だけだから……」
 芳佳は少々苦笑し、サーニャを受け入れる。
「こうすると温かいって事だよね」
 深くこたつに入り、二人そっと身体を寄せ合う。
「こたつでのんびりしてると、眠くなるのは何でだろうね、サーニャちゃん」
「私に聞かれても、分からない。でも、確かに気持ち良い」
「でしょ? せっかくの休みだし、ゆっくりしよう」
「芳佳ちゃんの身体も、温かい……」
「サーニャちゃんだって……」
 ふふ、と微笑み合う二人。
 やがて、微睡みが二人を包み込む。他の隊員が賑やかに入って来るまで、二人だけの時間は続く。

end

240名無しさん:2011/01/18(火) 21:30:59 ID:X/fm39Wo
以上です。
冬はおこたでみかん!(但し扶桑に限る……)
と言う事で書いてみました。
多分この後、物珍しさ込みで
501全員でわいわいやるのだと思います。


ではまた〜。

241名無しさん:2011/01/18(火) 23:44:43 ID:pInhJ2ow
>>233
まじかよ、ありがとう。買ってくる

242zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/19(水) 00:13:50 ID:jn82I1Yo
知らない人が多いかもだけど1/19はエンリーカ・タラントラの誕生日です。
フミカネついったーでそれらしきキャラのラフが上がってすぐに消されてしまいましたが、
その時キャライメージを前提に捏造を重ねて書いてみました。

えっちぃ上に捏造が過ぎるので今回はtxtでの投下にします。

一応フェデリカxエンリーカのカップリングです。
アニメwikiにまとめられている設定に目を通しておくとバナナ連呼が受け入れやすいかもしれません。

243zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/19(水) 00:21:03 ID:jn82I1Yo
URLはりわすれてたw
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/195694
パスはswです。

244mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/19(水) 20:55:51 ID:poHcUrtQ
>>243 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
これはエロス! バナナと言う単語がゲシュタルト崩壊w
とにかくGJです!


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
マイナーカプは無いかなーと思っていたら
ちょっと思い付いたのをひとつ。
ではどうぞ。

245bleu or rosso 01/02:2011/01/19(水) 20:56:47 ID:poHcUrtQ
 ペリーヌはひとり基地の廊下を歩いていた。
 誰も居ない基地は「かつて遺跡だった」と言われるだけあって静寂そのもの、石壁の向こうから過去の住人達が出てくるのではと
そんな怪談じみた話も聞くが、自らがウィッチであり、“遺跡の番人”を倒した自信も有り、別にどうと言う事はなかった。
 そんな折、執務室から出てくる女性が一人。
 ペリーヌより少し年上であろうか、長い髪をさらっとかきあげ、モデル宜しく肩で風を切る歩み方。
 黒い制服の端から、赤色のシャツ、そしてズボンが見える。恐らくは、ウィッチか。
「貴方は……」
 聞きかけたペリーヌよりも早く、その女性は一気に間合いを詰め、顔を間近に寄せた。
「聞いているわ、貴方がガリア解放の英雄ね。青の一番(ブループルミエ)さん?」
「なっ……」
 確かにガリア解放の時、新聞の記事になったり、顔は知られている方だ。
 だが少々唐突過ぎやしないか。そして何よりも。

 無粋。

 この事がペリーヌの気に触る。
「貴方、自分の名も名乗らずに何ですの? 一体、501(ここ)に何の御用?」
「まあそう尖らないの、ガリアの英雄さん。カワイイ顔が台無しよ。私はフェデリカ・N・ドッリオ……聞いた事は?」
「……ロマーニャの方ですの?」
「正解ね。一応、ロマーニャの赤ズボン隊の一員で、今は504JFWの隊長をしているわ」
「504の隊長? こっこれは失礼しました……でも」
 一応、上官らしいと言う事で非礼を詫びる。だが、腑に落ちないペリーヌ。
 何故、こんなに互いの距離……特に顔が近いのか。背け気味に問う。
「それにしても、何の御用で501に?」
「まあ、連絡と見学を兼ねて。504がボロボロになってからは501におんぶに抱っこ。その御礼もね」
「なるほど」
「そして、ガリア解放のエースをこの目でちょっと見たくなったって訳よ。とっても興味有るわ〜」
 ずいとまた一歩踏み出す。距離が近い。近過ぎる。
 思わずのけぞり気味のペリーヌに、更にずいと迫るフェデリカ。
 黒に近いダークブラウンの細くしなやかなフェデリカの髪。ペリーヌの頬に掛かり、彼女の髪と、微かに交わる。
「なっ何のつもりですの……見るって、そんな近くで」
 いつの間にかペリーヌの腰に腕を回し、抱きかかえる格好になっている。フェデリカは言った。
「私、ちょっと貴方みたいに、可愛くて、それでいて強くて優しくて、刺激的な方が好みみたいでさ」
「何を仰ってるの?」
 動揺するペリーヌの耳元で、囁くフェデリカ。
「どうして、ガリア解放後、民間人なんかに? ノブレス・オブリージュ? ガリアの民の為? それとも貴族たる矜恃?」
「何を言いたいのか、はっきりして貰いません事?」
 苛ついているペリーヌを楽しむかの様に、彼女の豊かな髪に手を触れ、さっと玩ぶフェデリカ。
「506の隊長への昇進、どうして断ったの。勿体ない」
「いきなり何ですの!? 貴方に何が分かるんですの!? さっきから聞いていれば……っ」
 口を塞がれる。交わる唇。
 肩をきゅっと抱かれ、ぎゅっと腰に手を回されている事にも、ようやく気付く。
 唇全体で撫で回す様な、情熱的なキス。
 唾液が絡まり、舌の先が触れる。

246bleu or rosso 02/02:2011/01/19(水) 20:57:15 ID:poHcUrtQ
 そこでペリーヌは両手で思いっきりフェデリカを突き飛ばした。おっと、と言った感じで一歩退くフェデリカ。
 ペリーヌは髪と唇……身体をも玩ばれた事に怒り、フェデリカを睨み付ける。唇を拭う。うっすらと手の甲につく口紅の痕。
「もう我慢なりませんわ! 貴方に決闘を……」
「良いの? いつだって受けるわよ。但し……」
 不敵な笑みを浮かべるフェデリカは言葉を続けた。
「私が勝ったら、私の望み、何でも聞いてくれる? それで良いかしら?」
「……っ!?」
「私はもうじき引退だけど、まだまだ空の上ではイケてる自信があるの。どう、私を試してみない?」
 自信と愛嬌たっぷりのロマーニャ娘を前に、ペリーヌは怒り心頭となり、なじる。
「ロマーニャ人は、どうしてこうもいい加減で、享楽的なんですの!? チームプレーもろくに出来ずスタンドプレーばかり……
ルッキーニさんも同じロマーニャ人と言う事は、本当、まさにこう言う事ですのね!」
「だけど個人の勇気、そして才覚で戦うロマーニャの者は、とっても強い。その事も忘れちゃダメよ。ガリアのエースさん?」
 フェデリカはペリーヌを指差して妖艶な笑みを見せる。
「確かに貴方は同じ501の扶桑人が気になってるみたいだけど……ホント、扶桑の魔女ってずるいわよね。
私もあんな魅力、いや魔力が欲しいわぁ」
「な、何の事ですの?」
 美緒の事をいきなり言い当てられたショックからか動揺を隠せないペリーヌ。
「ウチの竹井も、流石“扶桑の魔女”って感じよね。見た目とっても大人しいけど、もう周りが大変。分かるでしょ?」
 答えに詰まるペリーヌを後目に、フェデリカは踵を返して歩き始めた。
「ちょっと、何処へ行くんですの!? 話はまだ終わってませんわよ!」
「ごめんね、ちょっと急いでるの。もし用事が有ったら、続きがしたければ504にいらっしゃい。歓迎するわ」
「504って……」
「生憎、今は開店休業中だけどね。でも私は居るから。そして……」
 ちらりと振り返り、ペリーヌの顔を見る。まるで写真を決めるポーズの様に決まった端正な横顔。フェデリカは言葉を続けた。
「決闘はいつでも受けるわ。赤ズボン隊でも504でもなく、私個人としてね。貴方は何でも背負ってくると良いわ」
「待ちなさい、この……」
「本当はすぐにでも貴方を食べてしまいたいけど、時間がないの、ごめんなさいね。504で待ってる。Ciao!」
 フェデリカは手を振り別れを惜しむと、颯爽と、廊下を後にした。
 嵐の様な、ロマーニャの魔女は舞台から去った。残されたのは、ガリアの娘。
 ただ、立ち尽くすペリーヌ。

 一体何故、私を?

「ん? どうかしたかペリーヌ、こんな所で? 何か用事か?」
 執務室から出て来た美緒と鉢合わせし、慌てたペリーヌは何でもありませんわと答えてすぐにその場を後にする。
 早足で、自室に戻る。廊下の距離がいつもより長く思える。誰とも会わない事を、何故か祈る。
 誰とも顔を合わせたくなかった。誰にも顔を見られたくなかった。何故かは分からない。
 部屋に着き、入るなり後ろ手に扉を閉め、溜め息を付く。しかし、息が震えている事に気付く。

 どうして?

 答えは出る筈もなく……そっと唇に指をやる。まだ微かに残るフェデリカの残滓。
 随分と尻軽なロマーニャの……だけど、この気持ちは一体。
 ペリーヌはうつむき、顔を手で覆った。整理の着かない心を落ち着かせる為に。
 私は何者で、どうしたいのか。
 答えは出る筈も無く……部屋の窓から差し込む夕日が、ペリーヌを朱に染める。

end

247名無しさん:2011/01/19(水) 20:57:32 ID:poHcUrtQ
以上です。
イラストによって髪の毛の色とか違うので
どれを参考にすれば良いのか迷いましたが……
その辺の描写は適当ですのでご了承下さい。

ではまた〜。

248名無しさん:2011/01/19(水) 21:33:33 ID:fTl2sZwA
>>247
押され気味ペリーヌかわいかったですGJ!

249名無しさん:2011/01/19(水) 21:59:47 ID:Aaa6q/VE
>>247
これはまた珍しい組み合わせ
できれば竹井無双もまじえた504編も見たいものですが
……できれば

250名無しさん:2011/01/19(水) 23:00:00 ID:HrKK6PWM
こんばんは、Hwd8/SPpです。
>>245 mxTTnzhm様
フィデリカとペリーヌ?!これまた珍しい組み合わせですねぇ!!
思わずニヤニヤしながら読んでしまいましたw

さて、今回はあまりクローズアップされていないラル隊長について書いてみました。あくまでもこうゆうイメージ!って感じで書いているので;;
あとネタが少々古い…かもです;;


【デキる女の一日】

「ん………」

5時58分…私は自然に目を覚ます。
1分でボーッとし、残り1分で覚醒させるのだ。

〜♪〜♪

6時ぴったりに起床ラッパが鳴る。
同時に私はベッドから体を起こす。

「あー…そういや飲みっぱなしだったな」

ベッド近くに置いてあるミニテーブルにはビールの空き瓶が数本転がっている…昨日のうちにやっときゃ良かったかもな。

「仕方ない…」

サイドテーブルに畳んで置いてあった軍服に袖を通す。
あ、私は寝る時は全裸だ!スッポンポン派だ!裸で何が悪い?!

着替えた後、私は空き瓶を回収して食堂近くのゴミ捨て場に捨てる。
そしてそのままの足で私の部屋…つまり隊長室へ赴く。

キイッ...

入って最初にする事…それは朝食前のコーヒーを飲む事だ。
結構こだわる方だ。わざわざコーヒーミルをロンドンのハロッズから取り寄せ、丁寧に豆をゴリゴリと粉砕する。

コポコポコポ...

「うむ、美味しい!」

合格!85点だな、今日の出来は。


***

251名無しさん:2011/01/19(水) 23:00:36 ID:HrKK6PWM
>>250の続き

8時に食堂にて朝のミーティングを兼ねた朝食時間だ。

「…となっている。以上が今日の報告だ。なお、ネウロイはこの間出現されたばかりなので今日は発令されていない。なので各自、訓練等をしておく事」
『はいっ!』

502のメンバーが全員、同じタイミングで返事をする。
思ったんだが、これってなかなか滑稽な光景ではないか?

今朝の朝食当番はジョゼだ。手作りのクロワッサンに目玉焼き2個、ベーコンにサラダ…と至って普通のメニューだ。
でも美味しいんだ、これが!

「わっ!なんで私のベーコンを取るんだ?!」
「うっせ、これが実際の戦いだったら墜ちてんぞ?!」
「朝食と実戦は関係ないだろ!!」

ニパとナオがケンカをしているな、全く…。
慌ててジョゼがニパにベーコンをやろうとしているが…サーシャが急に説教をし出したぞ。
この部隊は見ていて実に飽きないなー。


***


9時に部屋に戻る。
さっ、仕事だ仕事!

コンコン...

「ロスマンです」
「おっ、入れー」

ガチャッ...

「隊長宛てに来ていた手紙です」
「おぉ、ありがとう」
「そしてこれが…今月分の請求書です」
「…やけに部品代が高くないか?」
「ははあ…あの3人が…」
「なんだ、『ブレイクウィッチーズ』か」
「はい…度々注意しているのですが、すみません…私の力不足で」
「いや、大丈夫だ。心配しないでくれ」
「申し訳ございません…」
「そんな事よりも今夜も一緒に飲むか?」
「はい!喜んで!」

うむ、やはりロスマンは笑顔が一番だな。

「さて…と、私の仕事はっと」
「上層部に送る書類作成、ストライカーユニット部品の発注書、援助物資のリスト作成ですね。あ、でも全て私がもうやっています」
「え…?」

驚いた…仕事早いな、ロスマンは。

「じゃあ私の仕事は…?」
「えっと…あ、領収書の整理お願いします。あのエセ伯爵、経費を私用に使ってるんですよ!あり得ないですよ!」
「ははは…わかった、じゃあハンコ押しぐらいは私がやる」
「助かります」













「ふう…」

領収書のハンコ押し完了。
ただ、ほとんどグルピンスキー関連の物だったなあ…アイツには一回、話し合いの機会を設けないと。
まあ予算が欲しいからじゃんじゃん使うのは良いんだけどな。

ゴリゴリゴリ...

とりあえずする事がないから本日2回目のコーヒー。

「うむ…美味しいな!」


***

252名無しさん:2011/01/19(水) 23:01:07 ID:HrKK6PWM
>>251の続き


時が流れるのは早いもので、既に12時を回っていた。
昼食の時間なため、食堂へ赴く。

昼の当番もジョゼで、ふむ…今日はパスタなのにリべリオン生まれのメニュー…『カルボナーラ』か。

「わっ!なんで私の麺を取るんだ?!」
「うっせ、これが実際の戦いだったら墜ちてんぞ?!」
「昼食と実戦は関係ないだろ!!」

…おいおい、朝とまるっきり同じやり取りをしているぞ?!あの2人!!


***


「なあロスマン…」

昼食後、廊下を歩いていたロスマンに声をかける…が、

「すみません、ちょっと今仕事が忙しいのでまた後でお伺いします!」

…おいおい、それって本来私の仕事じゃあ…?

モヤモヤしながらも、本日3回目のコーヒーを煎れる。

ゴリゴリゴリ...

「…うむ、やはり美味しいな」
















15時過ぎ、あまりやる事がない…いやこの言葉だと語弊があるな;;
仕事が落ち着いたので、格納庫へ行ってみる。

そこにはチェック表を手にしたサーシャと、傍にグルピンスキーが居る。
しかし、何から言い争い?お説教?をしているようだなあ…;;;

「ったく!あなたは何遍言わせればわかるんですか??!!」
「困るなあ熊さん、別にボクだって好きで壊してるワケじゃないよ」
「良いですか??!!湯水のようにお金があるんじゃありません!!」
「え、でもちゃんと税金は納めてるよ?」
「あなたは自分が払ってる金額以上のストライカーユニットを破損しているんです!」
「いや、違うよ…飛んだら勝手に壊れるんだよ。リコール?これ、製造元の本社へ早速電話しなくちゃなあ」
「そんな情報は私の耳に入って来てません!!!!」
「何せ10分前に耳に入った情報だからね」
「…っ!!」

「まあまあまあ」
「たっ、隊長!」
「隊長、聞いてよ〜…熊さんがボクの事を虐げるんだよ」
「なっ??!!」
「グルピンスキー、お前はもっと破損するのを控えろ」
「控えろって;;」
「『ブレイクウィッチーズ』姉妹の長女だろぅ?1人減っただけで、注文書の紙が1枚減るんだ」
「…は〜い、気をつけま〜す」
「エセ伯爵!!あなた上官に向かって…っ!!!」
「サーシャもそんな怒るな、国民だって世界を守っている実績があるからお金を出してくれてるんだ。そもそもグルピンスキーに実績が無かったらとっくに自腹だぞ?」
「すみません…」
「2人ともケンカはするなよー」
「熊さんごめん…この後、仲直りとしてエッチしないか?」
「こここここの変態っ!!!!」







部屋に戻る。
2人のケンカを仲裁した所でまた、

ゴリゴリゴリ...

本日4回目のコーヒーを煎れる。

「うむ、美味だ」


***

253名無しさん:2011/01/19(水) 23:01:35 ID:HrKK6PWM
>>252の続き


17時、今さらながら新聞を読む。
おっ、なんだ…今回の特集はマルセイユ特集か。
思えば彼女と一番最初に出会った時は荒れていたなあ…でもあの時、注目しなかったらこんな活躍は出来なかっただろう。
そう思いながら、本日5杯目のコーヒーを飲む。

「うむ、素晴らしい」

しかも…この写真、撮ったのは扶桑の加東圭子…え?!隊長になったのかぁ…。
そういや入院している時、私に取材しに来たなあ。あの時はカメラマンだったが復帰したのか。
そう思いながら、本日6杯目のコーヒーを飲む。

「うむ、エクセレント」

そういや、501部隊のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐もこんなんだろうか…?
こんなに時間を持て余しているのだろうか?…今度聞いてみるか。そもそも彼女とは…JG53に所属した以来会ってないなあ…。
そう思いながら、本日7杯目のコーヒーを飲む。

「うむ………ゴホゴホッ!気管支に詰まった…っゴホッ!」


***


19時、ミーティングを兼ねた夕食だ。

「…本日異常なし。で良いか?」
『はいっ!』

502のメンバーが全員、同じタイミングで返事をする。
思ったんだが、これってなかなか滑稽な光景ではないか?
…あれっ、もしかして朝と同じ事を言ってるか…?まあ良いや。

今晩は、下原が当番だ。何なに…扶桑の鍋料理で『すき焼き』と言うのか。
肉やら野菜…この白い物体はなんだ?チーズか?とにかく色々な物を煮込んでいる。
しかもそれを、生卵を付けて食べると言うからまた不思議だ。腹は壊さないのか?
最初はこの扶桑の鍋料理に、みんなの箸でつつくと言う行為に抵抗があったが今では全くない。扶桑ナイズされてきたなあー

「わっ!なんで私の肉を取るんだ?!」
「うっせ、『すき焼き』は戦争だ!お前の捕虜はもらうぞ!」
「夕飯と戦争は関係ないだろ!!」

…うん、あの2人…朝と昼で言葉を変えてるが全く意味は変わってないぞ。


20時過ぎ、私は部屋に戻る。
レコードをかけるとするか…今夜はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だな。
ちなみに私は第三楽章が好きだ。

そして日課である、オオカミの剥製の手入れをする。私の使い魔はオオカミで、非常に尊敬している動物だ。
彼らの行動を見ていると時々、戦術の勉強になる時もある。そうした彼らに感謝の意を込めて、ピッカピカにする。

「ー♪ー♪」

椅子に腰かけ、モーツァルトを口ずさみながらピカピカになったオオカミを見る。
そうしながら、本日8杯目のコーヒーを飲む。

「うむ…流石に胃が痛い…」

なんだ、私はバリスタにでもなりたいのか??!!


