レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第107話☆
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魔法少女、続いてます。
ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所です。
『ローカル ルール』
1.他所のサイトの話題は控えましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
・オリキャラ
・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)
『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。
【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
読み手側には読む自由・読まない自由があります。
読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。
前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第106話☆
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1278585652/
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【本スレ@エロパロ板】
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第97話☆
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237292660/l50
【エロパロ板全体の避難所】
エロパロ避難所
http://jbbs.livedoor.jp/movie/2964/
【クロスものはこちらに】
リリカルなのはクロスSS倉庫
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
(ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)
【書き手さん向け:マナー】
読みやすいSSを書くために
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/
【参考資料】
・Nanoha Wiki
ttp://nanoha.julynet.jp/
(用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
・R&R
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/date_SSX.html
(キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)
☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html (旧)
ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/ (wiki)
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したらばでの投下関連メモ
【エロパロ板】(参考)
容量が500kbを超えるか、書き込みが1000レスを超えると1スレッド終了
【避難所】
容量は関係なし。レス数1000を超えると1スレッド終了(現時点での設定)
管理人によるピンポイント規制可
・投稿間隔 30秒
・本文の最大行数 200行
・一回の投稿本文の最大文字数 4096文字
4 名前:名無しさん@魔法少女[sage] 投稿日:2009/11/24(火) 05:34:38 ID:sxkgTGY6
■Jane Doe Styleからしたらばを見る方法。
板一覧のカテゴリの右クリックメニューから「新規カテゴリを追加」して、
新しくできたカテゴリに「ここに板を追加」でおk。
■ギコナビでのしたらばの見方
「表示」→「キャビネット」→「したらばJBBS」→「同人・コミケ・二次創作」
※入れ替わりが激しいので全ての板が登録されているわけじゃない。つまり、そのままではこの板は見れない。
◎この板の追加の仕方
「ヘルプ」→「ギコナビフォルダを開く」→「config」→「Board」→「したらばJBBS.txt」の順に開く。
カテゴリ[同人・コミケ・二次創作]の一番下に
好きな名前(「なのはエロパロ避難所」とか)=http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12448/
を入力して上書き保存。一端ギコを閉じて、再起動。
このスレが「したらばJBBS」内に出現するはず。あとはお気に入りに登録するなり何なり。
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>>1乙や
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>>1乙です。
前スレの終わり方がある意味キレイすぎるw
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>>1乙型魔法陣
>>前スレ998
クロノ提督の様子にニヤニヤが止まらなかったw
そしてヴェロッサの冥福を祈る。
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みんなコミケで忙しい時期か
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温泉でセクハラしまくったにも関わらず反省するどころか開き直ったセインにはくすぐりの刑を与えるべき
連続絶頂とか長時間焦らしプレイの刑も考えたが、流石にそれはやりすぎだしな
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だからはっちゃけたルーテシアに、罰として食事作らされただろ
あれは裸エプロンで作ってるところを視姦されたり、後ろから胸揉まれたりバイブ突っ込まれたりしながら
作らなきゃいけないっていうペナルティの提案なんだよ
セインは気づいてなくて「そんなこと聞いてないよ!」っていうんだけど、
「みんな聞いたよね?」「聞きました〜」ってルーテシアとヴィヴィオ+リオ+コロナに押し切られて、
涙目でキッチンに立つんだよ
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>>9
その頃、キャロとスバルとティアはエリオきゅんとキャッキャウフフと4Pに興じていた
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おの温泉のシーンの乳首って雑誌掲載の時もあったのか?
さっき2巻買って読んでて噴いたんだが
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>>11
大丈夫、ちゃんと載ってた。
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そうなのか…コンプエースぱねぇ
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>>9
そんでセインが「一人じゃ無理」とか言い出すんで
「じゃあ、アインハルトさんが裸エプロンで付き合います」ってサラリとヴィヴィオが提案するわけだな
実力関係なく受けなイメージだな、アインハルト
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>>14
アインハルトを助けるために自分から巻き込まれるノーヴェを受信した
そして、何故かガリューが姉妹丼を味わうことに……
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コミケが過ぎてしばらくしないと投下はなしか……
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そしてなのはとフェイトによる貫禄のヴィヴィオ調教披露が始まるわけだな
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>>14
アインハルトが受けなのには同意
でもスイッチか何かが入って一度責めに走った場合と、大惨事になりそうなイメージもある
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アインハルトと絡ませられそうな男性キャラと言うと……
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>>19
エリオくらい? ウルトラCでザフィーラ、ユーノがいるけど
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>>19
ヴィヴィオに生やすに一票
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尻在るところに提督あり
そこに尻が在るのなら唐突に提督が出てきても何の違和感もないさ
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>>20
ウルトラCってほどなのかしらん
ってかあの時代ザフィーラどこでナニしてんのん?
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>>22
シリスキー提督が出てくるくらいなら、まだユーノの方がわかるわw
ヴィヴィオとの繋がりでなら絡ませらんないこともない
もしくは、覇王絡みの調査をしているユーノに協力を依頼されるアインハルトとか…
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>>23
ギンガと組んでいろいろやってるんじゃなかったっけ?
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むしろ覇王記憶を頼りに、変身魔法で男性体になるアインハルトだろ
血統の記憶も断片的に継承してるって言ってたから、知識もテクニックもばっちりだw
すでに失伝した古代ベルカ式の覇王性技を使うとか、
博物館に「古代ベルカ時代の用途不明品」とかで展示されてるアダルトグッズを持ち出して
受け継がれてきたHENTAI文化の歴史の違いを見せ付けてくれるのかもしれない。
「そのプレイは、われわれが1000年以上前に通り過ぎた場所です」
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謎のロストロギアでインクヴァルトが実体化とか?
アインハルト「そんな、私たちは血の繋がった……………」
インクヴァルト「大丈夫、3親等以上離れているから」
実際のところ、こんなことになったらオリヴィエの面影を求めてヴィヴィオにアタックしそうだが。
それともオリヴィエはもういないということで優しいお兄ちゃんポジションに座ろうとするか。
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何故だろうか、アインハルトに迫ればヴィヴィオにぶっ飛ばされヴィヴィオに迫ればアインハルトに殴り飛ばされるイングさんが見えるぞ…
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・大人モードになると時々生える覇王
夜な夜な格闘家が襲われるという事件が多発しているようですが、
中に少数、女性格闘家が暴行を受けるという事件が
ノーヴェ(強気受け)の出番ですね
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>>27
「オリヴィエとは姉弟のように過ごしたというのに………不思議なものだ」としょんぼりするお兄ちゃんというか師匠ポジションな覇王陛下ですね、わかります
覇王陛下はヴィヴィオにアタックというか、アインハルトと同じく格闘で仲を深めていくイメージがある
ていうか、「姉弟のように」ってことは聖王女殿下は覇王陛下より歳上なんだよな
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インクヴァルドの記憶のせいでオリヴィエ(ヴィヴィオ)にハアハアし、しかし女としての体はインクヴァルドに欲情する。
アインハルトたんは地獄だなw
実際アインハルトのオカズは誰なんだろ?
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>>29
コインロッカーに預けてあるマイバックの中はアダルトグッズ満載だったりしてな
ノーヴェ「スバル……ちょっと頼まれてくれ。あんっ、喧嘩で負けて動けねえ・・・」
スバル「ええ!?」
ノーヴェ「ああん…相手は例の襲撃犯…今ならすぐ捕捉でき…あふぅ…」
スバル「どうしたの、呼吸が荒いよノーヴェ」
ノーヴェ「負けたあと股になんか器具はめられた…なかで、うごいてるぅ…」
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>>16
仕事で三日目不参加涙目の俺が頑張ってみるよ。
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ナカジマ姉妹にちょっかい出したらトーマに「コロス…」とか言われそうだ
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じゃあリリィで
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>>32
中で動いてると聞いて寄生虫だと思ってしまった・・・orz
寄生獣ネタってこのスレ的にはアリだろうか?
