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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆
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考え事に耽って、フェイトは相手の言う事をまったく聞いていなかった。
気づくと、なのはの姿をした何かが、不安げな瞳でフェイトを見ていた。
怖気の経つような不快感がフェイトの胃からせりあがってきた。
なのはと変わらない姿、なのはと変わらない声。しかし中身は別の正体不明の何かだ。
『だから実際には、命を助けるわけでも、よみがえらせるわけでもない。わかりますね?』
『失った命を取り戻すなんて魔法は、世界中のどこを探してもないんです』
リニスの声が脳裡に響く。
分かっていた。これが、自分の好きだったなのはそのものではないことは。
最初から分かっていた。
……いや、やはり自分は本当の意味では分かっていなかったのだ。
目の前のモノは、なのはに依存しきっていた自分の弱さが引き起こした罪そのものだった。
それをみていると、フェイトはとてつもなく気分が悪くなった。胃の中のものをぶちまけそうなくらいに。
「ううん、何でもない。そっか、なのはは、執務官にも興味があるんだね……」
目の前の何かが、微妙な表情をした。
何か言いたげだが、フェイトにそれを突っ込む気力はなかった。
フェイトは笑おうとしたが、口元はボンドで固められたかのように堅くなっていた。
それをありったけの意志の力で強引に緩めた。
多分いつものように微笑むことができたはずだ、とフェイトは思った。
「じゃあ、私、そろそろ帰るから……」
そう言いながら、フェイトはきびすを返した。
「フェイトちゃん、待って」
フェイトが声につられて一瞬立ち止まった。
その短い間に、なのはがフェイトの手を掴んでいた。
ゆっくりとフェイトは振り返った。
そこには強い光を湛えた眼差しがあった。
《最初で最後の本気の勝負――》
いつかを思い出させる眼差しだった。
「ね。フェイトちゃん、久しぶりにちょっとお話しよう?」
なのはの手は温かかった。昔と同じように。
フェイトは思わず抱きつきたい衝動に駆られた。
このなのはを、本物のなのはだと思い込んでしまえればどんなに楽だろう。
「レイジングハートをメンテナンスに出しているから、その間、暇なの。
カフェでなにか飲もうよ。それに、私、フェイトちゃんとお話したいことあるんだ」
なのはが微笑んでいた。
以前と変わらない見るものの心を温かくさせてくれるような笑みだった。
(でも……君は、やっぱりなのはじゃないんだ……)
フェイトは心の中で呟いた。
ここで、このなのはに縋りついてしまうことは、本物のなのはを裏切ってしまうような気がした。
いや、もう既に、なのはを使い魔にすると決めたあの日に裏切ってしまったのかもしれない。
だがそれでも、
いやだからこそ、
「……もう私に構わないで」
できるだけ冷たく聞こえるようにして言うと、フェイトは鬱陶しいと言わんばかりに掴まれた手を振り払った。
なのはの顔が、驚きでこわばり、それから悲しみで歪んだ。
フェイトは素早く背を向け、その場から離れようとした。
前から来た誰かと肩がぶつかったが、とっさに謝罪の言葉をかける余裕すらなかった。
ごめんなさい、と口の中で呟きながら逃げるように立ち去る。
後ろから彼女の名前を呼ぶ声が聞こえたが、もうフェイトは振り返らなかった。
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