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魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話

1 名無しさん@魔法少女 :2009/05/30(土) 16:59:12 ID:ypqjhtEM
魔法少女、続いてます。

 ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレ避難所の2スレ目です。


『ローカル ルール』
1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。
2.エロは無くても大丈夫です。
3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。
  あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。
【補記】
1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をした方が無難です。
  ・オリキャラ
  ・原作の設定の改変
2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。
  ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです)

『マナー』
【書き手】
1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。
  投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。
2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。
  SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。
3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。
4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、
   「1/10」「2/10」……「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。

【読み手 & 全員】
1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、
  読み手側には読む自由・読まない自由があります。
  読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶ事が出来ます。
  書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけて下さい。
2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。
3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。
  頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。
4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントする事が多発しています。
  読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。

『注意情報・臨時』(暫定)
 書き込みが反映されないトラブルが発生しています。
 特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。
 投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。

前スレ
☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第98話
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12448/1238819144/

2 名無しさん@魔法少女 :2009/05/30(土) 17:04:29 ID:ypqjhtEM
【本スレ@エロパロ板】
 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第97話☆
 http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1237292660/l50

【エロパロ板全体の避難所】
 エロパロ避難所
 http://jbbs.livedoor.jp/movie/2964/

【クロスものはこちらに】
 リリカルなのはクロスSS倉庫
 ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/
 (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます)

【書き手さん向け:マナー】
 読みやすいSSを書くために
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/

【参考資料】
 ・Nanoha Wiki
  ttp://nanoha.julynet.jp/
  (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)
 ・R&R
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html
  ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/date_SSX.html
  (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます)

☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫
 ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)
 ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/   (wiki)

3 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 20:07:15 ID:vh/wckII
したらばでの投下関連メモ

【エロパロ板】(参考)
容量が500kbを超えるか、書き込みが1000レスを超えると1スレッド終了

【避難所】
容量は関係なし。レス数1000を超えると1スレッド終了(現時点での設定)
管理人によるピンポイント規制可
・投稿間隔 30秒
・本文の最大行数 200行
・一回の投稿本文の最大文字数 4096文字

4 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 20:08:20 ID:vh/wckII
■Jane Doe Styleからしたらばを見る方法。
板一覧のカテゴリの右クリックメニューから「新規カテゴリを追加」して、
新しくできたカテゴリに「ここに板を追加」でおk。

■ギコナビでのしたらばの見方
「表示」→「キャビネット」→「したらばJBBS」→「同人・コミケ・二次創作」
※入れ替わりが激しいので全ての板が登録されているわけじゃない。つまり、そのままではこの板は見れない。
◎この板の追加の仕方
「ヘルプ」→「ギコナビフォルダを開く」→「config」→「Board」→「したらばJBBS.txt」の順に開く。
カテゴリ[同人・コミケ・二次創作]の一番下に
好きな名前(「なのはエロパロ避難所」とか)=http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12448/  
を入力して上書き保存。一端ギコを閉じて、再起動。
このスレが「したらばJBBS」内に出現するはず。あとはお気に入りに登録するなり何なり。

5 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 20:10:59 ID:vh/wckII
     Λ_Λ
フーフー (´∀` ) >>1乙!ラーメンでもどぞ
 __川 ̄○ヽ
 \  /     )
 ̄.└┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 


少ししたら投下するよ

6 鬼火 ◆RAM/mCfEUE :2009/06/02(火) 20:16:40 ID:vh/wckII
・ギャグ
・短いです

7 ピクニック :2009/06/02(火) 20:17:48 ID:vh/wckII
「あら、ヴィヴィオちゃん。お久しぶり」
「お久しぶり、カトリーナちゃん。アルトセイム旅行楽しかった?」
「ええ! 自然がいっぱいで、珍しいお花も見れたわ」
「楽しそうだね」
「ヴィヴィオちゃんは、お休み中どうしていたの?」
「ママとピクニックに行ったよ」
「どこまで行ったの?」
「ママの出身世界なんだけど、『アマゾン』ってところ」
「アマゾン? どんなところなのかしら?」
「えっとね、緑がいっぱいだったよ。生き物もいっぱい」
「まあ。動物もたくさんいたのね?」
「うん! おっきな猫さんとか、おっきな蛇さんとか、たくさんいたよ!」
「蛇……? ……ともかく、そちらも楽しそうでよかったわね」
「川でママとお魚もとったんだよ! おいしかった」
「まぁ、お魚? すごいわ、ヴィヴィオさん。何ていうお魚?」
「えっとね、『ピラニア』っていうの」
「ふぅん、何だかおいしそうな名前のお魚ね」
「でも、お水がなくて大変だったの」
「どうして? 川があったんでしょう?」
「川のお水は濁っててそのまま飲むと危険だから小石や炭火の
 残りでロカして、シャフツしてから飲まないと駄目なんだって」
「……? よくわからないけど、大変だったのね」
「でも、おもしろかったよ。また行きたいなぁ」

8 ピクニック :2009/06/02(火) 20:18:53 ID:vh/wckII



「なのはぁぁぁっあぁぁぁあああああ!」

ある日、自宅で夕食の準備をしていると親友が血相を変えて飛び込んできた。
ずいぶんと取り乱した様子だ。何か良くないことでもあったのだろうか。

「どっ、どうしたの?」
「なのは! ヴィヴィヴィヴィヴィヴィオに何してるのッ!!」

突然、親友に怒鳴られてしまった。私、何かしただろうか。
毎朝、朝食とお弁当はつくってるし、仕事から帰れば、おしゃべりもする。
休日には、親子水入らずで一緒に出かけたりしているし、何も問題はないはずだ。
たぶん、何か勘違いでもしているんだろう。
彼女は結構、そそっかしい。

「ピクニックなんて言って、アマゾンまで連れて行って!」
「うん。この前の連休は、アマゾンまで行ったけど?」
「なのはの教育方針にはもう口を出さないでおこうって決めてたんだ!だけど――」
「うっ、うん?」
「いくら何でもやりすぎだよ!」
「えっ? やりすぎって?」
「行き先にわざわざ過酷な環境を選んでみたり」
「うん」
「食べ物もっていかずに、現地でワナの作り方を教えてみたり!」
「うん」
「テントや寝袋ももっていかずに、現地の樹や葉っぱで家をつくってみたり!」
「うん」
「ピクニックじゃなくてサバイバル訓練じゃない!」

9 ピクニック :2009/06/02(火) 20:20:14 ID:vh/wckII
鼻息も荒く私に食って掛かる親友の姿に、私は呆気にとられてしまった。
どうやら、やはり彼女は何か勘違いをしているみたいだ。
でも、露骨に呆れた顔をしたら、きっと彼女も傷つくだろう。
私は彼女のことを思って、なるべく遠慮がちに言った。

「フェイトちゃん。えっと……なに言ってるのか、よくわかんないよ……」

だって、『ピクニック』と言ったら


「恭也、美由紀、なのは!今度の連休は父さんとピクニックに行くぞ!」
「父さん、今度はどこ行くんだ?」
「アンデスだ。こっちは夏だが、あっちは冬だ。防寒着を忘れないように!」
「ええ〜! 私、寒いの苦手なんだけど……っていうか、なのはも連れて行くの?」
「にゃ? ピクニック?」
「ハハハ、楽しいぞぉ〜景色もすごく綺麗でなぁ〜」
「行く! なのはもピクニック行きたい!」

「うにゃああああ! 雪、寒い! 歩けないの!」
「ハハハ、まだ海抜4000mだぞ」
「美由紀、干し肉はあとどれぐらい残ってる?」
「あと5日分くらいは…。それより恭ちゃん、そろそろ寝床確保しないと」
「じゃあ、スノー・シェルターつくるか」


そういうものでしょう?

10 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 20:20:54 ID:vh/wckII
ノシ

11 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 21:43:32 ID:jBcTJdT6
>>1

>>7
なのはさん、それピクニックやない、サバイバルやww

12 名無しさん@魔法少女 :2009/06/02(火) 23:32:15 ID:iSbS0qMk
>>11
いやピクニックだろ。
高町家的サバイバルは、月面とか金星と火星で行われます。
南極、北極、エベレスト、サハラ砂漠などへ行くのをピクニックといいます。

13 ふと思った :2009/06/03(水) 01:00:13 ID:ha/NZ6hQ
フェイト「だってピクニックって言ったら……」

…………………
フェイト「キャロ、エリオ、山にピクニック行こうか」
エリオ「山……」
キャロ「山……」
フェイト「どうしたの?」
キャロ「……捨てられるんだ……お山に捨てられるんだ」
エリオ「……はい。今までお世話になりましたフェイトさん。こんなクローンの僕のために……」


…………………
フェイト「……え、えーと……」

14 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 05:22:02 ID:8QZJwQ/M
なのはの考えるピクニック=環境的にヤバイ場所に行くor到着した現地にて週単位の訓練を行う
フェイトの考えるピクニック=ああ、母さんとやった思い出(アリシアの記憶だが)
はやての考えるピクニック=極一般的な家庭でやるようなピクニック(ただし連れてく家族が家族だけにトラブルの可能性はあり)
アリサ・すずかの考えるピクニック=海外の高原で…それはもうピクニックじゃねえよ!!(かかっている費用的意味で)
クロノの考えるピクニック=サバイバル実習込みの軍隊式でやりそーな【ピクニック】
ユーノの考えるピクニック=インディ・ジョーンズのシリーズ参照

15 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 09:13:59 ID:8lC47CJ2
>>14
それでいくと、なのクロは相性が良いなw
>アリサ・すずかの考えるピクニック
何か吹いたwその発想はなかった

16 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 11:38:33 ID:yI2kdMms
>>14
以外にも一般的なのはフェイトとはやてだけなのな
あとユーノ、それピクニックちゃう、ハリウッドや。
気になるのはシリーズでよく出てくる一作品限りの助手ポジなのか、
世界中で愛人作ってしまう偽名の教授ポジなのかだな。

17 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 20:33:36 ID:l/1kp4c2
>>1スレタイに☆がないと少し寂しいな。☆可愛いよ☆

18 ザ・シガー :2009/06/03(水) 21:23:11 ID:.8DRZkkg
>>1
>>鬼火氏投下乙
これは良い単発ギャグですな!


さーて、避難所生活3スレ目、住人・職人へのカンフルにラクガキなど晒してみるぜ。


まず、シロクジラ氏の「司書長は女の子」へー!
可愛い可愛い、女の子ユーノちゃんッッ!!
http://toppg.to/up/img/yu-no-onnanoko.htm


>>26-111氏へー!
私がパロオリキャラ史上最も愛する可愛い可愛いサンタとノーヴェ隊長ッッ!!
http://toppg.to/up/img/9-9.htm


>>そして尊敬するサイヒ氏へー!
着衣プレイとオッパイに定評のある我らが騎士カリムーッッ!!
http://toppg.to/up/img/oppai-oppai.htm

※これは提督の股間のデュランダルではなく、黒乃印の麩菓子かなにかです……たぶん。

19 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 22:04:22 ID:zY1jOwh6
>> 18

グッドジョブ!
絵もかけたんですね、ザ・シガー氏!

20 サイヒ :2009/06/03(水) 22:09:39 ID:jIa7uCEA
>>18
カリムエロイな。エロイなぁ。実にエロイなあ!!
書いてくれてありがとう&GJ!

不倫カリムは半年ぐらい書いてないんで、今月中に一本ぐらいなんか書けたらいいな。

21 26-111 :2009/06/03(水) 23:03:40 ID:rtlV6gFQ
>>シガー氏
thx、保存させていただきました。しかし、こうして対比させてみると・・・やっぱデカいですね丸いの
返礼ができれば良いのですが、なかなかそれも敵わず
貴兄に負けないくらいの話を描きたいところですね。勿論、陵辱的な意味で

すっかり磨り減った身ではありますが、今後とも切磋琢磨と行きたいところでございます
感謝感謝。それでは

22 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/03(水) 23:38:25 ID:4x8ZQ7bM
午前0時から投下したいのですが、大丈夫でしょうか?

23 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 23:43:28 ID:.8DRZkkg
誰にも、投下は、止められない!
迷う暇があるなら投下すべきだぜ。

24 名無しさん@魔法少女 :2009/06/03(水) 23:45:56 ID:0BbBSqqY
ザ・シガー氏が某所のあの人だと分かってしまったorz

25 ザ・シガー :2009/06/03(水) 23:50:54 ID:.8DRZkkg
>>24
何の話だね。
絵柄が似てる程度、どこでもある話さ。

というか、もし真実だとしてもそういう事は言うなや。

26 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/03(水) 23:53:48 ID:4x8ZQ7bM
SSの内容が内容なので、午前0時に投下したいのですよ。
さて、どうやら先陣は切れたようですが、今宵はどうなりますかねえ。

>B・A氏
ヒャッハー、幼女最高!!
……だが致すなら小学生スタイルのままで(教導官に粛清されました

>暗愚丸氏
まさかのすずか攻めとは。百合凌辱ほどの燃料なぞそうはあるものか!
これはもう1章から読み返すより他にないッ!!
当方もここまで爛れた代物が書けたら……

27 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/04(木) 00:00:32 ID:pCY4kleQ
さて、0時になった訳だが……
やつを追う前に言っておくッ!
おれは今やつのSLBをほんのちょっぴりだが体験した
い、いや……体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……

あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
「おれははやユノを書いていたと思ったら
いつの間にかはやすずを書いていた」

な、何を言ってるのかわからねーと思うが、
おれも何が起きたのか分からなかった……
頭がどうにかなりそうだった……
SSだとか誕生日記念だとか、
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……

・はやてメイン、但しシャマルスキー歓迎
・お子様でも安心
・A's終了から半年後
・ユノなの短編集とは微妙に矛盾(ギャグの範囲内)

ではでは、始まります。はやてちゃん、誕生日おめでとう!

28 熱い雫 1/7 :2009/06/04(木) 00:02:16 ID:pCY4kleQ
「ただいまやー」
その日、はやてが学校から帰ってくると、家の中は奇妙に暗くて、不思議に静かだった。
「なんや、誰もおらんのかいな?」
授業が終った後、立てるようになった足で図書館に通いつめる。
そして閉館と同時に出て、各々の仕事から帰って来た騎士たちと食事をするのが、このところの日課だ。
確か今日の食事当番は、シグナム。

自室に戻り、鞄を机の脇に掛ける。ベッドに寝転がると、その上には物言わぬ十字架が置かれていた。
「シュベルトクロイツ……今日はお前だけがそばにいてくれはるね」
多分、行き違いで皆は買い物に行ってしまったんだろう。
重みさえ感じられる階下の闇に、足を踏み入れる気は起きなかった。
「ん」
だが、フラッと部屋まで来たものだから、重要なことを忘れていた。
「手の一つでも洗っとこか」
最近、巷では悪い風邪が流行っているようだ。クラスでも二、三人が休んでいる。しかもとっかえひっかえに。
一階の宵闇よりも重い腰を上げて、はやては階段を降りた。

洗面所から出てくると、ダイニングに妙な気配。
ぼうっと、ゆらゆら揺れる霊魂のような――
「だ、誰!?」
返事はない。ただ、部屋内の雰囲気が変わったようだった。人の気配がする。
ごくりと唾を飲み込むと、意を決してドアを開けた。すると……

「はやてちゃん、おめでとう!」

クラッカーが盛大に鳴った。
割れんばかりの拍手と共に、明かりがパッとつく。
そこには、すずかやヴォルケンリッター、なのはたちの姿があった。
「主はやて、無礼をお許し下さい。誕生日パーティーというものを企画したのですが、
本人には秘密にしていた方が面白いと」
シグナムが進み出るが、はやてはぽかんとしたままだった。
「どうしたのですか?」
「……えっと、今日、私の誕生日やったっけ」
場がずっこけた。
「はやて、もしかしてボケちゃった?」
フェイトが心配そうに聞く。
「いや、その発言自体が大ボケや」
はやては全力で否定し、そして話し始めた。
「私、ずっと一人やったから。誕生日にお祝いやなんて、やったこともあらへん。
それに、去年はみんなが来たばっかりでバタバタしとったからな。
せやから、誕生日ってのは、私にとってはどうでもいいモノだったんや」

あれから一年も経つのかと、しみじみとした深い感慨が覆う。
はやてとベルカの騎士たちが出会ってから、そして闇の書――夜天の書と別れを告げてから、
もうそんなに年月が過ぎていたのか。

29 熱い雫 2/7 :2009/06/04(木) 00:03:13 ID:pCY4kleQ
「でも、すっごく嬉しいわ。みんな、ありがとう」
はやてが頭を下げると、また拍手が沸き起こった。
「早く食べないと、お料理が冷めちゃうわよー」
シャマルが食器を取り出しながら、コップにジュースを注いでいる。
先程から漂ってくる得も言えぬ匂いが、食欲を刺激して仕方がない。
「見ての通り、シャマルはジュースを注いでるだけだ。料理はほとんど全部なのはが作ったから安心してくれ」
ヴィータがそっと耳打ちする。はやては苦笑しつつも、どこかで安心している自分がいた。
「それにしても――」
なのはの手料理を、しかもこんなに手の込んだフルコースディナーを食べるなんて、退院祝いの時以来だ。
「なのはちゃん、味噌汁一杯作らせても実力がぎょうさん納得できるからなあ。楽しみで仕方ないわ」
既に唾が口の中で踊っている。もう待ちきれない。
ローストチキンに野菜たっぷりのスープ、真ん中にはどうやって焼き上げたのか見当もつかないほど、
大きなイチゴのケーキ。
上に乗っているチョコレートのプレートには、
『たんじょうびおめでとう これからもよろしくね』と書かれていた。
「はやて、ロウソク立ててもいい?」
アリサが色とりどりの小さなロウソクを持ってきた。
「あ、はやてには熔けやすくて低温のロウソクの方がいいかしら?」
「私はヘンタイかっ! そんなもんいらへんわっ!!」
アリサのボケに思わず突っ込むと、フェイトがぼそりと言った。
「わ、私はお兄ちゃんが望むなら……ううん、なのはに言われても……」
あくまでブツブツと、まるで独り言のように聞こえたが、とても独り言ではなかった。
本人に聞こえなかったのは幸いといえよう。

ロウソクを10本、等間隔に立てる。
「なんや、もう私2桁になってしもうたんか」
改めて驚くと、周囲から笑いが起こった。
灯りを消し、ふーっと一息で全てのロウソクを消し去ると、再びの拍手。
その後はもう、飲めや歌えやの大騒ぎ。
すずかと一緒にジュース一気飲みのパフォーマンスをすると、負けじとアリサも盃を飲み干す。
──ノンアルコールでココまで騒げるのも、珍しい話だった。
料理もまさに絶品。なのはにコツを聞いたり、隠し味の秘儀まで教わった。
「ホントに美味しいわね、なのはの料理。誰かさんが羨ましいわ」
アリサがチラリと横目でユーノを見る。
「あはは。なのはちゃんのお婿さんになった人は、きっと幸せやね」
少年が顔を赤くして無言になるのを、はやてはニヤニヤしながら見ていた。

「さーて」
食事会も終り、宴もたけなわといった時になって、はやては冷蔵庫へ走っていった。
「今日は誕生日祝いや!」
ドスン、と置いた茶色い瓶のラベルには、「ヱビス」……?
「飲んで飲んで飲み明かすでー!」
フェイトが「ダメだよ」とか何とか言うので、思いっきりコップに注いで飲ませた。
すると、一口でダウン。
「ふみゅ〜」
ぱたりと倒れ込むフェイト。
慌てて駆け寄るなのはを尻目に、はやてはアリサたちに注いでいく。
「っていうか、コレ中身摩り替えた『泡の出る麦茶』なだけなんやけど」

30 熱い雫 3/7 :2009/06/04(木) 00:03:51 ID:pCY4kleQ
グラスに注ぐと、確かに炭酸水と麦茶を混ぜただけのものだった。
「まさか、本物なんて買える訳ないやん? 雰囲気作りや、雰囲気作り」
じゃあ何で瓶だけここにあるのよ、というアリサのツッコミには聞こえないフリをした。
「まさかの組み合わせだね。でも、美味しいと思うよ」
すずかがコクリと飲み込んで感想を述べる。
それが契機となったのか、なのはやユーノも次々にコップへ注いでいく。
「フェイトちゃんは離脱か……」
まさか仮想アルコールで酔われるとは思わなかった。
介抱するクロノの目は真剣そのものだった。
「ごめんな、フェイトちゃん」
ちなみにこの後、復活したフェイトが一番大騒ぎしたのはお約束か。

すっかり飲み物も食べ物も尽きると、皆からはやてへとプレゼントが贈られた。
「主と共に過ごしたこの1年、かけがえのないものでした。
これは、私たち騎士から心からのお礼です」
受け取ったのは、以前から欲しかったスカートだった。
ちょっと値が張るから、そのうちそのうちと延ばしていたものだった。
「もしかして、最近帰りが遅かったのは……」
ハッとはやてが気付くと、シグナムは恭しく礼をした。
「いえ、これしきの仕事何でもありません。ひとえに、皆が主はやてを想うが故」
「シグナム……みんなも」
ヴィータは鼻頭を擦り、シャマルは終始ニコニコしている。
ザフィーラはといえば、顔を向けようともしない。照れている証拠だ。
「ありがとう、ありがとう。大切に着るな」

嬉しさに飛び上がろうというのに、まだまだプレゼントは続く。
「はやてさんはお料理が上手だ、って聞いたから。
これはハラオウン家からのプレゼントよ」
そう言われてリンディから受け取ったのは、ナイフのセット。
刺身に肉、リンゴからカボチャまで、これ一式でスッパリだ。
「ありがとうございます、リンディさん」
頭を下げると、リンディは首を横に振った。
「お礼ならフェイトに言ってちょうだい。あの娘が選んだものだから」
フェイトに目を向けると、照れたようにもじもじしている。
「どう、かな? 喜んでもらえると嬉しいな」
「何言うとるねん! 毎週だってパーティー開いたるっ!
ありがとな、フェイトちゃん」

ユーノとなのはからは、赤いワンピース。
「シグナムさんたちと被っちゃったね」
にゃはは、と笑うなのはに、はやては握手した。
「スカートはスカート、ワンピースはワンピースや。
私のためにわざわざ見繕ってくれるなんて、ほんまにありがとな」
早速着替えようと上着を脱ぎかけたところで、クロノの上ずった叫び。
「そ、そんなのは自分の部屋でやってくれ!」
はやては上着を下ろすと、「冗談に決まってるやん」とニヤついた笑いを浮かべた。
「それとも、クロノ君は私の裸見たくないんか? なんや女のプライドが傷ついてショックやわー」

31 熱い雫 4/7 :2009/06/04(木) 00:04:33 ID:pCY4kleQ
いじけてみせると、クロノはオロオロする。
この顔、見ていて飽きない。きっとフェイトの家庭は楽しさに満ちているのだろう。

アリサからは、CDを一枚。
聞くと、自身で弾いたバイオリンの曲が入っているという。
「皆とおんなじプレゼントじゃつまらないかな、って思ったのよ。
あたしが一生懸命弾いたんだから、ありがたく聞きなさい」
つっけんどんに渡してくるのが、またアリサらしい。
早速ミニコンポに入れて再生すると、誰もが知っているクラシック。
ソロだけに実力の問われる局面だが、見事に演奏しきってみせた。
「おおぉーっ」
会場から思わず拍手が立ち上がる。
何でもまるまる一時間入っているらしいので、このままBGMにする。
──と、ここではやては一人ばかり姿が見えないのに気づいた。
「ん、そういえばすずかちゃんは?」
「ああ、すずかならさっきベランダに出て行ったわよ?」
ベランダ? よく分からない。
はやては目一杯のプレゼントを一度テーブルの上に置くと、居間を後にした。
「すずかちゃん?」
カラカラとガラス戸を開けても、そこには誰もいなかった。
入れ違いになってしまったのか、と訝っていると、突然視界が塞がれた。
家から漏れていた明かりも、空の上で明るく輝く満月も、どこかへいってしまった。
「だーれだ?」
その声を聞いて、はやては合点がいった。
突然、世界が灯りを消してしまった理由が。
「すずかちゃんやね」
「正解」
すずかの声と共に、また目に光が戻ってきた。
ヒョイ、と後ろから姿を現したすずかは、「ここ、座ってもいいかな」と傍の椅子を指差した。
首肯すると、はやてはもう1つの椅子へと腰を降ろした。
「さて、すずかちゃんがこんなことするなんて珍しいやね。何かドッキリでもあるん?」
カメラを探してキョロキョロする仕草をして見せると、すずかはクスクスと笑った。
「大丈夫、騙したりする訳じゃないから。ちょっと、お話したくて」
『お話』──か。

そういえば、このところすずかと差し向かいで話すことなんて少なくなっていた。
なのはを中心とした輪の中にすずかがいる、そんな感じ。
会話の場が、二人きりになる図書館から学校に変わったのも一因か。
「ええよ。ちょうどお祭り騒ぎも終ったし、皆からプレゼントももろたからな」
今頃、向こうではどんな話をしているのだろうか。
思いを巡らせながらすずかの言葉を待っていると、すずかはぽつりぽつりと話し始めた。
「はやてちゃん……ううん、なのはちゃんも、フェイトちゃんも、魔法使いなんだね」
「せやで。魔法少女なんて、なってみるとこれがまあ現実を目の当たりにするというか、何というか」

32 熱い雫 5/7 :2009/06/04(木) 00:05:26 ID:pCY4kleQ
苦笑すると、すずかは「やっぱり、魔法が使えるとそれなりの悩みもあるんだ」と同意してくれた。
「でも、びっくりしたなあ。私の周り、なのはちゃんもはやてちゃんも魔法が使えるんだもん。
フェイトちゃんも、今考えてみれば納得かも」

すずかは一呼吸置いて、先を続けた。
「ちょっと、寂しかったかな。図書館友達って、はやてちゃんだけだったから」
今でも、たまにすずかと図書館で出会うことはある。
ただ、それは本を介してというよりは学友としての付き合いだった。
「だから、私からのプレゼントは、私とはやてちゃんが出会った、そのお祝い」
そう言って、すずかは薄くて広い包み紙を差し出した。
ちょうど、ノートと同じくらいの大きさ。
「開けてみてもええ?」と聞くと、すずかはニッコリと頷いた。
はらり、と丁寧に包装を取っていくと、そこには一冊の冊子があった。
「絵本?」
手作りなのだろう、見慣れたすずかのイラストが表紙を飾っている。
タヌキと月、それから星が笑っている。
「今、読んでもええ?」
すずかが首肯するので、はやては月明かりの下で絵本を読み始めた。

──あるところに、たぬきさんがいました。
とっても陽気で、月夜の晩にはいつも踊っていました──

そんな書き出しで始まる物語、『まんまるたぬき』は、山の寺に住む、たぬ吉が主人公。
仲間と一緒に、月の出ている夜は踊って歌うのが一番の楽しみだった。
ところがある日、満月の夜に踊っていると、せっかく出ていた月を雲が隠してしまった。
しかも、雨まで降り出してしまってずぶ濡れになってしまう。
山のてっぺんまで上っていって、雨雲にお願いすると、「星を取ってきたら出て行こう」と言われる。
仲間のために、とタヌキは山の中をさんざ探し回り、一かけらのホタル石を見つけると、雨雲へ差し出した。
「まさか本当に見つけてくるとは、あっぱれ」、と雨雲は素直に引き、空にまん丸のお月様が顔を出したのだった。

──そしてたぬきさんたちは、今宵も陽気に踊るのでした。
雨露に濡れた草から、雫がぽたりと落ちました。

「うん、うん」
はやては読み終ると、ほうと息を吐いた。
全体的に、満月の光に照らされた幻想的な風景が漂ってきている。
それでいて、タヌキたちが踊るのはお祭り騒ぎのように盛り上がり、メリハリが利いている。
最後の余韻もいい感じだ。
仲間のためにくじけずに頑張る、そんな意気込みが伝わってくる。
「すごく、すごく面白かったで、すずかちゃん」
お絵描きは少女の嗜みみたいなものだが、物語まで作れるとは思わなかった。
すずかは「ありがとう」というと、ハッと何かを思い出したように立ち上がった。
「私、ちょっとアリサちゃんたちのところに行ってくるね」
そう言うと、サッとベランダから家の中へと戻っていった。
一人残ったはやては、月を見上げた。
雨は降る気配もない。どこかでタヌキが踊っていても、そんなに不思議ではあるまい。
ふと、絵本に目を落とす。

33 熱い雫 6/7 :2009/06/04(木) 00:06:00 ID:pCY4kleQ
すると、最後のページにメモが挟まっているのに気づいた。
可愛い便箋だ。
「何やろ、これ」
ぴらりと開くと、それはすずかからの誕生日メッセージだった。

『はやてちゃん、誕生日おめでとう。これからも仲良くして下さい。
私は、はやてちゃんの明るさが大好きです。
足、治って本当に良かったね。魔法の力だって聞いたけど……呪いが解けたってことなの?
ステキな王子様みたいな人が、はやてちゃんにもいるのかな。
もしまだいないようだったら、私がお祈りします。
はやてちゃんがずっと元気でいてくれることと、王子様が見つかること。
それじゃ、また学校でね。図書館でもお話できるといいな。
          月村すずか』

ぽたり、と雫が便箋の上に落ちた。
理由は分からないし、いつになっても分からなかった。
ただ、気がついたら頬を流れる雫があった。
「うっ……うっ……」
本にまた便箋を挟み込んで、はやては瞳から溢れ出る熱い流れを拭った。
「なんでやろ、悲しくも何ともあらへんのに……」
でも、止まらない。いつまでもいつまでも。
いつまでそうしていたのかは全然記憶にない。
ただ、我に帰った時、隣にはシャマルがいた。
「シャマル」
「はやてちゃん、もう6月とはいえ風邪を引きますよ?」
そう言って、ストールを肩にかけてくれた。
ハンカチを差し出されたので受け取り、目頭を押さえる。
そこから先、シャマルは何も言わない。
ただ、一緒にいてくれている。
「はやてちゃんは、良いお友達を持ちましたね」
月を見上げながら、シャマルはカップを差し出した。
中に入っているのは、琥珀色の紅茶。
「ありがとな、シャマル」
一口飲むと、ほのかな甘みと渋みが口の中に広がった。
聞けば、なのはが皆に振舞ったものだという。
「まあ……私じゃ戦力になりませんから」
シャマルが苦笑する。その顔を見るに、一度失敗して諦めたらしい。
それでも、感謝の念には変わらない。
「なあ、シャマル」
「何ですか?」
「もう少し、このままでもええか」
もう少しだけ、一緒に。

今、はやてはすずかが退席した理由が何となく分かった気がした。
そして、シャマルが来てくれた理由も。

34 熱い雫 7/7 :2009/06/04(木) 00:06:38 ID:pCY4kleQ
「ありがとう、シャマル。凄く、あったかいよ」
心も、身体も。
はやては、シャマルと一緒にいつまでも月を見上げていた。

***

11年後。
「んー、やっぱり修羅場は遠くから見るに限るなあ」
はやては管理局で徹夜していた。が、別段仕事ではない。
ユーノが、部屋でなのはと大喧嘩しているところをリアルタイムで観察しているところだった。
「はやてちゃん……やっぱり隠し撮りはいけないです」
「そうは言うてもなあリイン、この半年以上一度も撤去しないし、っていうかリイン自身見てへん?」
「みっ、見てないです、なのはさんとユーノさんが……あ」
自爆した。
カメラの数は一つや二つではないから、なのはの話とは限らないのだ。
「まー、共犯ってことで。リインも聞く?」
イヤホンの片方を差し出すと、丁度二人の喧嘩が終ったところだった。

『なのは、ごめん。僕が悪かったよ』
『ううん、わたしこそ。ごめんね、あなた』
『なのは……』
『あなた……』

「きゃーっ!!」
叫んだのはリインだった。
仲直り早々、二人はベッドへ倒れ込んでいく。
それにしてもこの夫婦、ノリノリである。
「ダメです、まだ早いのです、えっちなのはいけないと思いますです!」
完全に混乱している。
「じゃあ何で目も背けなければイヤホンもはずさないん?」
はやての一言で、リインはむっつりと押し黙った。
「な、共犯やろ?」

のほほんと茶を啜りながら、二人の痴態を眺めるはやて。
後にリインが証言したところによると、間違いなくタヌキの耳が揺れていたという。

35 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/04(木) 00:09:31 ID:pCY4kleQ
読んでくれてありがとう。
次回はエロくします。

では。

36 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 00:11:38 ID:M8eyt2dw
GJです!

>麦茶+炭酸
メッコールということですか

37 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 05:54:27 ID:iIHYjQAU
んむ、全俺が泣いた

ところで、はやては闇の書事件の一年後には立ててたっけ?

38 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 06:18:57 ID:6acLZzdY
A'sSS03の頃には復学できるぐらいには回復してた
まだ車椅子だが
入局当初も車椅子だったな

そこから一年も経ってれば歩けるようになってるんじゃね

39 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 18:50:01 ID:h0/Pw5Gc
>>36
むしろリトルビール

40 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:15:00 ID:tcyV2bq.
ではちょいと書かせていただきます。


・スカに掴まったリインがユニゾンデバイス量産プラントにされてしまう
・エロ
・フェレットさんと獣姦ユニゾン注意
・オリ出る
・設定捏造注意

41 ちっちゃなママは好きですか? 1 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:16:40 ID:tcyV2bq.
 事はリインフォースⅡがスカリエッティ一味に捕まってしまった事から端を発する。

「ハッハッハッハッ! ついに手に入れたぞ! 古代ベルカ式ユニゾンデバイスを!」
「あわわわわわ…リインを捕まえて一体何をするつもりですか〜?」

 古代ベルカ式ユニゾンデバイスを手に入れた事に喜びを隠せず、思わず興奮するスカリエッティに対し
小動物を入れたりする際に使う小さな檻の中に入れられたリインは目から涙を浮かばせ振るえていた。

「いや…ただ単純に古代ベルカ式ユニゾンデバイスと言うだけならアギトの奴が既にいたのだが…
あいつは正直私に対しては非協力的だからな。その点こっちは………。」

 直後、スカリエッティはリインの閉じ込められた檻を軽く叩き、リインは怖くなって思わず
泣き出してしまった。

「うああああん!! ごめんなさいですごめんなさいです! 言う事聞きますから
乱暴しないでくださいぃぃぃぃ!!」
「ほらこの通り。ちょっと脅せば簡単に言う事聞いてくれる! ここがアギトとは大違いだ。ハッハッハッ!」

 檻の中で身を縮ませ震えるリインを見つめ、スカリエッティは大きな声で笑っていた。

「リインを使って一体何をするつもりですか? 乱暴だけはやめて下さい…。」
「ハハハ…別に乱暴なんてしないさ。ただ古代ベルカ式ユニゾンデバイスに関しての研究に協力してほしいだけだよ。」

 涙を流し、震えながら訪ねるリインに対し、スカリエッティは紳士を装いつつそう答えるが…
その後直ぐに彼は一冊の本を手にしていた。

「我々が独自に入手した古代ベルカ時代の文献によると、ユニゾンデバイスは古代ベルカにおいても量産は
容易な物では無く、ごく一部の人間にのみ所有が可能な希少な存在だったらしいのだが…その一方で、
とあるユニゾンデバイスが多数のユニゾンデバイスを産み出したと言う記録も残っている事が分かった。」
「え? ユニゾンデバイスがユニゾンデバイスを産み出した…ですか?」
「少なくともこの文献には…そうあるな。」

 ユニゾンデバイスに対する既存の常識を打ち破る発見にリインも驚きを隠せないが…

「で、そのユニゾンデバイスはどうやって沢山のユニゾンデバイスを産み出したですか?」
「ふむ。そのユニゾンデバイスが自身から複数の個体を産み出した方法とは…。」
「その方法とは…?」
「その方法とは…フェレットとの獣姦ユニゾン!」
「えええええええええええええええ!?」

 驚愕の事実にリインは思わず絶叫。だがそれも仕方の無い事。フェレットとの獣姦ユニゾンとか
いきなり言われて平常心を維持出来る奴の方が逆に不自然だ。

42 ちっちゃなママは好きですか? 2 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:18:30 ID:tcyV2bq.
「ちょ…ちょっと待って下さいよ! フェレットさんと…ってどういう事ですか!?」
「ふむ。ミッドにおいては淫獣などと呼ばれ、賤しい動物として蔑まされているフェレットも
古代ベルカにおいてはそれはそれは神聖な動物として大切にされていた様でな…。」
「え…。フェレットさんって淫獣とか賤しい動物とか蔑まされてるですか? あんなに可愛いのに…。
リイン初めて知ったです…。」

 さらなる驚愕の事実にリインは驚きを隠せないが、スカリエッティは表情を変えずに文献を読み続けた。

「その古代ベルカ時代に生きていたユニゾンデバイスの一体が何とフェレットと恋に落ち、
そのまま獣姦ユニゾンをやらかして…しかも出来てしまったんだと。」
「え!? 本当に出来ちゃったですか!?」
「あくまでもこの文献の記述では…だがな。それに何故ユニゾンデバイスがフェレットとの間でのみ
子を成せたのかに関しての科学的な解明はなされておらず、謎のままだ。だが、私は科学者だ。
だからこそこの謎に挑みたい。と言う事で……その実験に協力してくれるな!?」
「ええええ!?」

 ここで初めてリインは自分が捕らえられた理由を悟った。スカリエッティは古代ベルカ時代の文献の
記述に則ってリインをフェレットと獣姦ユニゾンさせるつもりだ。

「いいいい嫌です! 嫌です! フェレットさんは可愛くて大好きですけど…獣姦ユニゾンなんて嫌です!
リインはユニゾンデバイスである前に一人の女の子なんですよ!」
「こちらとしても肝心のフェレットが手元に無いから実験のしようが無いからな。」
「ほっ…。」

 リインをフェレットと獣姦ユニゾンさせようと企むスカリエッティだが、肝心のフェレットが
手元に無いと知り、リインはほっと胸を撫で下ろしていたが…そこへクアットロが部屋の中に入って来た。

「ドクタ〜! フェレットを捕まえてきましたよ〜!」
「キューキュー!!」

 クアットロの手には一匹のフェレットが鷲掴みにされており、鳴き声を張り上げながらジタバタと
もがいていたのだが、少し様子が違った。薄黄土色の毛並みと二本のアホ毛の生えたフェレット。
これはユーノがフェレットに変身した状態の姿であり、リインにとって最も馴染み深いフェレットだった。

「キューキュー!」
「ふむ…。フェレットは殆ど鳴き声を発しないはずなのだが…変わったフェレットもいるものだな。
まあ良いだろう。さあフェレットだぞ。獣姦ユニゾン実験の開始だ。」

 スカリエッティはそのフェレットをリインの入れられた檻の中へ入れるが、フェレットはただ
くつろぐだけで何もしようとはしない。

「どうした? 早く獣姦ユニゾンをしろ。」
「無理ですよ。フェレットさんはそんな事をする様なフェレットさんじゃありません。」

 今同じ檻の中に入れられたフェレットの正体がユーノだと分かっているからこそリインはその様な事が言えたが…

43 ちっちゃなママは好きですか? 3 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:19:56 ID:tcyV2bq.
「そうか? ならば仕方が無い。これを見ろ! 動物園等で動物の繁殖を行う際には、その対象となる
動物が交尾を行っている映像を見せて興奮させると言う手を使うそうだが…そのフェレットは
何処まで耐えられるかな?」
「ええ!?」

 なんと言う恐ろしい作戦であろうか。リインとフェレットの直ぐ正面の空間に、フェレット同士の
交尾を映した映像が映し出されていたのである。雌のフェレットの背後から覆い被さり、一心不乱に
腰を動かす雄のフェレットの姿。これは間違い無くフェレットの交尾。

             そして…ついに恐れていた事態が発生するのである!

「キュ…キュゥゥゥゥ………キュゥゥゥゥゥゥ!!」
「キャァァァァ! フェレットさん何をするですかー!?」

 フェレットの交尾の映像を見せ付けられ興奮したフェレットがリインに襲い掛かり、押し倒してしまったのである!
いくら紳士ぶろうともやはり…雄なのであろうか…?

「嫌です嫌です! フェレットさんやめて下さい! こんな形で初めてなんて嫌ですー!!」
「キュー! キュー! キュー!!」

 リインは必死にフェレットから脱しようとするが逃れられず、フェレットはその鋭い爪で
リインの着ていた服を切り裂き、その美しき肢体を露として行く。そしてついに…………

          フェレットの一物が……リインの処女膜を…貫いた!!

「痛ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「キュゥゥゥゥゥ!!」
「おお! ついに獣姦ユニゾンしたぞ! これは美しい! 実に美しい光景だ!」

 フェレットに処女を奪われ泣き叫びよがるリインと、野性の本能に身を任せ腰を突き動かすフェレット。
そしてユニゾンデバイスとフェレットの獣姦ユニゾンに美を感じるスカリエッティの構図は…
シュールとしか言い様が無かった。

「キュー! キュー!」
「フェレットさんやめて下さい! お尻がくすぐったくて…嫌ぁ!」

 フェレットがリインを突けば突く程、モサモサの毛並みがリインのお尻の肌と擦れて
非常にくすぐったい。その為にリインは一物に膣肉を抉られる痛みと尻を擽られる感触を
同時に受けて…泣きたいのか笑いたいのか分からない…なんともいえない感触を感じていた。

「キュー! キュー! キュー!」
「アッ! アンッ! ンアァー!!」

 なおも一心不乱にリインを突き上げ続けるフェレット。もはやリインは喘ぎよがるしか無いが…
そこでとんでも無い事に気付いてしまった。

44 ちっちゃなママは好きですか? 4 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:21:32 ID:tcyV2bq.
「(あ…リイン…もしかして…感じてるんですか? フェレットさんに突かれて…感じてるんですか!?)」

 フェレットが突き上げれば、リインもそれに合わせて腰を動かす。いや…もはやリインの方から
腰を動かしているのかもしれない。そう思っても仕方が無い状況に陥っていたのだ。

「(そんなのダメです! 気をしっかり持つです! 幾ら大好きなフェレットさんが相手でもこれは…。)」

 リインは一生懸命自身に言い聞かせていたが…その時、フェレットの凶暴な一物がリインの膣肉を
抉り、子宮口に強く撃ち込まれた!

「アァ―――――――ッ!! やっぱりダメですー!! 気持ち良過ぎて考えられないですー!!」

 もうダメだった。フェレットが雄であった様に…リインもまたユニゾンデバイスと言えども…雌なのか…。
フェレットが突けば突く程…リインもまた激しく…また淫らに…荒れた。もはや冷静な考えなど出来ない。

「アッ! アッ! アー! アー! アァ―――――――!!」
「キューキューキュー!!」

 そこには二匹の獣の姿しか無かった。大声を張り上げて吼え、互いを食い合うがごとき肢体を貪る…
野獣の姿しか無かった。そしてついに…ついに……ついに…

「リインもうらめれすぅぅぅ! リインもういっしゃうれしゅぅぅぅ! リイン…フェレットさんの
赤ちゃん…産んじゃうれすぅぅぅぅぅぅ!!」

 まるで犬の様に口から舌をだらしなく垂らし、そう叫ぶリインの姿があった。
悲しく残念な事だが…リインはもう…堕ちてしまったのかもしれない。それを悟ったのだろう。
リインの膣肉をえぐるフェレットの一物もまた………

                    ど び ゅ っ !

「んぁ…………。」

 ついにフェレットの精液が…リインの膣内にぶちまけられ…その子宮内をも満たしていた……。
リインとフェレットはそれぞれ体力を使い果たしたのか、崩れ落ちる様に繋がったまま眠りに付いていたが…
その直後、拍手が沸いていた。

「うんうん。ユニゾンデバイスとフェレットと言う種族の壁を越えた愛の姿に…私は感動した!」
「本当…素敵でしたわ…。」

 スカリエッティとクアットロは…目から感動の涙を流し…リインとフェレットに対して拍手を送り続けていた。

45 ちっちゃなママは好きですか? 5 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:23:12 ID:tcyV2bq.
 それからしばらくの時が経過した頃、リインとフェレットは小さな檻の中では無くもっと広い部屋に移され、
そこで一緒に過ごしていたのだが、そんな時にスカリエッティが部屋の中に駆け込んできた。

「喜びたまえ! 検査の結果おめでただと分かったぞ!」
「え………何の冗談ですか…?」
「冗談じゃない! 本当に君はフェレットの子を妊娠したんだ! 古代ベルカ時代の文献の記述は
間違って無かったんだよ! ユニゾンデバイスとフェレットとの間に子供を成す事は可能だったんだ!!」
「ええ!? 本当に…本当に…ですか!?」

 真面目な話、ユニゾンデバイスがフェレットと獣姦ユニゾンして子供を作れる等信じてはいなかった。
普通に考えて信じる方が異常だし、その古代ベルカ時代の文献とやらも眉唾だと考えていたのである。

「そんなの嘘です! 嘘ですよ! リインは信じません! 信じませんよ!」

 リインはフェレットの子を孕んでしまった等、信じなかった。信じたくなかった。
しかし……日に日に大きくなるリインのお腹。お腹の中にいるフェレットの赤ちゃん。
それはリインと言えども信じざるを得ない現実であった…。

「あ…ああ…リイン…ママになっちゃうですか? 産まれて来るのはどっちですか?
フェレットさんが産まれて来るですか? リインみたいなのが産まれて来るですか?
それとも……両方が混ざった様な珍妙なのが産まれて来るですか?」
「キュ〜…。」

 何時産まれても不思議で無い程にまでプックリと膨らんだお腹を摩りながら、リインは不安になっており
フェレットはそんなリインを見守る事しか出来なかった。

 そしてついにリインは産気付き、初めてのお産に挑戦する時が来た! しかもリインは生身の人間では無く
ユニゾンデバイスであり、またフェレットとの間の子供が産まれるのだから…何が起こるか分からない。
少なくとも既存の常識は通じないと考えても良いだろう。そういう点を踏まえ、スカリエッティ・ウーノ・
クアットロの三人もまた緊張の面持ちでリインのお産をサポートするべく出動した。

「ヒッヒッフー! ヒッヒッフー!」
「後少しだ! 頑張りたまえ!」
「そうよ! 頑張りなさい!」

 お産に伴う激痛にリインは何度も挫けそうになりながらも…スカリエッティ等の応援に励まされ…ついに……

「キュー! キュー! キュー!!」
「フェレットが産まれた! フェレットの赤ん坊が産まれたぞ!!」

 リインの膣口から出て来たのは一匹の小さなフェレットの赤ちゃん…………と思ったその時、
そのフェレットの赤ちゃんが光を放つと共に人型…それもリインを男の子にした様な赤ん坊へ変化していた。

「何だ。フェレットの赤ちゃんかと思ったら変身魔法でフェレットになってただけか…。
しかし、生まれながらにこれだけの事が出来るのは凄い事だぞ。」
「おめでとう。これで貴女も今日からちっちゃなママですね。」
「うう…嬉しい様な悲しい様な…不思議な気持ちですけど…ありがとうです…。」

 この後もリインはフェレットとの間に沢山の子供を産んでユニゾンデバイスの普及率アップと
フェレットの淫獣返上&地位向上に大きく貢献する事になるのだが…それはまた別のお話である。

                    おしまい

46 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/04(木) 21:25:17 ID:tcyV2bq.
リインとフェレットのラブストーリーを書こうと思ったらこんな事になっちってスマソ

47 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 21:30:22 ID:gNkSSJaM
GJ!

しかしそれにしても……ユーノ。フェレットの交尾見て興奮するなよ………orz
さすがは淫獣……なのかっ?!

48 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:05:51 ID:gNkSSJaM
なんか、名無しで感想書いた直後というのもアレですが。
日付変わる前にやらなきゃ意味がないので。
投下行きます。

 あぼんはコテか鳥で。

 八神はやて誕生日SS

「いさましいちびの車椅子、ミッドチルダへ行く」

49 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:07:02 ID:gNkSSJaM
    1/5

 車椅子は、ご主人様の帰りをずっと待っていました。
 今日は、ご主人様の誕生日です。
 だけど、ご主人様は帰ってきません。

「おめえのご主人様は、もう大きくなってしまったから、おめえがもういらなくなっちまったんじゃないかな」

 車椅子の横に立てかけられているゲートボールスティックが言いました。

「おめえ、車椅子にしては、ちびだもの」

 そう言われても仕方ありません。だって、ご主人様は小学生だったのですから。車椅子だって、小さいのです。

「そんなことを言うものではござらん」

 スティックの反対側で、竹刀が言います。

「拙者たちのご主人様は、拙者たちを捨てたりはしない。そんな方々ではない。拙者はご主人様たちが帰ってくることを信じているでござるよ」
「でも、もう十年経つんだぜ?」

 スティックが険悪な口調で言い返します。

「棒ッ切れは黙っててくんねえかな」
「棒ではない! 拙者は竹刀でござる!」

 スティックと竹刀はいつも口喧嘩ばかりです。
 そして、それを止めるのはいつもエプロン。

「やめなさいよ、二人とも」

 竹刀の言葉に続いたのは、車椅子に被せられているエプロンです。
 エプロンは竹刀とは仲良しで、五人の中では一番の優しい性格なのです。

「ごめん」
「いや、拙者こそ……」

 スティックと竹刀はお互いに謝ります。二人とも、本当は仲がよいのです。

50 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:07:43 ID:gNkSSJaM

   2/5

 だけど、ご主人様はどこに行ってしまったんだろう。
 車椅子は考えます。
 ご主人様が自分無しでも動けるようになったのはとても良いことだ、と車椅子にはわかっています。だけど、それはそれとしてやっぱり寂しいのです。
 この中では、この家に一番長くいたのは自分です。
 スティックよりも、竹刀よりも、エプロンよりも、そして、彼らのご主人様たちよりも前から、自分はここでご主人様のお役に立っていたのです。

「ご主人様に会いたいよ」

 車椅子が呟くと、皆が黙ってしまいます。

「うん、……会いてえな」
「そうでござるな……」
「私だって!」

 車椅子は考えました。もしかしたら、ご主人様たちはこのお家のことを忘れてしまったのかも知れない。
 だけど、ご主人様はみんな優しい人たちだった。僕たちのことを忘れていたとしても、思い出したらきっと優しくしてくれるはずだ。
 そうだ。忘れているだけなんだ。だったら、僕たちが思い出させてあげれば良いんだ。

「じゃあ、会いに行こう」

 驚いたのは竹刀たちです。
 この車椅子は突然何を言い出すのだろう。ご主人様がいないのに勝手に出歩くなんて、そんなことができるわけがないのです。

「僕は車椅子だから、動くことができるよ。みんな、僕に乗ればいい。落ちないように、エプロンさんに被ってもらえばいい」

 竹刀がふむ、と呟くと長考に入ります。この中では一番頭がいい人なので、皆は黙って竹刀の言葉を待ちます。
 スティックはそわそわと、試しに車椅子に寄りかかってみたりしています。

「そうでござるな」 

 ようやく竹刀が口を開きます。

「このままでも仕方ない。行こうではないか。拙者たちも」

 早速準備の始まりです。
 ご主人様へと旅立つのです。

51 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:08:13 ID:gNkSSJaM
    3/5

 がたがた
 ころころ
 がたころがたころ

「なあ」
「なんですか?」
「ご主人様たちってどこにいるの?」
「えーと……」

 エプロンが言います。

「ミッドチルダって言ってたわよ」
「そっか、ミッドチルダか」

 がたころがたころ

「ねえねえ」
「なあに?」
「ミッドチルダってどこ?」

 ぴたり、と車椅子が止まりました。

「ねえねえ、竹刀さん、知ってる?」
「聞いたこともござらん」
「スティックさんは?」
「知らね」
「じゃあ、エプロンさんは?」
「ごめんなさい。私が知っているのは地名だけよ」

 困ってしまいました。
 だけど、車椅子はめげません。頑張って考えます。

「……どうしよう。せっかくの誕生日なのに」
「車椅子殿、諦めてはいかんでござるぞ。我らの底力、軽視してはならぬ」
「うん。ありがとう、竹刀さん」

 そう。底力。僕たちには底力がある。ご主人様に会いたいという気持ちがある。
 僕たちに不可能はない。絶対に会えるんだ。
 車椅子は、困難に敢然と立ち向かうのです。

52 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:08:53 ID:gNkSSJaM
    4/5

 ここはミッドチルダ
 そして八神家。
 八神はやて誕生日、そしてヴォルケンリッター召喚記念日である。
 当然、家の中は大盛り上がりである。リインがハブられて涙目なのは内緒。
 今日は無礼講。八神家一同、なのは、フェイト、ヴィヴィオ、その他大勢が集まっているのだ。

 スバルが食べる。
 エリオが食べる。
 スバルが食べる。
 ギンガが食べる。
 フェイトが脱ぐ。
 スバルが食べる。
 キャロが微笑む。
 アルトとルキアを間違える。
 スバルが食べる。
 シャーリィがデバイスを抱きしめる。
 ティアナが泣く。
 スバルが食べる。
 ヴィヴィオが聖王化する。
 スバルが食べる。
 カリム萌え。
 スバルが食べる。
 スバルが食べる。
 スバ……

「スバル……。少し、お腹冷やそうか」

 なのはの余興(自称)も終わり、宴も終えて三々五々に帰っていく客たち。
 彼女らを見送り、八神家一同は今に集まっていた。
 シャマルが全員にコーヒーを煎れる。

「それにしても、もう十年ですか」
「そやな。海鳴から離れてそんなになるんやな」
「前の家ってどうなってたっけ?」
「売りに出した訳じゃないから、まだ残っているわよ」
「何かあった時には必要やろし、手放す気はないよ」
「荷物も置いたままですし」

 ザフィーラの言葉に一同がやや俯く。

「いや、あれはもう……」
「うん。ちょっと、必要ないかな……」
「なんていうか、騙されたというか……」
「そやな。あれはいらんな……」

53 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:09:23 ID:gNkSSJaM
     5/5

 宴も終わり、静まりかえった八神家周辺に転移する影が一つ。
 
「ここに、ご主人様がいるんだね」
「うむ。拙者には気配がわかる」
「よっしゃ、あたしらの力、存分に発揮しようじゃねえか」
「そうね。久しぶりだもの」

 そう。車椅子たちです。

「行こう、久しぶりに僕たちの力を見てもらおうよ」
「うむ。全員もいるようだしな」
「へへ、目に物見せてやるぜ」
「ええ、それがいいわ」

 車椅子、拘束調教モード、スタンバイ!
 竹刀、多段双頭バイブ機能、オン!
 ゲートボールスティック、お仕置きお尻パッシングタイプ、セットアップ!
 エプロン、ムチムチぴっちりボディスーツバージョン、チェインジ!

 JS通販謹製製品たちは、全力で八神家を襲撃するのだった。






 お詫び
 タイトルの「いさましいちびの車椅子〜」は、「イヤらしいちびの車椅子〜」の間違いでした。謹んでお詫びし、訂正します。

54 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/06/04(木) 23:10:08 ID:gNkSSJaM

 以上、お粗末様でした


 まとめ管理人様へ
 まとめウィキに収録されている拙作「涙」を、一部改訂して同人誌に収録、この日曜日に即売会に出すことになりました。
 構わなければ、ウィキからは削除していただけないでしょうか。お願いします。

55 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 23:26:33 ID:T3NaT4oM
ちょwww おまwwww

なんという確信犯的な詐欺www
最初は感動ものと思わせておきながら、最後に全てを最高に裏切りやがったwwww
いかん、腹筋がねじ切れそうだwww

GJです!

あと

>>アルトとルキアを間違える
>>カリム萌え

おいw

56 名無しさん@魔法少女 :2009/06/04(木) 23:29:43 ID:T3NaT4oM
というか、今さら気付いたが「ルキア」ってダレだ、別の漫画かww
まさかこれも確信犯かwww

57 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 00:24:26 ID:CT5nU6Co
車椅子が勝手に動ける時点でこのヲチは予想するべきだったwww
茶返せwwwww

58 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 01:11:44 ID:FhIUuOhM
とりあえずフェイトは服を着よう、スバルは食べ過ぎw
ザフィーラ縁の品がないことは伏線だったんだな。おかしいと思ったんだ。
GJ、そしてコーラ返せw

59 マルチマックス :2009/06/05(金) 02:19:13 ID:c/IQzNgU
大変ご無沙汰です。
以前投下していました『復讐鬼』のフェイト陵辱パートを投下したいと思います。

注意
ガチ陵辱、精神崩壊などがあります。

そう言うのはいらないという方はNG登録お願いします。

60 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:22:51 ID:c/IQzNgU
「くぁああああああ!!」

動く人間の姿が消えた場所で、少女の叫び声が空に響く。

男の手が軽く動くと、鞭はまるで意思を持つかのようにフェイトの身体を打ち付ける。
使用者の意思に従って、狙う場所に飛んでいく。
もしくは、逃げる対象を追尾する。
そんな性能を持っているムチではあったが、男はフェイトとの戦いでこれを使用することはなかった。

フェイトのスピードの前には、追尾機能が追いつかない可能性が高かったからだ。

「ええい! いい加減に吐かぬかぁあああ!」

だが、男の目的……フェイトへの拷問にはうってつけの武器となった。
触手に拘束され宙吊りのフェイトの身体が、打たれるたびに左右に激しく揺れる。

バリアジャケットからはみ出した太股や白い腕には、すでにムチの跡が深く刻まれていた。
美しいその顔にも……すでに無数のミミズ腫れが浮き出してしまっている。

「くそ……あの3人もそうだったが、この世界の連中は拷問が効かぬのか?」

管理局と戦うために、男は情報を欲していた。
だが、ベルカの騎士もフェイトも……男の拷問に望む情報を口にすることは決してなかった。

(あの頃の辛さが、こんなところで役に立つなんて……)

ここでムチに打たれているのが、なのはや、はやてならばあるいは拷問に陥落していたかもしれない。
だが、ベルカの騎士が拷問程度で主を裏切るはずもなく……。
ブレシアに受けた数々の虐待の過去があるフェイトも、今のところはその拷問に耐えることができていた。

「しかも、その戦闘服……忌々しい」

拷問に必要なのは力加減だ。
それなのにバリアジャケットの防御力のため、男の与える苦痛はコントロール不可能なものになっていた。

並みのダメージでは軽減され、決定打にならない。
とはいえ、全力で打っては対象を殺してしまうかもしれない。

そのジレンマが男の怒りを増幅していく。

「テスタロッサ……すまん」
「わりぃ。頑張ってくれ……」
「ごめんなさい。今は耐えて……」

同じく触手に拘束されたベルカの騎士もその様子を遠目に見ていた。
フェイトと同じように、その身体に刻まれた多くの傷が拷問の凄まじさを物語っている。

「く、ああああああああああああああああ!!」

拷問は続く……。
どれだけ叫び声をあげようとも……痛みではフェイトの心は折れない。

自分たちの行方不明はいずれ伝わるだろう。
そうなれば……管理局が全力で事態の解決に向かうはずだ。

フェイトが避けなければいけないのは、それまでに男が管理局に有効な手段を駆使することだけだった。
そのときまで耐え切れば……少なくともこの世界は、大切な親友二人はその身を危険に晒されることはないはずだ。

「拷問の方法を変えるか?」

打撃による苦痛が調整不可能となれば、精神を削る方法を考える必要があった。

「水責めがいいか。あれならば、その忌々しい服の防御力も関係あるまい」
「……」

それでも、フェイトは耐え抜く自信があった。
耐え切れないとすれば、心ではなく身体。
最悪、拷問の果てに命を落とすことがあっても……それで仲間を守れるのであれば、フェイトには何の後悔もなかった。

(なのは、はやて……わたし、頑張るからね)

痛む身体を、気力で支えるために大切な存在を思い浮かべる。
きっと、ベルカの騎士達も主を思い、こうやって自分を奮い立たせていたのだろう。

61 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:24:27 ID:c/IQzNgU
「よし。向こうの池まで運べ。底なし沼になっていたはずだ」

これから行われる新たな拷問に、フェイトは身を固くする。
同時に心も固い鎧で覆ってしまう。
そうすれば……男が望む通りにはならない。

だが……。

「んぅ……はぁ……」

触手がフェイトを池まで運ぶために、拘束の形を変えようと身体を滑る。
打撃を与えることを目的としないその動きが、フェイトの股間をさすったとき……。

「む?」

微かに漏れたフェイトの熱い吐息を男は聞き漏らさなかった。

「おい」

男が触手でフェイトを拘束している魔物に目配せをする。
意図を察した魔物は……フェイトの背中の部分につーっと触手を滑らせる。

「ん……」

くすぐったそうに、フェイトが身体をよじるのを確認すると、男は邪悪な笑みを浮かべる。

「なるほど。打撃は防げても……その手の刺激は防げぬか」
「え……?」

「子供だと思ってはいたが……よく見れば中々育っているではないか」
「や、な、何を……」

男がフェイトを見る目が変わったことにフェイトは気がついていた。
フェイトも、年頃の女の子だ。
友達が集まれば、性に関する話をすることだってある。

そのために、男の目に宿った情欲の光の意味を理解できないほど……子供ではなかった。

「そうなると、傷ついたままは好ましくないな……」

男が手をかざすと、フェイトの身体についていた無数の傷があっという間に癒されていく。
治癒魔法の即効性においては、シャマル以上のことが男が「魔法使い」としても高い素質を持つことを示している。

「い、いや……」

だが、そんな分析をする余裕はフェイトにはなかった。
傷が癒え、元の白さを取り戻した肌に美しい顔……。
その全てが……フェイトに新たな危機を告げていた。

「こちらの拷問には耐えられるかな?」

男は酷薄な笑みと共に、魔物に目配せをする。
同時に……魔物から映える触手が、動き出す。

「く……はぁ……」

足を拘束していた触手は、太股を優しくさすりながら、徐々にフェイトのヒップに向かって迫ってくる。
腕を拘束していた触手は、首筋からから肩口をなぞりながら下に下りてくる。

「や、やぁ……ダメ……」

気丈だったフェイトの表情に明らかな怯えが走る。
だが、新たに現れた触手が、手足を再び拘束し、フェイトには自分の身体を這う触手を眺めること以外のことは許されない。

「テスタロッサ! 貴様! 武人に向かって何を!」
「貴様らは後だ! 今は邪魔だ!」

「うわあああああああ!」
「きゃああああああ!」

男の号令一つで、ベルカの騎士達は触手によって遠くへと連れ去られてしまう。

「やつらに見せながら、というのも悪くはないが……うるさいのはごめんだからな」
「あぁ……」

励ましてくれる声さえも途絶えた中。
フェイトへの新たな拷問が再開される。

フェイトの腕に脚に腰に……触手が絡みつき蠢き始める。

「あ、くぅ……っく……あっ! だめ……離して……」

触手の拘束は思いのほか強い。
フェイトは無駄だと分かっていても、懇願するしかなかった。

「離してやってもいいぞ。無論、我の言うことに全て答えると誓うのであれば、だがな」
「そんなこと……できるわけ、ない……」

男の要求には、拒否を貫くフェイトだったが、その瞳は泳いだまま。
戦闘の時も、捕らえられてからも男を鋭くみつめていた眼差しの強さは微塵も感じることが出来ない。

「どうした? あれだけ我慢強かったお前が、今更哀願とは?」
「うぅ……」

再三の鞭による拷問には解放を求めなかったフェイトに明らかな変化が訪れようとしていた。
幼少期の虐待や激しい戦いの中で、痛みには耐えることができたフェイト。
だが……未知の拷問には恐怖が先に立つのも無理からぬことだった。

「それにしても無様だな。雷神のごとき素早さを持ったお前が、この有様とは」

『雷神』。
男がフェイトを例えるために、偶然口にしたのは皮肉にもフェイトの通り名だった。
そのことも、フェイトの屈辱感を倍増させていく。

「く……どうして、この程度の拘束が……」

フェイトは絶望的な状況から逃れようと、身体をよじらせるが何も好転する気配はない。

本来ならばこの程度の触手はフェイトに触れることも叶わず、細切れにされているはずだった。
それなのに、傷つき疲労した彼女には、それを振りほどくことはできなかった。

62 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:25:17 ID:c/IQzNgU
「諦めないことは美徳でもあるが……お前は我に敗れたのだ」

そんなフェイトの様子を男は、底意地の悪い笑みを浮かべながら鑑賞する。

「敗者は敗者らしく……それに相応しい道を歩むが良い!」

男の言葉を合図に、フェイトの前に、新たな二本触手が現れる。。
拘束には十分な数の触手が当てられている。
新たな触手の目的は……フェイトの身体に恥辱の痕を刻むことだけだった。

「や、やぁ……来ないで……」

それは人の手を思わせる動きで、一直線にフェイトの顔に向けて迫ってくる。
フェイトは顔を背けるが、触手はその動きを先読みするがごとく、進行方向へと姿を現してくる。

「っ───!!」

首だけの動きでは逃れられる範囲も限られる。
加えて二本の触手は、片方が常に囮になり、フェイトを追い立てていく。

「ん! ん───!!!」

哀れな獲物は、狩人に逃げ場を塞がれ追い詰められてしまう。
唇に触れる触手の目的はフェイトにも理解できた。

「ん───!!」

せめてもの抵抗に口を固く閉ざすが、二本の触手は、その動きを分担し、巧みにフェイトの口を割っていく。
ついに開かれた隙間はほんの僅か。

だが、触手の片方は、僅かな隙間を通り抜ける猫のように口内への侵入を果たす。

「んん────!!」」

入れなかった方の触手は残念そうに鎌首を下げる。
勝利した触手は、それを合図にしたように、フェイトの口の中で蠢きだしていく。

「ふんん! はうぅん……ちゅ、ふぐ……ぐふ……んぢゅ……!」

敗北した触手はフェイトの顎を押さえ、さらに口内の触手を奥深くへと押し込むアシストをする。
吐き出そうとフェイトは必死にもがくが、進入してきたときより膨れ上がった触手はその動きさえも困難にさせていた。

「んふぅ……ん、ぴちゃ……ん、ちゅ、ぐふ、ふぐ……ん、ぢゅっ!」

口を一杯に満たす触手は生臭く、口の奥から抜けて鼻でそれを感じさせられてしまう。

「ふんん……んちゅ、やめ……はぅ……ちゅぷ、んちゅ……」

喉の奥にまで触手は届き、その声をくぐもらせ助けを求める言葉を完成させない。
何度とない往復の間に、口内の触手はその熱と硬度を増していく。

それはフェイトをより不愉快にさせた。

「んはぁ……んぐ……やだ、んぢゅ……ぐぅ、んちゅ……ん──!!」

飲み込めない唾液が、口の端からあふれ出し頬を伝い白い首筋まで流れていく。
触手の先端からは、まるで人間の剛直のように先走りの汁が溢れ、その唾液と混ざり合う。

「んぐ! げほ、ごほ……ん──!! ぢゅ、げほ……んぐっ!」

食堂にまで達する触手の動きに、何度もむせそうになるが、それさえも許されない。
吐き出されそうになるたびに、触手は膨れ上がりフェイトの口内から出て行くことを拒否し続ける。

「ん、ちゅぷ……れる……ちゅっぷ……んぅ……んちゅ……ん────!!」

顎が外れるギリギリの太さの触手が、やがて焼けるほどの熱さを伴っていく。
口の中を往復する動きとは別に……その先端がびくんと跳ね上がり、フェイトの口内で暴れる。

暴れるに留まらず、その先端からはフェイトの喉の奥を目指して粘性のある液体が放出される。

「ん─────────!!!」

口を隙間なく塞がれている以上、フェイトはそれを嚥下するしかない。
そうしないことには呼吸さえもままならなかった。

63 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:26:01 ID:c/IQzNgU
「ん……ぷは! はぁ、はぁはぁ……」

フェイトが己が吐き出したものを全て飲み干したのを確認すると、触手はようやくその口から出て行く。
その全てが結果としてフェイトに舐め取られ、白濁を発射した痕などどこにも残っていなかった。

「はぁはぁ……」
「どうした? 口が寂しいか?」
「バカなことを……言わないで……」

一度白濁を吐き出して満足したのか、触手はその動きを止めていた。
他の陵辱も全てやんでいるために、ようやく自由になった呼吸が、徐々に落ち着いてくる。

それなのに……。
なぜかフェイトの目は熱く潤んだままだった。

(おかしい。どうしちゃったの? わたし……)

触手から吐き出されたものを飲み込んだ喉が熱い。
それが溜まっているお腹の中はもっと熱い。
その熱は身体中を駆け巡り、フェイトの身体に道の感覚を植えつけていく。

「そうだな。寂しいのは口だけではないのであろう?」
「……っ!」

全て分かっている……男の瞳はそう告げていた。
それは、フェイトの身体に現れだしている変調が男によって仕組まれたことを暗に意味していた。

「な、何をしたの?」
「お前たちの世界では、拷問で自白を強いるときに自白剤というものを使用するそうだな? その代わりだと思ってもらっていい」

一般的には脳や神経を疲労させて正常な判断力を奪い、隠し事や嘘をつくことを困難にする薬を指すことくらいはフェイトでもしっている。

「ま、まさか!!」

男の言葉の意味を探り、たどり着いた答えにフェイトの顔面は蒼白になる。

「ほう。察しがいいな。さすがにここを突き止め単騎で乗り込んでくるだけのことはある」

今、フェイトに与えられようとしているのは……触手による性的な拷問。
フェイトの脳や神経を麻痺させるために、与える『何か』を増幅する効果があると考えるのが妥当だった。

その『何か』の正体は『快楽』であることは火を見るより明らかだった。

「そんな……じゃあ……」
「そういうことだ。通常では決して味わえない……夢のような時間が待っているぞ」

男がぱちんと指を鳴らすと、触手が再び動き出す。
夢は夢でも……これからフェイトに訪れようとしているのは正真正銘の悪夢だった。

64 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:26:49 ID:c/IQzNgU
「あぁ……やぁ……」

身体から湧き上がる感覚に耐えようとするフェイトだったが、それは収まるどころか時間と共に大きくなっていく。
その口からは可愛らしいうめき声が漏れるだけだった。

「怯えも……すぐに快楽に変わる」

動き出した触手が目指す先は、フェイトの双丘だった。
同年代の少女の中では発育はかなりいい方で、身体計測のときなどは男女問わず注目の的になっている。
バリアジャケット越しでも、その膨らみは十分にその存在を誇示していた。

「い、いや……」

触手の先端は濡れそぼり、それは手と言うよりは、太く長い……舌を思わせた。

「くっ……はぁ……あ、ふぅ……」

濡れた触手が触れた箇所のバリアジャケットが、色を変えていく。
やがて、その変化は、膨らみを覆う部分の全てへと及ぶ。

「ん……んっ、ふ、ふぁ、ふぁぁ……っ」

(な、何……こんな感覚……知らない!!)

『感じる』という意味さえ分からないフェイトは、道の感覚に戸惑う。

身を捩じらせるのも困難なほどの拘束のために刺激を逃がすことさえできない。
フェイトはその刺激の全てを身体の中に送り込まれていた。

「く、んっ、はぁ……っ、はぁっ、ふ、ぁ……あっ……あんっ……ぅんっ!」

膨らみが控えめであれば、触手が絡むこともなくあるいはこの拷問の効果は薄かったかもしれない。
だが、豊かな膨らみは触手に自在に絡め取られ、バリアジャケットの上から自在に形を変えられてしまう。

「ひ、きゃうっ! んっ、っふ、ふぁ、ふくぁあっ、ぁあああっ!」

熱い吐息と共に、その膨らみはせり出し、より自己主張をし触手の標的となっていく。

「え……あ、やぁ……な、なに、それ……!!」

触手の先端がすぼまり小さな穴を形成していく。
その穴の形状はすぼめた、人間の唇を思わせた。

事実、それは確かな吸引力を持っている。
そして……吸い付く目標ははっきりとしていた。

「「んっ、んぅ、っふ、んんんぅっ、っふぁ、んっ!」

バリアジャケットの上から、胸を激しく吸われる。
もしも、その下の乳房を見ることができたのなら、痕がしっかりと残っていることだろう。

「ひぅ……っ! あ、あくぅっ、くんっ、んっ、んぅぅっ!」

触手は、その頂を探して吸い付く場所を、徐々に上へと移動させていく。
バリアジャケットの下には、その膨らみを覆う下着がある。

それは触手の目標を隠し、フェイトを守ってくれるはずだった。

「あぁああああ!!!」

それなのに、触手は正確に、バリアジャケットと下着越しにも関わらず、その先端を見つけ出す。
触手の吐き出した液体の催淫作用の影響か……執拗な乳房への愛撫により、下着を突き破らんばかりに目標は膨らんでいた。

「ふ、ふぁ、ふぁあ! あんっ!」

もしも直接吸われたのなら、狂っていたかもしれない。
その中身が裏切っても……フェイトを守る鎧は、まだその役目を果たそうと懸命だった。

65 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:27:33 ID:c/IQzNgU
「ふふふふ。胸ばかりでは、他が寂しかろう」
「え……?」

胸への刺激だけで、手一杯のフェイトに更なる陵辱が襲う。
新たに触手が追加され……フェイトの脚をつま先から登り始めていた。

「んぁ……ん……ふぁ……くぅ……」

胸にある触手と同じく、熱くぬめりを持った触手が進んだ後には道が描かれていく。
その道は、つま先から足首へ……踝を通り、膝へと達していく。

「あ、あ、あん……や……それ以上……はぁ……舐めないで」

舐めるという表現が適切なのかは分からない。
だが、フェイトがそう感じている以上、それに勝る表現はなかった。

「や、はぁ……きもち、悪い……あ、あぁ、っあ!」

すらりと伸びた長い足を、くねらせながらフェイトは嫌悪を口にする。

だが、触手には当然その言葉は届かない。
舐める……というのであれば、触手は涎を流しながら、まるで誘われるように上へと登っていく。

「やめ……あ、はぁ……んぁ……ふぅ……っ!」

太股を通過し、行き止まりの地点で触手は一度動きを止める。

「やだ、見ないで……」

嫌悪を口にしながら同時にフェイトは感じ続けていた。
自分の中の熱い何かが、体内では収まらずにあふれ出していたことを。

触手が作った道と……フェイトから溢れたものが伝ってできた道がやがて繋がってしまう。

「あ、……っ、ひ、あん、あぁあああ!」

道が繋がったのを確認した触手は、その道を遠慮無しに進むと、フェイトの中心を撫で回す。
ぬめっとした生暖かい感触が、バリアジャケット越しにフェイトの秘部に感じられる。

「ひぁあぁんっ!! ふぁ、ふぁああっ!!」

嫌悪しているはずなのに……その口から漏れる声は、ただひたすら甘かった。
催淫効果が、フェイトの奥に眠る情欲を露にしていく。

「や、だ、だめぇ……っ!!」

胸を、秘部を触手が這い回る。
敏感な部分を一斉に刺激されて、フェイトは身体をくねらせ続ける。

「んっ、んぁっ、ふぁ、ひ、ぁ、あ、あ、あぁあああっ!!」

もはや、嫌悪さえも快感の一部とフェイトの身体は認識していた。
それでも、襲ってくる何かを拒絶し、唇を噛み締め、瞳を潤ませながらも耐え忍ぼうとする。

「や、やだぁ……こんなの、いやだぁ……あ、ああ……」

だが、漏れてくる吐息は切なく、聴くものがいたのならそれを虜にするほど淫靡な愛らしさがあった。

「あ、あ、あ、あ、ああっ、っふ、ひゃぅぅぅっ!!

触手のぬめりと、フェイトから湧き出る愛液が混ざり合う。
バリアジャケットから零れ落ちるその雫は……徐々にその割合を逆転させていく。

「だめ……もう、やめ、てぇ……あ、はぁ、あっ……あぁ……」

バリアジャケットの生地さえもふやけてしまうような水気のせいか……。
それとも、植えつけられた快楽に身体が屈したか。

「ぅぅううんっ、ぁああっ、ひ、ひぁ、ひぁああっ!」

股間の触手の蠢きが伝える快楽は、フェイトの脳を焼いていく。
それは、同時に、胸を弄っていた触手にも変化をもたらす。

「え? な、なんで! うそ! やだああああああ!!」

フェイトの絶叫が響き渡る。
バリアジャケット越しに、フェイトの胸に甘噛みを繰り返していた触手。
その触手が、バリアジャケットを引っ張った刹那……。

あれ程強固だった、バリアジャケットのその箇所が引きちぎられたのだった。

「む? これは?」

男にも予想外の事態だった。
だが、触手はその事態を見逃さない。

全身を這い回る触手が、フェイトのバリアジャケットを一斉に引きちぎりにかかる。

「だめぇええええ! これ以上は、だめぇええええ!」

フェイトの言葉に応えたのか、あの一瞬が何かの間違いだったのか。
触手は、それ以上バリアジャケットの引き裂かれた部分を広げることはできなかった。

66 復讐鬼・フェイト編③ :2009/06/05(金) 02:28:32 ID:c/IQzNgU
「たす……かった?」

だが、安堵する暇さえもフェイトには与えられない。
保護するものがなくなった、片方の胸を覆っていた下着が……触手に千切り飛ばされる。

「いやぁああああああああああ!!」

押さえつけられていた乳房が、解放を喜ぶかのように姿を現す。
バリアジャケット越しに見たよりも、ボリュームがある。
その先端は淡い桃色であり、白い肌の中で色づいていた。

「ほう……なかなか可憐だな」
「やだ、見ないで!」

男の素直な感想に、フェイトは首を振る。
その言葉は男に向けられたのか触手に向けられたのか……。

当然そんな懇願は聞き入れられない。

「せいぜい可愛がってやれ」

男の命令に、触手は相次ぐ刺激に形を成してしまっている乳首に、その先端のすぼまりを寄せていく。

「ふぁ、ふぁああっ、ひ、ひぁっ、んっ、んっ、っふ、ふあああんっ!!」

守るものが何一つとしてなくなったそこは、触手の刺激を防ぐことは不可能だった。
押し寄せる快楽は今までの比ではなく……フェイトは抵抗する意思も、身体にこめる力さえも完全に奪われてしまう。

「あっ、はっ、はっ、くっ、んっ、ひ、ひぁぁああっ!」

全ての触手が晒されたフェイトの乳房に集中していく。
先端を押しつぶされ、舐められ、転がされ、甘噛みされ……。
乳房を押しつぶされ、舐められ、吸われ、痕をつけられていく。

「あ、は、はぁっ、ふぁ、あああああああああんっ!!」

もう、何も考えられないフェイトの声が、切迫したものに変わっていく。

「や、やだ、なにこれ、なにこれぇええ!」
「ふはははは。その感覚の意味も知らぬか!」

男は楽しげに、フェイトの様子を眺めて高笑いをする。

「覚えておけ。それが絶頂だ。身体の全てが快楽に染まった……淫らな女の証明だ!」
「違う! そんなことな……あ、は、ど、どうして、あ、あ、こな、いで、あ、はぁああ!」
「初めての絶頂を……触手で迎えるがいい!」

「あ、は、は、やだ、止まって、お願い、あ、はぁ、んく、あぁ……」

止められないことを悟ったのか、フェイトの抵抗する声が徐々に弱々しくなる。
その代わりに、口から出たのは今までで一番大きく……淫らな声だった。

「あ、はぁああ! あああああああああああああああああああああああああああ!!」

ついにやってきた快楽の果てに、フェイトの身体を包んでいたバリアジャケットが光の粒子となり四散していく。

「はぁはぁ……あ、はぁ……」

その下に隠されていた、歳不相応の豊満な肢体が顔を出す。

片方だけ下着に覆われた胸は、荒い息に合わせて上下を繰り返し……。
臀部を覆う白い布からは、あいつぐ絶頂の跡を示すように、愛液が染み出していた。

67 マルチマックス :2009/06/05(金) 02:31:01 ID:c/IQzNgU
本日はここまでになります。
前半部分のみの公開です。
エロになった途端に長くなってしまいました(汗)。

快楽でバリアジャケットが弾ける、というのは復活された暗愚丸さんの作品でもあったのですが……。
変更するのもあれなので、そのままにしてしまいました。

もう後半もほぼ上がっているので、週末には投下できると思います。
よろしくお願いします。

68 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 10:21:36 ID:kU75jf8w
投下乙
凌辱は良い、触手も実に良い。
次回投下も待ってます。

69 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 20:42:59 ID:Ti85.uKM
獣姦ユニゾンwww
新しすぎるだろ

70 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 23:27:59 ID:S5CrNuQc
素敵だ、やはり凌辱はいい
心が洗われるようだ
やっぱりフェイトにはSMが似合う


ところで、理想郷のなのは凌辱SSの続きを待つのは俺だけじゃないはずだ

71 名無しさん@魔法少女 :2009/06/05(金) 23:36:59 ID:2S8kEyKo
やあ、兄弟。フェイトそんは縛られている時が一番輝いていると思うw
ただ、基本的に他所様の話題は出さないのがここでの嗜みではなかったかね?

72 超硬合金 :2009/06/06(土) 08:31:17 ID:21SS2aaU
良い陵辱の後に何ですが、馬鹿話を一本投下させてください。

73 超硬合金 :2009/06/06(土) 08:32:33 ID:21SS2aaU
注意事項
・8ゼスです。
・時代設定はストライカーズSS04です
・オットーが壊れています。
・エロスはありません。
・勢いだけで書いた馬鹿話です。
・タイトルは「向こうは湖畔」です。

74 向こうは湖畔① :2009/06/06(土) 08:33:57 ID:21SS2aaU
「以上がこちらで予定している作戦となります」

 僕の名前はオットー。
 下馬評では一番人気のチンク姉様と同じく、とっても控えめな胸の持ち主で、
僕のリサーチ結果に依れば騎士ゼストのストライクゾーン真っ直中の戦闘機人だ。
 そして、聖王陛下の目の前でドクターといちゃつくウーノ姉様の代わりに、
騎士ゼストに連絡する栄誉を授かった本日のラッキーガールでもある。
 勿論本当なら、胸の前で祈るように両手を握り、歓喜の涙に瞳を潤ませながら
『騎士ゼスト、お慕いしています』
 と、告白したいところではあるけれど、あいにく僕はそういうキャラじゃない。
 だからその代わりに淀みなくドクターの計画を報告し、さりげなくクールビューティーを演出する。

「オットーと言ったな」

 歴戦の強者だけが持つ深みを帯びた騎士ゼストの唇が紡いだ言葉は、あろう事か僕の名前だった。
 実を言えば最後発起動組の僕は、騎士ゼストと直接の面識はほとんど無い。
 それなのに彼は僕の名前を覚えていてくれた。
 これはもう、騎士ゼストが僕の愛に気付いてくれているから以外に考えられない。
 スナイパーG2を買って良かったと心の底から思える。

「はいナンバー8、オットーです…」

 おおマイラバー(予定)、愛しています。
 その思いを込めて僕は彼の名前をそっと囁く。

「…騎士ゼスト」

 だけど彼はつれなかった。

「いつも連絡してくるナンバー1、ウーノはどうした」

 どうして僕の前で他の女の名前を口にするんですか。
 やっぱり胸ですか!
 おっぱいがないとダメなんですか!

75 向こうは湖畔② :2009/06/06(土) 08:35:24 ID:21SS2aaU
 ならいっそ貴方が揉んで大きくしてください。
 騎士ゼストならABC全部どんとこいです。
 て、何を言わせるんですか、エッチ。

「重要作業中に付き手が離せず、若輩の自分が皆さんに連絡する非礼、お詫び申し上げます」

 クールビューティー路線を維持する為に姉をフォローしつつ、
謙虚な自分を積極的にアピール!
 日本語が変な事は気にしない、だってここはミッドチルダだもん。
 そして見つめ合う騎士ゼストと僕。
 二人の視線は絡み合い、互いの体を舐め尽くすぅ…
ああ、ダメです騎士ゼスト、ルーテシアお嬢様が見ています。

「もーイイか、八番。あたし等はお前等の思い通りになんぞ動かないからなぁっ」

 邪魔!
 騎士ゼストと僕の間に這ってくるな、このツルペタ。
 ていうか、そもそも、そのいかにも悪魔ッ娘な羽とかしっぽとか服装とか、
そんな露骨な格好で騎士ゼストを誘惑しようだなんてプライドがないのか!
 あ、騎士ゼスト、勿論貴方が望むなら、裸エプロンだろうとブラジリアン水着だろうと着ますよ?
 でも、恥ずかしいからそういう事は二人だけの時にしてね。

「…了承していますアギトさん。
私はこちらの作戦日時と作業内容をお伝えするようドクターやウーノに命じられただけですので」

 瞬時に、冷静に、論理的に僕はミニマム痴女を論破する。
 解ったらさっさとカメラの前からどいて、騎士ゼストの生映像を僕に見せるんだ。

「うぅぅ」

 論破されたにも関わらず、未だにカメラの前からどかないミニマム痴女の
その根性にだけは敬意を表しつつ、僕はそろそろ我慢が出来なくなってきた。

76 向こうは湖畔③ :2009/06/06(土) 08:36:24 ID:21SS2aaU
「有難う、アギト」

 は!
 まさかルーテシアお嬢様、貴女も騎士ゼストと僕の恋路に立ち塞がろうというのですか!
 ですが、例え貴女が相手でもこの勝負、僕は引くつもりはありません。

「…ルーテシアお嬢様…」

 ルーテシアお嬢様から発せられた宣戦布告に答えるその直前に、騎士ゼストが再び口を開いた。

「こちらも、お前達の邪魔をするつもりはない、だがお前達がこちらの邪魔をするならば…」

 つまり、僕の愛を受け入れてくれるんですね。
 寧ろ「お前は俺のものだ、絶対放さない」宣言ですね!
 勿論です。ウェルカムです。
 貴方と共に歩く事が出来るなら、どんな苦労も厭いません。
 そうだ、ドクターに早速騎士ゼストと結婚する事を報告しよう。

「姉妹達には改めて念押しを、それでは失礼いたします」

 チンク姉様、今まで貴女に嫉妬していました、ごめんなさい。
 オットーは騎士ゼストと幸せになります。



77 超硬合金 :2009/06/06(土) 08:38:04 ID:21SS2aaU
以上になります。
尚、騎士ゼストの好みがオットーの調査通りか否かは不明です。

78 名無しさん@魔法少女 :2009/06/06(土) 12:20:08 ID:xsWJaszs
>>77GJ!
本編のあの会話でよくここまで妄想できたな
オットー×ゼストとか新しくていいね

79 名無しさん@魔法少女 :2009/06/06(土) 14:15:42 ID:mObVbzJE
これは酷いww
GJ!

80 ストラディ :2009/06/06(土) 19:50:33 ID:yIiRtzQI
オットー可愛い!
GJ!

そんななか、流れを読まずに投下です。


・シグナム×ヴァイスです。
・シグナムがネタキャラになってます。
・基本、合意の上でラブラブですが、ヴァイスは最初からシグナムラブ、ではありません。
・設定が変。
・タイトルは『ヴァイスとシグナムin夜の決闘』です。

一つでも引っかかりがある方はスルーしてください。

81 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 1/12 :2009/06/06(土) 19:52:56 ID:yIiRtzQI
 ヘリの整備をしていたヴァイスのもとへやって来たシグナムはいきなり、ヴァイスに言った。

「ヴァイス・グランセニック陸曹。好きだから付き合え」

 ……。
 ちょっと、冷静になろう。いわゆるセルフ少し頭冷やそうか。
 なにが起きたのか、脳内巻き戻しボタンできゅるきゅるっと巻き戻し。
 いきなり整備所にやって来たライトニング02が、慌てて敬礼で出迎えたヴァイスに、直球勝負の言葉をぶつけてきた。

「好きだから付き合え」

 もう一度だけ繰り返しちゃおうかな、とあまりのことに軽く酩酊状態に陥るヴァイスに、シグナムはずずいと顔を近づける。

「なっ、なんすか!?」

 思わず仰け反るヴァイスに、冷静に一言。

「顔が赤いな。風邪でも引いたか」

 誰のせいだよ馬鹿! と思わんでもないが、数歩シグナムから後ずさりしつつ取り繕いの笑顔で答える。

「そ、そんなことないっすよ。あ、そっか。姐さん、冗談言って俺のことからかったんすか。危うく引っかかるところでしたよ。あはは、考えてみたら姐さんが俺のこと好きになるなんてそんなワケないっよねー」

「女が男を好きになるのにワケなどいるか! そして私は女だ!」

 格納庫内に響きわたる逆ギレ? の声。わんわんと残響する中、なんだなんだと同僚たちがこちらを向く。

「始めて見たときから、お前には何か心引かれるものを感じていたんだ。好敵手としてではない、いうなれば生涯の友としての何かをだ」

「そ、それって普通に友なんじゃ……」

「いや、シャマルに相談したら、『それは恋よ、シグナム。シグナムも女の子だったのね〜』といわれた」

(シャマル先生……!)

 嬉しいんだか迷惑なんだか、判断しづらい感情がヴァイスの拳をふるふると震わせる。
 いや、迷惑なはずがない。
 こんな美人に熱烈に告白されるなど、男冥利に尽きるではないか。
 ただちょっと、ヴァイスの趣味とは違っていたけれど。

「お前はどうなのだ。私のこと、どう思う」

「そ、そうっすね」

 正直……、ヴァイスの趣味からは外れていた。だからこそ今まで、彼女のことは「美人で強い、頼もしい上司」としてしか見ていなかったのだが……。

「ティアナか」

「へ!?」

「ティアナなのか。お前の想い人はティアナなのか」

「違いますよ! ティアナはただの妹分で……」

「……そうか」

 背を向けたシグナムの姿が、一瞬にして騎士甲冑に包まれた。
 どこからか流れ来る華麗なピアノの調べ――そして決意を秘めた歌姫の歌声。BGM:Pray 唄・水樹奈々

「ちょい待ちーーーーっ!」

 慌ててヴァイスはシグナムの肩をぐいっと掴んだ。

「どこ行くつもりですか、姐さん!?」

 肩を持って振り向かされたシグナムの、その蒼い瞳は涼しく細められている。

「ちょっとティアナと お 話 し て く る」

(殺る気だ……この女殺る気だ……!)

 内心ガクブルなヴァイスだが、割と男前であると自覚している面をキリリと引き締めて、己より少し低い位置にある烈火の将の蒼い瞳を見つめる。

82 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 2/12 :2009/06/06(土) 19:53:48 ID:yIiRtzQI

「勘違いしないでください、姐さん。俺は確かに妹萌えです。けどそれはティアナだけじゃない……姐さんだって立派に妹じゃないですか!」

「そうか?」

「そうです!」

 言い切ってしまった。冷や汗を背筋に感じつつ、ヴァイスは必死に頭を働かせ言葉を続ける。

「ヴォルケンリッターの方々は八神家っていわれてますよね? ええっと八神隊長がお母さんとして……ザフィーラの旦那がお父さんとして……シグナム姐さんは……シグナム姐さんは……」

 シグナム姐さんは? ……ええと、シグナム姐さんは……なんだろう。ここまで出かかっているのだが……。
 はっ!(ひらめきのSE)

「次女です! 次女です! シャマル先生とヴィータ副隊長との間に挟まれた次女です! 次女は姉であると同時に妹でもありますよ!」

「そ、そうか。なんだか照れるな」

 ぽっと頬を赤らめて視線を落とすシグナム。
 誰かに自慢したい。ヴァイス・グランセニックは、ただ今人知れずティアナの命を守りました。
 まあそれはいいとして――。
 上気した頬で視線を落とすシグナムは、普段の凛々しさが薄まって年相応の、というか推定年齢相応の乙女みたいである。

(こんな美人が俺のこと……)

 単純だが、それだけでヴァイスの心は決定的にシグナムに傾いた。もはや妹系に未練はない。これからはポニーテール萌えで生きていこう、そう決意する。となるとリンディ総務統括官まで……? いや、今は後ろで一つに束ねているんだっけか?
 雑念は捨てよう。目の前のピンク髪の騎士に萌えの全てを捧げるのだ。

「……あ」

 ヴァイスは今さら、シグナムの肩に手を掛けていたこと(それもかなりがっしり掴んでいたこと)を思い出し、慌てて放した。

「す、すいません。俺……」

「うむ。まあその、なんだ。お前の好みも理解した……その好みに私が合点しているということも理解した。それはつまり、私と付き合ってくれる、ということだな?」

「はっ、はい。よろしくお願いしますっ!」

 思わず踵を合わせて敬礼してしまうヴァイスに、シグナムはふっと優しく微笑んだ。

「そう堅くなるな。他人行儀に見えてなんだか悲しいぞ?」

「すみません! ……あ」

 癖で敬礼してしまうヴァイスにふふふと笑いかけ、シグナムはきびすを返した。

「それじゃあな。話はそれだけだ」

 烈火の将はまさに炎の舌が嘗めるがごとくぶわっとヴァイスに襲いかかって、そして去っていってしまった。
 呆然と、彼女が去っていったまばゆい外界を見ているヴァイスの耳に聞こえてくる、同僚たちの囁き声。

「おい、今の。勤務中に告白だと?」

「しかもヴァイスのやつ、受けたぞ」

「いや、受けたっていうか……脅迫に屈したというか……」

 キッ、とヴァイスが睨むと黙ってしまう同僚たち。そして、

「さーて仕事仕事」

 なんて白々しく口にして、持ち場に戻っていってしまう。
 別に脅迫されたから告白を受けたんじゃねえよ、と心の中で毒づくヴァイス。
 好きだった。確かにヴァイスはシグナムのことが好きだった。好きでもない女性を姐さんと呼んで慕うわけがないではないか。
 まさかこんな形で告白されるとは思ってもみなかっただけである(しかも仕事中に)。

83 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 3/12 :2009/06/06(土) 19:54:41 ID:yIiRtzQI
 † † †

 仕事が終わり、宿舎に帰ったヴァイス。
 結局あれ以降、シグナムからの接触はなかった。
 こちらの仕事終わりを待っているのかと思っていたヴァイスは少し拍子抜けした。
 だが考えてみれば、仕事終わりを待ってデートなんてそれどこの恋愛ゲームだよである。
 ヴァイスとシグナムは大人同士だ。それなりの距離感を保ちつつ愛を育む……というのも、まあ悪くはない。
 明日の昼にでも姐さんとその辺の話をすっかー、と考えつつ、風呂上がりのトランクス一丁で歯を磨くヴァイス。
 まずは映画だろうか。いきなりホテルはまずかろう。ショッピング……はてあの烈火の将は買い物で楽しめるのだろうか。
 あの剣の騎士が確実に好きなことといえば……
 ……………………決闘?
 海沿いの公園にいるシグナムを遠くのビルの屋上からストームレイダーで狙い撃ちする自分の幻影が頭をよぎった。
 トリガーを引けば、訓練弾ではない、本気のスナイプショットが放たれる。
 シグナムは当たり前のように一瞬にして騎士甲冑に身を包み、炎をまとったレヴァンティンを振るってスナイプショットを爆散。
 そしてスコープ内の彼女が肉眼では見えないはずのこちらをまっすぐに見つめ、爆風に長いポニーテールをなびかせながらにこっと花のように笑うのだ。
 念話がヴァイスの脳に届く、「なかなかよい弾筋だが、私を仕留めるにはまだまだ力不足だな、ヴァイス」。
 それは果たしてデートといえるのか。
 まあとにかく、全ては明日、シグナムと話し合って決めればいい。決闘の案は冗談めかしていってみよう。一歩間違えれば確実にシグナムを傷つけてしまうから。満面の笑顔で賛成されてもそれはそれで困るし。
 鏡の中の自分の顔は、嫌なデートシュミレーションにもかかわらず嬉しそうである。なんだかんだいって、好きな女性とのデートプランを練るのは楽しいものだ。
 と、その時。
 ピンポーン、と来客を告げるチャイムが鳴った。

「はーい」

 誰だろう、さてはシグナム姐さんと付き合うことになった俺をからかいに来た同僚だな――なんて思ったヴァイスはそのままの格好でドアを開けた。トランクス一丁の歯磨きスタイルで。

「夜分遅くすまん、ヴァイス」

 そこには烈火の将、シグナムがいた。しかも騎士甲冑姿。対するヴァイスは青と白のしましまトランクス一丁、得物は歯ブラシ……。

「ちょっと待ってて下さいっ!」

 歯磨きの泡を飛ばしつつ扉を乱暴に閉めたヴァイスは、大あわてで隊服を着込むともう一度扉を開けた。慌てていたので歯ブラシまで再着している。

「お待たせしました、姐さんっ」

「いや、別に待っていないが」

「何かご用で……いや、ここではなんですから中に入ってください!」

「そうさせてもらう」

 素直に招きに応じるシグナムのうなじを見送りつつ、ヴァイスは歯ブラシを噛みしめていた。
 これから何が起こるというのだろう。
 まさか……決闘……?

84 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 4/12 :2009/06/06(土) 19:55:30 ID:yIiRtzQI
 † † †

 茶を淹れて持っていくと、シグナムはローテーブルについて部屋のあちこちを見回しているところだった。男の一人暮らしが新鮮なのだろう。

「お前の好みか。……ということは、私に似ているのだな」

「へ?」

 シグナムの視線を辿れば、そこには童顔で胸のあまりないグラビアアイドルのビキニ姿……のポスターが。
 ヴァイスはお茶をローテーブルにスマートに供してから、ポスターに手を掛けた。

「そっすねもうそっくりっすよ! もう俺の趣味ど真ん中に打ち抜いてますから姐さんは!」

「ではなぜそれを剥がしている?」

「もう俺の彼女はシグナム姐さんしかいないですから! もういらないんすよ他の娘なんて!」

「そうか……」

 ぽっ、と頬を赤らめるシグナム。ポスターを丸めながらヴァイスは思う、こういうところは手放しに可愛いんだよなあ、と。
 ローテーブルに向かい合って座ったヴァイスは、おずおずと切り出した。

「ところで姐さん、何かご用で……?」

「ああ。早速で悪いが、セックスするぞ」

「……へ?」

 目を白黒してしまうヴァイスに、ごく真面目な顔でシグナムは頷く。

「シャマルに相談したのだ。そうしたら、ヴァイスは人気があるから一刻も早く既成事実を作ってしまうのが得策だ、といわれた」

「そんな焦らんでも……」

 そりゃあ早いところ手を出したい、とは思う。が、それだけの男と思われるのは嫌だ。
 ……というか多分、いや絶対、相談する相手を間違っている。かといって誰に恋の相談などしたものか。意外なところでザフィーラがまともなアドバイスをしそうか。

「不安なんだ」

 シグナムの目は真剣そのものだ。

「ティアナに盗られそうで」

「それだけは絶対にありません」

 即答してしまう。気があるわけではない、彼女には妹を重ねていただけである。声が似ているし……。

「その即答が逆に妖しいな」

 す、と目を細くしてヴァイスを睨むピンク髪の騎士。今にも傍らに置いたレヴァンティンに手が伸びそうだ。

「妖しくないですよ! 俺別に姐さんのこと疑ってませんから。姐さんはせいぜいが殴り飛ばすくらいで、ティアナの頭冷やすことまではしないって俺信じてますから」

「何を言っているのだ?」

「だから、俺は姐さんを信じているんです」

 見つめ合う二人。
 ヴァイスはティアナが紫電一閃を喰らうところを想像した。ティアナは自分のことを凡人などというが、そんなことはない、十分才能溢れる若者である。それでも六課の他の連中と比べたら圧倒的にただの少女である、シグナムの剣など喰らおうものなら……マジで死ぬ。9歳でシグナムたちヴォルケンリッターと対等に渡り合ったというフェイト・T・ハラオウンや高町なのはとは、やっぱり次元が違うのだ。

「俺は……」

 ヴァイスは生唾を呑み込み、言った。嫌な想像で声が掠れていた。

「俺はシグナム姐さんが大好きです」

 だからどうかティアナは助けてあげて下さい、と、これは言葉にはしないが。

85 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 5/12 :2009/06/06(土) 19:56:12 ID:yIiRtzQI

「うむ、まあ、そう見つめるな……疑った私が悪かった」

 ぽそっと呟くシグナムの頬が赤い。
 とりあえずの危機は去った(ティアナの)。
 ほ、と息をつくヴァイスに、彼女は言った。

「ではヴァイス……。早速、お前のレヴァンティンを私の旅の鏡にぶち込んでもらおうか」

 お茶を飲んでいなくてよかったと思う。飲んでいたら吹き出していた。絶対。

「ね、姐さん? 何を言ってらっしゃるんで?」

「うん? こういえば男はその気になるとシャマルから聞いたのだが……」

(シャマル先生……!)

 ヴァイスは膝の上で握った拳をふるふると振るわせた。
 やっぱり相談する人を間違えてます、シグナム姐さん。

「何かおかしかったか?」

 何もかもおかしいですと答えそうになるのをぐっとこらえ、ヴァイスは微笑んだ。

「いえぇ、あまりにもインパクトがアルカンシェル級だったのでびっくりしただけです」

「そうか。私もなにかおかしいと思ったのだ。お前が持っているデバイスはストームレイダーであってレヴァンティンではないからな。私だってクラールヴィントなど持っていない。まったく、シャマルはいい加減だな」

 そういうことじゃあないんすけどね、とヴァイスは思うが口には出さなかった。

「えと……姐さん? じゃあシャワーでも浴びてきますか? 俺、さっき風呂あがったとこですので……」

 セックス自体は嫌ではない。彼女が求めてきたら答えるのが男の役割だ。ティアナに盗られそうで不安だなんて危険な心配、ヴァイスがそっくりぬぐい取ってやればいいのだ。ヴァイスにしかできないやり方で。

「いや、私もここに来る前に身を清めてきたところだ。準備はばっちりだ、来い」

 と籠手をはめた手で胸を叩く烈火の将。

「……あの、姐さん? さっきから何となく気にはなってたんですが……、なんで騎士甲冑着てるんすか?」

「うむ。セックスとは男女の戦いだと聞いた。戦いに挑むとなれば正装するのが相手への礼儀……なあレヴァンティン、お前の主はそれくらいの礼儀は弁えているよな?」

『Ja!』

「……しかしなんですね、相変わらずテンション高いっすねレヴァンティンは」

「まあな。烈火の将の片腕らしいだろ?」

 ニヤリと笑う剣の騎士シグナム。

「それはいいとして、姐さん?」

「なんだ」

「とりあえず、騎士甲冑は解除してくださいね」

「どうしてもか」

「当たり前です」

「だが、これからお前と戦うというのにそれでは……」

「か・い・じょ、お願いします」

「そ、そうか……」

 しゅん、とシグナムの顔から覇気が引っ込んだかと思うと、一瞬にして騎士甲冑が焦げ茶色の制服へと変わった。

「考えてみたらお前はバリアジャケットがないし……私だけ騎士甲冑というのも不公平だよな……」

 不公平も何も、ヘリパイロット兼狙撃手にバリアジャケットなど必要ない。そんなものを編む魔力があるのならターゲットを正確に射抜くことに廻す。
 とまあ、そんなことはいいとして。
 いつもの、職場の格好。奇しくも今、ヴァイスも職場の服を着ている。
 それにもかかわらず、今から使用としているのは、男女の営み。
 今さらながら、ヴァイスの心臓がドックンドックンと大きく鼓動を打ち鳴らしてきた。

「ね、姐さん」

 先ほどとは違う理由で声が掠れている。

「うん? なんだ」

「ベッド……、行きましょうか」

「ああ」

 それを目的に押しかけてきているからだろうか、彼女に迷いはない。この辺りの剛胆さはさすが烈火の将である。

86 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 6/12 :2009/06/06(土) 19:57:28 ID:yIiRtzQI
 † † †

 ヴァイスとシグナムはベッドの縁に並んで腰掛けた。
 それなりに女性経験はあるヴァイスだが、それでも手に汗握った。
 憧れだった女性との性交に際し、嬉しさよりも緊張のほうが勝っているのだ。
 烈火の将、剣の騎士、夜天の書の守護騎士……等々いくつもの二つ名を持つ女性である。しかも美しい。はっきり言ってしまえば、ヴァイスとは格が違う女だ。

「いいんですか、シグナム姐さん。俺なんかと……」

 答えは意外なものだった。

「ダメだ」

「へ?」

 ここまで来ていきなり駄目出しされても……と戸惑うヴァイスの顔を、ものすごく真剣な眼差しで見つめるシグナム。

「雰囲気がなってない。こういうことは雰囲気が大事だと聞いたぞ。シグナム姐さんではなく、シグナムと呼び捨てにしろ」

 目が本気だ。マジだ。
 逆らったらレヴァンティンの錆にされてしまいそうな気がする。
 ええい、ままよ。ヴァイスは腹を決める。

「シグナム……」

 姐さん、と付けたくなるのをぐっとこらえるヴァイス。

「それでいい。それから……」

「なんすか?」

 まだ何か注文があるのかと身構えるヴァイスに、シグナムは恥ずかしそうに言った。

「明かりを消してくれ、ヴァイス」

「かしこまりました」

 そんなことならおやすいご用だった。
 窓の外から街灯の光が漏れ入ってくる。
 その薄暗い中、二人の男女は至近距離で見つめ合う。
 先に動いたのはヴァイスだった。
 そっと、唇で彼女の柔らかい唇を覆う。

「ん……」

 閉じた唇の合間をなぞるヴァイスの舌先に、ヴァイスの意志を読みとったのだろう。
 彼女は唇に入れていた力を抜いた。
 ぬっ、と口内の粘液を保ったまま、ヴァイスの舌がシグナムの唇を割入っていく。

「……ぁ」

 自分が舌を入れている場所から甘い声が漏れてくるのが信じられなかった。
 しばらく舌を舌で味わっていると、シグナムのほうからも舌を絡めてきた。ヴァイスは夢中になって舌に唾液を渡らせて、彼女の口に注ぎ込む。
 二人の顎には、いつの間にか唾液がぬるぬると滴っていた。

「ん、ヴァイス……」

 口を離すと、至近距離からシグナムがうっとりと濡れた瞳でヴァイスを見つめている。

「上手いんだな、キス」

「……シグナムだからっすよ」

 応えながら、そっとシグナムの肩を押してベッドに押し倒していく。
 それから、彼女のボタンに手を掛けて外していく。シグナムは微動だにせずされるがまま、ベッドに仰向けになっていた。
 ブラウスのボタンを全部外して左右へはだけさせると、大きな胸を押し包む白いレースのブラジャーが出てきた。

87 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 7/12 :2009/06/06(土) 19:58:00 ID:yIiRtzQI

「いつも思ってたんすけど……」

 ヴァイスはそっと、レースのブラジャーのカップを押し上げていく。

「姐さんの胸って……凄く、綺麗ですよね。デカいのに張りがあって」

 いろいろとテンパってきたヴァイスの感想は、すでに表現に余裕がない。

「……? お前、私の裸を前にも見たことがあるのか?」

「……………………」

 やぶ蛇だった。
 まさか隊員の変身シーンがロングアーチにより映像に撮られていて、スタッフの不良メガネ(男)が女性隊員の変身シーンだけコレクションしていて、それをたまたま見せてもらったことがあるんだ……なんて正直にいえない。しかも男性隊員の変身シーンはスタッフの不良メガネ(女)によってコレクションされているんだ、なんてこともいえない。なんでエリオきゅん裸にならないのー!? と嘆いていたこともいえない。
 ヴァイスはなにも言わず、行為に没頭することにした。
 紫ブラジャーを上に上げると、ぷるん、と乳がまろび出る。
 ぁ、と小さな声がシグナムの口から漏れ、手が巨乳を隠そうとする。だがヴァイスの手の方が早かった。
 むにむに、と柔らかい乳を揉む手の上に、シグナムのたおやかな手が置かれた。

「ヴァ、ヴァイス……」

 戸惑った女の声。
 ヴァイスの耳には、それは届かなかった。聴覚が遮断され、すべては視覚と触覚にまわされていた。あまりにもシグナムの胸が大きくて、柔らかかったからだ。
 手に余る大きさの脂肪のカタマリが、ヴァイスの手に合わせて形を変える。そっと周囲から撫でるように触ればぷるんと震え、ぐにゅっと掴むように握れば、手荒い扱いから逃げようとするかのように細長くなる。
 そして、先端にある桜色の突起は……まるでめしべのように愛らしく揺れている。
 めしべに誘われるまま、ヴァイスはそれを口に含んだ。

「ヴァイス、そんな……んっ!」

 半身を起こしてあらがおうとするシグナムを男の力で押さえつけ、ヴァイスは突起を舌でつつく。

「あん、だ、ダメ……っ! そんなこと、したら……っ!」

 オクターブ上の可愛らしい声で抵抗するシグナムに、ヴァイスは突起から口を放さず答えた。

「可愛いっすよ、シグナム。乳首こんな堅くして……」

「ち、ちがっ……」

「こっちは……?」

 そっと、手を下に持っていくヴァイス。
 気付いたシグナムが足をきつく閉じるが、ヴァイスはスカートの中に手を入れてその力んだ股を撫で、ストッキング特有のざらついた布の感覚を楽しみながらゆっくりと上へと手を滑らせる。
 シグナムの腹を引っ掻かないように気を付けながら、ぴったり肌に張り付いたショーツの中へと手を潜り込ませ――

 ぬるっ

「んっ」

「シグナム……」

 ヴァイスは中指の腹に力を入れ、すでにべちょべちょといってもいいくらい濡れているそこをまさぐった。

「下着の替え……持ってきてますか?」

「持ってきてない……っ」

「じゃ、すぐに脱いだ方がいいっすね、これ」

 ヴァイスはパンツの中に入れいていた手を出し、端っこに指をかけてストッキングごと引き下ろそうとする。

「待て! いまビリっていったぞ」

「え、そうっすか?」

「自分で脱ぐ。そんな乱暴にするな」

「すんません……」

 ヴァイスは素直に手を引いた。どうも、興奮しすぎて力の入れ具合を調節できなくなっているようだ。
 シグナムが脱いでいる間に、ヴァイスも服を脱ぐ。
 全裸になって振り返ると……ベッドの上にはパンツどころか何も身につけていないシグナムがいた。

88 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 8/12 :2009/06/06(土) 19:58:46 ID:yIiRtzQI

 薄暗がりの中、彼女の裸はまるで花にひっそりと咲いていた。白く、ふっくらとした美しい花。しかも降ろしたピンク髪が肩にかかって、まるで別人のような……柔らかさだった。
 ヴァイスはガツンと殴られたような気になる。

「シ、シグナム……」

「ああ。ついでに全部脱いだ。このほうが手間がなくていいだろう?」

 照れはない。あくまでも大真面目な顔をしている。
 ふらふらとベッドに上がったヴァイスは、そのままの勢いでシグナムに抱きついた。

「ヴァイス……?」

「可愛い……可愛いっすよ、シグナム姐さん。なんでこんな可愛いんすか」

 ぎゅっ、と抱きしめれば適度な弾力が帰ってくる柔らかい腕。ヴァイスの堅い胸板が押しつぶす、柔らかくて大きな乳房。

「可愛いといわれたのは初めてだな。綺麗とか美人とかはいわれたことはあるが……一番多いのは『格好いい』だが」

「姐さん……可愛いっす……誰がなんといおうと……姐さんは可愛いっす」

 すでにシグナムを呼びつけにすることを忘れている。シグナムにしてももう注意しない。
 シグナムの『女』の匂いがヴァイスの身体を溶かしていく。
 うなじからほんわりと汗の匂いがする。香水の香りがしないのは質実剛健な烈火の将である彼女らしい。髪から立つフローラルな優しい香りは、きっとシャンプーだ。身を清めてきた、とかいっていたし。
 ヴァイスは抱きついたまま、手を彼女の閉じられた足の間へと滑り込ませる。

「んっ」

 びくんっ、と帰ってくる反応を、ヴァイスは抱きしめて吸収してしまう。
 奥へ奥へ、今度は先ほどよりももっと奥へ……。
 入り口に指を少しだけ入れると、ぷちゅ……と密やかな粘液の音がする。

「あ……んん……」

 シグナムの甘い声を聞きながら、ヴァイスはさらに指を沈めていく。ぬるぬるの柔肉が、ヴァイスの指にきゅぅっと喰いついてくる。

「姐さんのココ……すげえうまそうに俺の指しゃぶってますよ」

「そ、そうなのか……?」

「はい。だからもっと……気持ちよくしてあげますね」

 言いながら、ヴァイスは指を動かしはじめた。はじめはゆっくり、シグナムの様子を見ながら。徐々に、じゅぷっ、じゅぷっ、と粘液の音が濃くなっていく。
 潤いはすでにヴァイスの手を滴り落ち、シーツに染みを作っていた。

「そろそろ……いいすか、姐さん……」

「ああ……。……その、私……経験ないから、お前が気持ちよくなれるかどうか……保証はしないが……」

「俺の心配なんかしないでください。ああもう、思いっきり優しくしますから。シグナム姐さんこそ、無理っぽかったら言ってくださいよ?」

「ああ……」

89 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 9/12 :2009/06/06(土) 19:59:29 ID:yIiRtzQI
 一端身体を放し、シグナムを寝かせる。そしてシグナムのそこに己の先端をあてがったヴァイスは、ゆっくりと腰を前に進めていく。
 ぬるぬるの愛液に助けられ、とても入りそうにないそこにヴァイスは入っていく。

「……んっ、ぅ……!」

「痛いすか、姐さん?」

「ううん、平気……あ、ん……」

 本当に、シグナムの嬌声には痛みが入っていないように聞こえる。
 ひょっとしたら……とヴァイスは思う。幼い頃から激しいスポーツをしていた女性は、自然と処女膜が破れていることも多いという。足を大きく開く競技なんかに多いと聞く。スポーツではないが激しすぎる動きをしてきた烈火の将なら、自然と破れていたとしても不思議はない。
 ちょっと残念だったかな、シグナム姐さんの処女膜破りたかったかも……などと身勝手なことをちらっと思うヴァイスだった。
 ぎちぎちの膣に、全てが収まった。

「あ、ふっ……」

 処女膜が破れる痛みはなかったにせよ、初めての感覚は相当ショックなようである。シグナムの瞳にはいつしか涙が溜まっていた。

「姐さん……やっぱ痛いんすか?」

「いや……? 気持ちいいぞ……。ヴァイスはどうだ? 私のは、その、具合はどうだ?」

「最高ですよ。熱くてきつくて……ああ、なんかもう、溶けそう。動かしていいすか?」

「ああ……」

 シグナムのお許しをもらったところで、ヴァイスは晴れて腰を動かしはじめた。
 最初はゆっくり、慣らすように。
 にゅう、と入らないようなところに無理矢理に入り、にゅうっ、と押し出される。凄まじい膣圧だ。そのくせ妙に優しくヴァイスを包み込む。
 それをだんだん、リズミカルに。

「ん、あ、ヴァイス……!」

 ヴァイスが奥をえぐるたびにシグナムの口から喘ぎ声が漏れる。

「姐さん……!」

 ヴァイスは誘われるように、その口に自分の唇を重ねた。
 遠慮なく舌を入れ、ちゅく、ちゅく、と彼女の唾液を吸う。

「ん、はあっ!」

 シグナムが大きな喘ぎ声をあげた拍子に唇が離れた。
 ぷるん、とヴァイスの胸板に伝わってくる重量感たっぷりな柔らかい乳房。
 ヴァイスは自然と、その揺れる乳房を荒く掴んだ。ほぼ無意識につんと尖った乳首を口に含み、舌先でつつく。

「んんっ!!」

 きゅうぅぅっ、と今までにないほど締め付けがきつくなる。それだけでイってしまいそうに
なるが、男のプライドで耐える。

「……姐さん、ひょっとして……。胸、弱いんすか?」

「分からない……だが、なんというか……鍛えられてはいると思う……」

90 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 10/12 :2009/06/06(土) 20:00:32 ID:yIiRtzQI
 噂に聞く八神はやてのセクハラで、だろうか。
 まあ、胸が弱いのは好都合だから細かいところまでは考えないようにしよう。
 ヴァイスはそう決めると、また腰を動かしはじめた。

「んっ、やっ、あっ……」

 甘くとろける声。
 そして、
 ヴァイスは手で大きくて柔らかい胸を掴み、

「やっ、ヴァイスぅ!!」

 ベロベロと、猫が毛繕いをするように丁寧に、卑猥に乳首をなめ回す。こりっと充血した乳首は舌で押すと、「もっとして」といわんばかりの反発をヴァイスの舌に伝えてくる。ご希望にお答えしようと、ヴァイスは舌で普通になめたり横で押したり、裏側を使ってこりんっと転がしてみたり。

「あっ、やっ、だめっ、そん、なっ!」

 口では反発しているがシグナムのなかは嬉しそうにとろけきり、ぎゅうううっとヴァイスを締め上げている。
 ヴァイスは一端舌を引っ込め、

 ぷっくりと勃った可愛らしい先端を、

 軽く歯で噛んだ。

「〜〜〜〜〜っっっっっっ!!」

 シグナムの身体がびくんっとしなった。
 じゅわ、とヴァイスに絡みつく粘液の量が一気に増える。
 締め付けがきつい。これだけ溢れているのに動かすのが辛いくらいだ。
 もちろん、ヴァイスにしても限界である。

「姐さん、俺もうイク……! イっていいすか、俺、イっていいすか?」

「んっ、イって……、イって、ヴァイスぅ!」

 熱に浮かされたうわごとのように、シグナムは言う。
 OKをもらい、ヴァイスはいよいよ腰を早めていく。我慢していた快感を一気に爆発させるために。

「くっ、あっ、ん、やっ、また……ん、イっ、イっちゃうぅ、イっちゃうの、またっ、だめヴァイス、ヴァイス、や、ふぁあああああああああああっ!!」

「っく……!」

 シグナムの肩を堅く抱きしめ、一際強く腰を打ち付けたヴァイスは、最後の一滴までシグナムの最奥へと注ぎ込んだ……。

91 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 11/12 :2009/06/06(土) 20:01:09 ID:yIiRtzQI

 † † †

「ヴァイス陸曹、シグナム副隊長とつきあってるんでしょ?」

 そんなことをティアナに言われたのは、シグナムとの熱い一戦が繰り広げられた翌日の昼、食堂でのことだった。
 昨夜は熱かった。ある意味決闘だった。
 なかに出してしまったことを土下座して謝るヴァイスに、気にするな、だがもし妊娠したら責任は取れよ? と好漢っぽくシグナムは笑いかけてくれた。
 もう、ヴァイスとしては全力で責任をとる所存になった。というか、是非責任をとらせていただきたかった。
 あまりにも気負いすぎたのだろう。その夜の夢は、シグナムと結婚して子どもを3人もうけ、管理局を引退してから静かな世界に引っ込んで静かに老後を過ごすかと思ったら何故かピンクのポニーテールをした巨大ロボにシグナムと一緒に乗り込んで二人で息を合わせて紫電一閃をかますというワケの分からないダイナミックなものであった。
 とにかく、ティアナにいきなりシグナムとの仲についてぶつけられたヴァイスは(昨夜のことを思い出し)、思わず飲んでいた水を吐き出しそうになった。

「ティ、ティアナっ、な、なななななんでそれを……!?」

「だってその噂でもちきりですよ機動六課は。すっごく男らしい告白だったって、シグナム副隊長」

 スバルやエリオに比べると小食な彼女は、トレーに載せたパンを丁寧にちぎって食べて、微笑んでいる。
 筒抜けだった。

「ったく、ここはハイスクールかよ……!」

「でも残念だなー。あたし、少しヴァイス先輩のこといいなーって思ってたんですよ?」

 実のところ、好み的にはヴァイスもティアナ派だった。だが好み以前にもうヴァイスはシグナムなしでは生きていけない身体になってしまった。
 自分の生命はシグナムのために。そしていずれ生まれくる命のために。それがとても誇らしい。なんだか大人として一皮剥けた気分だ。
 それでもヴァイスは軽口を叩かずにはいられない。そういう自分に『成長』してしまった照れもある。

「はは……そいつは光栄だな。浮気でもするか?」

「あ、シグナム副隊長」

 ティアナの視線はヴァイスの肩越し注がれていた。
 古典的な引っかけだ。真面目で堅物として通っているティアナだが、やはりまだまだ十代の子供。しかも、イタズラし慣れていないためかレベルが低い。

「またまた〜……っ!?」

 笑って応じるヴァイスの首元にレヴァンティンの鋭利な刃が。普通刃は冷たいものだが、なんだかこの刀身からは熱が伝わってくる。
 そしてヴァイスでも分かるような殺気が、背後から。これは騎士甲冑着込んでるな、と他人事のようにヴァイスは思った。というか本当にいた。

「いい度胸だな、ヴァイス」

92 ヴァイスとシグナムin夜の決闘 12/12 :2009/06/06(土) 20:01:42 ID:yIiRtzQI

 深く落ち着いた剣の騎士シグナムの声。
 今朝起きると、ヴァイスの部屋にシグナムはいなかった。
 かわりに書き置きがローテーブルの上にあった。『先に出勤します。昨日はよかったよ(はぁと) もう、ヴァイス君のえっち(はぁと)』――たぶんシャマルにアドバイスされたのだろうことがまるわかりな、ぜんぜんキャラに似合わない書き置きだった。
 そのシグナムが、いま、背後にいる……。

「英雄色を好む、か……。そうだ、お前が真に英雄かどうかこの私が確かめてやろう」

「た、確かめるって?」

 前を向いたまま、顔を蒼くして聞くヴァイス。

「私に勝てば、お前を英雄の器として認める。英雄ならば浮気の一つもするものだ。だが私に勝てぬとなれば話は別、お前は英雄などではない、つまり私のことを裏切る器ではない。これほどはっきりしたこともないだろう?」

「え……、ま、待ってくださいよ。今のはただの冗談ですって……おいティアナ、黙ってないでフォローしろよ……っていねええええ!?」

 がっ! と襟首を捕まれて、椅子から立ち上がらせられるヴァイス。

「いい決闘日よりだな……そう思わんか、ヴァイス」

 襟首を捕まれて引きずられるヴァイスが見たのは、シグナムが見た空と同じ。
 それは、哀しいくらいの蒼穹で。まるで、ヴァイスが心から愛することを誓った、美しく凛とした女の瞳のように美しく澄んでいて。

「ってちょっと待った待ってくれ姐さん! けっ、決闘って……?」

 ターゲットから見えない場所から狙ってこその狙撃である。気付かれずに撃ってこその狙撃である。
 その狙撃手の自分と、剣の騎士シグナムがどうやって決闘などするというのか。昨夜妄想したデートでも、ヴァイスは圧倒的に不利だった。
 それともヘリパイロットとしての腕での決闘か。

「ストームレイダー……」

「ストームレイダーで、ヘリ遠隔操作すりゃあいいんすか!?」

「とレヴァンティンで殴り合う」

「決闘になるレベルじゃねえよそれ!」

 =英雄の器じゃないこと決定。

「なにを謙遜する、元エース」

「分野が違うっっっっっっっっ!!!」

 抗議も虚しく、昼食をとる人々の間を引きずられていくヴァイス。
 長いピンクのポニーテールがふわりとヴァイスの鼻先を掠め、昨日の残り香のような甘い匂いがした。
 ふと、ピンク髪を下ろしたシグナムの白い裸身が瞼に浮かぶ。デカかったなあ……としみじみ思う。しかも感度抜群だ。
 そんな彼女が相手なら、一回くらい死んでみるのも悪くないかもしれない。
 だが、それでも青い空を見上げながら爽やかに白い歯をこぼさずにはいられなかった。

(俺を見捨てた借りはいつか返すぜ、ティアナ……)

 青い空に描き出された笑顔のティアナの幻想を横切って、きらり、と流れ星が落ちていった。




終わり

93 ストラディ :2009/06/06(土) 20:02:36 ID:yIiRtzQI
以上です。

最初、sage忘れてました。
すいません。

94 名無しさん@魔法少女 :2009/06/06(土) 21:11:37 ID:M/OWKvIU
>>93
GJ!!
本当はティアシグ派なんだが、コミカルな文体が面白くてつい読んでしまったw
コテからして氏は初投下だよな?このスレではアブノーマル物じゃなくても18禁シーン
含む場合は一応、「エロあり」と注意書き(>>1参照)に入れたほうが良いんだぜー

95 名無しさん@魔法少女 :2009/06/06(土) 21:51:24 ID:s5SFgBu.
ヴァイシグ! ヴァイシグ!
大好きなヴァイシグの、しかもエロきたー!!