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>>36
虫ネタならルールーの十八番だろ。
Wパロ的な話なら微妙だが、ネタとしてはありなんじゃないのか?
触手もロボ姦的な話も百合もやおいも凌辱もあるスレで何を今更
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あぁ、ユーノを掘りたい…
ケツを拡張してやりたい
しゃぶりたいし、しゃぶらせたい
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>>38
ガチなのか、それとも暑さで頭がわいたのか……どっちにしろ逃 げ ろ ユ ー ノ !
じゃあ、自分はザフィーラをいただいていきますね
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リリなの って、男女の性別が逆ならよかったのに、と思う
それだったら百合も許せたと思うんだ…って、その場合あんまり百合カプないだろうけど
なのはさん達、外見以外女性っぽく無いし……だったらいっそ男でホモやっててくれた方が
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夏だなぁ……
こんなに腐ってるっけ、いつも?
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>>40
原典である「とらハ3」及び「リリカルおもちゃ箱」全否定かよwww
ていうか頭わいとるwwww
>>38-40
お前らなのはに頭冷やされるか、ちびリインにちゅっちゅっぺろぺろして氷漬けにされてこいw
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>>41
最近はこういう流れに持ってきたい奴が多い
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単純に前スレの>>199-200が言っていることと同じなだけだと思うぞ?
単純に女性キャラの語り尽くされているからイロモノにいく
ただそれだけだろ?マジでたぎるやつもいるだろうが
いくらエロパロとはいえ、蟲姦やリョナ、死姦とかで盛り上がるよりは、まだ普通と言える気がしないでもない
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>>41
最近は暑さのせいか頭のネジが外れた人が多いんだ
全く困るよね……、まぁ時間置くしかないんじゃないかな?
ということで俺は向こうで司書長とちゅっちゅ
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ハハッ、スレ間違えた
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>>36
地味にティアナの右手にミギーがとか読みたくなったぜ。
ディードの一撃を受け止めたのもそのおかげとかさw
シグナムがぶん殴る所で普通に掴んで止めてしまうとかもありそうだ。
>>37
ルールーが体内に保有した魔法蟲の卵を吐き出すんだな。
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>>47
エロパロ的に産卵的な意味で吐き出すんだよな!?決して口からではないよな!?
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どこのトミーロットだw
子宮にちん○虫飼っててエリオのアナルバージンを奪ったりするんだな?
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トリプルブレイカーくらった後の闇の書の闇ってなんか蟲と触手のダブル属性じゃね?
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でかすぎでおまん○こに入りきらんだろww
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そこはほら、生殖用(プログラムだが)の触手は人間でも入るサイズなんだよ。
ミッドに巨大触手生物来襲、機動六課最大の危機みたいな感じでどうだろう?
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ようブラザーども、投下するぜ。
今回はシガー的にはかなり変則的なエロスだ。
エロ、短編、ガチホモBLでわぁいな話、つまり男×男、タイトル『ユーノくんは俺の嫁』
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ユーノくんは俺の嫁
歴史に“もしも”という言葉はない。
所詮それは空想上の産物であり、他愛ない妄想に他ならない。
時の流れは一定にして完全な一本道、それる事などありはしないのだ。
だが、しかし、これはそんなもしもの話である。
もしも、ユーノ・スクライアを拾ったのが高町なのはではなかったら。
もしも、彼を助けたのがまったくの別人だったら。
もしも、その人物が少々特殊な趣味の持ち主だったら。
それは、そんなもしものお話である。
□
「あの、それでお話ってなんでしょうか」
と、少年、ユーノ・スクライアは問うた。
場所は海鳴市内のとあるマンションの一室で、少年が問い掛けたのは彼の恩人たる青年だった。
「うん、まあ以前君が言った言葉について、ね」
と、青年は言う。
この青年、ジュエルシードを探して海鳴に落ちたユーノを助け、一緒にジュエルシード探しをしてくれているという好漢である。
が、しかし、たまにユーノの事をねっとりとした熱い眼差しで見つめるというちょっと危ない男でもある。
その彼が、改まって話があると申すのだ。
ユーノはなんとも言えない胸のざわめきを感じずにはいられない。
「前に言ったこと、ですか?」
「ああ、君は確かに言ったよね……手助けしたらなんでもお礼をする、と」
「ええ、まあ……」
「早速だが欲しいものを決めたんだ」
「え? 本当ですか? でも僕、この世界の通貨は持ち合わせが……」
「ははは! 安心してくれ、何も金のかかるものじゃない」
「じゃあ何ですか?」
すると彼は、ああ実は、と続けて、こうのたまった。
「君が欲しい」
と。
あまりに理解を超越した言葉に、ユーノは思わず聞き返した。
「……はい?」
「ふむ、ちょっと分りにくかったかな? では言い換えよう。俺のお嫁さんになってくれ」
「ちょ……ええええ!?」
「何か問題でも?」
「いえ、その、問題も何も僕男なんですけど!?」
「だから良いんじゃないか!」
「え、ちょっとま、あっー!」
という流れで、哀れユーノ少年はベッドに連れ込まれてしまったのだ。
□
「や、やめ……やだ! ぬ、ぬがさないでください!」
「何を言う、脱がなければできないではないか」
かような発言と共に、青年はささやかな抵抗を続けるユーノの服をするすると脱がせていった。
ベッドの上で露になる、少年の穢れなき肢体。
-
一点のシミもくすももない白い肌はきめ細かく、触れれば素晴らしくなめらかな感触を感じる。
嫌がるのも気にせずシャツを剥ぎ取って上半身から一切の衣服を奪えば、平らな胸の頂上に桃色の蕾があった。
白い柔肌の中に二点のみ可憐に咲くそれを、青年は言わずもがな、愛でる。
乳輪の淵をそっと指でなぞったかと思えば、唐突に舌を這わせて舐めた。
「ひゃぁん!」
少年の唇から漏れる甘い響き。
震える四肢は力なくシーツの上で泳ぎ、虚しく宙を掻いた。
ユーノの身から力が抜けたのを良い事に、彼はさらに手を滑らせる。
ズボンのファスナーを下ろしたかと思えばベルトのバックルを外し、するりと引っぺがす。
あっという間に脱がされたズボンと下着、ついにベールを脱ぐ少年の秘部。
「や、やぁ……」
羞恥に彩られたユーノの声音が漏れた。
露出された下半身、白い太股の間にある愛らしい彼の男性は、血を滾らせてそそり立っていた。
「ほう、これはこれは、ユーノくんもヤル気まんまんだな!」
「ち、ちがいます! 僕は、そんな……」
顔を真っ赤に染め、少年は顔を俯かせた。
乳首を弄られただけで幼い肉棒を勃起させてしまい、恥ずかしくて堪らない。
だがその羞恥心こそが男を滾らせるのだ。
いつの間にか彼もまた服を脱ぎ去り、生まれたままの姿になる。
股間のイチモツがユーノのそれとは比べるべくもない怒張しているのは言うまでもない。
これから自分がどうされるのか、知らないユーノではない。
自然と怯えが生まれ、小鹿のように震わせて身を竦める。
「あ、あの……」
「ふふ、安心してくれ。ちゃんと君も気持ちよくしてあげるさ」
「え、何を……ふあぁ!?」
次の瞬間、ぬるりとした感触が少年の小さな肉棒を包み込む。
何という事か、彼が口で奉仕を始めたのだ。
同じ男として性感帯を熟知したフェラチオ、絡みつく舌は皮に包まれたカリ首を攻め、幹を啜って手で扱く。
「だ、だめです! そんなところ……汚いですよぉ」