***

254名無しさん:2011/01/19(水) 23:02:05 ID:HrKK6PWM
>>253の続き


22時過ぎ、私は自室で本を読んでいる。

コンコン...

「ロスマンです」
「入れ―」

ガチャッ...

「失礼しま〜す」
「『カールスバーグ』で良いな?」

と緑色のビール瓶をロスマンに見せる。

「はい、もちろん!と言うか隊長、それしか飲まないじゃないですか」
「…そうだな、考えてみれば」

そうして戦術の事、メンバーの事、時には…『ガールズトーク』に花を咲かせる。
23時を少し過ぎた頃、

コンコン...

「夜分遅くにすみません、下原です」
「おっ、どうした?入れ」

ガチャッ...

「あれっ、ロスマンさんもいたんですか?!」
「そうよ、何なら私たちの『グータンヌーボ』に加わる?」
「え?!良いんですか??!!あ、扶桑から援助物資としてこんな物が届いたんですが」

と下原が持っていた瓶を手にする。

「ふむふむ、これはなかなか良い代物だな………って扶桑語読めんわ!!!!」
「出たっ!隊長のノリツッコミ!」
「あ、扶桑で有名な芋焼酎です。『魔王』って言う幻の酒なんですが」
「よし、ロスマンと下原!飲むぞ!」
「ラジャ〜!」
「え、私まだ未成年…」
「隊長命令だっ!!!!」
「はっ、はいぃ…」


***


チュンチュン...

「むむっ…」

5時58分…私は自然に目を覚ます。
1分でボーッとし、残り1分で覚醒させるのだ。

〜♪〜♪

6時ぴったりに起床ラッパが鳴る。

「…えっ?」

ビックリした…何故なら私は壁に寄り掛かって寝ているのだから。
そしてその上に毛布が掛けられている。

とにかく私は立ち上がり、着替えて散乱している空き瓶を回収して食堂近くのゴミ捨て場に捨てる。
そしてそのままの足でロスマンの所へ。

「起きてるか?」
「あっ、はい…ちょっと待ってください」

といかにも今起きたばっかりのロスマンが部屋から出てくる。

「あの…私…」
「大丈夫です、誰にも言いませんから」
「へ…?」
「記憶にないんですね…」
「ああ」
「昨日…一瓶開けちゃって、隊長…急に服を脱ぎだしてですねえ」
「…はっ?!」
「急に全裸で正座しだして『裸で何が悪い』と…」
「………」
「そしてそのまま寝ちゃったんです」
「…すまんな」

それだけを言い残して、廊下を歩く。しかし何故か早足になっている…。

グンドュラ・ラル

カールスラント空軍第52戦闘航空団第8中隊、カールスラント空軍第52戦闘航空団第3飛行隊司令を経て、こう見えても私は502JFWの隊長を務めている。
エーリカ・ハルトマン、バルクホルンに次ぐカールスラント空軍第三位撃墜記録を持つグレートエースであり、芸術的な空戦技能を持っている。
さあて、今日も一日仕事だ。



【おわれ】

255名無しさん:2011/01/20(木) 21:20:23 ID:mx4Zd84M
>>254
さすがラル隊長、あのカルピス原液部隊を束ねてるだけあるお人ですね!!
一緒に泥水みたいなコーヒーを飲んでみたいモンです。GJでした!
あ、それと伯爵の名前が『グ』ルピンスキーになってましたよ〜

256名無しさん:2011/01/20(木) 21:49:54 ID:mvApYoQg
>>255
どうも、Hwd8/SPpです。
カルピス原液部隊w確かに濃いメンバーが多いッスね〜;;

あれま…ご指摘、ありがとうございます;;やっぱちゃんと読みなおししなくちゃダメですね〜;;;

257名無しさん:2011/01/21(金) 18:41:16 ID:wJKLg9QM
>>254
まさに校長先生な隊長がいいですね〜(^O^)おかずを取り合うナオちゃんとニパが可愛すぎる…!!

258mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/23(日) 23:53:37 ID:w2SPciDw
>>254 Hwd8/SPp様
GJ! ラル隊長何かかわいいですねw 502もいつも通りで。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で頂いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

259no border 01/03:2011/01/23(日) 23:54:04 ID:w2SPciDw
 部屋の中央に引かれた、一本の赤い線。何者も超える事を許されないその“防衛線”を、「ジークフリート線」と呼んだ。
 その線をいとも簡単にまたぎ、がらくたをぐわっしゃんと崩壊させながら、金髪の少女が転がり込んできた。
「こ、こら! また私の境界を侵犯する気かっ!?」
 部屋のテーブルで読書をしていたトゥルーデは、慣れた手つきで散らばった本やら瓶やら何かの木ぎれなど
様々な“物体”を手に取っては、適当に領域の向こうへと戻し始める。
「ちょっとトゥルーデ、もっと丁寧にそっと扱ってよ」
「なら何故がらくた毎やって来るんだ!? あれ程モノをこっちにやるなと……」
「まあまあトゥルーデ」
 侵犯の主、エーリカは、トゥルーデの肩に腕を回し、にやにやと笑う。
「どうした? 何か様子が……息が酒臭いぞ」
 気付いてエーリカの顔を見る。頬がほんのり紅い。
「たまには良いかなーなんて思って。珍しいカールスラント産のワインだよ」
 にやつくエーリカを見る。ワインの瓶を渡され、自然と受け取る。
「ほう、これは珍しいな。何処で手に入れたんだ」
「私のスペースに、有った」
 エーリカの指さすところは、およそゴミの山と言った感じだ。何が出てきてもおかしくない。
「飲めるのか、これは」
「大丈夫、何本も出てきたし、栓もしっかりしてあったし、ラベルも読めるよ。ほら」
「ふむふむ。……結構年代物みたいだな」
 ラベルの記載をつらつらと読むトゥルーデ。いつの間に用意したのか、グラスをふたつ用意し、トゥルーデのベッドに腰掛けるエーリカ。
「さ、飲もう」
 パジャマ姿と言うラフな格好で、誘うエーリカ。
「飲もうって……明日も有るのにどうしろと」
 呆れるトゥルーデ。
「今夜私達非番じゃん」
「非番も何も、いざネウロイが来たら……」
 言いかけるも、既にエーリカは栓をぽんと抜き、こぽこぽとワインをグラスに注ぐ。
 琥珀色をした魅惑的な液体が注がれる。
「貴腐ワインか?」
「だね。甘くて美味しいんだよ」
「……知っている」
 トゥルーデは仕方無くグラスを手に取った。
「あれ、さっき飲まないって言ってなかった?」
「栓を開けた以上、早く飲まないと痛むからな。せっかくの貴腐ワインが勿体ない」
「そそ。飲まないとね〜」
 二人は一応、乾杯、とワイングラスを合わせ、ぐいと呷った。
「甘いね!」
「悪くないな」
 二人は同時に感想を述べた。
「確かまだ何本か有った筈だから持ってくるよ」
 エーリカは自分のスペースへ戻ると、ワインの瓶をどこからともなく持ち込んでくる。
「今そんなに飲まなくても」
「いつ飲めるか分からないし、この際飲めるだけ飲んじゃおうよ」
「おいおい……」
 そう言いながら、実はまんざらでもなさそうなトゥルーデ。
「はい、飲んで飲んで〜」
「うん……。まあ、うまいな。やはりワインはカールスラント産に限るな」
「でしょでしょ? もっと飲もうよ」
 窓から月明かりが差し込む中、二人はつまみも無しにワインを一瓶、また一瓶と開けていく。

260no border 02/03:2011/01/23(日) 23:54:33 ID:w2SPciDw
 夜も更け、月もだいぶ傾いた頃……
 ふたりはぐでんぐでんに酔っぱらい、ベッドの上で微睡んでいた。
 ワインの瓶は何本も転がり、ベッドの周りだけエーリカのスペースと余り変わらない感じになっている。
「……飲み過ぎたか」
 うう、と呻くトゥルーデ。
「トゥルーデ飲み過ぎなんだよ……瓶毎ラッパ飲みするなんて」
「エーリカがやれと言ったから!」
「罰ゲームだもんね」
 にしし、と笑うエーリカ。トゥルーデはベッドの上に、ごろりと横になる。そしてぽつりと呟く。
「毛布が欲しい」
「毛布?」
「もうこのまま眠りたい」
「えー」
「飲み過ぎて何だか気分が……」
「しょうがないなー、トゥルーデ」
 エーリカもよろめきながら、近くに置かれた毛布を手に取る。
「おろ? 端が二重に見えるよ、トゥルーデ。面白い」
「エーリカも酔ってるじゃないか」
「とりあえず、はい!」
 折り畳んだ毛布を投げつける。
「痛っ! 畳んだまま投げるな! て言うか、掛けてくれないのか……」
「トゥルーデ、いつの間に甘えっ子になったの?」
「こう言うのは甘えっ子とは言わない」
「仕方無いなあ、トゥルーデ」
 エーリカは毛布の端を持ち、ばさっと広げるとトゥルーデの身体に掛ける。
「すまない、エーリカ……」
 何か言いかけたトゥルーデが気になり、顔を見る。気分が悪そうとかそう言うのではなさそうだ。
 そこで、少々の寒気を覚えたエーリカは、そのままするりとトゥルーデの懐に潜り込んだ。
「どうした、エーリカ」
「寒くなったからちょっと暖めて」
「あ、暖め、て……?」
 トゥルーデの声色が変わる。
 そこで、エーリカは、ふと気付く。
 目の前で微睡んでいた筈のトゥルーデが、何故か覚醒している。
 いや、目の色はまるで貴腐ワインの様にとろけ、そして少々澱んでいる。
 だが、何処か何か思い詰めた様な、一途な表情をしている。
「今、暖めてと言ったな?」
「う、うん」
「じゃあ、そうする?」
「えっ? えっ? トゥルーデ? ちょっ……」
 腕をがっしりと掴まれ、唇を奪われる。舐る様な、濃厚なキス。
 さっきまで飲んでいたワインの味が、お互いの口を行き来する。
 舌が絡む。貪る様に、唇を重ねる。はあ、と息が上がり、灼ける吐息が頬を掠める。
 そんなキスを何度も繰り返し、息がとことん荒くなったところで、トゥルーデはエーリカのパジャマを強引に脱がせた。
「ちょっと、トゥルーデ?」
「お前が望んだんだぞ、エーリカ」
 まだ息の荒いトゥルーデは、エーリカを前に、自分も服を脱ぎ捨てた。
「そして、私も望んでいる」
 それだけ言うと、エーリカに襲い掛かった。
 毛布の中で、突然始まる情事。
 普段あまり自分から求めないトゥルーデが情欲に溺れ狂ったのは、ワインの魔力か。
 それとも、間近で嗅いだ“愛しの人”の芳香か。
 体中に唇を這わせ、乳房を舐め、微かな膨らみを繰り返し舐る。
「あっ……はうっ……トゥルーデ、そこばっかり……」
「エーリカの、胸は……。でも、だからこそ好きだ」
「トゥルーデ、何言ってるかよく分からないよ」
 途中何を言っているか分からないが、とにかくトゥルーデにがっしりと身体を拘束され、なすがままにされる。
 執拗に胸を舌と唇で玩ばれ、身体をびくりと震わせるエーリカ。
「ズボンも要らないな」
 しゅるりとズボンを脱がすトゥルーデ。少々熱く、湿り気味の秘所に、中指をくちゅっと入れ、こすり、回し、つまむ。
 堪えきれずにトゥルーデを抱きしめ、腰を震わせるエーリカ。
「トゥルーデ、だめ……そんなにしちゃ……」
「私も……」
 いつ脱いだのか、トゥルーデもズボンを下ろし、露わになった自分の股をエーリカと合わせる。
 最初ゆっくりしたリズムで、腰を浮かし、擦り合う。溢れ出る蜜。
「あっ……んっ……だめ……トゥルーデ……」
「うう……先にはイカせないぞ……エーリカ、愛してる」
「トゥルーデ、ずるい……んっ……こんな時に……はあっ」
 唇を重ねる。身体が本能的に動き、うまくキス出来ない。無理矢理ぎゅっと抱きしめ、腰を振りながら、もう一度キス。
 やがてテンポが早くなり、息が浅くなり、上がり……
 二人は同時に、快楽の頂点に達し、がくがくと身体を震わせた。
 抱き合ったまま、ベッドにごろりと横になる。
 二人の重なった秘所から溢れる愛液はつつっと垂れ、ベッドのシーツにぽつぽつと染みを作る。
 荒い息のまま、二人はキスを繰り返す。数なんて数えていられない。ただ、目の前に居る者が、愛おしい。それだけ。
「トゥルーデ、愛してる」
「エーリカ、私もだ」
 絡み合う視線、吐息。
 そして重なる唇。乳房。素肌。
 二人の営みは、夜を徹して続いた。

261no border 03/03:2011/01/23(日) 23:55:51 ID:w2SPciDw
 明け方。のそっと身体を起こすエーリカ。いつ掛けたのか、毛布にくるまったまま二人は寝ていた。
 トゥルーデは疲れ切ったのか、全身の力が抜けた様にぐたーっと寝ている。
「あんなに飲むから……って飲ませたのは私か」
 髪をかき上げ、ぼんやりと思い出し呟くエーリカ。
 その“飲み過ぎ”な愛しの人は、エーリカの横で寝たまま、起きる気配もない。
 時計を見る。そろそろトゥルーデは起床する時間なのに……。
「こりゃ起きないね。起こしてもしょうがないし」
 エーリカはもそもそと毛布に潜り込むと、トゥルーデと肌を合わせる。
 素肌の触れ合い。とても温かく心地良い。お互いの鼓動がはっきりと分かる。
 本能的か反射的か、エーリカを抱き寄せるトゥルーデ。しかし寝たままだ。
「私は抱き枕かっつうの」
 口調は少しきついが、悪い気はしない。
「もし、ワイン飲んだ後の事、忘れてたら……」
 一週間無視しよう、と決心するエーリカ。
 でもトゥルーデの事だから、きっと顔を真っ赤にして「それはその……」とかしどろもどろになって弁解するに違いない。
 そこも織り込み済みでの、決心。
 ある意味での逃げかも知れない。
 だけど、そうなる確信にも似た気分は有った。何より、二人で付け合った身体の痕。そしてベッド周りの状況。
 ふふ、と何故かこみ上げる笑みを浮かべながら、エーリカはトゥルーデの胸の中で、もう一度眠りに落ちる。
 一番安心出来る人の、腕の中で。

end

--

以上です。
やや? エロスな感じで。

ではまた〜。

262名無しさん:2011/01/24(月) 22:56:17 ID:IPgkt3Ho
>>259

いつも楽しく読ませて頂いてます。
早速拝見させて頂きました。エーリカとゲルト…今回はまあ何とも神秘的(?!)な話でしたね。
「ring」シリーズ作品は頭の中で急にイメージが浮かぶから素晴らしいと思ってます!

あの…一回限りなのですがリクエスト…出来ますか?!させてください!!
ぜひとも、アメリーが501に来訪するというエピソードが一度読んでみたいです!!

263名無しさん:2011/01/25(火) 01:11:54 ID:QROkypIw
エーゲル神!!
501神!!

264名無しさん:2011/01/26(水) 01:15:52 ID:XtijJEQg
こちらは初めてなのですが、ものすごく短い話を一つ投下させていただいてもよろしいでしょうか。

265名無しさん:2011/01/26(水) 01:17:46 ID:XtijJEQg
どなたも居らっしゃらないようなのでこっそり落としていきます。
エイラが501に赴任した直後のおはなしです。

266名無しさん:2011/01/26(水) 01:18:21 ID:XtijJEQg
彼女のことが気になって、
彼女の部屋をノックした。
少し遅れて返事がして、
彼女は扉をあけてくれた。
暗かったけど、目が赤いのはわかった。

私は彼女と話をした。
ツンツンメガネに何か言われたらしい。
そんなこと気にすんなって言ったけど、
彼女はうつむいたままだった。

私は彼女に約束した。
朝になったら迎えに来るよと。
みんな同じさ、私もちょっとは緊張してるんだ。

辛いなら、うつむいてちゃだめだって。
彼女も分かっているはずなんだ。

私は彼女を連れ出した。
朝の風はまだ冷たいけど。
今日がどんな日かなんて、
未来予知でだってわからないんだから。

彼女の願いを聞いた。
その願いは、私の願いにもなったから、
その重りを分けてごらん。
これからはふたりの願いだよ。

朝になったら迎えに来るよ。
朝の風はまだ冷たいけど。
今日がどんな日かなんて、
未来予知でだってわからないんだから。

267名無しさん:2011/01/26(水) 01:19:31 ID:XtijJEQg
これは私の好きな歌の歌詞を模しています。
これからもさっと落としに来るかもしれないので、どうかよろしくお願い致します。

268名無しさん:2011/01/26(水) 13:54:26 ID:BqRB/N/w
>>267
GJ!ここは結構過疎ってるから気にせずどんどん投下しておk

269mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/26(水) 21:52:10 ID:jhyJXrNE
>>267
GJです。これは良いエイラーニャ。はじめから優しいんですね。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は >>262様のリクにお応えして一本書いてみました。
多分想像や希望とは違うものになっていると思いますので
予め陳謝……。
時期的には、アニメ1期、ガリア解放前辺り
(ブリタニア基地滞在時)と言う事で宜しくお願い致します。
ではどうぞ。

270they need you, i need you... 01/02:2011/01/26(水) 21:52:53 ID:jhyJXrNE
 アメリーはトラックから降りると、どんと眼前にそびえ立つ501基地を眺めた。
「これが、501の……」
 ごくり、と唾を飲み込む。自由ガリア空軍からの補給……ストライカーユニットの部品や食料、
些細だが「慰問」と称して贈られる幾つかの嗜好品など……の護衛を任され、ようやくかの地へ辿り着いた。
 そして何より、アメリーにはどうしても逢いたいひとが居た。今日こそは。
 いつの間にか門前で仁王立ちしている自分に気付き、アメリーは慌てて501の基地へと向かった。

