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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第115話☆
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魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。
『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
前スレ ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1341065580/
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ヴォルケンズとの対決…!
管理局の執務官だとばれたクロノにシグナムたちはどう対応するのか
調教ルートか純愛ルートかここが分岐フラグのある場所だ
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1/30にユーノ祭を開催します
例によってユーノがメインならエロでもグロでもラブでもなんでも投下していいよ、って感じで。
書き手のみなさまはふるってご参加ください。
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>>154
参加させてもらい「たい」!!間に合うかはわかんないが
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昔の掲示板見たらここではそもそもトリップ使ってなかった・・・だと・・・
名前変える意味がなかった。まあ、私が私を私だと証明する必要とかないけど。
上でシュテル書く参考にGODやり直した副産物をひとつ
レヴィのオナニー
完全にオリジナルの主人公語り注意
漫画のマテリアル娘的な
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ぼくには父親がいない。
いや、他界したとかそういうのではなく、単身赴任である。
高校生二年になる時期のことだった。
ぼくには母親がいない。
こっちは他界していた。
そのおかげでぼくが家事を一手に担っていた手前父親も安心して赴任している。
そのせいで、ひとりではどうにも広すぎる一軒家にぽつねんと残されるわけだが寂しさはそう長い時期続かなかった。
おとなりさんができたのだ。
それも両隣。
向かって右隣にはテスタロッサさんが引っ越ししてきた。
えらく気難しそうなプレシアさんという妙齢の女性と、
リニスさんという家事手伝いさんらしい女性が住んでいる。
挨拶に行くとプレシアさんには凍えそうなまなざしで見下ろされたが、リニスさんがその場を取り持ってくれたおかげでその場は凌げた。
それからも、なにかとプレシアさんに朗らかに話しかけて、もあまり反応は芳しくない。
たまにテスタロッサ家から「アリシア…アリシア…」と切々としたか細い声が聞こえて怖い。
あとふたりでしょっちゅう口喧嘩をしているらしいが、リニスさんはそんな様子をおくびにも出さずに溌剌と明るいものだった。
向かって左隣には、小さな女の子が四人住んでいる。
挨拶に行くと威風堂々とした、ディアーチェちゃんなる女の子がずいと前に出てきた。
「うむ、拝謁の栄を許す。我ら紫天の一党を存分にかしずくがよい」
「王の御言葉です。『どうもご丁寧にご挨拶ありがとうございます。近所付き合いよろしくお願いしますね』とのこと」
「言うておらんわ!」
中二病らしいディアーチェちゃんの言葉を、シュテルちゃんが翻訳してくれるのが常である。
さて、この紫天一家であるが、テスタロッサ一家と出会うことでえらいケミカルスパークが起こった。
というのも、紫天一家のレヴィちゃんがプレシアさんの死んでしまった一人娘にそっくりらしい。
そしてその一人娘がアリシアちゃんという名前だった。
夜な夜なプレシアさんは、死んだ一人娘を偲んでいるのだ。
それを聞いてプレシアさんにきゅんときた。
最初にプレシアさんがレヴィちゃんを見た時、幽霊を目の当たりにした悲喜こもごもの悲鳴を上げた。
半狂乱になってしまったプレシアさんをなだめるリニスさんもまた、落ち着いていたわけではなかったのを覚えている。
「世の中には似た人が三人いますし」」
と、後になってぼくはリニスさんに慰めだかなんだか分からない声をかけた。
「それでは三人コンプリートですね」
と、リニスさんは返した。
どうも、プレシアさんの一人娘に妹がいるらしい。
名前はフェイトちゃん。
一人娘なのに妹がいるんですか、と聞くとリニスさんは曖昧に苦笑するだけだった。
そして、実はレヴィちゃんはアリシアちゃんと遠縁にあたるだとかなんとか。
えらい複雑だ。
しかしきっと世の中に似た人間が三人というのは、多分姉妹はカウントされまい。
ならば、アリシアちゃん、フェイトちゃん、レヴィちゃんそれぞれに三人似ている人がいるのだろうか。
つまりレヴィちゃんみたいなかわいい子が合計9人いるというわけである。
ひとりくれと思ったが、アリシアちゃんはすでに他界しているので8人だったので、そんな事を考えるのも不謹慎だと思ってちょっと自己嫌悪に陥った。
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さて、当のレヴィちゃんであるが、とても奔放だ。
好奇心旺盛の塊のような女の子である。
故に、探検と称してぼくの家に、竜巻のように遊びに来て(勝手に上がりこんで)嵐のように去っていく。
ディアーチェちゃんとシュテルちゃんにたしなめられてもへこたれずに遊びに来るのだ。
たまにテスタロッサ家へも突入しているらしい。
「アリシアー! アリシアー! いやあああああ! フェイト! フェイトーーー!」
「ボクはレヴィ! レヴィ・ザ・スラッシャー!」
と、絶叫と自己紹介が聞こえてくる事がある。
その都度リニスさんに叱られて紫天家に帰されてる。
それをリニスさんは、完全に悪い事ではないと思っている節がある。と、思う。
プレシアさんは、鬱々と引きこもり気質であるので、レヴィちゃんをきっかけに何かしら変化を起こして欲しいらしい。
両隣にご近所さんができてしばらくしてからのことだ。
その日もレヴィちゃんが遊びに来たので、一緒に対戦格闘ゲームをした。
レヴィちゃんはキャラクターを飛んだり跳ねたりさせて戦うのが好きなので、ぼくのガイルをずっと崩せないでいる。
癇癪を起こして床にコントローラを投げ出した。
「分かったよ、もうガイルは使わないから」
と、ザンギエフでレヴィちゃんの甘い間合いを打ち漏らしなく吸い込み続けた。
レヴィちゃんはコントローラをぼくに投げてきた。
後日、シュテルちゃんにもやってみるが、あっという間にぼくは彼女のダルシムに手も足も出なくなってしまった。
パーフェクトゲームを決められたとき、流し目のような勝ち誇ったまなざしと口元に浮かぶ薄い笑みはここ最近のぼく一番の屈辱だった。
上で「私を焼いてえええええ!」とか言ったくせに。平行世界だけど。
ところでレヴィちゃんがぼくの家に遊びに来るのにはわけがある。
エロ本目当てだ。
探検が好きなレヴィちゃんは、もちろんの事ぼくの家を物色しまくっていた。
そこでぼくが隠していたエロ本を発見するという流れは、運命の必然であっただろう。
レヴィちゃんが帰った後、荒らされた部屋の中で唯一きれいなままだったエロ本ゾーンに、ぼくはなんとも言えない気持ちになったものだった。
外で遊ぶのも好き。ゲームで遊ぶのも好き。
そんな少年然としたレヴィちゃんが、エロ本に興味を示さずにはいられるか?
否である。
それからである。
レヴィちゃんが遊びに来てゲームをしている最中なんかに、
「ちょっとコンビニ行ってくる」
なんて適当な理由をつけて出て行った振りをして、エロ本を読みふけるレヴィちゃんを眺めるのが楽しみになってしまっていたのは。
「わ、わ、すごい…こ、こんな…!」
ぼくの部屋で、レヴィちゃんの声。
ベッドの上にちょこんと座って、紙面に食い入っているのを、ぼくはドアの隙間から視姦する。
いや、見守っているだけだ。
ぼくの視界には、レヴィちゃんの背中しか見えないが、その顔が真っ赤で、その胸が早鐘を打っているのはありありと分かる。
「…ここにこんなのが入るのかぁ」
レヴィちゃんがスカートをまくり、ショーツを半脱ぎにしたのが見えた。
本は片手で持っている…今、おそらくもう片方の手で、その幼い女性器を広げているのではないだろうか。
ぼくのベッドの上で。
……、……、……うむ!
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「おっぱいも、いつかこんなにおっきくなるといいな……」
真剣な様子でエロ本中の大人の女性の胸部に羨望の眼差しを送っているレヴィちゃんの声に、幾分しっとりとしたものが混じる。
そして、下半身だけでなく上半身もレヴィちゃんははだけだした。
あらわになった雪のように白い背に、さらりと長い青髪が零れている様子はどこか非現実的な美麗さがある。
そしてぼくからでは見えない向こう側では、まだまだふくらんでいない胸をきっとレヴィちゃんはいじっているのだろう。
「ぅん…」
自身をまさぐる腕と連動して、耐えるような声が漏れる。
何かを指で弾くたび、背が震えているのが分かる。
無論、胸部で敏感な部分であろう事はもはや言うまでもない。
ちろりと、指をなめる仕草をレヴィちゃんがはさむ。
唾液により円滑に性感帯をなぞる目的だろう。
案の定、レヴィちゃんから漏れる声のトーンが高くなった。
「吸って欲しい…」
ぼくでよければ!
と、心の中だけで返事をする。
胸をいじるだけでは、物足りないのだろうか。
甘くか細くレヴィちゃんがつぶやいて、ぽふりとうつぶせになった。
それでありながら、おしりを浮かせた格好。
ショーツが足にひっかかったまま、丸々として健康的なおしりを突き出すレヴィちゃんの媚態は絶景だった。
それは、ぼくに対して秘所を突き出している格好でもあった。
そしてレヴィちゃんはそろり指を股間に持ってゆく。
ふっくらぷにぷにしているおいしそうな恥丘をマッサジージする動きは、まずはおそるおそる。
それが淫靡ななめらかさを得るには時間をかけなかった。
枕に顔を埋め、うめきながらレヴィちゃんが震えている。
見えないが、きっと胸の突起もいじっているのだろう。
すでにしとどな秘所の愛液が指に絡まり、いよいよいやらしく蠢く指が陰核に触れた。
「ひぅ!」
びくりとおしりがひときわ持ち上がる。
それはまるで指から反射的に逃げるよう。
だが指もおしりもどちらもレヴィちゃんのものだ。
淫らに激しく、中指が陰核を包皮越しに押しなでる。
扇情的なレヴィちゃんの鳴き声が、ぼくの枕にうずめた口から漏れているのが聞こえる。
ひときわ乱暴に中指が動いた。
途端、レヴィちゃんのその身が硬直した。
達したのは明らかだ。
二度、三度レヴィちゃんの身が痙攣してから脱力する。
秘所から滴るしずくは、上手い具合にショーツが受け止めてぼくのベッドはきれいなままである。
それからしばし、ぴくりともしなかったレヴィちゃんがぼくの枕から顔を上げる。
ほうけた顔をしているのか、とろけた顔をしているか、それともぼくたち男性のように賢者の境地にいるのか。
「わ、しまった!」
それからレヴィちゃんが、あわてて枕をひっくり返す。
後で確認したが、よだれがたっぷりしみこんでいたのだ。
噛み跡もあった。
ぼくの枕が宝の価値を付与された。
それから、ほほえましい気持ちで音もなく玄関まで足を運び、ちょっとだけ間を作ってドアを開閉するのがもうパターンとなっている。
…ふと、抜き足差し足で後にするぼくの部屋から、レヴィちゃんの声が聞こえた。
「ゲームだけじゃなくて、この本みたいなことをボクとしてくれないかな…」
ごめんねレヴィちゃん。
ぼくは熟女派で、プレシアさん狙いなんだ。
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終わりです。
紫BBAと紫天家が隣とか想像しただけで垂涎。
そんな私的な趣向100%
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貴方だったのか……
レヴィ可愛いよ、レヴィ
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紫ババアやめれwプレシアかあさんから少女臭がしてしまうw
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処女厨と売れ残り、これいいわ
かなり抜ける
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熟女派だと自分に言い聞かせて理性を保っているんだな、きっと
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プレシアさんが若返って復活、というネタどっかで見たような…ユーノスレだったかな?
