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SS妄想・没ネタ投下スレ
1
:
名無しさん
:2008/05/31(土) 09:43:22
先に予約を越されてしまった…死んでしまったけどこんなSS予定していた…
この二人を合わせるつもりだった…こんな展開書きたいけど自分には文章力が…
そんな悩める人たちが投下するスレです。
使えるネタがあったら書き手さんの参考になると思うのでぜひ書きましょう。
117
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/05(金) 19:25:39 ID:???
こっちもいい出来!サンドマンかっこえー!!
停滞している彼のパートにどうにか流用できないでしょうか…
118
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/25(木) 02:30:43 ID:dB2xa53Y
FFの次の身体に柱の男を使って最強マーダーを増やしてやろうかと思ったが、
サンタナ:消滅
ワムウ:消滅および禁止エリア
カーズ:異空間
死体が残ってなかったでござる
次点のヴァニラも消えちゃったし、だれかFFに次の肉体をプリーズ!!
119
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/25(木) 02:31:36 ID:???
しまった上げてしまった
すんません
120
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/25(木) 18:08:42 ID:???
本体の耐久力はスタンド使い最強と噂のワキガ先輩の身体とかどうよ
121
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/25(木) 19:59:45 ID:???
柱の男は消滅以外難しいからなあ・・・
頭部ピンポイントで吹き飛ばしてて始末するしか無い
122
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/25(木) 22:25:02 ID:???
2ndは1stに比べて復活の方法が残ってないような死に方が多い気がする
いや、1stは1stでその復活方法はない(笑)ってのも多かったけどね。
123
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/11/26(金) 00:15:15 ID:???
参加者の4分の1が消滅してるか人としての原形とどめてないかだもんな……
124
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/12/02(木) 21:04:15 ID:???
耐久度的には1・2・3部メンツがいいね
ウェザーとかどうだと思ったけどちょっと遠いかな
125
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2010/12/02(木) 21:59:05 ID:???
FFがウェザー使うのはどうだろう?
昔の自分を捨てると言っておきながらも、徐倫アナスイに会った時は若干もどってたからな
ジョセフは老体、承太郎も仗助も粉微塵か…
スピードワゴンはどうだ?
超能力がないから弱く見られがちだが、肉体はなかなかマッチョだぞ
126
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/01/17(月) 01:17:18 ID:???
FFが僅かに残っていたティッツァの思念で覚醒し、
ヴェルサスをなぶり殺しする話を考えていました
…仕方ないねw
127
:
◆0ZaALZil.A
:2011/01/17(月) 22:58:57 ID:???
あのまま問題なく通しだろうから言っておこう
花京院とティム組ませたのは「ハイエロファントグリーンが紐状になればオー!ロンサムミー使えないかな」と思ったからなんだ
人妻萌えは言われてから気づいたことで、意図してなかった
128
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/01/20(木) 16:38:08 ID:???
ディオの犯行を白日の元に晒したかったが、
記憶を掘るヴェルサス
記憶を読む露伴
尋問できるテレンス
全員死んでしまったw
あとはブチャラティが汗を舐めるくらいしかないぞw
129
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/01/20(木) 22:19:27 ID:???
でもなんか今の感じだと晒されても開き直りそーじゃね?w
130
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/06(日) 14:39:03 ID:???
没案を1つ。ジョルノ&グェスにJガイルとアンジェロぶつけようとしてた
アンジェロがグェスの体内に侵入して人質に取りJガイルがジョルノをフルボッコにしようとするけど
グェスはグーグードールズでアクアネックレスを小さくし体内で両スタンドがバトル。ジョルノもJガイルと戦う。
最初はジョルノ達が優勢なんだけどアクアネックレスがグェスの血管に水注入してそっから逆転されグェス死亡。
Jガイルは無駄無駄ラッシュ食らって殺られるも悪あがきに首輪の反射利用してジョルノの首輪爆破。でアンジェロ一人勝ちみたいな。
地図上の位置とかその他のプロット考え付く前に没になっちまったorz
131
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/11(金) 14:29:00 ID:???
>>130
そういう目にあわずに、銃弾一発で死ねた所が
グェスの幸運っぽいなwwwww
132
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/12(土) 06:38:04 ID:???
石仮面がエシディシのもとに辿り着いても
「ふん、こんな物に頼らずとも」と踏み砕く案があったなー。
問題ある支給品は処分しようという(犬とか)安直な発想になるダメ書き手だな俺w
133
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/12(土) 20:32:30 ID:???
星の痣持ちの奴らを一カ所に集めさせたかった。
あとはジョルノ、ヴェルサスとディオの親子も会わせたかったな
134
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/12(土) 21:04:07 ID:???
>>132
俺は、
石仮面と赤石組み合わせて、エシディシがつけたはいいものの、増幅した生命エネルギーに耐えられず首輪が爆発
↓
荒木「興冷めな結末だけど仕方ないね……あれ?」 エシディシの生存確認
↓
イエローテンパランスを装備したことで生命エネルギーは既に増幅していたので、石仮面をつけた時点で頭部の爆弾につながっているコードが供給過多で焼き切れていた
↓
究極生物にはなれなかったものの、頭部の爆弾が爆発しなかった + イエローテンパランスで身を守っていた のでギリギリ生存
↓
とりあえず外傷が凄まじいので、人間を捕食して回復を図ろう
という流れにするつもりだった
135
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/12(土) 21:56:55 ID:???
それならば俺の超展開ルートも晒そうッ!
究極生物誕生
↓
ヤバイと思った荒木が首輪爆破するも死なない、ナチス勢皆殺し
↓
「フハハハァ!最早このゲームに価値はない!荒木よかかってこい!」
↓
荒木と対峙、究極生物化した事によりエシディシ本来のスタンドが発現、バトルロワイアルと殴り合い
↓
荒木敗北するが荒木or???の能力でエシディシを異世界に追放、考えるのをやめる。荒木の死で会場が徐々に崩壊
↓
???「マップ中央部だけはなんとか残すから、僕に辿り着きたいなら生き延びてみせるんだね」
これ採用されてたら後5話ぐらいで完結してたな…。
136
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/12(土) 22:45:18 ID:???
俺は地下鉄を使ってみたかった
スティッキーフィンガーズでナチ研の地面を連続であける
↓
エシディシ地下鉄構内に停車中の地下鉄に落下
↓
地下鉄発車、禁止エリア内に進入
↓
リトルフィートで地下鉄を小さくさせて脱線
↓
ジョルノが地下鉄の残骸をカエルに
↓
ブチャラティがエシディシを足止め
↓
禁止エリア内に取り残されたエシディシ、ブチャラティ、ジョルノ、ホルマジオ死亡
リゾット一人が残って終了
地下鉄を利用した話を1つ書こうと思っていて、悩んだ末F・Fvs音石の方を選択した。
今ではエシディシを◆Y0氏に託してよかったと思っている
137
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/02/13(日) 00:55:28 ID:???
まあ、誰の案を採用しても、エシディシは永くは無かったみたいだな
138
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/03/02(水) 11:53:43 ID:???
