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新アルテミスアナザーストーリー by BiBi

298BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:42:59
ab.0246.Coprophagy Exp.005.04

 杏奈が自分の胸を揉み始めた。
「アァンアァン」
アダルトビデオのような喘ぎ声を発しながら、オマンコに手を這わせた。

それを見た志津香と菜月も、オナニーを始めた。

「イク、イク、イクゥ!」
しばらくして杏奈が身体を数秒間硬直させてから、グッタリとなった。

「イッたフリしてんじゃねぇよ!」
志津香がオナニーを中断して、杏奈の髪の毛を鷲掴みにした。同じ性風俗を生業としている者同士、イッた振りを見抜く事ができるのだ。

「ギャアアア! は、離せ、ブス!」
杏奈が志津香の手に噛みついた。

「ギャアアア! ブスはテメェだ!」
「オマエだ。この整形女!」
杏奈と志津香がオナニーを忘れて、喧嘩を始めた。口汚く罵り合いながら、お互いの髪の毛を引っぱる。

そのすぐ横で、1人で一心不乱にオナニーを続けていた菜月が、身体を引きつらせた。
「ひ、ひ……くぅぅぅ」
オマンコをこする指の間から、潮が噴き出した。

299BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:43:44
ab.0247.Coprophagy Exp.005.05

「あははは。喧嘩をしている間に、その女に先を越されてしまったわね」
エウドラがおかしそうに笑った。
「多分その女は自然排便を選ぶだろうから、残るは、ブランデーとブタの精液よ? 喧嘩している暇はないんじゃないかしら?」

杏奈と志津香は、先に絶頂を迎えた菜月を恨めしそうに睨みつけると、オナニーを始めた。

「アハハハ。お酒と精液の浣腸を賭けてオナニーするなんて……、地球人って、ホントにどうしようもないわねぇ」
エウドラが、狂ったようにオマンコをこする2人の女を見て、おかしそうに笑った。

「あ、あ……、ヒ、ヒィ……」
少しして、杏奈が切迫したような喘ぎ声をもらし始めた。今度は演技ではなく絶頂が近い事は、誰の目にも明らかだ。

「い、イカせてたまるか……」
志津香が、オナニーを続けながら、片足でゲシゲシと杏奈を蹴った。

「や、やめろ、ブス。は……、早く、早くイカないと……」
杏奈は身をよじって志津香の蹴りを避けつつ、乳房を揉んでいた手を下半身に移し、肛門に指を突っ込んだ。もう一方の手はオマンコを激しくこすっている。

「あ、あぁ、イク、イク、ホントにイク……」
杏奈が身体を仰け反らせた。

「あら、どうやら決着がつきそうね?」
エウドラがクスクス笑った。

300BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:44:16
ab.0248.Coprophagy Exp.005.06

「そ、そうはさせるか、このブス女!」
志津香がオナニーを中断し、立ち上がった。そして杏奈の股間を、渾身の力を込めて蹴った。

「ウギャアアアアアアアアア!」
男でなく女にとっても、性器は敏感な急所だ。杏奈が股間を両手で押さえながら、床の上を転げまわった。アルテミスのような真正マゾならともかく、普通の女がこの状況で絶頂を迎える事など不可能だ。

「ざまぁみろ!」
志津香が、床の上で身体をくの字に曲げて苦しそうに呻く杏奈に唾を吐きかけると、再びオナニーを始めた。

「あ、あ、あぁ……い、いく……」
数分後、志津香のオマンコが潮を噴いた。その時も、杏奈はまだ床の上で苦悶のうめき声をもらしていた。

「あそこでオマンコを蹴る作戦にでるなんて、さすが下等生物の淫売ね」
エウドラが侮蔑の笑みを浮かべた。
「Yurika。オマエもそう思うでしょ?」

「あぁ、由梨香もオマンコを蹴られたいですぅ」

「アハハハハハハ。地球人って、もう最高だわ」
エウドラがおかしそうに笑い転げた。

301BiBi ◆8cBPUextJk:2019/04/26(金) 20:45:28
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-301 食糞実験

302BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:24:20
ab.0249.intermission

*これは本編ではありません。

スカトロのシーンが出てきます。苦手な方はスキップして下さい。スキップしても、本編の物語の展開には影響しません。

この後、本編に戻ります。
*****************************************

303BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:25:05
ab.0250.Coprophagy Exp.006.01

 オナニー勝負の結果、1位の菜月が予想通り自然排便を選んだ。2位の志津香は、迷った挙句ブタの精液を選んだ。ブランデーを浣腸される事になった杏奈は、恐怖で震えている。科学の知識など全くない風俗嬢だが、職業柄、アルコールの浣腸の危険性は知っているのだ。

最初に菜月の大便を食べる事になった。

エウドラが床に皿を置いた。

「わざわざ地球から物質転送で取り寄せた、ミントンとかいうブランドの皿よ。下等な地球人の為にそこまでするなんて、感謝してほしいわね」

たしかに高級そうな皿だ。

 エウドラが菜月に、皿の上に排便するのを命じた。菜月は一瞬だけ戸惑ったが、エウドラの手に握られている電撃棒を見ると、諦めたように皿の上に跨った。

由梨香が舌なめずりをするような目で、菜月の尻の下に置かれた皿を見つめている。早く大便が食べたくて仕方ないのだ。

「腸に溜まった大便を残らず出しなさい。もしも残っていたら、これを味わう事になるわよ?」
エウドラが電撃棒を軽く振ってみせた。それを見る菜月のが恐怖に引きつる。

菜月が腹に力を入れた。肛門がプックリと膨らみ、茶色い塊が顔を覗かせた。女なら絶対に他人に聞かれたくない破裂音を発しながら、野太い大便がひり出された。皿の上に『し』の形を作った。

304BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:26:16
ab.0251.Coprophagy Exp.006.02

由梨香がゴクリと唾を飲み込んだ。物欲しそうな目で、エウドラを見つめた。この場の主導権が誰にあるのか、分かっているのだ。

「フフフ。早く食べたくて仕方ないといった感じね。食べていいわよ」

エウドラが言い終えるや否や、由梨香が口を大きく開いて、大便に顔をつっこんだ。そのまま大便を大きく囓り取る。恍惚の表情を浮かべながら、咀嚼し始めた。たっぷり味わってから、一切の躊躇なくゴクリと飲み込んだ。

皿の上には、まだ大便が残っている。見ると、由梨香の歯形が残っている。それを再び噛り取って飲み込んだ。

 菜月ら3人の女達は、信じられないものを見るような目で、由梨香を見つめた。勤め先のSMクラブにも食糞プレイを希望する客は大勢来るが、大半の客は飲み込む事ができない。仮に飲み込めたとしても、吐き気をこらえながらだ。口いっぱいに頬張った大便を躊躇なく飲み込む、由梨香のようなマゾは滅多にいない。

周囲に大便のニオイが漂い始めた。エウドラがアンドロイドに消臭を命じた。

由梨香は皿の上に残っている大便を、まるで数日ぶりに餌にありついた野生動物のように、貪り食った。全て食べ終えると、皿に付着した大便の残りを舌で舐め取った。

口の周囲についた大便を指で取ると、その指を咥えてジュルジュルと音を立てながら吸った。

「アハハハ。綺麗に食べたわね。どう、美味しかった?」
由梨香を睥睨しながら、エウドラがおかしそうに笑った。

「はい、美味しかったですぅ」
由梨香が、大便で茶色くなった歯を見せながら答えた。

305BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/07(火) 20:27:24
◆ 目次 ◆
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>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

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>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>267-305 食糞実験

306BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:20:22
ab.0252.Coprophagy Exp.007.01

 由梨香は菜月の大便を食べ尽くしても、満足しなかった。今は、粘りつくような目で、志津香と杏奈を見つめている。

志津香にはブタの精液が、杏奈にはブランデーが浣腸される事となった。

ブタの精液は2リットルもあった。それに使用する浣腸器も巨大で、女の太股くらいある。ブランデーは、ボトル1本分が浣腸される。浣腸ではなく口から飲んでも、急性アルコール中毒を起こしてしまう量だ。

2人のSM嬢は、怯え切った目でアンドロイドの持つ浣腸器を見つめている。彼女たちを『女王様』と崇めてくれる者は、ここには1人もいない。

「まずは……そうねぇ、ブタの精液から始めましょ」
女王が、志津香に浣腸するように、アンドロイドに命じた。

307BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:20:59
ab.0253.Coprophagy Exp.007.02

 アンドロイドが志津香の腕を拘束した。志津香は必死に抵抗したが、マシンのパワーの前に人間は無力だ。あっという間に両脚を割り開かれて、肛門に浣腸器の先端を突っこまれる。志津香の悲鳴がむなしく響き渡った。

浣腸液の注入が始まった。巨大な浣腸器の中筒を押すにはかなりの力が必要だが、アンドロイドのパワーなら問題ない。

「あぅううう……」
志津香が呻き声をもらした。SMクラブで客に浣腸した事はなんどもあるが、自分がされるのは初めてだ。しかも直腸内に入ってくるのはブタの精液だから、そのおぞましさは格別だ。

浣腸用の精液は2リットルもある。見ると、浣腸液が注入されるにつれて、志津香の下腹部が妊婦のように膨らんでいった。同時に、膨らんだ腸が胃を圧迫して、吐き気が志津香を襲った。

「オ、オエ……、く、苦しい……。お、お腹が……、オエ……。ト、トイレに行かせて……」

浣腸が終わった後も、志津香は膨らんだ下腹部を両手で押さえながら、苦しそうに喘いだ。

「まだ出したらダメよ。もしも出したら、これで死ぬほど罰を与えるわよ?」
エウドラが手にした電撃棒を軽く振ってみせた。

志津香は小さく悲鳴をあげて、便が漏れ出さないように、片手で肛門を押さえた。

308BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:22:11
ab.0254.Coprophagy Exp.007.03

「次はブランデーよ?」
エウドラが杏奈に視線を移した。アンドロイドが杏奈に手をのばした。

「何さらすんじゃ、ぶっ殺すぞテメェ! キモイ手で触るんじゃねぇ!」

杏奈が、アンドロイドに向かって喚き散らした。SMクラブの客にも見せた事のない、ものすごい迫力だ。しかしどんなに凄んでも、感情のないアンドロイドの前では、非力な1人の女に過ぎない。結局、志津香よりも簡単に押さえつけられてしまった。

琥珀色の液体が満たされた浣腸器が肛門に突き刺り、注入が始まった。

「ギャアアア、い、痛い、痛い!」
アルコールが直腸の粘膜を焼くのか、杏奈の口から悲鳴が迸る。

30秒ほど時間をかけて、ボトル1本分のブランデーが、直腸内に注入された。

「あ、あぁ……あ……」
杏奈の額に脂汗がにじみ出てきた。さほど時間をかけずにアルコール度数40%を超える液体が腸から吸収され、急性アルコール中毒の症状を引き起こさせるだろう。

309BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:23:22
ab.0254.Coprophagy Exp.007.03

「次はブランデーよ?」
エウドラが杏奈に視線を移した。アンドロイドが杏奈に手をのばした。

「何さらすんじゃ、ぶっ殺すぞテメェ! キモイ手で触るんじゃねぇ!」

杏奈が、アンドロイドに向かって喚き散らした。SMクラブの客にも見せた事のない、ものすごい迫力だ。しかしどんなに凄んでも、感情のないアンドロイドの前では、非力な1人の女に過ぎない。結局、志津香よりも簡単に押さえつけられてしまった。

琥珀色の液体が満たされた浣腸器が肛門に突き刺り、注入が始まった。

「ギャアアア、い、痛い、痛い!」
アルコールが直腸の粘膜を焼くのか、杏奈の口から悲鳴が迸る。

30秒ほど時間をかけて、ボトル1本分のブランデーが、直腸内に注入された。

「あ、あぁ……あ……」
杏奈の額に脂汗がにじみ出てきた。さほど時間をかけずにアルコール度数40%を超える液体が腸から吸収され、急性アルコール中毒の症状を引き起こさせるだろう。

310BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:24:09
ab.0255.Coprophagy Exp.007.04

「ただ待っているのも退屈だから、少し遊びましょう」
エウドラが杏奈の方へ、何やら放り投げた。

「地球のSMクラブから入手した物よ。これを使って、その地球人の腸の中をかき混ぜてあげなさい」
そう言って、床の上で吐き気と便意に耐えている志津香を、顎でしゃくった。

 エウドラが放った物は、ペニスバンド――人工のペニスをベルトで腰に取り付けるアダルトグッズ――だった。主にレズビアン同士や、S女がM男のアナルを責める時に、ペニスの代用として使われれる。

「さっきオマエのオマンコを蹴った女よ? それに、その女のせいで、オマエはブランデーを浣腸される事になったのよ?」
エウドラは笑みを浮かべながら、杏奈を見下ろした。
「それを使って、好きなだけ復讐しなさい」

311BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:24:51
ab.0256.Coprophagy Exp.007.05

 杏奈はフラフラと立ち上がると、ペニスバンドを腰に装着した。SMクラブで働いていただけあって、手慣れた手つきだ。

志津香は逃げようとしたが、アンドロイドに取り押さえられ、四つん這いにされた。

杏奈は、志津香の尻を背後から鷲掴みにすると、肛門にペニスバンドの先端を当てた。そのまま男よりも荒々しく、腰を突き出した。憎しみすらこもっているような勢いだ。

「ギャアアアアアアアアア!」
志津香の絶叫が響き渡った。

杏奈が腰を前後に動かし始めた。
「ギャッ、ギャア! ヒィ! ヒィ! や、やめ……ヒィィィ……」
そのたびに、志津香が悲鳴をもらした。

見ると、肛門とペニスバンドの隙間から下痢便が漏れ出して、床の上に黄土色の水たまりができている。それを、由梨香は物欲しそうに見つめた。

「舐めていいわよ、Yurika」
エウドラが許可すると、由梨香はパッと顔を輝かせて、四つん這いになった志津香の腰の下に頭を潜り込ませた。そして床の上に溜まった下痢便を、ジュルジュルと音をさせながら啜り始めた。

「死ね、死ね、死ね!」
杏奈は、志津香を罵倒しながら、その肛門を犯し続けた。

「アハハハ。なんて浅ましいの? やっぱり地球人は下等生物ねぇ」
2人の姿を見ながら、エウドラがおかしそうに笑った。

312BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:25:25

ab.0257.Coprophagy Exp.007.06

 しばらくして、杏奈の腰の動きが遅くなり始めた。疲れたのではない。浣腸されたブランデーが、腸から吸収され始めたのだ。
「ウ、ア、ァ……ウ……」
半開きになった口から呻き声を漏らしながら、夢遊病者のように腰を振り始めた。見ると、顔が紅潮している。

「フフフ。あんなに激しく腰を振ったら、アルコールの回りが早くなる事も分からないの? ホント、下等生物ねぇ」
エウドラがクスクスと笑った。

ほどなくして、杏奈が昏倒した。

 志津香の肛門は、ペニスバンドが抜けた後もしばらく、ポッカリと開いたままだった。不思議と、便はほとんど漏れ出てこない。

「お、お願い……。トイレに行かせて……」
志津香は息も絶えだえになりながら、エウドラに懇願した。

「あら、便器ならそこにあるわよ?」
エウドラが由梨香を顎でしゃくった。由梨香の顔が、期待と喜びにパッと輝いた。その顔の鼻から下は、志津香の漏らした下痢便まみれだ。

「Yurika、肛門から直接飲みなさい」
エウドラが命じると、由梨香は、四つん這いの志津香の尻の割れ目に顔を埋めた。そしてまだ完全に閉じきらない肛門に吸い付いた。

313BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:25:55
ab.0258.Coprophagy Exp.007.07

 由梨香の口が肛門に吸い付くや否や、すでに便意が限界に達していた志津香は、一気に排便を始めた。

浣腸されたブタの精液だけで2リットルある。ペニスバンドで犯されている時に一部は漏れ出たとはいえ、かなりの排泄量になるはずだ。それを、由梨香は、全て胃に流し込んだ。

志津香が排便を終えると、由梨香が小さくゲップをした。細かった腹が、ポッコリと膨らんでいる。

「正直、驚いたわ。まさか全部飲み込んでしまうとは思っていなかったわ」
エウドラは感心したように由梨香を見つめた。

この我儘なネオガイア星人の女性科学者をここまで感心させた地球人は、後にも先にも由梨香1人だけだ。

「さて、あと1人いるけど……」
エウドラが杏奈に視線を移した。

杏奈は急性アルコール中毒を起こして、悶絶していた。かろうじて意識はあるが、身体の自由はきかない。

314BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:26:29

ab.0259.Coprophagy Exp.007.08

 エウドラはアンドロイドに命じて、長さ1メートル、太さ3センチほどの透明なチューブを用意させた。

「Yurika、飲み込みなさい。いい? 胃袋まで飲み込むのよ」

「はい」

由梨香はチューブを両手で握りしめると、その端を咥えた。そして太さが手首の半分ほどもあるそれを、自ら食道にねじ込み始めた。咽頭を擦られて嘔吐しそうになるのを、必死に抑える。

長さ1メートルほどあったチューブは、半分ほど残して、由梨香の食道におさまった。先端は胃に達しているだろう。

「いいわ。じゃあもう一方の端を、この地球人に肛門に突っ込みなさい」

「ふぁ……ふぁぃぃ」

由梨香は、エウドラの意図を悟って、期待に両目を輝かせた。自分の口から触手のように飛び出ているチューブを握り、杏奈の肛門にねじ込んだ。急性アルコール中毒を起こした杏奈は、されるがままだ。

由梨香の口と杏奈の肛門が、チューブで繋がった。しかし由梨香の期待に反して、直腸内に溜まっているはずの大便が流れてこない。

「フフフ。今たっぷりと飲ませてあげるわ?」
エウドラがクスクス笑いながら、杏奈の腹に電撃棒を押し当てた。

315BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:27:03
ab.0260.Coprophagy Exp.007.09

「ンギィィィィィ!」

弛緩状態だった杏奈の身体が、怪鳥のような絶叫とともに、弓なりに仰け反った。同時に、肛門から、黄土色の液体が噴き出した。

下痢便はゴボゴボと音をたてながらチューブ内を通り、由梨香の口の中に流れ込んだ。とたんに、2人分の大便を食べてすでに張っていた腹が、さらに膨らみ始めた。

由梨香が、胃に異様な圧迫を感じて、両目をキョロキョロさせた。それでも口のチューブを引き抜こうとはしなかった。

エウドラは、そんな由梨香を楽しそうに見物しながら、杏奈の身体に何度も何度も電撃棒を押し当てた。そのたびに杏奈の肛門から下痢便が噴き出し、チューブを通って由梨香の胃に流れ込んだ。

 突然、由梨香の両目がグルリと反転し、唇とチューブの間から黄土色の「液体が噴き出した。鼻の穴からも、同じ色の液が流れ出ている。そして両腕をガクガクと痙攣させたかと思うと、そのまま床に崩れ落ちた。見ると、腹は、まるで妊娠後期のそれのようだ。

「フフフ、マゾ化薬で真性マゾになったとはいえ、さすがに限界みたいね? でも実験はまだ終わっていないのよ?」

エウドラは、息も絶えだえの由梨香を冷たく睥睨すると、杏奈の身体に電撃棒を押し当てた。杏奈の肛門から、血の混じった下痢便が噴き出した。

316BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:27:34

ab.0261.Coprophagy Exp.007.10

 エウドラは、杏奈の肛門が便を放出しなくなるまで、電撃棒を杏奈の身体に何度も何度も押し当てた。
 
大便が出尽くす頃には、杏奈は完全に意識を失っていた。電撃棒を当てられても、身体を硬直させるが、悲鳴をあげる事はなくなっていた。電気ショックから解放されると、死体のように動かなかった。

由梨香も床の上で悶絶していた。かろうじて呼吸はしている。日本人らしいきめ細やかな肌は、ボツボツと毛穴が浮き上がり、紅潮している。杏奈に浣腸されたブランデーの多くが胃に流れ込み、杏奈と同じく、急性アルコール中毒を起こしたのだ。

 エウドラが、由梨香の口からチューブを引き抜くように、アンドロイドに命じた。アンドロイドがチューブを握り、無造作に引き抜いた。

「おげぇぇえええ……ゲェ、ゲボォ……」
チューブが引き抜かれると同時に、由梨香の口から、黄土色の液体が噴き出した。

数滴がエウドラのブーツにかかった。
「何するのよ! この下等生物!」
エウドラが、床に横たわったままの由梨香の乳房を、ブーツで踏んだ。しかし文字通り泥酔状態の由梨香は、小さく呻き声を発しただけだった。

「とりあえずはかなりの量の大便を食べる事ができるみたいね。私はシャワーを浴びてくるわ。Yurikaが飲み込んだ大便の量を測っておいてちょうだい」
エウドラはアンドロイドに命じると、「面倒くさかったわ」と不満をもらしながら、部屋を出て行った。

踏まれた時に由梨香の乳房から漏れた母乳に、この我儘なネイガイア女性科学者は気づいていなかった。

317BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/16(木) 20:29:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-317 食糞実験

318BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:36:04
ab.0262.Coprophagy Exp.008.01

 エウドラは自分の実験室に向かって全力疾走した。面倒くさいことが何よりも嫌いな彼女にとって、自分の足で走るのは苦行以外何物でもなかったが、今はそんな事を言ってる場合ではなかった。

 食糞実験に使用するため由梨香を収容所からレンタルする時、管理人のナルキッソスから、由梨香が別の実験に使用中だと聞かされた。

エウドラは、その『別の実験』というのはビーナスのマゾ化薬実験の事だと思った。マゾ化薬実験なら、ほぼ実験は終了していて、あとはSMスカウターでSM度を測定するだけだから、その測定前に食糞実験をしても問題ない――はずだった。

 食糞実験を終えたエウドラは、シャワを浴びてすっきりしたところで、ビーナスからメールが届いている事に気づいた。何気なくメールを開封して、エウドラは悲鳴をあげた。そこには、由梨香がラミアーの実験に使用されている旨が書かれていたのだ。

(まさかラミアーの実験中だったなんて……。もしも私の食糞実験のせいで、ラミアーの実験が失敗するような事になったら……)

ラミアーの地位は、エウドラや友人のビーナスはもちろん、その上司のアテナ、さらにはピタゴラス博士やメビウス博士よりも遥かに高い。ラミアーがその気になれば、エウドラを社会的に抹殺する事など朝飯前なのだ。

実際、ピタゴラス博士やメビウス博士も、ラミアーにだけは頭が上がらない。保身と出世しか考えない政治家などは、ラミアーのご機嫌を取ろうと必死だ。

エウドラは、友人のビーナスがラミアーに馴れ馴れしくタメ口をきいているのを見ては、背筋が凍り付きそうになったものだ。

319BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:36:35
ab.0263.Coprophagy Exp.008.02

 実験室に入って、室内を見たエウドラは、今日2度目の悲鳴をあげた。

由梨香は、志津香や杏奈が食糞実験後に漏らした大便を、身体に塗りたくりながら、オナニーしていた。顔も乳房も股間も大便まみれだ。大便を頬張りながら、片手で大便を乳房に塗り、もう一方の手で、オマンコをこすっている。

尿と違って大便は雑菌の巣で、腟に侵入すると、腟炎や膀胱炎のリスクがある。特に空気に触れると、そのリスクは高くなる。ローションのように身体に塗りながら、その大便がついた指をオマンコに出し入れするなど、危険極まりない行為だ。

「ちょ、ちょっと、何してんのよ!?」

「う、うんち、温かいですぅ」

「やめなさい、バカ! さ、最悪だわ。私、ラミアーの実験体に、とんでもない事してしまったわ」

エウドラは軽く眩暈をおぼえた。

「やめなさいと言ってるでしょ! この下等生物め!」

エウドラは由梨香を蹴ろうとしたが、思いとどまった。へたに蹴って由梨香の子宮を傷つけでもしたら、大変な事になる。

320BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:37:10
ab.0264.Coprophagy Exp.008.03

「どうする? 全てラミアーに打ち明ける? ダメダメ。そんな事したら、彼女『あらあらまぁまぁ』と言いながら、私を撃ち殺すわ」

エウドラは両手で頭を抱えた。

「Yurika、よく聞きなさい。アナタは私と会った事はないの。アナタは……、そう、ナルキッソスよ。ナルキッソスに命令されて、大便を食べたの。ナルキッソスよ。ナ、ル、キッ、ソ、ス。分かった?」

「なるそすですかぁ?」

「ナルキッソスよ、バカ! 私は……、宇宙へ旅に出るわ。あと数日でラミアーが帰ってくるんだもの。こんな所にはいられないわ。ピタゴラス博士の依頼なんて、もうどうでもいいわよ!」

エウドラは宇宙クルーザーをチャーターして、オリンポスを飛び立った。

321BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/17(金) 21:38:57
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

322BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:49:46
ab.0265.Grey vs Artemis.001.01

『グレイ襲来』

 アルテミスが地球での休暇を終え、宇宙船オリンポスに戻ってきて間もなく。そしてラミアーとビーナス、エウドラがバカンスで不在中。地球の衛星軌道上に停泊中のオリンポスに、重大な事件が起きようとしていた。

オリンポスのレーダー観測の任務に就いているアリストテレスが、地球に接近する小型宇宙船を発見した。早速、ソクラテスに通信回線を開く。

「小型の宇宙船が地球に接近中です」
「どこの宇宙船だ?」
「船籍は……あ、グレイです。どうしますか?」
「どうもこうもない。彼らのやる事には干渉できない」

 グレイは数千万年にわたって銀河系を支配している種族だ。当然ネオガイア星人よりも遥かに進んだテクノロジーを有している。ちなみにネオガイア星人は、今でこそ独立した国家を形成しているが、以前はグレイの家畜だったのだ。

グレイの小型宇宙船は、悠然とオリンポスの横を通過し、地球に向かっていった。

323BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:50:21
ab.0266.Grey vs Artemis.001.02

 その1時間後、ソクラテスに、銀河の彼方から通信が入った。発信元は銀河警察だった。銀河警察は、その名の通り、銀河系の治安を守る警察組織だ。その上層部は、グレイをはじめとする有力な星間種族で構成されている。残念ながら、その中に、ネオガイア星人の名はない。

回線を開くと、1人のグレイが映しだされた。
「私は銀河警察のヤ・グ・オイだ」

「銀河警察が何のご用ですか?」

「グレイの犯罪者が地球に潜入した。我々が到着するまで足止めをしてくれたまえ。よろしく頼んだぞ」

「ちょっと待……、あ、切れた」
ヤ・グ・オイは要件を告げると、ソクラテスの返事も聞かず、一方的に通信を切った。

(地球に潜入したグレイの犯罪者? あの小型宇宙船か……。これは大変な事になったぞ)
ソクラテスは、大急ぎで、ピタゴラス博士やメビウス博士といった主要メンバーを招集し、緊急会議を開いた。

 集まった面々は、ソクラテスから事情を聞かされて、ひどく動揺した。なんと言っても、相手はグレイの犯罪者だ。当然グレイ製の兵器で武装していると考えるべきだろう。戦闘になれば、かなりの被害が出る可能性がある。

ネオガイア宇宙軍の一個中隊を投入する――という案も出たが、ペルセウスの反対で却下された。地球奪還作戦を前にして、貴重な戦力を消耗したくないのだ。

324BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:50:59
ab.0267.Grey vs Artemis.001.03

 ソクラテスが妙案を思いついた。

「メビウス博士。たしか、地球人を改造した戦闘サイボーグがいましたね。そのサイボーグを投入する、というのはどうでしょう?」

「ASUKAだね。たしかに地球人のサイボーグなら、失っても惜しくない。しかし……」
メビウス博士が、困ったように頭を抱えた。
「グレイの犯罪者を相手に、ASUKA1体では、力不足と言わざるを得ない」

「そういえば、メビウス博士」
と、ピタゴラス博士。
「前に開発を依頼していた、地球奪還作戦のための新兵器はどうなったんだね? その新兵器とASUKAの2つなら、何とかなるのではないかね?」

「うむ、キュクロプスPとアルテミス君なら……、たしかに期待できる」
メビウス博士は、アルテミスの操縦するキュクロプスPの、予想を遥かに上回る性能を思い出した。

 この決定に、アルテミスの友人であるアテナは猛反対した。
「いくらなんでも、グレイの1個小隊を相手にするのは無理です。アルテミスが殺されてしまいます」

しかし、銀河警察の要請を断る事はできない。アテナは渋々、この決定を了承した。

325BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:51:36
ab.0268.Grey vs Artemis.001.04

 すぐさま、件の決定事項は、地球での休暇を終え宇宙船オリンポスに戻ってきたアルテミスに伝えられた。

(まさか、この世界にタイムトラベルして、いきなりグレイと戦闘になるとは思ってなかったわ)
さすがのアルテミスも、緊張の色を隠せない。しかし不思議と、恐怖はない。

 アルテミスがロボット格納庫に行くと、すでにASUKAが発進準備に入っていた。標準装備のレーザー銃とレーザーサーベル以外に、背中にバズーカー砲のような物を装備している。

「頑張りましょうね」
声をかけたが、ASUKAは何の反応も示さなかった。脳内に移植された端末に、すでに意識と肉体が支配されているのだ。

326BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/18(土) 11:53:20
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>>322-326 グレイ襲来

327BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:39:29
ab.0269.Grey vs Artemis.002.01

アルテミスがキュクロプスPに乗り込むと、
『アルテミス、聞こえる?』
通信機から、アテナの声がした。

「アテナなの? えぇ、聞こえるわ。なぜアテナと通信がつながってるの?」

『私だけじゃないわ。ここ、管制指令室には、メビウス博士やピタゴラス博士たちもいるわ。私たちで可能な限り、アルテミスをサポートするわ』

「ありがとう。心強いわ」

『アルテミス、出発の準備ができたらいつでも……、え? 何よ、これ。どうしてシートにこんな物が生えてるの!?』

キュクロプスPのコクピットは、メインモニターの上にカメラが設置されている。そのカメラを通してキュクロプスPのパイロットシートを見たアテナが、素っ頓狂な声をあげた。アテナは解剖医で、キュクロプスPの開発には携わっていない。だからキュクロプスPの操縦桿の事を知らなかったのだ。

『アルテミス、ちょっと待ってね』
そこで通信が切れた。その直後、オリンポスの管制指令室にアテナの金切り声が響き渡った。

328BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:40:07
ab.0270.Grey vs Artemis.002.02

「メビウス博士、これは、どういう事ですか!?」

「うむ。操縦桿を膣や直腸に挿入して機体をコントロールするという、画期的な……」

「画期的ですってぇ!? そんな所に操縦桿を挿入する事に、何の意味があるんですか!?」

「いや……、それはだな……」

「メビウス博士、アルテミスはネオガイア宇宙軍の兵士ですよ? その彼女に、こんな卑猥な事をさせるなんて、何を考えてるんですか!?」

「いや……、それはだな……」
メビウス博士はしどろもどろに答えるしかなかった。

「まぁまぁ、アテナ君。とりあえず今は緊急事態だ。アルテミス君には気の毒だが、このまま出撃してもらうしか……」
仲裁に入ったピタゴラス博士は、アテナの突き刺すような視線を受けて、口をつぐんだ。

「わ、分かりました。でも、このコクピットのカメラはOFFにさせてもらいます」
アテナは、メビウス博士をキッと睨むと、カメラの受信をOFFにした。そして、何事もなかったように、再びアルテミスに回線をつないだ。

329BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:41:27
ab.0271.Grey vs Artemis.002.03
「アテナ、どうかしたの?」
『いいえ、何でもないわ。それよりも、銀河警察からの情報によると、グレイの犯罪者は3人よ。全員、特殊戦闘服を着用しているわ。どう、大丈夫?』

「相手が正規軍ではなく一介の犯罪者で、銀河警察が到着するまで足止めするだけなら……、何とかなるわ」
『あのグレイを相手に何とかなるって……、さすがアルテミスだわ』

アルテミスはキュクロプスPのシートについた。敏感な3つの穴に操縦桿を侵入したが、今回はさすがに快感で悶える気にはなれなかった。ちなみに、コクピットに設置されたカメラはアテナが電源を切ったので、卑猥な姿の映像を見られる事はない。

「キュクロプスP、発進します」
キュクロプスPが、オリンポスを飛び立った。戦闘サイボーグのASUKAが、それに続いた。

330BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/24(金) 20:42:32
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>>322-330 グレイ襲来

331BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:50:42
ab.0272.Grey vs Artemis.003.01

 モスドナルドは全国にチェーン店を展開する大手ファストフード店である。主な商品は、サンタクロースに似た白髭の創業者が調理法を考案したという、牛丼だ。

牛丼のスパイシーな味付けとジューシーな歯ごたえに加えて、丼一杯がわずか300円程度、ホットコーヒーとホットカフェオレがお代わりOKというお得感もあって、どの店舗も賑わっている。

客層は、ランチタイムは、限られた時間内に昼食を終える必要のあるビジネスマンやOLが中心だが、昼の1時を過ぎる頃には、暇な中年女性客が店内を占拠しはじめる。

 その日も午後2時を回った頃、2人の中年女が、2人掛けのテーブルを3つ占拠しながら、店中に響きわたるような大声で話をしている。

「近所の田中さん。半年前に挨拶したのに、無視するのよ」
「えぇ!? それ、ヒトとして許されないわよねぇ」

2人の会話はどんどんエスカレートしていき、田中さんは、半年も前にたった1回挨拶を返さなかっただけで、人間失格の烙印まで押されてしまった。

見ると、他のテーブルも、中年女の客が興奮気味に語り合っている。どの話題も、お昼のワイドショーのように他人のゴシップだ。話す内容も、ワイドショーに出演するコメンテイターのように薄っぺらいものばかりだが、本人たちは、これもコメンテイター同様、まるで宇宙の真理でも発見したかのように、お互い頷き合いながら熱弁をふるっている。

332BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:51:15
ab.0273.Grey vs Artemis.003.02

 そんな中年女の客に混じって、仲の良さそうな母娘のテーブルが1つあった。

「綾香、進路は決まったの?」
「ううん、まだ決めてない。それよりJAP48のオーディションを受けたいんだけど、いいでしょ? ママ」
「JAP48? 何それ?」
「えぇえええ!? 知らないの? いま一番人気のあるアイドルグループなのに」
「じゃりんこクラブとかなら知ってるけど……」
「ふる!」

母親は20代後半で、かなりの美人だ。娘は小学生くらいだが、将来は母親と同じくらい美しくなるだろう。

333BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:51:48
ab.0274.Grey vs Artemis.003.03