「ユーノくんの体で汚いところなんてないさ。それに、君のここは随分と気持ち良さそうじゃないか」
「ひゃぁあん! そんな、うあぁ……何かでちゃう……チンチンから何かでちゃうぅ!」
瞬間、幼い肉棒から背筋にかけて強烈な快楽の電撃が走る。
少年が今まで感じた事のない快感の果て、ペニスの先から迸る白濁。
青臭い匂いと共に爆ぜたのは初めて尿道を駆け抜けた精子だった。
真っ白なユーノの体と覆いかぶさった青年の顔に降り注ぐ白く濁ったザーメンの色彩。
初めて絶頂に達したユーノは、陶然と蕩けた顔で眼を潤ませる。
「はぁ……はぁ……これが、しゃせい……」
「ああ、そうだよ。気持ちよかっただろ?」
「……はい」
問われ、少年はこくんと頷く。
もはや理性は精通と共に半ば溶けていた。
初めて味わう快楽の甘美さに、抗う術などあるだろうか。
ユーノの中に、もう抵抗の意識など欠片もなかった。
「よし、じゃあ今度は俺の番、だな」
言うや、彼は放心していたユーノの体をひょいと転がす。
今までは仰向けだった姿勢がうつ伏せに変わり、青年の目の前に現れたのはふっくらとした尻肉だった。
なめらかにして柔らかく、だが最高の張りを持つ尻。
青年は目を細めて見入る。
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しかし視線で愛でるにはあまりにも強い誘惑に屈するのに、そう時間はかからない。
ゆるりと動いた指は、次の瞬間尻の双丘の間にあるすぼまった穴に伸び、撫でる。
「ん……ふあぁ……」
菊穴に与えられる愛撫に、甘い喘ぎが響く。
初めて他人に尻の穴を触られ、むず痒さとも心地良さとも言えぬ感覚が神経を焼くのだ。
それを良しと見たのか、青年は次いで大胆にも舌を這わせた。
穴の周囲をくすぐられた菊座はひくひくと蠢き、柔らかい舌は驚くほど用意に滑り込む。
「ひゃぁあん!」
むず痒い刺激が、一気に快楽まで昇華した。
ぬるりと肛門をいじくる舌の愛撫は絶妙で、無垢な少年に快楽を次々と刻み込み、染め。
白く細い四肢は快感の電撃を浴びる度に力なく震え、唇からは誘うように甘い嬌声が漏れる。
一体どれだけ愛撫が続いたか、肛門がふやけておかしくなるのではないかという気さえした時、ようやく舌が引き抜かれた。
つぅ、と、唾液と腸液の交じり合った淫靡な汁が舌と菊座に橋をかけ、蛍光灯の光を反射して銀に輝く。
愛撫を受け続けた肛門は物欲しそうにひくひくと蠢き、いやらしい。
青年はもはや我慢の限界と、怒張し尽くした己の肉棒の照準を定める。
ぴとり、と濡れた肛門に触れる焼けるように熱い感触。
ユーノがハッと振り返れば、彼は既に準備万端だった。
「よし、それじゃあ……入れるよ!」
慌ててユーノは何か言おうと唇をわななかせるが、しかし言葉にはならなかった。
「ちょ、ひぃう……はぁあああぁんッ!」
変わりに声音は蕩けるように甘い喘ぎとなって響き渡る。
初めて太く逞しい剛直に菊座を犯され、ユーノは苦痛どころか強烈な快感に苛まれた。
果たしてそれは青年の愛撫の巧みさか、それとも少年の天性の素質だったのか。
またはその両方か。
どちらにせよ、初体験で少年ユーノ・スクライアが深き激しい快楽の奈落に突き落とされた事実に変わりはない。
「ユーノくん、初めての割りには痛くなさそうだね。気持ち良いかい?」
「ふぇ……ふぁ、ふぁい……きもち、いいれす……ひいあぁう!」
「よし! じゃあ遠慮なく行くぞ!」
言葉と共に、彼は凄まじい勢いで腰をぶつけた。
濡れた穴を硬く隆起した肉が貫き、抉り、腰が激しくぶつかる。
水気に満ちた淫靡な音色を奏でながら交わりあう二人の肉体。
青年が力の限り腰を突き上げ、肉棒を深き挿入させる。
そうすれば幼い肢体は快楽と衝撃に震え、しなり、のけぞって応える。
突かれるユーノの股間の愛らしいイチモツも与えられる快感に隆起し、皮を被った先端から透明な先走りを滴らせて悦んでいた。
ピストン運動の度に揺れる少年の肉棒を、青年は後ろから手を伸ばして指を絡める。
そして一気に扱き上げた。
「ひゃぁ! だめぇ、おちんちんいぢっちゃ、ふひゃぁ! ちくびぃ! ちくびいぢめちゃらめぇえ!」
さらに幼いペニスだけでは飽き足らず、青年の手は桃色をしたユーノの乳首をも攻め始める。
乳輪の縁をいやらしく撫でたかと思えば、硬くなり始めた乳首の突起をつまんで力のままに引っ張る。
ろれつの回らなくなった口調は蕩けきっており、もはや理性は欠片もない。
そして、フィニッシュは近づいてきた。
ユーノの菊門を抉りぬく剛直は既に快楽の数値が限界を回り、先走りのみならず濃厚な精を放たんと震え始めた。
それは少年の方も同じで、幼いペニスを濡らす先走りも限界まで濃くなっている。
今まで以上に強い突き上げと共に、青年は叫んだ。
「よし! そろそろ出すぞユーノくん!」
「ひゃ、ふああああああ!!!!」
どくん、と音が聞こえそうなほどの勢いで、遂に少年の肛門に溢れんばかりの射精が行われた。
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穢れを知らない腸壁を次々と染めていく凄まじい量の白濁。
それは直腸だけでなく脊髄にも脳髄にも快楽という麻薬をすり込み、犯す。
精液の熱が肛門を蕩かすと共に、少年の未成熟なペニスも初めての射精を迎えた。
とくんとくん、と溢れる精液は、シーツに幾重にもシミを作る。
「ああぁ……ちんちん、しゃせいしてるぅ……きもち、いいよぉ」
蕩けきった声音、もはやユーノは青年の与える快楽の前に完全に陥落した。
こうしてユーノ・スクライアはめでたく青年のお嫁さんになったのである。
え? ジュエルシード事件?
そんなものは執務官が一人で解決しましたよ。
終幕。
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>>53
GJ
だが、アンタ何やってんだwww精通はええええwwww
ていうかクロノ不憫www
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よーし投下終了。
これといって美少年好きってわけじゃないんだが、ユーノくんの尻を掘りたがってるブラザーが多そうなので仕上げてみた。
満足していただけたらこれ幸いなり!
あと、期日過ぎたのでいちおうIRCチャット紹介します。
会議室での意見ものきなみ好意的な、自分も参加してみたい、というものが多かったので。
IRCチャンネル(専用ソフトを使ったチャット)
irc.friend-chat.jp (friend chat系列ならどこでも)
channel:#nanohaSS
IRCは常に会話が発生しているわけでもないので参加する場合、常駐推奨です。
IRCについてはここらへんで検索してみてください
http://www.google.co.jp/search?q=limechat+%8Eg%82%A2%95%FB
こんな感じです。
参加者は作者多め、エロパロ以外からの人も多数。
基本ルールはROM専(ログを読むだけで会話に参加しない)やチャット内での話題を外部には出さない。
などのごくごく基本的なもので。
これでエロパロの作り手に少しでも交流ができればなぁ、と。
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>>57
ふぅ……
GJ!! としか言いようがないな
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あー、ちとミスったか
上記のROM専うんぬんは、ROM専禁止、って事ね。
チャットなんかだとたまにログだけ読みにくるやからがいるので。
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ユーノwwww
乙です
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おとなのかいだんのーぼーるー
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ユーノが嫁さんかw
ユーノは父親がいないから、ジュエルシード事件を押しつけられた某執務官が父親の代わりにお兄さんを殴るべきw
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生殖行為でないセックスに何の意味があろうか……
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>>65
愛と性欲処理と生殖と破壊行為以外に意味があると思ってんのか?
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>>66
最後なんだオイ
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>>67
処女膜と括約筋と幼年期の終わりって意味だろう。
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>>59
GJ!
