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魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話
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視線に至っては人を屠れるのではないかと思うほどに鋭く、ゲンヤの背筋を凍らせる。
だがそれだけではなく、問われた言葉もまた彼の心を冷たく突き刺した。
クイントを、妻を死に追いやった者を何故守るのか。
その問いはあまりにも痛烈で、肉体ではなく心を蝕む痛みにゲンヤは歯噛みする。
銃を持つ手が震え、金属質な音を小刻みに立てた。
何か言おうとするが、何も言えない、答えられない。
あの少女らを救おうとするのは、守ろうとするのは、何故なのか。
理由はもちろんあった。
娘達と同じ境遇の、改造された肉体を持つ子供らを放ってはおけなかったから。と。
しかし、ギルバートを前にその言葉は吐けなかった。
ナンバーズを救うという事、それは確かにギルバートの言う通り、クイントへの裏切りに他ならない。
眼前で燃え盛るギルバートの怒りは、本来ならば自分が燃やすべきものだったろう。
されど、ゲンヤはその灼熱に浸る事が出来なかった。
彼が選んだのは妻の為の憎悪より、娘達や彼女らと同じ境遇の少女への憐憫。
ギンガもスバルも、ナンバーズも、皆守りたいと思う。
それは彼の強さでもあり、そして弱さでもあった。
故に答えられない、ギルバートの憎悪に満ちた問いに。
言い淀むゲンヤの姿に、黒き狂犬は目を鋭く細める。
「まあ、どうでもいい。てめえが何を思おうが、何をしようが俺には関係ねえ……」
言いながら、彼の巨躯が動く。
ゆっくりと歩を進め、黒いコートを翻してゲンヤの横を通り過ぎる。
そして、繋げるように言葉を紡いだ。
「俺はただ、連中を殺す。それだけだ」
と、次げた。
それはゲンヤに語りかけるようであって、同時に自分自身への宣誓でもあった。
滾る殺意を、燃える憎悪を、全ての怒りに連なる感情を込めての誓いである。
ギルバートの言葉に、混濁としていたゲンヤの意識が覚醒。
黒衣の復讐鬼に銃を向けた。
「待てッ!」
言葉と共に、44口径を誇る大口径の銃口がギルバートの背に向けられる。
ゲンヤの手に握られた巨銃は、既に撃鉄を起こされていた。
あとほんの少し、数ミリもない距離を動けば、強大な破壊力を孕んだ鉛の弾が飛ぶだろう。
一触即発の銃火を前に、されど黒衣の男は動じない。
顔を僅かに振り返らせ、氷のように冷たい眼差しをゲンヤへと向け、そして告げる。
「止めろゲンヤ。てめえは仮にもクイントの愛した男だ、正直傷つけたくはねえ」
自分が殺されるかもしれないという懸念ではなく、自分が相手を滅する事を案じ、ギルバートは言う。
至近距離での大口径拳銃の射撃、魔道師といえど普通ならば危険な状況だ。
だがこの男には恐怖など微塵もなく、ただ怒りと悲しみに淀む瞳だけがある。
決してはったりなどではない。
彼の、ギルバート・ゴードンの戦闘力とは、至近距離のマグナムを前にしても怯まぬものなのだ。
ゲンヤもそれはよく知っている。
目の前の男が類稀なる戦闘力を持つ、最強クラスの魔導師であると。
だが、ゲンヤの指はそっと引き金に触れる。
「確かに俺は、仇も討てない腰抜けかもしれねえ……」
銃把(グリップ)をしっかりと握り締められたリボルバーから震えが消え去り、照準がギルバートをしっかりと捉える。
「でもな、だからこそ譲れねえんだよ……クイントを裏切るような真似してまで選んだ……“守る”って、道は」
もはや迷いはなく、そこには憎い筈の仇でさえ守ろうという、愚直なまでの男があった。
覇気を帯びたゲンヤの力強い眼光に、ギルバートの眉根が怒りと歪む。
かつては義兄弟として、血は繋がらぬといえど家族だった者同士がこうして修羅場を築くとは、なんという皮肉な様だろうか。
大気が一触即発と張り詰める中、黒衣の男は問うた。
今までの裂帛の怒気が嘘のように、静かに澄んだ残響で。
「それが……てめえの選んだ道、か」
「ああ」
「そうか」
もう言葉はいらなかった。
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