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風呂入って冷静に考えたが、
レヴィなら覗き見てる気配くらいすでに察知しているに違いない
つまりわざと見せているのでは
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タピオカさんの筆致は毎度毎度本当に冴えておられる。
読むたびに嫉妬の情を禁じえない。
このような面白い作品の後では気が引けますが、1/30のユーノ祭の前哨戦代わりに投下します。
短編、壊れギャグ、キャラ崩壊、ユーなの、タイトル『如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて』
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如何にして高町なのははユーノ・スクライアと結婚したかについて
「ねえユーノくん、これはどういう事かな」
「……」
般若の如き憤怒の顔をした高町なのはは仁王立ち、肉食獣を前にしたフェレットの如く萎縮したユーノ・スクライアは正座していた。
果たして何事があったのだろうか。
両者の立ち振る舞いからして、怒る側怒られる側はきっちり分かれていた。
巨乳を強調するかのように腕を組み、般若のオーラを滲み出すなのはは、視線をユーノの足元に送る。
そこには数枚の写真が鎮座していた。
映っているのはヴィヴィオだ。
学校での画らしく、校舎らしき場所で制服姿であった。
しかし問題はそこではない。
ふわりと風に舞うスカートの裾の下にもぐりこみ、あられもない下着を覗いていると思われる不埒者の姿も映っていた。
それは人の姿ではなかった。
フェレットだった。
「ねえ、これってユーノくんだよね? そうなんだよね?」
「……」
沈黙は肯定の表れと言えた。
つまり彼はフェレット姿となってヴィヴィオのぱんちゅを見ていたというのである。
いや、そこにある写真は一枚ではない。
他の写真にはサンクトヒルデ魔法学院における、女子と、その周囲に『たまたま』居るフェレットの姿があった。
これらの事を別個に完結したものと考える事は理論的に不可能である。
極めて冷静に、そして客観的に憶測するならば、結論は一つ。
「ねえ、ユーノくん……」
なのはがユーノを見下ろす視線は、実に冷ややかだった。
氷のように冷たく、かみそりのように鋭い。
これから屠殺場に連れて行かれる豚を見るような目だった。
いや、ユーノくんはフェレットなのだが。
それはともかく、場をしばし沈黙が支配した。
重く、全身にのしかかるような空気。
それを破ったのはユーノだった。
「なのは」
「なに?」
「もう、この際だからはっきり言うよ」
「うん」
「僕はね、僕は……僕は」
すぅ、と空気を肺へ送り込み、一拍、ユーノは声を大にして叫んだ。
「ロリコンなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ぉぉぉぉ、と、伸ばされた語尾が部屋に木霊した。
それは魂の暴露であった。
ロリコン、ペドフィリア、幼児性愛者。
呼び方は数多あれど、その意図するところは一つである。
その種の性癖の持ち主とはつまり、子供に欲情する類の変質者だ。
そしてユーノもまぎれもなくその一党に属する真性のロリペド野郎だったのだ
「つまり、ユーノくんはヴィヴィオに」
「そうだよ。あのかわいい……純真無垢な幼女を見ていたらとても我慢できなくなって……ぱんちゅとかお着替えとかを見につい、昔の変身魔法を使って、ね」
どこか遠いところを見つめ、ユーノは切々とそう語った。
まるで掴めぬと知りながら太陽に手を伸ばすイカロスのように悲しく、女子高生の尻をまさぐる痴漢オヤジのように情けなかった。
「こんな僕を、軽蔑するかい?」
「ううん、別に」
「……え?」
意外な答えに、ユーノが声を裏返す。
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当然なのはは自分を罰する為に来ていると考えていたから当たり前だ。
しかしなのはの二の句はさらに驚くべきものだった。
「ユーノくんがロリコンだっていうのは大体あたりをつけてたから、それほど驚いてはいないんだ」
「ええ!? い、いったいどうして僕がペド趣味だって知ってるんだい!?」
「だってユーノくんの書庫のデータって小さい女の子の写真ばっかじゃない」
「ななな、なんでそのトップシークレットを!」
「教導官の権限を使って」
「ひ、ひどいよ……いったい、どうしてなのはが僕のプライベートをそんな詮索するのさ」
「分からない?」
ふふ、と蠱惑的に微笑み、なのははユーノに顔を近づけ……そっと頬にキスをした。
「うわ!」
ユーノは驚きのあまり飛びのく。
そんな彼を見ながら、なのはは微笑んで告げた。
「私、ずっとユーノくんの事が好きだったんだよ? だから、ユーノくんの事色々調べたの。ずっと傍にいるのに、ぜんぜん私に興味ないみたいだから、そしたら案の定そんな趣味で」
「それを知っているなら話が早い。僕は無理だよなのは。僕は……僕はもう成人してBBAになったなのはを愛する事はできないんだ! せめて十二歳までなら!!」
血涙を流さんばかりの勢いでBBAは嫌だと叫ぶユーノ。
もはや彼は完全な社会不適合者と呼べるだろう。
愛するべきは幼女のみなのだ。
斯様なHENTAIさんを、普通の人間ならば即ポリスへぶちこむところだが、しかしなのははユーノを愛していた。
愛は盲目、とは言うものの実際なのはも少し彼の性癖には引き気味だったが、愛する者を救いたいという想いはあった。
「もう、ユーノくんったら本当にどうしようもないドロリコンで治療の余地はない不治の病だね」
「病とは失敬な! 若く瑞々しい子に引かれるのは自然の本能と言って欲しいね」
「そういうところが余計に頭おかしいよね。でも安心してユーノくん、私すごく良い解決策を見つけたから」
「か、解決策……?」
果たしてこの世にロリコンとまっとうな人間社会に折り合いをつけさせる方法などあるのだろうか。
もしあったとしたらそれは世紀の大発見な気もする。
なのはは自信満々といった顔ををして、すっと手を上げた。
指先に仄光る淡いピンクの輝き、魔力の閃光が陣を生み、術式を構築する。
体を包み込む魔法が、一瞬にしてなのはの姿を変えた。
ぱぁ、と光り輝きながら現れたのは、先ほどまでよりずっと小さくなったシルエットだった。
「な、ななな、なのはぁ!?」
「ふふ、どうかなユーノくん。似合う?」
ぱちりと挑発的なウインクをして微笑むなのはの、その姿は幼かった。
ユーノと初めて出会った時と同じくらいの、九歳ごろの容姿。
ツインテールに髪を結い、未発達な肢体を白いバリアジャケットに包んだ魔法少女。
あまりの可愛さにユーノは勃起せざるをえなかった。
股間の前をぱんぱんにしながらユーノはしりもちをつく。
「か、がわいいいい」
「えへへ、ありがと。おちんちんをびんびんにして感動のあまり涎を垂らしながら言われてもちょっとキモいけどいちおうお礼は言っておくね」
その顔のあどけない笑顔とは裏腹にずびずば鋭い本音を言うなのは。
きっとマゾッ気の強い御仁ならばこれだけでご飯三杯はいけるだろう。
かくいうユーノももろにマゾマゾなのでさらにチンコが大きくなった。
しかし彼の脳裏に恐るべき想像が過ぎる。
「ねえなのは、ちょっと聞いていいかな」
「なに?」
「もしかして君はその宇宙一素敵な幼女姿で僕を篭絡しようという魂胆じゃぁないだろうね」
「うん、正にその通りだけど」
「NOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!」
ユーノは叫んだ、それは魂の慟哭であった。
「なんでそんなに拒絶したそうな声を上げるの?」
「当たり前だよ! いいかい? 僕たちロリコンってのはね、真にロリな……正真正銘の幼女が好きなんだ。君みたいに外見だけ魔法で子供になったBBAになびくなんて邪道だよ!!」
「ふぅん、それは難儀な事だね。でもユーノくん」
「な、なんだい?」
「私とエッチしたいよね?」
「〜ッッ!!」
次の瞬間目にした光景にユーノは思わず我慢汁を溢れさせた。
あろう事かなのはは純白のバリアジャケットをするりと肌蹴て、その瑞々しい肌を晒したのだ。
眩い肩口が見せ付けられ、さらには下に着ていた衣装まで。
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それは紺色の水着、いわゆるスク水というやつだった。
「きゅきゅきゅ、旧スク水うううううううう!!!」
血涙を流さんばかりに歓喜の咆哮を上げるユーノ。
ロリコンにとって幼女とスク水という組み合わせは、前田慶次と松風くらい最強の組み合わせに等しいのだ。
もちろんなのははそれを知っていてそんな格好をしている。
「はは、ユーノくんのちんちんさらにおっきくなってるよ。ほんとヘンタイさんだなぁ。でもいいよ、そのヘンタイなところもまとめて愛してあげるから」
「ぐ、ぐぬぬぬ……」
「我慢しないで、ね? 私のこと好きにしていいよユーノくん」
「い、いやしかし……中身がBBAだし……いくら幼女でも」
「もう、ヘンタイのくせに頑固だなぁ。じゃあ、最終兵器使っちゃうよ」
「さ、最終兵器?」
ふっと微笑み、なのはは一歩ユーノににじり寄って、そっと唇を開いた。
「私とエッチな事しよ? ユーノ・お・に・い・ちゃん♪」
「〜〜〜〜ッッッ!!!!」
一語一語を区切るように告げられた、お兄ちゃんという言葉。
そう、お兄ちゃん。
お兄ちゃん。
全宇宙のロリコンにとってロリから言って欲しい言葉ナンバーワンに輝くアルティメットワード。
しかもCV田村ゆかり。
純白の魔法少女で。
これに抗えるロリコンなどこの世に存在しなかった。
「うっひょおおおおおおおおおおおおお!!!!! ウィイリイイイイイイイイイイ!!!!!!!!! もう中身BBAでも関係ねエエエエええええええええ!!!!!!」
血走った目でとうとう理性をかなぐり捨てたユーノはついでに服もかなぐり捨てて細っこいロリボディへとダイブした。
「きゃぁ〜! いけないお兄ちゃん♪」
そんな彼に組み伏せられ、なのはの楽しげな悲鳴が響く。
こうしてユーノはなのはを手に入れた、というか既成事実によりなのはの所有物となるのであった。
それが事の経緯であった。
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投下終了。
まともなユーなの好きのかたがたごめんなさい!!!!!
ユーノ祭にはまともなのを投下します。
たぶん。
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これは「まともなユーなの」好きには噴飯もののヒドイ作品ですね。
え、ユーノがなのはに掘られる話を書いたお前が言うな?
「まともじゃない」ユーなの好きなのでモーマンタイです。
そんなわけでシガー氏にはGJを送らせていただきます。
さて、祭に間に合うよう私もヒドイ話を書くとしよう。
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GJ!!
ロリ淫獣
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GJ!
むしろ俺はショタユーノくんをがっつんがっつん堀たいです
権力者になってユーノくんを性的な意味でも政治的な意味でもバックアップしたいです
けつまんこで俺の子を孕めユーノ!
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こりゃひどい(褒め言葉
めっちゃGJ
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こりゃなのはさんが実は極度のショタコンで変身魔法をユーノきゅんに使わせる未来もあるでぇ…
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なのはさんフェレコン説だって!?
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フェイト・レズビアン・コンプレックス!?
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ユーノに男子更衣室の盗撮写真を要求するなのはさんか…
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なのはさんとヴィータが空戦魔導師なのにスカートのままなのは、見られて興奮する性癖だから
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>>180
なのは「違うの! あれはアンダースコートなんだよ!」
ヴィータ「鉄槌の騎士はスカートの中も鉄壁なんだよ!」
フェイト「みられてる……ちょっとくいこんでるのみんなにみられてるよぉ……ふぁっ!」
なのヴィ「「おまえのせいだーーーーッ!!!」」
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シグナム「ヴィータのスカートの中? 鉄槌の騎士の下は貞操帯に決まっているだろう」
はやて「動かすとええ声聞かせてくれるんやで?」
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>>171
畳み掛けるようにスク水→お兄ちゃん呼びは卑怯すぎる。ロリコンには致命傷。
ひどすぎて面白い話、GJでした!
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>>177 つまり
なのは「体中をフェレットさんになめられて……気持ちいヨォ」
なのは「あっ、ユーノ君?私としたいなら変身して出直してきてね♪」
ってことですね
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それって結局「私はユーノ君専用だよ」っていってるようなもんじゃないですかやだー
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フェレットに変身する魔法を習得して鏡にうつりながら毛づくろいをすれば安上がりですよ教導官さん
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なのはをフェレットに変身させます
ケツ穴にぶちこみます
ピストンします
フィニッシュ!
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>>181
騎士さんたまにまる見えになってませんでしたか
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ヴィータ「見せパン」
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ぱんつ見せると凄くドキドキしちゃう、いけないヴィータちゃんがいると聞いて
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ヴィータ「触手パンツだから恥ずかしくねーです」
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闇の書の闇ってどんなパンツはくの?
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ナハトヴァールなら拘束されてるんでバイブ付き貞操帯だろjk
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防衛システムなのだし南京錠付きで尻をまるごと覆う金属製貞操帯が似合いそうだな
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どうもー
闇と時と本の旅人 17話を投下します
やっと!やっとえっちシーンにたどり着けました!