是非エリオとクロノも掘ってやって下さいww
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快楽だけの爛れた関係もいいよねっ!
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シガーさん今回も投稿お疲れです!
そして
この変態め!
あんたは純愛から鬼畜、TSそしてやおいと範囲が広すぎるwww
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>>70
快楽だけを追求しようとしたら一瞬、脳内でユーノとクロノが野郎同士で爛れた関係になっちまったw
自分も暑さで頭わいてるな
爛れた関係も素晴らしいが、普通の男女だと妊娠というリスクがあってなかなか難しい
という考えから何故か百合じゃなくてやおいにいっちまったわけだが……
前スレで話題になったように、クローンであるが故に子どもをなせないと知ったフェイトが自棄っぱちになって
なのはに「お友だち」宣言されて自棄っぱちになったユーノと爛れた関係になるという電波を受信した気がする
若い快楽に溺れる中、肉体関係だけの筈が気が付けば愛が芽生えていても良し
本当は「お友だち」じゃなくて男の子としてユーノを好きだと気付いたらなのはと修羅場になっても良し
妊娠しないはずが誤診で、妊娠してしまい、そこからユーノと修羅場になっても良し
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なんていうあっさりとしたユーノ陥落劇www
青年が欲望に忠実すぎるぜ!
しかし、このクロノ一人で解決したら自動的にフェイトフラグを独占してないか?
下手するとASのほうも・・・・・・
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ああ大丈夫大丈夫。フラグなんて全然大丈夫
A'sの方ではまた別のわぁいなお兄さんが活躍してクロノを掘ってくれるに違いないからな!
え? 何? 次の獲物はザフィーラ? 狼形態で逆に掘られる? アナルアクセスでドライブ・イグニッション? 『ザフィーラは俺の旦那』? そんな馬鹿nn
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>>72
早くそれを書いて下さい。m(__)m
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>>73
①なのは関係のイベントが全部なくなるから、アースラが駆けつけるのはフェイトがJSを集め終えた後。
フェイトを説得する時間はなく、クロノも次元震阻止を優先するのでフェイトはプレシアと虚数空間に落ちるor死亡or逮捕(有罪)。
②辛うじてフェイトの説得には成功、自首or無罪になって嘱託へ。
③何の因果か本編と同じタイミングでアースラが到着、戦いの中で2人に愛が芽生える。
「僕は生きる、生きてフェイトと添い遂げる」。ラストは狂気に狩られたプレシアを自分の手で虚数空間に落とすが、片足を失ってフェイトと共に行方不明。
さあ、どれになるだろう?
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>>73
じゃあ自分は
なのはVSフェイトがないために次元震発生がないために事件への介入が遅れ
プレシア死亡、アルフも瀕死の重症、フェイトはそれにより心を患い……事件関係者が誰も救われないまま、調査によって真相が暴かれ、誰も助けられなかったと事件関係者と同じく深く傷つくクロノ
事件から半年、ヴォルケンリッターの襲撃事件により、再び因縁ある第97管理外世界へ赴くクロノをはじめとするアースラチーム………魔法を知らないが、魔力値が異常に高いなのはがヴィータに襲撃される。そこを寸でのところでクロノが助け、A’sがはじまる
なのはは最初はただ保護されるだけだったが、次第に才能を開花させ、助けてもらった恩を返そうとするが、PT事件でのように助けられない人間を増やしたくないクロノに猛烈な反対を受ける
だが、強い意思を持つなのはに押しきられて、クロノはなのはを助けながら事件解決を目指し、その中で彼女の純真さと強さに心惹かれ、PT事件での心の傷を乗り越え、未来を変えることを選ぶことになる………
っていうリリカル純愛ルートを選択するぜ!
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あ、すまん
はじめの方、日本語がおかしい
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>>77
クロノが主人公みたいだ。
無理ゲーとわかっていても、1人で闇の書の意志に挑むクロノが見える。
問題はユーノがいないから、闇の書の能力とかが不明のまま戦わなきゃいけないことだ。
はやてが土壇場で意識を取り戻してくれれば、なのはの協力で闇の書から切り離せるかもだが。
あれ、ひょっとして闇の書事件の方が、PT事件よりもハッピーエンドにしやすい?
防衛プログラム切り離したのははやてだし、ヴォルケン独立させたのはリインだし、捜査さえ進めておけばグレアムへの追及はクロノである必要がないし。
闇の書の意志戦の時間稼ぎさえ何とかなれば無限書庫なしでもいける?
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>>77
あれ>エロがないのにかなり面白そう
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>>79
>問題はユーノがいないから、闇の書の能力とかが不明のまま戦わなきゃいけないことだ。
ふと思ったが、PT事件でなのはが不在の場合一番悲惨なのってユーノじゃね?
1・助けを求めるも誰も気付かずフェレットのままで猫等に襲われる。
2.・事件解決後、渡航履歴からユーノが地球に向かったことが判明。
3・捜索が開始されるも…(このときRHだけ回収される)
…流石にこれはない気がするが、あの状況でなのはの協力なかったら、
どうなってたんだろうな。
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>>79
原作のPT事件そのものがハッピーエンドと言いがたいからなぁ……
ちょいと具体的に考えたら、
・ヴォルケンズ消滅のあたりでヴィータ&シグナムと対峙するのはなのは一人
↓
・仮面の男に捕らわれたなのは救出に現れたクロノがフェイトポジションを同時に担う
↓
・「闇の書」の意思に同情する気持ちがあるが止めたいクロノが(後の)リインの死角を取るが「闇の書」内部に捕らわれてしまう
↓
・「心の一番柔らかいところ」として父との数少ない思い出や、父を亡くして悲しむ母を繰り返し見せつけられるクロノ
というのが頭を過った
グレアム提督への追求はリンディさんが代役をつとめるのが適任だと思う
>>80
バッカ、クロなののエロといえば「六年後」が醍醐味だろう?
まあ、クロノが大分犯罪者だがw
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ご無沙汰しております、久々に投下いかせて貰ってもいいでしょうか?
半転生、半憑依、半オリ主のシリアス中篇です。
題名「胡蝶の夢」
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なのはが居なくてもはやてに拾ってもらえるだろうし生活に関しては問題ないんでね?