 他には、男女2人組のテーブルがあった。男の名は吉岡輝夫。40代にして独身で無職、ずっと母親と2人暮らしをしている。

女の名は八谷早苗。化粧で誤魔化しているが、こちらも年齢は40代で、独身。以前はココ増岡という詐欺まがいの宝石販売業者の営業をしていたが、ココ増岡が詐欺で摘発され廃業した後は、サプリメントのマルチ商法に手を染めている。

早苗の手口は、年齢を偽ってお見合いパーティーなどに参加しては、カモになりそうなマヌケな男を物色し、色仕掛けでマルチ商法に勧誘するというものだ。吉岡もそんなマヌケの1人だった。

「吉岡さん、これは画期的なビジネスなんですよぉ。夢をかなえるチャンスですよぉ。すごいですよねぇ、夢がかなうんですよぉ?」

早苗は、テーブルの上に広げた紙にピラミッドのような絵を描きながら、必死に吉岡を勧誘していた。

必死になるのも当然で、早苗は借金まみれだった。ブランド物のスーツとバッグで羽振りが良いふりをしているが、自宅のアパートには売れ残りのサプリメントの在庫が山積みになっている。それらを売りさばく事ができなかったら、自己破産するしかない。

 早苗は必死だったが、吉岡は早苗の話など聞いていなかった。親と同居し、生活費も母親が出してくれるのだから、ビジネスなどに興味はないのだ。

334BiBi ◆8cBPUextJk:2019/05/28(火) 17:52:56
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

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>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-334 グレイ襲来

335BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:12:34
ab.0275.Grey vs Artemis.004.01

 モスドナルドの前に、奇妙な格好をした3人組が現れた。

「おい、姿を見せてもいいのか?」
「フフン。かまうものか。下等な地球人を相手に、わざわざ特殊戦闘服の透明化装置を使う必要などない」
「ウム、それもそうだな」

小型宇宙船から地上に転送されてきた、グレイの犯罪者たちだ。宇宙船は、上空に停泊している。

「え? 何あれ、何かのコスプレ?」
「うわ、キモ」

グレイの特殊戦闘服をコスプレと勘違いした地球人のカップルが、数千万年にわたって銀河系を支配し続けている種族を、恐れ気もなく指さしながらヘラヘラ笑い始めた。

「生意気な下等生物だ」

グレイの1人が、カップルに向けてレーザー銃を発射した。カップルは一瞬で消滅した。厳密には蒸発したのだが、レーザーのエネルギーが強力すぎて、マジックか魔法のようにパッと消滅したようにしか見えない。

「なんだ?」
「今、ヒトが消えたぞ」
「何、あの3人?」

周囲の人間たちが、異常に気付いて騒ぎ始めた。

「下等生物どもが騒ぎ始めたな。地球人など問題にならないが、もしも銀河警察が騒ぎを聞きつけてやって来たら、面倒だ。さっさと地球人どもを回収してしまおう」

グレイは特殊戦闘服の牽引ビームの発射装置を起動させた。

336BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:13:35
ab.0276.Grey vs Artemis.004.02

 グレイの特殊戦闘服には色々な機能が標準装備されていて、牽引ビームもその1つだ。このビームは、その名の通り物体を引き寄せる事ができる他、離れた場所に転送する事も出来る。

グレイは牽引転送ビームを使って、地球人を片っ端から狩り始めた。牽引ビームを照射された地球人は、はるか上空に停泊中の宇宙船に転送された。

グレイの牽引ビームは遮蔽物などおかまいなしに物体に照射する事ができる上、特殊戦闘服には透視装置も標準装備されているので、建物の中にいる人間も逃れようがなかった。

337BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:14:22
ab.0277.Grey vs Artemis.004.03

「そうよねぇ、だから田中さんの子供も非常識な……、え? 何?」
モスドナルド店内で田中さんを糾弾してた中年女が、外の騒ぎに気付いた。
「何、あの変な格好の3に……」
窓の外を指さしたその身体が、店の外から発射された牽引ビームを受けて、消滅した。正確には、宇宙船に転送されたのだ。

「ひぇええええええ!?」
田中さんについて一緒に熱く語り合っていた、もう1人の中年女が、怪鳥のような奇声をあげた。数秒後、この中年女も牽引ビームを受けて、奇声とともに消滅した。

この2人に続いて、店内にいた他の中年女たちも、次々と消滅していった。

338BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:15:06
ab.0278.Grey vs Artemis.004.04

「うわぁあああ、バケモノだぁあああ」

モスドナルドの店員が、窓の外にいるグレイを指さして叫んだ。マックジョブ労働者に、客を誘導して避難させる芸当などできるはずはなく、店員たちは客を置き去りにして、我先に外に逃げ出した。そして店の外に飛び出したところを、牽引ビームを浴びて、消滅した。


「うわぁあああ、うわぁあああ……」
早苗の話を聞くふりをしながらテーブルの下に潜ませた携帯で早苗のスカートの中を盗撮していた吉岡が、窓からグレイの姿を見ると、悲鳴をあげた。そして早苗の身体を盾にするように、その後ろに隠れた。

「ちょ、ちょっと離せよ! キモオタのマザコン!」
早苗がもがいて、吉岡の手に噛みついた。

「痛い、痛い、痛い!」
吉岡が、今にも死にそうな悲鳴をあげながら、暴れる早苗の後頭部を後ろから拳で殴り始めた。

「ぎゃ、ぎゃあああ! や、やめろぉ! 殴るんじゃねぇよ!」
「オマエこそ手を噛むなよぉ!」
2人とも自分だけは助かろうと必死だった。

339名無しさん:2019/06/09(日) 10:16:02
ab.0279.Grey vs Artemis.004.05

「綾香!」
「ママ!」

仲の良さそうな親子は、お互い抱きしめ合いながらブルブル震えている。店内にいた中年女の客は、1人残らず消えてしまった。あとは、吉岡と早苗の2人組と、自分たちだけだ。

「だ、大丈夫よ。ママが守ってあげるから」
窓の外にいる奇妙な格好をしたバケモノを、気丈にも睨み付けながら、久美子は娘を抱きしめた。

 これだけの災害にもかかわらず、警察や自衛隊の姿はなかった。とっくに誰かが通報しているはずなのだが……。

 グレイが親子に牽引ビームの発射口を向けた。

(お願い、誰か助けて……!)
久美子が目をかたく閉じた――その時、何かがぶつかるような轟音が鳴り響いた。

久美子がうっすらと目を開くと、先ほどまでバケモノがいた場所に、巨大なマシンが浮遊している。そのマシンを見上げて、久美子が、
「仮性包茎……?」
と、呟いた。綾香はかたく目を閉じたままだ。

340BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:16:58
ab.0280.Grey vs Artemis.004.06

「早く逃げなさい!」
その仮性包茎のペニスそっくりなマシンが、妙に艶のある少しハスキーな声を発した。

「え? あ、は、はい!」
久美子は綾香を抱きかかえるようにして、その場を脱出した。

見ると、吉岡と早苗は、母娘がグレイに狙われているどさくさに紛れて、とっくの昔に逃走済みだった。

 キュクロプスPのコクピットで、アルテミスは宇宙船オリンポスに通信回線を開いた。
「こちらアルテミス。地球に到着。グレイと接触したわ」

『大丈夫? 怪我はない?』
すぐに、アテナの声が返ってきた。不安げな、今にも泣きだしそうな声だ。過去、ネオガイア星人がグレイと直接交戦した事は一度もない。

「大丈夫よ。銀河警察の情報通り、グレイは3人いるわ。その内の1人に、キュクロプスPで体当たりしてやったわ」
『体当たり!? やっつけたの?』

「いいえ」
アルテミスはメインモニターを見据えながら、独り言のように答えた。

モニターには、強烈な体当たりを食らったのに平然と立ち上がるグレイの姿が映っていた。

341BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/09(日) 10:18:39
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-341 グレイ襲来

342BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:23:14
ab.0281.Grey vs Artemis.005.01

 キュクロプスPに体当たりされたグレイの隣に、残り2人のグレイが、周辺の地球人をあらかた狩り終えて戻ってきた。

(ASUKAはまだかしら……)
アルテミスは、サブモニターの1つでASUKAの位置を確認した。そのサブモニターはレーダーになっていて、ASUKAの位置が光点として点滅している。

 ASUKAは、キュクロプスPと一緒にオリンポスを飛び立ったが、速度や大気圏突入時の耐熱性能でキュクロプスPよりも劣るので、到着が数分遅れているのだ。

(特殊戦闘服を装着したグレイ3人と真正面から戦っても勝ち目はないわ。銀河警察が到着するまで、時間稼ぎしなくては……)

343BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:24:01
ab.0282.Grey vs Artemis.005.02

『いきなり不格好な形のマシンが現れたと思ったら……。オマエ、何者だ?』
体当たりを受けたグレイが、話しかけてきた。

「犯罪者相手に、名乗る必要などないわ!」

『犯罪者? 食材を調達しているだけだ。俺たちは美食家だからな』

「美食家にしては、随分と野蛮な調達方法ね?」

『下等な地球人をどう狩ろうと、俺たちの自由だ。ん……待てよ? 俺たちが犯罪者だと知っているという事は……、オマエ、銀河警察の回し者か!?』

グレイが慌てて周囲を見回した。

『センサーを見る限り、太陽系内に銀河警察の宇宙船の反応はないな』

(戦闘服のセンサーだけで、この一瞬で太陽系全域をスキャンできたの!?)

グレイの話を聞いて、アルテミスは、あらためてそのテクノロジーの高さに驚かされた。おもわず、唾をゴクリと飲み込む。

344BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:24:39
ab.0283.Grey vs Artemis.005.04

『センサーで確認できるのは、地球の衛星付近に停泊している原始的な宇宙船が1隻だけだ。データによると、ネオガイア星人の宇宙船だ。さてはオマエ、ネオガイア星人だな?』

「あら、ばれちゃったわね。銀河警察だと勘違いしていて欲しかったんだけど……」
不敵に浮かべた笑みは、どこか引きつっている。
「どうするの、グレイの犯罪者さん?」
銀河警察が到着するまで、会話を長引かせて少しでも時間を稼ぐ。

『ネオガイア星人ごときに、俺達グレイがコケにされてたまるか。思い上がったやつに目にもの見せてくれる!』
グレイがレーザー銃を構えた。

アルテミスの喉が、またコクリと上下した。グレイに銃を向けられるのは初めてだ。白兵戦コマンドとして数々の戦場をくぐり抜けてきたが、これほどの緊張と恐怖を感じた事はない。

「オリンポス。こちらアルテミス。今からグレイと戦闘を開始します」
もしかしたら最後になるかもしれない通信を終えると、操縦桿を挿入した腰をグイッと引いた。

345BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/14(金) 18:25:45
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

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>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-345 グレイ襲来

346BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:52:01
ab.0284.Grey vs Artemis.006.01

 キュクロプスPが、仮性包茎のような残像を残して、急上昇した。コンマ5秒で音速を超えて、数秒で音速の30倍まで加速した。ソニックブームが響きわたったが、すでに音速を超えているキュクロプスPにはその音は届かない。

あっという間に高度1万メートル以上まで上昇し、さらに加速し続ける。地球上のいかなる航空機もミサイルも、絶対に追尾不可能な圧倒的な速度だ。

そのキュクロプスPを、3人のグレイが悠然と見上げながら、
「なんてノロマな機体だ」
特殊戦闘服の下で、爬虫類型の顔に嘲笑を浮かべた。

347BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:52:38
ab.0285.Grey vs Artemis.006.02

 グレイは、特殊戦闘服を飛行モードに切り替えると、わずか1秒足らずで、キュクロプスPに追いついた。アルテミスがキュクロプスPを急旋回させた。この時の速度は、すでに秒速100キロメートルを超えている。しかしグレイは平然とキュクロプスPについてくる。

「やっぱり速度も機動力も、グレイの特殊戦闘服が上ね。それなら……」
アルテミスがキュクロプスPを一気に減速させた。グレイがキュクロプスPを追い抜く形で、キュクロプスPの前方に出た。

「レーザー砲発射」
キュクロプスPの先端、亀頭に似た部分からレーザー砲が発射された。グレイに命中した。しかしグレイの特殊戦闘服には個体バリアが張られていて、レーザー砲は全てバリアによって遮断されてしまった。

348BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:53:22
ab.0286.Grey vs Artemis.006.03

 グレイの1人がレーザー銃を構えた。アルテミスはキュクロプスPを急旋回させると同時に、バリアの出力を最大に上げた。そのバリアを、グレイの放ったレーザーがかすめた。それだけで、キュクロプスPのコクピットまで激しい衝撃が走った。

「状況を解析して!」
『ピピピ。当機のバリアに敵機のレーザーが接触。バリアが消滅しました』
キュクロプスPのメインコンピューター【Cyclops】が状況を報告する。

「たった1発かすめただけで!? バリアを再起動して」
『了解です』
高出力を誇るキュクロプスPの発電機だが、バリアの再起動には数秒を要する。その間にレーザーの直撃を受けたら、一巻の終わりだ。

(相手は軍ではなく、一介の犯罪者よ!? これが……グレイ……)
アルテミスの額に、汗がスジを引いた。

349BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:54:03
ab.0287.Grey vs Artemis.006.05

(2発目が来るわ!)
アルテミスは次の攻撃を本能的に察知して、キュクロプスPを急旋回させた。その直後、すぐ横をグレイの放ったレーザーが通過した。

アルテミスは、日本海の上空に出た。市街地の上だと地球人に被害が出る――そう、判断したのだ。


アルテミスは、キュクロプスPはさらに加速させた。速度は秒速600キロメートル。地球のいかなる戦闘機もミサイルも決して追いつけない速度だが、コクピットのサブモニターには、平然と後ろをついてくるグレイが映っている。

3人のグレイは、順番に1人1発ずつ、キュクロプスPにレーザー銃を発射していた。

(まるで遊び感覚ね)

グレイにとってはゲーム感覚の攻撃だが、アルテミスは天性ともいえる勘と操縦技術を最大限まで発揮して、レーザーを躱し続けるしかなかった。ギリギリ躱したレーザーが日本海の海中に吸い込まれていく。

350BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:54:33
ab.0288.Grey vs Artemis.006.05

 キュクロプスPの機動性が落ちてきた。かなり無理な動きをさせたので、機体に負担が蓄積しているのだ。グレイのレーザーを躱すのが、少しずつ難しくなっている。

グレイが18発目に放ったレーザーは躱せなかった。幸い、直撃ではなかった。レーザーはキュクロプスPのバリアをわずかにかすめて、そのまま日本海に吸い込まれていった。

次に放たれたレーザーが、キュクロプスPの機体をわずかにかすめた。地球の大気圏突入にも余裕で耐える外殻が、たったそれだけで蒸発した。

 オリンポスの管制指令室から戦況をモニタしているアテナが、メビウス博士に喚き散らした。
「ちょっと、何とかしてよ! アルテミスが殺されちゃうわ!」
「何とかといってもだな……」
「オリンポスのビーム砲でグレイを撃てばいいじゃない!」
「無茶言わんでくれ。相手はグレイだぞ? このオリンポスの位置から、地球上のグレイに命中させる事は不可能だ」
「役立たず!」

351BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/15(土) 10:56:23
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-351 グレイ襲来

352BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:38:13
ab.0289.Grey vs Artemis.007.01

(核爆弾を使うしかないのかしら)
キュクロプスPの後部に取り付けられている睾丸に似た2つの球体は、核爆弾だった。核爆弾がグレイの戦闘服に効果があるかどうかは分からないが、レーザー砲が全く通用しない以上、残された攻撃方法は核しかない。

(たしか威力は100メガトンだったわね。ここで100メガトンの核爆発を起こしたら、さっきの母娘も死んでしまうわね……)
現在の位置は日本海上空だが、ここで100メガトンの核爆発が起きたら、日本本土も無事では済まない。

(仕方ないわ)
核爆弾を起爆させようとした――その時、
『アルテミス君。ASUKAが到着した』
メビウス博士から通信が入った。

353BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:39:10
ab.0290.Grey vs Artemis.007.02

『戦闘用脳内端末の稼働率は、すでに100パーセントに上げている』
ASUKAの脳内には戦闘用の端末が移植されていて、それのおかげで、ベテラン兵士並の戦闘が可能になるのだ。端末の稼働率を100パーセントまで上げると、ASUKA自身にかなりの負担がかかるが、今はそんな事は言ってられない。

戦闘用脳内端末の稼働率を100パーセントに高められたASUKAは、ジグザグに飛びながら、グレイに向けてレーザー銃を連射しまくった。

レーザーは全て特殊戦闘服の個体バリアに遮断されたが、キュクロプスPを追撃するグレイの動きを乱すのには成功した。

「オリンポス。核爆弾の使用許可をください」
『いや、その前に、キュクロプスPにはもう1つ秘密兵器がある。Erectionモードだ』

(Erectionモード? たしか以前、メビウス博士からその単語を聞いた事があるわ)

『Erectionモードというのは、キュクロプスPを一時的にパワーアップさせる機能だ。起動すれば、全出力が6倍にアップする。ただし持続時間は3分間だけで、それが過ぎたら、逆に出力は30パーセントにダウンする』

アルテミスは、ヒト型ロボット兵器キュクロプスにも、『加速装置』という同じような機能があった事を思い出した。パイロットが絶頂に達すると起動する、というものだ。

354BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:39:44
ab.0291.Grey vs Artemis.007.03

サブモニターに、グレイの発射したレーザーを必死に躱すASUKAの姿が映っている。脳内の端末の稼働率を100パーセントに上げた影響か、顔が吐しゃ物まみれだ。動きも、明らかに動きが鈍くなっている。

「博士、ASUKAが限界です。早くErectionモードを起動しないと……」
『うむ。こちらから遠隔操作で、Erectionモードを起動させる。正確には、Erectionモードモードを起動させるために、キミに苦痛を与える』

『メビウス博士、なぜアルテミスが苦痛を感じないといけないのですか!?』
通信にアテナの声が割り込んだ。アテナはメビウス博士と同じ場所で、キュクロプスPの戦闘をモニターしているのだ。

『理論上はErectionモード終了後に出力が30パーセントに低下するだけなのだが、最悪の場合はキュクロプスPが大爆発を起こすかも知れない』

『そんな……』
アテナが絶句した。

『そんな危険を伴うErectionモードを、安易に使うわけにはいかない。パイロットが生命の危険に陥っている時、つまりひどい苦痛を感じている時にだけ起動するように設計されている』

『…………』
アテナの悲痛な吐息が聞こえた。

355BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:40:21
ab.0292.Grey vs Artemis.007.04

尿道用に挿入された操縦桿の付け根部分から、吸盤のような物が出てきて、アルテミスのクリトリスに吸い付いた。

『アルテミス君、それを使ってキミに苦痛を与える。どうか耐えてくれ』

「はい。耐えてみせます」
答えるアルテミス。心の中を占めるのが、苦痛への覚悟なのか期待なのか、それは本人にしか分からない。

吸盤からクリトリスに電気ショックが送られた。
「ヒギャアアアアアアアアア!」
アルテミスが手足を拘束されたまま、ガクガクと身体を痙攣させた。
「アヒィィィィィィィィ!」
吸盤が吸い付いた部分から、ブスブスと煙がたちのぼった。尿道口から、操縦桿を挿入されたまま、オシッコがジョロジョロと漏れだした。

キュクロプスPのパイロットシートに設置されたカメラは電源が切られているので、オリンポスの管制指令室からはアルテミスの姿を見る事はできないが、悲鳴は通信機から流れてくる。アルテミスの友人であるアテナが、耳を押さえてその場にうずくまった。

356BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:41:13
ab.0293.Grey vs Artemis.007.05

アルテミスが電気ショックを受けている間は、キュクロプスPは【Cyclops】が自動操縦する。しかし、アルテミスの天才的な操縦テクニックをもってしても逃げるのが精一杯というグレイを相手に、コンピューターの自動操縦では太刀打ちできない。

グレイのレーザーがキュクロプスPをかすめた。その衝撃だけで、機体が激しく揺れる。

『いかん! Erectionモードが起動するまでもたない。ASUKAの脳内端末の稼働率を200パーセントに上げるしかない』
メビウス博士が手元のコントローラーを操作した。

グレイがキュクロプスPに照準を合わせた、その瞬間、脳内端末の稼働率を200パーセントに高められたASUKAが、グレイに体当たりした。まさか体当たりをしてくると予想していなかったグレイは、特殊戦闘服にはかすり傷一つつかなかったものの、おもわずバランスを崩した。

『まだか? まだErectionモードは起動しないのか!』

357BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:41:53
ab.0294.Grey vs Artemis.007.06

電気ショックは、殴る蹴るといった暴行と比べて地味に見えるが、実は非常に強い痛覚を生む。実際の拷問にもしばしば使われて、どんな拷問にも屈服する事のない筋金入りのテロリストやスパイも、電気ショック拷問には耐える事ができない。

「ぎゃああああああああああああ……」
アルテミスの内腿の筋肉がビクビクと痙攣し、血管がムクムクと浮き上がった。しかし……。

「どういう事だ? なぜ、Erectionモードが起動しない?」
オリンポスの管制指令室で、メビウス博士が叫んだ。
「もうやめて! 銀河警察の要請なんか無視すればいいじゃない!」
アテナが金切り声で叫んだ。

メビウス博士にとっても、これは想定外の事態だった。アルテミスは重症の真性マゾなので、あらゆる苦痛が快感に変わる。だから、キュクロプスPのコンピューターは、アルテミスの苦痛を生命の危機と判断しなかったのだ。

358BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:42:51
ab.0295.Grey vs Artemis.007.07

 ASUKAの腰にレーザーが命中した。その1発で、ASUKAの下半身が、文字通り蒸発した。戦闘サイボーグは、煙の尾を引きながら墜落していった。

ASUKAを撃墜したグレイが、キュクロプスPにレーザー銃を向けた。

(あぁあああ……、も、もう駄目だわ。せめて絶頂してから死にたい……)
アルテミスは、クリトリスを襲う電気ショックの快感に悶えながら、敗北を確信した。

グレイがレーザーを発射した。少しかすっただけでもキュクロプスPのバリアを消滅させるレーザーは、バリアをあっさりと貫通し、キュクロプスPの機体を直撃した。

「あ、あ、あぁあああ……、イ、イクゥ……」
それと同時に、アルテミスのオマンコが潮を噴いた。

359BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/24(月) 22:44:40
◆ 目次 ◆
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>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

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>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

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>>267-321 食糞実験

>>322-359 グレイ襲来

360BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:49:06
ab.0296.Grey vs Artemis.008.01

 キュクロプスPは、ほぼ原形をとどめる事なく、日本海に落下していった。
「アルテミス!? あぁあああ、そんな……」
オリンポスの管制指令室で戦況をモニタしていたアテナが、絶叫した。
「ちょっと、何してるの!? はやくアルテミスを救助しなさいよ!」
アテナがペルセウスに詰め寄る。

その時、通信機に、
『こちら銀河警察だ。今、到着した』
銀河警察から通信が入った。

「遅いのよ、このバ……」
メビウス博士が慌てて、アテナの口を手でふさいだ。事情がどうであれ、銀河警察をバカ呼ばわりしたら、大変な事になる。

 同時に、空中に銀河警察の宇宙船が出現した。グレイの犯罪者たちがワープで逃亡を図った。グレイの戦闘服には、ワープ機能が備わっているのだ。

しかしワープする直前、その戦闘服にレーザー砲が命中した。日本海に墜落したASUKAが、最後の力をふりしぼって、背中のバズーカー砲のようなレーザー砲を発射したのだ。

個体バリアに守られたグレイの特殊戦闘服には傷1つつかなかったが、不意を突いた1発は、ワープを阻止するのに成功した。こうなってしまっては、戦闘服の兵装だけで銀河警察の宇宙船に対抗する事は不可能だ。グレイの犯罪者たちは、銀河警察に逮捕された。

361BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:49:43
ab.0297.Grey vs Artemis.008.02

 日本海に墜落したキュクロプスPとASUKAは、ネオガイア宇宙軍のレスキュー部隊によって回収された。
キュクロプスPは、ほぼ原形をとどめていなかった。もしキュクロプスPがバリアを張っていなかったら、キュクロプスPはアルテミスもろとも跡形もなく蒸発していただろう。
ASUKAは、一命はとりとめたが、下半身を完全に失っていた。

「アルテミス、アルテミス!? 聞こえる? アル……きゃあああ!」」
アテナは、キュクロプスPから担ぎ出されたアルテミスの姿を見て、絶叫した。解剖医の彼女は死体ですら見慣れているはずだが、それが友人の身体となると話は別だ。

キュクロプスPの緊急生命維持装置のおかげで、とりあえず心肺機能と脳への血液供給だけは維持されたが、身体はボロボロだった。

362BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:50:32
ab.0298.Grey vs Artemis.008.03

 アルテミスの治療のため、医者のアスクレピオスが呼ばれた。アスクレピオスはアテナの同期だ。
「うむ。生きているのが不思議なくらいだ。とりあえず脳だけでも保護しなくては」
「助ける事はできない?」
アテナがすがるような目で、アスクレピオスを見つめた。

「ネオガイア星の設備の整った病院なら何とかなるが、オリンポスの医療設備では難しいだろう」
「あぁあああ……、アルテミス。銀河警察の要請なんか無視すればよかったのよ」

「銀河警察? そうか、その手があった!」
アスクレピオスが、空中に停泊中の銀河警察の宇宙船に通信回線をつないだ。
「こちらネオガイア星人の医師アスクレピオスです。グレイの犯罪者との交戦で負傷したパイロットの治療をお願いします」

アスクレピオスの言葉を聞いて、アテナの顔がパッと輝いた。銀河警察は、グレイを筆頭に有力な星間種族で構成されていて、高度な医療技術を有している。アルテミスの治療も可能なはずだ。

 しかしアテナの思いに反して、銀河警察からの返答は非情だった。
「ネオガイア星人を治療しているほど、我々はヒマではない」

これに対してアスクレピオスが、
「ちょ、ちょっと待って下さい。パイロットは、銀河警察からの要請でグレイの犯罪者と交戦し、負傷したんですよ?」
抗議したが、銀河警察は、
「そもそも犯罪者3人を足止めするような簡単な任務で負傷するような無能なパイロットは、治療せずに死なせた方がいいのではないか?」
と冷たく言い放って、通信を切ってしまった。

363BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:51:07
ab.0299.Grey vs Artemis.008.04

「ば……馬鹿にして! 何様のつもりなのよ!」

アテナが回線の切れた通信機に向かって叫んだ。通信機を蹴ろうとするアテナを、アスクレピオスが止めた。

「アテナ、気持ちは分かるが、今はアルテミスの治療が最優先だ」

「そ、そうね……。アスクレピオス、彼女を助ける事はできる?」

「まぁ全く手段がない、というわけではない。彼女の脳を冷凍保存し、ネオガイア星に帰還した後、サイボーグのボディに移植するのだ」

「サイボーグ……。あの美しかったアルテミスがサイボーグになるの? そうね、死ぬよりはマシだものね……」

こうして、アルテミスは首の部分で切断され、頭部が冷凍保存される事となった。胴体部分は破棄された。またその際、頭蓋骨の損傷もひどかったので、超合金の人工頭蓋骨に置換された。

アテナは、アルテミスの首が収納された冷凍カプセルの前に、1人で立ちつくしていた。

364BiBi ◆8cBPUextJk:2019/06/27(木) 20:52:25
◆ 目次 ◆
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>>322-364 グレイ襲来

365BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:46:18
ab.0300.Pirate.002.01

『宇宙海賊 02』

 ネオガイア星人のラミアーとビーナスを乗せた宇宙クルーザーイリオンは、地球から30光年離れた宇宙域を航行中だった。操縦はメインコンピューターの【ILION】にまかせているので、2人はクラスLの豪華クルーザーの船旅を満喫する事ができた。窓の外には、宇宙旅行の観光名所の1つでもある、薔薇色ガス星雲が広がっている。

由梨香の出産予定日、つまりバカンスの終わりが間近に迫った日。優雅な時間が、突然【ILION】の音声に中断させられた。
『緊急事態発生。百足星人の海賊船の接近を探知しました』

「む……百足星人!?」
ビーナスが素っ頓狂な悲鳴をあげた。宇宙旅行者にとって、百足星人は最も会いたくない存在なのだ。

「き、緊急回避して!」
【ILION】に命じるラミアーの声も、緊張と恐怖で引きつっている

『緊急回避します。ワープエンジン起動。ワープまで6秒、4、3、2……、ワープ』

イリオンはカウント0と同時に、近距離のワープをした。同時に、バリアと物質転送妨害装置を起働。海賊船からの直接攻撃と船内への侵入を防ぐ。

『第1次ワープ完了。百足星人が本船を追尾中。SOS信号は、百足星人の妨害電波のため、発信不可能。第2次ワープまで9秒、7、6、5……』

イリオンが2回目のワープをした。その数秒後、今しがたまでイリオンがあった空間の近くに、百足星人の海賊船が出現した。

『第2次ワープ完了。百足星人は依然として本船を追尾中。第3次ワープまで15秒、13、12……』

「6秒、9秒、15秒……。徐々に長くなっているわ」
ビーナスが不安げに呟いた。

366BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:46:53
ab.0301.Pirate.002.02

 ワープは膨大なエネルギーを消費する。グレイの宇宙船なら間髪入れずに連続でワープが可能だが、イリオンはエネルギーのチャージに時間がかかるのだ。

『第3次ワープ完了。百足星人は依然として本船を追尾中。第4次ワープまで39秒、37、36……、3、2……、ワープ』

イリオンがワープしたのとほぼ同時に、百足星人の宇宙船が現れた。

『第4次ワープ完了。百足星人が本船を追尾中。第5次ワープまで78秒、77、76、75……。百足星人の宇宙船が、本船の後方に出現しました。第5次ワープ可能まで69秒。ワープによる回避は不可能です』

「こうなったら戦いましょ!」
ついにビーナスが叫んだ。その声は金切り声に近い。

「無理よ。グレイですら手を焼いている百足星人の海賊船に、ネオガイア星のクルーザーで戦っても勝ち目はないわ」
ラミアーの声は比較的冷静だが、緊張は隠せない。

「ワープは中止よ! エンジン最大出力、百足星人からできるだけ離れて!」

『了解です。エンジン最大出力。衝撃に注意してください』

直後、【ILION】が一気に加速した。加速による衝撃でラミアーとビーナスが床に転んだ。テーブルの上にあったゴルゴーン産のチョコチップクッキーが床にばら撒かれて、粉々に砕ける。

ビーナスは床に這いつくばりながら、両目をかたく閉じた。
(お願い、お願い、お願い……)
誰に祈っているのか、本人にも分からない。

367BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:47:27
ab.0302.Pirate.002.03

『百足星人の宇宙船が、本船に牽引ビームを照射しました。本船のエンジン出力では、脱出不可能です』
ビーナスの祈りを、【ILION】の音声が打ち砕いた。

【ILION】のアナウンスに続いて、
『ギギギ……。降伏しろ。抵抗は無意味だ』
通信機が、耳障りな声を発した。

百足星人の声帯の構造は独特で、声に、錆びた金属を擦り合わせるようなノイズが乗るのだ。

「ラミアー……?」
ビーナスが今にも泣きだしそうな顔で、ラミアーを見つめた。

「降伏するわ。欲しい物はあげるわ。だから命は助けて」
ラミアーはビーナスの手を握ると、緊張気味の声で答えた。

数秒の沈黙の後、
『ギギギ……。命は助けてやる。ただしオマエ達は奴隷として、我々の母星に連れて行く。栗鼠型星人の時は銀河警察の邪魔が入ったが、今回はそうはいかない』

百足星人の母星は、あまりにも危険すぎてグレイや銀河警察ですらうかつに手が出せない暗黒星雲内の、惑星ゲロリアンと言われている。そんな所に連れて行かれたら、脱出は絶対に不可能だ。

ビーナスは恐怖と絶望のあまり、気を失いそうになった――、その時。

『百足星人による牽引ビームが消失しました』
【ILION】が告げた。

「百足星人に最大出力でレーザー砲発射。同時に長距離ワープよ!」
『了解。レーザー砲発射。ワープします』

イリオンが百足星人の宇宙船にレーザー砲を発射した。百足星人の宇宙船が張っているバリアに、レーザー砲が命中し、眩い閃光を発した。レーザー砲のエネルギーは全てバリアで遮断されたが、百足星人の宇宙船が大きくよろめいた。それと同時にイリオンがワープした。

『ワープ完了。百足星人による追尾はありません。回避は成功しました』

368BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:48:16
ab.0303.Pirate.002.04

 百足星人の海賊船。船をコントロールする情報指令室。

「ギギギ……。なぜ牽引ビームが突然消えたのだ?」
1体の百足星人が、イリオンが消えた宇宙空間をモニタ越しに見つめながら、不思議そうに呟いた。

「ギギギ……。さっき栗鼠型星人の星で銀河警察から受けた攻撃で、システムに損傷したのだろう」
と、別の百足星人。百足星人は姿がよく似ているので、2体の区別がつかない。
      
「ギギギ……。銀河警察どもめ」
最初の百足星人が、食べかけの栗鼠型星人の死体を、忌々し気に床に吐き捨てた。

「ギギギ……。さっきの宇宙船の正体が分かったぞ。ネオガイア星人の宇宙船だ」

「ギギギ……。ネオガイア星人? あぁ、あのサルどもか。すると逃げた先はネオガイア星か?」

「ギギギ……。いや、ここから30光年離れた恒星系を目指していたみたいだ」
百足星人が操作すると、空間に、黄色い恒星とその周囲を回る青い惑星の映像が表示された。
「ギギギ……。これは面白い。そこの3番めの惑星には、ネオガイア星人の先祖が住んでいるらしい」

「ギギギ……ギギギ……」

百足星人の不気味な笑い声は、錆びた金属を擦り合わせたようなノイズのように聞こえた。

369BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/03(水) 20:50:41
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>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

370BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:55:01
ab.0304.Perfect Soldier.001.01

『パーフェクトソルジャー1』

 ここ宇宙船オリンポスの一画にある会議室に、ネオガイア星人の所要メンバーが、ピタゴラス博士に召集された。

集まったのは、ピタゴラス博士の他、暫定的に提督に選ばれたヘラクレスと、ソクラテス、メビウス博士、ウラノス博士、そしてペルセウスの6人だ。今回もクロノス博士は欠席していた。

「皆、忙しいところを、わざわざ集まってくれてありがとう」
ピタゴラス博士が集まった面々を見回した。
「さて、皆に集まってもらった理由は、例の地球奪還作戦について新しい懸念が生まれたからだ」

 地球はネオガイア星人の先祖の故郷だった。オリンポスで地球に帰ってきたネオガイア星人たちは、地球人の手から故郷を奪還する計画を立てていた。

地球人のテクノロジーはネオガイア星人よりも遥かに劣るので、宇宙船オリンポス1隻だけでも、地球奪還は可能なのだが……。

371BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:55:36
ab.0305.Perfect Soldier.001.02