アインスさんの正体も明かされます
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■ 17
デバイスを待機状態に戻し、アインスは放心したように座椅子にへたり込んだ。
クロノはゆっくりとひざまずき、はやてに面を上げさせる。
はやてはおそるおそる、身体を起こし、クロノの顔を見た。
ミッドチルダという魔法の世界の人間。地球人ではない。それでも、表情は、同じ人間に見える。言葉を交わし、気持ちを伝えあうことができる。
そして、あのアインスという銀髪の女性は、突然動き出してはやてのいうことを聞かなくなった闇の書を、止めてくれた。
闇の書は、表紙が少し破けてしまったが、しだいに治っていくようだ。
「クロノ、さん……」
自分より少し年上に見える、異世界の少年。それでも、先ほどのシグナムたちの話しぶりから、それなりの力と身分を持っていると思われる。
そんな彼が、あたかも自分に傅くようなしぐさを見せている。
これはいったい何を意味しているのか、とはやては自分の感情に尋ねた。
クロノという名のこの少年は、はやてを、知っていた。おそらくは、闇の書とは次元世界においては広くその名が知られている存在である。強力な魔法を持ち、畏れられ、あるいは憧れられる対象である。
彼はきっと、自分よりも闇の書のことを知っている。はやては確かに闇の書の主ではあるが、はやてが自分自身で知っている闇の書のことは限りなく少ない。
ただ、シグナムたち守護騎士が、家族として共に八神家で暮らしているということだけだ。
彼らの本当の力、具えた能力、そして、デバイスというからにはその目的があるはずである。
それを知らないままでいることは、問題の先送りだ。
自分の命令さえ、この小さな古ぼけた本は無視した。それは、闇の書には何かどうしてもやり遂げなければならない目的があるということだ。
それはきっと、その目的はきっと、闇の書自身にしかわからないことだ。
本の姿では、言葉はしゃべれないし、身振り手振りもできない。
このクロノという少年と、アインスという女性は、自分にはない闇の書の真実を知る手段を持っているのだとはやては気づいた。
「──……闇の、書が……、……蒐集を──して、いたんですね」
「!!」
「……あ──っ」
おそるおそる、発したはやての言葉に、シグナムは思わず肩を震わせて声を上げかけ、シャマルは手で口元を押さえて絶句した。ザフィーラはじっと俯き、ヴィータは唇を噛んで涙を浮かべている。
当然だ。
守護騎士たちは、闇の書が起動した直後、はやてに自分たちを名乗り闇の書の目的を教えたとき、『リンカーコア蒐集をしない』という誓いを立てていたのだ。
蒐集は、それ自体は非破壊の作業だが、あらかじめ対象を制圧する必要があることから、魔導師に戦闘を仕掛け、倒す必要がある。この時に、結果として殺してしまうこともある。
そのために──といってもはやては、その時点ではそこまでリアルに状況を想像できていなかったが──はやては、自分の家族となりうる守護騎士たちが、他人との争いを生まないよう、蒐集をしないと約束させた。
しかし、蒐集をしなければ闇の書は魔力を自身で調達できないので動けず、システムを維持するために消費する魔力を、主であるはやてから吸い取っていくことになる。
通常の携行型デバイスと違い、闇の書はシステムの規模が非常に巨大であり、その魔力消費量は想像を絶する。
闇の書が消費する魔力は、主となった人間のリンカーコアに強い負担を強いる。はやては、魔力資質そのものは高レベルであったが、自身のリンカーコアの存在を知らず、その扱いを制御できなかった。
そのために、際限なくリンカーコアが稼働し続け、肉体が常に負荷に曝される状態であった。
「はやてちゃんっ……あの」
「黙れ、シャマル……」
シャマルを制し、シグナムははやての隣に膝をついた。
主の意向に、これ以上逆らえない。はやての思うようにする。
「話は、シグナム……いえ、守護騎士──から、聞きました……闇の書は、リンカーコアゆうのを集めて、とっても強い力をだす……って」
クロノははやての前に膝を折って座り、ゆっくりと腕を下ろした。
彼女が、闇の書の主、八神はやて。
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今夜初めて会ったはずなのに、なぜか、懐かしいような顔。
そういえば、アインスにも同じような印象を抱いていた。
彼女に会うためにここに来た。闇の書の目的は、クロノとはやてを引き合わせること。
「でも、わたしは、そんなのはいらないって……そんなことしなくても、生きていける思たんです、でも……」
「大丈夫です……はやてさん。──僕は、いえ、僕も、彼女たちと同じく──あなたに笑顔でいてほしい。そう心から思っています」
「クロノさん……」
アインスと過ごすうち、何度かの夜に見ていた夢。ずっと過去のことで、その当時自分はそこにはいなかったはずなのに、まるで思い出を振り返るように懐かしく思い出せる。
父親と、彼女の、ささやかなそして大切な思い出。
妻であるリンディも、息子である自分も知らなかった、秘めたひととき。
そして今、その思い出を受け継ぎ守り続けているのは、彼女、アインスだけ。
アインスと、クライドのわずかなしかし確かなひとときを、大切に守りたい。
その思い出は、自分やアインスだけでなく、はやてをも、これから生きていくために必要になるとクロノは思っていた。
自分の心の中に生まれる意思の原動力は、今や、アインスと共にある。
「ありがとう……会いたかった」
はやての手を取り、抱き起こす。足の動かないはやてを、しっかり、ていねいに、抱き留める。
きっと父も、こんなふうに、彼女を愛した。
愛したからこそ、消えてしまった。
今は、今の自分は、もう父の後を追いかけたりはしない。
アインスがいるから。彼女が、父の遺志を受け継ぎ、自分を待っていてくれたから。
夢に見た思い出は、クライドの、そしてアインスの果たせなかった絆。
今は、自分とはやてが、それを成し遂げられる。
警報が鳴り響き、艦橋スタッフにも勤務終了と総員退艦が下令された。
通信士、航法士、それぞれの部署の士官たちが、乗組員を誘導して脱出艇へ乗せる。
エスティアは既に艦の制御を失っており、盲目航行の状態にあった。レーダー類は機能せず、魔力炉も出力最大に張り付いたまま止められない。
格納庫内では、太い蔓植物のような躯体を顕現させた闇の書が、巨大な魔力光を放ち荒れ狂っていた。
艦を放棄する。
このままいけば、エスティアの持つ次元航行能力と次元空間海図を入手した闇の書がミッドチルダへ侵攻を始めるだろう。
その前に何としても止めなければならない。
エスティア艦長クライド・ハラオウンは、次元破壊波動砲アルカンシェルの使用を、艦隊司令ギル・グレアムに要請した。
その最後の通信を打電したとき、クライドは、最後にまだ残っていた彼女の足音を聞いた。
「わが主」
よく聞き覚えのある声。
自分を慕い、心を通わせ癒してくれた、可愛い部下の少女の声。しかし今は、そのトーンがぐっと下がり、同じ声のはずなのに、低く押し殺した、闇のような声になって、クライドを打ち据えている。
「まだ間に合います。私の中ならば、宇宙空間でも」
「だめだ」
彼女の声を聴くと、身体が狂ってしまう。心までも、犯されてしまいそうだ。
激しく熱を持って拍動する心臓を、胸を押さえてクライドは声を振り絞る。
腰が抜けてしまったように、しがみついた艦橋の艦長席の背もたれから、動けない。自分が自分でなくなっていくような感覚と、変化した自分をなお自分だと認識しようとする感覚がせめぎ合う。
自我を失うのではなく、変化した自分を自分だと認めたくないという感情が働くのだとクライドは理解した。
銀の魔力光を放つ彼女は、その左腕に携えた蛇のような触手をうごめかせ、クライドを見つめている。
目を見てはだめだ。彼女の目を見つめてしまったら、逃げられない。取り込まれてしまう。
もう、彼女は自分の知っている彼女ではない──
「わが主、クライド艦長」
「違う!!」
「私はいつでもあなたのためになりたいんです!わかってください……」
「こんな……こと、なんて……だめだ……」
立っていられず、へたり込んでしまったクライドに、彼女は──闇の書の意志はそっと歩み寄る。
もはやこのエスティア艦内には、蒐集できるリンカーコアは残っていない。あとは自分たちだけだ。
-
闇の書の意志は装備していた触手型デバイスを停止させ、騎士甲冑を解除する。原始的な無地の黒い一枚布からなる騎士服の姿に戻り、クライドをそっと抱きすくめる。
もはやクライドには抵抗する力は残っていない。
「艦長──」
「僕は君を……止めなければ、ならない……使命、なんだ」
「どうしてですか!?それは、いったい誰があなたに強制しているんですか!あなたが、どうして、あなたの命を懸けなければならないほど」
「もう戻れないんだよ……!僕は、もう、戻れない」
「なぜ、ですか……私は、やっと……艦長、あなたが私の主になってくれると願っていて──クライド艦長、私はあなたのために尽くしたいと思っていて、今までも、これからもその思いは変わりません!
リンディさんや、クロノくんにも、会いたいです!私と、共に生きていきましょう!」
艦内の配管やダクトなどを伝って伸びる闇の書の防衛プログラムが、エスティアの艦のフロア全体を細かく震動させている。
防衛プログラムとエスティアをリンクさせ、もともと特定の姿を持っていない防衛プログラムに、次元航行艦の肉体を与える。
この鋼鉄の巨体をもってすれば、内部に管制人格や守護騎士、闇の書の主を乗せたまま、次元の海を旅することができる。
「だめ、だよ……アインス、僕は、人間のころの記憶を持っている……このまま、じゃ、たくさんの、ひとを、悲しませる……」
「艦長……わが、あるじ……」
クライドを、抱きしめる。抱いても、抱いても、どれだけ抱かれても、彼を自分のものにできない。
どれだけ愛しても、愛されても、彼の心は手に入らない。
騎士服を脱ぎ、裸になって、翼をいっしょに使って、クライドを抱く。
結ばれたい。限りなく結ばれたい、ひとつになりたい。クライドは、自分の理性で、希望を抑え込んでいる。
アインスとひとつになる、闇の書の主として闇の書とひとつになることを、ぎりぎりで抑え込んでいる。
力に飲み込まれる、強い力があるからといって何をしてもいいわけではない、必ず周囲の人間たちとの折り合いがある。
それを無視して自分たちだけいいというのではいけない、とクライドは考えていた。
しかし、もはやそれをアインスに説得するには時間も、体力も気力も足りない。
もうまもなく、アルカンシェルによって自分たちは跡形もなく、原子も残さず消滅する。
だから、せめて。
クライドは、倒れた自分の上で、大粒の涙を流しながら腰を振るアインスの──闇の書の意志の──姿を見た。
叶わない想いを、命を捨てても何をしても成就することのない恋を、愛を、狂ったように求める闇の書。
理性では、これを受け容れてはならないと考えている。受け容れることは許されないと考えている。
しかしクライドの感情は、心は、アインスを今でも愛している。愛の表現の仕方はそれぞれ、クライドは、アインスを、愛していた。彼女と共に添い遂げたいと思った。
だから、彼女に、自分の気持ちを託す。
吹き荒れる魔力素の奔流と、増大していく重力の中で、肉体が潰れていく感覚が伝わる。
もはや今のクライドの肉体は常人をはるかに超える生命力と耐久力をそなえ、それこそ守護騎士たちのように、手足がちぎれても、胴体に風穴があいても機能を損なわず、痛みによって動けなくなることもなく、意識を覚醒させ続ける。
自分の肉体が、男として、オスとして、闇の書の意志と結合しているのがわかる。
もはや五体満足ではなく手足がちぎれてしまったのに、ペニスはますます硬さを増して闇の所の意志の膣に食い込み、舞い落ちる黒い羽根が、自分の意志で動かせ、闇の書の意志の、腕や肩や乳房をさすり愛撫している。白い肌に、紅潮した乳首が舞っている。
彼女の姿は、美しい。怜悧に強く、しかしどこか儚く、冷たい、そして熱い、闇の書の意志の裸身。
ふわふわと熱に浮かされたように、天国にいるかのように心地よく、痛みもなく、心がすうっと澄んでいくかのようだ。
しかし今、すでにエスティアはアルカンシェルの照準に捕捉され、攻撃準備をされている。
生きていくことは叶わない。
-
退避する乗組員たちを乗せた脱出艇が艦を離れ、離脱時のスラスター噴射がエスティアの艦体をかすかに揺らした。
「アインス、気持ちいいよ──愛してる」
「クライド艦長……私にとって、あなたはやっと見つけた主なんです……ずっと、ずっと、気の遠くなるような年月を、たくさんの人々が絶望とともに消えていったのを見ているんです……
あなたまで、彼らと同じ運命をたどってしまうのは、私はとても悲しいんです、私の悲しみはあなたの悲しみです……」
「ありがとう──だけどアインス、わかってくれ。僕は何よりも君のために、この魔導書を、救いたい──今この艦を覆っている彼女が、泣いているのが僕にもわかる──
彼女は君の家族──同じ闇の書の管制人格というだけじゃない、仲間というだけじゃない、仲間よりもずっとずっと深い絆、家族なんだ。
家族を傷つけられることはこの世でいちばん悲しくてつらいことなんだ──だから、僕は僕と君だけじゃない、互いの家族も守らなくちゃいけないんだ」
闇の書の意志は、わが主という呼びかけを堪えた。名前で、今まで通りの名前で呼び合うことを、それが二人の絆の証と考えた。
闇の書の意志にとっては、単にベルカ語で、自分が闇の書の持つプログラム番号1番を割り振られていたから1と、アインスと名乗っただけで、それ自体に深い意味は、最初はなかった。
しかし今は、そのアインスという名前こそは、クライドが自分を呼ぶときの名前であり、クライドにとって彼女に結び付けられた名前とはアインスであり、闇の書の意志という形容名詞ではない。
同様に、アインスにとっても、わが主という呼びかけはクライドにとって慣れないものであり、彼をあらわす呼びかけとはクライドという、彼の自身の、固有の名前である。
名前で呼び合うことで、人は絆を確かめる。
クライド。グレアム。リンディ。クロノ。彼らは皆それぞれの名前を持つ。闇の書の意志は、アインスという名前をもはや手に入れた。