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>>84
それこそ確証無いぞ。
なのはがユーノを拾ったのは、声の事もあるがたまたま通りがかったからだし
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>>83
カモーン
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いつだったか、わたし荘周は、夢で胡蝶となった。
ひらひらと舞う胡蝶だった。心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れ果てていた。
ところがふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。
はて、荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。
胡蝶の夢。
アルカディア
この狭い部屋に閉じこもってから、一体どれだけの年月が経っただろう。
仮令どれだけの時が流れようと、外の世界がどれ程遷ろうとも、この私にとっては単なる数字の変化でしかない。
ゆっくりと明滅するモニターの明かり。ただそれが、私をこの世界に縛り付けている幽かな縁だ。
数字の変化だけが、目まぐるしく私の中を通り過ぎていく。
私という存在に触れるものは既に無く、他者と結びつくのは常に、電子空間に擬似的に構築された『私』だ。
この狭い部屋で、私は機械越しに外の世界を覗き見る。0と1のみで構成された色の無い世界。
その数値を、常にベターな状態に保ち続けることが私の目的であり、課せられた唯一の使命でもある。
増減する数値を、予測不能な関数によって変化するグラフを私はじっと凝視する。
遥かな昔―――まだこの部屋に閉じこもる前は、この作業の度に目元の疲れから頭痛を催したものだが、もうそんな苦痛はない。
どれだけこの作業を続けようと、微塵の疲労すらない。
―――否、眼の疲労という感覚がどんなものだったか、それすらも曖昧だ。
そんなものは、とうに切り捨てて久しかった。
増減を続ける数値、小刻みに変動するグラフ。
それらは不安定に揺れ動きながらも、長い周期で見るなら確実に増加と安定の一途を辿っている。
時折紛れ込む小さな不確定因子によって予想不可能な振動は起るが、振れ幅は回数を重ねるごとに小さくなっていく。
しかし、ごく稀にであるが、カタストロフィーと呼べる程の大きな振動が、予測不可能なカオスが数値の変化に紛れ込むことがある。
そんな時こそ、私の仕事だ。早急に問題を解決し、数値を元の安定した状態に回復させる。
この機械を通して、私の意志をこの複雑怪奇なグラフに介入させることによって、恒常性を保つのだ。
私の意志の介入は、時に一時的な数値の振動を乱すことがある。
だが、一時的なノイズなど、一顧だにする必要はない。
私の使命は長期的な視点による安定へと導くことだからだ。
―――そうして、私は今日も、暗く狭い部屋で、機械越しに外の世界を覗き見る。
毎日同じことの繰り返し。仮令、機械がどんなに大きな事件の発生を告げたとしても、所詮は画面の向こうのことに過ぎない。
俗人は、それを退屈と呼ぶだろう。
しかし、私は長きに渡るこの生活で、退屈などただの一度も感じたことはない。
これは私の崇高なる使命であり、この仕事に就いているのは、私が真に選び抜かれた人間である証明でもあるからだ。
同輩は二人。
プライベートの言葉を交わすこともないが、私と同じ使命に勤しむ同志達である。
私達は、それぞれが自分の部屋に閉じこもり、決して触れ合うことはない。
それでも、きっと心は繋がっているだろう。
ただ一つのものを目指して、今日も共に働いているのだから。
◆
―――夢を見た。若き日の夢だ。
若い私は魔導師で、愛用の魔杖を片手に縦横無尽に青空を翔けていた。
少しだけ、驚いた。自分にまだ『夢を見る』という機能が残っていたなんて。
仕事の合間にとる、機械的な休息。そこに解緊の安堵を感じることはあっても、レム睡眠に陥ることなど無かったのに。
最後に夢を見たのは一体いつのことだったろう。
夢というのは、目覚めてしまえば泡沫のように消え去っていくものでは無かったか?
確かに、そんな儚いものの筈だ。現に、先ほどの夢は端から輪郭を失い、後に残るは青空で風を裂く鮮烈な感触のみだ。
そう、冷水に指を差し入れたような、爽やかな快感な残滓。
所詮は夢の筈のなのに、その感触が体から離れない。
あの夢で、私は空を翔けていた。どこかを目指していた。
辿り着きたい場所があった。だが、あと僅かのところで、夢は醒めてしまった。
あの夢で、一体私は何処を目指していたのか? それが、知りたくて堪らない。
あと、僅かで辿り着けた筈だったのに。
-
「簡単なことです。もう一度飛べばいいのですよ、空を」
軽い気持ちで私が相談すると、その男は金の狂眼を爛々と輝かせて答えた。
「夢占いなど私の専門ではありませんが、これだけは、断言することができます。
ええ、無限の欲望たる私だからこそ、断言できる。
―――その夢こそは、貴女の願望。貴女の欲望に他なりません。
貴女は飛びたいのです。再び空を。そして、飛ぶべきなのです、貴女の願うままに、大空を!」
【やけに嬉しそうじゃない、狂人】
「嬉しいですとも。正直に申し上げると、貴女は御三方の中で最も退屈な方だと思っていたのですよ。
私は、他の御二方にはそのご所望されるものを全て差し上げて参りました。
簡単なことでしたよ。何しろ、貴女方は余分な肉の重みを全くお持ちにならない方々だ。
美食・セックス・書物・音楽・ドラッグ・スポーツ・映画・アルコール。
この世の快と呼べるものは全て電子的に摂取できる便利な方々だ」
大げさな手振りで羨むような事を言うが、男の視線からは明確な蔑意が見て取れた。
別段、怒りはない。この男が忠実な道具である限り。
「だのに、貴女はそれらの一切を所望されず、一心にお勤めに邁進されたきた。
余程、地位欲や支配欲がお強いのかと邪推致しましたが、そんなご様子でもない。
いやはや、まことに頭の下がる働きぶり。
しかしながら―――無限の欲望として作られた私には、欲の無い人間ほど退屈なものは御座いませんので……」
【つまり、私も電子的に空を飛ぶのを疑似体験できるのね】
二人が仕事の合間にそのような他愛も無い娯楽に身を委ねていたのは知っていた。
別段、感想はない。二人とも必要十分な仕事をこなしている。余った時間をどう活用しようが個人の自由だ。
いや、むしろ、個というものがすっかり薄くなってしまった私達の中で、楽しむべき娯楽があるというのは羨むべきことかもしれない。
「いえいえ。これまで一切の欲に溺れることが無かった貴女が欲されるとは、それは、相当に大きな欲望に違いありません。
電子的な疑似体験などでなく、もっと明確で、鮮烈で、強烈な体験をすべきでしょう。
そう、貴女は本当に空を飛ぶのです!」
【不可能よ、そんなこと】
「あらゆる知識を貪り、不可能を可能にするために製造されたのがこの私。
この程度の不可能を可能と出来ずして、どうして無限の欲望などと名乗れましょう。
確かに、貴女の脳は余りに老いている。
私に出来るのは、貴女の魂、自意識と記憶と思考力を保つのみ、これが精いっぱいなのです。
感覚や身体操作を司る部分はほぼ壊滅と言ってもいいでしょう。
クローン体に移植したところで、指一本動かせない生きた死体も同然です」
くっ、くっ、と男は嗤う。その笑みがどれ程嘲笑に満ちたものでも、私には何の関心もない。
入力されるのは、男の笑い方を示す情報の群れなのだから。
【では、どうするの】
「簡単なことです―――体を手に入れるです。脳ごと、丸ごと。
優秀な魔導師を出来るだけ傷つけないように捕獲し、脳に電極を差し込み、遠隔的に貴女の肉体とします。
記憶野をライブラリとして閲覧できるように接続することにより、魔導師の肉体のみならず、感覚も、身体操作能力も、リンカーコアも、魔力も、戦闘経験も、全てが使用可能となります。
つまり、貴女は其処に居ながらして―――その魔導師の人生の全てを、貴女のものとするのです」
激しい高揚を感じた。
生化学的に制御されている筈の私の感情が、心臓という臓器を持っていた頃のように高ぶった。
出る? この狭い部屋から? 否、私には使命がある。崇高な使命が。
だがしかし、忘れて久しい肉体の感覚を再び味わうということに、抗しがたい魅力を感じた。
男は語る。
「何、今まで貴女は誰よりも働かれきた。そう誰よりも長く、長く。
ここらで少々のバカンスをとったて、罰は当たらないでしょう。
最上級の魔導師の肉体を用意しましょう。強く、美しく、社会的地位を持った魔導師の肉体を。
貴女は、彼女となって再び現世へ舞い戻るのです。
管理局で地位を持つ魔導師を用意します。彼女となって、再び民を率いて戦ってみませんか?