>>「ヴァイス・グランセニック陸曹。好きだから付き合え」

初っ端からしてこの台詞で吹いたwww
もう何がヤバイって、ある種天然な姐さんが可愛すぎるwww
そしてベッドの上での可憐な反応とのギャップがまた、なんとも……

最高に面白かったぜ! GJッッ!!


新規職人さんの投下、実に喜ばしいっす。
是非ともこれからもこのスレを盛り上げていきましょうぜ。

96 ストラディ :2009/06/06(土) 22:31:36 ID:q3THmFTc
>>94
うは、すいません。以降気を付けます。

>>95
はい、新規です。
シグナム好きなんで妄想してたらかなり馬鹿になってしまいました。


面白がってもらえたみたいで、とても嬉しいです。

97 名無しさん@魔法少女 :2009/06/06(土) 23:49:55 ID:Pvrt9baI
>>ストラディ氏
GJ、これは良いヴァイシグ
二人の決闘がすったもんだの挙げ句エロい決闘になりそうな気がするのは何故なんだぜ?

>ええっと八神隊長がお母さんとして……ザフィーラの旦那がお父さんとして

何やら妙にビビッときた!!kwsk!!そこんとこkwsk!!

98 名無しさん@魔法少女 :2009/06/07(日) 00:22:51 ID:PjZUzPCQ
はやて×ザフィーラか………疼くぜ……

99 マルチマックス :2009/06/07(日) 04:22:27 ID:kM1gdyL.
誰もいない時間にこっそりと、『復讐鬼』続編を投下したいと思います。
陵辱あり。精神崩壊系ありです。
そういうのいらない人はスルーをお願いします。

それでは投下開始します。

100 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:24:44 ID:kM1gdyL.
「やはりこうなったか」

途中……触手がバリアジャケットを引き裂けた瞬間から確信していた。

バリアジャケットは、使用者の魔力で構築されたもの。
魔力を注ぎ込めない状況では大幅に強度を落とし、さらには微細な要素による構築が不可能となる。

その果てが、たった今起こったバリアジャケットの消失だった。

「女の魔法使いにはこれ程敗北を認識させられることはあるまい……」

相次ぐ快楽によって、魔力を込められなくなりその下の肢体が晒される。
その瞬間は、抵抗の意志さえも奪われる程の絶望が心を砕いていくことだろう。

「あ、あぁ……」

それは目の前の少女……フェイトにとっても例外ではなかった。

まだ、自分の状況が分かっていないかのように、虚ろな目で周りを見ている。
その身体には一切の力が篭っていない。
触手の支えがなければ、そのまま地面に崩れ落ちていくに違いなかった。

(今なら記憶読み取りの魔法も成功するかもしれんが……)

人の記憶を読み取る魔法は、男をしても困難だ。
ほんの少しの抵抗で、失敗してしまうほどデリケートなものであり……。
それがフェイトほどの魔法使いなら事実上は、使用は不可能だった。

正体を失っている今のフェイトならば話は別かもしれない。
だが、男はそれを潔しとしなかった。

「そんな楽に吐かせては……我の復讐は完成せぬ」

苦痛を与え続け、その果てに懇願させて仲間を売り渡す情報を言わせる。
死さえも生ぬるい絶望にフェイトを叩き落すために、男が望むのはその結末だった。

「今なら、それ程拷問も難しくはないのだが……」

バリアジャケットの防御力が期待できない以上、男はフェイトに与える打撃をコントロールできる。
生かさず殺さず、最大限の苦痛をその身に刻むことはそれ程難しいことではない。

「それでも、お前の心は折れぬであろうな」

男は、バリアジャケットを纏っていた頃のフェイトの姿を思い出す。
ムチにその身をどれだけ削られても、一切消えることのなかった意思の光を消すことは困難だった。

「だが……この先はどうかな?」

あれだけ強かったフェイトの瞳に宿った意思の光が、今は消えかけている。
フェイトに必要な拷問が、何であるかは考えるまでもない。

「ふむ。やはりよく育っている」

男がフェイトに近寄り、肩紐のおかげでかろうじて引っかかっていたフェイトのブラを千切り飛ばす。
数々の愛撫にせり出した乳房は、まるで飛び出してくるかのように男の前に現れる。

101 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:26:05 ID:kM1gdyL.
そこでようやく、フェイトの混濁した意識が回復していく。

「や……な、何っ!」

男の手にある無残に引き裂かれた自分の下着を見て、自分の今の姿を悟る。

「そんな……バリアジャケットは?」
「それすら気づいていなかったか」

触手による陵辱の終盤は、完全に自分の意識を手放していたことを、男もフェイトも今更思い知る。

「やだ……見ないで……」

早熟な乳房を隠そうとするが、腕は触手に絡め取られている。
身体をよじって男の視線を避けようにも、宙吊りの状態で動かせる範囲はあまりに狭かった。

「構わぬぞ? お前が我に有益な情報を与えれば、いつでもやめてやる」
「……っ!」

男の言葉にフェイトは唇を噛み締める。
陵辱され、快楽に自分を守る鎧を消されてもなお……。
フェイトには、仲間を思いやる心という鎧が残されていた。

「お断りします……」

瞳は意思の光を取り戻し……男からの取引はその全身で否定する。

「ふふふふ。そうでなければ面白くない」

男は楽しげに言うと、フェイトのほんのりと紅潮した双丘にゆっくりと手を伸ばしてくる。

「っ……!!」

触れられる予感に、フェイトはその身を固くする。
だが、身体の全てを固くできるわけではない。

男の手が向かった先は、柔らかさを保ったまま……形を自在に変えさせられていく。

「あ……あっ、ふぅ……っ、ふぁ、あっ、んっ、っくぅ……」

男の手が沈み込むと、フェイトの口から声が漏れる。
触手に覚えさせられた快感は、すぐに呼び覚まされ身体の力が抜けていく。

「あうぅっ!」

先端を摘まれると、刺激は衝撃と言っていいものに変わる。
ぐわんぐわんと、身体の全てに響いて自分が今どこで何をしているかさえも怪しくなっていく。

このままだと、取り返しのつかないことになってしまう……脳は立て続けに警鐘を鳴らすがそれはフェイトの身体には届かない。

「もう……やめて……」

息も絶え絶えのフェイトの懇願は当然聞き入れられない。
五本の指が、胸をこねる感覚に、フェイトは目を閉じたまま翻弄されていく。

「ん、んぅ……っ、っふ、くぅっ、んっ、はっ、あっ、あっ、はぁっ」

片方の乳房は、触手にも散々弄られ、嫌悪感と共に強制的に快楽を送り込まれた。
それと比較してしまうからだろうか?

望んでいないはずの行為なのに……どこか安心した気持ちでその指を受け入れてしまっていることにフェイトは気がついていない。
相手が人間の姿であるというだけで、警戒のランクが下がり、その分大きな快楽を素直に受け入れていた。

「え? あ……っ、ふぁああっ!!」

突然胸の先端に走った新たな刺激にフェイトは目を開ける。

「そ……んな、吸っちゃ……だめっ!」

胸を先端ごと強く吸われ、舌先で舐められ甘噛みされると、声が抑えきれない。
快感の強さは、触手相手の比ではなかった。

「っく、ふ、ぁ、ああっ、っく、ふっ、ぅんっ、んっ、んくぅぅっ!」

胸の愛撫を両手に任せて、男の唇はフェイトの身体中を移動していく。
首筋、鎖骨、わき腹、臍……。
触れた箇所全てに赤い印が増えていき、その印からは疼くような刺激がフェイトの身体に伝えられていく。

102 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:26:56 ID:kM1gdyL.
「では、そろそろここか……」

臍から唇が離れたとき、男の視線が次に注がれた場所は、フェイトの腰を覆うショーツだった。
胸を触っていた手の片方が、そこに向かって恐怖感を増幅させるようにゆっくりと降りてくる。

「そっ、そこは……! 触らな……あ、はぅううううっ!!」

フェイトの抗議の言葉が完成するより早く、男の指がショーツの上に達してそれは中断される。

「よく濡れている。そんなに感じたか」
「そ、そんなこと……ない」

触手の愛撫ですでに潤いきっていたそこは、軽く押されるだけで愛液が染み出してしまう。
目をそむけてのフェイトの言葉には少しも説得力が伴わなかった。

「これ程とろけさせて……むしろ触って欲しいのではないか?」
「ちがっ! 違う! 絶対に……いやっ!」

「強情だな。ならば、その身体で証明してやろう」

男の指が割れ目をショーツ越しになぞりあげる度に、水音がはっきりと聞こえた。

「くぅぅっ、うぁ、あっ、ああっ、ひぁああっ!」

認めたくない……そんなフェイトの気持ちも染み出し続ける愛液に流されていくようだった。
男に触られる度に、身体は大きく震え、強張っては弛緩することを繰り返し続ける。

「ひ……あ、っくぅんっ、あああっ!!」

バリアジャケットを消失させるほどの快楽は、もうフェイトの身体に刻み込まれていた。
男の手が、触手が身体を触れるたびにそれを呼び覚まされ、心さえも蝕んでいく。

「あっ、あっ、あぅ……! も、もう……やめっ……て……」
「やめて良いのか? お前の身体はそうは言っていないようだが?」

男の嘲笑混じりの声も、フェイトの耳には届かなくなっていく。

「はあっ、はあっ、うんっ……はぁぁ…」

フェイトの耳には、自分の秘部からの水音と……。
自分の嬌声と、乱れた呼吸だけがやけに大きく響いていた。

「あ、あっ、っふ、ふくぅっ、んっ、うんっ、んぅぅぅっ!!」

一定のリズムの中で、時々与えられる意図的な強い刺激。
触手が乳房をねじりながら押しつぶす。
その先端の一方に男が歯を立て、もう一方をきつく摘み上げる。
ショーツの上からでも形が浮かび上がる部分も、摘み上げる。

「っ、くっ、ぁ、あ、あ、あ、あっ、ふっ、くっ、くんっ、くぅんっ!」

そのリズムを身体が覚え……いつしかフェイトは強い刺激が来るときを無意識が望む。

「ひ、ぁ、あ、ああっ、くぅぅあああああああああんっ!」

何度目になるか分からない強い刺激。
ついにフェイトの身体は大きく跳ね上がると、反動で全ての力が抜けたようにだらんとしてしまう。

「もうこれでは役に立たんな。気持ち悪いであろう」

目の焦点も定まらず荒い吐息を繰り返すだけのフェイトは男の言葉には応えない。
それを肯定の意思だとでも言うように……男はそのショーツに指をかけると引き下げていく。

バリアジャケットに守られ、ショーツに守られ。
今まで晒されることのなかったフェイトの聖域が徐々に顔を出していく。

「ん……はぁ……」

愛液が糸を引くショーツが、完全にフェイトの足から抜き取られる。
ついに、フェイトは生まれたままの姿を男の前に晒していた。

まだ淡い翳りは髪と同じ鮮やかな金色。
愛液で湿ったそこは、どんな純金よりも眩く輝き……。
本来隠すべきその奥の聖域を照らすかのようだった。

103 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:28:02 ID:kM1gdyL.
「え……な、なに……」

燃えるように熱かった、フェイトの聖域が僅かに冷やされる感触。
それは、フェイトの意識を覚醒させ、今の状況を理解させる。

「や、やだ! 見ないで……ください……」

手の触手の拘束は幾分緩やかになっているが、とても股間に届くほどの稼動範囲を与えてはくれない。
せめて、と太股をきつく閉じようとするが……。

「あ、はぅう……」

すり合わせた内腿から響く水音に、より羞恥を加速されてしまう。

「上の口も舌の口も……まるで洪水だな」
「え? あ、う、嘘……っ!!」

男の言葉に、フェイトは僅かに動く腕を自分の口元に持っていく。
その手の甲には、その口から垂らし続けられていた涎が付着する。

「そんなに良かったか?」
「そ、そんなこ、と……」

愉悦に満ちた男に覗き込まれるのを避けるように、頬を真っ赤に染めたフェイトは顔を横に向ける。

「どれ。確かめてやる」

代わりに……きつく閉じた脚が触手によって開かれていく。

「く……だ、ダメ……ぐ……あぁ、くっ!」

精一杯の力を込めるフェイトだったが、あいつぐ責め苦にその力は伝わらない。
愛液で太股が滑ってずれたのを合図に、その脚は大きく開かれてしまう。

「いや、いやいやいやぁああああ!」

フェイトは、その両手で自分の顔を覆ってイヤイヤをする。
稼動できる範囲で、フェイトの手が隠せる場所は、そこしかなかった。

「頃合か」

男も触手も、一度もその場には直接触れてはいないその入り口は、ほんの僅か開いているだけだった。
その狭い入り口からは、今も愛液が湧き出し続けてはいるが、初めての時を迎えるには、まだ準備が不足しているかもしれない。

「あまり楽に済ませては意味がないのでな」

直接愛撫を施せば、周囲の肉も十分にほぐれてその瞬間の苦痛は和らぐだろう。
だが、それでは拷問の意味がない。
復讐のために、フェイトの純潔は苦痛と共に失わせるべきだった。

104 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:28:51 ID:kM1gdyL.
「そろそろ行くぞ。敗北と、痛みをその身に刻んでやる」
「い、いや……それだけは……!

その言葉はフェイトを凍りつかせるには十分すぎた。
男が大きく開いた脚の間に身体を入れると、フェイトの瞳に怯えの色が濃くなっていく。

「ならば、我の問いに答えるか?」
「うぅ……」

忘れかけていたフェイトが今、このような目にあっている理由が改めてつきつけられる。
仲間を裏切る要求を飲むことはフェイトにはできない。

「く……っ」

フェイトはきつく目を閉じると、これから己の身に訪れる悲劇に耐えることを選択する。
友のために、死さえも恐れなかったフェイトにとっては当然の答えだった。

「いいぞ。簡単に堕ちてもらっても面白くないのでな」

フェイトの割れ目に男の剛直があてがわれる。

「…………っ!!」

固いようでいて、弾むような柔らかさがある不思議な感触だった。
だが、その剛直の全てが燃えるように熱く、火照ったフェイトの身体さえも焼き尽くそうとしていると感じるほどだった。

「覚悟は決まったようだな」

フェイトは無言だった。
抵抗の術がもうない以上……見苦しい抵抗は男を喜ばせるだけだ。

今はただ……耐えることにその力の全てを注ぎたかった。

「く……あぁ……んあ……!!」

入り口を通過した剛直はゆっくりと奥を目指して進んでいく。
いや、ゆっくりとしか進むことができなかった。

それ程……フェイトの膣内は狭く男の侵入を頑強に拒んでいた。

「っく……かはぁ……うぁ……っ!!」

それをフェイトは自分に苦痛を与えるためだと判断した。
負けない。その気持ちで歯を食いしばる。

だが、真の苦痛はその先に待っていた。
男の怒張が何かに引っかかって動きを止めた直後……。

──みしっ──

聞こえないはずの音と共に、激痛がフェイトの身体中を駆け巡っていく。

「あぁああ! やあ……あぁあああああああああああああああ!!!」

フェイトの最後の抵抗……処女の証は、男により無残に突き破られる。
その口からは、久方ぶりに甘いものが混ざらない……純粋な苦痛を告げる叫び声。

(こんなに……痛い、なんて……)

その瞬間はとっても痛い。
早熟な同級生からそんな話は聞いていた。

「どうだ? 初めて男を受け入れた気分は?」

男は笑みを浮かべていた。
当然その笑みはフェイトをいたわるためのものではなく……酷薄な笑み。

「あ、あぁ……」

聞くと体験するのでは大違いだった。
初めて受け入れるには巨大すぎるその剛直は、ただフェイトに苦痛と……そして絶望をもたらすだけだった。

「ぬ、抜いて、ください……こんなの……くるし……」
「さっきから言っているであろう。お前が口を割れば、今すぐにやめてやると」

男の答えも相変わらずだった。
だが、今までと決定的に違ったのは、フェイトに与える感覚。
今までは狂いそうなほどの快楽を。
そして、今は引き裂かれそうな痛みを与えられていた。

105 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:29:43 ID:kM1gdyL.
「い、いた……や、はぁ、あ、いた、い……」

愛撫の間に快楽を刻まれ続けた身体は、挿入に対して若干の期待さえも抱いていた。
フェイト自身も……愛撫の先にあるものに対する興味がなかったとは言わない。

身体を触られるだけで、こんなに気持ちいいのなら……。
その先を期待してしまっていた、無垢な少女を責めることはできないだろう。

「う、ああ……あああぁぁぁぁぁぁ……っ!!」

フェイトの身体を軋ませながら、男の剛直は圧力の限りに開通したばかりの窮屈な膣道を往復を始める。

「キツイな。だが、このままではお前も辛いだけであろう?」

(それが……のぞみ、のくせに)

フェイトは肉体のみならず、心にまで深い傷を負わされた。
今なら、拷問に屈しても不思議ではないかもしれない。

「痛い……痛いです。いやぁ……抜いて……抜いてぇえっ!」

膣内の苦しさは身体中に伝播する。
まるで首を絞められたかのように、フェイトは窒息しそうに感じていた。

「痛いであろうな。この様子では」
「ん……あ、はぁ……!」

太股の内側を男がなぞると、一瞬だけだが身体がふわふわしたようになり苦痛が和らぐ。
だが、その苦痛を和らげた手は……フェイトの前に差し出された瞬間に、更なる絶望を与える。

「喜べ。これでお前も一人前の女入り口に立った」

男の指についた赤いものは、紛れもなくフェイトの破瓜の血だった。
それを理解した瞬間に、フェイトをとてつもない喪失感が襲う。

以前のフェイトならともかく、なのはと出会い、ハラオウン家の皆に家族として迎えられた今。
フェイトにも人並みの少女らしい夢はある。

大好きな相手に捧げるべき未来を夢見る……そんな少女にとって当たり前の夢。
それが、無残に失われた事実を男は容赦なくフェイトに見せ付けていた。

「いやいやいやいやいやいや、いやぁあああああああああああああああああ!!!」

貫かれたとき以上の叫び声だった。

「ふふふふ。よい反応だ。それでこそ……我が復讐は成し遂げられる!」

叫び声が途切れた後は、フェイトは空虚だった。
呆然と夜空を見上げていると、瞬く星の輝きの全てが滲んでいく。

敗れたときも流さなかった涙が……フェイトの頬を伝っていた。

「無論、まだ終わりではないぞ。むしろこれからが本番だ!」

止められていた男の動きが再開される。
身体の、そして心の傷をえぐるように……男はフェイトに痛みを刻んでいく。

「もう、あ、あぅっ……やめてぇ……おね、がい……」

痛みを堪え、涙声で哀願するが男は腰の動きを止める気配は見せない。
男の望む情報を与えれば……解放されるのだろうか?

(問題ない情報なら、言ってしまおうか)

そんなことまでフェイトは考え出していた。
だが、そんな気持ちを首を振って押しとどめる。
こんな状況で……情報の選別が正しく行えるわけがない。

まだ、フェイトの中では自分の受ける苦痛よりも、仲間への想いが遥かに勝っていた。

「そうか。苦しいか。なら、少し手伝ってやろう」
「え……?」

男の手が、破瓜の血をすくったときと同じように、フェイトの股の内側に滑り込んでくる。
今度の狙いは、あのときよりも少し上……。

「あ、あぁあああああああ!!」

同時に目の前が真っ白になる。
自分の叫び声さえも知覚出来ないほど、フェイトの身体中を強烈な刺激が駆け抜けていく。

106 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:30:33 ID:kM1gdyL.
「ふふふふ。やはり淫らな身体を持っているな」
「え……? な、なに……」

フェイトはまだ自分の身体に起こったことに気が付いていない。
だが、意識は相変わらず止まらない男の剛直によって、痛みと共に引き戻される。

「っ……くぁっ!」
「どうだ? 一時的にとはいえ、貫かれる痛みを忘れたであろう?」

「あぁ……」

そこでフェイトはようやく理解する。
男の手が、自分の最も敏感な箇所をなで上げていたことに。

「そ、そんな……」

同時にその事実はフェイトを驚愕させる。
引き裂かれそうな痛みの中に、微かにではあるが、男と触手によってもたらされた快感が残っていることに気が付かされてしまった。

それは、本当にすぐに消えて行ってしまうほど頼りないもの。
でも……今のフェイトがすがるものはそれ以外にはなかった。

「うむ。力が抜けたな。それでよい」
「ああんっ! あっ! はうぅっ!」

(え……?)

フェイトは自分の口から漏れた声に呆然とする。
痛みを堪えるときは我慢できた声も……快楽を求めた瞬間に、フェイトの支配から離れていく。

「っ、ふ、ふぁあああっ、や、やぁっ!」
「ほう。なかなかそそる声で啼くではないか」

「そ、そんな、あ、はぁあ! あ、あぁ! はぅ、あぁあっ!」
「恥じることはない。痛みよりは快楽の方がいいに決まっている」

男の言うとおりだった。
痛みと快楽。究極の二択を強いられたフェイトは快楽を選んだだけのこと。
人である以上……ほぼ間違いなくそちらを選ぶに決まっている。

だが、それさえも男の仕掛けた罠。
フェイトは、自分の選んだ答えが間違いだったことにやがて気が付くことになる。

「あ……あっ、ああっ、ふぁ、ふぅぅぅ」
「初めてだというのに、随分と感じているな」
「そんな……感じて、なんか……!」

否定する言葉も弱々しかった。
言葉で否定しても……今のフェイトの様子を見れば、答えは明らかだった。

「ほう。では、これはいらぬな」
「あ、はぁあああああ!」

破瓜の瞬間から決してその全てが抜き取られることがなかった男の剛直が、勢い任せに引き抜かれる。
切ない吐息をもらしたフェイトを男は、底意地の悪い笑みでみつめていた。

107 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:31:36 ID:kM1gdyL.
「ど、どうして?」

その行為はフェイトにとっても意外だった。
フェイトだって、セックスの終わりがどういうものかは知っている。
射精が行われる前に、男が行為を中断する意味が分からなかった。

「何。少し、趣向を変えようと思ってな」

離れた男の変わりに、フェイトを拘束していた触手が再びフェイトの身体を這い回りだす。

「え……あ、や、やだ!! こ、こないでえええええ!」

男は、人種はどうあれ、人間の姿をしていたことがある程度フェイトに安心感を与えていた。
だが、もう一度異形のものに、身体を好きにされる嫌悪と恐怖にフェイトは叫び声をあげる。

「ふぁ、ああっ、くぅっ、うっ、うぁああんっ!」
(え……嘘……)

最初は、その声の主が誰かフェイトには分からなかった。
相変わらず響く嬌声が、自分のものだと気が付いたときフェイトは愕然とする。

「ふぁ、あっ、あっ、ふっ、んっ、ふぁぁああああっ、だ、だめ、だめっ!」
(嫌なのに……気持ち悪いのに!)

痛みから逃れるために、受け入れることを選んだ快楽は、嫌悪も恐怖も押し流していく。
フェイトの口からは、嬌声がとまることはなかった。

「や、そ、そこはダメ! や、やだぁああああ!」

それでも……男の怒張よりも太い触手が入り口をノックした時には、さすがに叫び声をあげる。
まだ、異形のものに犯されるなど、フェイトには耐えられることではなかった。

「案ずるな。そこは、まだ……我以外が使うことは許しておらん」
「え? あ、ふぁあああああ!」

触手は入り口をなぞるだけで、男の言葉どおり、侵入はは果たしてこなかった。
それでも、敏感な部分を立て続けに刺激されるため、フェイトの意識は白く染まっていく。

「え……? え……?」

絶頂と共に意識が飛んでいくはずの瞬間……。
触手の動きは止まり、フェイトの身体から離れていく。

手足を拘束していた触手までもが離れ、久しぶりにフェイトの身体は完全に自由になる。

(まずは足を閉じて……手で胸を隠して……)

ひいていく快楽の波と引き換えに、フェイトは正体を取り戻す。

「え……う、嘘!」

そこで見た自分の姿にフェイトは叫び声をあげる。
自分の身体が何一つとして、自分の意思に応えてくれていなかった。

その手は去っていこうとする触手を掴んで引きとめていた。
そして、自由になったはずの足は閉じられることはなく……見つめる男にその聖域をこれでもかと晒していた。

「ど、どうして……?」

触手を掴む手が開けない。
開いたままの脚を閉じられない。

「な、何かしたの?」

フェイトは男を睨みつける。
……つもりだったが、その目にいつもの鋭さが戻らないことを、フェイトは自覚していた。
熱を持ったその目は潤んだまま男に向けられていた。

「何もしておらぬ。それは……お前の意思だ」
「う、うそ……そんなはずない!」

男の言葉が事実であることをフェイトはその身体全てで実感していた。
それでも認められない最後の一線が、否定の言葉を紡がせていた。

「認めよ。そうすれば……更なる快楽を与えよう」
「もっと……気持ちいい……?」

男は大きく頷いて、フェイトにゆっくりと歩み寄る。
触手の拘束はもうないというのに……フェイトはその場で足を大きく開いたまま、男が近づいてくるのをみつめていた。

「代償は……お前の知る管理局の情報だ」
「あ、あぁ……」

ここに来て……フェイトは男の拷問の真の意味を知る。
痛みであれば、耐え切ることはできるた。
だが、それから逃れるために快楽を望んだ以上……与えられないことが、苦痛になる。

触手と男に淫らな部分を露にされ。
今日までその圧倒的な快楽を知らなかったフェイトにとって、その誘惑を撥ね退けることはできない。

痛みと快楽の二択で、快楽を選択した時点で……フェイトは男の拷問に屈していたのだった。

108 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:32:36 ID:kM1gdyL.
「答えよ。お前と一緒にいた二人の名は?」
「言えない……」

男から目を逸らしてフェイトは歯を食いしばる。
大事な二人の友人の姿を思い浮かべて、最後の理性をかき集めて抵抗していた。

「もう一度聞く。あの二人の名は?」

聞かれたのは、男の復讐にさして重要な要素ではないこと。
だが、これは蟻の一穴。一度崩れてしまえば……フェイトは、男に全ての情報を与えてしまうであろう。
それを双方分かっているからこそのせめぎあいだった。

「今までと比べ物にならないほど、気持ちよくしてやろうと言うのだぞ?」
「あ、あ! はぁああ! や、だめぇええ! あっ!」

男の怒張の先端が、フェイトの入り口に当たる。
触れた部分を飲み込もうと、フェイトの秘部が蠢いていた。

「もう、わたし……たえられ……ない……っ!」

同時に動きを止めていた触手が、その動きを再開する。
どうにか鎮めようとする身体の疼きを、嫌でも思い出させられ、フェイトは髪を振り乱す。

「あの二人の名は?」
「あぁ……」

再び動きを止めた触手に、フェイトは観念する。

(ごめん。なのは、はやて……)

謝罪の気持ちを示すかのように俯いたまま……。
それでも、フェイトの口は、しっかりと動き出す。

「高町なのはと、八神はやて。海鳴中学に通う2年生です……」
「ふははははははは! よく言った!!!」

ついに堕ちた復讐の対象を目の前にして、男は快哉を叫ぶ。

幼いあの頃以来、フェイトが呼ぶなのはの名前は特別なものだった。
それを……最大限の裏切りで口にしてしまった。
今、フェイトの心は修復不可能な傷を負い、友に訪れる危機を招いてしまうことに怯えていた。

だが、怯えも何も……今のフェイトには、些細なことだった。

「は、はやくぅ……」
「そうだな。褒美をくれてやらんとな」

相変わらず潤んだ目で男を見るフェイト。
男は第一の復讐劇の完結が近づいていることに、この上ない満足を覚えていた。

「気持ちよく……してぇ」
「ふふふ。そうなりたければ、自分で処理するがいい」

男はフェイトの前で仰向けに寝転がってみせる。
その股間には、天に向けてそそり立つように、未だ衰えをまるで見せない剛直があった。

「ん……、はぁ、あっ!」

フェイトは導かれるように、何のためらいもまく男の上に乗り、その腰を下ろしていく。

「ふぁあああああああああああああああ!!」

奥まで剛直が吸い込まれたのを見届けると、触手も動きを再開し、よりフェイトの快楽を引き出そうとする。
もちろん、男も折を見ては自分の腰を天に向かって突き上げる。

「あぅっ、っく、んっ、んっ、んぅっ、ふっ、あ、あくぅっ、くぅんっっ!!」

身体全体で、フェイトはひたすら快楽を追い求めていく。
このままでは、男に何を聞かれても隠すことなく話してしまうだろう。

でも、それでよかった。
どんな代償を差し出しても欲しいと思うものは、もはや快楽だけだった。

「んく、んく、こく……っ、ちゅむっ、ちゅくっ、んぅっ、っふ、んむぁ……っ」

触手がフェイトの口の前に姿を現せば、今度は自分の意思でくわえ込む。
その先から出る……もっともっと気持ちよくしてくれるものを搾り出そうと、懸命に奉仕を繰り返す。

109 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:33:12 ID:kM1gdyL.
「ふふふふ。いいざまだな」

「テスタロッサ……」
「フェイト、お前……」
「フェイトちゃん。そんな……」

いつの間にか、ボルケンリッターの生き残りの三人が、連れて来られていた。
フェイトの痴態を見せ付けられ、目を逸らすが、フェイトの口からあがる声にイヤでも今行われていることを認識させられてしまう。

「仲間を連れてきてやったぞ。多くの者に見られると……より気持ちよくなれるぞ?」
「ほ、ほんと? あ、きゃうぅううんっ!」

シグナムと目が合った途端に、フェイトの膣内が急激に収縮する。
それは羞恥がもたらしたものなのか、見られて本当に感じたのか……。
いずれにしても、フェイトにとっても男にとっても新たな快楽を刻む。

「きもち、いい! もっとぉ、もっとみてよ、シグナムぅうう! あ、はぁああああ!」

「テスタロッサ! 気を確かに持て! お前はこの程度のことに屈する者ではなかったはずだ!」」

ライバルの痴態に耐え切れなくなったシグナムが大声で男に向かって叫ぶ。
だが、その声はフェイトの耳には届かず、何の力も与えるものではなかった。

「その程度かどうか……その身で確かめよ」

男が目配せすると、ボルケンリッターを拘束していた触手が一斉に蠢きだしその身体を覆っていく。

「きゃあああああああああああああ!!」
「うわあああああああああああああ!!」
「この! はなせええええええええええ!!」

三者三様の叫び声も、すぐに途切れ……。
やがて嬌声へと変わって行く。

ボルケンリッターの強靭な精神力さえも……触手の与える快楽の前に崩れ落ちていくのは時間の問題だった。

「ふふふふ。どうだ? 仲間と共に犯される気分は?」
「みんな、一緒……ふぁあぁっ、ひ、ひぁっ、んっ、くっ、くふぁああっ!」

男の上を跳ねるように身体を揺らすフェイトの髪を結わいていたリボンがほどけていく。
それは、なのはとの約束を交わした思い出の品……。

「いく……いっちゃう……っ、いっちゃう!!」

リボンがほどけ、汗に濡れた金髪が輝きながら広がっていく。
地面に約束のリボンが落ちたとき……なのはとの深かったはずの絆も一緒にほどけていく。

「ふぁああああああああああああああああああああっっっ!!」

友のことも、約束も全て忘れて、フェイトは自らの意思での絶頂を迎えていく。
絶頂の後も腰を振り続ける少女を見上げながら、男は酷薄な笑みを浮かべていた。

(あと2人……)

堕ちた獲物には興味をなくしたかのように……。
男の瞳には残りの2人の少女、なのはとはやての姿が映っていた。

復讐劇の幕は、まだあがったばかりだった。

110 復讐鬼・フェイト編④ :2009/06/07(日) 04:36:14 ID:kM1gdyL.
本日は以上になります。
やっとフェイト編終了。
いっそ、捕まったところから開始した方がエロ重視なら良かったかもですね。
ですが、相応に背景も書いてみたかったのでご勘弁を。

次ははやて予定。こちらはほとんど即陵辱に入ると思います。
ラストのなのはの方は少しストーリー重視になる予定です。

111 マルチマックス :2009/06/07(日) 04:46:46 ID:kM1gdyL.
名前変え忘れてました。
しかも、確認したらなのは達が通っている中学の名前が間違ってる!
ど忘れしたので暫定で書いておいた名前をそのまま貼ってしまいました。
×海鳴中学
○私立聖祥大附属中学
ですよね。なんだかぼろぼろですみません……。

112 名無しさん@魔法少女 :2009/06/07(日) 14:19:37 ID:V.Skshlc
はやて陵辱に期待大

113 名無しさん@魔法少女 :2009/06/07(日) 21:49:41 ID:wRfbpyV6
なのは編にも期待!
GJ!!

114 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:22:49 ID:EuFZzRO.
またリインネタ書かせて頂きまする。

・リインフィースⅡとフェレットのラブストーリー
・今回登場するフェレットはユーノが変身した物では無く、別個体
・3期の数十年後。はやて死亡後(寿命)でリインは一人取り残された状態
・オリ出る
・微エロ
・Q:○○の部分とか本編の設定と異なる気がするんですが?
 A:細けぇことぁ良いんだよ!

115 新しいパートナー 1 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:24:07 ID:EuFZzRO.
 はやてが天寿を全うし…それに伴ってヴォルケンリッターの四人もまた消滅した。
はやてのユニゾンデバイスであったリインフォースⅡもまた消滅すると思われたのだが…消滅しなかった。
何故そうなったのかは分からない。ただ一つ分かる事はリイン一人が…残されてしまった事実のみ。

 そうしてリインの一人暮らしが始まって数年の時が流れ、彼女は今も管理局で働いていた。
普段は事務的な仕事をしつつ、またユニゾンデバイスとしての特性を生かし、その時その時に
応じて様々な魔導師にユニゾンインしてそのサポートを行うと言うのが今のリインの主な仕事だった。
しかし…………リインは…一人ぼっちだった…。

「リイン…寂しいです…。昔は良かったです…はやてちゃんや皆がいて…楽しかったです…でも…今は…。」

 表向きには平静を装いつつも、リインの心は寂しさで一杯だった。確かに管理局で共に働く仲間は
沢山いるが…どれも単なる仕事上の付き合いにしか過ぎず、真に仲間…友と言える様な存在はいない。
その他、リインに近付いて来る連中と言えば…ユニゾン(枕営業的意味で)を要求してくるエロ上層部や
フルサイズで電車やバスに乗ってる時に痴漢行為を行って来る何処の馬の骨とも分からぬ変なオッサンしかいない。
昔はその様な事態になっても、マイスターであったはやてや仲間のヴォルケンリッターが助けてくれたが…
今はリインを助けてくれる者はいないのだ。

「もう嫌です! エッチな上司にユニゾン迫られたり、電車やバスの中で痴漢されるのは懲り懲りです!!
リインも欲しいです! 天国のはやてちゃん達に代わる様な新しい家族が欲しいです!!」

 そんな悲しみに暮れるリインであったが、そこで転機が訪れる事になるのである。

 仕事を終え、何時もの様に一人寂しく帰宅していた時にリインはある物を発見した。

「あ…フェレットさんです…。」

 それは道端に置かれていた小さなダンボールの中に小さなフェレットの赤ちゃんが捨てられていた…。

「フェレットさん…フェレットさんも一人ぼっちですか…? 奇遇ですね…リインもそうなんですよ…。」

 薄黄土色の毛並みと頭に生えた二本のアホ毛、そして翠色の瞳を持ったフェレット。その姿を見ていると…
リインは昔を思い出していた………。

 リインがまだ生まれたばかりの頃、たまたま見付けたフェレットを家に連れ帰って飼いたいと
わがままを言った事があった。

「嫌です嫌です! リイン、フェレットさんを飼うです!」
「リイン…それは出来ん相談や。フェレットさん飼われへんよ。」
「どうしてですか!? 犬が良くてフェレットさんがダメなんておかしいです!」
「だってそれ…ユーノ君やん…。」

 結局リインが家に連れ帰ったフェレットの他人の物だと分かり、結局飼う事は出来なかったが…
今リインの目の前にいるフェレットはとても他人とは思えなかった。

116 新しいパートナー 2 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:25:46 ID:EuFZzRO.
「フェレットさん…良ければ…リインのお家に…来ますか?」

 リインはフルサイズになると共にフェレットをゆっくりと抱え…家へ連れ帰り始めた。
リインはそのフェレットを飼うつもりだった。かつては望みながらも叶う事の無かった夢…
フェレットを飼う事を…今成し遂げようとし…また既に失って戻って来る事の無いはやて達に
代わる新たな家族として向かい入れようという事なのだろう。

「あ、そうだ。フェレットさんに名前を付けてあげます。ユーノって言うのはどうですか?」


 こうして『ユーノ』と命名されたフェレットとの生活がスタートした。その日を境にリインから
『寂しさ』が消え、火が付いた様に明るさを取り戻していく。確かにフェレットを飼う事も
楽な事では無く、リインもフェレットの飼い方を一生懸命勉強し…大変な事なのではあるが…
それがリインにとっては非常に楽しく、また最初の頃こそリインに対して警戒していたユーノもまた
次第にリインに懐いて行った…。

 そして一ヶ月と経たず、リインとユーノは真に家族と言える仲となっていた。

 休日になればリインはユーノの背中に乗って遊びに出かけていたし、一緒にお風呂で
戯れながら身体を洗ったり、寝る時もリインはユーノのモサモサの毛並みに身体を埋めるなど
リインとユーノは一緒。楽しい毎日を過ごしていた。

 しかし…そんなリインとユーノ楽しい日々も何時までも続かなかった。

 リインはユニゾンデバイスであるから歳を取る事は無いが…残念ながらフェレットはそうでは無い。
ましてやフェレットの寿命は長くても十年足らず。その為、飼い始めた頃は赤ちゃんだったユーノも
リインの気付かぬ内にすっかり年老い…亡くなってしまった………。

「あぁぁぁぁ!! 嫌ですぅぅぅ!! ユーノ死んじゃうなんて嫌ですぅぅぅ!!
また一人ぼっちに戻るなんてリイン嫌ですよぉぉぉぉぉ!!」

 リインが幾ら泣き叫ぼうとも…ユーノは戻って来ない。死んだ者はもう生き返らないのだ。
だが…ユーノを何とかする方法が無い事も無かった。

 その方法とは…ユーノを『使い魔』にする事。

 実際、使い魔を所持している魔導師は管理局にも大勢いたし、リインの今は亡き知り合い達の中にも
使い魔及び使い魔を所持した魔導師がいた。それと同じ様にリインもまたユーノを使い魔にすれば
ユーノが帰って来る。一人ぼっちに戻ってしまう事は無い………のだが…問題が無いわけでも無かった。

 使い魔は動物の死骸を基にして作られるが、その基になった動物がそのまま生き返るわけでは無いと言う事。
そして何よりも…リインが生身の人間では無いユニゾンデバイスであると言う事。現時点において
ユニゾンデバイスが使い魔を作ったと言う例は前代未聞であり、本当に作れるか保障は無かった。

117 新しいパートナー 3 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:27:29 ID:EuFZzRO.
「それでも構いません! 仮に使い魔になったユーノがリインの知ってるユーノじゃなくなったとしても…
また一から思い出を作り直します! リインは…一人ぼっちなんて嫌なんです!」

 ユーノを使い魔にする事に関しての問題を指摘されてもなおリインは止める事は無かった。
もはやなりふり構っていられる場合では無かったのである。

 そしてリインは使い魔を作る方法を調べ、その為の手順を踏み、ユーノを使い魔に
しようとした……………が…………何も起こらなかった……。

「う………うああああああああああ!! やっぱりユニゾンデバイスが使い魔を作るなんて最初から
無理があったって事ですか!? そんなの酷いです! うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 リインはユーノを使い魔にする事が出来なかった。ユーノの死骸には何も起こらず、ただそこに
横たわるばかり。それがリインには辛くて…悔しくて…思わず家を飛び出してしまっていた。

「やっぱりリインはダメなユニゾンデバイスなんです! 何時まで経っても未熟者なダメダメユニゾンデバイスです!
はやてちゃん達がいないと何も出来ない大馬鹿者なんですぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 リインは目から涙を飛び散らせ、自虐を叫びながら走り続けた。走って走って…走り続けて………
気付くとすっかり真夜中になってしまっていた。

「はぁ…はぁ…ぜぇ…ぜぇ………。」

 すっかり疲れ果て、歩く事さえ困難な程体力を使い果たしてしまったリインは壁に寄りかかっていたのだが…
そんな時……泣きっ面に蜂と言わんばかりの艱難辛苦がリインに襲い掛かるのだ!

「あ〜! そこの君はもしかしてあのユニゾンデバイスのリインフォースⅡちゃんだね!?」
「すげー! 本物初めて見たぜ! すげー可愛い!」
「え!?」

 リインの前に突如として現れたのは街の不良達であった。そして不良達はリインを人通りの少ない
路地裏に連れ込むのである。

「なあなあリインちゃんリインちゃん! 俺にもユニゾンしてくれよ〜!」
「そうだよそうだよ。リインちゃんとユニゾンなんて最高! 俺にもユニゾンしてくれよな!」
「え…? や…やめてです……そんな……あぁぁぁぁ! やめてですぅぅぅぅ!!」

 不良達は周囲に人がいない事を良い事にリインを揉みくちゃにし始めた。元々大して力が無い上に
体力を使い果たしてしまったリインにはまともな抵抗も出来ず、不良達になすがままにされて行く。

118 新しいパートナー 4 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:29:00 ID:EuFZzRO.
「(ああ…リインはこのまま不良のお兄さん達に裸にされて…体中の穴と言う穴を犯されて…
最後は証拠隠滅の為にコンクリートに詰められて海に沈められてしまうですね…………。
もう今となってはそれでも良いです………。天国に行ったら……ユーノやはやてちゃん達とも
出会えますよね………………。)」

 リインはすっかり自暴自棄となり、己の死を覚悟した。しかし、その時だった。

「うわぁぁぁ!! バケモノだぁぁぁぁ!!」
「何だあれはぁぁぁ!! 逃げろぉぉぉぉ!!」

 突然リインを揉みくちゃにしていた不良達が逃げ出してしまったでは無いか。一体何を見たのだろうと
リインも疑問に思っていたのだが………そこには全身毛むくじゃらの何とも言えない怪物の姿が……

『ギュゥグルルルルルルル…………。』
「ひぃ! 怪物さんです! 不良のお兄さん達の次は怪物さんですか? リイン……怪物さんに
食べられてしまうんですか? ハハハ……もうそれでも良いですよ……。これでユーノやはやてちゃん達が
いる所に行くです…。さあ早く食べるです。リインは何も出来ないですよ。さあ…はやく…はやく…。」

 リインは完全に自暴自棄となり、むしろ怪物に食べられる事を望む程になっていたのだが………
そこで突如として怪物の身体が小さく縮んで行き、小さなフェレットへと姿を変えていた。

「あ…怪物さんがフェレットさんになっちゃったです…。」
「怖い人はもう追い払ったから大丈夫だよ。」
「え……………。」

 何と言う事だろう。フェレットがしゃべったのである。良く見ればそのフェレット…ユーノでは無いか。
使い魔にする事が出来なかったと思われたユーノだが……この通り使い魔となっていた。そして…
リインの危機を救う為に…ここまで追って来ていたのであった。

「もしかして…ユーノですか…ユーノなんですね………うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 リインは嬉しさの余り…涙を滝のように流しながらユーノに抱き付き、そのモサモサの毛並みに顔を埋めた……

119 新しいパートナー 5 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:30:13 ID:EuFZzRO.
 それから、リインを背に乗せて歩くフェレット、ユーノの姿が見られた…。

「じゃあ僕がこういう風になったのは、その使い魔と言うのになったからなんだね?」
「はいそうです。」
「僕はまだその使い魔と言うのが良くわからないんだけど…嬉しいな。だってこれからも
一緒に暮らせるんだよね?」
「はいそうです。リインとユーノはこれからもずっとず〜っと…一緒ですよ…。」

 リインはユーノの背のモサモサの毛並みに顔や身体を埋めながら…優しく呟いた。
ユーノがリインの使い魔となった事で、二人はただ単にペットと飼い主と言うだけの関係では無くなった。
リインとユーノの二人は…正真正銘の…運命共同体となったのだ。

 そこからさらに時は流れた………。

『○○地区にてテロ発生! 各隊は出動せよ!』
「それじゃあ行きますよユーノ!」
「うん!」
「ユニゾンイン!!」
「キュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 リインがユーノとユニゾンする事によって大人のライオン程の大きさはあろうかと思われる
巨大フェレットへと変身し、ミッドの平和を脅かすテロリスト達に敢然と立ち向かって行ったのである!

「うわぁぁぁぁぁ!! 巨大淫獣だぁぁぁぁ!! 母ちゃんこわいよぉぉ!!」
「あいつ等の大暴れでテロリストが浮き足立ってるぞ! 今の内に一気に鎮圧するんだー!!」

 リインの使い魔になった事をきっかけとして、ユーノは魔法の勉強をし、管理局に入った。
今ではリインのパートナーとして共に戦う様になっていたのである。


 そして…テロリスト相手に果敢に戦うリインとユーノ姿を見つめ、何処からともなくかすかな声が聞こえていた。

『私達がおらんくなって大丈夫か心配ししとったけど…新しい家族を手に入れたんやな。』
『そうですね。今のリインなら大丈夫です。』
『ああ…。あいつの飼い始めたフェレットが死んだ時はどうなるかと思ったけど、使い魔にしちまったしな。』
『リイン…これからも大変な事あると思うけど…頑張るんよ…………。』

                       おしまい

120 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/07(日) 22:31:57 ID:EuFZzRO.
この話はかな〜り前からさりげなく暖めていた話だったんですけど、
頭の中では「こういう話にしよう」ってのが思い浮かべられても
実際文にしてみると表現の仕方などかなり大変だなと改めて実感させていただきました。

121 名無しさん@魔法少女 :2009/06/07(日) 22:41:15 ID:HQOgzxDw
>>114
良い仕事してますね。
巨大淫獣ユーノで笑わせて、八神家ゴーストで泣かせるなんぞ憎いねぇ

しか〜し

ザフィー、はやてたち置いてアルフと昇天ですか、わかります。

122 名無しさん@魔法少女 :2009/06/08(月) 13:48:30 ID:9kWr1SFU
>>80
ageるな

123 名無しさん@魔法少女 :2009/06/08(月) 14:57:38 ID:Li.TMpYA
2ちゃんならともかくスレが5つ(実質2つ)しかない掲示板でageるなと言う意味がわからん…

124 名無しさん@魔法少女 :2009/06/08(月) 16:32:55 ID:A8ox0tbk
ついでに、謝ってるのにわざわざ蒸し返す意味もわからん……

125 名無しさん@魔法少女 :2009/06/08(月) 23:53:15 ID:q/w.VXWg
>>◆6BmcNJgox2氏
GJ!笑わせていただきました

>リインがユーノとユニゾンする事によって大人のライオン程の大きさはあろうかと思われる
巨大フェレットへと変身し、ミッドの平和を脅かすテロリスト達に敢然と立ち向かって行ったのである!

ちょ、リアルに想像するとすげぇシュールでおっかねぇ生き物ですぜ

ちょっとインスピレーションの湧く展開でありました。GJ!

126 名無しさん@魔法少女 :2009/06/09(火) 11:33:55 ID:oz69m9CI
>>123
謝ってる人に文句いう>>122はどうかと思うけど、個人的には俺もageて欲しくない
今までずっとsage進行でやってきてるからage=荒らしみたいなイメージ染み付いて抜けないんだ

127 サイヒ :2009/06/09(火) 16:36:15 ID:iagWqAEM
久々にクロフェなど。
フェイトさん二十五歳。エロ。
注意点はそんなもんです。
ヤマもオチもあんまり無い。

128 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:36:53 ID:iagWqAEM
 夕食時のハラオウン家。
 リビングにはクロノとフェイトが食事が出来るのを待っており、キッチンではアルフとリンディが夕食の仕上げに
かかっていた。

「リンディ、チキン焼けたよ。切り分ける? それともこのまま大皿でどーんといっちゃう?」
「どっちにしろ最後には切ることになるんだから、ここで切っちゃいましょ。
「りょーかい」
「付け合せのレタスと赤カブは冷蔵庫の中にあるから」

 緑茶をすすりつつ台所の会話を聞くクロノだが、どうも家族が働いているのに自分はぼうっとしているのは落ち着
かない。ユーノに貧乏性とからかわれる癖は、三十歳を過ぎても変わらなかった。
 隣に座っているフェイトも同じなのか、ちらちらと台所に視線をやっている。台所の二人がデザートのフルーツポ
ンチ製作に取り掛かったあたりで、我慢できなくなったのかフェイトは口を開いた。

「ねえアルフに母さん、私もリンゴの皮むきぐらい手伝って……」
「「駄目」」

 二人の言葉が見事にシンクロした。

「今日の主賓はあなたなんだから、働いたりしちゃだめ。それに手伝ってもらわなくても、もう終わるから」
「こんな時でも気を使いすぎなんだよ。フェイトはゆっくり待ってればいいんだから」
「……はい」

 すごすごと引っ込むフェイト。
 リンディの言葉通り、程なくして完成した料理をアルフが次々に運んできた。
 主菜は若鶏の照り焼き。前菜のパスタには牛肉と数種類の野菜がふんだんに使われている。スープもアルフが昼か
ら念入りに出汁を取って煮込んだ物である。いつもの夕食より数段豪華なメニューだった。
 最後にリンディがワインを持ってくる。

「シャンパンにしようかと思ったんだけど、レティがフェイトのために開けてあげなさいってくれたから」
「そうなんだ。明日お礼言っておかないと。えっと、コルク抜きどこだったっけ」
「無くても私が抜くけど?」
「……コルクを指で引っこ抜くのはやめてくれ。零れそうだし風情が無い」

 リンディが台所からコルク抜きを持ってきて、肉料理に合いそうな深い赤色のワインが全員のグラスに注がれてい
く。
 まずはフェイトがグラスを揚げ、クロノ達もそれに合わせる。
 フェイと以外の三人は、息を合わせて言った。

「「「フェイト、誕生日おめでとう」」」

 チン、とグラスが打ち鳴らされる音が響いた。

129 サイヒ :2009/06/09(火) 16:37:27 ID:iagWqAEM
          ※




「ふぅ、久しぶりにいっぱい飲んじゃった。おいしかったねあのワイン」
「君一人で半分以上飲んでいたな。あんなに飲むなんて珍しい」
「口当たりが良くて飲みやすかったから。でもけっこうアルコール強かったよ。お風呂に入ったら一気に酔っちゃっ
た」

 フェイトが、クロノに体重を預けてくる。その頬はかなり赤くなっており、寝巻き越しに感じる体温も確実に上昇
していた。
 食事が終わり風呂も使い終えた二人は、クロノの寝室に場所を移していた。ベッドの上でクロノの膝の上にフェイ
トが乗った体勢。
 ぽつぽつと交わされる言葉は、自然フェイトの誕生日についてのことになる。

「それで、二十五歳になった感想は?」
「あんまりどうも思わないかな。……あ、クロノ達が祝ってくれたのがどうでもいいってことじゃないよ。なんだか
二十歳ぐらいから、年を取ることがあんまり嬉しくなくなってきてて」
「特に今日からは、四捨五入したら三十になったわけだし」
「うっ……たしかにそうだけど、そういうことじゃなくて……」

 ちょっと言葉を探すように、フェイトは髪の毛を弄った。

「慣れちゃったって感じかな。昔は誕生日っていったらなのはとかはやてを呼んでパーティー開いたけど、あんまり
そういうのしようっていう気もしなかったし……」
「二十回を越えれば新鮮味も無くなる。誕生日ぐらいで大騒ぎするような年齢でもなくなったしな」

 友人一同集めて大きなケーキにロウソクを立てたりクラッカー鳴らしたりなどしたら、嬉しいよりも逆に気恥ずか
しいばかりだろう。

「二十歳の時にアリサとすずかに誘われて海鳴で成人式に参加したけど、あれが最後になるんじゃないかな。年を取っ
た時の大きなイベント」
「日本では他にもあったんじゃないか? 喜寿とか米寿とかいうものが」
「あれはもっと先、六十とか七十ぐらいになった時だったと思うよ。……ねえ、クロノ」

 フェイトが首を傾けて、クロノを赤い瞳で見上げてくる。

「クロノは三十歳になって何か特別なこと思った?」
「特に無いな。せいぜいはやてに今日から三十路やねってからかわれて、年を取ってしまったと実感したぐらいか。
そもそも三十歳の自分をイメージしたことが無いから、感慨の持ち様が無かった」

 クロノは子供の頃から、年を取った自分というものを想像したことがない。
 未来の願望として父のような提督になりたいとは強く思っていたが、それにしたところで何歳までに絶対なると決
めていたわけではなかった。
 今でも、四十歳になった自分を想像してみろと言われれば、皺と白髪が目立ち出した自分の顔ぐらいしか思い浮か
ばない。後は階級が一つ二つ上がっているであろうことぐらいか。

「おばあちゃんになった自分か……。私もやっぱり想像できない」
「しかし、体力は確実に落ちたな。この間訓練やったら息は切れるし、筋肉痛が昔よりひどかった」
「クロノは書類に向かってることが多いもんね。私はそういうことはないよ。……クロノはおじいさんになっても管
理局に勤める?」
「伝説の三提督の人達ぐらいまでとはいかなくても、最低でも六十ぐらいまでは勤めたい」
「じゃあ私は、その秘書官でもしようかな。……いつかは執務官もできなくなるんだから」

 単独で犯罪者と戦闘することの多い執務官にとって、加齢による肉体の衰えは最大の敵である。
 たいていは三十代半ばで体力に限界を感じて他の部署に転職する。五十まで勤められれば、それだけで周囲から敬
意の眼を向けられるほどだ。
 自分がもし提督にならず執務官のままだったらと想像すれば、どれだけの疲労に襲われ続ける毎日だったのだろう
と、少し寒気がする。

130 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:38:05 ID:iagWqAEM
「それはいいな。君ぐらいデスクワークができる秘書なら大歓迎だ」
「そうかな? ユーノに比べたら書類仕事はだいぶ遅いって思ってるんだけど」
「比べる相手が悪すぎる。ユーノにかなう相手なんて、局内に一人いるかいないかだろう」
「ユーノといえば、なのはも教導官引退したら無限書庫に行ったりするのかな?」
「どうだろう。なのはの場合、生涯現役をやっていそうだな。前線を引退する姿が想像できない」
「そうかな。案外、今日からユーノ君のお嫁さんだけするって言って、いきなり専業主婦になったりして」

 くすくすフェイトが笑う。

「先のこと想像すると分からないことばっかりだけど、楽しいね」
「きっと今が幸福だからだろう。管理局勤めて、君みたいな大切な人を持てて、僕は幸せだ」

 今日が満たされていなければ、明るい明日のことを語るなどできない。
 今の自分は幸せだと、クロノは心の底から実感していた。
 提督としての仕事は多く、苦しいこともあるが、充実していた。
 家に帰れば温かい家族がいる。外にはなのはやはやて達友人がおり、エイミィやランディ、アレックスといった同
僚がいる。
 そして、恋人のフェイトがいて慈しみ合える。
 本当に、付け加えることが何一つとして無い毎日だった。明日も明後日も、この日々が続く限り、自分は一生幸せ
だ。

「そうだね。クロノと一緒にいるだけで毎日が楽しくて、すごく幸せだよ」

 微笑んだフェイトがなにかを期待する眼で見上げてくる。

「だけど……クロノがぎゅってしてくれたり、キスしてくれたりしたら、もっと幸せかな。…………してもいい?」

 クロノが頷いてやると、唇が近づいてきてすぐゼロになる。
 入浴の名残か、フェイトの唇はいつもより温かかった。
 舌が触れ合ったのも同時だった。唇と唇の間。ほんのわずかな空間で舌が絡み合い、お互いの唾液を混ぜ合わせる
ように動く。
 フェイトの舌の温度と柔らかさを感じているうち、少しずつクロノの心は昂ぶっていった。
 クロノもフェイトも、とっくに子供ではない。キスよりもっと触れ合い、一つになれることがあることを知ってい
る。
 フェイトも同じ気分になっていくのが、舌の動きが大きくなっていくことで分かった。
 始まった時と同じく、フェイトから離れていき口づけは終わる。
 クロノの唾液がついた唇を、ゆっくりと舐めるフェイト。瞳も、濡れたように赤色が深まっている。

「……ねえクロノ、おじいさんとおばあさんになる前にね」

 少しいたずらっぽい顔をしながら、フェイトはくるりと身体の向きを変えてクロノと向き合う。

「若くないとできないこと、今のうちにいっぱいやっておこうよ」

 言ったそばから、フェイトがまた唇を重ねてくる。すかさず舌が差し込まれた。
 今度は柔ららかい口づけではない。溶けてしまいそうなぐらい柔らかく熱い舌はクロノの舌を絡め取り、唾液を擦
り込むように舐め回す。
 口だけではない。フェイトの腕は力を込めてクロノを抱き締めてきた。ふくよかな胸の感触が、嫌というほどクロ
ノの身体に伝わってくる。

131 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:38:50 ID:iagWqAEM
「……やれやれ、二十五になっても君がいやらしいのは変わらないな」
「変わったよ。昔はこんなことキスのやり方なんて全然知らなかったし。…………こういうことも」

 フェイトの手がクロノのズボンを脱がしていき、屹立した性器を露にしていく。
 細い人差し指に裏筋を撫で上げられると、クロノの意思に関係なく性器がびくんと震えた。

「すぐに大きくなるね。先っぽも濡れてきたよ」

 今度は軽く握ると緩やかにしごいてきた。
 直接的な快感が増して行く。しかしフェイトの手の強さは変わらず、やや機械的に上下に擦っているだけである。
 気持ちよさはすぐにむずがゆさとなって、クロノの心を焦らした。
 それを知ってか知らずか、フェイトはくすくす笑い、耳たぶを舐めながら囁いてきた。

「このままゆっくり手だけで出してあげようか?」
「それは……」
「クロノは時々するよね。もっとしてって言っても、いつまでも指一本だけしか入れてくれなくて。仕返ししちゃお
うかな」

 このまま生殺しの目にあうのかと、クロノは少しぞっとして慌てた。

「ふふふ、クロノ焦ってる…………冗談だよ。ちゃんと口とかおっぱいでもしてあげる。……でも今日は」

 肉棒を離れたフェイトの手が、自分の寝巻きにかかる。下着ごと脱ぎ落とすと、そのままクロノの顔を跨いできた。

「先に、私のを舐めて」

 眼の前にある金色の草むらにまだ湿り気は無く奥の谷間も閉ざされているが、舌で刺激してやればすぐに開いて香
ばしい蜜を垂れ流すだろう。
 しかしクロノはすぐに舐めるようなことはせず、陰毛に鼻を埋めただけでじっとしていた。
 ふわりと受け止められ同時にくすぐられるような感触は、髪の毛には無い。濡れそぼる前の陰毛だけが与えてくれ
る。
 かすかに漂う女の匂いを吸い込むと、息が当たってくすぐったいのかフェイトが身じろぎする。

「君のことだから、このまま見てるだけでも濡らしてきそうだな」
「またそういう意地悪なこと言う……」

 フェイトが頬を膨らます。年端もいかない子供のような仕草だが、フェイトがやると不思議に似合う。いくつになっ
ても、どこか子供っぽさを残しているからだろう。
 本格的に機嫌を損ねる前に、クロノはちゃんと舌を伸ばしてやる。しかし場所は、フェイトが思っているであろう
場所とはやや違った。
 秘裂よりもっと後ろ。膣口とはやや色合いの違う桃色の穴を、クロノは舌先で突っついた。

「やぁん……そっちは違うよ……」
「こっちを舐めても、君は気持ちいいだろ?」
「そうだけど……先に前からして。誕生日なんだからこれぐらいのお願い、いいでしょ」
「……わかったよ」

 後ろの穴を攻められ昂るフェイトも見たかったのだが、そう言われてはしょうがない。
 顔の位置をずらし秘裂の真下に口を持ってくると、クロノはもう一度舌を伸ばした。
 始めから舌を突き刺すようなことはせず、ゆっくりと筋の上を往復させる。
 筋の上を何度か舐めるうち、花びらがほころび出した。すぐに酸味がかった蜜が零れ出す。

132 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:39:28 ID:iagWqAEM
「あふっ……くふぁ…………気持いい……よ」

 フェイトの漏らす吐息が大きくなるのと比例して、急速に愛液の量も増えていく。
 あっという間に舌で受けるのが無理になり、クロノの顔を汚し始めた。
 顔の周りにむわりと広がった雌の香りに息苦しくなり、一度舌を止めるクロノ。しかしフェイトの喘ぎ声は継続さ
れていた。
 視線を上にすると、頭上で二つの双丘が形を大きく変えている。寝巻きの上から、フェイトは自分の胸を揉みしだ
いていた。
 手全体で握り締め、指が乳房をほぐすように緩急つけて動き回る。
 服の上からでも分かるぐらい、はっきりと乳首が立っていた。そこも指が押し潰すがすぐに血流を取り戻し、さら
につんと硬く尖る。

「はあ、ああああん!」

 フェイトの頭が、かくんと垂れた拍子にクロノと眼が合った。
 恥ずかしがるかと思ったが、フェイトはうっすら笑うとむしろ見せつけるように、さらに大胆に胸を揉み出す。
 兄妹から恋人同士に関係が変わり、肉体関係を持って数年。もはや恥じらいは少なくなり、代わりに奔放さが前に
出てきている。
 時には意外な大胆さに戸惑うこともあるが、求めるがままとことん淫らになっていくフェイトも、クロノにとって
は好ましかった。
 もっともっと、乱れたフェイトが見たい。
 欲望のままに、クロノは一気に舌を蜜壺へ挿し入れた。

「ひゃうん!!」

 たちまち、舌がきゅっと締めつけられた。
 ぬらぬらと濡れきった粘膜同士が絡み合う。
 肉棒の如く何度も舌先でフェイトの奥を突く。熱い肉を蹂躙すればするほど、膣壁から愛液が滲み出てきてクロノ
の喉を潤わす。
 いつまででもフェイトの秘所を味わっていたいが、激しい動きに慣れていない舌の筋肉はすぐ攣りそうになってし
まい、中断せざるをえない。
 しかし舌を休める間も、クロノは攻める手は休めない。開いたままになっている膣口に、指をまとめて三本突き入
れた。

「あはっ……ん!! 指も、気持ちいい……!!」

 何度もクロノの男を受け入れている秘所は、三本ぐらいならなんなく入る。
 捻じ込むように指を動かしつつ、クロノは訊ねた。

「指と舌、どっちでしてほしい?」
「両方が、いい……!」
「本当にいやらしいな。むしろ淫乱か」
「いやらしくていいから……淫乱でいいから、気持ちよくしてぇ……!」

 くっ、と喉の奥で笑いつつ、クロノは願いどおりに舌も再度伸ばす。
 貪欲に指を咥え込んでいる膣に、舌の入る余地は無い。舌先が目指したのはもっと上、女の快感だけで出来ている
突起である。
 上を覆っている薄い皮はまくれあがり、紅い宝珠が顔を覗かせていた。
 敏感すぎる場所だけに、クロノはやや慎重に舌を動かす。刺激するというより唾液をなすりつけるようにして動か
し、その分だけ突っ込んでいる指を大きく蠢動させる。

「あっ! あっ! はぁんっ!!」

 髪を振り乱してフェイトが悶える。
 淫核を弄くり出して十秒も経っていないというのに果てかけているのが、クロノには分かった。耐えて快感を深め
ようという様子も見えない。
 フェイトを絶頂の谷間に落としてやるべく、クロノは淫核に軽く歯を立てた。

133 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:40:12 ID:iagWqAEM
「んんんん!!」

 フェイトがぎゅっと唇を噛んだ。同時に秘裂から、ぶしゃっと小さな音が鳴る。
 これまでとは比べ物にならない量の愛液が一度に流れ出て、クロノの額までも飛び散る。
 フェイトの腰から力が抜け、クロノの顔の上に座り込んでしまった。
 少し息苦しいが、柔らかい太ももがクロノの両頬にくっつき、たっぷりとしたフェイトの尻の重みも感じられるの
で心地よくもある。
 瞳を閉じて満足そうな顔をしていたフェイトだが、ほどなくして開かれた眼にはもっとはっきりとした淫欲の炎が
灯っていた。

「……もっとしようよクロノ。クロノだって、我慢できないでしょう?」

 フェイトが果てる一部始終を見続け、頭は沸騰しそうなぐらい興奮していた。陰茎など流れ出た先走りの汁で、全
体がべったりと濡れている。

「このまま挿入れるね……」

 フェイトが腰をずらしていき、二人の性器の入り口がくっつく。そのまま、一気にフェイトは腰を落とした。
 ぐちゅっ、と結合の淫音が部屋に響く。
 そのまま激しく動き出すかと思ったが、フェイトはゆらりと身体を崩してクロノにもたれかかってきた。

「はあっ……挿入れただけで、イッちゃった……。始めたばっかりだけど、ちょっと休憩するね」
「きついなら、僕が動こうか?」
「ううん、いい。こうやってクロノのおちんちん感じてるのも、気持いいから」

 しっとりと濡れた膣が肉棒の形を確かめるように、きゅうっと軽く締めつけてくる。そしてそのまま、ひくひくと
全体が小刻みに動いていた。抽送運動ほどではないにしろ、これはこれで穏やかに気持ちいい。
 頬を紅潮させながら息を整えているフェイト。顔だけでなく、白い肌全体がほんのりと朱色に染まっていた。頬か
ら下に薄紅色の肌を眺めていくうち、クロノの眼はフェイトの胸で止まった。
 中学の頃から急成長したバストは、年月を経ても垂れるようなことなく立派な膨らみを保っている。
 寝巻きの前は完全にはだけ、丸みを帯びた裾野から先端の赤い突起まで全部見えてしまっている。フェイトが軽く
身じろぎしただけで全体がふるんと柔らかく揺れて、クロノの眼を釘づけにさせた。

「吸う?」

 クロノの視線に気づいたフェイトが、胸を掬い上げてクロノの前に突き出してくる。
 誘われるまま、クロノは乳首に吸いついた。
 ボリュームと弾力に富むフェイトの胸だが、さすがに中になにか詰まっているというようなことはない。それが分
かっていてもクロノは、中身を吸い尽くすように激しく吸すった。手でも、乳房の付け根から先端に向けて絞るよう
に揉んでいく。

「ああん! そんなに吸っても、なんにも出ない……のに……!」
「気持ちよいからいいだろう。吸う度に、君の中がぴくぴく動いているぞ……!」
「クロノのも……びくんってして……ふああぁぁ!」

 動いているのはフェイトの内側だけではない。腰が、小刻みにだが上下し始めていた。
 あまり大きな動きではないが、腰を落とす時にほとんど自由落下であるため、奥底を突く衝撃は大きい。子宮口と
鈴口が激しくキスをする。
 やわらかい膣の中で一点のみ硬い子宮口。ぶつかる度に痛みに近い衝撃がクロノの肉棒に走るが、快感の量も尋常
ではない。気を抜いたら一度ぶつかるごとに放ちかねず、クロノは腰にありったけの精神を集中して耐えた。
 何度快感の波をやりすごしたのか。先に限界が来たのはフェイトだった。

「また……イクぅ!!」

 ぎゅっと一際強くクロノを抱きしめ、フェイトが達した。

134 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:41:29 ID:iagWqAEM
「……今日はまた、ずいぶんと敏感すぎないか?」
「あんまり我慢してないから……。今日はいっぱいイきたいの」

 完全に脱力したフェイトの身体が、クロノの身体にもたれかかってきた。

「ごめんクロノ、腰が抜けちゃって動けないから……クロノが抱いて」
「ああ、君が完全に満足するまでしてあげるよ」

 繋がったまま、フェイトの体をそっと持ち上げシーツに横たえる。
 正常位の体勢になると、一呼吸置いてクロノは猛然と突き動いた。

「あっ! あっ! もっと強く……ひゃああん!!」

 突くリズムに合わせて、フェイトの啼き声が響き渡る。
 この分だとリンディ達の部屋まで聞こえているかもしれない。
 そう思ったのは一瞬で、すぐに腰から襲ってくる快感に懸念は吹き飛ばされる。むしろもっとこの声を、身体全
体で聞き続けたい。
 腰の動きを強くして数度貫いただけで、フェイトが仰け反り果てた。
 フェイトが達している間だけ動きを止め、波が去った頃合を見てクロノはフェイトの片足を担いで半身状態にし、
また前後運動を開始する。
 体位を変えたことで締められる場所が変化し、ほんのわずかではあるが快感の質が変わった。
 突く場所も一度ごとにちょっとずつ位地を変えていくうち、完全にフェイトの身体は完全にひっくり返って四つ
ん這いの体勢となる。
 フェイトの顔が見えないが、正常位より卑猥さが増して興奮できる、クロノの好きな体位だった。
 激しく動くためフェイトの尻肉を掴むクロノ。その拍子に、指が一本尻穴へやや入った。
 ほんの浅い侵入にもかかわらず、後ろを徹底的に敏感にされているフェイトは身体をひくつかせる。

「今度はお尻も、指でぐりぐりって……いっぱいして」

 中指を突き入れると、尻穴自体が悦ぶように、とぷりと指を飲み込んでいき、すぐに根元まで入ってしまった。
 こうして尻も同時に攻められるのも、後背位の利点である。
 皺が無数に寄った菊座の感触は、前とはまた違っていてクロノの指を愉しませる。

「分かる、よ。クロノの指が……ああっ! 指と先っぽが……くっついてるの……!」

 薄い肉壁一つ隔てて、指と亀頭がお互いを認識する。
 前後の穴を同時に攻めながらの交わりは、クロノの脳をぐずぐずに溶かす破滅的な香りがした。
 溺れたい。壊れたい。立場も何もかも忘れ、膣でも尻穴でも口でもいいから、眼の前にある肉体といつまでも交じ
り合っていたい。
 しかしそれは無理な話で、クロノの肉棒はもはや破裂寸前まできていた。意志の力ではどうしようもない最期は、
もうそこまできている。
 快感値が振り切ってほとんど一突きごとに達しているフェイトを、クロノはありったけの力で抱きしめた。

「だすぞフェイト!!」
「だして!! わたしのいちばんおくにっ!!

 フェイトの足がクロノの腰に絡み、一際奥まで性器を押し込んでくる。
 子宮口に半ばめり込ませながら、クロノは精を放った。

「ああああ!! あついぃぃ!!!!」

 フェイトの甲高い声が、部屋の壁を反射して回る。身体はクロノを弾き飛ばさんばかりに痙攣するが、腕は決して
離すまいとクロノを抱きしめていた。
 長く尾を引いた嬌声が途切れると、静寂が部屋に訪れる。
 二人の荒い息の他に、空調の音やベッドのスプリングが軋る音があることを、クロノは今夜初めて気づいた。
 頭と身体の熱を一度冷ますべく、未練がましく咥え込んでいる蜜壺から、ずるりと肉棒が抜く。同時に精液の一部
が、こぽりと穴から零れた。

135 二十五歳の誕生日 :2009/06/09(火) 16:42:15 ID:iagWqAEM
「あん……もったいない」

 目ざとく見つけたフェイトが手を伸ばす。太ももに付いた分もシーツに落ちた分も丁寧に掬い取り、口元に運ぶ。
 すぐ口に入れはせず、しげしげと精液に見入るフェイト。指と指を擦り合わせ次いで離れると、捏ねられた精液
はねっとりと糸を引いた。

「こんなに元気にねばねばしてて、おいしそう……」

 指が、赤い唇に咥えられた。
 こくり、と喉を鳴らしてフェイトが飲み込む。丁寧に指をしゃぶりながら、淫らな視線がクロノの股間を捉える。

「まだちょっと残ってるね。きれいにしてあげる」

 尿管の出し残しを口で丁寧に吸い取る。行為の途中あるいは終わりによくやることだが、予想に反して肉棒を包
み込んだのは口ではなかった。
 さっき散々触り心地を愉しんだフェイトの胸。

「うくっ……!」

 谷間に導かれただけでクロノの口からは苦しい呻きが上がり、肉棒は震えて白濁の残滓を吐いた。フェイトの蕩
けるように柔らかい胸は、それだけの破壊力があった。
 残らず出し終えても、フェイトは胸を離そうとしない。妖しく笑いながら胸で擦り上げ、赤い舌が先端をちろち
ろ嬲るように舐める。
 後始末どころか、一切手加減無しでフェイトは新しい精液を搾り出しにかかっていた。
 射精後の神経が過敏なところに、ある種凶悪ともいえるフェイトの乳淫と舌技。我慢のできるわけがなく、精液
が陰嚢から引きずり出される。
 耐えようと思う間も無い。三十秒と経たぬうちに、フェイトの口にクロノはぶちまけていた。
 精液を口で受けながらもフェイトの乳房は動き続け、一滴たりとも残さないとばかりに陰茎を擦り上げてくる。
 たちまち口だけでは受け止められなくなり、たらたらと零れた分が乳房も汚していった。

「ぷはっ…………出しすぎだよクロノ」

 乳房に零れた分を直に舐め取っていたフェイトの眼が、猫のように細まる。

「それにしても早いね。そんなに我慢できなかった?」
「出したばっかりなのに君の胸に挟まれて、我慢できるわけないだろう……」
「どうかなあ。クロノももう三十なんだから、量はともかく持続力が無くなってきてるんじゃないかな?」
「……疑うのなら、証明してみせようか」

 少し悔しくなったクロノは、挑発に乗ってフェイトの肩を掴んで強く押し倒した。
 焼き切れかけた思考回路が、次の交わりはそれこそ強姦でもしているかのように激しくなるだろうと予測する。
その光景を想像しただけで、クロノの下半身は限界まで猛った。
 活力を取り戻した性器を眼にしたフェイトが、艶やかに笑うと腰を少し持ち上げる。

「クロノ、次はお尻に……前も後ろもお腹いっぱいになるまで出して」

 フェイトは甘い声でねだりながら。自分の指で尻穴を広げ奥の奥まで見せることすらしてきた。
 誘われるまま開かれた穴にすぐクロノが挿入れると、フェイトの細い身体がしなるようにのけぞる。

「あはっ……やっぱり指より、ずっと気持ちいい……! たくさん、気持ちよくしてクロノぉ」
「もちろんだ。言っただろう。満足するまでしてあげると」

 また二人は、お互いの身体を貪る行為に没頭していった。




          ※




「……一つだけ、何歳になっても分かってることがあるよ」

 何度も上になり下になり乱れ尽くした情交の果て、クロノの腕の中でフェイトがぽつりと言った。

「私がクロノを愛してるってことは、おばあちゃんになってもずっと変わらない。それだけは確かだよ」
「僕もだ。君のことはいつまでも愛す」

 一日の終わりの口づけを交わし、クロノはありったけの心を込めて言った。

「フェイト、二十五歳の誕生日おめでとう」




          終わり

136 サイヒ :2009/06/09(火) 16:43:15 ID:iagWqAEM
以上です。
二十五歳になったフェイトのエロ書こうぜと思ったはいいんですが、
Vivid見てる限り十九から劇的になんか変わったってわけでもないですし、差異づけはけっこう難しいですね。


クロードはフェイト二十一歳の時の子供という設定なんでそのへんにいないとおかしいんですが、
二十五歳フェイトを書く度に出てくるのもなんでしょうからカット。
子供のいないクロフェ時空ってことで。

137 名無しさん@魔法少女 :2009/06/09(火) 18:19:59 ID:0ary71QQ
>>サイヒ氏
超GJ!ずっと氏のクロフェを待ってました。
25歳フェイトさんの成長したエロさに感動。
提督はいくつになっても尻好きなんですね、わかります。

138 名無しさん@魔法少女 :2009/06/09(火) 18:22:34 ID:0ary71QQ
浮かれてsage忘れました…。
このタイミングでホントすみません。

139 ザ・シガー :2009/06/09(火) 21:02:41 ID:pgT5jNDQ
うひゃー。 少し見ないうちに凄まじく投下されちょるぜよ。

>>サイヒ氏
うふへへ、良いエロだぁ。
クロフェのエロに対するこだわり相変わらず素晴らしいですね。
そして尻へのこだわりもww


で、投下します。
非エロ・長編、「偽りの恋人」の第六話です

140 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:05:35 ID:pgT5jNDQ
偽りの恋人6


 そこに一つの金属製の箱があった。
 正確には、箱状のパーツ、とでも言うべきか。
 正式名称は弾倉、またはマガジンという名で呼ばれる部品である。
 その目的は内部に弾薬を入れる事。
 多くの場合、実弾を使用する通常銃火器類で見られる部品であるが、それが規制されているミッドチルダでも稀に見られる事がある。
 魔法を効率的に運用する為のデバイス、特にベルカ式と呼ばれる物では魔力をカートリッジとして運用し、爆発的に能力を高める為に用いるのだ。
 そして、そのデバイス用のマガジンに今カートリッジが込められていた。
 透き通るほど白くしなやかな指が金色に輝く弾薬を摘み上げては、一発ずつ挿入。
 金属と金属が触れ合い、噛み合う硬質な音が幾度も響き、弾倉は重みを増していく。
 最後の一発が、既に大量の弾薬を内包して硬くなったスプリングを押し下げ、装填された。
 最初は軽かったマガジンは装弾数一杯のカートリッジを飲み込み、存分に重くなる。
 ずしりと重量感を感じさせるそれを、使い手、金髪の少女は軽く振った。
 そしてマガジンの背部を壁で軽く叩き、詰められた弾薬を整える。
 作業をもう一度繰り返せば、全弾装填されたマガジンが都合二つ完成。
 少女はこれを己のデバイスへと差し込む。
 それは二振りの細身の剣の形をしたベルカ式のアームドデバイス、少女の愛剣、双剣アルズ・ファルト。
 アルズの頭文字Aは始まりの言葉、ファルトの終端文字Thはヘブライ語で終わりの意味。
 アルズは魂の降り立つ天を表わし、ファルトは魂の還る冥府を表わし、存在の流転を意味している。
 柄の前には鍔と一体化した形状で薬室(チェンバー)と遊底(ボルト)を持つ、まるで銃のようなカートリッジシステム独特の機構がある。
 さながら実銃におけるサブマシンガンのような挿入口に、少女はマガジン射し込み、そのまま後部の遊庭を引き、薬室に弾を送り込む。
 高い金属音と共に遊庭は稼動し、魔力を内包した弾丸を装填。
 二度繰り返せば、二つの剣は完全に臨戦体勢を整える。
 少女は両手の双剣を軽く振るった。
 室内灯の光を反射し、二振りの刃はそれぞれが銀閃と輝く。
 風を斬る鋭い音と共に、剣は腰元の鞘に吸い込まれるように仕舞われた。
 そこで少女、ソフィア・ヴィクトリア・ルイーズは一つ小さな息を吐いた。
 場所は機動六課に設けられた訓練場、その隊員用控え室である。
 時刻は件の、模擬戦という名の決闘の丁度一時間前。
 戦闘準備を整えた乙女は、冷静に思考を巡らせつつも額に僅かな汗を流す。
 と、そんなソフィアの、彼女と共に控え室にいた少女が声をかけた。


「緊張、してます?」


 振り向けば、オレンジ色の髪を二つに結った少女、この戦いでソフィアの相棒を務める頼もしい味方、ティアナ・ランスターがいる。
 ティアナもまた彼女と同じく丹念に己がデバイスを調整している最中だったが、その作業を一時中断して声を掛けた。
 艶やかな橙色の髪を揺らし、自分とは違う色彩の青をした瞳に見つめられ、騎士の少女は表情の険を緩めた。
 出会ってからまだ短い間だが、この二丁銃と幻影を操る少女とはどうにもウマが合うのだ。
 戦闘スタイルも魔法の形式も何もかも違うのだが、ティアナとはどこか近親感を感じる。
 それは片思いを胸に抱く乙女同士のシンパシーなのか、それとも単なる思い込みなのかは分からない。
 しかし現実に、ソフィアが表面上浮かべていた冷静さは虚勢だと看破されてしまった。
 仕方なく、少女騎士は被っていた仮面を脱ぎ捨て、困ったような苦笑を浮かべる。


「ええ、まあ」


 と、眉尻を下げて微笑。
 そんなソフィアに、ティアナもまた口元を笑みにする。
 騎士の少女と同じく、眉尻を下げた困った顔だ。


「実は私も」


 頬を掻きながら、オレンジ色の髪の少女はそう呟いた。
 一拍の間を置いて彼女の言葉を飲み込み、ソフィアの笑みが変わる。
 困ったような苦笑から、柔らかい微笑みへと。
 そして少女らの薄桃色の唇から、ほぼ同時に笑い声が零れた。
 小さな、だが楽しげな微笑は、さながら僅かに花弁を開かせる花の如く咲いた。
 二人の少女は、しばし戦いの前の緊張感を忘れて笑い合う。


「勝つ見込みはあると思いますか?」


 笑顔の中、ティアナは問うた。
 笑みを浮かべながら、こちらがどう返すか分かっている顔だ。
 故にソフィアも口元を微笑のままに言葉を返した。


「もちろんです、その為に今日まで二人で磨いてきたのですから」


 そう言い切る。

141 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:06:52 ID:pgT5jNDQ
 今まで、短い間ではあったが有意義で濃密な時間を二人は過ごしてきた。
 お互いの技と術理を、魔法の特性を、呼吸を、闘争の場で共に歩む全てをだ。
 相手が強い事は百も承知、されど負ける要素などどこにもない。
 そんな自身がある。
 戦闘時の連携から、対シグナム用に開発した合体技まで、もはや今の二人は磐石と言って差し支えない。
 それでもどこかに残っていた不安も、今の会話で完全に掻き消えた。
 もはや憂いはない。
 二人で磨いた力を発揮するだけである。
 最後にもう一度だけ大まかな戦略を語らうと、二人は悠然とした足取りで控え室のドアを潜り訓練場へと向かう。


「私、言おうと思うんです」


 道中、廊下でティアナがふと口を開く。
 紡がれる言葉を聞きつつ、ソフィアが横目で見れば、彼女の頬は淡い朱色に燃えていた。
 ほのかに紅潮し、儚さすら感じる愛らしい顔で、少女は言う。


「この戦いが終わったら……ヴァイス陸曹に……その、私の気持ちを」


 そう、少女は恥ずかしげに告げた。
 今日に至るまで互いに語らったのは何も戦いに関する事だけではない。
 胸に秘めた甘い恋心、意中の相手に関する事も様々に話した。
 だから知っている、彼女があの狙撃手にどのような想いをどれだけ募らせているか。
 ソフィアは青い瞳をそっと細め、口元に柔らかく微笑を浮かべ、言う。


「決心、ついたんですね」

「……」


 返事の言葉はない、代わりにティアナはコクンと小さく頷いて返す。
 どこまでも可憐で愛らしい恋する乙女の様に、ソフィアは微笑を優しげに深める。
 他人から見たら自分もこうなのだろうか? と、せんなき疑問符が一瞬浮かぶ。
 目の前に通路の終わりが見え、訓練場の光が射し込んで陰影を作っている。
 その光を見ながら、ソフィアは囁くように言葉を漏らした。


「あなたの気持ちが報われると良いわね、ティアナ」


 と、出会ってから初めて相手を呼び捨てで呼ぶ。
 そう言われ、ティアナは一瞬眼を丸くすると、頬を赤らめたままお日様みたいに笑った。


「うん。ソフィアもね」


 彼女もまた、共に戦うのはこの日で最後になるでろうパートナーを、友として呼び捨てにした。
 そして二人は思う、己と友の恋路の行く末と、きっとこの先も続く友情を。
 同じ思慮を胸中に抱きながら、恋する乙女二人は訓練場へと脚を踏み入れた。





 模擬戦開始を告げるなのはの声が響いた刹那、動く影が三つある。
 青い騎士服の少女、ソフィア。白の騎士甲冑の美女、シグナム。そして狙撃銃を持つ男、ヴァイス。
 その三人である。
 シグナムとソフィアはそれぞれ向き合った互いに向けて駆け出し、ヴァイスは逆の後方へ全力疾走した。
 緋色の髪を揺らした美しき守護騎士の長、そして金色の髪を揺らしたうら若き乙女は戦いの開始から一秒も経たぬ間に刃を交えた。
 轟音とも呼べる金属音、高速で接近したベルカ騎士同士が刃を斬り結んだ音が周囲の空気を激しく震わせる。
 それは彼女らに、生粋のベルカ系魔法を使う戦闘者にとって取り得る最善・最高の方法であった。
 戦の始まりが告げられたならば、真っ先に近づき剣で以って斬り伏せる。
 単純だが、故に最も純粋な選択。
 またそれとは逆に、ヴァイスは訓練場の中心地で激突する麗しい騎士達に背を向けて駆ける。
 戦闘という局面において、基本的に遠距離戦用の射撃魔法を中心に体系を成すミッド式の使い手として。
 そしてなにより狙撃手として。
 彼ができる事、彼にしかできない事、それを考えれば自ずとこの選択肢となる。
 まず距離を置き、相手の攻撃の届かぬ位置から精密な狙撃を行う。
 前線はシグナムに任せ、ヴァイスは理想的な射角を得る為に奔走する。

142 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:09:26 ID:pgT5jNDQ
 狙撃を売りとする自身にとって、今日のこの戦場は理想的だ。
 煤けた外装を持つ無数の建造物を持つ市街地様のフィールド、正に狙撃手が最高に性能を発揮できる場所だ。
 だが、それは敵も知っている。
 瞬間、魔道師としての資質が低いヴァイスでも感じられる魔力のうねりが空気を伝わった。
 肉体に覚えこませた危険へのシグナルが警鐘を鳴らし、彼はそれに従って側方へと方向転換。
 飛び込むように駆け込み、近場の建造物の陰に隠れた。
 と、先ほどまで彼がいた空間をオレンジ色の魔力弾が高速で通り過ぎる。
 間一髪で危機を回避し、狙撃手は額を汗で濡らしながら悪態を漏らした。


「ったく、良い弾撃ちやがるじゃねえかティアナのやつ」


 麗しく恐ろしい乙女騎士はシグナムがまず足止めする、だが敵は一人ではない。
 ノーマークのティアナがヴァイスに弾幕を集中するのは当然の帰結と言える。
 遠距離狙撃しかできないヴァイスと、射撃系の魔法を広く修得しているティアナ。
 まともにやり合うのならば狙撃手の不利は言うまでもない。
 が、ヴァイスの胸中に不安はなかった。
 自分が出なくとも、あの頼もしい騎士が最前線で刃を振るってくれているのだから。
 炎の魔剣が雄叫びの如く爆砕を起こした刹那、彼は再び駆け出した。





 なのはの掛け声が響いた瞬間、ソフィアは駆けた。
 まず一歩目は脚で、己の肉体だけでの踏み込み。
 次いで二歩目、身体加速をもたらす魔法術式を行使する。
 “アクセル”、彼女が戦闘時に最も多用する身体加速系統魔法が、魔力消費と共に展開。
 アクセル・ファースト、と、術式の名を小さく呟き詠唱の残響を零せば、次の瞬間には情報処理能力の高速化で世界の時が緩やかに流れた。
 魔力により極限まで強化された筋力で足元のコンクリートを踏み砕き、飛行魔法の推進力とベクトル操作によって少女の細やかな身体は一瞬で加速。
 大気を引き裂き、黄金の髪と青き衣を風に舞わせ、乙女は風となる。
 そして、自分と同じく高速で接近する愛する騎士の刃と己の愛剣を交わらせた。
 瞬間、その場の空気全てが爆ぜ飛ぶような衝撃が生まれる。
 ソフィアの踊らせる双剣アルズ・ファルト、シグナムの振るう炎の魔剣レヴァンティン。
 三つの刃が超高速で斬り結び、火花と共に轟音を生む。
 大地まで震わせるような激突、されど両者は一歩も引かぬ。
 交錯したその場で剣を交えて、麗しい二人の騎士が鍔競った。
 超硬質の刀身を持つアームドデバイスが軋み合い、耳障りな甲高い音を立てる。
 両者、渾身の力を込めて踏み込む。
 足元のアスファルトが強化された脚力の前に砕け、美しい女騎士二人のたおやかな身体、胸に実った果実がその衝撃に震える。
 そして、二人はそれこそ唇が触れ合いそうな距離で視線も交わらせた。
 双方鋭い眼差しを互いに向ける。
 特に、乙女の向ける眼差しは恋慕をも溶かした、強い強い瞳。
 だがそれも一瞬。
 空気中に強い魔力が伝播したかと思えば、ソフィアの身体が宙を跳ぶ。
 彼女自身が望んだ事象ではない、対手である烈火の将の手によって、だ。
 刀身に炎熱変換した魔力を纏い、強烈極まる踏み込みと共にソフィアの身体が押し出されたのだ。
 爆炎を帯びたレヴァンティンはさながら雄叫びの如く燃え盛っている。
 瞬間的な魔力発揮量で勝り、なおかつ怒涛のような炎を孕む刃。
 本気の力を垣間見せた将の前に、ソフィアは鍔競りに負けた。
 そして猛る魔剣を担ぐように構え、シグナムが駆ける。
 風よりも速く、魔力で強化された推進力で以って、吹き飛ばされて体勢の崩れた少女目掛けて一直線に。
 この一閃で終わらせる、そう意気込んだ刃だった。
 が、それを遮るものがある。
 橙色をした閃光、魔力弾だ。
 ソフィアに見舞う筈だった愛剣の刃を、シグナムは身を捻り迫る光へと方向転換し、裂いた。
 視線を魔力弾が放たれた方向へと向ければ、そこにはティアナがこちらに銃口を向けていた。
 先ほどヴァイスに向けて何発か撃っていたようだが、流石にパートナーの窮地を見過ごす事が出来ずにこちらに目標をシフトしたのだろう。


(そうだ、それで良い)


 と、シグナムは胸中で思い、口元に笑みを零す。

143 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:11:10 ID:pgT5jNDQ
 ソフィアとティアナの最初のプランはこうだ。
 まずソフィアが高速で初撃を斬り込み、シグナムの足を止める。
 倒せはしないまでも、一時は時間を稼げるだろう。
 そしてその間にティアナがヴァイスを撃破し、2対1という数的優位性を得る。
 というものだ。
 シグナムはそう予測したし、実際に二人が考えたのもそうだった。
 最初の作戦は破られたのだ。
 このままヴァイスが射撃位置を確保し、狙撃を行使すればそれで決着するだろう。
 彼の持つ圧倒的なロングキル性能が存分に発揮されれば、乙女二人には成す術がない。
 ならば、シグナムのする事は簡単だ。
 それまでこの二人の相手をしていればいい。
 口元に不敵な笑みを浮かべ、シグナムは問うた。


「さて、あいつが準備をするまでに私を倒せるか? ルイーズ」


 挑発の気のある問い掛け、相手の精神的な動揺を誘う意味合いの言葉だった。
 が、対する金髪の少女も、彼女の後ろで双銃を構えた少女も、顔には焦りの二文字はない。
 むしろその逆、二人の顔にはシグナムと同じく不敵な笑みがあった。
 まるで、この状況を望んでいた、とでも言わんばかりに。
 笑みを見せ付けつつ、金髪の少女騎士は両手の双剣を鋭い音と共に振るい、構えて言う。


「ええ、お見せします……磨いた技を、存分に」


 囁くような乙女の残響が甘く大気に溶け込むや、その場にいる全員の背筋に寒気が這う。
 ソフィアが刃と瞳に込めた殺気、そして、彼女の周囲で魔力が“熱を喰らった”が為の帰結。
 うら若き騎士の持つ特異な資質、少女の持つ才能の一旦が発露する。
 これに、シグナムは不敵な笑みをやや濁す。


「もう“それ”を使うか」


 将の言葉に、少女は声でなく行動で応える。
 ソフィアの両手に握られた双剣が二筋の銀弧を描き、その軌跡から輝く氷結が舞った。
 それは少女の持つ魔力変換能力、“氷結変換”が生み出した幾つもの刃。
 術式を構築する必要などなく、彼女は魔力を用いて直接熱エネルギーを奪い去る。
 空気中の窒素は凍てつき、少女の意のままに超低温の刃となりて敵を刻むのだ。
 今作られた刃、針のように槍のように鋭く長い10本の鋭利な軌跡がシグナムに目掛けて突き進む。
 さらには後方のティアナが放った魔力弾、誘導性のそれらも合わさり、乙女二人の放った技は都合20の連撃となる。
 強力な、回避も防御も許さぬ合体技。
 だが、それは相手が並みであるならば、である。
 魔力と氷結が織り成す連撃は、次の瞬間には炎の軌跡と共に残らず砕け散った。
 魔力弾と氷が舞い散る中、そこに立っていたのは猛る焔を纏う剣を踊るように振るう美しき騎士の姿。
 炎の魔剣の刃を以って、シグナムは迫る20の脅威を瞬く間に斬り刻んだのだ。
 これに乙女二人は顔に浮かべた表情をやや苦くする。
 先ほどの合体技、氷結刃と魔力弾の混合射撃は相応の自身のある技だった。
 だがしかし、烈火の将はそれをさながら小虫でも薙ぎ払うかのように容易く引き裂いた。
 やはりこの人は強い。
 と、騎士の乙女は双剣を握る手に力を込めながら思う。
 ソフィアは顔を僅かに背後に向け、ティアナと視線を交わす。
 同時に念話で意思疎通を行い、作戦を確かめ合う。
 よし、では行こう。
 最後にそう眼差しだけで伝え、乙女らは駆けた。
 勝利と愛の為に。





 駆ける駆ける駆ける。
 一人の男が煤けたビルの影を駆け抜ける。
 愛銃を持った狙撃手、ヴァイス・グランセニックが愛銃ストームレイダーを担ぎ訓練場の中を全力で走り抜け、ある場所を目指していた。
 荒く息を吐き出し、鍛えられた肉体のしなやかな筋肉を惜しみなく酷使し、ひたすらにひたすらに加速する。
 訓練場に立体化された幾つもの建物の合間を抜けながら、ヴァイスが目指すのは一つの煤けたビルだ。
 この仮初めの戦場で最も高く、満遍なく見渡せる場所。
 狙撃手にとっては理想的な射撃位置である。
 額に、そして服にと、汗を滲ませながらヴァイスは目的の建物に辿り着く。
 そして即座に入り口を見つけるや、休む間もなく駆け込み、階段を登る。
 上へ上へと、階段を登ること役十階分。
 ヴァイスはそこで一旦急停止すると、即座に周囲を見渡す。
 手頃な窓を見つけるや、狙撃手は手の愛銃をそこから突き出した。
 窓枠にハンドガードを乗せ、銃床(ストック)に頬を当て、照準眼鏡(スコープサイト)を覗く。

144 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:12:43 ID:pgT5jNDQ
 ヴァイスの愛銃、ストームレイダーのスコープ望遠機能の果てには美しくも過激な剣舞が繰り広げられていた。
 緋色の髪を揺らした炎の女神が金色の髪を揺らす天使と炎と氷を以って斬り結ぶ。
 まるでこの世のものとは思えぬ、幻想の光景。
 一瞬この場が仮初めとは言えど、戦場である事を忘れてヴァイスは魅入る。
 が、それは本当に一瞬。
 思考をすぐに戦闘用のそれへと戻す。
 さながら聖職者の咎、十字架の如き二つの直線が描く十字の照準線(レティクル)で狙うのは剣を以って舞い踊る二人の騎士ではない。
 高速の剣舞に踊る彼女らを捉えるのは、不可能ではないが困難であり、できる事ならば避けるべき狙撃対象である。
 故に、狙撃手がその愛銃で狙いを定めるのは騎士二人の斬り合いの後方で援護射撃を行っている少女、ティアナ・ランスター。
 艶やかなオレンジ色の髪を愛らしくツインテールに結った美少女を、ヴァイスはスコープを介して見つめた。
 思い出すのはJ・S事件だ。
 あの時、自分は戦闘機人に襲われそうになったティアナを狙撃により救った。
 そんな彼女を今度は撃ち抜くという。
 皮肉というか、まるで悪い冗談みたいだ。
 僅かに軋む心が鈍痛にも似た感覚を生み出す。
 一瞬脳裏を過ぎるのは、かつて愛する家族を撃ってしまった誤射の記憶。
 しかしそれは意思の力で踏破する。
 大丈夫、もう既にあのトラウマは克服した。
 そう精神と肉体に言い聞かせると、ヴァイスはカートリッジを一気に消費する。
 ストームレイダーに挿入されたマガジンから次々と薬室に送り込まれ、強烈な撃発音と共に魔力が燃焼、排夾された空薬莢が宙を舞う。
 弾倉に装填された全て、都合10発のカートリッジを消費して銃身を溶かしそうなほどの熱量が生まれる。
 どんな障壁も防護服も遮蔽物も、貫き撃ち抜く、ヴァイスが最も得意とする狙撃手の矜持、最高威力の直射式射撃魔法が構築された。
 安全装置は全て解除された、後は引き金を、撫ぜただけでも激発するほどに軽く調整されたそれを引き絞るだけだ。
 スコープの中に映るティアナに、最後に一度、すまないな、と呟く。
 瞬間、ヴァイスは変わる。
 人間としての暖かく優しい思考が死んでいき、狙撃手としての部分が拡張されていく。
 もはやそこには明るく気さくなヴァイス・グランセニックはいない。
 狙撃を、精密射撃を行う為だけの一個の機械があった。
 現状急ぐべきだろう焦りも忘れて、戦いの最中だと言う焦りも忘却し、静寂の中に身を浸らせる。
 息を緩やかに吐き、呼吸を理想的な状態に導く。
 同時に身体の振幅、狙撃を行う為に邪魔な揺れをも消しにかかる。
 徐々に、徐々に、余計なものを削ぎ落とし、研ぎ澄ます。
 完全に身体の振幅を制動する事は不可能、されどゼロに近づけることは出来る。
 魔力で強化された筋力がそれを成す。
 全身の細やかな揺れを最大限抑制し、傍から見ればほとんど静止画のような様。
 そして狙撃手は深く呼吸をすると、五分ほど吐いたところで息を止めた。
 狙撃直前の最終段階に入ったのだ。
 視界と意識の全てがレティクルの中心に立つ一人の少女に埋め尽くされて、窒息の息苦しさも忘れて、ただ覗き込む。
 確かにその瞬間だけヴァイスの意識はティアナに向けられて、震えが止まるまでの長くてたまらない数秒間の後。
 静かに引き金に指をかけた。

 だが次の瞬間、ヴァイスの指先がトリガーに触れる寸前、スコープの隙間から狙撃手の目に鮮やかなオレンジ色の光が射す。
 何事かと思った刹那――彼の身体に極大の光が襲い掛かった。





 氷結変換、魔力を術式構築なしで凍らせる特異資質。
 それが行使された事により、空気中の窒素が凍結してキラキラと輝き光る。
 炎熱変換、魔力を術式構築なしで燃焼させる特異資質。
 それが行使された事により、空気中の酸素が燃焼してゴウゴウと輝き光る。
 氷結を成すは二振りの刃、炎熱を成すは一振りの刃。
 三つの白刃がまったく相反する属性を以って、超高速で舞い踊る。
 交錯した剣と剣は幾度も爆ぜた。
 高速度でぶつかり合った衝撃だけではない、あまりの温度差の魔力波動の接触により発生した小規模な水蒸気爆発である。
 幾重にも発生する爆発の、さながら大音量の合唱のような爆音乱舞。
 巻き起こる爆風の中に舞うのは緋色と金の髪を揺らす二人の美しい騎士、シグナムとソフィアだ。
 力強い踏み込みと共にソフィアのデバイス、アルズ・ファルトから放たれる左右から薙ぎ払うような斬閃二つ。
 大気を斬り裂く凍てつかせた刃の猛攻が烈火の将を襲う。
 が、それをシグナムは愛剣レヴァンティンの刀身で払った。

145 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:14:01 ID:pgT5jNDQ
 下から上への、斬り上げる形の炎の斬撃が凍れる刃を爆ぜながら薙ぐ。
 その衝撃に金と緋の美しい髪が舞い、場を幻想と彩る。
 だが見惚れる者も、そんな暇も無い。
 この場にいる者は皆一様に、闘争の二文字を全力で遂行しているのだから。
 そして、流麗なる騎士の剣舞に鮮やかな橙色の閃光も混ざる。
 ソフィアのパートナー、ティアナの魔力弾だ。
 誘導性を有した閃光はソフィアの斬撃の合間、シグナムの後方から迫り彼女を狙う。
 前方で繰り出される双剣の攻撃により将の刃を封じ、背後よりティアナが射撃を当てる挟撃が狙いだ。
 飛行魔法と強化脚力を併用した跳躍、そこから輝く金髪と青い騎士服を揺らし、流れるような動作で横薙ぎの双閃が繰り出される。
 空気を引き裂きながら放たれる超速の刃が美しい二つの銀弧を描き、烈火の将を襲った。
 が、シグナムはこれを造作も無く防いだ。
 横薙ぎの刃を、縦に構えた刃で受ける。
 超硬質の金属同士が高速でぶつかり合い、大きな火花が閃光と輝いた。
 軋みを上げる刃と刃、両者は鍔競り、膠着状態へと至る。
 そしてシグナムの背後に回った誘導弾が狙いを定めた。
 が、その挟撃が成功する事は無い。
 既に魔力知覚によりティアナの射撃魔法の事を彼女は悟っていた。
 故に、後方に迫る瞬間、シグナムは反撃を成す。
 レヴァンティンの機関部が炸裂音と共にカートリッジを消費し、強大な魔力を得る。
 魔力は即座に炎熱変換の加護を受け、術式のプロセスなしで爆熱へと転化。
 炎の魔剣レヴァンティンの刀身がその二つ名の如く燃え盛り、対面の少女を爆ぜ飛ばした。
 ソフィアを引き離した次の瞬間、シグナムはその場でクルリと回る。
 鮮やかな緋色の髪を揺らし、さながら踊り子の如く華麗に、刃の軌跡を銀弧と描きながら。
 華麗なターンが生み出す横薙ぎの斬撃は、1ミリの狂いもなく後方に迫っていた魔力弾を引き裂く。
 そのまま回転運動の慣性に従ってもう一度回転、同時に踏み込みシグナムはまたソフィアへと刃を向け、構えた。
 手の愛剣、レヴァンティンの柄を握り締めつつ、彼女の眉根が僅かに歪む。


(……おかしいな)


 と、対面の少女に刃を構えながら将は思った。
 どうにも引っかかる。
 それは目の前の少女らの、戦い方に対してだ。
 自分に対して2対1という数的優位性を手に入れたと言うのに、思い切り、とでも言うべきものが欠落している。
 果敢に攻めてくるのはソフィアばかりで、ティアナは先ほどのような手ぬるい誘導弾を思い出したかのように撃って来るだけ。
 普通ならここで二人で全力を出し、シグナムを倒しておくのが常套手段というものだろう。
 まさか自分を相手に手加減や余力温存などという事は考えてはいまい。
 それとも、何か作戦あっての事なのだろうか。
 彼女がそこまで考えた時、眼前の少女に動きがあった。


「アクセル……」


 双剣を突き出すように構え、足元にベルカ式独特の三角形を呈した魔法陣を展開し、少女は言葉を紡ぐ。
 炸裂音が空気を振るわせたかと思えば、アームドデバイスの内部で魔力を燃焼させたカートリッジ、その空薬莢が宙を舞った。
 薬莢の鮮やかな金色が輝く刹那、ソフィアは術式の名を続ける。


「セカンドッッ!!」


 少女の澄んだ声が言の葉を奏でると同時、そのしなやか肢体は風となった。
 アクセル・セカンド、ソフィアの用いる高速移動魔法の二つ目。
 ただひたすらにトップスピードのみを追求した移動術式で、その最高速度は音の壁をも突破した音速超過の超高速へと至る程の技である。
 空気の、音の壁を突き破り、それらから瑞々しい肉体を守る物理保護障壁で衝撃波を発生させながら乙女が舞う。
 繰り出すのは双剣を前に突き出してする、単純な刺突だ。
 まず普通ならば反応する事すら出来ず喰らうであろう必中の一撃。
 されど、相手は烈火の将。
 銃弾の如き音速の刺突を彼女はソフィアの見せた予備動作で事前に読み、さらには魔力強化された超絶の動体視力で見切っていた。
 どれだけ速くとも、事前に動きが分かるのならば恐れる事は無い。
 何より、昔から度々模擬戦を繰り返してきた友、金の閃光の名を持つ執務官との戦いでこの種の攻撃にはすっかり慣れているのだ。
 術式で高速化した思考の中で迫り来る少女の動きを見切り、シグナムは必要最低限の動きだけで反撃を行った。
 強烈な踏み込むで左に身を移し、二つの刃を回避すると同時にカウンターで己が愛剣をソフィアのわき腹に滑らせる。

146 偽りの恋人 :2009/06/09(火) 21:14:52 ID:pgT5jNDQ
 少女の身体を空気抵抗から守っていた物理保護障壁と、シグナムの繰り出したレヴァンティンの刃が衝突。
 超硬質なそれらがぶつかり合った、凄まじい音響が空気を振るわせる。
 吹き飛ぶのは青きドレスの、騎士服の少女。
 強烈なカウンターの斬撃を受け、面白いくらいにソフィアの細い肉体は飛ばされ、地面の上を転がる。
 少女は長いスカートの裾を翻し、その下から艶めかしい白い脚を晒しつつ身体を捻り、立ち上がった。
 反撃にダメージを負い、その顔は苦渋に歪む。
 が、しかし、そこにあったのは苦渋だけではなかった。
 眉根を苦痛に歪めながらも、ソフィアの口元には確かに笑みにも似たものが浮かんでいる。
 一体何が?
 シグナムがそう思った刹那、それは起こった。


「スターライトブレーカーァァッッ!!」


 聞き覚えのある術式名称と光、オレンジ色の凄まじい閃光が空気を引き裂いたのだ。
 極大の砲撃魔法である。
 無論、それを行使したのは後方に控えていたティアナ。
 しかしその狙いはシグナムではない。
 遠方の、訓練場に設置されたビルの一つに放たれたのだ。
 将は即座にその意図に気付く。


「ヴァイスッッ!?」


 柄にもなく声を荒げながら念話を繋ぐ。
 だが返って来る返事はない。
 ああ、そうか。
 ここに至り、シグナムはようやく敵の意図を悟る。
 今までの、ソフィアが仕掛けティアナが後方に控えるという戦術。
 それはティアナがヴァイスを討つ為の作戦だったのだろう。
 彼女が今まで消極的な戦闘ばかり行っていたのは、たぶん広範なエリアサーチを使っていたからだ。
 探すのは無論、もう一人の敵であるヴァイス。
 圧倒的な遠距離戦を持つ彼を最優先で潰す、それも自身の消費魔力の少ない収束砲撃魔法でだ。
 そもそも、いつの間にあの技を身に付けたのか。
 自分が完全に孤立した事に、シグナムは歯を噛み締めて苦い顔を浮かべる。
 そんな将に、ソフィアは息を整えつつ言う。


「さあ、これからが本番です。私たちが共に磨き抜いた絶技――存分にご覧じませ」


 と、澄んだ声が告げるや否や、少女らの猛攻が牙を剥いた。
 こうして、愛を賭けた激闘は第二幕を開く。



続く。

147 ザ・シガー :2009/06/09(火) 21:20:04 ID:pgT5jNDQ
投下終了。
ヴァイス、まさかのSLB喰らうの巻でした。
防御紙な彼が受けるには悪夢すぎる攻撃、果たして狙撃手の運命や如何に?
次回に乞うご期待。

でもまあ、次回でこの話終わらせるくらいの勢いだけどね!