それは確かに単なる便宜上の符号だったかもしれないが、今や闇の書の主たるクライドの心の中では、アインスという名前が、闇の書の意志そのものである。
「僕は消える、でも、僕の思い出は消えない。ずっと君の中で生き続ける。わかるはずだよ、これまでに、君と共に消えていったみんなの、心が見える──今の僕なら見える。
アインス、君にも見えているはずだ、彼らの想いが──確かに酷い人間もいたかもしれない、君たちを手荒に扱ったり、誤解から敵意を向けていた人間もいたかもしれない。
でも、君たちを本当に大切にしてくれた人間も確かにいたんだ、それはアインス、君の思い出の中に残ってる──そして僕は、君の中で生き続けられる──
今の君になら、僕の気持ちがわかるはずだ。いや、わかってほしい──君が本当に、闇の書の主の幸せを願うならわかるはずだ──僕の気持ち、平和を願うってことは家族の幸せを願うってことなんだ。
そのためには家族だけじゃない、家族が暮らす世界のひとびとみんなが幸せじゃなきゃいけない。僕はそう願ってこの艦に乗っている──アインス、君にも、わかるはずだよ」
もはや腕が動かない、しかしその代わりに、艦内に張り巡らされた防衛プログラムの触手を、自分の意志で動かせることをクライドは理解していた。
手近にあった触手を手繰り寄せ、平たい先端で、闇の書の意志の頬をそっと撫でる。
とめどなく流れる涙を、優しく拭ってやる。頬に浮かんだ2本の赤い魔導紋章が、かすかに穏やかな魔力光を放っているのが、電源の落ちた艦橋内でわかる。
「家族の……幸せ……」
「そうだよ、僕たちは家族だ──僕も、リンディも、クロノも大切な家族だ。そして君も、君の騎士たちも、君の大切な、愛すべき家族だ──」
自分が今やどのような存在になったのかわかる。もはや、人間として生きていくことは叶わない。
覚醒のために、多くの命を犠牲にしてしまった。
エスティアから生きて脱出できた乗組員は、当初、本局を出港した時よりもずっと減ってしまった。
そんな自分が、このまま闇の書を携えていくことはできない。
闇の書の危険を少しでも減らすために、今、できることをする。
クライドは、自分ごと、闇の書の機能を、できる限り制御を自分に移したうえで、アルカンシェルによって破壊させる心づもりだった。
闇の書の制御を困難にしている、独立した防衛プログラム。
これはユーザー認証の機能を内包し、しかしその認証機構に不整合を抱え、正しく操作ができない状態になっていた。
このまま次の主のもとへ向かったとき、再びプログラムの暴走を引き起こさないように──
-
エスティアの搭載機器のうち、艦隊内データリンク用の機能を破壊し、システム全体を外部に接続できない、クローズドの状態にする。
限られたシステムのみを有効にできる状態で、防衛プログラムの持つ認証機能を、自分と関連付ける。
デバイスのメンテナンスを行うシステム管理者として、クライド・ハラオウンの名前を覚えさせたままの状態にしてロックする。
たとえこの場で自分が宇宙の塵と消えても、自分の生きた証は、闇の書の中に生き続ける。そして、いつの日か闇の書が本当に、目覚めるために。
枷を振り切り、真の自由を手に入れるために。
「wahr Freiheit──覚えていてくれ。僕は君と共にいる──」
「クライド艦長……わたしの……わが、主……」
顔を伏せ、手を床について、闇の書の意志の身体が、クライドに触れる。
優しい、男だった。本当に恋していた。彼ならきっとわかってくれると思っていた。しかし、それは自分の思い込みにすぎなかった。どんな思いも、伝えなければ届かない。
クライドだけではない、闇の書の主となる人間に対しても、守護騎士たちに対してさえも。
彼らに伝えなければならないことは、自分たちのありのままの姿と、それを認識する方法。
「君が生きていれば、僕は救われる──」
クライドは、そうアインスに言い遺した。
エスティア艦内から、脱出艇の中へ、転送魔法を発動する。同時に、闇の書の機能はいったんシャットダウンされる。アルカンシェルによって破壊され、一時的にでも止まる。
再び動き出すまでには、わずかの猶予がある──
そして確かに、闇の書は、第97管理外世界への転生を果たし、それはクライドの遺言どおりであったことを、この2年後、ギル・グレアムは自ら調べて確かめた。
すでに時刻は午前4時を回り、夜明けが近づいていた。外はまだ暗いが、冬でもいつも通り、じきに人々が動き始める。
はやてはクロノたちを、自分の部屋へ入れさせた。シグナムとシャマル、ザフィーラも、今夜はずっとはやてのそばにいる。
ベッドの上にははやてのほかに、クロノとアインスが座り、ヴィータとシグナムは枕元に、シャマルとザフィーラはそれぞれはやての勉強机とドアのそばの床に腰を下ろす。
年頃の、幼い少女のベッドに入ることで、クロノは今更のように少し緊張気味だ。
はやては優しく微笑み、クロノとアインスを迎える。
「アインスさんは最後まで、父さんの想いを守り助けていた──だから、僕は、今こうしてここにいられる」
鼻をすするアインスは、はやてにハンカチをもらって、涙を拭いている。
「もしかしたら、闇の書の主に、私やなくてクロノさんが選ばれていたかもしれへんとゆうことです……か」
「ええ。同時に、その場合、はやての足も麻痺せずに……代わりに、僕に何かの影響が出ていたかも──」
「私の足が動かないのは闇の書が……魔力、を、吸い取っているからゆうわけですね……」
パジャマの裾を握りしめ、はやては確かめるように言葉に出した。
闇の書とは、現実にこの世に存在し、現実に強大な力を持ち、存在するだけで多くの人々に影響を及ぼす。それははやてひとりが言葉で命令したからといってどうこうできるものではない。
闇の書を、その有様を正しく見つめ知ることが必要になってくる。
はやてはアインスにも、手を差し伸べた。
「闇の書のことをいちばんよく知ってはるんですよね」
「……はい。私は、前回の事件の──とき、そばにいました。闇の書を、持つ者として」
「闇の書の、管制融合騎──管制人格、マスタープログラム」
おそるおそる、目線を伺うようにしてシグナムが言葉に出す。
予想と、その確認。
アインスが、真に何者であるかを問いただす。
「アインスさんは、はやてだけでなく、皆を救うための手段をずっと探していた」
「クロノ──」
シグナムと、アインスと、クロノと、そしてはやて。4人の視線が瞬間、交錯する。
「──ああ。そうだ──私は、闇の書の真の覚醒を促す手立てを探し続けていた──管理局にある、無限書庫の中で」
「管理局……」
ヴィータが、呻くように押し殺した声でつぶやく。
守護騎士の中でも稼働時間の短い彼女はその外見通りにもっとも若輩で、やや気性の荒いところがある。戦闘力は高いが、精神的にはムラっ気が強い、といったところだ。
-
「クロノさん──あなたは、いったい」
シャマルが尋ねる。この場で、クロノは唯一、闇の書のシステムに組み込まれていない人間である。
しかし、それが徐々に変化しつつあることは、認識されている。
「僕は──」
クロノの言葉に、はやてとアインスは固唾をのんで意識を傾注させる。
闇の書という存在、それが人間たちにもたらす影響、そしてこれまで積み重ねてきた歴史。
彼の言葉の背後には、多くの人間たちの想いが連なってくる。
そしてクロノは、その人間たちと、自分との決定的に異なる事実を、認識した。
「──僕は、──アインスさんと共に──はやて、君を助ける」
「クロノ」
「僕はアインスさんと共に生きていきたい。その想いは、確かに僕の中に息づいているよ」
クロノはあえて所有格を省略した。ここで、想いというフレーズを出すとき、それが何を指すかはアインスはよくわかっている。
八神はやての、ひとつ前の代の闇の書の主。クライド・ハラオウンが今際の際に残した想いは、アインスを通じてクロノに受け継がれた。
それはグレアムもリンディも知らないことだ。
アインスはただ、闇の書を倒す方法があるとだけグレアムに持ちかけた。もちろんグレアムもそれを頭から信用はしない。互いを騙し利用しあう搦め手だった。しかしクロノには、そして他ならぬはやてには、真実を伝える。
「クロノさん……わたしは、これからどう……していけば……闇の書は、これから、どうなるん……ですか……?」
「闇の書は、正しく起動すれば、多くの智慧を貯めこんだ宇宙の目になる。それは賢者のように、はやての知識を高めてくれるだろう──
それを使って何をするかは、いろいろなことが考えられる。だけどいちばん大切なのははやて自身の意志で、そしてまずはやてがそのありのままの姿で生きていけることだ。
闇の書が本当に願っているのは、偏見や、誤った認識からくる不当な扱いを、やめてほしいということだから──」
父の想いとは。
クロノは、アインスに見せられた夢の中で思い出した。父クライドが本当に願っていたことは、闇の書を破壊することではない。
次元世界の平和を希求することは、闇の書を救うことと等価である。
闇の書を破壊しさえすれば平和が訪れる、闇の書さえなくなれば人類は未来永劫平和であるなどといった単純な、甘い話ではない。
闇の書そのものが絶対の悪ではなく、悪意を持って闇の書を用いる人間の心の闇を、除くべきであるということ。
そしてこの少女は、八神はやては、愛すべき、慈しむべき優しい心の持ち主である。
自分が心から、主と慕える人間である。
はやて。
その名をゆっくりと、心の中で反芻する。
今の自分をリンディやエイミィが目にしたら、同じクロノ・ハラオウンであるとわかってくれるだろうか。でも、不思議と寂しさや不安は感じない。
アインスがいるから。はやてがいるから。仲間が、家族がいるから。
シャマルは目を潤ませてクロノを見つめ、シグナムとザフィーラは瞼を伏せて神妙に、ヴィータは唇を噛みしめて涙をこらえている。
はやての後姿を見ると、切ない。
今すぐにでも、はやてを抱きしめてやりたい。愛したい。
いつになく、強い愛しさの感情が生まれていることを、ヴォルケンリッターの皆が胸に感じていた。
そしてそれは、自分たちよりも管制融合騎たる彼女と、この少年が、もっと強く感じているだろう。
アインスはそっと、クロノの肩に手を置く。これから先へ進むことは、もう二度と引き返せない一歩を踏み出すことである。
もしここから引き返そうとするなら、クロノは、11年前のクライドよりも辛い決断をしなければならないだろう。
そしてそれは、少なからず誘導されたことである。アインスは最初からそのためにクロノに接近した。11年前も、クライドに対しても、同じだった。
彼らへの愛情が偽りだったかと言われると、はっきり否定できるとアインスは想っていた。クロノへの想いがまず先にあり、その帰結としてクロノの変性が生じるのである。
卑怯なことだろうか。強制したことだろうか。
たとえば媚薬を盛ったりして、本人の意思とは無関係に発情させているのと同じことだろうか。
-
違う。少なくとも、クロノからアインスに返された言葉は、彼自身のものだ。それは何度も確かめた。
いくつもの夜を共に過ごし、何度も身体を重ね、交わり、確かめたことだ。
クロノは確かに、アインスを愛している。それはもはや疑いようのないことだ。クロノとアインスは、共に同じ目的を認識し、共に同じ主を敬愛し、主を助けたいと思っている。
「闇の書の、……真の覚醒」
「現在、闇の書は過去に行われた改造が原因で、魔導書を制御するプログラムが正しく動作しない状態になっている。
このために魔法の暴走を引き起こし、多くの人命が失われた──このままの状態では闇の書はまた、暴走するだろう。
そしてそのために、闇の書は危険とみなされ、次元世界人類からの攻撃を受けている。
僕たちがやらなくてはならないことは、闇の書を修復し、この世界で生きていけるようにすることだ」
はやてはにわかに不安が浮かび上がるのを感じていた。それは闇の書が次元世界において、ひとびとから敵視されているという事実である。
守護騎士は、そういった危険から主を守るためにいる。しかし逆に、守護騎士の存在そのものが、闇の書の主がひとびとから恐れられる原因にもなっている。
それは堪えがたいパラドックス、自己の存在意義に対する矛盾である。
自分の身を守るために持っている力が、逆に他人に恐怖を与える。今の扱いをやめてほしければ、その前にまず彼らを捨てろということになる。
そのような謂れを受けたらさすがに承服はできない、とはやては思った。
ヴィータ、シグナム、シャマル、ザフィーラ、彼ら守護騎士が自分の前から消えてしまうことなど考えたくない。
いつか、シャマルがベルカ時代の思い出話として語ってくれた中に、和平の使者は槍を持たない、ということわざがあったのをはやては思い出していた。
常識的に考えて、武器を向けられれば警戒するのは当然である。実際、クロノはシグナムたちを前にデバイスを捨てて手を挙げ、この所作が示す意味をはやてもすぐに理解した。
丸腰であることを表現する作法は、地球でもベルカでもミッドチルダでも変わらないようである。
しかし問題は、闇の書の場合、武器そのものがヒト型をして人格を持っているということである。
武器を捨てろと言われた場合、人間を捨てろということになってしまう。
守護騎士は、消えることがあるのだろうか。死んだら消えてしまうのだろうか。闇の書は、死んだ守護騎士をよみがえらせる機能を持っているのだろうか。
だとしたらもしかすると、過去には、闇の書の主が例えば敵を油断させて騙すために、わざと守護騎士を殺したこともあったのだろうか。そしてその後、何事も無く守護騎士はよみがえらせられたのだろうか。
彼らは道具なのか。人形なのか。人の形をした、ただのデバイスなのか。人の形をした慰みモノなのか。
違う、と思う。
自分は絶対、彼らを守る。闇の書が守護騎士を持つということは、人間が息をするのと同じくらいにあたりまえの存在だ。それを認められないのは、人間の側の不徳だ。
闇の書が最低限守りたいと願っている主張はそれだろう。
どんな人間も、自己の存在を否定されることほどつらいものはない。そしてときに、強い絆を持つ仲間を否定されることは、自分を否定されるよりもずっとずっとつらく、そして深く傷つくことだ。
価値観を異にする。人間どうしですらそれは起きうる。ましてや人間ではない、魔導書型デバイスたる闇の書、そして守護騎士、管制人格ならばなおさらだ。
そうなったとき、自分は闇の書の主として何をすべきか?