もう一度、英雄となって皆に讃えられるのです。貴女ならできますよ。
旧暦の時代に次元世界を平定した大英雄、聖杭のフロイライン、貴女なら」
◆
-
部屋に用意された処置台に眠る彼女の全身を、私は余すところ無く観察した。
10台後半の若々しい体、健康そうな均整のとれた肉体。栗色の長髪は解けて床に広がっている。
全身には打撲や傷などの、激しい戦闘の名残が見れ取れた。
後頭部の切開と電極の埋め込みは終了し、縫合と隠蔽処置は終了していた。
その顔は―――顔立ちについては、特に感想はない。
まあいい。彼女の脳を使用すれば美醜に対する主観的な判断基準も発生するだろう。
「いやはや、捕獲に随分手間どりましたが、最高の素体が手に入りましたよ。
高町なのは、今若手で注目を集めているSランク魔導師。管理局の麒麟児ですよ。
全く素晴らしい、予想以上の能力でした。稼動している戦闘機人が総がかりで、やっと捕獲することができましたよ」
高町なのは―――ここ数年、着々と力をつけている有名な魔導師だ。
単体で戦略レベルの強大な砲撃魔法を有し、何より。
我々の現在の計画の阻止を目的として結成された部隊、機動六課の隊長の一人ではないか。
つまり、この男は、私を敵のただ中に投げ込もうとしているのだ。ふざけた話だ。
全くふざけているが、理に適った行動でもある。これ程の魔導師を秘密裏に戦力とすることが出来るなら、天秤を大きく傾けることができる。
「それでは、接続処理を開始します」
【後の事は任せたわ】
「お任せ下さい。御二方の話相手は、私の作った擬似人格に任せておけば大丈夫でしょう。
―――それでは、良いバカンスを」
金の狂眼を輝かせて、男は嗤う。そして―――唐突に、私の意識は途切れた。
◆
「―――っうう……」
眩暈を感じ、頭痛を抑えるようにして私はよろよろと立ち上がった。
処置は終わったのか? ここは一体何処だ?
太陽は頭上高くで赤く、赤く、燦々と輝いている。
眩しい、熱い。
……眩しい? ああ、これが、眩しいという感覚、そしてこれが―――空を仰ぎ―――光というものだと言うことを思い出した。
瞬間、感覚の激流が襲いかかってきた。
息を吸い込む、乾いた砂っぽい大気が鼻腔を通って喉から肺を満たす、どこか饐えたような匂い。
唾を嚥下すると、乾いた喉が僅かに潤う。強い光にくらりと眩暈が、目蓋を瞬かせると、世界が明滅した。
肌を一筋の汗が流れ落ちる。自分の体臭、首筋にべったりと髪が張り付く感触。
風の音、空を行く鳥の声、まだ平衡感覚が覚束無い、揺ら揺らと世界が揺らぐ、足を踏みしめると爪先が砂を掻き分け、ほんの僅かに世界が安定した。
背筋を伸ばす。ぽきぽきと脊椎が盛大に鳴る。なんて形容し難い快感!
全身に鋭い違和感、痛い、ああ痛い。高町なのはが捕獲された時に与えられた傷だ。
痛い。思い出した。これは戦いの痛みだ。痛みと共に蘇る戦闘の記憶。
この痛みに屈して僅かでも判断を鈍らせれば即座に死が訪れる極限の日々。
掌を握る。開く。握る。開く。握る開く握る開く握る開く握る開く握る開く握る開く―――。
ああ、動く。動く。動く!!!
「ああああああぁあぁあああぁぁああぁ!!!!!!!!」
私は、天に向かって絶叫した。
それは、ちっぽけな不自由な肉の檻へ閉じ込められた悲哀の慟哭であり、無機質の部屋から抜け出して新生した歓喜の産声だった。
足元の砂を掴んで放り投げる、風に流された砂が顔にかかって噎せ返った。大笑いした。
子供のように五体を地面に投げ出して、手足をばたつかせた。
楽しかった。
体だ。私の体だ。
全身の痛みは酷い。高町なのはの、否、私の体はかなりのダメージを受けているようだった。
だが、その痛みすら愛おしい。
これぞ体だ。この足で駆け、この手で握り、この目で見て、この舌で味わい、この耳で見て、この鼻で嗅ぎ。
そう、そしてこの体で空を翔けるのだ!
-
布に水が染み込むように、血液が全身を循環するように、私の感覚が高町なのはの体に重なっていく。
一体となっていく。
この私は今、確かに世界を感じている。だがその実、この世界を感じているのは高町なのはの脳だ。
私は高町なのはが好ましいと思っていたものを好ましく感じ、高町なのはが不快に感じていたものを不快に思う。
あの狂人は言っていた。その匙加減が難しいと。
私には、感じるという機能は殆ど残ってはいない。
高町なのはの脳を使用しなければ、世界を感じることは出来ない。
だが、完全に高町なのはの感覚・判断に追従し、高町なのはの記憶を使用して世界を見るなら、それは私が高町なのはであるのと同義だ。
私が、『この私』として世界を感じるために、高町なのはの脳の使用は出来る限り抑制しなければならない。
狂人は脳に電極を埋め込む際に、抑制のための改造も行うと告げていたが―――。
「なのはさんっ!」
遠くで、叫び声が聞こえた。
振り向くと、遠目にショートカットのボーイッシュな少女が大きく手を振っているのが見えた。
彼女は空中にフィールド魔術の応用で作った道?【ウイングロード】を形成すると、ローラーブーツ型のデバイス?【マッハキャリバー】で一直線に走ってきた。
そのまま、少女【スバル・ナカジマ】は私にぶつかるような勢いで抱きついてくる。
彼女は子犬のように私の胸に顔を埋めて、ぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら、幼い子供のようにわあわあと泣いた。
「無事で良かった……なのはさん、ごめんなさい、ごめんなさいっ―――」
「……許してあげるわ」
一言そう漏らした。
私は困惑していた。私はこの見知らぬ【親しい】彼女に何か謝られるようなことがあったのだろうか。
彼女と別れる寸前の、最後の記憶を回想した。
・
・
・
・
・
―――地には【ティアナ】が倒れ伏せ、口から血を流したスバルの体が、テルテル坊主のように揺れていた。
猫の子でも掴むかのように、ぶらりとスバルを吊り上げているのは、何処となくスバルと面影の似た赤毛の少女だ。
同様の格好をした数人の少女達が私を取り囲み、唇を吊り上げてスバルの体を突き出して、言外に人質だと告げていた。
周囲には、破壊されたガジェットの断片と、戦闘の痕跡が生々しく残っている。
突然の襲撃だった。スターズ分隊での訓練を兼ねた哨戒任務の最中、安全地帯の筈の場所で致命的な隙を突かれた結果だ。
敵は手慣れの戦闘機人数名。狙いは明らかにスバルとティアナだった。
先に昏倒したティアナを庇うのが精一杯、スバルを敵に攫われたのは痛恨のミスだ。ヴィータちゃんが不在なのも災いした。
敵の狙いは、恐らく同じ戦闘機人の体を持つスバルの回収、だが、そうさせる訳にはいかない。
わたしはどうなってもいい。絶対にスバルは取り返す。
「なのは、さん……駄目、です……」
スバルが、薄く目を開いた。まだ意識は朦朧としているのか、苦しげに浅い呼吸を繰り返している。
「この娘、返して欲しいかしら?」
薄笑みを浮かべて、眼鏡をかけて機人の少女が口を開いた。
「返してあげてもいいわよ。だけど、条件付きで♪」
「……何かな? スバルを返して貰えるなら、大抵のことなら譲歩するよ。
尤も、譲歩できないような条件なら、力ずくでも返してもらうけど」
「素敵ね。流石は噂に名高い高町なのは、流石はエース・オブ・エース。
素晴らしい威圧感ね。怖くて背筋が震えちゃいそう!
条件というのは簡単よ。私達の練習相手になって欲しいの。丁度いい模擬戦の相手が欲しくてね。
つまり、貴女が私達と勝負をしてくれればいいのよ」
「それは、勝ったらスバルを返してくれる、ということなのかな?」
非常に、厳しい状況だ。通信妨害のフィールドが形成され、増援要求は不可能。おまけに周囲には高密度のAMFが。
どう考えても罠に違いない。それでも、スバルを返してもらうためには、踏み越えてみせる。
-
「勝ったら、なんてケチなことは言わないわ。貴女が勝負の土俵に立ってくれたら、その時点でこの娘はお返しするわ」
「……?」
何だろう。相手の要求が見えない。一体何を企んでいる?