しかし、新規職人様のストラディ氏のヴァイシグが面白過ぎて、ちょっと触発され気味なのです。
久しぶりにヴァイシグでガチエロでも……

148 名無しさん@魔法少女 :2009/06/09(火) 23:01:46 ID:QNFim3zI
GJ!
ヴァイスがティアナの全力全開を食らってしまった……。
いかん、これではフラグがたってしまうw

149 名無しさん@魔法少女 :2009/06/09(火) 23:16:01 ID:0xtor5hs
>>147
キャーwなんて素敵な修羅場wwGJ過ぎるwww

150 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/10(水) 02:52:05 ID:fRoYiuHI
 新参の書き手です。
 なんかもお、歴戦の書き手さんたちによる凄いのが続いてる後に投下しちゃっていいのかと不安なんですが…
 でも投下します。

・ユーノくん×なのはさん
・書いてるうちに長くなったので分割して前・中・後の3編です(予定)
・今回投下分はそこまでエロ入ってないですが、その後はむしろエロしかありません。
・設定改変あり。無敵ななのはさんが好きな人は注意。
・時間軸はA's終了後半年くらい(10歳)
・タイトルは、「例えばこんなリリカルなのはさん」。

 では、いきます。

151 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:53:48 ID:fRoYiuHI
 高町なのはという魔導師の強さは、偏に“主”であるユーノ・スクライアとの常識外れな契約相性の良さと、
これまた常識外なリンカーコアの強度によるものだと言っても過言ではない。
 魔導師と使い魔との契約とは違う、ヒトとヒトとの契約。主から使い魔への一方通行な魔力供給ではなく、
“主”と“従者”との間で魔力を共鳴させ、増幅、供給し合う。
その循環の果てにあるものは、無限に膨れ上がる魔力。
 もっとも、それは理論上の話であって、そう上手くいくというわけでもない。
 第一に、契約相性の問題。魔力の増幅率、魔力供給の伝達効率、おおよそ契約によって得られるメリットの
ほぼ全てが相性に依存しており、これが低くては雀の涙程度の効果しか得ることはできない。加えて、契約相性
というものは実際に契約するまではわからない上、どれだけ親しい間柄だろうと、長年連れ添った関係だろうと、
必ずしも相性が高いとは限らないのである。
 第二に、リンカーコアへの負担。仮に高い相性によって契約が為された主従であろうとも、リンカーコアの
キャパシティまでもが向上するわけではなく、あまりにも膨大な魔力はコアに大きなダメージを与えることになる。
最悪の場合は暴走に至り、溢れ出す魔力は敵味方関係なく、あらゆるものを破壊し尽くす。よって、契約の執行には
総じて制限時間が設定される。相性が高ければ高いほど魔力増幅率も高く、つまりは制限時間が短くなっていく。
瞬間的な出力の向上というならば、闇の書事件を経て安全に運用するための研究が始まったばかりのカートリッジ
システムのほうが、まだ安全で使い勝手が良いという始末なのである。
 ユーノ・スクライアと高町なのはの主従は、この二つの問題を完全に――とまではいかずとも、かなり高いレベルで
クリアしている。
 まず相性の良さ。これを数値化したものをシンクロ率と呼ぶが、平均にして20%を下回るところを、ユーノと
なのはの2人は、98%という新暦以降の記録上にある限りでは最高の値を叩き出している。それ以前の最高値が
71%だったのだから、記録を行ったスタッフは計器の異常なのではないかと何回も確認を取ることになった。
 そして2人は、リンカーコアの強度についても特筆すべきものを持っていた。特になのはのほうは、個人で保有する
魔力量はたいしたことがないにも関わらず、オーバーSランク魔導師のそれに匹敵するほどなのである。これは、本来
魔法が存在しないはずの世界で魔力を持って生まれた、つまり「突然変異」であることが由来と思われる。ユーノの
ほうも、なのはに比べれば見劣りするとはいえ、平均以上のコア強度であり、さらに彼は細やかな魔力制御に長けていた。
コアにかかる負担がなるべく小さくなるよう2人を繋ぐ魔力の流れをコントロールすることで、ユーノとなのはの契約執行
制限時間は、最大にして1635秒という数字に達した。普通なら、シンクロ率20%前後相当の値である。
 契約の恩恵を受けたユーノとなのはのコンビは戦闘において圧倒的な力を発揮した。紅の鉄騎ヴィータをして破壊不可能と
言わしめた防御や結界、バインドを操るユーノ。盾の守護獣ザフィーラすら一撃で堕とす砲撃と、金の閃光フェイト・T・
ハラオウンの高速機動を以てしても振り切れない誘導制御弾を保有するなのは。
 L級7番艦アースラのメインオペレーター、エイミィ・リミエッタは、別々の世界で生まれ育ち、偶然に出逢った、そんな
2人を評してこう言う。
「いやぁ、運命ってあるもんなんだねぇ……。あ、どっちかと言うと赤い糸?」
 もっとも、ユーノもなのはも無敵というわけではない。なによりも、2人の強さは主従セットでの運用が前提となって
いるのだ。
 高町なのは、入局1カ月の新米局員。個人で保有する魔導師ランクは、陸戦Eランク。

 ☆☆☆

152 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:54:49 ID:fRoYiuHI
「うにゃあああああっ!?」
 天井も床も見えない無限書庫の広大な無重力空間に、なのはの悲鳴が木霊する。闇の書事件後、4月から正式に無限書庫の
司書として働き始めたユーノは、またか、と溜息をついた。
 視線を声の聞こえてきたほうに向ければ、四方八方に散らばった無数の本と、その中心であわあわと慌てている様子の女の子。
「ゆ、ユーノく〜ん、たすけて〜」
 その女の子、なのはからの救援要請にもう一度溜息をついてから、ユーノは書庫内を縦横無尽に巡る梁を蹴って、彼女の
元へと向かう。
「今度は何やったのさ、いったい」
「むぅ……今度は、って。それじゃわたしがいつも失敗してるみたいじゃない」
「事実じゃないか」
「あう……」
 ぐうの音も出ない様子のなのはである。ユーノは少し可哀想に思いながらも、心を鬼にする。ここで甘やかすのは、なのはの
ためにならない。
で、何やったの、と視線で問う。
「……ユーノくんに教えてもらった検索魔法でね、A-3のリストを」
「いっぺんに終わらせようとして横着した結果、制御に失敗した、と」
「うう……その通りですごめんなさい」
 涙目で頭を下げるなのは。おおよそ予想通りではあったのだけど、当たっても嬉しくもなんともない。なのはの仕事が遅れる
ということは、その分ユーノの仕事が増えるということで。
「まったく……これじゃ、今日はご褒美あげられないな」
「え……」
 そんなふうに、意地悪の1つだってしたくなるというものだった。
「え、え……そんな、やだよ……ご褒美、欲しい……欲しいのに……」
 心細げに瞳を揺らすなのはに、ユーノは今すぐ“ご褒美”をあげたい衝動に駆られる。が、そこは慣れたもので、ユーノは
あっさりと欲求を抑え込んだ。
「じゃあ、横着なんてせずにひとつずつ、確実に片付けていくこと。なのは、こういう細かい魔法は苦手なんだから……
いいね? それでちゃんと出来たら、ご褒美あげるから」
「は、はいっ」
最後の一言でなのはは俄に元気を取り戻し、散らばった本を集めに向かった。
 その背中を見送ってから、ユーノは自分の作業に戻ることにした。さっきなのはが失敗したものと比べると、かなり面倒で
難しい仕事である。あっさり司書資格を取得したユーノに対し、一緒に受けた試験に落ちて、現在も資格取得のための勉強中
である司書見習いのなのはには、ごく簡単な仕事しかさせてはいけないことになっている。そもそも正式な司書でもない者を
書庫で働かせるのも問題があるのだが、その辺は今のなのはの肩書きやらユーノの便宜やらでなぁなぁになっている。
(やっぱり……なのはには無理なんじゃないかな、この仕事は)

 ☆☆☆

153 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:56:08 ID:fRoYiuHI
 入局時、なのはは武装隊への配属を希望していた。魔法の力を一番わかりやすい形で、いろんな人を、いろんなものを守る
ために使えるから。なのははそう言って、無邪気に笑っていた。
 その希望は通らなかった。
 なのはの魔法資質は攻撃に傾倒しており、そこだけ見れば武装隊向きなのは確かだったが、如何せん個人で保有する魔力量が
低すぎた。なのは1人では、せっかくの射撃・砲撃魔法も満足に使うことはできない。さらに、契約執行状態でなければ飛行も
できない(できないこともないが、すぐに魔力切れで墜落することになる)彼女は個人では陸戦魔導師ということになるのだが、
陸戦魔導師としては身体能力があまりにも欠けていた。彼女がEランク止まりになっている大きな理由の1つである。
 一度、ユーノを一緒に武装隊に配属させるという話も出たが、早々に却下された。ユーノ自身の魔法資質は完全にサポート特化
であり、お世辞にも武装隊向けとは言えない。契約にしても、最大で27分弱という制限時間がある。その間は凄まじい戦闘力を
発揮するなのはだが、逆に言えばたったの27分間しかまともな戦力にならないということでもあった。2人セットが必須という
点も、運用の幅を狭める。
 対してユーノは、無限書庫での資料検索において卓越した才覚を発揮していた。さらに、ここでも契約の恩恵は発揮される。
戦闘用魔法に比べればかなり消費魔力の少ない検索・読書魔法は、27分15秒間の契約執行、その間に無限増幅する魔力と
ブーストされた処理能力によって、通常時にしておおよそ丸一日分に相当する作業効率を見せた。
 そんな、お上の事情やら何やらといった経緯を経て、結局なのはは、ユーノ付きの秘書という形で無限書庫・司書課に編入
されることになった。

 ☆☆☆

 ふよふよと漂っていると、ふと、少し遠くの方で何冊かの本を抱えている女性司書と目が合った。と思うのも束の間、ぷいっと
顔を逸らされる。その様子は、どこか気まずそうで。
 ユーノはこれについても、またか、と小さく溜息をつく。
 書庫内外を問わず、なのはと一緒にいると今のような視線を時折感じるのだ。今度もご多分に漏れず、悪意、とまではいかずとも、
ネガティブな方向の感情が込められていたのを感じ取ってしまった。
 時空管理局という組織、特に本局は、実力主義の観念が非常に強い。そうでなければユーノのような年端もいかない少年を局の
データベース復旧、その陣頭指揮という重要な仕事に就かせることなどしないだろうし、フェイトやはやて、守護騎士たちの
ように、かつては犯罪行為に加担した者であろうと、更生・協力の意思と実力さえ示せば認められるのだ。
 この体質は、逆に言えば実力の伴わない者には過剰なまでに厳しく、時には簡単に切り捨てるということを意味している。
もちろん全てがそうというわけではないが、その手の人種が多いのは確かだった。
 ユーノは、なのはが、コネ入局の役立たずだとか、スクライア司書の魔力タンクだとか、そういう陰口を叩かれているのを
知っていた。酷いものでは、契約した主従であるという関係を揶揄して、スクライアのペット、と、そんなことを言う者すらいる。
 そういう輩を片っ端から殴り飛ばすのも、恐らくは自分がどのように言われているのか知っているなのはを励ましてやることも、
しようと思えばできたはずだ。
 だが、ユーノはどちらもしなかった。その行為こそが中傷を肯定し、却ってなのはを傷つけてしまうのではないかと、恐れた。
 なのはは、どうして管理局での仕事を続けようとしているのだろう。ふと、ユーノはそんなことを思う。
 彼女の希望である武装隊への配属は、恐らく今後も望みは薄い。魔力量が少なくとも、技術でカバーしてハンデを乗り越える
魔導師は数多いが、実戦、即ち契約の恩恵下で鍛え上げられてきたなのはの魔法は、すでに大魔力を活かした一撃必殺という
方向で固められてしまっている。今から矯正するのは難しいだろう。そこにはもちろんユーノにも責任があるのだが、出会った
頃は、後々自分が局入りして無限書庫の司書をやることだって想像すらしていなかったのだ。なのはのことなんて、余計に
わかるはずがなかった。
 きっと、辛い日々のはずだ。そんな中でも、なのはは、へこたれず、笑顔を絶やさず、毎日を精一杯に過ごしている。人はきっと、
それを「強さ」だと言うのだろうけど。ユーノには、その「強さ」こそが、なのはの心を蝕んでいるように思えてならなかった。

 ☆☆☆

154 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:57:32 ID:fRoYiuHI
 その日の業務を定時通りに終えた後、ユーノとなのはは本局内にある局員用の寮、その一室にいた。ユーノのために用意された
その部屋は、尉官用と同クラスの上等なもので、1人暮らしにはいささか広すぎるくらいだった。それだけユーノの能力が期待
されているということでもある。
 住み始めて1カ月。仕事の忙しさと、週末は海鳴の高町の家に泊まることにしていることもあって、もともと備え付け
られていた家具以外にはほとんど物がない、殺風景な部屋である。ただ、結構な頻度で、なのはが練習中だという手料理を
振舞ってくれるので、キッチン周りだけは妙に道具が揃っていたりする。
「ご馳走様でした」
「はい、お粗末様〜」
 今日も、なのはの手作りの晩御飯だった。メニューはカレーライスとグリーンサラダ。カレーはほとんど同じ有名な料理が
ミッドチルダにもあるので、ユーノも慣れ親しんだ味である。
「んー、美味しかった。やっぱり料理上手だね、なのは」
「え、ええ? そんなことないよ。カレーってそんなに難しいわけじゃないし……」
 恥ずかしそうに謙遜するなのはだったが、ユーノは本当にそう思っている。遺跡発掘を生業とする一族の中で育ったために
サバイバルの知識は食も含めて豊富だが、このような家庭的な料理はまるで作ったことがない。なのはの手料理は、ユーノに
とって間違いなく日々の癒しのひとつなのである。
「……本当に、美味しくできてた?」
「うん、本当」
「それじゃあ……その、ね?」
 恥ずかしそうに、顔を伏せて。そこから上目遣いで、何かを訴えかけてくるような瞳。
「……ご褒美、欲しいかも」
「別にいいけどさ」
 ユーノは苦笑する。なのははそんなユーノの態度にきょとんとしていて、やはり気付いていないらしい。
「今だと、カレーの味がしちゃうんじゃないかな」
「……っ!」
 なのはは瞬時に顔を真っ赤にして、両手で口元を押さえる。そんな様子を、ユーノはあはは、と笑う。少し涙目になって、
恨めしそうな視線を向けてくるなのはが妙に可愛らしい。
 そんなふうに余裕の態度を見せていたユーノだったが、
「……べ、べつに……いいよ……」
「へ?」
 あ、これまずい、とユーノは直感する。いや別にまずくはないのだけれど、まずいのだ。
「カレーの味なんて、しなくなっちゃうくらい……いっぱい、ご褒美……ほしい」
 今日こそ歯止めが利かなくなるんじゃないかと思いながらも、拒む気はまったく起きなかった。

 ☆☆☆

 私服のユーノに対し、なのはが着ているのは本局事務員用の青い制服である。エイミィやアースラスタッフが着ていたものと
ほぼ同デザインのそれをなのはは気に入っていたが、今はベッドの上に上着が脱ぎ捨てられ、白いシャツと短めのタイト
スカートだけ。
「ん……ん、んんっ……ふぁ……ちゅ、ん……」
 ベッドに隣り合って腰掛け、なのははユーノと唇を重ねていた。舌を差し込まれ、口内を舐め回され、触れ合う場所からは
ぴちゃぴちゃと水音が漏れる。幼い容貌に浮かぶのは、歳に見合わぬ恍惚の色。
 やがて、唇が離れる。互いの間を繋ぐ、銀色に輝く細い糸。それが切れると、なのはは、あ、と名残惜しそうな声を漏らした。
「……やっぱり、カレーの味だね」
「もう……ムードとか考えてよ、ユーノくん」
「そう言われても……恋人ってわけでも、ないんだし。ただの、ご褒美、なんだから」
「そ、それは……そう、だけど……ん、あっ」
 これで話は終わりと言わんばかりに、ユーノは再度なのはの唇を奪う。驚いた様子のなのはだったが、すぐに上下の唇の間に
隙間ができて、ユーノの舌を受け入れる。今度は、なのはも舌を伸ばして。ほんの少し、ちょこんと触れ合うと、次の瞬間には
互いを貪るかのようにして絡み合う。
「ん……ん、は……ぅん……」
「ひゃ、ぁん……んぅ……ん、んぁっ……」
 なのははユーノの服をぎゅっと握って、ユーノはなのはの小さな頭を抱いて離さない。幼くも、それは恋人同士の交わりの
ように見えて――しかし2人は、ただ“主従”でしかなかった。
 2人が出逢ってからずっと続くこの行為も、精一杯頑張った“従者”への、“主”からの“ご褒美”に過ぎない。

 ☆☆☆

155 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:59:08 ID:fRoYiuHI
 ヒトとヒトとの契約に必要なのは、専用の儀式魔法と、両者の契約の意思と、深い口付けの三つ。
 最後の1つについて、必ずしもキスである必要性はないのだが、儀式による魔力リンクの構築のためには、両者の粘膜同士の
接触が必要になる。それを介して互いの魔力を行き来させ、2人の意思を以て契約を為すのだ。そうなると、深いキスがもっとも
手っ取り早く、確実な方法になる。
 ユーノとなのはの契約は、緊急避難的な色合いが強かった。ジュエルシードの暴走体に襲われるユーノと、助けを呼ぶ声に
応えたなのは。ユーノを助けたいという想いこそ確かでも、口付けのほうはよくわかっていない様子だったなのはに、力を
振り絞って人間の姿に戻ったユーノは――
「ごめん!」
「んっ、んん!?」
 それが、2人のファーストキスだった。
 その後、ユーノの予想をはるかに上回る契約の力と、それにより得られた膨大な魔力でインテリジェントデバイス・
レイジングハートのフルドライブモードを起動させたなのはの魔法によって、ジュエルシードの暴走体を封印することに
成功。契約を交わした2人は、主従の関係となった。
 直後のユーノはと言えば、死んで詫びるのも辞さない所存であった。それ以外に方法がなかったとはいえ、こんな年端も
いかない(ユーノもたいして変わらない歳ではあるが)女の子の唇を奪ってしまったのだ。初めてだったかもしれない。
むしろ初めてに違いない。女の子の初めてが大事なものであることくらいは、幼いユーノにもわかっていた。そもそも、
人間同士での契約を交わすのは、その方法からしてほとんどが恋人や夫婦なのだ。それを、出逢ったばかりで相手の名前も
知らないような状態で。
「ごめんなさい! 本当にごめんなさい! なんでも、なんでもしますから!」
 キスのことだけではない。普通に過ごしていればおおよそ関わり合いになるはずもない危険に巻き込んでしまった。それ以前に
命の恩人である。いくらお礼をしたってし足りない。
「報酬とか、お礼とか、あ、何か欲しいものがあるのなら、僕に出来る限り、なんだって、いくらでも!」
「報酬というか……がんばったご褒美、ってことでいいんだけど。その……」
 少女は、自分でも戸惑っているかのように。
「……もう、いっかい」
「へ?」
 自分の唇を指して、そんなことを、言っていた。

 あんまり幼い頃から快楽を覚えると猿みたいになる、という話を聞いたことがある。それと似たようなものだろうと、ユーノは
一応の結論を出していた。まあ、自分だって似たようなものだし。10にも満たないなのはには、大人のキスは刺激が強すぎたらしい。
 それ以来なのはは、ジュエルシードを封印したり、新しい魔法を覚えたり、学校や塾のテストで良い点を取ったり、果ては苦手な
ピーマンを残さず全部食べたり、何かにつけては“ご褒美”をねだるようになった。軽くキス中毒とも言えるぐらいで、ユーノは
そんな生活をどうかと思いながらも、一方でなのはの柔らかい唇や甘い舌に溺れていった。

 それからフェイト・テスタロッサとの出会いと戦い、和解、さらには闇の書事件を経て、2人は今に至っている。

 ☆☆☆

156 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 02:59:55 ID:fRoYiuHI
 カレーの味なんて消え失せてしまうほどに口付けを繰り返していれば当然、2人の口元はすっかり互いの唾液塗れになって
しまう。先に気付いたユーノが、なのはの口元から2人のものが混じり合った唾液を吸い、舐め取ると、今度はお返しとばかりに
なのはが、同じように。彼女は照れ隠しにえへへと笑って、こてん、とユーノの肩に頭を乗せた。
「なのは?」
「んー♪」
 ぴっとりと腕に抱き付くようにくっついて、すりすりと頬ずりしてくるなのは。
 キスのおねだりは日常茶飯事でも、こうやって甘えてくることは珍しい。まあ、もっとも――管理局での仕事を始めてからは、
頻度が上がってきているが。
 そういう時、ユーノはいつも、何も言わずになのはの頭を撫で、髪を梳いてやることにしている。そうされるとなのはは安心
するらしく、ユーノにとってもなのはの柔らかい髪は触り心地が良い。
 ユーノは、自分がなのはに惹かれていることを自覚している。
 内面がどうこうと言う以前に、こんな可愛い子から毎日のようにキスをねだられていれば誰だってそうなるだろう、と、
なかば開き直っていた。
もちろん今では、内面のほうにも――優しくて一本気で、辛いことや悲しいことを1人で抱え込む悪癖もあって――しっかりと
惹かれているのだけれど。
 しかし不思議と、想いを打ち明けたいとは思わない。
 別に、拒絶されて今の関係が壊れてしまうのが恐いというお約束な理由ではなく、そもそも拒絶されるとも思っていない。
さすがにまるで好きでもない相手に何度も唇を許したりしないだろうし、今みたく甘えることもないだろう。そうやって冷静に
分析する自分にいささか自己嫌悪に陥りつつも、ユーノはなのはの小さな肩に手を置いて、抱き寄せる。
 元からくっついていた身体が、さらに密着する。服越しになのはの身体の柔らかさと温かさが感じられるような気がして、
鼻腔をミルクのような甘い香りがくすぐった。
「わ、わ……ユーノくん?」
 甘えてきたのはなのはのほうなのに、こうやって優しくすると戸惑ったふうになるのがおかしい。そんなに普段の僕は優しく
ないのだろうか、とちょっとだけ悩む。
「なのはの身体、あったかいね」
「……ユーノくんも、あったかいよ」
 だから戦える。
 PT事件の終盤、時の庭園で、なのははそう言った。言ってくれた。
 それからずっと、僕は、なのはにとってあたたかい存在で在り続けることができたのだろうか。彼女は今も、戦えているの
だろうか。
「……ちょっと、熱いくらい」
 なのはは、シャツの第一ボタンに手をかけた。

 ☆☆☆

157 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 03:00:40 ID:fRoYiuHI
 ゆっくり、しかし次々とボタンが外されていくのを、ユーノはただ黙って見ていた。全てのボタンが外れ、開いたシャツの隙間
から、肌色と、薄い桃色のブラジャーらしきものが見える。
 1年前、なのはと一緒に暮らすようになったばかりの頃、まったくもって無防備だったなのはは幾度かユーノの前で生着替えを
披露してくれたが、その時はまだブラジャーなんてものは着けていなかったはずだ。これが成長なのか、それとも――。
「スカートも……ちょっと、窮屈かな」
 女性ならぬユーノには、ぴっちりしたタイトスカートの穿き心地なんてものはわからない。
 わかるのは、なのはがスカートのホックを外してしまったらしいことだけだ。
 立っていればストンと落ちていただろうが、座っている今はたいして変化があるわけでもない。それでも、雰囲気は変わる。
「ユーノ、くん」
 見上げてくる瞳は、もはや無邪気な少女のものではなかったが、それをなんと呼ぶのか、年若いユーノにはわからない。
 ただ、その奥に揺らめいているのは、ひどく儚く、脆いものであるように思われた。
「ユーノくん、わたしね」
 そっと、唇が重ねられ、すぐに離れた。なのはからキスされるのも、触れるだけのキスも、初めてだった。
「ユーノくんがいないと……なんにも、出来ないんだ」
 それは違う、とは言えなかった。
 なのはが笑っていると頑張れるとか、元気が出るとか、ユーノにとって事実であるのは間違いなくても、彼女が求めているのは
そういう精神論的な答えではないだろう。
 でも。
「逆を言ったら、僕が一緒ならなんでも出来るってことだよね、それ」
 なのはは、驚いたような顔をした。続いて、困ったような、照れたような、拗ねたような顔。
「もう。先に言っちゃダメだよ、ユーノくん」
「ごめん」
「でも、ちょっと嬉しいかも」
 えへへ、と笑って、
「さすが、わたしのご主人様」
 そんな呼ばれ方をするのは初めてで、ユーノは瞬間、硬直した。
 そもそもヒト同士の契約における“主従”というものはあくまで伝統的かつ便宜的な表現に過ぎず、実際に主従関係となる
なんてことは、まったくない。
「ふふ。ちょっと、えっちな響きだね」
 ちょっと。果たしてちょっと、なのだろうか。割と奥深いところに突き刺さったような気がする。無論嫌というわけではない
けれど、どうにもドギマギしてしまうユーノである。
「これからふたりっきりの時は、ご主人様、って呼んでもいい?」
 半裸で、瞳は潤んでいて、上目遣いで、卑猥に思えて仕方がない言葉を紡ぐ唇は、妙に艶めかしくて。当然、拒めるはずもなく。
「なのはが、そうやって、呼びたいのなら」
「じゃあそうするね、ご主人様」
 にっこりと笑顔で、さっそく。
 ユーノは、これは仕事疲れでネジの緩んだ脳が見せている頭の悪い夢なんじゃないかと思い始めた。
 再び触れてきたなのはの唇の甘さ柔らかさ温かさその他諸々に、即否定されたが。
「よくわかんないんだけどね、ご主人様のことご主人様って呼ぶと、わたしはご主人様のものなんだって、ご主人様のそばに
いていいんだって、そんな気分になるの」
 ご主人様言われすぎでクラクラしてくる。これはもうわざとやっているのではないだろうかと思わざるを得ないが、なのはの
顔にはまるで悪戯っ気がないのだった。本気だ。
「ねぇ、ご主人様」
「な、なに」
「今のわたしの格好見て……なんとも、思わない?」
 恥ずかしいのか、なのはの顔は紅い。
 ディープキスなら数えるのも馬鹿らしくなるほどしてきたし、なのはにお風呂に連れ込まれたりしたことも何度だって
あるのに(当然フェレットモードだったが)、何を今さらと思わないでもない。
 そもそも恥ずかしいのならそんな誘ってるような格好しないでほしい、なんてことを考えて。
 ユーノはようやく悟った。
 ああ、これ、誘われてるのか。



 つづく

158 例えばこんなリリカルなのはさん・前編 :2009/06/10(水) 03:02:22 ID:fRoYiuHI
 半分ぐらい説明になってて萌えもエロもあんまりなく、ごめんなさい…
 なんかもういろいろ突っ込みどころありそうな設定ですが要するにネギまとアスラクラインをごちゃ混ぜにしたような感じです、はい。
 契約うんぬんの設定自体はあんまり重要じゃないというか、この設定により発生した「単体だと恐ろしく弱いなのはさん」が重要というか。
 それにしたってほかにやり方があるとは思うのですが、アレですよ。
 とりあえずフェイトさんの時は1対1なのでノーマルのSLBでしたが、ボエ子の時はスターライト・ラブラブ・ブレイカーでした。
 そういうことです。
 あとはなのはさんに「ご主人様」って言わせ(ry
 次回はエロしかありません。明日には投下したい。

159 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/10(水) 03:05:25 ID:fRoYiuHI
ぎゃあ!
なんか>>158の名前欄が作品タイトルのままになってますが、SSはその前のレスまでです。
念のため。

160 名無しさん@魔法少女 :2009/06/10(水) 12:58:08 ID:vczjeqQc
なのはとユーノは契約してなかったけどな
別のアニメの設定持ちこむんなら
そっちのアニメのSS書いてりゃいいのにさ
荒らした跡のスレだったら住人がおとなしくGJくれると勘違いしてるらしい

161 名無しさん@魔法少女 :2009/06/10(水) 15:27:59 ID:1uOwrVqs
GJ!!です。
一人では弱いがコンビで最強かw
こんな、なのはもいいなぁ。次回も楽しみにしています。

162 名無しさん@魔法少女 :2009/06/10(水) 16:43:19 ID:w1F4nwKo
解ったフリしたオトナの恋愛書かれるよりは、ラブエロのが良い希ガス
かわいいなのはだなGJ

163 名無しさん@魔法少女 :2009/06/10(水) 21:13:48 ID:K3eEVDdg
某所で三分割しますって言ってた人かな。
房中術と考えればなかなかに奥が深い気がする。

164 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/11(木) 01:07:05 ID:7vHiPZHg
では中編投下します。一応もっかい注意書き。

・ユーノくん×なのはさん
・前・中・後の3編。今回は中編。
・エロ
・設定改変あり。
・10歳。10歳でこれはねーよというツッコミは(ry
・タイトル「例えばこんなリリカルなのはさん」

165 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:08:36 ID:7vHiPZHg
 2人が出逢ってからかれこれ1年ほどになるが、これまでキス以上のことをしたことはない。
 幼い身体は深いキスがもたらす快楽だけでも十分に満足して、それ以上を求めることはなかった。意外と清いお付き合いを
してたんだなぁ、とユーノは現実逃避気味な思考に走る。
「ご主人様に見てもらうんだ、って……せいいっぱい悩んで、いちばん可愛い下着、選んできたんだよ……?」
 なるほどブラジャーの件は後者であったらしい。
「……なにも、しないの? して、くれないの……?」
 それはいつものおねだりではなく、もっと切実で、張り詰めた、懇願。
 なのはが急にこんな行動に出た理由は、だいたいわかっている。というか、心当たりが多すぎた。
 なんにせよ、限界が来たのだ。遅かれ早かれ、こうなっていただろう。
 そうならないようにすべきだった。してこなかったからこその、今の状況だ。
「なのは」
「あっ」
 左手は、なのはの肩に。右手は、露わになっているなのはのお腹に。唇は耳元へ寄せて、そっと、息を吹きかけるように
囁いて。右手の指を、お臍の周りを撫でるように、指を這わせる。
「あ、ゆ、ユーノくっ、ん」
「ご主人様、じゃないの?」
「ご、ごしゅじん、さ、ま……」
 びくり、となのはの肩が大袈裟に揺れる。身体も震えていて、怯えているのはあきらかだった。お腹に触った程度で
これなのに、よくもまあ。
 でも、そんななのはが愛おしかった。
「恐かった、ね」
「あ……」
 お腹に当てた手はそのままで、もう片方を使って、なのはの頭をぽんぽんと軽く、優しく叩く。身体の震えは、一度止まって。
さっきまでのそれとは別に、また、震え出す。
「恐かったんだよね、いろいろ」
「……ぅ、ん。こわ、かった……こわかったよ、いろいろ……」
 いろいろ。
 口にして言えばたったそれだけの言葉ではあったが、その文字通り、いろいろな、様々なことが、なのはには恐くて、
ユーノはそれを知っていて、でも、何もしないで。
 そうして、ここまできてしまった。
 気付いたことがあった。
(僕は、なのはを傷つけてしまうのが恐くて、手を差し伸べなかったんじゃない。僕は……)
 両腕を、背中に回して。ぎゅっと、抱き締める。なのはも、おずおずと、応えてくれた。細い腕から伝えられてくる力は弱く、
しかし、不思議とどうやっても振り解ける気がしない。
(頼ってもらいたかったんだ。たすけて、って。そう、言ってもらいたかったんだ)
 気付いてしまったら、自分の愚かさを笑いたくなった。腕の中で、胸に顔を押し付けて、たぶん、静かに泣いているのだろう
なのはを想って、堪えた。
 つまらない意地のために、なのはに辛い想いをさせてきた。こんな最低の人間に、なのはを受け入れる資格なんてあるのか。

166 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/11(木) 01:09:33 ID:7vHiPZHg
(本当に、馬鹿だな)
 なのはの背中をさすさすと、撫でながら。
 資格がどうこう、なんて。あまりにも馬鹿馬鹿しい。そんなもの、無いに決まっている。わかりきったことだ。
 でも。
(それで今、なのはを突き離すなんて、もっとありえない)
 資格がないからって、なのはを受け入れなかったら。それは結局、同じことの繰り返しだ。自分のつまらない意地のために、
また辛い想いをさせるなんて、そんなことはあってはならない。
 そもそも、頼ってもらいたくて、そうして、頼ってもらえたのだ。そこに手を伸ばさないのは、本末転倒じゃないか。
「なのは」
「あっ、ん……」
 今度はユーノから、触れるだけのキス。
 1年もの間、深いキスを何度も繰り返してきたのに、今日になってようやくそんなことをしていることを、おかしく思う。
 いや、事実、おかしかったのだろう。
 でも、それなら。今日、ここから、はじめればいい。
 そのために、まずは、唇を離して。
「優しく、するから」
 言葉通り、優しく押し倒した。

 ☆☆☆

 まずは、目尻に残る涙を舐め取った。なのはは、ん、と声を漏らして、くすぐったそうに身を捩る。
 押し倒したまではいいが、さてどうしよう。
 ユーノも、なんだかんだで10歳そこらの子供に過ぎない。これまでのなのはとの関係がちょっとアレだったから、
まあ、普通より慣れてはいるけれど。
 だからと言って、具体的に何をすればいいのかはわからない。とはいえ、このままじっとしているわけにもいかず。
 とりあえず、いつもよりちょっと激しめのディープキスで誤魔化しにかかる。
「ひゃっ、ん、んんっ……ふは、ぁん……」
 そう言えば、寝転がるなのはにキスをするのは初めてかもしれない。大抵の場合は隣に座り合って、みたいな、
そんな感じだったから。ユーノはなのはに覆い被さっている格好で、彼女に体重をかけないように身体を支えなければ
いけないのが、ちょっと疲れる。
 やっぱり、こういうのって色々と違うんだ。
 感動、とは違うけれど。なんだか、感慨深いものがあった。

167 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:10:51 ID:7vHiPZHg
 考え事をしている内に、息が続かなくなってきたので唇を離す。ユーノの下になって、見上げてくるなのはの瞳は
いつも通り名残り惜しそうで、しかしそれ以上の何かを秘めているようにも見えた。
「は、ぁ……はぁ……ゆーの、くん……じゃなくて、えっと……ごしゅじんさまぁ……」
「どっちでもいいよ」
「……じゃあ、ご主人様」
 そっちなのか。
「唇以外にも……キス、してほしい……です……」
 なのはの言葉に、ユーノは天啓がひらめいたかのような思いだった。
 というか、なぜ気付かなかったのか。いったいなんのためになのはがわざわざ半裸になってくれたと思ってるんだ僕のバカ。
 自分の愚かさを責めていると、その間の短い沈黙を何か勘違いしたのか、
「えと、今の言葉遣い、変だったかな……?」
 なのはが、ちょっと不安そうに。そういえば今の、何故か敬語だったな、となのはの言うことに思い当たった。
「こういうふうにしたほうが、興奮してくれると思って……」
 むしろ、その健気な心遣いに興奮する。それとは別に、いったいどこでそんな知識を仕入れてくるのかと不安にもなったが、
大方はやて辺りに吹き込まれたのだろう。出所は月村家か。メイド的な意味で。
「なのはの好きなようにしていいよ。どうせ、そんなの意識してやるの無理になっちゃうと思うし」
 なのはが一瞬で顔を真っ赤に染め上げた。
 それもそのはずで、今のは「なのはのこと、メチャクチャにしてあげるからね」とほぼ同義である。僕もなのはも、
なんというかたいした耳年増だよな、と思う。
 とりあえず、なのはの要請通り、唇以外にもキスを降らせていくことにする。
 まずは、勝負下着だという薄桃色のブラジャーの上に。
「ひゃっ」
 いきなりでびっくりしたのか、なのはが声をあげる。
「う……ど、どう……ですか、ご主人様……」
 結局そっちで行くことにしたらしい。まあ、なのはの性癖についてとやかく言う気はないので、いいのだけど。
「ん、可愛いよ。色もデザインも、なのはによく似合ってる」
 薄桃色のブラは、その縁を可愛らしいフリルで飾り付けられている。決して派手というわけではなく、むしろ素材である
なのはの肢体、その美しさを引き立てているかのようだ。薄桃という色も、彼女の魔力光を思い起こさせるためか、イメージは
ぴったりだ。
 それに。
「それに……けっこうえっちぃね、これ」
 近くで見てわかったことだが、このブラ、かなり生地が薄い。なんでわかったのかというと、
「……はむ」
「ひゃぁうっ!?」
 勃ってるのが生地越しにもはっきりとわかったからだ。勃ってるってどこが、と言われれば、今ユーノが唇で挟んでるところ、
と答えるほかにない。

168 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:11:43 ID:7vHiPZHg
 ユーノはそのまま舌を伸ばして、先で転がしてみた。
「はっ、ん、やぁ! あ、あ、だめ、だめぇ、ゆー、は、んぁ、ごしゅじんさまぁっ」
 反応は上々だった。かわりに、早くも“ご主人様ごっこ”がダメになりそうではあったが。
 薄いとはいえ、ブラの生地越しでこれなのだ。直に触れたらどうなるのかと思うと、ユーノは少し恐くなった。
 まあそれでも、当然ブラはずらしてしまうのだけど。
「あっ、う……あ、あんまり見ないで……ください……」
 散々着替えを見せつけてくれたり風呂に連れ込んだりしたくせに、今さら桃色乳首のひとつやふたつで恥ずかしがる必要なんて
ないんじゃないか。そう思いかけて、しかしユーノはすぐに考えを改めた。
 羞恥と興奮から薄紅に染まるなのはの白い肌の上、きっと痛いほどに自己主張して、実が詰まっているはずの、さくらんぼ。
チラ見だったとはいえ、初めて見るというわけでもないなのはのそれに、ユーノの視線は釘付けだった。
 思わず、ごくり、と喉が鳴る。むしゃぶりつきたい衝動に駆られたが――そこは、ぐっと我慢して。
 まずは、外気に晒されてぷるぷると震えているような気がする、なのはのおっぱいを責めることにした。
「ん、んんっ……!」
「あ、すごい……ちゃんと柔らかいんだ……」
 母というものを知らないユーノは、その柔らかさに小さな感動を覚えた。最初は人差し指で突いて、次第に使う指を増やして、
最後には手の平で撫で回すように。頂上の果実に触れないようにするのが、ちょっと難しい。
「あっ、やん、ひゃぅ……っ!」
「なのは、気持ちいい?」
「はぁ、んん……は、い……ぅあんっ」
 当然思う存分揉めるような大きさはないわけだけど、それでも歳のわりには大きいんじゃないだろうか、と膨らみ始めの
胸の柔らかさを堪能しつつ、考える。
 見たことなんてないから正確な比較はできないが、フェイトやはやてよりかは育っているような気がする。ヴィータ? 
さすがにそれは比べるのが馬鹿らしくなる。不可抗力でアリサとすずかの裸を見てしまったことはあったが、1年も前の
ことだから参考にならない。
 いや待て、むしろ思い出すべきは1年前のなのはではないだろうか。

 あきらかに成長している――!

 これはたぶん女性ホルモンの影響だな、とユーノの聡明な頭脳が仮説を立てる。毎日事ある毎にディープキスを繰り返して
快感を得ていた結果、女性ホルモンの分泌量が増えて、それで大きくなったのだ。
 気がする、なんてもんじゃない。これはもう確実に、フェイトやはやてより大きいはずだ。
 その時だった。

169 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:12:44 ID:7vHiPZHg
「ふひゃ!?」
 いきなり伸びてきたなのはの手に、両頬を引っ張られる。
「ご主人様ぁ……いま、他の女の子のこと、考えてませんでした……?」
 ギクリとした。いや別にやましいことなんて考えていたわけでは……ない、とは言えないかもしれない。なにせ比較の
ためとはいえ、フェイトやはやて、アリサ、すずかのおっぱいを思い浮かべていたのだ。今はなんだか、“ご主人様ごっこ”
の口調がやたらと恐ろしい。
「そ、そんなことないよ。なのはのおっぱいは僕が育てた。それを確認してただけだよ」
「……じゃあ、もっと……育ててください」
 自分で言っていて恥ずかしくなったのか、途端にしおらしくなったなのはに、ユーノはほっとする。同時に、再び
突っ込まれないよう、おっぱいの育成を再開した。
「はぅんっ! や、あ、あぁん!」
 なのはの柔らかおっぱいに口付けると、そのまま強く吸い上げた。それを、同じ場所に何度も繰り返す。
 これは自分のものだ、と印をつけたくなったのだ。
 なのはの胸がユーノと繰り返してきたご褒美の結果大きくなったというのなら、それは、ユーノとの行為が目に見える形で
なのはを変えたということを意味する。その事実は、ユーノの中にある征服欲や支配欲求を大いに刺激し、彼をより激しくさせた。
 今のなのはの身体はユーノなくして存在し得ない、ユーノがいたからこそのもの。ユーノだけのものだった。
 しっかりと赤い痕をなのはの身体に刻んで、ユーノはようやく唇を離す。その間ももう片方の胸は突かれ撫でられ揉まれ、
存分に可愛がられていた。なのはは息も絶え絶えで、ただ嬌声を漏らすだけ。
「はっ、あ……はぁ……ん……」
 しかし彼女は、どこか不満げでもあった。何かが足りないと言わんばかりに。何が足りないのか、なのはが口に出さずとも、
彼女の身体が如実に物語っていた。
 ユーノは、先ほど抑え込んだ衝動を解放することを決め、
「ひっ、やぁあぁぁんっ!?」
 ツンと張った桜色の果実を、口に含んだ。
 そのまま舌先で転がし、反対側は指で抓んで捏ね繰り回す。
「ひゃ、あん! やっあぁ、あ、ああぁあぁぁ! だめ、だめぇ、ゆ、のっ、はぁっん! ん、はぅ、だ、め、んんっ、
だめ、です、あ、あ、ごしゅじん、さまぁっ!」
 なんというか、妙な意地を張っているなのはだった。ユーノとしては、本当に「ユーノくん」でも「ご主人様」でも
構わないのだけど。
 ただ、なのはの喘ぎ声が耳に心地よいのは、間違いのない事実で。もっと啼かせたくなって、口に含んでいる、
どこか甘い味のするそれに。
 優しく、歯を立てた。
「ひ、んあぁあああぁぁあぁあああぁぁぁぁっ!?」

 ☆☆☆

170 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:13:33 ID:7vHiPZHg
 失神こそしなかったけれど、荒く息を吐くばかりでまともに喋れない様子のなのはに、ユーノは少しばかり反省していた。
「やりすぎちゃった……」
《Don’t worry(いいんじゃないでしょうか)》
 いたのかレイジングハート。
 それはそれとして、ユーノは少し苦労してなのはの腰を持ち上げ――力の入っていない人間の身体というものは、実際の
数字以上に重たく感じられるものだ――、ホックの外されていたスカートを脱がせた。
 本当に反省したのか疑わしい限りだが、そこはそれ、男のサガだから仕方がない。
「うわぁ……」
 スカートが取り払われ、ユーノの目の前に姿を現したなのはの下半身に、思わず感嘆の声が漏れる。
 柔らかそうで、それでいて張りのある太股。上気してほんのりと色づくそれは大変に艶めかしい。
 そして何より、なのはの大事なところを覆う、ブラとお揃いの、薄桃色のショーツ。
 大きな染みを広げるそれは、ユーノを大変に興奮させた。
「なのは、すごい……すごい濡れてるよ……」
「は、あ……やぁ……いわ、ないで……くださ……」
 比較対象なんていないからわからないけれど、なのははかなり感度がいいんじゃないかと思う。まだ子供なのに、こんなに。
 お揃いだから、やはりショーツの方も生地は薄いのだろう。下着としての許容量を超えるほどに濡れたそれは、すっかり
透けていて、その下、隠さなければならない部位の形がくっきりとわかってしまう。
「はぁんっ!」
「へ?」
 急になのはの腰がびくんと浮いて、ユーノは何事かと身構える。なんのことはない、無意識のうちに、なのはのそこ、
割れ目を指でなぞってしまっていたのである。じゅん、と、新たに液体が溢れてきたような、気がする。
「……なのは。脱がせちゃうから、腰、浮かせて」
「は、い……」
 今のなのはの反応を見て、ユーノはそこを直に責めてみたくなった。
 たぶん、さっきの胸への責めで、なのはがこんなにも感じてくれたのは、口、ひいては舌を上手く使えたからだと
自己分析する。“こんなこと”はユーノも初めての経験ではあるが、キスだけは数えきれないほど実践してきた。
そこで覚えた舌遣いが活きているのだ。
 だから。だからこそ。

171 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:14:16 ID:7vHiPZHg
 力が入らないのか、ぷるぷると震えながらなんとか腰を浮かせたなのはのショーツに、手をかけて。
 濡れて肌にぴっとりと貼り着いている上、水分を吸って縮んだせいか、どうにも脱がしにくいそれを、苦心しつつも
引き下ろし。
 結局全部脱がせるのは無理と判断して、右足からだけ引き抜き、左の太股にくちゃくちゃになったまま引っ掛けた
状態にして。
 そうして露わになった、なのはのそこに――初めてみる女性器は、思っていた以上に生物的で、グロテスクで、
しかし、輝くようなピンク色が綺麗で、神秘的で、美しかった――口付けたい。唇を這わせ、舌を伸ばして舐め回し、
情熱的なキスを捧げたい。
 ユーノにはもはや、なのはから許しを得ることすら億劫だった。どうせ拒まれるなんてことはありえない、そんな
傲慢な考えすら浮かぶ。ただ、己の欲望に従うがまま――
「ちゅっ、ん、じゅる……」
「ひゃっ、あああああ!? や、ぁあんんっ!?」
 なのはの秘所に口付け、そこをたっぷりと濡らしている愛液を啜った。
「ん、ん……ちゅ……じゅじゅ……」
「やっ、やぁぁぁ! だめ、それだめぇっ! はあっ、あん、ああっあぁあぁぁぁぁっ!」
 身を捩ってなんとか逃げようとするなのはだが、ユーノはなのはの細い腰をがっしりと掴んでいるために、
逃亡は叶わない。むしろ、傍から見れば腰を振って誘っているかのようですらあった。
 攻めるユーノは、一心不乱に媚肉を啄み、蜜を吸う。
 独特なにおいとしょっぱい味は、それがなのはのものだと思えば、途端に甘美なものへと変わる。
「はぁんっ、ゆーのくっ、やだ、ああっ、やだやだぁ、きたない、からぁっ、あぁぁぁんっ!」
 舌を伸ばして、ぴっちりと閉じた陰唇の奥へと進ませようとするが、なかなか上手くいかない。
 それでも、なのはへの刺激としては十分なようだった。
 すでに抵抗する力も残っていないのか、ただユーノの責めを一身に受けるだけになっている。
 責めを続けていると、そう間を置かずして、ユーノは“それ”を見つけた。ぷっくりと、小さく膨らんでいる、
豆粒のような突起。ユーノの知識によれば、それは女性器のうちでも最も敏感なところであるはずだった。
 だから。
 特に考えもなしに、さっき乳首にやったようにして。
 その、可愛らしい陰核を、甘噛みした。
「あ、あ、ああああああああああああああっ!!」
 なのはは、この日、これまでで一番大きな声で、背をベッドから浮くほどに反らして。
 ぷしゃあああああ、と。
「……へ?」
 勢いよく、金色に輝く聖水のシャワーがユーノに降り注いだ。

 ☆☆☆

172 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:15:01 ID:7vHiPZHg
「ふぇ、う、ううっ……ひっく……ふえぇぇぇん……ぐすっ……」
 とりあえず服を全部脱いで手早くシャワーを浴び、腰には申し訳程度にタオルを巻きつけて戻ってくると、
なのははベッドの上で女の子座りになって、大泣きしていた。イッた後に失神してしまったはずだが、ユーノが
聖水を洗い流している間に意識を取り戻したらしい。
「こ、これはさすがに……やりすぎだった、よね……」
《Don’t worry, don’t worry(ええじゃないか、ええじゃないか)》
 無責任に物を言うのはやめてよレイジングハート。
「ひっく、お、おも、ぐす、おもらし、み、みられ、ちゃったよぉ……うぇぇぇぇん……」
 なんとかして慰めなければ、と思うのだが、なんて声をかければいいのやら。
 なのはのおしっこなら喜んで飲むよ、とでも言えばいいのか。それではただの変態だし、そもそも明らかに
シャワーあがりの格好であるユーノが言ったところで説得力は皆無だ。さすがに10歳の子供に飲尿は
辛いものがあるわけで、それも仕方がないのだが。
「う、う……こんなの、ぐすっ、やだよぅ……ゆーの、くん、に……うう……きらわれちゃうよぉ……ひっく……」
 まずは、こんなことで嫌いになったりしない、ということから伝えるべきか。
 確かにびっくりしたし、即行で洗い流しにも行ったが、別に嫌というわけではないのだ。だって、それは、
それだけなのはが感じてくれていたということで。
 でも、なんとなくそれでは駄目な気がする。仮に、それでなのはが泣き止んだとして、その後の続行は
可能だろうか。わりと最低な思考だが、ユーノにとっては重要である。
 そもそもなのはを受け入れる決意を固めたのは、不器用に、しかし直接的な方法で救いを求めてきた
なのはに応えるためだ。
 今日ここで、最後まで……なのはを僕のものにしなければ、彼女の心の中にある闇は、晴れないのではないか。
続きはまた今度、なんてことになったら、それは彼女が抱える傷を増やすだけの結果に終わるのではないか。
そんな不安がある。
 考えた末、ユーノは賭けに出ることにした。 下手をすれば、というか成功しても失敗しても、なのはには
トラウマになってしまいそうな方法だ。
 しかし、他に何かを思いつくこともなく、かと言ってなのはをこのまま泣かせ続けているわけにもいかず。
「なーのーはっ」
「ひゃっ!?」
 とりあえず、背後から抱きしめる。何も身に着けていないなのはの身体は、小さくて柔らかくて、あたたかい。

173 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:16:14 ID:7vHiPZHg
「ゆ、ゆーの……くん……?」
 涙声で、戸惑っている様子のなのは。どちらかというと、怯えているといったほうが正しいか。まずは第一段階として、
「ユーノくん、じゃなくて。ご主人様じゃ、なかったっけ?」
 そう、告げる。
「あ……ご、ごしゅじん、さま……」
 とりあえず、ここは問題なくクリア。
 なのはは、やたらと「ご主人様」という呼び方にこだわっていた。
 ユーノが知らなかっただけで、なのはは強い従属願望を抱えている……のかは定かではないが、ユーノを「ご主人様」と
呼ぶことで、何らかの精神的な充足を得ていたことは間違いない。
 だから、まずはそこから攻める。
 賭けの要素が強くなるのは、ここからだ。
「ねぇ、なのは」
「は、はい」
「1人で泣いてる前にさ。まず、僕に言わなきゃいけないことがあるんじゃないの?」
「あ、あ……」
 心を鬼にして、ちょっとキツめの口調を意識し、耳元で囁く。なのはの身体が震えるのがわかった。
「ご、ごめん、なさ……ふ、えぇ……ごめん、なさい……ごめんなさい、ご主人さま……お、お、おしっこ、
かけちゃって……ご、め、ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
「ああ、ああ、泣かなくていいんだよ。別に怒ってるわけじゃないんだから」
 思っていた以上の反応に、つい慌ててしまう。なのはが受けたショックは、ユーノの想像以上に大きかったらしい。
 優しく髪を撫でて、落ち着かせてやる。そうやって、“ご主人様”としての優位性、みたいなものを印象付ける狙いである。
少し恐がらせてから、優しくして。飴と鞭のようなものだ。
 ついでに、こちらは趣味として、いつも通りのツインテール、そのリボンを解いて、下ろした髪に鼻頭を埋める。
「で、でも……わたし……」
「まあ、女の子としてかなり恥ずかしいことなのは確かだね」
「う……ぐすっ」
「でも……嬉しいよ。僕のために、そんな恥ずかしいことをしてくれたんだから」
 え、となのはは訝しげな声を漏らした。

174 例えばこんなリリカルなのはさん・中編 :2009/06/11(木) 01:17:13 ID:7vHiPZHg
 そう、ここが勝負どころ。ここを乗り切れば、なのはの女の子としての尊厳は……まあ多分、50%ぐらい回復するはず。
微妙な数字だが、今よりはだいぶマシになるはずだった。
「覚えてないの? 気を失っちゃったから、そのせいかな」
「え、えっと……その……?」
「僕が、なのはがお漏らしするところ、見たいって。そう言ったんだよ」
 かわりにユーノの人としての尊厳は完全に打ち砕かれた。まだ10歳なのに。人生まだまだこれからだっていうのに。
心の中でさめざめと涙を流しつつ、なのはのためなんだ、と必死で言い聞かせる。
「ほ、ほんとに……?」
「うん、本当」
 しゃあしゃあと言ってのけてみせる。なのはに嘘をつくのは本意ではないので、なるべく早く納得してもらいたい。
そういう考えもあって、そっと頬を撫でながら、優しく甘い声をなのはの耳に送り込む。
「なのはは優しいな。僕のためなら……どんなことだって、してくれるんだね」
「あ……う、うん。わたし、ご主人様のため、なら……なんでも、してあげたい……です……」
 そう。
 なのはは、“ご主人様”の“命令”に従っただけ。ド変態の“ご主人様”にお漏らし見せろと“命令”されて、本当は
そんなことしたくなかったのに、せざるを得なくなってしまった。
 そういうことなのだ。
「でも、ごめんね。初めてなのにお漏らしなんて、やっぱり嫌だもんね」
「え、えと……だ、だいじょうぶ……」
 なんとか上手くいった……の、だろうか。たぶん、いったはず。とりあえず、ほっと一息つく。
 もっとも、この方法にはそれなりのリスクもあって。
「わ、わたしの……」
 背中越しに見えるなのはの顔は、頬も耳も真っ赤だ。
 この方法は、つまり。
 なのはに、「ユーノのためにお漏らしした自分」「ユーノのためならお漏らしだって、なんだってできる自分」を
強く印象付け、心に刷り込むことを意味している。
「……わたしの、お漏らし……満足して、もらえましたか……ご主人様……」
 そう、ユーノには、実際にそんなことをした覚えはまったくこれっぽっちもないというのに。
(……こういうのを、調教って言うのかなぁ)
 なのはの蕩けた表情を見て、なんだか、理不尽な罪悪感を覚えるのだった。いやまあ、結局は全力全開手加減なしだった
ユーノに非があるのだけれど。
 答えは、適当にはぐらかした。



 つづく

175 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/11(木) 01:18:50 ID:7vHiPZHg
 また名前欄でミスってしまった…
 今回はここまで。後編は遅れるかもしれません。まあ遅くても土曜くらいには…

176 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 10:06:17 ID:oDMZQWtY
>>175
理論の構築も上手くされているのでifの物語と考えれば面白いと思う。
後編も待ってます。

177 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 14:40:01 ID:2rmnD7f.
書いた直後に分相応で詳しく褒めるのは自演

178 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 15:39:36 ID:OxjAo.Ig
>>177
いきなり何を言ってるんだお前は
ってかお前日本語おかしいぞ

179 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 16:01:03 ID:3AFN5.Vw
>>177
分相応なら無問題じゃん

180 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 16:34:11 ID:3n7Ijs6c
GJ!
なんか魔王キャラに毒されてるのかかわいいなのはさんが新鮮に感じますw
続きも楽しみに待ってますよ。

181 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 20:44:52 ID:gD2bzQGc
>>177
 ん? アンチユーノ?
 まあ、キャラ乞食のあの作者の100倍は巧いSSだから、自演とか騒ぐなよ。

182 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 21:32:49 ID:BTKarR8w
おまえら投稿する意欲が下がるようなこと言うなよ……

183 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 21:37:57 ID:Ucfcoumk
そろそろ、スカなのが読みたいと思うのは自分だけ?

184 名無しさん@魔法少女 :2009/06/11(木) 22:26:33 ID:I1LcbYJo
GJ!!です。
途中ではいるレイハさんがヒデェw
それにしても、なのはの尊厳を守るために結果的に調教www

185 名無しさん@魔法少女 :2009/06/12(金) 01:00:53 ID:v5xN.3Jk
はやスカとかは来ないもんかな…

186 名無しさん@魔法少女 :2009/06/12(金) 02:10:13 ID:9tkE7IU2
キャラ乞食って二次創作書いてる限りみんなそうだろ?
人気のない組み合わせだと反応が少ないのは当たり前
オリキャラ主人公にしてキャラ立ってんのも読み応えあるけど
オリジナルで投下すればって思うけどな
>>181みたいな嫌みな擁護厨がつくとかえって職人が迷惑するんだけどな

187 名無しさん@魔法少女 :2009/06/12(金) 02:26:28 ID:9tkE7IU2
ついでにアンチユーノって噛みつくのは本スレの嫌百合厨で荒らした奴か?
ただでさえ叩かれやすいんだから発言に気をつけろよ
前スレでユーノ・なのはの良いSSあっていいかもって思ったのに
あとの書き込みみてうんざりしたわ

連投スマン

188 名無しさん@魔法少女 :2009/06/12(金) 08:11:09 ID:NfuSj.jw
とりあえみんな落ち着け

189 名無しさん@魔法少女 :2009/06/12(金) 08:15:27 ID:kIZcN1Os
性格的には原作のなのはに近いのかな?しおらしいなのはというのも新鮮でGJです。
あとウルーさんは心理学を齧ってたりしますか?描写にそんな感じが伺えたもので

190 44-256 :2009/06/13(土) 15:53:02 ID:BJAHA1n6
『ナカジマ三佐のある日の午後』


隊長陣に用があり、ルキノに新人達と廃棄都市区画の訓練エリアにいると言われたゲンヤ。



しかし、誰もいない。
「なんでぇ、3人ともいねーじゃねーか・・・」



するとビルの壁にレイジングハートがアクティブモードで立てかけてある。
「(高町の嬢ちゃんも無用心だな)」



そうしてレイジングハートを持つと意外に軽い。
「(こんな華奢な杖で闇の書の闇も、古代の聖王も倒したっていうだもんな・・・)」


そうして数秒間、レイジングハートを見つめて、沈思した。
そしておもむろに左右前後をキョロキョロして、誰もいないことを確かめると。



メタボリック&四十肩&腰痛の身体に無理をしてポーズを決めて
「ディバイン・バスター!」


そう言って杖を前に突き出す。



「・・・・・(シーンッ・・・)」

当然何も起こらない。当たり前である。

191 44-256 :2009/06/13(土) 15:54:22 ID:BJAHA1n6
「うーん、声に気合がたりなかったのか。それなら!でぃぃぃぃぃばいぃぃぃぃぃぃん・ばぁぁぁぁ・・」
『カッ!!!!!』


すると、いきなり構えたレイジング・ハートのクリスタルからピンク色の衝撃波が飛び出し、遠く離れたビルにあたって
ビルの屋上が吹き飛んだ。


ポカーンとしていたゲンヤだが、ハッと気がつき。



両方の手のひらをみつめてこう独り言を言う。


「撃てた!? も・・・もしかして俺の中に隠れたとんでもない魔法の才能が・・・」




とか言ってると・・・後ろから視線を感じる。さらに後ろのビルの影から“あの〜、本当にこれで良かったの?はやてちゃん?”
とか“クスクスwww”とか“みんな、笑ったらダメだよ”とささやく声が思いっきり聞こえてくる。



このまま、絶対に後ろを振り向かずに、全力で逃げる。


そう考えた、ある日の午後であった。

192 44-256 :2009/06/13(土) 15:55:12 ID:BJAHA1n6
小ネタ投下してみました。

それでは失礼します。

193 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 17:14:23 ID:o.jGHkdw
ちょwwwゲンヤさんwww

良い小ネタGJ。


しかし、投下前に予告くらいはするべきだろう。
初めての投下って訳でもないし、次回からどうか気をつけてください。

194 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 17:43:37 ID:xqpXZGzo
>>193
なんか勘違いしてるみたいだから言うが、投下の予告はべつに必須じゃないだろ
あると読み手がありがたいってだけ
予告があると嬉しいですって感じの言い方ならともかく、予告くらいはするべきだろうってどんだけ上から目線なんだよ

195 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 18:16:30 ID:GPt2wC4M
投下予告というか、注意書きのことを>>193は言いたかったんじゃないかな。
カプとかエロの有り無しについて。

196 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 18:17:39 ID:GPt2wC4M
言い忘れたがGJ!
魔導師資質の無い人はみんな一回ぐらいはやってそうだなw

197 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 19:14:01 ID:0LjW9hj2
きっと誰かに同じことされて、レジアス中将は魔導士大嫌いになったに違いない。
というか、ティアナみたく本気で才能コンプレックス抱えてる人にやったら、冗談じゃなく悪質極まる嫌がらせになりそう。

198 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/13(土) 20:09:24 ID:tuHqACUM
>>192
ワロタwwwww
ゲンヤさんというキャラ選択が非常に良い。GJです。


さて遅くても土曜には投下するって言ってたんですが、ちょいと間に合いそうにないです、申し訳ない。
完成させるの自体はもうそんなに時間かからないんですが、これからちょっと用事があるもので…
投下は日付変わってから、んー、3時くらいまでにはできたらいいなぁ。
それもダメだったら朝起きてからになるので、10時くらいになるかと。
もし楽しみにしてくださってる方がいるのなら、申し訳ないです。

>>189
大学で心理学と社会心理学の講義を取ってましたが、それだけです。
ただ、意識して作品に活かそうと思ったことはない、というか活かそうと思えるほど知識が深いわけでもないので。

199 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 20:56:16 ID:xqpXZGzo
>>195
注意書きでも同じことだよ
3レスの小ネタにまで注意書きとか必要ないだろ

200 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 20:59:25 ID:ZtqsXV/o
>>192
グレアムとかゲンヤとかおっさんキャラがなのはのBJ着てる
同人誌ネタを思い出した

201 B・A :2009/06/13(土) 22:36:49 ID:Je5SHV9Y
週末に間に合ったぁ。
投下行きます。


注意事項
・非エロでバトルです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・主人公はスバル(とエリオ)
・SSXネタもたまに含まれます
・ごめん、1話伸びたよ
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬

202 UNDERDOGS 第二十六話① :2009/06/13(土) 22:37:28 ID:Je5SHV9Y
膨大な熱量が体を蝕み、耐久限界を迎えた左腕が弾け飛んだ。
高濃度のAMF環境下で、タイムラグなしでの砲撃の連射。
他の魔導師よりも砲撃の素質が低かったスバルは、カートリッジによる魔力の水増しで強引にチャージを行わねばならなかった。
結果、膨れ上がった魔力は制御を離れて暴走、砲であるリボルバーナックルを左腕ごと破砕し、
解き放たれた魔力は小規模な破壊の渦となってスカリエッティを呑みこんだ。
それは最早、魔法と呼べる代物ではない。制御できずに見境なく破壊をまき散らすものはただの暴力だ。

(左腕が…………だめだ、体に力が入らない。立てない)

なんとか半身を起こすものの、立ち上がるだけの余力は残されていなかった。
左腕の骨も粉々に砕けており、出血と共に体温が奪われていく。
それでも肉体は死から逃れるために底を尽いた魔力を搾り取ろうとし、
呼吸によって生成された微量の魔力では追いつかないほど貪欲に供物を要求してくる。
言わば、今のスバルは息を吸う毎に死へと近づく危険な状態であった。
だが、目前に迫る死の恐怖よりも、スバルはスカリエッティを殺めてしまったかもしれないことに恐怖していた。
スカリエッティを殺さずに捕まえ、残りの人生は自分が殺めてしまった命への償いのために使う。
誇り高き管理局局員として立てた誓いを反故にしてしまったかもしれないことを恐れ、
魔法を制御できなかった自分を嫌悪しているのだ。

(スカリエッティはどうなった? カルタスさんは?)

限界まで酷使された影響か、両足のキャリバーズも機能を停止しており、状況を知らせてくれる者はいない。
見渡しても、室内に動くものの気配は感じ取れない。炎と煙に包まれたラボは、場違いな静寂に包まれていた。
その光景は、8年前に体験した空港火災のものと非常によく似ていた。

「…………っ!?」

不意に炎が揺れ、黒い影が煙を振り払う。
現われたのはスカリエッティだった。一糸纏わぬ姿となったその体に傷らしい傷はなかったが、
右腕全体を覆っていたカギ爪は粉々に砕け散っており、唇から赤い血が滴り落ちている。
至近距離から魔力の爆発を受け、かなりのダメージを負ったようだ。
立っているのも辛いのか、今にも崩れそうな態勢のまま、一歩ずつこちらに近づいてきている。

(良かった、生きて…………)

安堵した瞬間、スカリエッティの蹴り上げた足が顔面を捉える。
ボールのように床を跳ねたスバルは壁に激突し、喉を赤い血が逆流した。
骨こそ折れていなかったが、鼻を蹴られた衝撃で涙が滲み、視界が濁る。
全身を激痛が襲ったことは言うまでもなかった。

「はぁ………はぁ………最後まで非殺傷か。だが、“無限の欲望”の名は伊達ではない。
魔力は底を尽いたが、私の精神力を削り取るには少しだけ足りなかったようだね。
デバイスはなくとも君を縊り殺すくらいの真似はできる。私の勝ちだ、ゼロ・セカンド」

緩慢な動作で腕を上げたスカリエッティが、スバルに止めを刺すためにゆっくりと歩を進める。
狂気で血走った金色の眼に恐怖で染まった自身の顔が映り、スバルは唇を震わせた。

「や、やぁ…………」

「悪いが時間がない。命乞いを聞いてあげることはできないよ、ゼロ・セカンド」

「だめぇ……………」

「この揺れがわかるだろう? ゆりかごがミッドに堕ちようとしている。時間がないんだ」

こちらの恐怖を掻き立てるためか、スカリエッティはまるで自分に言い聞かせるかのように
落ち着いた声で言葉を紡ぐ。彼は自身の勝利に微塵も疑いを抱いていない。
このまま自分を殺し、その足でゆりかごから逃走できると信じている。
その絶対的な自信が命取りとなった。
魔力の爆発を耐え抜いたという自信が、背後に迫る彼の存在を気づかせなかったのだ。

203 UNDERDOGS 第二十六話② :2009/06/13(土) 22:38:20 ID:Je5SHV9Y
「だめぇ、カルタスさん!」

「なに!?」

スバルが力尽きるのと、スカリエッティの胸が貫かれたのはほぼ同時であった。





己の胸を突き破った腕を見て、スカリエッティは驚愕で表情を歪ませた。
見覚えのある白い手甲。人のものでありながら歪な形へと変化した機械仕掛けの螺旋。
忘れるはずもない。スカリエッティは生涯において、自分が生み出した作品の全てを記憶している。

「これは、サーティーンのギムレット……………」

「そうだ。お前に弄ばれ、妹の手で殺されるしかなかった女の…………ギンガの無念だ!」

腕が引き抜かれ、傷口から夥しい量の鮮血が流れ落ちる。
如何にスカリエッティが優秀な魔導師といえど、肉体が生身であることに変わりはない。
肉体を強化していたデバイスを破壊され、魔力も底を尽いた今、
マリアージュである彼の攻撃を防ぐことはできなかった。

「ぐぅぁ…………うぼぁ、ああぁ………………」

激痛と酸欠に苦しみながら、スカリエッティはその場に崩れ落ちる。
振り返った先にいたのは、全身の9割近くをマリアージュ化させたカルタスであった。
既に強化外骨格は剝がれ落ちており、女性のそれへと変化した肉体は浅黒く染まっている。
バイザー越しに見える瞳は憎悪の炎が燃え滾り、それに呼応するように武器化させた左腕が軋みを上げていた。

「肺をぶち抜いた。呼吸ができなければ、魔力を回復させることもできまい。
その厄介なデバイスがなくなった今、俺でもお前を殺すことはできる」

「ぐふぅ、がぁ…………くぁ、こぉ、この………私が………地に伏すだと……………」

「惨めか? けど、お前はそれを多くの人間に強いてきた。本当ならこのままなぶり殺しにしてやりたいところだが、
生憎お互いに残された時間は少ない。俺がマリアージュになるのが先か、お前が死ぬのが先か」

回転する左腕を無造作に下ろしたまま、カルタスは地に伏すスカリエッティを見下す。
発せられた言葉は冷たく、鋭利な刃物に似た鋭い響きを有していた。

「立て。立ち上がったと同時にこの腕をお前の顔面にぶち込む。
立たないのならば………………このまま踏み砕く」

冷酷な言葉を投げかけられたスカリエッティの胸中に、煮えるような怒りが込み上げてくる。
自分は勝っていた。全力を出し切って挑んできたタイプゼロを打ちのめし、勝利をもぎ取ったのだ。
ジェイル・スカリエッティは紛れもなく勝利者だ。なのに、どうして自分が地に伏さねばならない?
自分に手も足も出なかった旧式の戦闘機人に胸を貫かれ、惨めな姿を晒さねばならない? 
勝つのは自分だ。
いつだって、“無限の欲望”は勝利を掴み取ってきた。

「こぉ………このぉ、旧式がぁっ!!」

「おうぅぁぁっ!!」

立ち上がった瞬間、カルタスの左腕が大気を引き裂いた。
視界一杯に広がる螺旋の渦が、顔面ごと仇敵を打ち砕かんと迫る。
だが、スカリエッティは渾身の力でそれを防御、何としてでも生き延びんと歯を食い縛る。

204 UNDERDOGS 第二十六話③ :2009/06/13(土) 22:39:18 ID:Je5SHV9Y
「この私が、“無限の欲望”が、ジェイル・スカリエッティが、君のような旧式に、
ただの鉄屑でしかない旧式に負けるなどと…………ぐううあぁぁぁぁぁっ!! 
あってはならないあぁぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

交差した腕が千切れ飛び、螺旋が白い喉を抉り落とす。
暗闇に堕ちる寸前、スカリエッティが思い浮かべたのは、自身が最も信頼していた戦闘機人の澄まし顔であった。





そして、憎むべき仇はいなくなった。
もう、自分に残されたものは何もない。
あるのは人ではなくなった異形の体と、湧き上がる増殖の本能のみ。
仲間を増やし、覇道を歩めという欲求のみ。
どれだけ理性で否定しても、尽きることのない欲望は体を蝕み、心が軋んでいく。

「渡さない……………お前達に感謝はしているが、渡さない。俺の…………心は」

今日までずっと、復讐のためだけに生きてきた。
その思いを果たした今、どこを探しても生きるべき理由が見つからなかった。
ならば、この命をここで終わらせるしかない。
体だけでなく心まで失い、大切な人達に襲いかかるような真似だけはしたくない。

「だから、一緒に逝こう…………あいつのところに。奴と同じ場所に…………」

躊躇なく振り上げた左腕が、自身の意識を刈り取る。
肉体を失い、異形と成り果て、それでも復讐を糧に戦い続けた男の生涯は、そうして幕を閉じた。





炉心の臨界まで15分を切ったクラウディア内では、クロノ達が懸命に脱出の準備を進めていた。
そこには魔導師や非魔導師、戦闘機人という区別もなければ、形骸化しつつも残されていた階級もない。
動ける者は負傷者や物資を脱出艇へと運び、戦える者はバリケードを構築してガジェットを迎え撃つ。
誰もが生き延びるために、自分にできることをこなしていた。
そんな中、ユーノは1人、負傷者で溢れる脱出艇を訪れていた。
目の前に広がる光景は死屍累々。手足を吹き飛ばされ、流血で服を染め、生きているのかも疑わしい者達が
毛布の上に横たえられており、医療スタッフが彼らの治療に奔走している。
ゆりかごのAMFによって魔法が封じられているため、苦痛を取り除くこともできず、
苦悶や悲鳴が途絶えることはない。中には手遅れとなって息絶える者までいた。
正に地獄。
ここはこの世で最も死に近い魔窟と化している。
そして、その一角に彼女はいた。
彼女は薄汚れた毛布に横たわり、使い魔の看病を受けている。
黒と赤に彩られた世界で、彼女の美しさは異質な輝きを放っていた。
だが、継ぎ接ぎだらけのその体は他の者達と同じく、死臭に塗れている。
男性ならば誰もが魅了される美貌も苦痛で歪み、呼吸も弱々しかった。

「フェイト……………」

呟きに、彼女は首をもたげる。
たったそれだけの動作ですら、今の彼女には苦痛なはずだ。
いくら魔法治療が発達しているといっても、人体の移植は非常に困難で患者への負担も大きい。
本来ならば、術後は絶対安静でなければならないのだが、彼女は補助魔法の重ねがけで弱った体を誤魔化し、
エリオ達の救出に駆けつけたのだ。それがAMFによって無効化されてしまったため、
彼女は自力で立つこともできない状態となっている。

「ユーノ、ごめん…………私、なのはを助けられなかった……………」

神に縋る罪人のように伸ばされた手が、ユーノの手の中に落ちてくる。
いつの間にか、互いの手が届く距離まで近づいていた。
乾いた頬を伝う雫の色までがハッキリとわかる。

「あの娘も………私、何もできなかった。ただ斬りつけただけで、傷つけただけで。
助けたいと思っていたのに、あの子が………エリオが傷つけられたって知った時、
私の中で冷たい感情が……………何も、何も守れなかった………………」

「良いんだ、君は何も悪くない。君は精一杯やったんだ……………きっと、誰も悪くない」

我が子を守りたいという思いと、親友を助けたいという思いに決して間違いはない。
ただ、その思いの矛先がほんの少しずれていただけで、彼女達は何も悪くない。
自分でも意外だった。
フェイトからなのはを助けられなかったと聞いた時、自分は彼女を憎むと思っていた。
どうしようもない怨嗟を傷ついたフェイトにぶつけ、理不尽にも罵るのだと思った。
けれど、唇が紡いだのは慰めの言葉だった。
憎めるはずがなかった。
なのはと同じように、フェイトもまた自分にとって大切な親友だ。
その彼女を、精一杯戦って、愛する友を救おうとした彼女を責めることなど彼にはできなかった。

205 UNDERDOGS 第二十六話④ :2009/06/13(土) 22:40:25 ID:Je5SHV9Y
「ごめん………ごめんなさい。みんな私が悪いんだ………なのはも助けられず、エリオも傷つけて……………」

「そんなことはない。そんなことはないよ、フェイト。君がいたから、エリオはまだ生きていられるんだ。
君が戦ったから守れた命なんだ」

「けど、あの子は…………………」

彼女の傍らに横たえられたエリオに視線を向ける。
ヴィヴィオにリンカーコアを砕かれたことで、エリオは昏睡状態に陥っていた。
何しろ、生まれた時から当たり前のように行っていた魔力の生成ができなくなったのだ。
薬剤の点滴も気休めにしかならず、一向に意識を取り戻す様子もない。
そんな彼の隣りには、必死で看病を続けるルーテシアの姿があった。
彼女やその足下で蹲っているフリードも重傷であることに変わりはなかったが、
帰還してから彼女は片時もエリオの側を離れようとせず、濡れたタオルで汗を拭き続けている。
守ると誓った少年を守ることができず、苦痛を取り除いてやることもできない。
そんな歯痒い思いに駆られながら、ルーテシアは贖罪する殉教者のようにエリオを看病しているのだ。

「もう、あの子は魔法が使えない。シャマルがそう言っていた」

「フェイト」

「私が全部奪ったんだ。私が……………」

「それでも生きている。まだ、やり直せる。だって、君の息子だろう」

肌蹴た毛布をかけ直すと、ユーノは一息吐いて気持ちを切り替えた。
後悔の時間は後でいくらでもやってくる。
なら、今は自分のするべきことをするしかない。
自分には戦う力がないかもしれない。
実弾デバイスを扱うことも、部隊の指揮を執ることもできない。
医者ではない自分では、魔法なしでの治療も行えない。
それでもできることはあるはずだ。
躊躇いの時間は悲劇を呼び寄せるのだから。





立ち去る幼馴染の後ろ姿を見つめながら、フェイトは呟く。

「それでも、私は……………」

後悔の念は消えない。
自分という存在が側にいるから、みんなが不幸に見舞われるのだ。
守りたいと思ったものは手の隙間から零れ落ち、救いたいと願った者達は目の前からいなくなる。
親友も、好敵手も、子ども達も、母親も。
大切な人達はみんな、傷つきながら自分のもとを去っていった。

「フェイト……………」

傍らで座り込んでいたアルフが、心配そうに顔を覗き込んでくる。
フェイトは辛そうな笑顔を浮かべたまま、彼女の赤い髪をそっと撫でると、
途切れそうなか細い声で囁いた。

「ザフィーラのところに、行ってあげて」

AMFによって戦闘不能に陥り、ガジェットの群れの中で孤立していた自分達を助けてくれたのは、
負傷を押して救援に駆けつけたザフィーラであった。人間よりも遙かに強靭な肉体を持ち、
徒手空拳で戦うザフィーラはAMFの中でもガジェットと互角に戦うことができる。
だが、いくら鋼の筋肉であろうと熱線で焼かれ、切られれば血が出ることに変わりはない。
自分達を助け出すために、限界まで戦ったザフィーラは消滅の危機に瀕しているのだ。
守護騎士プログラムが損傷し、主であるはやてもいない今、彼の生存は天命に任せるより他なかった。

「お願い、アルフ」

「………わかったよ、フェイト。けど、すぐに戻ってくるから」

後ろ髪を引かれる思いに駆られながら、アルフは傷ついた守護獣のもとへと向かう。
そして、1人になったフェイトは何度目かの呟きを繰り返し、自らを追い詰めていく。

206 UNDERDOGS 第二十六話⑤ :2009/06/13(土) 22:41:13 ID:Je5SHV9Y
「私がいなければ…………」

自分さえいなければ、もうあの子が傷つくことはない。
戦いから遠ざけ、平和な世界に閉じ込めてしまえば、エリオが辛い目にあうこともない。
例えそれが、何よりも耐え難い苦痛を与えることになってしまったとしても。
最後に残った命だけは、何があろうとも守らなければならない。
悲壮な決意は涙を枯らし、無意識に伸ばした手を引っ込める。
フェイトがエリオの手を握ることは、もう二度となかった。





制止するマリエル技師官を振り切り、ノーヴェは言うことを聞かない体を引きずりながら1人の少女を探していた。
だが、いくら探しても呻き声を上げるケガ人の群れの中に、彼女の姿はなかった。
さほど広くはない脱出艇の中を隅から隅まで探したが、あの憎たらしくも頼もしい蒼の少女の姿はどこにも見当たらない。
最初は努めて楽観を抱いていたノーヴェも、船の中を2周した辺りで不安は絶望へと代わり、
三度目からは視界に映る全てを見逃すまいと目を血走らせながら彼女を探し続けた。
鬼気迫る迫力が伝わったのか、追いかけてきたマリエルも声をかけようとはしなかった。
だから、ノーヴェは誰に遠慮するでなく脱出艇の中を調べて回ることができた。
負傷者の顔を丹念に見て回り、倉庫の備蓄を引っくり返し、機関部を覗き、天井や壁の裏にも潜り込む。
一縷の望みを捨て切れず、幽鬼のように脱出艇の中を彷徨う。
そして、漸くこの船に彼女が乗っていないということを認めたノーヴェは、震える声で呟いた。

「………いねぇ」

自分でも驚くほど、その声は冷たかった。
気持ちとは裏腹に、思考は冷静だ。戦闘機人として鍛え抜かれた鋼鉄の理性は、
彼女の生存が絶望的であると告げている。だが、その事実を認めたくなくて、ノーヴェは懸命に捜索を続けていたのだ。

「何で…………何でいないんだよ、スバル!」

焦りと不安に耐えられず、ノーヴェは応急処置が済んだばかりの右腕を背後の壁に叩きつける。
瞬間、耐え難い激痛が右腕を襲い、手首があり得ない方向に曲がってしまったが、今のノーヴェにそれを気にする余裕はなかった。
スバルがまだ、戻って来ていないのだ。
既に炉心の臨界まで10分と迫っており、ゆりかごの揺れは益々酷くなっている。
最早、一刻の猶予もなく、いつ脱出艇が発進してもおかしくはない。

「おい、冗談だろ…………お前までいなくなるのかよ。生きて償うんじゃなかったのかよ? 
あたしとの決着だって残っているんだぞ。スバル…………畜生!」

壊れた腕を振り回しながら、ノーヴェは脱出艇のコクピットへと向かう。
スバルは必ず戻ってくる。だから、それまで脱出を見合わせてもらわねばならない。
だが、数歩も駆け出さぬ内に揺れは激しくなり、アナウンスと共に足下から浮遊感が襲ってくる。

『総員、衝撃に備えてください。これより、本船は安全圏への離脱を試みます。
繰り返します。本船はこれより…………………』

不意に揺れが消え、引っ張られるような感覚にノーヴェはバランスを崩した。
何とか踏ん張って窓の外を覗くと、底の見えない暗闇に無数の光点が塗された暗黒の世界が広がっていた。
脱出艇が発進したのだ。

「嘘だ…………嘘だ!」

まだスバルが帰ってきていない。
カルタスだってまだ帰ってきていない。
他にも、合流できなかった奴らがいるはずだ。
なのに、そいつらを見捨てて自分達だけ逃げようというのか? 
仲間なのに? 
共に戦った運命共同体を、このまま見捨てるというのか? 

「ふざけんなぁっ!!」

湧き上がる怒りに任せて、ノーヴェは鋼鉄の扉をぶち破り、コクピットへと転がり込む。
他の面々には目もくれなかった。背後で何事かと様子を伺う連中の視線も気にならなかった。
ノーヴェの目に映っているのは1人だけ。黒衣の装束に身を包んだ黒髪の青年。
この集団の指導者であるクロノ・ハラオウン、唯1人だ。

207 UNDERDOGS 第二十六話⑥ :2009/06/13(土) 22:42:02 ID:Je5SHV9Y
「何で………何で逃げるんだよ!?」

「…………っ」

ノーヴェの言葉に、クロノは一瞬だけ辛そうな表情を浮かべたが、
すぐに冷徹な指揮官の顔に戻ると、激昂するノーヴェに向けて、
よく通る声で返答した。

「これ以上は、待てないと判断したからだ」

「そんなの……………そんな答えが聞きたいんじゃねぇっ!! 戻れ、今すぐに!」

「ノーヴェ!」

壊れた腕でクロノに掴みかからんとするノーヴェを、ティアナは後ろから羽交い絞めにする。

「止めて、提督だって辛いの。わかって」

「できねぇ………できねえよ! だって、まだスバルが中にいるんだぞ! 
他にも…………人造魔導師の素体にされてる奴らも……………見捨てるのかよ! 
みんな見捨てて、あたし達だけ逃げて……………」

「逃げないとみんな死ぬの! 死ぬのよ、わかるでしょ!」

「嫌だ、あいつを………スバルを助けないと。まだあいつとの決着が着いてないんだ。
言いたいこともたくさんあるんだ。まだ………まだ妹だって、呼ばれてないんだ。
あたしの姉さんなんだ。だから………………」

「もう、通信が途絶えて30分になるわ。信じたくはないけど、スバルは……………」

「そんなことねぇっ! そんなこと、そんなことは…………絶対…………」

叫び声が小さくなり、やがてノーヴェは力なくその場に座り込んだ。
自分が口にしていることが、感情任せの暴言であると彼女はわかっているのだ。
スバルとの通信が途絶えて30分。いくら彼女が強くとも、ゆりかごの中枢部に突入した以上、
無事では済まないだろう。自力での脱出は困難で、救援を送ることもできない。
彼女の生存は絶望的だ。
何より時間がなかった。
脱出艇が安全圏まで離脱する時間を考えれば、これ以上は待つことができないのだ。
非情かもしれないが、ここで切り捨てねば全員が死ぬことになる。
クロノが下した決断は、己の身を切るにも似た痛みを伴う決断なのだ。

「畜生…………畜生……………」

「憎みたければ、僕を憎めば良い。ルキノ、最大船速まで加速するんだ。安全圏まで離脱する」

「……………了解」

誰もが心に傷を負っていた。
このままスカリエッティ諸ともゆりかごが沈めば、自分達の勝利となる。
だが、それを手放しで喜べる者は誰もいなかった。
この戦いで失ったものは余りに多い。
世界の常識は捻じ曲がり、大切な友や家族は失われ、社会的地位も権力も名声も失った。
勝利者などどこにもいない。
ただ、苛烈にして虚しい戦いが、終わっただけなのである。

「終わった?」

誰かの呟きが、空虚な響きとなる。
余りの静けさにカンの良い者は違和感を覚え、動ける者は小さな窓へと殺到する。
動けない者は各自のデバイスを手に取り、負傷者ですら介助の手を借りて違和感の正体を探ろうとした。
そして、違和感は程なく解明された。
とうに10分が過ぎていながら、未だゆりかごが健在であることに。

208 UNDERDOGS 第二十六話⑦ :2009/06/13(土) 22:42:48 ID:Je5SHV9Y
「ゆりかご健在! 炉心の出力が足りません!」

「馬鹿な、30分経ったぞ。どうして自爆しない?」

「原因は不明。このままでは、ゆりかごが大気圏に突入します。
仮に自爆が間に合っても、大気圏内で爆発すれば、環境に甚大な被害が!」

「今すぐ爆発させる方法は?」

「外部から衝撃を与えるしかありません。魔力砲でも何でも良いから、
とにかく炉心内部の熱量を外に出すことができれば可能です。ですが、
この船には攻撃用の兵装は積まれていません」

グリフィスの悲痛な叫びが、船内に絶望を漂わせる。
脱出艇に武器がない以上、魔導師が直接、クラウディアの駆動炉を攻撃するしかない。
だが、クラウディアの駆動炉はゆりかごのAMFの効果範囲内に位置しているのだ。
あらゆる魔法を100%無効化する強力なAMFを突破できる魔導師など、この世には存在しない。

「これまでなのか……………」

「いや……………まだだ、まだ終わってない!」

顔を上げたクロノの眦は力強く、確固たる決意が込められていた。
直後、船内に懐かしい少女の声が木霊する。

『こちらアースラ、リインフォースⅡです。クロノ提督、聞こえたら返事してください』

「来てくれたか、アースラ」

空間に巨大な穴を開け、銀色の翼が露となる。
それは、かつてクロノの母が艦長を務め、彼自身が譲り受けた次元航行艦。
PT事件、闇の書事件を始めとする次元の危機に敢然と立ち向かった正義と法の象徴。
L級巡洋艦アースラだ。

「アースラ? どうしてアースラがここに?」

「何かの役に立つと思って、僕が回収して修理しておいたんです。
どうやら、提督はリイン曹長達を後詰めとして待機させていたようですね」

どこか得意げにグリフィスは語り、中指で眼鏡のズレを直す。
絶望的な状況から希望が舞い降りたことで、諦観に満たされていた船内が俄かに騒がしくなった。

「リイン、魔力砲は使えるね?」

『もちろんです』

『射程圏内まで後10秒』

『エネルギー充填率120%』

『クロノ君、いつでもいけるよ』

同行していたヴェロッサが締め、通信が切れる。
躊躇する理由はなかった。
ここで撃たねば、クラナガンに住まう多くの人々が死ぬことになる。
誰もが緊張で息を呑む中、クロノは迷うことなく通信のスイッチを入れる。
途絶えた通信が入ったのは、正にその時であった。

『……………える…………きこ………こち………ら………バル…………クラウ…………ティア………』

擦れた声が電子機器を介して、コクピット内に響く。
聞き覚えのある声にノーヴェとティアナが互いの顔を見合わせ、
通信機を扱えるティアナが弾かれたように立ち上がってコンソールを操作し、
マイクに向かって叫んだ。

209 UNDERDOGS 第二十六話⑧ :2009/06/13(土) 22:44:07 ID:Je5SHV9Y
「スバル、スバルなの!?」

『ティア? 良かった、この通信機壊れてなかった』

久しぶりに聞くスバルの声は、いつもと変わらぬ調子であった。
ノイズ混じりではあるが、言葉の端々に彼女の持つ明朗さが滲み出ている。
だが、その明るさは彼女達の心に暗い影を落とし、しこりにも似た痛みが胸中を走る。
戸惑っている暇などないとわかっていながらも、誰もが言葉を失っていた。
これから撃沈される艦の中に、生存者がいる。
果たして、そんな状態で平静を装える者などいるのであろうか?

「あんた、無事なの?」

震える声で、ティアナは通信は続ける。
泣き叫びたい思いを必死でこらえているのだということは、きつく握り締められた拳が容易に物語っていた。
乾いた声はまるで絶望を運ぶ死神の鎌のようで、言葉を紡いだ本人ですら驚くほど冷たい響きであった。

『何とか…………左半分持っていかれたけど、生きているよ。キャリバーズもね』

「そう…………カルタスさんは?」

『わからない。気がついたらスカリエッティが死んでいて、カルタスさんの姿は…………………』

それ以上は続かなかった。
スカリエッティを活かしたまま捕らえ、罪を償わせる。
それを成して始めて、3年前から続く事件が終わるのだと彼女は言っていた。
力及ばず志を全うできなかったことを、彼女は悔いているのであろう。
それにカルタスは彼女にとって全くの他人と言う訳ではない。
姿がないということは生きている可能性もあるが、ゆりかご内にガジェットが
蔓延していることも考えると、生存は絶望的だ。

『けど、これで全部終わった。結局、あたしは誰も守れなかったけど……………これで終わったんだ。
そう、終わった………………何もかも』

「スバル……………」

『ねえ、帰ったらまたアイス食べに行こうよ。今度はノーヴェやディード達も連れてさ。
イクスのお墓参りにも行かなきゃいけないし、ギン姉達のお墓も造らなきゃ』

覇気のない声で、スバルは今後の人生をポツポツと語っていく。
それは3年前まで、何気なく過ごしていた日常の連続であった。
眠い目を擦りながら目を覚まし、顔を洗って体を動かし、お腹一杯ご飯を食べ、
友達と語らい、将来の夢を追いかける。
失われた未来を取り戻すのだと、彼女は力なく笑ってみせた。
そして、最後に締めくくった言葉は、彼女の心からの願いにして原点。
この戦いの中で辿り着いた答えであった。

『罪を償わなくちゃ……………もう、傷つけるのも傷つくのも嫌だ。
魔法は…………みんなのためにある力で、誰かを守る力。守るためにこの力を使いたい』

「使えるわ…………………きっと…………きっと………つか………ぅ…………」

堪え切れず、ティアナは涙ぐんで俯く。
2人のやり取りを見守っていた面々も、かける言葉が見当たらなかった。
言える訳がなかった。
その願いは、もう叶わないなどと。
その沈黙が伝わったのか、スバルはどこか悟ったように呟いた。

『そっか…………あたし、死んじゃうんだ』

その声音は、まるで死に逝く老婆のようで、切なくもやるせない響きが込められていた。

「………ざけんな…………ふざけんな!」

理不尽に納得できないノーヴェが、ティアナを押し退けてマイクを奪い取る。

210 UNDERDOGS 第二十六話⑨ :2009/06/13(土) 22:44:57 ID:Je5SHV9Y
「スバル、勝ち逃げなんて許さねぇぞ! あたしとの勝負はまだ着いてないんだからな!」

『ノーヴェ? ははっ、そうだね……………残念だ』

「諦めんな! そんなのお前らしくねぇ! 生きろ、生きて償うんじゃなかったのか!? 
すぐに迎えに行く。無理でも行く。だから絶対、諦めるな! 
だって、お前はあたしの……………あたしの姉さんなんだから…………」

『何? よく聞こえないよ…………ノーヴェ、ノー………………』

雑音が酷くなり、通信が途絶える。
誰もが何も言えず、罪悪感に苛まれていた。
ここにいるのは共犯者だ。
故郷を守るために、1人の少女を犠牲にする唾棄すべき集団だ。
こんな場面は何度もあった。
大義のために小数を犠牲にしなければならないことは、何度もあった。
これがその罪科だ。
胸を苛む痛みを、犠牲となった亡者達の嘆きと憎しみの声だ。
そして、今度もまた冷酷な判断を下さねばならない男は、感情のこもらない声音で、
通信機の向こうにいる仲間に向けて命令を下した。

「………………アースラ、クラウディアを撃て」

復唱はなかった。
ただ、無言の頷きと共に光が暗闇を駆け抜け、獰猛な狼の如く苦楽を共にした白銀の翼へと襲いかかっていく。
一拍遅れて、無音の爆発がクラウディアを内側から破壊し、太陽の彷彿とさせる輝きが2隻の艦を飲み込んでいった。
僅かに虹色を帯びた輝きが消えると、後にはもう何も残されていなかった。
破壊を免れた破片も大気圏へと突入し、程なくして燃え尽きるであろう。
彼らの長く険しい戦いは、こうして1つの節目を迎えたのだ。

「ああぁ………………あぁ…………」

「………………」

「何で………………何でだよ……………」

コンソールの上でティアナは泣き崩れ、ノーヴェが喉を枯らしながら吠える。
これは何のための戦いだ?
何を望んで共に戦ってきた?
もう、自分達に彼女を偲ぶ権利はない。
回顧すら罪悪感を伴い、罰として重く圧し掛かるのだから。

「畜生、何で…………何でだよ、姉さん!」








                                                         to be continued

211 B・A :2009/06/13(土) 22:48:29 ID:Je5SHV9Y
以上です。
うん、1話伸びたんだ。
最終回は丸々エピローグになる。

最後に一言。
この連載が終わったら、ハッピーSS書かなきゃ頭冷やされるんだろうな(不幸な目にあった人たちから)。

212 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 23:02:33 ID:.oFlXGmw
GJです。
なんつか、切ないなぁ。

213 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 23:37:05 ID:ZtqsXV/o
>>211
GJ!!
この大作もうすぐ完結?
キャラが不幸な目に遭うので嫌だったけど
イメージ壊してないしSSXのネタも仕込んであるのでいつのまにか連載が楽しみになってた
ハッピーSSも期待してるぜ!