「どういうつもりだ?」
何故立っているのがこの俺で、倒れているのが吉良なんだ?俺は訳が分からなかった。
俺が住んでいた世界では、裏切りなど日常茶飯事だ。今更驚きはしない。
だが、そういった行為を実行に移すには、よっぽどの私怨やメリットが存在しなければならない。
俺達と奴等の考えは相容れないようだし、口惜しいがこのまま戦い続けていれば俺は負けていた。
この状況で爆弾を操れる強力な仲間を切り捨ててまで、俺に一体何の見返りを求めると言うのだろうか。
「ちょっとした交換条件だ。貴様は俺のおかげで命を拾った。俺はジョルノと合流したい。
知ってるんだろう?奴の居場所を。ここは一旦、お互い協力関係を結ぼうじゃあないか。」
吉良の頭から抜き出した2枚のDISCを弄びながら、ディオはニヤニヤとディアボロに笑いかけた。
顔は笑っていたが、目には有無を言わせぬ強い光が宿っている。
139
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/03/02(水) 12:03:14 ID:???
ここでディアボロが首を縦に振らなければ、すぐさま吉良にDISCを戻すぞと言わんばかりだ。
彼の真意を測りかね疑念と警戒の視線を向けるディアボロに、ディオは更に話を続ける。
140
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/03/02(水) 12:04:39 ID:???
「色々と事情があって吉良とジョジョに手を貸していたが、元々乗り気じゃあなかった。実際俺の左手が
こんな風になったのはコイツの仕業だしな。まぁ信じるか信じないかは自由だが。」
そう言って吉良の懐に手を突っ込むと、ディアボロに見せつける様に人間の左手を取り出す。
血色を失い蝋人形のように冷たく硬くなった手首を一瞥し、ディオは不快そうに目を細めた。
まさか自分の左手と握手を交わす機会が訪れるとは。そして乱暴にディパックに押し込む。
「おいおい、なんだその目は、まだ疑ってるのか?さっきまで殺そうとしていたのは事実だ、謝罪しよう。
それよりもさっきジョルノの名を口に出したな?訳あってはぐれたが、俺は奴とも行動を共にしていたんだ。」
ジョルノの名を出され、ディアボロは逡巡していた。正直言ってディオの言っている事は全く信用していない。
生きる為に仕方なく協力していたのであり、いずれ吉良に復讐するつもりでいた。
そこへディアボロがジョルノの味方である事が判明し、一転、吉良を始末しこちらの側に付こうと決心した…。
いかにも取って付けたような理由であり、信じる方がどうかしている。
嘘だと思うなら直接本人に訊いてみろと言いたいのだろうが、そもそもそこに行き着くまでに
ディアボロを葬る心算かも知れない。だが、それならわざわざこんなまどろっこしい手段を取るとも思えないが。
「いやむしろ、貴様が俺の言った事を素直に信じるお人好しだったとしたら、
ここまで生き残っている筈も無いか。いいだろう、これでどうだ?俺が気に食わないなら今ここで殺せばいい。」
敵意の無さをアピールすべく、ディオは持っていたDISCとサブマシンガンを地面に置いて一歩退き、
さらにディパックをも捨てて、両手を挙げて降参のポーズを取った。
鋭く睨みつつ、スタンドを傍らに呼び、ディオの所持品を拾い上げたディアボロ。
彼が口を開きかけた瞬間、南の空から突如、真っ赤に燃えた隕石が飛来し、闇夜を裂きながら轟音を響かせる。
「今のは何だ?かなり近い!シーザーの能力…いやジョジョのか?とにかく奴等を止めないとマズイ事になるぞ!」
先程までの胡散臭い、へりくだった態度とは打って変わって、ディオが焦った声を出す。
まだディオに対する疑念が晴れた訳ではないが…。数秒悩んだ後に、ディアボロは忌々しげに言い放った。
「…今はお前の口車に乗ってやろう、だが忘れるな。少しでも妙な真似をしてみろ、
後悔する間もなくあの世に送ってやる。ところでこいつはどうする気だ?」
「決まりだな。月並みな言葉だが…これから宜しく頼む。そいつの事は心配ない。」
演技ではなく心底安堵した表情を浮かべたディオは、記憶とスタンドを抜かれ人形の如く地に倒れ臥した吉良の頭を、
スタンドの足で渾身の力を込めて蹴り上げる。骨の砕ける嫌な音と共に、彼の首は真逆の方向を向いてしまった。
「これで文句はないだろう?行くぞ!」
呆気に取られるディアボロを尻目に、ディオは隕石の軌道を頼りにシーザーとジョナサンの元へと急いだ。
141
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/03/02(水) 12:10:12 ID:???
どうやら
>>139
の原文に問題があったみたいです。もしかしたら『畳みかける』かな?
と言う訳で203話のお蔵入りパートの一部です。読み返してみたら隕石降るタイミングが遅すぎだし、
心理描写とかも適当なのでまだまだ手直しする必要があったでしょうが、
それよりも戦闘が長くなりそうで、メインに据える筈のシーザーとジョナサンのパートが弱くなるので泣く泣く没に。
プロットとしては、三人戦う→吉良は自分と同じにおいがするのに対主催なディアボロに興味を持ち、
それぞれが自分の意見を語る→ディオ、ディアボロが受け継いだ意志云々とジョルノとの接点を匂わせる発言に反応→
手首を治す為に不意打ちで吉良のDISCを抜き、ディアボロと共闘を宣言→実はキラークイーンのDISCを隠し持ち、
フェイクを渡す→徐倫パートと繋がってディアボロ達は徐倫が二人を殺した?と勘違いし、
徐倫は元々敵視していたディアボロとディオが現れたので容赦なく襲いかかる…。という展開にする予定でした。
対主催が少ないのでディオが対主催に回ったら面白いだろうな。って考えてました。
原作では正義だったジョナサンがマーダーに、原作でも二次創作でも悪役しか見た事がないディオが正義の側に、
という対比の形もいいなと。ただこの時点でディオは純粋な対主催ではなく、自分が得して利用出来る人間に
付いて荒木(とディアボロ達?)のスタンドを集められたら。というのが本心だと状態表に書くつもりでした。
142
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/03/02(水) 12:12:08 ID:???
違ったw何が原因だったんだろう…?
143
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/19(火) 21:41:14 ID:???
遅くなっちゃったが投下乙。
そうだよなあ、対主催ラスボス勢VSマーダー主人公勢、これほど滾るものがあるだろうか!?
本編が良質なだけに、もし違う展開だったら……って想像が膨らむ。
また何か没ネタがあればお願いしますw もちろん本編も!
144
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:43:11 ID:???
では失礼して没ネタを。
※始めに――正直言ってロワで一番重要なはずの戦闘シーンがキンクリされております。没案なのでなまぬるく大目に見てやってください。
◇ ◇ ◇
錯乱こそ私の墓碑銘となろう
ひび割れ荒廃した道を私は這い進む
なんとかなるというのなら腰を下ろし笑ってもいられよう
しかし 私は明日が怖い 私は叫び続けるだろう
◇ ◇ ◇
【杜王町・とある小道】
僕はこれから、一つの覚悟を台無しにしに行こうと思う。
何よりもそれが、あの人の為であり――そうしなければ、あの人は死んでしまうのだ――僕の為でもあるんだ。
自分がどのような存在かわかった今、僕にはもう怖い物なんかない。
ここは『見えない小道』だ。
気が付いたら僕はここにいて……日本人の女の子が同じように閉じ込められていた。
近くにはヨーロッパ風の館があって、僕たちはそこでおとなしく留まることを強要されていた。
その女の子とはあまり話をしなかった。何より『あいつ』がそれを許さなかったし、僕たちにはお互いに何の共通点もなかったからだ。
ここはどこかと尋ねる僕に、彼女は「モリオウチョウ」だと言った。
それから『あいつ』は嫌な笑い顔で僕達の末路、僕が何者であるか、今ここで何が行われようとしているのかを話して聞かせた。
僕はあの日、死んだそうだ。
なんとなく予感はあった。死ぬ瞬間は、そうたいしたものじゃあなかった気がする。
確かに降っていた雨はすごく冷たくて、骨に染み込みんで心をえぐった。
でも死ぬことなんて怖くはなかった、ただちょっと寂しかっただけだ。
あの人が「行く」と言った時、その声に僕たちの勝利を確信していたんだ。
145
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:43:47 ID:???