「どういうつもり?」
「深い意味は無いは、私達戦闘機人は、悪ふざけが大好きなのよ」
くすくす、と押し殺した笑みが少女達の間から上がった。……このままでは、埒が開かない。
「受けるよ。だから、スバルを返して」
「……駄目です、なのはさん、絶対、何かの罠です―――」
そんなこと、とうに予想はついている。それでも。
わたしは、投げ返されたスバルの体を抱きとめる。わたしが約束を破って逃げ出さないように、砲撃タイプの機人が目を光らせていた。
「スバル、今からティアナを担いで、ここからマッハキャリバーで全速力で離脱して。
通信妨害のフィールドの外に出たら、すぐはやてちゃんに連絡、できるよね」
「そんな、駄目ですよ! なのはさんを置いて逃げるなんて! 無理です、あたしにはできません!」
戦うなら傍で一緒に。涙を流しながらそう哀願するスバルの頭を、そっと撫でた。
思わず微笑んでしまう。本当に、心の真っ直ぐな、優しい、良い子だ。
「きっと、三人一緒に戦っても、勝てる見込みは薄いわ。逃がしてくれそうにもない。
だけどスバル、あなたが応援を呼んできてくれたら、きっとそれも覆る、わたし達の勝ち目も出てくる。
大丈夫だよ、防御に徹していれば、そう簡単に撃墜されたりしなから。
だから、お願い。スバル。あなたが行って、わたし達を助けて」
優しい言葉の中にも、言外にこの状況に足手まといは要らない、という非情の意思を籠める。
冷たいようだけど、きっとこれが、スバル達が助かるための最善の策。
スバルは涙の浮かんだ瞳でわたしを見つめ、一度だけ大きく頷いた。
そして、倒れたティアナを担ぎ、ウイングロードを展開して矢のように飛び出した。
「すぐ戻ります、なのはさん、どうか、ご無事で!」
スバルはもう、振り返らなかった。
未来のストライカーを微笑みめいたもので送りながら、わたしは機人達に振り返った。
「約束は守るよ。じゃあ、始めようか」
「ええ」
眼鏡の機人は意地の悪い微笑みを浮かべる。
「私達7人、全力でお相手させて頂くわ。
……それでも、今の貴女には突破されかねないから、少しだけハンデをつけて貰うけど」
周囲から、雲霞のように湧き出すガジェット群。
わたしはレイジングハートを握る。少しでも長く、スバル達がより遠くへ行けるように。
いつものように、全力全開のわたしで。
「いつものようによろしくね、レイジングハート」
『All right, my master!』
・
・
・
・
・
……――――――、クラッシュした。突如脳裏に流れこむ、私のものではない記憶記憶記憶。
「―――っ、」
軽い眩暈を感じた。自分の現在の状況を確認をしようと思ったのが、それどころではない。
記憶の奔流に押し流されてしまいそうだ。
引き出した高町なのはの記憶は鮮烈で、その時の高町なのはの強い意志が、熱い感情が、私に直に注ぎ込まれる。
あの狂人が言っていたのは、これか。
「なのはさん、よくご無事で。申し訳御座いません、あたし達が不甲斐無かったせいで……!」
走ってくる赤毛の少女【ティアナ・ランスター】。
すん、と鼻を鳴らして、彼女は声を押し殺して咽び泣いた。
会ったことも無い少女だが、瞬間的に名前と自分との関係などの基本情報が脳裏に浮かぶ。
記憶を探れば、さっきのようにより多くのことを回想できるのだろうが、得る情報は最小限にしておこう。
あの男は狂人だが―――優秀なのは間違いない。
尤も、この記憶を見るに、高町なのはの捕獲に随分遠回りな手段を用いている。この無駄な遊び心は少々考えものか。
あの男が設けたリミッターによって、私は高町なのはと同化せず、私のままで居られる。
先ほどの記憶を覗いた時に、高町なのはの感情や思考ルーチンが垣間見えた。
彼女は、強い意志を持ちながらも、とびきりのお人良しで、博愛主義のようだ。
これから、そんな彼女として生きることに若干の不自由を感じる。
まあいい。身の振り方はこれからゆっくり考えればいいだろう。
ボロボロと涙を零す二人の少女にしがみつかれながら、私はぼんやりとそんなことを考えていた。
-
◆
機動六課の隊舎に帰還すると、盛大な出迎えが私を待っていた。
「なのは、良かった、なのは―――」
フェイトちゃんは目に涙を溜めて私を抱きしめた。
……?
私は彼女に初めて会った筈なのに、随分昔から既知であったかのようにそれを受け入れている。
高町なのはの記憶の摺り合わせに慣れてきたのだろうか?
それとも、フェイト・テスタロッサは、高町なのはと随分深い関係にある女性なのか。
「わたしは、なのはちゃんなら大丈夫やって、信じてたで。流石は不屈のエース・オブ・エースや」
はやてちゃんは、そう言いながらも心底安堵した顔をしている。
高町なのはが拉致されてから数日が経っていたらしい。
私は、一時的にスカリエッティ一派に捕獲されるも、隙を見つけて脱走を企て、転送ポートを使用し、最後に戦闘を行った―――私が目覚めた場所に逃げてきた、と説明をした。
荒唐無稽な話だ。あの狂人のラボに捕獲されて、魔導師が単身でそう易々と脱走などできる筈がない。
我ながら苦しい説明だったが、高町なのはは戦闘面で余程の信頼を受けているのか、すんなり受け入れられたようだ。
「凄い……流石はなのはさんですね……」
エリオとキャロが純真な尊敬の眼差しを向けてくる。
少し、照れくさい。
もっと高町なのはの脳から情報を整理し、状況の整理と今後の対策を練りたい。
疲れているので自室と休息を取りたいという旨を伝えると、周囲の人間は過剰な程の労りの態度を見せた。
「なのはちゃんは、まずは医務室に行ってシャマルに見てもらい」
「そうですよ。そんなに傷だらけになって、……本当にごめんなさいっ」
確かに。全身は傷や打撲で覆われているし、肋骨には罅も入っている。医務室に連れて行かれるのは順当な流れだろう。
しかし、大丈夫だろうか。高町なのはの後頭部の切開手術の電極埋め込みの痕が発見されないだろうか?
狂人は偽装タイプの戦闘機人の技術を使って念入りに隠蔽したと言っていたが、もし見つかったら大事だ。
この機動六課の戦力の全てが、容赦なく敵に回るだろう。
そこから逃走するのは、先ほど苦し紛れに述べた狂人のラボからの脱出劇よりも困難な筈だ。
―――結論から言えば、その心配は杞憂に終わった。
シャマルは優秀な治癒魔導師だったが、ついに脳手術の痕は発見されずに済んだ。
もしかしたら、捕獲の際に傷ついた高町なのはの体を全く治療していなかったのは、この偽装の意味もあったのだろうか。
治療が終わり、自室に帰りたいと伝えたら、シャマルの雷が落ちた。
「まったくなのはちゃん、あなたは本当に何を考えてるの!
この入院の用意一式、スバルから連絡があって、すぐに用意したのよ!
あなたの事だろうから、また無茶をしてるんだろうと思って。―――そしたら、案の定。
はぁ、本当に、あなたには心配ばかりさせられるんだから。
……今回は戻ってこれたけど、次は無いかもしれないのよ?」
「はぁい、ごめんなさい、シャマルさん」
ペロリと舌を出して、頭を掻いて見せた。
高町なのはらしい仕草だっただろうか?
「そんなボロボロの体でそのまま部屋に戻ろうなんて、私も馬鹿にされたものね……。
少なくとも今日一晩は、入院して行ってもらいますからね!」
シャマルは随分とご立腹だ。
……今夜は、高町なのはの自室というものをゆっくり観察して記憶と照会しようと思ったのだが、まあいい。
力を抜いてベッドに体を預けると、得も言えぬ安堵を覚える―――この感触を楽しもう。
考えるべきことは山程あった。するべきことも山程あった。だがしかし、抗しがたく、意識が朦朧とし、視界がぼやける。
「眠そうね。ゆっくり眠るといいわ」
ああ、そうか。思い出した。これが肉体の眠気。人間の三大欲求の一つ、睡眠欲だ。
眠りに落ちようとしたが、その直前に闖入者が現れた。
「あの、なのは、いるかな?」
「フェイトちゃん、なのはちゃんは今から眠るところだから、お見舞いなら明日に―――」
「ごめんなさい、ほんのちょっとでいいんです。ちょっとだけ、この子に会わせてあげて下さい」
この声はフェイトだ。この子とは一体誰だろう。眠気に抗い、上体を起こす。
-
「なのはママ……」
そこには、幼い少女がいた。その瞳は、翡翠と紅玉のオッドアイ。―――『聖者の印』
一気に、眠気が醒めた。
「ママっ!!」
押し倒すような勢いで、少女に抱きつかれる。
ママ? 何故高町なのはが、古代ベルカのオリヴィエ聖王のクローン体の母親なのだ?