214 名無しさん@魔法少女 :2009/06/13(土) 23:41:00 ID:c/OEJLaU
GJです。
「こんな世界のはずじゃなかった。」と言うのはある種の逃げだと思うこの頃。
どんな世界であっても皆が懸命に生きたのは変わらないから、それを誇ることこそが散った者への本当の供養の筈。
生きていたことさえ忘れ去られることこそが一番辛い事だから。

215 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 00:57:50 ID:g2vTKoqo
GJです。
それ以外に何と言えばいいんでしょうか・・・・・

216 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 00:59:08 ID:EaQeHG9o
>>211
 ついにカルタスがリベンジを!
 死にゆく者たちは、そこから先がないので楽ですが、生き残った人たちは、そこから先が地獄ですね。
 この作品、最初は嫌いでしたが、ラストのバトルで久々に熱くなりました。
 今日、ターミネーター2を見ただけに、旧式にぶち殺されるスカのど惨めさに笑いが止まりません。
 しかしスバルも死ぬとは・・・・・・

217 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 03:08:48 ID:3jQbMmE2
GJ
最後の最後でスカが小物みたくなったwww

218 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 10:18:27 ID:LnMYu3Bw
GJ
あー。なんだろ。言葉もないや。
強いて言えば、ありがとう、かな。読ませてくれてありがとう。
最後まで、楽しみにしてます

219 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/14(日) 10:55:31 ID:xrGpzVwE
B・A氏の長編読み始めたばかりの俺はネタバレ回避のためにスルーするしかねえええええ(´;ω;`)
早く追いつきたい…

ちょっとというかかなり遅くなりましたが、「例えばこんなリリカルなのはさん」の後編を投下したいと思います。
B・A氏の投下から半日経ってるし大丈夫ですよね…?ビクビク
では以下、注意事項。

・ユーノくん×なのはさん
・前・中・後の3編。今回は後編。
・エロと事後のお話
・設定改変あり。一人では弱いけれど二人でなら最強のなのはさん
・10歳。10歳でこれはねーよというツッコミは(ry
・タイトル「例えばこんなリリカルなのはさん」

では、いきます。

220 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 10:57:04 ID:xrGpzVwE
 調教(勘違い。勘違い……?)の結果、泣き止むと同時になにやらスイッチが入ったらしいなのはは、
太股を擦り合わせてもじもじし始めていた。
 一方、なのはを宥めるためにだいぶ精神を擦り減らしてしまったユーノだったが、現金なもので、
なのはのそんな仕草を見て、なのはを可愛がりたいという欲求がむくむくと復活してくる。
「なのは……いい?」
「はい、ご主人様……」
 互いに、何を、とは言わない。言う必要がなかった。
 ユーノは、腰に巻いていたタオルを脱ぎ捨てた。これで2人ともが、生まれたままの姿。
「お、おっきい……」
 天に向けて勃つユーノの分身を見て、なのはは感嘆、あるいは恐怖の色が混じった声を漏らす。
 なのはが今までに見たことのある男のモノは、父と兄のものだけではあるが、それらを明らかに
上回っているように見えた。
 もっとも、当然のことながらなのはが見た時は士郎も恭也もノーマル状態だったわけだが、
そこはそれ、ユーノもまだ子供だから仕方がない。
「そ、そうかな……」
 ユーノのほうは、なのはにマジマジとそこを見られて恥ずかしかった。
 自分だってなのはの恥ずかしいところをたくさん見せてもらって、あまつさえ触って弄りまわしたのだから、
隠すような真似はしないけれど。
「……入るの、かな」
 なのはがぽつりと呟いた。
 その疑問はユーノも思っていたことだ。舌ですら入り込むのは困難だったのに、こんなものを本当に
入れることができるのか。指ぐらいならともかく――
「あ」
 若くして無限書庫の司書を務めるユーノの優秀な頭脳が、1つの答えを導き出した。
「なのは、ちょっと待ってて」
「……?」
 ユーノは、自分の息子に両手をかざす。
 そう、彼は、補助系のエキスパートである魔導師だ。構築する術式は――変身魔法。
「わ、わあ……!?」
 なのはが、目の前に広がる光景に驚きの声をあげる。それも仕方のないことで、なにせ――小さくなっていくのである。
ユーノのモノが。萎えるとかではなく、そのままの意味で。
 変身魔法の応用。大きくて入らないなら小さくしちゃえばいいじゃない。
 ただ、局部的に変身させる上、場所が場所なだけに、制御を失敗するととても悲惨なことになりかねないが。
 しかし、ユーノは無事にやってのけた。
 長さは1/3程度、さらに太さを調整。ちょうど、大きめの消しゴムぐらいのサイズになった。

221 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 10:58:15 ID:xrGpzVwE
「……なんか、悲しくなるなぁ」
 見栄えとしては大変よろしくない感じである。まあ、これなら入るだろう、と納得しておく。
「ま、待って!」
 しかし、肝心のなのはからストップがかかった。その顔は、どこか思い詰めているようで。
「わ、わたし……ユーノくんを、ご主人様を、ちゃんと、ぜんぶ……感じたい。だから、おっきいの……
おっきいままのが、欲しい、です……」
「なのは……」
 はしたないことを言っているという自覚があるのか、紅く染めた顔を俯けて、最後のほうはほとんど聞き取れないぐらい、
声は小さい。それでも、そこには深い想いが込められているのがわかる。
 どうしてこの子は、僕なんかのことを、ここまで――。
 恐くて、訊くことはできないけれど。その気持ちに、応えたいと思った。
「じゃあ……とりあえず、このまま入れて。ちゃんと入ってから、変身を解除していくってことで……どう?」
 やっぱり、元のサイズで入るとは思えない。この提案が妥協点だった。この方法なら、なのはの言う「ぜんぶ感じたい」を
満たせるはずだ。
「……じゃあ、それで、その。お願い、します」
 少し不満そうではあったが、特に我侭を言うこともなく、なのはは納得してくれた。
「どっちにせよ、痛いのは変わらないだろうから……なのはには、我慢してもらわないといけないんだけど」
 なのははおずおずと、だいじょうぶ、と頷いて見せた。
 もう一度、なのはをそっとベッドに寝かせて、足をM字に開かせた。恥ずかしそうではあるが、文句は言わない。少し乾いて
しまっている秘所を、指で軽く弄ると、喘ぎ声と一緒にすぐに潤いを取り戻した。
 なのはの方の準備は、十分すぎるほどに整っている。ユーノもさして変わらない。これまでのなのはの痴態に、ずっと、
痛いぐらいだったのだから。
「じゃあ、いくよ」
「は、はい」
 小さくなった自分のモノを、なのはの割れ目へと当て……そのまま、押し込んだ。
「あっ、んん!」
「くぅ……と、とりあえず、入ったよ」
 サイズが小さくなったとはいえ、感度はそのままだ。別段キツいというほどでもないが、あたたかく、やわらかいなのはの“中”は、
それだけで果ててしまいそうな快感をもたらしてくれる。
 男の意地としては、完全に変身を解除し終えるまではなんとかして耐え抜きたいところなのだが。
 意を決し、ユーノは先ほどの変身魔法を逆プロセスに再構築し、解除の準備を整える。
「それじゃ、今から変身を解除していくよ」
「うん……きて、ご主人様……」
 小さくなったモノは、ちょっと動いただけでも抜けてしまいそうになる。腰をいっそう密着させ、腰だけでなく、なのはから
離れないように、ぎゅっと抱きしめる。応えるように、なのはのほうからもユーノを抱きしめ、脚を腰に絡ませてくる。
 最初は、ほんの少しだけ。
「あっ……い、いま、おおきく……はぁ、ん……」
「う……こ、これはちょっと……ヤバいかも……」

222 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 10:59:04 ID:xrGpzVwE
 なのはからの締め付けが強くなった、というのは錯覚で。しかし、結果としては同じだ。まだまだ小さいままなのに、これほどとは。
この方法、挿入自体は楽でも、入れた後は普通にやるよりかなりキツいのではないか。気付いたところで、すでに後の祭りだった。
引き下がるわけにもいかず。
 ユーノは、変身解除を続行する。
「あ、あ、ああっ……なにっ、なにこれぇ……っ!」
「く、うっ……なのは、動かないでっ」
 突き入れる感覚、突き入れられる感覚を知らない2人だったが、“これ”がそれらとは全く違うものだということはわかった。
 特に、なのはのほうは――
「や、あっ、はぁ! すごっ、これすごいよぉ! んっ、んんん……っ!」
 閉じられていた秘裂とその深奥を、その手の責め具を使ったわけでもなく、愛する彼のモノによって“中”から押し拡げられていく感覚。
 それは、何者の侵入も許したことのないなのはの蜜壷が、ユーノの形に拡げられていくということだった。これからずっと、
彼のモノだけを受け入れるための、彼のための形に変えられていく。
 全てが、ユーノのものになっていく、感覚。
 こんな感覚を味わえる女が、こんな形で処女を喪う女が、広大な次元世界のなかにも、どれほどいるだろうか。
「わたっ、し、わたし、だけ……っ! こんなの、きっと、わたしだけ、だよぉ……!」
「な、のは……っ」
 誰を相手にでもなく覚える、強い優越感。
 わたしだけ。わたしと、ユーノくん、だけ。
 どんな方法だろうと初めてである以上痛みはあるだろうに、それは強力な媚薬となって、なのはの痛覚を麻痺させる。
 ユーノのほうは、すでに限界が近かった。
 ただでさえ狭いなのはの中は、締め付けてくるだけでなく、段々と元の形を取り戻していくユーノのモノに、
絡みついてくるかのような感触を与えてくる。
 それ以前の問題として、圧倒的に経験が足りていない。ユーノだって初めてなのだ。だけど、なのはの前で
格好悪い真似はしたくないし、そもそも中で出すのは問題が――
「あうっ、は、んんっ、ん、んはぁっ! はあっ、あ、あっ、あぁぅ!」
「つぅ!?」
 不意に、背中に痛みが走った。自分の中で大きくなっていくユーノのモノに翻弄されるなのはが、無意識のうちに
爪を立ててしまったのだ。
 さしたる痛みではなかったが、ユーノは一瞬、その突然の痛みに注意を奪われた。
 その一瞬が。
「あっ、うわ、やば……っ!?」
 自らのモノに意識を集中して、必死に耐えてようやく保っていた均衡。それが、崩れる。
「ごめん、なのはっ! 一度……!?」
 一端抜こうとして、ユーノはすぐにそれが無理だと悟る。なのはの脚が、腰に絡みついたままだ。
「なのは、離し……んんっ!?」
 離して、と。そう言おうとした口は、なのはの唇によって塞がれた。逃れようとして、伸びてきたなのはの舌が、ユーノの舌を絡め取る。
 間近に見える、淫欲に濡れたなのはの瞳が、言っていた。

 ――いいよ。

 限界が、訪れた。

223 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:00:02 ID:xrGpzVwE
「くっ、うう……っ! あ、はぁっ、あぁ……」
「あ、ん、ぅん……っ、ああ、な、なんか……あたってる、でてるよぉ……」
 ちょうど、変身後と元の大きさとの中間程度か。最奥にはまだ達していないはずだった。
 だというのに、この開放感。情けないやら何やらでユーノは死にたい気分になる。そもそも、それ以前に。
「ご、ごめん、なのは! 中で……」
「ん……だいじょぶ……」
 汗で肌に張り付いた前髪を払いながら、なのはは微笑を浮かべる。
「わたし、まだ……だから……」
「あ……そ、そうなんだ」
 考えてみれば、1年一緒にいてなのはがそういう素振りを見せることはなかったような気がする。年齢も年齢だし、
別におかしなことではない――というか、どうしてそんなふうに思い込んでいたのだろう。そっちの方が不思議になる。
 まだ、躊躇があるのだろうか。だから、なんだかんだと理由をつけて。
「だから、ね」
 なのはの小さな手が、ユーノの頬に伸びる。そっと、撫でるように触れて。
「……いっぱい出して、いいからね。えと、その……ユーノくんの、まだ、元気だし」
 入ったままのユーノのモノは、一度精を吐き出してなお、その硬さを保っていた。締め付けてくるなのはの肉襞が、
力を失う暇さえ与えてくれないのだ。むしろ、なのはの言葉に、より硬度を増したような気さえする。
 恥じらいはあっても、躊躇はない、なのはの態度。そこにはもう、行為を始める前の切羽詰まった様子はなかった。
上手くできたなんて自信はまるでないけれど、それでも少しは、なのはの不安を取り除くことができたのだろうか。
「……ごめんね、なのは」
「んー……? どうして謝るのー?」
 いつもの無邪気な笑顔で、小さく首を傾げて。そんな、幼いと言って過言ではない少女と交わろうとしている、交わっている自分。
 謝罪に意味はない。意識したわけでもなく、口から出ていた。きっとそれが、最後の躊躇い。
「ううん、なんでもないよ」
 ユーノは、笑顔で応えて。もう一度、なのはを抱き締める。
「……続き、しようか」

 ☆☆☆

 締め付けの強さとそれがもたらす快感は変わらないが、一度出したせいか、さっきまでと比べて余裕がある。なるべく
なのはが痛い思いをしないで済むように、ユーノはゆっくりゆっくり、己のモノの変身を解いていく。
「ん、んん……っ、 は、あぁん、あ、ああっ」
「う、ううっ……くぅっ」
 あるいは、2人が交わっている場所以上にキツく、強く、お互いを抱き締めるユーノとなのは。必然、相手の首筋に顔を
埋めるような形になる。互いに相手のにおいを強く感じて、興奮がより高まっていく。
「はっ、うく……! なのは、なのはっ、あと、ちょっとだからっ」
「あん、ん、ゆーのくん、ぅあ、はぁう、いっきに、いっきにきて、いいよっ! 
ゆーのくん、の、あん、いちばんおっきいの、ちょうだいっ」
 その、なのはの言葉が引鉄だった。
「くっ、うああっ!」
「あっ、ああ……っ! くるっ、くるよ、ゆーのくんのっ! 
んはっ、あっ、わたしの、なかぁ、やぁん、ゆーのくんっ、あふぅ、ゆーの、くん、のぉ! 
ゆーのくんの、かたちに、なってくよぉ……っ!」
 変身魔法をかけた状態のモノは、ユーノには薄い膜で覆われているようにも感じられて。早く、直接、自分自身でなのはを感じたくて。
 残っていた術式の全てを、一瞬で解除し――それはもはや、“破壊”に近い――、本来の姿を取り戻す。

224 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:01:04 ID:xrGpzVwE
 何かを突き破るような、感触。
「あ、はあっ、あぁんんんっ! つぁ、は、うぅ!」
「う、わ……あ、ああ……っ! は、ぁ……これが、なのはの……」
 ついに、変身魔法は完全に解除された。
 強い締め付けと、絡みついてくるかのような肉襞。気持ちいい、そう表現していいか迷ってしまうほどの強い刺激を感じる。
 なのはの様子が気になって、抱き締めたままだったその身体を離し、入れたモノが抜けてしまわないように気をつけながら
――なのはの秘裂がユーノを咥え込んだまま離そうとしないから、その心配はなかっただろうけど――、身体を起こす。
「なのは……?」
「は、あ……はぁ、はぁ……ん、なぁに……?」
 ほんのりと桜色に染まった肌と、その上に浮かぶ汗。荒い息と、それに合わせて上下する胸。肌に張り付く髪と、髪がかかった
その下から見上げてくる潤んだ瞳。
 全てが美しく、同時に妖艶でもあり、そして、愛おしかった。
 そんな彼女と、今、繋がっている。
 照れ臭くなって、ユーノはつい視線を俯けてしまう。そうすると今度は、まさになのはと繋がっている部分が視界に入って、
余計に気恥かしくなった。
 それと同時に、どうしたって避けられない現実も、見えてしまう。
「えっと、その。痛く、ない……?」
 2人が繋がる場所にユーノが見たのは、溢れるようにそこを濡らすなのはの甘蜜と、さっき不覚にも吐き出してしまった自身の精と、
その中に混じる、鮮烈な赤。
 隙間なんてあるとは思えないほどなのに、しかし現実に零れ出ているそれらは、織り混ざってピンクに近い色をなしている。その色は、
綺麗なように見えて、同時に痛々しさを感じさせた。
「ん、と……たぶん、いたいんだと思うけど……なんか、あたま、ボーっとして……よく、わかんない……」
 えへへ、と、なのははどこか照れ臭そうにして笑う。
「ユーノくんが、いっぱい……きもちよく、してくれたから……」
 なのははそう言って、自分の下腹部あたりに手をおいて、そっと撫でた。
「ふしぎな感じ……わたしのからだなのに、わたしの中に、ユーノくんがいる……」
 なのはの言いたいことが、ユーノにもなんとなくわかった。
 局部だけでなく、全身をなのはに包まれているかのような、不思議な一体感。決して不快などではなく、むしろ、
ずっとこのままでいたいと思えるほどに、身体と、それ以上に心が満たされている。
 これがセックスだと、男女の交わりだと、契りを交わすことだというのなら、なんて、ああ、なんて――すばらしいのだろう。
 そして、2人は知っていた。誰に教えられたわけでもなく、本能的に。
 まだ、この先があることを。

225 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:01:46 ID:xrGpzVwE
「ひっ、あ!」
 ユーノが、ゆっくりと腰を引く。
 自分の中にしっかりと収まっていたはずのモノが抜かれていくことに、なのはは例えようのない喪失感を覚えて、
「つ、ぁ、あっあぁぁんっ!」
 次の瞬間には、勢いよく、最奥まで突き入れられている。擦り合わされる感覚と、ずん、と芯に響く衝撃。処女を喪ったばかりの
なのはは、まず苦痛を感じ、その後を追ってきた快楽に上書きされる。
「うっ、は、ぁ……! ねぇ、なのはっ」
「あっ、あっ、はぁんっ、なぁ、に、ゆーのくんっ、んん!」
 未だ強く締め付けてくるなのはであったが、同時に溢れ出るなのはの蜜が潤滑液となって、ユーノの動きをサポートしている。
一突きするごとに抽挿に慣れ、その動きは大胆になっていく。
「ふっ、は、やっぱり、無理だったねっ」
「あっ、な、なにがっ」
「呼び方と、喋り方っ、いつのまにか、はあっ、もとに、もどってるよっ!」
「あ、そ、れは……だって、はぁん、だってぇ……!」
 肌と肌がぶつかり合う音と、掻き回されるなのはの中から、じゅぷじゅぷと聴こえてくる淫らな水音。全てが、
まだ幼い2人を狂わせていく。
「あぅん、やぁ、だって、んんっ、だって、だってだってぇ! むり、だよぅ……っ、きもち、よくてっ、あ、ああっ……
あたまの、なかぁ、あはぁんっ、まっしろ、でぇ……っ! なんにも、かんがえらんないよぉ!」
「いいよ、なのはっ、いいよ、それでっ! なんにも、考えなくていいからっ! だから、もっと気持ちよくなって!」
 ユーノの動きがより一層激しくなる。快楽に翻弄され、相手を気遣う余裕のないそれを、しかしなのはは受け止め、
彼女もまた、乱れていく。
 お互いに、相手の絶頂が近いのがわかる。身体だけでなく、魔力リンクによって内面的にも繋がっていることが、
それを感じさせたのかもしれない。
「くぅ……! なのは、なのはぁっ! 出すよ、いいんだねっ、なのはの中にっ」
「あっ、はっ、んぁあぁぁっ! いい、よっ、いいよっ! だして、なのはのなかに、だしてぇっ!」
 ユーノの腰に絡まるなのはの脚に、ぐっと力が込められる。離さない、離したくない。そんななのはの想いが伝わってくるようで。
ユーノはそれに応えるべく、なのはと、そして自身へのとどめとなる最後の一突きを、愛しい少女の最奥へと、
「う、くぅ、はっ、あああっ、で、でるっ! なのはぁっ!」
「ひ、あ、はっ、あっ、ああっ、はああぁぁぁあぁぁあああぁんっ!」
 強く、優しく、叩き込んだ。

 ☆☆☆

226 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:02:54 ID:xrGpzVwE
 行為を終えた後も、2人は繋がったままだった。一晩、こうしていたい。なのはがそう望んだ。
 シャワーを浴びるなり、かなり汚れてしまったシーツの始末なり、優先したほうがいいことはあったけれど。とりあえず全部脇に
置いておいて、ユーノとなのはは、心地の良い倦怠感に身を委ねていた。
 なのはがいつも海鳴に帰る時間はとっくに過ぎているが、もともと家族には、本局に泊まると言ってあったらしい。空いてる部屋を
借りるってことにはしといたけどね、と、ちろりと舌を出して悪戯っぽく笑ったなのはに、ユーノはいくらか複雑な思いを抱いた。
 なのはは最初から、今日、こうなるつもりだったのだ。そもそも、下着だってユーノのために選んだと言っていた。
 それほど、追い詰められていたのだろうか。
 辛いだろうということは、わかっていた。でも、それは、わかっているつもりに過ぎなかったのではないか。
 散々に腰を振り、出すものも出して、ユーノは冷静さを取り戻していた。同時に、ネガティブな思考が沸々と湧き上がってくる。
すぐ近くに感じるなのはの温もりが、取り返しのつかないことをしてしまったのだと、ユーノに思い知らしているかのようで。
「……ユーノくん。なに、考えてるの?」
 だから、心の中を見透かしてくるかのようなその声に、ユーノは言葉を返せなかった。
 ユーノが黙っていると、なのはは困ったように、あるいは呆れたように溜息をつく。
「ユーノくん。わたしね、確かに……いろいろ、辛かったし、恐かったよ。でもね、そんな後ろ向きな気持ちだけで……
その、したんじゃないよ。というか、できないってば」
 だって女の子だもん、女の子の初めてって、とっても大事なんだよ、一生ものなんだよ。なのはは、そう言って、
「……わたし、教官とか、教導官になりたかったの。武装隊に入れたら、本局の、航空戦技教導隊を目指そうって思ってた」
「へ?」
 いきなり、話を変えてきた。
「……初耳だね」
「初めて言ったもん。ユーノくんが、はじめて」
 フェイトでも、はやてでも、アリサやすずか、そして家族でもなく。
 たぶん、なのはは大事な話をしようとしている。ユーノはなんとなく、そう感じた。
「わたしね、ずっと、自分には取り柄も特技もないんだって思ってた。実際そうだったしね。でも、アリサちゃんとすずかちゃんは
そうじゃなくて、ちゃんと自分の夢を持ってて。わたし、それがすごく羨ましくて」
 そんな日々の中、ある日、怪我をして倒れてた、不思議なフェレットさんを見つけたの。続いたそんな言葉に、ユーノは不自然なほどに
ドキリとする自分がいるのを感じた。
「そのフェレットさんは、実は人間の男の子で、魔法使いで……その、いきなり、き、キス、してきて。それで、わたしは
魔法が使えるようになったの」
 キス、のくだりで顔が赤くなったのを誤魔化すように、一度、わざとらしく咳をついて。
「嬉しかったんだ。わたしにしかできないことが、ようやく見つかったんだって思った。ユーノくんにいろんなことを教えてもらったり、
教えてもらった魔法を上手に使えたりするのが楽しくて、それを褒めてもらえると嬉しくて、それで、ユーノくんのお手伝いができるのが、
わたしの力で誰かを助けられるのが、すごく、すごくすごく、幸せだった」
 一息置いて、なのはは、今まで溜め込んできたものを一気に吐き出すかのように、言葉を紡いでいく。

227 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:03:51 ID:xrGpzVwE
「ユーノくんに教えてもらって、初めて空を飛んだ時……わたしの目に映る世界がね、全然違うものに見えたの。
どこまでも飛んでいけるような気がして、なんでもできるような気がして。風が冷たくて、いつもより近くにあるお日様があったかくて。
上手く言えないけど……すごい、って。そう、思った。全部、ぜぇんぶ、ユーノくんが、教えて、導いてくれたおかげだよ?」
 なのはの手が、そっとユーノの頬に伸びる。
「そんな、とっても素晴らしい気持ちを、わたしもいろんな人に伝えることができたらいいな、って。そう思って、だから」
「……それで、戦技教導隊?」
「うん。わたしの魔法って戦闘系ばっかりだから、そうなるかな、って。……単純、かな?」
「ううん。そんなこと、ないよ」
 ユーノは、胸が締め付けられるかのような思いだった。決して不快なのではない。むしろ、その逆で。なのはがそんなことを
思っていたなんて、まったく知らなかった。そして、そんなふうに思ってくれていたことが、なんだか、無性に嬉しくて。
なのはの背中に両腕を回して、ぎゅっと、抱き寄せる。
「でも」
 耳元近くで聴こえる声は、つい先ほどまでと比べて、かなりトーンが低かった。
「だめ、だった」
「……うん」
「本当はね、自分でもわかってたんだ。クロノくんとリンディさんにも、わたしじゃ武装隊は難しいだろうって言われてたし」
 だけど、と、そう言葉を繋げていくなのはの声は、震えていた。
「……やっと見つけられた、やりたいことを、夢を……おまえじゃ無理だ、おまえは要らない、って……
そう言われちゃうのは……ちょっと、辛かったなぁ」
 なのはが、顔を首筋に埋めてくる。泣いているのかもしれなかったけれど、ユーノは確かめようとは思わなかった。
ただ、出来る限り優しく、背中をさする。
「……結局、ユーノくんと一緒の職場になって。それはそれで嬉しかったんだけど……わたし、全然うまくできなくて、ユーノくんにも
たくさん迷惑かけちゃって……あんまり、よくないことも言われて」
「……ん」
「わたしに、何ができるんだろう。わたしは、何がしたいんだろう。そんなことを悩んで、考えるようになって……」
 そこで、なのはは。ふふ、と小さく笑みを零した。
「結局ね、振り出しに戻っちゃった」
「振り出し?」
「そう。いちばん最初の、気持ち」

228 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:04:58 ID:xrGpzVwE
 なのはが、少し身体を離す。お互いの顔が、しっかり見えるような距離。なのはは、ユーノを真正面から見つめながら、
「わたし、ユーノくんのお手伝いがしたい」
 “いちばん最初の気持ち”を、口にした。
「なのは……」
「最初は本当に、それだけだったの。困ってるユーノくんを助けたくて、それで、わたしにはユーノくんを助けられる力があって……
だから、これからもそうしていけばいいのかな、って。今は仕事も上手にできないし、ユーノくんに迷惑かけてばかりだし、
でも、たくさん勉強して、ユーノくんのこと、ちゃんと手伝えるように、助けられるようになりたい。ううん、なってみせる。
……あ、もちろんユーノくんが迷惑だっていうなら、その、考えなおすけど……!」
 最後に慌てたように付け加えるのが、妙におかしくて。それ以上に、なのはの気持ちが心に響いた。ユーノはもう一度、
なのはを抱き締める。優しくしようと思ったけれど、どうしたって力が入ってしまう。
「あっ……」
「迷惑だなんて、そんなことあるわけない」
「ほんと……?」
「ほんと」
 ユーノとしてはむしろ、自分こそがなのはの迷惑になっていないかと心配だった。僕の存在に縛られているんじゃないか、
僕なんかのために本当にやりたいことができなくなったりしないか、そんなことを思って、しかし口には出さない。
なのはの真摯な想いに対して、あまりに失礼だから。
「じゃあ……これからも、ずっと一緒にいていい?」
「……むしろ、僕のほうからお願いしたいぐらいだよ。ずっと一緒にいてほしい」
 不安そうだったなのはの表情が、ぱぁっと明るくなる。今にも泣き出しそうで、それでいて、嬉しくてたまらない、そんな顔だ。
 しかしその顔は、すぐに朱色に塗りつぶされる。さらに、視線があっちへこっちへ、落ち着きなく泳ぎ出した。
「なのは?」
「え、えとえと、えっとね……! その……!」
「ちょ、落ち着いてよ、なのは。ほら、深呼吸」
 あうあうと挙動不審な様子を見せながらも、言われた通りにすーはーと深呼吸するなのは。しかし、顔の赤みはまるで抜ける気配がない。
「どうかしたの?」
「あう、うぅ……」
 この一晩で何もかもやってしまった感があるのだが、なのははいったい何をそこまで恥ずかしがっているのだろう。考えていると、
ユーノのほうも何やら妙に恥ずかしい気分になってくる。

229 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:06:10 ID:xrGpzVwE
 なのはが、おずおずと、口を開いた。
「い、いじょーを踏まえまして、わたしの、あたらしい……い、今の夢を、はっぴょーしようかと、そ、その、思います!」
 ところどころ妙なイントネーションと、全体的に妙なテンションである。深呼吸はたいした効果を見せなかったのか、
かなりテンパっている様子だった。
「新しい、今の夢?」
「う、うん、うんうん!」
 あまりに短く散ってしまった、教導官を目指すという夢。それに代わる新しい夢。たしかに、夢を語るというのは
気恥かしい行為ではあるだろう、とユーノは思う。
 それにしたって、なのはのこれは――

「……ゆ、ユーノくんの、およめさん……」

 ――ああ、なるほど。数瞬遅れて、顔から火が出るかのような、猛烈な恥ずかしさを味わわされて、ユーノは理解した。
「い、言うつもり、なかったのに……なんかさっきの、ぷ、ぷぷぷプロポーズっぽくて、それで……あうぅ……」
 これからも、ずっと一緒にいていい?
 むしろ、僕のほうからお願いしたいぐらいだよ。ずっと一緒にいてほしい。
「まあ……確かに」
 プロポーズなんて、創作の世界のものしか知らないけれど。思い出すと、なんだかかなり恥ずかしいことを口にしていたのだとわかる。
 でも。
「でも……本心、だから。なのはと、ずっと一緒にいられたらいいな、って、思うよ」
 気付けば、さらに恥ずかしい言葉が口から出ていた。
 そもそも、自分たちはまだ10歳で。ミッドチルダでも、なのはの故郷である第97管理外世界の日本でも、プロポーズの
先にある儀式――結婚なんて、まだまだ先の話だ。
 2人は今日、身体を重ね合ったけれど。それだって、この先、どちらかの、あるいは2人ともの気持ちが変わってしまわないとも
言い切れない。幼さ故の、ままごとみたいなものでしかない。
 だけど。
(それで、なのはが前に進めるのなら)
 最初の夢は、どうしようもない、越えられない壁に阻まれてしまったけれど。なのはの、新しい夢。それが自分とのことだというのが
どうにも面映ゆくて仕方ないが、でも、なのははその夢に向かって、真っ直ぐ、一直線に向かっていくだろう。
 変な話だけれど、ユーノは、そんななのはの助けになりたいと、そう思った。
「あ……じゃ、じゃあ……」
 ユーノの言葉に硬直していたなのはが、びくびくしながら口を開く。
「ゆ、ユーノ、くん」
「うん」
 今なら、どんな言葉だって受け入れられる。ユーノは、そんな全能感に身を包まれながら――

「わたしの、ほんとのご主人様になってくれますか……?」

 ――いろいろと合点がいって、別に変な意味とか微塵もないのはわかっていて、でも、それはどうなんだろうと思ってしまうのだった。
 なんと答えたものかと黙りこんでしまったユーノと、そんな彼の様子に不安を募らせ涙目になるなのはと。


 彼らの日々は、きっとそんなふうにして、過ぎていく。



                                                            fin.

230 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/14(日) 11:08:53 ID:xrGpzVwE
 タイトルはもうちょっとどうにかならなかったかなぁ、なんて今さら思ったりします。
 自分の勘違いだったら悪いんですけど、なのはさんが教導隊を目指した理由って明らかになってなかったと思ったので捏造してみました。
 ちょっと、というか全然違うかもしれないけど、“先生”を志す人って、その理由は自分自身が良い“先生”に恵まれたからじゃないかな、
なんてことを思います。
 まあ、理由を捏造したこのSSの設定では、なのはさんはどうやっても教導官にはなれないというのが我ながら皮肉というか。
 事後の会話でなのはさんが言っていることには、私の中の「高町なのは」像がわりと強く出ているので、
違和感を覚える人もいるかもしれません。ただまあ、たぶんこの辺りを一番書きたかったんだろうなぁ、とは思います。
こんな設定にした理由の半分ぐらいはここを書くためのようなものです。残り半分はなのはさんに「ご主人様」と言(ry

 もともと別のSSで行き詰って、その息抜きとして書き始めた今回のエロSSですが、気付けばこんなに長くなってしまいました。
 しまいには、この設定でStS時代の話やったら面白いんじゃないか、なんて思い始める始末です。
「機動六課資料室室長・高町なのは」みたいな。このなのはさんは才能コンプレックスのティアナと相性が良さそうな気がします。

 なんにせよ、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
 上のほう見ると私の投稿のせいで荒れちゃってるような感じですし、レスは質問等、最低限のものにしか付けないことにしようと思います。
 では。

231 例えばこんなリリカルなのはさん・後編 :2009/06/14(日) 11:13:53 ID:xrGpzVwE
ああ、一応補足で。
最後のは、「旦那さま=ご主人様」という意味です、はい。
「うちの主人はほんっともう、義妹に手を出すわ某教会騎士に手を出すわお尻大好きだわで、大変なんですよ〜」
みたいな感じで言いますよね? ね?

232 魔法少女リリカル名無し :2009/06/14(日) 11:48:20 ID:.RrodpWM
>>231
コレはコレで面白かったからGJ!!
ってそんな裏事情があったんに吹いたー!

233 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 15:20:34 ID:evYzWQ5s
>>213
ちょwそれどこの提督ですかww

最初は、原作と異なる世界観設定に驚きましたがキャラクターのイメージや文章がしっかりしていたので違和感なく読ませていただきました。
GJという言葉を送らせていただきます。

234 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 15:23:37 ID:evYzWQ5s
安価ミスったorz>>231です

235 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 16:20:35 ID:nePjjwOA
>>211
カルタス……(´;ω;`)ブワッ
GJした。
フィナーレは一体どうなるんだろう。


>>230
あんっっま〜〜〜い!!
まるで砂糖をぶちまけたような甘さに、
ちょっぴり苦味が効いて
美味しく頂かせていただきました〜w

しかしこの二人は10歳でセックスの味を覚えちゃって……
この勢いだと二十歳になるまでに家族が増えること間違いなしwww

GJでした

236 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 18:04:07 ID:5sSnnxa.
なのはが教導隊目指す理由って漫画に書かれてたんじゃないの?

237 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/14(日) 19:16:59 ID:xrGpzVwE
>>236
今確認してみましたが、それらしきものはなかったかと…
一応、アニメDVDやサウンドステージに比べてチェックが容易な漫画とNanohaWikiは繰り返し確認しています
怪しいのはA'sのサウンドステージ03で、これはだいぶ前に聞いたんですが失くしてしまいまして…

どこかで語られてたのなら単純に私の確認ミスです。その時はごめんなさいorz

238 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/14(日) 21:30:12 ID:MHNWU86U
>ウルー氏
ああもう畜生!
こんなにエロいどころか、依存するなのはの精神が俺のテンションを上げまくる!!
設定の差異なんぞ構うものか、ユーノよもっと調教するんだ!!!

……少しはしゃぎすぎた。
だが実際貴方のことを気に入ってしまったよ。
捨てアドでいいから連絡先教えてはくれまいか?
スレ的に無理なら諦めときますわ。

***

という訳で。
Vivid読んだ時にテンション上がりっぱなしで振り切れた、
そんなヴィヴィオものを投下します。
はやては誕生日SSで萌え尽きたので次回までお待ち下さい(死

・ヴィヴィオ10歳
・公式+今まで作ったユーなの短編集の設定は全部ガン無視
・ガチエロ。保管庫搬入の際は「凌辱」タグをお願いします。
・耐性のない人は読まないで下さい(重要)

では、始まります。

239 鏡の中の狂宴 1/10 :2009/06/14(日) 21:32:01 ID:MHNWU86U
──Welcome to EDEN. (楽園へようこそ)

***

「お名前は?」
「高町……ヴィヴィオです」
「おいくつ?」
「10歳です……」

ヴィヴィオがビデオカメラに向かって笑いかけている。
硬い表情は崩れることがなく、緊張を隠すことができていない。
だが、それで撮影側の男たちは満足のようだった。

「それじゃ、早速だけど『ママの代り』をしてもらおうかな」
「は、はい」
ザンクトヒルデ学院の制服に身を包んだヴィヴィオが、静かにスカートをたくし上げる。
チラリと、白い下着が現れた。ヴィヴィオは尚もスカートを持ち上げていくと、
飾り気のないショーツが、カメラにまじまじと映り出された。
レンズがじっくりとズームしていく。まるで、凝視すれば透けて見えるとでも言わんばかりに。
「じゃあ、パンツの上から触ってみて」
ヴィヴィオは無言で応える。
ショーツにゆっくりと触れると、「ひぅっ」と鳴いて身体をのけぞらせた。
突然の刺激に身体が慣れず、ビクリと腰を震わせる。
「そうそう。おっぱいも弄るんだよ」
言われるがままに、胸をさわさわと撫でる。
カーディガンの生地からでは、どこからが乳房のラインなのかも分からない。
幼い身体を自ら性的に慰める痴態を、カメラは余さず撮っていった。
「うんうん。そしたら、制服の前、はだけてみようか」

始まりは、2ヶ月ほど前に遡る──

***

高町なのはが緊急召喚を受けた。
大規模次元災害が発生したので、現地人を救助すべしとの命令。
なのはは訓練生の中から選りすぐりの5人を従えて、すぐに出発した。
だが、そこで事故は起きた。
5人のうちの1人が不用意に爆発物に触れ、意識不明の重体に陥ったのだ。
それはなのはが撃墜された時よりも遥かに酷く、復帰がどうのという以前に命が危なかった。
彼は今も、生死の境目を彷徨い続けている。

なのはには、すぐさま監督責任が追及されることになった。
ちょうどその頃、上層部にはなのはを良く思わない面々が何人かいて、
これを機になのはを失墜させようと企んだ。
会議で「懲戒免職も已む無し」という論調に場が包まれた時、一人の青年将校が進み出た。

240 鏡の中の狂宴 2/10 :2009/06/14(日) 21:32:54 ID:MHNWU86U
「まあまあ、ミッドを救った英雄様じゃないですか。世論が許しませんよ?
その代り、面白い計画があるのですが……」

中身だけを聞けば単純なものだった。
なのはから一時的にヴィヴィオの親権を切り離し、矯正施設で教育させようというものだ。
「重大すぎるミスを犯した張本人ですからね。クビかどっちかと聞かれれば素直に頷くでしょう。
高町にも立場ってモノがあるし、管理局を追われて行き着く先は極めて限られている」
何も永遠の別れじゃないんですから、と強調すると、上の顔は疑問符に満ちた。
「で、それが何になるというのだね?」
「そりゃもちろん、『我らがエース・オブ・エース』を強請るネタにするんですよ。
本人は絶対堕ちないでしょうが、娘なら簡単でしょう?」
加虐を存分に含んだ笑みを浮かべると、会議場は彼の意図に気付いたようだった。
「この一件、私に任せて頂けませんか?」

満場一致で拍手が沸き起こったのには、なのは──はやて側の人間も混じっていた。
最上層の利権構造に食い込むための協力。
人の意思とは、あまりにも脆いものだった。
「あぁ、当然ですが『生活の様子』をフィルムに収めようと思います。
愛する娘さんがどんな暮らしをしていたのか、母親としては気になるところでしょうからねえ……」
ニヤリと笑った彼の口の端からは、悪意そのものが漏れ出していた。

***

そうして『矯正施設』なる場所に送られたヴィヴィオの生活は、泥濘を極めた。
僅かに一畳半の部屋。そのうち和式のトイレが半畳で、残りは何もない。
天井は異様に低くて、大人なら始終屈まなければならない程だ。
その片隅にはカメラ。ヴィヴィオを観察しているのはいわずもがなだった。
内側から大量のボルトで止められたダクトが一つあるが、当然脱出の可能性はゼロ。
窓はなく、明かりは裸電球が一つ、常に薄暗いまま灯り続けている。
空調はやや高めに設定され頭がボーっとする一方で、常に同じ光を与える電球は時間の感覚を失くしていく。
「出して、出してよぉーっ!」
何度もドアを叩き、泣き叫んだが、出してくれるどころか人間の姿すら見かけなかった。
三方が真白な壁に囲まれ、残った唯一の出口であるドアもまた白く、鍵は閂か何か、
とにかく小学生に開けられる代物ではなかった。

食事もパサパサと味気なく、常に飢えと渇きの中にあった。
郵便受けのような場所から出てくる盆は器と一体化したタイプで、箸一本載っていない。
手掴みで食べるしかなかった。
味噌汁が入った汁椀だけは別だったが、これもまた鎖に繋がれている。
徹底した管理ぶりだった。
何度となく『郵便受け』から手を伸ばしてみたが、どうしても床のペタペタとした感覚以外の何かを触ることはなかった。
それが終ると、盆を回収される。一度それを拒否したら、唯一の灯りを消されてしまった。
半狂乱になって叫び続けても許してくれず、泣き疲れて眠り、そして再び目覚めた頃、やっと裸電球が復活した。
のっぺらぼう、ひたすらに何もない時間を過ごさなければならない苦痛に、
ヴィヴィオは何度も悲鳴を上げ、身体を掻き毟った。

241 鏡の中の狂宴 3/10 :2009/06/14(日) 21:33:51 ID:MHNWU86U
風呂にすら入れない。何時かも分からない。
食事の回数を数えるのは諦めた。数えるための手段すらない。

そして5日目を迎えた頃、自身に変化が生まれた。
夢か現実か分からない。音もない、太陽もない、食事のメニューは全て同じ。
どこが現実で、どこが現実でないのか、もう区別がつかない。
出してくれと懇願するのも、もう止めた。だって、誰も取り合ってすらくれないから。
最初の2日は我慢に我慢を重ねていたが、カメラの存在すらどうでも良くなった。
「ママ、助けて……」
その代り、母親に助けを求めた。
だが、肝心の本人は仕事上の大きなミスで自宅謹慎。
ヴィヴィオがこんな生活をしているとは露ほども知らないだろうから、心配することはあれど危機感はない。
まさに八方塞がり、どうすることもできなかった。
もしもここから出ることができるのならば、何でもやろうという気が、芽生え始めていた。
皮脂がべたついて髪が額に張りつく。鬱陶しさと時間感覚のなさが、ヴィヴィオの間で揺れていた。

そこから、5日ほどが経過しただろうか。
もう、ヴィヴィオは衰弱を極めていた。
いや、実のところ食事は栄養だけはまともに考えているようで、身体こそは健全なのだが、
意識の海は絶対に思考を許さないほど憔悴しきっていた。
なのはの顔すらおぼろげで、そもそも「高町なのは」という人間が実在していたのかということさえ、
ヴィヴィオの脳裏では怪しくなっていた。
「ま、ま……」
呟く声は、助けを求める悲鳴ではなく、もはやうわ言。
自我が保てない。どこかへ溶けだしていく。
透明なビニールの膜が意識にかけられているような気がした。全てがぼうっとして、判然としない。
ココハドコ、ワタシハダレ……

更に何日かが経って、初めて外界の方に変化が現れた。
朝食か昼食か夕食か、どれだか分からないが、
とにかくご飯とサラダを口に入れ、味噌汁を啜ると、急に眠気が訪れた。
眠気なんてものは久しぶりだ。1日がまどろみに支配されていたヴィヴィオに、束の間の安息が訪れた。
そして、次に目を覚ますと、そこはやはり同じ一畳半の手狭な部屋だった。
しかし、1つだけ変わったことがある。壁に掛けられた液晶テレビだ。
今は何も映っておらず真暗なままだったが、ヴィヴィオはそれだけの小さな変化でも飛び上がって喜んだ。
「私、現実にいる……生きてるんだ!」
……というのも、儚い望みだった。
何度かの食事──10回か? 20回か? 分からない──を経ても、スクリーンには何も出なかった。
ひょっとして寝ている間に何か放映されているんじゃないかと徹夜を敢行してみたが、無駄だった。
逆に体調を崩し、しばらく臥せることになってしまった。
それでも、救助の手は来ないどころか、アリの子一匹現れなかった。
一瞬走った期待はじわじわと裏切られ、落胆と絶望を一層深いものにした。
何もない、誰もいない、助けて、誰か助けて……

『んあぁっ!』
ビクッ、とヴィヴィオは驚いて画面を凝視した。
今日が何日かどころか、今年が何年なのかさえも曖昧になってからのことだった。
久しぶりに現れる映像に狂喜の色を浮かべる。だが、そこにあったのは通常のフィルムではなかった。

242 鏡の中の狂宴 4/10 :2009/06/14(日) 21:35:00 ID:MHNWU86U
『ひゃぁっ! あああぁっ……だめっ、そんなとこぐりぐりしちゃだめぇっ……』
制服をはだけている女の子だ。どこの制服かは知らないけれど、少女はヴィヴィオと同い年に見える。
四つん這いになって、顔をカメラ側に向けている。
桜色になった胸の先端は露になっており、スカートの陰に隠れて下半身はよく見えない。
すると、カメラが移動して足の方へと移動していった。
太ももにはリモコンのようなものがテープで貼り付けてある。
足の付け根──女の子の一番大事な場所に、毒々しく赤い、棒状の何かが突き刺さっていた。
コロリと少女が仰向けに寝転がされる。それによって、より秘部がアップで映される。
太もものリモコンから延びたコードが、赤い棒の上で終っている。
スポイトか? とにかく、何かを吸い出すような器具のようだった。
『だめっ、そんな、クリトリスばっかり……いやあああああああっ!』
画面の中で少女が啼く。
ヴィヴィオは、そんな名前も知らない少女の姿を見ているうちに、身体が熱くなってきた。
「んっ……」
おかしい。空調が乱れたことなんて一度もないのに、熱い。熱すぎる。
「どうしちゃったの、私……」
少女は一見泣き叫んでいるようにも見えるが、一方でとても気持ち良いように見える。
ヴィヴィオには、そのギャップが不思議でならなかった。
『ラスタちゃん、クリトリス気持ちいい?』
『気持ちっ、よすぎてっ……クリトリス変に、変になっちゃう……いやっ、やあああっ』
ヴィィィィィン、とくぐもった振動音が聞こえる。
どうやら、スポイトがバイブレーションしているようだった。
「はぁ、はぁ……」
ヴィヴィオの顔が上気していく。意識の全てを削ぎ落とされた世界が、どんどん上書きされていく。
「んんっ」
ついに、ヴィヴィオは画面の中の少女と同じ行動を取ることを決意した。
理由なぞ特にはない。極限まで監禁された感情は、五感の全てが他からの指令に従うようになっていた。
「はぁっ、はぁっ……んんっ」
身体の熱がどんどん篭り、じんじんとした疼きが下腹部に溜まっていく。
この痛痒を取り除く方法は、恐らく1つ。
画面の向こうにいる少女と、同じ場所を同じように触ればいいのだ。
「きゃぁ……っ」
ふに、とショーツに触れると、ビクリと身体が震えた。
味わったこともない感覚に、ヴィヴィオは戸惑いを隠せない。
「ちょっと、気持ちよかった……?」
もう一度。
「きゃうっ」
コリコリとしたものが感じられた。そんなもの、この身体にあっただろうか?
上気した頭でショーツを脱ぎ去ると、そこはしっとりと濡れていた。
「なに、これ……?」
お漏らしした訳でもないのにやたらとぬるぬるしていて、ぴたぴたと触ってみると、それは糸を引いた。
ぷつり、と切れた瞬間、まるでシンクロするように少女の喘ぎが響く。
『もっとっ……もっとクリトリス苛めて下さいっ……たくさん弄って、いっぱいイかせてぇ……』
どうやら少女は、スリットの一番上にある豆粒のことを指しているようだった。
じわり、と疼きがにじむ感触は、ここから湧き上がってくるらしい。

243 鏡の中の狂宴 5/10 :2009/06/14(日) 21:35:41 ID:MHNWU86U
恐る恐る、指先で軽く触れてみる。
その瞬間、電流が脳天まで駆け上がった。
「ひゃぁっ!」
甘い。甘くて、痺れて、心地いい。
も、もう一度……
「ひゃぅっ……ひぁっ」
同じように、電流が走った。今度は鋭さよりもむしろ、足が痺れるような感覚が勝っている。
本能がそうさせたのか、画面の少女がそうされていたからなのかは分からない。
けれど、気付いたら、スリットからあふれるぬるぬるした粘液を、クリトリスに擦り付けていた。
「あっ……ああああぁっ!」
ビクン、ビクン、と身体が跳ねる。
疼きが一塊になって、目の裏側にスパークを作った。
視界が七色に染まり、世界が暗転していく。
『あぁっ、はあああっ……』
最後に聞こえたのは、少女の漏らす嬌声だった。

翌日──寝て起きたら『次の日』と呼ぶことにした──ヴィヴィオが目を覚ますと、そこはいつもの牢獄だった。
テレビにも何も映っていない。
昨日のことがまるで嘘みたいに静かで、幻覚かと感じられる。
でも、そうじゃないと信じて、ヴィヴィオはドアを叩いた。
「ねえ、誰かいないの?」
僅かな希望が復活した。何度もドアを叩いて、助けを求める。
だが、誰も来なかった。体力に限界を覚えてへたれ込むと、
その途端に食事がやってきた。だが、相変わらず運んできた人間の気配はしない。
今までの経過から考えて、機械が自動的に配膳しているのだろうと当りをつけた。
助けるも何も、ドアの向こうには何もないのかもしれない。
「……ん?」
ふと盆に目を落とすと、今までとは明らかに違う兆候があった。
もしかすると、昨日のことは本当だったのかも……?
「うっ……変な匂い……」
サラダにかけられたドレッシングが別なものになっている。
以前は塩と油と酢を混ぜただけの代物だったが、今度は白濁としたものだ。
サラダを食べてみると、強烈な青臭さが鼻を駆け抜けた。
それでも、生きるためには食べ続けなければいけない。
いつまでも鳴れることのない空腹に抗うことは、まったくできなかった。
「はぐっ、あぐっ……んくっ」
味噌汁の中にも、同じような白濁が浮いていた。
かき混ぜるものが指ぐらいしかないので、そのまま飲む。
食事が終った頃、ヴィヴィオは身体の異変を感じた。
「何だろう? 熱い……」
ほんのりと、ポカポカする温かさが全身を覆う。
それはすぐに、夢うつつの彼方にあった記憶を呼び覚ました。
「やっぱりあれ、夢じゃなかったんだ」
ジンジンとした疼きが喉にせり上がってきて、思わず声が漏れる。
驚いたことに、昨日少女が喘いだ声と殆ど同質だった。
「私……どうなっちゃったの?」

244 鏡の中の狂宴 6/10 :2009/06/14(日) 21:36:49 ID:MHNWU86U
不安を抱えたまま、独り過ごすヴィヴィオ。
答えは誰からも与えられない。

それからまた、のっぺらぼうな日々を送っていった。
一度だけあったはずの映像はもはやウンともスンとも言わなくなり、
食事に混ざる白濁の粘液は、まるで初日からずっとそうであったかのような既視感に襲われる。
玄米飯と、味噌汁と、サラダ。毎日が味気ないものばかりで、刺激も変化もない。
意識に再び舞い降りてきた分厚いヴェールは、ありとあらゆる意欲を奪い去るのに十分だった。
昼か夜か、などといった問題はとっくに超越している。季節がどこにあるのかさえ、もう分からないのだ。
ただ三つ、食欲と睡眠欲、そして食事の後に訪れる絶え間ない疼きだけが、ヴィヴィオを支配していた。
心臓の鼓動が唯一の音楽。チラつく電灯の灯りが唯一の映画。
たった一畳半の部屋でできる運動といえば、腕立て伏せやスクワット程度のもの。
それすらも億劫で、そもそも身体を動かすという発想が頭から沸いてこなかった。
精神はとっくに限界を突破している。一日中何もすることなく臥せっていることが多くなった。
自分がここに来た意味も、理由も、もうどうでもいい。
思考すること自体、不可能もいいところだった。
食事をし、盆が片付けられると、果たしていつ食事を取ったのかどうか、分からなくなる。
5分も掛からない。そもそも、1分がどれだけの尺で進んでいるのかも分からない。
「ママ……?」
なのはの姿が見え、手を伸ばしてみるが、伸ばせば伸ばすほどに遠ざかっていく。
「ママ……ママぁ……」
ハッ、と気付くことはむしろ稀。ハッキリとした意識が見えるのは、全くないといっていい。
一日中、母親の姿を追い続けることもあった。
寝ているのか、起きているのか、そもそも「起きている状態」とはどんなものだったか。
ヴィヴィオはそれすらも忘れていった。

そんなある日、意識を包んでいた薄膜は唐突に破られた。
テレビに、再び映像が戻ってきたのだ。
ヴィヴィオは余りの嬉しさに飛び上がるほど喜んだ──というのは比喩。
喜ぶなどという体力は、ここに来て1週間も経たずに尽きていた。
例えどんな内容でも、自分以外の人間がいるという事実があれば、他には何もいらなかった。
『お名前は?』
『ラスタ・ソレイユ……』
『おいくつですか?』
『10歳です……』
この前の少女だ。色白で深い蒼の瞳を持つ、長いシルバーブロンドの女の子。
何かのインタビューなのだろうか、つらつらと言われるがままに自己紹介していく。
質問をしている男の姿は見えない。
『それじゃ、今までの復習してみようか』
『はい……』
少女の瞳には生気がない。鏡がないから分からないが、多分自身もまた似たようなものなのだろう。
目線はまっすぐカメラに向けつつ、少女は制服をはだけていった。
その様子に、ヴィヴィオはドキリとする。
胸を曝け出し、膨らみの双丘と小さな蕾を見せるに連れ、少女の目には光が戻ってきたのだ。

245 鏡の中の狂宴 7/10 :2009/06/14(日) 21:37:24 ID:MHNWU86U
だが、その光には妖しさが灯っている。
天真爛漫なそれではない。堕天して欲望に全てを奪われた奴隷の光。
はぁ、はぁ、と犬のように浅い息をしながら、スカートの中に右手を潜り込ませる。
左手は乳首を軽く摘んで、くにくにとこねくり回している。
『ラスタちゃんは、今どこを弄っているのかな?』
『おまんこ……です、えっちな穴に指を入れて、くちゅくちゅしています』
『それだけ?』
『乳首もっ……コリコリして、凄くきもちいい……』
『ふうん? んじゃ、ラスタちゃんが今やってることは、何て言うのかな?』
一番聞きたい言葉を問いかけられて、ヴィヴィオは食い入るように画面を見つめる。
「あの時」、そう初めてこの少女が画面に現れた時に自分がやったこと。
自己の行為に、名前があるのだとすれば、どうしても聞いておきたかった。
『お、なにぃ、です』
『聞こえなかったよ、もう1回』
『オナニーです……』
「オナニー」、ヴィヴィオは少女に釣られて繰り返した。
身体の疼きが増していく。下半身が激しいむず痒さに襲われる。
永遠にも思えるほど長い時間が経っても、それはたった1秒に感じられた。
映像は着々と進んでいくが、ヴィヴィオの時間回りだけはまるで止まってしまったかのよう。
上気した顔をカメラに向けて、ひたすらオナニーに耽る少女。
快感を強く覚え始めたらしく、唇はだらしなく開いてきた。
抑え切れていない唾液が、口の端からだらりとシーツに垂れた。
『さて、いつまでもスカートの中でオナニーしてないで、カメラの前の皆さんにも見せてあげなさい?』
『はい……発情おまんこ、皆さん見て下さい』
少女は仰向けに倒れると、スカートをめくり上げた。
カメラが接写モードに切り替わり、画像がぶれる。
ヴィヴィオはこみ上げてくる不安を押さえて、画面を見つめる。
しばらく経ってカメラがピントが合うと、少女はまさにショーツを横にずらしているところだった。
透明な染みのあるショーツを退けると、少女の秘部が露になった。
モザイクなどといったものは一切かけられていない。
粘液でしとどに濡れたその場所は淫猥に過ぎて、通常のヴィヴィオならば直視できなかっただろう。
──というのはもはや過去の仮定、今のヴィヴィオは、画面の向こうに見える「現実」をどこまでも追っていた。
『ラスタちゃんは、どこを弄ると一番気持ちいいのかな?』
男の声が聞こえると、少女は秘裂の一番上にある豆粒をくりくりと触った。
すぐに『止めて』と男に言われ、少女は触るのを止める。
その代りに、秘唇を大きく広げて、カメラの前に恥ずかしい部分の全てを見せた。
『ここっ……お豆さん……クリトリスが、一番気持ちいいのっ……お願い、もっと弄らせてぇ』
『ダメだよ、ラスタちゃん。そんなにがっつかなくても、すぐいっぱい弄らせてあげるからね』
許可がなくては、少女は何もすることができないらしい。
次々と指示が飛び、少女の声はどんどん淫らに上ずっていった。
『ご苦労様。それじゃ、いっぱいクリトリスでオナニーしてもいからね』
『ありがとう、ございます』
そして少女は豆粒──クリトリスへの刺激を再開する。
豆粒には上から皮のようなものが被せられているようだったが、
少女が触っているうちにみるみる大きくなり、少しずつ剥けていった。
『それじゃ、クリトリスの皮を思い切り剥いてみようか』
『はいっ……』

246 鏡の中の狂宴 8/10 :2009/06/14(日) 21:38:07 ID:MHNWU86U
両手の指で、皮を上へと引っ張る。
すると、キレイなピンク色の真珠が姿を現した。
『どう、クリ皮を剥いた気分は?』
『はい……とってもえっちで、凄く……どきどきします』
ここに到って、ヴィヴィオはもう我慢できなくなった。
少女が為すのと同じように、ショーツを脱ぐ。
秘裂に触れてみると、先日と同じように粘液で濡れていた。
しかも、触る度にどんどん溢れてくる。
「あぅっ……気持ち、いい……」
そこから先は、もう無我夢中だった。
映像の少女に合わせて、くちゅくちゅと秘裂を弄る。
男の指示に従い、少女と同じように振舞う。
どこかにまだ残っていたらしい理性が警鐘を鳴らしていたが、そんなものは怒涛の愉悦に押し流された。
得も言えぬ快感が意識の覆いを剥ぎ取り、自我を猛烈な勢いで侵食していく。
「気持ちいいよぉ……もっと、もっとぉ……」
少女が身体をビクビクと痙攣させ、その痴態をカメラがドアップにして収めていく。
粘液にまみれた秘唇が脈を打ち、クリトリスは真っ赤に熟したさくらんぼのように膨らんでいる。
『ラスタちゃんのおまんこは、今どうなってるのかな?』
『はい……愛液でぐちゃぐちゃになって、クリトリスも勃起して……凄く、凄くえっちです』
蜜壷の浅いところをかき混ぜて、粘液の立てる音を愉しむ。
まだこんなところで奏でられる音色があったのだと、ヴィヴィオは驚いていた。
「あい、えき……」
この、ぐちゅぐちゅした粘液のことか。
ヴィヴィオは指を引き上げて、その匂いを嗅ぐ。
それだけでもう、頭が沸騰して思考力が奪われていった。
『イく、イっちゃう……』
『ラスタちゃん、どこがイっちゃうのかな? ほら、皆さんに教えてあげるんだよ』
少女はクリトリスを上下に擦って、悲鳴にも近い喘ぎを上げた。
『クリ……クリトリスしごいて、イっちゃいます……』
ヴィヴィオの指もまた、少女と同じようにクリトリスを滅茶苦茶に擦っている。
粘液に絡まって、膨らんだ真珠を中々摘めない。
けれど、意識がその一点に集中し、弄り回すことだけが史上の命題となり果て、
快感を追い続けるのみの意識となった。
『イく……イくっ……ああああああああっ!』
「わた、私も……ああああっ……」
ぷしゅっ、と熱くて白濁した粘液が秘所から漏れた。
ありとあらゆる色の光が目の奥で踊って、景色が極彩色に染まる。
「あはっ……気持ち、いい……」
いつ終るとも知れない長い監禁の生活で、遂にヴィヴィオは心が折れた。

それからのヴィヴィオは、文字通り馬鹿の一つ覚え。
自慰に没頭し、食事が運ばれてきたことに気がつかないほど。
他にやることが何一つない環境に置かれて、ひたすらに快感を貪った。
制服は身体から分泌される粘液ですっかり汚れてしまっていたが、気にもならなくなった。
テレビはつかなくなったが、代りに一冊の小説を与えられた。

247 鏡の中の狂宴 9/10 :2009/06/14(日) 21:38:56 ID:MHNWU86U
ヴィヴィオと同年代の少女が、男に身体を開発されていくという内容。
寝て起きるとたまに本が別のものに変わっていたが、大筋は似たり寄ったりだった。
特に、年齢はヴィヴィオに同い年の少女ばかりだった。
「調教」を受ける対象はどこにでもいる女の子から、
大富豪の令嬢、ジュニアスポーツ選手、バイオリンの名手まで様々だった。
沢山の語彙も覚えた。どの部位が何と呼ばれ、別名は何で、どこをどう弄ると快感が得られるようになるのか。
頭の中は、常に淫らな妄想で満たされるようになった。
そして、意識が桃色の幻想に染まりきったある日。
「……ん?」
突然、秘部から血が出てきた。
痛くも痒くもない、傷もないのに、タラリと流れていく一筋の血。
「ああ、私、赤ちゃんが産めるようになったんだ……」
感慨はすぐに、淫欲へと変わった。
腹の底から沸き上がってくるむずむずとした感覚は、
やがて理性の破片をもゆっくりと闇の奥深くへと沈ませていった。
「きゃぁっ……! なに、これぇ……身体が、身体が凄く熱い……
私の身体、どんどんえっちになっちゃってるよぉ……」
淫核をしごき、蜜壷を掻き回す。それ以外のことは頭にない。
「んあぁっ、ああああっ……!!」
愛液の量は、日増しに増えていった。
襲い来る愉悦は抑え難く、ヴィヴィオは流されるままに本能に従った。

だが、そんな日々はすぐに終りを告げた。
「なっ……何これ!?」
昨日の「夕食」には、睡眠薬が混入されていたようだ──今までも何度かあったことだが、
今回は今までの中で一番酷い仕打ちだった。
ヴィヴィオの下半身には、皮製の「何か」が張ってあった。
幸いにして用を足すだけの空間は空いていたが、自らを慰めるような隙間はまったくなかった。
「何か」の上から、淫核を狂ったように掻いたが、何の感触も肌には起こらなかった。
しかも、いつの間にか服は全て脱がされ、生まれたままの姿になっていた。
灯りは完全に落とされており、ヴィヴィオの世界は暗闇に閉ざされた。
それどころか、どこからともなく少女の淫らな喘ぎ声が聞こえてくる。
混乱のさなかに食事が運ばれてきたが、食欲が沸くどころか、どこにどんな食べ物があるのかも分からない。
栄養はギリギリまで押さえ込んである。一食でも抜いたら空腹で頭がおかしくなってしまいそうだというのに……
手探りで慎重に探し、もさもさと食べる。白濁した液体は一層増えていた。
食事の後、ヴィヴィオは「何か」が何なのか、焦点のハッキリしない記憶を漁って考え始めた。
もう、思考するという行為は何日ぶりなのか、何週間ぶりなのか。
数時間に渡って記憶の糸を手繰り寄せた結果、これは「貞操帯」と呼ばれていることを思い出した。
ということは、誰かが鍵を開けてくれない限り、取り外しができないということ。
「い……いやあっ!」
結論に到った瞬間、ヴィヴィオは半狂乱になって貞操帯を外そうともがいた。
ガチャガチャと音がしたが、それだけだった。
「う、うそ……」
身体の疼きはふつふつと沸いてくる。でも、どうすることもできない。
耳に入ってくる少女の嬌声はますます大きくなっているようで、
ジンジンと下腹部を苛む欲望は際限なく膨らんでいった。
「助けて……誰か、助けてーっ!」

248 鏡の中の狂宴 10/10 :2009/06/14(日) 21:39:55 ID:MHNWU86U
照明は唯一の拠りどころだった。映像だって見れるし、本だって読める。
今は、それがない。
「助けて……助けてよ……」
地獄の最中に舞い降りてきた光明をも、今失ってしまった。
「嘘……こんなの、嘘だよ……」
ヴィヴィオはその場で脱力し、気絶してしまった。

何も見えない。
何も聞こえない。
何も感じない。
何も分からない。

何も考えられない。
何も動かしたくない。
何も──

ヴィヴィオは何もすることなく、常々横たわるだけの日々になった。
最初の1日か2日かは少女が淫語交じりに叫んでいたが、ある時前触れもなくぷっつりと音声は途切れた。
24時間、起きているのか寝ているのか分からなくなってしまった。
生きているのか、死んでいるのか?
自殺などという選択肢はない。そんな気力すら、霧散した。
最も原始的な欲望、食欲だけはじわじわと身体を蝕み、結局食べることになる。
意識に立ち込めた霧はついに足元さえも判断できないまでに濃くなり、
思考の対象は一瞬にしてモヤの中に消えていった。どんなに簡単な算数もできない。
全てが消え失せた世界で、ヴィヴィオはただひたすら横になり続けた。
「ママ……」

──掠れた声で叫びを上げた。何処に行けば救われるのと。
黒い天使と黒い悪魔と黒い閻羅が、いびつな笑みを浮かべながら闇の縁へと誘っている。
私は手を伸ばした。引きずり込まれると知りながら、それでも求めるしかなかった──

(続)

249 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/14(日) 21:42:17 ID:MHNWU86U
まさか長編化するとは作者も思わなかった。
中身に関してはもはや何も言うまい。
クリ責めスレに帰れって話ですねごめんなさい。

では。

250 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 21:43:56 ID:5sSnnxa.
>>230
  ん?本スレに貼りついてるユーノ擁護工作員=なのはマンセー叩き?
 キャラの性格・公式設定捏造乙
 また俺様のヒロイン像=デフォ?
 他人のSSスルーしたとかいちいち書いて嫌みだよなお前
 臭い聖水プレイでキャラ陵辱するなら前書きに書いてくれキモいから

251 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 21:48:17 ID:LnMYu3Bw
そろそろ忘れている人もいるようなので。

ここは管理人さんがちゃんと管理してるからね。
あんまり無茶すると、削除、アク禁だよ。

252 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 22:05:11 ID:EaQeHG9o
>>250
まあ、落ち着け。
>>230さんも、次回作から注意書きをしてくれるだろう。

253 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/14(日) 22:10:38 ID:xrGpzVwE
中編のアレは確かに注意書きに書いとくべきでした。こちらの配慮不足です…
今さらですが、不快に思われた方がいたならごめんなさい

>Foolish Form氏
ここで直接晒すのはアレなんですけど、氏も登録なさってる情報サイトに同名で登録してます
お手数ですが、そっちから辿っていただければ。
SSのほうはもうなんというかGJです。描写的には心が痛くなる感じですが読み進めずにはいられない魔力のようなものが。
続きも待ってます

254 名無しさん@魔法少女 :2009/06/14(日) 23:34:00 ID:QP60UuyU
おお、これは濃厚な攻め……
正に「陵辱」の二文字を冠するSSですね。

255 名無しさん@魔法少女 :2009/06/15(月) 00:58:45 ID:zy7V4Ad6
>>230
GJ!!です。
何だろう。最後のなのはとユーノの会話の方が凄い。なんか胸に来る感じでした。
>>249
GJ!!です。
俺が親なら、ヴィヴィオを教会かフェイトに預けて殺戮の旅に出そうだ。

256 名無しさん@魔法少女 :2009/06/15(月) 16:00:14 ID:HbXI3pjA
>>255
その隙にヴィヴィオは別の男の歯牙に…という黄金パターンですね分かります。

257 名無しさん@魔法少女 :2009/06/15(月) 16:23:29 ID:r.NVLYn.
>>256
さらに教会の人やフェイトさんも獣の毒牙に…という黄金パターンですね分かります。

そういやフェイトがモブに陵辱される話はけっこうあるが、
カリムが多人数に陵辱される話って無いよね。
オリキャラに媚薬調教されたり義弟に獣姦されてたことはあったが。

258 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 00:06:46 ID:NlLCQVRc
犯されている時に神に助けを求めるとか見てみたいな。
でも、神は誰に対しても平等だから助けないw

259 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 00:09:02 ID:cBqF9vZs
神=聖王
じゃなかったっけ?

260 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 00:09:56 ID:cBqF9vZs
いけね
ageちまった

261 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 00:13:40 ID:NlLCQVRc
でもヴィヴィオを神と見ていないと思う。
既にもう、いない個人を神として崇める感じだから、普通の宗教のように神を崇めているのと変わらないのでは?

262 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 01:24:28 ID:c4ikjuOo
なんつーか、戦前の国家神道における神武天皇ぐらいの位置づけなのかもね

263 ( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 03:58:25 ID:MzuLCShk
どうもご無沙汰してます。
ちょっと間が開いてしまいましたが、続き投下したいと思います。

注意事項
・オリキャラ・準オリキャラ注意
・捏造設定オンパレード注意
・ややスバルヘイト気味
・TUEEEEE注意
・NGワードは『熱き彗星の魔導師たち』

264 熱き彗星の魔導師たち 29-01/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 03:59:13 ID:MzuLCShk
 ズズン……ズズズズ……
 ユーノとウェンディが艦橋に通じる扉をくぐった途端、激しい振動が『ゆりかご』を揺
さぶった。ユーノは一瞬つんのめりかける。
「今の振動は!?」
 2人は険しい表情で周囲を見渡す。ユーノが反射的に言った。
「うわっ!? なんっスかこれは」
 2人が艦橋に入ると、床が抜けて大穴が開いていた。ウェンディが素っ頓狂な声を出す。
「アリサ……また無茶やったね?」
「るさいわよ」
 その穴の下から浮遊魔法で上昇して来たアリサは、ユーノにそう言われて、空中を直立
の姿勢で漂うようにしながら、不機嫌そうに言う。
「ヴィヴィオ!」
 なのはの声に、3人はその聞こえてきた方を見た。

熱き彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜
 PHASE-29:A sacred king is two persons(後編)

「うあぁぁぁぁっ!!」
 先程よりは弱まったが、ヴィヴィオからの波状的な魔力放出は続いている。
「ヴィヴィオ!」
 なのはがそれに接近しようと試みているが、ピンク色のシールドが魔力の波とぶつかっ
て激しく火花を散らしている。
「ヴィヴィオ!?」
 ウェンディが素っ頓狂な声を出し、ユーノと共にその姿を凝視した。
「暴走してるの?」
「フネの動力とリンカーコアがリンクさせられてる、ヴィヴィオ本人にも制御できないみ
たい」
 ユーノの問いかけに答えたのはフェイトだった。なのはをアシストするように、張られ
た『聖王の鎧』に向けて、貫通は出来ないことを承知でフォトンランサーを放ち続けてい
る。
「せめて、A.M.F.が完全に解除できれば……」
「出来ないんスか?」
「艦の制御系がベルカ式だから、私達には難しい……っ」
 魔力放射の波が迫り、フェイトは射撃を中断してシールドを張る。
『Round Guarder』
 ユーノがヴィヴィオに向かってアリサの前に出る。緑のラウンド型シールドを展開し、
魔力放射の波を遮る。
「ベルカ式……レンかシグナムを引っ張ってくるんだった……」
 ユーノの背後からヴィヴィオを見つめつつ、アリサは自分の判断を悔いるように言った。

265 熱き彗星の魔導師たち 29-02/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:00:22 ID:MzuLCShk
「苦労してるみてーだな」
 アリサやウェンディ達のさらに後方で、その場にいる人間に聞き覚えのある、だが、そ
の理由がわからない声が聞こえてきた。
「ヴィータ!?」
 声の主を振り返って、アリサが目を真ん円くして声を上げる。
「アンタ、どーしてここに」
「け、留守を守れなかった予備隊々長が存在意義なんかあっかよ」
 ヴィータははき捨てるように言った。
「そういう問題じゃないと思うけど」
 ユーノはシールドを這ったまま、ヴィータを軽く振り返って、苦笑した。
「どうせ降格処分待ちの身だしな、おめーらだけじゃ心配だから追っかけてきたんだ」
 ふてくされた様な表情のまま、ヴィータは歩いてウェンディとすれ違い、アリサの傍ら
まで来た。
「もっとも偉そうな事は言えねー、ついさっきまで対空射撃破れなくて外をうろちょろし
てただけだからな。それが止んだんでやっと取り付けた。それに」
 不愉快そうな表情のまま、愚痴るように言ってから、
「その子が連れ去られた責任ぐらいは、とらなきゃなんねーだろ」
 と、真摯な目でヴィヴィオに視線を向け、そう言った。
『Ein Operationssystem wird gerufen』
 グラーフアイゼンのシステムボイスが告げる。ヴィータの足元に真紅の、古代ベルカ式
の魔法陣が出現し、駆動する。
 そのヴィータを取り囲むようにして、先程までクアットロの周囲に出現していたものと
同じ、パイプオルガンのそれを思わせる非実体コンソールが現れた。
「…………」
 コンソールに手を伸ばし、キーに指を滑らせる。
「ヴィータちゃん!」
 なのはがヴィヴィオと凌ぎ合いながら、焦れたような声を出す。
「急かすな、本来こー言うのはあたしの得意分野じゃねーんだ」
 声を荒げて言い返しつつも、ヴィータ自身も焦ったような表情になりつつ、操作を続け
る。
 だが────
「ちっ」
 やがて、ヴィータは毒つくように舌打ちした。
「どうしたのよ」
 アリサが軽く驚いたように問いただす。
「ヴィヴィオを離すことは出来る、ここはスカリエッティが後からいじくった部分だろー
から、外部から干渉できる」
 ヴィータは、少し焦ったような忌々しそうな表情でそう言った。

266 熱き彗星の魔導師たち 29-03/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:01:09 ID:MzuLCShk
「だったら、早く……」
「話を最後まで聞け!」
 急かすアリサに、ヴィータは怒鳴り返した。
「本来のフネの制御システムは、聖王の権限じゃねーと制御を受付けねー、つまり、既に
実行されてる命令をキャンセルできねーんだよ!」
「え、じゃ、じゃあ、ヴィヴィオを切り離したら……止められない?」
 ヴィータの言葉に、アリサの表情が引きつった。まるで口元は笑ったかのように見える。

267 熱き彗星の魔導師たち 29-04/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:01:53 ID:MzuLCShk

『Stinger blade, Burst shot』
「たっ」
 WS-Fと同軸に発生した、6発の剣をかたどった魔力弾がほとばしる。
『Protection, Dual exercise』
 スバルはシールドを張ると、魔力弾の防御をそれに任せ、構わずに突っ込んでくる。
 着弾で魔力弾を構成する魔力素がベクトルを失う、その際にエネルギーを解放しながら
可視状態の霧になって視界を遮る。
『Flash move』
「そこぉっ!」
『Phantom Blazer』
 素早くマギーが後ろに下がると、相対的に入れ替わったティアナが強力な射撃を放った。
「やった!?」
「ティアナ、上!」
「えっ!?」
 一瞬、ティアナが気を緩ませかけると、その背後からマギーの叫ぶような声が聞こえて
きた。
 反射的に見上げると、跳躍の勢いで天井に脚を着け、膝を折って勢いを溜めているかの
ような、スバルの姿があった。
『Flash move』
「ぐっ」
『Protection, tri』
 ガキィィンッ
 ティアナが一瞬覚悟を決めかけたとき、正に紙一重のタイミングでマギーがそこに割り
込む。
 赤紫のシールドは三重で出現し、スバルの拳を受け止めた。リボルバーナックルとシー
ルドが凌ぎ合い、激しく火花が散る。
 その時、リボルバーナックルを纏ったスバルの拳が、その像がぶれるように振動した。
「! くっ!」
 ビキィッ
 不気味な音を立てて、WS-Fの全体に亀裂が走る。
 だが、マギーは退かず、そのままスバルの拳をシールドで受け止め続ける。
『ティアナ、今のうちに!』
『えっ!?』
 マギーは念話でティアナに言う。
 ビシィッ!
 スバルの拳の圧力が強まる。WS-Fの損傷が目に見えて酷くなる。
『Load Cartridge』
 クロスミラージュのシステムボイス。

268 熱き彗星の魔導師たち 29-05/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:02:40 ID:MzuLCShk
「スバルぅぅっ」
 ヒュンッ
 ティアナの声が、スバルのさらに頭上から飛び掛ってくる。
「リングバインド!」
 スバルが反射的に身を退きかけた瞬間、マギーはシールドを解除して姿勢を引くと、WS
-Fを介さずにバインドをかけた。スバルの両手両足首を、魔力光の枷が縛る。
『Phantom blazer』
 バーミリオンの閃光が、今度こそスバルを真芯で捉えた。
 そのまま、潰されるようにスバルは床面に叩きつけられる。
 ティアナが床に着地する。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
 荒い息を整えるようにしつつ、即座にスバルとマギーの方を振り返った。
『Memory syntax error. Referring to the registry is impossible. System shutdown』
 ボロボロに、朽ちたようになったWS-Fは、時折異様な抑揚になりながらシステムボイ
スでそう告げると、コアから輝きを失い、そのまま沈黙した。
「っ……」
 マギーは僅かに前に出て、その場で膝を追ってかがむと、スバルに手をかざした。
 マギーの足元で魔力光が魔法陣を描いて駆動する。マギーのかざされた手が、鈍く魔力
光を放った。
「よかった……生命反応はまだある。戦闘機人って頑丈なのね」
 胸を撫で下ろすようにしてそう言いつつ、立ち上がってティアナを見た。
「ティアナ」
 しかし、ティアナの表情は晴れない。
「マギー、それ……」
 ティアナはマギーに近づくと、それを指差した。
 それはマギーの右手に握られている、無残な姿のWS-F。
「ああ……そうね、こうなっちゃうとちょっと修理は無理かな。使える部品はあるだろう
けど、主フレームから交換しないと」
 マギーは僅かに苦笑して、そう言った。
「でも……確か、お父さんの形見だって……言ってなかった?」
 ティアナは哀しげな表情で言う。
「え? あ、まぁ、そうなんだけど、元々はどこにでも売ってる量産品だし、レイジング
ハートみたいに代わりがないってわけじゃないから……」
 ティアナの態度に、マギーは気圧されたような苦笑を浮かべつつ、言った。
「…………そう……」
 ティアナはどこか納得しきれない様子で、歯切れ悪く言った。
「それより、早くアリサたちと合流……」

269 熱き彗星の魔導師たち 29-06/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:03:16 ID:MzuLCShk
 ティアナの表情を気にはしつつも、マギーはそう言いかけて、
「あ、でもスバルをこのままにしておくわけにはいかないな……」
 と、気がついてスバルを見る。
「ええ……」
 ティアナも頷き、スバルを見る。
「まぁこのくらいは……レビテーション」
 マギーの足元に魔法陣が駆動したかと思うと、倒れているスバルの下にフリスビーのよ
うな魔力光の板が出現し、スバルをやわらかく持ち上げた。
「私は後から行くわ。ティアナは先に行って」
「え? だけど……」
 マギーが言うが、ティアナは困惑気な表情になって、躊躇うような声を出す。
「大丈夫、ガジェットぐらいならデバイス無しでも何とかなるし」
 マギーは微笑みながら言いつつ、
「それに、どうせアリサ達が根こそぎ潰してったでしょ」
 と、悪戯っぽく苦笑した。
「そうね……」
 まだ浮かない表情をしつつ、ティアナは構成の返事をする。
 半ば振り切るように、ティアナはアリサ達の突入して行った方向に向かって駆け出しか
けて、一瞬立ち止まって振り返る。
「ごめんね、スバル」
 スバルを見て小さく言うと、改めて駆け出していった。
「…………ティア……」
「えっ!?」
 ティアナの姿を見送っていたマギーだが、小さなかすれるような声を、しかし確かに聞
きつけて、驚いて目を円くして、スバルを見た。
 機能停止の仮死状態。だがマギーは今、確かにスバルの声を聞いた。
 一方、ティアナは聞こえたのかそうではないのか、前に進む。
『Fryer fin』
 バリアジャケットのシューズからバーミリオンの、魔力光の羽が出現する。通路に対し
て追従飛行で奥に向かう。通路にはガジェットの残骸が散乱していた。

270 熱き彗星の魔導師たち 29-07/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:04:03 ID:MzuLCShk

「それじゃ、どーするって言うのよ!?」
 アリサが、目を見開いた表情で焦ったように言った。
「アルカンシェルの波状射撃をかければ破壊できないことはない……けど」
 ユーノが、ヴィータに向かって身を乗り出しかけた姿勢のアリサの傍らに寄り、険しい
表情で言う。
「そんなことやったら、ミッドチルダの星そのものがなくなっちゃうわよ!」
 ただでさえ(人類が居住可能な)惑星の大気圏内で使用するには威力が過剰な上、レリッ
クの装荷された動力炉を対消滅破壊させようものなら、どれだけの破壊力が放出されるか
わからない。下手をすれば惑星諸共消滅させることになりかねない。
「もうひとつは、大型の次元巡航艦で体当たりさせて墜落させる……」
「それだって、これだけの物が落下したら、地上の被害は免れないでしょ?」
 ユーノが苦い顔のまま言うと、アリサが即座にそう反論した。
 ユーノは引きつりかけた険しい表情で頷いてから、
「それに、今の管理局の、所詮武装警備用を主目的にした巡航艦を体当たりさせたところ
で、破壊できる保証はない、暴走を誘発するかもしれない」
 と、重々しく言った。
「それじゃ駄目じゃない!」
 アリサは食って掛かるように声を荒げた。
「でも……あとは方法は……」
 ユーノが困り果てたように呟いた時、
「ヴィータさん!」
 それまで沈黙していた声が、大きく張り上げられた。
「ベルカ聖王家の人間なら、止める事が出来るんですね?」
「え……あ、ああ、基本の条件はそう言う事だと思うけど……」
 突然声をかけられたヴィータは、面食らって驚いたように目を円くしながら答える。
「ちょっとギンガ、アンタまさか……」
 アリサが信じられないといったように、息を呑む。
 ギンガは大して深刻そうでもない顔で、しっかりと俯く。
「ヴィヴィオはリンカーコアをスカリエッティに干渉されて、自分の意思で制御できない
……でも、そうでない聖王胚の人間なら」
「待って、アリシアが言ってただろう、スカリエッティがヴィヴィオの魔力資質を弄って、
なのはの魔力を吸収させたのはこのフネを制御させる為なんだよ!?」
 ユーノが、やはり驚いたような表情で、反射的にギンガの方に手を伸ばしながら言う。
「君の魔力資質は決して小さい部類じゃないけど、けど……」
 ユーノが言った。
 ユーノと同じように、隣に立つアリサが目を見開いた不安げな表情でギンガに視線を向
けている。

271 熱き彗星の魔導師たち 29-08/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:04:34 ID:MzuLCShk
「ギンガ、駄目だよ、そんな事したら……スバルが……」
 シールドで、徐々に減衰していく『聖王の鎧』と凌ぎ合いながら、L4Uを構えたなのは
が言う。
「ギンガ、クイントさんやステラも待ってるんだよ、早まっちゃだめだ、ゲンヤさんだっ
て……」
 フェイトも驚いたように振り返り、言った。
「そうっスよ! あたし達と違って、ギンガやスバル達には血の繋がった家族がいるんス
から……」
 続くように、ウェンディがアリサの背後から、切なそうな表情で声を上げる。
「ありがとうございます、でも、これを止められなければ、もっと多くの悲劇が生まれる
のはわかりきっていることです、父も母も、妹達も……だったら、今出来ることを全部し
ておくべき……」
 ギンガはほとんど緊張もなく、笑みさえ浮かべて言った。
「そうですよね、フェイトさん」
 ギンガはフェイトに視線を向け、そう訊ねた。
「それは……うん……だけど……」
 フェイトは頷きつつも、なおも歯切れが悪い。
「みすみす後悔するような思いはもうしたくない、だから今回管理局の仕事お受けになっ
たんですよね、アリサさん?」
「…………」
 アリサは言葉は口にしなかったが、真剣な眼差しでギンガを見つめる。
「それに、駄目かどうかなんて、やってみなきゃ解らないじゃないですか」
「…………」
「これも、貴方の信念ですよね?」
「…………」
 問いつけるようにしてギンガが言うと、アリサは沈黙していたが、やがて抑えきれない
といったように表情を歪ませると、
「ああ、解ったわよ、やるだけやってみなさい。ただ、いざとなっても助けられる保証な
いわよ」
 と、口調ではぶっきらぼうに言った。
「承知の上です」
 ギンガは、笑みさえ浮かべてさらりと言う。
「大体、魔法使い初めていきなりで、今より少しだけしか弱くなかったフェイトとやり
あったアリサが言っても説得力ないよ」
「っ、ユーノ、言うんじゃないの!」
 ユーノが苦笑交じりに呟くと、アリサは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、ユーノに
食って掛かった。
 一方のフェイトも、恥ずかしそうに顔を赤くしている。

272 熱き彗星の魔導師たち 29-09/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:05:15 ID:MzuLCShk
「…………ヴィータさん、お願いします」
「解った」
 ヴィータもまた、険しい表情のままで言い、キーボードの上を手で滑らせた。
「シールド張れ、ヴィヴィオ自身の制御ができてねぇから、接続切った瞬間放射が来る
ぞ」
 ヴィータの声に、各々がシールドを張って身構える。
『Nervenubertragungssteuersystem wird abgesagt』
 グラーフアイゼンのものではない。『聖王のゆりかご』のシステムボイスが告げ、ヴィ
ヴィオに対する戒めが解けた。
 グゥアァァァッ!!
 その瞬間、虹色の魔力光がかかった、強烈な魔力放射が半壊した艦橋を舐めるように放
たれ、各々のシールドと干渉して火花を散らした。
「ぐ……っ」
 コンソールを操作しているヴィータの正面には、ユーノがラウンドシールドを作り出し
ておのれごと魔力放射から防御する。
「ヴィヴィオ!」
 ヴィヴィオを戒めていた指揮官席──すなわち玉座──から、ヴィヴィオが崩れ落ちる。
咄嗟になのはが飛び出して、床に倒れかけたその小さな身体を抱きとめた。
「ヴィヴィオ……!」
「マ……マ……?」
 ヴィヴィオの名を呼ぶなのはの目に、うっすらと涙が浮かぶ。ヴィヴィオはぐったりと
してなのはに寄りかかってしまいつつ、ぼんやりとした表情でなのはを見つめた。
「もう大丈夫だからね、ヴィヴィオ」
「うん…………」
 一瞬、口元で笑んでしまい、ぎゅっとなのははヴィヴィオを抱き締める。だが、すぐに
はっと我に返ったように顔を上げた。
「ギンガ……」
「大丈夫です……」
 なのはの申し訳なさそうな、困惑気な声に、ギンガは僅かに緊張を滲ませて、言った。
「でも、ギンガって現代ベルカでしょ、操作法大丈夫なの?」
 アリサは単純に疑問に思い、呟くように言った。
「それは大丈夫だろ、精神感応システムの一種だからな、言語や魔術式のフォーマットは
関係ない」
 ヴィータが説明した。
「ギンガ」
 ギンガが玉座に手をかけようとした時、アリサが背後から呼び止めた。
 ギンガが振り返ると、アリサは腰のポーチからカートリッジを数発取り出し、ギンガに
向かって投げて渡した。

273 熱き彗星の魔導師たち 29-10/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:06:56 ID:MzuLCShk
 ギンガは僅かに姿勢を崩しただけで、それを難なく受け止める。
「魔力資質の大きさが問題なら、カートリッジ使えば多少は改善されるでしょ」
 アリサはプレーンな表情でギンガを見て、そう言った。
「ええ、ですが、カートリッジなら私も……」
「それはいざって時のとっておきなの。官給の量産品とは質が違うのよ」
 ギンガが不思議そうに言いかけると、アリサは得意そうに、口元で笑ってそう言った。
「とっておき……って……」
「ベルカ式とは相性悪いかも知れないけどね」
 ギンガがなおも呆気に取られたような表情で呟くように言うと、ユーノが照れくさそう
な態度になってそう言った。
「そんな事言ったら、古代ベルカ特化のカートリッジなんてシャマルぐらいしか作れない
じゃない」
 横目でユーノを見てアリサが言う。
「まぁ、そうなんだけどね」
 ギンガはアリサとユーノを交互に見てから、
「ありがとうございます」
 と、深く頭を下げる。
 それから、ギンガはリボルバーナックルのカートリッジシステムの薬室に、アリサから
受け取ったカートリッジを装填した。
 そして、ギンガは振り返り、玉座に手をかける。
「────っ!!」
 ギンガの身体に、ビリッ、としびれる衝撃があったかと思うと、玉座を中心にして、虹
色の魔力光の、古代ベルカ式の魔法陣が現れ、駆動を始める。
『Verbinden Sie Einrichtung. Es uberpruft, dab Systemoperationsautoritat existiert』
「ぐぅっ、うぅぅぅっ……」
 『ゆりかご』の動力がリンカーコアに干渉する、灼熱のような感触が、ギンガにのしか
かる。
「ギンガ!」
 たまらず、と言った様に、なのはがその背後から悲痛な声を上げる。
「だ、大丈夫です」
 脂汗を滲ませつつも強気にそう言って、ギンガは玉座に上がる。
「艦内の全A.M.F.解除……推進器減速、変針右15°、上10°……っ」
 ギンガは虹色の煌きを身体から放ちつつ、口に出して呟きながら、『ゆりかご』に命令
を実行させていく。
 ぐらり、『ゆりかご』の飛行方向が変わるのが、艦橋からでも解った。
『……サ…ユー………ェイト、なのは!』
 A.M.F.が解除されると、早速アリシアからの念話が、ギンガを見守る面々に向かって届
いてきた。

274 熱き彗星の魔導師たち 29-11/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:07:43 ID:MzuLCShk
『アリシア? A.M.F.は問題ないわ。「聖王のゆりかご」ももう止まる、止められる』
『それは良かった……』
 アリシアは、胸を撫で下ろすかのようにそう言ってから。
『そこに……ウェンディもいるのよね?』
『なんっスか?』
 スクランブルによる対象限定をやっていなかったらしく、アリシアに自分の名前を出さ
れたウェンディが、直接返事をした。
『ごめん、悪い知らせよ────』

275 熱き彗星の魔導師たち 29-12/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:08:16 ID:MzuLCShk

「最悪の想定は避けられたみたいやけど、状況が良くなったとはお世辞にも言えへんね」
 レンは、地上本部に間借りしている仮設オフィスの窓から、クラナガンの街を見下ろし
ている。
 レンはそう言ったものの、暴動を起していた暴徒は明らかに浮き足立ち始めていた。
「さて、はやてちゃん」
 レンが振り返ると、自らの事務机の前で椅子に腰掛け、虚脱しかけていたはやてがいた。
傍らにシグナムが付き従うように立っている。
 呆然としていたはやてだったが、レンに声をかけられると、はっと我に返って顔を向け
た。
「な、なに?」
「ケジメ、つけに行くで」
 レンは険しい表情ではやてに近づくと、はやての右手をとった。
 はやては促されるように立ち上がりつつ、キョトン、とレンを見る。シグナムも似たよ
うな表情をしていた。
「ケジメつけにって……どこへ?」
「決まってるやんか」
 レンは険しい表情のまま、答える。
「聖王教会、や」

276 熱き彗星の魔導師たち 29-13/12 ◆kd.2f.1cKc :2009/06/16(火) 04:10:34 ID:MzuLCShk
>>264-275
今回は以上です。

ヴィータの登場がとってつけたようなのはそのものズバリです。
ゆりかごは古代ベルカの代物なのにゆりかご突入組に古代ベルカいねーじゃん! と気付いたが後の祭り。
すみませんorz

あと1、2回になるかと思います。

277 名無しさん@魔法少女 :2009/06/16(火) 19:43:47 ID:DN9ajvSs
>>276
続きがあると待っててよかった。。。
ちょっとぐらいなら問題ないですよ、逆立ちしたって人間は神になんかなれないんだからw

278 名無しさん@魔法少女 :2009/06/17(水) 14:40:44 ID:g6U8.sA.
>>276
いいとこ無かったヴィータが汚名返上・名誉挽回出来たわけですし、寧ろ怪我の功名ですよ

ラスボスはカリムとヴェロッサか…

279 名無しさん@魔法少女 :2009/06/17(水) 16:57:34 ID:vtRZb5Go
ついにクライマックスか…
ティアナ修正の件などでマイナスイメージが強かったヴィータも見せ場があって何よりです。
やはり10年前からはやては聖王教会の傀儡になるように動かされていた様で…
聖王教会の真意とレジアスの真意を知った後、はやてはまだ管理局で「自分の理想」を貫けるかが気がかりですね。

聖王教会ヘイトになりそうな次回を楽しみにしてます。

281 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:34:49 ID:HFcp70G2
>>280
でも書くじょw

・ユーノの子供産んだなのはが、その子供が産まれる少し前に起こった不思議な体験を回想する話
・非エロ
・オリキャラ出る
・「そんな馬鹿な!?」って事が起こります注意

282 生まれる前の親孝行 1 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:36:03 ID:HFcp70G2
 長い間百合生活を送っていた高町なのはであったが、脱百合して幼馴染のユーノ=スクライアと結婚。
翌年には元気な赤ん坊をご出産していた。
 そして『ナーノ』と命名したその赤子を連れて病院から退院したなのはの所へスバルとティアナの二人が
お祝いに駆けつけて来ていた。

「なのはさん退院おめでとうございます!」
「本当なら赤ちゃんが生まれて直ぐに来るべきだったんですけど…お互い忙しくて済みません…。」
「別に謝る様な事じゃないよ。」

 なのはに部屋に案内された二人は、そこでベビーベッドに寝かされていたナーノの姿を目にした。

「だ〜。バブ〜。」
「わ〜可愛い女の子ですね〜?」
「残念。ナーノは男の子なの。それにほら、この瞳や髪の毛の色、顔付きもどこかユーノ君に似てるでしょ?」

 驚く二人を尻目になのはは優しい微笑を浮かべながらナーノをゆっくりと抱き上げた。

「この子はね、凄いんだよ。まだ生まれる前の時点で親孝行をしてくれたんだから。」
「え? どういう事ですか?」

 なのはがナーノに対して言った『生まれる前の時点で親孝行』と言う言葉の意味が分からず
スバルとティアナは首を傾げる。

「実はね、こういう事があったの…。」

 なのはは優しく語り始めた…………………


 それはなのはがナーノを産む少し前の事だった。その頃は当然のごとくなのはは妊婦で
ナーノもまたなのはのお腹の中にいた。

「あ、また動いた。」

 お腹の中の子供が動くたびになのはは出産が近い事を確信し、その大きく膨らんだ下腹を
優しく手で摩っていたりしたのだが…………そんな時にそれは起こったのである。

283 生まれる前の親孝行 2 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:38:07 ID:HFcp70G2
「管理局のエース・オブ・エースもガキ孕んで腹ボテじゃみっともねぇなぁ…。」
「誰!?」

 突然部屋の中に土足で上がりこんで来た一人の男になのはは思わず身構える。
一見ピシッとスーツを着こなしているが…この男明らかに堅気では無い!

「貴方誰!? 何勝手に人の家に上がり込んで来てるの!?」
「殺し屋さんです。」
「殺し屋!?」

 殺し屋と名乗る男になのはは待機状態で首にかけていたレイジングハートを握り、バリアジャケットを
装着したのだが、次の瞬間殺し屋の笑い声が部屋中に響いた。

「ハッハッハッハッハッハッハッ!!」
「何が可笑しいの!?」
「みっともねぇ! みっともねぇなぁ! そのボテ腹、みっともねぇったらありゃしねぇー!」
「なっ…。」

 例えバリアジャケットを装着しようとも、なのはの妊娠して大きく膨らんだお腹が縮まるわけでは無い。
むしろ先程着ていた大き目な部屋着に比べ、バリアジャケットの方がよっぽどその大きなお腹が目立ち、
なのは自身もまた右手でお腹を抱える姿は重そうで苦しそうだった。

「笑うなんて酷い! お腹の中に赤ちゃんがいるんだからお腹が膨らんで当然でしょ!?」
「だからそこが無様だって言ってんだよ! 管理局の偉大なるエース・オブ・エース様も
ガキ孕んで腹ボテじゃぁこの体たらく。全くみっともなくて笑わずにおれるかってんだ!」
「う……………。」

 お腹の子供を馬鹿にする言葉は許せないが、残念ながらなのは本人も彼の言う事は否定出来なかった。
妊娠してお腹が大きくなった状態でバリアジャケットを装着すると言うのはこれで中々恥ずかしく
客観的に見てみっともなく見えてしまっても仕方が無いと思うし、何よりもお腹に子供を宿した状態では
まともに戦えるか怪しい所だ。下手をしてしまえば…流産してしまう可能性だってある………。

 そして今なのはの目の前にいるのはなのはを殺害しに来た事は想像に難くない『殺し屋』
今までも充分に殺すチャンスがありながらあえて姿を見せてなのはの妊婦姿を笑ったりと
お世辞にも一流の殺し屋とは言えないだろうが…それでも今の妊娠したなのはではまともに
相手をする事は難しいかもしれない。

 既に何度も説明されている通り、今なのはのお腹の中にはもう直ぐ生まれるであろう大切な我が子がいる。
まだ生まれる前とは言え約1キログラム程度にまで育っているその子供を宿した状態で戦うのは
なのはとしても辛いし苦しい。それでも本気で戦えば自力で殺し屋を撃退出来るかもしれないが
余り無理をしてしまえば、その拍子で流産してしまう危険性もある。そうなってしまえば
お腹の子供は死を意味する。かと言って戦わなければ殺し屋に母親であるなのは自身が殺されてしまい
それに伴ってやはりお腹の子供は死んでしまう。戦えば流産して子供は死ぬ。戦わなければ
子供もろともなのはが死ぬ。この状況下でなのははどうして良いか分からなかった。

284 生まれる前の親孝行 3 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:39:39 ID:HFcp70G2
「ハッハッハッ! 如何に管理局のエース・オブ・エース様も所詮は女だったって事だな。
だがおかげで俺は感謝してるぜ。てめぇーがガキ孕んで動き辛くなったおかげでこちらとしても
殺りやすくなったんだからな!」
「くっ!」

 もうこの状況で何とか思い付く事が出来た方法は一つ。とにかくこの場を動かず防御に集中して
救援を待つ事。その為に防御魔法を展開しようとしたが…発動しなかった。

「え!?」
「ガキ孕んでるとは言え魔法使われたらやっかいだからな。この部屋にAMF発生装置を仕掛けさせてもらったぜ。」

 三流っぽいくせに何と用意周到な殺し屋であろうか。今この状態ではなのはは魔法を行使する事が出来ない。
ブラスター等を使えばAMFも跳ね除ける強力な魔力を発動可能であるが…そんな事をしてしまえば
お腹の子供がどうなってしまうか分からない!

「あ、そうだ。ただ殺すだけじゃ面白く無い。てめぇのそのみっともなく膨らんだ腹を裂いて中のガキを
穿り出しててめぇの目の前で八つ裂きにしててめぇを絶望させてから殺すってのはどうだ?」
「なっ…。」

 何と言う残虐な殺し方だろう。なのは自身を殺すのみならずお腹の子供を狙うなど……
なのはは人として、母親として許せる行為では無かったが、殺し屋は情け容赦無くナイフを握っていた。

「くっ! そんな事はさせない! この子だけは…お腹の子だけは守ってみせる!」
「黙れ! エース・オブ・エースのガキなどと…コイツが大人になったらどんなバケモノに
育つか正直分からん! ならば今ここで…まだ生まれる前の胎児の状態で殺っとくに限るだろうが!」

 殺し屋はなのはの握るレイジングハートを蹴り飛ばし、その大きく膨らんだお腹へ向けて
ナイフを振り上げる。このままなのはのお腹を裂いて中に子を殺すつもりだ!

「はっはっはっはっ! 自分のガキの為に死ぬエース・オブ・エースなんてお笑いだなぁぁぁ!!」
「くっ!!」

 なのははお腹の我が子に申し訳無いと思いながらも思わず目を背けた………が……殺し屋のナイフは
なのはのお腹に突き刺さる事は無かった。

「え? ってああ!!」
「く……か……くは………う………。」

 それを見たなのはは驚愕した。殺し屋がナイフを振り上げた所で突如として何処からか発生したバインドが
殺し屋のナイフを握る右腕を締め上げていたのである。

「え? え? どうして?」
「くぁ……何だこりゃぁ………AMFがあるのに……何だこりゃぁ………。」

285 生まれる前の親孝行 4 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:41:15 ID:HFcp70G2
 確認するまでも無く、殺し屋のAMF発生装置は正常に稼動している。であるにも関わらず
このAMFを物ともしない強力なバインド……。これは一体何処から発生した者だと言うのか?
まずなのは自身と言うのは有り得ないし、他に人がいる気配も無い。

 が…そこでさらなる事態が起こった! 突然なのはの大きく膨らんだお腹が翠色の光を発し
そこからチェーンバインドが飛び出すと共に殺し屋の全身に巻き付いた!

「な…なんだこりゃぁ!!」
「え!? どうして!? 私のお腹からチェーンバインドって…。」

 なのは自身もまた驚愕し、分けも分からず混乱する中、なのはのお腹から発生したチェーンバインドは
まるで殺し屋を絞め殺さんばかりの勢いで締め上げ、なおかつそのまま振り回して壁に強く叩き付けてしまった。

「ぐへ…………。」

 殺し屋は完全に気を失ってしまい、チェーンバインドも消滅したが…なのはには一体何が起こったのか
分からず呆然としていた。そしてなのははチェーンバインドが発生した元である自身の大きく膨らんだお腹に
両手を当て、摩ったのである。

「まさか…この子? この子がやったの!? うそ…うそっでしょ!?」

 まだ生まれてもいないなのはの子供がAMFにも屈しない強力なバインドを発して殺し屋を倒した。
なのは自身も信じられない事だが…今の状況からして他に考えられない。

 なのははなおも現状が信じられず、困惑気味にお腹を摩っていたが…お腹の子供はピクッと動くのみ。

               ナーノが誕生する数日前の事だった……………


「なんて事があったの。凄いね〜。まだ生まれても無いのにママを助けるなんて凄い親孝行な子だよね〜。」
「…………………………。」

 嬉しそうにナーノを抱いて自慢げに語るなのはだが、スバルとティアナの二人は呆れていた。

「なのはさん………それは流石に嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ! 本当だよ! 本当にこの子は私を助けてくれたんだよ!」
「それはきっと夢…夢ですよ。なのはさんは夢を見たんですよ。」
「幾ら自分の子供が可愛いからって…流石にそういうのはありませんよね〜。」
「でも状況から見てそうとしか思えないじゃない! ナーノは私を助けてくれたんだよ! 信じてよぉ〜!」

 常識的に見てどう考えてもあり得ないとは言え、なのはの話を信じないスバルとティアナに
なのははむしろ泣きそうになっていたが…

「キャッキャッ、バブ〜。だぁ〜。」

 なのはに抱かれたナーノは無邪気に笑っていた。

                     おしまい

286 ◆6BmcNJgox2 :2009/06/17(水) 21:45:16 ID:HFcp70G2
とりあえず今回はここまでです。

>>121
ザフィーラは守護獣ではありますけど一応ヴォルケンの枠ですよね?

287 名無しさん@魔法少女 :2009/06/17(水) 22:06:34 ID:aP6HkzqM
投下乙であります!
しかしさすがエース・オブ・エースⅡ世、まるで花園垣みたいだ。

288 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 00:26:57 ID:/MhAnZNU
この赤ん坊、後に尻尾が生えて、月を見たら巨大フェレットになったりしないだろうな…

289 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 00:33:12 ID:0MamDhI2
実際、このふたりの子供だとやりかねんあたりが怖いなw

そういえば、似たようなシチュの話があったな。
あっちはなのはが捕らわれて、諦め掛けた時、
まだ自分の魔力光も定まらない胎児が生きたいという願いから、
レイジングハートからバスターを発射したという物だったが。

290 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 18:28:56 ID:Jw0EZsXc
小説版逆シャアでンな描写があったな
ベルトーチカのお腹の中のアムロの子がIフィールド張ってビーム防ぐやつ

291 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 20:23:04 ID:mQNHbgoU
Iフィールドって超能力の産物だったのか………

292 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 21:22:46 ID:K9JI1LUc
>>290
年がバレるw

293 名無しさん@魔法少女 :2009/06/18(木) 21:25:38 ID:620aHkVE
チェーンは死んだのになw

294 名無しさん@魔法少女 :2009/06/19(金) 10:05:29 ID:W2IOAJ26
>>293
避妊してたんだろ

295 名無しさん@魔法少女 :2009/06/20(土) 03:47:48 ID:0QfaA9mk
もうerananoの制作者さん、このスレ見てないのかな…。

296 名無しさん@魔法少女 :2009/06/20(土) 18:38:58 ID:f0gwU62E
見てても作ってないだけじゃね

297 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/20(土) 20:11:54 ID:6V3Gkny.
例のはやユノだが、サークルの相棒が先に書いてしまった。
代理で投下を頼まれたのだが、OKだろうか?

298 名無しさん@魔法少女 :2009/06/20(土) 20:27:12 ID:KMVio4Gc
>>297
OKです。

299 名無しさん@魔法少女 :2009/06/20(土) 20:27:57 ID:hCk5NFxk
え…突っ込み無し?

300 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/20(土) 20:29:57 ID:6V3Gkny.
>298
サンクス。では早速。

・闇の書事件から*年後
・はやて&ユーノ、微エロかもしれないが少なくとも健全
・ユーなの短編集とは果てしなく矛盾

301 訓練の後は 1/4 :2009/06/20(土) 20:31:43 ID:6V3Gkny.
「それじゃ、次は多体制御に移ってみようか」
「了解や」

ふわりと空に浮かんでしまえば、足の善し悪しは大きな問題から小さな問題へと変わる。
今、はやてはユーノに魔法の教練を受けていた。
「魔法ばっかり気を取られちゃダメだよ、当てる相手は避けもするし、反撃だって」
ユーノは、はやての撃ち出した魔法弾をことごとく避けてみせた。
「できるんだから」
最後の一つを難なくかわす――ふりをして、甘いストレートのごとく強烈に叩き返した。
方向を反転された運動量が、まっすぐはやてに向かっていく。
「くっ、これくらい……」
はやてはスピードを見誤らず、ギリギリのところで身を捩って避けた。
はずだった。
「きゃぁっ!」
クン、と突然光弾の軌道が逸れて、はやてへと襲い掛かった。
魔法が直撃し、はやては痛さに顔をしかめる。
「どうして……?」
避けたはずなのに、いったい何が起きた?
「誘導追尾弾さ。君の撃ったものに、ホーミング機能を追加したって訳。
このやり方だと、動力は相手持ちで簡単に反撃できるからね、覚えておくといいよ」
まったく見上げたものだ。毎回、何かしら新しい戦法や戦術を携えてくる。
どこから得たのかは知らないが、少なくとも暇潰しではあるまい。
「いくら非殺傷といっても、痛覚はきっちりあるからね。大丈夫だった?」
事も無げにユーノが聞いてくる。魔力的な痛みはすぐに引いて、後を残さなかった。
「大丈夫や。伊達に訓練積んでへん」
立ち上がって――という動作が空中でも言えるのか?――、ユーノに笑いかけるはやて。
その顔には、負けず嫌いの魂が宿っていた。
「それじゃ、もう一本お願いや、ユーノ君」
「お安い御用さ」
そうして、はやてとユーノは日が暮れるまで修業に明け暮れたのだった。
本日の戦績、完敗。死角を突く誘導弾の瞬きを破ることはできなかった。

「いつもおおきにな、ユーノ君」
ユーノとの教練が終った後は夕食を振る舞うのが、一つの日常と化していた。
「なのはちゃんの教練メニューと私のと、考えてくれるの大変やろ?」
「うーん、そうでもないかな。やりがいはあるし、二人ともすごい勢いで成長してるし。
僕は毎日が楽しみで仕方ないかな」
笑っている目を見るに、嘘はない。というか、この少年に嘘を吐く力はない。
屈託なく笑うユーノに、はやての心はざわめいた。
「お、おおきにな……さ、もうすぐご飯できるさかい、期待して待っとき」
スープの味見をする。うん、完璧。
そろそろいい匂いに釣られて、皆がやってくる頃だ。
「お、おいしそうじゃん!」
真っ先にやって来たのはヴィータ。
あわよくば摘み食いしようというその手を、はやてはぴしゃりと叩いた。
「いてっ」
「抜け駆けはなしや」
そして、計ったようにシグナムとシャマルも帰ってくる。

302 訓練の後は 2/4 :2009/06/20(土) 20:32:40 ID:6V3Gkny.
「ただ今帰りました」
「ただいまー。あら、今日はユーノ君が一緒なのね。
我が家だと思ってゆっくりしていって」
シャマルがニコニコ顔でユーノに挨拶する。もう完全に一家のママだ。
「ああ、はやてちゃん」
「なんや、シャマル?」
突然シャマルがはやてに向き直って聞いてくる。
あくまでものほほんと、あくまでも軽い調子で。
「ユーノ君のこと、いくら可愛いからって襲っちゃダメよ?」
「あ、あほぅ! どこの誰がやるかいこの自称17歳!
盛るんならグレアムおじさんにでもしとき!」
はやては顔を真っ赤にして怒鳴った。
心臓がバクバク言って、思うように唇が動かない。
結局口から出てきたのは、照れ隠しみたいな罵倒だった。
身体がすっぽり埋まるほどの墓穴を掘ったシャマルは、もの凄くしょんぼりした顔で洗面所に消えた。
丁度やってきたザフィーラは事態の意味不明さに頭をかしげ、
シグナムはその間一言も言わずにすっかり俗人となった風の癒し手を見送った。

「やっぱりはやての料理はうめーな!」
ヴィータが舌鼓を打ち、他の面々も一同に頷く。
「そんな、おだてても何もでぇへんで?」
軽く手をひらひらさせると、ユーノがぼそり。
「でも、じっさい美味しいと思うな」
その言葉が耳に入ってきた瞬間、はやてはバンバンと隣に座るシグナムの背を叩いた。
突然のことにシグナムはむせ返るが、それでもはやては気にしない。
というか、気にしていられるだけの心の余裕がなかった。
「やぁよ、ユーノ君、そんなおだてて私をどないする気?
私、こう見えて結構ガード固いんやで?」
誰のガードが……と守護騎士一同疑問を抱いたが、一人として口に出す者はなかった。
ユーノがしきりに褒めるので、はやては『これは何かあるな』と思いつつ、
悪い気はしないので褒められるがままにしていた。
「……そないに私のこと良く言うんやったら、頭の一つくらい撫でてもええんに」
小さな呟きはシャマルにだけ聞こえたようで、危うく殴りかかりたくなるようなニヤニヤ笑いを浮かべていた。

***

「しっかし、この足。早く何とかならへんかな?」
闇の書事件からこの方、はやての足は着実に良くなりつつあったが、
それも悪化していた部位が和らいだ程度のこと。簡単には全快してくれない。
痛みや苦しみはもうほとんどないが、地上で立ち上がることはまだできない。
始終車椅子の生活で、ユーノには世話をかけられっぱなしだった。
その本人と、今は部屋でふたり。
はやては机に向かって勉強中。ユーノは、ベッドに腰掛けて何やら本棚から取り出して読んでいるようだ。
マンガか? マンガなのか? まったく、人が勉強している傍で現金な……
『下図の回路についてランプ応答の過渡現象を論ぜよ』
「……」
OK、まずは日本語に翻訳する作業から。
次に等価回路を描いて、微分方程式を
「ええい分かるかボケー!! 普通オームの法則やったら終りちゃうんかこれ!?」
流石は海鳴の宿題、というか全然分からない。頼りになるのはフェイトだけだ。
一通りの悪態を吐くと、また問題に取り掛かったが、解決する兆しはまったくなかった。
いくら難しいとはいえ、睨めっこをいくら続けても糸口すら見えない。

303 訓練の後は 3/4 :2009/06/20(土) 20:33:23 ID:6V3Gkny.
「どうしたのさ、そんな唸り声上げて?」
ユーノが横からヒョイっと顔を出す。
「ああ、あンの鬼教師がまたアホみたいな宿題出しよって、どうにもならへんのよ」
わらにも縋る思いで、ユーノに問題を見せる。
予定調和というか、彼もまたちんぷんかんぷんのようだった。
「でも、二人で頑張れば何とかなりそうじゃない?」
あまりにもさらっと言い出すものだから、はやては目を丸くした。
「え、でもそんな悪いで。ただでさえ魔法の訓練に付き合うてもろとるのに……」
しかしユーノの方はおかまいなしに、なのはにメールを打っていた。
「今日は遅くなるから、先に寝ててもいいよ……と」
ユーノ呟きに、はやては心臓がトクンと動くのを感じた。
遅くなるってことは、つまり――先になのはが寝るような時間になったとしたら――
ままよ、先に既成事実作ったろか――
「はやて」
「ひゃぁっ!」
情けない声が漏れた。どうやら要らぬ妄想に浸っていたらしい。
「な、なんやびっくりしてまうやないか」
「ごめん、なのはにはもう連絡したから、はやての宿題、手伝えるよ」
屈託のない笑顔に、思わずはやての表情も綻ぶのだった。

「ここはコイルの――」
「せや、あとは電圧がここで一定なんやから……」
苦闘1時間。
気がつけば、問題を解き終っていた。
時間は矢よりも早く進み、むしろ惜しいくらいだった。
「おおきにな。おかげですっかり終ったわ」
「いや、気にしないでいいよ。僕も、はやての学校の問題、一度やってみたかったんだ」
本心からそう思っているのか、ユーノの顔には満足感が表れていた。
はやては、「ほんま、おおきにな」とだけ言って机から離れ、ベッドにぼふりと倒れこんだ。
ずっとユーノの顔が間近にあったのだ、平然でいろという方が難しい。
まだ上手く動かない足が淡く疼く。
『シャマル、余計なこと喋っておいてからに……』
無理矢理にでも意識してしまう。いや、むしろ意識させられてしまう――気づいてしまった。
ユーノが、好きだということを。
思えば、魔法は守護騎士の面々に聞けばいいのであって、わざわざユーノを呼び出す必要はないのだ。
無意識のうちに、一緒にいたいと願っていた。
でも、だからこそ、こうして今一緒にいられる。
「ん、もうこんな時間だ。それじゃはやて、僕はこれで帰るから」
ユーノが帰ってしまう。
「ちょ、ちょっと待って……!」
はやては意味もなく引き止めた。
「ん、何?」と聞いてくるユーノに、思わず言い澱む。
「あ、えーと、特に用事って訳やないんだけど……」
言いたいことがあったはずなのに、何故か頭が真っ白になって言葉が出ない。
心の中で自分を殴りながら、この短時間でできることを必死に考えた。
その結論は……

「これは訓練のお礼や、皆には内緒やで?」
ちゅ。
頬にキスして、はやてははにかんだ。
「え? ……え!?」
唖然としていたユーノの顔が、一瞬で真っ赤になる。
見ていて面白いくらいだ。
……この時、どうしてユーノが唖然としていたのかを知るのは、翌朝のこととなる。
ポーッと目の焦点が合わなくなっているユーノを、ボンと叩いた。

304 訓練の後は 4/4 :2009/06/20(土) 20:34:10 ID:6V3Gkny.
「ほら、帰るんやろ? それともこのまま続きでもするか?」
ユーノが耳まで赤く染まっていく。
そんな顔、見ているこっちが恥ずかしい。
「な、なんや、本気にしとるんか? 冗談やて、冗談」
心のモヤモヤを振り払うように手を動かして、ユーノの肩に手を置く。
そしてそのまま、ベッドに引き込み、押し倒した。
自分でも何をしたのか、その瞬間には分からなかった。
けれど、ユーノを組み敷いていると頭が追いついたきり、はやての意識に火がついた。
「は、はやて……?」
戸惑ったような、期待を込めたような、そんなユーノの声がこだまする。
ユーノだって男だ。どうやったって限界というものは来る。
「これはお礼や、せやから何も気にすることあらへん……」
唇にキス。
舌を割り込んで、ユーノを味わう。
「今夜は帰さへん……」

***

翌朝。
「すまんなあ、朝帰りさせてしもて」
「ああ、気にしないで。泊まるって決めたのは僕だから」

結局、キスどまりだった。ヘタレここに極めり。
完全に茹って気絶とは、はっきり言って救いようがない。
中途半端。そう中途半端すぎる。
「あぁ、何やっとるんやろ私……」
車椅子の中で縮こまりながら、軽い自己嫌悪でユーノを見送る。
しかも今日は学校だ。この後こんな顔でなのは達に会うのか。
「今ならニートの気持ちが分かる気がするわ」
遠い目で空を見上げるはやて。
すると、ユーノがぱたぱたと戻ってきた。
「ごめん、一つ言い忘れてたことがあったんだ」
『どうして忘れてたんだろう』と苦笑交じりに言うユーノ。
一体どうしたというのだろう?
「はやて」
急に抱き寄せられた。
「僕も好きだよ」
唇を奪われる。
きつく、身体を抱きしめられる。
「ユ、ユーノ君……私のこと、好きなん?」
なのはちゃんより? と野暮なことは聞かなかった。いや、聞けなかった。
はやてより先に、ユーノはいとも簡単に答えたのだ。
「なのはとは友達だから。ううん、友達でいたいから。
"好き"でいたいのは、はやての方かな。だって──」
もう一度、額にキス。
「はやての方が可愛いから」
はやては心臓が飛び上がりそうだった。
バクバクと鼓動を打ち、ちっとも静まってくれない。
これ以上そんなことを言わないで、おかしくなってしまうから……
「それじゃ、またね」
随分と腑の抜けた顔で見送っていたのだろう、と思う。
笑顔で手を振り去っていく、ユーノの後姿を、はやてはいつまでもいつまでも見つめていた。

305 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/20(土) 20:34:58 ID:6V3Gkny.
ヴィヴィオ長編は明日にでも投下できると思う。
ではまた。

306 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 01:03:07 ID:Jvtx6hu6
いつもいつも乙
ところで中学校で制御工学とか電気・電子工学とかやったっけ?