それなのに、それなのに、あの裏切り者どもが……あの人の絶頂を砕いてしまったなんて。
こいつはここへ連れてこられた人達同様、死んだ瞬間の僕をこの場所へ引っ張り出して来たと言った。ゲームの補助駒として。
神気取りの忌々しい、目の前にいる男――荒木。
「さあ、いってらっしゃい。どのみち君は、体が無いから……ここから出ちゃうとしばらくたって消えてしまうよ? それでもいいのかな」
だんまりのまま頷く。
反抗的な態度を隠さない僕を、荒木は楽しんでる。
目を細めて、どこか嬉しそうにさえしながら特等席の赤い箱――日本のポストのようだ――から、僕を見ている。
こいつは嫌いだ。
こいつさえいなければ、あの人はこんな目に合わなくて済んだんだ。
そのニヤついた顔、ぶっ飛ばしてやりたい。
「いい顔だねえ〜。その意志、ほれぼれしちゃうな。あ、なんで今になって僕が君を行かせるかって? ――分かってるはず。おもしろいからだよ」
でも、こいつがいなければ僕は一生自分が何者なのか知りえなかったし、あの人が裏切り者のスタンド能力から解放されることもなかったんだろう。
なんて皮肉なんだ。笑えるほどに、くだらない運命。
「これからどうして欲しいとか、何かをやって来いとか、そういうことを僕は強制しない。君の好きにしたらいい……ま、大体君が何を考えてるか分かっちゃうけど」
ああ、これから、あの人のところへ行く。
これは単純な賭けなぞじゃあない。
体を持たないこの忠誠心は、何か透明なものへ向かって投げられて、意味もなく消えてしまうのかもしれない。
だけど、僕はあの人の為にこの魂が粉々に砕け散ることなんかなんとも思わない。
こいつは一体何者なんだろうとか、どんなスタンド能力か考えてもみたけれど。
もう他のことなんてどうでもいい。
あの人が変わってしまった。そしてそのせいで、死んでしまうかもしれない。
何よりもあの人に、正気に戻ってもらわなくちゃいけない。
きっとちょっとばかり弱気になっているだけだ。
僕だって、ずっと死という結果にたどり着けない――なんて羽目になったら、頭がおかしくなっちまうもんな。
仕方のない事だ、僕はそれをよくわかってる。だから少し話をすれば、昔のように戻ってくれるさ。
それから参加者の連中をみんなやっつけて、荒木もぶっ殺してすべて終わりだ。
僕は消えてしまうけれど、あの人の栄光は再び世に保たれるんだ。
「僕は君をあのフィールドに放り込むだけだけど、何せ君たちは同一人物だ。引かれ合うだろうよ、魂の導きを信じていればね」
当たり前だ、僕はあの人の右腕だ。
言ってやろうと思って、すぐに口を噤む。
その意図を察してか、荒木はなおも楽しそうに乾いた笑い声をあげた。
すぐに表情を読まれてしまうなんてギャングとして恥ずかしい。僕は本当に半人前の甘ちゃんなんだ。
こいつが何か恐ろしい物の塊でできていることは分かってる。
僕じゃあどうにもできない。だから、自分にできることをしなくちゃ。
「じゃあね。彼に最も有効なのは、君の存在だよ。それを自覚して、頑張って……僕を楽しませて欲しいな」
余計なお世話だと毒づくよりも早く、奇妙な浮遊感に包まれながら小道の外へ放り出される。
同時に、荒木に渡された電話機を握りしめた。突然、『ゲロッ』と言う音が――変な発信音だ。
手触りもベタついてるし、足みたいな飾りもついてる……妙な携帯電話。
君達ならそれで問題ないよね、なんて意味の分からないことを言ってやがったが、あいつは見た目だけじゃなく、考えてる事も気味悪いや。
ふわりと浮かんだまま、とりとめのない事を考えつつ。
足下の景色には目もくれず、僕はあの人の気配を探った。
携帯電話を耳に当てる。目を閉じて、集中する。
どうか、応えてください。
あなただけは、生き残るために。
146
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:44:20 ID:???
※ ※ ※
【地下鉄・DIOの館駅】
『――…………――』
うす暗がり。
湿った空気。
澱んだ水のにおい。
見上げれば頭上にある安電灯が、弱々しい光を投げかけその存在を気怠そうに示す。
亡羊とした光が一定の間隔で灯り、辛うじて駅のホーム、その全景を見渡すことができるようになっていた。
眼前にはどこへ続くのかあらぬ想像をかきたてて止まない、黒い黒い線路が頓挫している。
それを吸い込む様に存在する地下鉄のトンネルからは、気味の悪い音が絶え間なく響いていた。
ただ空気の流れによって偶発的に生ずる音と理解はしていても、迫り来る不安は少しも減りはしない。
その光景に辟易して視線を下ろせば、湿気でべたついた埃が靴に纏わり付き。
平常時であればネズミやその他の陰鬱な生き物たちの巣窟であろうその駅に、男はいた。
『――……る……――』
薄汚れた簡易ベンチに腰をかけ、男――ディアボロは懊悩に苛まれている。
じくじくと、足先からは這い上がるように痛みが襲い。
参加者名簿を見つめ、彼は途方に暮れていた。
震える手に掴まれたペンが軋み、そのフォルムを微小に歪める。
吉良吉影とディオ・ブランドーが逃げ去った南東とは逆方向、シーザーと共に調査を行ったDIOの館に、その身を滑り込ませたのが数十分前。
先の戦闘でつま先に負った傷は些細なダメージとは言い難く、片足を引きずるようにして移動すれば、血の跡が己の存在を否が応でも他者に知らしめる。
出来てしまった血の道標を誤魔化すため、彼は一度館を通り過ぎ、その血痕をデコイとした。
止血を施してから踵を返し、再び館へと向かう策略。
その執拗なまでの用心深さは、病的と表現して差し支えない。
彼が今、身を潜めている駅――地下へと至る通路は館の入り口のすぐ横、隠し扉から侵入できるようになっていた。
意表を突く場所であったことと、シーザーと行ったのは索敵であった為、建物の形状まで気が回らなかったのだった。
館にたどり着いた時、傷の痛みによろめいた彼は入り口横の壁へと身を寄せ、僅かに周囲と質感を異にする壁面を訝しむ。
少し力を込めてその部分を押すと、あっけなく地下への階段が姿を見せた。
こうして、隅々まで調べ上げたと思い込んでいたこの館に、地下鉄のホームを見つけたのが数分前。
『――……るる……――』
地下通路からホームへと向かいながら、彼は強い予感に眉を眇めていた。
シーザー・ツェペリは戻らなかった。
つまり、それの意味するところは――
野外にて待つべきだったかもしれない。
探しに行くべきだったかもしれない。
しかし、あの二人の間に割って入ることは断じてできないと考えていたし、身を潜めもせずに待っていれば良い的になるだけだった。
加えて自身のダメージ、放送が迫っていることを鑑み、無人と判明している館へ退避することを選択したのだ。
ナチス研究所へ向かうことを決定しかけていたため、上手くいけばそこで落ち合えると踏んでいた。
しかし今やそんな打算も、無意味なものとなり果てて。
「悪い予感は本当に、本当に良く……当たるものだ」
見通しがよく、奇襲を受けにくい駅のホームで第五回目の放送を迎えたのが、たった今だ。
彼の顔が悲痛に歪む。
まるで心をいくつにも引き裂かれるような、かつて無いほどの痛み。
147
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:45:06 ID:???
