したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

怪盗捜し

8PON:2011/05/28(土) 01:35:46 ID:xg12QFhI
怪盗からの電話が終わってから、3人は常に周囲に気を配っていた。
『何だか、生徒の数が増えてきてないか?これも、怪盗の策略かも・・・』
『うーん、いくらなんでもそれは難しくないですか?これだけ不特定多数の人を思うままに操るなんて・・・』
偶然なのか必然なのか、それは定かでないが、ここを通る生徒が多くなっているのは事実だった。
『こうも人がいると捜すのに一苦労ね。怪盗が気に入りそうな顔立ちとスタイルで、服の内側にはレオタードと水着を重ねて、あとはストッキングも重ねている・・・これっぽっちの情報でもあなたたちにとっては、怪盗レオンを捜し当てるのに苦労しなそうに見えるけど。それだけ、怪盗との接触が頻繁にあったってことなの?』
『うん・・・そのとおりだよ』
達也の返事に呼応して、美里もコクッと頷く。
『そういえば、怪盗は美琴ちゃんとか美奈子にも変装したって言ってたわよね?じゃあ、怪盗が私に化けたのも見たことがあるの?』
『いや、それは無かったと思うな』
『私もです。・・・ただ、秋村さんと知り合う前ならばそこまで断定できないかもしれません。過去の変装した姿を全て詳細に覚えておくなんて、とてもできませんから・・・』
『それだけ、様々な女性に変装して見せたってことさ』
自分の裸は見られていない・・・それを聞いた麗那は、少しだけホッとした気持ちになった。だが、この直後にも麗那に変装して現れるかもしれないと思えば、気が抜けないことくらいは十分に理解していた。

『言っておくけど、怪盗が変装する女性のレパートリーは半端じゃないよ。ここの学生や秋村さんのバイト仲間なんて、怪盗が変装できてしまう内のほんの一部でしかないんだ。芸能人にも化けてしまったかと思えば、自分の家族にすらも変装してくるし・・・で、さっき話したように、彼女たちの全てを手に入れたら、本物が見せること無いような行動や格好を見せてくるんだ』
『私たちに近しい人たちも、当人の知らないうちに怪盗のコレクションに収められていました。達也さんの場合は、お姉さんや妹さん、それに妹さんの通う学校の生徒まで・・・それから私の場合は、妹とその仲間の他に、従姉妹にまで及んでいて・・・』
無念そうな面持ちで、美里は怪盗の恐ろしさを麗那に伝える。
『そんなわけだから、怪盗レオンと関わるってことは自分もそれを見せ付けられる覚悟が必要ってことだよ。脅すつもりなんて無いんだけど、こんな受け入れ難い現象が事実だっていうことは、僕らは身を持って実感させられたんだ』
達也も、葛原明日香の姿と声でそう説明する。
『・・・もう、腹は括っているわ。一度巻き込まれたら、もうどうすることもできないってことも理解しているつもりよ。これまでは、最初に騙された時のことを思い出さないようにしていたけど、仲間ができた今は、前よりもずっとマシになっているんだから』
『・・・それもそうかもね。僕たちだって、二人だけで立ち向かうより人数が増えた方が心強くもなれるから』
『被害者が増え続けるのは嫌ですけれど、仲間が多いというのは良いことですよね』
麗那も一緒に行動することになり、3人の関係は少しずつ深くなった。

『それじゃあ、私のことを仲間として迎えてくれるなら、まずは美里ちゃんが私を呼ぶときの他人行儀な感じを直して欲しいわね』
『えっ、他人行儀ですか?そんなつもりは・・・』
『だったら、“秋村さん”だなんて呼ばないでよ。名前で良いわ』
そう言って、麗那はニコッと微笑む。
『あ・・・では、麗那さんと呼ばせてもらいますね』
『そうね・・・その丁寧な口調がまだ気に入らないけど、美里ちゃんの真面目な性格がそうさせてるみたいだから、これで我慢しておくよ。でも、そのうちにもっとフランクになってよね』
互いに名前で呼び合うようになった二人は、この人なら良い関係を築けそうだと思い始めていた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板