307 B・A :2009/06/21(日) 02:30:03 ID:zEnqvQLg
最終回の投下いきます。

注意事項
・非エロです
・時間軸はJS事件から3年後
・JS事件でもしもスカ側が勝利していたら
・捏造満載
・一部のキャラクターは死亡しています
・色んなキャラが悲惨な目にあっています、鬱要素あり
・物騒な単語(「殺す」とか「復讐」とか)いっぱい出てきます
・主人公はスバル(とエリオ)
・SSXネタもたまに含まれます
・遂に最終回
・エリオの悲惨さMAX
・ご都合主義もある
・BADENDではないが、ハッピーエンドでもない
・タイトルは「UNDERDOGS」  訳:負け犬

308 UNDERDOGS 最終話① :2009/06/21(日) 02:30:45 ID:zEnqvQLg
今でも時々、夢に見ることがある。
もしも、あの時に別の選択をしていたのなら、どんな結末を迎えていたのかと。
幾度となく繰り返した自問を、ウーノはもう一度胸中で反芻する。
しかし、どれだけ考えを巡らせても答えは見つからない。
愛する男と共に世界を手に入れていたか。
最愛の男の複製と共に陰で世界を支配していたか。
共に罪を償う道を模索していたか。
自爆した複製のように、無様な死を晒していたか。
答えは無限に存在し、そのどれもが虚無という霧の中に隠れている。
選ばれた結果以外は全てがまやかし。それが世界の掟であり、真理なのだ。

「お母さん?」

不意に幼い声で我に返り、顔を上げる。
すると、まだあどけなさの残る幼い顔がそこにあった。
心配そうにこちらを見上げる我が子の顔を見て、ウーノは思わず息を呑んだ。
わかっていながらも、彼の幼い容貌に父親の容姿が重なってしまう。

「お母さん」

「え、ええ…………ごめんなさい。何か用、坊や?」

「ううん。けど、元気なかったから…………はい」

少年が泥だらけの手で差し出したのは、彼がどこからか摘んできた白い野花であった。
最近、物思いに耽ることが多くなった自分のために採って来てくれたのであろう。
ウーノは不器用ながらも微笑みながら白い花を受け取ると、我が子の頭を優しく撫でた。

「ありがとう、坊や」

「うん。次はもっと綺麗なお花、採ってくるね」

無邪気な笑顔を浮かべ、少年は草原へと駆け出していった。
走り去る小さな背中を見送りながら、ウーノは少しだけ悲しそうに微笑する。
ゆりかごで死亡したスカリエッティから、ウーノはある秘密任務を帯びていた。
それは、来るべき反抗勢力との戦いの中で死を偽造し、誰の目も届かない辺境世界で
ジェイル・スカリエッティのクローンを出産することであった。
元々、スカリエッティは何らかの理由で自分が死亡した時のバックアップとして、
ナンバーズに自身の複製を仕込んでいた。結局、3年前の戦いでは自分達の圧勝で終わったため、
複製が生まれることはなかったが、3年間のゆりかごでの生活の中で、
スカリエッティはより安全な生活を手に入れる術を思いついていた。
それは、全てのナンバーズが死亡した状態で、自らの命を絶つことであった。
ゆりかごは確かに強力で堅牢な守りではあったが、次元世界中の反抗勢力にその命を狙われていることに変わりはない。
生命操作技術を完成させるための穏やかな環境を求めていたスカリエッティにとって、それは決して喜ばしい状態ではなかった。
だから、彼は一度死ぬことにしたのだ。
全てのナンバーズを死亡させて、バックアップの複製がないと人々に思わせた状態で己の死を公とする。
そして、誰も知らない辺境世界に用意した住居で新たなクローンが生まれれば、誰からも命を狙われることのない、
平和で穏やかな生活を手に入れられることができる。そのための母胎として、最も人前に出ることがなく、
認知度の低かったウーノが選ばれたのだ。このことはトーレやクアットロすら知らされておらず、
ウーノとスカリエッティの2人だけが共有していた秘密であった。
そして、形だけを見繕った彼女のクローンはレジスタンスの眼前で自爆し、スカリエッティもまたゆりかごと運命を共にした。
彼があの日まで、人々の恨み買うような非道な行為を繰り返していたのは、本能に刻まれた無限の欲望以外にも、
倒されるべき悪役として憎しみを募らせる必要があったからだ。
全ては、スカリエッティの思惑通りに進んでいたのである。
だが、土壇場になってウーノは最愛の男を裏切ってしまった。
彼女は、生まれた子どもにジェイル・スカリエッティとしての記憶を与えなかったのである。

309 UNDERDOGS 最終話② :2009/06/21(日) 02:32:29 ID:zEnqvQLg
「申し訳ありません、ドクター。ですが、あなたは知っていたはずです。
複製はオリジナルにはなれない…………フェイトお嬢様が、アリシア・テスタロッサに
なれなかったように。知っていてなお、あなたは複製による生存を望んだ。
私にはそれが耐えられなかった。私にとってジェイル・スカリエッティはあなただけ。
私を生み出し、育て、共に夢を分かち合ったあなただけ。生まれた複製に、
ドクターの声と記憶で語りかけられても、それがあなたでないのなら……………私は、
あなたの死を望みます。あなたの死と、その血脈を受け継いだあの子……………私がお腹を痛めて生んだ、
あなたの息子。もうあなたが生まれることはない。例え誰かがドクターの複製を生み出したとしても、
あの子の父親が私の愛したあなたであることに変わりはありません。ドクターの存在は、
私とあの子の中で永遠となります……………それが、私の最初で最後のあなたへの反抗です」

ウーノの頬を、一筋の涙が伝う。
愛した男の存在をこの世に残すためとはいえ、自分は最愛の人の願いを踏み躙った。
その罪悪感から解放される日が来ることはないだろう。
これからも、我が子の顔を見る度に、自分は愛する男を殺した罪の意識に苛まれるのだ。
特にここ最近は、日に日に彼へと似つつある我が子の顔を見ることがとても辛かった。
抑制剤を投与してはいるが、それでも狂気の天才が生み出した技術は異常な速度で発育を促している。
10歳ほどの容貌であるにも関わらず、あの子はまだ生まれて半年にも満たない幼子なのだ。

「私の坊や…………いつかあなたは、きっと自分の生まれを呪うでしょう。
私とドクターを……………あなたの父親を憎むでしょう。けれど、信じて頂戴。
お母さんは、心からあなたの幸せを望んでいるの…………それだけは、本当だから」

あの子が父親と同じく無限の欲望に囚われ、狂気に走るか。それとも理性を持った凡庸な人間となるかは、まだわからない。
自分にできることは、あの子が人並みの暮らしに幸福を感じられるように、精一杯の愛情を注ぐことだけだ。
この命が尽きる、その日まで。





ゆりかごが堕ちてから、半年が経過した。
次元世界規模で起きた争いは時空管理局だけでなく、全ての世界に甚大な被害をもたらした。
本局と地上本部の壊滅という最悪こそ免れたものの、支援を受けられなかった各次元世界の管理局支部は
壊滅状態に陥っており、次元間の交流も半ば断絶しつつある。
貿易や人の行き来が途絶え、社会機能が麻痺して滅びの兆しを見せる世界すらあった。
この混乱に乗じて管理局体勢から離反し、独立を宣言する世界まで出る始末だ。
そんな中、かつて時空管理局地上本部と呼ばれた建物で、元時空管理局本局統幕議長ミゼット・クローベルによる演説が行われていた。

『我々は辛い戦いを経験しました。全ては時空管理局が……………かつて私達が願いを託した組織が招いた結果です。
人間は欲深く、愚かで卑しい生き物なのかもしれません。他者より豊かで幸福な暮らしを、今よりも便利な社会を、
誰にも犯されない安心を。その思いが今日までの歴史を形作ってきました。ですが、強すぎる思いは時に災いを招きます。
何故、私達は質量兵器を捨てて魔法文明を育んできたのか。何故、魔法に代わる力として質量兵器を求めたのか。
今一度、私達は考えなければならないのかもしれません。我々が真に望まねばならない平和と、勝ち取るべき秩序を。
今日、ここにお集まりの皆さんの前で、私はもう一度謝罪したいと思います。そして、改めて宣言します。
時空管理局を解体し、今ここに新たな組織を樹立することを。次元を隔てた友と手を取り合い、
二度と過ちを犯さぬために。我ら時空共和機構は、あなた達と共に歩んでいくことをここに誓います』

演説を終え、ミゼットが謝罪の言葉で締めくくると、疎らな拍手が彼女を包み込んだ。
聴衆は決して多くはない。恐らく、100人にも満たないはずだ。
新組織の発足とはいえ、その長が時空管理局の元重役である以上、仕方のないことであった。
半年前の一件で時空管理局の闇が浮き彫りになって以来、市民達の管理局への支持率は大幅な下落を見せていた。
清廉潔白を謳いながら、裏で人道に反した行為を繰り返していたのだ。それも無理はない。
何より、各次元世界とのやり取りすらままならない現状では、時空管理局という組織そのものの存続が不可能であった。
故に伝説の三提督や穏健派の管理局重役、レジスタンスの主要幹部は議論を重ね、管理局に代わる新たな組織を作り出すことにした。
それが、時空共和機構である。
隔たれた次元の壁を超え、共に平和を築いていく組織。
その暫定代表となったのが、ミゼット元本局統幕議長である。

310 UNDERDOGS 最終話3 :2009/06/21(日) 02:33:11 ID:zEnqvQLg
「無事に終わったか」

ビルの上から演説を見守っていたユーノは、撤収を始めたミゼット達を見て何気なく呟いた。
彼女は市民と同じ立場に立って言葉を伝えたいという思いから、敢えて瓦礫で囲まれた一角を会場に選んだ。
そのため、ユーノは旧管理局勢力に反感を抱く者達の暴動を警戒していたのだ。

「彼女はあくまで暫定代表。組織が軌道に乗ったら、正式に選挙を行って初代代表を決めるそうだ」

いつもの防護服ではなく、私服にサングラスという出で立ちのクロノが傍らの親友に囁く。

「僕達がやらなきゃいけないことは、後に続く人達の下地造りか。質量兵器の条件付き廃止に
戦闘機人システムの安全化、廃人になった機人達の治療、法制度の改正に各次元世界との交渉、
後進の育成と治安維持。何より、共和機構が管理局とは違うというところをハッキリと示さなきゃならない。
やらなきゃいけないことは多いね」

共和機構はかつての管理局のように質量兵器の根絶を目指すのではなく、武力利用の禁止を掲げていた。
一度放てば恐ろしい破壊力を生み出す質量兵器ではあるが、瓦礫の除去や工作に関しては有効であり、
魔法に代わる主力として大量破壊兵器を配備している世界も存在する。
実弾デバイスと同じく、ある程度は規制を緩めなければ各世界の賛同は得られないと考えた故の判断だ。
機人化技術に関しては、システム基幹部に位置するコンシデレーション・コンソールを取り外しての
起動が成功するまでは封印されることとなった。最も、その研究自体が人道に反するため、
実用化されることはまずあり得ないというのがマリエルの推論だ。
結果、共和機構の戦力は3年前と同じく人的資源に依存する形となり、
その中核を元レジスタンスと聖王教会騎士団が占めることとなった。

「機人化技術を手土産に野に下った技術者や、共和機構に賛同しなかった反抗勢力も多い。
何より、復興のための資源を奪い合って他所の世界が戦争している始末だ。
荒事は僕達の仕事だな。最も、犯罪者が正規部隊に組み込まれることはないだろうけど」

自嘲するように呟いたクロノは、照りつける陽光を眩しそうに手で遮ると、
反転して足下の影へと視線を落とす。
彼らがゆりかごを堕とし、スカリエッティを討ち取ったことを民衆は知らない。
伝説の三提督や旧管理局穏健派は限りなく黒に近いグレーゾーンという形で市民に受け入れられているが、
過激な行動を取り続けたクラウディアの面々が表舞台に立つようなことがあれば、不満を露にする者が現れるかもしれないからだ。
だから、クロノとフェイトは表向き共和機構には加わらず、正規部隊が動けない状況に備えた切り札として闇に潜むらしい。
アースラは記録の上では既に存在しない艦であるため、潜伏するにはもってこいだ。
一方、裏方として表に出なかったユーノやヴェロッサは、オーリス達と共に共和機構へと参加し、
組織の運営に携わることとなった。皮肉にもスカリエッティの研究や旧管理局の侵略行為による略奪によって得た
情報が無限書庫に加えられたため、その整理と検索のためにユーノは重宝されているらしい。
司書の中には、伝説の司書長が帰って来たと噂する者までいるようだ。

「そろそろ行かないと。アースラでフェイト達が待っている」

「待って。本当に行くのかい? エイミィや子ども達は? もう会わないつもりかい?」

「僕の罪は消えない。こんな手で妻や子ども達を抱き締められる訳がないだろう。
それに、いつまでも仲間面しない方が良い。案外、次は敵同士かもな」

「冗談でもそんなことは口にしない方が良い。その時は、僕が引っ叩いてでも頭を冷やさせるさ」

「やってみろよ、フェレットもどき」

「ああ、やってやるさ。友達だからな」

311 UNDERDOGS 最終話④ :2009/06/21(日) 02:33:47 ID:zEnqvQLg
視線を交わらせずに拳を合わせ、2人はその場を後にする。
クロノは光の届かぬ次元の闇へ。
ユーノは闇に浮かぶ智慧の宝庫へ。
抜けるような青空が、去っていく2人を静かに見守っていた。





手狭になったオフィスを見回し、グリフィスは自嘲するように笑みを浮かべた。
かつては中将にまで上り詰めた男も、今では一介の共和機構構成員に過ぎない。
たくさんの部下も絶大な権力も失い、与えられたのは朽ちかけた2階建てビルと1人の秘書、
そして少数の武装隊だけだ。
そこにかつての栄華は見る影もなかったが、グリフィスに後悔はなかった。
寧ろ、再スタートには相応しい待遇だと思っていた。
彼の実力を考えれば、共和機構の中核を成してもおかしくはない。
事実、共和機構設立の際は三提督やオーリスと同じく幹部として組織の運営に関わって欲しいと要請された。
だが、グリフィスはそれを断り、壊滅した辺境世界の旧管理局支部を立て直す役割を買って出た。
理由はどうあれ、自分は多くの人々を傷つけた。大義を掲げて己の正義を見失った。
いったいどうすれば、償うことができるのかわからない。
だから、グリフィスはもう一度、ゼロから始めることにしたのだ。
権力を持たず、一支部の支部長として、そこに住む人々の生活を見守りながら、力と正義について考え直すために。
ただ、1つだけ気がかりがあるとすれば、共にこの世界へとやって来た秘書官のことであった。

「本当に良かったのかい、ルキノ? 僕なんかと一緒に来て?」

「うん。私は、グリフィスと一緒に歩こうって決めたから」

少しだけため息交じりに、ルキノは答える。
ミッドチルダからここに来るまでの数時間、グリフィスは延々と同じ質問を繰り返していたのだ。

「約束したでしょ、一緒に償う方法を探そうって。あなたがここから始めるのなら、私も一緒。
あなたの隣が私のいるべき場所なの」

「ルキノ………………ありがとう」

ずれた眼鏡の角度を直し、グリフィスは立てつけの悪い窓を開く。
長らく放置されていたためか、建物の至る所にガタがきており、床には砂埃が堆積している。
だが、2階の窓からは人々の営みを見下ろすことができ、暖かい陽光が自分達を包み込むように照りつけている。
この景色を目に焼き付けておけば、きっと自分は答えを見つけることができるであろう。
何が市民のためとなるのか、どうすれば公共の正義を貫けるのか。
この街で、必ず答えを見つけてみせる。
しかし、その前にやらねばならないことがあった。

「とりあえず……………」

「まずは掃除からだね」

咳き込みながら、2人は箒と雑巾を手に取った。
2人の旅立ちは、まだ始まったばかりである。





戦闘機人の暴走によって、次元世界の各都市は壊滅的な打撃を受けた。
ライフラインは断たれ、都市機能は麻痺し、道路には破壊されたビルの瓦礫が転がっている。
何しろ、全ての陸士隊に配備されていた戦闘機人が同時に暴れ出したのだ。戦場は世界全域に及び、
各隊の魔導師達は寸断された指揮系統が立て直されるまで、場当たり的な対処を余儀なくされた。
中には、共同戦線を取るはずのレジスタンスと反目し、同士討ちするケースもあったようだ。
結果として甚大な被害がもたらされ、半年が経った今でも復興は進んでいない。
ミッドチルダもその例外ではなく、科学を謳歌した首都クラナガンも今では瓦礫に囲まれた廃墟の1つである。
だが、それでも人々は、懸命に今を生きている。
そこが故郷だから、自らが住まう土地だからと己を鼓舞し、暗く冷たい夜に震えながら朝日が射すのを待っている。
そんなクラナガンの一角に、小さな運送会社があった。

312 UNDERDOGS 最終話⑤ :2009/06/21(日) 02:34:42 ID:zEnqvQLg
「はい、安心と信頼がモットーのN2Rデリバリーサービスです。はい…………明日の正午までですか? 
はい、可能です。それで荷物は……………はい、わかりました。お昼過ぎにこちらから伺いします。
はい、ありがとうございます」

用件をメモに書き写すと、恭しく一礼してから受話器を元の位置に戻す。
自分でも慣れてきたなと、オットーは唇の端を吊り上げた。
ゆりかごでの戦いを終え、破損した体の修理を終えたオットーとディードは、
かねてからの願いであった自由な生活を送るためにアースラを後にした。
もちろん、3年間も苦楽を共にした仲間と別れることは心苦しかったが、
それ以上に地に足をつけて暮らしたいという思いの方が強かった。
戦いとは無縁の、平和で穏やかな生活。
戦うために生み出された自分達が、誰も傷つけない生き方を示すことが、
戦いの中で散っていった姉妹達への手向けになると2人は信じていた。
そして、クロノ・ハラオウンから幾ばくかの生活資金を受け取り、もしもの時は力を貸す約束を交わした後、
2人は倒壊寸前の廃ビルを買い取って運送会社を設立したのである。
最初はトラブルの連続だった。
抑揚のない喋り方や世間知らずなせいで客を怒らせてしまったことは一度や二度ではないし、
積み荷を強盗に奪われそうになったこともあった。勢い余って機人の力を振るいかけたことも何度かある。
だが、その度に2人は姉妹の絆を支えに互いを励まし合い、逆境を乗り越えてきた。
やがて、共和機構に参加するヴェロッサの近くにいたいがためにアースラを降りたセインや、
思うところあってクラナガンにやって来たノーヴェも加わり、会社の運営も少しずつ軌道に乗り始めていった。

「ただいま、オットー」

蝶番の壊れた扉が軋みながら開き、ライダースーツに身を包んだディードが配達から戻ってくる。
そして、客から貰った配達代を背負っていた鞄から取り出すと、オットーが座る机の上へと投げ置いた。

「おかえり、ディード。どう、慣れてきた?」

「ええ。お得意様もできてきたし、バイクの運転がこんなに楽しいなんて思わなかった」

「それは良かった。実は、大口の注文が1件入ったんだ。昼過ぎくらいに行ってもらえるかな?」

「了解、オットー」

「それと、シャワーを直しておいたから浴びると良いよ。お湯はでないけどね」

「ありがとう、それだけで十分よ」

疲労の混じった息を漏らしながら、ディードは窮屈なライダースーツのジッパーを下して、
蒸れた素肌に風を送り込む。その時、プライベートルームへと繋がる扉が勢いよく開き、
携帯電話を手にしたセインが満面の笑顔でオフィスへと駆け込んできた。

「ねえねえ、ロッサが今度、目の手術を受けるんだって。上手くいけば視力が戻るかもしれないって!」

室内を飛び跳ねながら、セインは全身で喜びを表現する。
彼を傷つけてしまったことに負い目を感じ、ずっと世話をしてきたセインにとって、
ヴェロッサの視力の回復はとても喜ばしいことであった。
最も、伝票の整理を始めていたオットーは内心、気が散るから静かにして欲しいなと思っていた。

「頭の病気だったから、クローン治療ってできないでしょ。凄く難しい手術らしいんだけど、
お医者さんも見つかって。ああ、良かった。これでロッサにちゃんとあたしを見てもらえる」

「良かったですね、セイン姉様」

「ありがとう、ディード。ロッサの実家の方もゴタゴタが落ち着いてきたみたいだし、
やってうまく回ってきたって感じだよ」

「実家…………聖王教会ですか?」

「うん。陛下のこともあって、信者の人達と教会でかなり揉めていたでしょ。
けど、騎士カリムがうまくやってくれてさ。何とか持ち直したみたいなんだ」

「ああ、『聖王の人間宣言』だね」

313 UNDERDOGS 最終話⑥ :2009/06/21(日) 02:35:28 ID:zEnqvQLg
ゆりかご戦の後、今まで聖王として崇めてきたヴィヴィオの是非を巡って教会内で激しい論争が繰り広げられた。
ヴィヴィオを聖王として肯定する者、否定する者、権威の失墜を恐れる者、信者達の信頼を取り戻そうとする者。
様々な思惑が交錯し、やがてその矛先は公の場で聖王を否定したカリムへと向けられた。
だが、カリムは臆することなく会見の場を設けると、そこで聖王がスカリエッティによって生み出されたクローンであり、
彼女もまた悪漢の被害者であったことを涙ながらに訴えた。
これが、後の世に残る『聖王の人間宣言』である。
確かに聖王教会は、古代ベルカの聖王を神と崇めている。だが、半年前まで聖王として君臨していたヴィヴィオは、
聖王である前に1人の人間であり、スカリエッティによって人生を狂わされた被害者であることを強調し、
教会もまた騙されていたのだと訴えかけたのだ。
無論、その発表を巡って波乱も起きたが、信者達は亡くなられたヴィヴィオに対して深く同情し、
教会を攻撃することはなかった。こうして、聖王教会の権威の失墜だけは免れたのである。
現在は、損なわれたイメージを回復するために、率先して治安維持活動に励んでいるらしい。
共和機構への協力もその一環なのだ。

「教会か…………ディエチ、元気にしているかな?」

フェイトに敗れ、ゆりかごより連れ出されたディエチは、聖王教会へと身を寄せていた。
守ると心に決めていた聖王を失い、一時は食事も取らぬほど塞ぎこんでいたようだが、
今では信仰に生きる糧を見出し、シスターとして奉仕活動に精を出しているようだ。

「ディエチ姉様、ドクターのことで何か知っていたのかもしれません」

「ディエチが?」

「ノーヴェ姉様がそう言っていました。意味深な発言が多かったと」

「気づいていたのかもしれない。ドクターが何を目指して、何をしたかったのかを」

彼女がそれを語ることはないだろう。
無論、知りたくもなかった。そんなことよりも、今の生活の方がもっと大切だ。

「それじゃ、今からロッサのお見舞いに行くから、今日は早退ってことで」

暗くなった空気を誤魔化すように手を叩き、セインは鮮やかにその場を後にする。
まるで嵐のように飛び出していった姉を呼び止めることもできず、
2人は呆気に取られながら互いの顔を見やることしかできなかった。

「姉様……………」

「今日もサボりと…………今月は4割引かな」

入社以来、ずっと記録し続けている出勤表にセインが早退した旨を書き記したオットーは、
ズラリと並ぶ欠勤と早退のマークを見て苦笑する。

「ああ、そう言えばノーヴェ姉様は? 今日は朝から見かけないけれど?」

「ノーヴェは休みだよ。何でも、探していた人が見つかったらしい」

「それって………………」

「わからないけど、きっとチンク姉様関係だと思うよ。ノーヴェがあんなに真剣になるのは、
あの人かスバルのことくらいだ」

呟きながら、オットーは出勤表を閉じて伝票の整理を再開する。
きっと、自分達が踏み込むの許されない話なのだろう。
ディードもそれを察したのか、小さく頷いて別室へと消えていった。





ようやく見つけた彼女の家は、それほど大きくないアパートの一室であった。
幸いにもこの付近は戦場にならなかったのか、外壁にいくつか亀裂が入っていることを除けば、
アパートの被害はほとんどなかった。だからなのか、この辺は復興も進んでおり、通りには商店なども見られる。
自分達が暮らしている区画と比べると雲泥の差だ。

314 UNDERDOGS 最終話⑦ :2009/06/21(日) 02:36:09 ID:zEnqvQLg
「女の子の1人暮らしか。治安が良かったのは救いだったろうな」

見上げた表札には、『グランセニック』と記されていた。
ここに住んでいるのは、チンクと共に爆死したヴァイス・グランセニックの妹だ。
ノーヴェがアースラを降りてクラナガンへとやって来たのは、彼女に兄の死を知らせるためであった。

「まだ、信じているんだよな」

聞いた話では、ヴァイスの妹は今でも兄の帰りを待ち続けているらしい。
3年前に行方不明となった兄の生存を信じ、この小さな部屋でずっと待ち続けているのだ。
自分はこれから、彼女の僅かな希望を打ち砕かねばならない。
残酷に、無慈悲に、最愛の兄の死亡を突きつけねばならない。
どこまで話せるのかはわからない。
兄を殺した者と関係のある自分を、彼女は憎むかもしれない。
それでも自分は、告げねばならない。過去に囚われた者に現実を突きつけ、明日へを目を向けるために。
それが、生き残った自分に課せられた役目なのだから。

「チンク姉、良いよな?」

緊張で汗ばむ手を拭い、ノーヴェはゆっくりとインターホンに指を押し付ける。
程なくして、年若い少女が姿を現した。





一時は消滅も危ぶまれたザフィーラではあったが、シャマルの懸命な治療の甲斐もあり、
何とか一命を取り留めることができた。現在は状態も安定しており、アースラ内の医務室に入院しつつ、
1日でも早い復帰を目指してリハビリの日々を送っている。

「けれど、本当に心配したんだよ。2ヶ月前まで意識不明だったんだから」

世話役として医務室に常駐しているアルフが、器用にリンゴの皮を剥きながら言う。
少し離れたところには、部屋の主であるシャマルと見舞いに訪れたリインがいたが、
2人に気を利かせて話しかけてくることはなかった。

「あんた、陰でこっそり無茶なリハビリとかしていないだろうね? 無理は体に悪いんだよ」

「わかっている。折角、生き残れた身だ。そうそう無駄には使わんさ」

切り分けられたリンゴを口へと頬張り、咀嚼し終えた後にザフィーラは返答する。
素知らぬ振りをしているが、実際にはまだ歩くのもやっとな状態であるため、
アルフが言うような無茶ができない状態だ。もう少しだけ回復したら、
少しリハビリのプログラムを前倒ししてもらうつもりでいるのは秘密だが。

「けど、これからどうなるんだろうね? みんな、いなくなっちゃってさ」

「去る者もいれば残る者もいる。奴らには奴らの、我らには我らの生きる道がある。
何より、ここで諦めては涅槃であいつらに合わす顔がないからな。
例え冥府魔道を歩むことになろうと、成さねばならぬことがある。
ならば、後はその運命に従うまでだ」

「運命ね。嫌な響きだ」

「自分の手で切り開くか?」

「そういうもんじゃないのかい?」

「確かにその一面もある。だが、運命は常に我らに痛みを求める。
抗おうとすれば苦難が待ち受け、沈黙すれば終わりのない暗闇へと堕とされる。
一生の中で、正しい行いが光を掴むことは稀だ。だが、それでも人は光を求めてしまう。
その眩い輝きに目を奪われ、心の底から成したいと思った行いを成そうとする。
その果てに目的を見誤り、謝った選択をすることもある。彼らは気づいていない。
その輝きがどこから発せられているのかを。目の前にある光が、何から反射されたものなのかを」

「運命は、常に自分の中にあると言いたいの?」

今まで沈黙を守っていたシャマルが、不意に言葉を挟む。

315 UNDERDOGS 最終話⑧ :2009/06/21(日) 02:36:59 ID:zEnqvQLg
「人は生まれも境遇も選べない。けれど、どう生きるかは選ぶことができる。
誰もが掴みたいと思っている光……………胸に宿った彗星のような光は、
正しい行いをした者にだけ掴むことができる」

「何を成すかじゃなくて、どう生きるか?」

「真実から出た真の行動は、決して滅びはしない。例え定められた運命でも、
何かを掴むことができたのなら、それは勝利に違いない」

「なら……………シグナムとアギトは、運命に勝ったんですか?」

リインの問いに、ザフィーラは静かに頭を振る。

「大義のためとはいえ、我らは手段を履き違えた。救うべき命を死なせ、
償いきれぬ罪を負った。我らは勝利者ではなく敗残者、名の通りの負け犬だ。
だが………………それでも、この胸に残ったものがあるのなら、それは前に進ませなければならない。
過去から託されたものは、未来へと……………違うか、“祝福の風”?」

「わからないです。けど……………私達はみんなのおかげでここにいるです。
色んな人がリイン達を守ってくれて、色んな人の思いがこの胸の中に詰まっています。
はやてちゃんも、シグナムも、アギトも……………だから、リインはまだ頑張れます」

決意の込められたリインの言葉に、他の3人も力強く頷き返した。
例え自分達の逝きつく果てが運命で定められているとしても、その結果に甘んじる訳にはいかない。
持てる力の全てを出し尽くして、その運命に抗って光を掴む。
その時こそ、幾千年と続いたヴォルケンリッターの戦いは、漸く終わるのだから。





僅かに光を取り戻した右目の具合を確かめるように、ティアナは瞼を開閉させた。
失明してから3年、根気よく治療し続けた甲斐もあり、ようやく失われた視力が戻ってきたのだ。
今はまだシルエットくらいしか判別できないが、治療を続ければそう遠くない内に元の視力を取り戻せるらしい。
そうなれば、またクロスミラージュを手にして前線に立つことができる。
多くの仲間が抜けた今、戦力を遊ばせておく余裕などないのだから。

「ティアナ、どうしたの?」

「あ、フェイトさん。ええ、少し気分転換を。フェイトさんは?」

「同じかな。やっと体も動くようになってきたし、リハビリを兼ねてね」

そう言って、フェイトは唇の端を吊り上げる。
少し痩せたな、とティアナは思った。
理知的な風貌はそのままだが、頬が少しばかり扱けていて目元に隈もできている。
それは決して、体の不調だけが原因ではなかった。精神的な疲労が彼女の体に表れているのだ。

(無理もないか、あんなことがあったんじゃ)

シャマルが組んでくれたプログラムもきちんとこなしているし、休息や栄養補給も十分に取っている。
医学的に見ても、彼女が体調を崩す要因はどこにも見られない。
それでもフェイトはの顔はやつれ、瞳からは活力と呼べるものが失われていた。
自分が最も大切にしていたものを、自らの手で傷つけてしまったからだ。

「フェイトさん、その……………」

「…………良いの。これで………これで良かったんだよ」

フェイトは力なく微笑み、ティアナの頭に枯れ木のような手をそっと乗せる。

316 UNDERDOGS 最終話⑨ :2009/06/21(日) 02:37:31 ID:zEnqvQLg
「私はあの子を守れなかった。だったら、側に置いておいても仕方ないでしょ。
手放さなきゃ、守れないものもあるんだ」

「あいつ、凄く傷ついてました。あなたに捨てられたって……………泣いていたんですよ」

「わかっている…………けど、守れないんだ。私じゃ、あの子を守ってあげられない。
側にいたら甘えちゃう。きっとまた、あの子が傷ついちゃう。私が…………私が弱いから」

微笑みが消え、いつしか涙がフェイトの頬を伝う。
かける言葉が見つからなかった。
半端な慰めなどできるはずもない。
自分はいつだって奪われる側で、大切なものを自ら手放したことはなかった。
だから、彼女の辛さをわかってあげることもできない。
その気持ちを分かち合うことができない。

(スバル…………あたし、どうしたら良いんだろう?)

もういない親友への問いが返ってくることはない。
今の彼女にできることは、泣き崩れるフェイトを抱き締め、気持ちが落ち着くのを待つことだけであった。





授業終了のチャイムが鳴り響き、教室の中が俄かに騒がしくなる。
退屈な授業から解放されたクラスメイト達は机の上に突っ伏したり、隣の席の友人と談笑したりしながら、
ホームルームまでの束の間の自由を満喫する。
その中には、聖祥大付属中学校の制服に身を包んだルーテシアの姿もあった。

「ルーテシアちゃん、学校にはもう慣れた?」

「うん…………みんなよくしてくれるし、だいぶ慣れてきたかな」

転入以来、親しくしてくれている少女にルーテシアは微笑み返す。
過酷な戦場にいた頃には見せたことのない、年相応の少女としての笑顔だ。
戦いから遠ざかり、平和で穏やかな第97管理世界で暮らす内に、ルーテシアは本来の優しく感情豊かな性格を取り戻しつつあった。
この世界に来て以来、ルーテシアはたくさんの幸福を手に入れることができた。
居候先のエイミィ夫人はとてもよくしてくれるし、その子ども達も良い子ばかりだ。
こうして学校にも通わせてくれているし、そこで多くの友達もできた。
初めて体験する学校の授業はどれも新鮮で、気がつくと微笑んでいる自分がいることに気がついた。
それでも、1つだけ気がかりなことがある。
それは、エリオのことだ。

「ごめん、先に帰っていて」

担任がホームルームを終え、帰宅の準備を済ませると、ルーテシアはすまなそうに友人達に頭を下げる。
すると、彼女達も心得ているとばかりに頷くと、ルーテシアを振り返らせてポンと背中を後押しする。

「わかっているって。また、あの人のところに行くんでしょ」

「屋上で黄昏る少年と彼を想う少女の恋。ああ、何てロマンチック」

「べ、別にそんなのじゃないよ。私は……………ただ……………」

「はいはい、わかっているって。さ、行っておいで」

「本当にわかっているのかな?」

小首を傾げながら、ルーテシアは友人達と別れて屋上へと向かった。
この学校の屋上は立ち入り禁止になっているが、鍵が壊れたまま放置されているので容易に侵入することができる。
だが、大半の生徒が真面目なためか屋上に侵入する者は皆無であり、教員が見回りに来ることも稀であった。
そのせいか、ここに居座るようになった転入生の存在は学校中に知れ渡っていた。

317 UNDERDOGS 最終話⑩ :2009/06/21(日) 02:38:24 ID:zEnqvQLg
「エリオ………………」

「………………何だ、君か。授業は終わったの?」

貯水タンクに背中を預け、街並みを見下ろしていたエリオが振り向かずに聞いてきた。
彼もまた付属中学の制服を着ていたが、ワイシャツと上着は着崩されており、ネクタイは締められていない。
燃えるような赤い髪は伸ばし放題で手入れはされておらず、あの紳士然としたエリオからは
想像もできないほどだらしのない格好となっていた。

「終わったのなら帰れよ………………僕のことなんか、放っておいてくれ」

「……………帰ろう、エリオ」

「…………どこに? 僕に帰る家なんて…………どこにもないだろう!」

擦り切れるような声で、エリオは怒鳴り散らす。
彼の心は荒んでおり、かつての高い志は見る影もない。
無理もなかった。母親同然に慕っていた女性から拒絶され、捨てられたの同然の状態でこの世界にやって来たのだから。
ルーテシアは、今でもその時の光景を忘れることができなかった。

『どうして、どうしてここにいちゃダメなんですか!? まだ僕は戦えます。リンカーコアだって、きっと治します。
もっと体を鍛えて、槍の腕を磨いて、今度こそ…………今度こそみんなを守ります。だから………だから、フェイトさん!」

『ちゃんと言葉にしなきゃわからない? なら言ってあげる。役立たずはもういらないの。
才能があったから贔屓にしてあげたけど、今の君はその辺にいる人間と同じ。
魔法の使えないゴミ屑以下の存在なの。わかる? 私があなたに望んだのは戦う力だけ。
戦力として使える手駒が欲しかっただけなの』

『嘘だ! だって、フェイトさんは…………フェイトさんは僕に…………気持ちを分かち合いたいって、
僕のことを……………だから僕は、僕は………………』

『…………消えて。私の前から、今すぐに。この……………成り損ない』

『……………!』

『消えなさい、出来損いのエリオ・モンディアル。あなたの居場所はここにはない』

『嘘だ………フェイトさん、嘘ですよね? ねえ、フェイトさん! 嫌だ、ここに居させて、
あなたの側に………嫌だ、フェイトさん、お願いです! フェイトさん、フェイト……かあさ…………』

そうして、自分達はこの世界へと強制的に送りだされた。
手筈は全て整えられていた。
社会的な保障が受けられるように戸籍が捏造されており、ギル・グレアムというイギリス人が後見人となっていた。
衣食住の面倒を見てくれているエイミィ夫人にも十分な額の養育費が支払われており、
転入の手続きも済まされていた。
ここは箱庭だ。
自分達を閉じ込め、安らかに生かすための。
自分達は多くの罪を重ねてきたにも関わらず、この世界の人々は誰も自分達を責めようとはしなかった。
人殺しと憎むことも、犯罪者と罵ることも、落伍者と蔑む者もいない。
誰もが優しく温かな温もりを与えてくれた。
だから、余計に心が痛かった。
自分達は確かに罪を犯した。だが、罰がどこにも存在しない。
罰せられなければ罪の意識から解放されることもない。
自分はまだ良かった。エリオという償うべき相手がいる。
彼に拒絶され、憎まれることでその苦しみから逃れることができた。
だが、エリオには償える相手がいない。
一番に償わねばならない相手は側におらず、他の者も彼を罰することはなかった。
高町の人間も、最愛の娘が死ぬ要因となった魔法の関係者である自分達を許すと言った。
その優しさが、繊細なエリオの心を益々傷つけていった。
いつしかエリオの心は砕け散り、生活は荒んでいった。形だけとはいえ出席していた授業もサボるようになり、
冷たく突き放すような言動も多くなった。
どれだけ心地の良い温もりに包まれていても、彼は孤独なのだ。
実の両親に見捨てられ、育ての親からも見限られる辛さは、自分には到底理解することはできない。
どんなに慰めたいと思っても、今の生活に幸福を感じている自分では、彼の支えになることができないのだ。

318 UNDERDOGS 最終話⑪ :2009/06/21(日) 02:39:31 ID:zEnqvQLg
「僕は…………僕は、何でこんなところにいるんだ? フェイトさん、キャロ…………僕は、
どうして2人と一緒に居られないの…………………誰か…………答えて………………」

「エリオ………………」

「君のせいだ……………君さえいなければ…………何で、何で僕の隣にいるのが君なんだ!」

「……………良いよ」

貯水タンクによじ登り、エリオの隣に腰かけたルーテシアは、彼の手をそっと自分の首に宛がった。

「憎いのなら、殺して……………ずっと、君に殺されたいって思っていたから」

恐れも躊躇もなく、ルーテシアは己の命を差し出した。
白いうなじを掴むエリオの手が強張り、僅かに力が入って指先が皮膚へと食い込む。
だが、エリオはそれ以上は力を込めず、虚無を湛えた瞳で見下しながら囁いた。

「ふざけるな…………僕から全てを奪っておいて、その上に死ぬなんて許さない。
側にいろ…………ずっと、ずっと。君に許しなんて与えない。この僕が、絶対に」

「うん………………ずっと、側にいるから」

再び虚空を見上げたエリオの目に、眩しい夕日の輝きが降り注ぐ。
彼の心が救われる日が訪れるかは、誰にもわからない。





「ありがとう、魔法使いのお姉ちゃん」

瓦礫の中から助け出した女の子が、手を振りながら去っていく。
彼女が向かった先には、彼女の両親と思われる男女が手を振っていた。
ここからではよく見えないが、立ち姿は何となく自分の父親に似ている気がする。

「行こうか、相棒」

《………All right》

少しだけ反応の鈍った相棒の返答を待ち、スバルは傷だらけの体を引きずるようにその場を後にする。
自分がどうして生きているのか、今でも不思議だった。あの時、自分は確かにゆりかごの爆発に巻き込まれたはずだ。
燃え盛る炎と爆風に体が飲み込まれ、意識が途切れる瞬間までハッキリと覚えている。
だが、次に自分が目覚めた場所は、天国ではなくミッドチルダの辺境であった。
どうしてそんなところに倒れていたのかはわからないが、意識が途切れる寸前、温かい虹色の光に包まれた気がする。
満身創痍の状態で脱出できるはずもないので、奇跡としか言いようがなかった。

《………相棒………少し、お疲れのようです…………休んでは、如何ですか?》

「大丈夫…………はあ………はぁ…………ごめん、やっぱり休むよ」

《…………管理局は逃げません。少し休みましょう》

手近な瓦礫に座り込み、眼前に広がる蒼と白を何気なく見つめる。
スバルは今、ヴォルツとの約束を果たすために港湾警備隊の隊舎を目指していた。
スカリエッティを倒し、戦いを終えたら罪を償うために自首をするためだ。
自分の手でスカリエッティを捕まえることはできなかったが、最後の約束だけは何が何でも果たさねばならない。

319 UNDERDOGS 最終話⑫ :2009/06/21(日) 02:40:23 ID:zEnqvQLg
「ねえ、さっきの子は…………大丈夫かな?」

《………ええ、元気に駆けていました。あなたが救った命です》

「そっか……………あたし、やっと人助けができたんだ」

スバルが瓦礫に埋もれた彼女の近くを通りかかったのは、全くの偶然であった。
いったいどのような経緯があったのかはわからないが、彼女は半日近く倒壊した家屋に閉じ込められていたらしい。
自力で抜け出すこともできず、寒さと暗闇に震えるしかない孤独感に苛まれながら、彼女は必死で助けを求めていた。
その声が、スバルの耳へと届いたのだ。

「ねえ、マッハキャリバー。きっと、これからはもっとたくさんの命を救えるよ。
辛い目にあっている人達を、あたし達のてで助けられるんだ。凄く大変かもしれないけど、
あたしたちならできる。そうだよね?」

《…………はい。あなたと私ならばできます。私達は………》

「最高の、バディだからね」

弱々しく微笑んだスバルの横顔に、心地よい潮風が吹きつける。
心が洗われるかのような感覚にため息が漏れ、視界の眩しさに思わず瞼を細める。

「それにしても、眩しいね。凄く綺麗な空だ………………」

《はい………相棒の…………あなたの空です》

「あたしの………空……………眩しいな。凄く白くて………よく見えないや…………イクス、見ている? 
これがイクスの大好きな空と…………海だよ…………………………………………」

呟き、スバルの右手が重力に引かれて真下を向く。
それっきり、スバルは一言も喋ることはなかった。

《…………相棒?》

マッハキャリバーの呼びかけが、潮騒の音にかき消される。
聞こえていないのか、スバルは返事をしなかった。
ただ、風と波の音だけが彼女達を包み込んでいる。

320 UNDERDOGS 最終話⑬ :2009/06/21(日) 02:41:11 ID:zEnqvQLg
《眠っているのですね、相棒。お休みなさい……………私は、ずっとあなたと一緒です。
私の………………大切な相棒………………スバル…………………》





小さい頃は、本当に弱くて泣き虫で、悲しいことや辛いことにいつもうずくまって、ただ泣くことしかできなかった。
あの時もそうだった。暗い世界に閉じ込められて、自分ではどうすることもできなくて、泣き叫ぶことしかできなかった。
怖いよ、寒いよと。
けれど、みんな生きるのに必死で、手を差し伸べてくれる者は誰もいなかった。
いつしか声は枯れ、壊れた笛のような音しか吐き出せなくなった。
空腹と圧迫感で心は擦り減り、暗闇とネズミの鳴き声がいっそう絶望を掻き立てる。
抗いようのない理不尽に、心は今にも押し潰されそうになつていた。
その時だ。1人の魔法使いが、そっと手を差し伸べてくれたのは。
彼女は全身が血だらけで、ほとんど裸に等しい姿であった。
事故にでもあったのか、左腕は無残にも千切れており、左目も潰れて眼球がない。
しかも傷口からは機械の部品がはみ出ていて、何とも不気味な容貌であった。
そんな、端から見れば化け物でしかない姿ではあったが、彼女は優しく励ましの言葉を囁くと、
傷ついた体で魔法を使い、瓦礫の中から自分を助け出してくれた。
連れ出してもらった世界は広く、潮風は冷たくも優しく、抱きしめてくれた腕はとても温かい。
助けてくれた魔法使いは強くて優しくて格好良くて、泣いてばかりで何もできな自分がとても情けなかった。
だから、生まれて初めて心から思った。
泣いているだけなのも、何もできないのも嫌だと。

「強くなるんだって」

それが、あの蒼い魔法使いとの思い出に誓った、少女の夢であった。








                                                                   END

321 B・A :2009/06/21(日) 02:42:19 ID:zEnqvQLg
以上です。


それで、負け犬なのは誰だい?

「生き残った奴は誰だ?」の方が好きなんですが、趣旨が微妙に違うので。
善悪逆転の世界ってのに興味が湧いて書き始めたこの長編。
実は「ルーテシアの騎士」の没シナリオが使われてたりします。
エリオが優しい世界で自責の念に苛まれ続けるところとか。
生きてたら良いことあるさって言葉はどこまで通用するんでしょうね?
逆にスバルは眠れる奴隷でした。

ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
たくさん死なせちゃって、本当にすみません。
折を見つけて何かハッピーなSSとか考えるつもりですが、
何故か頭に浮かんだのは凌辱SSという歪みっぷり。
そうか、これが人妻の魅力かw

322 B・A :2009/06/21(日) 02:49:34 ID:zEnqvQLg
しまった、大事な人を1人忘れていた。

>>315
>はやてちゃんも、シグナムも、アギトも ×
>はやてちゃんも、ヴィータちゃんも、シグナムも、アギトも ○

忘れちゃ駄目だよ、この子のことは。
司書の方、保管の際は訂正をお願いします。

323 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 03:17:44 ID:xtFTHh8I
感無量。
GJなんて言葉じゃこの感動は表現しきれない。なんの言葉も出ない。
ただただ、この作品に誰よりも早く感想が書けたことを光栄に思います。

324 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 05:46:03 ID:qixVzcMY
>>322
お疲れ様でした!
すごい大作ですね
この続きが待ち遠しくてここに通ってたぐらい

最終回の登場キャラはどれもいい味出してたけど
ザフィーラがタイトルに相応しくおいしいところ持っていってますね
エリオの荒みが気になるけど、愛の鞭で引導を渡したフェイトも新鮮
すごくおもしろかったです!

325 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 10:09:15 ID:KJz99x6Q
完結おめでとうございます。

……あー。また嫉妬対象の作品が増えちゃったな……

326 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 10:34:07 ID:6mZvuzcQ
>>321
GJ!!・・・・・
そして完結おめでとうございます。
フェイトとエリオが可哀そうで仕方がありません。
お互いに大切に思っていたはずなのに、離れ離れになって思いはコワレタまま…
それでもいつかルーさえ傍にいればきっと元の彼に戻ると信じてます。

・・・・・ですので後日談の救われた話もいつの日か・・・

327 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 11:13:54 ID:cSCRaSrA
>>321
GJ!
完結おめでとうございます。
記憶を受け継がないスカ、再建への道遙かなり管理局、闇に隠れるアースラクルー、辺境の「グリフィス、
拠るべきものを失ったフェイト、荒むエリオ、機能停止したスバル、
それぞれが、ある意味で負けていて、マイナスからの再出発できる者もいれば、このまま再起不能になる
かもしれない者もいる。ラストはまさに負け犬たちの明日はどっちだという内容に感動しました。

328 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 13:12:44 ID:jAElGheI
GJ!!です。
完結おめでとうございます。
エリオの最後を読んでいて悲しくなった。周囲が望む幸せを押し付けられた感じ。
その為に許される。それじゃあ、戦ってきたエリオに失礼な気がするぜ。
そして、フェイトもやりたくはなかったとはいえ、プレシアと同じ行為をすることに。

329 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 14:30:53 ID:rKovxMdU
>>321
GJ! 無事完結お慶び申し上げます!
UNDERDOGS には長らく楽しませて頂きましたので、完結してしまって寂しい気すらします。
沢山のキャラ達の群像劇を楽しませて頂きましたが、ほんの少しだけ個人的な不満点を申し上げますと、
キャラ達が皆深く掘り下げられ、退場の時には皆それぞれ一花咲かせて見事に散っていく。
その場面場面はとても素晴らしいのですが、それが繰り返されすぎて、物語の本筋の部分が少しぼやけてしまった気がします。
生意気を言って申し訳ありません。
貴兄の作品は大好きなので、次回作も楽しみにお待ちしております。

330 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 14:39:59 ID:R/KQ8lwU
>>305
GJ! 素晴らしかった。いいユノはやでした。車椅子時代なのもポイント高い。
ていうかはやてちゃんはまだお子様なはずなのにどんだけ誘ってるんですかと。GJ的な意味で。

331 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 15:58:48 ID:AYqlsMgA
>>322
完結おめでとうございます!!

ああ、皆不憫だけど生きている者には少しだけ希望は残されている。
そう信じている、ていうか信じたいです……。

でもラグナだけ明るい未来が想像できない(´;ω;`)ブワッ

>人妻の魅力かw
ちょwww
氏のノートにはどれだけネタが詰まっているんだw

332 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 17:22:29 ID:LBjF.FOw
感無量ですな、なんだか切ない気持ちに…エイミィはクロノと再会できるのか?
いろいろと考えてしまいますな。

333 69スレ264 :2009/06/21(日) 17:46:09 ID:0WVwZMuw
業務連絡です。
98スレの保管完了しました。
職人の方々は確認お願いします。

334 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 19:10:26 ID:cZ3/h3hY
>>321
お疲れ様でした。
救いがある人間と無い人間、それぞれの結末に涙が出そうになりました。
エリオがフェイトの気持ちを理解できる日は来るのかなぁ…
あなたの次回長編や短編を楽しみに待ってます。

>>333
いつもお疲れ様です。

335 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 19:19:23 ID:I6/qHWPs
>>333
つ旦~

336 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 21:13:02 ID:7E9pyulw
>>333
つ旦~ 只<

337 名無しさん@魔法少女 :2009/06/21(日) 21:30:46 ID:QOs.49Nk
>>333
いつもありがとうございます。

338 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/21(日) 22:47:33 ID:9mHxaozo
>B・A氏
完結おめでとうございます。
但し当方は参戦が遅かったので読み返す暇もない(汗
ちょうど投下ペースもゆっくりになってきたし、
皆さんの長編をじっくり読んでみますかな。

>司書の方
お疲れ様でした。
しかし、当方の作品はこのスレだけで既に3つか……
次回もお手数かけますが、よろしくお願いします。

そんな訳でヴィヴィオ凌辱長編の続きが一丁上がりです。
そして今回でも終らなかった。もうちょっとだけ続くんじゃ。


・ヴィヴィオ10歳
・公式+今まで作った作品の設定は全部ガン無視
・ガチエロ。保管庫搬入の際は「凌辱」タグをお願いします。
・耐性のない人は読まないで下さい(重要)

では、続きをお楽しみ下さい。

339 鏡の中の狂宴 第2話 1/10 :2009/06/21(日) 22:48:26 ID:9mHxaozo
──助けは来ないと悟って、それでも救いを求めている。
早く終って欲しい、この檻が一時の煉獄だと信じたい……

地獄の日々は、始まると同じくらい唐突に終りを告げた。
明らかに人間の立てる靴の音がする。
そして、錠の開くカチリという音。
眠っていた――眠らされていたヴィヴィオの意識は、今確かに人間の気配を目の前に感じていた。
「だ、誰? ……ママ、ママなの!?」
叫んでみたが、反応はなかった。
代りに、体力の落ちきった身体を引き上げ、立たせる腕が伸びてきた。
男性、だと思われる。ゴツゴツした手はそう物語っていた。
通路の明かりも何故か落ちていて、ヴィヴィオはそのままアイマスクを掛けられた。
抵抗することもできず、引かれるがままに長らく過ごした部屋を後にした。
体力の落ちきった身体で歩くのはしんどかったが、10分と経たずに目的地に着いたようだった。
「ん……」
アイマスクを外されると、強い白色の光がヴィヴィオの目をしたたかに打った。
左右で色の違う瞳をしばたかせ、久しぶりの灯りに胸を踊らせると、

そこは想像していたよりずっと殺風景な部屋だった。

ヴィヴィオは檻の中に入れられていた。檻を囲う鉄棒の太さは腕ほどもある、機械を使ったって簡単には破れない。
その外では屈強な男たちや白衣を着た女がいたが、一言も会話をせずに動いている。
まるで、喋った瞬間に流刑を喰らうかのような徹底ぶりだった。
部屋自体は相当広い。バスケットボールのコートくらいだろうか。
檻の広さはざっと4倍、高さも倍になり、片隅には煎餅布団ながら寝る場所もある。
そして、真ん中に謎の椅子が置かれていた。
どうやら医療用のようだが、よく分からない。手術でもするのだろうか?
……と、その時ヴィヴィオの脳裏に恐ろしい想像が走った。
人体実験? 内蔵の切り売り?
ヴィヴィオは身体をガタガタと震わせた。
真偽が一切分からないだけに、恐怖は意味も理由もなく勝手に増大していく。
そして震えは、一人の男が入ってきて口を開くと、ゆっくり収まっていった。
「ヴィヴィオちゃん、ご機嫌いかが?」
どこかで聞いたことのある声だ。青年は20代半ば、飄々とした表情とは裏腹に、目線は常に何かを警戒していた。
口がパクパクと動いたが、何も言葉が出なかった。まるで、言語が頭から抜けていったかのよう。
「あはは、長い間独りぼっちで言いたいことが見つからないんだね」
努めて明るく振る舞い、ヴィヴィオに語り掛けてくる青年。
正体不明の相手に警戒の色を濃くするが、彼は何も言わずに一本の缶を差し出した。
「これ、何?」
辛うじてそれだけを絞りだすと、ヴィヴィオはラベルをまじまじと見た。
「果汁100%」の字が見える。
「ジュースだよ。久しぶりだろう?」
青年は2つのコップを取り出し、1つには一口程度に注ぎ、1つにはなみなみとたっぷり入れた。
オレンジ色の液体が、この数週間嗅いだこともないいい匂いを放っていた。

340 鏡の中の狂宴 第2話 2/10 :2009/06/21(日) 22:48:57 ID:9mHxaozo
「毒じゃないから、飲んでごらん?」
青年が、少ない方のコップを取って飲み干した。口を開けて、確かに飲み込んだことを確認させてくる。
「ね?」
念を入れられ、ヴィヴィオはそっと一口飲んでみた。
柔らかい酸味と、それ以上の甘みがヴィヴィオの舌を満たした。
「お、おいしいー!」
あっという間に飲み干し、コップを空にすると、青年はまたコップにジュースを注いでくれた。
「ヴィヴィオちゃんは今まで我慢してたもんね。これはご褒美だよ」
ゴクゴクと喉を鳴らして飲む。
止まることがない。
「はぁーっ……」
火照った身体に、心地よく響いてくる。
まさか、まさかジュースの1杯がここまで美味しいものだったなんて、思わなかった。
「どうだい? 美味しいかい?」
「うん、とっても! ありがとう!」
──この時、この男にもう少しだけ注意を払っていたら、こんなに酷いことにはならなかったかもしれない。
「そりゃ良かった……」
青年がニヤリと笑う。
「それじゃ、僕は仕事があるからこれで。またね、ヴィヴィオちゃん」
ヴィヴィオはたっぷり30分も経ってから気付いたが、彼の名前を聞くのをすっかり忘れていた。
だが、そんなことはすっかりどうでもよくなった。
「ふぁ……眠く、なってきちゃった」
ここに来てからこの方、一度も見たことのない安息が目の前にある。
ベッドに倒れこむと、あっという間に泥のような眠りに落ちていった。
そしてそれが、最後の安息だった。

「……ん」
「お目覚めかい、ヴィヴィオちゃん?」
ヴィヴィオはゆっくりと目を開けると、辺りを見回した。
顔を上げると、青年が笑いかけている。
「あ、昨日の……」
ニコニコと笑っている青年に向かって、ポツリと呟く。
まだ呂律がうまく回らない。人間から隔絶された環境が長かったせいだ。
「今まで辛かったよね、今日のご飯はとっても豪華なのを用意してあるから」
そう言って、指をぱちんと鳴らす。
すると、瞬く間に食事が運ばれてきた。
「わぁーっ!」
よく分からない、よく分からないが、この青年はとってもいい人のようだ。
きっと偉い人なんだろう。
「食べていいの?」
青年がこっくりと頷くと、ヴィヴィオは猛烈な勢いで食べ始めた。
「いただきまーす!」
ニコニコと、まるで娘に御馳走を振舞う父親のようにヴィヴィオの食べっぷりを見つめる青年。
一方ヴィヴィオはといえば、そんなことお構いなしに全力で食事に取り掛かっていた。
「はぐ……あぐ……んくっ、もぐ……」

341 鏡の中の狂宴 第2話 3/10 :2009/06/21(日) 22:49:44 ID:9mHxaozo
油と肉汁の滴るハンバーグに、濃厚なチェダーチーズが掛かっている。
ミネストローネも具沢山だ、飲むというよりは食べると言った方がよっぽど適切なくらい。
パンもしっとりとしていて柔らかく、バターもジャムもつけ放題。
今まで、パサパサとしたカロリー制限のきつい食べ物しかなかったから、
どれもこれもが信じられないほど美味だった。
「んんっ……」
思わず、喉につかえてしまう。
青年の持ってきたジュースを一気に飲んで、ようやく人心地つく。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「はっはっは、誰も持って行きやしないんだから、もっとゆっくり食べればいいのに」
そんな言葉が聞こえないほど、ヴィヴィオは夢中になってかぶりついた。
「ごちそうさま!」

その後、貞操帯も外され、ヴィヴィオは思う存分身体を綺麗にすることができた。
髪を洗い、歯を磨き、新しい下着に着替える。
思い返してみれば、ついさっきまでほぼ全裸だったというのだから我ながらビックリだ。
青年に裸を見られたのは恥ずかしいけれど、今はそんなこと、全部どうでもいい。
だって、
「幸せ〜……」
湯船に身体がたゆたっているだけで、無上の喜びがこみ上げてくるのだから。
……ただ、これが真の幸せでないと気づくには、ヴィヴィオは余りにも監禁生活が長かった。
だから、ちょっぴり広くなっただけの檻の中で1日2日生活していたことに、
何らの疑問も不満もなかったのだった。
さっぱりとした風呂上りでザンクトヒルデの制服を渡されたが、
ヴィヴィオは何も考えずにそれを受け取った。
今の今まで裸だったのだから、何が来たって今更驚くことなどない。
袖を通し、脱衣所を出ると、そこでまた青年から一本オレンジジュースを差し出された。
飛びつくように受け取って飲み干すと、彼は微笑を浮かべる。
「そうだ、まだ自己紹介してなかったね」
「う、うん」
「ボクの名前は……」
その瞬間、ヴィヴィオの身体がゆっくりと傾いだ。
「え? え?」
何かの間違いかと思い、慌てて姿勢を整えようとするが、うまく力が入らない。
ぽてりと倒れこむと、そのまま四肢が動かなくなってしまった。
いや、指先は辛うじて動くが、全身が痺れてまともに動かせないのだ。
「どうし、たの……? 動け、ない……」
「ヴィヴィオちゃん、初めて会った人には気をつけなさいってママに言われなかったのかな?
それじゃダメだよ、『僕』みたいな悪人に会っちゃうんだから」
何が起きた? どうしてこうなっている?
どこで何があった? どうして……?
「僕──俺の名前はカルマー・アネード。君の母親に教導官の座を奪われた者だ」

342 鏡の中の狂宴 第2話 4/10 :2009/06/21(日) 22:50:20 ID:9mHxaozo
カルマーと名乗った青年は、羽織っていた白衣の裾を翻してヴィヴィオの身体を抱き上げた。
檻の中まで戻ってくると、彼はヴィヴィオをやや乱暴にどさりと下ろした。
そうして、無言のままつかつかと歩き去った。
後には、ただヴィヴィオだけが残された。

制服のままで、動くこともできずに放置されたヴィヴィオ。
そこへ、1人の男がやってきて、鍵が開けられた。
同時にテレビが持ち込まれ、檻の中がやにわにいびつな活気を帯びる。
ヴィヴィオを檻の壁にもたれさせ、テレビの配線をてきぱきと繋ぐ。
その間、ヴィヴィオはだらんと痺れて動かなくなった腕を垂れ下げたまま、ずっと男の作業を見ていた。
『あー、テスト、テスト。聞こえるか?』
「ああ、聞こえるぞ、カルマー」
画面の向こうでカルマーの声が聞こえ、次第に映像が鮮明になってきた。
男は明瞭に答え、次いでヴィヴィオを親指で指差す。
「で、本当にいいのか?」
『ああ。但しヴィヴィオが約束を守るって言ったらの話だ。
何、どの道……おっと、これ以上はいけねえな』
二人は何事か話を交わすと、男が一歩引いた。
『ヴィヴィオちゃん、元気?』
白々しい。よっぽど何か言ってやりたかったが、困ったことに痺れは舌にも回っていて、
ろくすっぽ言葉らしい言葉は吐けなかった。
『まあ、分かると思うけど、そこにいる男の人と、これからヴィヴィオちゃんはセックスするんだ』
セックス──これから、この男と……?
「……っ!」
一度は監禁に砕けた思考力が、一瞬にして元通りになった。
『でも、ちょっと待って欲しい。ヴィヴィオちゃん、焦りは禁物だよ』
青年の猫撫で声が嫌に障る。
カルマーは席を立つと、近くのパネルを操作し始めた。
途端に、画面が切り替わる。

『止めて……お願い、止めてぇーっ!』
『黙れ、このっ……!』
見たことのない少女だ。顔立ちが地球の人間に似ている気がする。
ヴィヴィオとまったく同い年くらいの少女が、二人の男に押さえつけられている。
『おとうさーん、おかあさーん、助けてーっ!!』
悲痛な叫びは、しかし誰にも届かない。
ゴッ、とみぞおちに拳の一撃が入った。
少女は大きく目を見開き、そして咽こんだ。
ひくっ、えくっ……むせび泣きを漏らして、少女は静かになった。
その瞬間──少女の股が大きく映された。
ズッ、と強い力で男根が少女の膣中へと押し込まれていく。
一気に最奥まで突き上げられ、引き抜かれる。
男の怒張には、おびただしい量の血がついていた。
『痛い……痛いよ……止めて……』
少女の瞳孔は開き気味で、どこを見ているのかも分からない。
ただ、壊れた人形が同じ言葉を繰り返すように、「痛い」とだけ呟き続けた。
『おいおい、お口がお留守だぜ』
少女はもう1人の男に担がれ、正常位の組み伏せられた姿勢から、馬のような四つん這いになった。

343 鏡の中の狂宴 第2話 5/10 :2009/06/21(日) 22:51:10 ID:9mHxaozo
『よいせ、っと』
『んむぅっ……!』
少女の口に肉棒が突き入れられる。
じゅぽ、じゅぽ、と水音が響き、少女の目からは涙が流れてきた。
頭は男の手でガッチリと押さえられており、肉棒を吐き出す余地は全くなかった。
『まだまだ始まったばっかりなんだからよぉ、こんなんでへこたれてんじゃねーよ?』
後ろから膣を突く男も、どんどんピストンを速めていく。
そうしてしばらく凌辱劇が続いたかと思うと、少女の口内を犯していた男が咆哮を上げた。
『おおっ……』
男の声に呼応したのか、少女がピクリと反応する。
と、途端に苦しそうに呻いた。
『おっと、吐き出すなよ。ちゃんと飲むんだ』
鼻を摘まれて、苦しそうにもがく少女。
口の端からは、黄色と灰色の混じった、白くて濃い粘液が顎まで流れていった。
男はそれが気に入らなかったのか、髪を掴んで少女の頭を振り乱した。
『おい、ちゃんと飲めって言っただろうが!』
少女は弱々しく「ごめんなさい」と言うと、指先で白濁を掬って、まじまじと眺めた。
一瞬呆然とした後、意を決したように粘液を舐め取る。
『よしよし、いい子だ。まだまだたっぷりあるから飲みたいだけ飲めよ』
ビクリ、と少女の身体が震える。
画面の中に、沢山の男たちがひしめき始めた。
『こっちも出るぞ、孕んじまえっ』
少女は叫びにならない叫びを上げようとしたが、2本目のペニスを口に捻じ込まれてそれも叶わなかった。
『そら、中出しだっ!』
カメラが少女の下に潜り込み、結合部を上に見る。
最後の抵抗をしようと、少女が腰をよじった。が、そこまでだった。
男の肉棒が何度も脈打ち、秘部から血の混じった精液がダラダラと垂れ流れてきた。
『なあ、合計何人だ?』
『さあ? でも1ダースは確実にいるぜ』
抜いた肉棒の代りに別な1本が入り、口に入れている方の男たちも次々に射精して、
狂宴はどこどこまでも続いていった。
一旦カメラの映像が落ち、次に映し出されたのは、完全に光を失ったまま薄笑いをする、
全身白濁まみれの少女だった。

『とまあ、こんな具合だよ、ヴィヴィオちゃん。さあ、選ぶんだ。
発狂するまで男に輪姦されるか、それとももう1つの道を選ぶか』
ヴィヴィオは声も出なかった。
ただ、目の前の残酷な映像に恐怖し、頭を振ろうともがく。
耳を塞ぐことも、まぶたを閉じることもできなかった。
身体中のどんな筋肉も、まったく言うことを聞いてくれない。
カルマーの目的は、まさにそうやって目を背ける手段を殺すことにあったのだった。
『ま、今ここで決めろとは言わないよ。1週間したらもう一度答えを聞こう』
無言の時間が流れる。テレビを持ってきた、カルマーと会話していた男が聞く。
「なあ、やっぱり今日じゃダメなのか?」
『そうがっつくな、直に答えは決まる』
そう言って、カルマーはヴィヴィオの答えを待たずにテレビを消した。

344 鏡の中の狂宴 第2話 7/10 :2009/06/21(日) 22:52:00 ID:9mHxaozo
カルマーは椅子に座り直すと、指を組んで上に顎を載せた。
『やることは簡単だよ。そこにいる男の人たちのチンポを、一生懸命舐める。
で、精液が出てきたら飲む。ね、簡単でしょ?』
吐き気がした。
こんなこと、ありうる訳がない。
あっていい訳がない。
『もちろん、ヴィヴィオちゃんに選択の自由はないよ?
知ってると思うけど、この施設で魔法を使おうと思っても端から全部キャンセルされちゃうから』
魔法。そんな選択肢さえ思い浮かばなかったが、どうやらそれすら封殺されているのか。
『さて、あと2分』
2つのシナリオは、両方が致命的に不利だった。
ヴィヴィオはどちらも選べず、ただ悪戯に時間を無駄にしてしまう。
カルマーはそんなヴィヴィオの戸惑いを察したのか、『言い忘れていたことがあった』と付け加えた。
『全員の精液を飲み損ねたら……そう、1滴でも残したら、
自動的にヴィヴィオちゃんは前者の答えを選んだことになっちゃうから、気をつけてね。
まあ俺らも鬼じゃないから、5秒ルールくらいは適用させてあげるよ。
もし精液を零しても、5秒以内にちゃんと啜れば問題ないから』
後1分……青年の声が非情に響いた。
『ファーストキスをチンポに奪われて精液を飲むか、
それともバージンをチンポに奪われて種付けされるか。
さ、早く選ぶんだね。時間はもうないよ? 残り30秒』
カウントダウンを始めたカルマーの言葉を拒絶して、ヴィヴィオは叫ぶ。
しかし、彼は数字を数えるのを止めない。時々刻々と、数字は減っていく。
『10……9……8……7……』
ここで、我慢できなくなって突然ゼロ、ということは有り得る。
そうしたら、もう最期だ。
「待ってっ……!」
カルマーは驚いたような顔を一瞬浮かべた後、『何?』と聞いてきた。
「します……『ご奉仕』しますから……」
抵抗する意思なんて、始めからない。
地獄の第1層か第2層かを選ぶだけ。
ヴィヴィオは、時間切れで自動的に深い闇の底に送り込まれるよりも、
まだ自発的な地獄を選んだ。
『うんうん、素直なことはいいことだよ』
カルマーは満足そうに頷くのと、砂時計がキッチリ落ちきるのは同時だった。
『でもねえ、大人は口だけじゃ約束しないものだよ。
ヴィヴィオちゃん、今からテレビに向かってちゃんと約束するんだ。
「私はこれから見知らぬ男のチンポにご奉仕します」ってな』
下卑た笑みを浮かべて、カルマーが促す。
ヴィヴィオはしばらく口をパクパクさせていたが、やがて折れて宣誓した。
「私は……これから、男の人のおちんちんに……お口で、ご奉仕します……
だから、その代り……セックスだけは、止めて、下さい……お願い、します……」
涙がポロポロ出てきた。
1人の少女にだって確かにある、尊厳のようなものが、ガラガラと崩れていった。
カルマーはさも満たされた顔をすると、テレビを持ってきた男と何事か話していた。
『ああ、約束だ。お前が先に行け』
「こいつはどうも。それじゃ早速」

345 鏡の中の狂宴 第2話 8/10 :2009/06/21(日) 22:52:36 ID:9mHxaozo
順番だぞ、と後ろに続く男たちに命じると、彼が檻の中に入ってきた。
ヴィヴィオはどうすることもできずに、名前も知らない中肉中背の男を見つめていた。
意思を完全に喪失してしまい、周囲の景色がモノクロに染まった。

「さて、そういう訳だ。ヴィヴィオ、早速相手して貰うぜ」
今まで名乗らなかった男は、早速とばかりに名前を告げた。シラーロス・アジール。
「お前はこれから沢山の名前を覚えなきゃいけないんだからな、しっかり頭に入れておけよ」
意味深なことを言うと、彼はジーパンをごそごそとまさぐり、肉棒を白日の元に晒した。
「どうだ? 男のチンポを見るのは初めてだろう」
事実、そうだった。映像では何度か見たが、実物を、しかもこんな目の前で見たのは初めてだった。
長きに渡る監禁は正常な思考を奪っていた。
逃げることも、目を背けることもなく、ただ男の言葉につき従う。
そこに意思はない。反射的に服従するようになってしまっているのだ。
「ハハッ、そんなに珍しいか?」
肉棒が頬を擦ると、形容しがたい悪臭が鼻を突いた。
思わず目を背けても、肺に入ってくる臭気は抜けない。
「ほら、舐めるんだよ」
怒張の根元を押さえながら、男がせっつく。
ヴィヴィオは固く目を瞑り、これが現実であることを忘れようとした。
その瞬間、頭に白い火花が散った。
「てめぇ、立場分かってんのか?」
頬を思い切り殴られ、床に突き飛ばされる。
長く伸びた髪を掴み上げられ、男の手に吊るされた。
「じっくり味わえや」
痛みと衝撃に緩んだ口元から、剛直が捻じ込まれた。
黒光りしているそれはまるで銃身のようで、すぐにでも弾丸が射出されそうだった。
「んむぅっ……!!」
「どうだ、ファーストフェラの味はよ? 一つ大人になれて良かったな、ヴィヴィオ。
しかもキスより先にフェラなんぞ珍しい体験だぜ、学校で自慢できるな!」
怖い。硬い。熱い。臭い。
先端だけが口に入るも、既に息が苦しい。
豪快な笑いを立てて、シラーロスは命令した。
「舐めるんだ、それくらいできるだろうが?」
男は髪を引っ掴んだまま離さない。
ヴィヴィオは仕方なく、肉棒に舌を這わせた。
男を知らない唇が、カリ首に引っかかる。
誰をも受け入れたことのない舌が、亀頭に触れる。

──私のファーストキスが、こんなものになるなんて……
酷い、酷いよ……あんまりすぎる……

男への奉仕は続く。
言われた通りの動作を、ヴィヴィオは繰り返した。
口を前後に動かして、唇でペニスを扱く。
舌先でチロチロと鈴口を舐め、時折口を窄めてちゅうちゅうと吸う。
臭気が絶え間なく鼻を覆って、吐き気さえ覚える。
「くおっ……流石は聖王陛下のフェラだ、気合が入ってやがる」

346 鏡の中の狂宴 第2話 9/10 :2009/06/21(日) 22:53:25 ID:9mHxaozo
鈴口からにじみ出るトロトロとした粘液が、舌に触れる。
凄まじい苦味が襲ってきて、ヴィヴィオは思わず咽た。
「ケホッ、コホッ……」
しかし、髪を掴まれたままでは満足に怒張を吐き出すこともできない。
猛烈な吐き気と共に胃からすっぱいものがこみ上げてきた。
だが、それもろとも押し返すように、肉棒がヴィヴィオを犯す。
「んんっ、んふっ、ふむぅ……っ!」
「ハハハ、お前本当にキスもしたことないのか?
そんなんで初めてフェラしたしちゃ上出来じゃねーか」
びくり、びくり、とペニスが脈動を強くした。
粘ついた苦みがヴィヴィオの呼吸を苦しくする。
口は閉ざされている。鼻もまた、息を抜くたびに男の臭さが意識を霞ませていった。
ポロリ、と涙が一筋流れたが、それっきりだった。
「よし、そろそろ出るぞ……初ザーメン、受け取れっ!」
両手でガッチリと後頭部を押さえつけられる。
シラーロスの言葉が、虚空に響いた。
その瞬間、どくっ! と肉棒が収縮した。
続いて溢れ出てくる、ドロドロとした粘液。
苦みと臭みは著しく、耐え難い嫌悪感が背筋を駆け抜けていった。
「ははは、2週間溜め込んだ精液だ。しっかり味わえよ」
脈動が収まると、シラーロスは肉棒を引いた。
ちゅぽんっ、という音と共に、欲望の残滓が口の端から溢れた。
指で掬うと、それは黄色とも灰色ともつかない白濁で、
飲み込むという行為がまったく想像できないほどおぞましいものだった。
「おっと、まだ飲むなよ。口の中で、ゆっくり掻き回すんだ」
ヴィヴィオは言われた通りにした。
初めてのキスは見知らぬ男に奪われ、しかもそれはキスではなくフェラチオだった。
それだけではなく、口の中に射精させられ、好きでもない男の精液を飲むことになるなんて……
少女としての全てが、ズタズタに穢された。
舌の上で、ダマになった精を踊らせる。
ぐちゃぐちゃ、ねちゃねちゃと淫らしい音を立てて、男の機嫌を取る。
「よーし、その辺でいいぞ。ザーメンを舌先に乗せて、口を開けて見せてみろ」
命令に従い、ヴィヴィオは口をもごもごと動かし、精液を集めた。
くちゃりと口を開け、中に溜まっている白濁を見せる。
オッドアイで男を見上げる瞳は、まさに哀れみ、恵みを求める目だった。
「飲み込め」
男から次の命令が飛ぶ。
ヴィヴィオは口を閉じると、精液を飲み込もうと喉を動かした。
こくり、と嚥下するも、引っかかって上手く飲み込めない。
口の中に唾液が滲む。苦しさの入り乱れた欲望をやっと飲み終る頃には、
ヴィヴィオの精神はすっかり参ってしまっていた。
「げほ、ごほ……かはっ」
首を押さえて、何度も何度も咳をする。
だが、それで鼻の奥に残る臭みや、まして精液を飲み込んだ事実など忘れられそうもない。
「まだだぜ。こいつの中にまだ残ってる」

347 鏡の中の狂宴 第2話 10/10 :2009/06/21(日) 22:54:25 ID:9mHxaozo
力を失いつつあるペニスからは、尿道に残った精液がねっとりとついていた。
恐る恐る、ヴィヴィオは近づいていく。
また殴られるのは、どうしても嫌だった。
シラーロスは満足にヴィヴィオの頭を撫でると、檻の中から立ち去った。
「忘れるなよ、『全員の名前を覚えておく』んだ。
精々、俺たちを楽しませてくれよ? そうすりゃ殴りも蹴りもしないさ」
彼と入れ替わりに更なる男が、しかも同時に2人入ってきた。
しかし、その2人がズボンのチャックを下ろす前に、カルマーの声が響いた。
「ストップ、ストップ」
何かを思い出したように、カルマーは現れた。
コツコツと革靴の音を立てるのが、いかにも高圧的だった。
「ヴィヴィオちゃん、伝え忘れてたことがあったんだけど」
ニヤニヤ笑いを一切崩すことなく、ヴィヴィオに歩み寄る。
あごをくい、と持ち上げて、目を覗き込んでくる。
何を言い出すのかと思いきや、カルマーは微笑んだ。
「今のフェラチオ、すっごく可愛かったよ」
どんなに酷いことを言われるのかとビクビクしていたら、意外に何でもない言葉だった。
……が、その直後にそれは無意味な期待だったと思い知る。
「ちゃんと録画したから、後で見せてあげるよ。
ちなみに、300時間分あるから、頑張って全部収録しようね」
「え……?」
ヴィヴィオの時計が時計が止まった。
全身が硬直し、呆然とする。
そこからたっぷり3分も経ってから正気に返ると、顔から血の気が引いていった。
「い、いや、いや……いやぁーっ!!」
部屋の中をどこまでも響かせる鋭い悲鳴は、あっという間に壁へと吸い込まれていった。
笑った顔をそのままヴィヴィオに近づけて、カルマーが冷たく頬を撫でた。
「さ、あと5人だよ、『ヴィヴィオちゃん』。まだまだ頑張って貰わないと、
今度はおまんこの処女もチンポに奪われることになっちゃうからね」
次の男が檻の中に入ってきた。
痩せた長髪の白人。間髪入れず、ヴィヴィオは口で奉仕することになる。

***

──正義と叡智を陳べる 正しき者の声が告げる
苦難を耐えた終りに 王者となる至福の時が来よう──

(続)

348 Foolish Form ◆UEcU7qAhfM :2009/06/21(日) 22:55:58 ID:9mHxaozo
凌辱が全て。それ以上言うことはない。
ではまた。

349 名無しさん@魔法少女 :2009/06/22(月) 01:00:50 ID:Ql9dzOGQ
これぞ凌辱!素晴らしい
実際にはできないからこそ、なおのこと素晴らしい

本番期待してまってます
ロリ妊婦って、良いよね

350 名無しさん@魔法少女 :2009/06/22(月) 02:13:27 ID:viA2m4uY
ageるなクズ

351 名無しさん@魔法少女 :2009/06/22(月) 13:17:26 ID:57GUeRP.
だからここで(ry

352 名無しさん@魔法少女 :2009/06/22(月) 21:16:35 ID:eDHYS8b2
>>348
SS書きの理想的な心構えですね。

353 名無しさん@魔法少女 :2009/06/22(月) 21:41:55 ID:f5DphRP.
>>348
GJ!
凌辱はジャスティス

>>351
ageて欲しくない人も一定数いるみたいだし、やはり出来るならageるのは避けた方がいいんじゃないか
本スレにいたときと同様でいいと思う

まぁ>>350は明らかに言いすぎだがな

354 名無しさん@魔法少女 :2009/06/23(火) 14:41:13 ID:MDObEVZw
おのれこの男、秘孔を突いて後ろ向きに歩かせたいぜ。

355 名無しさん@魔法少女 :2009/06/23(火) 17:25:52 ID:fol13vdI
うわらばっ!

356 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 21:07:06 ID:072dUqFU
スレが止まってるな。
文章で読んでみたいエロシチュでも上げていってみるか?
ひょっとしたら作者さんのアイディアになるかもしれん。

357 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 22:11:10 ID:mAUmrPLU
シチュじゃないがユーノ×アルフが読んでみたいな。
無印の頃から好きなんだけど少ないんだよ…。

358 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 22:22:58 ID:9m.Wsxsw
>>356
 ナンバーズ解体陵辱ものが見たい!
 どうせ機械人間だから、手足をもぎ取られても、内臓を抜かれても、脳が快感に変換するよう
改造された結果アヘアヘいっていきまくった末に子宮破壊されてアヘ顔のまま(これ重要)、
逝って(機能停止)しまうシチュ

359 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 22:31:35 ID:/SWClMi6
ロリ妊婦かな
身も心も堕とされたなのはがローティーンで妊娠とか
ハウラオンに引き取られなかったフェイトが孕ませられるとか


あと、エロ関係ないけど
ヴォルケンズを管理局に縛り付けるために脳とリンカーコアだけにされたはやてとか
もう意識もなにも無くなってて、有機コンピュータみたくなってて
それでもかろうじて念話で「お願い、殺して」とか頼むとか
凄い興奮する

360 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 22:43:44 ID:Sm2NydKE
今更ながら、ここのカオスさを思い出したよw

実際のところ、平日は忙しくて書けないんだよな。

361 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 22:44:02 ID:TaOGwMrs
ロストロギアの影響で記憶含めて九歳時点に戻ってしまったクロノを
性的な意味で食べちゃうフェイトとかどうだろ?
エイミィとくっついてても、くっついてなくてもいい。

362 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:15:28 ID:g.Aa8SjU
>>358
書きかけのが有るから、ちょっと気力振り絞ってみる

363 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:23:25 ID:HxopwnDM
メイン女キャラがモブキャラに犯られるシチュ待ってる
それとレジなのの組み合わせ結構好きなんだが、誰かまた書いたりせんかなぁ…

あとエロじゃないが、リリふぇの続きも待ってるぜ

364 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:30:18 ID:Yqz8PxNU
スバルか教会組ナンバーズのエロスが欲しいが相手がいねえ

365 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:35:03 ID:hOUnEmag
監理局がスカリエッティに完敗し、機動六課も全員捕虜の身に。
クアットロが奴隷制度がまだ認められてる世界に、機動六課主要女性メンバーを連れて移転し、全裸+バイブ、ピンクローターetc状態で市内引き回しする

・・・・・ってのが見たいです

366 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:35:28 ID:Sm2NydKE
>>364
SSX以降で接点あるのはヴォルツとヴェロッサか。
どっちも少し弱いな。

やはりここは、モブという名の汁男優の出番か。

367 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:38:20 ID:/SWClMi6
ダルマ女もだな
切断した手足はご飯にしちゃうとか
一気にダルマにするんじゃなく、時間をかけてゆっくりと
気丈ななのはさんに対する調教の一種で行うとか

ユーノの監禁ものも待ってます
超待ってます

368 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:45:36 ID:g.Aa8SjU
猟奇大杉だろwwww

369 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:49:56 ID:/SWClMi6
リンディさんが実はグレアムの愛人だったとかどうだろ

処女を奪われ、散々しゃぶり尽くされ、飽きた上にクロノが出来たから他の適当な男と結婚させられたとか
興奮するね

370 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:52:36 ID:Sm2NydKE
>>369
譲二ボイス「そうか、俺は他の男なのか」

371 名無しさん@魔法少女 :2009/06/25(木) 23:58:46 ID:/SWClMi6
まぁ、一昨年退職して離婚した上司の実話なんですけどねw

372 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:03:58 ID:bS5/x7nA
>>369
だったらついでにクライドも両刀遣いグレアムの男色相手だった、ということで。

肉奴隷同士でくっつけられて、周囲の人間が嘲笑っていたとかな。

373 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:04:56 ID:3DmKk43o
>>371
生々しいなおいw

374 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:11:08 ID:BZ2s5S4Q
なのはさんの教導まだー?

375 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:13:58 ID:0f/y4u8A
触手で和姦ってのは最高に心躍るものがあるぜ
……無理かorz

376 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:35:25 ID:.Wd8v2YY
クロノがある日目覚めたら触手になってて、元に戻るには空っぽになるまで嫁とHすることになるんですね>触手で和姦
で、からっぽになるまでやって、元に戻ったら今度は嫁が普通のHで満足できなくなってると

……なんて言うジョークのつもりだったのに、エリオが触手化してルーとキャロにご奉仕されまくるとか、電波がががが

377 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:43:33 ID:nwGi47k6
>>367
管理世界の医学技術で再生治療のレベルが高いと思うから、
斬りおとした後に、まだ逆らう気があるなら、培養した腕をまたくっつけて、
もう一度って出来るな。終わらないってのは恐怖だ。

378 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 00:58:10 ID:iqylfMlI
ユーノかクロノはきっと触手みたいなバインド系魔法を習得しているに違いない

379 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 01:40:29 ID:xaHcPXvs
けどこうしてネタ上げ見ると、月単位で話書き上げるエロ漫画家の皆さんが神に見えてくるなw
>>375みたいな触手和姦モノ書いたのもあるしw
触手系って基本陵辱イメージあるからな

ネタとしてはユーノ×なのはで、無印原作開始より前、士郎さん入院で一人寂しくジュース飲んでる時にユーノとジュエル種飛来。
なのは善意で協力するが、「終ったらまた一人になっちゃうなんて嫌!!」的願望を感知しジュエル種がユーノに寄生→触手付セクロス
なんての考えた事はあるが、文章力なくて断念orz

380 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 01:46:05 ID:PBlK.tvc
>>367
あぁ、その手のグロ系調教は滅多に見ないな
まぁここに限った話じゃないけども
なのはさんで誰か書いてくれないもんか……

381 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 02:04:16 ID:Ow4dfb/o
皆様趣味が多彩すぎです。
どうやっても上手にエロが書けないのですが、逆に考えて敢えて抜けないエロを書くというのはアリでしょうか。
需要は無いし、下手したら読者の方にガッカリ感を与えかねないとも思って自粛しているのですが。

382 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 02:43:24 ID:iqylfMlI
>>381
持論だけども
慣れないうちは、描写そのものより「喘ぎ声」に注力するといいと思うよ

「やっ、やぁぁぁ! だめ、それだめぇっ! はあっ、あん、ああっあぁあぁぁぁぁっ!」

とりあえず前に書いたのからテキトーに切り抜いてみたけど
激しい喘ぎ声=激しい行為って感じに、けっこう妄想が喚起される。地の文で激しさを表現するよりかは楽だしね
もちろん緻密な描写にエロを見出す人も多いだろうから一概には言えないけど、まあ参考までに

それと、書いてる本人は抜けないと思ってても、実際のところどうなのかはわかんないよ

383 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 03:12:47 ID:BRLjVGWc
>>381
エロくて描写の細かいフェラシーンは書くけどセクロスまで書かない人だっているんだから、別にいいんじゃないかな
エロさで興奮するよりも笑いのほうが込み上げてくるようなおバカ系のエロというのもあるし

384 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 12:33:53 ID:1DQwlQrQ
>>375
馬ッ鹿野郎諦めんな!

いや、実際書いてるんだけど、触手+和姦は、エロ展開の持ち込み方に悩むんだぜ。
さらっとエロ展開を書けるようになりたいです師父・・・

385 79スレ44 :2009/06/26(金) 13:05:06 ID:wHrV5rUg
保管庫見たら、このタグついてたので以降はこれで名乗りますかね。

久々に一本投下します。
もう書くまいと思っていたのに何か無性に書きたくなって、書き殴ったらこんな感じに。
今回はショタもふたなりもアッーでもないよ。

・フェイトとユーノがぬるぬる、ぐっちょん。
・もちろんエロ。
・ヌーディストビーチを何か間違えている。
・時期的にはStS後。ユーノ、フェイト20歳くらい。
・NGワードはタイトルで『夏の海の快』

386 夏の海の快① :2009/06/26(金) 13:06:02 ID:wHrV5rUg
「……来るんじゃなかった」
「…そうかもね、フェイト」

私の呟きは隣にいたユーノにそう返される。
そう言われるとちょっとショック。
だけど、仕方なかった。

休日で暇を持て余していた私は、局で気持ちいい場所と噂になっていた新しくできたビーチに行くことにした。
なのはやヴィヴィオ、子供たちとも一緒に来たかったのだが、都合が付けられなかった。
残念ながら一緒に来てくれたのは、同じく休暇を持て余していたユーノだけ。
もちろん、ユーノと出掛けるのが嫌なわけはない。大切な幼馴染みなんだから。
一人で来るよりは、ふたりで来た方が楽しいのは当り前。
私もユーノもそれなりに楽しみに最初はビーチへと足を踏み入れた。

だけど、入ってみて愕然とした。
周囲を見渡して、私は溜め息を吐いた。
周りにいるのは皆、男女、男女、男女。
夏の海に来ているのだから、当り前だとは思う。

パラソルの下、隣に座るユーノにチラリと視線を送ってみると、私と出来るだけ目を合わせないようにしていた。
私の視線に気が付いたユーノが顔を反らした。
反らした顔の先で女性が嬌声を上げる。女性の声に私は思わずそちらを見てしまった。
ユーノが慌てて、また顔を反らした。というか、目を瞑った。

一糸纏わぬ女性が男性に秘部を突き上げられていた。もちろん男性のモノで。
快感に染まる女性の口から甘い声とヨダレが零れ落ち、目はトロンとしている。
突き上げられる度に滴る愛液のしずくが砂浜へと落ちすぐに乾いていく。
そして、男性のモノがいっそう強く突き上げられて引き抜かれた。
女性の身体から力が抜けて、男性が受け止める。女性の秘部から白濁とした液体が大量に流れ出てきた。

「うわぁ…すごっ……」

思わずゴクリと生唾を飲み込んでしまった。
海岸の往来で何をやっているのかと普通は思うのだろうけど、実のところ周りは皆こんな状況。
ヌーディストビーチというモノはあるが、どう考えても目的が違う。
乱交会場さながらの海岸であちこちから上がる嬌声をバックに私達は同時に溜め息を吐いた。

もちろん、私達も何も纏っていない。
ビーチに入った途端に注意されて、監視員にひん剥かれた。
何とか隠すところは隠しながら、パラソルだけは設置して退避したのだけど周りが周りだ。

噂をしていた局員達が気持ちいい場所と言っていたのは、こういう事だったのかと気が付いた時には後悔しても遅かった。
すぐに帰ろうかと話し合いはしたのだけれど、私もユーノも健康的な男女。
少しばかり好奇心の方が勝っていたのかも知れない。
ちょっと観察するつもりだったのが、周りの熱気と嬌声に私もユーノも思考を犯されていた。

正直なところ、身体は興奮してる。
マットに座り隠して誤魔化しているけど、私のおっぱいはもうピンと勃っていたし、ちょっと触れれば、あそこも濡れるように糸が引いてる。
それはユーノも同じみたい。隠してるけど、ユーノのおちんちんが硬く勃起しているのが見えてしまったから。
先の部分にカウパーがぷっくり浮かんでいた。

(ユーノのおちんちんって、あんなに大きいんだ)

私はユーノのモノを横目でチラチラ見て、そんなことを思って周りを見渡す。
甘い声を上げながら、一対一、あるいは複数。穴という穴を犯されながら悦に浸る女性たち。
あまりの光景に私の思考は既にぼんやりし始めていた。
そして、思わず思ってしまった。

「気持ちよさそう……」
「フェイト?」

387 夏の海の快② :2009/06/26(金) 13:07:02 ID:wHrV5rUg
声に出してしまっていたらしい。私のトロンとした声にユーノがギョッとしてこちらを向く。
おっぱいやあそこを隠すのも忘れて、ぼんやりしている私の顔をユーノが心配そうに覗き込む。
ユーノだって、思ってるよね?
あのひとたちが気持ちよさそうだって。

私もあんな風に。ユーノのなら、きっと……。
ぼんやり考えながら、少しずつ手を伸ばす。
硬くそそり勃って、カウパーでテカテカに光っているユーノのモノに。

(ああ、欲しい。ユーノのおちんちん……おいしそう)

ユーノはわたしの手に気が付いていなくて、もう少しで触れる。
そんな直前にユーノの手が私の肩に置かれた。

「フェイト、大丈夫? ……やっぱり帰ろうよ?」

真正面から私を見据えて、ユーノはふと気が付いたみたい。
私は身体を隠しもしていない。おっぱいもあそこも丸見えだということに。
水着を着るために、ムダ毛は処理しているからあそこもツルツル。

だから、思わず、ユーノも何かを思っちゃったんだろうな。
ユーノのおちんちんがピクンと動いたのを私は見逃さなかった。
それを見て、途端に電気が走ったみたいに私の身体がびくりと震える。
意識もしっかりした。

「だ、大丈夫、大丈夫だよ!? わ、私、売店でサンオイル買ってくるね!」
「あ、ちょっと、フェイト!」

何をとんでもないことを考えていたんだろう。
側にあったサイフを掴むと、ユーノの手を払いのけて逃げるように私は立ち上がった。
もちろんサンオイルくらい持ってきてあったけど、少し頭を冷やしたかったんだ。
心配してくれたユーノには悪かったけど、後ろを振り向かずに私は売店の方へと駆けていった。

※※※

「……ああああ、僕は……」

絶対に嫌われた。そう思った。
心では心配していても、僕の身体は正直だった。

ボウッとして無防備に晒されたフェイトの裸はとっても綺麗で。
ピンと張った乳首も、手入れされていてツルツルで、愛液をしたたらせたあそこも見えてしまっていたから。
自分の心とは裏腹に身体は……僕のガチガチになったモノは反応してしまった。

フェイトが座っていた場所を見る。
砂浜に敷かれたマットがフェイトのあそこから流れ出た愛液でまだ濡れていた。

それを見て、また僕のモノは反応してしまう。
ピクンと震えたモノから、カウパーがポタリと一滴マットへ滴り落ちる。

情けない。

周りの光景のせいも少しはあるが、まだ興奮している自分が情けない。
これでフェイトが戻ってきた時、まだ治まっていなかったら、何と言えばいいんだろう。

「……いっそ、フェイトが戻ってくるまでに一回……」

388 夏の海の快③ :2009/06/26(金) 13:07:45 ID:wHrV5rUg
射精してしまおうか、などと更に情けない考えが浮かんで僕は頭を振る。
正直周りが周りだ。そこかしこで交わっている男女がいるんだ。
それをおかずにしている男女だってもちろんいる。
一回、射精してしまえば治まることは間違いないとは思う。
だけど、そんなこと。

「……してる最中にフェイトが戻ってきたら、どう言い訳するつもりだよ」

フェイトにそんな姿を見られたくない。
別に取り繕う必要なんて無いと思う。だけど、それでも嫌だった。
だって。

「好きな女の子と一緒に来てて、他の女性の裸に欲情したなんて、そんなの男として駄目すぎる」

そう。僕はフェイトが好きだった。
誘ってくれた時は嬉しかった。みんなには悪いけど、二人きりだと知った時、正直感謝もした。
この場所には驚いたけど、フェイトもそれは同じだったんだろう。
せっかく来たんだから、少しは楽しもうと思ったのがいけなかったんだ。

フェイトの裸に我慢できなかった。周りが周りなだけに襲ってしまわなかっただけ、自分の理性は大したものだと思う。
とにかく、さっきのことだ。あの様子だとフェイトは僕がそんな目で見てしまったことに気が付いたろう。
力無く肩を落として。ふと、僕はあることに気が付いた。

「……そうだ、変身して誤魔化せばいいじゃないか」

名案だ。フェレットモードなら、そんなに解らないだろう。
フェレットだと代わりに熱で死ぬかも知れないが、これ以上恥の上塗りで死にたくなるよりはマシだ。
そう思って、魔法を起動しようとして……起動しなかった。

「あれ? そんな筈は……」

焦っているのかともう一度、最初から術を組み直そうとして……笛の音が聞こえた。監視員らしい男が僕に近付いてくる。

「な、何でしょうか?」
「ここは魔法の使用は禁止なんだよ。悪用する人間が居てもいけないからね。ビーチ全体に強力な結界が敷かれている」
「ええ!?」

何と無駄な機能を付けてるんだろう。
思わず上げた素っ頓狂な声と共に僕は盛大に溜息を吐いた。

「まぁ、そういうことだから魔法は使わないでくれ。もちろん防音結界もな。ここは包み隠さない快楽の場所だ」
「…………」

がっくり項垂れる僕に一人解ったようにうんうんと監視員が頷く。

「ところでだ」
「……何ですか?」
「さっきから見ていたんだが…君の彼女、行ってしまったんだろう? 良かったら、俺が君の相手を……」
「結構です」

もちろん監視員だって何も纏っていない。
使い込んだのか、日焼けか知らないが、黒光りしているモノをおっ勃てながら、とんでもない事を言う監視員の言葉に、
尻の穴が思わず締まる感覚を覚えながら僕は即答で断った。

断られて残念そうに立ち去っていく監視員。
もし、厳つい男にアッーされているところへフェイトに戻ってこられでもしたら、それこそ生きていられない。というか生きていたくない。
そう考えたら、勃起も少し治まった。

「ああ、そうそう。この結界ね。男性の精液の量を増やす効果があるから。いくらでも射精るよー、子作りにはバッチリさ」

389 夏の海の快④ :2009/06/26(金) 13:08:50 ID:wHrV5rUg
フェイトが帰ってきたら、謝ってすぐに帰ろう。
立ち去りながら、とんでもないことを最後に言った監視員を決して見ないようにしつつ、自分の耳を出来るだけ塞ぎながらそう思った。
これ以上ここに居てはいけない。絶対に。

※※※

「はぁ……」

いたたまれなくて、つい走って来ちゃった。
売店の近くまで来て足を止めて、私はジッと自分の身体を見る。

「やっぱり……」

そっとおっぱいに触れてみた。汗もあるけど、ぬるりとする乳首の感触。
私の手に付いたのは白い液体。そう、間違えようもなく母乳。
妊娠してもいないのに興奮すると母乳が出てしまうんだ、私は。
ホルモンバランスのせいなのか、プロジェクトFの欠陥のためなのかは知らないけど。

溢れたお乳が解らないようにおっぱいを手で拭っていく。
だけど、拭っている内にまた変な気持ちになってきた。
今も興奮は治まっているわけない。そんなところでおっぱいを弄るなんて、逆効果かもいいところ。
だけど、噴き出した母乳をそのままにして歩くなんて恥ずかしいことこの上ないし。
拭うだけ拭ったけど、今度は身体が火照ってしまう。

「いっそ、一人で……駄目駄目」

さっきから見てれば、周りにそんな女性はたくさんいる。
そんなことをしていたら、きっと誘っているって勘違いされるに決まっている。
ブンブン頭を振って浮かんだ考えを振り払った。

「ん……!」

身体は火照りっぱなしだから、動こうとしたらあそこから愛液が垂れてきた。
垂れた液を手で拭う。自分でもはっきり分かる。
今、この上無いくらい興奮している。

これは……周りのせい? それともユーノが私に……興奮してくれたから?
そこは考えても分からない。
そのまま、ついついあそこに伸びそうな手を押さえて私は売店へと向かった。

「すいません、オレンジジュース二つ。後、サンオイルあったらもらえますか?」
「あいよ」

私を一瞥して売店のおじさんが口笛を吹く。
私の身体って、やっぱりスタイル良いのかな?
自慢ではないが、おっぱいは大きい方だと自覚してる。
大きさだけなら、シグナムやすずかの方が大きいんだろうけど。

だけど、大きくて得したことはあまりない気もする。
男の人にはエッチな目で見られるし、触られたことだってある。それが少し嫌だった。
さっきのユーノも私をそんな目で見ていたのかな。
もし。そうだとしても……。

「ユーノなら、私、嫌じゃない……」

ユーノが私で興奮してくれたなのら、むしろ嬉しい。何故だかそんな気がした。

「ほい、お待ち。今、何か言ったかい?」
「い、いえ。ありがとうございます」

390 夏の海の快⑤ :2009/06/26(金) 13:09:43 ID:wHrV5rUg
また、ぼんやりとしていたのか。おじさんの声で正気に戻った。
お代を払って、ジュースの缶とサンオイルの瓶を受け取って、私の頭に疑問が浮かんだ。
透明な瓶の中に入っているオイルがゲル状。どう控えめに見てもローション。

「あの…このオイル」
「ああ、れっきとしたサンオイルだぜ? 口に含んだって害のない作りになってるし、見た目それっぽいけどな」
「………そっちの方が主目的な気がします」

眉間にシワを寄せる私に売店のおじさんが大声で笑う。

「まぁ、ここはそういう場所だしな。何だったらそのボインに塗って彼氏のでも挟んでやればいいじゃないか。気持ちいいって泣いて喜ぶぜ? きっと」
「…………」

ますます大声で笑うおじさんに私は両手で頭を抱えたかった。塞がっているけど……。
大体、ユーノは……彼氏なんかじゃないし。

「え……?」

不意にズキンと胸が痛んだ。
ユーノが彼氏じゃない? そんなの当たり前じゃない。

「何だったら、俺で練習してみるかい? ……冗談だって、んな怖い顔で睨むなよ」

ギッと私が睨むと戯けたように肩を竦めておじさんは笑って誤魔化しだした。
冗談じゃない。誰とも知らぬ男の人となんか。

「でも、ユーノとなら……」

あれ?
私、ユーノとなら良いの?
さっき、危うくユーノのおちんちんに手を出しかけたことを思い出した。
あれがもし、クロノだったら? グリフィスだったら? ヴァイスだったら?
そんな気になるだろうか……いや、多分ならない。

なら、何でユーノだけ。
ズキンとまた胸が痛む。

「………ああ、そっか」

さっき分からないと言ったことが分かった気がした。
おじさんが怪訝そうな顔をするが、これ以上は話していてもジュースがぬるくなるだけだ。
そう思った私は足早にそこを後にしてユーノの元に向かった。

※※※

「お待たせ、ユーノ」

戻ってきたら、ユーノは周りを見ないようにして、ブツブツ何か呟いてた。
平常心でも保つために素数でも数えてるのかな?
私が話しかけても気が付かない。
ムッとした私はユーノの首筋にジュースを押し当てながら耳元で囁いた。

「ユーノってば」
「わっ!? ふぇ、フェイト!?」

391 夏の海の快⑥ :2009/06/26(金) 13:10:27 ID:wHrV5rUg
ビックリしたのか、多少裏返った声で名前を呼ぶ彼が面白かった。
楽しそうに笑っている私を見て、彼はまた顔を反らした。
一瞬、怒らせちゃったのかな、と思ったが違った。
私のおっぱいに目が行っちゃったんだろう。よく考えたら、私はもう隠しもしていなかった。

きっとおちんちんを治めようと何かブツブツ言ってたんだろうけど、また元気になっちゃったみたい。

「ユーノ、ジュース飲まないの?」
「あ、う、うん」

火照りを治めたいのか、私を見ないようにしながら一気にジュースを喉に押し込むユーノに私はまた笑って思った。

(真面目なんだから)

彼とは逆に私は少し余裕が出来た気がした。
身体の火照りも、今身体を支配しているこの感情も。
さっきのお乳も。全部、ユーノが一緒だから。
他の人じゃこうはならないと思う。

(私は……ユーノのことが好きなんだ)

もう素直になろう。

(私はユーノと気持ちよくなりたいんだ)

心より身体で気が付くのが先なんて、エッチな子だと自分でも思う。
きっとユーノはこんな私を嫌がるだろう。だけど、素直になるって決めちゃった。
売店のおじさんの言葉じゃないが、ここはそういう場所なんだから。

「あ、あのさ、フェイト、そろそろ帰ら……」
「ねぇ、ユーノ。サンオイル塗ってくれる?」

ユーノがそう言い出すだろうとは予想していた。
出鼻を挫くようにうつ伏せになって、背中を向ける私にユーノがギョッとして、こっちを向いた。
私は瓶のフタを開けて、ユーノに差し出す。

「えっと、フェイト? 僕は帰ろうって……」
「帰るなら、泳いだ後にしようよ? せっかく海に来たのにまだ入ってもないんだよ、私達」
「それはそうだけど……」
「ね……? お願い」

見上げる私の視線にユーノは折れてくれた。
瓶を受け取って中身を手に出して、ユーノが顔を顰めるのが見えた。

「ねぇ、フェイト。これ、本当にオイル?」
「売店のおじさんはそうだって言ってたよ」

どう見てもローションにしか見えないそれを手にユーノは私の横に回って、背中に塗ってくれ始めた。
ユーノの手が背中を這う度に厭らしい音が聞こえて来る。
優しいユーノの手つきと相まって、私の背中をこの上ない快感が襲う。

「こ、このくらいでいいかな?」
「うん……あのね。お尻もお願い」
「そ、そのくらい自分で……!」
「お願い、ユーノ」

有無を言わせない私の言葉にユーノは困りながらも、恐る恐る私のお尻に手を触れた。
一瞬だけ、私がビクンと震えたのを見て、ユーノの手が止まる。

392 夏の海の快⑦ :2009/06/26(金) 13:11:09 ID:wHrV5rUg
「ご、ごめん。ちょっと緊張しちゃっただけだから。つ、続けて」
「………分かった」

少しユーノの声のトーンが変わった気がした。
あそこだって、もうぐっしょり濡れてるんだ。
ユーノはきっと気が付いてる。私が誘ってるんだって。
私の想いに気が付いてくれてるかは分からないけど。

また、ユーノの手が私のお尻に触れる。
揉むようにオイルを塗っていくユーノの手つき。
自分の顔が段々と喜色に染まっていくのが分かる。

伏せているからユーノには見えていないだろうけど、お乳もまた噴き出してる。
やっぱりユーノだから。ユーノが好きだから。きっと、こんなに興奮するんだ。

「も、もういいでしょ、フェイト?」
「うん、ありがとう」

私が身体を起こすのを見て、反射的にユーノはこちらに背を向けた。
背中がこちらを向いているなら、好都合。今度は私が塗ってあげる番だ。
瓶を傾けてオイルを出す。手だけではなく、私のおっぱいにも。
興奮して痛いくらいにピンと勃っている乳首とそこから出ているお乳。
乳首をコリコリ弄って刺激して、飛び出すお乳とオイルを混ぜ合わせる。
厭らしい音が響く。ユーノはこっちを向こうとはしない。
きっと私が胸やお腹に自分でオイルを塗ってると思っているんだろう。

「ユーノ」
「な、何?」
「今度はユーノ背中に私が塗ってあげるね」
「え!?」

言うが早いかユーノが振り向く前にそのままユーノの背中に抱き付いた。
おっぱいにユーノの背中が当たる感触が気持ちいい。

「フェイト!? な、何して!?」
「んー、何って? オイル塗ってあげるだけだよ。手でやるより、この方が早いし気持ちいいから」
「気持ちいいって、うあ……!?」

背中におっぱいを擦りつけながら、私はユーノの前側に手を回してオイルで濡れた手で掴んだ。
硬く勃起して、カウパーが先走るユーノのおちんちんを。

「くぁ…フェイト、何で……こんな事!」

身体をユーノの背中に上下へ擦りつけながら、おちんちんをレバーを握るみたいに竿と亀頭に手を当てて、優しく擦る。
おちんちんを私に扱かれるの気持ちいいみたい。
扱く度にピクンとおちんちんが脈打っていく。
ユーノが喘ぐのを見て、私はますます興奮してきた。
お乳が溢れて、擦りつける度に厭らしい音が増していく。

「くぁ!? フェイト、駄……!」

我慢しきれなくなったユーノのおちんちんからたっぷりと白濁したモノが、精液が噴き出した。
亀頭を押さえていた私の手に勢いよく拡がっていく。あったかい。ううん、熱いくらい。

「フェイト……何で…こんな、こと」
「気持ちよくなって欲しいの……私、ユーノが…好きだから」
「え……」

ユーノの疑問に私はそう答えた。
気持ちよくなって欲しい。気持ちよくして欲しい。一緒に気持ちよくなりたい。

393 夏の海の快⑧ :2009/06/26(金) 13:12:00 ID:wHrV5rUg
ユーノが好きだから。
今、私を支配している感情はそれだけだ。
この後で嫌われたっていい。今はただ二人で気持ちよくなりたかった。

「フェイト…今なんて」

おちんちんを扱いていた私の手がユーノにグッと掴まれた。

「私、分かったんだ。ユーノが私に興奮してくれてるのを見て。私は……ユーノが好きなんだって」
「フェイト、それは違うよ……君のその感情はただの……」
「違わない。興奮だけじゃないよ、私、考えたよ。想像したよ。もし、ユーノ以外の人だったらって。……誰でも嬉しくなかった。ユーノだけ。ユーノだけが嬉しかった」

嫌われたっていい。今はただ気持ちよくなって。
そう背中越しに私は囁いた。
この後の結果なんて分かっている。私が嫌われて終りだ。
だから、今は精一杯気持ちよくなってもらおう。

そう想って、身体を擦りつけようとしたらユーノの身体が前に逃げ出すように動いた。
私の方をユーノが振り向く。

身体中、オイルやらお乳やらでぐちょぐちょになっている私。
手もユーノの精液に濡れて。こんな厭らしい子、ユーノ嫌いだよね。
………終わっちゃったな。
そう思った。だけど、次の瞬間。
ユーノは正面から私を抱きしめてくれた。

「フェイト……僕だけが嬉しかったって、本当?」
「……本当だよ」
「僕は…君に好かれてるんだって自惚れていいの?」

言葉の代わりに私はユーノの唇を自分の唇で塞いですぐ離した。
ユーノと目が合う。短いキス。これが私なりの答え。

「……フェイト。これが僕の答えだよ。ずっと、フェイトとこうなりたかった。こうしたかった」

今度はユーノがキスを返してくれた。私をギュッと抱きしめて、口の中にユーノの舌が侵入してくる。ディープキス。
舌と舌が絡み合う。抱きしめられた身体と身体も絡み合う。幸せだった。

「いいよ。ユーノのしたいことしていいよ。私もユーノにしたいこと、してあげるから」

身体を一旦離して、私はユーノの前に屈み込む。
まだまだ元気なおちんちんを優しく握って、今度は胸の谷間に挟んで、上下、左右、前後、交互、色んな動きを加えてみた。
こういう時、大きくて柔らかいおっぱいって便利だね。

「うぁ……いいよ。フェイト。それすっごく気持ちいい」
「本当? じゃぁ、もっと良いことしてあげふ」

おっぱいに挟んだままユーノのおちんちんの先端を口に含んだ。
舌を動かすたびに先走ったカウパーが口の中に拡がる。

「はちゅ、ぷぁ、ユーノのおひんひん、おいひぃよ」
「ふぇ、フェイトそんなにされたら、また射精る! 射精ちゃうよ!」

おっぱいの動きに加え、口の中で亀頭を回転するように舌で私に攻め上げられて、ユーノの腰が震えだした。

「ぷは。いいよ、射精して! ユーノのエッチなサンオイルいっぱいちょうだい!」
「うあ!?」

394 夏の海の快⑨ :2009/06/26(金) 13:13:01 ID:wHrV5rUg
一際強く私におっぱいで扱かれて、刺激にユーノのおちんちんが爆発した。
先端から勢いよく噴き出す白濁。口で受け止めようとしたけど、無理だった。
扱いたことでわたしのおっぱいも一緒に噴き出す。
私の顔を、おっぱいを。勢いよくお互いの白いサンオイルが征服していく。

「ぷぁ、けほっ。ちゅる。こんなに……ちゅ、射精るんだ」
「うぁ、これ、すごっ。止まんないっ! くはっ……魔法で量が増えるって言ってたけど、射精るのすご……気持ちいい」

射精が断続的に続くおちんちんをアイスキャンディのようにペロペロ舐め続ける。
私の顔もおっぱいも、もう汁だらけ。
なのに射精し終わってもユーノのおちんちんはまだガチガチだった。

射精後の荒い息でユーノがボウッと私を見ている。
咽せそうな精液の臭いが更に私の興奮を誘うのが分かる。

「ぷはっ。ユーノのおちんちん、まだ元気だね」
「ここの結界のおかげかな……フェイトとなら、いくらでも出来そうだよ」
「うれしいな。なら、もっと気持ちよくなろ?」

おっぱいの後は次にやることは決まっている。
仰向けになるとM字に脚を開いて、股間をユーノに見せ付けた。

ピクンと動いて入りたそうにしているユーノのおちんちんを見て、私は両手でその入り口、おまんこを開け広げた。

「はい、ユーノ。今度はここにユーノのサンオイルたっぷり塗って?」
「いいの?」

私は笑顔のまま、何も言わずに頷いた。
もう前技なんて必要ないくらいにおまんこもぐちゃぐちゃに濡れてる。
だけど。ついでだから残ってたサンオイルを周りに塗りたくった。
もう準備は万全だ。

ユーノがおちんちんを宛って、私のおまんこにゆっくりと突き込まれてくる。
限界を超えた処女膜が押し破られた。嬉しかった。好きな人に初めてを上げられたことが。

「んああ!? おっきいのはいってくるぅ。ユーノのおちんちんはいってくるよぅ!」
「くあ!? フェイト、急にそんな締め付けたら! うっ!!」

破瓜のショック。だけど、痛みよりも気持ちいい。
挿入れられただけなのにそれだけで私はイッてしまった。
そのショックでつい強く締め付けてしまう。ユーノのおちんちんがビクンと膣中で震えた。
次いで、灼熱感が襲ってくる。

「……射精てる。私の膣中にいっぱい……」
「ごめん……いきなり気持ちよすぎた」
「ううん、私こそごめん。気持ちよすぎて我慢できなかったよ」

断続的に続くおちんちんの射精の痙攣がすごく気持ちいい。
たっぷり射精されたのにまだユーノのおちんちんはすごく硬い。繋がったままで硬さを失っていない。

「フェイト、大丈夫? もう止めようか?」
「ううん、平気。痛さより嬉しさですごく気持ちよかった。まだ……硬いね。いいよ、このまま」
「………うん、それじゃいくよ」


再び私の奥深く突き込まれるおちんちん。
段々とユーノの腰が動き出す。ゆっくりだったり、急にだったり。
とにかくユーノが動くたびに気持ちよくて仕方ない。声を上げるのが我慢できなくなった。

395 夏の海の快⑩ :2009/06/26(金) 13:15:06 ID:wHrV5rUg
「あはっ、ゆーのぉ、もっと、もっとついてぇ、おっぱいもいじってえ!」

突き上げられるたびに嬌声が上がってしまう。
多分、他には見せられないくらいのアヘ顔になってるんだろうなってことくらいは分かる。
けど、気持ちよくて仕方ない。
気持ちよさそうなユーノを見ているのが嬉しい。

私の言葉に腰を激しく突き上げながら、ユーノがおっぱいを揉んだり乳首を扱いたり、吸い付いたりする。

「ぷはっ。フェイトのおっぱい、美味しいよ?」
「ほんとう、わたしのおっぱいおいしい?」
「本当だよ、ほら」

溢れ出る私のお乳を口に溜めて、ユーノが私の唇を塞いた。
自分のお乳をユーノの口移しで飲む。舌が絡み合って、口の端からちょっとだけ零れちゃった。
とってもおいしい。ますます興奮が高まる私。ユーノのおちんちんがまた大きくなった気がする。

「もっとぉ、もっとしよ、もっとほしいの!」
「僕も……僕も、もっとフェイトと深く繋がりたい!」

そう言ってユーノ私を抱き起こす。

「んあああ!? ふかい、ユーノのおちんちんふかいよぅ!!」

背中に手を回して逃げられないようにして、ズンと一層深くおちんちんが突き込まれた。
私も負けじとユーノの背中で足を交差して更に強く抱き付いた。
ユーノが腰を振る度、私たちの重なっている身体が厭らしい音を立てる。

「くぁ!? もう射精るっ! 射精すよっ!! フェイト!! 君の膣内に射精すよ!!」
「ちょうだい!! ユーノのえっちなサンオイル、フェイトのおなかいっぱいにぃいいいぃ!! 」

ユーノが限界を迎えて、私を一際強く突き上げた。
ビュクン。そう聞こえそうなくらいの勢いで膣内に精液が拡がっていくのが分かる。
ポッコリお腹が膨れるくらいに射精された精液で満たされる。
入りきらず溢れ出た精液が伝って、マットに零れてるのが分かる。もったいない。

「でてるぅ。ユーノのおちんちんから、いっぱい、いっぱいでてるよぅ。しあわせぇ……」
「フェイト、フェイトォ……」
「ユーノぉ、はぷっ、ぷはっ」

ユーノが恍惚とした顔でボゥッとしている私の唇を自分ので塞いで舌を絡み合わせた。
この日、私たちはこんな調子で日が傾くまでずっと繋がりっぱなしだった。


後で正気に戻った時、二人してとんでもないことをしちゃったと頭を抱えたけど、ユーノが好きな私の気持ちに偽りはない。
ユーノもそれは喜んでくれた。
少し残念な事は、あれだけ射精してもらったのに当たらなかったこと、かな。

それともう一つ。
後で知ったことだが、やはり、倫理的に問題があったらしく、このビーチはひと夏で閉鎖されたそうだ。
………こっちも、ちょっと残念。




396 79スレ44 :2009/06/26(金) 13:16:06 ID:wHrV5rUg
以上です。
暑くなって来て、筆者の頭も湧いたのでしょう。
自分の性癖が偏っているのを再認識。
多くは語りませぬ。

397 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 16:34:17 ID:UMpA2ntE
実にエロス。最高でした。

398 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 18:04:26 ID:2so5wIJ.
エロ素晴らしいユノフェ超GJ
正直、フェイトに母乳は正義だと言わざるを得ない。

399 ザ・シガー :2009/06/26(金) 19:07:21 ID:Fo5YSxYY
ブロンドエロース乙
ああ、良いねぇフェイトエロは……ほんともうこの子はいやらしいわ。


そして

>>363
はっはっはっは! それは僕にレジなの書け、って事だね?
オーケー、ちょっと超速で仕上げたのを一つ。
とりあえず番外編の一つを投下するさー。

「ある中将と教導官の日々」番外編です、非エロ、長編。

400 ある中将と教導官の日々 :2009/06/26(金) 19:09:38 ID:Fo5YSxYY
ある中将と教導官の日々 番外編 納豆大戦


 盛大な音を立て、ゲイズ家の玄関のドアが開いた。
 出てきたのは最近この家の子連れ新妻として籍を置くようになった19歳の若き教導官、高町なのは。
 いつもは新婚の、少々年の離れた夫であるレジアスに笑顔を向ける彼女だが、今日はその限りではなかった。
 瞳を涙ぐませ、眉を思い切りお怒り気味に歪めている。
 そして玄関を潜るや否や、背後にいた夫に向かって叫ぶ。


「レジアスさんのバカ! もう知らないんだからッ!!」


 と、こんな事を言う。
 対する夫、レジアスもまた然り。


「私だって君の事なんかもう知るものか! 早く出て行ってくれ!」


 なんて会話を交わし、その日の朝ゲイズ夫婦は大喧嘩した。
 新妻のなのはは泣きながら荷物を手に家を飛び出して行き、レジアスはそんな彼女の背をただ黙って見ていた。
 これは後に管理局を、否、全次元世界をカオスに導く序章……納豆を巡る、凄まじき闘争の物語。





「で?」

「うん、家を出てきたの」


 両手で抱えたカップからぬる〜いコーヒーを飲みつつ、なのはは言う。
 相手は10年以上の付き合いの親友、フェイト・T・ハラオウンだ。
 場所は彼女にとって懐かしき、機動六課隊員寮。
 といっても、レジアスと入籍し彼の家に移り住んでからまだ2ヶ月も経っていないのだが。
 結婚して寮を出て、ヴィヴィオを連れてゲイズ家に行った筈になのはがある日突然転がり込んできた。
 それも日曜の思い切り気だるい午前11時35分という時間帯だった。
 しかし我らが金髪巨乳美人執務官は嫌な顔一つせず、親友を迎え入れた。
 コーヒーとお茶菓子のクッキー付きで、だ。
 なのははちびちびコーヒーを啜りつつ、クッキーをハミハミしながら今までのいきさつを懇切丁寧に友へと語る。


「でね、レジアスさんったら酷いの」

「うん」

「“絶対にそんなの食べない”って言うんだよ!?」

「うん」

「酷いよね! 酷いでしょ!?」

「うん」


 何度も疑問符を連ねて問う友人に、フェイトは慈母の笑みで何度も“うん”と頷く。
 そんな彼女に、それこそ何度目か分からない言葉をなのはは吐いた。


「納豆嫌いなんて信じられないッッ!!」


 と。
 そうなのだ、この日なのはが家を出てフェイトの元に転がり込んできた理由がこれなのだ。
 つまり、レジアス・ゲイズは納豆が嫌い、なのである。
 きっかけは家族で取った初めての朝食だった。
 新妻となった我らが愛すべき教導官、高町なのはは張り切った。
 夫であるレジアス、幼女として娘として引き取ったヴィヴィオ、夫の連れ子であるオーリス、そして自分。
 四人分の朝食を作るなんて初めての事なのだから。
 家族で取る朝食は和風か洋風か迷ったが、その末に前者にしようと決めた。
 ならば欠かせない物がある。
 もちろんそれは納豆。
 菌類と人類が生み出した至上・至高の食品である。
 なのはは納豆が好きだった。
 熱々のご飯に少々の醤油だけで味付けした納豆を一緒に食べる、それはもはやこの世に存在する芸術と形容すべき味である。
 この美味しさを大好きな人にも味わって欲しい、心の底からそう思った。
 しかし、結果はどうだろう。

401 ある中将と教導官の日々 :2009/06/26(金) 19:11:28 ID:Fo5YSxYY
 レジアスは納豆を一粒口に入れた途端、まるで地上本部にガジェットが突っ込んできたみたいな顔をした。
 まあ、最初は仕方がないか。
 そう思った。
 慣れればきっと変わるだろう、と。
 この味に親しみを感じてくれるだろう、と。
 なのははめげずに納豆を食卓に並べた。
 ネギ・シソ・タマゴ・キムチ・大根おろし・シラス・オクラ、様々な組み合わせで試行錯誤した。
 その結果が今朝の騒ぎである。
 遂に限界、とばかりにレジアスは言った。
 もういい加減にこれは勘弁して欲しい、と。
 愛する納豆を愛する夫に否定されたなのはの悲しみと怒りは、それはもう激しかった。
 もしあと一歩理性の制動が切れていたら、家の中だろうと相手が夫だろうとレイジングハートを起動して魔力的に頭を冷やさせたかもしれない。
 しかしそんな惨劇を起こすより先に彼女は目を涙で潤ませて、バカバカ大っ嫌い、と叫んで家を出た。
 で、まあ今に至る訳である。


「ね? フェイトちゃんも酷いと思うよね! ね!?」


 さながら法廷で熱弁する敏腕熱血弁護士のように、なのはは己が主張の肯定を共に求めた。
 これに我らが脱衣美尻執務官はやや困ったように苦笑する。


「うん、そうだね。うん、分かったから落ち着こうね。もう30回くらい聞いたからね」


 と、まるで聞き分けのない子供を優しく優しく諌めるお母さんのように言う。
 まあ、実際正確に言えばなのはがこの台詞を吐くのは45回目であり、フェイトもその回数は冴え渡った思考できちんとカウントしていた。
 しかし正直に言ってもなのはの怒りに火を注ぐかもしれないので15回分ほど差っ引いておいたのだ。
 流石は我らがナンバーワンエロティカルウーマンである、思いやりとエロスなら誰にも負けない。
 が、そんなフェイトの優しさなんて関係ねえなの! とばかりの勢いで我らが砲撃ツインテは言う。


「これが落ち着いていられるかなのッ!」


 バン、とテーブルを叩いて怒る教導官。
 しかし次の瞬間には、よよよ、と泣き出す。


「このままじゃ……皆で楽しく納豆が食べられないの……」


 さながらこの世の終わりのように嘆くなのは。
 流石にそろそろフェイトも疲れてきた。
 んな事で泣くなよ、と言いたいところである。
 というか、何が悲しゅうてこんな話を聞かなくてはいけないのか。
 せっかくの日曜なんだからもう少しゴロゴロするなり、お昼に放映する“なんでも鑑定陣”の再放送を見るとかしたい。
 しかしそんな思考は瞬く間に一蹴だ。
 親友が困っているんだから、ちゃんとお話聞いてあげないと。
 と、フェイトは心の中でガッツポーズ、自分に活を入れる。


「うん。でもねなのは、人には色んな好みとか好き好きがあるでしょ? 嫌いなものを無理に食べさせるのは、どうかな?」


 フェイトは、それはもう優しく優しく言った。
 なるべく刺激しないように、なるべく理解してもらうように、ゆっくりと丁寧に。
 さながら立て篭もり犯を説得するネゴシエーターである。
 しかし彼女の努力も虚しく、親友は超理不尽な事を言う。


「なんでそんな事言うのッ! フェイトちゃんは納豆抜きで生きていけるって言うのッ!?」


 いや、全然生きていけるがな。
 そう答えなかっただけフェイトの理性は超堅固である。
 ただし彼女の額に血管が浮いており、激しく自重してるのが分かる。
 もういい加減我慢しなくていいですよ、と誰か言ってあげて欲しい。
 しかしそれでもめげない我らがフェイト、ミス機動六課は伊達じゃない。
 あくまで理性的に、あくまで優しく、あくまで落ち着いて。
 冷静になれ自分、アイアムクール&ストリップ、と自制して言う。


「うん、だから落ち着こうねな」


 なのは、と続けようとした。
 だがそれを阻むように響く声一つ。


「なのはさん!」


 バタン、とドアを蹴破り開ける音と共に部屋に現れる人影。(ここはスライド式自動ドアだったはずなのだが)

402 ある中将と教導官の日々 :2009/06/26(金) 19:12:23 ID:Fo5YSxYY
 スラリと伸びる長身にキラリと眼鏡を光らせた理知的女性、誰あろうなのはの義理の娘、オーリス・ゲイズその人である。
 オーリスはシャープな眼鏡を指で押し上げ、位置を直しつつ二人の下に歩む。


「探しましたよ、なのはさん」

「な、なんの用ですか!? 私は皆が納豆を食べるようになるまで家には……」

「違います」

「え?」

「私もなのはさんに賛同して家を出てきたのです。一緒に納豆を食卓に並べましょう!」


 キラリン、と眼鏡を光らせながら言うオーリスさん。
 なんという事か……彼女もまた納豆という甘美なる魔の食材に心奪われた存在になっていた。
 なのはが食卓に並べる納豆を一粒、また一粒と食べていく内に、さながら卑しい雌を調教するかの如く味覚を納豆に犯された。
 もはやオーリス・ゲイズという女は納豆なしには生きていけない身体になっている。
 恐るべし納豆、納豆菌と大豆の織り成す芸術的健康食。
 こうして心強い味方を得て、なのはは嬉しげに楽しげに笑む。


「うん! 一緒に納豆布教だね!」

「ええ、そうですとも!」


 がっちりと腕を組み、情熱的に納豆愛に燃える義理の親子。
 二人は語る、どうやってレジアスに納豆を食わせるかを。
 熱く熱く、それこそ火の点きそうな勢いで。

 ただ、その様をフェイトは溜息を押し殺して、額の青筋を必死に抑制して見ていた。
 とっとと帰れ、と思いながら。



続く。

403 ザ・シガー :2009/06/26(金) 19:15:15 ID:Fo5YSxYY
投下終了です。

ああ、なんというか……美味しんぼの納豆話を見てたら思いついた。
少しだけ後悔してる、あまりに馬鹿馬鹿しくて。

まっとうなエロSSの後の、ネッチョリ感を別のネッチョリで(納豆的な)楽しんでいただければ幸いです。
全3回くらいを予定しておりますー。


さあて、そろそろ他の長編と短編ドエロを書かねば。

しかし……久しぶりにリンディさんとか書きたいなぁ、エロで。

404 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 19:37:20 ID:UMpA2ntE
フェイトさんマジ大人。さすが人間が出来ている。
こんな人物の優れたフェイトさんが実にエロいのはなんか良いよね!具体的には豊満なボディとか。

405 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 20:12:44 ID:oRr6kVdM
>>396
母乳最高。ユノフェ最高。GJでございました!