ことごとく、ことごとく死んだ。
出会った希望――天にある星のようだった仲間達、すべて。
『――……るるる……ん――』
先刻目に焼き付けた星の光一つ一つに、彼らの顔が重なる。
ジョセフから受け継いだ鉄球の熱。
早人を背負った時の柔らかな感触。
音石への小心ゆえのかすかな共感。
ポルナレフの今わの際の笑み。
シーザーの目じりに浮かんだ涙。
露伴の傍若無人な、人好きのする瞳。
億泰の若々しい危うさ、その純度の高い心。
彼らを死なせたくなかった。
それが『王宮下の人々とともに未来を選ぶことができる』帝王のあるべき姿だと、純粋な自分の望みだと今、彼は理解した。
それなのに死んだ、死んだ、死んでしまった。
各々が辿ってきた日々を分かち合うことも――なく。
「本懐を遂げたか? シーザー。ならばきっとジョセフの鉄球も……報われる」
ペンを両手で包み込むように持ち、握った拳を額に当て。
苦しさで顔がゆがむ。食いしばった歯はきしみ、小刻みな震えは収まることを知らず。
(死んだ……皆死んで逝った)
終わりなき死をもってその身の罪を贖っていた彼は、誰よりも死に近く、その本質を知っている。
死とは救済ではなく、終わりでもなく、苦しみでも喜びでもなく、ただ何もない、無へとひたすらに落ちていく感覚なのだと。
『――と……るるる……ん――』
罪――因果という言葉が思考の隅をかすめた。
絶頂のゆりかごからあまりにも鮮やかな失墜は、彼の心を今だ闇の底へとしばりつけている。
屍の上に築かれた帝位は亡霊となって、今なお彼の足をからめ捕らんと、そこかしこにうごめいているかのよう。
『――とお……るるるるるるん――』
(……ああ、そしてこの『音』は――)
放送が終わって間もなく、己の耳の奥より湧き上がるように響いてきた懐かしい声。
今や失ってしまった筈の半身が呼ぶ声を、彼は聞いていた。
『――とおるるるるるるるるるん――』
あの最後の日に、置き去りにしていった精神の片割れと彼を繋ぐ『音』。
何が媒介であっても、絶対に繋がっていられたあの頃の記憶が、鮮やかにディアボロの脳裏に甦る。
彼は握りしめていたペンを耳に当て、眼を閉じた。
『――がちゃ』
「……お前なのか」
かすかに息をのむ気配。
ついで嬉しそうな返事が聞こえ、彼は驚愕もそのままに相手の名を呼ぶ。
「私の、ドッピオ」
148
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:45:41 ID:???
※ ※ ※
【F-2 ナチス研究所の庭】
「俺を殺してくれ」
くぐもった声に応える者はいない。
流れ出すのは、とある組曲の三番手を務めるごく静かなピアノ曲、『月光』。
細やかなリズムは、庭に降り注ぐ月光に絡みつくように。か細く、センチメンタルな旋律は流れていく。
心を癒すようなその曲調が、今はむしろ彼らの精神をむしばむのだった。
ブチャラティは震える左腕を懸命に押さえつける。右手の爪が食い込み、血が滴るほどに。
沈黙の中で、リゾットは緩やかに腕を振り上げた。
その周囲にはメスの群体が従い、彼の意志、その決定を待つ。
彼は思う。
勝ったはずの敵が、まだ生きていた。ならばホルマジオの死はなんだったのかと。
犬畜生にも劣るような体の器官、その残骸だけでへばりついて、そんなところで何をしているのだと。
湧き上がるのは、またしても度し難い怒り。
灰色の髪の毛が逆立つほどにあふれ出る憎悪に裏付けられた、甘美にさえ感じられるような痛み。
動かないリゾットの顔は怒りと狂いをはらんで、苦々しく――笑っていた。
しかし一人の少年が、彼とブチャラティの間に立ちはだかる。少年、ジョルノの傍らには、彼のスタンドが。
その瞳に戦意はない。あるのは哀願だけだった。
「待って……待って下さい。まだ何か、方法が」
すがるようなその瞳の揺らめき。
リゾットは煮えたぎるような笑みを消した。
心臓を突かれるような感覚を覚え、大きく表情を歪ませて片手を額に当てる。
無表情を取り繕うことは、もはや不可能だった。
歯を食いしばって、漏れ出そうな呻きをこらえるのみ。
後悔?
恐怖?
絶望?
殺す事。
殺される事。
149
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:46:19 ID:???
リゾットの仲間はもう居ない。
仲間を失った自分。
今から失おうとしている彼ら。
今にも泣きだしそうな少年に、死んでいった部下の面影を重ねてしまう。
――俺が憎いのは、敵ではない。自分自身の弱さだ。
「……どうだ。絶望しただろう? 人間ども」
ブチャラティの唇から、彼のものでは無い声色で言葉が紡がれた。
その重低音は、場にたたずむ三人の心を踏み潰すように撫でる。
エシディシは生きている。
その心臓からブチャラティの体内に根を張り巡らせ、執念によって精神を征服せんと。
「……早く、しろ! もう正気を保てない……ッ。手遅れになるぞ! 殺せ!」
ついで、ブチャラティが彼自身の声でリゾットを急き立てる。
ジョルノとフーゴは 同時にブチャティに気遣わしげな視線を送った後、彼の胸元の心臓をにらみつけた。
――この逡巡は何だ。ブチャラティを始末すれば……反逆を一歩、先へ進められるというのに。
リゾットの黒に満たされた瞳が惑い、揺れている。
あり得ない筈だった敵方との共同戦線に、救われたのは自分。
勝利は喪失と共に、怒りは絶望と共に、その心を幾万回引き裂かれても、尚も試練にさらされ続け。
得たものは何もなく、他人の犠牲の上に立っていた自分。
しかし、それでも。
ブチャラティが出会いによって生き返ったというのならば、自分もまた――
リゾットの中で、今や何もかもが判別あたわざる混沌と化した。
それでもただ一つだけ、分かっていることがある。
誰にも、何にも屈しはしない。
服従はない。
降伏もない。
敗北も、陥落もない。
それらを認めることは、生きるための意志を放棄することになる。
ならば、反逆あるのみ。
そんな事をして失った仲間が戻るわけではないと知ったふうな口をきくやつもいるだろう。
許すことが大切なのだという者もいる。
だが彼は身内を殺されたことを無理やり忘れて生きるなんてまっぴらごめんだし、いつもその覚悟をして生きていた。
この化け物に屈服するなどという選択は、あろうはずがない。
もはや自明だ。
リゾットの瞳に、再び焔が灯った。
「――絶望? フン……絶望だと? そんなものはとっくの昔に、犬にでも食わせたぞッ!!」
150
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:46:49 ID:???