彼らを矯正する、というのは驕りだと、はやては思った。守護騎士たちが現れたとき、これからは家族として過ごそう、と言った。その方が幸せだと思っていた。戦いを繰り返すよりも、平和な日々を過ごす方がいいと思った。
今にしてみれば、それは価値観の押しつけだったかもしれない。彼らの、生まれた意義を否定する行為だったかもしれない。
だからこそ、これから先、どんなことがあってもみんなを守っていく。
その一点において、はやてと、ヴォルケンリッターたち、そしてクロノ、アインスの想いは一致する。
-
ゆっくりと唇を揉みあい、はやては自分の気持ちを確かめた。からだを触れ合わせるこの距離で、安心できるということは危険がないということである。
そして同じ人間であり、安心してからだを触れ合わせることできる。クロノも、シグナムも、ヴィータも、みな同じ人間で、はやては抵抗なく、キスをすることができた。
アインスとクロノと、はやては抱き合う。
互いの体温を感じあう。アインスの胸が、はやてとクロノの胸にはさまれて、激しくその弾力を主張する。
愛し合える、と思った。
アインスはそっとブラウスのボタンをはずし、ベッドに横になった。クロノがアインスの片脚を上げ、はやてに向かい合わせて、アインスのパンツをゆっくりと脱がせていく。
部屋の灯りを落としているので、性器そのものはうすぼんやりとしか見えない。でも、パンツを脱がせるために近づけられたクロノの顔が、アインスの股間に舌を触れさせたのをはやては確かに見た。
わずかな光を、クロノの唾液とアインスの愛液がきらめかせた。
性の、触れ合いのやり方。初めて間近で見た、クンニリングスの実演。はやては、股間がむずがゆくなる感覚を味わった。粘つく音が、かすかにしかしはっきりと部屋に響き、アインスの切なげな吐息が漏れる。
白いブラウスがふわりと浮き上がり、それがはかりしれないほどの大きさの乳房によって盛り上げられているのだと分かる。
激しく勃起する乳首に、ブラウスの布の端が引っかかり、じわりと染みが広がっている。
「クロノ……さん……」
ごくりと唾をのみ、はやては今夜初めて見る彼女の秘め姿に目を注ぐ。
いや、初めてではない。夢の中で、おぼろげながら見ていた。愛し合う彼女と彼を、恋に胸を焦がしながら見つめていた。
彼女が幸せになれるならどんなにうれしいことだろう。
はやてはクロノの背中をそっと撫で、ズボンを脱ぐのを手伝ってやる。部屋の床にへたりこんで、ベッドにしがみついているヴィータに微笑みかけながら、クロノの身体を惜しむように撫でる。
自分をずっと待ち、求め続けていた二人が、今、自分と出会えた喜びをかみしめている。
背後で、シグナムが切なさをこらえ、シャマルがぎゅっと抱きしめているのがわかる。
下半身を裸にしたアインスとクロノが、ゆっくりと、はやてのベッドの上で身体を重ねていく。
自分がいつも寝ているベッドの上で、妙齢の男女が交わる。
闇の書の、自分の従者たち。愛おしく、可愛らしく、そして頼もしい。彼らの生命の営みを間近で見たい。それは何も恥ずかしがることではない。
「はぁっ……クロノ、あぁ……ん、んっ……!いい、いい……」
「アインスさん……きれいです。僕は、うれしいです……アインスさんと一緒になれるのが」
思えば何日ぶりだろうか。もうずっと、久しく触れ合っていなかったようにさえ感じられる。クロノの若いペニスを、アインスはもはや待ち焦がれて切なく濡れる膣で迎えた。
そばに寝そべったはやてが、アインスの隣に横になって、その結合部を見ている。結合しようとするところを見ている。
主に見られる。自分のセックスを、主に見られている。これまでにない刺激にアインスは興奮し高まっていく。
膣口の収縮によって陰唇が大きく動き、クロノの亀頭を激しく舐めていく。敏感な先端を舐められる刺激に、クロノも目を細めて性感を味わう。
「あの……、っ、……アインス、さん……」
はやての呼びかけに、アインスは背をぐっと反らせて胸を浮かし、頭を枕について身体を支える姿勢をとる。
「ぅんっ!は、はぁ……ある、じ……わが、あるじ……」
「はやて……アインスさんはずっと待っていたんだ、はやてに会うことを」
「そう……です……ぅ、会い、たかった、ずっと、クロノを、つれて、会いに、きたかったんです……うぅ……!」
手を握る。右手をはやてと、左手をクロノとつなぎ、ベッドの上で性感に包まれ、悶える。
まっすぐに突き上げられた乳房のふくらみから、ブラウスが滑り落ち、白い肌が常夜灯の灯りだけがある室内に浮かび上がる。
闇の書。そう呼ばれていた彼女に、名前はなかった。しいていえば、本の旅人、というのがそうなのだろうが、これとてあくまでも形容名詞で、シグナムやヴィータといった固有人名ではない。
-
「リイン……フォース……」
思えばはやてはまだ9歳である。去年の春に、聖祥指定の書店に2年生の教科書を買いに行った時、同じ本棚に置かれていた5年生の保健体育の教科書をこっそり見たことはあった。
風芽丘の図書館で、解剖学の本や、医学書を借りて読んだこともあった。
それでも、実際の、大人の女性器と男性器を間近で見るのは初めてだ。自分のは、まだ幼くて出来上がっていないだろうし、きつくてあまりこじ開けて見たこともなかった。
一緒に入浴した時、シャマルやシグナムに、頼めば見せてくれただろうか──今度、風呂に入るときに見てみよう、とはやては思った。
今、ここで、大人の女性器が、大人の恋愛でどのように使われるかを、アインスのものを見て知る。
「わたしたち、みんなの出会いを祝福しましょう……アインスさん、わたしが名前を……あげます……」
いつもの本棚に置かれた闇の書は静かに眠っている。
誰にも理解され得ない、哀しい愛。それでも、あきらめていい理由にはならない。はやての想いがクロノにも伝わる。伝わってくるはやての想いを、クロノも受け止め理解する。
父は、喜んでいるだろうか。そういえばこの家に、はやてと守護騎士以外の人間はいない。はやての両親も、すでにこの世にはいないのか。
なぜ、自分がこうして、宇宙の果ての管理外世界で、触れ合っているのか──
どんなに遠い世界に行っても、世界の果てに行き果てても、求め続ける限りそばにいる。求め続けようとする。その気持ちが、意志が、闇の書をここまで生きながらえさせてきた。
絶対にこの想いを、潰えさせたりなどしない。父が叶えられなかった愛を、自分が受け継ぎ、きっと彼女を幸せにする。
「わたしたちの、闇の書、夜天の魔導書の管制人格──わたしたちのことを、ずっと見守ってくれていた──。
強く、支えるもの──リインフォース……わたし、なら、そう、呼びたいです」
「ああ……ありがとうございます……。いい、名前です……」
「リインフォース・アインス……アインス、さん。僕は、アインスさんが喜ぶなら、はやてたちを守るためには──」
くぷっ、と粘液の膜が表面張力を突破してクロノの身体に絡みつく。熱せられてやわらかく熟した肉襞が押し広げられ、クロノのペニスがアインスの膣へと入り込んでいく。
ハーヴェイ、そういえば、クライドの旧姓だった。彼を偲ぶ意味で、その名前を受け継いでいた。それぞれの持つ名前をそれぞれの意味で心に留め、抱き合う。
いつか彼女に、ハラオウンの名前を分け与えよう。共に生きていこう。もしくは、自分の名前をハーヴェイに変えよう。
リインフォース・アインス・ハーヴェイ、そしてリインフォース・クロノ・ハラオウン・ハーヴェイ、共にミッドチルダ語の姓名として問題なく保有可能だ。
「クロノ、あい、してる……愛してる、クロノ……愛してる……本当に……大好き……」
ゆっくりとしたストロークの長いピストンで、クロノはアインスの膣を余さず愛撫していく。挿入するときに亀頭に押し広げられる感覚と、抜いていくときにカリ首に掻きこすられる感覚が交互に、アインスを優しく蕩かしていく。
クロノの股間の筋と腰が、アインスの股間に触れ、土手を触れ合わせ、やわらかな女性器の肉を揉む。膣とペニスだけでなく、腰全体で触れ合う。
温度と粘度の高い液が揉みこすられるいやらしい音に、アインスは口を半開きに、舌を出して興奮し、はやても次第に息が荒くなっていく。9歳の少女にとって、目の前でセックスを見せつけられることは果てしなく重い衝撃だ。
リインフォース・アインスの豊かな、慈愛に満ちた女体の上で、小柄でしかし機能美を備えたクロノの男が躍っている。
セックス。男と女の、性器の交わり。人間の肉体の中で唯一、他の人間の肉体に入り込みあるいはほかの人間の肉体を受け入れることを前提とした臓器。それが、まさに自らの役目を果たしている。
両脚を大きく開かせ、いわゆるM字開脚の姿勢で、アインスはクロノを迎えている。ベッドに手をついて身を乗り出し、釘付けになっているはやての視線は、アインスの膣口とクロノの陰茎の結合部に注がれている。
男のペニス。男性器を見るのははやてにとっては初めてだ。ザフィーラもそのあたりは配慮していた。知識としてはなんとなく知ってはいたが、実際に勃起状態のペニスを見るのは初めてだ。
-
はやての手のひらよりも長いペニスが、アインスの腰に深々と沈んでいく。女性の股間には、それだけの長い肉腔があり、男性器を収められるようになっている。そして出産時にはもっと大きな赤ん坊を通すために広がる。
「はぁ……すごぉい、リインフォースの、あ、あ、おまん、まん……広がって……ひくひくしとるよぉ……」
わずかにためらいながらも、はやては女性器の隠語を口に出す。普段なら、言葉遣いをシグナムに注意されたりするところだが、そのシグナムももはや堪えきれず、同じように後ろから抱きついてきているシャマルに身体を預けて震えている。
床に張り付くようにして同じように堪えているヴィータに、ザフィーラがそっと背中をさすっている。そのスウェットの股間もぱんぱんにテントを張っているのがわかる。
「アインスさん、寂しかったでしょう、辛かったでしょう……でももう大丈夫です、僕もはやてもいます、みんな一緒にいます……
もうアインスさんを悲しませたりはしません、約束します……アインスさん、アインスさん、はぁっアインスさんの、おまんこを、慰めてあげたいです……
とっても、よく締まります……僕を包んでくれます、僕のちんちんを包んでくれます……いい、ですよね……アインスさん」
「はぁっ、あぁ、うぅあ、あぁぁん、くろ、の、ぉ……クロノ、ぉ……っ、ん、くぅっ……いい、うん、いいよぉ、おまえのちんぽ、あぁ……ほしかったぁ、ちんぽいれられたかったんだぁ……
うっはっ、ひぃ、あぁ、あるじ、わがあるじ……んっ、く、くぅ……いい、ですっ……あぁ、クロノに、私、クロノのちんぽをハメられて、感じてるんです、心が癒されるんです……!」
「うん、わかる、わかるよリインフォース……たいせつなひと、みつけたんよね……わたしも、胸が切なくて、恋しくて、クロノさんのこと、とっても好きになる……
リインフォースの気持ち、わたしがぜったい守るよ、リインフォース、好きやよ、わたしもリインフォースのこと大好きやよ……!」
果てしない切なさと、狂おしいまでの愛おしさ。性器のこすりあいを激しくするのではなく、互いの言葉のやり取りで、性感を高めていく。単にモノを入れて刺激するのではなく、入れられているシチュエーションをよりリアルに想起させる。
淫らな、倒錯的な交合の夜。幼い主人の少女の前で、だらしない痴態を晒す従者。そして、組み伏せられることへの被虐的な快感。クロノとの結合を待ち望んでいた、自らの性欲の認識。
それらが相まって、アインスの肉体をこれまでになく瑞々しく、艶めかしく輝かせていた。
幼い、思春期を迎えていないはやてさえもが発情してしまうほどの、妖気の発散。闇の書が渇望する、子孫を残そうとする生命としての本能。
実現すれば、闇の書はついに単なる無機物、デバイス、道具から、一個の独立した生命体へと進化できるだろう。
「精子……精液、でるんですね?……射精、するんですね、クロノさん……おちんちんから、精液が、出るんですね……」
はやての発した言葉に、アインスとシグナムがほぼ同時に反応し、身体をびくりと震わせた。シグナムも、主が乱れているのを止めることもできず、ただ脱力し性感の奔流に身を委ねている。
アインスの膣がいよいよ締め付けを増してクロノのペニスを捕まえ、小刻みに扱きはじめる。太ももと尻の肉がベッドのシーツの上で揺れ、乳房と乳首が艶めかしく胸の上を揺らめく。
太ももを抱えているクロノが両腕がふさがっているので、はやてはついに手を伸ばし、アインスの乳房を揉んだ。
ひときわ激しく身体を揺すり、アインスは膝を内側に曲げて、クロノの背中を抱え込もうとした。それもすぐにほどけ、つま先をぴんと伸ばし、足の指を開いて、高々と掲げた脚を震わせて絶頂に向かう。
「すごいおっぱい……リインフォースのおっぱい、すごいぃ……こんなん、もう、たまらんよぉ……」
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「はぁっくっアインスさん、アインスさん、僕も……もう……!はやて、ああっ、はやて、見て、くれ……僕を……!僕と、アインスさんの、気持ちを、あぁぁ、見て──!
アインスさん、アインスさんのまんこ、いいです、アインスさんのおまんこいいです、世界でいちばんいいですアインスさんのおまんこっ!
ちんちんが、とろけて、あぅぅっ僕のちんちん、アインスさんのおまんこの中でとろけて、イク……いく、いって、出したい、はやてに見せる、はやてに僕の射精を見せるんだ……!」
クロノの腰も動きを速め、抑え目ながら激しく結合し、熱い空気、蒸散する濃厚な汗を放ちつつある。
パジャマの下で、自分の股間を垂れ落ちたのが汗なのか、それとも性器が分泌するいやらしい汁なのかはやてはわからなくなっていた。こんなに気持ちいい行為を人間はすることができる。もっと、気持ちよくなりたい。
そして、自分の最も大切な絆を持つリインフォースが、愛する男とセックスをして悦んでいるのを見ると、自分もうれしい。はやての心はアインスとひとつになる。
「んっ、あ、あ、あぁぁ!わが主っ、そこ、あぁ、乳首の周り、あぁそこ敏感なんですっ、いいっ、まんこ、まんこもちくびもだめぇいっちゃう、いっちゃうぁああ……
ふぅっくぁ、うぅ、クロノ、おねがい、出してぇ中で出して、せいし、せいっ、ほし、ほしいっせいしぃ、あぁぴゅっぴゅってだして子宮にあててぇ!しきゅうがいっちゃう!
はぁぁ、うぁぁ、ああっあるじに揉まれて、わたしっあぁぁいい、クロノ、わたし、いぃ、あるじに見られながらクロノに中だしされる、膣がっ、膣がもぉだめぇひぐぅう……!!」
「くうぅ、はぁっはぁっ膣、ちついいですアインスさん、アインスさんに膣内射精します……膣、ちつ、ちつないしゃせいッ……!はやて、見るんだ、僕の、おおおっアインスさ……ンっ……
僕の、ちんちんから、精子っ、アインスさんっ……!なかに、注ぐ……アインスさんのっ、膣に、注ぐ、膣に、子宮にっアインスさんの膣の中に精子出すんだ……見ろっはやて……!
はやてにっ……くぅっ見られてっ、僕もいく……アインスさん、アインスさんアインスさん、おまんこのなかにでる、でる……アインスさん、射精、うけとめて、アインスさんアインスさん射精、しゃせいする……!!」
「あぁぁぁーっ!!クロノっ……──!!!」
もはや言葉も出せず、歯を食いしばって、はやてを右腕に抱き、左手でクロノを掻き抱くように掴みながら、アインスは長い長い絶頂を迎えた。
身体が溶けてはじけて飛び散りそうになるほどの、性の悦び。股間をさらけ出して、悶えて、発散する。
左手の爪がクロノの身体のどこかを引っ掻いた。触れるものすべてが性感に変わり、膣の奥深くまで挿しこまれたペニスから、精液のひと射ちごとに爆発的な熱が全身を燃やすように広がっていく。
上昇した血圧で鼓膜が浮き上がるのがわかり、それでもかろうじて、膣が粘度の高い愛液を噴出している音が聞こえた。
はやての息遣いが乳房に当たり、もはや何も見えない目くるめく極彩色の視界の中、夢中で乳首をはやての顔にこすりつけようとする。
破廉恥な融合騎を、どうか許してほしい。涙があふれ、それでも拭ったりとかそんなことを考えられないくらいに、アインスはありったけの愛情を込めた汗と淫汁を、はやてのベッドに染み込ませていった。
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投下終了です
はやてちゃあああん!耳としま!えっちなおほんをこっそりよんでるのです!