406 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 20:28:43 ID:1kZHZaWg
>>403
くっ、馬鹿な。
このオレが、オーリスに心奪われつつあるだと?!
なんかいいな、このオーリス
GJ!

407 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 20:52:02 ID:MmxPmG4U
79スレ44さん、ザ・シガーさん二人の作品の順番逆にして読むと
ザ・シガーさんのフェイトの後日談を79スレ44さんが書いたように見える
お二人共GJ!

408 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 21:18:07 ID:UMpA2ntE
二度レスして申し訳ないが……、今気がついた。

>ナンバーワンエロティカルウーマン
>アイアムクール&ストリップ

フェイトさんww
確かに、フェイトさんに集中して>>400-402>>386-395の順番で読むと妙にしっくり来るな。

409 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 21:52:14 ID:wdkOY1zs
>>396>>403
GJ!

>>399
ちょwwww超速でって、昨日の今日じゃねーかw
どんだけサービス精神旺盛なんだよw

410 名無しさん@魔法少女 :2009/06/26(金) 22:32:33 ID:K8PH5uuU
>>403
396ではないがまさか書いてくれるとは思わなかったw
なのはさんも語尾が「なの」になってこれはやばいぜ。

411 名無しさん@魔法少女 :2009/06/27(土) 00:23:43 ID:dx6vtdMc
>406
ばかだなぁ。

オーリスは良いんだよ。昔から。

412 名無しさん@魔法少女 :2009/06/27(土) 00:36:16 ID:.EWxcWm6
そういえば久々の納豆SSだな

413 名無しさん@魔法少女 :2009/06/27(土) 01:05:50 ID:tGRat/.2
>>403
エロスでラブラブなレジなのをお待ちしてます。
そして素晴らしくGJ!

414 ザ・シガー :2009/06/27(土) 18:44:35 ID:pMiLbH2o
>>オーリス
オーリスさんは良いに決まってる。
初登場時から好きだぜ。

>>レジなのでエロ
ハハハ! まだキスシーンも書いてないのに、エロなんていけるかよ。




で、避難所なのでSS以外にも絵を描いてみようぜ、のコーナーです。
アルカディア氏の大傑作短編SS、『Purple Purple Holy Night 』の絵です。

まあね、なんていうかね……もうこのSS大好きなんです。
パロ非エロ短編史上、俺が最も愛するSS。
読み終えてここまで心を幸せにしてくれるS話はそうはないぜ。
あんな素敵な物語を読ませてくれたアルカディア氏に最大最高に敬意を込めて。
拙い画力ながらもうpしますー。

http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org176561.jpg_pBLlVsITKsr6P7zsXea3/www.dotup.org176561.jpg

415 B・A :2009/06/28(日) 01:36:16 ID:Kis.uGRI
人妻エロスに息詰まった。
代わりに変な妄想が生まれたので文章化。
ここまでネタに走ったのは初めてかもしれない。


注意事項
・非エロ
・ギャグ(というかパロディ)
・もしもリリカルなのはが○○だったら
・原作の雰囲気ぶち壊し
・散りばめられたネタにいくつ気がつくか

416 もしもリリカルなのはが特撮ドラマだったら① :2009/06/28(日) 01:37:51 ID:Kis.uGRI
前回までの、リリカルなのは

続発するガジェット犯罪に対処するため、時空管理局は精鋭のみによって構成された特殊部隊“機動六課”を設立する。
その中には、不屈のエース・オブ・エースの異名を持つ“スターズ01”高町なのはによって実力を見出された
スバル・ナカジマの姿もあった。
だが、部隊の結成式典をガジェットの大群が強襲。部隊は壊滅し、なのは達も行方不明となる。
たまたま遅刻してきたことで襲撃を免れたスバルは、怒りに任せてガジェットを攻撃するが、力及ばずに敗北。
そして、彼女を庇ったギンガがガジェット達に攫われてしまう。
憧れの人と最愛の姉を一度に失ったスバルは、父ゲンヤの下で生き残った新人達をまとめ上げ、新生機動六課を設立。
表向きは喫茶店を装いながら、“魔法少女スターズ03”として敢然とガジェット犯罪に立ち向かうのであった。




〜アイキャッチ〜




『第9話 敵か味方か、謎の戦士ギンガーマン!!』



ミッドチルダの某所に存在する地下施設。
そこは、次元世界の支配を目論む“スリー・ブレイン”と、狂気の天才科学者ジェイル・スカリエッティの秘密基地である。
スリー・ブレインは次元支配の足がかりとしてミッドチルダに目を付けるが、スカリエッティが送り出すガジェット達は
謎の魔導師スターズ03によって悉く破壊され、計画は遅々として進んでいなかった。

《スカリエッティよ、ミッドチルダ征服計画はどうなっている?》

頭を垂れるスカリエッティの頭上で、壁に施された彫刻の目が音声に合わせて点滅する。
スリー・ブレインはスカリエッティにその姿を見せず、指令のみを送ってくるのだ。

《当初の予定よりも計画が遅れているとの報告だ。いったい、いつになったらミッドを制圧するのだ?》

「今しばらくの辛抱を。忌々しいスターズ03など、直に排除してご覧にいれます」

《言い訳はいい、結果を残さねばお前の今後はないと思え》

一方的な言葉を突きつけ、スリー・ブレインからの通信は途絶える。
姿勢を正したスカリエッティの表情からは、僅かに不快な色が読み取れる。 

「ウーノ、スポンサー様はお怒りだ。この辺で一つ、大きな花火を上げねばならない」

「では、アレを使われるのですか?」

傍らに付随っていたウーノが、仮想ディスプレイを展開しながら問いかける。
そこには、鋭い鎌を有した蜘蛛のような自立兵器が映し出されていた。

「お披露目はもう少し後にするつもりだったが、こうなっては仕方がない。
これより、クラナガン火の海作戦を開始する」





クラナガンの郊外に設けられた海上施設。
それは、クラナガンの全ての電力を賄う海上エネルギープラントだ。
そこに送り出された蜘蛛型兵器“ガジェットⅣ型”は、配下のガジェットⅠ型達と共に施設の破壊を決行する。
クラナガン火の海作戦とは、エネルギープラントを爆破してクラナガン中を火の海と化し、
ガジェットの恐ろしさをミッドチルダ中に広めようという恐ろしい計画だったのだ。
だが、悪魔の如き狡猾な作戦を人知れず察知し、完全と立ち向かう者達もいた。

417 もしもリリカルなのはが特撮ドラマだったら② :2009/06/28(日) 01:38:57 ID:Kis.uGRI
「やぁっ!」

突如として乱入した赤髪の少年が、蒼い槍を一閃してガジェットの群れを薙ぎ払う。
少年の名はエリオ・モンディアル。市民の生活を脅かすガジェットと戦う機動六課の一員だ。
ガジェット達がエネルギープラントの爆破を目論んでいるという情報を独自に入手した彼は、
相棒であるキャロ・ル・ルシエと共に現場へと急行したのである。

「キャロ、援護をお願い!」

「うん、キャロにお任せ」

群がる雑魚ガジェットを切り捨てるエリオの後ろから、キャロは得意の支援魔法を発動。
心強い援護を得たエリオは果敢にガジェットの群れを蹴散らし、ボス格であるⅣ型へと迫る。
だが、スカリエッティが鳴り物入りで投入したⅣ型は手強く、エリオの攻撃ではその装甲に傷を付けることすらできない。

「エリオ君!」

「キャロ、スバルさんに連絡を………早く!」

壁際へと追い詰められていくエリオが何とか持ち堪えている隙に、キャロはその場を離脱。
所持しているデバイスに内蔵された通信機を起動し、秘密基地にいるスバルを呼び出した。





クラナガンの一角に、知る人ぞ知る喫茶店がある。
上質なコーヒーを出す親父と年若い子ども達が経営しているその店が、
ガジェットと戦う機動六課の秘密基地であることを、市民は誰も知らない。

「はぁ、やっぱり父さんの淹れてくれたコーヒーは最高だなぁ」

上司でもある父親から淹れてもらったコーヒーを啜り、スバルは一息を吐く。
先ほどまで体を動かしていたのか、タンクトップとジャージというラフな格好だ。
額からは健康的な汗が滴り、白いタンクトップが僅かに透けている。

「おいおい、煽てても何も出ないぞ」

そうは言うものの、ゲンヤは満更でもない様子であった。

「だって、おいしいものはおいしいんだもん………あっ!?」

不意にスバルが握っていたカップの取っ手が砕け、褐色の液体が床へと零れ落ちる。
取っ手が脆くなっていたのではない、スバル自身の力で圧壊したのだ。
出自は不明だが、彼女は何者かによって改造手術を施された戦闘機人なのである。

「改造された部分が、まだ制御できていないんだ」

「気を落とすな。お前が何であろうと、俺の娘であることに変わりはない。お前は人間だ。
血も涙もない、機械とは違う」

「父さん…………ありがとう。けど、奴らの企みを挫くまでは…………ガジェットと、
そいつらを陰で操るスカリエッティを倒すまでは…………あたしは機械で良い」

「スバル………………」

悲壮な決意を固める娘を前に、ゲンヤは何も言うことができなかった。
その時、カウンターの裏に据え付けられた通信機が受信を知らせる。
父親としての顔から指揮官としての顔となったゲンヤは、すぐに通信機へと手を伸ばし、
応答のスイッチを入れる。

418 もしもリリカルなのはが特撮ドラマだったら③ :2009/06/28(日) 01:39:45 ID:Kis.uGRI
「こちらゲンヤだ。どうぞ」

『こちらジュニア魔法少女隊、キャロ・ル・ルシエです。エネルギープラントにガジェットが暴れています! 至急、応援を!』

「わかった、すぐに救援を送るから、それまで持ち堪えるんだ。無理はするんじゃないぞ」

通信を切り、ゲンヤはスバルへと向き直る。
無言で頷いたスバルは、即座に勇敢な戦士の顔となって店を飛び出す。
仲間の待つ戦場へ、憎きガジェットのいる戦いの場へとスバルは走る。
その胸に宿る、正義の心のままに。





Ⅳ型の圧倒的な力の前に、エリオはとうとう屈してしまう。
鋭い死神の刃が振り上げられ、幼き槍騎士の首筋目がけて勢いよく振り下ろされる。
その時、颯爽と現れた蒼い少女が、Ⅳ型の胴体に強烈な飛び蹴りを放った。

「とうぅっ!!」

吹っ飛ばされるⅣ型。
その隙にエリオはキャロに助け出され、安全圏へと離脱する。

「スバルさん!」

「キャロ、エリオを連れて下がっていて。こいつはあたしが!」

「はい」

戦闘に巻き込まれてはいけないと、キャロはエリオを担いで撤退を開始する。
一方、態勢を立て直したⅣ型は新たに無数のⅠ型を呼び出し、スバルを囲うように攻撃を開始した。
如何に改造されたスバルの体といえど、群がるガジェットを前にすれば苦戦は必至。
だが、スバルは慌てることなく右腕を天へとかざし、熱い叫びで大気を震わせる。

「セットアップ!」

瞬間、スバルの体が光に包まれ、ガジェット達の遙か頭上。非常階段の踊り場へと転送される。
その姿は、先程までの彼女とは違う。平和を脅かす敵と戦うための決意の衣装、
魔法少女スターズ03の姿だ。

「魔法少女スターズ03!」

魔法少女スターズ03がバリアジャケットの装着に要する時間はわずか1m秒である。ではそのプロセスを説明しよう。
スバルの発した「セットアップ」コードの発信と共に、インテリジェントデバイス“マッハキャリバー”内にプログラムされた
フィールド魔法が起動。スバル自身の魔力を得て、登録されている防護服を生成し、スバルは僅か1m秒でスターズ03にセットアップするのだ。

(そうだ、この防護服があたしの体。奴らを砕くこの機械こそがあたしの武器。
あたしは魔法少女…………スターズ03なんだ)

拳を握り締め、スバルは跳躍する。
ガジェット達は先手必勝とばかりに熱線を乱射するが、スバルは自身に内蔵された26の秘密の1つ“プロテクション”でこれを防御、
弾幕の隙を突くようにリボルバーシュートで敵陣の一部を吹き飛ばすと、砂煙を上げながら着地して、
ガジェットを相手に大立ち回りを演じる。
迫り来るガジェットを拳で打ち砕き、蹴りで薙ぎ払い、破壊されたガジェット達が爆発していく音で戦場は満たされる。
怒涛の勢いで攻めるスバルにⅠ型達は成す術もなく蹴散らされ、残るⅣ型もジリジリで追い詰められていった。





ガジェット達の戦いを見守っていたスカリエッティは、Ⅳ型の敗色が濃くなっていくのを見て、
傍らのウーノに手をかざす。それは、彼の奥の手を起動させる合図であった。

419 もしもリリカルなのはが特撮ドラマだったら④ :2009/06/28(日) 01:40:28 ID:Kis.uGRI
「ウーノ、AMFを展開するんだ」

「了解。AMF展開」

ウーノの指がキーボードを走り、特殊な信号がⅣ型へと打診される。
それは、あらゆる魔法を打ち消すAMFという結界を発動させるための信号であった。





突如として世界が歪み、体に強烈な重みをスバルを感じ取った。
AMFを展開されたのだと悟ったスバルは防御で攻撃を凌ごうとするが、
俄然、パワフルになったⅣ型の猛攻に耐えきれず、空中高く放り投げられてしまう。

「………ウィングロード!」

叫びと共に蒼いレールが展開し、その上へと着地したスバルは滑空するようにAMFへと突入する。
再び戦場へと舞い戻ったスバルは、Ⅳ型の背後からキックを叩き込み、怯んだ隙に連続でチョップをお見舞いする。
だが、魔法が無効化されたせいで大したダメージは与えられず、逆にⅣ型の攻撃で自身が傷を負ってしまう。
AMFの内部では、ガジェットの能力は相対的に3倍近くまで強化されるのだ。
さしものスバルも本来の力を発揮できない状況では手も足も出ず、徐々にダメージが蓄積して動きも鈍くなっていく。
とうとう固い壁へと叩きつけられたスバルは動けなくなり、Ⅳ型はとどめを刺さんと腕の鎌を振り上げる。
その時、獰猛な駆動音が轟いた。

「リボルバーギムレット!」

解き放たれた螺旋の渦が、Ⅳ型の刃を破壊してスバルを救出する。

「あ、あなたは?」

自身を助け出してくれた人物を見て、スバルは困惑する。
彼女は自分とよく似た格好をしていたからだ。

「あなたはいったい?」

「私の名前は…………ギンガーマン」

反撃に転じたⅣ型を、ギンガーマンは一蹴する。
敵わないと思ったのか、Ⅳ型は内蔵されたステルス機能を発動し、周囲の空間へと溶け込んだ。
だが、ギンガーマンは冷静に消え去ったⅣ型を追撃すると、左腕からエネルギー弾を放ってⅣ型を攻撃し、
ステルス機能を破壊する。

「スターズ03、これであいつはもう消えることができないわ」

「おう!」

立ち上がったスバルは残る力を振り絞ってⅣ型を殴り飛ばし、ギンガーマンもそれに倣う。
右から左から、2人の戦闘機人によって繰り出される攻撃にⅣ型は傷つき、致命的な隙がそこに生まれる。
その隙を2人は見逃さなかった。

「今よ、スターズ03!」

「とぅっ!」

跳躍したスバルに合わせてギンガーマンも地面を蹴り、左腕をドリルへと変形させる。
そして、2人はそれぞれのウィングロードを滑りながら勢いの乗った拳をⅣ型へと振り下ろし、
膨大な運動エネルギーを鋼の体へと叩き込む。

「「ダブル振動拳!!」」

吹っ飛ばされたⅣ型は全身から黒い煙を噴き出しながら痙攣し、大爆発を起こす。
すると、どこからともなく人を嘲るような哄笑が響き渡り、何故か空が真っ黒へと染まっていく。

420 もしもリリカルなのはが特撮ドラマだったら⑤ :2009/06/28(日) 01:41:13 ID:Kis.uGRI
『はははっ、よくぞガジェットⅣ型を倒したなスターズ03。だが、我々の作戦はこれだけではない。
次はもっと強力なガジェットを送り出し、必ずや君を倒す。覚えておくが良い、ははははっ!!』

現われた時と同じように哄笑を残し、声は消えていく。
すると空は元通りの青空を取り戻し、いつの間にかギンガーマンもいなくなっていた。
遠くでは、ジュニア魔法少女隊であるエリオとキャロが手を振りながら駆けてくる姿があった。

「ギンガーマン…………いったい、何者なの?」

突如として現れた謎の魔法少女ギンガーマン。
果たして、敵なのか味方なのか。
そして、攫われた姉ギンガの行方は?
戦え、我らがスターズ03。スカリエッティの野望を打ち砕くその日まで。




                                                       つづく




〜アイキャッチ〜




次回予告

スターズ03を倒すために送り込まれた新たな刺客。
それは、スターズ03を破壊するためだけに造り出された非情な戦闘機人“ブレイクライナー”だった。
どこに逃げようとも執拗に追いかけてくるブレイクライナーを前にスターズ03は苦戦し、
とうとう変身が解けてしまう。だが、とどめを刺そうとした瞬間、何故かブレイクライナーは苦しみだしてその場から逃げだしてしまう。
果たして、ブレイクライナーの正体とは?
次回、『母? 妹? ブレイクライナーの正体』にセットアップ!

421 B・A :2009/06/28(日) 01:43:12 ID:Kis.uGRI
以上です。
頭、湧いたのかな?

ちなみにこのお話は続きません。
そこまで深く突っ込んだ設定は考えていませんし。

422 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 01:51:34 ID:WzhwKDpg
なんという懐かしさ。GJ!

423 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 01:52:33 ID:D1iHPcmw
何はともあれとりあえずスバル、

気 づ け よwwwwww

424 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 03:30:08 ID:9W48nKXk
>421

GJ!・・・・かな?

あのスバラシイ鬱長編の完結後、一発目がコレで
切り替えの早さに(爆)。

425 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 08:53:49 ID:5fOx4Cng
GJ!!
スバル、気づけよ(呆  byギンガーマンって言われますぜw

426 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 19:02:41 ID:asCA8Om6
GJ!
スバルが天然すぎるwwwww

ところでギンガマンというスーパー戦隊が実際にあってだね
しかもアレは第1話で主人公の兄が行方不明に……

つーか元ネタぜってえここだろwwwwwwwwwww

427 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 20:46:51 ID:i/wE5jCM
>>412
元ネタ……自分が分かる範囲だと、

ギンガーマン → ライダーマン

スバル 26の秘密など → 仮面ライダーV3

スバルがカップを破壊 → 仮面ライダー(昭和と平成リメイクで制御できないシーンあり)

エリキャロ → 少年ライダー隊 だと思う

スバル変身 → 宇宙刑事シリーズ

スカちゃん一味 → ショッカー だと思う

第一話で所属組織壊滅 → ハリケンジャー・ブルースワットなど似た様なネタ多数あり。B・A様、どれが元ネタなの?


ていうか、俺、何でこんなに真面目に考えているんだろう……

428 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 21:14:26 ID:khLEXtr6
表向きは喫茶店 → ゴレンジャーだな。

せっかく敵ボスが「ブレイン」なんだから、大鉄人17が欲しかったぜ。

429 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 22:32:06 ID:7c.F4n6Y
>>427ー428
おまいら詳し過ぎだw

430 名無しさん@魔法少女 :2009/06/28(日) 23:03:03 ID:IcHH57no
>>421
次回予告はスピルバンか? 
家族が洗脳されて敵になって、それが元に戻って味方になるっていうと
ヘルバイラ→ヘレンレディ 
くらいしか思いつかん80年生まれ。

431 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/29(月) 01:24:09 ID:5WNiIdQU
そして空気を読まずにエロ投下

注意事項
・エロ
・A's後
・なのは→ユーノ 人によってはユーノ×なのは
・4P

最後の項目がなんかあからさまにツッコミ待ちですが、まあロクなもんじゃないっす
ちなみに前作とはまったく関係のない独立した話です
ではどうぞ

432 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:27:16 ID:5WNiIdQU
 その手のことには疎く、恋愛事についてはまったく呆れた朴念仁っぷり。
 親友達による高町なのはの評価は、だいたいそんな感じである。
 小学4年生にもなるとその辺りのことについて好奇心を持ち始める年頃であり、なのは達仲良し5人組も例外ではない。
もっとも、彼女達の間でその手の話題が出るようになったきっかけは、フェイトが偶然にもクロノとエイミィの濃厚な
キスシーンを目撃してしまい、それについてうっかり口を滑らせたのが原因だったりするのだが。
 それはともかくとして、仲良し5人組の中でそっち方面の話について、もっとも疎いのはなのはである、
“ということになっている”。
「なぁなぁ、なのはちゃん」
「なぁに、はやてちゃん」
「なのはちゃんって、好きな男の子とかいないん?」
「好きな男の子? いるよー、ユーノくんとー、クロノくんとー、ええと、お兄ちゃんとお父さんは……あはは、もう男の子
って年じゃないよねー」
「や、そーゆー意味やなくて……」
 だの、
「ねぇ、なのは」
「なぁに、アリサちゃん」
「結局さ、あんたとユーノってどうなってんの?」
「どうなってる、って?」
「だーっ、もう! ユーノのことどう思ってんの、って聞いてるのよーっ!」
「いたっ、いたいよアリサちゃんっ。うう……どう、って、ユーノくんは大事なお友達だよ?」
「……なんかこう、ユーノが不憫になってくるわ……」
 だの、いつもそんな感じで、無邪気な笑顔を振りまきながらしれっと言っているものだから、親友達による高町なのは評が
そんな形になるのも、無理からぬことではあった。

 ☆☆☆

433 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:28:14 ID:5WNiIdQU
「えへへぇ……」
 自室のベッドの上、なのはは身体を丸めて締まりのない笑みを浮かべていた。
 胸に抱くのは、自作のフェレットさん人形である。当然モデルはユーノだった。粗も見受けられるが、誰に助けを請うでもなく、
1人で作ったということを考えれば十分以上の出来であった。
「ユーノくん、ユーノくん、ユーノくん、ユーノくん、ユーノくん……今度はユーノくんの等身大抱き枕でも作っちゃおうかなぁ」
 人間バージョンの。作るのは大変だろうけど、完成の暁には最高の安眠を提供してくれるに違いない。フェレットさん人形に
すりすりと頬ずりしながら、なのははその光景を夢想する。
「……んー、大きすぎて隠せないかも」
 夢想の結果、いささか無理があることが判明する。
 それに、フェレットの人形ならともかく、抱き枕では誤魔化しきれないだろう。誤魔化す必要なんてないのかもしれないけれど、
それでも今はまだ、隠しておきたい想いがある。
 高町なのはにとって、ユーノ・スクライアという少年は、友達を通り越してすでに心の恋人、否、心の旦那様と言っても
過言ではない存在だった。要するに、
「ユーノくん、だい、だい、だ〜いすきっ!」
 ということである。
 着替えは見られたし一緒にお風呂にも入っちゃったし、挙句の果てには同じベッドで抱き合って眠ったことまであって、
なのはからしてみれば、これはもうお嫁に行くしかないというレベルの事態である。まあ、それらの出来事は全て、まだ
ユーノのことをフェレットだと思いこんでいた時の話ではあるのだが。
 しかして彼は、人間の、同い年の男の子だった。
 年がら年中新婚夫婦みたいにいちゃついている両親の影響か、はたまた兄妹というには仲が良すぎやしないかという
兄と姉が原因なのか、ともかくそういった面子に囲まれて日々を過ごすなのはは、年齢に比して異性への意識が強く
育っていた。
 そこにユーノである。正真正銘のフェレットだと思っていたとはいえ、明らかに尻込みしていた彼に対して自分の
ほうが積極的だったということも恥ずかしさを助長した。なのははいつも通りを装いながらも内心ではユーノのことを
強く意識せざるをえなくなってしまい――それが積もりに積もって、なのはの乙女心を大々的に覚醒させたのだった。
 しかし、なのはがユーノへの溢れんばかりの想いを露わにするのは、自室に1人でいる時だけだ。それ以外の場所では、
ユーノのことを訊かれても知らんぷりだし、それ以前に「コイ? なにそれおいしいの? あ、鯉のあら煮とか
鯉コクとかは好きー」的態度を装っている。“大好きな男の子”を“大好きな友達”に置き換えるだけだから、
そこまで苦というわけでもない。好き、という気持ち自体を隠す必要はなく、そのベクトルを少しズラしてやればいいのである。
 そんななのはの本当の想いを唯一知るのは、彼女の愛機たるデバイス・レイジングハートである。部屋にいる間、ずーっと
色ボケている主の姿を毎日のように見せつけられているレイジングハートは、うんざりを通り越してもはや諦めの境地に
あった。PT事件後からずっと続けている魔法の練習が疎かになったわけでもなく、ましてや管理局での業務や学業に支障が
出ることもなかったため、特に諌めるような理由がないのである。
 それでも、デバイスの身で不躾だと思いながらも、どうしても気になって訊いたことがある。
 なぜその想いを彼に明かさないのか。誰にも悟られないようにしているのか。
 返ってきた愛すべき主の答えは。

「だ、だって……恥ずかしいんだもん……」

 ☆☆☆

434 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:29:12 ID:5WNiIdQU
「はぁ……ユーノくぅん……」
 彼の名を呼ぶ声に、切なげな色が混じる。
 もそもそと起き上がり、なのはは勉強机の上に置いてあるバスケット、そこに敷かれているピンクの布を手に取って、
再びベッドに戻る。それは、ユーノがフェレットとして高町家で生活していた時、寝床として使っていたものだった。
 柔らかいベッドに身を委ねて、なのははそっと、その布を顔に押し当てる。そのまま、すぅっと息を吸った。
「ん、ふぅ……ユーノくんのにおいだぁ……」
 ユーノが高町家から離れてけっこうな時間が経っているし、なのはが毎日のように使っているから、本当はユーノの
匂いなんて残ってはいない。それでも、倒錯的な気分になるのは確かだった。
「ねぇ、レイジングハート……いつものやつ、お願い……」
《……All right, my master》
 ゆっくりとスカートをめくり上げ、少女は自身の大切な場所へと指を伸ばす。触れたそこは、すでに湿り気を帯びていた。
 なのはは、いつものように、彼を想いながら目を閉じた。意識が沈んでいくのがわかる。抵抗せずに、それに身を任せて――。
 再び目を開けた時、場の空気が一変していた。
 それは、普段学校の授業中、マルチタスク訓練の一環として使っているイメージトレーニングだった。レイジングハートが
直接転送してくる仮想データにより、限りなくリアルに近い経験を積むことが可能となる。
 場所はそのまま、なのはの部屋だった。見慣れた、代わり映えしない自室。
 そこに、3人のユーノがいた。
 その内の1人(ユーノAとする)が、覆い被さるようにして、なのはをベッドの上に押し倒す。そのまま、口を耳元に
寄せて囁いた。
「なのはって、本当にいやらしい子だね」
「あ……」
 ユーノの言葉に、ゾクリと、背筋が震える。
「もう、1人じゃ満足できなくなっちゃった? なのはってば、まだ10歳なのに変態すぎるよ」
「ち、ちがう……ちがうの……」
「違わない、でしょ?」
 背後に控えていた、2人目のユーノ(B)が断定した。
「わかってるはずだよね? 僕の言葉は、そのままなのはの言葉でもあるんだよ」
 続いて、3人目(C)が。
 そう、このユーノ達はいずれも本物ではない。なのはの心が作りだした仮初の存在、幻影だ。口にする言葉も、
取る行動も、全てなのはが内心で望んでいるもの。なのはが望む通りに動く、望んだ通りにしか動かない、
操り人形のようなもの。
「ねぇ、なのは。おかしな話だよね……なんにも知らない、純真無垢な女の子のふりしてるなのはが、一番
いやらしくて、どうしようもない変態だなんてさ」
「ひゃっ、あん!」
 なのはを押し倒している1人目が、なのはが望んでいる責め句を囁きながら、スカートの中に手を潜り込ませていた。
「あれ、もうこんなに濡れてる」
「言葉で責められてるだけで気持ちよくなっちゃったんだ? ほんとに変態だねぇ」
「なのはが本当はこんなに変態な女の子だって、ホンモノの僕やフェイト達が知ったらどう思うだろうね?」
「あ……あ……やぁ……やだよぉ……」
「泣いたって駄目だよ。なのはが変態だっていうのは変わらないんだから」
 ピシャリ、と容赦なくなのはの逃げ道を塞いだユーノ達は、三者三様にサディスティックな笑みを浮かべて。なのはが
望んだ通りに、なのはが望んだままの言葉を、その口から吐き出す。
「なのはみたいなイケナイ子には、お仕置きが必要だよね」
「おし、おき……」
 その言葉は、恐ろしく、同時にとても甘美な響きを以ってなのはの心に沁み込んでいく。瞳に浮かぶ涙の奥には、
淫欲の色が混じり始めていた。

 ☆☆☆

435 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:30:11 ID:5WNiIdQU
 ユーノ達に命じられるがまま四つん這いになったなのは。そんななのはの後にユーノが1人、前に2人。
 後に陣取るユーノAはまずスカートを思い切りまくり上げ、次いでなのはの秘所を覆い隠すショーツを勢いよく引き下ろした。
「あっ」
「ほら、いくよっ」
 そのまま、問答無用で――
「はぅ、あぁぁぁんっ!?」
 前座もなしにいきなり、硬く、太い“何か”が、なのはの膣内に突き入れられた。
「あ、あ……! いきなり、そんなぁ……は、あぅん……」
「すごい締め付けてくるよ、なのは……それっ」
「ひっ、いぁあああっ!」
 一度腰を引き、すぐさま、ズン、と押し込む。それを繰り返すユーノAになのはへの気遣いはまったくなく、しかしそれすらも、
なのはが望んでいることだった。
「や、やさしく、はぁうんっ、やさしく、してよぉ……っ」
「優しく? どうして? これはお仕置きなんだよ。そんな必要ないよね、なのは」
「あっ、やぁんっ、んあぁああ!」
 いけないことをしているのだという自覚がある。こんな、イケナイ遊びに耽っている自分を叱ってほしいと、無意識に
思っている。そんななのはの心の内が、ユーノの言動に強く影響していた。
「ほら、なのはっ、なのはのえっちなお汁、溢れてきたよ! じゅぷじゅぷ言ってるの、聞こえるでしょ!?」
「やだっ、やだぁ! いわないでぇ!」
 大好きなユーノに、意地悪なことを言われて、乱暴に扱われて。優しいユーノは、絶対にこんなことは言わないし、しない。
だからこそ、それはなのはが自分自身に課した罰として機能する――はず、だったのだが。
「なのは……喘いでばっかりいないでさ」
「僕たちのことも、気持ちよくしてほしいな」
 ユーノAがなのはを犯す様を眺めていたユーノBとユーノCが、自らの勃起したモノをなのはの眼前に曝け出していた。なのはは
実物を見たことがないのでモザイクがかかっているが、その大きさは確かな存在感を放っている。
「あ、はぁっ! あぅんっ、あ、あぁ、ゆーのくんの、おちんちん……っ、ひ、ぃん!」
 犬のような格好で、後からユーノAに突かれ続けているなのはは、身体を支える両手のうち、まずは左手をゆっくり浮かせて
ユーノBのモノへと伸ばす。ガチガチに硬くなっているそれをしっかりと掴んで、支えとする。同様に、残った右手をユーノCへ。
 突き入れに身を震わせ、喘ぎながら、2本の肉棒を小さな手で掴んで。前後に身体が揺らされることにより、肉棒にも
刺激が与えられる。年の項2桁に達したばかりといった年齢の少年少女の絡みとしては、あまりに扇情的な光景であった。
「ははっ、なかなか良い眺めだね。なのは、そのまましゃぶってあげなよ」
「はぅ、あっ、あぁん! は、い……ん、ちゅ、ちゅぅ……ん、はぁ、っん!」
 より激しくなるユーノAの責めを受け止めながらも、なのはは言われた通りにユーノB、ユーノCへの奉仕を始める。
小さな口をいっぱいに広げて咥え込み、舌を絡ませるようにして舐め、それをユーノB、ユーノCと交互に繰り返す。
 幼さに似合わない恍惚の色を顔に浮かべ、なのはは色欲へと溺れていく。
 自分自身への“罰”は、いつからか、高町なのはという少女に被虐心の種を植え付け、大輪の花を咲かせていた。それが
少女の天性のものなのか、後天的なものなのか――いずれにせよ、なのははユーノに詰られ、犯されることに悦楽を覚える
ようになってしまっていたのである。

436 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:30:52 ID:5WNiIdQU
「ああ、すごいよ、なのは……どんどん締め付けが強くなってくる……」
「ひぅっ、んんあぁうっ! やはぁ……っ!」
「ほら、なのは、お口が疎かになってるよ」
「あふ、ん……ごめん、なさ……ちゅ、んん、んちゅぅ……」
「変態だね、なのは……大丈夫、僕たちが、なのはのこと、もっともっと変態な女の子にしてあげるから」
「あ……ああ……もっと、もっとぉ……んちゅ、ふ、んやぁあぁぁぁっ!」
 なのはの身体が、びくん、と大きく痙攣する。ユーノの肉棒を握る両手に力が入らなくなり、そのまま上体はベッドの
上に沈み込んだ。
 絶頂に達したのだ。
 もちろんユーノAは、そんなことお構いなしでなのはを責め続ける。
「まったく、ダメじゃないか。僕たちはまだまだなのに、一人で先にイっちゃ」
「ひっ、あっ、やぁん! あ、あ、やだっ、やらぁぁぁ! イったばかり、なのぉ! 
やめぇ、やめへぇぇぇぇぇ! あっ、あはぅんぁああぁぁぁぁぁっ!」
 敏感になっている身体は、あっさりと2度目の絶頂に達した。
 この段にきて、ユーノAはようやくなのはから自らのモノを引き抜く。決して満足したわけでもなければ、なのはへの
気遣いなどでもない。
 偽りの存在たる少年3人は、ただひたすらに、創造主の願望を反映することのみを行動理念とする。それはすなわち、
創造主――なのはに、さらなる辱めを与えること。
「なのは」
「ひっ……あ……」
 なのはの表情から窺えるのは、怯えと、それ以上の期待の色。それに応えるように、ニヤリと口の端を歪めるユーノ達。
そう、これからが本番だ。
「なのはは、僕のこと好き?」
「う、うん……すき……だいすき……」
 自分から口に出すのは恥ずかしいから、ユーノのほうから質問させて。恋に臆病ななのはには、今はこれが精一杯だった。
「身も心も、僕のものになりたい?」
「な……なり、たい……」
 ユーノの言動には、なのは自身にも自覚のない深層心理が反映されることもある。ユーノの口から、ユーノの声でそれを
告げられて、なのはの顔は羞恥で真っ赤に染まった。
「じゃあ、さ。僕達に、なのはの全部を、くれる?」
 3人のユーノ、誰がどれを言っているのか、もはやなのはにはわからない。わかる必要もなかった。
「……あ、あげる……」
 羞恥の中に、10歳とは思えないほどの妖艶さを見せる。そこにいるのはもはや、恋する乙女などではなく――
「なのはの全部、ユーノくんにあげる……ううん、違う……もらって、ください……」
 ――淫欲に溺れた、一匹の雌でしかなかった。

 ☆☆☆

437 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:31:53 ID:5WNiIdQU
 ユーノAが、ベッドの上に仰向けになって寝そべっている。つい先ほどまでなのはの中を突いて突いて突きまくっていた
肉棒にはやはりモザイクがかかっていて、しかし、天に向かって力強く屹立している。
 イったまま脱力して動けないでいたなのはを、ユーノBとユーノCはまず残っていた服を全て剥いで、生まれたままの
姿にした。その後、両側から抱き上げ、ユーノAの上に誘導する。
「じゃあなのは、自分で入れてみて」
「う、うん……はぁっうんん!」
 愛しい太くて硬い棒に手を添えて自らの陰唇に宛がい、そのまま腰を下ろす。肉棒がなのはの内面を擦り上げ、それだけで
なのはは軽い絶頂に達してしまった。そのまま、ユーノの上に倒れ込む形になる。
「はぁ……はぁ……ゆーの、くぅん……ゆーのくんのおちんちん、んっ、ぜんぶ、はいったよ……」
「よくできたね、なのは。でもまだ、腰振っちゃダメだよ」
「あう……」
 くねくねと腰を揺らし始めていたなのはだが、ユーノAが両手でお尻をがっちりと掴んで、それを許さない。
「さて、次は僕の番」
 ユーノBはそう言って、なのはとユーノAとの結合部に手を伸ばす。
「ひゃんっ」
「大洪水だねぇ」
 指で掬いあげたなのはの甘蜜を、ローション代わりに自分のモノへと丹念に塗り込んでいく。そうしてから、今度は
濡れた指を――
「ひっ、いあぁ! そっ、そこだめぇ!」
 ――なのはの菊門へと伸ばす。数度、穴の周囲を撫でるように愛撫してから、ゆっくりと中へと進入させる。なのはの
アナルは、然したる抵抗もなく異物を迎え入れた。
「あはぅ、んひぃ! やっ、あぁ、らめ、らめぇ!」
「さて、こんなものかな」
 解すように何回か出し入れしてから、指を引き抜く。続いて、指の何倍も太い肉棒を、狭い菊の窄まりへと
半ば力任せに押し込んだ。
「ふっうああぁあぁぁぁぁぁっ!!」
 指とは比べものにならない圧迫感に、なのはが大きく背中を反らせる。
 事前に塗りたくっておいた愛液が潤滑剤代わりになり、ユーノBの肉棒は意外なほどスムーズになのはの後ろの穴を
犯していった。そう時間がかかることもなく、ユーノBのモノはなのはの中に入りきった。
「あ……あ……はっ、あぅ……」
「前後両方同時って初めてだよね。どう、なのは?」
「気持ちいいのは確かみたいだね。おまんこの締め付け、すごいよ」
 ユーノBとAの言葉に、なのはは応えることができない。なのはの小さく幼い身体は前後から容赦なく犯されている。
初めての経験の前にまるで余裕なんてなく、金魚のように口をパクパクさせるだけで、気持ちいいかどうかなんて、
わかるはずがなかった。
(ああ……でも……ゆーのくんが、そういってるなら……)
 そういうことなんだ。ぼんやりとした頭の中で、思う。ユーノは、なのはの心の奥底までを映す鏡のような
ものだった。なのはは、この場所で、ユーノに犯されている間、決して自分に嘘をつけない。
「……ち……い……」
「ん? どうしたの、なのは」
「……きも……ち、いい……っ! きもち、いいよぉっ! う、うごいてっ、おかしてっ、なのはのことめちゃくちゃにしてぇ!」
 それは、なのはの、心からの懇願だった。
 しかしユーノ2人は無情にも、そんななのはの願いをすぐには聞き入れない。
「そうしたいのは山々だけどね。君はどうする?」
 声をかけられたのは、残る1人、ユーノCである。
「ああ、僕は後からでいいよ。せっかくだからなのはの鳴き声、楽しみたいしね。今口を塞いじゃうのはもったいないよ」
 嗜虐的な笑みを浮かべながらのユーノCの言葉に、なのははまた自分の身体が熱くなるのを感じた。
「わ、わたしっ、いっぱいなくから! えっちなこと、たくさんいっちゃうから! あ、んんぅ、だ、だからっ、ゆーのくんっ」
「わかってる、ちゃんと聞いててあげるよ。だから思う存分、犬みたいに鳴いたらいいよ……僕だけの雌犬さん」
 ユーノCが言うと、同時に。

438 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:33:16 ID:5WNiIdQU
「ひっ、ひゃあああああっ!?」
 ユーノAとユーノBが、タイミングを同じくして動いた。
「あっはぅああぁぁぁ! すごっ、しゅごいよぉぉぉっ! こわれちゃうぅぅぅっ!!」
「いいよ、壊れてもっ! もし壊れちゃったら!」
「僕が魔法で治してあげるから! それで、何度でも壊してあげるから!」
「あぁん、ふぇあぁぁぁっんぁぁぁ! こわしてっ、いっぱいこわしてぇぇぇぇぇ!」
 同時に、時に交互に。一方が強く、一方が弱く。両方が弱いかと思えば、次の瞬間にはどこまでも激しく。1人による
責めとは比べ物にならないほどの緩急のつけ方、そのパターンの多さになのははひたすら翻弄される。
 さらに、前後で異なる突き入れの角度。なのはの中で肉壁越しに肉棒同士がぶつかり合い、抉るような刺激を与える。
今のなのはには、それすら快楽としか感じられない。
「ああっ、はうぁあ! いっちゃう、いっちゃうよぉ、またいっちゃうのぉぉぉっ! ふぁああああぁぁあああっ!!」
 すでになのはは、イきっぱなしと言って過言ではない状態だった。前で一突きされる度にイき、後で一突きされる度にイく。
その度に意識が白く染まり、何も考えられなくなっていく。その様は、まさに雌犬と呼ぶに相応しいものだった。
「なのはっ、なのはは僕のこと好き!?」
「すきっ、すきぃぃぃ、ゆーのくんだいしゅきぃぃぃぃぃっ!」
「じゃあ、僕のおちんぽは!?」
「んあぁっ、おちんちんっ、おちんちんだいしゅきぃっ! あのねっ、わたしねっ、はぁうん! 
ああっ、もう、おちんちんなしじゃいきてけないよぉぉぉぉぉっ!!」
 前後の穴だけでは飽き足らず、ユーノAの両手はなのはの未成熟な胸とその頂点でカチカチになっている乳首へと伸び、
ユーノBは背中から手を回して、なのはのクリトリスを弄る。
 性器である秘裂、すっかり第二の性器と化した菊穴、さらには敏感な3つの突起を同時に弄られ責められ犯され、なのはは
限界を大きく超えて昂ぶっていく。
「あ、あ、あああああっ! おまんこも、おしりもぉ! おっぱいもくりちゃんもぉっ! 
ぜんぶ、ぜぇんぶ、わたしのぜんぶっ、ゆーのくんのぉぉぉっ! ひあっ、んゃああぁあああああぁぁぁっ!!」
 一際大きな快楽の波が押し寄せて――なのはは、意識を失った。しかしそれはほんの一瞬のことで、お構いなしに
ピストン運動を繰り返す前後の肉棒による刺激で、すぐに覚醒を促される。
「あっ……あっ……あ、はぁん……」
 ビクンビクンと痙攣する身体は、変わらずに快楽を感じつつも、なのはにはもはや嬌声をあげる体力すら残っていなかった。
 しかし、3人のユーノによる凌辱はまだ終わらない。なのははまだ、満足していないのだ。
 それまで傍観者であったユーノCの手から、翠色の魔力の鎖――チェーンバインドが伸び、なのはの細い首に巻きついた。
「はっ、う……な、に……」
 それはさながら、首輪のようで――ユーノCが、鎖をぐいっと手元に手繰り寄せる。
「あぅっ……いたい、よぅ……」
「よく似合ってるよ、なのは。ふふ、本当に犬みたいだ」
 悪辣な言葉は、しかしなのはの心を傷つけることはなく、甘美な響きをもって沁み込んでいく。ぞくり、とした。
「そろそろ、僕も気持ち良くしてほしいかな」
 ずい、と目の前に差し出される、太くて大きな肉の棒。それだけでなのはは、自分が何をすべきなのか理解した。
「はい……」
 愛しくてたまらないそれを、残った最後の穴、口で咥え込む。
「ん、んんっ……ちゅ、じゅる、んちゅぅ……」
 上の口と、下の、前後の口。全てがユーノの肉棒を咥え込み、全てがユーノに犯されている。それが、なのはには
たまらなく、幸せだった。
 いつか、本当に、こんな風になれたなら。
 口も、おまんこも、アナルも、全ての処女を大好きなユーノに捧げて。身も心も、すべて彼のものにしてもらって、
毎日愛し合う。そんな日々を、心に思い描いて。
 それはとても、幸せな光景だった。

 ☆☆☆

439 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:36:00 ID:5WNiIdQU
「……なのは。なのはってば!」
「ふぇ!?」
 いきなりの大声に、なのはは飛び上がりそうになった。
「ゆ、ユーノくん、ひどいよ。そんな、いきなり大声出して……」
「いや、何度呼びかけても返事がなかったからなんだけど……」
 抗議はあっさりと返されて、なのはは、あう、と顔をうっすらと赤くした。
 管理局本局の自販機コーナーのひとつ。ユーノとなのは以外に人影のないこの場所で、2人はベンチに並んで座っていた。
特に待ち合わせたわけでもないのだが、お互い仕事上がりにばったりと出くわせて、今に至る。
「珍しいね、そんなにボーっとして。体調悪かったりする?」
「う、ううん。それは大丈夫」
 ユーノの優しい気遣いになのはの心は高鳴るが、それ以上に申し訳なさを感じてしまう。
(うう……やっぱり昨日のはちょっと、激しすぎたよね……)
 思い出して、また顔が赤くなる。
「顔赤いけど、熱でもあるんじゃ……」
「な、ない! ないよ!」
 ユーノくんにお熱なんです、なんて口が裂けても言えなかった。恥ずかしすぎる。
 それにしても、となのはは思う。思うだけならよかったのだが、昨晩の過激な自慰の影響でいろいろ心が緩んでいる
せいか、つい口に出してしまっていた。
「ユーノくんに優しくされると、なんだかむずむずする……」
「え」
「え? あ、ああっ!?」
 気付いた時には後の祭りだった。あわあわと両手を振るなのはと、どんよりと影を背負うユーノ。
「それって……僕、普段そんなに冷たいかな……」
「ち、違う、違うの! そうじゃなくてー!?」
 あの意地悪でドSなユーノ達は、なのはの妄想の産物である。本物のユーノがあんな人ではないことは、
なのはもちゃんとわかっている。
 じゃあ、あんな明らかに別物なユーノくんでオナっちゃうわたしってなんなんだろう、やっぱり変態なのかな、
ド変態なのかなわたし、と別方面に思考が転がっていくなのはである。
「ほ、ほら、わたしって叱られて伸びるタイプだから!? あんまり甘やかされるとダメになっちゃうというかですね!」
 テンパっておかしな口調になりつつあるなのはだが、それなりに効果はあったらしい。
「……えっと、そうなの?」
「そ、そうそう! だからユーノくんは、わたしに対してはもうちょっと意地悪なぐらいがちょうどいいんだよ、うん!」
「ま、まあ、なのはがそう言うなら頑張ってみるけど……」
 なんとか誤魔化せた、となのははホッと一息つく。
 しかしその誤魔化しも、半分ぐらいは願望が混じっている。なのはは、ユーノに意地悪なことを言われたり、意地悪なことを
してもらいたいのだ。
(ほら、あれだよ……男の子って好きな子ほどいじめたくなるって言うし。男の子と対の存在である女の子なら、好きな子にほど
いじめてもらいたくなるって思ってもおかしくないよ、うん)
 そうやって、どう考えても無理のある論理で自分を納得させる。それじゃダメだとわかってはいるのだ。ちゃんと自分の気持ちを
真正面から正直に伝えなくては――妄想は妄想のまま、現実になるなんてことは、ありえないのだ。
 いやまあ気持ちを伝えてもユーノが3人になったりはしないだろうけれど。
(ちょっと……ほんの、ちょっとだけ……)
 勇気を、出してみようか。一歩、踏み出してみようか。
「なのは?」
「ひゃうっ!? ご、ごめんなさい、わたしまたっ」
「いや、まあ……ねぇ、意地悪ってどのくらいがいいのかな」
 ユーノの珍妙な問いに、ふぇ? となのはは間抜けな声を漏らした。
「や、さすがに限度はあるでしょ?」
「え、えーっと……」
 これはチャンスなんじゃないかと思う。勇気を出すなら、一歩を踏み出すなら、ここではないか。
 恋する乙女は、意を決した。
「た、大抵のことなら、大丈夫だよ。チェーンバインドで首輪とか……」
「え?」
「違います違います言葉の綾ですごめんなさい! そ、そうじゃなくて……」
 ついさっきまで飲み物を飲んでいたはずなのに、喉はカラカラだった。口の中は渇きに渇いて、唾すら飲み込めない。
「だいじょうぶ、だよ。わたし、その……」
 それでも、言う。言うと決めたのだ。ほんのちょっとの勇気だけど、これがきっと、これからに繋がっていくから。

440 なのはさんの、ほんとのところ :2009/06/29(月) 01:36:59 ID:5WNiIdQU

「……ドM、だから……」

「…………」
「…………」
「……あの、なのは」
「ど、ドMは“どちらかというとM”の略ですごめんなさいー!?」
「あっ、ちょ、なのは!? なのはーっ!?」
 脱兎のごとく。なのはは逃げ出した。運動音痴ななのはとは思えないほどの速さである。
 背後からかかってくるユーノの声を振り切るように走って走って走って。なのはは思う。
(ううっ……ユーノくん限定で、って言えなかったよぅ……)
 何かがズレていた。

 そんなこんなで、今日も明日も、恋する少女は走り続ける。

「あうっ!?」
 転んだ。



 おわり

441 ウルー ◆UtE9cq2Ioc :2009/06/29(月) 01:40:06 ID:5WNiIdQU
なのはさんの切ない片思いを書くはずがなぜかこんなことになっていた。リアルポルナレフとはこのことでしょうか…
たまにはこんな感じに脳内桜色のなのはさんがいてもいいんじゃないでしょうか。StSの頃には20人超えのユーノくんに輪姦される妄想とかしててもおかしくない!

ではこれで。

442 名無しさん@魔法少女 :2009/06/29(月) 07:43:41 ID:/zU5MRTQ
>>441
面白かったです! 一番槍GJ〜。いいね。エロいね。

443 名無しさん@魔法少女 :2009/06/29(月) 08:12:42 ID:DBOy89ug
>>441
GJ! エロいよエロいよ。最高だよ

444 名無しさん@魔法少女 :2009/06/29(月) 08:55:40 ID:dWFz/ffM
まさにドMななのはさん…!
エロいエロすぎる、
可愛すぎるぜこんちくしょう

んで結局ユーノ(本体)とにゃんにゃんするのはいつなんですかwwwww

445 サイヒ :2009/06/29(月) 17:59:00 ID:yTa23fOo
なんとか今月中に間に合った不倫カリムの話など。
クロノ×カリム。クロノがエイミィと結婚しているけど、カリムと不倫関係。エロ。
短めです。

446 痕跡 :2009/06/29(月) 17:59:47 ID:yTa23fOo
 合わせた唇から、紅茶の味がした。
 さっきまで、自分とクロノが飲んでいた味。薫り高いが、飲み慣れた味。
 そんな味より、もっと感じたい味がある。
 カリムは舌を伸ばし、口づける相手の唾液をすする。
 暖かい唾液が、口に流れ込んできた。まるで酒のように、頭が酔っていく。

「ん……んぅ……」

 クロノの頬に手を伸ばしなおも強く唇を貪るうち、密着状態の腰を軽く突いてくるものがあった。視線を落とせば、
ズボンの前が膨らんでいる。
 服の上からでも分かる大きさに、カリムは思わず唾を飲み込んだ。
 愛する人の男の象徴。指で硬さを、舌で味を、胸で熱さを、存分に感じて愛し尽くしたくてたまらない場所。
 しかし、そういう長閑なことをしている時間は今日のカリムには与えられていなかった。
 クロノとの情事は、たいていあわただしい。
 二人とも多忙なうえ、周囲にはお茶会をしていると思わせなければならないため、数時間かけてゆっくり睦み合うこ
とは、ほとんどできなかった。
 今日も与えられた時間は、せいぜい二十分がいいところ。
 前戯を悠長にしている暇は無い。

「提督、ベッドに……行きましょう」

 唇と身体を離し、カリムは褥に誘う。
 頷いたクロノだが、その場から動こうとせずに口だけを動かした。

「騎士カリム、今日は……その……」

 自分から声をかけてきたくせに、クロノはどこか気まずそうに言葉を濁す。
 カリムは自分から、クロノが言わんとしていることの答えを口にした。

「大丈夫な日です。ですから、全部私の中にください」

 何度となく繰り返してきた問いと答え。
 クロノは事前に必ず、カリムの中に出していいかどうか確認する。
 当たり前といえば当たり前な問い。それでも、聞く度にカリムの心にどうしようもない痛みが走る。
 自分はどれだけ情を交わしても、クロノの子供が産めない。
 彼は妻子ある身で自分と彼の関係は表向きはただの友人なのだから、妊娠どころか愛し合っていることを他人に知ら
れただけでも何もかもが終わる。
 そのことを理解しながらも同時に悲しむのは、自分の惰弱以外の何物でもなかった。はっきり寝取ってしまおうとす
る意思すら持てないのだから、いつまでもずるずる肉体だけの関係が続くのも無理はなかった。

「わかりました」

 カリムの言葉にもう一度頷いたクロノが、今度こそ寝室に向かって歩き出す。カリムも後に続いた。
 ベッドの脇に立ったカリムは、手早く法衣を脱ぎ捨て白い裸身を晒した。いかにも焦ってはしたない仕草だが、実際
一秒でも早くクロノの身体が欲しかった。
 クロノも提督服を脱いで全裸となり、ベッドに横たわる。もう一度口づけしようとした時、眼に入るものがあった。
 クロノの胸の中心よりやや上。そこに、赤い噛み跡がはっきりと残っていた。
 ふっ、と熱に浮かされていた頭が冷えた。
 前に二人が交わってから、一月近い時間が流れている。この痕が、カリムがつけたものであるはずがない。
 この標しは彼の妻、エイミィ・ハラオウンがつけたものにほかならない。

447 痕跡 :2009/06/29(月) 18:00:43 ID:yTa23fOo
(…………どんな人、なのかしら)

 会ったことは一度も無い。
 写真だけは見たことがあるが、その顔をつとめて思い出さないことにしていた。こんな関係になる前にクロノから聞
いた彼女の話についても、完全にに忘れることにしていた。
 それでもなぜか、頭の中では彼女とクロノが愛し合っている姿が容易く浮かび上がった。
 愛の言葉を囁き、全身で絡み合い、深い所で愛し合う。彼女はそれに、なんらやましさを覚えなくていい立場なのだ。
 胸が激しく痛み、涙さえ零れそうになった。

「騎士カリム?」

 動きを止めてしまったカリムに、クロノがいぶかしげな顔を向けてくる。

「気分が悪いのですか」
「……なんでもありません。少し、考え事をしていただけです」

 泣きそうな顔を見せないようにうつむきながら、クロノの胸に顔を埋めた。
 クロノの匂いに少しだけ心が安らいだが、同時に眼の前にエイミィがつけた痕がくる。
 上から自分の痕を重ねようかとも思ったが、カリムは瞼を閉じて視界から消す方を選んだ。
 眼を閉じたままであろうと、クロノの顔も身体も脳裏に容易く思い描ける。クロノの上に覆いかぶさると、胸の突起
同士がぴったりとくっついた。
 男性のものも興奮すると血が通って硬くなるし、性感も多少あるらしい。胸を擦りつけるように動かすと、クロノが
くぐもった呻きを上げた。
 カリムの乳房もクロノの胸板でたわみ、内側にある雌の神経が刺激される。

「あ……はぅん……」

 まだ快感は緩いが、カリムも声を上げてしまう。胸から下半身へ、じわりと熱が伝っていく。熱はそのまま動きに変
わった。
 腰を揺らして、カリムは性器同士を擦り合わせる。
 入り口が触れ合っているだけなのに、子宮の底まで絞り上げられるような快感が来る。

「くふぁ……提督の、熱くて硬いです……!」

 クロノも一方的に受身なことに我慢できなくなったのか、カリムの胸を手で包む。
 しこりきった先端を二本の指でくじき、残りの指で根元をぎゅっと掴む。少し痛いぐらいの強さだが、クロノがして
くれるならなんであろうと気持ちいい。
 逆の胸には、口が当てられた。果実を味わうように、歯が立てられる。といっても、強いものではない。胸の柔らか
さだけを愉しむかのように、表面がやや歪む程度。
 反対側の乳房に比べると、なんとも物足りない。もっと強くしてほしいと、はしたなく口に出そうとした時、いきな
り強く噛まれた。

「ひぅん!?」

 鋭い痛みと、同じぐらいの快感が走る。
 クロノが口を離した後には、真白い乳房の上に真っ赤な歯型がついていた。
 なおも場所を変えては、クロノは痕をつけていく。まるで食べられているようだと、頭のどこか冷静な部分が思った。
 一度噛まれる毎に、カリムにもクロノを食べたい欲望がつのっていく。それも口でではなく、女の場所で。
 乳首を噛まれた瞬間、ついに欲望は口から溢れた。

448 痕跡 :2009/06/29(月) 18:01:33 ID:yTa23fOo
「クロノ提督……もういいですから……早く、してください」
「……まだ早すぎませんか」

 カリムを気遣う眼をしながら問うてくるクロノに、カリムは首だけ振って答えた。
 たしかに、準備はまだ足りていない。秘裂はぬかるんでいるが、奥まで染み渡ってはいなかった。
 それでも、もう待てない。一刻も早く繋がりたい。
 まだためらっているクロノの唇を、むしゃぶりつくように吸う。そのまま強引に、腰を押しつけた。

「ふあああ……」

 やはり湿り気が足りておらず、肉を掻き分けられると痛みに思わず声を上げる。それでも強引に、カリムは最後まで
腰を落としきった。
 傷ついて血が出てもかまわない。むしろそれをどこかで望みながら、カリムは腰を揺らし続けた。

「やぁっ……あ、ああ……!!」

 律動のテンポに合わせて嬌声が漏れた。誰かが部屋の近くを通れば聞こえるかもしれない。なんとか口だけは閉じた
が、その分だけ腰が激しさを増した。
 締めたり捻ったりすることもなく、ただ勢いだけの単調な前後運動。快楽はひどく薄いくせに、身体も心も欲してい
る。

(ああ、そうか)

 ぼやけた頭で悟る。
 繋がっている時間だけ、クロノの女であるのは、この世で自分一人になれるからだ。
 理解した瞬間から、なんとなく痛みが薄れてきた。ますます遠慮が消え、男の上で浅ましく腰を振る。
 ようやく間に合った水気が、ぐちゅぐちゅと音を立てた。
 それ見計らっていたかのように、クロノも腰を動かしだす。

「ああっ、あっああっ!!」

 突き上げられた瞬間、涙が目尻から流れた。
 悲しみではない悦楽の涙は、とめどなく落ちていく。
 同時に、頭から色々なことも抜け落ちていく。
 立場も、不倫の背徳も、いつか来る終わりも何もかも忘れて、ただの女になる時間。今だけは、素直に幸福になれる。

「あふっん!! クロノ、提督……もっと強く、抱いて……!!」

 声を出してはいけないという思いはどこかに消え去り、カリムは望むことをそのまま口に出す。
 すぐに腰に回された手が、ぐっと押さえ込んできた。
 それでも挿入運動は止めないから、子宮の入り口が連続で突き回される。
 もはや声も出ない。仰け反り天井を仰いで、カリムはひくひくと身体を震わせた。
 視界に閃光が走る。一度始まった絶頂は、連続で襲ってきてはカリムの肉体を打ちのめしていく。
 飛びそうな意識の中、一言だけはっきりと聞こえる言葉があった。

「くっ……! だし、ます……!!」
「くださいっ! ていとくのもの、いっぱいっ!!」

 次の瞬間、子壺の中で灼熱の液体が爆ぜた。

「ああああああぁぁぁぁ!!!!」

 一人では行けない高みで、カリムは至福の瞬間を味わった。

449 痕跡 :2009/06/29(月) 18:02:51 ID:yTa23fOo
          ※




「ではこれで」

 身支度を整えたクロノが、会釈して去っていった。
 一人残されたカリムも脱いでいた法衣を身に着ける。そのまま何をするでもなくぼんやりとベッドに腰を下ろして
いた。
 身体の火照りが引いていくにつれ、股の間が冷えていく。軽くティッシュで拭っただけの場所から、熱を失った精
が少し零れてきた。
 カリムは法衣の裾から手を忍び込ませ、一本だけ膣に浅く入れる。
 行為後の敏感な膣は、すぐに異物に反応して収縮した。ぴりっと甘い痺れが走り、身体が震える。

「ん……」

 そのまま指を動かしたくなる誘惑をこらえ、カリムは零れ出た精液だけをすくった。
 ハンカチで拭うこともせず、指についたクロノの名残をじっと見つめる。

「……孕んだりしたのかしら」

 クロノに、一つ嘘をついた。
 今日は危険日というわけではないが、実は安全日から少しだけずれている。
 これまでにも何度か完全に危険日ではない日に、カリムは偽ってクロノの精液を子宮に注いでもらっていた。
 身体の一番奥に精を放たれることは、何物にも変えがたい至福であり、嘘をついてでも欲しいものであった。
 なにより一人の女として純粋に、クロノの子供が欲しい。彼と一つになった証を、形として残したい。
 しかし同時に、赤子を孕むことに恐怖もカリムは覚えていた。
 愛する人の子供を授かったが最後、自分達の関係は終わる。
 父親について黙秘を貫けば、クロノに害は及ばないだろう。それでもカリムが父無し子を産んだという事実は隠し
様が無い。
 聖王教徒にあるまじき不行跡として、教会騎士の地位は追われるだろう。子供もけっして幸せな道は歩めないに違
いない。周囲の誰からも、もしかしたら父親からも祝福されないかもしれない。
 カリムのエゴだけが産む存在。いけないことだと分かりながら、欲することを止められないもの。同時に、恐れを
抱き続けなければならないもの。
 クロノとカリムの関係が、そのままの形になったような子供。

「あなたは……こんな女の子供として生まれてきたい?」

 返事のあるはずのない問い。
 それでもしばらく、カリムは男が残していった物を見つめ続けた。




          終わり

450 サイヒ :2009/06/29(月) 18:03:56 ID:yTa23fOo
以上です。
不倫時空もぼちぼち締め時ですかね。
ネタはまだ数本あるんですがうまくまとまらない話ばっかりなもんで、もう潔く終わらせるべきかなと考えていたり。
二人の関係に決着がつく話と、後日談の二作で終了予定。
今年中に書けたらいいな。

451 名無しさん@魔法少女 :2009/06/29(月) 20:03:17 ID:9nmC/vRA
>>450
GJ!
なんというか、重婚時空と違って、どうやっても幸せになれそうもないですね、このカリムさん。
でもこのまま子供を孕んでいたらどうなるんだろう。続きを期待して待ってます。

452 名無しさん@魔法少女 :2009/06/29(月) 23:27:24 ID:WxWLboWw
ああああ! 不倫カリムキタァァァァァァ!

しかも、まさかの隠し子フラグ!?
やばい、これはやばいwww
家庭崩壊か!? はたまた隠れて子供出産か!? それとも思い切って妻との離婚を迫るか!?
不倫時空ももう終わりが近いというのは哀しいが、これはラストまで目が離せません。


GJっした!! 相変わらず氏の書く不倫カリムは最高です!!

453 CRR :2009/06/30(火) 00:01:20 ID:KdbxZygw
何だかお久しぶりですが小ネタです。

・フェイトメイン【ギャグ的壊れ要素あり注意!】
・エロくない一発ネタ

ではドゾー

454 CRR :2009/06/30(火) 00:04:16 ID:KdbxZygw
海鳴のハラオウン家のリビングに、腕を組んで唸りながらうろうろするフェイトがいた。
もうかれこれ一時間もこんな事を続けているフェイトに、幼い少女姿のアルフが流石に突っ込みを入れる。

「早く決めちゃいなよフェイト……腹に入れば何でも一緒だって」

「そういうわけには行かないんだよアルフ……だってせっかく久しぶりに二人に会えるんだよ?」

今日の夕方、エリオとキャロがハラオウン家に遊びに来るのだ。
自然保護隊で頑張る二人と久しぶりに会うということで、ありったけのもてなしがしたい。
二人が満足してくれるような、とびっきりのご馳走を出したい。
そんな思いが、フェイトを更に悩ませる。

「だったらさぁ、管理局の一般向けサイト行ってみれば?」

「……え、何で?」





ハラオウン3分クッキング





―――――空間モニターに、【時空管理局ファミリページ  時空管理局レシピ】の文字と可愛らしい構成のアイコンが並ぶ。
アルフによれば、一般の人に管理局への親しみを持ってもらうためのお遊びコンテンツなのだとか。
その割には、本局・ミッド地上本部をはじめさまざまな役職・階級・所属の管理局員自慢のレシピが、
もう1000ページ分にも達しようとしていた。

「サイト管理人のアドレスがシャーリーのサブアドレスだ……何やってるんだろう……」

ソファに座ったフェイトがため息をつきながらもページを進めると、なるほど確かに役に立ちそうだ。
心温まる家庭料理からワイルドな肴まで、さまざまな料理のレシピが並んでいる。
そのレシピ達の中には、いつの間にかフェイトのよく知る人物たちが提供したレシピまで混ざっていた。



新暦7×年○月▲日
〜今日のオススメ〜
ホットキャラメルミルク(1人分)
提供:高町なのは一等空尉(代筆 高町ヴィヴィオちゃん)

ざいりょう:おさとう   100グラム
      おゆ     50㏄
      ぎゅうにゅう 120㏄
作りかた
1:おなべにさとうを入れて、火にかけてさとうをとかします。
  茶色っぽい色になるまでかきまぜないでください。
2:茶色になってあわが出て来たら、火を止めておゆを入れます。
  (注:この時、高温の砂糖液が飛び散って大変危険ですので、
     お子さんが作るときは大人の方が付いてあげて下さい。 by高町一等空尉)
  これで、ちょっとにがいけどおいしいキャラメルソースの出来あがりです。
3:出来たキャラメルソースをカップに入れて、ふっとうしたぎゅうにゅうを入れます。
  かるくかきまぜれば出来あがりです。

一言:わたしは、なのはママが作ってくれるキャラメルミルクが大すきです。
   おいしいのでみんなものんでみてください。
   みんなも作ってア・ラ・モード(はぁと)!

455 CRR :2009/06/30(火) 00:07:28 ID:KdbxZygw
「……なんというクッキンアイドル」

写真入りで紹介されるハイクオリティなレシピに、フェイトは半分呆れてしまった。
しかし文面と写真から滲み出るヴィヴィオの可愛さは健在。というかより一層パワーを増している。
フェイトの心にどストライク。何だか急に会いたくなった。

「よし! 今度なのはとヴィヴィオに会いに行こう! ……じゃなくて、レシピレシピ」

少し寄り道をしてしまったが、何とか軌道修正した。
そのままページを進めると、今度は何やら家庭的な上に詳しいレシピが。
これは期待できそうだと開いてみると……



新暦7×年□月●日
〜今日のオススメ〜
筑前煮(4人分)
提供:八神はやて二等陸佐
材料:鶏モモ肉  200g(鶏肉の下味:酒・しょうゆ各少々)
   ゴボウ    100g
   レンコン   100g
   ニンジン   100g
   ゆでタケノコ 150g
   コンニャク 1/2枚
   だし汁(1番だし) カップ2杯半
   酒     大さじ2
   砂糖     大さじ3
   しょうゆ   大さじ3
   みりん   大さじ4
   サヤインゲン 50g
   しょうゆ   大さじ1
   油     少々

作り方
1:鶏モモは一口大の大きさに切り、酒としょうゆで下味を付けておきます。
2:ゴボウ、レンコン、ニンジン、タケノコは全て乱切りにします。
3:コンニャクはスプーンか手で一口大にちぎり、熱湯でサッとゆでて臭みをとります。
4:サヤインゲンはゆでて半分に切ります。
5:鍋に油を熱し、下味をつけた鶏モモを炒めて、一旦取り出します。
6:次に乱切りにした野菜とコンニャクを加えて炒め、鶏モモをもどし、だし汁を加えて煮立てます。
7:アクをすくい取り、火を弱めて酒、砂糖、しょうゆ、みりんを加え、煮汁が1/3量位になるめで煮つめます。
8:最後にサヤインゲンとしょうゆを加え、サッと煮ます。これで出来上がりです。

一言:いやー懐かしいわ。
   初めて守護騎士たちに会った頃によう作ったのを思い出します。
   ヴィータは一口食べてなぜか顔染めとったなぁ……まぁかわええからええんやけど。
   (止めてくれよはやて!! 私にも上司面とか立場ってもんがあるんだよぉ…… byヴィータ三等空尉)
   みなさんも是非試したってください。
   美味しい 楽しい 料理はミラクルやで!!

456 CRR :2009/06/30(火) 00:11:27 ID:KdbxZygw
「……はやて、さすがに20代になって『味楽る!ミ○カ』は痛いと思うんだ」

苦笑いを浮かべながら、フェイトは更にレシピを読み進めていく。
すると、懐かしの『機動六課』の文字を見つけた。
そういえばあそこでの食事もなかなか美味しい物だった。
もしかしたらこれはかなり有力なレシピになるのでは……と思い。フェイトはページを読み進める。



新暦7×年×月■日
今日のオススメ
スパゲッティ・ナポリタン(2人分)
提供:元機動六課スタッフ

材料:スパゲッティ 乾麺2500g
   玉ねぎ        5個
   ピーマン 10個
   ウィンナー 40本
   ケチャップ 2L
   砂糖 大さじ3と1/3
   生クリーム 300㏄
   茹で汁 お玉10杯 (約1L)
   オリーブオイル   適量
   塩    適量
   おろしにんにく   大さじ1と2/3

作り方
1:たっぷりのお湯に塩とオリーブオイルを入れてパスタを茹でます。
  玉ねぎ・ピーマン・ウィンナーは食べやすい大きさに切っておきます。
2:業務用の大鍋に玉ねぎとウィンナー、おろしにんにくを入れオリーブオイルで炒めます。
  玉ねぎがしんなりしたらケチャップと砂糖と生クリームを入れてさらによく炒めます。
3:少し長めに茹でたパスタと茹で汁、ピーマンを大鍋に入れて2分ほど炒めます。
  味を見て塩やケチャップを追加します。
4:お皿に盛ってパセリをふりかけて出来上がりです。

一言:スバル・ナカジマ二等陸士(当時)とエリオ・モンディアル三等陸士(当時)用スペシャルレシピでした。
   きっと機動六課当時の活躍はこの食事から生まれたのでしょう。
   みなさんももりもり食べて元気にがんばってくださいね!



「……え、スパゲッティって乾麺一人前100グラムとか150グラムとかだよね……?」

モニターを前に、フェイトは開いた口がふさがらなかった。
材料自体は普通だったが、量があまりにもすばらしすぎる。
とは言え『エリオ用スペシャルレシピ』とあれば、とりあえずメニューとしては一個確保であろう。
少し肩の荷が下りたフェイトは、気分を変えてドリンク系レシピを覗いてみた。
目に留まったのは、自分と同じファミリーネームが二つも書いてある記事。

457 CRR :2009/06/30(火) 00:15:29 ID:KdbxZygw
新暦7×年◎月▽日
今日のオススメ
グリーンティ(1人分)
提供:リンディ・ハラオウン総務統括官(代筆 エイミィ・ハラオウン通信司令(育児休暇中))
材料:緑茶葉    3グラム
   砂糖     ティースプーン10杯
   ミルク    50㏄
   お湯     適量

作り方
1:"ユノミ"(ティーカップではありません)に適量のお湯を注ぎます。
  普通のお茶葉なら熱めでもいいですが、高級な茶葉が手に入ったときはあまり熱すぎるお湯を使わないようにするとGood!
2:ユノミのお湯を、茶葉を入れた"キュウス"(無ければティーポットで代用してください)に入れます。
  これによってユノミが温まり、より美味しく頂けますよ!
3:抽出したお茶を注いで、後は砂糖とミルクをぶっこんじゃってください!
  これでリンディ・ハラオウン特製グリーンティの完成です!

一言:なのはちゃん(高町一等空尉)やはやてちゃん(八神二等陸佐)は顔をしかめますが、
   ミルクと砂糖が絶妙なハーモニーを奏でて美味しいですよ。
   ウチの家族はよく飲みます。そうだ、これを飲みだしてからフェイトちゃん(T・ハラオウン執務官)の胸が大きくなったような……? 
   きっとあのソニックでインパルスなバディの源はこのグリーンティだね!
   美容と健康効果もあるかもしれないこのメニュー、一度お試しあれ!



「……えいみぃぃぃぃぃいいいいいいいいいい!?!?」

「どうしたフェイト、大声出し……うぉあ!?」

アルフがフェイトの異変に気づいた時にはもう遅かった。
モニターを開いたままで、フェイトはキッチンへとダッシュ。
きらりと光る、獲物を狙うケモノのような鋭い目には怒りの炎と羞恥の涙が見える。
手には相棒バルディッシュ。『Load cartridge』とか聞こえたけどキニシナイキニシナイ。

「エイミィっ!! 人に黙って何書いた―――――!!」

「え、ちょ、まま待って私魔法使えなアッ―――――!!」



おわり。

458 CRR :2009/06/30(火) 00:18:36 ID:KdbxZygw
以上。元ネタは海○自○隊の公式サイト。
スパとお茶は分量適当です。最後のグリーンティは是非誰か試してあげてください。

ではさようなら!

459 名無しさん@魔法少女 :2009/06/30(火) 00:33:02 ID:7C1smzZw
こらこら、N○Kはどうなったwww
そして作者は間違いなく10代……ん、誰か来たようだ

460 名無しさん@魔法少女 :2009/06/30(火) 00:33:57 ID:17cxpb/M
お久しぶり。そしてGJ
そういえば○衛隊のカレーのレシピは世の奥様方に好評だという噂を聞いたことが

461 名無しさん@魔法少女 :2009/06/30(火) 00:39:10 ID:YRymrXyw
GJ!!です。
ここで、サイトにアクセスできないはずのスカ博士から昔作ったレシピが来てたらよかったと思うw
料理は科学さ!的な感じでwww

462 名無しさん@魔法少女 :2009/06/30(火) 08:40:48 ID:uwnRgkHQ
GJっす。
料理とかだとロッサの出番か?

463 名無しさん@魔法少女 :2009/06/30(火) 20:18:51 ID:16xNgTmY
まあ適量なら抹茶にミルクと砂糖入れるのは美味しいですよ
個人的にはホットよりアイスの方がすきですが

464 246 ◆mQRQhBgEu6 :2009/07/01(水) 00:38:04 ID:e9cJceL6
前回感想レスありがとうございました。
何とか六月までに三話を投下したかったのですが、暦は七月になってしまいました。毎度遅くてすみませんorz
四話が過去最長になってしまったので現在ちょっと削っているところです。
とりあえず三話投下します。絶望世界はまだまだ先です。
以下ご注意を。
・ユノフェイ、フェイトさん←なのはさん、なのはママとヴィヴィオなお話です。
・鬱展開鬱エンド。誰も助かりませんし誰も救われません。
・物語の進行上、亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
・オリキャラ注意報発令中。
・フェイトさんは病みます。なのはさんは少しだけ病みます。
ではでは。

465 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:41:37 ID:e9cJceL6
「――もう十年だよ? もうすぐ十一年。もう二人とも大人なのに、このままじゃずっと何にもないままになっ
ちゃうよ。本当にそれでいいの?」

 起動六課最後の日。確か彼にそんな事を言ったと思う。

「いきなり呼び出して何話すのかと思ったら……お願いだから勘弁してよ……」

 ここ数年、同じ様な事をずっと言い続けてきた。それに対する彼の反応はいつも決まっている。面倒くさそう
に溜息を吐き、あからさまに嫌な顔をして頭を掻く。
 その反応が、フェイトは心底嫌いだった。だから思っていた以上に意地になっていたのかもしれない。
 たまたま彼の機嫌機嫌が悪い時に切り出して、余計なお世話だと怒鳴られた事もあった。仕事の為に無限書庫
へ行き、まだ何も話していないのに警戒されてしまう事も少なくなかった。
 理由はフェイトにだって見当がついている。会う度にそんな話題しか持ってきていなかったのだから、誰だっ
て嫌になってしまうだろう。それでもフェイトは諦める事は考えていなかった。
 あの日も同じだった。わざわざパーティーを抜け出して彼を呼び、いつもの様に顔をしかめている彼に向かっ
て、フェイトは愚直に自分の想いを伝えようとしていた。

「なのはの事、好きなんでしょ? なのに何で告白しないの? なのはだって絶対待ってるのに」

 正直、なのはは誰にでも笑顔でいる様な子だったからはっきりとしたところは分かっていない。それでも、彼
が心の底からなのはの事を想っているのは知っていた。想像でも妄想でもなく確信として。
 無限書庫の激務で彼が疲れ果てている時、なのはが訪れただけで見違えるほどに元気になった時の姿を知って
いる。
 たまの休日、せっかくだからと二人分の映画のチケットを渡そうとして拒否されて、その翌日に彼がこっそり
なのはを誘っていたのだって知っている。
 なのはが大怪我した時だってそう。誰よりも長い時間看病を続けて、にも関わらず仕事を放棄する事は一度も
なかった。後から理由を聞いて、照れ隠しのように頬を掻きながらなのはが喜ぶと思わなかったからと言った彼
を知っている。
 そして何よりも似合っていると思った。
 いつも変わらなく温かいなのはの笑みは、他の誰といる時よりもユーノ・スクライアの隣にいる時が一番輝い
て見えたのだ。
 だから、見続けたいと思った。
 なのはにこれから出会う沢山の幸せを、より多く彼の隣で感じて欲しかった。
 それなのに――。

「私ね……ずっとフェイトちゃんの事――」

 その想いも願いも希望も、全てが意味のないまやかしでしかないと知った時。なのはに、ずっと気づかなかっ
た想いを口にされてしまった時。なのはの想いを受け止めようとも理解しようともせず、その泣きそうな顔に背
を向けていた。
 なのはの呼び止める声。それに振り返る事なんて全くせずに。


Cursed Lily
-第三話-

466 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:45:35 ID:e9cJceL6
 帰りのホームルームを経ての一日の大半を過ごす学校の終わりは、朝以上に活気に溢れていた。
 ある者はやっとの事で解放されたと、チャイムと同時に担任への別れの言葉だけを残して教室を飛び出してい
く。またある者はそのまま教室へ残り、同じ様に残っている友人達と談笑を始めている。他にも家に真っ直ぐ帰
る者や、これから塾へと向かい更に己を高める者。子供達の数だけ、様々な光景がそこにはあった。
 ザンクド・ヒルデ魔法学院――そこで学業に勤しむヴィヴィオはと言うと、大まかには教室に残り友人達と談
笑する方へと分けられるだろう。より細かく言うならば、放課後の予定を決めるための相談中だ。

「これから?」
「うん。これからみんなでケーキでも食べに行きたいなって。それでヴィヴィオちゃんも良かったらなんだけど」
「え、えっと……どうしよう……」

 入学式での一件以来友人となったエクジェスが、ヴィヴィオよりもほんの少しだけ高い位置にある瞳を向けな
がら問うてくる。
 ヴィヴィオにとっては願ってもない事で、拒否の言葉なんて思いつかない程に嬉しい事。だがその意思に反し
て今すぐにでも頷かないのは、我が家の家長であり母親の高町なのはの厳しい言葉があったから。

「都合、悪いかな? もしかして塾とか? あっ、もしヴィヴィオちゃんに予定あったら今度にしようかって話
してたから遠慮なく言ってね」
「塾はないけど、寄り道しちゃ駄目ってママが……」
「家、厳しいんだ。そう言えばヴィヴィオちゃんのママって――」
「あっ、うん! あのねっ、時空管理局の教導官なの。すっごい強くて優しいの」

 母の事を聞かれ、ヴィヴィオは自然と胸を張っていた。
 時空管理局の教導隊と言えば、ミッドチルダでなくとも有名だ。母が頑なに隠すために実際には見た事は無い
が、雑誌にも載った事があるとか。きっと、エース・オブ・エースの称号は伊達ではないのだ。
 加えて、子供達の中には武装隊入りを目指す様な子もいる。そんな子供達には武装局員に指導を行う教導官は、
雲の上の存在と言っても言いすぎではない。一瞬にして皆の視線を集めてしまうのも当然だった。
 そんな思わぬところで話題に上がってしまった母の話によって、放課後の相談の名目だった雑談はそれぞれの
家族の話に変わっていく。
 話の中で分かったのは、エクジェスの父親が武装局員で、その父親の事をエクジェスがとても好きであるとい
うこと。
 休日の休みに遊びに行った事や、家に帰った後に一緒にゲームをする事等。父親との思い出を語る友人の表情
には柔らかい笑みがあった。
 だが、ヴィヴィオも負けてはいない。一体何に張り合うのかはよく分からないが、基本は母の自慢。スペック
ならば、エクジェスの父親を遥かに凌駕しているだろう。それから毎日一緒に風呂に入り、手を繋いで寝ている
事。母は怒ると厳しいけれど、とても優しい事。執務官であるフェイトを加えて、母が二人もいる事などなど。
 ヴィヴィオとエクジェス。お互いに好きな人の事を離す表情は誇らしげで、あまりに感情を込めてしまってい
る所為か揃って頬がほんのりと赤く染まっていた。

「あーうるさい! 二人ともパパとママが好きなのはよーく分かったから、そこでストップ!」
「あ、ぅ……」
「ご、ごめん……!」

 否定は出来ない。二人揃って顔を更に真っ赤にし、唇を引き結ぶのが何よりの肯定だった。
 エクジェスはいいもん、と指摘した友人から顔を逸らし頬を膨らませる。その反応を面白がり、声を出して
笑う友人達にエクジェスは強引に話題を戻そうとしていた。
 戻す話題とは、ヴィヴィオが母の話をする直前。つまりケーキのお誘いだ。
 しかし、ヴィヴィオはまだ答えを出せていなかった。分かっている。ケーキはかなり魅力的だ。母のお叱りと、
ケーキの誘惑。怒った母は非常に怖い。想像するだけで、天秤は問答無用に真っ直ぐ帰宅する方向に傾いてしま
いそうになる。それを無理やりにでもケーキの方へ傾ける為の材料は、先日何かあった時の為にと持たせてくれ
たお小遣いとこれが友人からの誘いであるという事。
 ついでに悪魔の囁きのオマケ付きだ。そう、断れなかったと上手く言い訳できれば問題ないのだ。

467 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:47:04 ID:e9cJceL6
「ケーキ、行く」
「ほんと? ママ大丈夫?」
「うん。夕ご飯までに帰れば何とか」
「よし! じゃあ早くいこ!」

 行き先も、そこへはどれくらい時間がかかるのかも聞く暇なく、エクジェスは腕を取って走り出していた。

「待ってよ! そんなに急いで! それにそこ遠いの!?」
「すぐ近く! でもっ、早くしないとケーキなくなっちゃう! だからヴィヴィオちゃんも急ぐの!」
「わ、分かった……!」

 走り出してから数分。先頭にエクジェス。その背を追いかけるヴィヴィオ。その更に後ろには他の友人達が全
力で走っていた。
 だが、ここで驚愕の事実。
 血は繋がらなくともやはり親と子は似てしまうものなのか。それとも自分のオリジナルにあたる歴代の聖王陛
下からの遺伝なのか。
 既に転びそうになる事数回。二番手に位置していたヴィヴィオは、現在最後尾でわき腹に痛みを覚えながら走っ
ていた。
 自身の運動能力の無さを目の当たりにしつつ、やっとの思い出たどり着いて見れば、そこにあったのはヴィヴィ
オと同じくザンクド・ヒルデ魔法学院の制服を着ている学生達の長蛇の列。

「うわぁ……これ、結構並ぶの大変そう……」

 友人の呟く声に、時間は大丈夫かと慌てて時計を確認する。全力で走ってきたのだ。時刻は学校を飛び出して
からまだそれ程経っていない。
 だが安心なんて出来ない。店に入りケーキを食べて自宅に帰る。その時間までにアイナは料理を作り終わって
しまうのではないだろうか。その時間までに、母が返ってきてしまうのではないだろうか。
 走った後の汗は、いつの間にか冷や汗に変わっていた。連絡をしなかった事が悔やまれる。学校から出てしまっ
ては、携帯端末を持っていないヴィヴィオには連絡の取りようがなかった。

「ヴィヴィオちゃん、大丈夫?」
「う、うん平気」

 今更帰るとはとても言えない。
 ヴィヴィオが友人の誘いを断るには、少しばかりまだ時間が足りなかったのかもしれない。


* * *

468 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:50:05 ID:e9cJceL6
「――イトさん! あのっ、フェイトさん……!」
「っ!? あ、あぁ……ごめん、ティアナ。何だっけ?」
「この辺りでいまいち言っている事が分からない所が……」
「えっと……これ? この辺りはね、簡単に言うと――」

 まるで、ツギハギを縫い合わせたよな笑顔だった。
 考える事全てがあの日の事ばかり。
 今こうやってティアナを一緒に仕事をして、彼女の質問に答えているその瞬間もなのはに告白されてしまった
時の事が頭から離れないでいる。
 どうすればあの日の事を無かった事に出来るのか――。
 謝罪などではなく、それだけが思考を埋め尽くしてしまっている。親友だと思っていたなのはの気持ちから逃
げてしまった事以上に、謝罪する事すら考えていない自分自身を嫌悪した。
 そんな状態でまともに仕事をする気が起きる筈もなく、フェイトはティアナに休憩を言い渡して席を立つ。
 ティアナが何かを言いたげにしていた気がしたが、気づかなかったフリをして背中を向け、それ以上の言葉を
遮断する。――それが、今日一日の間に数回繰り返している行動だった。
 通路に出て、扉が完全に閉まる気配に自然と溜息が飛び出した。そのまま壁に背を預けたくなるのをどうにか
堪えて歩き出し、フェイトの向かう先は戦艦クラウディアの外。
 転送ポートを乗り継ぎ、何をする訳でもなく空の見える場所で視線を宙に固定して約十分。
 その十分間にどうにかまた一時間動く気力をかき集め、ティアナの元に戻る。後少しで定時だ。今日は疲れた
から早く終わりにして寝てしまおう。そう思っていた。

「ごめんねティアナ。続けようか」
「は、はい!」

 度重なる休憩の繰り返しに、ティアナは戸惑っている。それでも返ってくる大きな返事が、寝不足気味の頭に
は痛い。
 勿論、悟られぬように表情を変えずにやり過ごす。ティアナの質問に出来る限りいつも通りである様にと心が
けながらヒントを与え、ここ数日の間に溜まり初めてしまっていた自分の仕事を並行して片付けていた。
 そしてそのまま定時まで。
 何度も体調を気遣ってくるティアナを無理やりに帰宅させ、息苦しさにシャツのボタンを外して自室のソファ
に横になる。
 今は誰もいない。しばらく何も考えずにいよう。そう思い目を瞑って、扉の方向から不意の声を聞いた。

「――あ、あのっ……フェイトさん、ちょっとよろしいでしょうか……?」

 意識の外からの呼び声に、腕で目を覆うようにしていたフェイトの肩が大きく揺れた。慌てて身を正して声を
方へ視線を動かせば、眼鏡の奥の瞳に不安に似たものを湛えているシャーリーが立っていた。

「すみません、一応呼び出しはしたんですがお返事がなかったもので……もしかして、どこか具合悪かったりと
かしないですか?」
「大丈夫。問題ないから。それで、何かな?」
「は、はい。えーとですね……お願いと言いますか、よろしければって感じなんですが。フェイトさん、最近お
疲れみたいですので、たまには息抜きなんてどうかなと思いまして。その口実です」

 シャーリーの手にあるものを見たその瞬間、身体は勝手に硬直していた。
 目の前にあるのは紅い宝石。見間違える筈なんてない。残っていた気力を壊すソレは、紛れも無くなのはの大
切なもの。
 シャーリーに気づく様子はない。なのはとの事は誰にも話していないのだから当然だった。ティアナ同様フェ
イトを気遣っている表情こそが、更に追い討ちとなっていく。

「なのはさんもヴィヴィオがいるからって早く帰ってるみたいじゃないですか。だから、なのはさんとお話でも
したら良い気分転換になるかなぁと」
「そ、そうなんだ……なのは、早く家に帰ってるんだ……」
「この頃はちゃんと仕事片付けて帰ってるって言ってましたよ。さっきも連絡したんですけど」

 ここ数日、なのはと連絡を取る事は出来なかった。何回連絡を取ろうとしても、聞くのはなのはの不在を報せ
る言葉だけ。
 持ち歩いているかどうか分からない携帯電話は、電源が切られたままだった。なのはのデスクの端末へメール
もした。当然の如く返信はなかった。
 それなのに、シャーリーとは普通に話している。その事実に心が軋む。
 悲しみと戸惑いと自己嫌悪と後悔と。
 当然の事だと分かっているのに、なのはを傷つけたのは自分だと理解しているつもりなのに、心はまるで自分
自身が傷つけられたかの如く無責任に落ち込んでいた。

469 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:53:06 ID:e9cJceL6
「やっぱり、私が行った方がいいですか?」
「いいよ。丁度なのはとも話したかったしね」

 感情を表情にはせず、シャーリーの言葉に笑みを作る。
 このまま何もしないなんて事は出来ない。だから丁度良かったのかもしれない。
 レイジングハートを持っていけばなのはに避けられる事もない。それに、こうやって口実を作っていれば、卑
怯な自分も逃げたりは出来ないから。
 シャーリーから受け取ったレイジングハートが、記憶しているよりも重たく感じた。動かなくなりそうな脚を
強引に前へと動かしなのはの元へと向かう。
 クラウディアからなのはのいる教導隊のオフィスまでは、時間にしてほんの数分。転送ポートですぐの距離だ。
 その数分の間に、鼓動は歩いている間でも分かるくらいに跳ね上がっている。背中は、汗でシャツが張り付い
てしまう程に。
 落ち着けと心の内で何度も己を叱咤しながら、目的地である教導隊のオフィス前でフェイトの歩みが止まった。
 既に業務を終わらせた者や、業務がまだ残っている者。見覚えのある顔と知らない顔。
 業務に関係ない事が殆どとは言え、比較的この場へ訪れる回数の多かったフェイトを気にする者はそう多くな
い。立ち止まる者ともなれば皆無と言ってもいいだろう。

「ひ、久しぶり……なのは」

 その中で一人だけ。肩に下げたバッグのショルダーベルトを握り締めて、なのははこちらを見つめていた。
 なのはの姿を見つけたその時から、目の前は真っ白になっていた。ここに来るまでの短い時間、まず何を話す
かを考えていた筈なのに、なのはの登場で漂白された思考はまともに動いてはくれない。
 何度も唇を開き、その度に何か言葉を発しようと試みる。だが結局は叶わず、唇は引き結ばれてしまう。
 結局は言葉を紡ぐのを諦め、代わりになのはに一歩でも近づこうと歩き出そうとする。
 多分、なのはも動けないでいる。だから自分から。そう思ったのだ。

「あっ、レイジングハート持ってきてくれたんだ。もぅ、言ってくれれば取りにいったのに。ごめんねわざわざ」

 そんな決意を踏みにじる様に、なのはが笑う。予想外の事に、疑問符さえ出てこなかった。何も変わらない。
普段通りのなのはがそこにはいた。
 なのはとの距離は歩数にして五歩程。フェイトが埋めようとしていた五歩の距離を小走りで埋め、レイジング
ハートが主の元へ返却される。
 俯き、愛しむかのように紅いコアの表面をなのはの指が撫でていく。一通り気になる所が無いのを確認したの
か、レイジングハートを定位置に戻したなのはは、そのままフェイトの横へと歩き一言。

「ありがとうね、フェイトちゃん」

 どうしてそんな風に笑っていられるのだろう。
 すぐ近くにある満面の笑みをとても正視していられず、フェイトはなのはから顔を背けた。
 なのはが何を考えているのかが分からなくなる。気にしていない筈がないと思っていた。なのはは弱くないけ
れど、何事にも傷つかない程強い訳じゃない。傷つくときは傷つくし、泣く時は泣く。普通の女の子だ。
 だから、こんな風に笑顔を見せてくるなんて考えもしていなかった。

「もしかして他に何か用なのかな? ヴィヴィオもう学校から帰ってるだろうし、早く帰ってあげたいなって思っ
てるんだけど……」

470 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:54:42 ID:e9cJceL6
 少しだけ困ったような口調でなのはが言う。
 フェイトが答えられないでいると、待つ事を止めたのかごめんと一言謝って、そのままフェイトの横を通り過
ぎて去ろうとする。
 慌てて振り返り、なのはの背中を視界に捕らえた。なのはが振り向く様子は無い。恐らく本当に帰ってしまう
つもりなのだろう。なのはの歩みには、一切の迷いも存在していなかった。
 駄目だと思った。このまま行かせてしまったら、二度となのはと話が出来なくなる。
 だから思い切ってなのはを呼び止めた。呼び止められたなのはの肩が僅かに揺れ歩みが止まる。しかしそれも
一瞬だけ。再び歩き始めたなのはは、もうどれだけ呼んでも立ち止まってはくれなかった。
 別れ際、聞こえた謝罪の意味は何だったのだろうか。
 段々と見えなくなるなのはの後姿に、今度こそ何をすればいいのかを見失った。多分、もう何もかも駄目なの
かもしれない。多分、それだけの事をしてしまったのかもしれない。
 来る前よりも重たい身体を引きずるようにしてクラウディアに戻り、フェイトは自分の気が済むまで自分自身
を呪い続けた。
 どれくらいそうしていたかは分からない。立ち上げっぱなしだった端末を落とそうとしたところで、誰かから
の呼び出しがあった事に気づいた。
 呼び出し元の名前を見て、フェイトの目が大きく開く。
 履歴には、ユーノ・スクライアと表示されていた。


* * *


「じゃあ、ヴィヴィオちゃん。また明日」
「うん、また!」

 行きとは違い、帰り道は皆バラバラだった。エクジェスは自宅が近いらしく、レールウェイ乗り場へと向かう
ヴィヴィオや他の友人達とは違う方向へと歩いていく。
 その背中に何となく寂しさを感じながらも見送って、ヴィヴィオも帰路へ。
 予想以上に美味しかったケーキですっかりと満たされてしまった腹には、これ以上何かが入りそうにはなかっ
た。
 良く甘いものは別腹だと耳にするが、現実に胃袋が二つある訳ではない。願わくば帰宅までに少しでも腹が空
けばいいのだが、この分では今夜の夕食は満足に食べられないのは確実だった。

「アイナさん、怒っちゃうかなぁ」

 形となった不安が、換気の行き届いたレールウェイの車両の中で消えていく。
 窓の外、見上げた空はすっかり暗くなってしまっている。車両の中を見渡せば、ヴィヴィオと同じく帰宅途中
の大人達が数え切れない程に。皆、疲れた様な顔をしている気がした。
 そのままレールウェイに乗って一時間と言ったところだろうか。いつもの最寄り駅に降り、家までの距離を少
しでも腹が空く様に走った。
 家に着き、いつもよりもやけに大きく頑丈そうに見える扉を見上げヴィヴィオが一人頷く。意を決して扉を開
け、帰宅の報せを声高らかに。
 ヴィヴィオの予想通り、リビングからの夕食の良い香りが小さな鼻を刺激した。玄関を開けた時よりも慎重に
リビングへと近づき顔を出し、アイナはどこにいるのかと視線を巡らせる。

「あれ……なのはママ?」

 アイナはどこにも見当たらない。代わりに、テーブルに母がエプロンを身に着けたまま寝息を立てているのを
発見した。
 今日は早かったのだろう。予想外過ぎる事態にヴィヴィオの喉が生唾を飲む。多分、恐らく、かなり、これは
まずい気がした。
 母の眠るテーブルには、既に今夜の夕食と思えるものが並んでいる。そのどれもがエプロンを身に着けている
母が作ったであろう事を想像するのは容易い。
 寝ている母は熟睡しているのか、近寄っても起きる様子がない。そのまま起こさない訳にもいかず、出来るだ
け無理やりにならぬように気持ち小さめに声をかけてみた。母が目を覚ましたのはややあってから。

「ぁ……ヴィヴィオ、帰ってきたんだ」
「う、うん……ただいま。今日、早かったんだね。アイナさんは……?」
「今日はもう上がってもらったよ。いつもママが帰ってくるまでお仕事させちゃってるし、ママもたまにはママ
らしい事しないとね」
「そうなんだ……えーと――」

471 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:56:46 ID:e9cJceL6
 曖昧に笑うヴィヴィオの口は重たかった。今日の夕食があまり食べられない事。それをどう切り出せば良いの
か。いつ切り出せばいいのか。そのタイミングを計りかねていた。
 アイナの料理だからと蔑ろにするつもりは決してなかった。きちんと理由を言って、ちゃんと翌日に食べるつ
もりだった。だが、せっかく早く帰宅した母の料理となると、やはりどうしても別物に感じてしまう。
 今日友達と寄り道をして、ケーキ食べちゃったからご飯はあまり食べられない。たったそれだけを言う事が難
しかった。
 更にヴィヴィオが言葉を紡げない理由である、テーブルに並んでいる料理の数々。
 中心で存在を主張しているサラダと、その周りで小分けにされているおかず達。その全てがヴィヴィオの食べ
やすいようにと小さめにカットされていた。
 見た目にもアイナの作るものとは全然違う、母の料理。……無理やりにでも食べようと思った。

「……ママの料理、美味しそうだね」
「そう? 良かったぁ。今日はママお料理頑張ったんだ。ほらっ、もう夜遅いから早く食べないと。あっ、ちゃ
んと手洗ってからだからね」

 言われたとおりに手を洗い、フォークを持つ手が止まりそうになるのを無理やり動かして、ぎこちなくもヴィ
ヴィオが母の料理を口に運ぶ。
 母の料理は何も今日が初めてじゃない。起動六課にいた時も、まれだったけれど時間が空いた時に何度か食べ
た事がある。今の家に住むようになってからはもっと多く。
 それでも緊張はするものなのか、肩に力をいれたまま母はじっとこちらを見続けていた。
 自分の言葉に一喜一憂する母の姿。見続けられる事も相まって、食べづらさは増していく。出来るだけ食べら
れる内に食べてしまおうと、いつも以上に急いで手を動かした。慌てなくても良いよと母が笑う。それに益々何
も言えなくなって、いつしかヴィヴィオは完全に無言となっていた。
 味はあまり良く分からない。一口食べるたびに、腹が痛くなってくる感覚。母が気づかない筈も無かったのに。

「美味しくなかったら、無理して食べなくていいんだからね」
「そ、そうじゃなくて……ママの料理美味しいよ……?」
「だから無理しないでって。やっぱり、アイナさんのご飯の方がヴィヴィオは好きかな?」

 駄目だった。これ以上嘘を吐き続けも意味はなかっただろうし、嫌だった。

「友達と、みんなで帰りにケーキ食べちゃって……それで――」
「そっか」
「ごめんなさい」
「いいよ。そんな謝らなくたても。友達の方が大事だもんね。でも、遅くなるなら連絡してくれるとママ嬉しかっ
たかなぁ。ヴィヴィオがお腹壊しちゃう方が大変なんだから」
「……うん」

 頷いて、ヴィヴィオはフォークを置いた。
 母はすぐに手際よくラップをかけ始めた。その大部分が冷蔵庫に仕舞われるが、持ちそうにないものは次々と
ゴミ箱に捨てられていく。捨てられているのは、全てが見た目で分かる程に手の込んでいたものばかり。

「明日はちゃんと食べるからっ」
「だからいいって。そんなに気にする事じゃないんだよ? ね、それよりお風呂入っちゃおう、ヴィヴィオちょっ
と汗臭いし。汚い子は友達にも嫌われちゃうんだから」

 申し訳なさに気持ちは沈んだまま。
 やけに元気な母に背を押され、バスルームへと連れられる。半ば強引にブラウスを脱がされ、母がブラウスに
鼻を押し当て苦笑い。あまり気にならなかったけれど、走った後だったからだろう。そう理解してしまうと、途
端顔は熱を持ち始めてしまう。
 ブラウスを取り返そうと、母に手を伸ばした。それを届かない位置に持ち上げて、母が意地悪く笑う。
 どうにも出来ず、それを黙って見ている事も出来なかった。頬を膨らませた様子でヴィヴィオがバスルームへ。
いつの間にか暗い気分はどこかに消えてくれていたけれど、ヴィヴィオ自身は全く気づいていなかった。
 遅れてバスルームへ入った母が、全く気持ちのこもっていない謝罪を繰り返す。それを知らないと突っぱねた
ところへ襲い掛かってきたのは突然のシャワーの水流だ。

472 Cursed Lily :2009/07/01(水) 00:58:10 ID:e9cJceL6
「頭洗っちゃうからね。動いちゃ駄目だよ」

 振り返れば、シャンプーのボトルを手にしている母がすぐ後ろで膝立ちになっていた。
 ヴィヴィオも大人しく座りなおし、髪を洗ってくれる母を待つ。すぐに母の手を頭に乗せられた。力加減は強
すぎず弱すぎもせず、丁度いいくらいの気持ち良さ。

「目、閉じないと痛くなっちゃうよ」
「大丈夫だよ。ヴィヴィオ、目開けてシャンプーくらい出来るもん」
「ほんとかなぁ」
「ほんとだよ。もぅ……フェイトママじゃないんだから」

 多分、フェイトの名を出した時だった。ピクンと一瞬だけ。気づいたのが本当に不思議な程に些細な震えだっ
た。
 気になって振り返ろうとして、それを頭を押さえつける母の手に妨げられた。先程よりも力の込められている
洗い方。シャンプーが目に滲みて、それ以上目を開けられる事が出来なくなってしまう。
 まるで、それ以上の言葉を避けている様。理由は無いけれど、違和感とすら呼べない些細な疑問が思考の隅に
現れていた。

「……ママ?」
「ん、なぁに? ヴィヴィオ」
「えっと――」

 だが、所詮は些細な疑問。感じていた違和感と胸のモヤモヤは、こちらの表情を覗き込もうとする母の気配に
消えてしまう。どうにか言葉にしようとしてみても、シャワーに泡が流されると同時に疑問までもが排水溝へと
吸い込まれていく。
 勿論錯覚だ。流れるシャンプーの苦さに閉口しそうになりながら、ヴィヴィオの唇は何かを紡ごうとしている。
しかし何を言えば良いのかが分からない。母が今何を考えているのかも。
 髪を洗い終わり、身体をスポンジで擦られ、お返しにと母の長い髪を洗っている時。観察する様に眺めてみた
母の表情は、いつもと変わらない様に見えた。

「ね、ヴィヴィオ」
「あっ、動いちゃ駄目!」
「ごめんごめん。あのねママ、ヴィヴィオの学校でのお話聞かせてほしいなぁ」
「学校?」
「うん。毎日どんな事勉強してるとか、友達と休み時間にどんな話してるのとか。何でもいいんだ。聞かせて欲
しいの」

 ヴィヴィオが洗い易いように頭を下げ、時折気持ちの良さそうに吐息を漏らす母が言った。
 何でもいい。そう言われたとおりに、ヴィヴィオは学校の事を話し始める。髪を洗い終わり、自分よりも大き
な母の背を力いっぱいスポンジで擦っている時も。一緒に浴槽に浸かっているいる時も。
 後ろから抱きしめられ、柔らかい母の胸に少しだけ恥ずかしさを覚えながらもヴィヴィオは話すのを止めなかっ
た。母が嬉しそうに顔を綻ばせて聞いてくれていたから。

「なんか、なのはママ急に優しくなった気がする」
「えぇ、ママいつも優しいよ。優しくない?」
「そうじゃないけど、学校始まってから……前より優しくなったよ」
「うーん、そんなつもりないんだけどなぁ……。でも、多分毎日ヴィヴィオが楽しそうだからかな」

 毎日学校に行っている姿が嬉しいと。
 友達が出来た事を、その友達とどんな事を話すのかを想像してしまうと。
 今みたいに、学校での話を聞かせてくれるのが幸せだと。
 後ろから抱きしめる力を強くして、頬を擦りつけながらそんな母の言葉を聞く。突然そんな事を言われたヴィ
ヴィオはまともに反応できず、顔は熱くなってくるばかり。それに気づかない様子で、母は言葉を重ねていく。
 その間、母はずっと笑顔だった。風呂から上がり、母に塗れた身体を拭いてもらっている間も。一緒にベッド
に横になり、抱きしめあっている間も同じ。
 幸せそうに。
 悩みなんて何一つ存在しないように。

473 246 ◆mQRQhBgEu6 :2009/07/01(水) 01:00:49 ID:e9cJceL6
以上です。ありがとうございました。
とりあえず、次回ユーノ君登場フラグと高町家の夕食の風景をお送りしました。
今作、食事シーンが大量に含まれていますが家族の風景だと思っていてください。
最近、逆獣姦するなのはさんとかなのはさん処女争奪トーナメントとか酷い妄想が浮かんでばかりですが、
何とか四話は七月中に投下したいと思います。
ではでは。

474 名無しさん@魔法少女 :2009/07/01(水) 01:04:56 ID:NtZR4Dgs
>>473
全体的にものすごく暗い……乙。

>逆獣姦するなのはさんとかなのはさん処女争奪トーナメント
なにそれ超みたい。

475 名無しさん@魔法少女 :2009/07/01(水) 19:15:21 ID:t3t.kNw2
>>473
恐ろしすぎて読む勇気がないが応援してる。投下乙

>逆獣姦するなのはさん
えっ、犯されるんじゃなくて犯す方かいwwww

476 名無しさん@魔法少女 :2009/07/01(水) 20:07:50 ID:2gz1lhT6
はやて×ザッフィーの書き手がアップを始めたようです。

477 名無しさん@魔法少女 :2009/07/01(水) 21:50:58 ID:OIBHrJyY
>>473
復讐譚やスプラッター系とは違う暗さで怖いです。
貴方の鬱SSを読むと、反作用で猟奇残虐狂気の三拍子そろったSSが書きたくなります。
剥製にされたフェイト、解体されて樽に塩漬けされたキャロ、プレス機でじわじわ潰され
肉煎餅になるなのはとか、尻から口に鉄串刺されて丸焼きにされるフェレットとか、

478 名無しさん@魔法少女 :2009/07/01(水) 21:58:14 ID:6YDpdaQc
>>473
待ってたぜ、GJ!
表面上は静かなのがまた不気味だなー
ヴィヴィオが凄く可愛かったから巻き込まれてほしくないけど、
きっと巻き込まれるんだよね・・・

479 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 00:00:27 ID:gFlKdJms
>>473
GJです!!嵐の前の静けさというか、一見穏やかながらも
ソロリソロリと暗い鬱の影が、着実に忍び寄って来てますなぁ〜。
次回も期待しておりますっ!!

480 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 01:13:03 ID:yMrc9sC.
>>477
蛙の穴に爆竹突っ込んで爆破を人間の尻に手榴弾突っ込んでやるとかも狂気系かな?
残虐、猟奇にさらされて絶望に打ちひしがれながら死んでいくってのは短編なら見たい。
いつ死んでもいいって覚悟があり言ってる人でも自分がある程度想定していた通りの死に方じゃない限りは、
泣き叫ぶと思うし。

481 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 02:10:51 ID:gtKYcC02
そんなに猟奇系を読みたくなるもんなのか?
俺はそういうシーンを見てると「抵抗しろよ」「いや殴れよ、アホ」とか思っちゃうタイプだから、そういうのを読んでるとイライラする。まどろっこしい的な意味で。
なんつーんだろう、映画でよくある『追いかけられている途中でなぜか振り返って数瞬止まるシーン』と言えば解りやすいか?
逆に理不尽な理由で拷問受けているキャラがイイ感じにブチ切れちゃって相手をフルボッコ、とか見てみたい。
それまでが無抵抗にやられる被虐的なシーンであればあるほどギャップが効いてて面白いと思うんだ。
こういうのをSとMの二面性っていうのかね?

482 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 02:22:26 ID:yMrc9sC.
まぁ、それも見てみたいw
リリカルなのはだと、極悪というかスカ博士以上の狂人やシリアルキラー系は出てこないから、
それを偶に求めてしまう。価値観がまったく違う狂人と出会うや戦うというのがいいんだよなぁ。
選んで殺すのがそんなに上等かね?とか言い出すとかwここの極悪クアットロもなかなか悪役としては素晴らしかった。

483 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 03:25:09 ID:gtKYcC02
解らなくもないが、もともとリリなのの世界観がそういう「狂気」とは縁遠いから、長編となるといささか飽きがきそうだね。
あ、だから>>480で「短編なら」って言ったのかな?

それならいっそうのこと全員狂わせてみるとか。
小動物虐めるのが趣味ななのは、三度の飯より闘争が大好きなユーノ、自分より弱い人間をあざ笑うことに最高の快感を見出すフェイト、脚の障害から壊滅思想に漬かったはやて、管理局の絶対正義のためなら上官すら殺してみせるクロノ……。
なんでだろう、愉快痛快合わせて爽快なギャグssになりそうな気がするw

484 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 09:06:32 ID:i3kRlhs2
>>自分より弱い人間をあざ笑うことに最高の快感を見出すフェイト

それ、ご褒美?