「懸念というのは……、例のグレイの犯罪者を銀河警察が到着するまで足止めした、というネオガイア宇宙軍の兵士……、名前は何といったかね?」

「アルテミスですか? 私の部下で、非常に優秀な兵士ですが、何か彼女に問題でも?」
と、訝しげにペルセウス。

「そうそう、アルテミス君だ」
ピタゴラス博士がウンウンと頷いた。
「もちろん、そのアルテミ君自身には何の問題もない。むしろ、グレイを相手にあそこまで戦えたというのは、賞賛に値するだろう。しかし……」

ピタゴラス博士が、やや声のトーンを落として話を続けた。
「我々のテクノロジーは、グレイよりも遥かに劣る。たしかに、これは残念な事だ。しかし見方を変えると、そのおかげで我々はグレイの眼中にない、つまりグレイから警戒されずに済んでいる――、と言えるのではないかね?」

「つまり、アルテミスがグレイの犯罪者を相手にあそこまで戦えた事で、ネオガイア星人がグレイから警戒されるかも知れない――と?」

「そうだ。グレイは、自分達の銀河系支配の地位を脅かされる事を、何よりも警戒している。彼らには、『ネオガイア星人は取るに足らない下等種族だ』と思っていてもらう方が、安心できる」
ピタゴラス博士は、全員の顔を見回した。
「そこで、例の地球奪還作戦だが……、今は、地球を武力制圧するような目立つ行動は、避けた方が無難ではないかね?」

372BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:56:07
ab.0306.Perfect Soldier.001.03

「うむ。惑星を1つ武力制圧したくらいでグレイに警戒視されるとは思えないが……、何といっても相手はグレイだからな。リスクはできるだけ少ない方が良い」

「では、地球の奪還はどうする? 延期するかね?」

「いや、延期の必要はないだろう。地球人の適当な国を植民地にして、そこを拠点に、勢力範囲を広げていってはどうだろうか?」

「なるほど、それがいい」

「そうとなると……、どの国がいいかだな」

こうして皮肉にも、グレイの犯罪者が地球に襲来したおかげで、地球人はネオガイア星人による大量殺戮を免されたのだった。

373BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:56:38
ab.0307.Perfect Soldier.001.04

「そういえば、アテナ君の姿が見えないが……」
ピタゴラス博士が全員の顔を見回して、怪訝そうな顔をした。

「彼女はアルテミスの見舞いに行っています。2人は友人同士でしたし」
と、ペルセウス。

「そうか……。2人には気の毒な事をしたな。ちなみにアルテミス君の容体はどうなのだ?」

「頭部、つまり脳だけで冷凍保存されています。ネオガイア星に帰還して、サイボーグのボディに移植する予定です」

「たぐいまれな戦闘技術の持ち主だ。失うには惜しい」

「それについてなんだが」
ずっと無口だったウラノス博士が、口を開いた。
サイボーグではなく、元通りの身体に戻せるかもしれないぞ?」

374BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/09(火) 19:58:16
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

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>>85-107 キュクロプスP01〜04

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375BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:33:40
ab.0308.Perfect Soldier.002.01

『パーフェクトソルジャー2』

 ウラノス博士は、アルテミスの身体が、正確には首が冷凍保存されている部屋に向かった。保存カプセルの前には、簡易ベッドが置かれ、アテナが眠っていた。アルテミスの事で憔悴したのか、美しかった顔が少しやつれたように見える。

「アテナ君、起きたまえ」
「え? あ、ウラノス博士」

「これがアルテミス君か……。メビウス博士から美女だと聞かされていたが、これは想像以上の美しさだ」
ウラノス博士は、冷凍保存カプセル内のアルテミスの首を見て、小さくうなった。

「そういえば記録によると、アルテミス君の頭蓋骨は、超合金製に交換されているのだね?」
「はい。脳だけでも冷凍保存しようとしたのですが、頭蓋骨の損傷もひどくて……」
そう言って、アテナが涙ぐんだ。

376BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:40:24
ab.0309.Perfect Soldier.002.02

「アテナ君、涙をふきたまえ。実は今日は、良い知らせを持ってきたのだ。アルテミス君の肉体を、元通りにする事ができるぞ」

「ほ、本当ですか?」
アテナの涙で潤んだ瞳が、ぱぁっと明るくなった。

「うむ。私の研究していたパーフェクトソルジャー実験が、実用段階に入ってね。首さえあれば、胴体を再生する事も可能だ」

「じゃあアルテミスは完全に元通りになるのですね?」

「いや、完全に元通り、というのとは少し違う。傷の再生能力は、一生維持される。言うなれば、不死身の肉体に生まれ変わるのだ」

「不老不死ですか?」

「いや、不死身というだけで、不老ではない。ただし不死身体質によって、皺やシミといった老化現象も治るので、実年齢よりも若い容姿でいられるとは思うが、寿命が延びるわけではない」

「たとえ体質が変わったとしても、それでアルテミスが助かるのなら、私は嬉しいわ」
アテナの顔が、希望に輝いた。

377BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:40:58
ab.0310.Perfect Soldier.002.03

「アテナ君、実は問題は別にあるのだ。この処置には1週間を要するのだが、その間ずっと相当な苦痛がともなう」

「そ……そんな……。1週間も……」

「もしかしたら苦痛のあまり、精神に異常をきたすかもしれない。処置を受けるかどうかを、決定しなくてはいけない。しかしアルテミス君自身はこの状態だし、ネオガイア星にお住いのご両親は、ショックのせいで冷静な判断ができない精神状態だという。だから、友人であるキミに、決めてもらうしかない」

「私が?」
アテナは困惑の表情を浮かべた。冷凍保存カプセル内の、首だけになった友人を見つめながら、カプセルを指先で撫でた。

 そして、1分近くの無言の後、ウラノス博士の顔を真正面から見た。
「アルテミスは、女神のような美しさでした。その美しい肉体がサイボーグに変わるのは、私は我慢できません。処置をお願いします」
そして再び、アルテミスに視線を戻した。
「頑張って。1週間の我慢よ」
冷凍保存されたアルテミスに聞こえていない事は分かっていたが、そんな事はどうでもよかった。

378BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:41:37


ab.0311.Perfect Soldier.003.01

 ウラノス博士は、アンドロイドに命じて、DNAを変換して生物を不死身体質に改造する装置を持って来させた。

「ウラノス博士、この装置は……?」
「DNA変換装置だ。これによって不死身の肉体に変わるのだ」
「この装置で、アルテミスが元に戻るのですね……」
「まずは、アルテミス君の冷凍状態を解凍するぞ」

凍結されていたアルテミスの首が、解凍された。解凍と同時に、生命維持装置が脳への酸素の供給を開始する。

「アルテミス」
アテナが保存カプセル内を覗き込んだ。アルテミスの目はまだ虚ろで、アテナに気づいているのかどうかも、定かでない。口と声帯はあるが、肺がないので、声を出す事はできない。

「アルテミス、聞こえる?」
アテナは、保存カプセル内で首だけになった友人に話しかけた。
「ここはオリンポスの中よ。アナタはグレイの犯罪者との戦闘で重傷を負って、胴体を……、胴体を失ったの」

アテナがアルテミスの頭部をやさしく撫でた。解凍されたばかりのアルテミスの頭部は、氷のように冷たかった。アテナの目に涙が浮かんだ。

「でも大丈夫よ。今から、ウラノス博士がアナタを治してくれるわ。ただ……」
アテナの声が暗く落ちこんだ。
「ただ、それには苦痛が1週間続くの。辛いと思うけど、頑張って」

アテナは、アルテミスの口元に笑みが浮かんだような気がした。しかし、それが目の錯覚なのか、身体が元通りになる喜びからなのか、あるいは1週間続く苦痛への淫らな期待からなのかは、アテナには分からなかった。

379BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:42:12
ab.0312.Perfect Soldier.003.02

 アルテミスの頭部が、DNA変換装置のカプセルに入れられた。

「ではDNA変換処置を開始する」
ウラノス博士が、装置の起動スイッチをONにした。アルテミスの首が、紫色の放射線に包まれた。

次の瞬間、アルテミスの口が大きくOの字に開かれた。同時に両目も大きく見開かれ、見ると、瞳孔が散大している。肺がないので実際に声は出ないが、アルテミスは絶叫をあげていた。カプセルの中で、首だけの美女が声にならない絶叫をあげている様は、異様だった。

「あぁあああ……アルテミス、アルテミス……」
アテナは、その場にうずくまり、友人の名を呼び続けた。

 ウラノス博士は、DNA変換装置を操作する手を止め、アテナの肩に乗せた。
「アテナ君。この処置は、一度始めたら、途中で中断する事はできない。気の毒だが、アルテミス君には、この苦痛に1週間耐えてもらうしかないのだ」

「あぁ……、アルテミス。ごめんなさい、ごめんなさい……」
ブルブルと震えるアテナの肩の振動が、添えられたウラノス博士の手に伝わった。

「アテナ君。全ての処置は、DNA変換装置が自動でやってくれる。だから、我々がここにいる必要はないのだよ? ここにいても、アルテミス君の苦しむ姿を見るだけだ。キミはいったん、自分の居室に戻ってはどうかね?」

「こ……、ここにいます」
アテナは力なく呟いた。しかし次の日には、友人の苦悶の表情に耐えられず、逃げるように自分の居室に戻った。

380BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/18(木) 18:43:24
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381BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:23:09
ab.0313.Perfect Soldier.004.01

 アルテミスを不死身体質にするためのDNA変換処置が始まって、2日が経過した。この間、アテナは自分の居室に閉じこもったまま、仕事も休んでいた。

さて、当のアルテミスはというと、そんなアテナの心痛をよそに、絶え間なく襲ってくる苦痛にご満悦だった。

(アァアアア!? い、痛い……なんて苦痛なの。でも感じちゃう。ア!? だ、だめ、イク、イク、イッちゃう……、あ!? だめ、イケないわ。イケない、イケない、イケないのぉ!)

アルテミスは愛撫ではなく苦痛だけで絶頂に達する事ができる真性マゾだったが、首だけでは、いくら苦痛を感じても絶頂を迎える事ができないのだった。

(触れない!? 拘束されていないのに触れない。どうして、どうして触れないのぉ?)

アルテミスは自分が胴体を失っているという事を認識できなかった。絶頂を求めて、あるはずのない手で、あるはずのないオマンコを必死に弄ろうとした。

(アヒィィィ……、イ、イキたくてもイケない。イキたい、イキたい……、お願い、イカせて、一回、一回だけでいいからイカせてぇえええ! お願いよぉ……お……ぉ……)

アルテミスの両目がグルリと反転し、白目をむいた。その瞳から涙が流れ出たが、全て、保存カプセル内に満たされた保存液に溶けてしまった。

アルテミスは、すでに何度も失神していた。しかし……、
(ヒィ!? オ、オォオオオオ……)
そのたびに、凄まじい苦痛によって無理やり覚醒させられ、発狂寸前の快楽に失神した。

(アァアアア、痛いのもイケないのも、死ぬほど辛いけど……でも、い、いいわぁ。い、いい……、失神もイク事も許されないなんて、最高よぉ)

常人だったら1日ともたずにショック死してしまいそうな苦痛に苛まれながら、絶頂の一歩手前で焦らされ続ける。そんな無間地獄すら感じてしまう、アルテミスだった。

382BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:23:41
ab.0314.Perfect Soldier.005.01

 アルテミスのDNA変換処置が始まって、1週間が経過した。自分の居室でふさぎ込んでいるアテナのもとに、ウラノス博士から処置が終了したとの連絡が届いた。アルテミスは、医療エリアの病室に搬送されたという。

アテナが病室のドアをおそるおそる開けると、ウラノス博士と医師のアスクレピオスがいた。そして部屋の中央に置かれたベッドに、アルテミスが横たわっていた。見ると、肩までかけられた毛布が、呼吸に合わせて静かに上下している。

「ウラノス博士。アルテミスは……?」
「うむ。大丈夫だ。胴体部分は完全に再生している。グレイとの戦闘による傷はもちろん、それ以前の傷や痣も消えている」

「あぁ、良かった。本当に良かったわ」
アテナの瞳から、涙がこぼれ落ちた。ここ10日ほど何度泣いたか、アテナ自身も覚えていないが、今度は悲愴の涙ではない。

383名無しさん:2019/07/23(火) 17:24:13

ab.0315.Perfect Soldier.005.02

「少し気になるのは……、ウラノス博士の話では、不死身体質は体内の異物を排出する作用があるらしいのだが……」
と、アスクレピオス。
「移植された超合金の頭蓋骨だけは、なぜか除去される事なく、頭部に残ったままなのだよ」

「問題はないのですか?」
「いや、健康の問題は全くない」

「アルテミス……」
アテナは、アルテミスの頭をそっと撫でてみたが、見た目も触感も違和感はない。指にからみつく髪の感触は、まるで最高級のシルクのようだ。

「見るかね?」
そう言って、ウラノス博士が、アルテミスにかけられた毛布を腰の辺りまでずり下ろした。

アルテミスは、何も身につけていなかった。同性のアテナの目から見ても、おもわず見とれてしまいそうな美しさだった。

384BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:24:43

ab.0315.Perfect Soldier.005.02

「少し気になるのは……、ウラノス博士の話では、不死身体質は体内の異物を排出する作用があるらしいのだが……」
と、アスクレピオス。
「移植された超合金の頭蓋骨だけは、なぜか除去される事なく、頭部に残ったままなのだよ」

「問題はないのですか?」
「いや、健康の問題は全くない」

「アルテミス……」
アテナは、アルテミスの頭をそっと撫でてみたが、見た目も触感も違和感はない。指にからみつく髪の感触は、まるで最高級のシルクのようだ。

「見るかね?」
そう言って、ウラノス博士が、アルテミスにかけられた毛布を腰の辺りまでずり下ろした。

アルテミスは、何も身につけていなかった。同性のアテナの目から見ても、おもわず見とれてしまいそうな美しさだった。

385BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:25:16
ab.0316.Perfect Soldier.005.03

アテナはふと違和感を感じて、ウラノス博士を見た。
「もしかして、若返りました?」
「前にも話した通り、アルテミス君に施したDNA変換処置には、若返りの効力はないよ。たしか彼女は28歳だったね? ならば、肉体年齢は28歳のままだ」

「それにしては、これは……」
アテナは、アルテミスに視線を戻した。どんなに目を凝らしても傷どころかシミ1つ見られない。

「まぁアテナ君がそう感じるのも、無理はない。アルテミス君の肉体年齢はたしかに28歳だが、不死身体質が傷や痣だけでなく、シミやシワも消してしまうのだ。若返ったように見えるのは、そのせいだろう」

「これが28歳の身体……。皮膚の張りや艶は、20歳前後みたいだわ。ちょっと悔しいわ」
アテナは、なんとかシミの1つでも見つけようとアルテミスの身体を観察したが、結局1つも発見する事ができず、不満そうに口を尖らせた。

「さっきまであんなにアルテミス君の心配をしていたのに、無事だと分かったとたんにこれか。まったく女という生き物は……」
ウラノス博士が、ヤレヤレといった風に肩をすくめた。

386BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:25:50
ab.0317.Perfect Soldier.005.04

「ア……アテ……ナ?」
アルテミスが、うっすらと目を開いた。
「アルテミス! 目が覚めたのね? 良かった。本当に良かったわ」
アテナはアルテミスを抱きしめた。

アテナの瞳から、再び涙があふれ出てきた。その目の下には、アルテミスの事が心配で何日も泣き明かしてできた隈(くま)が、くっきりと刻まれている。
「アテナ……。私よりもひどい状態ね。美人が台無しよ?」
その隈に気づいたアルテミスが、微笑んだ。

「いいわね、こんな美肌になれて」
そう言って、アテナは再び口を尖らせた。アルテミスは、なぜアテナが拗ねているのか分からなかった。

387BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/23(火) 17:27:02
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388BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:11:49
ab.0318.Perfect Soldier.006.01

 2日後に、アルテミスは退院を許可された。退院までに何度か精密検査を受けたが、どこにも異常はなかった。それどころか、不死身体質のおかげで、以前よりも体調が良くなったほどだ。超合金の頭蓋骨は頭に埋まったままだが、特に支障はなかった。

 自室に戻ると、見舞いの手紙や品が山のように室内に積まれていた。差出人の名前を見ると、大半が友人や白兵戦コマンドの同僚からだったが、メビウス博士やピタゴラス博士の名前もあった。他にも、初めて見る名前もいくつかあったが、それらは全てアルテミスのファンの男たちだ。

たしかにネオガイア星人に大半はサディストだが、それはあくまで性的嗜好の話であって、友人や仲間を大切に思う気持ちは地球人と変わらないのだ。

 アルテミスは3Dミラーを起動し、自分の身体を確認してみた。

肉体は28歳のそれだが、不死身体質のおかげで、古傷はもちろん色素沈着などの加齢性の変化もなくなり、もっと若く見える。グレイの犯罪者との戦闘で受けた傷や、冷凍保存される際に首を切断された痕も、跡形もなく消えている。

頭を触ってみたが、超合金製の頭蓋骨が埋まっているとは、全く分からない。ウラノス博士から頭蓋骨の件を聞かされなかったら、自分でも全く気付かなかっただろう。

389BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:12:20
ab.0319.Perfect Soldier.006.02

(タイムトラベルする前は、超合金の仮面をかぶっていたんだけど……。まさか、この世界で超合金の頭蓋骨を移植されるとは、思ってなかったわ)

次に、自虐オナニーでピアスを装着した乳房と股間を確認してみたが、やはりピアスは1つも無かった。もともとグレイにキュクロプスPを撃墜された時点で、ピアスは肉片と一緒に千切れていたのだ。

手の甲を口に当て、皮膚を噛んだ。赤い蚯蚓腫れができたが、5秒とかけずに、もとの傷ひとつない皮膚に戻った。
(不死身体質にもどったみたいね)
再び3Dミラーに全身を映した。誰もが羨む美しい肢体だが、口から出てきたのは溜息だった。不死身体質に戻ったので、先日の自虐オナニーのような肉体改造はもうできなくなったのだ。

390BiBi ◆8cBPUextJk:2019/07/29(月) 20:13:30
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>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

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>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

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>>370-390 パーフェクトソルジャー

391BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:38:13
ab.0320.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらありません。完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

392BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:39:16
ab.0321.Prime Minister Hitsugi.01

『棺(ひつぎ)首相』

 ここで物語は、オリンポスが地球にたどり着く2年前に遡る。そして舞台は地球に移る。

日本は、数十年にわたり続いていた辞民党政権が選挙で敗れ、万年野党だった民捨党が政権に就いた。

民捨党の党首、すなわち棺首相には、年金や原発といった辞民党時代から山積みになっている数多くの問題に対処する能力が、歴代の辞民党党首に輪をかけて不足していた。

393BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:40:40
ab.0322.Prime Minister Hitsugi.02

 2年の歳月が流れ、宇宙の彼方からネオガイア星人がやって来た。ネオガイア星人達は姿を隠していたが、その後にやって来た3体のグレイは姿を隠す気などさらさらなく、白昼堂々と日本の市街地を急襲した。

 現地から届いた映像を見た棺首相は、警察の手におえる状況ではないと判断し、直ちに自衛隊に出動を命じた。 

ところが、自衛隊からは『道路が渋滞していて派遣が遅れる』との連絡が来て、それっきり電話が繋がらなくなった。自衛隊の助けもなく、市民たちは次々とグレイの餌食となっていった。

 アルテミスの活躍でグレイが逮捕され、宇宙人襲来という未曽有の危機は去ったが、日本の政界では相変わらず与野党の泥仕合が繰り広げられていた。

辞民党はここぞとばかりに、自衛隊の派遣が遅れた件で棺首相を糾弾した。ネット上には、様々な噂や憶測が飛び交った。中には、棺首相が自衛隊を妨害した――というデマまであった。

394BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:43:03
ab.0323.Prime Minister Hitsugi.03

 民捨党は次第に追い詰められていき、棺首相の辞任が囁かれ始めた。その棺首相に、思わぬ知らせが入った。

グレイとキュクロプスPの交戦中、グレイが放ったレーザーの1発が、日本海に位置する寸閣孤島に着弾した。グレイのレーザーは、寸閣孤島の岩だらけの地面を、豆腐のように切り裂いた。地殻がめくれ上がり、古い地層がむき出しになった。そこから、レアメタルの鉱脈が発見されたのだ。

 棺首相はこの知らせを聞いて、狂喜乱舞した。レアメタルの採掘が成功すれば、莫大な経済効果を生む。辞民党時代から続く不況が改善されれば、民捨党の支持率アップは間違いない。

(今まで辞民党の連中が甘い汁を吸ってきたが、今度は俺がいい思いをする番だ)

棺首相はニヤニヤ笑いながら、政治献金を出しそうな企業や個人のリストを作り始めた。その顔は政治家というよりも、時代劇に登場する強欲な商人のようだった。

395BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/08(木) 18:44:37
◆ 目次 ◆
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>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-395 棺(ひつぎ)首相

396BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:03:35
ab.0324.Prime Minister Hitsugi.04

 砂原知事は、東京都知事を何期も務め、カラス対策という輝かしい功績をあげた人物だった。 

グレイの犯罪者が日本の市街地を襲撃した時、砂原知事はガラパゴス諸島の視察中だった。

砂原知事は、宿泊先のエクアドル随一の高級ホテルのスイートルームで、ソファに腰をおろして眉間を軽く揉んだ。日本との往復はファーストクラスなので移動は快適だったが、さすがに疲れがたまっている。

視察は、エクアドル政府による高級レストランでの接待、ストリップショー、カジノ、ゴルフ、ハイブランド品のショッピングと、連日ハードなスケジュールが続いていた。明日からは、豪華クルーザーをチャーターしてガラパゴス近海を視察する予定だ。

397BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:04:21
ab.0325.Prime Minister Hitsugi.05

 砂原知事がそろそろ寝ようかと考えた時、ベッド横の電話が鳴った。
(こんな時間に誰だ? 女からの電話だったら切るぞ)
不機嫌そうに舌打ちをしてから、受話器を取った。

「夜分失礼します。防衛庁の鶉山(うずらやま)です」
返ってきたのは男の声だった。

(鶉山? 異邦人が俺に何の用だ?)
砂原知事は、意外な人物からの電話に、眉をひそめた。

 鶉山は防衛庁のキャリア官僚だった。日本でも有数の資産家の長男として生まれ、東京大学を首席で卒業、アメリカに留学し博士号を取得、帰国後は大学教授やシンクタンクの顧問を務め、官僚となった。

IQが180以上とも噂される優秀な頭脳の持ち主だが、生まれた時から敗北や挫折とは無縁の人生を歩んできたせいで、価値観が一般人と少しずれている。そして、ついたあだ名が『異邦人』だ。

398BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:05:12
ab.0326.Prime Minister Hitsugi.06

「防衛庁のキャリア官僚が俺に何の用だ?」

「寸閣孤島でレアメタルの鉱脈が発見された事はご存じですよね?」

「あぁ」

「もしもレアメタルの採掘で日本の景気が改善したら、民捨党の支持率がアップするでしょうねぇ」

「そんな事は分かってる。バカな事を言ってるんじゃないよ!」
砂原知事が忌々しげに吐き捨てた。辞民党と懇意にしていたこの知事は、民捨党を快く思っていないのだ。

「では、このレアメタルの発見を利用して民捨党を窮地に立たせる事ができるとしたら、どうします?」
不機嫌な砂原知事とは対照的に、鶉山の声からは、感情の起伏というものが全く感じられない。

399BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:06:27
ab.0327.Prime Minister Hitsugi.07

「はぁ? そんな事ができるのか?」

「はい。実は寸閣孤島は、個人の所有物なんです。だからレアメタルを採掘するには、所有者から島を買い取る必要があります。そこで……」
鶉山は一呼吸おいてから、言葉を続けた。
「寸閣孤島を東京都で買い取る、と発表して下さい」

「なるほど。寸閣孤島を東京都で買い取って、民捨党が手出しできなくするんだな」

「いいえ、少し違います。棺首相は、砂原知事の発表を聞いたら、レアメタル採掘の手柄を横取りされまいと、日本政府が寸閣孤島を買い取ると発表するはずです」

「そんな事はさせん!」
砂原知事は力強く頷いた。

「いえいえ。棺首相が日本政府で買い取ると発表したら、砂原知事は、東京都で買い取るという発表を取り消して下さい」

「はぁ!? どういう事だ? それじゃあ棺の手柄になってしまうじゃないか!」

「はい。それでいいんです。それで、砂原知事にしていただく事は終わりです」
鶉山は、そこまで告げると、短く別れを言って電話を切った。

砂原知事は、訳が分からず呆けた顔で電話機を見つめていたが、鶉山の指示通りにする事にした。鶉山という男は、考えている事は分からないが、ずば抜けた頭脳の持ち主だという事は分かっている。

400BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:07:33
ab.0328.Prime Minister Hitsugi.08

 砂原知事は、ガラパゴス諸島から日本に帰国すると、早速、東京都が寸閣孤島を買い取ると発表した。これを聞いた棺首相は慌てて、寸閣孤島を日本政府が買い取ると発表した。その直後、砂原知事は自分の発表を撤回した。

棺首相は、寸閣孤島に調査船団を派遣した。頭の中は支持率の事で一杯で、砂原知事が自身の発表をあっさり撤回した件を疑問に思うような余裕はなかった。

 調査船団派遣から数日後、棺首相のもとに秘書から連絡が入った。

「総理。寸閣孤島に派遣した調査団が、攻撃を受けました」

「何!?」

「中国の漁船から、銛(もり)で攻撃されているんです」

「何!? あれほど優遇してやったのに、中国人どもめ。すぐに警備艇を出動させろ。中国人どもに、日本の造船技術を思い知らせてやれ!」

警備艇が出動し、銛を投げる中国漁船に放水機で応戦した。

 もとからそりの合わなかった日本と中国の関係が、この寸閣孤島の一件でさらに悪化した。日本のレアメタル採掘は、連日のように押し寄せる中国漁船に阻まれて、完全に頓挫した。

 それまで寸閣孤島に関して全く言及をしていなかった辞民党が、ここぞとばかりに、レアメタル採掘の頓挫と日中関係悪化の件で民捨党を非難し始めた。

辞民党の追及に、棺首相は曖昧な回答を繰り返すだけだった。つい先日まで支持率の事しかなかった頭の中は、今はどうやって首相の座に留まるか、しかなかった。

 ネットの匿名掲示板では、民捨党を非難する様々な怪情報が飛び交った。普通なら会社や学校のある平日の昼間でもひたすら掲示板に書き込みを続ける、そんな投稿主の正体は謎に包まれていた。

民捨党の支持率は過去最低まで下がり、連日その記録を更新し続けた。寸閣孤島近海での日本警備艇と中国漁船の小競り合いの様子は、警備艇の乗員によって、ネット上に公開された。辞民党議員たちは、その映像を、笑い転げながら観ていた。

401BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:08:16

ab.0329.Prime Minister Hitsugi.09

 数日後、鶉山のもとに砂原知事から電話がかかってきた。

「おや? 砂原知事。何かご用でも?」

「どういう事だ? なんで中国がしゃしゃり出てくるんだ? 俺にも解るように説明しろ」

「おや、ご存じなかったんですか? 数十年前、辞民党は中国と、寸閣孤島の領有権問題を棚上げするとの密約を交わしていたんですよ」

「何!?」
砂原知事が素っ頓狂な声をあげた。

「そんな密約を交わしているにもかかわらず、棺首相は、寸閣孤島を国有化すると発表してしまったんですよ。中国にしてみれば、日本に密約を破られた、という事になります」

「それで中国の漁船が攻撃してきたのか……」

「はい。そんな事情を知らない棺首相にとっては、いきなり中国漁船から銛を撃たれた、という事になりますが」

「…………」
砂原知事は鶉山の奸計に驚かされたが、ふと疑問に思った。
「オイ、もし棺が密約の事を知っていたら、どうなっていたんだ?」

「その場合は、棺首相は『寸閣孤島を国有化する』なんて言わなかったでしょうねぇ……」

(コイツ……!)
砂原知事は小さく舌打ちをした。
(もしそうなったら、日中関係の悪化は、東京都で買い取ると発表したオレの責任になっていたぞ)

402BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:09:10
ab.0330.Prime Minister Hitsugi.10

「密約を利用したわけか……。だが真相が明るみになったら、オマエもタダでは済まなかったぞ?」

「それはご心配なく。僕は超エリートで、実家も資産家ですから、防衛庁をクビになっても平気です。先日も、母から2000万円のお小遣いもらいましたし」

(2000万だと?)
砂原知事は、鶉山の実家が日本でも有数の資産家だった事を思い出した。一族の資産は数百億円だという。

「最後に1つ訊いてもいいか? 民捨党と棺を嵌める、そんな目的のために日中関係を悪化させたのか?」

「ククク」
砂原知事の問いに対して、鶉山は鳩のような含み笑いだけを返すと、そのまま電話を切った。

403BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:10:09
ab.0331.Prime Minister Hitsugi.11

 密約の事を知らない棺首相と、密約を破られたと思い込んでいる中国は、お互いに一歩も退く気はなかった。

民捨党の支持率は下がり続けた。そして毎日のように辞民党から日中関係悪化の責任を問われ続けた棺首相は、任期を全うする事なく、辞任した。棺首相の辞任後に解散総選挙が行われ、民捨党は大敗、日本は再び辞民党政権となった。

 辞民党政権になって、寸閣孤島を国有化する案はいったん白紙に戻されたが、日中関係は改善しなかった。寸閣孤島近海には、中国漁船が毎日のように姿を現した。

中国に便乗するように、韓国が毒茸島の領有権を主張し、近海に漁船を送りこんできた。

日本は、この中国韓国の漁船に対抗するため、防衛予算を大幅に増大した。防衛庁も防衛省に格上げされた。防衛庁キャリア官僚の鶉山は、その功績を認められ、昇進と将来の天下りを保証された。

 棺元首相が件の密約の事を知ったのは、辞任後だった。この一件で人間不信に陥った棺は、日本行脚の旅に出ると言い残して姿を消した。

404BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/16(金) 00:12:47
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-404 棺(ひつぎ)首相

405BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:50:35
ab.0332.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

406BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:51:51
ab.0333.Prime Minister Dabu.01

『駄部(だぶ)首相』

 辞民党党首、すなわち日本首相には、駄部云三(だぶうんぞう)が就任した。

云三と書いて、『うんぞう』だ。云々(うんぬん)が決して『でんでん』とは読まないのと同じように、云三も『でんぞう』ではない。

駄部首相は、愛国心に燃える男だった。執務室の本棚には、悪の秘密結社やマッドサイエンティストから日本を守る合体ロボットや美少女戦隊の活躍を描いたコミックが、ぎっしりと並べられている。

駄部首相は就任早々、いくつもの改革を行った。その成果はすぐに表れた。平均賃金や求人倍率といった、政府が毎年発表している経済指数は軒並み改善した。同時に株価も上昇した。民捨党政権下の暗黒時代が、ようやく終わりを告げたのだった。

407BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:52:48
ab.0334.Prime Minister Dabu.02

 都内にあるアブホテルの一室。防衛庁キャリア官僚の鶉山は、ソファに腰掛けながら、TVで新政権発足の特別番組を見ていた。

『民捨党が消耗税を導入しました。民捨が年金を破綻させました。民捨が……』
TVモニタの中で、就任したばかりの駄部首相が、興奮気味に演説をしている。

「さっきからDabuは『ミンシャガー』を連呼しているが、たしか日本の消耗税は辞民党が導入したのではなかったかね?」
鶉山の背後から、やや外国訛りのある日本語がした。見ると、金髪碧眼の男が壁にもたれながら立っている。

「はい。消耗税だけじゃありませんよ。年金問題や原発問題など、駄部首相が民捨党の責任だと主張しているものは、全て辞民党時代に起きています」

「つまり自国民を騙しているという事かね?」
金髪碧眼の男は、呆れたように肩をすくめた。

「フフフ。印象操作ですよ。寸閣孤島のどさくさに紛れて、悪い事を全て民捨党の責任にして、『辞民党なら日本は良くなる』と国民に印象付けるんです」
鶉山がニコリと微笑んだ。


「なるほど。まぁそれでも、結果的に平均賃金や求人倍率が改善したのだから、印象操作も政策としては悪くないな」

408BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:53:24
ab.0335.Prime Minister Dabu.03

「フフフ。それにはからくりがあるんです。平均賃金は大企業の正規雇用者だけで算出して、その一方で、求人倍率は非正規雇用の求人も合算しているんですよ。ちなみに株価は、年金や国庫金で大量に株を買ってつり上げたんです」

「それも印象操作かね?」

「フフフ。アナタのご祖父も、同じ方法で政権をお取りになったでしょう?」

「私の祖父を、こんな男と一緒にしないでくれたまえ」

金髪碧眼の男は鼻で笑うと、TVを顎でしゃくった。TVモニタの中では、駄部首相が『ミンシャガー』を連呼していた。

409BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:54:00
ab.0336.Prime Minister Dabu.04

「それにしても……、なぜアナタほどの人物が、こんなホテルに宿泊なさってるんですか?」
鶉山はそう言うと、室内を見回した。

「ん? 客室に置かれているこの本が気に入ったんだよ」
男は、ベッドの上に置かれた1冊の本を顎でしゃくった。

鶉山は本を手に取って、ペラペラとページをめくった。
「えぇと……、ユダヤ人は利益をタックスヘイブンに動かし税金を……。なるほど、たしかにアナタの好きそうな本ですね」

「素晴らしい著書だと思わないかね?」

「それにしてもこのホテル、耐震性とか大丈夫なんですかね?」
鶉山は、男の問いには答えず、壁を軽く叩いてみた。カポカポと音がした。

410BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:54:43
ab.0337.Prime Minister Dabu.05

 場所は変わって、東京都の某所。

2人の女子高生が、スマホをいじりながら話していた。2人とも、制服を着ていなかったら、キャバクラ嬢にしか見えない。

「ねぇねぇ聞いて。あの3人組って、宇宙人だったらしいよ」
1人がスマホを見ながら、小さく叫んだ。

「3人組? あぁ、あの包茎ロボットとバトルしたって奴?」

「そうそう」

「それって、どこ情報?」

「これ。ネットの書き込み」
そう言って、スマホの画面を見せた。

「あ、ホントだ。じゃあガチ情報じゃん。けど包茎ロボットって、マジうけるんだけどぉ」

そんな女子高生の横を、時代遅れの帽子とトレンチコートを着た中年の男が通り過ぎた。

「うわ、ダサすぎぃ。今時あんな帽子とトレンチコート無いよね」
女子高生たちが、男の背中を指さしながらケラケラ笑った。

「誰でも匿名で好きな事を書き込めるインタアネットの掲示板ってのを信じるようじゃあ、日本も終わりだな」

男は呆れたように呟くと、片手をあげてタクシーを停めた。

「警視庁まで頼む。領収書も頼む」
男はそう言うと、窓の外を無言で見つめた。

411BiBi ◆8cBPUextJk:2019/08/28(水) 18:56:14
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