「ようこそ501統合戦闘航空団へ。補給及び連絡の任務、ご苦労様です、プランシャール軍曹」
 執務室に通されたアメリーは、大人びた風貌の佐官からねぎらいの言葉を受ける。カールスラント空軍の制服を着ている。
「あっありがとうございます」
「礼を言うのはこちらの方だ。補給品だけでなく他にも色々と……。こんなに良いのか?」
 扶桑人と思われる佐官も、書類のリストを見てアメリーに聞いてくる。
 よく見るとこの扶桑人、以前ブリタニア駐在時にあの人をスカウトしに来た……? と気付くアメリー。
「ほ、ほんの気持ちですから! どうぞご自由にお使い下さい」
「では、後で隊員達に使わせるとするか。それで良いか、ミーナ」
「ええ、そうしましょう」
「あっあのっ!」
 意を決したかの様に、問いかける……つもりが大声をだしてしまい自分でも慌てるアメリー。
「どうした、そんなに焦る必要もないだろう」
 笑う扶桑の佐官。
「ごっごめんなさい。その、あの……ペリーヌさんは何処に居ますか!」
 あっ、と自分の口を手で覆う。そして言い直す。
「すいません。クロステルマン中尉は、どちらに……?」
「ペリーヌさん? 確か……」
「今はロンドンの自由ガリア空軍連絡所に出掛けている筈だが」
「えっ」
 動揺を隠しきれないアメリー。
「何でも使用しているストライカーユニットの件で軍と連絡を……おい、どうした?」
 アメリーの目に溜まる大粒の涙、ぽろぽろとこぼれ落ちる。
「そんな、すぐに帰って来るから、泣かなくても」
「せっかく会えると、思ったのに……」
 ぐすっと鼻を詰まらせる。涙が止まらない。
「いや、あと半日もすれば戻って来る筈だ」
「は、半日!?」
 思わず大声を上げた事に、佐官ふたりはぎくりとした。
「半日がどうかしたの?」
「私、あと一時間程で帰らないと……。ぐす……、うええっ……」
「あら……。それは残念ね」
「会いたかったです〜」
 落胆が悲観に代わり、泣き止まないアメリー。
「参ったな……こう言う時は誰を呼べば良いんだ?」
「そうね。リーネさんと宮藤さんをここに」
「了解。適任だな」

「はいどうぞ。カモミールティーですよ」
 ブリタニアの軍曹からカップを渡されたアメリーは仰天した。リンゴの様な、爽やかな香り……
「こっ、これは」
「どうかしました?」
「このカモミールティー、何処で?」
「何処でって、ペリーヌさんが教えてくれたんですけど」
「ああ、なるほど……」
 複雑な表情をするアメリー。
 そんなアメリーを見たブリタニアの軍曹と扶桑の軍曹は、顔を見合わせ、どうしよう、と呟いた。
 アメリーは二人に問うた。
「あの、ひとつ聞きたいんですけど」
「はい」「なんでしょう?」
 同時に答える二人の軍曹。
「お二人は、ペリーヌさんのお友達さんですか?」
「えっ!? え、は、はい」
「私はどうか分からないけど……一応、仲間、かな」
 戸惑い気味に肯定するブリタニア娘、苦笑いして頭を掻く扶桑娘。
 カモミールティーに口を付けるアメリーを見て扶桑娘は言った。
「やっぱり。ね、リーネちゃん」
「でも芳佳ちゃん、この人、何だか悲しそう……」
「お気になさらず。私もガリアの軍人ですから……ですから」
 またも涙目になるアメリー。
「ああっ何故泣くの?」
 人目も憚らず、アメリーはまたも涙目になった。
「ペリーヌさんに会いたかった……」
 ぽつりと、呟く。
「ごめんなさい、今日は居ないの。代わりにこのカモミールティー、飲んで」
「ありがとう、ございます……」
 ブリタニア娘は、少し顔を覗き込んで言った。
「ペリーヌさんが言ってました。このお茶を飲むと落ち着くって」
「……それ、私がペリーヌさんに教えて差し上げたんです」
「そうだったんですか」
「意外なルーツ発見だね、リーネちゃん」
「そうだね芳佳ちゃん」
「……あ! て事は、貴方があのアメリーさん?」
 何かに気付いた扶桑娘は身を乗り出した。
「ほえ? 私ですけど、どうかしました?」
 カップを手にきょとんとした顔をするアメリー。

271they need you, i need you... 02/02:2011/01/26(水) 21:53:20 ID:jhyJXrNE
 小一時間後。
 扶桑の娘と、ブリタニア娘から、事の次第を聞いたアメリー。
 ペリーヌが、かつての自由ガリア空軍時代の事を皆に話した事。
 扶桑の軍人から501JFWへのスカウトを受けた時の事……模擬戦でこてんぱんにやられた事……
その後アメリーからカモミールティーを振る舞い、淹れ方を教えた事。
 そして……。
「そうですか……ペリーヌさん、忘れてなかったんですね」
 手にしたカップの中で漂う液体、花びらの一片をじっと見つめるアメリー。
 爽やかな香りは、何故か自分が教えた筈なのに、いつのまにかあのひとそのものに見えて。
「ペリーヌさん」
 アメリーは、お茶の中に自分の存在を見出し、ふと、微笑んだ。

「帰りは気を付けてな」
「何も無いとは思うけど、万が一の時はすぐに連絡を。掩護に向かわせるわ」
 501の佐官ふたりが見送る中、トラックに乗り込んだアメリーは礼を述べた。
「お気遣い有り難う御座います。一応、トラックには私のストライカーユニットと武装、発進ユニットを積んでありますから」
「それは頼もしいな。でも501に来たんだ、もっと我々を頼ってくれても良いんだぞ?」
「いえいえ。……あの」
「? どうした」
「すいません、取り乱して……色々と」
 恥ずかしげに言ったアメリーの言葉を一蹴するかの様に、扶桑の佐官は笑った。……あの時と同じ笑い声。
「扶桑の諺に『旅の恥はかき捨て』と言うのが有ってな。長居する訳では無いから、特に気にするなと言う意味だ」
「はあ」
「だから、ペリーヌには内緒にしておく」
「そ、それはどうも」
「ただ、プランシャール軍曹が来た事だけは伝えておこう。……何か伝言は有るか?」
 不意に扶桑の佐官から聞かれ、答えに詰まるアメリー。
「あ、あの……」
 咄嗟に思い付かない。そして繰り返してしまう。
「お会いしたかったです、と……」
「そうか。分かった。伝えよう。何、大丈夫。すぐに会えるさ」
「えっ、何で分かるんですか?」
「なぁに、勘だよ、勘。何となくそんな気がしてな」
 笑っていた扶桑の佐官は、ふと顔を引き締めて言った。
「だから会えるまで、絶対に生き残れよ」
「は、はい! 頑張ります」
「宜しい! ペリーヌも喜ぶだろう」
 またも笑う。呆れ顔をするカールスラントの佐官は、アメリーに言った。
「では、そろそろ時間ね。気を付けて」
「はい。皆様も、ご武運を」
「有り難う」
 こうして、アメリーは501基地から去った。帰路敵襲も無く、基地に戻る頃にはトラックの席でうつらうつらとしてしまっていた。

 後日、アメリーに一通の手紙が届く。
 ペリーヌからだ。
 生憎の“不運”を嘆く言葉、様々な補給品に混じり、乾燥カモミールティーを差し入れしてくれた事の感謝。
 手紙によると、基地でアメリーが飲んだカモミールティーが、501に残っていた“最後の一杯”だったらしい。
 ちょうどのタイミングで、入れ替わる様にやって来た事を喜んでいる様だ。
 乾燥カモミールティーはいつでも手軽に使える事から、重宝しているとの事。
 そして、ペリーヌも基地の中庭で、カモミールの花を育てている、と言う事も書かれていた。
 手紙を読み終え、アメリーは決心した。
 もう一度、カモミールティーを淹れてあげたい。
 もう一度、会いたい。
 その為にすべき事はひとつ。あの扶桑人が言っていた事を、する。
 それが自分の為にもペリーヌの為にもなると、彼女だけでなく、皆が分かっている事だから。

end

272名無しさん:2011/01/26(水) 21:53:36 ID:jhyJXrNE
以上です。
このSSの時期は、アニメ2期の頃(ロマーニャ展開時)ではないのでご注意を。
またアメリーの軍籍や所在等はかなり適当です。すいません。

カモミールティーのエピソードに関しては
秘め話CD2『カモミールの想い出』を参考に書きました。
色々齟齬もあると思いますがご容赦を……。

ではまた〜。

273名無しさん:2011/01/28(金) 20:41:23 ID:J/PYgnKE
こんばんは、Hwd8/SPpです。
「ヘルマの発情」シリーズなのですが、風邪の流行する季節…ってな事でその風邪についてのエピソードを書いてみました。
皆様も体調管理は万全に(`・ω・´)
それではドゾー


【ヘルマの風邪】


「くしゅんっ!!!!」

ハルトマン中尉の部屋…なんだか寒いような…?

「風邪…?」
「いえっ!誰かが私の事を噂してたんだと思います」
「…じゃあヘルマ、よろしく」
「りょ、了解でありますっ!!!!」

この間フルーツ風味の歯磨き粉を卒業しました!!ヘルマ・レンナルツであります!(ビシッ
普段、私の所属している部隊は実験ばかりしているのですが…なんと今回!!ハインリーケ大尉の部隊に期間限定ですが、出向することになったのであります!
なのでその報告をハルトマン中尉にしているところであります。


***


「しっ、失礼するであります!」
「入れ」

ガチャッ...

「本日よりそちらに出向します、ヘルマ・レンナルツ曹長であります!」
「知っとる」
「よろしくお願いします!」
「ふっ…」

ハインリーケ大尉は足を組み、こちらを見てるでありますね;;
ホンットに裏で『姫』って呼ばれてるだけあります。

「まっ、せいぜい頑張るが良い」
「はい!…え?」
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ。まっ、そうならんようせいぜい頑張れ」
「は…ははあ…」
「前にここにおったヤツも一昨日までここに居たんだが…急に『原隊でトラブルがあった』と言って帰ってしまったのだ」

うわあ…何ですか、その典型的なウソは!!;;
…でもそんなに辞めてく人間が多い部隊なんですね;;;

「軍の方に緊急に兵を補充してもらうよう頼んだんだが…まさかお前だったとは」
「人を車検の代車手配のような感覚で呼ばれたんでありますね;;…でも!空の上とプライベートは関係ありません!以後、よろしくお願い…へっ…へっ…へっくしょん!!!!」
「…よろしく」



私が何故この部隊に呼ばれたのかと言うと、夜間哨戒担当のウィッチが不足しているからであります。
そもそもハインリーケ大尉とその一昨日まで居たウィッチが1日ごとに交代して行っていたのでありますが、今はもういない…。
そして急遽、ヒスパニア方面から本国へ夜間哨戒担当ウィッチが来るはずだったのでありますが…戦況の悪化のため足止めをくらってしまっている状況であります。
なので来るまでの間、私がハインリーケ大尉と交代で哨戒をすることになったんであります!

そしてその日の夜…

「ヘルマ・レンナルツ曹長…行きますっ!!!!」

ジェットストライカー…はまだ研究中なため貸与してもらえず、ここの部隊から借りたストライカーで哨戒任務に就いたであります!
それにしても………

「寒いっ!」

いくらシールドを張れるとは言え、なんだか寒気が…;;

「くしゅんっ!!!」

くしゃみを寒い夜の空の下で連発するであります…。
もしかして…風邪でありますか??!!
でも大尉は………
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ」
と言ってたであります;;このままだと私は…?

「くしゅんっ!!」

以前、風邪だと思うからさらに悪化する…と聞いたことがあるであります!!こうゆう時は楽しい事を妄想するに限ります!!
楽しい事楽しい事…あ、バルクホルン大尉とマルセイユ大尉のどちらかが私を巡って部隊への引き抜きをするかをモメてる…と言うシチュエーションで妄想しましょう!

「くしゅん!!」

…ダメであります、今のくしゃみで興ざめしたであります…。
とりあえず、任務が終わったらバファリン飲むであります!!

274名無しさん:2011/01/28(金) 20:42:17 ID:J/PYgnKE
>>273の続き。






「ただいま戻りました!」

朝方、私が部隊の宿舎へと戻ると一目散に風邪薬を飲むであります。

ゴクゴクッ...

「…ぷはぁ…よくなると…良いであります」

とにかく寝るであります!!
私は用意された部屋へ向かい、仮眠を摂ったであります…。


***


「40.3度…ゴホッ」

起きた後、計った体温計を見て愕然とするであります…
あれ…頭がボーッと…

「ゴホッ…いや、ここで倒れてたまるもんでありますか!!!!ゴホッゴホッ」

そう自分に言い聞かせるであります!
とりあえず薬箱から風邪薬を2錠ほど水で流しこみ、哨戒へ向かうであります!















「たっ…只今戻ってきたであります…ゴホッ」

宿舎に帰ってきた私…ヤバい、冗談抜きでヤバいであります!!
なんかこう…視界がフラフラし出して、まっすぐ歩くのもやっと…?って感じで;;;

「…おかえり、レンナルツ曹長」
「ただいまであります…ゴホッ」
「おっ、貴様も早速仮病かぁ」
「ちっ、違うであります!これはガチで!…ゴホゴホッ」
「ふっ」
「いっ…行かないでっ!!」

と言い残し、スタスタと何処かへ行ってしまうハインリーケ大尉。おっ、置いてかないでくださいであります〜っ!!
必死にハインリーケ大尉を追いかけようとする私…勢い余って………

「わっ!!」

後ろから大尉を抱きしめるような感じになったであります…いやあ…その前に、ツラい;;

「なっ、何をしておるっ!!!」
「ごっ…ごめんなさいであります…」
「ったく…」

しかし、その廊下の角から2つの目が光っていた…。

「みみみ…見ちゃった!!」


***

275名無しさん:2011/01/28(金) 20:44:18 ID:J/PYgnKE
>>274の続き。


「ねえねえ、知ってる?あのちびっこ補充員の話」
「知ってる!何でも昨夜、大尉に廊下で抱きついたとか?」
「わっ、ダイタン〜!!」
「どうやら『行かないで!』って必死に懇願して抱きついたらしいわよ」
「もう許されない愛ね、上官と部下の恋愛って…ロマンチックだわ〜!」
「で、ここがそのちびっこ補充員の部屋かぁ〜」


んんんっ…
何だか廊下が騒がしいであります…
昨夜からずっと部屋に閉じこもって寝ているであります。
熱は一向に下がらず………うん、今日こそ医務室へ報告しに…!!
でも………
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ」
この大尉の言葉が頭の中でグルグルと…。ここで「私は風邪だ!」と言ってしまったら絶対に仮病扱いされてしまいます…。どうするでありますかぁ〜…。


***


「ハインリーケ大尉!!!!」
「…何じゃ?」
「おっ、乙女の純情を弄ばないでください!!!」
「はあ?何を言っておる?」

―――後から聞いた話なのでありますが、いつの間にか私の『許されざる恋』を応援する女性兵30名ほどの小集団が結成されたんだそう。そして、意を決してその集団の代表が大尉の部屋に押し入ったそうです。

「レンナルツ曹長は…あなたの事が大好きなんですよ?!どうして受け入れないんですか??!!」
「待て待て待て、一向に話が理解できぬ」
「理解するモンじゃありません!…感じるモンです、愛ってのは!!!!」
「バカか、コイツは…」
「わっ、私の予想だと…レンナルツ曹長は今夜の哨戒へ行く寸前に愛の告白があると思います!そこでイエスかノーかはっきり言ってください!!」
「???」

―――そう言うと、そそくさと部屋から出て行ったそうです。

「…レンナルツが、妾を…?まさか………!!」




















そして、哨戒へ飛ぶ直前。
何やらハンガー付近には大勢人が居るでありますが、今夜こそ意を決して…っ!!!!
…あれ、でも何故大尉がハンガーに居るのでありますか?
若干フラフラしながらも近付きます。

276名無しさん:2011/01/28(金) 20:45:13 ID:J/PYgnKE
>>275の続き。

「…ハインリーケ大尉」
「レレレレレンナルツ曹長!!ここここ今夜も今までに異常はないそうだ!!!!」
「そ…そうでありますか…」
「………」

あれ、なんで大尉は頬を赤くしてポリポリと掻いているんでありますか…?

「なっ、何かあったら遠慮なく言うのだぞ!」
「…あの」
「どっ、どうしたのだ?!」
「今夜…大尉にどうしても伝えなくてはならない事があります…」

『キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!』

ん…?なんだかバッグヤードが騒がしいでありますね…;;
熱のせいで耳が若干遠くても、聞こえるであります…。

「なななな何だ??!!」
「言いたくても…ずっと言えずにいまして…」
「うっ…うん…」
「この気持ちはウソなんじゃないかって大尉に思われるのがイヤで…」
「わっ、妾は全て受け入れるつもりだ!」
「あの…っ!!!!私、医務室へ行ってもよろしいでしょうか?」
「あ…ああ!もちろんだ!!!…へっ???」

ズテーーーーーーン!!!!

なんか後ろの方で盛大にズッコけたという、典型的な音がしたであります…。

「い…医務室…?」
「はい…ここ3日、ずっと熱が出てまして…」
「はっ…早ぅ行け…」
「すみません…今夜の哨戒、お願いします…」


***


「う〜っ!!!!」

ハンガーでの告白から2日後、私は医務室で診てもらい…そのまま、アーヘンの病院へ緊急搬送。
早いハナシ、原隊へ強制送還されたってワケであります…。
あ、大尉の部隊には既にヒスパニアから無事到着したそうでありますね!

「思ったより…」
「元気そうねぇ」
「あ、ハルトマン中尉とシュナウファー大尉!」

両名がお見舞いに来てくれたであります!

「まさかヘルマが入院だなんて…」
「それ聞いてビックリしたわよ」
「すみません;;己の体調管理を全くやってなかったばっかりに…。あ、でも実験の方は?」
「大丈夫、まだ設計図を描いてる途中だから」
「退院したらすぐ実験へ参加しますので…」
「まあ、完治するまでゆっくりしてなさい」
「ありがとうございます」
「あ、それと…」

ん、シュナウファー大尉が小包みを持ってるであります。

「ハインリーケ大尉からこれを渡すよう頼まれたわ」
「え…?」

あんなに迷惑かけたのに、お見舞い品なんて…!!

「途中で帰って来て、悪い
「あの人、ああ見えてもちゃんと他人へ思いやる気持ちがあるのねえ…」
「…ハインリーケ大尉」

なんだろう…この『キュン』となる気持ちは…;;;

「打ち合わせがあるから戻る」
「じゃっ、私も戻るわ」
「ご心配をおかけして本当に申し訳ございません!そして今日はありがとうございました!!」

両名が病室から出て行ったあと、ハインリーケ大尉のくれた小包を開くであります。
その小包の中には箱が入っており、中を開けてみると………!?

「わっ、わあっ!!??」

思いっきりベッドから落ちたであります;;
あのですね…箱の中身は…

「なっ、何でありますか!?これはっ!!??」

何かの動物の骨が入ってました;;
そして同封のメモには赤いインクで『許すまじヘルマ・レンナルツ』と。
………どんだけ恨んでるんですか!?私を!!