485 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 12:20:40 ID:yMrc9sC.
>>483
長編だと、グロ系はインパクトは薄れて飽きるから、
短編でさらっとだとインパクトが強いまま終わってちょうどいいと思うんだ。
特にストーリー性があまりないものだと飽きが早いから短編がいいな。

486 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 12:46:37 ID:Ag7NTIHg
>>483

>三度の飯より闘争が大好きなユーノ

何だろう。
「我が世の春が来たあああああ!!」と御大ばりに楽しい行動を見せてくれるユーノが目に浮かんだんだがw

487 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 18:01:03 ID:7YhuufVA
>>486
ディバインバスターとはこういう物かぁ!
オ・ノーレ!

はっちゃけ過ぎだろw

488 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 19:56:50 ID:tEBDuxLg
とりあえずNG登録できるようにグロはグロ、鬱は鬱と前書きで書いてくれたら後はどうでも良い。

489 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 20:12:58 ID:gtKYcC02
>>486
俺が考えてたのは「満願成就の夜がきた。戦争の夜へようこそ!」って言っちゃったり、「僕ワクワクしてきたゾ」とか言っちゃうユーノw
でもあんま強くない。でも闘争好き。たぶんこのユーノはSでM。

490 名無しさん@魔法少女 :2009/07/02(木) 20:13:46 ID:gtKYcC02
ごめん、ageちゃったorz

491 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 01:47:48 ID:uyBVRWhs
そろそろエリキャロルー泥沼三角ものが来るはず

492 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 06:51:31 ID:gFVcMbuo
今日と明日で1作品でも投下は来るのだろうか…

493 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 08:34:57 ID:yzjcwmrU
そろそろゴードン息子の鉄拳が見たいな。
外道流れ旅ティアナ編とかラグナ編も見たい。

494 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 15:02:12 ID:ML8ga2l6
>>486−487
アースラかゆりかごのエネルギーを奪うんだなw

495 B・A :2009/07/04(土) 21:24:04 ID:pTv/9brE
ザ・シガー氏はいらっしゃいますか?

実は、氏の「リリカル最大トーナメント」と同じくなのは達がトーナメントでガチンコする話を考えているんですが、
このまま書き進めてよろしいでしょうか?
相違点としましては、「タッグ戦」くらいしかありません。
読んでいる某漫画の影響なんですけどね、これ。

496 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 21:27:03 ID:wbe0b9mY
猟奇書いてる途中なんだけど、ここって禁止ワードあるの?

497 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 21:35:03 ID:zMbl/zFY
>>496
注意書きとタイトルをしっかり書けば問題ない

498 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 21:53:53 ID:pVJrY5Bc
猟奇か……
誰かがクアットロに痛め付けられるシチュなら想像できる。

499 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 22:03:00 ID:cyYyLTac
>猟奇
・なのはさんの両手両足を料理してフェイトに食わせる
・脳姦
・キャロ、龍姦

とか?
いいぞ!ガンガンやれ!

500 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 22:50:29 ID:H/hoE52k
>>496
会議室で聞いてもよかったような(後続の職人へのFAQ的に)
禁止ワードはしたらば固有のみだと思ふ

501 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 22:53:50 ID:wbe0b9mY
>>499
すまないがえろい要素は無しなんだ
>>483を読んでキャラをとりあえず狂わしてみようって思っただけだから

502 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 23:12:11 ID:ZW4ickXI
前、6B〜氏が弾かれてたな<したらば特有の禁止ワード
なぜあれがNGなのか解らんが・・・

503 ザ・シガー :2009/07/04(土) 23:33:33 ID:3S4AIg3o
>B・A氏
ハハハ! 気にする事はありませんでしょう、全然構いません。
俺の場合は板垣漫画のネタを弄ってるだけなので、たぶん氏の書くであろう話とは被らないでしょう。
投下待ってます。


>>493
今がんばって書いてます、もうしばしお待ちを。
いや、しかし、さ……

>>ラグナ編も見たい

ラグナ……だと?
どんだけヴァイスの精神を破壊したいのかとwww

いや、まあね、外道流れ旅は色々考えてるけどさ。
執務官&執務官補佐陵辱とか、聖王教会組輪姦とか、高町親子強姦とか、ね。
どれになるかは分かりませんが、たぶんこの中のどれか。

504 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 23:38:05 ID:t70hWx7c
>>496
禁止ワードは基本的に気にすること無いよ
万が一ひっかかったらテストスレでてきとうに投下テストすればいんでね

505 B・A :2009/07/04(土) 23:40:50 ID:pTv/9brE
>>503
>ザ・シガー氏
ありがとうございます。
といっても、まだプロローグを書き始めたばかりなので投下はまだ先になりそうです。
初めての試みをするつもりで、いつも以上に時間がかかりそうなので。

506 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 23:47:24 ID:cyYyLTac
>高町親子強姦
桃子さん、なのはさん、ヴィヴィオの三代ですね、わかります

507 名無しさん@魔法少女 :2009/07/04(土) 23:52:27 ID:ZW4ickXI
>執務官&執務官補佐陵辱
いいねいいねw
1期はなのは、2期は闇の書の触手、3期は顔芸…
捕まってるフェイトそんの悔しそうな表情が好きだお

508 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 00:44:48 ID:DHz3O1v2
>1期はなのは
おいおい、そこはプレシアさんトコの傀儡兵によるり(ry

509 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 00:47:48 ID:InM1mG4E
他にも1期ならジュエルシードの暴走体による触手とか出来る気もする

510 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 00:54:55 ID:dIUxjktU
>>508に一票

511 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 00:59:13 ID:qZhUa5rM
>>508
>507のは希望シチュじゃなくて、本編のことだよ。フェイトそんが捕まった場面。

512 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 01:20:15 ID:7AKxh/Tk
やるなら、態々地球まで桃子さんを捕まえに行ったという台詞か事実を言ってほしいな。
なのはに、苦労したんですよ?魔法が使えないにしては、それなりに強いのが3人もいたんですもの、
殺さずに潰すのに苦労しましたとかでw
これとは別に思うことだが、割となのはの家族とか友人を人質って展開は少ないよね。
ここの作品の物のひとつ以外で見たことがない。所詮、複数のS級魔導師達では、
戦況を変えられないから足止めだけでOKと判断していたのだろうか?

513 墨の人 :2009/07/05(日) 01:25:28 ID:iayAB8KU
初投稿っす。話を以下の形で投稿します。
・重かったり暗かったり欝な感じはないかも。
・軽いノリです。
・すんごいご都合主義、物語性を求めちゃいけません・・・。
・今回は前振りのみ、えろくないです。。すみません。

テンプレは読んでますが、何分エロパロ板は初めてですので
ご指摘があればよろしくお願いします。

514 墨の人 :2009/07/05(日) 01:29:42 ID:iayAB8KU
「エロ司書長物語?」一話目1/3
ユーノ・スクライアは童貞である。闇の書事件後管理局入りし気がつけば19歳、10年など一瞬だ。青春時代を仕事に捧げ無限書庫で働き続け、
いつの間にか史書長などという名誉な職にもついていた。本本本、資料資料、未だ増え続ける本の区画整理、そして書庫内での仕事をやりやすくする為の
探査、そして読書魔法のプログラムの開発。進捗状況の調整。仕事仕事で10年が過ぎ少年らしからぬ人生を送った彼は、ある日ふと思った。

”僕は何をやっているんだろう?”

 虚しいかな、闇の書の事件では手伝いたいが一身で無限書庫に入り浸り、その後も良かれと思い
管理局入りをしたものの、振り返ってみれば味気の無い人生を送っている。おんなっけ一つ無い仕事だ。
勿論司書にも女性はいるが恋愛に発展した事は無い。時折胸の大きな司書がいると
ちらりと見て興奮することはあったが、それだけだ。自慰をしても虚しいだけ。仕事に没頭した。
休みのある日にも風俗に行くべきかと考えた事はあるが、意中の相手のことを思い出し止めた。
自分の中では相手はもう振り向いてくれない事にも解っているのに、結局休日もため息をつきながら
発掘と論文をまとめるだけで終わる。ユーノ・スクライアと言う人間は三大欲求がどこか欠如している
節がある。食欲、性欲、睡眠欲、まず仕事を優先させるからおいしいものを食べようという気はあまりない。
味覚は普通だが、二時間キープのゼリーやネイチャーメイドマルチビタミンーのような職場でも取れる食事が
殆どだ。たまに局の食堂にも足を運ぶと、まるではぐれメタルを見たかのような目で見られる。少し悲しい。
次に、性欲。これは前述もしているが……無い訳では、無い。でも仕事仕事で避けていた。クロノに抱かれる趣味は無い。
最後に睡眠欲。こちらも仕事を優先するから疎かになる。一徹、二徹は慣れたものだ。こうしてみると
ユーノ・スクライアという人間は三大欲求よりも、仕事を何よりも優先させる人間なのではないか? と、本人は考えながらため息をつく。

「(馬鹿馬鹿しい・・・・・・。)」

そう言いながらも、現にユーノは無重力の無限書庫の中で胡坐をかき読書魔法を動かしながら仕事に勤しんでいた。同時に、各部署からの依頼や
司書達からの言伝メールも読む。まるで厩戸皇子のようだ。周囲では本がパラパラとめくられておりユーノは頭の中でそれ捌いていく。
仕事仕事、いつしか自分の頭の中は女女といった風にでもなるのだろうか? 無理だ、と自分で答えを出してしまう。19歳という普通の年頃ならば
女の味を知り愉しむ年頃だ。仕事はそこそこに友人関係も良好に順風満帆な人生をスタートさせる。それが普通の19歳であり、既に19歳で
年寄りじみた何かを得ているユーノにしてみれば酷く人事だった。司書長という立場を鼻にかけるつもりもないが、少なくとも若造が得る立場では
ないだろう。これも実力至上主義の管理局だからか。このまま出会いもなく枯れ果てる事を考えると少し寂しい気持ちになる。魔法使いを飛び越して
童貞の王になりそうだ。それだけは、御免被りたい。好きな相手は特にいないが誰かとセックスぐらいはしたい。以前なのはと連絡してから寝た時に
夢精したのは泣けた。こんなに虚しいことはない。たまにオナニーをする時はなのはがおかずだからもっと泣けてくる。小さな唇を唾液にぬれさせてから
亀頭をを押し当てて感触を楽しんでから暖かな口マンコに入れていく。なのはの髪に指を入れ頭を押さえ、股間が得る柔らかな感触となのはの表情を楽しみながら

・・・・・アー・・・・・。

515 墨の人 :2009/07/05(日) 01:30:54 ID:iayAB8KU
「エロ司書長物語?」一話目2/3
「・・・・・・。」

考えているだけでムッシュムラムラしてきた。いかんいかんと鎌首もたげた一物を
自粛させるためにも仕事に集中する。ああ悲しい、ああ空しい。
機動六課なんておっぱいの惑星じゃないか。おっきいのからちっちゃいのまで、
畜生めもみちゅぱしたいよぉと男の本能丸出しで嘆く。今更か。やれやれと思っていると
通信が入ってきた、エロノかと思ったがどうやら違うらしい。誰かと思いながら確認してみると
よく解らない所からの通信だ。それでも依頼には変わりない。回線をつなげると黒服にサングラス、
MIBに出てきそうなおっさんが映った。怪しい事この上ない。それでも仕事だ。口には出さない。

「無限書庫司書長のユーノ・スクライアです。資料ご依頼ですか?」

「いや、仕事の依頼だ。機動六課の面子を犯してほしい。」

ユーノは固まった。いや、聞き違いに違いない。うんうんと頷いてから目元をほぐす。
そうだ、ここ連日も徹夜してるしあんなムラムラすること考えるから
聞き間違いをするんだ。高町なのは機動六課の面子をおかしをあげてほしい、
と言ったに違いない。顔を上げ通信画面にニッコリと笑いかける。

「すみません、もう一度お願いできますか?」

「ではもう一度言おう、機動六課の面子を犯すという仕事を依頼をしたい。」

顔をひきつらせながらユーノは眼鏡を取りもう一度眉間を押さえる。

「・・・あの、悪ふざけは止めてもらえませんか?」

「悪ふざけなどではない。真面目な話だ。」

「ここは無限書庫ですよ? それに」

そこで話を切ろうとしたユーノだが、男は真面目にいった。

「君は童貞の筈だ。スクライア司書長。」

余計なお世話だ、と思ったが口を出さないでおく。通信先を見てユーノは吹いた。
なんで気づかなかったのかが不思議だ。男の所属は時空管理局:本局:・・・射精部署?
なめてるのか? しかもこの黒服に妖しい井出達。信用できるとは思えない。ユーノは
問答無用に通信を切り直ぐに仕事に戻ろうとしたが、直ぐに通信が再度かかってくる。
射精部署からだ。いやーな顔しながら取り次いだ。再びKみたいな男が姿を通信ウィンドウに姿を見せる。

「酷いではないか司書長、いきなりきるなんて。さてはオナニーか。」

いいぞ、と言い出した変態に対して違いますと怒り心頭で返事をする。何様だこの男は。

「いい加減にして下さい、通報しますよ。」

「ふむ。では君は高町なのはを犯したくはないかね?」

その質問にもむっとして黙るが、心は素直だった。胸のうちでは犯したいですと応えてしまう。
それでも、知りませんよそんなことと切り返す。

「八神はやては? ハラオウンは? シグナムは? ヴィータは? その他にも機動六課の連中をはめてみたいと思ったことは?」

「だから・・・!」

516 墨の人 :2009/07/05(日) 01:32:03 ID:iayAB8KU
一話目3/3
そこまででユーノが切ろうとした時、男からあるデータ送られてくる。
いぶかしげに送信内容を見ると・・・局内のある一室が指定されているだけだった。

「どういうことです?」

「私達射精部署は秘密の部署だ。貴方達のようなエリートの人間が極秘に知るだけだ。
さて、本能に従うならその部屋へどうぞ。司書長殿。勿論お断りいただいても構いません。」

ユーノはいぶかしげに通信画面の男を見続ける。

「ただし、お断り頂いた場合は他の男が愉しむことになりますだけですので。それでは、失礼します。
気が向いたらいつでもその部屋にお越し下さい。お待ちしております。」

通信が切れる。ユーノは黒くなった画面を見つめ続けていた。これは何かの罠か陰謀だろうか。
それとも、なんなのだろうか?指定された部屋の前を、ユーノも何度か通った事のある
本局のなんの変哲もない部屋だ。そんなところが射精部署? 馬鹿なと思いながらウインドウを
操作して部屋を確認するとそこはどの部署も使わず空き部屋になっている。やはりだまされているのか。
それでも、ユーノは指定された部屋の場所を見つめながら黙した。誰かのおふざけにしては度が過ぎている。
それともスキャンダル狙いの何かかと思ったがあまりにもおかしい。回りくどい。
それにここは管理局内だ。やることが大胆すぎる。どうしたものかと思ったが先程の妄想がぶり返した。
なのはの口の中でいっぱい射精をしたい。吐き出した精液をごくごくと飲んでもらいたいという
欲求がユーノの中で踊っていた。どうするべきか。欲望か、それとも理性か。とりあえず通信ウインドウを
閉ざし仕事に戻ったが、頭の中にはえろい事でいっぱいだった。時間は、淡々と過ぎていく。
胸の高鳴りだけを感じながらも、ユーノがふと時間を確認する。いつの間にか午前零時を回っていた。
どうにも眠い筈だ。まずいなと思いながらも、ふと部屋のことを思い出した。どうするべきか、
未だに迷う節は確かにあるが、興味心に負けた。今日はエロノ提督やその他の依頼も厳しい状況ではない。
珍しく仕事を早く切り上げる事が出来る状況だった。魔法を解除し足場を形成すると強く蹴る。
他の司書達にあがることを伝えながら、お疲れですと挨拶をしつつ無限書庫を出る。心臓は、酷く高ぶっていた。

「・・・ふぅ。」

落ち着けと自分に言い聞かせながら指定された部屋へと向かう。が、

「あれ?」

到着した部屋の戸はしまっていた。扉の前に立っても開く気配すら見せない。明らかにロックがかかっている様子だ。
拍子抜けだ、食堂にでも行って何か飲み物でも買おうと振り返ったとき、ユーノはぎょっとする。真後ろにはいつから
いたのか、黒服に黒サングラスの渋くも妖しい男がいた。

「お待ちしてましたよ、司書長。さあ中へ。」

心臓に悪い男だ。ユーノの脇に立ち何か操作すると扉が開く。どうぞと招かれた。男と共に中に入る。照明がつけられると
部屋の中は酷く普通の局内の一室だ。別に特別かわったものがあるわけじゃない。どうぞと促されソファーにこしかける。

「レイプは好きですか?」

大好きです。胸は即答していた。ただし、妄想の中での話しだ。ユーノは童貞だったし、何より本気で泣き叫んで拒む女性を
犯す趣味はユーノにはない。話を戻す。

「どういう意味ですか? アレは・・・。」

「そのままだな。貴方は童貞だからわれわれは支援する。それだけだ。」

これでいいのか管理局、と疑いたくなったがもう諦める事に_。

「そもそも、そんな破廉恥な部署聞いたことないんですけど。」

「勿論、我々の部署は童貞を支援しヤリチンに育てるのが仕事だ。」

やっぱり頭が痛くなった。帰ろう、と思ったが男はまあ待てと電話を取り出す。そしてかけた。

「私だ。・・・ああ、そうだ。」

誰に連絡してるのか知らないが、直ぐに連絡を終えて男は立ち上がった。

「行こう。」

「?・・・どこへ?」

「質問を質問で返して申し訳ないが司書長、最後に抜いたのはいつかな?」

う、と返事をしづらい質問が来たが、迷った末に素直に応えておく。

「解りません。」

「それは良かった。」

男はにやりと口元を歪ませて笑った。

「行こう。」

「だから何処へ?」

「パラダイスさ。・・・犯したいんだろう? 女達を。」

517 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 03:05:27 ID:COFaeprk
終わり?
終わりならそう一言入れてくれるとありがたいな。
感想入れたりするタイミング掴むためにも。

518 墨の人 :2009/07/05(日) 03:48:06 ID:iayAB8KU
>>517
一旦終わりです。半端ですみません。

519 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 12:11:59 ID:COFaeprk
>>518
いや、終わり方としては調度いいと思うよ。
にしてもギャグありシリアスありで結構メチャクチャだなw
シュールギャグってこういうのを言うんだろうか?w
なんにしても続きが気になる。
ユーノが暴行罪で捕まらないことを祈りつつ、GJ!!

指摘するところがあるとすれば、改行がちょっと気になったかな。
前の文章と繋がらないところは改行するように意識するといいと思う。
書き込み時の字数制限による強制改行は慣れるしかないね。
なんにしてもこれからだ。ガンバッ!

520 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:14:31 ID:cQ431YQ2
>>518
射精部署…………このSSはもっと評価されるべき。
最近はユーノをエロ男っぽく描くのは避けられる傾向にあるから
逆にこういうのは斬新に見えましたw

あと、先のSS投下から数時間も経過してますからちょいと書きますね?

・またなのは×スカちゃんやっちまいましたよ先生ごめんなさい生まれてきてごめんなさい
・エロ
・今回からスカリエッティを「ジェイル」と名前で表記します。
・なのは×ジェイルの関係上NTRっぽくなるのは必然なんでNTR注意って事で
・バッドエンドっぽい終わり方ですが、人によってはバッドの中にも光明が見える様な微妙な結末注意
・新パターンを模索する余り、ジェイルがなのはを求める理由がこれまたしょーも無くなった注意w
・今回のテーマは『運』

521 幸運不運 1 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:16:12 ID:cQ431YQ2
 それは時空管理局のエース・オブ・エース高町なのはが時空犯罪者ジェイル=スカリエッティの一味に
捕まってしまった事から端を発した。

「さて、高町なのは君…エース・オブ・エースと呼ばれながら我々に捕まってしまったわけだが…
何故だか分かるかね?」
「それは私の実力が及ばなかっただけの事…簡単な話じゃない。皆は私の事をエースエースって持ち上げるけど…
実際はそんな器じゃなかったって事だよ…。」

 なのはの前に直接現れたジェイルに問われ、なのはは平静さを装いつつ悔しさの混じった苦笑いを浮かべていたが…

「違うな! 君の実力は決して我々に劣ってはいなかった。むしろ勝っていた! なのにこの結果…。
それは何故か…………答えは簡単! 君の運が悪かったのだよ!!」
「なっ………運!? そんな事で!? 貴方科学者でしょ!? その時の運に頼ってどうするのよ!」

 突然『運』を引き合いに出して来たジェイルになのはは困惑する。実力的に及ばなかったから
こうして彼等に捕まったと考えるなのはにとって、運が悪かったからとフォローを入れるジェイルの言葉が
逆に悔しかった。しかし…ジェイルの考え方は違った。

「フッフフ…。たかが運…されど運…。勝負は時の運とは良くぞ言った物でな…。『運』とは決して
侮れない物なのだよ。昔の人は、大切な戦の前には戦勝祈願を兼ねた運試しをやった物だ。
なのは君…君の出身世界でもその昔、ナスノヨイチと言う人間が敵側の船に立てられた扇を矢で射抜いたと
言う話があるそうだが…それもまた、そうする事によって運を自分達に呼び込もうとする行為だったのだよ。」
「そ…それがどうかしたの…? そんなのただのおまじないじゃない。やっぱり科学者が真面目に
考える様な事じゃないよ…。」

 なのはは苦笑いしながらも冷静にジェイルの考えを否定していたが…ジェイルの表情は変わらない。

「果たしてそうかな!? 例えば、物凄い実力を持った魔導師がいたとする。しかし大切な戦いを
前にして突然腹痛を起こしてしまい、その物凄い実力を発揮する事無く敗れてしまう事もあり得るだろう。
分かるか!? どんなに実力があろうとも…運が悪ければこの様な残念な結果になる事もあり得るのだ!
逆に…どんなに実力の無い無能者でも…運さえ良ければ天下を取る事もまたあり得ると言う事だ!
 金! 力! 頭脳! これらは例え劣っていようとも努力でカバーする事が出来る…
しかし運だけは努力ではどうにもならない! だからこそこの世で最も大切な物は運だと断言する!」
「運が大事と言いたいのは分かったよ…でもその話を私にして…何か意味があるの?」

 そう。そこが問題。ジェイルが突然『運』にまつわる話をなのはにし始めたのに関して
ジェイルにも別に何も考えていないわけでも無かった。

「その通り。実はな…私は君と運試しをしようと思ってな…。」
「運試し?」
「そうだ。私と君…どちらが運が良いのか勝負をしようと言う事だ。そしてもしも君が勝つ様な事があれば…
私は即刻武装を解除して管理局に自首する事を約束しよう。」
「そ…それは本当なの?」
「本当さ。もしこの運試しで負ける様なら私の運もその程度。管理局に挑戦した所で勝てはしないだろうからな…。」
「信じがたいけど…仮に私が負けた場合…どうなるの?」

522 幸運不運 2 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:17:30 ID:cQ431YQ2
 ジェイルがなのはに持ちかけた運試し。これでなのはが勝てばジェイルは自首をすると言うが…
もし逆になのはが負けた場合どうなるか…恐る恐る問い掛けるなのはであったが…

「ふむ…。君が負けた場合か…それはこれからやる運試しのお題目にかかって来るのだよ。」
「その運試しのお題目は…?」
「フフフフフ…それはな…これから私と君がSEXをして孕んだら私の勝ち、孕まなければ君の勝ちと言う勝負だ!!」
「な…何ですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 ジェイルに持ちかけられた勝負のお題目。それを聞かされたなのはは…顔が思わず真っ赤になってしまった。
無理も無い。一体何が悲しくてジェイルとSEXをしなければならないと言うのか………
と言うか、もし仮にこの勝負に負けてしまったら…なのははジェイルの子供を産まなければならないでは無いか。

 それから、なのはは与えられた部屋のベッドの上に不安な顔で座っていた…。

「わ…私が…ジェイルと…セ…SEX………。SEXって言ったらあれでしょ? 男の人のオチンチンが…
私の…おマ○コの中に……………そんな………。嫌だ…………嫌だよ……………。」

 なのはは自分の股間を両手で押さえ、悔しさと恥ずかしさの余り赤くなり…目から涙を流していた。

「嫌だ…嫌だよ………。あんな男とSEXするなんて………。だって私の初めての相手はユーノ君って
決めてたのに………何時かユーノ君と結婚してユーノ君の赤ちゃん産むって決めてたのに……………。
ユーノ君と同じ…翠色の瞳とブロンドの髪を持った赤ちゃんを………………。」

 自身の股間を両手で押さえながら蹲るなのはの脳裏に、想い人、ユーノとの思い出が走馬灯の様に蘇る。
しかし今ジェイルに捕まった身であるなのはは…それも叶わぬ望み…………。そしてついに、ジェイルが
部屋の中へ入って来たのである。

「初めてのお相手が好きな相手で無くて残念だったな? しかし、それなら私との勝負に勝てば良いじゃないか。
君が私の子を孕みさえしなければ、約束通り私は自首をする。一滴の血を流す事も無く事件が解決されるのだ。
そうすれば君の好きなそのユーノとSEXする事も子供を産む事も想うがままでは無いか。
あ、この場合、君が私とSEXをして処女を散らした時点で処女血が流れるわけだから無血とは言わないか…。
まあそんな事は良いんだ。とにかく私と君、どちらが運において優れているか…勝負だ!」
「んっ………!」

 次の瞬間、ジェイルはベッドへ飛びかかり、なのはを押し倒すと共にその唇を奪った!
そしてなのはの顔は赤くなる。しかし、これはジェイルとしても真剣勝負も同然だった。
一見冷静になのはの肢体を抱いている様に思えるジェイルも、もしなのはが孕まなければ
即刻武装を解除して自首しなければならなくなる。そもそもSEXをしたからと言って
必ず子供が出来るとは限らない。例えば、ゲンヤ=ナカジマと亡き妻クイントとの間にも
子供が出来ず、代わりにスバル・ギンガと言う養子を取ったりと…そういう例もある。
だからこそ、なのはだけでは無い。ジェイルにとっても緊張かつ真剣な勝負だったのである。

「プハッ!」
「んぁ………………。」

 ジェイルが唇を離し、全身の力が抜けて崩れ落ちる様に倒れこむなのはを優しくベッドへ寝かした後、
次になのはのスカートの中へ手を伸ばし、さらにパンティーの中へ指を潜り込ませた。

523 幸運不運 3 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:18:44 ID:cQ431YQ2
「あっ…嫌…………。」
「フッフフ…嫌と言っておきながら…君の女性器は私の指をこんなに締め付けているでは無いか。流石は処女…。」

 ジェイルの言った通り、なのはがどんなに恥ずかしがり必死に顔を背けようとも、彼女の処女は
異に反してジェイルの差し込んだ指をキュッと締め付けていたし、さらに愛液がドロドロと溢れ出てさえいた。

「たっぷりと濡らしておかねばな。君も痛いのは嫌だろう?」
「くっ……………………。」

 ジェイルはなおも指でなのはの股間をクチュクチュと弄くり、あろう事かクリトリスにさえ指でクリクリと
弄くり始める始末。だがなのはは歯を食いしばってそれに耐えた。本当ならば大声を張り上げて泣き出したい。
ユーノに助けを求めたい。しかし…なのはの管理局魔導師としてのプライドがそれを許さなかった…………

「さて、そろそろ行こうか?」
「あ………ああああ!?」

 なのはの膣口が愛液で濡れに濡れた事を確認したジェイルは、なのはの目の前でズボンとパンツを脱いだ。
そしてついに現れる。ジェイルの股間から空にそびえる鋼鉄の城の様に…長大で固められた…その一物!
 なのはの眼前にそびえ勃つ、ジェイルの巨大で黒い一物に流石のなのはも困惑する。 

「あ………あ………あ…………。」
「何を恐れている? これからこの私の男性器が君の膣内へ潜り込み、処女を奪う。つまり君の初めての相手となる
男性器なのだぞ。いや、この勝負の結果次第では生涯のパートナーとなる可能性もあるかもしれないのだぞ?」
「嫌! そんなの嫌! やっぱりユーノ君じゃないと…私の初めての相手はユーノ君じゃないと嫌ぁぁぁぁ!」

 なのはは本格的に泣き出した。例え管理局魔導師のプライドによって我慢していても、女としての部分が
好きでもない…むしろ憎い相手とのSEXを拒んでいたのである。

「だが、今と言う状況を見たまえ。もしそのユーノと言う男が君の運命の相手だったと言うのならば…
君はここにはいない以前に、私に捕まる事も無くその男と結ばれ、その子供を産んでいただろう。
しかし、現実はこの通り。所詮そのユーノと言う男は君の運命の相手では無かったと言う事だ!」
「な…何を………まるで自分が私の運命の相手みたいな言い草じゃない…。」

 なのはは悔しそうな目で必死にジェイルを睨み付けるが、ジェイルは逆に不敵な目でなのはを見つめていた。

「そう。その通りだ。私は君こそ私の運命の相手である事を確信している! だからこそ私は君を捕らえ、
ここまで来る事が出来た。つまり、運が私に味方をしている証拠!」
「そんなの私は認めない! 認めないよ! 貴方が…ジェイルが私の運命の相手なんて…。」

 なのはは目から涙を飛び散らせながら否定するが、やはりジェイルの表情は変わらなかった。

「ならば教えよう。何故私が君を運命の相手だと確信した理由を………。それは…君の存在が
私のある悩みを解消したからなのだよ。」
「え…?」

 なのはがジェイルの一体何を解消したと言うのか? 疑問が浮かぶ中、ジェイルは語り始めた。

524 幸運不運 4 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:19:41 ID:cQ431YQ2
「実は私は…生まれ付きインポだったのだよ。」
「インポ…?」
「インポとは…要するに男性器が勃起しない症状の事を言う。私は父・母の間から生まれた君と違い、
人工的に培養槽の中で人工的に生み出された。と言っても…特定の何者かのクローンと言うわけでも無く
科学者となるべくして遺伝子を操作された人に似て非なる人工生命体と表現しても可笑しくあるまい。
それ故なのだろうな…私の生殖能力は常人より低くなってしまったようだ。だからこそ…私は生まれ付き
男性器が勃たない…インポだった…。無論、如何なる美女やその裸を見ようとも…何の興奮も起こらない。
科学の力を駆使して強精剤を作り、それを服用したりしたが…効果は無し。私のインポは治らなかった。
そうだ。私がクローン技術の研究を進めていたのは、インポ故に普通の方法では子孫が残せないが故の
苦肉の策だったのだよ!!」
「な………何を馬鹿な………ジェイル…貴方のオチンチン……そんなに大きく勃ってるじゃない!
うあぁぁぁ…………まだ小さい頃、一緒にお父さんとお風呂に入った時に見たのよりずっと大きいよそれ…。」

 そうだ。ジェイル自身は自分がインポだったとカミングアウトしていたが、なのはの眼前には
そのジェイルの長大かつ固く勃起した一物がそびえ勃っている以上、説得力が無かった……が………

「そう。そこがポイントだ。インポであったはず私が…君の父親以上にまで男性器を勃たせる事が出来た。
それは何故か!? 全ては君のおかげなのだよ! 君のその美貌が…美しき肢体が……私のインポを治したのだ!」
「ええ!?」
「初めて君を見たのは、来るべき管理局との決戦の為に戦闘データを取っていた時だった。その映像の中に
チラリと映った君の姿………それを見た時……私は股間のふくらみを感じた。生まれて以来一度も勃った事の
無いはずの私の男性器が…勃起していたのだ! おまけにその日の晩は生まれて初めて…夢精した!
それどころか…君を映した映像や画像を見るだけで自慰行為さえ出来る様になった。そして私は確信した。
君ならば私の悩みを解消してくれると…君こそ私の運命のお姫様だと! 君こそ私の子供を産み得る女性だと!!」

 ジェイルの言っている事は無茶苦茶極まりない事だが…その目は真剣だった。ただ単純にスケベ心で
なのはに迫っているわけでは無い。真剣に…なのはこそ自分の持病だったインポテンツを治す力を持った
運命の女性であると確信し、その子供を産ませようとしていたのである。だが…なのはにとってそれは
迷惑この上無い。

「嫌…嫌だよ…私は認めない…ジェイルが私の運命の相手なんて…絶対認めない!」
「ならば私が認めさせて見せる! そのユーノとやらより私こそが君に相応しい男だと思い知らせてやる!」
「あっ! 嫌ぁぁぁ! そんなおっきなの挿るわけ無い………。」

 ついにジェイルの巨大なる一物がなのはの膣口に押し当てられた。なのはの映像を見ただけでもジェイルの
インポを治す威力があったのだ。生でかつ直接なのは本人と出会い、こうして交わろうとしている今のジェイルの
一物はそれ以上。もはやはちきれても不思議で無い程にまで怒張し、本当になのはの膣内へもぐりこむ事が
出来るのかさえ心配になる程だったが…………不思議な事に…徐々にではあるが…なのはの膣はそれを
受け入れていた………。」

「あ…挿ってる…ジェイルの固くて熱いカリが…私の膣内に…………痛ぁ!!」

 直後、なのはは強烈な痛みを感じた。ついにジェイルの一物がなのはの処女を奪ったのである。
しかし、ジェイルは構わず己の一物を奥までねじ込ませていた。

525 幸運不運 5 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:20:46 ID:cQ431YQ2
「くっ………………!」
「痛いかね? だが心配はいらない。直ぐに慣れる。では行くぞ!」
「あっ…あああっ!!」

 ジェイルの一物がねじ込まれたなのはの膣口からは真っ赤な処女血が流れ出ており……なのはが
必死に破瓜の痛みに耐える中…ジェイルは腰を動かし始めた。抜いては刺してのピストン運動だ。

「はっはっはっはっはっはっはっはっ!」
「んぁ! あっ! 痛! 痛いぃぃ!」

 ジェイルが突けば突く程、なのはに強烈な痛みが襲う。またそれだけでは無く、ジェイルは
なのはの豊満な乳房を両手で鷲掴みし、もぎゅっもぎゅっと揉み解し始めていたのである。

「あっ! おばいぃぃ! 嫌ぁぁぁぁ!」
「はっはっはっはっ! 流石はなのは君だ! 素晴らしい乳を持っているでは無いか!
我がナンバーズにもこんな素晴らしい乳を持った女はいないぞ!」

 ジェイルはなのはの膣を…子宮を激しく突き上げながら…豊満な乳房を何度も何度も揉み解した。
なのはは悔しかった。ユーノにあげるはずだった処女を…よりによって憎い犯罪者にささげ…
あろう事かこの様な恥辱を受ける等………。だが、それ以上に許せなかった事は………
そんなジェイルの一物を美味しそうに咥えこむ…自身の膣肉だった…………

「さて…そろそろ出すぞ! しっかり中で受け止めるんだぞ!」
「え!? 嫌! 嫌嫌嫌嫌嫌! 嫌ぁぁぁぁぁ!! ジェイルの子供なんて産みたくない!
嫌ぁぁぁぁぁぁ! ユーノ君! ユーノ君助けて! 嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

          ど び ゅ っ び ゅ っ び ゅ っ び ゅ び ゅ び ゅ っ

「あ…………。」

 ついに出た。一物そのものも巨大だったが…そこから発射された精液もまた大量かつ濃く、熱い物だった。
なのはが憎い犯罪者の精液によって膣と子宮を満たされてしまったショックで放心状態に陥る中…
ジェイルは満足げな顔でなのはの下腹を優しく摩っていた。

「さて…種は撒いた。後は私の精子と君の卵子次第だな…。」


 その日の晩…なのはは夢を見た。ユーノと結婚して…その子供を産んで母親となった………夢……。
この上ない幸せを噛み締め、赤ん坊を抱くなのはだが……………その子供は…金色の瞳と紫色の頭髪…
そして……ジェイルのごとき悪そうな目付きでなのはの乳首に吸い付いていた………………

「ああああああ!!」

 あまりの悪夢の余り、なのはは全身汗だくでベッドから飛び起きる程であり、心臓の高鳴りも止まらなかった。

「そんな…嫌だ……ジェイルの子供なんて…産みたくない……私が産むのはユーノ君の…ユーノ君の子供なのに…。」

526 幸運不運 6 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:21:45 ID:cQ431YQ2
 それからさらにしばらくの時が流れた。一応、なのはがジェイルの子供を孕めばなのははジェイルの嫁。
逆に孕まなければ、ジェイルは即刻武装解除して管理局に自首と言う勝負だったので、なのははジェイル一味の
アジトで暮らしていたのだが、その日もまた何時もの様にジェイルと一緒に食事を取らされていた。

「さて、なのは君。身体の調子はどうだね?」
「何も変わらないよ。残念だったね。今まで特に何事も起こらなかったと言う事は、私は貴方の子供を
孕む事は無かったって事! そもそも最初から無理があったのよ! 貴方は以前、人工的に遺伝子操作されて
生まれて来たって言ってたけど、まさにその通りだよ。人と猿って遺伝子的にはほんの少ししか違いは無いけど
双方の間に決して子供が生まれる事が無いように、私とジェイルの間にも子供が生まれる事は無かった。
つまりそういう事でしょう?」

 勝利を確信したなのはは立ち上がり、ジェイルの手を引張った。

「さあ約束通り、武装解除して管理局へ自首してもらいましょうか? それとも…約束を破るの?」
「確かに…約束だからな……君が私の子供を孕まなかったと言う事は…私の運も所詮はその程度。
やはりこんな状況で戦いを挑んだ所で…負けは確実…。分かった……即刻武装を解除して…………。」

                     と……その時だった…………

「うっ! うげぇ! うげぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「なのは君!?」

 突然なのはがその場に跪き、先程まで食べていた物を全て吐き出し始めたでは無いか。
それにはジェイルも戸惑う。

「うげ! うげっ! うげぇぇぇぇ!!」
「なのは君! しっかりするんだ! おいお前達何をボサッとしている! さっさとなのは君を病室へ運ばんか!」

 ジェイルはナンバーズに命令し、なのはを病室に運ばせると共に検査を開始した。なのはの体調管理は
しっかりと行っていたつもりだったが………何故この様な事になったのかジェイルも心配していたのだが………

「なのは君…………おめでただ………。」
「え………………。」

 ジェイルの発した言葉になのはは愕然とする。

「じょ…冗談でしょ? だって今まで特に何も起こらなかったのに…。」
「今まではな…だが、つい先程になってやっと妊娠したと考えればどうか? さっきの吐き気はまさにそれだろう?」
「…………嘘………………そんな…………じゃ…じゃあ…負けたのは……私……………そんな………
こんなはずじゃ…………こんなはずじゃ無かったのに………………そんな………………。」

 なのはが下腹に手を当てると、確かにかすかにリンカーコアの波動を感じる。それはつまりなのはの
卵子がジェイルの精子を受け止め、子宮に着床した事を意味する。と言う事は…なのはの運命の男性は…
ユーノではなくジェイルだったと言うのか…………

「あ…………………。」
「さて………そういう事だな。強き子を産んでくれたまえよ………。」

 ショックの余り…放心状態に陥るなのはの唇をジェイルが再び奪っていた…。

527 幸運不運 7 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:24:15 ID:cQ431YQ2
 勝負はジェイルの勝利となのはの敗北に終わった。敗者は大人しく勝者に従うのみ。なのはは屈辱に
耐えながらもジェイルの子供を宿した事実を受け入れ…ジェイルの嫁となった…………が………
二人のラブラブ(?)新婚生活も長くは続かなかった。

 なのはが自身の子供を孕んだ事によって勢いを付け、聖王のゆりかごを持って管理局に挑戦したジェイルだが…
なのはとの勝負で運を使い果たしてしまったのだろう。残念ながら聖王のゆりかごは堕ち、ジェイル本人もまた
フェイトに逮捕されてしまうと言う結果となっていた。

「ジェイル=スカリエッティ! 高町なのは一等空尉がお前達の手によって捕まっている事は既に知っている!
答えろ! なのはを何処へやった!?」

 なのはの親友であった執務官フェイトは、ジェイルを締め上げ問い詰めるが…ジェイルは不敵な
笑みを浮かべて答えた。

「高町なのは? ああこの間ガジェットが捕らえて来た管理局魔導師の事か…。何か使えるかな? と思って
洗脳処置を施そうとしたが…残念ながら洗脳に失敗して壊れてしまってね。後は適当に人体実験の材料に使って…
その後適当に処分させてもらったよ。ハッハッハッハッハッ!」
「わ………笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 凶悪な笑みを浮かべながら答えるジェイルの顔面を、フェイトは目から涙を飛び散らせながら殴り付けていた。
そしてフェイトは何度も何度もジェイルの顔面を殴った。親友であるなのはを人体実験の材料にした挙句に殺した
ジェイルを許す事は出来なかったのだから。しかし、そんなフェイトに何度も顔面を殴られながらも…
不思議とジェイルは笑っていた。

「(フフフ…これで良い…。なのは君…我が子を…頼んだぞ…。)」


『ここで番組の途中ですが臨時ニュースです。長年各世界で指名手配されていたジェイル=スカリエッティ年齢不詳が
ついに逮捕されました。』

 ミッドチルダのとある街のビルに作られた大型モニターからその様なニュースが報じられ、人々が様々な
反応を見せている中を歩く一人の女性の姿があった。

 全身を大きなコートで包み、サングラスをかけ、大きな帽子で頭を覆い、大きなトランクを引いて歩く一人の女性。
そして、彼女もまたビルのモニターに映ったジェイル=スカリエッティ逮捕の報道を見つめていた。

528 幸運不運 8 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:26:06 ID:cQ431YQ2
「ジェイルって…本当自分勝手で最低な男だったね……私を無理矢理孕ませて…結婚までさせておいて……
あんなあっさりと捕まっちゃうんだもん…………本当最低…………。きっと………私を孕ませた所で
運を全部使い切っちゃっただろうな……………全く………最低としか言い様が無いよ…。」

 その女性の正体はなのはであった。そう。ジェイルがフェイトに言った、人体実験の挙句に処分したと言うのは
真っ赤な嘘。全てはなのはを管理局の目から反らさせる為であり、ジェイルは自身が逮捕された時に備えて
なのはをこっそりと脱出させていたのだった。こうする事によって、時空管理局魔導師高町なのはは
ジェイル=スカリエッティによって殺されたと言う事になり、ジェイルの妻、なのは=スカリエッティは
人知れず脱出してジェイルの子供を産む事が出来ると言う事である。

「一緒にいた時は…あんなに憎たらしかったのに……何度も殺してやろうって思ってたのに………
いざいなくなると………こんなに寂しくなっちゃうのは何故だろう…………。」

 なおもモニターに表示されるジェイル=スカリエッティ逮捕と高町なのはの死を報じる報道を見つめ、
なのはの目からは涙が流れ出ていた。そして初めて気付く。自分は何だかんだで………ジェイルの事を
愛してしまっていたのでは無いかと……。

「ジェイルは最低な男だったけど………ユーノ君の事を放ってあんな男の子供を産もうとする私も最低な女だよね…。
今の私のこんな姿…皆には見せられない…。特にフェイトちゃんやユーノ君は……私の事を本気で憎むだろうね?
ならば…高町なのははあそこで死んだ事にしたままにした方が良い…。私は…なのは=スカリエッティとして生きる。
管理局に逮捕された夫…ジェイルに代わって…スカリエッティの姓と…その血を受け継ぐこの新しい命は…私が守る!」

 なのははコートの上からでも若干膨らんでいる事が分かる、ジェイルの子を宿した下腹を優しく摩った。
確かに最初は無理矢理孕まされたも同然の命…しかし…今ではなのはにとって唯一無二の愛する我が子だった…。

「この子もお父さんと同じ…最低な血を受け継いでるのかな? でも…お母さんも最低な女だから心配は要らないよ。
だからってわけじゃないけど……………何時の日か…お父さんみたいなマッドサイエンティストか………
はたまたお母さんみたいな悪魔って罵られる様な魔導師になったら…その時は…一緒にお父さんを迎えに行こう?」


 そしてなのはは………何時の日か、我が子と共にジェイルを取り戻す事を誓いながら……街の人込みの中へ消えて行った。


                       おしまい

529 ◆6BmcNJgox2 :2009/07/05(日) 12:27:12 ID:cQ431YQ2
さて、次こそはなのは×ユーノを書くぞ〜と言う事で…
とりあえずここでなのスカばっかやる自分自身に対する戒めとしてセルフ突っ込み程度はしておく事にします↓


  /\___/\      >>◆6BmcNJgox2
/ /    ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < まーたはじまった
|   ,;‐=‐ヽ   .:::::|    \_______
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\


一体何をやってるんだろう…自分…と逆に凹んだ件…orz

530 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 13:27:22 ID:TsqQFxj2
あんたほんとスカリエッティとなのはのカップリング好きだな!
略奪される側のNTR好きだろ絶対。
まあ最後に愛があればいいよ……破滅的だけど。
乙!

531 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 13:29:52 ID:FvusUcGM
待ってましたw
実はあなたのなのスカ好きです。
これからも全裸で待ってまっせw

532 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 17:20:57 ID:yWTXs0IM
NJgox2の後の感想レスは文の最後に。が多いなぁ

533 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 17:27:37 ID:CILwE5FE
(このスレ在住かどうかにかかわらず)書き手さんが多いんでしょ。
書き手側だとそういう癖、付きやすいから。

534 シロクジラ ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:04:24 ID:ADnR899M
最後のAAのダディで噴いてしまったw

こんばんは。夏らしくなってくる季節、SSを投下します。
タイトルは「触手太郎」。NGもそれで。
壊れギャグです。
捏造設定大量です。
オリキャラものです。

19:05より投下。

535 触手太郎 ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:06:29 ID:ADnR899M
「触手太郎 その2」


古代ベルカ時代、聖王のゆりかご内部にて。
アルハザード文明の遺産を王城として機能させていた、偉大な王がいた。
七代目の聖王である。一見すると仙人にしか見えない好々爺だが、まだまだ現役のマラをもっており、
毎日のように美女に種付けを繰り返す人間ピストンマシーンだった。
守備範囲は六歳児から熟女までOKという男だったそうだ。その性欲を別のことに生かせよ。
それはともかくとして、その横、玉座の隣にはどう見てもこの世のものならざる怪奇があった。
巻き貝の巨大な甲殻から上下逆さの顔のようなものが突き出しており、狂気じみた青色が肉を彩り
這いずり回るような冒涜的な音で触手を動かし、何とも名状し難き声でとても言葉には出来ない卑猥な台詞を吐いていた。
それは海底奥深くに“るるいえ”と呼ばれる館を持つ、星辰が揃うのを待ち続ける邪神に似た、
形容しがたい超自然的美しさとおぞましさが内包された動きで人々を混迷に陥れるのだ。
未来視(クレアボヤンス)によって将来を見ては、聞くもおぞましい破滅の時を語るそれは――ああ、窓に窓に!
窓にケン○ッキーフ○イドチキンを敵視する魔人が張り付いている!

『らん○んるー!』

それは燃えるような赤毛と白い肌を持ち、道化のような笑みを浮かべては小麦を練ったものに畜生の肉を挟んだ大雑把な食べ物を人々に与え、
世界中にその味覚の荒野を広げていく。彼の者の虜となった人間は一ヶ月間“それ”を食べ続け、スーパーサイズ・ミーと呼ばれるようになるのだ。
ヒトは七日間の食い倒れ道楽、洋物AV鑑賞会の後、文化の欧米化に嘆き苦しむだろう。
――勿論嘘だが。

「…………で、何の話だ?」

「フゥ……“オウシッオウシッ、ファックミー!”じゃねえよ。抜けないよ。
ベルカとミッドのポルノはどうしてこう、無駄に五月蠅いか陰惨かの二択なんだ。
つまり、触手ものの中でも受胎と出産在りのは、出来が違うと言うことだ」

触手生物が放った台詞に、七代目聖王は顔を顰める。

「……触手で受胎とかマニアックすぎるだろう」

「――だが、純愛の果ての妊娠ほど喜ばしいものはない。そろそろ俺もエロパロ的にハッスルすべきだろう?」

触手――ヴィンセント型貴鬼畜兵器二十八号『太郎』の未来視に、ある男の姿が映ったのはそのときだった。
それは眼鏡を掛けた青年だった。美形眼鏡だった。具体的に言うと眼鏡だった。うざいくらい眼鏡だった。
まだ産まれていない眼鏡がいた。実は美少女の眼鏡がいた。電磁波で身体を構成する眼鏡がいた。
流体の眼鏡がいた。生体マグネタイトで実体化する眼鏡がいた。実は八割方嘘だった。

「み、見えた!」

「何がだ!?」

「俺のクレアボヤンスが正しければ、数百年後、美少女独占禁止法違反の眼鏡が産まれる!
クソッ、許せない。ただでさえ出番が少ない男性陣の出番を、肉棒役を奪うなんて――これが原因で人類は滅ぶ」

536 触手太郎 ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:07:36 ID:ADnR899M
そう叫ぶと、太郎はおおよそ人類には理解しがたい触手の動きで、怒りを表現した。
聖王はお茶を飲みながら、「ハーレムものエロゲはおろかボテ腹まで規制するとは狂っている」などとネット掲示板へ書き込む。
一応古代ベルカである。もう騎士道とか世界観自体どうでも良い感じだが。
太郎は決意した。この邪知暴虐の眼鏡を呪わねばならないと。
太郎は触手である。政や女心はわからぬ触手紳士だ。
ただ一つ云えるのは、こう見えて彼は義憤に駆られていたと言うことだ。

「というわけで、ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん」

「さり気なく邪神呼ぶな!」

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn!< 
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 
                    
「発音変えても止せぇぇぇっ!」

太郎の呪文詠唱のせいで地球の星辰が揃い、古代都市ルルイエで光の巨人とガタノゾーアが戦ったとか戦わないとか。


――数百年後。


メガーヌ・アルピーノには、人には言えない秘密がある。
それはかつて人外の存在と愛を育んだと言うことで、到底人間社会では理解されない秘事だった。
今でも思う。もし自分がゼスト隊壊滅事件で“死なず”、彼と共にあることが出来ていたら、と。
ルーテシアに聞かれたことがある。

『私のお父さんは、どんな人だったの?』と。

そう聞かれると、何時もメガーヌは笑顔でこう答える。

『とっても素敵な旧支配者っぽい生き物よ』

その答えはどうなの? と不思議そうな顔で娘は言うが、事実だから仕方ない。
メガーヌにルーテシアという宝物を授けた父親の名は、ヴィンセント二十八号。
彼女は睡りきった女の身体を椅子に横たえながら、愛しい彼の名を呟いた。

「太郎……」

そう、ルーテシア・アルピーノの父親は――触手生物なのだ。


一方その頃の太郎さん(推定年齢六千六百六十六歳)。

537 触手太郎 ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:10:06 ID:ADnR899M
ハイライト消えたレイプ目の少女――キャロ・ル・ルシエは、現実逃避している俺に対し濃密な願掛けをしていた。
具体的には呪殺とか呪殺とか呪殺とか。ブツブツ何事か呟いているから、ものすごく怖い。

「ルーちゃんが死ねば……エリオ君は私に振り向いてくれる……殺して殺して殺して……」

「落ち着けお嬢さん。多くの場合、ヤンデレはリアルにやられるとただのホラーさ!」

俺――ヴィンセント二十八号『太郎』は、ヤンデレ気味だった過去の友人を思い浮かべた。
地下水路で出会った幼女――ヴィヴィオだっけ? あの子もヤンデレ気質あったよね。
クラナガンの下水道は正直臭いから、すぐに引っ越したけど。
達者でやってるだろうか。

「……まあ、事情を聞かせてくれ。話はそれからだ」

俺は触手を動かしながら、少女を宥めた。





――私がエリオ君と出会ったのは、今から五年も前のことです。
初めてあったときは生真面目そうな男の子だなあ、って思っただけでした。
でも機動六課で一緒に戦っていく内に、私の心には暖かい何かが芽生えていました。
ルシエ族から放逐された私と、親御さんに見捨てられたエリオ君は、すぐにトモダチになった。
でも、最近になって気づいたんです。あの人のことを考えると胸がドキドキする、嗚呼、好きなんだって。
なのに――あの子は……ルーちゃんは、エリオ君を横取りしたんです。
少しおっぱいが大きいからって……

「ちなみにバスト何センチか聞かせてくれ。あと年齢」

「……ルーちゃんは十四歳で八十四センチです」

「なら……仕方ない。十四歳にしてそのおっぱいは反則だ――」

ぎょろり、とキャロはガタノゾーアっぽい触手生物を睨む。

「おっぱいは小さくても美乳ならありです!」

「だが、彼はおっぱい星人(※巨乳派)だったんだろ……? 彼の趣味嗜好の結果が恋愛なら、君は彼らを祝福して上げるべきだ」

「……わたしは、エリオ君が大好き。その気持ちはルーちゃんにも負けてないのに……どうして」

スタイルの差じゃね? と思った太郎だが、言うと痛い目を見そうなので黙っていた。
キャロのおっぱい指数はB78……84万の”ルーちゃん”と比べると微乳にもほどがあった。
無力。あまりにもおっぱいの大きさが違い過ぎるのだ――!

「俺は一応さ、触手紳士だから――その子を殺すことなんて出来ない。ただ一つ云えるのは……」

太郎はどう見ても怪獣にしか見えない顔に爽やかな笑みを浮かべ、少女に微笑みかける。

「――君は今のままでも十分に可愛いと言うことさ」

「えっ……」

538 触手太郎 ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:11:38 ID:ADnR899M
さり気なくニコポをかます触手は、すごく良い男でした。
太郎――ヴィンセント二十八号の特殊技能に、“イチャラブ”が存在する。
これは美少女との関係を円滑に進めるため、太郎が一千年の時を掛けて編み出した秘法。
要するに女の子の心臓をドキドキさせてしまう特殊技能なので、エロ(ハッスルタイム)までの時間を短縮出来るのだ!
ついでを言うなら今の太郎は発情期なので、牝を欲情させるフェロモン垂れ流しである。
キャロ・ル・ルシエの心臓は、急に痛いほど高鳴っていた。何だかだんだん、太郎のことが愛しく思えてきたのだ。
要するにハイライトが消えた瞳のまま、頬を昂揚させて触手生物に歩み寄る。
その気配にただならぬものを感じた太郎は、後退りながらよくわからないことを喚いた。

「お、落ち着けキャロさん! このままいくと、触手×美少女の異種間カップリング成立だぁ!?
いや、俺の守備範囲は十四歳からだから可能っちゃ可能だけどさ! でも細木○子のヌードくらいデンジャーな状況だよ今!?」

細○数子のヌード写真集をうっかり目にしたときは、なんて言うか言葉では表現できないものを感じたなぁ、と現実逃避する太郎。

「太郎さんがいけないんだよ……? さっきからこんな甘い匂いを出して……私……」

キャロは妖艶な声で「あそこがじんじんしてきちゃった……」と言い、股間をまさぐった。
くちゃり、と粘液質な音が立ち、少女の熱い吐息が唇から洩れる。

「やーめーてー! 光がない潤んだ瞳とかマジ怖いです、というか逆レイプフラグが立ってるの気のせい、ねぇ!?」

「……しよ?」

「あ、ちょ、エッチピストル触っちゃ駄目だって、らめええええええええええええ!!」

――こうして俺は逆レイプされたのです。
次回、ぬっちょり触手エロ(ただし受け)!
レイプされる触手という新ジャンル、触手界に激震走る――!

――これは女人と触手の純愛ストーリーである。

539 ◆9mRPC.YYWA :2009/07/05(日) 19:14:35 ID:ADnR899M
以上です。
ぶっちゃけ、ルー子父が触手=エリオの義父が触手というカオスが書きたかった。
次回こそ……エロを、エロを! 次回で何もなくても、すべては天狗の仕業です。

540 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 19:26:48 ID:TsqQFxj2
ルーテシアwww お前ヒトと触手のハイブリッドかよwww
きっと秘所から触手を伸ばせるに違いない……その人外のテクでエリオをさらなる虜にしたわけですね。

なんて素晴らしい。触手をレイプなんてキャロさん斬新にして艶めかしいぞ。

541 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 19:51:02 ID:CILwE5FE
触手キターーーー
頑張れキャロ。
いずれルーの腹違いの妹を作るまで!(違)

542 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 20:04:14 ID:zBRZ0.KM
おお、久しぶりの続き乙です
待っておりましたよー
いや……しかしさ……

>>そう、ルーテシア・アルピーノの父親は――触手生物なのだ。

ええええええええ!?
これは酷いwww
次回更新も待ってます
というか、次回はキャロ×触手太郎!?
リリなのSS界始まって以来の事態www

543 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:07:51 ID:CILwE5FE
 よし。
 少し前の猟奇云々とか、そういうスレの流れを見ているとこんなのができた。
 なんか凄く後味の悪いものができた。
 投下します。

 ダークです。欝です。惨です。管理局真っ黒です。
 救い? 何それ美味しいの?
 NGワードはコテハンかIDで。

 タイトルは「お姉ちゃんに任せな」
 4レスです。

544 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:08:23 ID:CILwE5FE
       1

 そこには、ノーヴェとウェンディがいた。両腕を後ろ手に縛られ、両足首は鎖で繋がれ、普通に歩くことも難しい状態の二人。そしてその周囲には男たち。
 その正面、それほど大きくはない部屋の反対側には、セインが床の上に直接座らされていた。セインの方は二人と違って身には何の束縛も受けていない。
 セインは二人の名を呼び、二人はセインの名を呼ぶ。
 しかし、セインは妹たちの身体を自由にするために動こうとはしなかった。二人と自分との間には目に見えない力場が存在していることをセインは知っている。
その力場は天井や壁も覆い、セインのディープダイバーを持ってしても抜け出ることは叶わないのだ。
 そして、セインの周りには管理局の男たちの姿が。

「妹とのご対面だ。感謝しろよ」
「二人だけじゃないか……」
「ああ?」

 男が間髪入れずにセインを蹴り上げた。
 瞬間、立ち上がりかけたノーヴェとウェンディが取り押さえられる。力場は音すら遮断するが、セインが蹴り上げられた姿は当然二人に見えている。

「おいおい、お姉ちゃん、妹の躾はちゃんとしようよ。なに? それともあの二人まで同じ事させたいわけ? うわ、ひっでぇお姉ちゃんもいたもんだ」

 その言葉に、セインは苦悶の表情を堪え、男をにらみつける。しかし、力の優劣は明らかだった。今のセインは、戦闘機人としての力をほとんど失っている。
残っているのは肉体の強靱さと感覚の鋭敏さのみなのだ。

「他の妹たちは……どこなんですか?」
「順番が違うなぁ」

 男はインターコムのスイッチを入れると、ノーヴェたちを示した。
 セインはうなずく。

「ノーヴェ、ウェンディ、落ち着け」
「セイン! 何やってんだよ! そんな奴ら、ぶっ飛ばしちまえよっ!」
「いいんだ、それより二人とも、落ち着いて管理局の指示に従うんだよ。悪いようにはされないはずだからね」
「だってセインが……!」
「バーカ。お姉ちゃんは大丈夫だから、安心しな」
「……セイン」
「いいから、お姉ちゃんに任せな」

 セインは笑ってみせた。
 ウェンディとノーヴェは守る。そう、決めていた。単純だが、強固な決意。
 ディエチは、こいつらからは何とか逃げ延びたらしい。最後に消息を聞いたのは、直接機動六課に保護されているという噂だ。
少なくとも、六課ならここよりは随分マシな扱いだろう。
 それ以外の姉妹は、こちら側にいるということしかわからない。

545 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:08:58 ID:CILwE5FE
            2
 
 この部屋に連れてこられる前に、さんざん暴行を受けて床に伏せっているセインに、男は笑いながら言った。
 貴様の素行が良ければ、妹たちの身の安全は保証する。と。

「自由とはいかないが、少なくとも安全は保証しよう」
「信じられるか……」
「では、君のリクエスト通りにしようか。まずは……」

 セインは壁に作りつけのモニターに映し出された光景に息をのんだ。
 ディードが、男の上で腰を振っている。全裸で。両手では別の男たちのペニスをそれぞれ握っている。
 そして口は、さらに別の男に奉仕している。

「彼女の奉仕は、オットーの身の安全と引き替えなんだよ。彼女の奉仕が止むたびに、オットーの身体が切り刻まれるという約束だ」
「切りき……てめえらっ!!」
「君の場合はノーヴェとウェンディと言ったかな。まあ二人分だから、一人当たりの負担は少ないかもな」

 またもや、セインの動きが止まる。

「……オットーは無事なのか」
「言ったはずだろ。そこに映ってる女次第だって」
「無事なのか」
「さあな」
「てめぇっ!」

 立ち上がろうとして、別の男たちに床へ引き倒されるセイン。

「自分の立場をわきまえろ、オットーのことはディードが上手くやっている、そう思っておけ」

 そして連れて行かれる先。ウェンディとノーヴェがそこにいる。

「さて、君に奉仕をお願いしようか」
「……変態野郎っ」

 男はニッコリ笑うと、セインの粗末な拘束衣を引きちぎる。

「その変態野郎に好き放題されてたっぷりヨガるのは誰だと思う?」
「絶対に……」

 セインは絶句した。
 力場の向こう、ウェンディとノーヴェ、そのまた後ろ。
 二人からは見えない位置に掲げられた丸いもの。
 姉の…………身体の一部。

「さて。ウェンディとノーヴェの命は誰にかかっていると思う?」

546 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:09:48 ID:CILwE5FE
     3

 くぐもったうめき声と、リズミカルに肉を打つ音。そして男たちの罵声。

「ほらほら、お姉ちゃん、がんばらないと二人の番が来ちまうぞ〜」

 くぐもったうめき声は、唇を肉棒に犯されているため。
 肉を打つ音は、男たちの腰が尻に打ち付けられるため。
 両手を床に着き、四つんばいで前後から男たちに貫かれている姿を、セインは惨めにさらしていた。

「そろそろ感想のお時間ですよぉ」

 ギャハハと笑いながら、唇を突いていた男が腰を引き、セインの口元を自由にする。それを待っていたかのように二人の男が、左右からセインの乳房を乱暴に掴む。
 ねじり上げられ、乳首を捻られ、それでもセインには泣き言は許されない。
 ただ、言わされる。

「……気持ちいいですっ! もっとしてください! セインのお尻も口も全部使ってください。オッパイも捻られて気持ちいいんです!」
「なんだそりゃ、トンデモねえ変態だな」
「は……い、セインは変態です。虐められて感じてしまう変態なんです」
「おらぁ、しっかり告白しろよぉ」

 声が途切れれば、男たちは別の標的をいたぶり始める。ノーヴェと、ウェンディを。二人にはセインと同じく逃げ場などなく、どこかに拘束されているのだ。
 快楽などひとかけらも感じさせてもらえない徹底的な陵辱。屈辱と痛みだけが、セインの身を苛んでいた。ただ妹たちを救いたい。それを支えに、セインは耐えている。
 限界は、まだ来ない。 
 いや、限界などない。妹がいる限り、セインに限界はない。

「もっとぉ、もっと弄ってください、セインの穴、全部虐めてください」

 言わされているかぎり、妹たちの安寧は続くのだ。例えそれが二人だけでも、全員が救えなくとも。二人だけでも救えるのなら。

「セインちゃん、チンコ好きだよねぇ」
「はぃい、好きです、好きなんですぅ! もっとぉ、もっとたくさんください〜!」

 誰も他に目を向けないように。自分だけを陵辱し続けるように。自分に飽きないように。妹たちから目をそらし続けるように。

「気持ちいいんですぅ! もっとして、いっぱいしてぇえ!!」

 吐瀉を飲み込み、えづきを抑え、痛みも屈辱も全て隠して、でも、正気は保って。本当に気の触れた女など、男たちは相手にしないだろうから。
 セインは腰を振り、くわえ、擦り、舐め、飲み込み、締め付け、喘ぎ、偽りの快楽と欲求の声を上げる。

547 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:10:33 ID:CILwE5FE
      4

 娯楽室……と今では呼ばれている拘置室。いや、口の悪い者になると娯楽室ではなく「公衆便所」と呼んでいる。
 その部屋から出た二人は、なにやら楽しげに話していた。

「ふぃい。やったやった。時間まだあるし、飯でも行くか?」
「おお。で、明日はどうする?」
「あー。明日はスケジュールバッチリ詰詰だ。こっちに来る暇ないわ」
「そりゃ残念、ちなみに何処よ」
「んー。機動六課」
「マジ?」
「おう。あそこのスバルとか言うのと、茶でも飲んでくるわ。防災の方に行きたいってんで、その適性検査の準備だとよ」
「わははは、マジ鬼畜。あれのオカンのクローンにザーメン飲ませまくってんの誰だよ。娘の方は茶かよっ」
「や、ケツに入れまくるおめーに言われたくねーよ」
「わははは。ところでよぉ、ディエチとか言うのがそこにいるんだろ。アレもそろそろこっちに来させようぜ」
「やぁ、そりゃ無理だろ、鬼の高町教導官様が妙に気にいっちまってるから」
「……触らぬ神に祟りなしだな。つか、ここ自体、六課に内緒なんだろ?」
「まあねぇ、あいつら、腕は確かだし頼れるんだけど、偽善大好きだからなぁ。ちょいと、やりづれぇ」
「まあまあ、ああいう正義の味方もいてくれないと、市民が納得しないから」
「わははは、そりゃそうだ」
「おかげで俺らはいい思いしてるしな」
「そ、そ。今でも充分やらせてもらってんだから、贅沢は敵よ?」
「んだねぇ。ここもそろそろ潮時だろうし。どっかに埋めて、なかったことにすんだろ?」
「ま、いくつかの技術は転用するだろけどな。あの幻影システムなんかぜってぇ使えるって。戦闘機人騙せるんだぜ?」
「ああ、あれね。生意気眼鏡、生きたまま解剖して取りだしたって奴か。確か……シルバーカーテンだっけ?」
「アレ解剖か? おりゃあ、解体して遊んでるんだと思ってたがね」
「わははははは。ま、8割はそっちだろけどな」
「ぎゃははは」

 二人は拘置室に目を向け、ひとしきり笑う。
 おかしくてしょうがないのだ。
 管理局をあそこまで追いつめた戦闘機人が、姉妹の幻影を見せられただけであれほどおとなしくなるなど。
 セインも、ノーヴェも、ウェンディ……いや、捕らえられた全員が、姉妹の幻影を見せられ、屈したのだ。
 そして全員が、他の姉妹を救うためと信じて奉仕を続けている。

「あ、そういえば、一人だけは幻覚見せずに現実見せてるってさ」
「どいつよ」
「ん。スカリエッティ」
「わははははははっ」
「ぎゃはははははっ」

 二人は腹を抱えて笑いながら、その場を後にした。

548 野狗 ◆NOC.S1z/i2 :2009/07/05(日) 23:11:07 ID:CILwE5FE
以上、お粗末様でした

549 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 23:13:59 ID:TsqQFxj2
うわー……黒い。黒すぎる。ディエチだけは助かるのか。
まあ機動六課側の上層部に知られたら真っ先に潰されるんだろうが……その前に違うところでまたやるんだろうなあ。


550 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 23:31:26 ID:oFk2QAqI
だが、まだまだだ。

551 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 23:34:29 ID:.TbcPGdY
>>543
GJ!
クア姉、生体解剖ですか、わはははは、最高、最高、最高です。
黒い連中がいなきゃ、組織が回らないってこともありますし、戦闘機人を騙せるISは貴重です。
彼女らの尊い犠牲があってこそ、管理局の大義は守られる訳です。
ディエチは、高町式砲撃術の師範代が勤まるから助かったわけね。
なんにせよ。すべて世はこともなし、天下泰平by管理局

552 名無しさん@魔法少女 :2009/07/05(日) 23:41:05 ID:ahH3oUy.
GJ!
欲をいうと、4番の解体シーンが見たかった

553 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 00:41:41 ID:CVA2QyKU
GJ!!です。
凄いなw
こう、機動六課に戦闘機人へ行われた事を見せ付けたくなる衝動がでてくるなwww
あなた達の正義の結果ですよと。

554 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 09:45:53 ID:gtAFR9H6
ぎゃはははは

555 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 10:28:39 ID:.KVEJk3A
>>553
野暮な事言うとこういう輩は六課とか関係なしに別の所でも
同じようなことやっているだろ。

556 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 19:00:44 ID:VaMyOKU.
>>553
管理局の優秀魔導師様は、大犯罪者あがり
下っ端は、それなりの犯罪者上がり
モラルが違うのが当たり前。

ただし一般人に手を出しちゃ駄目なのはどっちも同じ。
この手の輩は、役に立たないか、そのままじゃ危険な次元犯罪者を合法的に
闇に処理してくれる功労者なの!
普段は市民に優しい武装隊のお兄さんなの!
事件現場の慰霊の花束置いたりしてるなの!

557 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 19:16:59 ID:pYyt8QNg
まあ大犯罪者ともなると愚かなマネはしないだろうからな……。
チンピラはまーチンピラだし。

558 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 19:36:49 ID:Sjc4wlgA
>>548
ぎゃはははッ!GJwww

そしてクアットロ/(^o^)\

559 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 19:59:11 ID:hOe2xB1U
ハウラオンも元をたどれば海賊かなんかなんだろかw
スクライアなんかは現役の盗掘屋だしな
スカに滅ぼされりゃよかったんでね

560 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 20:07:43 ID:BOcJBXPM
>ハウラオン
だれそれこわいw

>スクライアなんかは現役の盗掘屋だしな
一族ぐるみで非合法な盗掘って二次創作のネタじゃなかったの?
公式ソースあるならキボン

561 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 20:20:17 ID:hOe2xB1U
あれ?違ったか?
設定が後付けでグチグチ増えるもんで考え違いしてたみたいだ
スマヌ

でも管理局って生臭い組織だよなぁ
民主党みたいだ

562 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 20:25:41 ID:OpnVhRzo
>>559
>スクライアなんかは現役の盗掘屋だしな
そういう設定のssは書いてみたいがw
もしそれが公式だったらユーノが管理局で普通に働いてること自体がおかしいからな。
そも、スクライアについての公式設定って
・テント暮らし
・放浪の一族
・ミッド出身
ぐらいじゃないか?

563 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 20:40:04 ID:pYyt8QNg
スクライアやユーノに関する公式設定は恐ろしく少ないぞ。

564 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 20:44:39 ID:fY61/21Q
ユーノ
・9歳の時点で魔法学院卒業済み(小説)
・9歳の時点で発掘隊のリーダー(無印)
・スクライア一族
・両親は居ない
・・・他にあったっけ?

565 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 21:02:45 ID:BOcJBXPM
>>561
おk。一族が盗掘してたって設定で書いたことあるんだが、一応、
公式設定と捏造ネタの区別はついてないとあれだから気になってしまってな

566 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 21:22:49 ID:OpnVhRzo
>>564
出自に関してはそのくらいかなぁ。
そこから推察できる設定についてはユーノスレで散々議論されてたけど。

567 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 21:52:54 ID:zt3B.QEw
よくわかんないけどトーマからアイシス(だっけ?)を寝取るユーノってこと?

568 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 22:33:10 ID:.KVEJk3A
SSはいいとして異様な流れになってるな。

569 名無しさん@魔法少女 :2009/07/06(月) 23:21:30 ID:bjjGukSo
>>567
違う。トーマにおb…なのはさん引き取ってもらって自由になったユーノのところに、その結果トーマにふられたアイシスがやってきて(ry

570 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 00:36:20 ID:LWyc0JN.
トーマを寝取るユーノだろ?

571 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 00:44:57 ID:Npsa.Sbk
てか何の話題? そんな名前のオリキャラ、パロでいたっけ

572 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 00:54:40 ID:BAl69s9U
四期のキャラだろ
今月だっけ第一話始まるの

573 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 01:07:47 ID:zBCTTKBA
トーマが第二のエリオとなるか、華麗にフェードアウトするかはまずそこにかかっているな。

574 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 01:17:02 ID:pTc16U7E
4期といえばViVidのなのはさんはStSの時より若く見えるから困る
Forceは作画が受け入れられない…

でも予告漫画で乳首解禁してたから全裸変身には期待している

575 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 08:23:29 ID:Jt7776ds
つまり児ポ法氏ねってことですね?

576 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 10:26:38 ID:1iFSenHU
>>573
都築さんの主人公だから、ヒロインの方が目立つかもしれんぞ。

577 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 11:52:42 ID:.iLIPs9Y
>>576
今川作品と同じ様なもんやね。
主人公がむしろ空気で、本来脇役のはずの奴がむしろ逆に重要キャラ扱いとして重点が置かれるとか

まあ男が主役の萌え美少女系作品はみんなこういうパターンかもしれんが

578 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 15:41:39 ID:RT79X7HU
リリィがユニゾンデバイスなんじゃという推測も立ってるが、実際どうだろうなぁ。
そうだった場合、トーマと

    ユニゾン
あなたと合体したい

な事態になる……と笑えるんだがなw

579 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 20:53:35 ID:mSxo0oY.
保守

何も終わっちゃいない!! 
何も! 言葉なんかじゃ終われないんだよ!
私だって好きで戦ってたわけじゃなかった! やれって言われたからやっただけ!
私は勝つために全力を尽くした! でも誰かが邪魔したんだよ!
管理局に戻ってみれば、局の前に市民がぞろぞろといて、 訳のわからない抗議してくるんだよ!
私のこと、人殺しだの、悪魔だの聞くに堪えない事を言いたい放題!
あんな人たちにに何が言えるわけ!? 戦いが何かわかって言ってるわけ!?
ええっ! 私と同じ経験をして同じ思いをして言ってるの!?
私には青春なんか、人生なんか空っぽだよ!
戦場では命を預け合えるような信頼関係があった。助け合い支えあってたよ。
なのにここじゃ何もない!
あっちじゃヘリも飛ばした。戦艦にも乗れたよ。SLBも撃てた!
1発100万もするカートリッジを自由にリロードできた!
それが故郷に戻ってみればコンビニの店員にもなれないんだよ!!
中卒だの、職歴なしだのバカにされて!! 時空管理局で教導官をやってましたなんて、
そんなアニメみたいなことが言える訳ないじゃない!
ちくしょう……みんな、どこ行っちゃったの……

580 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 21:01:09 ID:3Ibvw3XI
ミッドに帰れよw

581 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 21:03:15 ID:yC1nCH9U
>>579
はいはいいいコピペはったねえらいえらい
気がすんだら2ちゃんの本家なりアンチスレなりに帰ろうか?

582 ザ・シガー :2009/07/07(火) 22:02:48 ID:Npsa.Sbk
>>572
ああ、四期かぁ……通りで知らないわけだ。


と、まあそれはそうと、ちょっくら短編投下します。
短編・非エロ・七夕SS・ヴァイシグ?

タイトルは「狙撃手の願い事」でっす

583 狙撃手の願い事 :2009/07/07(火) 22:06:18 ID:Npsa.Sbk
狙撃手の願い事


 世には、正確には第97管理外世界の地球という星の、特に日本という国には奇妙な風習がある。
 暦の7月7日に、笹の葉に願いを書いた紙、俗に短冊と呼ばれるものを下げて願望成就を祈願するのだ。
 この由来に関しては諸説あるが、それはひとまず置いておこう。
 まず語るべきは、その一風変わった行事がここ、ミッドチルダはクラナガンの機動六課隊舎で行われているという事だ。


「ねえねえ、ティアはなんて書いた?」


 ショートカットに切りそろえた青い髪の少女、スバルが隊舎に飾られた笹の葉を指先で弄りながら問う。
 ナニを、と考えるまでもない。
 それは無論、この笹に吊るす予定の『短冊』という紙に書く願い事についてだ。
 ツンテールにオレンジ色の髪を結った少女、ティアナは、やや頬を赤らめて恥ずかしそうに答える。


「べ、べつにいいでしょ、私のお願いなんて」

「ええ〜、教えてよ〜。ほら! あたしのも見せてあげるからさ!」

「うっさい! どうせ“アイスがお腹いっぱい食べたい”とかでしょ」

「うわ! なんで知ってるの!?」

「……ほんとに書いてたのね」


 と、そんなこんなでいつも通りな微笑ましいスバルとティアナのやり取り。
 全ての始まりは部隊長のはやての発案だった。
 せっかくの七夕なんだし、それらしい事をしよう。
 なんて言ったのがきっかけ。
 そこから笹の葉の調達、短冊の作成と配布に要した時間はたったの1日。
 なんともまあ、素晴らしいなんてもんじゃない早さだった。
 そして隊長命令による、六課全員短冊作成命令、拒否権なし。だった。
 J・S事件が集結してからというもの出動の機会がほとんど減ったので、問題がないといえばないのであるが。
 という訳で、締め切りである今日、7月7日には皆大慌てで短冊の作成作業に取り掛かったのであった。





 闇夜に二つの月が、まるで幾万の星を従えるように天に照る。
 鮮やかな、美しい夜。
 七夕という行事を飾るのに相応しい最高の夜空だった。
 雲ひとつない闇色の天には、地上で光るネオンすら霞むほどに月と星が眩い。
 そんな夜天を、一人の女が見上げている。
 女性にしてはやや高い身長の肉体、そしてあらゆる雄を虜のしてしまいそうな爆発的なプロポーションの女体。
 刃の如き鋭い眼差しに、ポニーテールに結われた艶を持つ緋色の髪を揺らした鮮烈な美貌。
 烈火の将、剣の騎士の二つ名を冠する古代ベルカの古強者。
 今は機動六課ライトニング分隊副隊長を務める、シグナムという美女だった。
 シグナムは心奪われるような美しい夜空を見つつ、隊舎を歩いている。
 夜間隊舎の見回り、と言えば聞こえは良いが、要するに暇なのでブラリと散策しているだけだ。
 少し冷えた、そして澄んだ夜気を胸の吸い込み、天より照る金色の光を愛でる。
 やや渋すぎる感があるが、風流この上ない。
 これで酒でもあれば最高だな。なんて事を頭の片隅で考える。


「……帰りにどこかに寄って一杯引っ掛けるか」


 誰にでもなく独り言。
 言ってから、一人寂しく酒を煽るのも虚しいな、とやや自嘲気味に苦笑する。
 今から誰か誘うにしても、やや時間が遅すぎるか。
 六課の皆は規則正しい生活に余念がなく、よっぽどの事がない限り早めに就寝してしまう。
 家に帰り、起きていればシャマルでも誘ってみようか。
 と、そんな事を思っていると、シグナムの足がピタリと止まった。
 着いた場所は機動六課の隊員を運ぶ空飛ぶ鉄篭、ヘリを収納する格納庫だ。
 もうとっくに明かりに超える頃合だというのに、そこにはまだ煌々と電灯が光っている。
 誰かいるのだろうか、と疑問に思い、中を覗く。
 そうすれば、ヘリの横で工具の散らかる中に座る、ツナギとジャケットに身を包んだ見慣れた男の姿があった。
 男、黒髪の青年の背にシグナムは声を掛ける。


「こんな時間まで仕事か? ヴァイス」


 唐突に問われ、ヴァイスは大慌てといった様子で振り返る。

584 狙撃手の願い事 :2009/07/07(火) 22:08:17 ID:Npsa.Sbk
 その顔には明確な焦りがあり、額には大粒の汗さえ垂れ始めていた。
 はて、と疑問符と共に首を傾げ、シグナムは彼に歩み寄る。


「どうした? そんな顔して」

「いい、い、いや! なんでもないです!」


 いや、全然なんでもなくないだろう。
 と思うが、ここは突っ込むべきだろうか迷う。
 彼を弄って遊ぶのも良いが、あまり部下を苛めるのは趣味ではない。
 故に、もう一度問いかけた。


「本当か?」

「も、もちろんです!」

「ふむ、ならば良いのだが」


 ヴァイスが何か後ろ手に隠したような気もするが、騎士の情けで見逃しておく。
 しかし、その代わりとばかりにシグナムは手を伸ばし、彼の首に腕を回す。
 そうして、自分より高い位置にある彼の顔を引き寄せた。
 途端に赤くなるヴァイスの顔、だが彼女は気にせず告げた。


「まあそんな事は良い、今夜は少し付き合え」

「って、あの……何に、っすか? 」

「酒だ。嫌か?」

「いえ、まあ嫌じゃないっす」

「よし、なら決まりだ」


 言うなり、シグナムは彼を半ば無理矢理格納庫から連れ出した。
 少なくともこれで寂しく一人で酒を飲むのは回避できたと、彼女は意気揚々とする。
 さっさとヘリの整備の後始末をさせて、行きつけの居酒屋に引きずっていく。
 と、その道中、シグナムは彼に問うた。


「ところでヴァイス、お前短冊に願い事は書いたか?」

「え!? え、ええ、まあ……一応」

「そうか。で、なんと書いた?」

「いや、その……別に俺のは良いじゃないっすか。そういう姐さんはなんて書いたんです?」

「ん、私か? まあ、私は“天下泰平”とかだな」

「なんか渋いっすね……」

「そうか? というか、私が教えたんだからお前も言ったらどうだ」

「え、遠慮しておきます!」


 何度も問われたが、ヴァイスはその事に関しては硬く口を閉ざした。
 まあ、言えるわけもない。
 彼がズボンのポケットに隠した短冊、その小さな紙切れに書かれた願い事。
 “今年こそシグナム姐さんに告白する”
 だなんて書いてあったのだから。

 ちなみに、その後酔い潰れたヴァイスのポケットから偶然その短冊を発見したシグナムが真っ赤っかになったり。
 翌日ヴァイスとまともに顔を合わせられなくなったりしたのだが、それはまた別の話。



終幕

585 ザ・シガー :2009/07/07(火) 22:12:51 ID:Npsa.Sbk
はい投下終了。
1〜2日で一から練り上げた七夕SSですた。

七夕はポニーテールの日、つまりはシグナム姐さんとリンディさんの日!
ならばSS書いて投下するのが私にとって当然の義務なのです。

で、そろそろ鉄拳を投下するよう頑張ろう。

586 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 22:38:06 ID:6Rzr253c
クイントさんも!クイントさんも!

587 名無しさん@魔法少女 :2009/07/07(火) 23:07:40 ID:jlgxL4UM
リンディさんはもう来ないのか…?

588 サイヒ :2009/07/07(火) 23:36:57 ID:JobguD02
「夏だ!」
「祭りだ!」
「今日は七夕だ!」
「だったらやることはなんだ?」
「「「浴衣エロだ!!」」」


というわけでクロフェで浴衣エロ。
二人が結婚してます。

589 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:38:05 ID:JobguD02
 カラコロと、下駄の音が石畳に鳴る。
 その音に覆いかぶさるようにして、屋台の呼び声や子供の騒ぎ声が混じる。金魚すくいの辺りで一際大きな歓
声がしたのは、大物をすくえたからだろうか。
 騒がしくもけっして耳障りにならない心地よい喧騒の中を、クロノとフェイトはゆっくり歩いていた。

「来るのは大変だったけど、来てよかったね。こんなに大きなお祭りは初めて」

 クロノと手を繋ぎ寄り添うフェイトが、嬉しそうな顔で言った。
 今宵は七夕。海鳴市でも商店街で七夕祭りが行われているが、二人がいるのは他県のもっと大規模な祭りだっ
た。
 学校の運動場ぐらいある巨大な神社の境内が丸ごと祭りの会場になっている。すぐ近くの河原では平行して花
火大会も行われ、地方のニュース番組で取り上げられるぐらい大きなものだった。
 おかげでここに来るまでの電車が会場を目指す客で寿司詰め状態で閉口したが、この盛況さを見ると来て正解
だったと思えた。

「でもこれだけ人が集まってると、だいぶ熱いね」
「ライトの熱もあるしな。普通の服装で着てたら今頃汗だくだろう」
「この格好だと風通しがいいね。ちょっと裾が歩きにくいけど」

 二人が着ているのは洋服ではなく、祭りらしく浴衣だった。色はフェイトが薄紫で裾には朝顔の絞り染め。ク
ロノは藍色に白の縦縞。
 フェイトは格好だけでなく、髪の毛をきれいに結い上げて大人っぽい雰囲気を漂わせていた。いつもは金髪に
隠されている白いうなじが見えているのがまた色っぽい。

「あ、あのベビーカステラおいしそう」
「買おうか?」
「うーん…………やっぱり後にする。先に肝心なことをやっておかないと」

 と言いつつも未練はあるのか、目的地へ向かうフェイトの歩みはやや速くなっていた。苦笑しながらクロノも
足を速めた。
 ほどなくして、二人は会場の中央にたどり着く。そこはぽっかりとスペースが空いており、屋台の変わりに色
とりどりの短冊をぶら下げた笹が飾られていた。

「またずいぶん大きな笹だな」

 見上げてクロノは感嘆の声を漏らした。
 人間の背丈の四倍ぐらいありそうな笹が、二十本以上並んでいる。遠くから見た時もちょっとした小山のよう
に見えたが、間近で見ればさらに大きくて圧倒されてしまう。
 日本屈指を謳う七夕祭りにふさわしい立派な笹だった。
 近くにある受付で短冊を渡してもらった二人は、願い事を書き込む。
 クロノはささっと書き終えたが、フェイトは筆ペンを額に当てて考え込んでいた。

「ずいぶん悩んでるな」
「いくつか考えてたんだけど、どれにしようかが決まってなくて。……クロノはどんなのにした?」
「家内息災」
「……七夕っていうより、神社のお守りみたいだね」

 しかしクロノにしてみれば、けっこう切実な願いだった。
 第一線を引いたリンディやアルフはともかく、クロノとフェイトは日々犯罪者と戦い続ける危険と隣り合わせ
な仕事である。
 命を落とすのはもちろんのこと、怪我の一つも負ってほしくない。

590 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:38:51 ID:JobguD02
「私も似たようなお願いしようかなって思ってたけど、クロノが書いたんだったら……うん、こっちにする」

 ようやく決めたのか、フェイトが短冊に筆を下ろした。


『クロノの子供が授かりますように』


「なあっ!?」

 思わずクロノは悲鳴のような声を上げてしまった。
 周りの人達が何事かと振り向く。受付の女性などは、フェイトの短冊を覗き込んでくすりと笑う始末だった。

「フェ、フェイト、なに考えてるんだ!?」
「……そんなにおかしいかな」

 ちょっとむくれた顔をフェイトが向けてくる。

「だってクロノと私、もう夫婦なんだよ? 子供がほしいってお願いするの、当たり前だと思うよ」

 やはり少しは恥ずかしいのか頬を赤くしつつも、フェイトは抗議の言葉を並べてくる。
 言われてみればそのとおりである。クロノも子供が早く授かりたいと、結婚以来ずっと思っていた。

「……悪い。いきなりだったんで、ちょっと動転した。そうだな、立派な願い事だよ」

 クロノの言葉に、また受付の女性が笑った。しかし今度はおかしくて笑うというより、暖かく微笑むような笑
みだった。
 それでもクロノは気恥ずかしくて、フェイトを促し足早に笹へと向かった。
 丈の高い笹なので、願い事を書いた本人ではなく係りの者がはしごを上ってつける。
 二人の短冊は一番高い笹の中程に並んでつけられた。

「……願い事かなうかな」
「かなうさ、きっと」

 そう思う根拠は、管理外世界の一地方だけに伝わる神話。それでもクロノは、立派な根拠だと思っていた。
 迷信だ非現実的だと否定するのは容易いが、そんなつまらない生き方をしていてはきっとどんな願いもかなわ
ないだろう。
 どんな馬鹿げた根拠でもいいから、まずは真っ直ぐに信じる。そのことが、結局は一番願い事をかなえる力に
なる。
 夜風に揺れる短冊をしばらく見上げていた二人だが、やがてフェイトが顔を戻してクロノの袖を引いた。

「じゃ願い事もしたし、お祭りいっぱい楽しもうよ」

591 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:39:30 ID:JobguD02
          ※




 フェイトが言ったとおり、二人は思う存分祭りを楽しんだ。
 フェイト待望のベビーカステラを買ったり、射的やくじ引き、金魚掬いといった定番物に興じる。
 数多くある焼きそば屋のどこが一番うまそうかを真剣に考え、結局二人別々の屋台で買って半分こした。
 くじ引きでは外れしか引けなかったが、残念賞にもらったラムネは爽やかで美味しかった。
 タコ焼きにタコが二個入っていたと喜び、金魚すくいではもう少しのところで網が破れたのを本気で残念が
る。
 それこそ小学生に戻ったようにはしゃぐフェイト。いつもおとなしい彼女が、これだけ感情を前に出しては
しゃぐのは珍しい。
 こんなフェイトが見れただけでも来た価値はあった。
 クロノも二十歳過ぎのいい年した男であるという見栄は無くして、一つ一つの催しを素直に楽しんだ。
 そうやって屋台を見て回るうち、いつのまにか会場の外れに出てしまう。先には屋台も人影も無く、林へ続
く細い道が一本あるだけだった。
 戻ろうか、とフェイトに声をかけるが、フェイトはその場に立ち止まったまま何かを見つめていた。

「どうしたんだ?」
「ほらクロノ、蛍がいるよ」

 フェイトが指差した先で、わずかに緑色を帯びた光がふよふよと飛んでいた。花火大会が行われる近くの川
で生まれたものだろうか。

「きれい……。私実際に見るのは初めて」
「僕もだよ。そういえば海鳴では見なかったな」
「海鳴はそこそこ都会だからね」

 蛍はそのまま、林の奥へと飛んでいく。
 誘われるように、フェイトが後に続いた。止めようとしたクロノだったが、ちょっと思い直して自分も後を
についていった。
 そこまで深い林でもないし、ちょっとぐらいの危険ならクロノもフェイトも自力で抜け出せる力はある。蛍
見物の風流もたまにはいいだろう。
 林の道は案外広く、左右の木も生い茂ってはいなかった。梢の合間から漏れた月光の中を蛍が舞うところな
ど、まるで一葉の絵画のようだった。
 神秘的な夜の景色をゆっくりと楽しみながら歩いていたクロノだが、数歩先を行っていたフェイトがいきな
りぴたりと立ち止まった。
 どうしたんだと訊くより先に、クロノの耳に入ってきた声があった。

「……っはぁ……くぅん……」

 ほんの微かだが、うめくような声と荒い息遣いが林の奥でする。
 まさか急病で苦しんでいる人でもいるのかと気色ばんだクロノだったが、次の言葉で肩に入った力ががっく
りと抜けた。

「もっとぉ、おちんちんで私のあそこいっぱい……ああん!!」

 声自体に聞き覚えは無かったが、似たような色の声はいくらでも聞いたことがあった。夜中にフェイトと一
緒にベッドの上であれやこれやをしている時に。
 よくよく聞けば似たような声があちこちから流れてきており、眼を凝らせばもぞもぞと動く二人分の人影が
そこかしこにあった。ついでに鼻にも、なにやら生臭い匂いが漂ってきた。

(…………これはあれか!? ハッテン場という奴なのか!?)

 祭りの熱気に当てられて、ついつい大胆になってしまうカップルがいるという話は聞いたことがあった。実
際に眼にしたのは初めてだが。
 フェイトも気づいたのか、夜目にも明らかに顔を真っ赤に染めていた。

592 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:40:37 ID:JobguD02
「ほ、ほらフェイト、戻るぞ」

 フェイトの袖を引くクロノだが、フェイトの足は動かず顔だけがこちらを見上げてきた。
 紅の瞳に微妙だが妖しい色が灯っているのを見て、クロノは嫌な予感を覚えた。
 そして予感はフェイトの言葉で現実となった。

「私達も…………しない?」
「…………何を言ってるんだ君は」
「だってほら……他にもいっぱいしている人がいるし……」
「人数の問題じゃない。ここは一応公共の場だ。見つかったら警察を呼ばれたって仕方ないんだぞ」
「ここミッドチルダじゃないから、結界張ったら絶対ばれないよ」
「それにしたって、何もこんな屋外で……」
「家に帰ってからだと深夜になっちゃうし……明日からまたクロノは航海でしょ。その前に一回でいいからし
たいなあって……」

 本来理性的で聞き分けのよいはずのフェイトが、妙に意地を張って駄々をこねる。
 クロノも必死で言い聞かせようとするのだが、どうやってもフェイトを説得できそうにない。
 ついには、クロノの腕を抱いてぴったりとくっついてくることまでしてきた。

「それに私の願い事。クロノがこういうことしてくれないと…………絶対かなわないんだよ?」

 だからといって別に今日しなくてもいいだろとか、それにしても場所を考えるんだとか、反論の言葉はいく
らでも思いついた。
 しかしいつの間にかクロノも、周囲の桃色気配に当てられて心が揺れ動いていた。
 なによりかにより、潤んだ目で上目遣いをしてくるフェイトが、殺人的なまでに色っぽい。浴衣から覗いて
いる首筋から胸元にかけて、うっすらと汗ばんでいかにもおいしそうなのもまずい。
 とどめに、二の腕にはフェイトの胸が強く押しつけられていた。浴衣越しでもはっきり感じる豊かな胸は、
腕をふにふにと包んできて、否が応でもクロノの内にある雄の部分を刺激してくる。
 ついにため息をついて、クロノは常識とか理性とかそういったものを投げ捨てた。

(…………フェイトは僕の弱点すぎるな)

 彼女に本気で懇願されたら、どんなことでも自分はやってしまいそうだった。
 クロノの雰囲気が変わったことを敏感に察したのか、期待するような眼をしているフェイトに、クロノは顔
を近づけた。

「一回だけだぞ」

 言葉だけでなく、キスでも承諾の返事をする。舌をちょっと入れると、強く絡めてありがとうと答えてきた。

「本当に君は時たまどうしようもなくいやらしくなるな」
「…………こんな私、だめかなクロノ?」
「いいさ、かまわない。僕だって、似たようなものだ」

 よくよく考えてみると、自分の方が色々と強引にフェイトを抱くことが多い気がする。
 どこまでも似た者同士かと思いつつ、道を外れ周りに同類のいない場所へと二人は場を移した。一本の木の
周りに、防音と姿が見えなくなる結界を簡単に張ると、仕切り直しにもう一度唇を重ねる。
 今度は舌を絡ませるだけではない。クロノは両手でフェイトの胸に触れた。
 腕よりもずっと神経が通っている指先で触れると、改めて柔らかさと張りが感じられる。徐々に触るから揉
むへと力加減を変えていくクロノだったが、フェイトがむずがるように身体を揺らした。

593 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:41:21 ID:JobguD02
「待って……待ってクロノ」
「……やっぱりやめるのか?」

 今更そんなこと言われても、今度はクロノが止まれそうになかったが。

「ううん、そうじゃなくて、下着だけ脱ぐから。汚れちゃったら替えがないから。……浴衣もそうだけど、こっ
ちはそういうわけにもいかないし……」

 さすがに野外で全裸というのには抵抗があるらしい。
 一度身体を離したフェイトが、浴衣の合わせ目からブラジャーを抜き取る。続いてショーツを下ろし、足首
から抜いた。
 見た目には何も変わっていない。しかし浴衣で隠された下に、完全に無防備になった乳房と秘所があるのか
と想像しただけで、クロノの血の熱さが増した。
 もうクロノは胸などという遠回りをせず、フェイトの浴衣の裾から手を突っ込んだ。

「あっ……」

 いきなり肝心な部分に触れられたフェイトが驚きの声をあげるが、クロノは気にもとめない。
 乾いていてもなお柔らかい恥丘。思わずそのまま指を進め奥の奥までかき回したくなるが、なんとか自重す
る。代わりに割れ目の上から下まで、やや強めに擦った。
 逆の手もクロノは遊ばせない。
 浴衣の上から乳首を探り当てると、持ち上がろうとしているのを逆に埋め込むように強く押し込む。残りの
指でも胸全体をたぷたぷと揺らすように揉みしだいた。
 下着一枚無くなっただけで、フェイトの乳房はまろやかさを増していた。指に吸いつくように柔らかい。
 指先が頭に直結したかのようにくらくらする。
 耳の裏側。匂いが凝縮された場所に鼻をおしつけると、フェイトの甘い香りがした。そのまま露出している
うなじへ舌を滑り落としていく。
 フェイトの首の裏が唾液でねっとりと濡れ、月光を反射する。摺り込むように舌を動かせば、自分の唾液以
上に汗の味を感じた。ただの塩が、とんでもなく甘美に思える。

「んぅ………はぁ……ん……」

 クロノが指を、舌を動かす度に、フェイトの吐息が急速に色づいていく。
 身体からは力が抜け、背中は木にもたれかかり、腕はすがるようにクロノを抱きしめていた。
 なすがままとなった腕の中の肉体を、ますます激しくクロノは愛していく。
 上から揉んでいるのが面倒になり、襟を引っ張り胸を露わにした。直に触りたい以外特に何も考えずにした
行為だが、意外な結果を生んだ。
 浴衣の襟が乳房を根元から絞り出すようになり、ただでさえ大きな胸が前に突き出るようになる。
 フェイトが身を少しよじっただけで、ぶるんと大きく乳房が揺れる。
 その光景を見て、また我慢が一つきかなくなった。
 双丘の上に突き出た可憐な乳首に、クロノはしゃぶりついた。
 中身を吸い尽くす勢いで吸い、甘噛みし、舌で舐め尽くす。

「やあん! 胸、そんなに……!」

 力を失っていたフェイトの手が、クロノの頭に置かれる。
 言葉と相まって胸への愛撫を拒否しているようだが、手は押し離すのではなく、もっとしてと自分の乳房へ
押しつけていた。
 フェイトのスイッチは、もう完全に雌の方へと切り替わっている。
 花弁を弄くっているクロノの指も、とっくにびしょ濡れだった。指どころか手首まで滴り、まるで愛液で洗
い流されているようである。

594 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:42:13 ID:JobguD02
「ずいぶん、濡れるのが早いな」
「結界張ってても、外でしてるとやっぱり……ああんっ…………興奮するね……」

 フェイトだけではない。クロノの股間も猛りに猛り、浴衣の前を大きく持ち上げていた。
 先走りで幹が濡れていくのが自分で分かる。
 ベッドの上では感じられない、夏草や土の匂い。湿気を帯びた空気。それだけで、興奮が普段の倍以上にな
る。

「僕にもしてくれ。我慢できない」

 フェイトの手を自分の股間に導くクロノ。
 すぐに強すぎず弱すぎず、絶妙の力加減で肉棒に指が絡む。一度しごかれただけで、背筋を快感がうねった。
丸みを帯びた先端を爪でくにくにと弄ばれると、腰が抜けそうになった。
 やっていること自体は、自分でしている時と変わりないはず。なのに、気持ちよさが全く違う。一切をフェ
イトに委ねてしまえば一瞬で放出してしまいそうな魅惑の指技。
 クロノも負けじと、フェイトの花びらの中心へと指を進めた。
 我慢できないとばかりに、秘肉が指に絡みつく。ただ締めるだけでなく、細かく動いて指を蕩かそうとして
くる。まるで咀嚼するような動き。

「ふぁ……あ……やぁ。クロノのこんなにぱんぱんで、出したがってるよ。ほら……出しちゃって、いいんだ
よ」
「君こそ、こんなに咥えこんでるじゃないか」

 果てさせる速度を競うように、二人は指の動きを大きくしていく。
 先に限界が来たのは、やはり先に攻められていたフェイトだった。

「ああん! イッちゃう、イッちゃうよおぉぉ!!」

 叫びが木々の間で尾を引き、がっくりとフェイトの頭が垂れる。
 それでも右手だけは、クロノの肉棒を離さず
 フェイトが先にイッた今、意地を張る必要は無い。クロノは腰の衝動任せに、一気に放った。
 宙を飛んだ精液は木の幹にべったりとひっかかる。まるで樹液のようにたらたらと白い液体が垂れていく。
 放出した量はかなりのものだったが、一度出したごときでは足りないにもほどがある。フェイトの中で果て
ないと、身体も心も収まりがつかなかった。
 我慢できないのはフェイトも同じだった。絶頂を迎えたばかりなのに、顔全体を淫らな色に染めながらクロ
ノをじっと見つめてくる。

「……するぞ」
「うん」

 食事を目の前に置かれた犬のような顔で、フェイトが頷く。もう頭の中にはクロノとのセックスのことしか
ないのだろう。
 木にもたれかかったままのフェイトの股間に、自分の性器を押し当てる。
 充分濡れているのに、入っていくのに抵抗がある。何度か入り直すのだが、角度が上手くいかない。
 つい焦れたクロノは強引に根元まで挿入れたが、表面が強く擦られ痛みが走った。フェイトの眉も、苦しそ
うに歪んでいる。

「きついのか?」
「大丈夫……平気だからクロノ動いて」

 そう言うフェイトだが、軽く二、三回動かしただけで辛そうに唇を噛んだ。
 立位は女性に負担が大きい上、二人の身長差もあって奥まで深々と刺さりすぎている。亀頭が子宮口にめり
込みかけていた。これでは痛みが勝って当然だった。
 ふぅと息をついて、クロノはフェイトの中から出た。

595 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:42:56 ID:JobguD02
「……この体勢だと無理だな」

 やめないで、とフェイトが言い出すより先に、クロノは行動をもって答えた。
 フェイトの腰に手を回すと、一気に持ち上げた。
 腰の高さが揃ったところで再度腰を突き入れれば、最初のつかえが嘘のようにスムーズにいった。かといっ
て緩いわけではない。きついくせに、柔らかい。愛しい女と繋がっている時でしか体験できない感触。
 いっぺんに腰の動きがトップスピードに入った。突き上げる勢いでフェイトの身体が、がくがくと揺れる。
 持ち上がったフェイトの足から、下駄がぽたりと落ちた。

「くっ、あぁっ……うあぁ……!」
「ん………んんぅ……んっ!」

 脳髄を直撃してくる快感に、クロノの口からは鋭い叫びが勝手に出てくる。
 しかしフェイトの声はくぐもっていてはっきりしない。
 なぜだと閉じていた眼を開ければ、フェイトの口は浴衣の襟元を噛みしめていた。

「……フェイト、声を聞かせてくれ」

 耳朶を舌で舐めながらクロノは囁いた。

「僕以外聞いてない。だから、君の声を聞かせてくれ」

 交わっている間だけ上がる、フェイトの甘い啼き声。それを耳にすることができるのは、この世でクロノた
だ一人。だから、思う存分聞かせてほしい。
 フェイトの唇が、襟から離れる。

「ひっあ、ああっ、うあっ!! 気持いいよぉクロノっ!!」

 フェイトの嬌声に押されるように、クロノは腰だけでなく抱えたフェイトの身体も揺らして快感を貪る。
 全身の筋肉を使ってのセックスに、体内の酸素がすぐに燃え尽きた。
 一度止まり、喉を鳴らして荒い息を吐くクロノ。フェイトの口も嬌声こそ止まったが、身体全体で呼吸する
かのように喘いでいた。二人とも、交わることだけ考えている獣の息。
 ちょっとでも呼吸が整えば、インターバルに終わりを告げてまたクロノは突き上げる。
 フェイトも不自由な体勢ながら腰を振って答える。
 二人とも相手に合わそうなどと微塵も考えていないくせに、なぜかテンポだけは合っていた。
 恥骨同士がぶつかると、気が狂うぐらい気持ちいい。
 浴衣は二人ともとっくにぐしゃぐしゃだった。頭の中はもっとぐしゃぐしゃだった。
 もうどうでもいい。狂おうがなんだろうがどうでもいい。快感ですらどうでもいい。どうでもいいまま、ク
ロノは叫んだ。

596 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:43:41 ID:JobguD02
「いくぞフェイト!!」
「きてぇ、クロノ!!」

 一瞬、足元が消え去ったような浮遊感がきて、次に怒涛の波が押し寄せてきた。
 肉棒だけでなく、思考から肉体全てまで弾け飛ぶような絶頂。
 どくどくと快感の塊を迸らせながら、クロノは恍惚の彼方に至った。

「あっ、ああっ、はぁぁぁぁん!!!!」

 このまま気を失うかと思うぐらいの射精だったが、どれだけクロノの精が強くても終わりはやってくる。腰
からくる快感が少しずつ小さくなり、やがて途切れた。

「…………すごく気持良かったよ、フェイト」

 疲弊の汗を顎から垂らしつつ、フェイトに口づける。
 一度結合を解こうとするクロノだったが、フェイトの足がくっと絡んできて腰を引きとめた。

「まだ抜かないで。もうちょっとだけ…………このままでいて」

 フェイトの言うとおり抜くのは止めて、クロノは事後の膣をデザートのようにゆっくりと味わう。
 セックスの最中の灼熱の熱さは失せたが、ぬるま湯のようなゆったりとした温かさでクロノの分身を包んで
いる。
 激しい交わりにフェイトの髪の毛が解けていた。顔を埋めて匂いを嗅ぐと、甘酸っぱさが鼻腔に広がった。
始める前にも嗅いだが、微妙に違う。どちらもクロノにはいい匂いなことに変わりはなかったが。
 足元では夏虫の鳴き声。あとは二人の呼吸の音だけがする世界。そこに、大きな音が響き渡った。

「……花火、始まったね」

 ドーンドーンと遠くで連発で鳴る音と、空に輝く光の華。
 繋がったまま、しばらく二人は大輪の花火に見とれた。
 だがすぐに二人の視線はお互いの顔へと戻る。
 夜空に咲く花もきれいだが、目の前にあるフェイトという花よりきれいなものなどこの世にありはしなかっ
た。
 最初に一回だけと言ったことなどとうに忘れて、クロノは囁いた。

「……もう一回しようか?」
「…………うん」

 小さく頷いたフェイトが、仕草で下ろしてくれと促してくる。
 地面に下ろしてやると、木に手をついて腰をこちらに突き出してきた。
 汗ばんだ白い尻と、腰から足へかけての淫らな曲線が丸見えのはしたない格好。
 思わずクロノは唾を飲み込んだ。

「あのままだとクロノが大変だから、今度はこうやって、して」

 誘われるまま、クロノは腰を突き入れる。
 花火の弾ける音に混じって、艶やかな喘ぎが林の中に響いた。

597 七夕の宵 :2009/07/07(火) 23:44:21 ID:JobguD02
          ※




(そんなこともあったね)

 手にした団扇で風を送りながら、フェイトは思い出を振り返っていた。
 今日は七夕。二人はまた、数年前に訪れた祭りにやってきていた。
 あの日と同じ雰囲気の祭り会場。クロノとフェイトが来ている浴衣も当時と同じ物で、時間が数年前に巻
き戻ったような気がした。
 しかし完全に違うことがある二つある。二人の年齢が数歳上がったことと、二人きりではなく三人で来て
いることである。

「父さん母さん、早く早く!!」

 一緒に来ている三人目、クロノとフェイトの息子が興奮を隠し切れない様子で手を振ってくる。
 フェイトも手を振って答えながら、クロノに語りかけた。

「七夕の願い事、本当にかなったね」

 七夕の夜に受胎したのかどうかは不明だが、七夕祭りから間もなくフェイトは妊娠し、十月十日後には無
事子宝に恵まれた。
 フェイトの願いだけではない。クロノの願いもかない、今日まで大怪我をすることもなく家族は全員元気
だ。

「ねえクロノ、今年はどんなことお願いしようか?」
「芸が無いけど、あの時と同じで家族の安全にしようと思ってる」
「私もあの時と同じかな。クロノの子供はもっと産みたいし」

 お面屋の前で足を止めて眼を輝かせている息子に眼をやりながら、フェイトは少し色気を混ぜた声でクロ
ノの耳元で囁いた。

「今度も林の中でする? もう一人できるかもしれないよ?」
「ば、馬鹿なこと言うんじゃない!」

 顔を真っ赤にして照れるクロノがまるで子供のように可愛くて、フェイトくすくすと微笑む。
 楽しい七夕祭りの夜は、まだ始まったばかりだった。




          終わり

598 サイヒ :2009/07/07(火) 23:45:26 ID:JobguD02
以上です。
浴衣といったら野外エロ。これ世界の常識。
でもせっかく祭りネタなんだからチョコバナナ挿入とかやっても良かったかも。


クロフェで尻成分が皆無な話を書くのはいったい何話ぶりでしょうね。
クロフェ=尻がもはやエロパロの共通認識になりつつあるのは本当にどうなんだか。
いやまあ、尻は書くのも読むのも大好きですけどね。
ユーフェで尻を書いてたお方が帰ってきてくれないかなぁ。


>シガーの旦那
こいつはいいニヤニヤ話。
シグナムさんが短冊見つけた後の話も読みたい。

599 名無しさん@魔法少女 :2009/07/08(水) 05:22:55 ID:hdspfEoM
野外クロフェGJ
浴衣エロスww
チョコバナナをしれっとフェイト嬢の尻に突っ込む提督の姿がみえたのは俺だけで無い筈

600 名無しさん@魔法少女 :2009/07/08(水) 17:12:05 ID:AusC3mrM
>>浴衣といったら野外エロ。これ世界の常識。

全力で同意。
アレだよね、浴衣を着たらもうエロス力が300%は増すよね?
しかも相手はフェイトです、もう反則です。

GJっしたサイヒ氏!


それと、シナイダ氏のお尻フェイト復活もまた同意ですだよ。

601 名無しさん@魔法少女 :2009/07/08(水) 21:07:44 ID:XgNkXfOk
>>529
なのスカお待ちしてました。
今更ですがGJ!

602 ( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:52:53 ID:raDydbq2
投下行きます。

今回、JS事件の真相の独自解釈としてかなり聖王教会ヘイトです。
苦手な方や、カリム、ヴェロッサのファンの方は特にご注意ください。

その他の注意事項
・オリキャラ・準オリキャラ注意
・捏造設定オンパレード注意
・TUEEEEE注意
・NGワードは『熱き彗星の魔導師たち』

603 熱き彗星の魔導師たち 30-01/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:54:06 ID:raDydbq2
 クラナガン。
 時空管理局陸士総隊・地上本部と、市の中枢部である官庁街のある中央区画、その北部
側の区画沿いからさらに市境まにで東西に向かって延びる線に封鎖用のバリケードが築か
れ、陸士隊と暴徒のにらみ合いが続いている。
 奇妙な光景だった。一部で管理局施設への放火他破壊活動は見られるものの、一般市民
への暴力行為のない暴動。確かに奇妙だが、明快でもある。

熱き彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜
 PHASE-30:Stupid sage.