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>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

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>>391-411 首相

412BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:51:13
ab.0338.Cyclops-P.10.01

『キュクロプスP 10』


「アァアアア……す、すごいわぁ」

地球の衛星軌道上に停泊中の宇宙船オリンポスの周囲を、包茎ペニスに似たマシンが、高速で旋回していた。有人ロボット兵器キュクロプスPだ。そのコクピットの中で、パイロットのアルテミスが淫らに腰を振っていた。

キュクロプスPは、ネオガイア星人の地球奪還作戦の要として開発された兵器である。その操縦方法は特殊だった。パイロットシートに3本の操縦桿が生えていて、パイロットは腟と直腸、そして尿道に挿入して機体を操るのだ。

今もアルテミスの敏感に肉穴に、3本の操縦桿が深々と刺さっている。見ると、オマンコに挿入された操縦桿の表面には、血がスジを引いている。不死身体質によって再生した処女膜を、操縦桿が突き破ったのだ。

413BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:52:27
ab.0339.Cyclops-P.05.02

 今オリンポスの周囲を飛んでいるキュクロプスPは、正確には2号機だった。先代のキュクロプスPは、グレイの犯罪者との戦闘で破壊されてしまった。今日は、この新造のキュクロプスP2号機のテスト飛行の日だった。

 グレイとの戦闘で傷ついたのは、キュクロプスPだけではなかった。開発者のメビウス博士のプライドも、いたく傷ついていた。

メビウス博士は友人のピタゴラス博士と2人で、ロボット研究所から、キュクロプスPのテスト飛行の様子を見ていた。キュクロプスPは、テスト飛行用に指定された軌道を、寸分も外れる事なく正確かつ超高速で飛行している。

「アルテミス君の操縦技術は凄い。その彼女が操縦していたのに、グレイに撃墜されてしまった。私の開発したキュクロプスPの性能が低かったからだ」

ガックリと肩を落とすメビウス博士を、ピタゴラス博士が心配そうに見た。

「ま、まぁ、メビウス博士。正規軍ではなく一介の犯罪者とはいえ、相手は特殊戦闘服で武装したグレイ3体だ。撃墜されても仕方なかろう?」

「そうなのだよ。正規軍ならまだしも、一介の犯罪者に撃墜されてしまったのだよ……」

ピタゴラス博士が励まそうとしたが、メビウス博士は更に落ち込んでしまった。

414BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:53:30
ab.0340.Cyclops-P.10.03

「メビウス博士、そんなに気を落とさないでくれ。グレイとの戦闘を参考にして、キュクロプスPを改良すればいいじゃないか。キミにはその才能があるのだ」
ピタゴラス博士は、なんとか友人を力づけようとした。

「キュクロプスPを改良か……」
メビウス博士は自分の手をじっと見つめた。その手で拳を握りしめると、
「そうだな。ありがとう、ピタゴラス博士。元気が出たよ」
ピタゴラス博士に力強く頷いた。

「ウム。その意気だ。キミには凡人にはない独創性と閃きがある。自信を持ちたまえ」
ピタゴラス博士も、力強く頷き返した。

「そういえば、メビウス博士。独創性で思い出したのだが、キュクロプスPの3本の操縦桿について、伝えておかないといけない事があるのだ」

「ん? 何かね?」

「アテナ君がアルテミス君の友人だという事は、知っているね? 実は、あの操縦桿の事で、彼女がかなりご立腹でね。グレイの時は緊急事態という事もあって我慢してくれたのだが、次はセクハラでキミを訴えかねないぞ?」

415BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:54:14
ab.0341.Cyclops-P.10.04

 アテナは、アルテミスの友人だった。前回のグレイとの戦闘時に、自分の友人が操縦桿を股間の穴に挿入してキュクロプスPを操縦している事を知って、激怒したのだ。実際は、真性マゾのアルテミスは操縦桿を挿入する事を悦んでいるのだが、アテナはアルテミスの性的嗜好を知らない。

「実を言うと私も疑問なのだよ。操縦桿を股間に挿入する事に、何か意味があるのかね?」

そう尋ねるピタゴラス博士に、メビウス博士は意外そうな顔をした。

「ん? 分からないかね? 想像したまえ。アルテミス君のような美女が、敏感な肉穴を操縦桿で突かれる苦痛と快感に耐えながら、戦闘ロボットを操縦するのだよ? これこそ、サディストのロマンではないか!」

メビウス博士が、胸の前で拳をキュッと握った。見ると、青い目がキラキラ輝いている。

「…………」
ピタゴラス博士は、ヤレヤレといった風に、指でこめかみを押さえた。

『アァアアア……す、すごいわぁ』
その時、キュクロプスPと繋がったままの通信機から、アルテミスの喘ぎ声が聞こえた。

416BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:54:56


ab.0342.Cyclops-P.10.05

「そう言えば……メビウス博士。さっきから気になっていたんだいが、アルテミス君の声が快感の喘ぎ声に聞こえないかね?」

「いや、それはないだろう。重症のマゾでもない限り、あの操縦桿を挿入して快感を得られるとは思えない。きっとピタゴラス博士の気のせいだろう」

ネオガイア星人の中でマゾは極めて稀な存在なので、2人とも、アルテミスがマゾだとは想像もしていなかった。

『あぁあああ……た、堪らないわぁ』

「それにしても卑猥な声だな」
2人の科学者は、とりあえずネオガイア宇宙軍随一の美女と謳われる女の卑猥な声を、鑑賞することにした。

417BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/02(月) 18:57:08
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-417 キュクロプスP10

418BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:53:24
ab.0343.Cyclops-P.10.06

 新造キュクロプスPのテスト飛行は、順調に進行していた。宇宙船オリンポスの周囲に投影された、複数のリングの立体映像を順番にくぐり抜けていく。宇宙戦闘機のA級ライセンスを持つアルテミスにとっては、舗装された道を自転車で走るようなものだ。

 コクピット内の状況をオリンポスに伝えているのは、マイクとスピーカーだけだった。カメラも設置されているのだが、アテナがキュクロプスPのあまりにも卑猥な操縦システムに激怒して、緊急時以外のカメラの使用に猛反対したのだ。

実際は、真性マゾのアルテミスは、操縦桿を股間で咥えて悶える姿を見られたがっていたのだが、アテナの気遣いを無碍にする事はできなかった。

そんなわけで、メビウス博士とピタゴラス博士は、ネオガイア宇宙軍随一と謳われる美女の悶える姿を見る事ができなかった。

419BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:54:37
ab.0344.Cyclops-P.10.07

 キュクロプスPのコクピットでは、アルテミスがオマンコと肛門、そして尿道に操縦桿を咥えながら悶えていた。腰を動かすたびに、3本の操縦桿が敏感な肉穴を刺激する。不死身体質によって再生した処女膜を操縦桿に突き破られた痛みは、すでに消えている。見ると、三角木馬に似たシートの上には、淫液と破瓜の血がベットリとついている。

 アルテミスは、思い切り腰を振りたいという欲求に、必死に耐えていた。操縦桿を挿入したままそんな事をしたら、キュクロプスPがどんな動きをするか予想がつかず、テスト飛行にならないのからだ。

せめて手で乳房でも揉めれば良かったのだが、両手は天井から吊り革のように垂れ下がった、脳波センサー内蔵のリングに通されていて、それもできない。

「はぁはぁはぁ……」

どんな苦痛にも耐える真性マゾも、性欲を抑えるのは辛いらしく、リングに通した手首の先で、握りしめた拳がブルブルと震えている。

「アァアアア……つ、辛いわ……」
思わず出てしまった言葉に、
『辛い? アルテミス君、どうしたんだね?』
スピーカーから、メビウス博士の心配そうな声が返ってきた。

『やはり操縦桿を挿入するというのは、無理があるのではないか? このままだと、本当にアテナ君に訴えられるぞ?』
ピタゴラス博士のやや焦り気味の声が、それに続いた。

 コクピットのカメラは電源を切られているので、今2人に届いているのは声だけだ。アテナと同じく2人もアルテミスの性的嗜好を知らないので、当人が快感に悶えているとは、思っていないのだ。

『アルテミス君、大丈夫かね? キュクロプスPの操縦はどうだね?』

「はぁ、はぁ……、快感ですわ」

『そうか、快適か。それなら良いのだが……、え、快感?』

「アァアアア、たまらないわぁあああ!」

420BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:55:40
ab.0345.Cyclops-P.10.08

 宇宙空間に立体投影されたリングをそれまで完璧にくぐり抜けていたキュクロプスPが、突然リングを外した。

「あ、ダメ……」
アルテミスが自分の股間を見下ろした。

『どうしたんだね? 今まで外した事などなかったのに。やっぱり、その操縦システムが辛いのかね?』
スピーカーから、メビウス博士の声がした。

「も、申し訳ありません。操縦桿が滑って抜けてしまいました」
抜けてしまったのは、腟に挿入されていた操縦桿だった。見ると、表面が淫液でドロドロになっている。

(そういえば、以前にも同じような事があったわね)

アルテミスは、この時間軸にタイムトラベルする前の世界でも、ヒト型巨大ロボット兵器キュクロプスの操縦中に操縦桿が淫液で滑って抜けた事を、思い出した。

(グレイとの戦闘時には操縦桿が抜ける事はなかったから、すっかり忘れていたわ)

グレイとの戦闘時は、快感を感じているような余裕がなかったので、淫液自体が分泌されていなかったのだ。

 アルテミスは、シートに股間を擦りつけて淫液を拭き取ると、抜けた操縦桿を再び挿入し直した。

「もう大丈夫です。機体のコントロールは回復しました」

『うむ。とりあえず今日のテスト飛行は、これで終了しよう。オリンポスに帰還してくれたまえ』

「了解」
アルテミスはキュクロプスPの進路を、オリンポスのロボット格納庫にとった。

421BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:56:37
ab.0346.Cyclops-P.10.09

 宇宙船オリンポスのロボット研究所では、
「うぅむ。まさか操縦桿が滑って抜けてしまうとは……。これは改良の余地がありそうだな」
メビウス博士は胸の前で両腕を組みながら、ウンウンと何度も頷いた。

(それ以前に、股間に挿入したりせずに、通常の操縦桿にすれば良いのではないか?)
と、ピタゴラス博士は思った。

422BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/14(土) 19:57:48
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

423BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:02:18
ab.0347.Lamia.birth.06.01

『ラミアー 出産実験06』

 ラミアーとビーナスを乗せた宇宙クルーザーイリオンは、百足星人の襲撃を受けたため、バカンスを1日早く切り上げて宇宙船オリンポスに帰った。それは、バカンスで出かけて12日め、妊娠実験の実験体由梨香の出産予定日の2日前だった。

 イリオンがオリンポスにドッキングすると、ソクラテスとピタゴラス博士がとんで来た。2人とも正装をしている。そしてイリオンからラミアーとビーナスが姿を現すと、直立不動になった。

「ラミアー博士。イリオンから、百足星人の襲撃を受けたとSOS信号を受けたので、心配しておりました。でもご無事で良かったです」

「あらあらまぁまぁ、大袈裟ねぇ」

「ビーナス君も無事で良かった。アテナ君も心配していたよ。彼女は自室にいる。元気な姿を見せてあげたまえ」

「はい」
立ち去ろうとするビーナスを、ラミアーが呼び止めた。

「これをアテナにお渡しして。お土産よ」
そして脇に抱えていた箱を手に取り、シャカシャカと振った。

「あ! ナニ振ってるのよ、バカ!」
それを見たビーナスが叫んだ。

ギョッとしたソクラテスが、ビーナスに、
「ビーナス君。今、ラミアー博士に『バカ』って……」
と、小声で囁いた。

「はい。だって、あれゴルゴーン産チョコチップクッキーの箱詰めなんですよ」

「ゴルゴ……て、あの!? 箱詰めなんて初めて見たぞ」
1つの値段が、反重力バイク数台分という超高級菓子だ。さすがのソクラテスも驚きを隠せない。
「しかし、いくらなんでもラミアー博士に向かって『バカ』と言うのは……」

「甘やかしたらダメです。誰かがビシッと厳しく言わないと……」

「ビシッと厳しくって……」
ピタゴラス博士も戸惑い気味に、ラミアーを横目でチラチラ見ている。それだけラミアーの地位は高いのだ。

424BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:03:41
ab.0348.Lamia.birth.06.02

 ビーナスがアテナの自室につくと、アテナが心配そうな顔で迎えた。

「ビーナス、無事で良かったわ。イリオンからSOSが届いた時は、大騒ぎだったわ。ゼウスがネオガイア宇宙軍に、主力艦隊の出撃を命じたほどよ?」

ゼウスは、ネオガイア星人の首脳だ。ラミアーとは公私ともに親しく、宇宙船イリオンはラミアーが名誉市民に選ばれた記念に、ゼウスが個人的に贈ったものだ。

「それで、バカンスはどうだった?」

「格差社会を実感する旅でした。クラスLの宇宙クルーザー、あれは……クルーザーじゃありません。客船、それも豪華客船です」

「そ、そうなの? 実際に乗った事はないから、よく分からないけど、格差社会というのはちょっと大袈裟な気が……」

女医のアテナの地位は決して低くはないが、ラミアーとは比較にならない。実際アテナには、ラミアーの地位や権力、そして富がどの程度なのかハッキリと分からないのだ。

「そうそう、ラミアーからアテナにお土産です。どうぞ」

差し出された箱を、アテナは無言で数秒間見つめた後、奇声をあげた。
「こ、こ、こ……、これ、ゴルゴ……」

「ゴルゴーン産チョコチップクッキー……の、箱・詰・め・です!」

「ちょっと……さすがに、これはいただけないわ」

アテナが戸惑うのも当然で、ゴルゴーン産のチョコチップクッキーは、1枚で反重力バイク数台分の値段がする。それの箱詰めとなると、もはやちょっとした財産と変わらない。

「気にする事ありませんよ。だってイリオンの冷蔵庫の中には、これが30箱くらい入ってるんですから」

「さ、さんじゅう!?」

「ね、格差社会でしょ?」

ビーナスが悪戯っぽく微笑むと、アテナはコクリと頷いた。

 アテナとビーナスは、テーブルをはさんで無言で座っていた。テーブルの上には、ゴルゴーン産のチョコチップクッキーが2枚、皿に盛りつけられている。1箱全部を盛り付ける事は、畏れ多くてできなかった。

「食べていいのかしら?」
10分以上沈黙が続いた後、アテナがボソリと呟いた。

425名無しさん:2019/09/20(金) 18:04:46
ab.0349.Lamia.birth.06.03

「え!? グレイの犯罪者と交戦?」
アテナから、グレイの犯罪者の一件を聞かされたビーナスは、ひどく驚いた。
「ひ、被害は?」

「実害はなかったわ。でもアルテミスが重傷を負ったわ」

「重傷を!? それでアルテミスは?」

「身体を不死身にするパーフェクトソルジャーの処置を受けて復活したわ。しかも以前よりさらに美女になってね……」
そう呟いて、アテナは口を尖らせた。

426BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:06:37
ab.0350.Lamia.birth.06.04

 その日、ピタゴラス博士やソクラテスの出案で、宇宙船オリンポスあげて『ラミアー博士ご帰還祝賀会』が開催された。

もっとも、主役のラミアーは、人付き合いがあまり好きでない性格に加えて、梅本由梨香の出産予定の前日という事もあり、最初に20分ほど顔を出すと早々にパーティー会場を後にした。

そのわずか20分の間に、ネオガイア星随一の名声と権力を持つこの女性科学者と何とかしてお近づきになろうという野心家が行列を作ったのは、言うまでもない。

そしてラミアーが退場した後は、案の定、友人のビーナスが生贄になった。

「ビーナス君、いや、ビーナスさん。ラミアー博士との会食をセッティングしてもらえないでしょうか?」

「ラミアー博士に贈り物をしたいので、博士のお好みを教えて下さい」

「ラミアー博士と……」

「ラミアー博士と……」

「…………」

ビーナスは、次々と殺到する者たちの対応に追われて、料理も口にできずにいた。そして遂にキレた。おもむろに通信をラミアーに繋ぐと、端末に向かって叫んだ。

「ラミアー! どこ行ったのよ! アナタがいなくなったせいで、何も食べられないじゃない!」

『あらあら……』

「あらあらじゃないわよ! バカ!」

そして、ラミアーが『まぁまぁ』と言うのも待たずに通信を切ると、呆気にとられる周囲をジロリ一瞥してから、料理を食べ始めた。

ラミアーに向かって『バカ!』と言い放てるビーナスに、会場にいた全員が恐れおののき、その後は、まるで葬式のように静かなパーティーとなった。

427BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/20(金) 18:08:58
◆ 目次 ◆
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>>47-56 帰郷1

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>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

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>>187-217 動物園の理沙

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>>322-364 グレイ襲来

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>>412-422 キュクロプスP10

>>423-427 ラミアー出産実験06

428BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:17:24
ab.0351.intermission

『ラミアー出産実験』はこの先、グロいシーンが出てきます。耐性のない方は、お読みにならないように。

梅本由梨香の子宮から出てくるのは、ヒトの新生児ではなく、ラミアーの精子と由梨香の卵子が何らかの反応を経た何物かです。生命の誕生を愚弄するものでは、決してありません。

なお、過去のスレに投稿していたものと、内容等が重複します。

429BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:19:44
ab.0352.Lamia.birth.07.01

『ラミアー 出産実験07』

 ヒトの妊娠出産には約10ヶ月を要する。この10ヶ月というのは胎児が成長するための期間であると同時に、母体の出産準備期間でもある。

強制妊娠薬を投与された由梨香の子宮内では、由梨香の卵子とラミアーの精子の結合体は、わずか2週間でヒトの胎児並みの大きさに成長した。この2週間という期間は、母体である由梨香の身体が出産準備をするには、あまりにも短すぎた。

 ラミアーの実験体になった由梨香は、奴隷という立場は変わらなかったが、健康管理では最高の待遇を受けていた。アンドロイドが身の回りの世話をし、清潔な衣服、栄養管理の行き届いた食事、衛生的で快適な居室が与えられた。

かように快適な生活を与えられた由梨香だが、本人が満足しているかというと、実はそうではなかった。由梨香への拷問は一切禁止され、由梨香自身もオナニーができないように貞操帯を装着された。拷問もオナニーも許されない日々は、この重症の真性マゾにはむしろ辛かった。

「ダメ、もう我慢できない」
両手で股間を擦るが、貞操帯のせいで何も感じない。仕方なく胸に手を這わすが、胸にもプロテクターのような物が装着されていて、乳房に触れる事ができない。

430BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:22:17
ab.0353.Lamia.birth.07.02

 由梨香の健康管理は主に医療用アンドロイドが行っていたが、定期的に医師のアスクレピオスが回診をした。

「Yurika、体調はどうだ?」

「あぁ、お願いします。由梨香を虐めて下さい。どんなひどい拷問をされてもかまいません」

「ダメだ。オマエを拷問するのは禁じられている。諦めろ」

「じゃあ、せめてフェラチオだけもさせて下さい!」

「ば、馬鹿を言うな! 俺ごときが、ラミアー博士の実験体にそんな事できるはずないだろ!」

アスクレピオスが回診に来るたびに、由梨香は拷問を懇願したが、その願いが叶えられる事は決してなかった。

「あ?! あぉおおお?!」
由梨香の陣痛は突然始まった。
「あ、あぉおおお……。い、痛い。痛……ふぅううう……」
さまざまな拷問を受けてきた真性マゾも、陣痛は初めてだった。額に玉の汗を浮かべて、床の上に横たわった。
「あぁ……。い、痛いけど……なんか気持ち良い……」
10分ほど後、粗末な食料を運んできたアンドロイドによって、床の上にうずくまる由梨香が発見された。

431BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:24:00
ab.0354.Lamia.birth.07.03

 由梨香はそのままラミアーの実験室に運ばれた。実験室には、ラミアーの他、助手としてビーナスの姿もあった。

由梨香は、用意された分娩台に、文字通り妊婦のように寝かされた。仰向けで、両手はバンザイをするように頭の上にのばし、両足は支脚器と呼ばれる台の上にのせた。ただし産婦人科のそれと異なり、両脚を股関節が外れそうなほど大きく開かれ、手足を拘束されている。貞操帯は外され、全裸になっている。

2週間という異常な短期間で母乳を出せるようになった乳房は、いびつな形に膨隆し、まるで美容外科医の下手な豊胸手術を受けたようだ。乳輪と乳首は使い古した十円硬貨のような色になっていて、それを中心に青い血管が乳房全体に広がっている。下腹部は風船のように膨らみ、皮膚は針で突けば破裂しそうなほど引きのばされている。

「フフフ。どんな物体が出てくるか楽しみだわ」
由梨香を見下ろすラミアーの目は、文字通り実験用の標本を見るようだ。『子供』ではなく『物体』だ。『生物』ですらない。

「ところでラミアー、名前は考えた?」
そう尋ねるビーナスに、ラミアーが首を傾げた。
「名前? 何の事?」

「子供の名前に決まってるじゃない。アナタが父親でしょう、ラミアー?」
「あははは。そのジョーク、面白いわ」

「まぁ、冷たいのね。それなら私が考えてあげるわ。2人の名を合わせて、ユリアーというのはどう?」

「あらあらまぁまぁ、素敵な名前ねぇ。Yurika、赤ちゃんの名前が決まったわよ。ユリアーちゃんよ?」
由梨香の額に浮かんだ脂汗を、ラミアーが撫でた。
「ちなみに名付け親はビーナスよ」

産みの苦しみに必死に耐える女を見下ろしながら、2人のネオガイア星人は楽しそうに談笑していた。

432BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:26:13
ab.0355.Lamia.birth.07.04

「ねぇ、Yuria。陣痛はつらい?」
「ハァハァハァ……。辛いけど、気持ちいいですぅ」

「ふふふ。良かったわね。もうすぐここからユリアーちゃんが出てきて、ママになるのよ? 楽しみねぇ」
ラミアーが由梨香のオマンコを乱暴にこすりあげた。拘束された両脚がガクガクと震える。
「あおぉおおお……。由梨香がマ、ママ? うれしい、由梨香うれしいですぅ」

「アハハハ。面白いわぁ、この地球人」
ラミアーがおかしそうに笑った。

「ねぇ、ラミアー。いつになったら産まれるの?」
「もうすぐのはずだけど。待ってるの退屈だし、ゲームをしない? ルールは簡単。2人でYurikaの乳房を搾るの。母乳が多く出たほうが勝ち。ディナーを賭けましょう?」
「ふふふ、面白そうね。じゃあ私は左の乳房ね」
2人のネオガイア星人は各々、陣痛に苦しむ女の乳房を搾り始めた。

パンパンに張った乳房が、2人の手の中で拉げた。ビーナスはさすが解剖医だけあって、乳腺の構造などを熟知しているのだろう。いかに
も臨月といった感じの黒ずんだ乳首から、白い母乳が間欠泉のように噴き出した。一方ラミアーはというと、母乳は出るには出るが、明らかにビーナスよりも量が少なかった。

搾乳ゲームはビーナスに軍配があがった。
「負けちゃったじゃない! この役立たず!」
ラミアーが由梨香の乳房を平手で叩きのめした。掌がなめすたびに、母乳が飛び散った。

433BiBi ◆8cBPUextJk:2019/09/30(月) 22:27:46
◆ 目次 ◆
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>>25-32 並行宇宙

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>151-183 キュクロプスP5〜9

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>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

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>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-433 ラミアー出産実験06〜07

434BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:29:41
ab.0356.Lamia.birth.07.05

 由梨香は分娩台の上で、快感とも苦痛とも区別のつかない声で喘いでいた。陣痛が始まって、すでに30分近く経つ。

「ねぇ、ラミアー。アナタの事だから実験を失敗する事はないと思うけど……、破水しないというのは変じゃない?」

そう尋ねる友人に、ラミアーはニコリと微笑んだ。

「そういえば話していなかったわね。強制妊娠薬を使うと、破水しないのよ」

「そうなの? 知らなかったわ。それにしても、いつになったら出てくるのかしら……」
ビーナスが退屈そうに欠伸をした。

「たしかに、このまま待っていても退屈ね」
ラミアーが時計をチラッと見た。
「いっその事、子宮に腕を突っ込んで引っぱり出そうかしら」

「えぇ! そんな事して、実験に影響しないの?」

「大丈夫よ。必要なのは生まれくるサンプルの遺伝情報だけだから、どうやって出てくるかは関係ないわ?」
ラミアーが由梨香を冷酷そうな目で見降ろした。この高名な科学者にとって、由梨香の胎内に生まれた命は、文字通り『サンプル』にすぎないのだ。

 2人のネオガイア星人の会話を聞いて、由梨香は、陣痛に歪む顔をパッと輝かせた。
「あぁ、由梨香、嬉しいですぅ」
喘ぎながら、手足を拘束された腰を上下に振り始める。分娩台の上にボタボタと淫液がこぼれ落ちた。

435BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:30:51

ab.0357.Lamia.birth.07.06

 ラミアーが4本の指を揃えて、由梨香のオマンコに当てた。見ると、陰唇がおねだりするようにヒクついている。

「あらあらまぁまぁ、ずいぶんと嬉しそうね。覚悟はいい?」
「は、はい。由梨香、覚悟はできてい……ぎゃあああああああああ!」

由梨香の口上が終わるのを待たずに、ラミアーが腕を突っ込んだ。一突きで、手首を超えて肘の手前まで膣の中に侵入した。

「あらあらまぁまぁ、子宮口は開いてるみたいだけど、さらに押し広げて腕をねじ込んであげるわ」
ラミアーは腕をグリグリと回転させながら、さらに深くねじ込み始めた。

「うぎゃああああああ!」
由梨香が仰向けに拘束されたまま、首を滅茶苦茶に振った。分娩台に頭が打ちつけられて、ガンガンと音をたてた。

436BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:31:36
ab.0358.Lamia.birth.07.07

「ギッ?! ぶぎゃあああああああああ!」

気の弱い者が耳にしたら悪夢にうなされそうな絶叫が、室内の空気をビリビリと震わせた。宇宙船オリンポスに来てから様々な拷問を受けてきた由梨香も、子宮に腕を突っ込まれるのは初めてだ。

「あははははははははは。白目剥いてるわ。そんなに痛いの?」
ビーナスが由梨香を見下ろしながら、おかしそうに笑った。

「あらあらまぁまぁ。ママになるために必死に頑張っているYurikaを笑うなんて、ビーナスったら酷い人ねぇ」
「あははは」
悲痛な絶叫に、2人のサディストの哄笑が重なる。


「ギャォオオオ! じ、じぬ、じんじゃうぅぅぅ」
ラミアーが子宮内で手を動かすたびに、由梨香の口から怪鳥のような悲鳴が迸った。ラミアーの手に腹筋が押し上げられて、下腹部がウネウネと脈打った。

「フフフ。大丈夫よ。これ位じゃ死なな……」
ビーナスが由梨香の股間を覗き込んで、
「まぁ、すごい量の出血だわ? ごめんねぇ、やっぱり死んじゃうかも……」
心配げな表情を浮かべた。しかし目と声は楽しそうだ。

437BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:32:14
ab.0359.Lamia.birth.07.08

「あがぁあああ……、イ、イイの。じんでもいいから、もっとやって!」
由梨香は鬼の形相で叫んだ。見ると、涙と鼻水、そしてヨダレでベトベトだ。

「あらあらまぁまぁ、何てこと言うの? Yurikaはこれからママになるんだから、命は大切にしなきゃダメよ?」

「アハハハ。ラミアーって、意外と笑いのセンスあるのねぇ?」

「ビーナスったら、『意外と』だなんて、失礼ねぇ」

「ギャォオオオ! ぎ、ぐぎぃぃぃ……」
由梨香は、手足の拘束を引き千切らんばかりにのた打ち回りながら、絶叫を放ち続けた。
「ふぎゃあああ……、おぇえええ!」
子宮内に侵入したラミアーの腕が胃を押し上げた為、由梨香が嘔吐した。

「ユリアーちゃんに指先が触れたわ。今から引きずり出し……」
一瞬、ラミアーは怪訝そうな表情を浮かべた後、妖しく冷酷そうな笑みを浮かべた。
「あらあらまぁまぁ、これは想定外の出来事ねぇ」

「どうしたの?」
「ウフフフ。面白い事になりそうだわ。楽しみにしていて、ビーナス」
小首をかしげるビーナスに、ラミアーがウィンクを返した。

「さぁ出ていらっしゃい。ユリアーちゃん」
ラミアーが微笑んだ。表情と声音は優しいが、やっている事はどんな凶悪犯も泣き出す鬼畜の所業だ。

438BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:32:47
ab.0360.Lamia.birth.07.09

 ラミアーはユリアーを掴むと、腕を引き抜き始めた。ズルズルという音が聞こえてきそうだ。引き抜かれる腕の表面は、粘液と血にまみれている。

「ぎゃあああ! ふぎゃあああああああああ! ヒィィィ!」
由梨香が両目を大きく見開いた。赤く充血して、目の焦点は合っていない。噛み合わされた上下の歯が、ギリギリと音をたてた。

由梨香の下腹部がいびつに盛り上がり、それが足の付け根に向かって移動し始めた。ラミアーの腕が手首の部分まで引き抜かれ、陰唇との隙間から血の色をした粘液が大量に流れ出した。

「ンギィィィィィィィィィ!」
由梨香の目がグルリと反転した。ホラー映画の悪魔に憑依された女さながらの顔は、イベントコンパニオン時代の由梨香を知る者が見ても、本人だと分からないだろう。

439BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:33:44
ab.0361.Lamia.birth.07.10

 ラミアーの腕が、オマンコからズルリと引き抜かれた。両手の間に『それ』が挟まれている。

 地球人梅本由梨香の卵子。そしてヘビ型星人と融合したネオガイア星人ラミアーの精子。この2つが結合して生まれた物体。ユリアーと名づけられた『それ』は、人間の新生児とほぼ同じ姿をしていた。

 ビーナスが興味津々といった様子でユリアーを見つめた。
「ヘビ型星人らしい部分は見られないわね」
このネオガイア星人の女医の言う通り、ユリアーにはヘビのような尻尾は生えていないかったし、口から覗く舌もヒトのそれと変わらない。

 へその緒らしきものがユリアーの身体に巻き付いていた。
「ほら、家畜らしく自分で噛み切りなさい」
ラミアーはそう言うと、へその緒を由梨香の口に挟んだ。由梨香は半ば無意識のうちに、それを歯で噛み切った。

「妊娠実験は成功したみたいね。おめでとう、ラミアー」
そう言うビーナスに、ラミアーが意味深な笑みを返した。

440BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/06(水) 20:35:16
◆ 目次 ◆
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>>85-107 キュクロプスP01〜04

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>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-440 ラミアー出産実験06〜07

441BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:51:17
ab.0362.Lamia.birth.07.11

「どうしかの、ラミアー?」

「さっき子宮に腕を入れたときに分かったんだけど、Yurikaは双子を妊娠してるのよ」

「えぇ?! 双子? するとまだ子宮の中には……」
ビーナスが由梨香に視線を移した。たしかに下腹部は、まだ大きく膨らんでいる。

「じゃあ2人めも引きずり出す?」

「うふふふ。2匹とも引きずり出すのは、少し芸がないわ。ビーナスは解剖医だから、地球人の身体の構造にも詳しいんでしょう?」

「えぇ。地球人の身体はネオガイア星人とほぼ同じ構造をしているから詳しいけど、それがどうかしたの?」

「地球には、帝王切開といって、子宮を切り開いて胎児を取り出す出産方法があるのよ。ビーナスがやってみない?」

「あら、素敵。私にやらせてくれるの?」
ビーナスがブルーの瞳をキラキラ輝かせた。

442BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:51:56
ab.0363.Lamia.birth.07.12

 由梨香は分娩台の上に大の字に寝かされた。脂汗に濡れた胸が呼吸に合わせて上下し、天井の照明を反射している。

 ビーナスがアンドロイドに、手術器具を用意するするように命じた。運ばれてきたワゴンの上には、手術器具が整然と並べられている。

ビーナスが、ワゴンの上からメスを手に取ると、
「ネオガイア星ではなく地球の手術器具を使うわ。その方が痛みを与える事ができるわ。もちろんYurikaには麻酔は使わないわ」
金属の鈍い光沢を放つ手術器具をうっとり
つめながら、独り言のように呟いた。

麻酔なしで手術をされる――、常人なら恐怖で気が変になりそうな状況だが、由梨香は、ビーナスが持つメスを粘りつくような目で見つめている。早く身体を切り裂かれたくてたまらないのだ。

443BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 20:52:41
ab.0364.Lamia.birth.07.13

 ビーナスが由梨香の臍の下あたりにメスの刃を当てた。
「覚悟はいい?」
由梨香の返事も待たずに、メスを下腹部に向かって一直線に滑らせた。

由梨香の身体がビクンと硬直した。刃の軌跡に沿って皮膚が裂け、赤い血が滲み出てくる。硬直が数秒間続いた後、
「きゃあああああああああ! お、おなかが、由梨香のおなかがぁああ」
悲鳴が室内に響き渡った。

「大げさねぇ」
ビーナスが冷ややかな笑みを浮かべた。血をガーゼで吸い取ると、皮下脂肪に覆われた腹筋が露出した。イベントコンパニオン時代から細身だったが、宇宙船オリンポスに連れてこられてから更に痩せて、脂肪は申し訳程度しかない。

ビーナスが、先端がワニ口のようになった鉗子で、腹筋をつまみ上げた。由梨香の口から、引きつったような悲鳴が漏れる。腹筋の真ん中にメスで小さな切れ目を入れると、ハサミで縦に10センチほど切り裂いた。左右の腹筋の境界線を正確に切ったので、出血は意外と少ない。内臓の生温かいニオイが、周囲に漂い始めた。

由梨香の呼吸に合わせて、腹筋の切れ目から内臓がはみ出した。見ると、腸がゆっくりと動いている。
「膀胱が邪魔ねぇ」
ビーナスが腸を腹腔内に押し戻すと、オシッコで膨らんだ膀胱を鷲掴みにした。由梨香の股間から、黄色い液体がジョロジョロと流れ出た。

444BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:49:45
ab.0365.Lamia.birth.07.14