※ ※ ※
「終点、DIOの館駅〜。この列車はここで折り返します、次の停車駅はコロッセオ、ナチス研究所……次なんだっけ?あーあれだ、サンタ・ルチア駅〜。
発車は一五分後です。忘れ物と命に気をつけてご乗車くださ〜い」
線路を滑るように、列車が姿を現した。
人の神経を逆撫でする声色で、口調で、アナウンスは終わる。
目の前で停止した電車は、空気の抜けるような独特の音と共にドアが開き、同時にディアボロはゆっくりと腰を上げる。
側面にあの戦闘の時の大きな亀裂が入ってはいるが、走行に支障はないらしい。
ペンを耳に当てたまま、荷物を仕舞い込むと車両の中へと足を踏み入れる。
先の放送でこの館が禁止エリアに指定されてしまった今、早く離れるに越したことはない。
『ボス、またお話しできましたね。……嬉しいです』
彼は金網の上、座席の下、列車の連結部の空間、ガラス窓の一枚一枚に至るまで丹念に調べながら、懐かしい片腕と通話を続けた。
「それは私もだ。しかしドッピオよ、一体今どこにいる?」
『ボスのいる場所に、向かっています』
その発言と共に、ディアボロはある疑念にたどり着く。
濁すような答えを受けて、自分たちの特殊な存在のしかたを問い質した。
「お前、私の外に存在しているということは……まさか知ってしまったのか? 私たちが何なのか……」
『はい……。でも僕は、ヴィネガー・ドッピオはいつだって、ボスの一番の部下ですッ』
決然とした言葉の後には、照れたような笑い。
ディアボロは検分の手を止め、その言葉を噛みしめる。
かつて同一の身体にあった二つの人格――パッショーネの統括者と、その腹心という特殊な立ち位置でその精神達は共存し、バランスを保って来た。
しかし彼は、己の腹心として忠誠を尽くすものの存在を、あまりにも意識していなさすぎた。
彼は孤独に馴染みすぎていたのだ。
ただ一人で時を飛ばし苦難を超えて来たと思っていた。
ただ一人で絶頂を求めて来たと思っていた。
自身の利己的な生き方に、己を捧げ続けてくれた者がいる。
体を持たなくなってもなお、自分の身を案じてくれている。
仲間全てを失ったディアボロにとって、その事実は救いだった。
「ドッピオ……感謝する」
151
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:48:39 ID:???
シルバー・チャリオッツ・レクイエムによる魂の分断の時、彼らは分かれたはずだった。
だが置き去りにしたはずの腹心の心は、肉体を離れてもいつも組織の頂点、帝王へと向けられていたのだ。
電話の向こうでは『と、当然のことですから!』と慌てたような、面食らったような返答があった。
彼は笑みを浮かべる。
あらかたの安全を確認し終え、座席へと腰を掛けた。
同時に、疲労と痛みが全身を駆け巡る。
変わりすぎた心と、使いすぎた肉体。
徐々に弱体化していくスタンド能力。
たった一人の自分。
露伴たちに託したメッセージさえ、伝わったかどうかわからなくなってしまった。
シートへと深く身を沈める。
無限に続く死の中での記憶。自分に尽くす事が至上の喜びだと語ってくれたドッピオが、己の境遇に心を痛めてくれている。
ここへ来て出会った仲間を全て失った彼の心に、かつて最も心を許した者の言葉が沁みる。
「お前には、苦労をかけた」
『いいえ、それが僕の喜びですから!』
ドッピオはそういった後、少し沈黙する。そしてひとつ、大きく呼吸音。
『ボス……時間がありません。ごめんなさい、僕の言いたい事を話します』
ディアボロは何か大きな決意を感じとり、何も言わずに片割れの言い分を待つ。
その時控えめな振動と共に、列車のドアが閉まった。
車体ががたんと揺れ、ぼやけた蛍光灯の光が後方へと流れだす。
目的地は、ナチス研究所。
『ボス、生きて下さい。そのためにはゲームに――乗って下さい』
ディアボロは頭を垂れ、沈黙で答える。彼を殺人へと誘う声にこたえることも叶わず、視線は膝の上をさまようばかり。
轟音と共に暗い穴の中を駆け抜ける列車の、断続的な振動が躰を伝ってくる。
152
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:49:13 ID:???
間もなくコロッセオだ。眼を固く閉じる。
『ボスが今までどんな目にあってきたか……僕は知っています! 裏切者のスタンド能力のせいで、ひどい目にあったって……』
ゴミにも等しいチンピラに撃ち殺されたり、生きたまま肝臓を摘出されたり――考え得る限りで最も悲惨な、終わりのない終わり。
ドッピオは珍しく荒い口調でまくしたてる。悲しそうな声色で、心から痛そうな声色で。
『ここにいる奴らなんて、どうだっていいじゃないですか!? 僕、見てました。ジョセフとかいう老いぼれが、恐怖がどうとかあなたに変なこと吹き込んで――』
「ドッピオ」
重く、低い声がはらんだ感情は何によるものか。
ドッピオは言葉を飲み込む。
そこに漂っているのは紛れもなく、イタリア一帯を取り仕切ったギャング、その帝王たる彼の威厳。
「例えお前でも、ジョセフ達を侮辱することは許さん」
『そんな、ボス……ッ』
「私は理解したのだ。他人を害すれば、ついには自らが血の代償をもってその支払いを義務付けられる。それに気が付かなかった私の絶頂は、空虚だった」
『パ、パッショーネでの僕たちの努力を、あなたの栄光を否定するんですか!? なら……僕達のあの日々は一体何だったのか、僕があなたのためにやってきたことは、一体なんだったのか……』
「それは……」
沈黙と、うろんな空気。
二人の思惑をよそに列車は進み続けた。
欠損のある不安定な車体は、不快な音を常に響かせディアボロの思考を邪魔していた。
ペンを耳に当てたまま唇を引き結び、彼は何を思うのか。
やがて列車はコロッセオ駅へとたどり着く。
開いたドアの向こう、参加者らしきものの人影は一切なかった。
DIOの館駅と同じ、暗鬱な電灯が灯す光を見つめる。
電灯もまた、まどろんだ獣の瞳のように怠惰な光で列車を見下ろしていた。
ドッピオも、ディアボロにとっては過去なのだ。
それが今再び彼の袖をとらえ、後ろへと引く。
そう、過去からは誰も逃げられない。
だが、彼は『なぜか?』と問う。
過去は恐怖であり、同時に今までの彼、全てでもある。
つまり、過去が切っても切れないのは――ミミズのように這い出てくるのは、過去が彼だからだ。
自分が過去を否定する限り、永久に自分自身を否定し続けることになる。
「『見ていた』と言ったな? ドッピオ。つまりそれは、お前が参加者ではない状態で、このフィールドに存在していたということだな……」
ドッピオは過去だが、ディアボロ自身でもある。
一つの肉体を共有した、二つの精神。何よりも自分に近く、誰よりも自分から遠い存在。
何があってもドッピオが彼を裏切ることはないと分かってはいても、彼は試すようなことを聞く自分を止められない。
「お前、荒木に与しているのか」
『いいえ、いいえ! 僕はあんな奴嫌いなんですッ。でも、荒木は得体が知れない……僕はあなたに生きてほしいんです!』
153
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:50:05 ID:???