風邪だから仕事を休む、
しかし休んではならない。
では風邪を二の次にして良いものなのか…?
それを痛感した出来事でありました…。


【おわれ】

277mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/30(日) 21:29:56 ID:axU7Gq0w
>>276 Hwd8/SPp様
GJです。姫も取り巻きもなんか怖いですw


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1474「cherry and berry」
No.1475「cherry and berry II」の続きができましたので
投下します。
ではどうぞ。

278cherry and berry III 01/02:2011/01/30(日) 21:30:26 ID:axU7Gq0w
 もう幾つ夜が明け、朝を迎え、そして日が暮れたのか分からない。
 芳佳は目隠しを外して貰えないまま、ただサーニャにされるがまま、欲望の檻の中でもがいていた。
 欲望……。
 どちらの?と問われれば答えに困る。
 嫌がってもサーニャは迫ってくる。容赦なく、執拗に。そしてなすがままにされ……やがて墜ちる。
 不思議と、サーニャと共に過ごすうち、芳佳はサーニャのことだけを考えるようになった。
 501がどうだとか他の隊員がどうとか、そういうことは既に考えなくなり、ただ目の前にいる筈の、
 サーニャそのひとのことを想わずにはいられない。
 そんな芳佳は、今日もサーニャから“おやつ”を食べさせられ、間もなく淫靡な“遊び”へと導かれる。

 はあ、はあ、と荒い息をつく。またもサーニャの責めに耐えきれず身体が悲鳴を上げた。
「芳佳ちゃん、どんどん敏感になっていくのね。嬉しい」
「サーニャちゃん……ずるいよ」
 サーニャは芳佳の股からたらりとたれる愛液を拭い、指でにちゃっと言わせてみせた。
「芳佳ちゃんは私だけのものだから」
「サーニャちゃん……」
 唇の端からたれる涎も気にせず、サーニャは芳佳の唇を塞いだ。

「サーニャちゃん……お願いがあるの」
 芳佳は、サーニャの声がする方を向いて懇願した。
「なあに?」
「あのね。目隠しを、外して欲しいの」
「もう何日も、何も見てないから……もう何も見えないかもしれないけど」
 えっ、と思わず声を上げた芳佳に、サーニャは悪戯っぽく笑いかけた。
「冗談。外せば見えると思うけど……ここはそんなに明るい場所じゃないから」
 それにね、とサーニャは芳佳に言った。
「芳佳ちゃんには見て欲しくないものもあるから」
「それってどんな?」
「内緒」
「……ならいいけど。サーニャちゃん」
「どうしたの芳佳ちゃん。おなかすいた?喉渇いた?」
「そうじゃなくて。サーニャちゃんのことが気になるの。というか、心配」
「私のことを心配してくれるの?嬉しい」
 サーニャは芳佳の頬を、慈しむようにそっとなぞり、それから子供をあやすように優しく唇を落とす。
「でも、芳佳ちゃんがそんなこと考える必要なんてないよ。
 私のそばにずっといてくれるだけでいいの。ずっとずーっと……」
「でも、知りたいの」
 目隠しをされ、腕を拘束されたまま、そして何も抵抗出来ない筈なのに、サーニャの方を向いて喋る芳佳を見て、
 サーニャは僅かな苛立ちを覚える。
「どうしてかな……」
 サーニャは何か考えあぐねている様だった。しばしの沈黙の末、口を開いた。
「芳佳ちゃんは、そういうところ、強いよね。羨ましい。扶桑の魔女だから?」
「それは、関係ないと思う」
 芳佳はサーニャの方を向いたまま、喋った。
「サーニャちゃんが心配なの。だから」
「だから?」
「少し、腕の紐を緩めて欲しいの」
 芳佳の腕は時にベッド、時に天井からたれる紐と、常にどこかしらに結ばれていた。
 サーニャは芳佳を試す意味も込めて、無言で芳佳の戒めを解いた。勿論、まだ緩めに紐で結んではいるが。
「ああ……腕が自由になるっていいね……ちょっと関節が鳴ってる」
 芳佳は腕をぐるりと回し、自由になった両手を自分の感触で確かめる。
「芳佳ちゃん、それだけ?」
 呆れた様なサーニャの物言いに、芳佳は違うよ、と言葉を掛けた。
「私、サーニャちゃんにされてばっかり。今度は、私がしてあげたい」
「どうして?芳佳ちゃんは私のものなのに」
「だからこそ、サーニャちゃんのこともっと知りたい」
 芳佳はサーニャの声のする方へにじり寄った。思わず身を退くサーニャ。
 しかし芳佳がサーニャの身体に触れる方が早かった。脇腹と思しき部位に触れる。
「つかまえた……やっと、サーニャちゃんに触れた」
 嬉しい、と芳佳は呟いた。目隠しの部分から、涙が一筋流れる。
「どうして泣くの」
「だって、サーニャちゃんが私のものなら、サーニャちゃんを心配しないでどうするの?」
「意味が分からないよ、芳佳ちゃん」
「私、サーニャちゃんに色々されて、最初はすごく怖かったの。このままじゃいけないってあれこれ考えてた。
 でもサーニャちゃんとのことも、ずっと考えちゃってた。それで気付いたの。
 このままじゃいけないのは、私自身の方だって。私の考えが正しいなら……」

279cherry and berry III 02/02:2011/01/30(日) 21:30:48 ID:axU7Gq0w
「随分勝手な物言いなのね、芳佳ちゃん」
 サーニャに構わず、ずいと迫る芳佳。
「サーニャちゃんと、一緒に……」
「? ……ひゃうっ!」
 芳佳はサーニャの身体をまさぐった。ただむやみに触ったのではなく、どこがサーニャのどの部位なのか、触覚で確かめるために。
「いやっ、芳佳ちゃん……」
「だめ……逃げないでサーニャちゃん」
 芳佳はサーニャを片手で抱きしめると、指をつつっと伸ばし、サーニャの太股に触れ、そのままの勢いで付け根の……敏感な場所へと指を絡めた。
「あっ……いやあ……」
「サーニャちゃんも、私と一緒に……」
 サーニャの秘蜜の場所をくちゅくちゅといじくる。既に湿り、汁が溢れていることに気付く。
「サーニャちゃんも、我慢してたの?」
「ち、ちがっ……」
「サーニャちゃんが教えてくれたこと、私もしてあげたい」
 芳佳は脇腹から肋骨の端を舐め、つつっと迷走し、最後、胸の膨らみに到達する。ちゅっと吸い口を付け、
 柔らかな乳房を味わう。
「芳佳ちゃん……いつの間に、こんなこと覚えたの」
「全部今までにサーニャちゃんから教わったんだよ」
「いやっ……あふっ……んっ……」
 芳佳はサーニャの胸と股の二カ所を同時に触り、サーニャが芳佳にしたのと同じことをする。
 ただ、単なる仕返しとか憎悪由来のものではなく、優しさに溢れている。
 それはサーニャの身体を受け止める腕が、サーニャを触る手が、乱暴でなくとてもソフトで……
 肩を掴んで押し返そうとしていたはずのサーニャの両腕は今や芳佳の身体をきつく抱き寄せている。
 このまま身を委ねてなすがままにされたいような、不思議な気分───。
 それは、芳佳の体だけでなく心も、言葉も、何もかもを手に入れたという高揚感だった。
 全身を包み込む体温を強く実感し、胸の奥深くに渦巻く独占欲が僅かに笑みとなって浮かぶ。
 しかし、それだけではサーニャは良しとしなかった。
 おもむろに芳佳の身体に手を伸ばし、お尻をじわじわと揉む。
「んあっ……サーニャちゃん……」
「私も……一緒に……芳佳ちゃんと、一緒に。いいでしょ?」
「サーニャちゃん……ああっ」
「芳佳ちゃん、お尻弱いもんね」
 サーニャは慣れた手つきで芳佳のアナルに指を一本すっと入れ、くるっとかき回す。
 びくっと身体が震え、穴がきゅっと反射的に締まる。
「こっちも……もうぐしょぐしょ」
 サーニャは芳佳のヴァギナを触った。ズボン越しに滴る、芳佳の滴。
「あ……わ、わ、私だって……負けないんだから」
「んっ……芳佳ちゃん、上手……ふわあああっ」
 お互いの衝動をこれでもかという程に突きつけ迸らせる。
 一層激しく昂ぶる二人の身体。どちらからともなく、ヴァギナを合わせてぐいぐいとこすり合わせる。
 溢れ出る愛液は混じり合い、ぽたぽたとベッドに落ちて染みを幾つも作る。
「あっ……いく……芳佳ちゃん……もう……!」
「はあっ……あぁ…サーニャちゃん……私、だめ……!」 
 やがて……。
 二人は同時に悲鳴を上げ、びくびくと身体を痙攣させた。

 足を、腕を絡ませたまま、二人はベッドの上で抱き合い、横になる。
 二人は満ち足りた二人だけの空間で、お互いをじっくりと味わう。
 お互いの肌を感じ、汗を感じ……。互いの腕の中で気持ちを通じ合わせる。
「ねえ、芳佳ちゃん」
「サーニャちゃん、どうしたの?」
「やっぱり、芳佳ちゃんは素敵。私が見えないのに、私の思いが分かるなんて」
「サーニャちゃん……」
 言いかけた所で、サーニャに唇を塞がれる。
 しばしの沈黙。ゆっくり唇を離すと、涎が一筋の滴となって糸を引き落ちた。
 ふふ、とサーニャは芳佳の頬を撫でる。その瞳はもう、あの凍てつくような昏い色を湛えてはいない。
 ただ優しく、深く。満たされた者の慈愛に溢れて───
「芳佳ちゃんは一生私のものなの。だから、目隠しも取ってあげない。いい?」
 サーニャは笑った。その笑顔に宿ったものが、芳佳の瞳に映ることはなかった。

end

280名無しさん:2011/01/30(日) 21:31:02 ID:axU7Gq0w
以上です。
芳ーニャも良いよね! と言う事でひとつ。
ではまた〜。

281MigJ7:2011/01/31(月) 05:11:23 ID:CEtC1kJw
初めまして、MigJ7と申します。
以前から保管庫の小説を楽しませていただいていた者の1人なのですが、この度一念発起して自分でも一つ書いてみました。
未熟ゆえにうまくまとめきれず5400字程になってしまったのですが、3回ほどに分割して投稿しても大丈夫でしょうか?

282名無しさん:2011/01/31(月) 05:56:19 ID:AG4yWnTM
>>281
断り入れず投下して大丈夫だよ

283名無しさん:2011/01/31(月) 07:52:35 ID:fdD/beS6
どんどん投下おねがいしま〜す!

284名無しさん:2011/01/31(月) 09:24:34 ID:5MOhjuro
>>281
酉つけたほうがいいぜ

285MigJ7:2011/01/31(月) 22:01:07 ID:CEtC1kJw
酉って何のことなのでしょうか?
無知ですいません><

286名無しさん:2011/01/31(月) 22:11:31 ID:Kf5ijiwM
>>285
酉=トリップのこと
ここを参照にしてみるといいよ。
ttp://wstring.pos.to/guide/index.html#trip

#の後ろに半角で8字入力

287MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:04:29 ID:NGttFEGY
>>286
説明ありがとうございます。

では投稿させていただこうと思います。
タイトルは「信じあえる人」
アニメ2期6話、「空より高く」を自分の好みで改変したものになります。
初投稿なので至らぬ点も多いとは思いますが、ご容赦ください。

288MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:06:09 ID:NGttFEGY
ある日の夕方。私はいつも通り起きて出撃の準備をする。普段と違うことといえば、いつもは騒がしい基地の中がやけに寂しいことぐらい。ミーナ中佐に理由を尋ねたら、ネウロイが出現したからみんな出撃しているけど、今無事に帰ってきているところだと教えてくれた。なので、私はいつも通りの自分の任務のために出撃することにした。今出撃すれば帰ってくるみんなと会えると思ったから。


出撃して少し経ったころ、魔道針でみんなの声をとらえることができた。

「シールドなんかに頼っている奴は、私に言わせりゃ二流ダナ」
この声の主はエイラ。この基地に来たばかりの時、どうしたらいいのかわからなかった私に手を差し伸べてくれた人。

「そんな〜。私はシールドだけが取り柄だって言われているのに〜。」
 この声の主は芳佳ちゃん。エイラと私だけの閉鎖的なつながりに踏み込み、広げてくれた人。
二人は私にとってとても大切な人なのだけれど、エイラはいつも芳佳ちゃんをからかって遊んでいる。でも私は二人には仲好くしてもらいたいから、私はエイラを諌めることにする。

「そんな言い方をしたらだめよ、エイラ。おかえりなさい、みんな。」
「サーニャ!」
「サーニャちゃん!そうか・・・これから夜間哨戒なんだ。」
そう。私はこれからいつも通り夜間哨戒の任務に出発するはずだったんだけど・・・

「待て、サーニャ。今夜はいい。一緒に基地に戻れ。」
坂本少佐のこの一言で、私のいつも通りは終わりを告げた。


 その夜のブリーフィングで坂本少佐がなぜ私を行かせなかったのかが分かった。
今回のネウロイのコアは高度33333mという超高高度にあるのだという。そこは魔法がなければ一瞬で死に至るような世界だけど、私のフリーガーハマーならその厳しい条件下でも広範囲を攻撃できる。だから私がそこまで行って、そのネウロイを撃墜することになった。たしかにその案は正しいと思う。でも気がかりなのは・・・

「はいはいはいっ!だったら私も行く!」
やっぱり。私の横に座っていたエイラが手を挙げてアピールしている。
エイラはいつもそう。さっきだって私が夜間哨戒では一人で戦うこともあるということを芳佳ちゃんに自慢げに話していたのに、実際には私が一人で行動することをよしとしない。心配してくれるのは嬉しいのだけど、その振る舞いはなんだか母親が幼い子供を見ているような感じがして、私は少し不満だった。

私がそんな相反する二つの感情を抱いていると、坂本少佐が口を開いた。
「時にエイラ。お前、シールドを張ったことはあるか?」
坂本少佐の問いかけ、それは普通なら聞くまでもないこと。だってシールドは私たちの身をネウロイのレーザーから守ってくれる、ウィッチにとっては命綱のようなものだから。でも彼女にとっては・・・

「シールド?自慢じゃないけど、私は実戦でシールドを張ったことなんて一度もないぞ。」
やっぱり。固有魔法によって未来予知ができる彼女にとって、攻撃とは“避けるもの”であって“防ぐもの”ではないのだろう。彼女もそれを自慢げに言い放ったのだけど・・・

「なら無理だ。」
「そうね。こればかりは・・・。」
「え?」

坂本少佐とミーナ中佐によってエイラの希望はあっさり却下されてしまった。理由は、高度3万mでの戦闘では、誰かがシールドで私を守る必要があるから。なので、隊で一番強いシールドを張れる芳佳ちゃんが私と一緒に飛ぶことになった。エイラは悔しそうにして芳佳ちゃんに対して唸っていたけど、私は彼女に、私と芳佳ちゃんのことを信じて待っていて欲しかった。


翌日、私もエイラも気持ちが不安定だったからかもしれない。私は、いつもからかっているペリーヌさんの手を借りてまでシールドの特訓をしているエイラを励ましたかった。なのに、エイラはできないから諦めると言い出して、私がそれを止めようとしたら・・・

「じゃあ最初からできる宮藤に守ってもらえばいいだろ!」
どこか投げやりで人任せなエイラの言葉は私の心に響き、これまで私がエイラに対して心の中で築いてきた何かを壊してしまったような気がした。そのせいか、気づくと口が、体が、勝手に動いていた。

「エイラのバカ!」
「サーニャのわからずや!」
エイラも言い返してきたけれど、私はそれをろくに聞きもせずに彼女に手に持っていた枕を投げつけ、部屋から走り出てしまった。

289MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:14:00 ID:NGttFEGY


部屋を出た後しばらく走って少し冷静になれた私は、近くに魔力反応があるのを感じた。間違いようのない、“あの人”の魔力を。彼女が何をしているのか気になったのと、さっきあったことを忘れたくて、私は様子を見に行ってみることにした。


「芳佳ちゃん、何をしているの?」
「あ、サーニャちゃん。何って・・・今から訓練に行くところだけど。」
 私はがむしゃらに走っているうちに、気づけばハンガーまで来てしまっていたらしい。そこには発進準備をしている芳佳ちゃん、坂本少佐、バルクホルン大尉の姿があった。

「でも、芳佳ちゃん今日はお休みのはずじゃないの?」
そう。今日は訓練がないはず。それにもしあったとしても、芳佳ちゃん一人に坂本少佐とバルクホルン大尉がつくような厳しい訓練は聞いたことがない。

「それは・・・その・・・」
芳佳ちゃんは何やらモジモジして言いづらそうにしている。すると坂本少佐が普段と変わらない大きな声で話し始めた。
「ああ、宮藤に特別訓練を頼まれてな。サーニャのことを絶対に守りきりたいんだそうだ。よかったな、サーニャ。はっはっは。」
「ちょっと坂本さん。なんで言っちゃうんですか〜。」
「まあ細かいことは気にするな。」

そんな二人の会話を聞いてると、私も楽しい気持ちになってくる。でも、まだ疑問はある。
「芳佳ちゃんはあれだけ強力なシールドを張れるんだから、訓練なんていらないんじゃ・・・。」
そんな私のつぶやきを聞き逃さなかったらしく、今度はバルクホルン大尉が答えてくれた。
「宮藤は今回のような超高高度での戦闘経験がないからな。生命維持の方法やその状況での戦い方を事前に練習しておきたいそうなんだ。」

「芳佳ちゃんそうなの?」
「うん・・・。今回の任務で私にできることは、サーニャちゃんがネウロイを撃破してくれることを信じてシールドを張ることだけ。だから、そのためにできる限りのことをして、サーニャちゃんが不安なく戦えるようにしたいの!」
カッコつけすぎかな私、と芳佳ちゃんは照れているけど、私にとっては彼女の私を信じるという言葉がとても嬉しくて・・・私の口からも気づけば言葉がでていた。

「なら私も芳佳ちゃんを信じて、そして芳佳ちゃんから信じてもらえるように頑張ります。だから坂本少佐、バルクホルン大尉、私にも特訓をお願いします。」
 芳佳ちゃんはちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに私の手を取ってこう言ってくれた。
「サーニャちゃん・・・。一緒に頑張ろうね!」
「うん!」

こうして私たち二人は、そのあとみっちりと特訓をしてもらった。昼に特訓をすることなんて久しぶりだったし、まして芳佳ちゃんと二人での特訓なんて初めてだったけど、私にとってそれはとても清々しく感じられた。


夕方まで実際に飛行して、夕食の後、注意事項をもう一度おさらいしてから特訓は終わった。最後には坂本少佐やバルクホルン大尉も誉めてくれたので私が充実感に浸っていたら、芳佳ちゃんが私をお風呂に誘ってくれた。

疲れた体には温かいお湯が心地よくて、いつも入っているサウナとはまた違った良さがあるなと考えていると、いつも一緒にサウナに入っている人のことを、そしてその人と喧嘩をしてしまったことを思い出してしまった。そのせいで無意識のうちに顔色が曇ってしまったみたいで、それに気づいた彼女が訪ねてくる。

「サーニャちゃんどうかしたの?」
「それは・・・」
喧嘩の原因に彼女が絡んでいるので、できれば彼女には話したくない。けれど、せっかく信じあおうとしている相手に嘘をつきたくもないという思いもあって、私は口籠ってしまう。どうしたらいいのか困っていたら、思わぬところから助け船が来た。