 腸と膀胱をかき分けると、子宮が露出した。毒々しい赤紫に変色している。先ほどラミアーに子宮内を乱暴にまさぐられた為、出血しているのだ。

ビーナスがワニ口の鉗子で子宮を引っぱり上げて、ハサミで切り開いた。

「ふぎゃあああああああああ!」
由梨香の悲鳴が響きわたった。拘束された両脚がガクガクと震えて、股間から膀胱に残っていたオシッコが間欠泉のように噴き出す。由梨香は悲鳴を迸らせながら激しく身体を捩ったが、ビーナスは優秀な解剖医なので、ハサミの刃が子宮内を傷つけるような事はなかった。

「あら、羊水がないわ? これだと破水しないはずね」
ビーナスが子宮の中を覗き込んで、感心したように呟いた。

445BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:50:54
ab.0366.Lamia.birth.07.15

「フフフ。強制妊娠薬を投与すると、ただでさえ2週間で胎児が大きくなるでしょ? それに加えて羊水まで溜まると、子宮が大きくなりすぎて母体に負担になるのよ。だから羊水が溜まらないように薬を改良したの」

「強制妊娠薬の開発だけでも難しいのに、そんな改良まで加えていたなんて……。ラミアーって普段はバカっぽいけど、やっぱり天才なのね」
事も無げに話す友人を、ビーナスは感心したように見つめた。

「あらあらまぁまぁ、バカっぽいだなんて失礼ねぇ」
ラミアーが拗ねたように口を尖らせた。もちろん怒ってなどいない。このネオガイア星随一の権力をもつ科学者に向かって『バカ』と言えるのは、ゼウスを除けばビーナスくらいで、むしろ『バカ』と言われるのを楽しんでいるのだ。

「ねぇ、ラミアーが死んだら、私に脳を解剖させてくれない?」

「あらあらまぁまぁ、怖い事を言うのね。なんだか、目が本気っぽいわよ?」

「本気よ」
ビーナスは真面目な顔で答えると、分娩台の由梨香に視線を戻した。由梨香はというと、半ば意識を失っている。
「じゃあ取り出すわね」
ビーナスが、子宮の中に手を突っ込んだ。由梨香が半ば意識を失ったまま、引きつったような声を発した。

ビーナスが子宮の中を指先でまさぐった。
「あら、元気に動いているわ」
子宮の切れ目から手を引き抜き始めた。由梨香が口をOの字に開いて、嗄れた息を吐いた。声にならない悲鳴だ。拘束された手足がブルブルと震わせる。

呼吸が荒くなり、隙間から腸がボコッとはみ出した。
「ちょっと、腸が邪魔なのよ! 何度いったら分かるの?」
ビーナスが由梨香の顔を平手で打った。あまりにも理不尽な仕打ちだ。

446BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:52:04
ab.0365.Lamia.birth.07.14

 ビーナスの手が子宮から引き抜かれた。血まみれの物体が握られている。ユリアーと名づけられた、先に取り出された物体と形が似ている。
「オスメスどっちかしら……。あら、ユリアーちゃん、弟ちゃんでちゅよぉ?」
ビーナスがユリアーに微笑んだ。その笑顔だけを見ると、出産を祝福する産科医か助産婦のようだが、由梨香にした事は鬼畜の所業と変わらない。

「ラミアー、この子の名前は何にするの?」
「そうねぇ……、じゃあ私の『ラ』とYurikaの『リカ』を合わせて、ラリカにしようかしら」
「安易なネーミングねぇ」
「あらあらまぁまぁ、失礼ねぇ。これでも一生懸命考えたのよ」

 こうして、ネオガイア星人と地球人、そしてヘビ型星人の遺伝子を併せ持つ2つの生命体、ユリアーとラリカが誕生したのだった。2体は、医療用アンドロイドによって手際よく産後の処置を受けた後、保育器に入れられ、静かに寝息をたて始めた。

 由梨香はというと、白目を剥いて失神していた。呼吸に合わせて弱々しく上下する胸の動きで、なんとか生きている事だけは分かるが、顔は蒼白で、唇も血の気を失っている。生きながらにして地獄巡りをした哀れなマゾ女の成れの果てだ。

由梨香も医療用アンドロイドに治療を受けた。実はビーナスは用済みとなった由梨香を廃棄処分するつもりでいたのだが、ラミアーがユリアーとラリカに由梨香の母乳を飲ませてみたいと言い出して、廃棄処分とならずに済んだのだ。もっとも死を免れた事が、この哀れなマゾ奴隷にとって幸せかどうかは、誰にも分からない。

447BiBi ◆8cBPUextJk:2019/11/26(火) 21:53:31
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

448BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:23:47
ab.0366.unemployed.001

『吉岡1』

 吉岡親子は、近所でも有名なクレーマー一家だった。店でも病院でも鉄道会社でも、クレームをつけては代金を踏み倒す常習者だ。

母親の輝子は無職のバツ1。息子の輝夫(42歳 独身)は、小さな保険代理店で、歩行者に保険のパンフレットを配るアルバイトをしている。ただし親戚や友人には、大手商社で保険と法律の仕事をしていると騙っている。

歩行者にパンフレットを配るだけの簡単な仕事も、輝夫は長く続かなかった。輝夫は盗撮の常習犯で、勤務先の保険代理店の女子トイレに盗撮用のカメラを仕かけた事がばれて、解雇されたのだ。

 解雇された後は定職にも就かずブラブラしていたが、ある日、出会い系サイトで知り合った女からサイドビジネスの話を持ちかけられた。

449BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:24:23
ab.0367.unemployed.002

 待ち合わせ場所のファストフード店に着くと、40代と思しき女が待っていた。女は八谷早苗と名乗った。

 早苗はサプリメントを扱うネットワークビジネスに手を染めていた。しかしネットワークビジネスなどで利益がでるはずはなく、手元には借金と大量の在庫だけが残った。今は、出会い系サイトなどを使って、在庫を売りつけるカモを探す日々を送っている。今回のカモが輝夫だ。

輝夫が席に着くと、早苗がパンフレットのようなものを取り出した。

「アメリカの有名な学者が書いた、サプリメントに関する論文です。アメリカの学者ですよ。凄いですよねぇ、ウンウン」

早苗は、自分の言葉にウンウンと頷きながら、パンフレットのページをめくり始めた。パンフレットは、科学誌ではなく明らかに自家製の物だが、写真やイラストがカラーでプリントされていて、著名な科学誌よりも立派に見えた。

 早苗は、ひとしきりサプリメントの話を終えると、今度はテーブルの上に紙を広げて、ピラミッドのような絵を書いた。あとは、『夢はありますか?』から始まり、『画期的なビジネスだ』とか『夢を叶えるチャンス』だとか一方的に語り始めた。

 早苗が熱く語っている間、輝夫は、テーブルの下にスマホを忍ばせて、早苗のスカートの中を盗撮していた。

生まれて今まで定職に就いたこともない輝夫は、初めからビジネスなどに興味はなかったのだ。早苗の誘いに応じたのも、あわよくばSEXできるかと期待しての事だった。

吉岡が性的興奮を覚える対象は、主に女子小学生とアニメキャラクターだが、中年女にも変態的な欲情を燃やした。

450BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:24:54


ab.0368.unemployed.003

 異変が生じたのは、盗撮の枚数が100枚を超えた頃だった。店内に女の奇声が響き渡った。

「ひぇええええええ!?」

怪鳥のような奇声を発する中年女の指さす先に視線を移すと、窓の外に奇妙な格好をした3人組が立っているのが見えた。その3人が見た事もない銃を乱射している。さらに奇妙なのは、銃で撃たれた人間が跡形もなく消えてしまうのだ。

パニックに陥った客が、一斉に出口に殺到した。その客を押しのけるように、店員が我先に外に逃げ出した。

「うわぁあああ、うわぁあああ……」
輝夫は悲鳴を発しながら、早苗の身体を盾にしてその後ろに隠れた。
「ちょ、ちょっと離してよ! キモオタのマザコン!」
早苗が輝夫の手に噛みついた。
「痛い、痛い、痛いぃぃぃ!」
輝夫が大げさに悲鳴をあげながら、早苗の後頭部を拳で何度も殴った。

 3人組が、店内に取り残された仲の良さそうな母娘に銃を向けた。母親は娘を庇うように抱きしめながら、気丈にも、3人組を睨みつけている。どんなロクでなしでも、その姿を見たら、なんとかして助けたいと思うに違いない。

輝夫は、3人組が親子に銃を向けている隙に、盾にしていた早苗を蹴り飛ばして店から1人で逃走した。

451BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:25:33
ab.0369.unemployed.004

 輝夫は、豚のような喘ぎ声を発しながら、ひたすら走り続けた。自分が助かる事だけを考えた。あの親子や早苗の事などどうでも良かった。

10分ほど走った所で、自転車に乗っている小学生を見つけた。小学生を突き飛ばして自転車を奪い取ると、それに乗って家に向かった。小学生用の自転車は乗りづらく、輝夫はペダルを漕ぎながら、「クソ」とか「ボケ」といった罵声を発し続けた。

 家に着くと、トイレの中から母親の声がした。

「輝夫、どこ行ってたんや? さっき外で『ドン』って音がしたけど、何の音か分かるか? 鼓膜が破れたって言いに行ったら、金になるでぇ」

「し、知らんわ」 

「そぉか、じゃあしゃあないな。クソ出したら、駅前のうどん屋に行くでぇ。先月食ったきつねうどんで腹痛くなったって、店員に言うんやでぇ。分かったか?」

「うるせぇ、ババァ!」

「親に向かって、何やその口のきき……あ、出るわ!」
輝子の怒鳴る声に、放屁の音が続いた。

「親っていうなら小遣いよこせ、ババァ!」
輝夫も怒鳴り返して、自室に閉じこもった。

452BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:26:06
ab.0370.unemployed.005

(何やったんや、あれは?)
ベッドに寝そべって、ファストフード店での出来事を思い返したが……、
(それよりも、さっきの中年女のパンツ画像や)
すぐに考えるのをやめて、ポケットからスマホを取り出した。

小学生用の自転車でも移動できるような距離で人が消滅する事件が起きたにも関わらず、今の輝夫には危機感は全くなかった。この危機感のなさが、42歳にして無職でいられる所以だった。

 スマホの電源をONにすると、ズボンをずり下ろして横にティッシュの箱を置いた。

(あの中年女……、サナエたんは、絶対ボクに気があるわ)

八谷早苗とのSEXを妄想しながら、オナニーを始めた。1分もかからずに、42年間女に一度も触られた事のないペニスから汚液を噴き出した。

精液を拭いたティッシュを床に捨てると、別の盗撮画像を物色し始めた。

(あ、あの変な3人組も写ってるわ)

そこにはグレイの犯罪者の姿がくっきりと写っていた。輝夫はそれを画像投稿サイトに投稿した。

453BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/17(火) 09:29:54
◆ 目次 ◆
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>>85-107 キュクロプスP01〜04

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>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

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>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-453 吉岡

454BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:28:46
ab.0371.unemployed.006

『吉岡2』

 公安捜査官の城山朋子は、グレイの犯罪者3人による襲撃を、反政府グループによるテロだと勘違いしていた。

目撃者への聞き込みによると、奇妙な格好をした3人組が銃を乱射していたという。

警察が現場に到着した時には、犯人グループの姿はなかった。自衛隊にも出動要請が出されたが、渋滞のため現地には到着していないという。

(民捨党政権になってから、政府が出動を要請ても、自衛隊の派遣が遅れる事が多いわねぇ。人員不足なのかしら……)

そんな事を考えながら、朋子は聞き込みのファイルに目を通し始めた。

「銃の乱射事件にしては、死体どころか血痕すらないんです。そして行方不明者は数十人。麻酔銃かガスでも使って、動けなくなったところを誘拐したんでしょうか?」
そのファイルを覗き込みながら、後輩の白木雪枝が首を傾げた。

「犯人は3人よ。そんな大勢を誘拐できるとは思えないわ。ホント、不可解な事件だわ」
朋子は疲れたように、自分の首筋を揉んだ。

「そういえば……、先輩。最近、行方不明者が多い気がしませんか?」

「そうなの? 特に気にした事はないけど」

「行方不明者の多くが若い女性なんですよ。OL、スチュワーデス、コンパニオン、看護婦、それにSMクラブの風俗嬢などもいます。場所は北海道から沖縄まで、日本全国です」

「日本全国!? そんな広範囲で、若い女ばかりが行方不明か……。犯罪が絡んでいるとしたら、大規模な人身売買組織の犯行も考えられるわね」

455BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:29:21
ab.0372.unemployed.007

 朋子は仕事の合間に、ネットへの投稿を調べていた。日本政府や企業などへの批判的な投稿の中から、内容が過激で具体的なものを抽出する。

「あら? これは……」
朋子は、投稿された画像の1つに目をとめた。

『エイリアンがモスドナルドあぼーんWWWWWW』

(頭悪そうなタイトルね。でも写ってるのは、襲撃されたファストフード店だわ。日付も一致してる)

朋子は投稿画像を調査を依頼した。その結果、画像に合成や修正などの形跡はみられない、という事が分かった。

(どういう事なの? とりあえず投稿主に会って話を聞くしかないわね)

 公安はプロバイダや通信業者に個人情報の提供を強制できるので、それが輝夫の投稿だという事はすぐに分かった。さっそく朋子は白木雪枝を伴って、吉岡家に出向いた。

玄関のチャイムを押すと、ガラの悪そうな女が出てきた。輝夫の母親だ。朋子は輝夫との面会を求めた。

456BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:29:57
ab.0373.unemployed.008

「輝夫さんですね。年齢と職業を教えていただけますか?」
雪枝は丁寧に訊いた。昔と違って最近の警察関係者は、敬語を使える程度のスキルは身につけているのだ。

「42歳で、職業は……、商社で保険と法律の仕事をしてます」

「商社で? たしか以前お勤めだった保険代理店はお辞めになったと聞いていますが、別の商社に再就職を?」

「え、あ、はい」

「そうですか。まずは再就職おめでとうございます」
雪枝は笑顔を作ってから、さりげなく右手で髪をなでた。

 朋子と雪枝はお互い、いくつかの合図を決めていて、右手で髪をなでるのは『嘘だ』という意味だ。実は輝夫が無職である事は、公安ですでに調べがついていたのだ。

(こいつ、嘘をつくタイプだわ。見栄のために嘘をつく奴は、保身のためなら平気で嘘を吐くわ)
朋子はさりげなく輝夫の部屋の中を観察した。

「先日この近所で人が行方不明になる事件が発生しましたが、その現場にいましたね? 画像投稿サイトに、輝夫さんの投稿がありました」
と、雪枝。

「え、あ……」
輝夫の目が泳ぐ。

「ご心配なく。輝夫さんに過失はありません。むしろ、そんな危険な状況なのに、事件解決のために容疑者を撮影したのはご立派です」

雪枝が、いかにも感動したという風に瞳を輝かせた。鏡を見ながら何度も練習して身につけたテクニックで、女にモテなさそうな男を尋問する時に効果を発揮する。

457BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:30:40
ab.0374.unemployed.009

「でも輝夫さん、できれば投稿サイトへの投稿ではなく、私にその画像を見せてくださいませんか?」

「い、いいよ」

輝夫はスマホを雪枝に手渡した。すでに頭の中では、(この捜査官たんは絶対ボクに気がある)と妄想を始めている。

朋子と雪枝は、スマホの保存フォルダを開いた。そして、そこに保存されている画像を見て、眉をひそめた。

「輝夫さん、これはどういう事ですか?」

輝夫のスマホには、明らかに盗撮とわかる女たちの画像がギッシリと収まっていた。しかもその大半が、大人の女ではなく、女子小学生だった。

「え!? あ、あ……、それは……知らない間に誰かがボクのスマホに送信してきた画像で……」
輝夫の目が、以前にも増して泳ぎ始めた。

「少し話を聞かせてもらえますか? それから、このスマホをお借りできますか?」

「え? スマホを?」

「私が確認したいのは、輝夫さんが撮影した3人組に関してです。他の画像には興味ありません」

輝夫は、公安捜査官の2人にスマホを差し出し、モスドナルドでの出来事について話し始めた。

458BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/20(金) 19:31:52
◆ 目次 ◆
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>>184-186 アルテミスの休暇

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>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-458 吉岡

459BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:40:13
ab.0375.unemployed.010

『吉岡3』

 朋子と雪枝は、輝夫から話を聞き終えると、吉岡家を後にした。

「吉岡輝夫の話、どう思います?」
公安への帰りの車の中、雪枝はハンドルを握りながら、助手席に座る朋子に尋ねた。

朋子は、押収した輝夫のスマホをいじる手をとめた。

「盗撮の証拠を見られた吉岡は、自分が助かるために、私たちの機嫌を損ねまいと必死だったわ。少なくともモスドナルドの件では、嘘をついているとは思えないわね」

「巧妙に嘘をついている可能性は?」

「盗撮画像を保存したスマホを、公安の私たちに渡してしまうような男よ。辻褄の合う作り話をとっさに考えるような知能はないわよ」

「なるほど」

「それにしても、すごい数の盗撮画像だわ。しかも女子小学生か中学生の画像ばかり。変態というよりも変質者ね。あら、大人の女もいるわ?」

「あ! その女……」
雪枝がスマホのモニタをチラリと見て、小さく驚きの声を発した。

「前に行方不明者が多いと話しましたが、その1人に似ているんです。何かのイベント中に行方不明になったコンパニオンで……、名前はたしか……梅本です。まさか吉岡が人身売買組織のメンバー!?」

「それは絶対にないわ。あそこまで低スキルな男を受け入れる組織なんてないわよ」
朋子は確信をもって答えると、
「でも気になるわね。雪枝、Uターンよ。吉岡にこの画像の女の事を聞くわよ」

460BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:40:45
ab.0376.unemployed.011

 朋子と雪枝は吉岡の家に戻ると、輝夫に由梨香の事を事情聴取した。

「ユリカたんは、いきなり消えちゃったんだよ」

「消えた? どういう事ですか?」
雪枝が質問した。内心では(キモイわね。なにがユリカたんよ!)と毒づいていたが、表情は穏やかだ。

「ボクがスマホを触ってる間に消えちゃったんだよ」

「キモイ変態男が現れたから逃げたとかでは?」
横から朋子が質問した。雪枝がギョッとして、先輩の顔を見た。

「キモイ男……? そんな奴は現れなかったけどなぁ……」
輝夫が呆けたような顔で、天井を見上げた。

461BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:41:16
ab.0377.unemployed.012

 再び、公安へ戻る車の中。雪枝は運転しながら、笑いをこらえていた。
「先輩。あそこでいきなり『キモイ男』って……。もう、ビックリしちゃいましたよ」

「フフフ。ごめんごめん」
朋子はクスクスと笑った。
「吉岡はすぐにカッとなるタイプだから、皮肉を言って逆上させれば、何か聞き出せるかと思ったのよ。まぁ結果は、皮肉に気づく知能すらなかったらしく、逆上作戦は失敗したけどね」

「どうしてカッとなるタイプだと分かるんですか?」

「吉岡の室内を見た? 壁の低い所が、あちこち凹んでいたわ。吉岡がカッとなって蹴ったからよ」

「なるほど」

「まずは公安に戻って、一連の行方不明者の件も含めて、もう一度検証してみるわよ。今日は残業よ、雪枝」

462BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:41:49
ab.0378.unemployed.013

 朋子と雪枝は、公安に戻ると早速、最近の失踪事件に関する資料を見直した。

「梅本由梨香の他には……、阿部理沙、女子大生。工藤明日香、スチュワーデス。これも怪しいわね」

「先輩、今はスチュワーデスじゃなくて、CAというんですよ」

「CA?」

「美人が多いですね。それを考えると、人身売買組織の干与も考えられるんですけど……。モスドナルドとは別の事件かしら?」

「分からないわ。でも一番分からないのは、人間が一瞬で消えている事よ」

朋子が首を傾げた。梅本由梨香がいきなり消えたという目撃証言は、吉岡以外からも得ている。モスドナルドに関しても、変な3人組に銃で撃たれて消えた、という証言がいくつもあるし。

「まるで……、SF映画とかにでてくる瞬間移動とか物体転送とか、あんな感じなのよね」

「実は宇宙人の仕業とか……」

その推理は当たらずも遠からずだったが、公安捜査官が報告書に『瞬間移動した』などと書ける訳がなかった。

463BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:42:23
ab.0379.unemployed.014

 2人は、公安の職務を果たしながら、独自に一連の謎の失踪事件の捜査を続けた。しかし捜査が進めば進むほど、テロ組織や人身売買組織が関与している可能性が低くなっていった。そもそも、犯人の正体が誰であろうと、人間が跡形もなく消滅するというのが考えられないのだ。

(どういう事なの? 私たちの常識を超えた何者かの仕業としか考えられないわ? まさか本当に宇宙人の仕業とか……)

朋子は正体不明の不安を感じていた。

464BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/27(金) 18:43:45
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

465BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:54:52
ab.0380.Homecoming.02.01
『地球奪還作戦会議』

 メビウス博士は自室で、地球のアダルト動画を見ていた。画面では、メビウス博士お気に入りのポルノ女優が口とオマンコ、さらにアナルの3穴を犯されている。

「観るたびに思うが、地球人にしておくには勿体ないほどの美女だな。しかも3穴同時とは……、きっとマゾに違いない!」
我慢できずにズボンを脱ごうとした時、通信機の呼び出し音が鳴った。

「誰だ、こんな時に……」
不機嫌そうに回線を開くと、ソクラテスの顔が像を成した。
「メビウス博士、地球奪還について会議を開きたいんだが、今から来てくれないか?」

「地球奪還? 分かった。今は実験の最中だから、あと……」
メビウス博士は、アダルト動画の残り時間を確認すると、
「20分ほどで、そっちに行くよ」
と答えて、回線を切った。

466BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:56:04
ab.0381.Homecoming.02.02

 地球奪還作戦は、前に会議でピタゴラス博士がグレイに関する懸念を提言した結果、ネオガイア宇宙軍の総力をもって地球を一気に制圧するという当初の計画から、地球のどこかを拠点として徐々に支配領域を拡げていくというものに変更された。

そこで作戦の要となるのは、アテナが開発中の、人間をマゾに変えるマゾ化薬だった。もし地球人全てにマゾ化薬を投与できれば、地球奪還作戦は一気に完了するのだ。

マゾ化薬のプロトタイプはすでに完成していて、その効力は実験体の梅本由梨香で証明済みだった。問題は、1人ずつ注射が必要な事だった。マゾ化薬を地球奪還作戦に使うには、一度に多数の地球人に投与可能な、例えば大気中や飲料水に混入できるものに改良する必要があった。

マゾ化薬の改良は困難を極めた。しかしアテナは、試行錯誤の末、ついに飲料水に混入して使用可能なマゾ化薬の開発に成功した。

467BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:57:39
ab.0382.Homecoming.02.03

 この新型マゾ化薬開発の報告を受けて、地球奪還作戦の会議が再び開かれた。出席者は、ヘラクレス提督、ピタゴラス博士、メビウス博士、ソクラテス、ウラノス博士、ペルセウス、そしてアテナの7人だ。クロノス博士は今回も欠席した。

 アテナは、新しいマゾ化薬の説明を始めた。それによると、この飲料型マゾ化薬は、飲み水を媒介にして人体に吸収されるので、プロトタイプの注射型マゾ化薬と違って、都市の水源に流せば広範囲の地球人に一度に投与が可能だった。

広範囲への投与が可能な反面、飲料水で成分が希釈されるので、効果の持続時間と強さでは、注射型よりも劣る事が分かった。注射型が、半永久的に人間を真正マゾに変えてしまうのに対して、飲料型は、持続時間は数か月と短く、強さも『少しマゾッ気のあるタイプ』に変える程度だった。

また、注射型マゾ化薬と同様に、製造コストはかなり高くついた。一度に多数の人間に投与できるので、注射型マゾ化薬と比べると1人当たりの単価はかなり抑える事ができるが、それでも中規模の都市1つか2つに使用するのが限界だった。

このように、まだまだ改良の余地を残す新型マゾ化薬だったが、ヘラクレスをはじめ全員が、開発者のアテナの功績を称えた。

468BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:58:42
ab.0383.Homecoming.02.04

 そんなヘラクレス達以上に新型マゾ化薬の完成を喜んだのが、アテナの友人アルテミスだった。

アルテミスは、新型マゾ化薬の話を聞かされると、おもわずアテナに抱きついた。

「アテナ、おめでとう。すごく嬉しいわ!」

「ちょ……、アルテミス!? どうしたの?」

 アルテミスがこの時間軸にタイムトラベルする前の世界では、マゾ化薬の開発は、製造コストがかかりすぎるという理由で、地球人の奴隷化という本来の目的に使用される事なく頓挫してしまったのだ。だからアルテミスは、この時間軸世界で友人の研究が無事に実を結んだ事に、感激したのだ。

しかしそのような事情を知らないアテナは、アルテミスがあまりにも大喜びしたので、面食らってしまった。

469BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 20:59:34
ab.0384.Homecoming.02.05

「まだ改良の余地はいっぱいあるんだけど……、でも嬉しいわ。ありがとう」

アテナも、アルテミスの背中に両手を回した。2人の乳房がくっつき、ひしゃげる。

「マゾ化薬はいつ使うの?」

「さぁ。私の仕事は開発までで、ここから先は軍の仕事だから、分からないわ。多分、どこかの都市に使用するんだろうけど……」

「でも素晴らしいわ。マゾ化薬で地球人の反抗がなくなれば、ネオガイア星人も地球人も戦争の犠牲にならずに済むもの」

(地球人が犠牲にならずに済む……? アルテミスったら、下等生物の心配をしているの? 変な子ね)
アテナが一瞬だけ訝しげな表情を浮かべた。

 アテナは知らなかったが、アルテミスには、タイムトラベルする前の記憶がある。もとから地球人の奴隷になりたいという願望を持っていた事に加えて、シンディや真理子などの地球人から調教を受けた事で、アルテミスは知らず知らずの内に『地球人好き』になっていたのだった。

470BiBi ◆8cBPUextJk:2019/12/31(火) 21:01:46
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

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>>465-470 地球奪還作戦会議

471BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:05:55
ab.0385.Homecoming.02.06

 オリンポスが地球の衛星軌道上に停泊してから数か月が経とうというその日、地球人、とりわけ日本人の運命を左右する会議が開かれた。

会議室に集まったのは、ヘラクレス提督、ピタゴラス博士、メビウス博士、ウラノス博士、ソクラテス、アテナ、そしてペルセウスの7人だ。今回もクロノス博士は欠席していた。

「諸君」
ヘラクレスが全員の顔を見回した。
「オリンポスが地球の衛星軌道上に停泊して、随分と長くなる。マゾ化薬もアテナ君のおかげで、ほぼ実用可能なレベルになった。そろそろ故郷の星である地球の奪還作戦を本格的に始動させて良い頃だと思うが、どうかね?」

「うむ」
ソクラテスが頷いた。
「となると、最初に決めなくてはいけないのは、地球のどこを作戦の拠点にするかだが。いい場所はあるかね?」

「それなんだが……、うってつけの場所を見つけたよ」
ピタゴラス博士はそう言って、手元のコントローラーを指で操作した。

472BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:07:51
ab.0386.Homecoming.02.07

 テーブルの上に地球の立体映像が現れた。見ると、一か所だけ赤く点滅している部分がある。

「ここだ。見た目は小さな島だが、これでも一応は国なのだよ。名前は日本という」

「日本? たしか例のグレイの犯罪者が襲撃した国だったな。ピタゴラス博士、なぜ日本がおススメなのだね?」

「理由は、日本には軍隊がないのだ」

「軍隊がない!? 驚いたな。そんな国家があるのか……」

「うむ。これが日本の政治機構だ」
ピタゴラス博士がコントローラーを操作すると、各自の目の前に、日本の行政組織の体系図が表示された。

「内閣……外務省……最高裁判所……、ふむ。たしかに軍隊がないな」

「この……、自衛隊というのは何だね?」

「名前から察するに……、自然衛生隊の略だろう。いずれにしても環境汚染や伝染病などを担当する部署だ。奪還作戦の支障にはならないよ」

「国民はどうなのだ? 国に軍隊がなくても、国民が武装しているのではないかね?」

「実は日本人も、銃刀法という法律で、銃はもちろん刃物の所持も禁じられている。つまり日本という国は、国家も国民も戦う術を持っていないのだよ」
ピタゴラス博士は、一呼吸おいて全員の顔を見回した。
「どうだね? 我々の拠点にするのに、最適な場所だと思わないかね?」

「おぉ……、素晴らしい」
全員がピタゴラス博士の発見を拍手で称えた。

473BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:08:44
ab.0387.Homecoming.02.08

「では次の議題は、日本のどの都市を地球奪還作戦の拠点にするか、だな」

「日本の首都、東京はどうだ?」

「残念ながら、飲料型マゾ化薬の製造コストからいって、東京全域の水源に使用するのも難しいですわ。もう少し小さな、中規模の都市なら問題ありませんが」
と、アテナ。

「うむ。では、どこにするかな……。適当な都市があればいいのだが……」

「特に候補地がないのなら……」
ペルセウスが何かを思い出したかのように、人差し指をピンと立てた。
「先日、アルテミスが休暇で行った街はどうだろうか? 名前はたしか……、さざなみし市だ」

「ほぉ、アルテミス君が? どこから、さざなみ市という名前が出てきたのかね?」
メビウス博士が怪訝そうに首を傾げた。

「さぁ……、分かりません。そういえば、オリンポスが地球に向けて最後のワープをする前にも、『さざなみ市がどうこう』と話していたな。あの時は、私のことを『長官』と呼んでいたし」

「そうか。じゃあ、まぁこれも何かの縁だ。地球奪還作戦の拠点は、さざなみ市でいいかね?」
ピタゴラス博士が全員を見回した。異論をとなえる者はなかった。

 こうして、ピタゴラス博士が自衛隊と銃刀法を誤解した為に、日本は宇宙人による侵略という未曽有の災厄にさらされる事となった。そしてアルテミスが休暇をさざなみ市で過ごした為に、さざなみ市民がマゾ化薬の対象となってしまった。

474BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:09:40
ab.0388.Homecoming.02.09

 アルテミスは、地球奪還作戦の拠点に選ばれた都市の名前をアテナから聞かされて、小さくため息をこぼした。

(この世界でも、オリンポスはさざなみ市に降下するの? これは偶然? それとも必然? 時間軸が変わっても、さざなみ市に住む地球人は辛い思いをするのね)

アルテミスは、オリンポスの降下先にさざなみ市が選ばれた原因が自分だとも知らず、さざなみ市民に少しだけ同情した。

475BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/02(木) 09:11:13
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476BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:26:41
ab.0389.Cyclops-P.11.01

『キュクロプスP』

 ネオガイア星人の解剖医アテナは、ひどく怒っていた。

話は、数時間前、新造のキュクロプスPのテスト飛行を終えたアルテミスが、訪ねてきた時にさかのぼる。

「アルテミス、傷はすっかり治ったみたいね。ウラノス博士のパーフェクトソルジャー実験のおかげね」

アルテミスの身体は、衣服の上からではあるが、傷一つない。アテナは安心したように微笑んだ。

「超合金の頭蓋骨はどう? 違和感はない?」

「えぇ、ないわ。私の頭って、超合金と相性がいいみたい」

「そう、良かったわ」

先のグレイとの交戦で頭蓋骨にひどい損傷を受けたアルテミスは、超合金の人工頭蓋骨を移植され、その後ウラノス博士の手によって不死身のパーフェクトソルジャーとして蘇った。

不死身体質には、体内の異物を排出する作用がある。銃弾などはもちろん、精液や病原菌も異物として排出されるので、アルテミスが妊娠したり伝染病にかかる事はない。

ピアスや医療用のインプラントも排出される。しかし理由は不明だが、異物であるはずの超合金の頭蓋骨だけは排出される事がなかった。そして不死身体質であるにもかかわらず、本来の頭蓋骨が再生する事もなかった。だから今も、アルテミスの頭皮の下には、超合金の頭蓋骨が埋まっているのだ。

477BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:27:37
ab.0390.Cyclops-P.11.02

「今日はアテナに相談があって来たのよ。アテナは解剖医だから、専門分野とは少し外れるけど……」

アルテミスは、キュクロプスPのテスト飛行で、操縦桿が淫液で滑って抜けてしまった事を、アテナに話した。

「操縦桿が滑らないように、キュクロプスPの操縦中だけ、淫液が分泌されないようにする方法はないかしら?」

アルテミスの話を聞いて、アテナは眼を丸くした。

「ちょっと待って、アルテミス? つまり……新しく製造されたキュクロプスPのシートにも、まだアレが生えているの!?」

「そうよ?」

「…………」

あっさりと答えるアルテミスを、アテナは何とも言えないといった表情で見つめた。

478BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:28:36
ab.0391.Cyclops-P.11.03

 ここで話は、現在に戻る。場所はロボット研究所のメビウス博士の部屋。

室内にいるのは、アテナ、アルテミス、メビウス博士、そして偶然というか運悪くその場に居合わせたピタゴラス博士の4人だ。

「メビウス博士、一体どういう事ですか!?」
アテナがメビウス博士のテーブルを手で叩いた。バンッという音が響き渡る。
「キュクロプスPの操縦桿の件は、先日お話ししましたよね?」

「あ、う……うむ。あれは操縦桿を挿入するという画期的な……」

「先日もお聞きしましたが、それのどこが画期的なのですか!?」

「いや、それはだな……。アルテミス君のような美女が、敏感な……ウググ、な、何だね、ピタゴラス博士?」

ピタゴラス博士が慌てて、メビウス博士の口を手で押さえた。
「まぁまぁまぁ、メビウス博士。ちょっと2人で話さないかね?」
そして、メビウス博士を部屋の隅に引っ張って行った。

479BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:29:23
ab.0392.Cyclops-P.11.04

「メビウス博士、正気かね? アテナ君はアルテミス君の友人なんだぞ?」
メビウス博士の耳元で囁く。
「キミが以前私に言った、『美女が肉穴を操縦桿で突かれるのが、サディストのロマン云々』なんて台詞を彼女に言ったりしたら、間違いなくセクハラで訴えられるぞ?」

「うむ。それは困るな」

「何の相談をしているのですか?」

アテナの鋭い声に、ピタゴラス博士の額に汗がスジをひいた。地位でいえば、メビウス博士やピタゴラス博士の方がアテナよりも上だが、セクハラ裁判に関しては、高い地位はむしろ不利な条件となりうる。

 アテナはピタゴラス博士たちを鋭い視線で睨んでから、隣に立つ友人に同情を込めた視線を移した。

「アルテミス、アナタも遠慮する事ないのよ? あの操縦桿は、ネオガイア宇宙軍の任務というよりも、明らかにメビウス博士の趣味よ? 嫌なら嫌と言いなさい」

そう言って、アテナはアルテミスの手を両手で握りしめた。

480BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:30:20
ab.0393.Cyclops-P.11.05