ディアボロが思った通り、ドッピオは彼の味方であり続ける。しかしそれがまた自分の心を苦しめることになるとは、ついぞ考えもしなかった。
列車は進み続ける。蛇の腹の中のような真っ黒い闇を這い進む。
ナチス研究所はすぐそこに。
『差し出がましいのは分かってます。でも、死んだらどうしようもないでしょう!? お願いします。今から行くナチス研究所には――』
「やめろ! やめてくれ……」
かぶりを振り、両手を髪の中に埋める。ペンが軽い音を立てて床へと落ちた。
相も変わらず痛みが体中を突き抜けていく。
分かっていた。
参加者はすでにおよそ八分の一。
荒木に立ち向かう術は全くない。
他の参加者の情報も少なく、殺し合いに乗り気の人物は身長二メートルの怪物なのだという。
くわえて、『キング・クリムゾン』の弱体化。および首輪の爆発条件に指定されている『飛ばす時間の上限』が残りわずかであること。
不利だ、不利すぎた。
何をどうあがこうとも死ぬ。
それは紛れもない恐怖であり、それを乗り越える術を自分は持たない。
彼は己を恥じた。結局のところ、自分はジョセフの気高さを継ぐに値しないのか。
――『恐怖を自分のものとする』事……と、『恐怖を力に変える』事は、違う。
嗄れ声が力強く頭の中を満たし、喉の奥から苦しげな呼気が漏れた。
そして、彼の思考を遮るかのように列車の速度が徐々に緩められ、ついには完全に停車した。
ドアが左右に開き、ディアボロはゆっくりと顔を上げる。
開いたドアの前に、彼にだけ見える半ば透けた少年の姿。
少年――ドッピオははじめて目にする帝王の姿に感動を隠せない様子で瞳を輝かせ、笑う。
同時に彼の手から緑色のカエルが滑り落ち、何事もなかったかのように飛び跳ね、闇へと吸い込まれていった。
「やっと、会えた」
ディアボロは立ち上がり、少年の元へと歩きだす。
狭い列車内を横断し、ホームへと降り立ち――遂に、二人は向かい合った。
ドッピオにも時間はわずかしか残されてはいない。
彼は可能な状況であれば精神をディアボロの中へと再び同化させ、然る後に儚く消えゆく定めと決まっていた。
それは荒木が予備駒に課した制限であり、ドッピオに配られた手札の全てだった。
ドッピオは固く拳を握りしめ、唇を突っ張るように引き結んだあと、しっかりとディアボロの瞳を見据えた。
「ボス、優勝しましょう。皆殺しにしましょう。すべてお任せください! 僕の外見ならばどうとでも言って、敵をはめることができます」
「ドッピオ……私は」
彼らはいつも、選択を迫られている。
154
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:51:18 ID:???
※ ※ ※
「ふふ、やはり諦めなかったな……忌々しい人間どもよ、見事だ」
ブチャラティに張り付いた心臓部分を狙い、放たれたメス。
だがそれらはじゅうと重い音を立てて空中で焼け落ちた。
ブチャラティの体内を這い進むエシディシの血液が放出され、攻撃は一つも命中することが無かったのだ。
リゾット歯噛みするしかなかった。
悔しまぎれに唾を吐き捨てる。奴の心臓にナイフを突き立て、時間を稼いでいる間に鉄分を操作し血管をすべて塞ぐつもりだったのに。
「さァ、ラスト・ワルツだぜ……。今の俺なら簡単に殺せる。だが当然、ブチャラティの命も助からない。お前らの選択する未来はなんだ?」
「ぐ……――スティッキー……フィンガーズ」
肉体を失ってもなお執拗なエシディシの攻撃に、かすかに残ったブチャラティの意志が反抗する。
少しでもリゾットたちの有利になるように、スティッキー・フィンガーズを自らの肉体に放たんと手を動かす。
己の手足をすべてもぎ取り、動きを封じるために。
しかし、その弱々しい腕の動きは、逆の腕によって荒々しく叩き落とされた。
彼の苦痛にゆがんだ顔が失望へと色を変え、ついで凶悪な笑みがその血まみれの顔に宿った。
めまぐるしく変わる彼の表情は、二つの魂が激しくせめぎ合っている証。
しかし明らかにエシディシは、その闘争心でもってブチャラティの心をかき消さんとしていた。
今や誇り高きギャングの精神は、風前の灯。
「ほらァ、どうする? 俺はもう動き出しているぞ……この灼熱の血液でもって、ブチャラティの体を焼き焦がす」
どこか誇らしげにさえしながら、エシディシの声が闇夜に響く。
血液が熱を持ち始めたのだろうか、液体が沸騰する音が微かに響きだしていた。
「無論、それだけじゃあないぜ? ブチャラティが死ぬ時、俺の血液は周囲に飛び散る。500度の血液だ……貴様らは全員、焼け爛れて死ぬ」
※ 戦闘シーンは割合、途中でディアボロ・ドッピオ研究所に到着&乱入 用心のため外見はドッピオで素性は明かさず ボスは優勝狙いになるかどうか悩みつつ……という感じ※
※ ドッピオ&ボス、リゾット、ジョルノ、フーゴ、エシディシで戦闘 追い詰められたエシディシが、怪我だらけのブチャラティから近くにいた軽傷のフーゴに乗り移る(逃げるために)※
155
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:52:40 ID:???
「フーゴ! 今……」
ジョルノはエシディシの心臓が飛び出したと同時に、くずおれたブチャラティの体を受け止めた。
フーゴは異物を腹に抱え込み、うめき声を発して膝をつく。
『ゴールド・エクスペリエンス』を従え、駆け寄ろうとした彼にかけられた言葉は。
「来るな!」
意外、それは拒絶。
ジョルノはいつの間にか発現された『パープル・ヘイズ』が、フーゴの体へ押しつけるようにエシディシの心臓を掴んでいることに気が付く。
幾分弱り始めてはいても確かに脈打つ心臓が、彼の剥き出しの腹に存在している。
ついでフーゴへと目を向けると、彼はじっとりと滲み始めた汗を額に浮かべながら唇の端を歪め、笑っているようだった。
「僕が自分の命可愛さにこのまま逃げ出すとでもと思いましたか? ――残念だったな、怪物め。そうはいくか……いくもんか」
視線を巡らせ、立ち尽くす黒衣の男を見やる。
フーゴは、熱い石を飲み込んだように爆発的に怒りをあらわにした彼の『黒さ』を信頼できると思った。
「どうです、リゾット……僕は何の罪もない参加者を自分だけの利益のために殺したゲス野郎だ。――ここで死なせてくれませんか」
フーゴは生をあきらめる『恐怖』を克服した。
そして仲間を守り、愚劣な畜生として死ぬ事をその意志で選んだ。
苦しく、何も生み出さないこの決意を人は笑うだろうか。
他方でこの言葉が、罪に服するこの言葉が、ディアボロにすべてを決意させた。
(ドッピオ……私はやはり、以前の私には戻れない。たとえ、スタンドを手放すとしても)
「ボス……」
今、最期の変革の時。
着用していた厚手のセーターの裾に手をかけ、緩慢な動作でめくり上げる。
肩から首にかけてウールの生地が通過すると同時に、少年の体形が徐々に男性のそれへと変わっていく。
罪と戦う為に。
罪に抗う為に。
戦え!
抗え!
屈するな、誓え!
スタンドはただ、か弱い精神の表れではない。
弱さを攻撃に向けただけで、あのように多種多様な異能が存在する筈はない。
それは生命の根源への希求――宇宙の果てまでを貫き通すような、激越な欲望にして希望。
欲望無くして希望はなく、希望無くして成長はあり得ない。
「私は私の罪を肯定する。そして打ち砕くのは我が過去……その罪科。たとえ精神が崩れて落ちても、先へつなげる意志を、もう一度――」
ここで出会えた仲間たち。その意志を。
脱いだセーターを床へと落し、ゆらりと視線を宙へ投げ出した。憧れに輝く瞳は細められる。
「失って気付いた……今、誓いを立てる」
「あんたは――……」
156
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:53:24 ID:???
