したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第111話☆

308夢のゆく先(1/8):2011/10/01(土) 20:21:12 ID:bZklJnpA
「しかし、スバルのやつは大丈夫かねぇ」

時空管理局陸上警備隊第108部隊。その長たる男はそう呟きつつ湯呑みの茶をすすった。言葉とは裏腹にその表情に憂いはなく、至極穏やかなものだ。
聞き手である湯呑みを運んできた彼の娘――と同時に頼れる部下でもある――も彼同様、いや、僅かに緩んだ表情ですらある。
夕暮れ時ながら特に事件が起こっているわけでもなく、これを気の緩みと評するのは少々酷というものだ。

「随分危なっかしさはなくなったと思いますよ」

「なんでもねぇところでポカをやるからなぁスバルは」

父さんは心配性ですね、と苦笑されて少し憮然とした顔になる男――ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐。
もっとも彼自身、次女のことを信じていないわけではない。
こうした心配をするのは別にスバルに対してだけではなく目の前のギンガやJS事件の際に保護されて
彼が引き取ることとなった新しい娘たちに対しても同様である。つまるところ、この親父殿はどうしようもなく親馬鹿であるのだ。

卓上の電話が鳴る。湯呑み片手に受話器をとるゲンヤ。が、穏やかだった表情は即座に引き締まり、その変化を見たギンガも笑みを消す。
どこかのほほんとしていた部屋の空気は跡形もなく消え失せた。
いくつか返答をして受話器を置き、コツコツと机を指で叩きつつ情報端末に出てきたデータを確認する。

非魔導師であるゲンヤは現場で指揮をとることはあまりない。現場指揮はその場に送り込んだ最上級者が通常執る。
「部隊長の仕事は必要な時に必要な人材を必要な装備とともに必要な場所に送り込む準備を整えてやることだ」
“4つの必要”と各々の職責を全うすること――ゲンヤが部隊に度々送り込まれてくる士官学校出の新米どもに
口を酸っぱくして言っていることである。

士官学校に限らず、魔導師たちは力がある者として責任ある行動をとるように幼少の頃から教育される。
何しろ身一つで非魔導師からすれば理不尽とも言える暴力を振るえてしまうのだから仕方の無いことである。
魔導師である子供がかなり大人びていることが多いのはそうした教育の影響だ。
ただそれが少々行き過ぎであると言われることもまた事実であり、その弊害の一つとして彼らの中には俺が俺がの意識が強すぎて
何でもかんでも自分がやらなくてはならないとまで思ってしまっている人間が少なからず存在する。

後方指揮をほっぽり出して真っ先に前線に突っ込んでいくというのは彼らの手の届く範囲の出来事に対しては
とても頼もしい存在であり、迅速に事件を解決するという点においては必ずしも間違った判断ではない。
また前線指揮ができるというのは利点でもあるし、そういった必要がある際にはそうしたことができるという点は重要かもしれない。
だがオペレーターから情報を吸い上げて俯瞰した視点から指示を下した方がよいこともある。
現場の空気に呑まれていては冷静な判断が難しいからだ。

小隊長などの現場で動く小さな単位ではほとんど皆無だが、ゲンヤのような非魔導師が魔導師部隊の指揮官を務めているケースは決して少なくはない。
また武装隊ならともかく捜査官であれば現場にも非魔導師が数多く存在する。人手不足が叫ばれる管理局には適材適所が不可欠なのである。

「高層ビル火災だ。ギンガ、防災担当を連れて行って来い」

「航空隊は出ていますか?」

「特別救助隊の航空魔導師の隊と首都航空隊が既に出ているそうだ。避難が遅れていて手が足りんらしい」

スバルの所属する隊ではないのですね、と気持ち残念そうな顔で呟くギンガ。ゲンヤはそれを見て僅かに苦笑する。
血は繋がっていなくともやはり二人は親子ということのようだ。だが弛緩した空気も一瞬のこと、すぐにギンガは各隊員に指示を出しつつ駆け出した。
ゲンヤも現場の情報を確認しながら管制オペレーターと遣り取りを始める。が、すぐに視界の端に表れたデータを目にして僅かに眉を上げた。


悪天候により客船座礁。現場水域は浅瀬が多く、船舶による接近救助は二次遭難の危険性があるため湾岸特別救助隊によるヘリでのアプローチ。
特別救助隊現場指揮官、スバル・ナカジマ防災士長。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板