 シングルナンバー、陸士総隊の中では数少ない、次元巡航警備部本部や、航空戦技教導
隊(通称・空)と比較しても遜色のない精鋭部隊。今はそのすべてがこの封鎖線の要所に固
められていた。
 だが……
 ────シングルナンバー、分けても私達陸5の本来の強みは機動力……膠着状態から
数で圧されることになれば……
 ちらちらとこちらを伺う暴徒の群れを、バリアジャケットとデバイスを展開したまま、
直立不動で睨みつつ、クイントは声には出さずに呟いた。焦れる。汗が流れる。
 ────だが、今出て行っても多勢に無勢……被害が大きすぎる! 許容できない!
 既に、次元巡航警備部の治安維持部隊である、首都防空隊は壊滅の憂き目を見ている。
再三の地上本部側の封鎖線退行と無用の戦闘の回避を勧告したが、本局からの指示を盾に
応じなかった。彼らの能力は概ね自分達を上回っていたが多勢に無勢すぎた。
 あるいはシールドの扱い方については陸士隊側に一日の長があったのだが、それはクイ
ントを含め双方が気付いていなかった。
 彼らの犠牲は心苦しいが市街地での戦闘行為は避けよと言う直接の指令に反するわけに
は行かなかったし、直接預かる部下を危険にさらすわけにも行かない。ジレンマだ。クイ
ントは臍をかんだ
 ────あるいは、彼らの突入は……
 パタタタタ……
 クイントの思考を遮って、発砲音が聞こえてきた。バチバチと小口径だが高初速の弾丸
が、ミッドチルダ式のシールドに阻まれて弾ける。
 クイントがそれを知る由もなかったが、弾丸の正体はM193 .233Cal小銃弾だった。別名、
5.56mmNATO弾。
「大丈夫です、あの程度では貫かれませんよ」
 クイントが発砲音に不快な表情をすると、背後からそう声をかけられた。
「他の部隊も……分散さえされなければ守りで負けることはありませんよ、なんたって彼
らは────」
 振り返ったクイントに、苦笑気味に部下がそう言いかけた時──

604 熱き彗星の魔導師たち 30-02/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:54:37 ID:raDydbq2
『レジアス・ゲイズ中将、殉職!』
 念話による通信で、そう伝えられてきた。
 どよ……
 封鎖線を守る陸士隊に、動揺が走る。
「うろたえるなぁっ!」
 クイントは声を張り上げた。わざと、男口調で乱暴に言う。
「ここが堕ちれば法治体制の敗北につながる! 中将の死を無駄にしないためにも、総員
現封鎖線の維持に全力を尽くせ!」
 ────とは言ったものの……
 クイントは焦れる。彼女以外の指揮官からもそのような一括があったか、浮き足立つよ
うな状況は抑えられたが、それでも動揺そのものを完全に拭い去ることは出来ない。
 ────なにか……ないかしら……状況を好転させる材料は……
 クイントが、険しい表情で前を睨みつつ、そう焦れたときだ。
 ざわわ……
 暴徒の側に、よりいっそうの動揺が走った。
「…………なに?」
 明らかに浮き足立ち始めた。それもかなりの動揺が見て取れる。
「何があったの……?」
 クイントが半ば呆気に取られかけた時、その問いの回答になるべき情報が、オットーか
らの念話という形でもたらさせた。
『状況、「聖王のゆりかご」は管理局のコントロールに入りました』
「!」
 クイントは理解した。この暴動はスカリエッティによる『聖王のゆりかご』のクラナガ
ン侵入に呼応して起こったものだ。というより、スカリエッティによって起されたものだ
ろう。だが、その『聖王のゆりかご』が管理局の手に落ちた今、その場の勢いで参加した、
おそらくは大半の参加者は、冷や水をかけられた状態になったのだ。
「第5陸士隊、総員、突入準備! ただし突入はまだ!」
「了解!」
 クイントの声に、ローラーブレード型デバイスで統一された第5陸士隊の面子が答える。
『Loud voice』
 ソニックキャリバーのシステムボイスが告げる。
『被疑者全員に告ぐ!』
 地球の電子拡声器を経由したように、クイントの声が周囲、主に前方に向かって、響き
渡った。
『ジェイル・スカリエッティによって不法に運用された巨大艦は、時空管理局の制御下に
入った! 諸君等に援護は無い、不法行為を止め解散せよ!』
 さらに大きな動揺が、群集に波打つように広がった。

605 熱き彗星の魔導師たち 30-03/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:55:19 ID:raDydbq2
『繰り返す、不法行為を即刻中止して解散せよ! さもなければ5分後に突入を強行する!
こちらは時空管理局陸士総隊・ミッドチルダ地上本部第5陸士隊!』
 果たして────
 群集の多くはクイントの呼びかけに、じりじりと後退りするように、封鎖線から距離を
とり始めた。
「ふぅ……」
 緊張状態の山場は越えたか、そうクイントが安堵の息を漏らしたとき。
 タタタンッ!!
 群衆の中から発砲音が聞こえてきた。弾丸はしかし、封鎖線の陸士隊が張ったシールド
には着弾しなかった。
「いけない、陸5、突入!」
「了解!」
 正確には5分を経過していなかったが、クイントは突入命令を出した。
 暴徒の一部、確信犯、つまりこの暴動を扇動した過激分子が、暴走しだしたのだ。
「逃げる市民は極力構うな、必要があれば保護、そして過激派構成員の身柄を確保!」
「了解!」
 精鋭・シングルナンバーの中でも最高の機動力を誇る第5陸士隊は、隊長、クイント・
ナカジマの陣頭指揮下、逃げ惑う群衆の中にたちまちのうちに浸透した。
 その中で、質量兵器──地球製アサルトライフルを振り回している暴漢を、バインドや
直接打撃で抑え、拘束していく。
『Ring bind』
 ソニックキャリバーシステムボイスと共に、パワーロードナックルから青紫の光のリン
グが飛び、銃を手にしていた男の1人を拘束した。
 第5陸士隊に呼応して、他のシングルナンバー部隊も行動を開始していた。先導されて
いただけの市民と、煽動していた過激派、それにXI系戦闘機人がふるいわけられた。
 厳密には前者にも犯罪行為の立件は可能だろうが、数が多すぎるし、なによりこの事態
を沈静化することが最優先だった。

606 熱き彗星の魔導師たち 30-04/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:56:02 ID:raDydbq2

「少し動きがあったようだぞ」
 シグナムが言う。
 クラナガン・北方中央区画、上空。
 その市街地は暴徒に占拠されており、陸路を移動することはかなわない。レンに先導さ
れて、はやてとシグナムは空から聖王教会へと向かっていた。
「ホントや。まぁいいほうに転んでくれればええけどな」
 くるっと、半分でんぐり返ったような姿勢で、レンは地上を見下ろし、そう言った。
「そうだな……」
 シグナムも、それ自体には特に他意はなく頷いた。
「…………」
 はやては一瞥もせず、ただ軽く顔を上げて前を向き、飛行を続けた。
「…………主……」
 シグナムははやての様子を見て呟いてから、レンに接近し、
「レン、本当に主はやてをお連れしなければならないのか?」
 と、耳打ちした。
 どこかキョトン、としたような表情で聞いたレンだったが、すぐに、憤りと哀しみが織
り交ぜになった表情になった。
「見届ける必要、あると思う。私も、はやてちゃんも、シグナムも……」
「…………そうか」
 遣る瀬無いといったような表情で、シグナムは呟いた。
 やがて郊外へ抜ける。住宅街にはそれほど暴動の傷跡は無かった。それでも大きな通り
には、ゴミだのが散乱し、整然とした街並みは見るも無残だった。
 そしてその中、ひときわ大きな、しかし古風な聖堂と、付属する鉄筋の建物が見えてき
た。
 3人が聖王教会に降り立つと、そこには、3人の知る顔が複数、立って待っていた。しか
し、その中の1人は、少なくともはやてにとっては意外な存在だった。
「グリフィス君!? どうしてここへ?」
 はやてが素っ頓狂な声を出す。
 グリフィスの表情も重々しい。
「どうしても地上本部から運ばなければならないデータがありまして……アリシアさんと
アルフさんに運んでいただきました」
「アリシアちゃん? アルフ? けど、2人の姿は見えへんようやけど」
 はやては辺りを見回すような仕種をして、そう言った。
「2人は今は『ゆりかご』の中」
 答えたのは、アリサだった。
「ユーノと一緒に、ギンガのサポートに当たってもらってるわ」
「え、それってどういう意味や?」

607 熱き彗星の魔導師たち 30-05/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:57:05 ID:raDydbq2
 状況がわからないはやては、怪訝そうに聞き返す。
「それについては……後。今はまず……」
 アリサは言って、聖王教会の聖堂を見上げた。
「決着をつける必要があるわ。行くわよ」
 そう言って、歩みを進める。
 続くのは、フェイトと、ウェンディ、ティアナ。
「行くで、はやてちゃん」
 レンに促され、はやて達がその後を追う。

608 熱き彗星の魔導師たち 30-06/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:57:48 ID:raDydbq2

 はやての一行が訪れたと伝えると、カリムは自らの執務室に通した。はやてはよく知っ
ている。クロノやカリムと6課について会談したり、お茶会をしたりしている披露目の部
屋だ。
「それで、機動6課の皆さんは、今日は何の御用でしょうか? この火急の際に来られたか
らには、相応の理由があるかと思いますが」
 カリムはよそよそしい態度で、慇懃にそう言った。
 確かに、状況を考えればそれは真っ当な言い分だ。またアリサやウェンディと言った、
地上本部の人間がいることも、態度が余所行きのものである理由だろう。
「カリム、あたしは……」
 はやてが何か言いかけたのを、アリサが腕で制した。
 そのまま、ずい、と前に出る。
「たしか、聖王教会には騎士団って呼ばれる自警部隊があるって聞いたけど? 騎士カリ
ム」
 室内を値踏みするように見回しつつ、アリサは挑発するようにそう言った。
「教会騎士団でしたら……今は出払っております、管理局の暴動鎮圧に協力する為にです
よ」
 カリムはにこやかに笑い、自慢するようにそう言った。
「おかしくないかしら? むしろ、この状況だったら、教会騎士団がまず守らなきゃなら
ないのはここじゃないの?」
 アリサは流し目でカリムを見て、口元で薄く笑った。
「いいえ。聖職者たるもの、まずは民の救済が第一ですわ。聖王家がそう望まれたように」
「なるほど、辻褄は合うわね」
 カリムが動じずに、やんわりと言い返すと、アリサは口元に指を当てて、軽く見上げな
がらそう言った。
「一体、何が仰りたいのですか?」
 アリサの無礼と言えば無礼な振る舞いに、カリムが焦れたような声を出す。
「この手の謀略とか事件ってね」
 アリサは笑みを消し、カリムを睨むように見た。
「最初と最後で一番得したやつが犯人、首謀者なのよ」
「はやてさん!」
 カリムは急に、苛立ったような声を出し、視線をはやてに向けた。
「スマン……カリム、もう、アリサちゃんはあたしの指揮下にあらへんのや」
 申し訳なさそうに俯き、はやては小さな声で言う。
「スカリエッティは……本人にも利害があったのは確かだけど、基本的にはエンジニア。
事件を起す財力も無ければ、成功した所で精神的な満足を得られるだけ……もっとも、あ
のパラノイアには、それだけでも充分な動機になるかもしれないけど」
 アリサはカリムに僅かにすめよる。わざと足音を強めに立てて、カリムを自分に向けさ
せる。

609 熱き彗星の魔導師たち 30-07/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:58:54 ID:raDydbq2
「今回の事件、誰が一番リスクが少なくて、成功した時に得るものが多い……? そう…
…いわば革命に成功すればよし、失敗したとしても、管理局内の抵抗勢力の排除、ベルカ
聖王の復活、それも夜天の王と揃って……ベルカの発言力は増す、つまり、聖王教会の
ね」
「面白い仮説ですね……本当に聖王教会がスカリエッティの犯罪に関与しているとでも?」
 カリムは鼻を鳴らして笑い、そう言った。
「それでは、少将閣下」
 そう言って、アリサの隣にグリフィスが進み出てきた。その手に、高密度データディス
クと一部のハードコピーが握られている。
「貴女の権限で行われている、地上本部医療センターのデータベースへの定期的なアクセ
ス……参照されるファイルはディエチ・ロウラン、オットー・レックス、ウェンディ・ゲ
イズのメンテナンス記録と……トェリー・タッカーの定期診察カルテ」
「トェリー・タッカー?」
 そう聞き返したのは、傍らのアリサだった。
「元、スカリエッティ製戦闘機人No.12……」
 グリフィスの答えに、アリサはあっと息を呑むような仕種をした。
 グリフィスはアリサに答えてから、視線をカリムに戻す。その表情には、にわかに憎悪
の色が差した。
「これらの部外秘ファイルの参照は、それもアクセス経歴を義弟のヴェロッサ・アコース
査察官が消去しようとした事実は! 一体どういう説明をなされるのですか!!」
「スカリエッティの元にはあたしの稼動データが流れてたっス」
 アリサをはさんで反対側に、ウェンディが歩み出た。
 いつものおちゃらけた様子は微塵も無く、やはり表情は険しい。
「そのデータはクライアントが融通させていたって、スカリエッティ側のナンバーズから
の証言っス」
「あなたは、管理局少将にして聖王教会の騎士であるこの私より、犯罪者の証言を信じる
と言うのですか?」
「無条件にそうとは言わないっス。けど、それが正しいとするなら辻褄が合うっス。これ
について説明を求めるのは当然のことっしょぉ!?」
 カリムの苛立った声に、ウェンディは声を荒げて言い返した。
「この場で説明できないと言うなら、騎士カリム」
 アリサは先程までと異なり、淡々とした声で告げる。
「あなたの身柄を拘束、地上本部に連行させていただきます」
 じっとカリムを見据えて、そう言った。
「なぁ、カリム、言い訳すること、あんのやろ? なんか、別の理由、あったんやろ?」
 困惑しきった表情のはやてが、我慢しきれなくなったかのように顔を上げ、カリムに向
かってそう言った。

610 熱き彗星の魔導師たち 30-08/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 18:59:47 ID:raDydbq2
「残念ですわ、はやて……」
「カリム!?」
 カリムはゆっくりと立ち上がる。
 それを合図にして、ダンッ、と、アリサやはやて達の背後にある。扉が弾けた。
 青緑と紫色の影が、アリサ達の頭上をすり抜けるように飛び越え、カリムとの間に割っ
て入るように、その目前に着地した。
 レオタードのような騎士甲冑、双剣形アームドデバイス『ヴィンデルシャフト』を構え、
カリムを庇うように立ちはだかる。
「しまった……!」
 アリサが言い、反射的に胸元のレイジングハートに手を伸ばす。その背後で、フェイト
が同じようにバルディッシュに手を伸ばした。だが、今から起動していたのでは、到底間
に合わない────
「待ってや!」
 自分より前にいた4人を制して、レンが前に踊り出た。
 正面でシャッハと対峙する。険しい表情で強い視線をシャッハに向けた。だが、まだジ
ルベルンメタリッシュを起動してはいない。
「ちょ、レン!?」
 レイジングハートをかけるネックレスのチェーンに手をかけた体勢のまま、アリサはレ
ンの後頭部に向かって、憤り半分、焦り半分の表情で声をかける。
「主君に仕えるを騎士の誇りととるか? シャッハ?」
 レンがシャッハに問いかける。
 しばしの沈黙──レンのその低く静かだが、はっきりとした声に、アリサたちの動きも
止まった。
「シャッハ!?」
 顔色を劇的に変えたのは、カリムだった。
 ヴィンデルシャフトの切っ先は、カリムの首先を狙っていた。
「私の使える主君は、聖王陛下であり望まれた平穏です。閣下」
 シャッハはカリムを睨みつけつつ、そういい切った。
「カリム・グラシア……閣下。ご同行願えますね?」
 フェイトがアリサより前に歩み出て、ニュートラルな表情でカリムを見ながら、事務的
な口調でそう言った。質問の形をとってはいるが、実質的に拒否は認めていなかった。
 カリムは憮然とした表情のまま、沈黙していた。
『オットー、取れてる?』
 悲嘆するはやてを痛ましげに見ながら、アリサは地上本部にいるはずのオットーに呼び
かけた。
『感度良好、なに?』
『カリム・グラシアを拘束したわ。暴徒煽動に参加している教会騎士団を逮捕させて』
『了解』

611 熱き彗星の魔導師たち 30-09/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 19:00:33 ID:raDydbq2

 やがて、ヴァイスの操縦するJF705型ヘリが飛来した。そのまま執務室に軟禁されてい
たカリムを、フェイトがバインドで拘束したまま、ヘリのカーゴルームに連れて行く。
「主……」
 シグナムが、少しはなれたところで佇んでいるはやてに声をかける。カリムを軟禁して
いる間、はやては終始塞いだ様子のままだった。
「何でこんなことになってしもたんやろなぁ、あたし、こんなつもりやなかったんやけど
なぁ……良かれと信じて……」
「主……誰とてそうです。悪の為に悪を成す人間はそういません。私は……私達は何百年
もの間、そういう人間を見てまいりましたから」
 シグナムははやてを痛ましく思いつつも、キッパリとそう言った。
「わかっとる……免罪符になりはせんのや……せやけど……せやけどな……」
「主……」
 シグナムは目を伏せ、哀しげな表情で語り始めた。
「主はやて……10年前……主は弱く、また幼かった。だから、この事実を突きつけること
は出来なかった……もっとも、バニングスとスクライアはそうではなかったようですが」
「…………」
「ですが、今なら受け止めていただけるでしょう、あの裁定がただ、主に対する同情にお
いてのみ決定されたものではないと言うことを……」
「…………」
「そしてそれこそが、闇の書の“本当の闇”」
 そう言ったのは、シグナムの声ではなかった。
 はやてはシグナムと共に、軽く驚いたように声の主を振り返る。そこに、ユーノが立っ
ていた。
「ユーノ君!?」
「夜天の書を闇の書に変えた時と同じように……ベルカ夜天の王と最高峰のデバイスの復
活が、その強大な力が、周囲のあり方を歪ませてしまった。今回の事件は──10年前に、
既に始まっていた」
 はやては半ば唖然とした表情でユーノを見ていたが、シグナムの方はそれほど驚いた様
子は無く、むしろそれを肯定するかのような、険しく、どこか哀しげな表情だった。
「今回のスカリエッティと聖王教会の共謀は確かに、カリムの予言が出たことによって計
画されたものだよ。でも、その下地が出来上がったのは、あの『“最後の”闇の書』事件
の時だったんだ」
「そん、な……あたしは……みんな……友達、やって……」
 ユーノの柔和ながら断固とした言葉に、はやては愕然とし、震えながら絞るように声を
出す。
「主はやて、彼らの悪意によってあり方を変えられたのは、主自身でもあったのです」
 シグナムが険しい口調で言った。

612 熱き彗星の魔導師たち 30-10/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 19:02:25 ID:raDydbq2
「あたし、も?」
「主はやて、私は……いや、我らヴォルケンリッター、その誓い覚えています。あなたの
望みは、我らに望んだことは────」
「…………何事も無く、平穏、みんなと楽しく暮らせる世界、ただ平穏に……」
 愕然とした表情で目を見開き、はやては呟くように言った。
「あはは……やっと理解できた……流されとるだけやんあたし……目先の言葉の優しさに
誤魔化されて、自分の望みとはまったく別の世界に引きずり込まれて、何も気づいとらん
かった」
「主はやて、それはとても難しいことなのです、あの頃のあなたにそれを求めるのは、無
理とは言わないまでも、厳しいものだったのです」
 シグナムは言い聞かせるように言ったが、ふと気がついたように視線をユーノに向けた。
「それとも、ただの逃げだったか。ただ自らの存在が消えることが惜しかっただけかも知
れん」
 自嘲気味に、シグナムは言った。
「それは、僕が答えられる問題じゃないよ」
「そう、だな」
 ユーノが答えると、シグナムは重々しい口調でそれを肯定する。
「ただ、自分の身が愛しいのは誰だって同じ、これは言える。自分を守れない人間に、他
人は守れない」
「そう言ってくれるとありがたいが……お前達には教えられる事ばかりだな」
「そうでもないよ。僕もアリサも10年前は大差なかった。4年前の事件が無ければ、僕達
もずっとそのままだったかも知れない」
 今度は、ユーノの方が自嘲気味に笑った。
「そうか……すると今回の最大の功労者は……」
「ティーダ・ランスター、ティアナのお兄さんかもしれないね」
 シグナムの言葉に、ユーノは静かに答えた。
「シグナム、地上本部に戻るで」
 姿勢を正したはやてが、2人の方を振り返ってそう言った。
「はい」
 シグナムは真摯に応じる。
「これから……管理局内の大掃除がまっとるからな」

613 熱き彗星の魔導師たち 30-11/10 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/09(木) 19:04:59 ID:raDydbq2
>>603-612
今回は以上です。

シャッハも伏線はっといたとは言え唐突に出てきて唐突に動いた感じ……反省。

614 名無しさん@魔法少女 :2009/07/09(木) 21:24:05 ID:Z4ur5nVM
>>613
まさかカリム黒幕とは…いつも度胆を抜いてくれる(いい意味で)
原作アニメでも主役3人ともそんな感じしてたからちょっと胸がスッとした(ぉ

615 F-2改 :2009/07/09(木) 21:37:41 ID:zLJ/ONZY
どうも、初めまして。2145くらいに投下させていただきます。
話はクロノ×なのはで4部構成、エロは一部のみです。今回は第一部
を投下させていただきます。

616 F-2改 :2009/07/09(木) 21:46:20 ID:zLJ/ONZY
時間になったので投下させていただきます。



踏み出す一歩は誰のために 


第一話 休暇


休暇の上手な過ごし方とは、いかなるものか。
その年、二二歳になったクロノ・ハラオウンの悩みはしかし、答えなど見つかるはずも無かった。
執務官としての任務、自身が艦長を務める次元航行艦"アースラ"の整備状況、休暇初日だと言うのに脳裏を駆け回るのは仕事のことばかり。
趣味の一つや二つ、持つべきだったかな。仕事一本槍な自分に自嘲気味な苦笑いを浮かべ、クロノは目の前に並ぶ本の群れを見た。
結局彼が取った休暇の過ごし方は、読書だった。それも、読むのは医学書など娯楽とは程遠い代物。知識を増やすのは無駄なことではないし、いざと言う時に色々役に立つ
かもしれないからだ。
分厚い専門書を何冊か手に取り、値段を確認した上で――懐の中身については、使うアテがあまり無いので特に心配することも無いのだが――レジに持って行く。
会計を済ませて本屋を出たクロノはふと、上空を見上げる。雲一つ無い快晴、無限大に広がる群青の世界。時折吹く風は温かく、この地、海鳴市の地理的特性の一つである
気候の良さを物語っていた。
とりあえずは、帰るとするか。特に用事も無いクロノは、休暇中はいつもそこで過ごすマンションに向かった。ハラオウン家の現在の住居である。
もちろん、家には母リンディもいる。義妹フェイトも、その使い魔アルフも。家族の顔を思い浮かべるクロノの表情は、しかしあまりいいものではなかった。


"アースラ"が定期整備に入る直前、リンディから通信が入った。思えば、この時からすでに計画は動いていたのだろう。半透明のディスプレイに浮かぶ、母の笑顔はどうにも
きな臭かった。次の瞬間彼女の口から出たのは、「休暇を取りなさい」、この一言。
最初は固辞した。艦が定期整備に入るからと言って、艦長の仕事は無くならない。特に老朽化の激しいブロックなどは、整備の現場とも直接話して現状を知っておく必要があ
る。他にも電子装備のアップデート、定期交換部品、チェックするべき部分は山のようにあった。
だが、リンディとの通信中図ったようなタイミングで艦長室にやって来たオペレーターのエイミィが、「あぁ大丈夫大丈夫。ちゃんとおねーさんが責任持ってやっとくから。
クロノ君にはあとで報告書送るからいいよ」とか言ってきた。提督の委任状付きで。
しかし、クロノは食い下がる。艦を降りれば、人手不足の管理局にはクロノのような優秀な魔導師を必要としている部署もある。
これも通信中、図ったようなタイミングでフェイトが連絡してきた。「今大きな仕事無いから、私の方でやっちゃうね」とか言ってきた。提督の委任状付きで。
それでも、クロノは諦めない。あの仕事がこの仕事がと嘘でもハッタリでも何でも出す。
だけども、やっぱりリンディは通信回線の向こうで微笑を崩さなかった。「あなたのスケジュールは全部チェック済みよ」とか言ってきた。
万事休す。もはやどうにもならない。八方塞。四面楚歌。孤立無援。絶望を意味するあらゆる言葉が脳裏をよぎり、クロノは真っ白な休暇簿を持ち出した。
だからクロノは母に問う。そうまでして休暇を取らせる意味は何ですか、と。
すると母は、んーと、とわずかに考えたそぶりを見せて答えた。

「実はねー、この際ばらしちゃうけど"アースラ"のクルーからのお願いなのよ。艦長が休暇をほとんど取らないから自分たちが休み辛いって。だから休みなさい」

617 F-2改 :2009/07/09(木) 21:47:21 ID:zLJ/ONZY
言いたいことは分かるが、とクロノは海鳴市の商店街を歩きつつ、思考を巡らせる。上司が目の前で休まず働いているのに、自分たちだけ休む訳にはいかない。
そう思わせてしまった時点で自分は、知らぬ間に乗組員たちに負担をかけていたのだ。そこは反省すべき点だろう。もっとも、クロノとしては気にせず休んでくれていいのに
と言うのが本音だが。
――振り返れば、この時のクロノは考え事に集中するあまり、周囲の状況に対して緩慢になっていた。ゆえに、目の前をヨタヨタと歩く人影に気付けなかった。
どっと突然、正面からやって来た衝撃。人影は彼よりいくらか小さい割りに、それなりの質量を伴っていた。
しまった、迂闊だった――後悔する頃には足元がふらつき、脇に抱えていた専門書の重さが仇となり、クロノはアスファルトの地面に尻餅をついてしまう。

「ッテ!?」
「あ痛!」

ぶつかってきた人影の方も同じく、尻餅をついてしまった。持っていたコーヒー豆の瓶や砂糖の袋が、辺りに散乱している。
慌ててクロノは立ち上がり、痛そうにお尻をさする正面衝突の相手に手を差し出す。

「すいません、大丈夫です、か……」

手を伸ばしたと同時に出した言葉が、途中で小さくなっていく。クロノは自身の瞳に映る人物に、見覚えがあった。

「あ、いえ、大丈夫で、す……」

差し出された彼の手を取り、立ち上がる人物もまた顔を上げた瞬間、相手がクロノであることに気付く。
長く綺麗な栗毛色の髪。健康的な白く、しかし黄色人種特有の色を持った肌。決して美的センスがある方ではないと自覚するクロノでさえ、間違いなく美人と呼べる整った顔
立ち。対照的に服装は半袖に捲くったブラウスにジーンズ、黒を基調に真ん中辺りに「翠」とプリントされたエプロンと質素なもの。
――違う。見覚えがある、なんてものじゃない。僕は彼女を知っている。

「なのは?」
「あ……あー、嘘、クロノくん!?」

武装隊でその名を馳せるエースオブエース、高町なのは。紛れもない本物、正面衝突の相手は彼女だったのだ。


昼食の時間帯もとっくに過ぎた喫茶店、翠屋。人も疎らな店内のカウンター席にクロノは腰を下ろし、ブラックのコーヒーを飲んでいた。

「どうかな?」

突然、カウンターの向こうにいたなのはが、声をかけてきてクロノは「ん…」と顔を上げる。
視線の先にはカウンターに膝を突き、少し緊張気味の表情のなのはの顔があった。
エースオブエースが見せた少女らしい一面、しかしクロノがそれに気付いた様子はなく、投げかけられた質問に首をかしげるだけ。

「コーヒー。私が淹れたんだけど」
「あ、ああ……」

なのはの質問の意図を理解したクロノは、一口コーヒーを飲む。口の中に広がる独特の苦味、だが不快感はない。芳醇な香りが鼻腔をくすぐって、気分を落ち着かせてくれる。
極度な甘党の母の手料理、それの実験台にさせられた過去もあってか、砂糖も何も入ってないブラックのコーヒーは、クロノの好みにぴったりだった。
クロノは頷きながら、悪くないと答える。するとなのはは頬を緩ませ、「よかった」と呟いた。
衝突事故より十分後。偶然にも休暇が被っていたなのはは、翠屋の手伝いをやっていたそうだ。先ほどは買出しの帰り道だったらしい。
そこで例の衝突事故から久しぶりの再会を果たし、お詫びの印にクロノは買出し途中だったなのはの荷物を翠屋に運び、現在に至る。

「けど珍しいね、クロノくんが休暇って」

いかにも意外そうななのはの言葉を聞いて、クロノはわずかに苦笑い。どうやら自分には休暇を取らない、と言うイメージが定着してしまっているらしい。

「嵌められたんだ」
「ほえ? 誰に?」
「母さんとその他諸々に」

クロノの言葉に怪訝な表情を浮かべるなのはだったが、その意味を理解した時、なるほどねと笑ってみせた。
笑うことないだろとクロノは表情を曲げる。一応なのははごめんごめんと謝る仕草を見せるが、果たしてどこまで本意なのか。コーヒーのお代わりを注文した時でさえ、その
顔はにやけていた。

618 F-2改 :2009/07/09(木) 21:48:32 ID:zLJ/ONZY
「でも、クロノくんってホントに休暇取らないよね。なんで?」
「なんでって……」

それは君もじゃないか。言いかけて、クロノは口をつぐむ。なのははしっかり、休む時はしっかり休んでいることを思い出したからだ。休暇中にも関わらず家業の手伝いが出来
るのは、心に余裕がある証拠。
なのはの問いに思考を巡らせつつ、ちらっと彼は視線を上げる。カウンターに陣取ったなのはは、クロノがどんな回答をするのか興味津々と言った様子。他の話題を振るのもこ
のまま黙秘を貫くのも駄目だろう。模擬戦の時もそうだが、彼女との長期戦は不利だ。

「仕事しか知らないから、かな」

強いて言うならだが、と付け加えてクロノはコーヒーをまた一口。
回答を得たなのははふんふん、と頷き、いつぞやの猫のような姉妹の使い魔たちから聞いた話を思い出す。
父が死んだ日から、ひたすら訓練に明け暮れたクロノ。まだ十歳にもならない子供が、自分なりに感じた責任感を果たすべく足掻いた結果、魔力量ははるかに劣ると言うのに
自分と互角、あるいはそれ以上の力を手に入れて今に至る。
だが、それは同時にクロノから趣味や楽しみと言うモノを奪ってしまったようだ。本来なら遊び盛りの年頃の時代を、全て魔導師として成長するために費やした。
ならば、彼からそれが生かされる場所を奪ってしまえばどうなるか。そこまで考えて、なのははクロノの回答と自己の思考を重ねて納得する。

「そっか……」
「せっかく取った休暇だけど、今日も何をしていいか分からなくてね。こんなのでも読んで色んな分野の知識を深めようと思ってたんだ」

そう言って、クロノが足元の紙袋から取り出したのは分厚い専門書。医学関連が多いのは、現場で負傷した時、治療魔法が使えない場合を想定してるからとクロノは答えた。
専門書を手にとって、なのはは思わずうわぁ、と声を上げてしまった。パラパラとページを捲ると、小難しい専門用語に聞いたことも無い単語がずらっと並んでいた、少なく
とも休暇中、気晴らしに読むようなものではない。

「つまらない人間だね、僕は」

なのはの反応を見たクロノは、自重気味な苦笑いを浮かべる。仕事、管理局の任務に関わること以外にやろうと思うことがない。食事でさえ、忙しい時は調理不要で高カロリー
な、おそらく連食すれば身体に悪いことは間違いないレーションで済ませることは多々あった。

「駄目だよ、クロノくん」

ところが、どういう訳かカウンターの向こうにいるなのはの表情は、明らかに怒りが宿っていた。
何かまずいことを言っただろうか。自分のこれまでの発言を振り返ってみるクロノだが、特に彼女を怒らせるようなことを言った覚えは無い。
ならば何故に彼女は――疑問の答えは、他ならぬなのはの口から出てきた。

「もっと自分を大事にしようよ。つまらない人間なんて、言っちゃ駄目」
「いや……え? な、なんでそこで怒るんだい」

言ってみて、あっとクロノは気付く。
闇の書事件から二年後、ある次元世界の任務中、無理な行動を取ったなのはが重傷を負ったことがあった。命だけは助かったが、その後は歩けるかどうかすらも不明と告げられた。
血の滲むようなリハビリの末、現場復帰を果たしたなのはだったが――それ以来、上官部下問わず、無理を続ける者には必ずやめるように忠告するようになった。
彼女は知っているのだ。自分自身に無理を強いた結果が、どんな形で返ってくるか。自分を大事にしない者が、どんな目にあうか。

「……悪かったよ」

クロノはそんな彼女の事情を思い出して、わずかに躊躇した末に謝罪の言葉を口にする。

「けど、どうしたらいいのかな。どうすれば、僕は自分はつまらない人間なんて思わなくなるんだろう」

だが、自分が考える自身への評価は変わらない。変わる術を知らない。クロノ・ハラオウンと言う人間は、仕事ばかり出来るロボットのようなものだ。
そんな彼の言葉を聞いたなのははしかし、思いのほか気楽な返事をよこしてきた。

「簡単簡単。自分にあった趣味を見つければいいんだよ、これから」
「趣味、と言われても……」

口篭るクロノに、なのははまったくもう、とでも言いたげなため息を吐く。

「しょーがないなぁ、もう。ここは、私がエスコートしてあげる」
「えすこー……何?」
「なのはさんに任せなさいっ」

どんっと胸を叩き、自信満々の笑みを浮かべるなのは。クロノはそんな彼女に、はぁ、と気の抜けた返事をするだけだった。

619 F-2改 :2009/07/09(木) 21:50:03 ID:zLJ/ONZY
両親に一言告げて、翠屋の手伝いを早めに上がらせてもらったなのはは、クロノを連れて海鳴市の商店街に飛び出した。
ほとんど抵抗も出来ないまま連れられたクロノは、こういう時は案外女性の方がよっぽどパワフルであると言うことを思い知らされた。
そうして彼が連れて来られたのは、海鳴市の駅前にある――唯一ある、映画館。建物は古いが、サービスが行き届いている上、上映する映画も万人受けするものからコアなファン
が喜びそうなものと豊富なジャンルを揃えるため、人気が高い。

「映画か……あんまり見ないな」
「そんなことだろうと思ったからほら、手始めにね」

なのはとしては、あっちこっち連れ回してクロノに何かしら興味を持たせたいのだろう。映画はその第一歩だ。趣味としてはありふれたものだが、それだけにクロノでさえも興味
を持つのは充分あり得る。
映画館の中に入った二人は、掲示板に表記される現在上映中の映画表を見てみる。アクション、ホラー、コメディ、ラブロマンス、種類は多々あるが、無論クロノはどれがいい
のか分からない。
なのは、君が選んでくれ――彼が口を開きかけた瞬間、彼女が振り返る。

「クロノくん、どれがいい?」

――やられた。先手を打たれてしまった。
こうなればもう、君が選んでくれなどとは言い出しにくい。渋々、クロノは映画のタイトルを見てみた。ランキング表とジャンルで選べば、そう外れはないはずだ。
そういえば。ふとクロノは、"アースラ"の乗組員が休憩中に交わしていた雑談の内容を思い出す。
映画鑑賞が趣味だった彼らの会話によれば、映画館で寝てしまうと言うのはご法度らしい。しかし、選んだ映画がつまらないとどうしても眠たくなるとも。
ならば、導き出される解答は一つ。怖くて眠れないであろう、ホラーだ。

「よし、このホラー映画にしよう。いいかい、なのは――なのは?」

振り返ると、なのはが露骨なまでに表情を歪めていた。
この時ばかりは、クロノは彼女の考えていることが即座に理解できた。

「え――ええと、うん、ほ、ホラーだね。うん、分かった。じゃあチケット買ってくるから、あ、クロノくんポップコーンは食べる? 欲しいなら私買ってくるけど」
「怖いんだろ」

必死に誤魔化そうと喋りまくるなのはを見て、確信を得たクロノは一言だけ、今の彼女が必死に隠したがっている感情を当ててみせた。
ぴたりと黙ったなのははわずかに間を置き、うー、あー、うーと恥ずかしそうにもじもじと身体を動かし、あっちこっちに視線を逸らし

「……ゴメンナサイ」

ついに陥落した。耳まで真っ赤になって頭を下げるなのはに、クロノは笑ってみせる。

「エースオブエースでも、怖いものはあるんだな」
「だ、だってぇ! ホントに怖いんだよこの映画!? CMで女の人が青白い顔して出てきた時は……」
「なるほど、そんなに怖いのか。ますます見たくなったよ」

うぅぅー、クロノくんのイジワルー。
涙目になってぽかぽかと両手を使って襲撃を仕掛けてきたなのはを面白そうに受け流し、クロノはいい加減に見る映画を決めることにした。もちろん、なのはの了承が得られ
そうなもので。


結局、クロノが選んだのは無難なコメディだった。
九七管理外世界のギャグセンスが無愛想と自認する自分に合うかどうか分からないが、笑うことがあれば眠くはならないはず。

「これは……こういう時に、食べるものなのかい?」

映画のチケットを買うついでに、なのはの提案で併せて買ったポップコーンを不思議そうに見つめながら、クロノは席に着く。

「そだよ? 映画を見ながら食べるポップコーンは、普通に食べるのより二倍くらい美味しくなる魔法がかかってるんだから」

同じく席に着き、早速ポップコーンを掴んで口に運ぶなのは。彼女の言葉に、クロノはやけに驚く。

「魔法!? 九七管理外世界に魔法なんてあったのか!?」
「うん、まあ……あるよ」

620 F-2改 :2009/07/09(木) 21:50:54 ID:zLJ/ONZY
実はただ気分の問題。真実を口にしようとしたなのはだったが、クロノの反応が面白いのでやめておいた。騙されていることを知らない彼は「そうか、こっちにも魔法が……
いや、知らなかった」とただただ、驚いている。いい気味だ、先ほどのお返しである。
そうこうしているうちに、照明が落とされ、ブザーが鳴る。スクリーンには上映中のマナーを紹介し、それらを守ろうと言う映画会社の広告、そしてお決まりの近日上映予定の
映画の予告編が流れ、本編に。
映画の内容そのものは、別段つまらないと言うことは無かった。分かりやすいコメディは、隣に座るなのはだけでなく、観客たちを笑わせ、クロノでさえ時折吹き出しそうになった。
ただ、それ以上にクロノは感動したことがあった。上映中は照明が落とされることは知っていたし、映画館でないと味わえない音の広がりなどが存在することも知っていた。
しかしそれらは所詮、知識としてのみ知っているに過ぎなかった。実際に味わってみると、なかなかどうして。臨場感がまるで違うではないか。これでアクション映画など見たら
さぞ迫力があるに違いない。
映画そのものは一時間半と若干短いものであったが、クロノにとっては非常に充実した時間だった。


「どうだった?」

映画館を出てすぐ、なのはが質問を投げかけてきた。くりくりした愛らしい瞳を輝かせるのは、期待と不安がごちゃ混ぜになった不思議な気持ち。
どうだった、とはこの場合映画の感想ではあるまい。映画館と言う場所に初めて入ったクロノが、どう感じたか。誘った張本人である彼女にしてみれば、そこが気になるはずだ。
だから、クロノは大して考えず、率直な感想を述べた。

「ああ、思っていたより面白かったよ。あの暗がりって言うのかな、映画に集中できた。音響とかも、部屋で普通に見るんじゃ味わえない」

面白かった。クロノの言葉の中に出てきた単語を聞いて、なのははぱっと表情を輝かせた。喜色満面、とはきっとこのことだろう。

「よかった」

嬉しそうに微笑むなのはを見て、クロノは釣られてふっとわずかに笑みを浮かべた。
ああ、彼女はきっと人生を余すことなく楽しんでる。こんな純粋な笑顔、そうでなければ説明が尽かない。
出来ることなら、自分もそうなりたいものだ――そう考えた瞬間、クロノはふと気付く。
楽しんでいたじゃないか、僕は。彼女に連れられて、映画を見て。時々吹き出したりなんかして。彼女に誘われなければ、こんな楽しみは味わえなかったに違いない。
だから、クロノは口を開く。そこから零れた言葉に、なのはが驚くなど思いもせずに。

「なぁ、なのは」
「うん? なあに?」
「――よければ、他の場所にも連れてってくれないか?」

海鳴市は映画館だけじゃないんだろう。そう付け加えてみたところで、クロノはぎょっとなる。なのはの表情が、驚愕、この一言に染まっていた。
あのクロノが。堅物が。およそ娯楽などとは自ら縁を切ってきた彼が、他にも教えてくれと興味を示している。
その事実が現実のものであることに気付いた彼女は、少しずつ表情を驚愕から喜びに変える。完全に切り替わった瞬間、なのははクロノの手を引いた。

「うん――うんうん! いいよ、連れてってあげる! そうだよクロノくん、海鳴は他にも楽しいとこいっぱいあるよ!」
「な、なのは。ちょっと待ってくれ……」

あまりに唐突な出来事に狼狽するクロノだったが、なのはは止まらない。火が点いたように彼を引っ張って、駆け出した。

「人生は楽しまないと損だよ、さぁ急いだ急いだ!」
「いや、急がば回れって言葉も、へぶぉ!?」

ぐいぐい引っ張られるクロノに抵抗する余地はなく。道端に存在した電柱やガードレール、消火栓にがんがんと叩きつけられる。骨が折れてないのが奇跡の衝撃すら走った。
それでも決して嫌な気分にならなかったのは――彼女がずっと、笑顔だったからだろうか。

621 F-2改 :2009/07/09(木) 21:52:05 ID:zLJ/ONZY
散々海鳴市内を引きずり回され、一息つく頃には夕方になっていた。
休憩も兼ねて、なのはが最後にクロノを連れてきたのは、海鳴臨海公園。
クロノはその場所を知らなかった訳ではない。幾度か、なのはと初めて知り合った頃、何度か訪れている。

「ほら、あれ」

だけども、なのはがあえてクロノをこの地に連れてきたのは、もちろん理由があった。
色々ぶつかったせいで痛む身体をどうにか奮い立たせて、クロノはなのはの指差す方向を見る。
何もない海、水平線の向こう。傾いていた太陽が、その奥に顔を半分埋めて、空を赤く染めている。夕日だ。
赤く染まっているのは、空だけではなかった。海面すらもが赤く染まり、光が反射してきらきらと輝いている。見る者全ての心を癒し、一日の終わりを知らせる、そんな光景。

「綺麗でしょ?」

風に揺れる、綺麗な栗毛色の髪。それを手で押さえながら、なのはが微笑む。
一瞬、クロノはなのはの言葉に怪訝なものを感じた。
夕日のことを指して綺麗と言ったのか。それとも、赤い光の反射で輝く健康的な肌を持った自分のことを言ったのか。
クロノがそう考えてしまうほどに、今のなのはは、綺麗だった。沈む夕日に照らされる、可憐な少女。飾り気のない、エプロンだけ外したウエイトレスの服装が、よりいっそう
その魅力を引き立てる。

「あぁ――うん、綺麗だよ、うん」

思わず見惚れてしまい、回転数の上がらない頭で返事。そんな適当な回答を得て、なのはが黙っているはずもない。

「えい」

ぺしっと、いかにも迫力のない打撃音が響きそうなパンチが、クロノの頬に当てられる。
正気に戻ったクロノは何を、と表情を曲げるが、当のなのはは可笑しそうに笑っていた。

「……何で叩く? と言うか笑う?」
「ううん、何でも。ぼーっとしてるクロノくんって、案外可愛いかなって」
「かわっ――大人をからかうな」

むすっとした表情を見せるクロノに、しかしなのははそれを見てまた笑う。
敵わない。露骨に不機嫌な面をしていた彼もやがて諦め、苦笑いで表情を崩し、正面に向き直る。沈み行く夕日は、確かに綺麗だった。
久しぶりだった。こんな穏やかな気持ちで、休暇を過ごしたのは。同時に、妙に懐かしくもあった。失われていた人間らしい部分が、元に戻ってきたような感覚。
彼女のおかげかな。ちらっと、クロノはなのはの横顔に眼をやった。同じく夕日を眺める彼女は、幸せそうだった。

「なのは」

そんな彼女に吸い寄せられるように、クロノは声をかける。「何?」となのはは振り返り、微笑を浮かべていた。
本当によく笑う子だ。それも、幸せそうに。楽しそうに。見ているこっちまでもが、そんな気分にさせられそうな。
出来ることなら、この笑顔をずっと見ていたい。明日も、明後日も、来週も、来月も、来年も。自分に楽しみと言うものを教えてくれた、彼女の笑顔を。

「休暇は、今週いっぱいあるんだ。なのはは?」
「私も同じ。色々、予定は入ってるけどね」
「そうか、それじゃあ……」

予定が入っている。その言葉に、妙に苛立ちを覚えるのは何故だろう。
そんなもの無しにしてしまえ。腹の奥から込み上がってきた言葉を噛み殺し、クロノは言葉を続けた。

「空いてる時でいいんだ。また、色々連れてってくれ」

――なるほど、分かったぞ。
言葉を口に出してから、クロノは唐突に気付いた。今の自分の、この気持ち。なのはに対する感情、想い。

「うん!」

快く承諾し、頷くなのは。
クロノの心の中に、季節外れの春風が吹いた。

622 F-2改 :2009/07/09(木) 21:52:57 ID:zLJ/ONZY
深い深い森の最中。どれだけ進んでも変わらない景色に、そろそろ飽き飽きしていた頃。
肩に担ぐAK-47、自動小銃の中でも最高傑作と名高いそれも、今のところは単なる重りでしかない。管理局の奴らが追ってこないと言う保障があるなら、このまま投げ捨てたい
ところだった。

「おい」

AK-47を担ぐその男は、不意に後方にいる同僚に話しかけた。その同僚はと言えば、先ほどから地図とコンパスを持って、ぶつぶつと何か呟いていた。

「本当にこっちであってんのかよ、分け入っても分け入っても木ばっかりだぜ」

俺たちゃ詩人になりにきたのか、と男は毒づく。進んでも進んでも姿を見せない目標に、男は嫌気が指していた。気分転換にポエムなどを考えたりもしてみたが、どうにも今
の自分たちの状況を皮肉ったものしか浮かばない。
地図を持った同僚は、答えなかった。いいから行けと顎を突き出し、前進を指示するだけ。
くそったれが。男は唾を吐き捨て、言われた通りに進む。地図を持っているのはこのいけ好かない同僚だけなので、指示を聞かなければ道に迷うことになる。
草木を掻き分け、邪魔な枝をAK-47の銃床で押し退け、ひたすら歩みを続けた。
苛立ちも頂点に達しかけたその時、急に開けた場所に出た。よく周囲に眼を凝らしてみると、長年開いた様子のない、巨大な鉄の扉が彼らの前に現れる。地下に繋がっている
と思しきその扉は、すでに塗装もほとんどが剥げ落ちていた。かろうじて、扉の番号が「七」と読み取れる。

「ここだ」

同僚がようやく、口を開く。ここが目標地点で間違いないらしい。
男は同僚の持つ地図を覗き込み、確かに間違いがないことを確認すると、腰のホルスターから銃を引き抜く。
ただの銃ではなかった。銃身が太く、中折れ式で装填可能な弾は一発だけの代物。しかし、それで充分だ。男は銃を右手に持つと、銃口を天に向けて、引き金を引く。
ぽんっと軽い発射音があって、直後に空中で炸裂する光の塊。なんてことはない、自分たちの居場所を示す信号弾だ。

「あとはひたすら待機だな」

役目を終えたことを悟った男は、近くにあった木の幹に腰を下ろす。バックパックから水筒を持ち出し、美味そうに一口。疲れた身体には、ただの水でもご馳走同然だ。
飲むか、と男は同僚に水筒を差し出すが、彼は首を振った。地図を畳んで、代わりに持ち出したのは何かの計測器。そいつを鉄の扉に当てて、計測器が示した数値を律儀にメ
モに取っていた。
生真面目な奴だな。男は水筒の水をまた一口飲んで、同僚の背中を見つめていた。もっとも、こんな奴がいるからこそ、彼らのボスは今回の大博打を計画したのだ。
まさか管理局の連中も思うまい。すでに封鎖され、地図からも消えた古い資材搬入口を使うなど。これが成功すれば俺たちは大金持ちだ。
男は歪んだ笑みを浮かべ、天を仰ぐ。太陽はすでに半分以上が没し、茜色の空も徐々に暗くなろうとしていた。
平和な時間は、長く続かない――。



To be continued...

623 F-2改 :2009/07/09(木) 21:54:25 ID:zLJ/ONZY
投下終了です。
とりあえず甘ーい展開にしてみたんですが、いかがだったでしょうか?
いろいろ初めてで及ばないところがあるかもしれませんが、読んで
頂けたら幸いです。
第2部、3部は戦闘メインの予定です。

624 名無しさん@魔法少女 :2009/07/09(木) 21:59:19 ID:GoE4gk5c
おお、クロノ×なのはとはいまどき希少な!
しかも甘くて美味しい話だw

次回も心からお待ちしております
GJでした

625 ( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:02:33 ID:/aUkkgL6
最終話投下いたします。

かなり強めの管理局ヘイト入ります。ご注意ください。

その他の注意事項
・オリキャラ・準オリキャラ注意
・捏造設定オンパレード注意
・TUEEEEE注意
・NGワードは『熱き彗星の魔導師たち』

626 熱き彗星の魔導師たち FINAL-01/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:03:20 ID:/aUkkgL6
『アンタがレジアス・ゲイズ?』
 それはアリサのぶっきらぼうな言葉からはじまった。
『はやてを犯罪者扱いするのは、やめてくんない?』
『確かに間違いじゃないかも知んないけど……でもね、彼女はそんなもの望んでなかった
のよ! 蒐集も指示していなかった、記録として残ってる』
『それでも筋が通らないこと言い続けるなら……あたしにも我慢の限度ってモノがあるか
ら!』

熱き彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜
 FINAL PHASE:God's in his heaven, all's right with the world.

“この地にとって偉大なりし彼は、彼の愛したこの地に永遠に眠る。レジアス・ゲイズ
新暦23-75”
 ミッドチルダ語でそう掘られた新しい墓碑の前には、年中献花が絶えない。
 レジアス・ゲイズ幕僚長(死後2階級特進)が、管理局葬に付されたのはもう数ヶ月も前
のことだった。
 今は、クラナガン郊外の海岸地帯、青い空と海岸の見える小高い丘の墓地に、彼の亡骸
は収められていた。
「レジアス中将、いや、幕僚長やったか、……今更こんな階級貰っても、意味あらへんや
ろけどな」
 制服姿のはやては、墓碑の前に訪れると、どこか照れくさそうに苦笑しながらそう言っ
た。
「今回の事件の元凶みたいなあたしが墓参りに来ても……嬉しくないかも知れへんけどな、
……うん、多分迷惑やと思ってるんやろけど、区切りやし」
 言いながら、はやては手に持っていた花束を、墓碑の前に捧げる。
「彼の愛したこの地、か。……アナタの信ずるものは力やった。けどそれはすべてこの地
の……ミッドチルダの為やったんや。大変やったろうな、誰にも理解させず、正義を貫く
言うんは。スカリエッティと一時期つながりがあったんも、無理あらへんことや」
 言いながら、はやての目頭に熱いものが滲んでくる。
「安らかには……眠れへんやろな……多分、アナタはいつまでも、この世界と、2人の娘
のことを心配しつづけるんやろな、あたしには到底、両方背負うのは無理や。多分、あた
しがアナタと同じくらいの歳になったとしても……や」
 そう言ってから、はやては涙を拭う。
「おかしいな、はは……涙は葬式の時に全部流しきったつもりやったのに。今更みっとも
ないこと……ははは……」
 乾いた笑い声交じりの言葉。
「まだ本題に入ってもおらん言うのになぁ……」

627 熱き彗星の魔導師たち FINAL-02/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:03:59 ID:/aUkkgL6

 『聖王教会事件』。
 そう名付けられたジェイル・スカリエッティによるテロ行為及びロストロギア強奪から
クラナガンでの大暴動に至る事件は、時空管理局の断固とした法治体制維持の意志によっ
て鎮圧、解決したとされた。
 ──その時点では。
 だが、その中枢のひとつであるミッドチルダ首都クラナガンでの大暴動は、時空管理局
の各次元世界に対する求心力の低下をもたらした。
 加えて、戦闘機人密造問題との関わりや、聖王教会他ベルカ勢力の管理局私物化など、
公正かつ厳粛であるべき管理局の実体が暴露された結果、時空管理局はその実体を維持で
きなくなりはじめたのだ。
 既にいくつかの世界で、統一時空管理法の有効性の放棄を唱える、反管理局政権が成立
していた。
 ──時空管理局本局、事件から2ヶ月後。
「レジアス中将を失ったのは、管理局にとって致命的なダメージだったよ」
「せやろな」
 機動6課は事件の直後に解散。フェイトは内勤の執務官として次元巡航警備部のオフィ
スにいた。
 その机の傍らで、はやてがコーヒーを啜る。
 はやては結果的に聖王教会の管理局における不正行為を助長したとして、罪には問われ
なかったものの1尉にまで降格の後、待機が命じられた。今のはやては、要は窓際族であ
る。
「陸士総隊の治安維持の意志が、辛うじて管理世界を管理局につなぎとめていたんや。そ
の象徴であるレジアス中将がいなくなった今、管理世界の意識は管理局に向きっこあらへ
んよ」
「“伝説の3提督”が、陸士総隊を立て直して状況の改善を図るつもりでいるみたいだけ
ど……」
 ため息混じりに、フェイトがそう言った。書類が置いてたる机の上に、構わずもたれか
かる。
 “伝説の3提督”……レオーネ・フィルス、ラルゴ・キール、ミゼット・クローベルの
3人。時空管理局内では、かのギルバート・グレアム元提督に並ぶカリスマ達。
「無理やろな。そもそも今の次元巡航警備部の体制をつくったのがあの方達や。レジアス
中将の真意を理解しようともせずに……レジィ坊や、などと言って見下してたのもやで」
 はやてはくすくすと、妙な笑顔で言う。その表情は、どこかサバサバとしていた。
「見下していたって言うのは違うと思うけど……」
「同じ事やよ、相手の真剣な言葉を、子供のわがままと同じに扱ってたんやから」
 そう言うと、はやてはカップの中のコーヒーを飲み干した。
「ねぇはやて、ひょっとして管理局……辞めるつもり?」

628 熱き彗星の魔導師たち FINAL-03/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:04:36 ID:/aUkkgL6
「さぁなぁ、アリサちゃんとユーノ君がそうやったように、あたしも辞めたくても辞めら
れへんと思うけど、ただ……」
 そこまで言って、はやてはにやっ、と笑った。
「未練は、一切あらへんよ」
「そっか……うん、私は義母さんや義兄さんの影響があるから、そこまで割り切れないん
だけど……」
 フェイトが、複雑そうな表情でカミングアウトする。
「けどクロノ君はわからへんのやろ?」
 はやては苦笑しつつ、視線をフェイトに向けた。
「なんだよね」
「なのはちゃんが未練持ってへんからなぁ、これからはヴィヴィオの育児に専念できる仕
事選びたい、言うとったし」
「プライド高いから、簡単には認められないみたいだけどね」
 フェイトもそう言って、顔を上げて苦笑する。
 くすくすと笑いあい、僅かに、会話が途切れる。
「そういや、あ、レジアス中将で思い出したんねんけどな」
「え?」
 ふと話題を切り出したはやてに、フェイトは聞き返す。
「ずっと気にかかってたんやけど、聞きそびれてしもて……そもそも、アリサちゃんとレ
ジアス中将が知り合った経緯って何やったんやろ? 接点無い様に思えるんやけど」
「え、はやて知らなかったの?」
 はやての質問に、フェイトは軽く驚いて、意外そうに聞き返した。
「フェイトちゃん、知ってるんか?」
 はやては驚き返し、問い質す。
「知ってるも何も、はやての事……10年前の事件の事だよ。2人が知り合ったきっかけ」
「え……?」
 苦笑気味にも、あまり申告でもなさそうに言うフェイトだったが、それを聞いたはやて
は、一瞬呆気に取られてしまう。
「レジアス中将が、以前、はやての事を犯罪者って言ってたことがあるの、知ってる?」
「うん、それは聞いたことある」
「アリサ、4年前の事件の後、コンテッサの陸士隊本部に出入りしてたんだけど……そこ
で聞いちゃったんだよ。陸士隊がはやてのこと犯罪者扱いしてるの」
「まさか、それで……」
 はやてが唖然としつつ汗を滲ませながら、引きつった表情で言うと、フェイトはしかし、
頷いた。
「地上本部に啖呵きりに行ったの。アリサ、元々管理局での自分の地位に固執してなんか
いなかったからね。レジアス中将に言ったんだよ。はやては望んで闇の書の主になったわ
けじゃない、積極的に蒐集してたわけじゃない、ってね」

629 熱き彗星の魔導師たち FINAL-04/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:05:22 ID:/aUkkgL6
「!」
 はやての意識に衝撃が走った。表情が一瞬固まったが、フェイトはそれが、はやてにと
って意外な行動だったからと認識した。
「それで……」
「お互い胆(はら)を割った話ができた……それかららしいよ、レジアス中将の一家と、ア
リサとユーノの付き合い」
「そう……そうなんか……中将……っ」

630 熱き彗星の魔導師たち FINAL-05/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:06:19 ID:/aUkkgL6

「それが今日の本題──中将……違うんや、アリサちゃんたちも知らへんだけなんや、あ
たし……、あたしは……」
 中将の墓前。はやては慟哭する。
『あたしかて……あたしかて、自分の脚で歩きたい! 誰の迷惑にもならず、1人で自由に
動き回りたい! それに……それに……』
『もういやや! 1人になりたくない! まだ死ぬのだって嫌や! 死んだらまた、1人ぼっ
ちや! もう、1人は嫌や! 寂しいのは、いやなんや!!』
「あたしは、望んだ、一度は……闇の書の力、その犠牲を知って尚、望んだんや!! 中将
や思っているような意志の強い人間でも、アリサちゃんたちが思っているような偶然の不
幸に襲われた少女でも、ないんや!!うわぁぁぁぁぁ……」
 声を上げ、レジアスの是非に手を突き、泣き崩れた。
「聞こえたな」
 少し離れた場所、墓地の正面に沿う道路。
 オープンタイプの73式多用途車が路上駐車しており、その周囲にシグナム達ヴォルケン
リッターが佇んでいた。
「あたしは……知らなかった、アイツがそんな事言ってたなんて……」
 ヴィータは俯きがちに、気まずそうな表情でそう言った。
「私も似たようなものだ……10年前の事件、バニングスがどういうスタンスを取っていた
のかは知ってはいたが……まさかレジアス中将とバニングスの馴れ初めがそれだったとは
な」
 シグナムが自責するように言う。
「失敗って言うのは、取り返しがつかなくなってから解るものなのよね……」
 シャマルも重々しくため息をつき、そう言った。
「ああ、10年前もそうだった。我らはあの時、非常に幸運だった。やり直しの犀を投げて
くれた人間がいたんだからな」
 シグナムが言った。
「でも……そろそろ、はやてんトコ行ってくるよ」
 ヴィータがいい、それまで車にもたれていた身体を上げた。
「待て、私も行こう」
 シグナムはヴィータを制するように言ってから、自らもそれに続くように歩き出した。

631 熱き彗星の魔導師たち FINAL-06/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:06:54 ID:/aUkkgL6

 聖王教会はその影響力を著しく下げた。聖王教会騎士にして管理局少将だったカリム・
グラシアをはじめ、主だった有力者は逮捕拘留された。経済的にも困窮し、付帯する施設
はその権利をほとんど手放し、残ったのは純粋に宗教団体として活動していく為の最低限
の組織だった。
 有力な司祭や騎士を失った聖王教会は、今は後任の責任者が決まるまでの暫定代理とい
う形で、騎士でもあるシスター、シャッハ・ヌエラが管理の責任を負っていた。
「教会の人間の……ベルカの民としてのあるまじき振る舞い、そしてそれが元に殿下にご
迷惑をおかけする結果になった事……これすべて騎士である我々の不徳の致すところです」
 シャッハは傅き、神妙かつ悲痛な面持ちでそう言った。
「そんな……殿下だなんて、止めて下さい、私は……」
 傅かれた相手は両手を振りつつ、困惑した声を上げる。
 盗難にあった聖骸布の遺伝子から作られた聖王胚は2体。1人はスカリエッティによって
つくられた“器”ヴィヴィオ。そしてもう1人は──かつて、管理局も関与していた戦闘
機人計画の為に作成された人工胚、タイプゼロ・ファースト、ギンガ・ナカジマ。
 能力──ベルカ聖王としての──としてはヴィヴィオの方が高いのだろうが、出生の順
から言えばギンガの方が先になる。もっとも儀礼としての戴冠を行ったわけではないから、
“陛下”ではなく“殿下”というわけだが。
「顔を上げてください、私はそんな……大それた事をした覚えもありませんし、自分がそ
んな身分にふさわしい人間だとも思わないです。それに私は、普通の人間では……ありま
せんから」
 最後の一句で、ギンガは気まずそうに視線をずらした。
「ですが……申し訳ないことではありますが……このままでは、本当に無辜のベルカの民
は救われません。既に母なる大地を失い、流浪の民となりかけた私達に──心の拠り所ま
で失えというのは、あまりに残酷です」
「それは……解りますが」
 シャッハの嘆くような言い回しに、ギンガはそれ以上頭ごなしに否定する意気地を殺が
れてしまう。
「ギンガ」
 ギンガが困惑し、言葉を失っていると、シャッハの背後に佇んでいたクイントが、苦笑
気味ながらも優しく微笑みつつ、ギンガの傍らに寄る。
「母さん……」
 ギンガはクイントに縋るような視線を向けてしまう。
 クイントはギンガに向けて悪戯っぽくウィンクした後、ギンガと並んでシャッハの方を
向く。
「騎士シャッハ」
 穏やかな笑顔で、クイントは声に出した。

632 熱き彗星の魔導師たち FINAL-07/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:08:06 ID:/aUkkgL6
「申し訳ありませんが、この子は……ギンガは私の娘です。家族がいます。その点は……
理解していただけますね?」
「か、母さん……」
 ギンガは軽く驚いたようにクイントを見たが、
「え!? そ、それはもちろん、当然じゃないですか。殿下を御母堂らから離そう等という
意図は、決してございません」
 と、シャッハの方がむしろ、目を円くして素っ頓狂な声を出した。
「だって。ギンガ、これならあなたもやりやすいでしょう?」
 クイントに言われて、ギンガは困ったように苦笑しながら、後頭部を掻くように手を当
てる。
「え、と、まぁ……心がけも無い私ですが、そんなのでもよければ、名前ぐらいは……で
す」
 ギンガがそう言うと、シャッハの表情がぱっと輝いた。
「ありがとうございます! それで充分です!」
「ま、まぁそういうことでしたら」
 ギンガは照れたように苦笑して頬を掻いた。

633 熱き彗星の魔導師たち FINAL-08/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:09:03 ID:/aUkkgL6

「時空管理局の解体、管理世界の独立主権国家化の流れは、もはや規定路線となりました」
 メガーヌ・アルピーノ、ミッドチルダ“非公式”全権大使は、口元で微笑みつつも真摯
にそう言った。
「そうですか。これでどうやら、我々もまた孤独から解放される時代に1歩近づいたよう
ですな」
 常に口元の引きつったような、初老の年齢、その割には精力的な印象を受ける男性が、
そう言った。
「しかし御国の過激分子を利用して、本来の悪阻たるを取り除く……まさに手練手管の見
本のようなものですが、えてして自滅することも在り得る……よく、このような決断をな
さいましたな」
 男性の言葉に、メガーヌは悪戯っぽく笑った。
「不利な博打を打ったつもりはありませんわ。その為に、そちらからカードを貸していた
だいたのですから」
「ははぁ、件の2人ですか」
「ええ、事件はより理想的な形で決着を迎える……確実に」
「しかし、聞くところによりますとその為に貴女の娘さんも事件に関与することになった
とか……しかし我々が故意に流しました事を考えますと、危険だったのでは?」
 男性は口元で笑いつつも、気遣う口調で問いかけた。
「閣下は勘違いなされているようですが、まず、私はあなた方との連絡の為の人材であっ
て、計画そのものに深く関与している訳ではございません」
 メガーヌはキッパリと言い返した。
「なるほど」
「それに……あの人の娘であるあの子が、そう簡単にやられる心配はあまりしていなかっ
たというのが本音ですね、まして、あの2人の下にいるのなら」
「どうやら信頼されているようだ。娘さんも、彼女達も、旦那様も」
「旦那といっても、正式に籍を入れていたわけではありませんが……確かに信頼できる人
物でしたわ。もっとも……歳は閣下よりいくらか上だったのですけど」
「それは……」
 自分の2/3程の年齢の女性にあっけらかんと言われて、男は流石に面食らった。
「ところで、そちらの御国の方は準備は整っているのですね?」
「ええ、時空管理局の外交権集約が解かれ次第、国交樹立に向けた交渉に入る──政権政
党を問わずに実現されます。覚書が既に政界と外務省に出回っておりますから……もっと
も我々は惑星のすべてを把握しているわけではなく、極東の島国に過ぎません」
「承知しております。ですが、我々がもっとも責任を感じなければならない相手でもあり
ます」
「そうですね、我々は“不幸な出会い”をしたが、破滅を回避できた」
 メガーヌがしみじみと言い、男もそれを肯定した。

634 熱き彗星の魔導師たち FINAL-09/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:10:32 ID:/aUkkgL6
「まぁ、諸外国はたまげるでしょうな、我々が“地球外国家”と国交を樹立したなど。惜
しむらくは私が首相、とは言わないまでも現役である内に実現できなかったことですか。
今回の件、私が外相の頃に仕込みを始めたことですからなぁ……」

635 熱き彗星の魔導師たち FINAL-10/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:11:17 ID:/aUkkgL6

 『聖王教会事件』から11ヶ月後、時空管理局は解体された。
 管理局内の徹底した粛清にもかかわらず、その求心力を回復させることは出来なかった。
肥大化していた組織を維持したままの改革は所詮限界があったのである。
 元々反管理局の傾向が強かった管理世界とそうではない管理世界との間で軋轢も生じて
いた。それはテロの横行を呼び、さらには管理世界間の紛争に発展しかねない状況となっ
た。それは、聖王大戦の悪夢を呼び起こさせた。
 スカリエッティの言葉は正鵠を得ていた。ミッドチルダ主導の時空管理局の独善は、隣
人の心をもつかめていなかった。いや、つかんではいたが、自ら手放したと言った方が正
しいかも知れない。
 最終的な解決法は、統一時空管理法の廃止、すなわち、時空管理局の発展的解消しかな
かった。
 管理世界、管理外世界問わず、文明は自己の責任で、可能性を喪うことなき発展を。そ
の主張の元、統一時空管理法は各世界間の合意を得て、失効の日を迎えた。
 時空管理局は解体され、管理世界は新たに次元世界主権国家共同体を形成。次元航路の
安全をつかさどる限定的な防衛組織として国際次元航路警備隊が設立された。構成員は時
空管理局時代の次元巡航警備部がほぼ引き継がれたが、彼らには各国政府に干渉する権限
は与えられなかった。各世界、各国内の治安維持は各政府が独立して責任を負うという形
になった。
 なぜかその場には、未だ次元航行技術を持たないはずの旧管理外世界のある国家からオ
ブザーバーとして代表団が招かれ……そして多くの旧管理世界の国家と国交樹立の手形を
捺していったと言う。

636 熱き彗星の魔導師たち FINAL-11/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:11:59 ID:/aUkkgL6

「これで、明日からはあたし達も晴れて一介の大学生、ね」
 アリサはサバサバとした表情で言い、身を伸ばした。
「あたしはなんか、もっといろいろ事件おきて欲しいけど、平和なだけじゃ退屈」
「なに言ってんのよ」
 まったく同じ声で、そんなやり取りをする。コビト姿のローウェルに、アリサがデコピ
ンをした。
「平和が一番」
「ちぇっ。あたしは平和じゃないぞー」
 それを見て、やはり私服姿のユーノが穏やかに苦笑している。
 2人は向かい合わせの椅子に座り、テーブルを囲んでいた。
 そこへ、
「お待ちどう様です」
 と、トレイに乗ったケーキとコーヒーが、アリサとユーノの前に運ばれてきた。
「やっぱアンタ、それが一番似合ってるんじゃない?」
「そう……かな?」
 ウェストレスの衣装に身を包んだ、翠屋パティシェ見習い、高町なのはは照れたように
はにかんだ。
「ヴィヴィオは元気?」
「げんきーだよー」
 アリサはなのはに訊ねたが、その声を聞きつけたのか、厨房の方からカウンターを回っ
て、ヴィヴィオ自身が姿を現した。
「おー、それならよし」
 アリサは笑ってそう言った。
「ヴィヴィオ、あたしと遊びにいこっか?」
 ローウェルがヴィヴィオの前に出て、そう提案した。
「ちょ、ちょっと……」
 アリサは制しようとしたが、
「うん、ローウェルと遊びに行くー」
 と、ヴィヴィオが満面の笑顔で言ったため、遮られてしまった。
「あー、もー、しょうがないか。行ってらっしゃい」
 アリサは苦い顔をしながら、手をひらひらさせてそう言った。
「あいっ」
 ヴィヴィオは元気よく返事をすると、ローウェルと共に翠屋から出て行く。
「あんまり目立つ真似すんじゃないわよー」
 その背後に、アリサはそう声を張り上げた。
「ところで……」
 それまで、穏やかな笑顔で傍観に徹していたユーノが、ふと声を出す。

637 熱き彗星の魔導師たち FINAL-12/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:12:50 ID:/aUkkgL6
「そっちのバリスタさんも、よく似合ってますよ」
「るさいっ、よけーなお世話だっ!」
 それまで黙々とコーヒーサーバーの前で作業していたウェイター姿の青年が、振り返っ
て、カウンター越しにユーノに怒鳴り返した。
「もう、駄目だよクロノ君。いくら知り合いって言っても、お客さんなんだから」
「ぐ……」
 なのはが困り半分憤り半分といった様子でクロノを振り返り、腰に手を当てて嗜める。
 クロノが詰まったような声を出すと、ユーノはなのはの後ろからからかうような表情で
手を振る。
「ユーノも他人(ひと)の旦那をそこまでからかわない」
 ガンッ
「っつう!」
 テーブルの下で、アリサの爪先がユーノの左の脛にヒットした。

638 熱き彗星の魔導師たち FINAL-13/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:13:45 ID:/aUkkgL6

「そんじゃまたね。フェイトによろしく」
「うん」
「まぁあたしの方にも連絡来るけどね」
 そう言いながら、会計を済ませてアリサとユーノは翠屋を出る。
「ありがとうございましたー」
 なのはの声が、カランカラン、というドアベルの音と共に、ドアの向こうに消える。
「さて、この後どこ行こうかしらねー」
 店の前に路上駐車していたクルマに向かいながら、アリサは呟くように言う。
「ユーノはどこか行きたい所は?」
「えっと、そうだな……」
 アリサが訊ね、ユーノは答えかけようとしたが、
「あれっ?」
 と、歩道の前方にいるそれを見つけて、声を出した。
「えっ?」
 アリサも視線をそちらに向けて、軽く驚いた声を出す。
 そこに、どこか気まずそうな表情をして、ティアナとスバルが立っていた。
「ちょっと2人とも……どーしてこっちへ?」
 アリサは駆け寄りつつ、そう問い質すように声をかける。
「ええと……一応、親善の為の交換留学生という形です」
 ティアナが答えた。
「留学生?」
「はい、こちらの大学の方に。また教えを請う事になりそうですが」
「つーか、学年は一緒だ」
 ティアナは照れくさそうに言ったが、アリサは脱力したように引きつった笑みで言う。
「まぁいいわ、とりあえず乗んなさい。折角だしパーッと騒ぐわよ」
「えー、今から!? ケーキ食べたばっかりだよ?」
「後だろうが先だろうが、甘いものは別腹でしょーが」
 ユーノが驚いたように言うが、アリサは至極当然といった表情でそう言い切った。
 ティアナとスバルは、顔を見合わせ、肩を竦めて苦笑する。
「ほらほら、そうと決まったら乗った乗った」
「はいっ、あ、アリサさん、クルマ買い直したんですか? 前のと同じ……?」
「チッチッ」
 ティアナとスバルを後席に乗せつつ、アリサは得意そうに澄まして、指を振った。
 アリサが運転席に、ユーノが助手席に収まり、アリサがエンジンを始動させる。
 ギアを入れ、Fiat500を発進させる。
「今度のは、新型よ」
 1200ccのFiat・169A4エンジンを唸らせ、クリームのボディを市街地に躍らせた。

639 熱き彗星の魔導師たち FINAL-14/13 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/10(金) 01:21:36 ID:/aUkkgL6
>>626-638
以上です。お付き合いいただき、ありがとうございました。

非常にだらだらと長く続くことになってしまいました。申し訳ありません。
「燃え上がる炎」でも経験したことですが、目標の容量に治めるって言うのは、やっぱり難しいものですね。
それとキャラクターの数。
主要な描写の必要なキャラは漸減させたつもりだったんですが、やはりこれだけの数のすべてのキャラを描ききるのは
自分には少し重荷でした。orz

「燃え上がる炎」までは原作と明らかに矛盾する設定は極力控えていたのですが、
本作ではかなり多かったと思います。
ゆえに読みづらかったり理解しにくかったりしたかと思います。申し訳ありません。

メガーヌの話し相手は、たぶん多くの方が想像される通りかと思います。
それと、既にだいぶ前に出た話ですが、アリサとユーノはとある日本一有名な警部の後輩にしてあったりします。
気付いた方はニヤリとしていただけたらと思います。

それでは、ここまでお付き合いいた方々に再度お礼を申し上げて、〆とさせていただきます。
ありがとうございました。

640 名無しさん@魔法少女 :2009/07/10(金) 01:26:34 ID:OnOQPQco
謙遜なされるな。これだけの話、マトモに終らせるのも難しいですって!
まぁ何はともあれ堂々完結おめでとう御座います!!

641 名無しさん@魔法少女 :2009/07/10(金) 05:40:21 ID:OQPxM0.6
連投お疲れ様でした。
そして完結オメデトウございます。
やはりカリムが全ての黒幕だったか…。
信じていた者に裏切られ、レジアスの真意を知った時にレジアスは鬼籍に入る。
疎遠で袂を分かってしまったと思っていたアリサがはやてを「犯罪者」呼ばわりしていた陸士隊に憤り、レジアスに詰め寄った事さえ有った。
真実を全て知ったはやては管理局も消滅した今、どう生きていくんでしょうね。
仮にアフターストーリーが有るとしたら、他のキャラもそうですが、特にはやてと家族のその後を見たいですね。
アリサやユーノと10年越しに漸く親友と呼べる間柄になっていく…みたいな。

何はともあれ無印、A’s、StSと三部作で続いたリリカルバイオレンスシリーズ本当にお疲れ様でした。
今はごゆっくりお休みください。

642 名無しさん@魔法少女 :2009/07/10(金) 06:00:21 ID:4kcqoEro
>>639
完結おめでとうございます。
また、新作期待しています。長編だけでなく、歪んだ素直みたいな中編エロとか。
本当にGJでした。

643 名無しさん@魔法少女 :2009/07/11(土) 00:37:40 ID:7pJaqG8A
完結おめでとう、お疲れ様でしたー

原作キャラの扱いがどうとかと注意書きがありましたが、原作メインキャラらの持ち上げっぷりや優遇っぷりがアリサ達主人公側に
レジアスの扱いがはやて達にといった感じで移ってるだけで原作とは優遇不遇の構図にそんなに変わってるようには見えなかったんで
違和感なく読めました

644 名無しさん@魔法少女 :2009/07/11(土) 01:25:46 ID:jOnHxDPM
>639
乙。

有名な警部……よれよれのトレンチコートと姿無きかみさんがトレードマークの?


 【せめて渡瀬恒彦で】

645 熱き彗星の魔導師たち 蛇足 ◆kd.2f.1cKc :2009/07/11(土) 02:57:46 ID:rAS.juQE
>>644
最初は原作のそれを躍起になって否定しようとして壁に突っ込みました。
「ありゃ、結局やってること同じじゃん……」と。
24話辺りでアリサが前面に出ようとしなくなったのがその痕跡だったりします。

が、途中でキャラの優遇不遇自体が問題なのではないとふっと気付きました。
つまり説得力を持たせればいいんだと。
「説明台詞は参謀役キャラ(アリシア・リニス)に任せる」「強敵を作る」って結論に行き着きました。
「どーやって倒すんだこれ」状態のスバルやヴィヴィオがその一片だったりします。
特にティアナ&マギーv.s.暴走スバル戦はどうやって収拾させるか、
書いてる奴自身が思い浮かばなくなりドツボにはまりました。(ダメじゃん

最初からそれに気付いてれば(旧版での騒動も含め)もっと違った展開が出来たかなと。
反省点です。

他に縛りを入れたのはサポート系のキャラ(シャマル、アリシア)をちゃんと書けってことなんですけど、
これもシャマルはちょっと中途半端で終わってしまいました。

もうひとつの反省点は、基本的に無印、燃え上がる炎〜は、
原作を見ていなくてもストーリーが把握できるように心がけていたのですが、
本作はどうしてもStriker'sを視聴した人でないとわからない内容になってしまいました。
これだけの設定情報を最初から用意して、作品中に盛り込んだ原作陣はなんのかんの言ってプロなんだなと思い知りました。
言うは易し行なうは難しとはこのことです。orz

正直放り出しかけたのですがそれはいかん、ここまで書いたのだからどういう形であれ完結はさせようと。
いうことで、お付き合いいただいた方々には非常に感謝いたしております。

ただ書ききっていないキャラも多いので、後日談はフラッと書くかもしれません。
エロも入れてな。

蛇足おば失礼いたしました。

>>644
当たりです。
でも、あのコートバーバリー製で結構高いんですよ。

それとマギーのファーストネームは……

646 名無しさん@魔法少女 :2009/07/11(土) 22:17:40 ID:w3t5AXMs
イマイチだったけど完結まで持ってったのはスゲエ。

647 名無しさん@魔法少女 :2009/07/11(土) 23:15:51 ID:DYpWVbRo
>>639
ついに完結おめでとうございます&お疲れ様でした!
管理局消滅、舞台は何気ない日常へ、私達の戦い(生活)はこれからだ!エンドですね)マテ
なんにせよここまでの大作を見せてくださった事に深い感謝を。更新止まりつつも挫けなかった貴方の不屈の根性に敬服を。
後日談と更新止まってる蟻地獄を楽しみに待ってますねw
では大事な事なんでもう一度。本当にお疲れ様でした!!

648 ザ・シガー :2009/07/12(日) 00:35:21 ID:s1gUtgCI
>>493
お待たせしました、鉄拳できましたぜ

と、いう訳で鉄拳最新話が完成したので投下行きます。
長編・非エロ・タイトル『鉄拳の老拳士 拳の系譜』 投下します。

649 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:38:52 ID:s1gUtgCI
鉄拳の老拳士 拳の系譜 9


「ただいまー」


 自宅へと帰り着き、少女はドアを開けると共に元気良くそう言った。
 だが、そこで少女は疑問符を交え首を傾げる。
 せっかく帰ってきたというのに、愛しの我が家は真っ暗だった。
 玄関も、そこから続く廊下も居間も、全部電気が消えている。
 おかしい。
 と、疑問を思う。
 今の時間帯ならいつもは母がいるし、今日は父も兄も家にいる筈なのに。
 真っ暗闇の我が家に違和感を覚えつつ、少女は靴を脱いだ。


「誰もいないのかな?」


 一人呟きながら、うら若き乙女はポニーテールに結った母譲りの青い髪を揺らして廊下を歩く。
 居間の扉を開けて壁に手を這わせ、電灯のスイッチを探りつつもう一度声をかけようとした。
 その瞬間、突然その場に光が満ち溢れ、パンッパンッ、と何かを炸裂させるような大きな音が幾重にも木霊する。


「誕生日おめでとう〜!」


 聞き慣れた母の声も次いで響けば、もう何が起こったかなんて考えるまでも無い。


「お母さん、それにお父さんにお兄ちゃんも」


 居間に訪れた少女を迎えたのは、彼女の家族だった。
 手にクラッカーを持ち、ニコニコと嬉しそうに微笑む母。
 その母の隣りには寄り添うように父と兄が立っている。
 テーブルの上にはご馳走、きっと母が腕を振るったであろう豪勢な料理の数々が並んでおり、漂う香りが食欲を誘う。
 どうやら今日の、自分の誕生日の為に用意しておいてくれたようだ。
 正直、気恥ずかしくてしょうがない。
 もう17歳になったというのに、こうやって家族揃って誕生日を祝われるだなんて。
 小さい頃からずっとそうだった。
 父も兄も、管理局のどんな仕事があってもこうやって誕生日には祝ってくれた。
 去年なんて大掛かりな捕り物から直行で帰り、バリアジャケットのまま家に上がったりしていた。
 ふと思い出して、口元に笑み浮かぶ。
 そんな少女を、母は手を引いてテーブルに引き寄せる。
 テーブルには彼女の為に用意された大きな大きなケーキ、真っ白な生クリームと真っ赤な苺をたっぷり乗せた美味しそうなもの。
 そして、そんなケーキに負けないくらい大きな箱があった。
 一体なんだろう、と思うと同時に兄の手が箱を持ち上げる。
 父譲りの黒髪の合間からどこか恥ずかしそうな瞳を覗かせて、彼はおずおずと少女の前に歩み寄った。


「まあ、なんだ……ほれ、俺からの誕生日プレゼントだ」


 と、言葉と共に差し出される大きな箱。
 少女は受け取ると同時に満面の笑みとなって、ありがとう、と兄に頭を下げた。
 まずは料理に手をつけてからプレゼントの中身を見ようかとも思ったが、どうにも好奇心が勝る。
 開けても良い? と首を傾げれば、彼は小さく頷いて返した。
 ゆっくりと、包み紙もリボンも傷つけないように丁寧に少しずつ開ける。
 ダンボール製の箱を開けば、そこには一対の鉄拳が静かに佇んでいた。
 鋼鉄、強固な魔力合金で形成されたストレージのアームドデバイス。
 父が自分と兄に伝えた魔法格闘戦技法、シューティングアーツ独特の得物である。
 これに、少女はヒマワリみたいな輝く笑みを見せた。


「うわぁ〜! これデバイス? 私に!?」


 問えば、兄は少しだけ恥ずかしそうな顔で、ああ、と小さく返事。
 恐る恐るそっと持ち上げて、少女は表面処理の美しさと手にかかる重量に嬉しげに目を細めた。
 そして、咲き誇る笑顔の花をより華やかに咲かせて言う。


「ありがとう、お兄ちゃん」


 クイント・ナカジマは、兄ギルバートにプレゼントとして贈られたリボルルバーナックルのお返しとばかりに、最高の笑顔を見せた。





 あちこちが破壊された施設の中を、黒衣を翻した男は駆ける。

650 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:42:10 ID:s1gUtgCI
 脚部に装着したデバイス、膝まで装甲が覆うような大型のローラーブーツが鋼鉄の唸りを上げて男の巨躯を風と運ぶ。
 愛する家族の、妹クイントの仇を討つ為に疾駆するのは復讐の黒き狂犬、ギルバート・ゴードン。
 復讐鬼と化した男が向かうのは拘置施設内の一角、戦闘機人ナンバーズがいるであろう場所だ。
 そう、今ここにいるのだ、愛しい家族を無残に奪った憎い仇が。
 一見静かに引き締まった表情の底には、地獄の業火の如き憤怒が燃え盛っている。
 奥歯を砕きそうなほどに歯を食いしばり、男は憎む、心の限りに。
 あの日、もう取り戻せないあの過去の日々に自分に笑いかけた妹を永遠に奪った仇、それをようやく狩れるのだ。
 どす黒い衝動が胸の内で例え様のない鼓動を刻む。
 それはさながら快楽の悦びだった。
 クイントの死を知ってからの今までの日々、復讐すべき相手を選別して計画を練り続けた。
 今日がその記念すべき最初の狩猟である。
 ナンバーズ、クイントの死んだ、ゼスト隊全滅に直接関わったサイボーグ集団。
 最近生まれた者は関係ないかもしれないが、しかしここには確実にあの日あの場所にいたであろう古いナンバーも確実にいる。
 詳しい固体データはあまり入手できなかったが、そんな事は構わない。
 何なら全員殺してやったって良い。
 煮え滾る憎悪が思考を焼き付かせ、復讐鬼を狂おしいほどに走らせる。
 目的へ、目的へ、目的へ。
 ギルバートは胸中で負の感情を燃やしながら、施設内の通路をウイングロードで駆け抜けた。
 と、もうじきナンバーズの収容されているだろう区画に近づいた時、目の前に一つの影を見る。
 通路のど真ん中に立つ一人の男、白髪交じりの壮年。
 忘れもしない、かつての義理の兄弟、ゲンヤ・ナカジマの姿だった。
 高速の疾走に急制動をかけ、脚部のローラーブーツで火花と轟音を立てながらギルバートは急停止する。
 数歩で詰められる程の距離で立ち止まれば、かつての義兄弟同士が刃の如き視線を交錯させた。
 張り詰めた、濃密な気迫に満ちた空気が場を支配する。
 気の弱いものならば失禁でもしてしまいかねない、凄絶なにらみ合い。
 最初に口を開いたのは黒衣の復讐鬼。


「ゲンヤか、久しぶりだな」


 静かで低いギルバートの言葉に、ゲンヤもまた同じく静かな声で返す。


「ああ、そうだなギル。久しぶりだ」


 言うと同時、ゲンヤの手が動く。
 素早い動作で上着の懐へと滑り込み、彼の右手は鉄を得物を取り出した。
 それは大口径、44口径はあろうかという回転式拳銃(リボルバー)、俗にマグナムと呼称される拳銃。
 魔法を使えない局員が限定的に持つ事を許される質量兵器だ。
 流れるような動きでその拳銃を取り出すや、同じく淀みない操作で撃鉄が起こされる。
 瞬く間に戦闘態勢を整え、ゲンヤは即座に発射可能な銃をギルバートの眉間に突きつけた。


「随分な挨拶だな、ゲンヤ」

「そりゃこっちの台詞だ。ここに来るまで俺の部下を……何人殺した?」


 語尾に明確な殺意と怒りを込め、ゲンヤが問う。
 彼はここの、収容されたナンバーズの護衛と更正を担当した陸士108部隊の隊長である。
 ギルバートらの強襲により哀れな屍の山へと変わった陸士隊員は彼の部下だった。
 故に叩きつける、腹の底から怒気を込めた眼差しを。
 されど、その強烈な気迫と突きつけられた銃口を前にギルバートは少しも揺るがない。
 ただ静かにゲンヤを、彼に負けぬほど鋭い眼差しで見つめた。
 しばしの沈黙が場を支配して、形容し難い静寂が流れる。
 そして、それを破ったのは黒衣の狂犬。
 ギルバートの端正な顔が地獄のような怒気に歪み、告げる。


「じゃあ、てめえはどうなんだゲンヤ。クイントを殺した奴らを守って正義の味方面か?」


 冷たい、まるで極寒の凍気のような殺意を孕んだ。
 熱い、まるで灼熱の熱気のような憤怒を孕んだ。
 そんな言葉だった。
 ギルバートの放った言葉にゲンヤは一瞬目を見開き、何か言おうとするが、しかし言えず沈黙。
 そんな彼に、黒衣の復讐鬼の顔が憤怒と歪む。
 今までの静かな容貌が嘘のように、ギルバートの目は釣り上がり、口は牙を剥き――吼えた。


「ゲンヤ、てめえクイントの事愛してたんじゃねえのかッ! なら、どうしてあいつを殺した連中を守るッ!!?」


 声が、そして鋼の如く鍛え抜かれた五体から発せられる気迫が空気を振るわせた。

651 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:43:40 ID:s1gUtgCI
 視線に至っては人を屠れるのではないかと思うほどに鋭く、ゲンヤの背筋を凍らせる。
 だがそれだけではなく、問われた言葉もまた彼の心を冷たく突き刺した。
 クイントを、妻を死に追いやった者を何故守るのか。
 その問いはあまりにも痛烈で、肉体ではなく心を蝕む痛みにゲンヤは歯噛みする。
 銃を持つ手が震え、金属質な音を小刻みに立てた。
 何か言おうとするが、何も言えない、答えられない。
 あの少女らを救おうとするのは、守ろうとするのは、何故なのか。
 理由はもちろんあった。
 娘達と同じ境遇の、改造された肉体を持つ子供らを放ってはおけなかったから。と。
 しかし、ギルバートを前にその言葉は吐けなかった。
 ナンバーズを救うという事、それは確かにギルバートの言う通り、クイントへの裏切りに他ならない。
 眼前で燃え盛るギルバートの怒りは、本来ならば自分が燃やすべきものだったろう。
 されど、ゲンヤはその灼熱に浸る事が出来なかった。
 彼が選んだのは妻の為の憎悪より、娘達や彼女らと同じ境遇の少女への憐憫。
 ギンガもスバルも、ナンバーズも、皆守りたいと思う。
 それは彼の強さでもあり、そして弱さでもあった。
 故に答えられない、ギルバートの憎悪に満ちた問いに。
 言い淀むゲンヤの姿に、黒き狂犬は目を鋭く細める。


「まあ、どうでもいい。てめえが何を思おうが、何をしようが俺には関係ねえ……」


 言いながら、彼の巨躯が動く。
 ゆっくりと歩を進め、黒いコートを翻してゲンヤの横を通り過ぎる。
 そして、繋げるように言葉を紡いだ。


「俺はただ、連中を殺す。それだけだ」


 と、次げた。
 それはゲンヤに語りかけるようであって、同時に自分自身への宣誓でもあった。
 滾る殺意を、燃える憎悪を、全ての怒りに連なる感情を込めての誓いである。
 ギルバートの言葉に、混濁としていたゲンヤの意識が覚醒。
 黒衣の復讐鬼に銃を向けた。


「待てッ!」


 言葉と共に、44口径を誇る大口径の銃口がギルバートの背に向けられる。
 ゲンヤの手に握られた巨銃は、既に撃鉄を起こされていた。
 あとほんの少し、数ミリもない距離を動けば、強大な破壊力を孕んだ鉛の弾が飛ぶだろう。
 一触即発の銃火を前に、されど黒衣の男は動じない。
 顔を僅かに振り返らせ、氷のように冷たい眼差しをゲンヤへと向け、そして告げる。


「止めろゲンヤ。てめえは仮にもクイントの愛した男だ、正直傷つけたくはねえ」


 自分が殺されるかもしれないという懸念ではなく、自分が相手を滅する事を案じ、ギルバートは言う。
 至近距離での大口径拳銃の射撃、魔道師といえど普通ならば危険な状況だ。
 だがこの男には恐怖など微塵もなく、ただ怒りと悲しみに淀む瞳だけがある。
 決してはったりなどではない。
 彼の、ギルバート・ゴードンの戦闘力とは、至近距離のマグナムを前にしても怯まぬものなのだ。
 ゲンヤもそれはよく知っている。
 目の前の男が類稀なる戦闘力を持つ、最強クラスの魔導師であると。
 だが、ゲンヤの指はそっと引き金に触れる。


「確かに俺は、仇も討てない腰抜けかもしれねえ……」


 銃把(グリップ)をしっかりと握り締められたリボルバーから震えが消え去り、照準がギルバートをしっかりと捉える。


「でもな、だからこそ譲れねえんだよ……クイントを裏切るような真似してまで選んだ……“守る”って、道は」


 もはや迷いはなく、そこには憎い筈の仇でさえ守ろうという、愚直なまでの男があった。
 覇気を帯びたゲンヤの力強い眼光に、ギルバートの眉根が怒りと歪む。
 かつては義兄弟として、血は繋がらぬといえど家族だった者同士がこうして修羅場を築くとは、なんという皮肉な様だろうか。
 大気が一触即発と張り詰める中、黒衣の男は問うた。
 今までの裂帛の怒気が嘘のように、静かに澄んだ残響で。


「それが……てめえの選んだ道、か」

「ああ」

「そうか」


 もう言葉はいらなかった。

652 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:45:41 ID:s1gUtgCI
 これ以上そんなもので語らったところで意味は無い。
 次なる刹那、ゲンヤの手に握られた巨銃が鮮やかな火を噴いた。
 無煙火薬の燃焼ガス、オレンジ色のマズルフラッシュが銅合金の被甲を施された鉛の弾を飛ばす。
 秒速にして約448メートル、音速の領域に足を踏み込んだ強烈な銃弾がギルバートの五体を狙う。
 まず人間ならば反応できぬ、超速の攻撃。
 されど黒き復讐鬼にそのような常識は通じない。
 音速超過の銃弾を視認、手に纏った鉄拳をその軌道上に翻し、火花と金属音を伴い弾き落とす。
 魔力で強化された反射速度と鍛え抜かれた肉体が成す常人を超越した反応だ。
 二発目、三発目と次々に射出される弾丸を防御。
 そして同時に脚部ローラーブーツが加速、距離を爆発的な勢いで詰める。
 六発目の最終弾を防がれ、金色の焼け付く薬莢を排出してリロードを行おうとしたゲンヤは成す術もなく接近を許してしまう。
 目と鼻の先に迫るギルバートの、黒髪を揺らした端正な顔、そして巻き起こる旋風。
 巨大な鉄拳、ナックル型アームドデバイスが風を蹂躙して暴力を成す。
 振るわれた拳は吸い込まれるようにゲンヤの腹部へと命中、凄まじい破壊力をもたらして彼の肉体を冗談のように吹き飛ばす。


「がはぁッ!!」


 背骨まで軋みそうな拳撃に中空で二度回転、着地すると同時にその慣性で床を転がり、ゲンヤは血飛沫を吐いて呻いた。
 既に手に銃は衝撃と痛みで手放し、丸腰だ。
 そんな彼に、対面の黒衣は悠然と歩み寄る。
 苦痛に呻くゲンヤを、ギルバートは冷たく鋭い眼差しで見下ろした。
 どこか寂しげに、哀しげに、沈痛そうな面持ちで。


「安心しろ、殺しゃしねえ。少しだけ眠ってろ」


 そう言い、拳を振り上げる。
 シューティングアーツを極めた男の行う、熟練の力加減で行使される打撃だ。
 それは容易くゲンヤを殺す事無く意識だけを刈り取るだろう。
 その筈だった。
 一つの声が遮らなければ。


「止めなさい! お父さんから離れてッ!!」


 よく澄んだ、凛とした声を発して。
 青い、艶を持つ長い髪を揺らして。
 爛熟と実った、豊満な女体をバリアジャケットに包んで。
 そして何より、かつて自分が妹に贈ったあのデバイスを構えて。
 少女が現れた。
 クイントの、亡き妹のクローン、彼女の残滓――ギンガ・ナカジマという少女が。





 広き次元世界の中心地ミッドチルダ、その首都であるクラナガンを夜の闇色が包み、その闇を幾重もの轟音が刻む。
 音の源は鋼鉄の骨格を持つ空駆ける猛禽、JF704式の名を持つヘリコプターである。
 管理局に採用されている人員輸送用の大型ヘリは群れを成し、敵の索敵を逃れるような低空を駆け抜けて群れを成す。
 ヘリに乗るのは機動六課所属の若きエースとストライカー達。
 向かう先は更正組ナンバーズの収監されている収容施設だ。
 事の始まりは、今から30分ほど前に発令された緊急招集だった。
 収容所を護衛していた陸士部隊が発した救援要請の報に、地上本部から応援部隊が出動された。
 しかし、待てども待てども、彼らからの連絡は途絶したまま回復しない。
 地方本部管制室がデバイスデータや通信から解析した結果、出た結論は“全滅”の二文字。
 その結論に至った指揮官は一瞬自失した。
 ありえない。
 武装した陸士部隊が総勢で150人以上、それが1時間も掛けずに全滅したというのか。
 ありえる筈のない事態だった。
 これに、現状の武装隊だけでは戦力不足と判断した地上本部首都防衛隊は、緊急で本局所属部隊への援護要請を発令。
 そうして、機動六課の隊員も対処に駆り出されたのが事の顛末だった。
 ヘリに乗るのはライトニング分隊の隊長陣、フェイトとシグナム。
 そしてスバル、ティアナ、エリオ、キャロのフォワードメンバー四人。
 教導隊関係の業務で本局に出向しているなのはとヴィータを除く、機動六課の前線メンバーである。
 狙撃手も兼任したヘリパイロットのヴァイスと、副操縦士のアルトの繰るヘリに揺られる中、各員は防護服を着用して各々が自身のデバイスを手に状況説明を受けていた。


『フランクモリス収容所に最初の救援隊が駆けつけたのが1時間前、そしてそれからすぐに通信が絶たれ、上は全滅と判断しました。ライトニング及びスターズ分隊の任務は、現場に到着し次第敵戦力の無力化をしてください』


 ディスプレイ越しに機動六課隊舎の管制室から状況の説明をするのは、眼鏡を掛けた少女、シャリオ・フィニーノ。

653 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:47:09 ID:s1gUtgCI
 シャーリーの愛称を持つ、後方支援部隊ロングアーチのメンバーだ。
 彼女の語る内容から事態の異常性が伺え、ヘリの内部は張り詰めた嫌な空気が立ち込めた。
 特にスバルは不安そうな面持ちだった。
 なにせ件の収容所の護衛にあたっているのは陸士108部隊、彼女の父や姉がいる部隊である。
 二人の安否を思い、少女の顔は不安に沈む。
 だが、今は感情的になっている場合ではない。
 愛剣レヴァンティンの柄を撫ぜつつ、ライトニング分隊副隊長、シグナムがシャーリーに問い掛けた。


「敵の具体的な数や素性は分からないのか?」

『今のところは……まだ何も。ただ魔力残滓などの状況から見て敵戦力はかなりの少数、下手をしたら数人という事だけは分かっています』

「たった数人で護衛部隊を全滅か。どうやら一筋縄では行かないようだな」


 瞳を鋭く細めて言いながら、シグナムはフェイトに目配せ。
 彼女もまた、常の温和そうな瞳とは違う真剣な眼差しを返す。
 なのはとヴィータを欠く戦力で未知の敵と戦うというのは、この二人をしても不安を感じずにはいられない。
 フォーワードメンバーはこの一年で大きく成長したとは言えども、だ。
 家族の事を案じているだろうスバルのメンタル面もまた、大きな不安要素の一つ。
 自然、美女二人の顔は緊張を帯びた鋭いものを纏う。
 そんな中、前方の操縦席からヴァイスの声が響いた。


「収容所まであと10キロ、もうちょいで到着しますぜ」


 その言葉に、そうか、と答えるシグナム。
 同時、外からヘリの回転翼の作る轟音が響く。
 サイドに設けられた窓から覗けば、彼女らの乗るヘリと平行するように飛ぶ新たなヘリがいた。
 機動六課と同じく召集を受けた地上本部の部隊、よく見ればシグナムやヴァイスの古巣である首都航空隊のヘリだ。
 コクピットのパイロットがそれを知ってか、こちらに手だけで軽く敬礼をしてくる。
 それにシグナムもまた返礼として手を翳した。

 瞬間、それは起こる。

 紅い、血よりも紅い鮮やかな光だった。
 シャーリーが通信で“高魔力反応を確認”という、叫ぶような警告が聞こえたのは真っ赤な光と同時だ。
 夜空の闇色を魔力で練られた紅の光、20〜30センチほどの太さを持つ光の奔流が蹂躙。
 それがヘリを、六課の隣りを平行に飛んでいたその機体を穿った。
 閃光に貫通された瞬間、次いで魔力の紅い光とは違う光が生まれる。
 爆音を伴った大爆発の炎。
 炎に飲み込まれ、ヘリが哀れな鉄の残骸に変わるまで、全ては1秒にも満たぬ間の顛末だった。
 闇夜に落ち行く炎の光を見るや、烈火の将が怒号を放つ。


「狙撃だ! 高度を下げろッッ!!」


 その残響が言い終わるより早く、ヴァイスは操縦桿を動かしていた。
 ヘリの機首は思い切り地表へと傾き、中に乗った人間全てに強烈なGを叩きつけながら急下降。
 眼下にそびえるビル群の合間に滑り込む。
 クロムとチタンが軋みを上げて耳障りな金属音を奏でる中、熟練の操縦技術が繰るヘリは砲撃の射軸を逃れる。
 上空、先ほどまでヘリの存在していた空間を鮮血色の砲撃の残滓が消え行く様に、シグナムは柄にもなく頬に冷たい汗が流れたのを感じた。
 そして、一拍の間を置いて付近から轟音と爆音が喝采のように響き渡る。
 おそらくは、収容所への救援要請に向かっている他の部隊のヘリが落とされたのだろう。
 表情に苦いものを浮かべながら、シグナムは操縦席のヴァイスに問うた。


「ヴァイス、収容所までの距離は?」

「9キロと少しくらい……ですね」


 ヘリの管制デバイスとして搭載されているヴァイスの愛銃、ストームレイダーの表示した目的地までの距離に場の空気が張り詰める。
 9キロ以上離れていた場所からこれだけ正確で圧倒的な砲撃を行える敵の懐に飛び込むのに、まだそれだけの距離があるのだ。
 ビル群の合間を縫うように飛び続けるのは難しいだろう。

654 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:48:21 ID:s1gUtgCI
 冷や汗を流す彼の横顔に、シグナムは続けて問う。


「このまま行けるか?」


 問われ、一瞬彼女に振り返ったヴァイスの顔は苦々しげながらも笑みであった。


「難しいっすね。でも……やってみます」

「そうか、出来るだけ近づいてくれ。あとは降下して接近ルートを探す」

「了解しました。しっかし、信じられねえ。この距離、この高度のヘリを見つけ出して落としやがるなんて……」


 憎々しげに、そして隠し切れぬ怖気を孕ませてヴァイスは呟く。
 彼は遠距離狙撃を得意とする、否、遠距離での射撃しかできない、それのみに特化した魔導師である。
 そのヴァイスをして、この狙撃攻撃は異常な程の性能だった。
 対索敵魔法用表面塗装を施された、9キロ以上の距離を飛ぶヘリ。
 しかも時間帯は闇色の支配する夜だというのに、寸分の狂いもなく、たった一撃で沈めた。
 有効射程距離は元より、正確性も威力も連射性も半端ではなかった。
 あんな狙撃が出来る魔導師、それも犯罪者ならばそう多くはない。
 いや、むしろ彼にはその心当たりがあった。
 紅い魔力光、そして最高クラスの射撃魔法の使い手となれば……
 と、そこまで考えた時、通信音声として介されたシャーリーの声が場に響く。


『先ほどの砲撃から魔力波動パターンを割り出しました! 相手はテッド・バンディ、先日脱獄したSランク級の指名手配反です!』


 瞬間、脳髄の奥底、記憶を司る海馬がざわめく。
 テッド・バンディ、その名を忘れる事など出来る訳がない。
 かつて幾人もの友を殺した悪鬼、最高の才能を持つ最悪の犯罪者、人の皮を被った獣、魔銃。
 彼を、あの親友を殺された晩の事は今も忘れない。
 操縦桿を握る手に抑制しきれぬ感情の力を込めながら、ヴァイスは僅かに首を反らし振り返る。
 居並ぶ六課隊員の中にオレンジ色の髪を二つに結った少女、ティアナの顔があった。
 少女の顔に浮かぶ相は、常の凛とした愛らしさは打って変わった怒気。
 眉根を歪め、唇を噛み切りそうなほど噛み締めている。
 普段の彼女を知る者ならば、己が眼を疑う様だろう。
 だがそれは無理もない。
 テッド・バンディ、その名が意味するものとは即ち六年前のティーダ・ランスターの殉職した事件の犯人だった。





「ああ、クソ! 何機か撃ち漏らしちまったぞ」


 フランクモリス収容所の周囲、囚人の逃亡を防ぐ為に築かれた巨大な塀の上で男はそう吐き捨てる。
 両手に十字架を刻まれた巨大な拳銃型デバイスを持ち、真っ赤なレザー調のバリアジャケットを纏い、黄金の髪を揺らした美青年。
 テッド・バンディ、Sランクオーバーの戦闘力を持つ最悪の犯罪者である。
 悪鬼の如き男が今宵受けた仕事は、ギルバート・ゴードンの依頼によるナンバーズの収監された収容所への襲撃。
 収容所の護衛に当たっていた108部隊の陸士、そして他部隊の救援・増援を含む都合153人を、彼らは苦もなく殲滅した。
 一片の容赦も躊躇もなく、むしろ歓喜と狂気を以って。
 そうして築かれたのは屍肉の山と血潮の河、おぞましい虐殺のアート。
 だが殺戮の宴はそれだけでは終わらない。
 収容所の緊急事態に駆けつけてくる増援を、また“掃除”する作業の始まりだ。
 高く設計された塀の上に立ち、金髪の悪鬼はその天才的な狙撃砲撃の腕を垣間見せる。
 通常のものを遥かに超えた射程距離を持つ砲撃は、接近するヘリや魔導師を次々と落とした。
 が、相手とて木石ではないのだ、全てを一方的に滅する事は叶わない。


「それは残念ですねぇ」


 そう言うのは、横に立つもう一人の男だ。
 雑に結われた長いざんばらの黒髪、ややこけた頬に長身痩躯、そして左腕を欠いた隻腕と右腕に握った長剣が印象的な男。
 ジャック・スパーダという、バンディと共にこの件に雇われた筋金入りの戦闘狂だ。

655 鉄拳の老拳士 :2009/07/12(日) 00:49:12 ID:s1gUtgCI
 彼の言葉に、金髪の美貌は憎々しげに歪む。


「うっせえ、んな事ぁ分かってるっつうの。これくらい十分想定の範囲内だよ」


 彼がそう言うや、空中に立体映像が展開される。
 両の手に握られた二丁銃型デバイス、ディセイクレイター、冒涜者の名を冠するそれが見せる映像だ。
 映るのは収容所周辺の地形図。
 その各所にはマーキングされた赤い光点が規則的な速度で以って明滅を繰り返している。
 光の点を指差し、バンディは言う。


「これが敵の予測侵入ポイントだ、てめえのデバイスにも通信使って送ったから確認しろ」

「了解しました。で、どうしますか?」

「どうするも糞もねえだろ、今までと同じだよバァカ。ここに来る管理局の豚共を殺しまくる、それだけだ」


 口汚く言うと、バンディは手のデバイスを振りかざしながら嗜虐に満ちた暗黒の笑みを浮かべた。
 同時に響く甲高い金属音、輝く金光を発して空薬莢が宙を飛ぶ。
 装填された大口径魔力カートリッジが薬室で炸裂、濃密極まる魔力がデバイスを満たし、大気を焼く。
 悪意と魔力に猛る愛銃を指先で器用に回し、金髪美貌の悪鬼は白い歯を見せつけるように笑った。


「さ、じゃあ楽しくお仕事(ワーキング)と行こうぜ殺人鬼くん。今日は楽しい豚狩りだ」


 まるで放課後の帰り道、友達と遊びに行くジュニアハイの子供のような気軽さでバンディは言う。
 対する剣鬼、狂った斬殺魔もまた然り。
 柔らかくにこやかな笑みを浮かべ、真っ赤な鮮血に濡れる手の愛剣を翻し答えた。


「言われずとも楽しませていただきますよ。今夜は楽しい戦いになりそうだ」


 さらなる陵辱に、さらなる殺戮に、さらなる闘争に、さらなる地獄に、二匹の鬼は心躍らせる。
 さあさあ、夜はこれからだ、パーティーはこれからだ。
 瑞々しい乙女の肉体が屍肉と血潮の織り成す死の宴で、血に餓えた狂人共とダンスを興じる。
 激しく、卑しく、美しく、そして最高に楽しい暴力の坩堝。
 もはやそこは現世である事を疑うような、冥府の狭間となるだろう。
 機動六課の美しき戦士がこの地獄に訪れるまであと20分。
 場にはただ、狂気と悪意が混ざり合った濃密な夜気が漂っていた。



続く。

656 ザ・シガー :2009/07/12(日) 00:55:15 ID:s1gUtgCI
投下終了。
まさかの叔父と姪の邂逅。
目の前に立ちはだかる可愛い妹の忘れ形見を前に、ギルおじさんは戦えるのか。
そして外道コンビVS六課陣営。
なのはとヴィータは、アレ、ヴィータの教導隊入りとかなんとかでいない。 という脳内設定でお送りしております。
スピンオフと違って、キャロが陵辱される事はない、たぶん。
しかし他のキャラの保障はしないw

で、やっぱりというかなんと言うか、ティーダの仇はバンディでした。
そしてヴァイスとティーダの親友説の設立。
もう憎しみと復讐だらけ。

ええ、趣味です♪

657 名無しさん@魔法少女 :2009/07/12(日) 10:07:07 ID:KfYVDYVc
完結が多いな〜。みんな乙

658 B・A :2009/07/12(日) 21:16:00 ID:PvZP/z2s
>>657
じゃ、新しい長編を初めて良いですか?

659 名無しさん@魔法少女 :2009/07/12(日) 21:37:51 ID:ndFiDdIA
>>658
ばっちこーい。

660 B・A :2009/07/12(日) 21:44:52 ID:PvZP/z2s
わかりました。
でも、その前に謝らせてください。

>ザ・シガー氏
許可を頂いたタッグ戦SSのネタがうまくまとまらず(主にオチで)、お蔵入りとなってしまいました。
折角ネタ被りを了承してくださったのに、本当にすみません。




やっぱり、狙ったギャグSSは書けないみたいです。
これからは非エロバトルとエロとパロディで生きていくぞ。

注意事項
・sts再構成
・非エロ
・途中から(原作5話以降)オリ展開あり
・基本的に新人視点
・タイトルは「Lyrical StrikerS」

661 Lyrical StrikerS 第1話① :2009/07/12(日) 21:46:53 ID:PvZP/z2s
第1話 「空への翼」



世界が燃えていた。
数十分前まで、ここは活気に満ち溢れた空港であった。
ロビーでは旅行者が行き交い、出立を告げるアナウンスが陽気な音楽に混じって流れていたのを、
スバルはハッキリと覚えている。なのに、今、目の前に広がっているのは燃え盛る炎と焼け爛れた空間だけであった。
記憶に残る空港の光景はどこにもない。一瞬の内に染め上げられた深紅の世界は、黒煙をまき散らしながらこちらを焼き殺さんと迫ってくる。
スバルは必死で迫る炎から逃れた。
拙い足取りで瓦礫をよじ登り、嗚咽を漏らしながら逸れてしまった姉を呼ぶ。
だが、どこを探しても姉の姿はなく、それどころか旅行者や空港のスタッフの姿もない。
いったい、この場所で何があったのかはわからない。だが、幼いながらもスバルは、自分が炎の中に取り残されたことは理解していた。
そして、このまま誰とも出会うことができなければ、炎に焼かれて死んでしまうことも。

「お父さん…………お姉ちゃん………………」

何度目かもわからない呼びかけに、答える者はいない。
炎とは別の痛みがスバルの心を侵食していく。
それは炎の熱さとも火傷の痛みとも転んだ痛みとも違う。
真っ暗で冷たくて、生きようという意思を根こそぎ食らい尽くしてしまうような孤独という名の絶望であった。
痛いのも苦しいのも嫌だったが、何よりも1人でいることが怖かった。
誰にも守ってもらえない。
誰にも慰めてもらえない。
1人では何もできないから、誰かに頼るしかない弱い自分。
自分はこんなにも弱かったのだろうか?
誰かに縋らねば生きていけないくらい、弱い生き物だったのだろうか?

「痛いよ……………熱いよ……………こんなの嫌だよ………………帰りたいよぉ……………」

とうとう力尽きて、スバルはその場に倒れ込んでしまう。
起き上がれるだけの力は残っていた。
死力を振り絞れば、まだ手足を動かして地面を這うだけの力は残っていた。
だが、スバルはそうしようとしなかった。
自分は死んだ母や母の遺志を受け継いだ姉のように強くはない。
泣き虫で弱虫だから、こんなにも無力なのだ。
スバルの心を支配しているのは孤独な死に対する恐怖。
それがスバルから理不尽に抗う意思を奪い、生きようとする心を死なせてしまったのだ。
故に、スバルにできるのはただ嘆き、助けを乞うことだけであった。

「誰か……………助けて…………………」

見上げた先には、この空港のシンボルと言える女神像があった。
だが、偶像の神は救いの手を差し伸べてはくれない。
スバルがどんなに懇願しても、この苦痛を取り除き、大好きな家族のもとへと帰してはくれない。
いや、彼女もまた嘆いていた。偶像故に自らが動くことはできないということを。
少なくとも、スバルには炎に焼かれている女神像が泣いているように見えたのだ。
すると、胸に巣食っていた孤独感が僅かに安らいだ。
自分だけが怖い思いをしているのではないのだ。
偶像の女神に対する奇妙な親近感が、彼女の心に安堵の念を抱かせたのだ。
それがほんの少しだけではあったが、スバルにとっては救いであった。
自分は、1人ぼっちで逝くのではないと知ることができたのだから。

(……………………寒い、なぁ)

炎で脆くなった台座が壊れ、女神像がスバルを押し潰さんと倒れ込んでくる。
それはまるで、震えるスバルを抱きしめようとしているかのようだった。

「はぅぁっ………………」

女神像が間近に迫り、スバルは声にならない声を漏らす。
その時、温かい風がロビーに吹き込んだ。
炎の熱さとは違う。母が我が子を抱き締めるかのような温かさがスバルの体を包み込み、
優しい桃色の光が幾本もの帯となって倒れる女神像を空中に固定していた。
そして、その後ろには、金色の杖を携えた白衣の魔法使いが浮遊していた。

662 Lyrical StrikerS 第1話② :2009/07/12(日) 21:47:32 ID:PvZP/z2s
「良かった、間に合った…………助けに来たよ」

魔法使いの少女はスバルの前に着地すると、そっと震える肩に手を置いた。
その優しい笑顔が嬉しくて、スバルの目尻から涙が零れる。
よく見れば、彼女の純白の衣装は所々が焼け焦げていて、黒く汚れている。
黄色い肌からはたくさんの汗が伝っていて、呼吸も荒々しかった。
とてもじゃないが、華麗とは言い難い。
けれど彼女は、そんな自分の姿など意にも介さずに笑顔を浮かべ、こちらを安心させようと言葉を投げかけてくる。

「よく頑張ったね、偉いよ。もう大丈夫だからね、安全な場所まで一直線だから」

魔法使いの少女が数歩離れると、桃色の壁が周囲に張り巡らされた。
自分を炎の熱と煙から守るために、バリアを張ったのだ。

《Upward clearance confirmation.A firing lock is cancelled》

少女の手にしている金色の杖が言葉を発し、彼女の足下に桃色の魔法陣が展開する。
すると、その小さな体からは想像もできないほどの膨大な魔力が迸り、大気を震わせた。
バリア越しにも伝わる魔力量に当てられたスバルは、乗り物に酔ったかのような錯覚を覚えた。
少女が何をしようとしているのかわからない。
ただ、凄まじい魔力の迸りから、彼女がこれから大魔法を行使しようとしているのだけは何となくだが察することができた。

「一撃で地上まで抜くよ」

《All right. Load cartridge》

耳をつんざくほどの炸裂音と共に杖が跳ね上がり、空薬莢が宙を舞う。
魔導師が魔力を増強するために用いるカートリッジだ。
だが、その形状はスバルが知っているものとは少し違う。
生前に母が使っていたものよりもずっと大きい。
あれだけの魔力量に加えて大型のカートリッジを2発。
そこから繰り出される魔法がどんなものなのか、無知なスバルには想像もできなかった。

《Buster set》

「ディバイイィィィンバスタァァァァァァッ!!!」

刹那、