すぐに思い出せた。高町なのははこの娘を保護し、この娘が高町なのはを母と誤認して懐いている、ただそれだけの事だ。
「大変だったのよ、ヴィヴィオ、なのはが居ない間、『なのはママはどこ?』って何度も泣いてね」
「……ごめんね、ヴィヴィオ。帰るのが遅くなっちゃって。また、一緒に遊ぼうね」
それらしき台詞を適当に口にして、少女の頭を撫でながら、私は厳しい瞳で少女―――ヴィヴィオを見つめた。
高町なのはは、ヴィヴィオをプロジェクトFによって作られた、ただの身寄りの無いクローン体だと認識しているが、それは大きな誤謬だ。
一度聖王として覚醒すれば、強大な戦闘力を有し、『聖王のゆりかご』を起動させ、この世界を大きく揺るがせるための存在。
私達が、あの狂人を通じて作成させた、最強の切り札。
高町なのはは、実娘のように育てているが、その実、覚醒すれば機動六課を内側から食い破る獅子身中の虫。
そう、ある意味、今の私と全く同じ立場の存在だ。
―――この子には、今はその自覚はないけれど。
「さあさ、なのはママは、今おケガをして動けないの。だから、ねんねさせてあげようね」
「……なのはママ、ケガしてるの? 痛いの?」
「大丈夫よ、ヴィヴィオ。なのはママ強いから! すぐに元気になるよ! また、ご本読んであげるからね」
指先を流れる金糸の細い髪。この先冥府魔道へ向かうとしても、今この時はただの少女なのだ。
同情とも憐憫ともつかない感情を籠めて、ヴィヴィオに微笑んだ。
「はい、今日のお見舞いはここまで。また、明日いらっしゃい」
「ごめんなさい、シャマル先生、無理を言ってもらって……」
「ママーッ、早く元気になってねーーっ」
足音が遠ざかる。再び、眠気が襲いかかる。
体が、重い。
ゆっくりと水に沈むように、私の意識は眠りに堕ちていった。
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『―――わたしは、将来何になりたいのかな?』 『―――呼んでたのは、あなた?』
『―――叩かれたら、叩いた方の手も痛いんだよ』
『―――わたしは……フェイトちゃんと話をしたいだけなんだけど』
『―――ふたりでせーの、で一気に封印!』
『―――これが私の、全力全開!!』
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「……ん」
窓から差し込む日差しに目を擦り、ぼんやりと焦点の定まらない瞳で周囲を見回した。
白い部屋。ここは―――病院の一室だ。
すぐに思い出す。自身の名、そして現在の状況。
それにしても、深い睡眠からの覚醒というのは、こんなに心地よく、名残惜しいものだったか。
何より、脳裏に瞬いたあの記憶。あれは、夢、と言うべきなのだろうか。
鮮烈な、数々の記憶。己のものならぬ体験。―――高町なのはの、夢。
詳しく知る訳ではないが、夢とは脳の記憶を整理するという機能の副産物だったか。
ならば、高町なのはの脳を使用し、身体感覚と記憶を利用している私が彼女の夢を見るのも、十分に有り得る話だった。
しかし……、今、私は確かに私だ。高町なのはの肉体を使用し、身体感覚を被っていったとしても、私は私としてある。
だが、夢の中の私は、完全に高町なのはだった。
まだ少女だった頃の高町なのはの体験を、そのまま追体験した。
意識が明瞭になると、それがどれほど奇妙なことなのかが、はっきりと解った。
私とは全く違う考え方、生き方。彼女の歩んできた道程は、私の想像の外だった。
この高町なのはという肉体は使い勝手のいい端末として考えていなかったが、中々どうして。
段々と、胸中で高町なのはという人間への興味が膨らんでいくのを感じた。
ベットを起き上がる。うん、悪くはなさそうだ。
さあ、高町なのはとしての一日を始めよう。
-
◆
「おはよう、なのは、夕べは良く眠れた?」
「なのはさん、おはようございますっ! 元気そうで安心しました! あたしもルキノも心配してたんですよ」
「おはようさん! なのはちゃん、よう眠っとったなあ。実は、朝こっそり寝顔見に行ったんやで〜」
「はいー。リィンも一緒に行きましたですぅ!」
「なのはさん、体はもう大丈夫ですか? どこも痛くないですか!?」
食堂に顔を出すまでの短い道程でさえ、凄まじい歓待を受けた。
予想はできていたことだが、高町なのはの人間関係は社会的地位を除いても凄まじく広い。
プライベートでの人間関係が広く、そしてそれぞれ深い。
高町なのはの記憶は、自身の記憶と接近している。しかし、未だ違和感は拭えない上、情報の多さに混乱しそうになる。
もっとも、違和感を失い高町なのはと同一化するのも御免だが。
高町なのはらしい返答を行いつつ、都合が悪い所は体調不良を理由に誤魔化していく。
「ママー、朝ごはんいっしょに食べよう」
フェイトに連れられて、駆けてくる小さな影が一つ。
その正体が何であれ、今のこの娘は無垢で無知な只の幼児に過ぎない。
高町なのはは随分この娘に愛情を注いでいたようだが、私としては正直、すこし鬱陶しい。
それでも、突然拒絶ような言行は高町なのはとしての行動原理に違反する。
当分は妥協して擬似的な親子としての関係を続けなければならないだろう。
「うん。ヴィヴィオ、それじゃあ、一緒にいただきますしようか!」
「はーい、いただきま〜す」
小さな掌をぺちんと合わせて、不器用な手つきでフォークを目玉焼きに突き立てるヴィヴィオ。
私もパンを千切り、自分の食事を始めることにした。
湯気を立てるコーヒー。薄くバターを塗ったパン。新鮮なサラダ。
一口、一口、ゆっくりと噛み締める。
……覚えていた。とっくの昔に磨耗していたと思っていた筈なのに、覚えていた。
美味しい。
空腹の胃に、少しずつ嚥下した食物が染み渡っていくにつれ、私はその感覚をはっきりと自覚した。
飢餓感。食欲。そして、口中を駆け巡るこの味覚。
大抵の感覚は磨耗しきって消滅したはずの私だが、この感覚は私の奥底に確かに残っていた。
やはり、三大欲求の一つは強烈なのだろうか。
パンと、スープと、サラダと、コーヒー。決して贅沢な筈ではない朝食だが、極上の美味に感じた。
ふと、違和感に気づく。
サラダの中のセロリ。私は昔好き嫌いが激しく、セロリなど美味だと感じた事はなかったのだが、今は何の嫌悪も無く他の野菜と一緒に美味しく食している。
自身の感覚は残っていても、味わっているのは高町なのはの味覚。
彼女が好き嫌いなく、遍く食を楽しむ人間であることに少しだけ感謝した。
周囲を見回す。機動六課の食堂は和気藹々として、隊員達が各々に自分の朝食を楽しんでいた。
今朝は当たり障りの無いものを注文したが、食堂のメニューも中々に充実しているようだった。
他の部隊の事情まで細かく知っている訳ではないが、空で、陸で、様々な部隊で、同じように朝食が始まっているのだろう。
これが、この時代の朝食時の日常。
昔私が望んでいた、豊かで優しい食事の光景が、ここにあった。
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