「うりゃりゃりゃりゃ〜〜〜。」
「きゃああああ!ル、ルッキーニちゃん。何をしてるの。」
「う〜ん。やっぱり残念〜。」
「残念って何よ〜。」

どこからともなく現れたルッキーニちゃんが、芳佳ちゃんの後ろから彼女の胸を揉んでその一言。おかげで二人の追いかけっこが始まってしまった。彼女の注意がそちらに逸れたので答えずに済んだけど・・・それでもエイラとのことが頭から離れなくて、私はまた考え込んでしまう。すると今度は私の隣に入ってくる人がいた。

「ルッキーニ。風呂で転んだら危ないから走んなよ〜。おっと隣失礼。」
そう言いながら入ってきたのはシャーリーさん。私が彼女の体にちょっと見とれていると、彼女が口を開いた。

290MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:15:43 ID:NGttFEGY

「聞いていいことかわからないけど・・・エイラと何かあったのか?」
「それは・・・」
「いや夕飯のときに二人の様子がおかしかったから気になってな。よければ話してくれないか?」
走るのをやめた芳佳ちゃんとルッキーニちゃんは、今度は水の掛け合いをしていて、こっちには気を止めていないし、他にお風呂に入っている人もいない。それにシャーリーさんなら力になってくれそうな気がしたので、私は全てを話すことにした。


「成程なあ。」
私が全てを説明すると、シャーリーさんは納得したような声をあげた。
「私、どうしたらいいんでしょうか。」
「う〜ん・・・。難しいところだけど、自分の気持ちを信じてまっすぐ振り返らずに進めば、きっと答えは見つかるんじゃないか。」
「あ、ありがとうございます。」
自分の気持ち・・・私は・・・私は・・・。

考えてもうまく答えはでなくて、気づけば私は少しのぼせてしまったみたいで、お風呂から出た後芳佳ちゃんと話しながら歩いていたこともあってか、気づけば私は芳佳ちゃんの部屋まで来てしまっていた。
自分の部屋に戻らないといけないのは分かっているんだけど、まだエイラと顔を合わせる勇気が私にはない。それに久しぶりの激しい特訓で疲れたのもあってか、私は芳佳ちゃんのベッドに横になってしまう。

「あ・・・」
彼女は少し驚いた表情をしたけれど
「今日だけは・・・いいよね。」
そういいながら私の横に寝そべると、もう私が眠っていると思ったのか小さな声で話しかけてきた。
「私たちならきっとできるから。一緒に頑張ろうね、サーニャちゃん。」

緊張が隠し切れていない彼女の声。でもその言葉のおかげで、私は自分の気持ちを確認できた。自分を信じてくれるこの人のために、全力を尽くしてこの任務を成功させたい、と。そんな決意を胸に秘めて、私たちは一緒に眠りについた。


そんな中迎えた作戦当日。高度33333mに到達するために、私たちは3段重ねの塔のような隊形をとっていた。1番上が突撃班の私と芳佳ちゃん。その下にエイラを含む第2打ち上げ班。さらにその下に第1打ち上げ班がいて、下から順にストライカーに点火、それぞれが限界まで飛行しては離脱を繰り返す計画だ。

打ち上げは順調に進み、まず第1打ち上げ班が離脱。続いて第2打ち上げ班も離脱して、いよいよ私と芳佳ちゃんがストライカーに点火した。今回の作戦のための特別装備、ロケットブースターが生み出す騒音で、周りの音が聞き取りづらい。でも私はシャーリーさんに言われたとおり、まっすぐ振り返らずに高度33333mまで上昇していった。


目標高度に到達したときには、私たちは魔道針を使わずともネウロイを確認できた。ここは本来生命の存在しない死の空間だから。それはネウロイも同じらしく、すぐに私たちに攻撃をしかけてきた。強力なレーザーが何本も向かってくるのが見える。でも私はそれを恐れたりしない。

「任せて!」
空気のないこの空間では言葉が聞こえるはずがないのだけど、私には芳佳ちゃんがそう言ったような気がした。その直後、彼女が張ったシールドは、この空間でも何の問題もなく機能し、レーザーを受け止めてくれる。彼女は攻撃が途切れた一瞬のタイミングを見計らってシールドを解除、私はそれと同時にフリーガーハマーでネウロイを攻撃する。言葉を交わせなくても、彼女を信じて私は動く。彼女もそれに応えてくれる。そして・・・

私が放った弾丸はネウロイにすべて命中、ネウロイは爆炎に包まれた。芳佳ちゃんが笑いかけてきたけど、私はあるものに気づいて慌てて彼女の手を握り締める。

私が気付いたもの。それは倒したと思ったネウロイの先端部分。コアとその周りの僅かな部分のみが切り離されたそれは、爆風を利用して一気にこちらに接近してきていた。これはまずい、フリーガーハマーの弱点である近接戦闘に持ち込まれてしまった。今攻撃すれば、強力すぎる爆風は自分をも巻き込んでしまう。予想外の事態に私はパニックに陥りそうになる。けどそんな私の手を、芳佳ちゃんは強く握り返してくれた。それだけで私は冷静になれた。そして彼女が言いたいことも分かったから・・・私はフリーガーハマーをネウロイに向け、躊躇なく引き金を引いた。

命中と同時に途方もない爆風とネウロイの破片が向かってくる。でも私たちの手が離れることはなくて・・・彼女が張った巨大なシールドは全てを防いでくれていた。

291MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:20:53 ID:NGttFEGY


今度こそ戦闘が完全に終わったことを確認して、私たちは笑いあい、基地へ帰還しようとしていた。その時、私の目に映ったものがあった。

「芳佳ちゃん。あれがオラーシャよ。」
そう。それはネウロイに占領されてしまった私の故郷。
「あれがウラルの山。あの向こうのどこかに私の家族がいるの。」
 今すぐにでもあそこに飛んでいきたい。私がそう考えていると・・・
「取り返そう!」
「え?」
唐突な彼女の言葉に思わず聞き返してしまう。
「絶対にこの戦いに勝って、平和な日常を取り返そう。そうすればきっと、サーニャちゃんも家族に会えるよ。そのために私頑張るから!」

 人のために戦いたい、そんな彼女の純粋な言葉に、私はさっき思ったことを心にしまうことにした。彼女の願いを叶えたい、そしてそれを叶えることは、きっと私の願いを叶えることでもあると思ったから。
私は目に浮かんでいた涙を拭って彼女に応えた。
「うん。頑張ろう!」

そうしてネウロイと戦う新たな決意を胸に、私たちは基地へと帰って行った。

〜end〜

以上になります。
一応この後のことも少し考えはしたのですが、エイラの扱い方しだいでいろいろと分岐しそうだったもので・・・
アニメとほぼ同じタイミングで一旦endとさせていただきます。
それでは失礼します。

292名無しさん:2011/02/01(火) 10:39:10 ID:c7C53/pA
>>287
GJです、こういうのいいな〜
俺も自分好みにした話とか書いてみたい

293名無しさん:2011/02/01(火) 14:38:25 ID:Nm7GbxQQ
>>291
GJ!こういうifストーリーもイイネ!
芳ーニャ最高です。

294名無しさん:2011/02/02(水) 12:09:54 ID:E2aImN0g
こんにちは、LWqeWTRGです。
とある方から学園ネタを、と言われたのでとてつもなく短い小ネタを落として逃げたいと思います。



「あの、ごめんなさい…」
「いいっていいって。気にすんなよなー」

私はさっきまでの自分を思い出して自己嫌悪に陥っていた。
登校中に憧れのあの人とたまたま会って、一緒に自分たちの教室へ向かって歩いていた時のこと。
あの人と話すのに夢中になっていた私は階段を踏み外してしまい、足を挫いてしまった。
転び落ちそうになった体は抱き留めてもらったり、挫いた足のことを気遣っておんぶをしてもらったり……。

そう、おんぶだ。
お話だけでも十分嬉しくてドキドキしていたというのに。こんなにくっつい――。

「ほら、ちゃんとつかまって」
「え!? あ……はい…」

はう。心臓がすごくドキドキいってる……。
聞こえてないかな? ううん、きっと聞こえてる。
それでもいい、かな。
あなたを想う私の気持ちが少しでも伝わらないかな、なんて。

295名無しさん:2011/02/02(水) 12:11:07 ID:E2aImN0g
いい匂い…。そしてとってもあったかい……。
あなたはいつもあたたかくて。ぽかぽかと私を包み込んでくれる。
あなたが私を気にかけてくれて。私はあなたを目で追うようになって。

ううん。
きっと、初めて会ったあの時から、ずっと

…大好き。



「あっ、あのさっ!」
「は、はい!」
「わた、私も…その……」
「…?」
「す、す……」
「す?」
「す、う、ああああああああああああ!!!」
「ふぇ!?」
「今日も一緒に帰ろうな! な!?」
「は、はい! …えっ!?」
「あー…だめ…?」
「いえ! あの、嬉しいです!」
「へへ…。じゃあ、決まりな!」
「はいっ!」



END

――――――
以上です。
まだ出会って数週間くらいのえいらにゃでしょうか。
タイトルは「せなかのうえで」です。
でもこれ学園あんまり関係なゲフンゲフン……。

それでは失礼します。

296名無しさん:2011/02/02(水) 12:46:23 ID:5QBfN4jo
>>295
甘々GJ!これは良いエイラーニャ。

297名無しさん:2011/02/03(木) 19:46:22 ID:d/ewVbTU
http://i.imgur.com/7Mfp8.jpg
誰かこの画像についてkwskお願いします

298mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/03(木) 19:54:17 ID:nJNyZwMY
>>291 MigJ7 ◆KqppoLuL6様
GJ! アナザーストーリーと言うか、if話も良いですよね!
芳ーニャ良かったです!

>>295 LWqeWTRG様
GJ! ほんわかエイラーニャご馳走様です。
エイラーニャは何故こうも安心できるのか……。

>>297
エイラーニャ結婚みたいですね。どっかの雑誌ですかね?
お姉ちゃんが神父さん役ってのは、元キャラの人を考えると納得。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ひとつ思い付いたネタを、ざざっと文章化してみました。
ではどうぞ。

299marriage blue 01/02:2011/02/03(木) 19:54:45 ID:nJNyZwMY
「へえ、リーネちゃんのお姉さん、結婚したんだ」
「うん……私も話聞いてびっくりしちゃった。突然なんだもん」
「そっかあ。結婚かあ……」
「どうしたの芳佳ちゃん?」
「私達もいずれするのかなと思って」
「えっ、私と? そ、そんな無理だよ……法律的に」

「と言う訳で、私達、将来の結婚のために訓練する事にしました」
「お前も唐突だな宮藤」
「ウジャー とうとつー」
「シャーリーさんとルッキーニちゃんも居るから、ちょうど良いです。ここはみんなで訓練です」
「結婚の訓練って、何をどう訓練すりゃいいのさ」
「例えば料理に家事全般に……」
「ギニャー いやーだー! めんどくさーい!」
「まったく宮藤さんと来たら、いつも計画性が無いのですから……」
「甘いですよペリーヌさん。そう言われるかと思って、きちんと準備してあります」
「? 準備って何を?」
「おー、全員居たか。お前達何をやって……」
「噂をすれば坂本さん! お願いしますっ! 私達の訓練相手になって下さいっ!」
「何っ!? 何の訓練だ? 訓練と言えば朝にやった走り込みや腕立て、剣の素振り……」
「違います坂本さん。これは坂本さんにしか出来ない事なんです。一生に一度の私のお願いを聞いて下さい」
「な、なんかヤケに必死だな宮藤。どうした?」

「と言う訳で準備できましたー。どうです凛々しいでしょう坂本さん」
「何も男物のズボンを用意しなくても良いだろう宮藤。足の感覚が妙だぞ。太股に布が当たってすれる……」
「まずは形からです。雰囲気です」
「宮藤さん貴方! 少佐で何遊んでらして!?」
「ペリーヌさん、何で少佐を直視しないんです?」
「坂本さんはいつも通りで良いんですよ。じゃあ、まずはペリーヌさんから」
「へっ? なぜわたくしが最初に?」
「ささ、どうぞ。ガリアの淑女の魅力をばばーんと。さあ、坂本さんの横に」
「え? ……わたくし、横にと言われましても、一体何をすれば?」
「私も何をすれば良いのかさっぱり分からんぞ宮藤。記念撮影でもするのか」
「坂本さんはいつも通りで良いんです。何でしたらこれをどうぞ」
「何だこの瓶は?」
「あの、少佐……?」
「さあ、ぐいっと」
「毒じゃないだろうな」
「上官に毒盛るウィッチなんていません」
「まあ、そうか。では貰おう」

「あの、少佐? 何故お黙りになるのです? わたくし、何かいけない事でも」
「ふっ……」
「少佐、なぜ、お笑いになるのです? わたくし、何か問題でも」
「ペリーヌは優しいな」
「えっ……いえ、そんな事は」
「そして可愛いな」
「ちょっ……少佐……顔が近すぎます……ああっ」
「ウギャー ペリーヌが倒れた」
「耳元にキスされたら、普通はああなるわな」
「ルッキーニ、来い! 私と遊ぶか!?」
「へっ? 少佐いきなりどしたの?」
「ならば私から行くぞ、ルッキーニ! わはははは!」
「ギャー 少佐がぁー タスケテー」
「ちょっ、少佐? ルッキーニが……嗚呼」
「ふむ、シャーリーはルッキーニが心配なのか」
「そうやってさりげなくあたしを抱き寄せるの止めて貰えませんか少佐」
「流石部隊一だけ有るな! 魅力的だぞシャーリー!」
「誉めてるんだか単に酔っぱらってるだけなのか……宮藤、少佐に何飲ませたんだ」
「ウォッカを」
「おい! 一番きっついやつじゃないか! どっから持ってきた?」
「サーニャちゃんの部屋から」
「何でサーニャがこんなもの持ってるんだ」
「戦車の燃料代わりになるみたいですよ」
「誰が戦車使うんだよ」

300marriage blue 02/02:2011/02/03(木) 19:55:05 ID:nJNyZwMY
「ふむ、大きさもかたちも世界一だなシャーリー」
「ちょっ! さりげなく上着脱がさないで下さいよ! 何してるんですか少佐!」
「ここにちゅー」
「うはっ……あっ……。ちょっとやめて下さいって、みんな見てるじゃないですか」
「照れるなシャーリー。私の命令が聞けないのか」
「そもそも何も命令されてませんて」
「じゃあシャーリーの胸は私のものだぁー」
「いやーだー! シャーリーはあたしのだもん!」
「良いだろうルッキーニ、勝負だ!」
「二人とも、あたしで争うのやめてくれ!」
「わあ、なんかシャーリーさんが悲劇のヒロインみたいに」
「ちょっと違うと思う、芳佳ちゃん……」
「そうかな?」
「それに芳佳ちゃん……。少佐、おかしくない?」
「飲んだらいつもあんな感じだよ、リーネちゃん」
「飲んだらって……」
「貴方達、騒がしいと思ったら一体何を……ッッッ!!!」
「あ、ミーナ中佐」
「ミーナ中佐、入って来るなり鼻押さえてどうしたんです? なんか鼻血出てるみたいな……」
「そんな服で居るなんて、卑怯よ美緒ッ!」
「お酒飲んでないのにミーナ中佐もおかしくなってきたね」
「どうしよう芳佳ちゃん」
「おお、ミーナ。いま乳比べをしてたのだ」
「……は? 乳?」
「シャーリーが一番なのは認めるところだが、なかなかリーネも……」
「いやあ助けて!」
「坂本さん、リーネちゃん離して下さい!」
「美緒、貴方一体何やってるのよ! リーネさんから離れなさい!」
「私の魔眼は誤魔化せんぞリーネ、また成長したな!」
「なっなんで知ってるんですか!?」
「え、そこ芳佳ちゃんが驚くところ?」
「止めなさい坂本少佐。これ以上の騒動は許しません」
「じゃあミーナも騒動に加わればいいじゃないか」
「何馬鹿な事言ってるの……え? 美緒、何を!?」
「うーむ。ミーナもなかなか素敵な……」
「やめーてー美緒ー! 皆が見てるわっ」
「大丈夫だ、この前みたいに唇にはしないから」
「!!! やっぱりあれ覚えてたのねっ! 酷いッ酷いわ!」
「じゃー、ほっぺにチュー」
「……あ、ミーナ中佐が倒れた」
「おい、犠牲者が増えたぞ!」
「どうしようリーネちゃん」
「うう……私お嫁に行けない」
「大丈夫、私がお嫁さんになってあげる」
「えっ?」
「ウジャー どうするシャーリー……」
「こう言う時に限って、バルクホルン達は何してるんだ、それにエイラとサーニャも?」
「部屋から出てこないし『呼び出し厳禁』とか部屋の扉に張り紙が……」
「あ、あいつら……」
「うわはははは、わしょーい烈風斬!」
「おい、所構わず何か斬り始めたぞ! 少佐やめてくれ!」
「だれかとめてー」
「芳佳ちゃん……」
「リーネちゃん……のおっぱ」
「えっ?」
「ううん何でもない、私幸せだよ?」
「有難う芳佳ちゃん」
「で、あの少佐どうすんだよ宮藤」
「それは、しりません」
「そりゃあたしの台詞だ」

end

301名無しさん:2011/02/03(木) 19:56:12 ID:nJNyZwMY
以上です。
「将来に備えて異性との交際を研究しよう」
と奮闘するも……という、
男が出ないけど男話題の百合という話……
のつもりだったのですが。
誰得な話ですね、すいません。

ではまた〜。

302名無しさん:2011/02/03(木) 20:11:29 ID:kek5J5xI
pixiv、Oh MARIA
エイラーニャいいよね
この人の作品好きだ

303名無しさん:2011/02/03(木) 20:17:23 ID:kek5J5xI
>>302>>297宛でした。投稿慣れてなくてごめんよ

作者様方いつも素敵なSSありがとうございます。
ひっそりROMってます。

304名無しさん:2011/02/04(金) 00:50:21 ID:bTqyY95s
>>294
わふーい、あなたのSS大好きです。これからめくるめく学園生活展開ですね。

>>300
>「なっなんで知ってるんですか!?」
>「え、そこ芳佳ちゃんが驚くところ?」
吹いたw

305Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:16:06 ID:S5GIlh7Q
こんばんは、今さらながらトリップを付けました!Hwd8/SPpです。
エイラーニャ祭り実施中ですが…空気を読まず、502モノを投稿しますw
やはり自分、ギャグ作品以外は苦手です…('A`)
ではっ!


【noblesse oblige】

「さっ…寒みぃ…」
吐く息が白い。1月のある寒い夜、菅野は真っ暗な部屋の片隅で震えていた…。
菅野は地面がコンクリートで出来た独房のような場所に拘置されていたのだ。

それもそのはず、担当区域ではない場所へ応戦した…つまり『軍紀違反』を犯したのである。

コツコツコツ...

すると、遠くから足音が聞こえる…。

キイッ...

「…は、伯爵?」
「自分はカールスラント空軍第52戦闘航空団第6中隊所属、現第502統合戦闘航空団所属のヴァルトルート・クルピンスキー中尉!」

クルピンスキーが入って来たのだが、いつものおちゃらけた表情はどこかに封印し、いつもは見せない堅苦しい…まさに『軍人』の表情をしていた。

「…あぁ知ってるぜ」
「管野直枝中尉の身柄引き渡しに参りました!」
「…そうか」
「AKB48では断然、高橋みなみ派です!」
「知らねえよ!」
「良かったぁ…ナオちゃん、すっかり元気が無くなってるかなって思って」
「てか寒みぃよ…早く出してくれよ」
「それがさあ…今、ラル隊長とここに来たんだけどこっちの隊長さんと飲んで盛り上がっちゃってんだよねー」

すると菅野はベッドへもぐりこむ...