「実は……」
アルテミスは、アテナとメビウス博士を何度か見つめてから、アテナの手を握り返した。
「私、実はマゾヒストなの。私の願望は、地球人に虐めてもらう事なの」

「えっ、そ、そうなの!?」
突然の友人からの告白に、アテナは驚いた。

驚いたのはピタゴラス博士やメビウス博士も同じだった。

なにせネオガイア星人は人口の大半がサディストで、マゾヒストは極々少数派だ。それが、白兵戦の天才と謳われる現役の兵士がマゾだというのだから、驚くのは無理もない。

「今まで秘密にしてきたの。ごめんなさい」

「い、いいのよ。別に悪い事じゃないんだから」

「だから、キュクロプスPのあの操縦桿は、嫌ではないの。むしろ……、あんな素敵な物を作ってくださったメビウス博士に感謝しているくらいよ」

「そ、そう……」

本人の口から『嫌ではない』と聞かされて、アテナは納得するしかなかった。こうして、メビウス博士は訴えられずに済んだのだった。

 ピタゴラス博士の判断で、アルテミスがマゾだという事は、直属の上官であるペルセウスにだけ伝えられて、他のネオガイア星人には伏せられた。

481BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/08(水) 20:32:59
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482BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:43:20
ab.0394.Cyclops-P.11.06

 数日後、アルテミスは手書きのイラストをもって、メビウス博士のもとを訪れた。

「メビウス博士、例のキュクロプスPの操縦桿が滑ってしまう問題で、お伺いしました。アテナには淫液の分泌を止める方法について相談したのですが……、これなら……」

アルテミスは、好きな男に手書きのラブレターを渡す女子高生のような表情で、持参した紙をメビウス博士に渡した。

「きっと問題は解決しますわ?」

メビウス博士は、受け取った紙を見て、そのまま固まった。10秒近く時間をおいてから、
「こ……これは……」
と呟いて、言葉を失った。

紙に描かれていた物は、ラブレターとは似ても似つかないものだった。

483BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:43:51
ab.0395.Cyclops-P.11.07

 アルテミスが自分の居室に帰った後、メビウス博士はピタゴラス博士に会いに行った。

ピタゴラス博士の居室で、2人の科学者は、テーブルをはさんでかれこれ10分近くも無言で向かい合っていた。テーブルの上には、アルテミスから受け取ったメモが置かれている。

「メビウス博士。本当に、これを作る気かね?」
沈黙をやぶったのは、ピタゴラス博士だった。

「…………」
メビウス博士は無言のままだ。

「まぁ、パイロットのアルテミス君本人の希望なら仕方ないが……」

「…………」

「アテナ君がこれを知ったら、アルテミス君本人の希望だとしても、さすがに激怒するだろうなぁ」

「…………」

2人は、同時に溜息をこぼした。

484BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/15(水) 21:44:56
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>>476-484 キュクロプスP11

485BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:23:24
ab.0396.Cyclops-P.11.08

 さらにその数日後、アルテミスは、ロボット研究所のメビウス博士に呼ばれた。

ロボット研究所に現れたアルテミスを見て、メビウス博士は感心したように唸った。アルテミスは軍用のコートをマントのように羽織っていたが、この美女が着ると、機能性のみを追求した地味な軍服がトップブランドのそれに見えるのだ。

 メビウス博士はアルテミスの美貌にしばし見とれていたが、ハッとして咳払いをした。
「先日キミからもらった提案を参考に、キュクロプスPにいくつかの改良を加えたよ。ところで……」
声のトーンをやや落とした。
「この新しいキュクロプスPの事を、アテナ君は知っているのかね?」

「いえ、彼女にはまだ話していません」

「そうか。さて、どうしたものか……」
メビウス博士は、困った風に天井を見上げた。

486BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:23:55
ab.0397.Cyclops-P.11.09

 アテナは、グレイの犯罪者が襲来した時にアルテミスの出撃に心ならずも同意してしまい、結果的にアルテミスが瀕死の重傷を負ってしまった事に、無意識のうちに責任を感じていた。それからというもの、アルテミスの身体が傷つく事に強い拒否反応を示すようになっていて、パイロットへの負担が大きいキュクロプスPの操縦システムにも、内心では反対しているのだ。

「アテナは、私が不死身体質の真性マゾだと知っています。だから問題ありませんわ?」

そう言うアルテミスに、メビウス博士はゆっくりと首を横にふった。

「アテナ君がキミの身を案じるのは、友人だからだ。その気持ちは、キミが不死身のマゾであっても変わらないよ」

「そう……ですね」

アルテミスは今になって、パーフェクトソルジャー処置から覚めた時に見たアテナの焦燥しきった顔を思い出して、胸がしめつけられるような気持になった。その一方で、自分の身を案じてくれるアテナの気持ちが、嬉しくもあった。

結局、新しいキュクロプスPの事は、今はアテナには伏せておく事になった。

487BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:24:33
ab.0398.Cyclops-P.11.10

「まぁアテナ君の件はひとまず置いておいて、まずは新しいキュクロプスPを見てくれたまえ」
メビウス博士がコントローラーを操作すると、壁がスライドし、包茎ペニスそっくりなキュクロプスPの機体が現した。

「少し大きくなりました?」
アルテミスが怪訝そうな表情を浮かべた。

「気づいたかね? 以前は全長6メートルほどだったが、この新しいキュクロプスPは約8メートルある。大きくなった分、パワーと装甲が大幅に強化されている」

そう説明するメビウス博士の声は、誇らしげだ。

「それから、例のErectionモードだが、キミが苦痛でなく絶頂を迎えたら起動するように変更したよ」

Erectionモードは、パイロットが苦痛を感じるとキュクロプスPの出力がアップするという、一種の緊急対処システムだ。しかし、パイロットがアルテミスのような真性マゾだと、苦痛ではなく快感を感じてしまうので、Erectionモードが正常に起動しない――という不具合が、グレイの犯罪者との戦闘で明らかになった。

ちなみにアルテミスがこの時間軸にタイムトラベルする前の世界では、ヒト型巨大ロボット兵器キュクロプスに、パイロットが絶頂に達するとパワーアップする『加速装置』という機能が備わっていた。

488BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:25:04
ab.0399.Cyclops-P.11.11

「では実際にキュクロプスPの新しいコクピットを見てくれたまえ」

キュクロプスPの仮性包茎の包皮を思わせる外殻が後ろへめくれた。文字通り、包皮がむかれたように見える。機体から数枚のプレートがせり出して、タラップのように床とコクピットを繋げた。タラップは以前はなかった機能だ。

「メビウス博士。この後すぐに、新しい操縦桿を試してみたいのですが、かまいませんか?」

「ん? あぁ、かまわんよ」

「それだと、コートが邪魔ですね」

「ん? そうだな」
メビウス博士が首肯した。たしかに股間に挿入するキュクロプスPの操縦桿には、ロングコートは邪魔になる。

 アルテミスが、コートの襟元を結んでいる紐を、指先でつまんだ。挑発的な瞳でメビウス博士を見つめながら、ゆっくりと紐を引っぱり始める。紐がほどけて、コートが足元に落ちた。

「アルテミス君……!?」
コートの下から現れたアルテミスの姿に、メビウス博士が両目を大きく見開いた。

「操縦桿を挿入しやすいように、スカートとパンティは脱いできました」
コートの下から現れたのは、片手で乳房を隠しただけの全裸の女体だった。

489BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:25:37
ab.0400.Cyclops-P.11.12

「たしかにスカートとパンティは邪魔だが、まさか上半身まで何も身に着けていないとは……」
メビウス博士は、眼前の女体から目を離す事ができないでいる。

「そんな……、上半身まで裸だなんて恥ずかしすぎます」
アルテミスが、片手で乳房を隠しながら、いかにも恥ずかしそうに顔を横に向けた。
「下半身は何も身に着けていないけど……、胸には」
数秒間の沈黙の後、
「これを着けています」
乳房から手を離して、頭の後ろで両手を組んだ。

「…………!?」
メビウス博士が、あんぐりと口を開いた。

たしかに、上半身は何も身に着けていない、という事はなかった。乳房の先端には、ニップレスが貼られていた。ニップレスというのは、乳房に貼って乳首を隠すのに用いられるシールだ。

「これなら、乳首が見える心配はありません」

「たしかに乳首は見えないが……」

 アルテミスが付けているニップレスは、サイズが1円硬貨ほどしかなく、かろうじて乳首を覆っているだけだ。桜色の乳輪は完全にはみ出ていて、米粒ほどもあるモントゴメリー腺がボツボツと散在している。むしろ何も付けていないよりも卑猥に見える。

メビウス博士がゴクリと唾を飲み込んだ。何回飲み込んだのか、もう本人にも分からない。

「恥ずかしいから、そんなにご覧にならないでください」
そんな言葉に反して、アルテミスは乳房と腋下を見せつけるように、自ら胸を反らせた。メビウス博士にはマゾの性的嗜好を告白済みなので、卑猥な行為に躊躇はない。見ると、むき出しになった腋の下で、髪と同じ色の腋毛が汗でじっとりと蒸れている。

490BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:26:14
ab.0401.Cyclops-P.11.13

(あぁ、見られているわ。今ここでオナニーをして見せたら、どんなに快感かしら……)

アルテミスは、オナニーの衝動を必死に抑えた。今ここで少しでもオマンコに手を触れたら、潮をまき散らしながら絶頂を迎えるまで手の動きを止められる自信はない。淫液が溢れているのは、手で触れなくても分かる。クリトリスも破裂しそうなほど勃起しているだろう。

「コクピットに……向かいます」
やや上ずった声で伝えると、アルテミスはタラップをのぼった。歩を進めるたびに、タラップの上に淫液がボタボタと滴り落ちる。最上段までのぼり、コクピットの中を覗き込んだ。

「あら? 博士、シートの数が……」

「うむ。この新型キュクロプスPは、定員が2人に増えているのだよ。ただし、機体を操縦するのは1人だけだから、もう1人のシートは予備だがね」

先代のキュクロプスPはパイロット用シートが1つだけだったが、この新型キュクロプスPには2つある。

パイロット用シートは、SMクラブの三角木馬のように座面が尖っている。普通の者なら、座るのを想像しただけで、おもわず両足を閉じてしまいそうだ。もう1つは普通のシートで、座り心地も良さそうだ。2つのシートは、対面式になっていた。

491BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:26:52
ab.0402.Cyclops-P.11.14

 アルテミスはコクピット内に入った。キュクロプスPの外殻が自動で閉じて、タラップが機体内に収納された。

アルテミスはコクピット内部をぐるりと見まわした。先代のキュクロプスPよりも機体が大きくなった分、コクピットのスペースもかなり広くなっている。シートが2つに増えたが、窮屈感は全くない。

天井も適度に高く、長身のアルテミスが立っても頭から10センチほど余裕がある。メビウス博士が、パイロットのアルテミスの体格に合わせて設計したのだ。

 アルテミスは瞳をキラキラ輝かせながら、コクピット内を見回した。キュクロプスPのコクピットには、いくつかの変更が加えられていた。

 パイロット用シートには、手で握るレバーやボタンの類は見られなかった。その代わり、天井から腕輪が2つ垂れ下がっている。電車の吊り革のようにも見えるが、天井とつないでいるのが金属製の鎖なので、SMの手枷という印象のほうが強い。

シートの左右ににも、足輪が、馬具の鐙(あぶみ)のように取り付けられている。

腕輪と足輪には脳波センサーが備わっていて、これを介して、パイロットは機体の細かな操作が可能になる――と、メビウス博士が説明してくれた。

 さらにチューブが1本、天井から生えている。長さは約1メートル、太さは直径5センチくらい。先端がパイロットの顎下あたりにくるように、『し』の字にカーブしている。メビウス博士によると、このチューブはキュクロプスPのレーザー砲のコントローラーで、パイロットはフェラチオをするかのようにこれを口で咥えて、レーザー砲を操作するらしい。ご丁寧に、チューブ先端は亀頭の形をしている。

 カメラが、シートの正面に2つ、シートの上に1つ取り付けられている。正面の2つの内1つはパイロットの顔を、もう1つは全身を映すように配置されている。シートのカメラは上を向いていて、パイロットがシートに跨れば、その股間を真下から捉えるだろう。カメラの映像と音声は、メビウス博士の端末に中継される。

492BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:27:34
ab.0403.Cyclops-P.11.15

 かように個性的なキュクロプスPのコクピットだが、最大の特徴は操縦桿にあった。

キュクロプスPのパイロット用シートの座面には、3本の操縦桿がそそり立つように生えている。サイズは、1本が鉛筆くらい、残り2本は大きめのトウモロコシくらいある。パイロットは三角木馬のようなシートに跨り、細い1本を尿道に、太い2本を膣と直腸に挿入して機体を操るのだ。

このユニークな操縦桿は、設計者のメビウス博士に言わせると画期的な操縦システムだが、実は重大な欠陥があった。操縦中に、淫液で滑って抜けてしまうのだ。

今回、アルテミスは、その欠点を解決する方法をメビウス博士に提案したのだった。

493BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:28:16
ab.0404.Cyclops-P.11.16

『アルテミス君。操縦桿は君から受け取ったメモの通りに設計したのだが、本当にそれでいいのかね?』

アルテミスは操縦桿の1本を握った。触感を確認するかのように指に力を込めると、妖しい笑を浮かべた。そのまま、手で上下にこすった。

操縦桿から手を離して、手のひらを見た。皮膚が裂けて、血がにじんでいる。傷は不死身体質によって3秒とかけずに跡形もなく消えたが、握っただけで皮膚が裂ける操縦桿とは一体……?

「はい。これなら、もう滑って抜ける事はありません」
アルテミスは、潤んだ瞳で新しい操縦桿を見つめた。

3本の操縦桿の表面が、長さ3ミリほどの小さな棘でビッシリと覆われている。先ほどアルテミスの手のひらの皮膚を切り裂いたのは、この棘だった。

494BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:28:50
ab.0405.Cyclops-P.11.17

「メビウス博士、すぐに新しい操縦桿のテストをしたいのですが、かまいませんか?」

『ん? あぁ、かまわんよ』

新型キュクロプスPのテスト飛行が行われる事になった。アルテミスがシートに跨った。ブルーの瞳は、これからする事を想像して、妖しく潤んでいる。天井から垂れ下がる腕輪と左右の足輪に、手首と足首を通した。ここがロボット兵器のコクピット内でなかったら、SMクラブの三角木馬の上で両手を吊るされた生贄の女にしか見えない。

まだ操縦桿は挿入しない。

『外部モニターを起動します』
妙に艶っぽい女の声と同時に、アルテミスの視界からコクピット内の光景が消え、周囲に、キュクロプスPの外の映像が広がった。まるでキュクロプスPの機体が透明になったようだ。

「これは?」

『キュクロプスPの外部モニターです』
アルテミスの問いに、先ほどの声が答えた。声の主は、キュクロプスPを管理するAI【Cyclops】だ。
『立体映像ではありません。外部の光景を、パイロットのに網膜に直接照射しています』

(網膜に照射?)
アルテミスは興味深げに、周囲をキョロキョロ見回してみた。すると映像もそれに同期して変化した。天井から顔の正面まで伸びている『し』の字型のレーザー砲のコントローラーも、視界の邪魔にならない。

まるでVRゴーグルのようだが、VRゴーグルが顔を向けた方向にだけ映像が変わるのに対して、キュクロプスPのそれは眼球の動きにも対応していた。

一点を凝視すると、その部分が拡大され、その対象までの距離が表示された。視野の隅には、レーダーなどの各種モニターと、バックミラーのように背後の映像が描出されている。死角は全くない。

495BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:29:24
ab.0406.Cyclops-P.11.18

 コクピットに意識を向けると、コクピット内が、外部の映像に重なるように半透明で描出された。正面に視線を移すと、予備シートが見える。パイロット用シートと予備シートは、対面式に配置されている。予備シートに座った者には、パイロット用シートに跨るアルテミスの全身が丸見えになるはずだ。

 コクピットに意識を向けたまま真下を見ると、三角木馬のようなシートと、そこからそそり立つように生える3本の操縦桿が見えた。トウモロコシほどのサイズの1本を凝視すると、映像が拡大された。サボテンのように、無数の棘が表面を覆っている。
(敏感な部分が、これで串刺しにされるのね)
思わず、コクリと唾を飲み込んだ。

496BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:31:03
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-496 キュクロプスP11

497BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:36:38
ab.0404.Cyclops-P.11.16

加筆修正です
***************************

『アルテミス君。操縦桿は君から受け取ったメモの通りに設計したのだが、本当にそれでいいのかね?』
通信機のスピーカーから、メビウス博士の困惑気味の声がした。

アルテミスは操縦桿の1本を握った。触感を確認するかのように指に力を込めると、妖しい笑を浮かべた。そのまま、手で上下にこすった。

操縦桿から手を離して、手のひらを見た。皮膚が裂けて、血がにじんでいる。傷は不死身体質によって3秒とかけずに跡形もなく消えたが、握っただけで皮膚が裂ける操縦桿とは一体……?

「はい。これなら、もう滑って抜ける事はありません」
アルテミスは、潤んだ瞳で新しい操縦桿を見つめた。

3本の操縦桿の表面が、長さ3ミリほどの小さな棘でビッシリと覆われている。先ほどアルテミスの手のひらの皮膚を切り裂いたのは、この棘だった。

498BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/21(火) 20:37:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

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>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

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>>476-498 キュクロプスP11

499BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 18:59:26
ab.0407.Cyclops-P.11.19

 斜め下に視線を移すと、手元のモニタを食い入るように見つめるメビウス博士の姿が見えた。シートに取り付けられたカメラが、アルテミスの股間を真下から映しているのだ。

アルテミスは妖しい笑みを浮かべると、両膝を左右に大きく開いた。相撲の四股立ちのような姿勢だ。真下のカメラは、オマンコだけでなく肛門も余すところなく捉える事ができる。

「メビウス博士?」

アルテミスが話しかけると、メビウス博士はハッと顔を上げて軽く咳払いした。

『ご、誤解しないでくれたまえ。キミのオマン……、じゃない性器に見入っていたのではないぞ?』

「はい。新しい操縦桿を観察しているのですね?」

『そ、そうだ。もちろんそうだ。今後の量産化に向けて、操縦桿のデータを取らなくてはならないのだよ』

アルテミスがクスッと笑うと、両脚を大きく開いた体勢のまま、肛門をヒクつかせてみせた。通信機から、『ゴクリ』とメビウス博士が唾を飲み込む音がした。

「ところでメビウス博士、このレーザー砲のコントローラーはどう使うのですか?」

アルテミスは、コクピットの天井から鼻先まで『し』の字を描きながらのびている、太さ5センチほどのチューブの先端に視線を移した。先端の形状はペニスの亀頭にそっくりだ。

『うむ。まずはデモ映像を見てくれたまえ』

500BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:00:18
ab.0408.Cyclops-P.11.20

 アルテミスの視野の一角に、ブロンド美女の姿が描出された。ブロンド美女の顔前にも、ペニスにそっくりなコントローラーが映っている。これも網膜に照射されている映像だが、そうとは思えないほどリアルだ。

『こんな風に舌先で先っぽをペロペロすれば、照準を調整できるのよ?』
ブロンド美女は【Cyclops】の声でそう告げると、コントローラーの先端に舌を這わせ始めた。舌の動きに合わせて、正面の照準ポインターが移動した。

レーザー砲のコントローラーのデモ映像だが、ブロンド美女がペニスそっくりなコントローラーを『美味しいわ』とか囁きながら舐めるので、アダルトビデオのフェラチオシーンにしか見えない。

『先っぽを吸うと、レーザーがドピュって出るわ』
ブロンド美女がコントローラーの先端を強く吸った。柔らかそうな頬が、キュウっと窄まる。同時に、映像の中で、照準ポインタに白濁した粘液が降り注いだ。もっとも実際は、粘液ではなくレーザーが標的を襲う。

ブロンド美女が、蠱惑的な笑みを浮かべた。見ると、唇の横から白濁した粘液が糸をひいている。
『デモ映像は、これでオシマイよ?』
ブロンド美女とコントローラーの映像が消えた。

501BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:01:07
ab.0409.Cyclops-P.11.21

『では操縦桿のテストに移るが……、本当に大丈夫なのかね?』
デモ映像が終わると、メビウス博士が困惑気味に訊いた。

メビウス博士が困惑するのも当然だった。先ほどはアルテミスのオマンコとアナルの映像におもわず見入ってしまったが、そこに棘だらけの操縦桿を挿入するとなると、話は別だ。

「はい。私はネオガイア宇宙軍の兵士です。覚悟はできています」

メビウス博士とは対照的に、アルテミスの声からは強い決意が滲み出ていた。ただし台詞は兵士の鏡のように立派だが、本当は早く操縦桿を挿入したくてたまらないといった様子だ。

「メビウス博士は、棘で覆われた極太バイブを女体の急所に突っ込まれた女がどんな悲鳴をあげるか、データを取って下さい」

『いや、バイブではなく操縦桿なのだが……。もしこんな事がアテナ君に知れたらと思うと、気が気でないよ』
メビウス博士はますます困惑気味だ。キュクロプスPの卑猥な操縦システムの件では、アテナから猛烈なクレームを受けてからまだ日も浅い。

そんなメビウス博士の言葉は、アルテミスには届いていなかった。この真性マゾの頭の中は、棘で覆われた操縦桿で挿入したらどんな苦痛を味わえるか、その事で一杯だった。見ると、操縦桿の上に淫液がボタボタと滴り落ちでいる。

「博士、操縦桿を挿入してもかまいませんか?」

『う、うむ。では始めてくれたまえ。無理せず、ゆっくりと挿れ……』

(あぁ、もうダメ。待ちきれない!)
アルテミスは、メビウス博士が話し終えるのを待たずに、シートの上に一気に腰を落とした。

502BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:02:03
ab.0410.Cyclops-P.11.22

 アルテミスの身体が鋭角の座席に落ちるドスンという音と、ブチブチッという肉が引きちぎるような音がした。棘で覆われた3本の操縦桿が、膣と直腸、そして尿道に根元まで突き刺さった。

「グギャアアアアアア!」
キュクロプスPのコクピット内に、絶叫が響きわたった。

三角木馬のような座面に股間から落ちただけでも相当な苦痛なのに、棘で覆われた操縦桿で敏感な部分が串刺しになったのだ。とても耐えられる痛みではない。

「ひ、ひぃぃぃ……。私のオマンコがぁ……」
アルテミスが身体を仰け反らせた。天井と腕輪を繋げる鎖が、ジャラジャラと音をたてた。床の上には、滴り落ちた血が、赤い斑点を描いている。

「はぁ、はぁ、はぁ……」
やがてアルテミスの吐息に、甘い響きが混じり始めた。見ると、出血も止まっている。操縦桿を挿入されたまま、不死身体質が傷を治したのだ。

『だ、大丈夫かね?』
しばらく沈黙を保っていたメビウス博士が、心配そうな声で尋ねた。シートのカメラを介して、アルテミスの血まみれの股間が見えているのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

『アルテミス君!?』

「はぁ、はぁ、はぁ……だ、大丈夫ですわ。これくらいの苦痛、耐えてみせますわ」
アルテミスは、先ほどの悲鳴とはうって変わって、甘く蕩けるような声で答えた。口調も『ですわ』調になっている。アこの真性マゾには、被虐の欲望に火がつくと、口調が『ですわ』調に変わる癖があった。

『それならいいのだが……。では飛行テストを始めてもいいかね? 前回の飛行テストと内容は同じだ』

「は……はい。いつでもどうぞ?」

壁の一角が開いた。外は、真空の宇宙空間だ。ただしバリアによって気密は保たれているので、急減圧の心配はない。

アルテミスが操縦桿を挿入したまま、腰を前に突き出した。敏感な粘膜を操縦桿に擦れれて、おもわず甘い吐息がもれる。キュクロプスPが宇宙空間に飛び出した。

503BiBi ◆8cBPUextJk:2020/01/31(金) 19:07:50
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

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>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

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>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-503 キュクロプスP11

504BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/24(月) 00:14:32
ab.0411.Cyclops-P.11.23

 宇宙空間にリングがいくつも出現した。宇宙船オリンポスから投影された立体映像だ。テスト飛行では、アルテミスはキュクロプスPを操って、これらのリングをくぐり抜けなくてはならない。それ自体は前回のテストと同じだが、今回は操縦桿が無数の棘で覆われている。

『大丈夫かね?』
メビウス博士が、さっきと同じ質問をした。ただし今回は、声が心配そうだ。

博士の手元のモニタには、コクピットのカメラを介してアルテミスの姿が映っている。アルテミスが不死身体質の真性マゾだと分かっていても、ネオガイア宇宙軍の兵士が股間を血まみれにしているのだから、心配にもなるというものだ。

「はぁ、はぁ、はぁ。だ、大丈夫ですわ」
メビウス博士とは対照的に、アルテミスの声は甘く蕩けるようだ。

成人男性の人差し指第一関節ほどのサイズに勃起した乳首を見れば、アルテミスが欲情している事は明らかだ。見ると、乳輪に散在するモントゴメリー腺も、米粒大に膨らんでいる。クリトリスの状態は、股間が血まみれなので確認できない。破裂しそうなほど勃起しているか、あるいは操縦桿の表面を覆う棘に抉り取られてしまったか……。

505BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:49:21

ab.0412.Cyclops-P.11.24

『それなら良いのだが……。ではテスト飛行を始めてくれたまえ』
メビウス博士が躊躇いがちに、テストの開始を命じた。同時に、宇宙空間に浮かんだリングが不規則に動き、その内の1つが点滅し始めた。

アルテミスが操縦桿を挿入したまま、腰をひねった。キュクロプスPが急加速し、点滅するリングをくぐり抜けた。続いて、別のリングが点滅を開始。キュクロプスPが小さく旋回、2つめのリングをくぐり抜けた。

その後も次々とリングが点滅し、キュクロプスPはそれらをくぐり抜けていった。失敗は1度もなかった。しかもそのペースが異常に早い。実際、アルテミスが30個近くあるリングを全てくぐり抜けるのに、3分もかかっていない。

『アルテミス君、ご苦労だった。やはりキミの操縦技術は神業だ』
メビウス博士は、手元のモニタに表示されたテスト結果を見ながら、感心したようにウンウンと何度も頷いた。
『これでテスト飛行は終了だ。オリンポスに帰艦して、傷の手当てをしてくれたまえ』

アルテミスはテスト飛行の終了を告げられで、落胆した。
(そんな……。せっかく棘だらけの操縦桿を敏感な穴に挿入したのに、もう終了だなんて……)
まだ1回も絶頂を迎えていないのだ。

506BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:49:53
ab.0413.Cyclops-P.11.25

「あ、あの……、メビウス博士?」

『ん、何かね?』

「こ、このテスト飛行の目的は、操縦桿が滑って抜けないかどうかを調べる事です」

『うむ。今の飛行で操縦桿が抜ける事は1度もなかったから、目的は果たせたのだよ』

「ダメ! ダメです。まだダメです」
アルテミスは必死だ。
「そ、そうだわ。もっと激しい操縦でも抜けないかどうかを、テストする必要があります」

『う……む、まぁパイロットのキミが言うのなら、続けたまえ』

「はい、ありがとうございます。ありがとうございます」
アルテミスの顔が、歓喜に輝いた。

アルテミスは、ゆっくりと腰を持ち上げ始めた。尿道と膣、直腸から操縦桿がズルズルと引き抜かれる。操縦桿の表面は血まみれだ。敏感な粘膜を棘に擦られて、切なげな喘ぎ声をもらした。

507BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:50:32
ab.0414.Cyclops-P.11.26

操縦桿を完全に引き抜いたところで、腰の動きを止めた。そのまま20秒ほど動かない。

『どうかしたのかね?』
アルテミスが動かずにいるので、メビウス博士が怪訝そうに尋ねた。

「テスト飛行の準備が終わるのを待っていましたの。でも」
アルテミスは、潤んだ瞳でコクピット正面のカメラを見つめるながら、
「準備ができましたわ?」
妖しい笑みを浮かべた。

『準備? 何の事だね?』

「さっきのテスト飛行で負った傷は完治しました。もちろん……処女膜も」
やや肉厚の形の良い唇に、舌を這わせる。

『…………』

「さっきのは準備運動みたいなものです。これからが本当の生体実験ですわ?」

『いや、生体実験ではなくテスト飛行なのだが……』
メビウス博士が訂正したが、これからする事で頭の中がいっぱいのアルテミスには、半ば聞こえていない。

見ると、白磁のような肌が、うっすらとピンクに色づいている。乳首は成人男性の人差し指第一関節ほどのサイズに勃起し、乳輪には米粒大のボツボツが浮かんでいる。

508BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:51:30
ab.0415.Cyclops-P.11.27

股間は、今も血まみれだが、操縦桿の棘で抉られた傷は完治している。勃起したクリトリスが、包皮を突き破るように顔を覗かせている。

アルテミスのクリトリスは、平常時でも大ぶりだが、勃起時には人並外れて巨大化する。

感度も人並外れて敏感で、この部分を責められた時のアルテミスの狂乱ぶりは、実際に目撃した者でなければ絶対にわからない。

成人男性の人差し指第一関節大を優に超える肉突起が、ピクピクと脈打っている。針で突けば、破裂してしまいそうだ。

「オシッコの穴とオマンコ、そして肛門を無数の棘で覆われた3本のバイブでメッタ突きにされた女が、どんな風に泣き叫ぶか楽しんで下さいね」

『いや、さっきも言ったが、それはバイブではなく操縦桿なのだが……』
メビウス博士がまた訂正したが、やはりアルテミスの耳には入っていない。

(やっとこれを突っ込んで、好きなだけズボズボできるのね。あぁ、私、最後まで耐えられるかしら……)
何をもって最後なのか、耐えるのは苦痛か快楽か、それは本人にしか分からない。

アルテミスは、膣と尿道孔、そして肛門が3本の操縦桿の先端に接するように、腰の位置を調整した。オマンコから操縦桿の先端に、淫液がトロリと垂れた。

509BiBi ◆8cBPUextJk:2020/02/25(火) 19:52:32
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-509 キュクロプスP11

510BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:58:29
ab.0416.intermission

以下、>> - >> には、少しグロい描写があります。苦手な方は、お読みにならないように。これらはストーリーの展開には不要なので、読み飛ばしても全く問題ありません。

511BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:59:17
ab.0417.Cyclops-P.11.28

 3本の操縦桿を敏感な肉穴に挿入し、思う存分メッタ突きにする――、その時を、この真性マゾはどれほど心待ちにしていただろうか……。

操縦桿は全部で3本。サイズは膣と肛門用は大きめのトウモロコシほど、尿道用は鉛筆ほどあり、いずれも表面を小さな刺で覆われている。

アルテミスは『バイブ』と呼んだが、シリコン製のバイブと違って、操縦桿はアルテミスの人工頭蓋骨と同じ超合金でできている。取り外して武器にすれば、大男だって殴り殺せそうだ。

 アルテミスの股間は、血と淫液で汚れてはいるが、傷はすでに完治していた。もちろん処女膜も再生している。見ると、成人男性の人差し指第一関節ほどに勃起したクリトリスが、ピクピクと震えている。

 アルテミスは、3本の操縦桿の先端が尿道、膣、直腸の入り口に当たっている事を確認すると、下半身に力を入れて大陰唇と肛門をキュッと締めた。操縦桿を締め付けて、より強い痛みを得る為だ。

正面のカメラを見つめた。キュクロプスPのコクピットには複数のカメラが設置されていて、それらを介して、アルテミスの姿がメビウス博士の持つ端末に中継されている。

本当なら宇宙船オリンポスの船内に中継してほしかったが、アルテミスの性的嗜好は一部の者以外には秘密にされているので、その希望がかなう事はない。

512BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 20:59:59
ab.0418.Cyclops-P.11.29

 カメラに向かって妖艶にほほ笑むと、何の躊躇いもなく一気に腰を落とした。肉の裂けるブチブチという音がした。

「ぐぎゃあああああああああ!」
コンマ5秒ほどおいて、すさまじい絶叫がコクピット内に響き渡った。空気がビリビリと振動した。

操縦桿は根元まで突き刺さった。処女膜が無残に突き破られ、粘膜が操縦桿の棘に引き裂かれた。

陰唇と操縦桿の隙間から、ドクドクと血が溢れ出した。それとは別に、一条の赤い血が間欠泉のように噴出した。棘が動脈を切り裂いたのだ。

「ひぐぅぅぅ……、い、いいわぁ。なんて快感なのかしら」
常人なら悶絶しそうなほど痛みだが、アルテミスの口からもれるのは甘い吐息だった。Gカップの巨乳の頂点で、勃起した乳首がブルブルと震えている。

513BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:00:29
ab.0419.Cyclops-P.11.30
 
 アルテミスは、両脚を踏ん張ると、そのままゆっくりと腰を持ち上げ始めた。股間をくし刺しにし操縦桿が、ズルズルと引き抜かれていく。

「オォオオオ……オオオ……」
腹の底から響いてきたような低い呻き声をもらした。操縦桿と肛門の隙間から、直腸内に溜まっていた血が、ボタボタと床に滴り落ちた。

操縦桿が完全に引き抜かれたところで、中腰のような体勢のまま動きを止めた。

『どうしたんだね? 辛かったら中止してかまわんよ?』
アルテミスが動かないのを見て心配するメビウス博士に、
「はぁ、はぁ、はぁ。大丈夫ですわ。準備ができるのを待っているだけですわ?」
蕩けるような甘い声で答えた。

『準備? 何の準備だね?』

アルテミスは問いに答えるかわりに、正面のカメラを挑発的な目で見つめた。そのまま約10秒。

「あぁ……、準備できましたわ?」
準備――処女膜の再生――が終わると、一気に腰を落とした。3本の凶器が、再び敏感な肉穴を襲った。

「ひぎゃああああああ!」
顔を仰け反らせながら、悲鳴を迸らせた。
「フ、フフフ。す、すごいわ。こんな快感、私、もうやめられない」
左右の腿に力をこめると、そのままゆっくりと腰を持ち上げ始めた。

514BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:01:00
ab.0420.Cyclops-P.11.31

 ゆっくりと腰を持ち上げ、処女膜の再生を待ってから一気に落とす。アルテミスは、これを何度も何度も繰り返した。顔をのけ反らして、喘ぎ声と悲鳴を交互に発する。

(あぁ、こんな快楽がこの世にあるなんて……)

天井を見上げる瞳は血走り、半開きになった唇の間からヨダレが垂れている。

(ダメ。処女膜の再生なんか、もう待っていられない!)