そしてアインスさんもひさしぶりにクロノくんとえっちできました
みんなが見ている前でえっちするんですよぉ
さてアインスが狙う闇の書の真の覚醒、ここに来てグレアム提督に反旗を翻すことになります
はやてちゃんを守る戦いの始まりです・・・!決戦前夜にはもちろん仕込みます(ぇ
ではー
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いきなりみんなの前でセックスとは相当やばいなwww
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GJ!闇のエロ本だー!w
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闇の書を修復・・・できればアインスもはやても救える・・・
クロノのおちんぽで世界を救えるか(ぇ
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アインスかわいいよう
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いよいよ佳境っぽいですな。
アインス、エロい。
やっぱり彼女の相手はクロノ、ザフィーラが主流なのか。
それでも私はユーノ祭りに向けてユーノ×アインス物を書いてます。
ショタユーノの事が気になってモジモジするアインス書いてる俺は病気。
深きものの大軍vs恭也、クロノ、ザッフィーとかやりてーですお。
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>>212
ぜひやってくれ。
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>>212
声ネタ的にスパロボっぽい空気が
だって3月に出る新作は(ry
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【 告 知 】
大変申し上げ難いんですが、凄まじく心苦しいんですが、とてつもなく言い辛いんですが。
ユーノ祭の開催を一日延期して31日からにします。
あと少しで期日だというのに自分をはじめとした参加陣の多くが未完成という有様でして……面目ない。
一日、もう一日かけて完成させますのでどうかご容赦を……
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無理しないできりのいい2/1とかからでもええのんちゃうん?
別に印刷会社が待ってるわけでもないんだろうし
ああ、祭り自体は非常に楽しみにしてます
それだけにノルマに追われるような投げっぱなしクオリティで来るよりは・・・・
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半年までなら待てるから、ゆっくりやってくれても良いんだぜ?
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むしろ始まった日が1月30日だぐらいのつもりでもいいんだぜ
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というか2月一杯「ユーノ祭り」でも一向に構わんですぜ。
私も書いてるけど、メイン主人公ユーノで書いてるけど、中々上手くかけんです。
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←やべぇ、もう1月30日だった、という顔
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祭りって言うからには、一定期間やり続けてもいいんじゃないだろうか
インドのお祭りみたく、それこそ数ヶ月
なのはから陰鬱にユーノ寝取るフェイトとリンディ義母娘の電波が降りてきたのに仕事忙しくて書けない
そんな自分みたいな同死の為に!
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『闇の書』の情報を探すのを妨害する為、ユーノに色仕掛けで迫ってフェラ&パイズリで歓楽させようとするリーゼアリア。
だが、逆にユーノを男として覚醒させてしまい、自分が夢中になってしまって・・・更にセックスしてた無限書庫の近くの区画で
『闇の書』の修正プログラムが見つかって、それを切欠にアインスもユーノを意識するようになって。
そんなリーゼアリア×ユーノ×アインスの三角関係なんて電波を飛ばしたのは誰だす!?
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それも私だ
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ザ・シガー氏を始め色々と祭の準備を進めている皆様には申し訳ありませんが
飛び入りが先陣を切っても構わないというのであれば、
小話を一つ23時頃から投下したいと思います。
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ヤッチマイナ!
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|3゜) コソッ
俺も投下するブツできたんだけどここは譲るですよ。
自分は明日でよいので、お先にどぞ。
|))) スス
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寛大な対応、有難うございます。
それでは、ユーノ祭の一本目を投下させていただきます。
・如何にユーノがもてるのか、ヴィヴィオ達が語るだけ。
・ユーノスキーにとっては多分手垢の付いたネタ。
・エロスは無し。
・タイトル「ユーノ司書長はMMK」
-
アインハルトが高町家を訪れる事は少なくない。
その日も、ヴィヴィオに誘われてリオやコロナと共に高町家に遊びに来ていた。
只、いつもとは違って、その日高町家を訪れた客人が自分たちだけではなかった。
とは言え、その客人はヴィヴィオが招いたのではなく、彼女の母親達に会いに来ていた。
だから普段と違って年長組はダイニングに、年少組はリビングに分かれてお茶会が繰り広げられる。
客人は見知った顔が二つ、見知らぬ顔が一つ。
見知った顔の一つはリィンフォースなのでこちら側、もう一つははやてなのであちら側。見知らぬ顔もなのは達の幼馴染みという事で、ダイニングで談笑中だ。
勿論年少組もケーキを食べながら女子トークの真っ最中。話題は専らアインハルトが初めてあった見知らぬ客人、ユーノについてだ。
理由は、アインハルトがなのは達の幼馴染みに男がいるという事実に驚いたからだ。
些か失礼な話ではあるが実際問題、
ザフィーラはヴィヴィオの師匠ではやての守護獣、ゲンヤはなのはの元部下の義父、エリオはフェイトの弟的保護児童と、
今まで会ったなのは達の知り合いに、友人と呼べる立ち位置の男がいなかったのだから仕方ない事ではある。
「……ハァ……それはとても凄いですね……」
ヴィヴィオ達にとってユーノは大好きな無限書庫の尊敬する司書長である。夕方までだって彼の素晴らしさを語る事が出来る。
だが、全てを喋らせる必要もなく、アインハルトは彼の素晴らしさを理解する。
何しろ、ヴィヴィオ達がこれ程までにべた褒めするのだから素晴らしくないはずがない。
頷きながら、ちらりとダイニングに目をやる。
「ねぇ、そのシフォンケーキ、どんな感じかな」
フェイトがユーノに問い掛ける。
「う〜ん、お菓子について美味しいとか甘いとかの他に語彙力がないからなぁ……」
ユーノは困ったように天井を見上げて悩んだ後に、表現する事を放棄する。
「味見してみる?」
「うん! ア〜ン」
目を閉じて大きく口を開けて待つフェイトにユーノは苦笑する。
「ひな鳥か君は……て、なのはも!?」
「そんなに凄い方なら、ヴィヴィオさんのお母様達に慕われているのも解ります」
ヴィヴィオ達が語った内容はGOD並に主人公補正の掛かったものであったが、
ハーレムルート突入後のラブコメチックな展開を繰り広げるダイニングの様相を説明するだけの説得力がある。
「そうなんです、ユーノさんはMMKなのです」
リィンがしたり顔で頷く。
「エムエム……?」
「次元航行隊の隠語で、もててもてて困る、という事だそうです」
初めて聞く用語に首をかしげるアインハルトにリオがすかさずフォローを入れる。
因みに某お姉ちゃんの必殺技と同じノリであるが、こっちの方が格段に歴史が長い。てか、何で日本語ベースの隠語なんだよ。
さて、MMKの言葉の意味を理解したアインハルトだが、それ故眉根を顰めて悩む。
-
「どうして、人に慕われて困るのでしょうか?」
「それは変な人につきまとわれるからなのです」
リィンが人差し指をピンと立てて的外れな解説をする。
「例えばリィンが生まれる前の事なのですが、『ユーノく〜ん、子作り手伝ってや〜』と無限書庫や宿舎に押しかける変態さんが居たそうです」
保健体育の授業を受けているアインハルトは、リィンの言葉の意味を飲み込んで、理解して、それから顔を真っ赤に染める。
子供はキャベツ畑だったりコウノトリだったり生体ポッドだったりから連れてくる物と考えている初等部三人娘は
アインハルトが顔を染めた理由を理解できなかったが、要はストーカーであると理解する。
「それで、ユーノさんは無事だったんですか?」
リオの問いにリィンは首を上下に振る。
「ユーノさんがまだ独身なのが、その変態さんの魔の手から逃れた何よりの証拠です。
噂ではフェイトさんがその変態さんを撃退したそうですが、
当時はやてちゃんがリィンのフレーム設計をユーノさんに手伝ってもらいに訪ねていましたから、きっとはやてちゃんも活躍したはずです」
ユノはやをごり押しするリィン。
因みに当のはやては、シフォンケーキのお返しにと、ユーノにショートケーキの苺を口移しで食べさせようとした結果、
フェイトに頭を鷲掴みされて裏庭まで引きずられて行ったところだ。
結婚しなくとも子供が生まれると知っているアインハルトは、リィンの説明が説明になっていないと感じたのだが、
まぁ、事が大きくなっていないようだから、実際どうにか収束できたのだろうと納得する事にする。
「……成程、理解いたしました」
奥歯に何か挟まったようなアインハルトの表情ではあったが、リィンはドヤ顔で頷く。
そのドヤ顔が、無限書庫大好きを自認するリオの対抗意識に火を付けた。
「私も、ユーノ司書長がもてすぎて困る話聞いた事があります」
彼女は右手を大きく挙げて、友人達の意識を自分に向けさせる。
「他にもストーカー事件があったのですか?」
二人も三人もストーカーに付きまとわれるというのは一般人には想像も出来ない事態だが、無限書庫の司書長だってそれなりに有名人だから有り得ない話ではない。
だが、リオは首を左右に振ってアインハルトの言葉を否定する。
「ストーカーとはまた違う話なんです。
ユーノ司書長はさっきも話した通り、ミッドチルダ考古学士会の会員で、その上スクライア一族の出身なんですよ」
リオの言葉に頷くアインハルト。
-
「ですから遺跡鉱山でロストロギアの発掘を指導する事も多くて、ロストロギアを略奪しようとする次元犯罪者の襲撃を受ける事もあるそうなんです。
勿論そんな事が起きたら直ぐに、管理局から犯人の捜索やユーノ司書長達の警護の為に部隊が派遣されるんですが」
そこでリオは言葉を句切る。
「かなりの高ランク魔導士とのお話でしたが?」
「だからと言って文官が襲われているのに、応援を派遣しないわけには行かないものなのです」
アインハルトの疑問に定型文的な答えを返すリィンだが、
ユーノの場合、旅行先での水問題よりも更にセンシティブに魔力適合不良を起こしやすいフェレット(人気者)体質で、
必ずしも発掘現場で最良のパフォーマンスを発揮できるわけではないという事情もある。
「そ れ で」
話の腰を折られたリオが、少し不満げに語気を強めて口を開く。
「実行犯の担当執務官が犯行現場の調査を部下に押しつけて、護衛と称してユーノ司書長と二人っきりになろうとする事がよくあるそうなんです」
うわぁ、とアインハルトは管理局のダメッぷりに引く。
一方コロナはパッと顔を明るくしてリオの言葉を引き継ぐ。
「あ、それ私もティアナさんから聞いた事がある。普段はとても優秀で尊敬できる人だそうですよ、その人」
「それは、その、最早魔性の魅力ですね……」
周囲にまで迷惑が及ぶというのはなかなかに無い、それ故にアインハルトはユーノをそう表現する。
念のために断っておくと、ユーノになのはとの談笑を中断させ、彼をダイニングから廊下へと移動させた電話の主、
即ちクロノはユーノと二人きりになりたがる趣味はない。
「そう言う話なら私もとっておきのを知っていますよ」
「まだあるんですか?」
驚くアインハルトにヴィヴィオは自信ありげに頷いた。
「はい、昔ユーノ司書長が管理外世界でロストロギアの回収をしていた事があるそうなんです。
で、その管理外世界で寝ているところを現地の女の人に攫われて檻に監禁されてペットにされた事があるそうなんですよ」
コロナとアインハルトの脳裏に陵辱系BL本の表紙的なイメージ、
即ち両手を皮手錠で拘束されてワイシャツがはだけた姿で石畳の牢獄に閉じこめられた金髪碧眼の青年の姿がありありと浮かび上がる。
生唾をごくりと飲み込んで、アインハルトは問い掛ける。
「魔法は、使えなかったのですか?」
「ロストロギア回収で無理をして衰弱していたのと魔力適合不良を起こしていたそうなんです」
「……よく脱出できましたね」
「ハイ、偶然ロストロギアの捜索に訪れていたフェイトママの活躍で管理局に保護された
のが
フェイトママとユーノ司書長の出会いだって、フェイトママが教えてくれました」
「フェイトちゃ〜ん、ちょっとOHANASHIがあるの〜」
おわり
-
この世界ではどうやらフェイトさんが半馬身、他の二人よりリードしているようです。
お目汚し失礼いたしました、ではまたいずれ。
-
GJ
三人娘ひどいwww
-
>「あ、それ私もティアナさんから聞いた事がある。普段はとても優秀で尊敬できる人だそうですよ、その人」
普段「は」優秀で尊敬できる、と発言する辺り、ティアナ達は隊長陣の正体理解しちゃってるのか
アインハルト、君に他人をストーカーだの襲撃犯だのの話題で顔をしかめる資格は無いと思うんだ
ヴィヴィオが育ての親の正体知ったら「私ユーノさんの子供になる」とか言いそう…
・・・で、はやては何処まで逝ったんだろうか?ww
-
三人娘がいろいろ問題行動してるなww
あとリィンII、キミは当事者だwww
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ティアナの立ち位置いい、GJ!
しかしMMKと同じノリなのは妹の決め台詞じゃ?
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年少組が大人組の正体を知ることが無いことを切に願う
ところで、なんでみんなリインのことをリィンって言うん?