「…へ、ナオちゃん…もしかしてボクがそのベッドの中へ誘ってるのかい?」
「ちげーよバカ!ふて寝だ、ふて寝!」
「あらら…残念」
「…行かなくて良いのか?」
「どこにさ?」
「隊長んとこ」
「うーん…なんか管理職の愚痴を言いあってて、ボクが会話に入り込む余地がないんだよねー」
「なあ、一人にさせてくれないか」
「…どうしてさ?」
「一人になりたいんだって」
「…だが断る!ってね」
「はあ?」

するとクルピンスキーは地面にあぐらをかき始めると、

「あんまこうゆう話って好きじゃないんだけど…するね。本当はしたくないんだけれど」
「早く言えよ…」

菅野は顔を壁に向きながらそう発言する。

306Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:16:38 ID:S5GIlh7Q
>>305の続き

「今回はさ…ナオちゃんの味方は出来ないよ」
「…は?」
「隊長だって熊さんだって、まずナオちゃんの心配をしてるんだよ?」
「わかってる…」
「お願いだからさ…心配させないであげてくれるかな?あ、ボクも人のこと言えないよね〜!あはは〜」

ドンッ!!!!

いきなり菅野は冷たい壁を殴った...

「…っ!!じゃあ今にも撃墜されそうな味方を見殺しにしろってのか??!!」
「はあ…別にボクはそんなことを言ったつもりじゃ」
「同じだ!!!!」
「手、大丈夫?今思いっきり壁を殴ったけど?」
「話を聞け!!答えろ!!!!」
「…ナオちゃん、今日の戦い方ヘンだったよ?あれじゃあいつネウロイにやられてもおかしくなかったよ」
「必死だったんだ!」
「良いことを教えてあげようか、前のボクの上司が言ってたんだけど…感情的になるなって」
「べっ、別に感情的になんか!」
「なってたさ!!!!」

突然クルピンスキーは声を上げたのだ。
普段、怒る姿を見たことのなかった菅野は体をこわばらせた…。

「ジョゼ君のサポートがなかったらストライカーの破損どころか、ナオちゃん自身危なかった!それをわかって言ってるのかい?!」
「うっ…うっせ…」
「ちょっと自惚れた部分があったんじゃないの?!自分の担当じゃない所へサポートして、カッコ良い所を見せようとして」
「そっ…そんなんじゃねえよ!!!!」

ベッドから飛び起き、いきなりクルピンスキーの胸倉を掴む菅野。
しかし、クルピンスキーはいつの間に笑っていた...

「…ふふっ…そんなワケないよね、ナオちゃんは」
「…はっ?」
「そんな計算高くないもんね?」

安心したのか、クルピンスキーの胸に顔を埋める。

「おやおや、今夜は積極的だねえ…ま、ボクは爆乳じゃないけど楽しんで」
「………」
「…ねえナオちゃん、悔しい?」

クルピンスキーは優しく髪を撫で始めた...
そして嗚咽をしながら泣き始めた菅野であった…。

「悔しい…っ!!ものすごく悔しいっ…!!」
「お〜よしよしよし………ボクらもね、すごく心配したんだよ?ジョゼ君があの時追いかけなかったら、死んでたんじゃないかってね」
「オレッ…謝るっ…みんなに謝るっ…!!」
「うんうん…あらあら、さっき壁殴ったからものすごく血が出てるよ?痛くないのかい?」
「痛い…」
「…この痛みがわかるってことはいつものナオちゃんだ」
「痛い…痛いよォ…」
「ちょっと待っててね、包帯を持って来るから」

307Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:17:42 ID:S5GIlh7Q
>>306の続き















そして、夜が明ける。
菅野はスヤスヤとベッドで寝ており、クルピンスキーはその側に座りウトウトとしていた。
そして、拘置されている場所にラルがやって来た。

「…伯爵、菅野はどうだ?」
「あ、ラル隊長おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「ナオちゃんは…元気です」
「そうか…今回ばかりはお灸を据えなければなと思ったんだが…」
「昨日ちゃんと調教…じゃない、説教したんで問題ないと思います」
「ほほぅ…ナンパじゃなくてか?」
「そりゃしましたがもちろんダメでしたよ」
「そうかそうか…っておい!」
「わ〜、ラル隊長ノリツッコミがウマ〜い!」
「…まっ、私がロスマンやサーシャに報告しとく」
「じゃあボクは先生と熊さんを頂きます」
「………」
「…あれ、ノッてくれないんですね;;ふあ〜…っ」
「寝てないのか?」
「えぇ、だってここ寒かったんですもん」
「お疲れ様、伯爵」
「いえいえ…。隊長、こんなこと聞いたことあります?」
「あん?」
「ガリアの言葉だそうなのですが、『noblesse oblige』って言葉を」
「ノッ…ノブ?…小栗旬?」
「ノーブレス・オブリージュです…意味は『高貴さは義務を強制する』…彼女こそホンットの伯爵なのかもしれない…」
「???」
「確かに彼女は間違ったことをした、でも人間としては正しいことのはずなのになあ…って」
「何が言いたいんだ?朝でまだアルコールが抜けきってないからわかりやすく言ってくれ…」
「…何でもないです。さっ、帰って先生と熊さんを食べようかなあ〜♪…ふあ〜っ」





―――『noblesse oblige』…やはり、彼女ほどの正義感を持つ者の然るべき行為だったとボクは考えている。



【END】


やはりハイテンション物以外は苦手です('A`)

3085uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/08(火) 00:46:34 ID:9NkN7E/M
皆様、いつもGJです。
ちょっと来ない間に凄く賑わってますね。個々にレスできなくて申し訳ないです。
さて、今日はクリスの誕生日ということでクリス×トゥルーデで一本書いてみました。ではどうぞ

309Live in the present 1/1:2011/02/08(火) 00:48:45 ID:9NkN7E/M
――1947年2月、カールスラント東部カイザーベルク

「お姉ちゃん、ちょっと作り過ぎじゃない?」
「何を言う、今日は年に一度のお前の誕生日なんだぞ。これでもまだ足りないくらいだ」
「あはは……」

――お姉ちゃん達ウィッチの活躍で戦争が終わってから、もうすぐで一年。
あの戦争で失ったものは大きかったけど、今は大好きなお姉ちゃんと一緒に暮らすことができて毎日が幸せ。

「ふふっ、いい匂い……私には勿体ないくらい豪華な誕生会だよ」

今日、2月7日は私の誕生日。
テーブルの上にはお姉ちゃんが作ってくれた美味しそうな料理がいっぱい並べられている。
これ全部食べきれるかな。

「クリス」
お姉ちゃんがオーブンからケーキを取り出しながら、不意に私の名前を呼んできた。
「なに、お姉ちゃん?」
「お前にはずっと寂しい想いをさせてきたな……本当にすまなかった。でも、これからはずっと一緒だ。
誕生日だって毎年祝ってやれるし、夏になったらまた遠くまで遊びに行ける」
「うん……」
お姉ちゃんが優しく頬笑みながら私にそう言ってくれた。
お姉ちゃんの言葉はとても嬉しかったけど、その表情はどこか寂しげな感じがした。
私と長い間一緒にいれなかった事に責任を感じてるのかな。
「ダメだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんがそんな顔してたら、天国のお父さんやお母さんだってきっと寂しがるよ」
私はお姉ちゃんの手をぎゅっと握りしめながら言う。
「お姉ちゃんと離れていた時の事、寂しくなかったって言えば嘘になるけど私、それ以上に誇らしかったんだよ」
「誇らしかった?」
「うん。私の大好きなお姉ちゃんが世界の平和を守るために戦ってるウィッチだっていう事が誇らしくて嬉しかったんだ。
だから、お姉ちゃんが負い目を感じる事なんてないんだよ。それに、一緒にいれなかった分の時間だってこれからいくらでも取り戻せるよ」
気が付けば私はお姉ちゃんの事を抱きしめていた。
優しくて、暖かみのある私の大好きな感触。
「お、おいクリス……」
私がお姉ちゃんの胸に耳を当ててみると、胸の鼓動が激しく動いてるのが分かった。
ふふっ、お姉ちゃんったら顔真っ赤にしちゃって可愛いな。
「ケーキより先にお姉ちゃんを頂いちゃおっかな」
私が冗談混じりでそう呟くと、お姉ちゃんの顔は更に真っ赤になった。
「な!? お、お前はどこでそんな言葉を覚えたんだ!? さては、エーリカかクルピンスキーの入れ知恵だな?」
「えへへ、どうだろうね」

――もし、ネウロイが現れていなかったら、私は今より幸せな日常を過ごせてたのかな。
時々、そんな事を考える。でもいくら考えても、失ったものは戻ってこないんだ。
だから、私は振り返らないで前を見て、『今』を精一杯楽しもうと思う。
大好きなお姉ちゃんと一緒に。

「お姉ちゃん」
「な、何だ?」
「いつもありがとう」

私は日頃の感謝を込めてお姉ちゃんの唇にそっとキスをした。
お姉ちゃん、これからもずっと一緒にいようね。

〜Fin〜

―――――――

以上です。クリス、誕生日おめでとう!

310名無しさん:2011/02/08(火) 16:53:55 ID:LC5cdwLQ
>>307
GJ!!ギャグも素晴らしいですがこーいうちょいとシリアス気味なのもよかっですよ!それにしても伯爵かっけ〜!ナオちゃんは殴った拳の痛みがわかる子ですよ、きっと!!

311名無しさん:2011/02/08(火) 23:02:06 ID:dc/vB.Rg
>>309
GJです。平和な姉妹に和んだ。

312mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/09(水) 22:36:13 ID:9SeIvse2
>>305 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。何だかんだでハイテンションなノリが良いですね。

>>309 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! バルクホルン姉妹がステキ過ぎます。ほっこりします。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
軽く思い付いたネタを、ざざっと文章化してみました。
保管庫No.0450「ring」続編となります。
ではどうぞ。

313listless feelings:2011/02/09(水) 22:36:57 ID:9SeIvse2
 午後の薄日が差すミーティングルーム。
 誰も居なくなったその部屋で、窓際のソファに深々と腰掛け、そっと肩を寄せ合う二人。
「トゥルーデ」
「どうしたハルトマン」
「もう二人っきりなんだから、カタくなくていいんだけど」
「ああ……そうか。そうだったな。エーリカ」
「そそ。ちゃんと名前呼んでくれれば良いの」
「すまない。どうも……」
「? どうかした?」
「いや、何でもない」
「顔赤いよ。照れてる? 可愛い、トゥルーデ」
「こら。人をからかうんじゃない」
「……その辺は、昔も変わらないよね」
「仕方無い。私は私だ。急に変わるなんて、無理だ」
「でも、私と一緒に過ごす時間が増えてから、大分変わって来たと思う」
「そうか? 私には解らないが……」
「自覚無しか……。まあ、その辺も変わらないよね」
「悪かったな」
「別に怒ったり悲しんだりしてるんじゃないよトゥルーデ、安心して」
 微笑むエーリカ、ちょっと物憂げな表情のトゥルーデ。頬にそっと手をやり、唇を重ねる。
 お互いの気持ちを通じ合わせ、確かめる為のちょっとした“儀式”。

 二人は横のテーブルからカップを取り、粗めに挽いたコーヒーの香りを楽しみ、一口飲む。
 ミルク入りも良いかもね、などと雑に会話を交わしたところで、ふとエーリカが思い出したかの様に呟いた。
「人には色々有るから。急に変わるなんて無理」
「さっきの、私の台詞だぞそれは」
「反芻してみただけ。確かにそうだよね」
「ああ」
「でも、少しずつだけど、変えていける部分も有るよね」
「それは、確かに有ると思う」
「例えばクリスの事とか。元気になって、随分と……」
「クリスの事は良いんだ」
「また照れてる」
「と、とにかくだ。時間は過ぎて行くから、嫌でも変わってもいくし、変えていかなければならない部分も有るだろう」
「トゥルーデ、言ってる事固い割には結構進歩的? だね」
 肘をついた格好のまま、エーリカはふふっと笑った。首を傾げるトゥルーデ。
「そう言う問題か?」
「まあ、私とトゥルーデの間については、もっと進歩的であって欲しいと思うよ」
「これ以上どう進歩しろと」
 ひそひそと耳元で囁くエーリカ。言葉を最後まで聞き終わらないうちに、トゥルーデは頬だけでなく耳まで真っ赤になる。
「ばっバカっ! そんな事出来るか!!」
「えー、やってみないと分からないよ」
「たまに、お前についていけなくなる時が有るから困る」
「冷静になられても。これも全部トゥルーデを愛しての事だから」
「こっこらっ! 皆に聞かれそうな所で、軽々しく『愛してる』とか言うな」
「えーなんで? 事実だし」
「だって、その、私としては……」
「分かってるよトゥルーデ」
 そっとトゥルーデの手を握るエーリカ。少しがさつで、骨太で。でも愛おしいその手をぎゅっと握って、エーリカは笑う。
「手を握るだけで分かるもの。トゥルーデの気持ち」
「何故? 超能力でも有るのか?」
「手、汗かいてるから」
「……っ!」
「じゃあ、そろそろ行こうかトゥルーデ。今夜が楽しみだよ。トゥルーデは?」
「……まあ、その」
「無理しちゃって。聞きたいな、トゥルーデの……」
 観念したかの様に、エーリカをそっと抱き寄せ、耳元で囁く。
「分かった。愛してる、エーリカ」
 そこで、誰かが部屋に来る気配を察するカールスラントのエース二人。
 空になったカップを手に、腕を組んで部屋を出る二人。
 行き先は……。

end

314名無しさん:2011/02/09(水) 22:37:17 ID:9SeIvse2
以上です。
いつものエーゲルと言う事で。

ではまた〜。

315サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:54:06 ID:kyCPAeeI
【月】

「私を月まで連れてって」
少し照れた眼差しでサーニャが呟いた。
「…えっ?」
「この曲の名前。エイラが訊いたんでしょ?」
「そ、そうだった。私を月まで連れてって…か。変な名前だけど私は好きだナ、この曲」

二人で夜間哨戒するのは久しぶりだ。
サーニャが聴かせてくれる遠い異国のラジオの曲、月明かりに柔らかく照らされたサーニャの姿…
その幻想的な雰囲気に目眩を感じて月を見上げる。

突然ラジオに雑音が入り込み、やさしい曲の音色を掻き消した。
代わりに誰かの声が途切れ途切れに聞こえてくる。
『…偉大なる時代が…諸君らが望んで…闘争を続けねばならない…』
サーニャは眉をしかめて魔導針を解除した。
「サーニャ?」
「この人…」
「うん。カールスラントの総統だナ。南リベリオンから戻って来たんだろ。私は嫌いだな」
サーニャが暗い表情で頷く。
その場を取り繕うようにエイラが慌てて続けた。
「みんな戦争の噂をしている。でも人間はそれほど馬鹿じゃない。
みんなネウロイに苛立ってるだけなんだ。私たちがネウロイを倒せば、
また平和な世界が戻ってくる。そしたら…」
「そしたら?」サーニャが覗き込むように尋ねた。
その先を考えていないエイラが苦し紛れに言葉を続ける。
「そしたら…人間は再び手を取り合って歩き続けるんだ。
みんなが助け合えば人間に不可能なんてない。
だから…人間はいつかあの月にだって行けるんだ!」
「それはエイラの予知魔法?」サーニャがクスクスと笑う。
「そ、そうだ。わたしの予知魔法だ。だから絶対に間違いないんだぞ!」
「それじゃエイラが私を月まで連れてってくれる?」
「もちろん。約束する!」
他愛のない冗談に2人が笑い出す。

寄り添うように指切りを交わした瞬間、
エイラの意識が跳んでサーニャの魔導針が反応した。
「サーニャ…?」
ラジオから再び誰かの声が聞こえてきた。
今度はさっきよりも遠くから聞こえてくる感じだが、明瞭に聞き取ることが出来た。

『接触灯点灯。オッケー。エンジンストップ。ACA解放』
『ACA解放了解』
『モードコントロールオート。降下用エンジン指令停止。エンジンアームオフ。413イン』
『ヒューストン、こちら静かの基地。イーグルは着陸した』

7月20日
エイラ・ユーティライネン中尉及びサーニャ・リトヴャク中尉による夜間哨戒飛行。
…特記すべき異常は見られず。

316サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:56:52 ID:kyCPAeeI
魔法の眠り】

『一つ理解して欲しいのは、魔法と睡眠は等価だという事だ。
大量の魔法力を消費した魔女は長時間の睡眠を必要とする。
しかし、なかには睡眠中に無意識の内に魔法力を発露させてしまう魔女だっている。
そんな魔女は、早起きすることが出来ないんだ…』
エーリカ・ハルトマン中尉/柏葉剣付鉄十字賞授与式における発言より抜粋


エイラ「た、大変だあ! サーニャが、サーニャが、眠ったきり目を覚まさないぞ!」

もっさん「これは…魔法の眠りだな。魔法力を使い過ぎたんだ」

エイラ「一体どうしたらいいんダ?」

もっさん「簡単なことだ。魔法力を注入してやればいい。宮藤! 魔法力が大きいお前が適任だ。お前がやれ」

宮藤「わかりました! …でも、どうやるんですか?」

もっさん「キスだ。キスをするんだ!」

宮藤「エエエえっ!?」

エイラ「み〜や〜ふ〜じ〜!!」

宮藤「ひぇええっ!」

エイラ「嫌だ! わたしがサーニャにキスするんだ!」

宮藤「私には上官の命令に従ってキスする義務があります。私に任せて下さい!」

エイラ「義務だなんて言い訳だ! だいいち宮藤! お前のその手の動きはなんだ!」

宮藤「(ハッ!)…こ、これは父との約束で、そのぅ…守りたいから私は揉むんです!」

リーネ「…芳佳ちゃん…」

エイラ「乳との役得ぅ? そんな目でサーニャを見んなぁああ!」

バルクホルン「話は聞かせて貰った。上官として私は妹…いや、部下を救う責務がある。
私に任せろ!」

宮藤「バルクホルンさん! ずるいです!」

バルクホルン「な、何を言う! わ、わたしはカールスラント軍人として…」

エイラ「こ、こうなったら早い者勝ちダあ! サーニャぁああ!!」

宮藤「あっ! 待って下さい!」

バルクホルン「貴様!やめろ!」

ルッキーニ「うじゅじゅじゅ〜(阿呆らしくてやってらんない)!」

シャーリー「我慢だ。ルッキーニ」

サーニャ(エイラの馬鹿!)

317サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:57:59 ID:kyCPAeeI
【霧の中】1/2

「くっ…!」
ネウロイのビームに反応して、サーニャのシールドが展開された。ネウロイの姿は濃霧に隠れて見えない。
濃密な霧でビームの威力は半減してるが、それでも殺傷能力は十分にある。
(まずい…このままじゃ魔法力を消耗するだけだ…)
複雑な回避飛行を続けながら、幾度となく全方位広域探査を試みるが、レーダーは全く効かなかった。
それどころか基地にいる仲間に連絡する事さえ出来ない。霧は強い磁気を帯びていた。
ビームを回避しながら、フリーガーハマーの残弾数を計算してみる。
…予備を含めて残り3発。
一晩の間に2度もネウロイと遭遇するのは初めてだった。1体目を撃破した直後に2体目が出現した。
体制を整える為に霧の中に身を隠したが、それがかえってアダになったようだ。
ネウロイの進行方向を計算すると真っ直ぐに基地に向かっている。ここで身を引く訳には行かない。
回避飛行するサーニャを再びネウロイのビームが捉える。
ビームの方向にフリーガーハマーを1発ぶち込んでみるが、まるで手応えがない。
おそらくホーミングレーザーだろう。
(敵の位置が掴めない。どうする…?)
息があがってきている。そろそろ限界も近い。日が昇るまで1時間程。
それまで持ちそうもなかった。
基地にいる仲間の事を考えてみる。こんな時エイラならどうするだろう?
またネウロイのビームが飛来する。どんな方法かは知らないが、敵がこちらの位置を把握してるのは間違いない。
回避飛行を続けているのにネウロイの攻撃は正確だ。しかしトドメは刺しに来ない。
執拗に繰り返される攻撃は、まるで獲物を弄んでいるようにも思える。
(そうか…フリーガーハマーを警戒して近づけないんだ)
サーニャはフリーガーハマーの弾を取り外してポケットに入れると、おもむろにフリーガーハマーを放り捨てた。
(遠距離での攻撃じゃ不利だ。なんとかして接近戦に持ち込まないと!)
空中でホバーリングしながら目を閉じて耳を澄ます。周囲の音を聞き漏らすまいと黒猫の耳がピンと立てられた。
濃霧の中を移動するネウロイの発する微かな空気の動きが感じられる。
ネウロイは攻撃を止めて真っ直ぐにこちらに向かっているようだ。
やはり武器を捨てた事を知っているのだ。サーニャの猫耳が慌ただしく動きまわる。
ネウロイは確実に距離を詰めて来ている。距離500…300…100…

318サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:59:13 ID:kyCPAeeI
【霧の中】2/2

瞬時に左足のストライカーユニットを脱ぎ、中にフリーガーハマーの弾を込めると、
自律航行モードでストライカーユニットをネウロイの方向に射出した。
僅かな間をおいて、ストライカーユニットがネウロイにぶち当たり、閃光と共に爆発する。
爆風と共に爆発の轟音が衝撃波となって襲いくる。
最大の魔法力を込められたフリーガーハマーの弾薬の破壊力は凄まじい。
爆風は周囲の濃霧を吹き飛ばし、オレンジ色の焔がネウロイの姿を露わにした。直撃だ。
ネウロイの装甲は大きく抉れており、コアが焔の明かりを反射して輝いて見える。
ネウロイは鋼鉄の巨体をのた打ちまわらせて咆哮する。
すかさず、サーニャのブローニングM2重機関銃が火を噴いた。
奥歯を食いしばりながら銃弾に魔力を込めて連射する。片足だけのストライカーユニットはバランスが悪い。
コアに照準を合わせても当たらない。ネウロイの姿が目前に迫った時、ようやくサーニャの銃弾がコアを撃ち抜いた。
唐突に鋼鉄の軋むような咆哮をあげてネウロイの装甲が崩壊していった。
空気を揺るがす衝撃波と鋼鉄の残骸がサーニャを襲う。
シールドで防御しながら、サーニャは無意識に片腕で防御の姿勢をとっていた。
硝煙の匂いが立ち込めるなか、結晶化したネウロイの破片がサーニャの脇を吹き抜ける。
「…終わった?」
肩で大きく息をしながら、思わず呟いた。暫くのあいだ呆然としたまま身動きすることも出来なかった。
重機関銃を撃っていた右腕が僅かに震えている。

やがて、気を取り直したように大きく深呼吸すると、
乳白色の霧が立ち込める空を、サーニャは基地に向かってゆっくりと飛び始めた。
「今回は使い魔の黒猫に助けられたみたい…ありがとう」


『使い魔』ウィッチが魔力を使う時にサポートする存在。
使い魔が使役されてる間、ウィッチにはその使い魔と同じ耳と尻尾が現れ、使い魔となった動物の特性を得る。
猫の聴力は、犬よりも広い6万〜10万ヘルツの哺乳類トップクラスであり、
音源までの距離と方向を正解に把握することが出来ると言われている。

319サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:59:55 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】1/3

『暗箱の中の猫だって夢を見る。猫にとって私たちは、重ね合わせた確率の存在でしかない』

夜明け前の教会は、凛と張り詰めた空気の中に厳かな静寂を響かせていた。
一人で教会の中に居ると、まるで世界は此処だけしかない錯覚に捕らわれる
本当にそうなら、どれほど楽だろう? 窓の外には現実感のない暗闇が広がるだけだ。
私は世界に一人きり。冷たい床にひざまづき、ひたすら神に祈り続ける。
─神さまお願いです。どうかサーニャをお守り下さい
私の命と引き換えでも構いません。どうかサーニャを助けて下さい。神さま─

教会の扉が開いてミーナ隊長が飛び込んできた。
薄暗い教会を見渡して、私を見つけて息を飲む。
「エイラさん! サーニャが、サーニャが…」それだけ言うと、床に倒れるようにして泣き崩れてしまった。
私の心臓は一瞬で凍りつく。全身の肌が粟立ち、背中を冷たい感触が走る。
私は知っていた。ミーナの言葉の意味を。
私は何度も何度も繰り返し、この場面を見てきた。遠い過去から何度も繰り返し…。
私は震える足取りで医務室に走った。後ろでミーナが呼び止める声が微かに聞こえる。
サーニャは医務室のベッドに横たわったまま動かない。まるで眠っているように見えた。
「…サーニャ?」
震える手でサーニャの頬に触れてみる。冷たい感触が指先から全身に広がって行った。
「サーニャ…」
もう一度呼び掛けて私は、サーニャの上に泣き崩れた。とめどもなく涙が溢れ出た。
「サーニャ…」

教会の扉が開いて坂本少佐が飛び込んできた。
「こんな所で何をしている! 緊急出撃の警報が聞こえないのか?」
基地の中をサイレンが鳴り響いていた。
「ネウロイだ! いまサーニャが足止めしている。サーニャが危ない!急げ!」
私は格納庫に走った。ストライカーユニットに脚を突っ込み、重機関銃を手に取る。
私は薄暗い夜空に向かって飛び立った
「サーニャ待ってろ! いま助けに行く!」
ネウロイに対する怒りが全身を駆けめぐった。

320サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:00:32 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】2/3

教会の扉が静かに開いた。扉の前にはサーニャが立っていた。
「サーニャ…?」
サーニャは不思議そうな顔をして静かに佇んでいた。
「驚いた顔して、どうしたのエイラ…?」
彼女の暖かな手が私の肩に優しく置かれる。
「な、なんでもない!」
「エイラの目…赤い。もしかして、一晩中教会でお祈りしてたの?」
少し可笑しそうな顔でサーニャが尋ねた。
「わたしは…夢を見たんだ。サーニャの夢を…だから私は…」
「夢?」
「そうだ。わたしの見る夢は只の夢じゃない。予知魔法が見せる夢なんダ…でも…」
「…でも?」
「たまには外れることだってあるってことだナ」
サーニャはクスクスと笑いながら私の手をとった。彼女の手の温もりにが心地よかった。
サーニャが悪戯っぽい眼差しで私の顔を覗き込む。
「サ、サーニャがネウロイに撃たれた夢だったんだぞ。笑いことじゃないんだ。
もし本当にサーニャが私の前から消えてしまったら、私はどうすればいい?
サーニャのいない世界で生きて行くなんて、わたしには無理だ…」
サーニャはクスクスと笑うと、祭壇の上の十字架を見ながらこたえた。
「もし私が死んでも悲しまないでエイラ。
私は神様の前で胸を張ってこう言うわ。
─私は私に出来る事を全てやった。私はネウロイからも、そして私自身の弱い心からも
決して逃げることはなかった。本当に怖くて震えるような夜間哨戒だって、最後までやり抜いた。
私はみんなを守るために最後まで堂々と戦った─って。
だからエイラ、私が死んでも悲しまないで。
─サーニャ凄いぞ。よく頑張ったな─って言って私のことを誇りに思って。
私はみんなを守るために自分の意志で戦ってるのだから。
約束してエイラ…」

「サーニャ…」私は彼女の目を見ることが出来なかった
何だかひどく自分が恥ずかしく思えた。

321サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:01:04 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】3/3

教会の扉がゆっくりと開いて、目の前にサーニャが横たわっていた。
寝台を彩る花に囲まれたサーニャは、静かに眠っているように見える。
私はサーニャにすがりついて涙を流していた。
「サーニャ…」嗚咽で言葉にならない。
「何でだ。何でサーニャか死ななければならない?
まだ14才の小さな女の子じゃないか?
何でこんな小さな女の子が戦場で戦わないといけないんだ?
戦うのは大人たちがやればいいんだ。
魔女だから戦う?
魔法力があるってだけで普通の女の子と何も変わらないじゃないか…。
世界の運命なんて関係ない。
こんな、こんな小さな女の子の命を犠牲にしなければ守れないような世界なんて
一体何の意味があるんだ?
何故サーニャが世界の運命を背負わないといけない?
他の人たちは私達に戦うことを押し付けて普通の生活を楽しんでいる。
サーニャだって本当なら音楽の勉強をして友達と遊んで誰かと恋をしてたはずなんだ。
何でサーニャが死なないといけないんだ?
私はサーニャを守れなかった…守ると誓ったのに…
サーニャ目を開けてくれ!
サーニャ…」
私は泣いていた。いつまでも、いつまでも泣いていた。
『エイラ…私が死んでも悲しまないでね』
わたしには無理だ…

外は明るみはじめ、教会の窓から朝日が差し込んでいた。
もう夜は明けたようだ。どこからか小鳥のさえずり声が聞こえてくる。
私は冷たい床にひざまづいたまま、一晩中神様に祈りを捧げ続けていた。
疲れ果てて頭がふらふらしている。聖母マリアの像を見つめながら立ち上がる。
そして、私はゆっくりと教会の扉を開け、眩しい光に包まれた外に足を踏み出した。
「エイラ? 何してるのこんなところで…?」
夜間哨戒から帰ってきたサーニャが眠たげに尋ねた。
ストライカーユニットを付けた彼女はフリーガーハマーを片手に持ったまま、
朝日の中をゆっくりと舞い降りてくる。
「どうしたのエイラ?」
「サーニャ…」
私は目の前に着陸したサーニャをギュッと抱き締めて泣いていた。
「お帰りサーニャ。無事で良かった。本当に良かった…」
サーニャは頬を赤らめて戸惑っていたが、私の唇に優しく唇を重ねて囁いた。

「ただいま…エイラ」

322サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:01:36 ID:kyCPAeeI
【冬虫夏草】1/2

「蝉の声が聞こえる」
ハルトマンが不思議そうに呟いた。
12月に蝉などいる筈ないと思いつつ、サーニャも耳を澄ましてみた。
「本当だ…本当に蝉の声が聞こえる! でも…なんで?」
飛行訓練を終えて基地に戻る途中だった。眼下には金色の草原が広がっている。
「向こうから聞こえてくるみたいだ。サーニャ、一緒に行ってみようよ」
「うん!」
日中の日差しは強いものの、身を切る風は冬の到来を告げていた。
2人は蝉の声を追いながら、胸の中で繰り返し「なんで?」と呟く。
草原の上を低空で旋回しながら音源を探ってみる。どうやら蝉の声に間違いないようだ。
しばらく探しまわって、やがて2人は草原に舞い降りた。
「ここから聞こえるけど、蝉がいないね。それどころか木さえないよ…」
周囲を見渡しながら、ハルトマンが不思議そうに言う。
「そこの背の高い草の辺りから聞こえるみたい」
頭をもたげた背の高い草を指差してサーニャが言った。
2人で草に近づいてみる。特に変な感じには見えない。
でも蝉の声は間違いなく、この草から聞こえてくる。
何か思い当たる節があるのか、サーニャがおもむろに草を引き抜いた。
草の根元に視線を向けたハルトマンの体が硬直する。
「そんな馬鹿な!」ハルトマンが喘ぐように叫んだ。
草の根が蝉の形をしている。いや、正確には蝉の背中から草が生えていた…。
その草の根(?)が蝉の声で鳴いている。
「冬虫夏草…?」サーニャが呟いた。
「えっ?」
「夏は草の姿をして、冬は虫の姿になるの。わたしも実際に見るのは初めてだわ。
…でも何で蝉の姿に?」
「いや、冬虫夏草はそもそも菌類の…これはソレとは…」
ハルトマンが言いかけた瞬間、草原の草花が一斉に蝉の鳴き声をあげた。
耳をつんざくような蝉の大合唱に2人がたじろぐ。
「まさかこの草全部が?」
「まさか…そんな…」サーニャの声が震えていた。
「サーニャ! 早く此処から離れよう!」
蝉の鳴き声は急速に強さを増していき、いまや雷鳴の如く轟き渡っていた。
「うわっ! この鳴き声! 頭が割れそうだ」
2人はもはや立っている事さえ出来ない。遠のいていく意識の中でハルトマンが叫ぶ。
「サーニャ!」

323サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:02:04 ID:kyCPAeeI
【冬虫夏草】2/2

「起きろ! ハルトマン! 」
バルクホルンの怒鳴り声にハルトマンが薄目を開ける。
「うぅ…ん、あと40分…」
耳元で鳴り響いている目覚まし時計を手探りで止めて布団の中に潜り込む。
「ふざけるなコラっ! サーニャも起きろ! だいたい何でサーニャが此処にいるんだ?」
サーニャは怒鳴り声にさえ気つかずにハルトマンの横でスヤスヤと寝息を立てている。
「っ…貴様らは…早く起きろぉおおお!」
呆れ果てたバルクホルンが最後の雄叫びを残して部屋を出て行った。

冬虫夏草の草原から脱出したハルトマンとサーニャは手を繋いで草原を見下ろしていた。
「ここまで来ればもう大丈夫だ。本当に危ないとこだったね、サーニャ」
サーニャが頷いた。もう蝉の声は聞こえない。
「うん。でも不思議だわ。蝉の声に混じって、エイラの泣き声が聞こえたような…」
こんな所にエイラがいる訳ないと思いつつ、ハルトマンも耳を澄ましてみた。
「本当だ…エイラのすすり泣く声がする。行ってみよう」
「うん!」

…to be continued


そのころ、ハルトマンの部屋の前を偶然シャーリーが通りかかった。
「よぅエイラじゃないか! 何してんだ、そんなとこで…て、泣いてんのか?」

『泣きながら 蟻にひかれる 冬の蝉』詠み人 エイラ

324サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:02:32 ID:kyCPAeeI
【流れ星】

冬の夜空はぶ厚い鉛色の雲に覆われていて、気持ちまで暗くさせる。
気持ちが滅入っている時は尚更だ。
こんな夜は夜間哨戒なんて放り出して、暖かなベッドの中で眠りたい。
魔法力で寒気を緩和できるとはいうものの、身を切るような夜風の中に長時間いるのは、
正直つらいものがある。
サーニャはフッと白いため息をつくと、今日の出来事を思い出していた。

今日、サーニャはエイラと喧嘩した。軽い口喧嘩に過ぎないけど喧嘩には違いない。
…喧嘩の原因は忘れた。
たぶん、エイラの纏わりつくような保護者ぶった言動にイラついたのだと思う。
エイラは私の保護者じゃないし、私はエイラに何かを頼った覚えなどない。
私はどんな事だって独りで出来るし、実際に今までだって独りでやってきたのだ。
「私のことはかまわないで! だいたいエイラは過保護すぎるのよ!」
思わず口にした自分の言葉に、誰よりも自分が驚いた。
もしかしたら…エイラは私以上に傷付いただろうか?

鉛色の雲の下を飛んでいると気持ちまで滅入ってくる。
サーニャはおもむろに雲の中に飛び込むと、そのまま真っ直ぐに上昇した。

唐突に視界が開けて、サーニャの体が雲を突き抜けた。
雲の上は何処までも空気が澄んでいて、満天の星空が広がっていた。
サーニャはハッと息を飲み込むと、息をする事さえ忘れて茫然と星空を眺めた。
今まで見たこともないような荘厳ささえ感じる星空に、サーニャの身体が微かに震える。
流れ星が一瞬だけ輝いて空を横切って消える。
そして、無数の流れ星がいっせいに星空の中を泳ぎだした。
「しし座流星群…」
時がたつのも忘れて、ひたすら流れ星を眺め続けていた。

あした帰ったら素直な気持ちでエイラに伝えようと思う。
「ごめんなさい」って…

325サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:03:38 ID:kyCPAeeI
【定時報告】

『こちらアレクサンドラ中尉。22時定時報告。
現在位置○○。半径300km圏内にネウロイの姿は存在せず』
『こちら501特別支援小隊通信班。定時報告了解しました。おっと、これは…?
…失礼しました。申し訳ありませんが中尉殿、そのまま少々お待ち下さい』
(沈黙)
『…さきほど民間から問い合わせが有ったようです。
スオムス上空を飛行する未確認物体ありとのことですが…そちらで確願できますか?』
『了解しました。物体の探索を開始します…』
(沈黙)
『こちらアレクサンドラ中尉。物体はレーダー探索の圏外にあり探知不能です。
…ですが、物体のものと思われる信号を受信しました。緊急救難信号です。
物体はストライカーユニット。国識別コードはスオムス。
ユニットの機体識別コードは○○』
『(コード表をめくる音)了解しました。…中尉殿は引き続き夜間哨戒の任務にあたって下さい。
次の定時報告は24時です。それでは2時間後にお会い出来ることを楽しみにしてます』
『了解しました。でも、あの…救難信号の件は…?』
『問題ありません。なんせニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長ですから』
『あぁ…了解しました。えーっと…これで22時定時報告を終了します』


「何で誰も助けに来ないんだよぉー!
誰も助けに来ないなんてひどいじゃないか!
ひどいじゃないか・・・」

326サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:06 ID:kyCPAeeI
【同期】1/6

『そこは原代名詞の世界。それが彼女に、彼女が彼らに、彼らが私に、そして私が謎へと化していく』

「サーニャ! ネウロイをこっちに近づけるなー!」
リーネを後ろから抱き締めてエイラが叫ぶ。
サーニャは小さく頷いて、おもむろにフリガーハマーを撃ち放った。
雷鳴を思わせる轟音と共にオレンジ色の火球が広がり、爆発の衝撃波が大気を揺るがす。
ネウロイは爆発を回避して、既にリーネとエイラの真下に潜り込んでいた。
「動きが早過ぎる・・・」リーネが小さく呟いた。ボーイズMK.?を握る手が汗ばんでいる。

卵形の小型ネウロイは、尋常でないスピードでグザグに動きまわっていた。
一瞬の停止と急激な加速をランダムに繰り返し、変則的な動きで間合いを詰める。
常軌を逸したネウロイの動きに、リーネの狙撃は付いて行くことが出来ない。
唯一対応出来そうなエイラは右腕を負傷している。リーネを守る為に払った代償。
先読みと正確な射撃がなければ、超高速で変則的に動くネウロイを倒すことは無理だ。
エイラとリーネは何度も複合魔法を試みるが、上手く呼吸か合わない。
只でさえ高度な技術が求められるのに、この状況下では無理もない。