腰を上下させるペースが少しずつ速くなり、床にできた血だまりの直径が1メートルになる頃には、狂ったように腰を上下していた。

「ぎゃっ、ぎゃっ、ひっ、ひっ、ぐひぃ! あぐあぐあぐっ! あひぃ!」

腰のグラインドにあわせて、Gカップの巨乳がブルンブルンと上下に揺れた。血しぶきが飛び散り、色白の乳房に赤い斑点が描かれる。すでに下腹部は血まみれで、陰毛にもベットリと血がこびりついている。

三角木馬のようなシートの上で、両手を吊るされた血まみれの女が半狂乱で腰を振りながら悶える姿は、SMというよりもホラー映画のワンシーンのようだ。

手枷のようなコントローラーに通した手首の先で、指が意味もなく開閉する。両目の焦点は定まらず、何度も白目に反転した。上下の歯が噛み合わされて、ギリギリと音を立てた。悲鳴が放たれるたびに、歯の間から泡状になった唾液が飛び散る。美しい顔は涙と鼻水、そしてヨダレでベトベトだ。

「イ、イイ! もっと、もっと、もっとよぉ! アヒィ! ヒィ! ヒィ! ヒィィィ……」

操縦桿の表面をびっしりと覆う棘が粘膜に食い込み、腰を上げるたびに、小陰唇と直腸が操縦桿に引きずられて外側にめくれた。腰を落下させるたびに、大陰唇と肛門が、体内へめり込んだ。

すでに陰唇は原型をとどめていない。操縦桿の表面には、棘で削り取られた小さな肉片がこびり付いている。直腸をえぐる操縦桿には、大便もベットリと付着している。

「ヒィッヒィッ、い、いい、堪らない……スゴイ、凄すぎるぅ……」

アルテミスは、女体の急所を破壊される地獄の苦しみに翻弄されながら、一心不乱に腰を振り続けた。

515BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:01:51
ab.0421.Cyclops-P.11.32

(あぁ、なんだか眩暈がするわ)

貧血を起こしていた。見ると、もとから白磁のようだった肌は白蝋のように白くなり、桜色の唇も血の気を失っている。

ただしアルテミスの不死身体質は造血機能も飛躍的に高めるので、この程度の出血で意識を失う事はない。それどころか腰の上下するペースは遅くなるどころか、ますます速くなっていた。

『うぅむ、すごい出血だ。大丈夫かね?』
通信機のスピーカーからメビウス博士の声がした。アルテミスの状態は、コクピット内に設置されたカメラを通して見えている。しかし興奮状態の真性マゾには、メビウス博士の声は聞こえていない。
『はぁ……。どうかアテナ君にバレませんように……』
メビウス博士は困ったように独り言を呟くと、そのまま黙り込んだ。

 何度目かの腰の突き上げで、尿道用の操縦桿が肥大したクリトリスをえぐり取った瞬間、アルテミスは全身を硬直させた。
「ぐひぃ! ひっ、ひ、ひ、ひくっ! い、イクッ! イグゥゥゥ!!」
もはや原形を留めていない秘裂から、潮が間欠泉のように噴出した。潮は血の色をしていた。

516BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:02:31
ab.0422.Cyclops-P.11.33

 アルテミスは三角木馬のようなシートに跨ったまま、絶えだえといった様子で、半ば失神していた。両手を吊るされていなかったら、シートから落ちてしまいそうだ。

(あ……あぁ……、こんなに気持ち良かったのは久しぶりだわ)
呆けたような顔で、自分の下腹部を見下ろした。シートも床も血の海だ。目を凝らすと、血に混じって小さな肉片と大便が散らばっている。

『ス君……ミス君……』

アルテミスは霞がかかったような目で、正面のカメラを見つめた。

『テミス君……アルテミス君?』

「あ……、ハ、ハイ、メビウス博士」
メビウス博士に呼ばれている事に、ようやく気付いた。

『アルテミス君、大丈夫かね?』

「はい、大丈夫です」

『そうか、それなら良いんだが。とりあえず操縦桿が滑って抜けてしまう事はなさそうだ。操縦桿のテストは終了だ』

「メ、メビウス博……」

『オリンポスに帰艦してくれたまえ』

メビウス博士は、アルテミスにみなまで言わせず、一方的に通信を切った。

517BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:03:01
ab.0423.Cyclops-P.11.34

 メビウス博士は通信を切ると、疲れたように溜息をこぼした。

「ふぅ……。危ないところだった。通信を切らなかったら、アルテミス君は間違いなく、テスト飛行を続けたいと言い出していただろうな」

そして手元のモニタを見ると、また溜息をこぼした。モニタには、下半身を血まみれにしたアルテミスが映っている。

「これ以上続けて、もしもそれがアテナ君にばれたらと思うと、もう気が気ではないよ」

 アルテミスの友人のアテナは、キュクロプスPの操縦桿の件で激怒した事がある。その時は、アルテミスが自分の性的嗜好を告白して、なんとか怒りは収まった。しかし操縦桿の表面が棘で覆われている事を知ったら、さすがに黙っていないだろう。

「それにしても、まさかアルテミス君があそこまで乱れるとは……、とんでもない真性マゾだな」

別のモニタで、キュクロプスPの動きの録画映像を見た。映像の中で、キュクロプスPが宇宙空間をデタラメに飛行している。

(そういえば……)

アルテミスが腰を振るたびに操縦桿が不規則に動くので、キュクロプスPはデタラメに飛行する。しかしオリンポスには一度も衝突していない――、その事に、メビウス博士は気付いた。

(まさか半ば無意識のうちに、キュクロプスPをコントロールしていたのか……?)
メビウス博士は、アルテミスの操縦技術の高さを改めて知り、舌を巻いた。

518BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/09(月) 21:07:24
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP11 (>>510-518 には、少しグロイシーンがあります。苦手な方はお読みにならないように。この章を読み飛ばしても、ストーリーの展開には影響ありません)

519BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:42:00
ab.0424.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

520BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:42:44
ab.0425.Prime Minister Dabu.06

 ネオガイア星人が地球奪還作戦の準備を進めている頃、作戦の拠点に選ばれた日本は、新たに首相に就任した辞民党の駄部首相の大胆かつユニークな経済政策が功を奏して、史上まれにみる好景気に浮かれていた。

駄部首相の経済政策はダメノミクスと命名された。ダメノミクスは4つ政策で構成されていて、各々第一の柱、第二の柱、第三の柱、そして第四の柱と呼ばれた。

第一の柱では、少子化や年金問題といった辞民党政権下で起きた問題を、全て民捨党政権の失政によるものだという事にした。そのおかげで、辞民党への期待が一気に高まった。

第二の柱では、すでに破綻気味の年金を投入して、株価を引き上げた。年金破綻はさらに進んだが、株価上昇のおかげで、富裕層の懐は大いに潤った。

第三の柱では、平均賃金を正規雇用者だけの名目賃金で集計し、その一方で失業率を非正規雇用や休業者も就業者として集計して算出した。その結果、平均賃金が高くなり、失業率が低くなった。

第四の柱では、国の豊かさを示す指標の1つであるGDPの算出方法を変更して、計算上のGDPを引き上げた。

マスコミは、駄部首相のこの偉大な功績を毎日のように新聞の第一面で取り上げ、ネット上では、平日の真昼間から駄部首相を称賛する匿名の書き込みで溢れかえった。駄部首相は、民捨政権下で破綻した日本経済を立て直す、まさに救世主だった。

521BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:43:51
ab.0426.Prime Minister Dabu.07

 経済政策に先立って、駄部首相の最初の仕事は、内閣閣僚の任命だった。官房長官には、管(くだ)氏が任命された。駄部首相が記者会見などで使用する原稿の漢字にフリガナまで付けてくれる、とても頼りになる人物だ。他の閣僚も次々と任命された。誰もが駄部首相の事を気遣ってくれる、まさに適材適所といえる人選だった。

「閣僚はこれでいいでしょう。あとは検察庁ですね」
と、管官房長官。
「そので問題が1つあります。検事長の黒腹の定年が迫っています」

「黒腹?」
駄部首相が何かを思い出そうとするかのように天井を見上げたが、頭の中には何も思い浮かばない。
「誰だ、そいつ?」

「辞民党の守護神と呼ばれる人物です。辞民党の不祥事を全て不起訴にしてくれます。駄部内閣を盤石のものとするには、この守護神を検事総長にしなくてはなりません」

「ならすればいいだろ」

「いえ、今の検事総長が退任する前に、黒腹検事長が定年を迎えてしまうので、それは無理です」

「じゃあどうするんだ?」
駄部首相はカッとなって怒鳴り散らした。駄部首相は炎のように熱い漢(おとこ)なのだ。

「検察庁法ではなく公務員法を適用すればいいんですよ」
それに対して、管官房長官は冷静だ。と言うよりも、もとから常にしかめっ面なので、感情を読み取れない。

「検察庁法? 何だ、それは?」
熱い漢がさらに苛立ったように語気を強めた。

(まさかご存じないのですか!?)
管官房長官は喉元まで出かけた言葉をグッと飲み込んで、
「まぁとりあえずは黒腹の定年延長を発表して下さい。法的な問題は法務大臣に任せましょう」
と進言した。

 数日後、黒腹検事長の定年延長が決定した。弁護士の資格を持つ法務大臣は、検察庁の人事に検察庁法ではなく公務員法を適用する前代未聞の人事について野党から追及されて、消え入りそうな声で『法の解釈を変更したから、全く違法ではない』と繰り返した。

522BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:44:25
ab.0427.Prime Minister Dabu.08

 内閣改造で内堀を埋め、検事長の定年延長で外堀を埋めた駄部首相に次に必要なのは、いわゆるブレーンの確保だった。適材適所で任命された閣僚は確かに優秀だったが、それとは別に頭脳となり得る人材が必要だったのだ。

「そういえば1人、優秀な男がいます。かなりの変わり者で、周囲からは異邦人などと呼ばれていますが、能力面では申し分ありません」
と、管官房長官。

「どんな奴だ?」

「実はすでに官邸に呼んでいます。今からお会いになりますか?」

管官房長官に呼ばれて、首相執務室に入ってきた鶉山は、にこやかに微笑んだ。

「はじめまして、総理。防衛省の鶉山です」

「おぉ、防衛省か。よく来たな」
駄部首相は防衛省と聞いて、嬉しそうに顔をほころばせた。

愛国心の強いこの首相は、愛読書のコミックに登場する、世界征服を目論むマッドサイエンティストと戦う地球防衛軍の司令官に自分を重ね合わせる事が好きで、防衛省に思い入れが強かった。

523BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/17(火) 20:46:20
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

524BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:50:16
ab.0428.intermission

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

525BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:51:05
ab.0429.invasion.001

『侵攻』

 駄部首相は今日も首相官邸でくつろいでいた。側近からはダメノミクス成功の報告が次々と届き、その一方で失敗や懸念材料を伝える報告は皆無だった。マスコミも毎日のように、ダメノミクスの成果を第一面で報道した。

ネットの匿名掲示板も、駄部首相を讃える投稿で溢れかえった。24時間365日、普通なら仕事や学校があるはずの時間帯でも投稿してくれる熱心な一般国民の活動に、駄部首相は感激した。

1週間前に秘書から手渡された予算案に関する資料にざっと目を通したが、書かれている内容がよく解らないので、見るのをやめた。

書棚から愛読書を1冊手に取った。駄部首相は勉強のために、毎日1冊ずつ本を読むのを日課にしていた。今日の1冊は、宇宙戦艦がエイリアンと戦うという内容のSFコミックだ。見ると、書棚には、大量のコミックがぎっしりと詰まっている。

(オレは宇宙戦艦の艦長だ。戦艦の名前は……ムサシ、ムサシがいい)
ページをめくりながら、主人公に自分を重ね合わせる。
(副官は……そうだ、中島亜矢だ。亜矢ちゃんはオレの副官で、恋人だ)
中島亜矢は、駄部首相のお気に入りの女子アナの1人だった。

コミックを読みながら白日夢に耽る、駄部首相の至福のひと時だ。その至福の時間を、電話の着信音が断ち切った。

「何だ? オレは忙しいんだ」
受話器を耳に当て、不機嫌そうに怒鳴りつけた。

「総理、大変です! テ、テレビをつけて下さい」
電話は管(くだ)官房長官からだった。

「テレビ? アニメの新番組でも始まったのか……?」
ブツブツ独り言を呟きながら、テレビをつけた。そしてテレビ画面を見て、口をポカンと開けた。

 テレビには、緊張した面持ちの中島亜矢が映っていた。
『先ほど、さざなみ市上空に現れた謎の飛行物体は、依然として……』
声も、どことなく引きつっている。

526BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:51:56
ab.0430.invasion.002

 ここで、時間が少しだけ遡る。

1999年7月。宇宙船オリンポスでは、アルテミスがパーフェクトソルジャーとなり、由梨香が出産を終え、地球では日本の政権が民捨党から辞民党に移ってから、さらに幾日が経過した頃。

ついにネオガイア星人による地球侵攻が始まった。宇宙船オリンポスが、地球に降下を開始した。

 オリンポスにドッキングしてた2隻の小型宇宙船――調査宇宙船と拷問研究所の宇宙船――は、衛星軌道上にとどまった。

ネオガイア星人の大半はオリンポスに乗り込み、2隻の小型宇宙船には必要最小限の人員しか搭乗していない。ちなみに2隻とも、ステルス機能によって、地球人に発見される心配はない。

 オリンポスの降下先は、日本のさざなみ市だ。日本が選ばれたのはピタゴラス博士の勘違いが原因で、さざなみ市が選ばれたのはアルテミスの発言が原因だった。

 オリンポスは、ネオガイア星のステルス機能によって、地球のレーダーで捉える事はできない。これは船体を透明にする機能も備えていて、肉眼で見る事もできない。

しかし、このステルス機能は、地球に降下する時にOFFにされた。あえてその巨大な船体を地球人に見せつけて、威圧するためだ。そんな訳で、地球人がオリンポスに気づいたのは、さざなみ市上空の雲を突き破るように、全長1キロメートルの巨大な船体が姿を現した時だった。

空気との摩擦熱でオレンジ色に発光しながら降下してくるオリンポスは、まるで地球人類を滅ぼすために天上から遣わされた怪物のようだった。ちなみに『空気との摩擦熱』と呼ばれているが、実際は空気が船体と擦れあって発熱しているのではない。

 オリンポスは、さざなみ市の上空500メートルで停止した。

全長1キロメートルの宇宙船が高度500メートルに浮遊する光景は、まるでさざなみ市を覆いつくさんばかりだった。実際、船体で日光が遮られて、地上は夜のような暗さに包まれた。

人々は恐怖におののきながら、頭上を見上げた。しかしオリンポスが巨大すぎて、その形を視認する事ができない。

527BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:52:28
ab.0431.invasion.003

 ここで時間は、現在に戻る。

この未曾有の事態に、真っ先に現場に到着したのは、警察でも自衛隊でもなくマスコミだった。

テレビ局のレポーターが、オリンポスをバックに実況中継している。テレビ局では、女子アナの中島亜矢が、緊張気味の面持ちで原稿を読んでいた。中島アナの隣には、番組のレギュラーコメンテーターを務める、タレントのマツ子デトックスが座っている。

「先ほど、さざなみ市上空に現れた飛行物体は、依然として上空に停止したままです。正体は不明です。さざなみ市の皆さん、落ち着いて行動して下さい」

中島アナは一気にまくしたてると、一呼吸おいて、更に神妙な表情を浮かべた。

「ここでCMです。CMの後は、芸能界のご意見番マツ子デトックスさんを交えて、モデルの蛇原優里さんの恋人発覚疑惑の真相を探ります!」

ジャジャーン♪
効果音が流れ、番組は30秒のCMに入った。

528BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/19(木) 17:54:02
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-528 侵攻

529BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:23:37
ab.0432.invasion.004

 場所は変わって、アメリカ合衆国ホワイトハウスでは、大統領ポッシュ3世が、大統領補佐官から、日本に出現した飛行物体の報告を受けていた。

「テロではないのだな?」

「はい。捕らえたテロリストを拷も……、過酷な尋問をしましたが、関与は認められません」

「尋問は誰がやった?」

「アメリカ軍の女性兵士です」

「だめだ。女兵士では、筋金入りのテロリストの口を割らせるのは無理だ。CIAで尋問しろ」

「いえ、大統領。その点は心配いりません。尋問を担当した女性兵士は、筋金入りの真性サディストです。彼女の尋問に耐えられる者は絶対にいません」

「そうか。で、問題の飛行物体について何か分ったか?」

「現時点で分かっているのは、大きさが全長1キロメートルある、という事くらいです」

「1キロメートル……」
ポッシュ大統領はゴクリと唾を飲み込んだ。1キロメートルというと、アメリカ海軍最大の空母の3倍ある。

「それと、あまり役に立つ情報とは思えませんが……、あの飛行物体の出現を予言していたという宗教団体があります」

「宗教団体? どうせ、のちに何とでも解釈できる表現を使っておいて、いざ事が起こったら『予言が的中した』とか言い出す、いつもの手口だろう」

「それが、そうでもないのです。大統領、これを」
補佐官が、1冊の本を取り出した。
「144ページです」

大統領はページをめくり、文字を指でなぞりながら読み始めた。その指が止まり、眉間にシワが刻まれた。

そこには、
『1999年7月、巨大な卵に乗って、恐怖の大王が降臨する』
そう記されていた。

「1999年7月という具体的な数字。そして『巨大な卵』というのは、あの宇宙船の形と一致しています。非科学的ですが、偶然とは思えません」

「まだ何とも言えないな。まずは、これの著者から話を聞きたい」

「それは不可能です。本の初刊の発刊日をご覧ください」

巻末には、1555年と書かれていた。

「その本は、400年以上も昔に書かれたものです。著者はもうこの世にいません」

「では本当に予言が当たったというのか? 著者の名前は?」

「ミシェル・ド・ノートルダム。信者はノストラダムスと呼んでいます」

「ノストラダムス? 初めて聞く名前だ。で、その宗教団体の名前は?」

「宇宙人類教団です」

「何だ、そのふざけた名前は? まぁいい。念のため監視しておけ」

「はい」
補佐官は短く返事をすると、声のトーンを落とした。
「大統領、例の飛行物体に関して、憂慮すべき懸念があります」

「何だ?」
ポッシュ大統領は、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「この飛行物体は、透明になる事ができるようです。さらにレーダーをはじめ、いかなるセンサーでも捉える事ができません」
補佐官は一呼吸おいて、言葉を続けた。
「仮に出現場所が日本でなくワシントンDCだったとしても、これが頭上に現れるまで、我々は、その接近に気づく事すらできないという事です」

「…………」

「これが敵の兵器だとしたら、我が国の領空内への侵入を防ぐ術は、我々にはありません」

「…………」
ポッシュ3世は、疲れたように大きく息を吐て、ソファに腰を下ろした。
「主要各国と緊急会議を開きたい。ビデオ会議の手配をしてくれ」

530BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:24:16
ab.0433.invasion.005

 日本の首相官邸では、駄部首相が官房長官に怒鳴り散らしていた。

「あれの正体は何なんだ!? 何とかしろ! 俺は日本の総理大臣だぞ!」

「はい……粛々と対応を検討していますが……」

「あいつ、名前は……う、鶉山。あいつはどこに行った? こんな時こそあいつの出番だろ」

「それが……、先ほどから連絡が取れません」
管官房長官は額の汗を拭った。
「まぁ鶉山は変わり者ですから、行動は私にも予測不能でして……」

「そうだ! 年金問題や原発問題みたいに、あれも民捨党の責任という事にしろ」

「さすがにそれは無理です。辞民党で対策するしかありません」

「じゃあどうすればいいんだ! 何とかしろ! 俺を助けるのがオマエの仕事だろ!」

「とりあえず国民向けのパフォーマンスとして、緊急閣僚会議を開いて下さい。そうして時間を稼いで、アメリカがなんとかしてくれるのを待ちましよう」

官房長官は、緊急会議の準備とマスコミへの緊急記者会見の準備のため、部屋を出て行った。

 1人残った駄部首相は、ソファに座り込んだ。
「こんな事なら、民捨党政権のままが良かった」
独り言を呟き、頭を抱えた。この未曽有の事態に対して、何一つ対策が思いつかない。

その後に開かれた緊急記者会見では、ひたすら「民捨党が」を繰り返した後、事前に決められたメディアから事前に決められた質疑応答を済ませると、そそくさと会見会場を立ち去った。

531BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:24:57
ab.0434.invasion.006

 駄部首相が頭を抱えている頃、アメリカ、ロシア、英国、フランス、中国。主要5か国の首脳によるビデオ会議が開かれていた。全員が、日本上空に出現した謎の飛行物体に関する会議だと分かっているので、やや神妙な面持ちだ。

会議の冒頭に、さざなみ一般市民が偶然撮影しネット上に投稿した、オリンポス出現の動画が再生された。映像には、雲を突き破るように降下してくる巨大な物体が映っている。

「諸君」
ポッシュ大統領が、モニタ越しに各国の首脳を見回した。
「すで知っていると思うが、この物体には、未知のテクノロジーが使用されている」

レーダーにまったく映らないという強力なステルス技術、そしてジェットもプロペラも使用せずに、全長1キロメートルの巨体を空中に浮遊させる技術だ。

「腹の探り合いはやめて、単刀直入にお尋ねする。これは、諸君たちのいずれの国の物かね?」

「我が国でもない」
「うちも違うぞ」
ポッシュ大統領の質問に、どの国も関与を否定した。

「うむ、分かった。アメリカも関与していない」
ポッシュ大統領は小さく頷いた。
「諸君。これの正体が何にせよ、大きな脅威である事には変わりない」

「まさか宇宙人、とかじゃないだろうな?」
「なら金星人か火星人あたりか?」
「いや、クリプトンかバルカン星人かも知れないぞ?」

各国首脳たちは冗談を交わしながらも、どの顔にも狡猾そうな表情が浮かんでいる。全員が内心では、この物体を開発した者と接触して未知のテクノロジーを独占できないかを、考えているのだ。

532BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:25:31
ab.0435.invasion.007

 そんな時、北朝鮮から、ビデオ会議に割込みの通信が入った。
「ん? 北朝鮮から? こんな忙しい時に何の用だ……?」

北朝鮮は取るに足らない小国だが、一応は核保有国なので無視する事はできない。ポッシュ大統領は渋々回線を繋いだ。

「重大な……発表……をする」
北朝鮮の通信回線は低品質で、音声が途切れ途切れだ。
「こ……の飛行……物体は、偉大な将軍さ……まが開発……なさった……人類史上かつてない……強力無比な新兵器である」

数秒の沈黙の後、
「あはははははははは!」
「ぎゃははははははは!」
「オイオイ、新兵器って、笑い殺す兵器か?」
「お、おい、やめろ。ヒーヒヒヒ……ほ、本当に死んでしまいそうだ。アハハハ……」
一同は笑い転げた。

中国主席だけは笑うのを我慢していたが、見ると、鼻の穴がヒクヒクしている。

「邪魔だ、さっさと切っちまえ!」
北朝鮮の高官が何か言おうとしたが、回線が切られた。

「着信拒否にできないのか?」
「既読無視というのはどうだ?」
「アハハハ、おい、これ以上笑わせるな」

「ヒィーヒヒヒヒ」
ついに中国主席も我慢できず、笑い声をあげた。

533BiBi ◆8cBPUextJk:2020/03/25(水) 18:26:32
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-533 侵攻

534BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:06:05
ab.0436.invasion.008

 日本のテレビ局では、CMの間、人気女子アナの中島亜矢が、現場のレポーターをスマホで怒鳴りつけていた。

「この特別報道番組のために、プロ野球選手との合コンをわざわざキャンセルしたんだからさ! もうちょっとマシなネタを探してよね!」

「すみません、すみません、すみません」
現場のレポーターの泣きそうな声が返ってくる。

「ヘリでも何でもいいから、その変な物に乗り込んでよ!」

「そんな……無理です」

「無理? アンタ、そんなんじゃいつまでたっても現場担当よ? この役立たず!」

 CMが終わり、番組が再開した。中島アナは、素早くスマホを切った。カメラに向き直った時には、清純派で人気の女子アナの顔に戻っていた。

「蛇原優里さんの恋人発覚疑惑の次は、女優の永沢エリカさんのその後について迫ります!」

ジャジャーンと効果音が流れた。

「マツ子さん、永沢エリカさんが先日の記者会見で涙を流していましたが……、それをご覧になってどう思いましたか?」

中島アナは、隣に座っているマツ子デトックスに話をふった。マツ子デトックスは、インテリコメンテーターとして有名なタレントだ。

「あんなのウソ泣きに決まってるわよ。あの厚化粧で有名なエリカが、アイラインをつけずに記者会見に来たのよ?」

アイラインとは、目をくっきりと際立たせるために瞼に塗る化粧品だ。これをつけた状態で涙を流すと、目の下に垂れてくるのだ。

マツ子デトックスが熱弁をふるっていると、番組スタッフが中島アナにメモを手渡した。

中島アナは、そのメモに目を通して、大きく頷いた。
「途中ですが、たった今、首相官邸から重大な発表がありました!」

マツ子デトックスは、話を途中で遮られて不機嫌そうな顔をしたが、何も文句は言えなかった。芸能人のスキャンダルや一般視聴者からの不倫嫁姑相談では饒舌を誇るインテリタレントだが、政治経済やサイエンス、芸術や文学などの分野は専門外なので、さざなみ市上空に出現した飛行物体に関しても発言できる事はないのだ。

「駄部首相は緊急閣議の結果、さざなみ市上空に出現した謎の飛行物体の呼称を『卵型UFO』にする、と発表しました! ここでいったんCMに入ります」

ジャジャーンと効果音が鳴り、番組はCMに入った。

CMの後、永沢エリカのウソ泣き疑惑について、芸能界のご意見番マツ子デトックスの鋭い指摘が花を咲かせた。

535BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:06:38
ab.0437.invasion.009

 主要国首脳によるビデオ会議は、紛糾していた。

最初のうちは本心を隠していたが、次第に、日本上空に出現した飛行物体に使われている未知のテクノロジーの独占を主張し始めたのだ。

ちなみに、飛行物体が出現地点である日本の権利を主張する者は、1人もいなかった。

「日本はアメリカ合衆国の同盟国だ。だから飛行物体に関する権利はアメリ……」
そんな時、各国首脳に熱弁中のポッシュ大統領の姿が、ビデオ会議のモニタから忽然と消えた。

「カ合衆国にあ……れ?」
ポッシュ大統領は周囲を見回して、自分が知らない場所にいる事に気づいた。
「何だ? ここはどこだ?」

「宇宙船オリンポスの中だ」
背後から声がした。声のした方を見ると、白人男性が1人立っている。

「誰だ!? 宇宙船だと? 馬鹿な冗談はやめろ」
ポッシュ大統領が気色ばんだ。くだらないジョークを言って周囲を凍らせるのは好きだが、ジョークを言われるのは嫌いだった。

「オリンポスは、日本の上空に停泊している宇宙船だ」

「日本の上空……、例の飛行物体か!」

「我々はネオガイア星から来た、オマエから見れば宇宙人という事になる」

「う、宇宙人……?」
地球人はいまだに地球外生命体との接触がない。ポッシュ大統領は、いきなり宇宙人だと名乗られて、訝しげな表情を作った。

しかし、すぐに、
(こいつが宇宙人かどうかに関係なく、このオリンポスという物体に未知のテクノロジーが使用されているのは確かだ)
側近の閣僚にしか見せた事のない狡猾そうな顔になり、マスコミ向けの温厚そうな顔に変わった。

「そ、そうか。私はアメリカ合衆国の大統領ポッシュ3世だ。ネオガイア星の諸君、地球へようこそ。地球人を代表して、諸君たちを歓迎する」

「…………」

「できれば友好関係を築いていきたい。アメリカ合衆国……、いやポッシュ家が、キミたちとの交易の窓口になろう。ポッシュ家は、何人もの大統領を輩出した名門なのだ」

「…………」

宇宙人だと名乗るその男は、ポッシュ大統領の話を無言で聞いていた。

536BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:07:20
ab.0438.invasion.010

「な、何か私は変な事を言ったかね?」

ポッシュ大統領は少しムッとしたように、口をへの字に曲げた。無視されるのは、ジョークを言われるよりも嫌いなのだ。

「例えば……」
男が口を開いた。
「オマエが1匹のサルを捕まえたとしよう。そのサルから『自分が交易の窓口になる』と言われたら、どう思う?」

そう言って、男――ヘラクレスが侮蔑の笑いを浮かべた。

「へ? サル?」

30秒ほどして、言われた事の意味をやっと理解できたポッシュ大統領は、怒りで顔を真っ赤にさせた。チンパンジーに似た顔が、ニホンザルのように変わった。

「わ、私を誰だと思っている! アメリカ合衆国の大統領だぞ!」

「いい事を教えてやろう。オマエをアメリカから日本上空のオリンポスまで移動させた装置は、物質転送装置という。その名の通り、離れた2つの場所を瞬間移動させる技術だ」

「そ……それがどうした」

「分からないのか? なんて愚鈍な頭脳だ」

ヘラクレスは、あからさまに侮蔑の表情を浮かべた。

「つまりだ、物質転送装置を使えば、オマエたち地球人がどこに隠れようと、簡単に捕らえることができるし、軍事基地をはじめどんな施設へも、軍隊を送り込む事ができる、という事だ。地球人には、それを防ぐ手段はない」

1分近くして、ようやく意味を理解できたポッシュ大統領は口をポカンと開いた。

「物質転送装置1つをとっても、ネオガイア星人は圧倒的に優位な立場にあるのだ。にもかかわらず交易などとは……、これが笑わずにいられるか?」

ポッシュ大統領は、その場にへたり込んだ。

 実際、物質転送装置は、それを持たない種族に対して、圧倒的な兵力になった。その気になれば、政府要人を簡単に誘拐できるし、軍事施設などに軍隊や爆弾などを転送する事もできる。

一定以上のテクノロジーを持つ星間種族は、この物質転送技術を使った攻撃を防ぐ装置を所有している。しかし地球人には、この攻撃から身を守る術はないのだ。

「3日間の猶予をやろう。その間に地球人は全ての武装を放棄し、ネオガイア星人に無条件降伏しろ」

ヘラクレスはそう告げると、ポッシュ大統領をホワイトハウスに転送した。

537BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:07:55
ab.0439.invasion.011

ポッシュ大統領はホワイトハウスに戻ると、主要国の首相にネオガイア星人の事を話した。交易による利権を独占できない以上、主要国に情報を提供して、リスクを分散する方が賢明だと判断したのだ。

「…………」

「それは本当なのか? にわかに信じられんが……」

「こんなくだらないジョークを言って何になる? 全て本当だ」

「ネオガイア星人といったな? じゃあその未知のテクノロジーを我々主要国で独占するというのは……」

「無理に決まってるだろう! それどころか我々は絶滅の危機に瀕しているのだ」

「抵抗できないのか?」

「その宇宙人は『地球人は全ての武装を放棄しろ』と言ったのだろう?」

「そうだ」

「つまり地球人の武器は連中に効果がある、という事ではないのか? もしも全く効果がないのなら、武装放棄させる必要はないだろう?」

「…………」

「とりあえず今は、無用なパニックを防ぐために、国民には宇宙人の事は伏せておこう」

「では飛行物体の正体をどう説明するんだ?」

「そうだな……、北朝鮮が開発した新兵器って事にしておこう。北朝鮮も否定はしないだろう」

こうして、さざなみ市上空に浮遊する飛行物体は、北朝鮮が開発した飛翔体だが現時点では特に危険はない、と発表された。この発表を北朝鮮が否定する事はなく、むしろそれに便乗して、自国の技術力の高さをアピールした。

538BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/06(月) 20:09:04
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

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>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

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>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-538 侵攻

539BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:33:15
ab.0440.invasion.012

 駄部首相のもとに、アメリカ大統領ポッシュ3世からホットラインがかかってきた。

「こ、これは、ポッシュ大統領」
駄部首相は受話器を持ったまま、愛想笑いを浮かべた。

『Mr.Dobu。日本の上空に出現した、例の飛行物体の件だが……』

ポッシュ3世は駄部首相を『Dobu』と呼んでいた。ただの勘違いなのだが、駄部首相本人は、自分がDabuではなくDobuと呼ばれている事に気づいていない。

『日本では何か進展はあったのか?』

「はい。例の飛行物体への対応について、緊急閣議を開きました。そして検討に検討を重ね、重大な決定をくだしました」

『重大な決定だと? まさか日本だけで攻撃するつもりなのか?』

「い、いえ。飛行物体の呼称を『卵型UFO』とする事が決定いたしました!」

『…………』

「あ、あのぉ、もしアメリカ合衆国ですでに呼称が決まっているなら、そちらに変更し……」

『オリンポスだ』

「へ?」

『オリンポスだ。あれの名前はオリンポスだ』

「オリンポスですか。ブラジルの山の名前ですね」

『ギリシャだ!』
ポッシュ大統領はおもわず激昂したが、深呼吸をしてなんとか気持ちを落ち着かせた。
『そんな事はどうでもいい。あれの正体が判明したのだ』

「はい。北朝鮮の新兵器ですね?」

『北朝鮮があんな物を作れる訳がないだろう!』

ポッシュ大統領は、さざなみ市上空の飛行物体がネオガイア星人と名乗る宇宙人の物である事、ネオガイア星人が地球人を遥かに上回るテクノロジーを持っている事、武装放棄と降伏を迫られている事を、駄部首相に話した。

主要各国の首相たちはポッシュ大統領の話をすぐに理解したが、駄部首相が理解できるまで30分以上も要した。

『我々はエイリアンどもの侵略には屈しない。各国と結束して抵抗の準備を始める。アメリカの同盟国である日本も参加してもらう』

「え!?」

『話は以上だ、Mr.Dobu』
そう言って、ポッシュ大統領は一方的にホットラインを切ってしまった。

540BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:34:09
ab.0441.invasion.013

 ポッシュ大統領は、軍事力が比較的ある国のリストを作って、各国の首相宛に、人類の同盟と宇宙人への徹底抗戦を打診した。

「シュレッダー首相、久しぶりだね」
「これはポッシュ大統領。前回の国連以来だね」

今回の電話の相手は、ドイツのシュレッダー首相だ。

「実はシュレッダー首相に重要な話があるのだ。例の日本上空に浮遊する物体の事だが――」

ポッシュ大統領は、その飛行物体がネオガイア星人のものである事、ネオガイア星人が地球人の征服を目論んでいる事、そして宇宙人に抵抗するため全人類が同盟を結ぶ必要性を、かいつまんで説明した。