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リインといえば今月の娘タイプのピンナップのリインが出るとこ出て凹むとこ凹んだメリハリのある身体つきに成長していて驚いたよ
あと5年もしたらアインスに追いつけるかもしれんな
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フェイトの情報操作が巧みだw
はやても仕官なんだから頑張って工作しなきゃ
なのはさんは安定のごり押しでお願いします
-
遅れてしまい申し訳ない。
というかその・・・寝てましたwww
今から投下します。
ユーノ祭投下用第一弾、短編、非エロ、ビグロ、タイトル『不変愛〈カワラズノアイ〉』
-
不変愛〈カワラズノアイ〉
それは一体いつからそこにいたのか、それ自身にすら分からなかった。
ぬばたまの闇の中に潜み、静かにただ時を過ごす。
意識は鮮明で、生み出された時から一寸の切れ目さえなく自身と周囲を認識し続けていた。
もし人のような情緒があったのならば、長すぎる孤独と闇、広大な空間を前に狂してしまっただろう。
幸か不幸か、それには人並みの感情的な起伏は存在しなかった。
代わりにある程度の知能、自身の存在目的だけは把握していた。
しかし目的を達しようにも『対象』がいないのではどうしようもなかった。
ゆえに、それは待つ。
いつか自身の生み出された目的を達する為に。
暗黒の中で粘液を纏う体をくねらせながら。
そんな風に過ごして幾星霜。
静寂の待機が破られたのは唐突だった。
□
魔力で作られた微かな光源の照らすそこは、埃と黴の混じった臭いに満ちていた。
地下深くに埋まった深遠な遺跡の園。
四方を囲む石には細緻なレリーフが施されており、先史時代の高度な文明のほどを思わせる。
そこを行くのは二人の男女だった。
手元で魔法陣を展開し、探査魔法を行うブロンドの青年が、連れの女性に視線を向ける。
「これは、本当に凄い遺跡だよなのは」
「そうなの?」
「うん。ここまでこの年代の遺跡が完璧に残ってるなんて初めて見たよ」
「へぇ」
ユーノの言葉に、なのはもちらりと周囲の壁面に視線を移す。
考古学に疎い彼女には皆目検討もつかない不可思議な模様や絵、文字の羅列が凄まじい密度で左右の壁に床、天井までひしめいていた。
なのはからすればある種不気味な様であるが、古代に栄えた今は亡き人の英知に想いを馳せるユーノからすればまったく反対に見えるのだろう。
遺跡の中に入ってからというもの、彼の声がいつもより活力に満ちているのを感じる。
「ユーノくん、なんだか嬉しそうだね」
「まあ、ね」
改めて指摘され、ユーノは少しだけ照れくさそうに笑った。
彼のこんな顔を見れるだけでも、貴重な休日を潰してまで付き合った甲斐もあると、なのはは思う。
こんな風に、管理局の仕事を離れた時にも遺跡を巡り過ごすのも、悪くはない。
一応、形式的な理由といては無限書庫司書長の護衛という名目ではあるが。
漫然とせんなき事を考えながら、なのはは照明用の魔力球をまた一つ生み出した。
事前に探査した時トラップの類は何一つ見つからなかったから、特に警戒する事もない。
だからだろう、なのはは天井から音もなく落ちてきたそれに気付かなかった。
「いつッ!」
首筋に感じた痛みに、思わずなのはは声を上げた。
そっとうなじに手を当てる。
血は出ていない、指先で痛みの生じた肌に触れるが、特に跡らしい跡も感じなかった。
筋でも違えたのだろうか、なのはは疑問に首をかしげた。
「どうかした?」
前方を行く青年が振り返り、心配そうな視線を向ける。
心配させぬようなのはは首を振って、ぱっと笑顔を見せた。
「ううん、大丈夫。なんともないよユーノ君」
「そう。なら良いんだけど」
それきり、二人の間でその話題は終わった。
もし体に起こった異変をすぐさま察して適切な治療をしていれば、その後起こる全ての悲劇は回避されただろう。
だがそれは仮定の話で、なのはの脊髄の中を這い進むそれを知る術は、どこにもなかった。
□
最初の変化は一週間後の話だった。
-
バリアジャケット姿のなのはは、教導の最中にレイジングハートを持つ手の先に違和感を覚えた。
左手の人差し指の先端から、じくじくとむず痒いような痛みが走る。
「ん?」
利き手の左手には自然と強く力がかかり、杖となった愛機を握る手には、時に行き過ぎて痛みを感じる場合もある。
だがその時の感じ方はいつもと違った気がした。
空を舞い、魔法を使いながら、なのははそれを漫然と意識した。
教え子に誘導弾を用いる最中に、レイジングハートを右手に持ち替えて、軽く左手を目の前にかざして見た。
人差し指の先からは鮮やかな朱色が滴っていた。
傷はない、それは指の肉と爪の間から漏れていた。
「あ。血、出ちゃってる」
右手一つでレイジングハートを構え、マルチタスクの多重思考で魔法を使いながら、血の流れる指を白いバリアジャケットで拭う。
真っ白な生地にじわりと広がる赤色。
その時かかった力はほんの僅かだった。
「……え?」
だというのに、綺麗な彼女の爪は、あっけなくぽろりと落ちた。
教導を行う思考とは別のところぞわりとした怖気が疼いた。
それは痛みから来るものではない、爪が剥がれたというのに、痛みがまったくないからだった。
□
「あれ? なのは、怪我したの?」
「あ、ユーノくん」
意外なところで意外な声を聞き、思わずなのはの声は上ずった。
無限書庫は本局内にあるが、本局施設そのものが広大すぎる為に出会った事はほとんどなかった。
入局十年以上になるが、片手の指の数より少ない。
自然と豊かな胸の奥で鼓動が高鳴るのを感じる。
「うん、ちょっとね。教導中に。大した怪我じゃないけど」
「そうか、なら良かったんだけど」
「そういうユーノ君は、今日はどうしたの? 書庫とは方向違うよね」
「ああ、ちょっと生物化学研究所のほうにね」
「え? そんな所に何か用なの?」
ユーノの専門は考古学であり、生物化学などまったくの畑違いもいい所だ。
この疑問は実に自然なものだろう。
「この前の遺跡で発掘した資料をちょっと調査に出してきたところなんだ」
「生物に関わるものだったの? あの遺跡で見つかったものって」
「まあね」
そう言って、ユーノは手に持っていたカバンから一枚の書類を取り出した。
遺跡の壁画に刻まれた象形文字を模写し、さらにその下列に翻訳が記されている。
断片的に記述されたその文面を見て、なのはは思わず顔をしかめた。
それは女性が見て気分の良い類の代物ではなかった。
「えっと……つまりあの場所を作った文明の人たちは、怪物を作る研究をしていたの?」
その種の知識の薄いなのははそう結論付ける。
彼女の答えにユーノは顎先に指を当ててしばし考えた。
「怪物、という言葉は適切かどうかな。そう呼べなくもないかもしれないけど。彼らが目指していたのは人間の適応性をより高めるためのものだから」
「適応性?」
「どんな環境にも耐えられるように。人間という種の肉体的な制約をなくそうっていうね。確かにその結果は、きっと怪物みたいな様かもしれないけど」
「へぇ」
ユーノの言葉に、なのはは曖昧な微笑を浮かべた。
人を怪物のようにする事に腐心した太古の研究者、大昔のマッドサイエンティストとでも言うべきものだろうか。
何にせよロマンスのある話ではなかろう。
それを察したのか、ユーノは早々にこの話題を切り上げた。
「じゃあ、僕はそろそろ行くね」
「あ、うん。じゃあね」
「ああ。そうだなのは、また今度暇があったら……だけどさ」
「なに?」
「遺跡の発掘とか、付き合ってくれないかな」
そう頼むユーノの顔は、わずかに朱色に染まっていた。
告げられたなのはの顔も、一瞬でぱっと赤くなった。
付き合ってくれないか、その語に何か別の意図を連想してしまうのは、年頃の乙女らしい思考か。
照れ隠しに僅かだけ視線を逸らし、そっと栗色の髪を掻き上げながら、彼女は答えた。
「う、うん……別に良いけど」
「そう、ありがとう。じゃあね」
「うん」
踵を返し去っていくユーノの背中を見送りながら、なのはは胸の奥で疼く形容しがたい甘い心地にため息さえ漏らした。
空を駆け砲撃を用いる、そんな戦いならばいとも容易くこなすと言うのに、事それが男女の関係となると……
もはや爪の剥がれた指先の事も意中から忘却し、なのははユーノへの想いを募らせたのだった。
□
果たして、それから二週間ばかり経った。
-
最初はそうでもなかったが、この頃になるとなのはの中に芽生えた違和感は徐々に大きくなっていた。
剥がれた左人差し指の爪は未だに生える兆しがない。
痛みもまた同じく、どれだけ経過しても生じる事がなかった。
その癖、爪を失った指が使い難いかというとそんな事もない、それが余計に不気味さを煽るのだ。
管理局の医務課へ診療希望を提出するのも当然と言えた。
「どうですか、シャマル先生」
と、なのはは問う。
担当した医務官はシャマル、闇の書事件以来、かれこれ十年来の付き合いのある相手である。
信頼する彼女の言葉を、なのはは縋るように待った。
明らかな傷を負って痛みの生じないという怪奇の答えを求めて。
だがあにはからんや、返ってきたのはなのはの求めたようなものではなかった。
「それなんだけどね……なんて言ったら良いか分からないんだけど。なのはちゃんの体、異常はないわ」
「え? で、でも、私の指こんな風になってるのに、ぜんぜん痛くないんですよ」
「確かに、そうなんだけど」
シャマルは困り果てたように眉根を寄せた。
目の前に起こした空間投影ディスプレイに表示された、諸々のデータ。
なのはの体、痛みを生じるはずの指先、痛覚を伝える筈の神経。
それらを精査したスキャン結果だが、異常を示すものは何一つない。
そう、何一つ。
だからこそ異常なのだ。
まるでなのはの体自身が、傷を傷と認識していないような。
シャマルには、今の時点で打てる手立てはなにもなかった。
「今はまだ何も言えないわ。もしかしたら装置の故障かもしれないし……もう一度他所の機械でデータのチェックをしてみるから、もうちょっとだけ待ってもらえるかしら」
「……はい」
告げられた言葉に、なのはは頷くしかない。
医療という分野ははあまりにも専門外であり、シャマルにも分からない事がなのはに分かる筈もないのだから。
だが自分の中で何かが起こっているという事実の曖昧な輪郭が、心に不気味な影を落とした。
しかしなのはにはまだ知る由もなかった。
これが、まだ自分に起こる変化のほんの始まりに過ぎないという事が。
□
「ほらヴィヴィオ起きて! 朝だよ!」
「んぅぅ……もうちょっと寝たいよぉ」
それはいつもの朝だった。
学校へ行く義娘を起こしに、なのはは白いシーツにくるまってきゅっと丸くなった可愛い姿へ、大きな声で呼びかける。
朝に弱いのか、ヴィヴィオは窓から注ぐ朝日から逃れるように余計シーツをかき集めてしまう。
「ほら、遅刻しちゃうよ?」
「やぁだぁ……もっと寝たいよぉ」
「もう!」
駄々を捏ねるヴィヴィオにしびれを切らしたなのはは、やや乱暴にシーツを引き剥がしに掛かった。
温もりを奪われそうになって、ヴィヴィオは当然の反応としてシーツをぎゅっと掴んで反抗する。
その時かかった力は、決して強いものではなかっただろう。
だからこそなのはは信じられなかった、一瞬理解する事ができなかった。
「……ぇ」
左手を見た。
自分の利き腕。
先ほどまでシーツを掴んでいたその指先、ヴィヴィオの抵抗に対して、力をこめた五指。
それが歪に歪んでいた。
ぐにゃりと、普通ならありえない方向に曲がって、おまけに残る四枚の爪もまた剥がれ落ちて。
痛みは――ない。
-
この前と同じように、まったく苦痛はない。
それがいっそう不気味だった。
そっと力を指にこめる。
呆気ないほど簡単に、折れ曲がった筈の左五指が元の形へと戻った。
まるで軟体生物、タコやイカの触手かと思えるほどだった。
「どうかしたのママ?」
「え!? べ、別に……なんでもないよ。さあ起きてヴィヴィオ」
「うん」
母の普段と変わった様子を布団越しに察したのか、むくりと自分から起きたヴィヴィオに、そう促すなのは。
異常な左手はそっとシーツで隠した。
今はいつもどおりの様となった指を。
自分の中で一体何が起こってるのか、不安はさながら泉に湧く水のように尽きなかった。
□
「なのは、それどうかしたの?」
「え? ううん、別になんでも。ちょっとね」
フェイトにそう聞かれ、なのはは左手を右手で隠した。
包帯に包まれた左手。
これ以上おかしい事がおきないように、早く治るようにと、添え木を当てて包帯を巻いた。
医者に診せるという事も考えはしたが……出来なかった。
人に今の自分の体を見せる事に、過剰なほどの恐怖心があったからだ。
自分自身でも、腕を見たくないという心理も働いていた。
そうしていれば治るのではないか、という不確かな期待、いや、願望もあった。
どんなに儚く脆いと分かっていても。
自室のベッドの上の腰掛けて、なのはは漫然と腕を見下ろす。
利き腕の左、二十年近く使い続けたそれを、今や自分は何か形容し難いおぞましいものを見る目で見つめていた。
ぼんやりとした意識を覚醒させたのは、携帯端末のコール音だった。
慌てて右手で取り出し、着信先を確認するや通話ボタンをオンにする。
「ゆ、ユーノくん?」
『こんばんはなのは。今大丈夫?』
「うん、大丈夫だけど」
『明後日って、たしか休みだよね? なら、また一緒にどうかなって』
「良いけど。遺跡の発掘とか?」
『そんな感じ。良い?』
「えと……うん、良いよ」
「分かった。じゃあ詳しい時間とか場所はメールしとくね」
「うん」
通話をオフにし、なのはは端末をベッドシーツの上に下ろした。
不安だらけの心に差し込んだ一条の光。
胸に微かな安らぎを得て、ふっと笑みが浮かんだ。
□
照りつける陽光も暖かな森の中には、木々の梢から挿し零れる木漏れ日が、新緑の鮮やかさと相まって美しく映えていた。
薄く茂った草を踏み分けながら、近くの清流で冷気を帯びた心地よいそよ風を受けるのが心地よい。
なのはは深く呼吸をしてさわやかな大気を味わい、気持ちよさそうに天を仰いだ。
「良いところだね」
「そうだね。僕もここを歩くのは好きなんだ」
申し訳程度に鎮座する苔だらけの宮殿跡を観察しながら、ユーノがそう告げた。