ネウロイが赤色のビームを放ちながら間合い詰め、おもむろにリーネに体当たりした。
シールドが鈍い音をあげて、エイラとリーネが後ろに突き飛ばされる。
割り込むようにサーニャが慌てて飛び込み、ネウロイを自分の方に引きつけた。
その間にエイラが後ろからリーネを支えて体勢を立て直す。
「大丈夫か?」
頬を赤く染めながらリーネが小さく頷く。
「よし。それじゃーもう1度やるぞ。呼吸を合わせて魔法力を同調させるんだ!」
「はい!」
2人の顔に焦りの色が浮かんでいた。

327サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:27 ID:kyCPAeeI
【同期】2/6

焦燥しているのは2人だけではない。サーニャの顔にも焦りの色が浮かんでいた。
何とかしてネウロイを遠くに引き離さないと2人が危ない。
真下にいるネウロイに、上から覗き込むような姿勢でフリガーハマーを撃ち込むと、
そのまま急降下して躊躇いもなく爆炎の中に突っ込む。
爆発の炎の中でも全方位広域探知は確実にネウロイの姿を捉えていた。
急降下しながら体を捻り込み、右腕を真横に伸ばすと再びフリガーハマーを撃つ。
片手でフリガーハマーを自在に操る姿は驚異的だ。しかも撃つ方向を一瞥すらしない。
独特のリズム感があるその力技は、あるいはバルクホルンを上回るのかも知れない。

サーニャは再び体を捻って急上昇すると、左手のブローニングM2重機関銃を撃ちながら
ネウロイの前に回り込む。
だがネウロイの速度は尋常ではない。変則的な動きでフェイントをかけて回避した。
サーニャは前方左上空にフリーガーハマーを連射すると同時に、右に急旋回する。
魔法力で弾頭の爆発するタイミングを操作して、ネウロイを右方向に追いやる。
同時に重機関銃を正面に散らすように連射し、ネウロイの動きを封じようとした。
しかしネウロイは簡単に弾幕を掻い潜って、サーニャの脇を猛スピードで掠め抜ける。
「…!」サーニャは思わず目を閉じて体を丸めた。強烈な衝撃波が体を揺さぶる。

サーニャの後ろに回り込んだネウロイを透かさずリーネが狙撃する。
銃弾はネウロイの装甲を僅かに掠めてはじかれた。
「惜しい!」エイラが舌打ちして悔しがる。
サーニャは振り向きざまにフリーガーハマーを撃ち込んで急上昇した。

まるでイタチごっこだ。攻めては逃げて、逃げては攻める。その繰り返しだ。
ても…やるしかない。右へ左へと体を捻りながら必死でネウロイを追う。
その間隙を突いてリーネが狙撃するが当たらない。
まだ複合魔法が有効に働いていないのだろうか?
咄嗟に残りの弾数を計算してみる。この消耗戦は分が悪い。

328サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:55 ID:kyCPAeeI
【同期】3/6

体力的にも弾薬的にも、複合魔法の成功を待っている余裕はない。
熾烈な空中戦を展開しながら、サーニャは打開策を思案する。きっと何か手があるはずだ。
サーニャはネウロイの攻撃に奇妙な違和感がある事に気付いていた。

ネウロイの異常なまでのスピードなら、私はとっくに捕捉されている筈だ。
なのに私は未だに無事で此処にいる。何故?
さっきの攻撃も、本当ならば体当たりを喰らっても不思議はなかった。
なのにネウロイは私の後ろに回り込んだだけ。何故?
イタチごっこ…
フリーガーハマーを左右に撃ち分けながら、猫のような敏捷さでサーニャが空中を舞う。
「まさか…」

「サーニャさん凄い…!」
ボーイズMK.?を構えたリーネが思わず感嘆の声を上げる。
「どこ見てんだー? 感心してる場合じゃないだろー!
早くネウロイを撃ち落とさないと…」
苛立ちを隠せずにエイラが咎めた。確かにサーニャの動きは凄いとエイラも思う。
サーニャは最近急激に強くなった。怖いくらいに。
世界のトップクラスに囲まれている現在の環境がサーニャの成長を促して
いるのかも知れない。
「それより、少しだけ先の未来はちゃんと見えてんのか?」
「はい、でも敵の動きが速すぎて…」
「くそー、わたしの先読みでも追い付けないのか。なんて奴だ!」
複合魔法は働いている。ネウロイがサーニャに気を取られている今がチャンスだ。
しかし…未来予知が追い付かない。銃弾が到達する前にネウロイは更に先に進む。
こんな敵は初めてだ。私がもっと先を読まなければ!
でも…どうすればいい?

もし遊んでるのなら…
サーニャの思考が目まぐるしく展開していく。
それを逆手に取って、ネウロイを撹乱できるかも知れない。
サーニャの脳裏を以前遭遇した歌うネウロイがよぎる。
わずかに逡巡した後、サーニャはおもむろに魔導針の送信出力を上げた。

329サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:05:21 ID:kyCPAeeI
【同期】4/6

「音楽が聴こえる」エイラが不思議そうに周りを見渡す。
「サーニャか…?」
リーネも耳を澄ましてみる。
「この曲は…? Come falda di neve…?」
サーニャは熾烈な空中戦を繰り広げながら、悠長な雰囲気でハミングしていた。
曲の旋律に合わせて、踊るようにネウロイの攻撃を回避しながら反撃している。

次々に周波数を変えながら、サーニャは観察する。確実にネウロイに曲を聴かせる為に。
ネウロイの攻撃は極端に減少している。サーニャの曲に反応している証拠だろう。
もう少しだ…。サーニャは周波数を微調整して限界まで魔導針の出力を上げた。
魔法力が一挙に高まり、奔流となってネウロイに放たれる。
その魔法力に呼応するかの様にネウロイが小さな咆哮を上げて一瞬跳ね上がると、
鯨のような低周波でサーニャを模倣しながらハミングした。
「…!」
その共鳴音を聴きながら、サーニャは不思議な感覚にとらわれていく。
現実感を喪失していくような得体の知れない感覚。
サーニャの意識が乖離して共鳴音の中に吸い込まれた…

目の前のネウロイは音楽を楽しんでいる。
まるで無垢な子供のように。

子供…? 何を馬鹿なことを!
ネウロイは街を破壊して沢山の人を殺した!
でも…
夢中で遊んでいる子供?
目の前の矛盾。

音楽への関心?
破壊の為の強力な武器?
それは私だ。
戦場で戦う私の姿。
ネウロイ…
それは鏡に映った私。違う!

サーニャは強い吐き気と目眩を感じていた。
魔法力とコアの共鳴?
放出した魔法力の逆流?
いや…違う…
たぶん別の何か。
わからない…。

幼い頃に父が弾いてくれたピアノの音が聞こえる。
窓の外は雨が降っていた。
私は窓の外から部屋の中を覗き込む。
部屋の中には、ピアノの音に耳を傾けるネウロイがいた。
それは私だ。違う!

ネウロイってなに…?
私の現し身。
私の本当の姿。違う!

「違わないわ…」鏡の中の私が静かに微笑む。

人間と何も変わらない。
ネウロイは人間の象徴。
人間の獣性の具現。
姿を変えただけの、何処にでも居るごく普通の人。
ネウロイは人間そのもの。
目の前の矛盾は人間の矛盾。
平和の為に殺戮する矛盾。
それは人間。

違う!違う! 絶対に違う!
鏡が砕け散った。
私は鏡に向かって銃を乱射していた。
怒りのままに。
怯えるままに。
いつまでも銃を撃ち続けた。

330サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:06:00 ID:kyCPAeeI
【同期】5/6

「エイラさん…」リーネが囁いて、ボーイズMK.?対装甲ライフルを構え直した。
エイラも黙って頷く。ネウロイの様子が変だ。
猛スピードでランダムに動きまわる姿に変化はないものの、
攻撃を仕掛けてくる気配がまるでない。
サーニャが少し離れた場所で静観し、その周りをネウロイが飛び交っているだけだ。
一寸前の激しい空中戦がまるで嘘のようだ。「いったい何が起きてるんだ?」
おそらく、サーニャのハミングが何か関係しているのだろうと思う。
当のサーニャはまだハミングを続けており、ネウロイは耳障りな共鳴音を響かせている。
しかし…
大人しくなったとは言えネウロイが未だに脅威であることに変わりはない。
急激な状況の変化。その状況は更に変わりつつある。
「ネウロイが止まる…」
エイラはリーネの肩に顔を擦り寄せて耳元でそっと囁く。リーネが小さく頷いた。

少しだけ先の未来。今はまだ何も無い空っぽの空間。その場所をリーネが見つめる。
引き金を引こうとして呼吸を止めた瞬間…リーネは驚愕の表情を浮かべて絶句した。
ネウロイじゃない…? 人間だ! 人間がいる! まさかそんな馬鹿な…!
激しい動悸が胸を締め付け、額に脂汗が滲む。
瞳を閉じてゆっくりと息を整え、再び照準を覗いてみた。
そこには鋼鉄の装甲に覆われたネウロイの姿があった。
いまのは一体…? 幻覚? そう…ただの幻覚だ。そうに決まってる!
リーネの背中を冷たい汗が流れ、引き金におかれた指が微かに震えた。
銃口で少しだけ未来のネウロイを追いながら、リーネは口の中で神に祈っていた。

「主よ、我らの罪をお許し下さい。
我らを地獄の火からお守り下さい。
全ての霊魂、
特に主の憐れみを最も必要とする霊魂を
天国にお導き下さい」

リーネの指がゆっくりと引き金を引いた。

331サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:06:28 ID:kyCPAeeI
【同期】6/6

唐突にサーニャはハミングを止めた。何故やめたのか自分でも分からなかった。
意識がはっきりしない。誰かと会話していた気もする。
ハミングを止めると同時にネウロイもゆっくりと停止し、その場に留まった。
停止したネウロイ?
ハッと気がついてサーニャが叫ぶ。
「…リーネさん待って!」
その瞬間、リーネの放った銃弾がネウロイの装甲に黒い穴を穿った。続いて2発目。
そして3発目の銃弾がコアを直撃した。
コアが砕けた瞬間、サーニャはネウロイの悲鳴を聞いたような気かした。
もしかしたら、それはサーニャ自身の悲鳴だったのかも知れない。…わからない。
サーニャは目を見開いたまま呼吸することさえ忘れている。
何故? 何故わたしは動揺してるんだろう?
ネウロイの装甲が連鎖的に崩壊し、細かな結晶になって周囲に散らばる。
煌めく結晶は音もなく風の中に消えていき、
ネウロイが存在していた痕跡を跡形もなく消し去った。
サーニャは寂寞とした空の中に独り佇みながら、どうしようもない虚無感を感じていた。

わたしはネウロイの中に私自身の姿を見た。
わたしは私自身の中にネウロイの姿を見た。
戦争が人を獣に変えてしまうのなら、戦場にいる私もまた獣なのだろうか?
私とネウロイの何が違うと言うのだろう?
何も違わない。
あれは…人間だった。

「サーニャぁ大丈夫か? 怪我はないか?」エイラが心配そうに声をかけた。
エイラの後ろからリーネも心配そうに顔を覗かせた。
瞳に溢れんばかりの涙をたたえたリーネがはにかむ。
サーニャは横を向いたまま俯いて、そっと呟いた。
「うん大丈夫…何でもない」
「サーニャ…」
エイラは何も訊かずに優しくサーニャを抱きしめた。
その暖かい胸に包まれながら、サーニャは漠然と理解した。
わたしは独りじゃない。わたしには大切な仲間がいる…。
誰かを大切に思う気持ちがあるのなら、人は獣ではなく人間として生きて行ける。
サーニャの腕がエイラの体を抱きしめた。
後から後から止めどもなく溢れ出る涙に、エイラがそっとキスをする。

風の中を「Come falda di neve」の美しい旋律が舞っていた。

332サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:03 ID:kyCPAeeI
【迷子】

「エイラさん、もしかして道に迷ったんですかー?」
からかうような口調で宮藤が尋ねた。
「ナニ言ってんだー? 私が道に迷う筈ないじゃないか!」
「だってエイラさん、さっきから地図を広げて同じ所をグルグルしてますよ?」
「…」
「やっぱりサーニャちゃんがいないと駄目なんですね?
私達だけで夜間哨戒なんて、最初から無理なんですよ」
「サーニャは風邪で寝てるんだぞ! 仕方ないじゃないか」

雲の中に入った時に方向を見失った。
雲を抜け出たのは良いが風で相当流されたらしい…
現在位置がさっぱり分からない。正直途方に暮れた…。

「そんなことより宮藤、腹が減ったろ? そろそろ休憩にしないか」
「賛成! あそこに丁度いい広場がありますよ!」
「広場? …本当だ。此処って何処かの街の上だったんだな…」
「やっぱり…」宮藤が咎めるような眼差で見つめる。

広場で手早く食事済ませると、エイラは再び地図を広げて唸り始めた。
「人の苦労も知らないで…」
子犬のようにはしゃいでいる宮藤を横目に、エイラは溜め息をついて仰向けになった。
「サーニャ…私がサーニャの代わりになるから、
サーニャはゆっくり休んで早く元気になるんだぞ…」
「エイラさん!エイラさん!起きて下さい!」
「もー何だよ五月蠅いな!」
「此処って、もしかしてブランデンブルク門じゃないですか?」
「何言ってんだー宮藤? ブランデンブルク門があるのはベルリンじゃないか?
ベルリンはネウロイの巣の中心にあるんだぞ!」
「でも、あの門の写真を教科書で見たことあります!」
「宮藤ぃ…お前は歴史や地理が得意か?」
「勉強は苦手です!」
「ほらみろ!」
「でも…」
「そんな事より、そろそろ帰るぞ宮藤!」
「基地の方向が分かるんですか?」
「わたしのダウジングを信用しろ!」
「はい!」

エイラ・ユーティライネン中尉及び宮藤芳佳曹長による夜間哨戒任務の報告
『両名はやむを得ない諸事情により単身ネウロイの巣に突入するも、無事に任務を遂行し奇跡の生還を果たす』

333サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:35 ID:kyCPAeeI
【雷帝】1/4

漆黒の闇に覆われた空を稲妻が走った。
無機質な白色の光が世界を照らし出すと同時に、大砲を思わせる轟音が大気を揺さぶる。
サーニャとペリーヌは稲妻の下を基地に向けて飛んでいた。
「…!」突然サーニャが立ち止まって後ろを振り返る。
「どうしたんですの?」ペリーヌが不審そうに尋ねた。
終末を連想させる荒れた空の下で、サーニャの魔導針は確実にネウロイの姿を捉えていた。
「待って…ネウロイの姿を補足したわ。
現在○○上空を時速500kmで通過…30分後に接触」
「ネウロイ!」ペリーヌの体が強張る。
何もこんな嵐の日に来なくても…という思いが一瞬ペリーヌの胸をよぎる。
「分かりました。基地へ連絡して私達は此処でネウロイの足を止めましょう」
サーニャが頷く。

334サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:59 ID:kyCPAeeI
【雷帝】2/4

サーニャの魔導針がネウロイの姿を追尾する。距離は10kmを切っていた。
「ネウロイが来るわ…」
目を閉じて沈み込むような口調で言うと、おもむろにフリーガーハマーを撃ち込んだ。
稲妻の駆け巡る漆黒の空にオレンジ色の軌跡を残して3発のロケット弾が走る。
数秒後に雲の彼方に大きな火球が広がった。外した…?
ネウロイは極端に速度を落として、雲の中を探るようにゆっくりとこちらに近づいて来る。
肉眼で確認することは出来ない。ペリーヌにはまだ敵の姿が見えていなかった。
雲の一点を指差してサーニャが叫んだ。
「あそこ!ネウロイが出るわ!」

335サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:08:24 ID:kyCPAeeI
【雷帝】3/4

サーニャの指差す場所をペリーヌが見つめる。雲の一点に稲妻が集中していた。
「サーニャさん後ろに下がって!」ペリーヌが叫ぶ。
黒色の雲が青白い光を発して僅かに揺れると、まるで雲の中から沈み落ちてくるように、
ゆっくりとネウロイが姿を現した。
ネウロイの下部には白色の砲塔状の突起が六本あり、その突起が激しい放電を発している。
突起を持つ独特な形状のシルエットは巨大な櫂を持つガレー船にも、あるいは
脚を広げて襲撃してくるドラゴンのようにも見えた。

突然ネウロイの発した雷撃がサーニャを襲った。
サーニャは咄嗟にシールドするが、雷撃はシールドの表面で拡散し、
四方から回り込むようにしてサーニャに達する。
「サーニャさん!」
サーニャは魔法力を総動員して雷撃を凌ぎながら、フリガーハマーを手放した。
フリガーハマーがサーニャの肩口で爆発する。新たなシールドで爆発を受けながら体を沈めて間一髪で回避した。
回避と同時にサーニャの重機関銃がネウロイを襲撃する。

なんて戦闘能力だろう…ペリーヌが信じられない面持ちでサーニャを眺めた。
しかし、ネウロイの固有魔法。あの雷撃が相手では如何にサーニャといえども分が悪い。
「サーニャさん下がって! 私が相手になります!」

336サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:08:46 ID:kyCPAeeI
【雷帝】4/4

ペリーヌはサーニャに近づいて機関銃を手渡した。
「ペリーヌさん?」
「サーニャさんは後ろに下がって。…電撃戦なら、わたしくしの方が有利ですわ」
サーニャが頷く。ペリーヌは魔法力だけで戦うつもりだ…後ろに下がって銃を構えた。

ネウロイに突進していくペリーヌの両腕は、激しい放電を始めて雷撃を纏っている。
ペリーヌはネウロイに近づくと両腕を頭上にあげて、巨大な槍状の雷撃を作り始めた。
その間にネウロイの雷撃が続くがペリーヌには通用しない。
時折発する赤色のビームはシールドに阻まれた。
サーニャが後方からネウロイを狙撃する。ペリーヌは一撃でケリを着ける積もりだ。
槍状の電撃が完成するまで時間を稼がなくては…。サーニャは後方で大きく揺さぶりをかけながら狙撃した。

ペリーヌの作る電撃の槍はますます巨大になっていき極限に達している。
その槍を見つめるサーニャが何かを思い出した。
「あれは…サイコスピア…? 伝説の魔女が使った技? 第一次世界大戦の…」
その瞬間、ペリーヌの巨大なサイコスピアが放たれネウロイを直撃した。
漆黒の空が大爆発を起こし、白色の光に覆われる。津波のような衝撃波が広がり、
周囲の雲を次々と蒸発させていった。
衝撃波にサーニャの体がシールドごと突き飛ばされる。凄まじい破壊力だった。
ネウロイは結晶化して灰になる暇もなく、鋼鉄の装甲ごと蒸発してしまった。
空には何本もの稲妻を纏った巨大なキノコ雲ができ、ペリーヌが涼しい顔で眺めている。

「雷帝…第一次世界大戦の伝説の魔女…ガリアのエース。
何故ペリーヌさんが…?」
サーニャが不思議そうにペリーヌを見つめた。


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