苦しそうな呼吸の狭間に呟かれた言葉に、ディアボロは振り返りった。
突然の奇異な現象すら気にする余裕がないのだろうか、フーゴはさほど驚いた様子を見せない。
もっとも、ディアボロにとっても体裁を気にする余裕も理由ももはや皆無だった。
今更、何におびえるというのだろう。
「パンナコッタ・フーゴ……貴様、死ぬ気か」
ポルナレフを間接的に死に追いやった敵であるはずのフーゴに、彼は罵声を浴びせるでもなく、軽蔑を示すでもなく、ただそれだけを聞く。
フーゴは、罵詈雑言以外の言葉が相手の口からこぼれたことに驚いた顔をした。
ディアボロの瞳を一瞬見つめると床に視線を落とす。同時に落ちる、自嘲的な笑み。
そしてすぐに顔を上げた。そこにある表情は、いつもの彼の挑戦的な笑いだ。
罪も、思い出も、もう見ることはない希望への諦めも。
すべてを含めた瞳が、どこか悲しそうに細められ――彼はゆっくりと唇を開く。
「はい」
ただ一言、それだけでことは足りた。
突然の事態についていけない様子で口をつぐんでいたジョルノは、彼の決意を心で理解しながらもなお、絞り出すように言う。
「そんな、それじゃあ、同じだ。フーゴ、君が死んで――」
「同じじゃないぜジョルノ。僕は人殺し、お前たちは違う。死ぬのは悪いやつからって、決まってるのさ」
フーゴの腕が痙攣し始めた。
パープル・ヘイズが地面に膝をつく。弱っているようだ。口の端から滴る涎が膝へと落ちるが、気付く様子もなく低いうなり声をあげている。
フーゴは自分の分身を憐れむような視線で見やり、再び襲ってきたらしい苦痛に呼気を漏らす。
「生き、るんです。あんたたちは。僕は――もう」
リゾットが動いた。
つかつかとフーゴの傍へと歩みより、傲然と彼を見下ろす。双眸はただの石のように静かな光を湛えている。
フーゴはその瞳を縋るように見つめ、泣きそうな顔で言った。
「疲れた」
リゾットは軽く頷いたようだった。安心しろ、すべて終わらせてやる。
そして脈動する心臓へと目を向ける。こんな無様な姿をさらしてでも生へとしがみつく『意志』に畏怖すら感じながら。
だが、そんな畏怖は何ほどのものでもない。何が怪物だ? 何が人間だ? こいつは部下を殺した。それだけで、もはやすべてが十分すぎる。
「……ぶっ殺した、と言っただろう? もう遅いんだぞ……お前はすでに、死ぬ運命にあるのだから」
「そう……エピタフにより――その未来はすでに決定した」
ディアボロは残りわずかな制限時間を削っても、この行く末は確認しなければならなかった。自らの意志に啓示を与えてくれた者たちの為にも。
「KUWAAAAAAA……! 貴様ら、貴様らァァァァ……」
心臓を抱え込むようにうずくまったフーゴの唇から、重い声がこぼれた。
フーゴは心臓が再び誰かに飛び移ることの無いように、さらに強く腹部を抱え込み。
リゾットとディアボロは並び立った。
裁かれるべきものなどいない。
死ぬべきものなどいない。
彼らはただ、意志に殉ずる覚悟ある者たちだった。ただそれだけだった。
「殺せ、リゾット。それが我々の……勝利の証明となる」
「貴様は何者だ? ――納得のいく説明をしてもらおう。だが今は」
リゾットが腕をつと上げると、散乱していたメスが周りに再び集まってくる。
フーゴは眼を閉じる。パープル・ヘイズはエシディシの心臓に手刀を突き付けたまま、微動だにしない。
ジョルノは意識の無いブチャラティを抱えながらただ、眼を見開いて。
157
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:53:57 ID:???
(さようなら――ありがとう)
音にならず、フーゴの唇の上でだけ紡がれた別れの言葉を、青い瞳で捕えていた。
リゾットは狙いを定め、眼を細めた。
この、終わりの時に添えるのは――ありったけの憎悪と、かすかな憐れみ。
「くらえ――『メタリカ』!!」
銀色の刃は何よりも速く徹底的に無慈悲に、星のように鋭く光り――幾本も幾本も、
降り注いだ。
※ ※ ※
――ふん。此度の戦い、なかなか面白かったかもしれん。しかし、こんな疲れは何万年振りかなァ……。
リゾットの放ったメスによって床に縫い付けられたフーゴの体。
彼の血の気の引いた体の表面、胸のあたりに、すでにその活動を追えようとしているもう一つの心臓があった。
そこに、エシディシの知性は宿っている。
彼は徹底的に戦い尽くした。髪の毛一本に至るまで、すべてを闘争に捧げた。
彼の視点――それは一つの抽象観念の集まりだった。
一族、血、闘争、精神、誇り。
あそこにいる一つの命とか、あの人物の命とか、そういった考えは彼には――おそらく朋友であるカーズにも――存在しなかった。
いつも問題にしてきたのは、ある一人に備わった名誉ではなく、名誉そのもの。
『観念』を通して現実を見、行動してきた。
今ここにいる自分自身を見ることすらなく、彼は闘った。闘争――その彼方にある巨大な黒い深淵、不変のものを望みながら。
だが、その不変を求めることそのものが、すでに一個の生命にとって破滅的なのだ。
そして勝ち負けすら問題にならないような戦いの果てに、彼は散る。
分り合えるか合えないかではなかった。決して、分り合ってはいけなかったのだ。
死の間際の彼は夢想する。
見上げた視界、いっぱいに広がった蒼穹。
日光は肌を焼き焦がさず、あえかな温かみで柔らかい抱擁のように彼を包んでいる。
視線を巡らせた先には、彼と同じように惜しげなく太陽に身をさらす一族の姿。
長い黒髪を風に散らせるカーズと、その後ろにつき従うワムウ、人間にはサンタナと呼ばれていた、あのひよっこまでも。
「――ふ。こういう時はなんと言うのだったかな? ……おお、そうだ」
エシディシは笑い、朋友たちに追いつくために緩やかな動作で、だが確かな足取りで――
「感謝いたします、か」
歩き出した。
158
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/21(木) 21:54:58 ID:???
※ 蛇足 ※ エシディシ倒してから、ドッピオが力尽きて消滅するくだり ※
『最期に聞きたいんです。僕はボスの、良い部下でしたか?』
立ち尽くすディアボロの影から溶け出るように、ドッピオが宙へと浮き上がった。
二人は離れていく。
『はは、何聞いてんだろ、僕……』
「お前は私の部下ではない」
ドッピオは諦観と共にその言葉を聞く。
ディアボロにとっての足枷としかなれなかった己の身を呪い、意識を虚空に散らそうとした、その時。
「友だ」
慈しむような言葉が、消えゆく魂の中へとにじむ。
その瞬間に、存在しないはずのドッピオの肉体の感覚が、鮮やかに蘇った。
存在しないはずの頬に、暖かな液体の温度。
存在しないはずの瞳から、流れ出る涙だ。
ドッピオは手を上げる。そこには実感のある、肉体の感覚。
『グラッツェ――ボス』
彼は夜空に溶けるように、あいまいな輪郭を揺らめかせ。
最期に力いっぱい――
笑った。
※ ※ ※
恐怖とは何?
それを克服した時に見えるものは何?
そして全てが過ぎ去った後、最後に立ち尽くしているのは誰?