シュレッダー首相は、さすが国の首相を務めるだけあって、話を1回聞いただけで理解した。

「うぅむ、まさか宇宙人の船だとは……」

「うむ、にわかに信じがたいが、事実だ」

「イヤイヤ、あれを北朝鮮が製造しという話よりは、ずっと真実味があるよ。一般市民はともかく、一国の首脳の中に、北朝鮮のホラ話を信じるようなマヌケはいないだろう」

「いや、実は1人だけいる」
ポッシュ3世は疲れたように天井を仰いだ。
「まぁ当の北朝鮮は得意満面で、自分たちの新兵器だと騙っているんだし、そういう事にしておこう。で、シュレッダー首相、宇宙人に抵抗する同盟の件だが、協力してくれるかね?」

「うむ、当然だ」

こうして、ドイツのシュレッダー首相をはじめ、どの国の首相も宇宙からの侵略者という話は半信半疑だった。しかしポッシュ大統領の説得のおかげで、多くの国が同盟への参加を承諾した。

 同盟への参加を拒否したのは、中国と韓国の2国だけだった。

中国は、その異常に強い自尊心が、アメリカが同盟のリーダー的な立場になる事を許せず、参加を拒否した。

韓国は、宇宙人が日本上空に停泊しているのは日本の責任だと言い出し、日本が謝罪と賠償をしないかぎり同盟に参加しないと発表した。

では中国と韓国が日本と同盟を結んだかというと、そんな事はなかった。日中韓の3カ国は、世界から、侮蔑を込めて惨国民と呼ばれた。

宇宙からの侵略という、全人類、もしかしたら地球に生きる全ての生命体が滅亡の危機に直面しているというのに、地球人は互いに手を取り合う事ができなかった。

541BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:35:56
ab.0442.invasion.014

 ポッシュ大統領と各国首脳の会談に使用されたホットラインは、絶対に傍受できないと言われるほどセキュリティーが厳重だった。しかし高度なテクノロジーを有するネオガイア星人には、内容が筒抜けだった。

意外な事に、それで困ったのは地球人ではなく、むしろネオガイア星人の方だった。

たしかにネオガイア宇宙軍の戦力をもってすれば、地球人を武力制圧するのは容易だ。しかし不用意に地球人を武力制圧すれば、グレイから警戒される恐れがあるのだ。それは何としても避けたかった。グレイには、『ネオガイア星人は取るに足らない弱小種族』と思わせておく方がいい。

「このオリンポスの巨大な船体と物質転送装置の威力を見せれば、降伏すると思ったのだが、まさか抵抗を考えるとは……」

オリンポスから地上を見下ろしながら、ヘラクレスが忌々し気に呟いた。

「仕方ない。ここはやはり計画通り、この日本を拠点に少しずつ占領範囲を拡げていくしかないだろう。まず手始めに、さざなみ市の地球人どもを奴隷にしよう」

と、ピタゴラス博士。

「全く忌々しい下等生物どもだ。こんな連中が我々の先祖とは、実に嘆かわしい」

2人のネオガイア星人は、ヤレヤレといった風に肩をすくめた。

542BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:36:41
ab.0443.invasion.015

 オリンポスは、さざなみ市の上空500メートルに浮遊したまま、周囲に半径50キロメートルのバリアを張った。それはさざなみ市全体を覆いつくすのに十分な大きさだった。

さざなみ市の内外をつなぐ道路の数か所に、バリア解除装置が設置された。バリア解除装置は、車が1台通れるほどの隙間をバリアに開ける装置で、これによってさざなみ市への出入りが可能になる。

 次に、アテナが開発した飲料型マゾ化薬が、さざなみ市の水源に混入された。

飲料型マゾ化薬は、梅本由梨香に使用された注射型マゾ化薬と比べて、効果の持続時間が数か月と短く、効力もずっと弱かった。しかし注射型と違い、飲料水などを介して投与が可能なので、浄水場や河川に混入すれば、広範囲の地球人に一気に投与する事ができる。

「フフン、地球人が虫のようだ」
ヘラクレスはオリンポスから地上を見下ろして、鼻で笑った。
「地球人どものTVをジャックして、連中に、我々の恐ろしさを教えてやろう」

「うむ。では……、マゾ化薬を混入した事だし、もう少し楽しもうではないか」
隣で、ピタゴラス博士が悪魔的な笑みを浮かべた。

543BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:41:11
ab.0444.invasion.016

 駄部首相はパニックに陥っていた。想定外の状況が目まぐるしく変化して、脳細胞が処理できないのだ。日本上空に全長1キロメートルの物体が浮遊している現状では、得意の国民向けのパフォーマンスもたいして効果はない。

できる事といったら、管(くだ)官房長官を呼び出して、怒鳴り散らすしかなかった。

「何とかしろ! 俺が失敗しないようにするのがオマエの仕事だろ!」

「はぁ……。まずはポッシュ大統領と会談をしてみては……」

「そんな事できる訳ないだろ! ポッシュと話なんかしたら、色々と要求されてしまうだろ! オマエ馬鹿じゃねぇの?」

「ば、ばか……ですか」

「そ、そうだ。民捨党だ。民捨党政権が悪かったせいで宇宙人が攻めてきた、という事にしろ」

「さすがにそれでは国民は納得しません」

「じゃあ……、え、えと……、そ、そうだ! 鶉山、あいつを呼べ!」

「はい」

管官房長官が鶉山に連絡を取ろうとしたその時、テレビの電源がついた。テレビに金髪碧眼の白人男性が映っている。

「我々は、ネオガイア星からやってきた宇宙人だ。地球は我々の所有物である。それから……」

有無を言わさぬ口調で語るのは、ピタゴラス博士だ。

「さざなみ市の水源に、人間をマゾに変える薬を混入した。水道水を飲めば飲むほど、マゾになっていく。飲んでマゾになるか、飲まないで脱水症状に陥るか、好きな方を選ぶがいい」

そこでテレビが切れた。

駄部首相と管官房長官は、茫然とテレビを見つめて、数秒後、両目を大きく見開いた。テレビのコンセントが抜けているのだ。

 この映像は、日本だけでなく全世界に流れた。テレビ、パソコンモニター、携帯電話やスマホの画面など。しかも、コンセントを差し込んでいない機器や、バッテリー残量がゼロの機器まで全てだ。

さざなみ市の水道水の成分が調べられたが、薬品の類は全く検出されなかった。

しかし上空に浮遊する巨大な物体の存在と、件の映像ジャックの事実から、人々は、映像の男が地球人を遥かに上回るテクノロジーの持ち主である事を悟った。人間をマゾに変える薬の話を疑う者はいなかった。

マゾ化薬を混入されたさざなみ市の水は、被虐水と呼ばれるようになった。

544BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/14(火) 18:42:25
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-544 侵攻

545BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:21:49
ab.0445.invasion.017

 アメリカのポッシュ大統領は、大統領執務室でピタゴラス博士の映像を見て、激怒した。

「宇宙人どもめ。せっかく北朝鮮の新兵器という事にしたのに……、もはや隠しておくのは無理だ」
大統領補佐官を呼び出した。
「日本に一番近いミサイル原潜はどれだ?」

「パリス・トランポリンです」

「もう我慢ならん! あの忌々しい宇宙人に核ミサイルを撃ち込んでやれ。先制攻撃で一気にけりをつける」

「そ、それは……。少しお待ち下さい」

「日本は同盟国です。我が国には、日本のアニメやコミック、Hentaiポルノのファンが大勢います。その日本に核ミサイルを撃てば、支持率に影響します」

「じゃあどうすればいいのだ?」

「まずは世論を味方につける必要があります」
補佐官は数秒の沈黙の後、やや声のトーンを落として、答えた。
「イラクを攻撃した時に使った例の手を使いましょう」

「イラクの時の……、あぁ、あの手か」
ポッシュ大統領は狡賢そうな顔になると、ペンタゴンを呼び出した。
「至急、海洋学者と特殊部隊を招集しろ」

 3日後、太平洋沖の原油基地の一つが、謎の爆発を起こた。大量の原油が流出し、原油は海流に乗って南国の孤島に流れ着いた。その島は海鳥の生息地で、多くの海鳥が犠牲になった。

 次の日、ポッシュ大統領は、ホワイトハウスで緊急会見を開いた。

「皆さん、非常に嘆かわしい発表をしなくてはなりません。日本が故意に原油基地を爆破した事が判明しました。これは環境テロです」

ポッシュ大統領のバックには大型のモニタが置かれ、油まみれの海鳥たちの映像が流れた。人々は映像を見て、涙を流した。

「我々はテロに屈しません。我々には自衛する権利があります。神のご加護を」

そこで記者会見が終了した。

 会見終了後、大統領補佐官が小走りでやって来た。
「素晴らしい演説でした」

「何が素晴らしいだ! イラクでは石油の利権を手に入れたが、日本では何も得がない。忌々しい宇宙人め、どうせなら石油かダイヤでも掘れる所に着陸しろ」
ポッシュ大統領は忌々し気に毒づくと、リンカーン大統領の石像に唾を吐きかけた。

546BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:22:22
ab.0446.invasion.018

 日本の駄部首相は、ポッシュ大統領の会見の中継をTVで見て、憤慨した。

早速、PCの電源を入れると、大型匿名掲示板のサイトにアクセスした。『アメリカ』『ポッシュ』とキーワードを打ち込むと、いくつものスレッドがヒットした。

駄部首相は、それらに片っ端から投稿を始めた。。
「えぇと……、ポッシュを反日に認定する」
文章を打ち込み、【投稿する】をクリック。

クリック、クリック、クリック……。

さらには『好きな映画を挙げるスレ』や『おススメのホテルを挙げるスレ』などにも投稿していく。匿名掲示板への投稿は慣れているから、お手の物だ。

「ざまぁ見ろ! インターネットの力をなめるなよ! 真実はネットにあるのだ!」
PCのモニタに向かって威勢よく啖呵を切る。

 そこへ官房長官が飛び込んできた。
「総理、何をなさってるんですか!?」

「何だ? 俺は今忙しいんだ」

「ネットの書き込みをしている場合じゃありません。ポッシュ大統領の会見をご覧になったでしょう?」

「あぁ、見た。だから今こうやって、ネットでポッシュを反日認……」

「それどころじゃありません。日本が危険なのです」

「危険?」

「まさか……本当に分からないのですか!?」
官房長官が、信じられないといった顔をした。
「アメリカは宇宙人に徹底抗戦する構えなのですよ?」

「そんな事分かってる!」

「そしてこのタイミングで、日本を環境テロの犯人に認定したんです」

「そんな事分かってる! だから今こうやって、アメリカを反日国家に認……」

「アメリカが日本をテロリストに認定したのは、日本上空にあるあの宇宙船を核攻撃するための布石なんです!」

「…………ほへ?」

「今すぐ、日本はテロには加担していないと声明を出して下さい! 総理、日本国民が、宇宙からの侵略だけでなく、同盟国からの核攻撃の脅威にさらされているんです! 今こそ、日本の首相としての責務を果たして下さい!」

「に、日本に核が……。た、た、大変だ!」
ようやく状況を理解できた駄部首相は、大急ぎで部屋を飛び出していった。

 官房長官は短く溜息をこぼすと、書棚に目を移した。そこには駄部首相の愛読書、地球人を守るためにエイリアンと戦う宇宙戦艦や美少女戦士を描いたコミックが、ぎっしりと並んでいた。

「頼みますよ、総理」
駄部首相が飛び出していったドアを見つめながら、呟いた。
「それにしても、こんな緊急時に鶉山はどこに行ったんだ?」

窓の外は、快晴だった。

547BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:23:13
ab.0447.invasion.019

 アメリカの思惑も知らず、さざなみ市民は、飲料水を求めて、コンビニやスーパーに殺到した。店はここぞとばかりに全ての飲料品を大幅に値上げした。

「ラスベガスのホテルのレストランでも、ここまで高くはないぞ!?」

「すみません。ミネラルウォーターの入荷が滞っていまして……」

コンビニ店長は、詰め寄る客に申し訳なさそうに弁解したが、内心では思わぬ売り上げアップにほくそ笑んでいた。しかし、それも長くは続かなかった。さざなみ市はバリアによって市外との流通が遮断されているので、ミネラルウォーターが入って来ないのだ。

 ネット上では、飲料品が定価の30倍という高値で転売された。彼らは転売ヤーと呼ばれた。

定価の30倍という法外な値段に怒った人々が、思わぬ反撃に出た。

支払方法をコンビニ決済にして注文して、料金を支払わないのだ。コンビニ決済には数日の猶予があるので、その間、転売ヤーは料金が支払われるのを待たなくてはならない。しかし支払いがないので、注文は自動的にキャンセルされる。すると転売ヤーは、また商品を出品し直さなくてはならない。出品されたら、またコンビニ決済で注文して料金を支払わない。これを繰り返すのだ。

しかし転売ヤーとそれに怒る人との攻防も、転売ヤー自身の在庫が底をついたため、長く続かなかった。

 さざなみ市を手入りするには、バリア解除装置が設置された幹線道路のいくつかを通るしかない。当然そこには、ネオガイア宇宙軍によって検問が敷かれ、人や物資の出入が制限されていた。

昔の日本の関所に『入り鉄砲、出おんな』というのがあったが、さざなみ市も似たような状況だった。地球人が市内に入るのは比較的簡単だが、市外に出るのはほぼ不可能で、それに対して物資の類が市内に入るのは厳しく制限された。

それはまるで、ナチスのユダヤ人強制収容所や、パレスチナ人が閉じ込められているガザ地区のようだった。

548BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:24:38
ab.0448.invasion.020

 1か月とかからずに、コンビニもスーパーは、飲料品以外の在庫も少なくなってきて、店を閉じた。

市民の一部はマゾ化薬入りの水道水を飲んだが、多くの市民は店に押しよせた。そして、店のドアを叩き割り、飲料品を奪い合った。どさくさにまぎれて、食料品や書籍、化粧品などを奪う者もいた。市内のあちこちで、略奪行為が発生した。

この地上の光景を、ピタゴラス博士とヘラクレスは、オリンポスから見物していた。

「ギャハハハハ。なんて浅ましい連中だ」

「データには日本人は民度が高く礼儀正しい種族だと記録されていたが、飲み水がなくなったとたん本性がむき出しになったらしい」

2人のネオガイア星人は、蔑みの笑みを浮かべた。

「そうだな、せっかくだから飲み物を提供してやるか」
ピタゴラス博士が、何か妙案を思いついたのか、手をポンと叩いた。

 さざなみ市のTVが、またジャックされた。画面に映るのは、ピタゴラス博士だ。

「さざなみ市民の諸君。水不足にあえぐキミ達に同情して、我々ネオガイア星人から飲み物を提供してやろう。オシッコだ。我々のオシッコにはマゾ化薬は入っていないから、安心して飲んでくれたまえ」

市内のあちこちに給水所が設置された。正確には、クーラーボックスが転送されただけだが。中には小さなボトルが詰まっていて、見ると、ボトルは黄色い液体で満たされていた。

549BiBi ◆8cBPUextJk:2020/04/21(火) 19:25:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-549 侵攻

550BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:56:33
ab.0449.invasion.021

 駄部首相は、アメリカによる日本への核攻撃の可能性を官房長官から聞かされるや否や、政務を全て放棄して、体調不良を理由に緊急入院した。

入院先は、さざなみ市や東京都からできるだけ離れている、つまり仮に戦争になっても攻撃の対象にならなさそうな、森掛医院という個人病院だった。

 駄部首相は病院に到着すると、若い巨乳の看護婦がいない事に激昂して、診察中の森掛院長を呼びつけた。

「オイ、俺は日本の総理大臣だぞ。なんで俺の担当がババァの看護婦なんだ!?」

「そ、そう言われましても……」

「俺は総理大臣だ。忖度(そんたく)しろ!」
最近覚えたばかりの『忖度』という単語を、ここぞとばかりに使う。

「忖度と言われましても……」

 そこへ駄部首相のスマホが着信音を奏でた。着信メロディはアニメの主題歌だ。

「誰だ? 俺は今忙しいんだ!」

「アタシよ。民捨党の吊元よ」

(うげ!? なんで吊元が俺のスマホの番号を知ってい……、あ!)

駄部首相は、昨年の辞民党恒例のノーパンしゃぶしゃぶでの忘年会を思い出した。

その忘年会で、駄部首相は、酔っ払って吊元議員にイタズラ電話をしたのだ。その時、吊元議員のスマホは留守電になっていて、『テメェが産めよ。あぁ、産めねぇのか』とメッセージを残して電話を切ったのだが、番号を非通知にする184を押すのをうっかり忘れたのだ。

(クソ! いつもは184を押していたのに)
小さく舌打ちをする。
「何だ!? 俺は緊急入院中だ!」

「どうせ仮病でしょ? それより、さざなみ市はどうすんのよ!? アメリカが上空の宇宙船を核攻撃するって噂じゃない! 被虐水はどうするのよ? アンタ、一応は日本の首相でしょ?」

「う、うるさい! 被虐水は完全にコントロールされている!」
駄部首相はそう怒鳴ると、スマホを床に叩きつけた。

「そーり、そーり、そーり……」
スマホから、吊元議員のヒステリックな声が続いていた。

551BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:57:07
ab.0450.invasion.022

「クソ、クソ、クソ! 民捨党め! いつもいつもいつも代案も出さず、俺の上げ足ばかり取りやがって」

駄部首相は忌々しげに喚き散らすと、隣で唖然としている森掛院長に向き直った。ここは誰かに八つ当たり押して鬱憤を晴らすしかない。

「若い看護婦がいないのか? じゃあその謝罪として、俺の嫁をこの森掛医院の名誉院長にしろ」

「そ、そんな無茶苦茶な……」

「忖度(そんたく)しろ! 俺は日本の総理大臣だぞ! 俺の決定は、国民の民意を得ているんだ!」

 その時、病室のドアが静かに開いた。入ってきた人物を見て、駄部首相は怒鳴るのをやめた。

「な、なんでオマエがここにいるんだ!?」

「ククク。私は総理のブレーンですよ? 常に総理のおそばにいて、サポートするのが私の仕事です」
鶉山が鳩のような含み笑いをもらした。

「そ、そ、それじゃあ、アレ、アレを何とかしろ!」

「アレというのは、宇宙船オリンポス、別名卵型UFOの事ですか?」

「そうだ」

「オリンポスは宇宙を航行してきた宇宙船ですし、大気圏突入時の高熱でもダメージは受けていません。少なくとも現時点では、我々の武器であれを撃墜する事は不可能でしょう」
かなり悲観的な内容だが、鶉山の表情は、むしろ可笑しそうだ。

「うぅむ…………」

「万が一撃墜できたとしても、まぁオリンポスの質量が不明なのでハッキリとは言えませんが……、高度500メートルからあの巨大な物体が落ちてきたら、さざなみ市どころか近隣の街も壊滅して相当な被害が出ます。あの民捨党のことですから、きっと総理の責任を追及するでしょう」

「そ、それだけは絶対にダメだ!」

「ククク。困るというのは、人的被害が出る事ですか? それとも責任を問われる事ですか?」

「お、俺は……」
駄部首相がカッとなったように顔を紅潮させた。

552BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:57:42
ab.0451.invasion.023

 鶉山は、そんな駄部首相を興味深げに観察していた。駄部首相が気に入らない者に対して報復人事をする事は、政界では知れ渡っていて、それを恐れて誰も逆らわないのだが、鶉山は全く恐れていないように見えた。

実際、恐れていなかった。かつて本人が砂原都知事に語ったように、再就職に困らないだけの高いスキルとキャリアを持っているし、実家も日本有数の資産家なので、報復人事など全く恐れる必要がないのだ。

 そんな2人のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている

 鶉山は、一瞬だけ何かを考えるように沈黙すると、
「幸い日本には新型宇宙生物特措法というものがあります。それを適用するのが先決ではないでしょうか?」
と進言した。

「しんがたうちゅ……、何だそれは?」

「本来は宇宙から隕石などに付着して地球に侵入したウイルスや細菌などに対処するための法律ですが、宇宙人にも適用できます」

鶉山は、駄部首相でも理解できるように、言葉を選びながら説明を加えた。(首相のくせに、そんな事も知らないのか!?)とは、おくびにも出さない。

「まぁ私に言わせれば、隕石の大気圏突入時の温度を考えれば、ウイルスや細菌の心配はほぼないんですがね」

「そんな法律があったのか。じゃあそれを適用すればいいんだな?」

「はい。それであの巨大な宇宙船をどうこうできるとは思えませんが、少なくとも国民には『政府は適切に対策をしている』とアピールできます。一時的ですが、国民のパニック防止には役立つでしょう」

「そうか……。それにしてもそんな法律があった事など知らなかった」

「えぇと……、総理がご存じないのも仕方ないかも知れません。この法律は民捨党政権が施行したものですから」

「民捨党だと!?」
駄部首相が両目を大きく見開いた。
「駄目だ駄目だ駄目だ! 民捨党が施行した法など使ったら、連中の手柄になってしまうだろうが!」

「おやおや、それは困りましたねぇ」
鶉山は、むしろ可笑しそうに「ククク」と含み笑いをした。何を考えているのか分からない、不気味な男だ。異邦人というあだ名も伊達ではない。
「どうしても総理が施行したという事になさりたいのなら、適当に法改正でもしますか?」

「そうだな、法改正すればいい」

「おや、私は冗談のつもりで申したのですが……。法改正となるとそれなりに日数を要しますよ?」

553BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:58:13
ab.0452.invasion.024

「かまわん。俺は『立法府の長』だからな」
立法府の長を自称する駄部首相の顔は、自信に満ち溢れている。

「クックック、なるほど」
内閣総理大臣は行政府の長であって立法府の長ではないのだが、鶉山は駄部首相の発言を軽く流して、言葉を続けた。
「まぁ新型宇宙生物特措法はそれでいいとして、例の被虐水はどうしますか?」

「そうだな……」
駄部首相は指先を顎に当てて、無言になった。見ると、眉間にシワが刻まれている。そのまま考え込むこと数分、ハッと顔を上げて叫んだ。
「濾紙(ろし)だ! さざなみ市の各家庭に布製のろ紙を2枚ずつ郵送しろ」

「ろし……? 濾紙って、泥水とかをろ過する紙の事ですか? そんな物でどうするのですか?」
異邦人の異名を持つさすがの鶉山も、呆気にとられた

「被虐水を濾す(こす)に決まってるだろ! それに紙じゃなくて、布だ! 布だから、何度でも洗って使えるぞ」

鶉山は、何かを言おうとしたが、駄部首相を見て言葉を失った。駄部首相の顔は、布製の濾紙という案がよほど誇らしかったのか、自信に輝いていた。

(本当に被虐水をろ過できると思っているのか……。さすがに驚きましたね。この話題をこれ以上続けるのはやめておきましょう)
鶉山は話題を変えるキッカケを探そうと、室内を見回した。
「そういえば……、奥様は来られていないのですか?」

「あいつは『梅を見る会』に行っている」

「あぁ、『梅を見る会』ですか。どんな方を招待なさったのですか?」

「招待客は全て嫁が決めたから、俺は知らん。俺は招待客は募ったが、募集はしていない」

「なるほど、募りはしたけれど、募集はなさらなかったと。クックック」
鶉山が大きく頷いた。

その隣で、森掛院長が不思議そうに首を傾げている。頭の中で『募る』と『募集』の違いを探しているのだ。

「今後の予定はどうなさいますか? まずは対策本部を設置しておきますか? 2日もあれば設置できますが、総理の出席のご都合は?」

「そんな暇あるわけないだろ、俺は忙しいんだ。漫画家とのお食事会、閣僚のお誕生日パーティー、フグの試食会、大学の同窓会……、他にも支持者との会食の予定が詰まっているんだ」
支持者を大切にする駄部首相だった。

554BiBi ◆8cBPUextJk:2020/05/13(水) 19:59:19
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-554 侵攻

555BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:27:11
ab.0453.invasion.025

 駄部首相と鶉山のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている。

一国の首相が、この非常時に、布の濾紙を配布するとか、宇宙戦艦とか発言しているのだ。もう自分の耳を疑うか、首相の知性を疑うしかない。

 そんな森掛院長の目の前から、突然、駄部首相の姿が消えた。森掛院長が驚いて周囲をキョロキョロ見回すが、駄部首相の姿はどこにもない。

この院長に対して、鶉山は特に慌てた様子もなく天井の一点を無言で見つめていた。それがさざなみ市の方向だとは、森掛院長は気づかなかった。

556BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:27:41
ab.0453.invasion.025

 駄部首相と鶉山のやり取りを、森掛院長はオロオロしながら見つめていた。
(もしかして私は、聞いてはいけない話を聞いてしまったんじゃないだろうか……)
目が、そう語っている。

一国の首相が、この非常時に、布の濾紙を配布するとか、宇宙戦艦とか発言しているのだ。もう自分の耳を疑うか、首相の知性を疑うしかない。

 そんな森掛院長の目の前から、突然、駄部首相の姿が消えた。森掛院長が驚いて周囲をキョロキョロ見回すが、駄部首相の姿はどこにもない。

この院長に対して、鶉山は特に慌てた様子もなく天井の一点を無言で見つめていた。それがさざなみ市の方向だとは、森掛院長は気づかなかった。

557BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:29:50
ab.0454.invasion.026

 駄部首相は、森掛病院から姿を消したのとほぼ同時に、別の場所に像を結んだ。そこは知らない部屋だった。

呆けた顔で周囲をキョロキョロ見回して、背後に男が立っている事に気づいた。屠殺される豚のような悲鳴をあげながら男と反対の方へ逃げ、壁にへばりついた。おそるおそる男の顔を見る。その顔には見覚えがあった。

「ネ、ネ、ネオ……、ネネネ……」
走って逃げようとするが、腰が抜けて立てない。

「とても一国の首脳には見えないが……、オマエが駄部か?」
ピタゴラス博士が、侮蔑をこめた目で駄部首相を見下ろしていた。見ると、駄部首相がへたりこんだ床の上に、失禁した尿が水溜まりを作っている。

(TVで見た宇宙人だ。ど、どうする? きっと日本の総理大臣を人質にとる気だ。他人のフリをしようか? いやいや、そんな事をしたら、人質にする価値がないと判断されて、殺されてしまうかも知れない)

駄部首相は、めまぐるしく頭を回転させた。この首相は、保身のために脳細胞をオーバーブーストさせるスキルだがずば抜けて高い。

「は、はい。そうです」
考えに考えた末、ピタゴラス博士の方を振り向くと、消え入りそうな声で答えた。

558BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:32:09
ab.0455.invasion.027

「そうか。オマエを見て、物質転送装置が故障したのかと思ったぞ」
ピタゴラス博士は、駄部首相のデータを表示させると、
「学歴といいキャリアといい、オマエのような男が、よく一国の首脳になれたな?」
本人と見比べながら不思議そうに首を傾げた。

自尊心の強い駄部首相は一瞬ムッとしたが、相手が秘書や閣僚ではなく宇宙人なので、いつものように激昂して怒鳴り散らす事はない。

「ん? たいしたキャリアがないと思ったが、アメリカの大学に留学して、政治学を修めているのか?」
ピタゴラス博士が、データの一部を見て感心したように頷いたが、すぐに怪訝そうな表情を浮かべた。
「変だな。そのアメリカの大学には、政治学の講座がないぞ? どういう事だ?」

「は、はぁ……」
駄部首相は、ばつが悪そうに目をそらした。

「フフン。まぁいい。オマエを観察していると、おおよその見当はつく。まぁ我々としては、あのポッシュという男よりも、むしろオマエのような男を歓迎したい」

「は、はぁ……。どうもありがとうございます」
『歓迎』と言われて、駄部首相は少しホッとした。恐怖とパニックで引きつってた顔に、必死に愛想笑いを浮かべる。

「オマエも知っての通り、我々はネオガイア星から来た。オマエたち地球人から見れば、宇宙人という事になる。しかしネオガイア星人の祖先は地球出身なのだ。したがって地球は、ネオガイア星人の所有物という事になる」

「そ、そんなご無体な……」

「アメリカのポッシュに地球の明け渡しを命じたが、あの男は我々に抵抗する気でいる。そこでだ……」
ピタゴラス博士が駄部首相の顔を覗き込んだ。

559BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:39:40
ab.0456.invasion.028

「日本はネオガイア星人に全面降伏しろ。我々と地球人の兵力では、全く比較にならない。このままアメリカに協力しても、他の地球人と一緒に滅びるだけだぞ?」

「そ、そんな……。私はどうなります?」

「フフン。日本国民ではなく、真っ先に自分の心配をしたか。やはり見込んだ通りの男だ。日本が降伏すれば、国民は奴隷になるが、オマエの身の安全は保証してやろう」

「降伏します!」
駄部首相が返答するのに1秒と要しなかった。

「お、おい!? そんなにあっさりと降伏を決めていいのか? 日本国民は奴隷になるのだぞ?」
これには、さすがのピタゴラス博士も驚かされた。まさか一国の首脳が、自分の安全の為にあっさり降伏するとは、予想していなかったのだ。

「はい。私が総理大臣に選ばれたという事は、民意を得たという事です。総理大臣は立法府の長です。だから私の決定は、日本国民の総意なのです!」

「アハハハ、この地球人、実に面白い」
ピタゴラス博士は大笑いした。

「お、面白いですか? お褒めにあずかり光栄です。」

「では降伏文書に調印してもらおう」
ピタゴラス博士が、書類のような物を取り出した。

「降伏文書ですか!? えぇと、それには必要な手続きが……」
駄部首相は呆けた顔で天井を見上げた。しかし立法府と行政府の違いも分からない男が、降伏文書調印の手順を知っているわけがない。

「そんな手続きなどどうでもいい。今すぐ調印しろ」

「あのぉ、調印の前に……、さっきお約束した件は?」
駄部首相が卑屈な愛想笑いを浮かべながら、上目遣いにピタゴラス博士を見上げる。

「約束? 日本が降伏したら、オマエの安全は保障するというアレか? 心配するな。約束は守ってやる」

「ありがとうございます、ネオガイア星人様。ありがとうございます。ありがとうございます」
先程まで宇宙戦艦を建造して宇宙人を撃退すると息巻いていた男は、安堵の表情を浮かべながら、銀バエのように両手をすり合わせて感謝した。

駄部首相は、ピタゴラス博士から恭しく書類を受け取った。全てネオガイア星の文字で書かれていて内容は分からなかったが、自身の身の安全さえ約束されれば、他の事はどうでも良かった。

「では調印させていただきます」

1999年8月14日、日本はネオガイア星人に降伏した。

560BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:51:42
ab.0457.invasion.029

 駄部首相は物質転送装置で、先程までいた森掛病院に帰された。

「おやおや、降伏なさったのですか?」
駄部首相から降伏の話を聞かされたにもかかわらず、鶉山は特に驚いた様子はない。

その隣では、森掛院長が呆然と立ち尽くしている。それもそのはずで、自分の国の首相が目の前から突然消えて、再び現れたと思ったら、今度は本人の口から降伏の話を聞かされたのだ。

「う、う、宇宙人は日本人を皆殺しにする計画を立てていたのだ。俺が交渉し、その計画を中止させた。降伏は苦肉の選択だったのだ。俺だから交渉が成功したのだ。民捨党だったら、だめだったに決まってる」

駄部首相が一気にまくし立てた。ただし、一国の首相が自身の安全のために降伏した事は、口が裂けても言えない。

「それはさぞかし苦渋の選択だった事でしょう。お疲れさまでした、総理」
鶉山が感心したように大きく何度も頷いた。

「そうだ。苦肉の選択だったのだ」
鶉山につられるように、駄部首相も何度も頷いた。頷いている内に、自身の安全のためではなく日本人の命を守るために降伏したのだと思い込み始めた。

561BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 19:53:31
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 駄部首相は、森掛病院からFAXで、降伏文書調印の件を日本政府に伝えた。すぐさま、官房長官から電話がかかってきた。

「何の用だ! 俺は忙しいんだ」
駄部首相はスマホに向かって怒鳴り散らした。

「総理。FAXを拝見しました。降伏文書に調印って、一体どういう事ですか?」
いつもは駄部首相の機嫌を損ねないように話す官房長官も、今回ばかりは、声に困惑と怒気がこもっている。

「う、宇宙人は日本人を皆殺しにする計画を立てていたのだ。俺が交渉し、その計画を中止させたのだ。民捨党だったら、日本人は全員死んでいたに決まってる」

「総理……。こればかりは、『民捨党が』をいくら連呼しても、国民は納得しません。とりあえず降伏文書はどんな内容だったのですか?」

「ま、まぁ普通だ」
駄部首相はバツが悪そうに語尾を濁らせた。降伏文書はネオガイア星の文字で書かれていて、駄部首相はその内容を全く確認せずにサインしたのだが、そんな事は言えない。

「普通って……。とりあえず宇宙人対策本部を設置しますので、ご出席ください」
官房長官は怒りを抑えた声でそう告げると、電話を切った。

 その夜、宇宙人対策本部が設置された。しかし駄部首相は、フグの試食会、閣僚のお誕生日会、大学の同窓会、友人の漫画家との会食といった重要な政務が詰まっていて、対策本部に出席する事はできなかった。

562BiBi ◆8cBPUextJk:2020/06/18(木) 20:04:42
◆ 目次 ◆
>>1-5 はじめに ←初見の方は必ず最初にお読み下さい。

>>6-9 プロローグ

>>10-16 監獄にて

>>17-24 ロボットバトル1 アナザー

>>25-32 並行宇宙

>>33-46 肉体改造(アルテミス 1)

>>47-56 帰郷1

>>57-84 梅本由梨香001〜004 マゾ化薬実験1〜4

>>85-107 キュクロプスP01〜04

>>108-111 宇宙海賊

>>112-139 ラミアー 出産実験01〜05

>>140-150 SMスカウター01〜02

>>151-183 キュクロプスP5〜9

>>184-186 アルテミスの休暇

>>187-217 動物園の理沙

>>218-266 アルテミスの休暇(加筆修正版)

>>267-321 食糞実験

>>322-364 グレイ襲来

>>365-369 宇宙海賊2

>>370-390 パーフェクトソルジャー

>>391-411 首相

>>412-422 キュクロプスP10

>>423-447 ラミアー出産実験06〜07

>>448-464 吉岡

>>465-475 地球奪還作戦会議

>>476-518 キュクロプスP

>>519-523 首相2

>>524-562 侵攻

>>3『注意事項』にも記載されていますが、このアナザーストーリー全編に登場する人物、団体、地名、設定、世界観、その他全てが架空の物です。パロディーですらなく、完全に架空の物です。同じまたは似た名称があったとしても、それはただの偶然です。

563名無しさん:2020/09/24(木) 12:22:54
このアナザーのアナザーを別サイトに投稿したいのですがかまいませんか?
一部は部分的に加筆修正して転用してもかまいませんか?

564BiBi ◆8cBPUextJk:2020/11/27(金) 20:06:07
>>563
私が書いた物に関しては、加筆修正の有無に関係なくご自由にどうぞ。


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