二人は今、ある管理世界に存在する古代遺跡へと訪れていた。
遺跡発掘という名目でこそあるものの、太古の遺跡群はそのほとんどが苔と木の根、雨と風に侵食され尽くされており、やる事と言えば風雅な文明の憂愁を見ながらの散策程度である。
それはほとんどピクニックと変わらぬものだった。
自然と湧き上がる疑問に、なのはは思わず聞かずにはいられなかった。
「ねえユーノくん。今日はこんなところで良かったの? いつもなら、もっとちゃんとした遺跡とかに行くんじゃないのかな」
当然といえば当然の問いかけだったろう。
ユーノはしばし、その言葉を吟味するように目を瞑り、やや恥ずかしそうに頬を染めて、答えた。
「いやね、フェイトからなのはが最近少し元気ないって聞いて……それでここにつれてこようって思ったんだ」
「……え? それって」
「だからさ、ここなら気分も落ち着くし。ちょっとは元気になってくれるかなって」
「……ユーノくん」
はにかみながらそう告げる彼の姿に、なのはは胸が詰まった。
自分が案じられていたという事が素直に嬉しい。
ユーノの朴訥さに温かい気持ちが湧き上がる。
-
目じりに浮かぶ涙の雫をそっと指で拭い、花のような笑顔を彼へと贈る。
「ありがとう、ユーノくん。凄く……嬉しい」
「……なのは」
目と目を見つめ合い、心のどこかで感じる、今二人はお互いの心を共有しているという認識を。
今なら、素直にこの気持ちを伝えられるのではないだろうか。
そんな気さえした。
ただ一言、好きだ、と伝えるだけで。
しかしそのたった一言を伝える時間を、残酷な運命は引き裂いた。
森に響き渡る、鈍く軋む金属の駆動音。
脆い遺跡の石壁が爆ぜるように吹き飛んだ。
のっそりと姿を見せる、おぞましい程に肥大化した鋭い節足。
間違えた進化の果てに生まれたようなその威容は、古代の文明が作り出した蟲にような防衛兵器の一つだった。
赤い硝子製の複眼が周囲をサーチし、眼下に佇む二人分の人影を認識する。
不気味で虚ろな機械仕掛けの目に捉えられ、なのはは意思などない筈の機械から、敵意を感じた。
侵入者を殺戮する為に再び起動した機械蟲が、腹部装甲をパージしてスマートグレネードの砲身を取り出した、その一刹那の瞬間に、なのはは即応した。
教導官として、武装局員として培った戦いの経験のたまものだ。
包帯に包まれた左手が胸元のレイジングハートを掴み、デバイスモードになったその杖先を向けるまでに掛かった時間は正に瞬く間であった。
蟲型兵器が攻撃を行うより遥かに速く、なのはとその愛器が生み出した魔力砲撃の衝撃と閃光が天空まで一直線に全てを貫く。
轟々と鳴り渡る砲撃の残響、物理破壊を選択された魔力の余韻がびりびりと大気を震わせ、次いで破壊されてただの残骸になった古代兵器のパーツが地面へと舞い落ちた。
全てはほんの一呼吸の間に発生し、一呼吸の間に完結した。
まだ防衛兵器の類が生きていた事も驚きだったが、水際立ったなのはの対応はなお驚くべきものだったろう。
頼もしい彼女の様に、ユーノは嘆息する。
「凄いねなのは、一瞬であんな兵器を破壊するなんて。君が一緒で良かったよ。……なのは?」
そこで、ようやくユーノは気付いた。
なのはのおかしな様子に。
小刻みに体を震わせ、その顔は正に蒼白の呈であった。
一体何があったのか。
まさか傷を負ったのか……ユーノは慌てて彼女に近寄った。
案じるユーノの不安を、凄まじい悲鳴が引き裂いた。
「いやあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
声の限りに、なのはの悲痛な叫びが迸る。
だがその声よりなお、ユーノはある一点に目を釘付けにされた。
「な、なのは……どうしたの、それ……その『手』は」
それは、なんという事だろうか。
なのはの手、左手、かねてより異常を見せていた手。
果たして何と呼ばわるべきか。
かつて白くなめらかだった五指は、既にその限りではなかった。
ずるずると音を立てて、レイジングハートの杖を握るのは……赤黒く、異様な粘液か粘膜かに覆われた、指の名残を見せる触手。
ときおり血管の脈動をしては蠢く触手の指、手首も前腕もまた同じだ。
肉の鞭を幾条も束ねたような異形の姿。
太くおぞましい肉塊のうねり。
それが手首の先から肩まで、なのはの腕を覆っていた。
いや、腕を覆うというのは御幣があろう――もはやなのはの腕が触手なのだ。
強い魔力を駆使し、緊張が代謝と共に変化を促進させたとは、ユーノにもなのはにも分からない事だった。
ただ分かるのは、人のあり方を失った腕。
そして残酷な変化は、より加速する。
「やだ……やだやだやだぁ! 見ないで、ユーノくん……いやあああ!!!」
ごりゅ、ばき、めちぃ。
肉を撓らせ骨が軋む音色が響いた。
腕全体まで進んだ変容の加速は、もはやとどまる事をしなかった。
肩までだった肉塊と触手のうねりが、次に胸と首筋まで至る。
服を千切り肥大化するおぞましく醜い肉の塊を前に、ユーノに出来たのはただ呆然とする事だけだった。
「なの、は……」
虚ろな声音が、彼女の名を呼ぶ。
それを聞いた刹那、なのはは悲鳴を噛み殺しながら、触手となった指でレイジングハートを強く握った。
展開される桃色の魔方陣。
転移魔法の術式だと分かったのは、彼女の姿が目の前から完全に消失してからだった。
そして、場には静寂だけが残った。
立ち尽くすユーノ一人と、破壊された鉄の蟲と、森と、風。
ただそれだけが残った。
□
なのはが失踪してから、二週間ほどの時間が過ぎた。
-
あまりにも信じ難い話ではあったが、ユーノはその全てを余さず管理局に報告した。
当初は彼がなのはを殺害したのではないかとも疑われたが、一切の証拠がなく、また嘘発見器や取調べに対する反応でも容疑は確定されなかった。
なのはの多くの友人、知人は、失踪した彼女を懸命に探した。
とりわけフェイトは長期の休暇を申請し、執務官の仕事をなげうってまで探し続ける程だった。
だが、一向になのはの行方は知れない。
もしかしたら、もう永遠に分からないのかもしれないという諦観が誰の胸にもあった。
そんな日の晩だった。
「……」
ユーノはその日もまた、空中投影ディスプレイに映し出される失踪者情報を流し読みながら、収穫の乏しさに眉根を寄せていた。
何杯目かも忘れた薄い不味いコーヒーを啜り、デスクチェアの背もたれに体を預ける。
天井を見上げる双眸は虚無めいていた。
反芻される、あの日の出来事、最後に見たなのはの姿。
彼女は今――
迷走する思考を中断させたのは、来訪者の存在を知らせる玄関のベルだった。
億劫に感じながらも、今開いているディスプレイと玄関先のカメラを繋げる。
だが画面に表示されたのは、ぬばたまの闇だけだった。
玄関に訪れた来客は、カメラを破壊したか、何かを被せているのだろうか。
悪戯、そんな事を思いながら、ユーノはいちおう声をかけた。
「どなたですか?」
ユーノの言葉に、相手は答えなかった。
静寂が、一秒、二秒と続く。
いい加減に彼が画面を切ろうかと思った、その刹那。
『ユゥ、の゛ くん』
声が、聞こえた。
粘ついた、声帯を丸ごと異様な別生物の器官に挿げ替えたかのような、声音。
だがその気色の悪い筈の響きの中に、ユーノは懐かしい声の、微かな、本当に微かな名残を感じた。
「…………なのは?」
そう、かつて彼の心を癒した、あの鈴振るような甘い声。
確かに今しがた聞こえた残響に、その名残があった。
ユーノは駆け出した。
椅子をひっくり返すのも構わず、一目散にドアへと目掛けて。
なのはが居る、今ここに、探し続けた彼女が。
靴を履く時間さえ惜しみ、ユーノはドアノブに手を掛けた。
その瞬間だった。
「ヤ、め゛テ!!!」
異音に暗く粘ついた彼女の声が、ユーノを制した。
冷たいドアノブを捻り、あと少しで戸を開けるというところで。
これを開ければ、なのはに会えるというのに。
「どうして……なのは」
詰問するユーノの言葉に、ドア一枚隔てた先に居る彼女は、再びしばらくの逡巡を経て、答えた。
「わ、タし……今、スゴク変なノ゛ もう、ムかし゛のわ゛たシじゃ……ない、の……」
震える響きは、嘆きと悲しみに満ちていた。
ユーノは言葉に詰まった。
なんと言えば良いのか、なんと応えれば良いのか分からない。
硬直する彼に先んじて、なのはは言葉を連ねた。
「ダカラ、もう゛イクね……サよう゛なラ゛」
その瞬間、分かった。
これは今生の別れだと。
なのははこれを期に、今まで自分と繋がっていた世界の全てと決別するつもりなのだと。
そう理解した時、ユーノの脳裏に二つの選択肢がよぎった。
ドアを開けるか否か。
しかし逡巡はほとんどなく、彼は答えを選んだ。
「なのは!!!!」
彼はドアを、開けた。
そして見た。
なのはを。
もはや往時とはかけ離れた、その姿を。
「や、ヤダ……み゛ナいデ……」
悲しみ、恥らうなのは。
乙女の繊細な心には、変わり果てた今の姿を人に見られるのは、ましてや彼に見られるのは、到底耐えられない事だった。
かつて医学的な検査を前にまったく異常を見出せなかった体はもう絶対に普通の人間のそれには戻れないだろう。
そう理解したからこそ、なのはは今まで自分の過ごした世界から離れる決意をした。
それでもなおユーノの元に訪れたのは、彼にだけは最後の別れを直接告げたかったからだ。
しかし、姿だけは見られたくはなかった。
見られてしまえば、ユーノの中にあった自分の昔の、きれいだった頃の記憶まで醜くなってしまうような気がしたから。
「なのは……」
ユーノはまじまじと、なのはの姿を見た、見続けた。
-
赤黒い肉、浮き上がる血管、粘膜と粘液、吐き気を催す悪臭。
嫌悪された。
そう、なのはは感じた。
彼にそんな風に思われるのは、どんな苦痛よりなお辛かった。
だがそれが単なる杞憂であると、すぐに分かる。
「……ッ!」
粘ついたなのはの声帯から、驚きの吐息が漏れた。
もはやかつての名残さえないその体が、優しく抱きしめられる。
ユーノの手が、肩をそっと抱き寄せた。
「ばかだよ、なのは……君はばかだ……こんな事、僕が気にするわけないのに」
頬に彼女のおぞましい粘液がつくのも構わず、ユーノはなのはを抱きしめた。
彼は怒りさえ感じた。
自分は――その程度の事で君を毛嫌いするような男だと思われていたのだろうか。
そんな事でこの秘め続けた気持ちは薄れるというのか。
姿形など、なんの事があるのか。と。
もう今のなのはの容姿は、人の原型を留めていない。
だがそんな事など関係はなかった。
ユーノが彼女を愛したのは、見た目などではない。
その心に惹かれたからこそ、彼女を愛したのだから。
「ユ゛ぅノくん……いい゛ノ? わタシ……こンな゛」
「いいよ」
言葉に、一切の迷いはなかった。
彼はなのはを抱きしめて、髪を撫でてやった。
かつてなめらかに流れた艶やかな栗毛、今や異常な進化をした蚯蚓かと思えるような触手の繊毛を、悪臭漂う粘膜を、構わずに。
「なのは、君にずっと言いたかった事があるんだ」
「……」
震える彼女の肩を抱きながら、そっと耳元に、かつて耳があったと思わしき場所へ、囁く。
「ずっと君が好きだった。愛してるんだ、なのは。君とずっと……一緒にいたい」
偽ざる恋情の言葉、永遠の愛の誓い。
なのはは戦きと喜びに震えた。
彼は、迷わない。
自分を選ぶ事に、こんな様の身を愛する事に。
なのはもまた応えた。
言葉ではなく、彼を抱きしめ、キスをする事で。
ユーノもまたなのはを強く抱きしめながら、宣誓するように言った。
「なのは。ずっと、一緒に居よう。ずっと、二人だけで」
もはや、それ以外の言葉など何もいらなかった。
そうして、二人の世界は完結した。
以降、ユーノ・スクライアの行方は一向に知れない。
管理局に無限書庫の司書長を辞任する旨だけがメールで送られたのが、公式に残る最後の彼の記録となった。
彼がどこへ行ったのか、どこへ消えたのか、知る者は一人としていない。
終幕
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投下終了。
今気付いたけど >>239 ビグロってなんだよどこのジオン公国のMAだよ、微グロだよ。
あとユーノ祭用SSなのにユーノというかなのはの描写が多かったのもなんだ、その・・・すまぬ。
でもいちおうユーなのSSなので構わないかな、という感じに思っておりますのでご容赦を。
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ビグロって書いてたからネタSSだと思って読み進めたらこれだよ
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乙いうのわすれてた
なんだっけ、あれっぽい
クトゥルフ系エロゲのナントカの唄
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GJ!悲劇だがGJと言わざるを得ない(つД`)
しかし手がタコみたいになるところとか微グロというよりちょっとホラー
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諸星大二郎の暗黒神話思い出した。古代人もどうせ残すならかわいいモンスター娘になるロストロギアを残せばいいのに・・・
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お久しぶりですaaa9onです。トリップキー初めて使ったけどうまくいったかなぁ、はどうでもいいとして
お久しぶりな理由は筆が遅いんです本当に……
ユーノ祭に参加したいぞ〜と書いていたのに、いつの間にやら、2月2日に
まぁ内容が終盤ユーノから外れちゃったし逆に良かったかも(このお祭りいつ終了なんでしょう?話の流れから一日限りかなぁと思ってこう言ってるんですが、違ったらすみません)
と言うか、あれこれチガクね?ってなったら、お祭り関係ない作品ってことで一つ
ユーノ、トーマ、エリオでギャグ
ワード的には一部エロかもしれんが、内容はエロくないよ
相変わらずの駄文ですがどうぞよろしくお願いします
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