今ここに、物語を綴りたい。
終わり続けるだけだったはずの物語、その一端を。
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd
『死せる者たちの物語』
※ ※ ※
……ってかんじでした。アラだらけなのは分かってはおるのですが……
エシディシがなんでフーゴを選んじゃったのかとか、なんでフーゴが突然死ぬ覚悟決めちゃってたのかとか……w
まあ、先の大作の戦闘で心変わりしたみたいな説明を入れようとは思っておりました。
あとはここ花京院も入れないと間違いなく動かせなくなるという……。
そしてドッピオに諭されて乗るか乗らないかで揺れてしまうボスとかもっと書きたかったが、お蔵入りになりましたw
あとはここで飛ばす時間の制限超えちゃって首輪爆破も入れようとしていたです。
これをきちんと人様に見ていただける形にしたかったですが、もろもろ上手くいかず断念しました。
お粗末さまでしたん。
159
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/22(金) 02:22:24 ID:???
投下乙!面白かった
ドッピオが登場するとは意外ッ!いい意味で期待を裏切らないストーリーだった。
なんて綺麗なフーゴ…本編の結末は救いがないだけ泣ける…。でもボスが死ぬのは嫌だぁぁぁぁ
160
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/22(金) 13:57:14 ID:???
投下乙ゥ!!
多分この人だと思うからいうけど、俺はあんたの作品が好きなんだ。
こうしてボツネタでも投下してくれると狂いもだえるぜ!
161
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/04/22(金) 23:40:13 ID:???
うあああああああああああああああああああああああああ
ディーモルト! ディモールト! べネ!
おお、ブラボー……おお、ブラボー!
最大限の敬意を払っても払いきれないほどのGJを送りたい!
162
:
◆yxYaCUyrzc
:2011/05/20(金) 21:57:05 ID:???
なんだよ――寒いだろ。窓くらい開けたら閉めて行けよな。
久しぶりに感じた感覚、そして感情はそんなもんだった。
この身体になってから考えることなんてとっくに止めている。
少し前は『俺のことを読みに来る連中』もいたが……今はすっかり都市伝説の一つ、といったところだ。
それが今になって(と言っても、俺がこうなってからどのくらい経ってからの事かなんて分からない)こんな目に遭うとは……。
次いで聞こえる破壊音。よくよく思い出してみれば先ほども下の方が騒がしかった。
おいおいお前ら、ここは図書館だろ?騒ぐのは賢い行いではないだろ……。
そういうマナーの悪い連中の顔が頭をよぎるが、正直言ってもう思い出せなかった。
――コイツに、再び、会うまでは。
「やあ、久しぶり。調子はどうだい?」
ひょいと持ち上げられて、一声。耳触りというか、粘着質というか……とにかく、アイツの声だった。
そして、否応なしに思い出す。不良共との喧嘩、殺し合い――その他もろもろ。
「……この騒ぎはアンタのせいか?また?」
思ったよりしっかりと声が出せた事に自分自身も驚く。
「おいおい、質問に対して質問で答えるってのは――まあ、いいや。やめておこう。
今夜の件に僕は関係ないよ。もっとも、『また?』の方にはイエス、と答えるけどね」
「そうか」
短く返す。彼が言った事はよく理解できた。つまり――
「また、仕事しろってか」
「話が早くて助かるよ。もちろん肉体もちゃんと提供してあげよう」
「当然だろ。というか今となっちゃスタンドをマトモに使う自信がない。多少の時間は貰うぞ」
「うん、その間に僕の方も準備をしておくから」
* * *
163
:
◆yxYaCUyrzc
:2011/05/20(金) 21:57:51 ID:???
「今回は何人だ?」
「八十八人」
「いや、そっちじゃあない」
「え?……ああ、支給品とかのね。
何人だったかなぁ。とにかく“協力”してくれてるのは君だけだ」
かつてこの場で語り合った甲冑の男はこの場にはいないが――あのスタンドだ、きっと今回も呼ばれているんだろう。
そんなことも今となってはどうでもいい話だ。
「君だって、何か思う事があって協力してくれたんだろう?
それとも今回は『参加者』になりたかったかい?」
「いや、ああ……先の質問はイエス、後の質問はノーだ」
「だろうね。何も殺し合いに参加したがる人なんていないさ。巻き込まれるからこその殺し合いだ」
そんな自論はどうでもよかった。俺としては早く済ませてしまいたい。
積極的に荒木に協力したことは否定しないが、それで自分がどうなってしまうかくらい想像できる。問題はそれがいつかと言うだけで。
「そういう話は今度にしてくれないか。俺がやらなきゃあならない仕事はどこだ?もうスタンドのリハビリも良い頃だと思う」
「オーケー。じゃあまずは生き物から始めようか。今回は馬を何頭か使おうと思ってね。
ああ、そうそう。一番最後に……あ、そういう意味じゃあない。本当にゲーム開始直前、というかその瞬間にしまってもらいたいものもあるんだ――」
* * *
164
:
◆yxYaCUyrzc
:2011/05/20(金) 21:59:38 ID:???
「やあ」
荒木が右手を挙げて近付いてきた。この行動が意味する事は一つ。だが少し会話するのも悪くないだろう。
「見せしめの死体を支給するとは随分と奇抜なアイディアだったな。それはどうなった?」
「エンヤ婆が開けて――支給されたのはタルカスだけど。まあ色々あって今は埋葬されたみたいだよ」
へぇ、とセリフにもならないような俺の返答を聞き、荒木も悟ったようだ。ゆっくりと、しかしはっきりと口を開く。
「例えば――ジョルノ・ジョバァーナっているだろ?彼のスタンドは生命を生み出し、それが成長して身体の部品を作るまでに至った」
言いたいことは十分に理解できるし、その先に何を言いたいかも手に取るように分かる。だが放っておいた。彼が上機嫌に話しているならそれでいいだろう。
本になっていた間に何かの境地にでも目覚めてしまったのか……とにかくそれが現状での“賢い行い”だった。
「で、僕が言いたいのはここからさ。スタンドってほら、一人一能力だろ?それは間違いない。
だけど『スタンド』と『能力』って必ずしも一致しないんじゃない?これはジョルノに限らず皆そうさ。僕も含めて」
「なるほど……興味深いな」
適当に相槌を打っておく。聞いたところで最早どうにもならない。かといって聞かなければ機嫌を損ねる。まったくもって面倒だ。
「だってほら、仮にジョルノが死んだ時――いや、まだ今は生きてるけど――そのスタンドも当然消滅する。
だが実際はどうだ?彼が作った目玉や血液がネジやレンガに戻ってしまったりするだろうか?そんなことになったら大変だろう?
時を止める能力だってそうさ。確かに世界を支配しちゃあいるが、実際に本体が干渉出来る範囲なんてせいぜい半径数十メートルだと思わないかい?」
「それはつまり」
「うん、君は用済みという訳さ。君が消えたって紙が破れる事もない」
予想していた通りの内容だった。特に驚きもしない。怒りさえも湧かなかった。
「ならせめて――殺してくれ。以前はそれで無限の虚無を味わったのだから……二度と同じ間違いはしない」
「へぇ、抵抗しないんだ。積極的に協力してくれたから何か打算があるのかと思ったけど――」
驚いたのはむしろ荒木の方だった。もちろんその言葉は表面的なもので、実際はこうなることもお見通しだったんだろう。だがそれさえも構わない。
「お前はさっき、参加者になりたかったのかと聞いたが……広義の意味では俺だって、他の支給品担当だって、お前さえも参加者だろ?
その場で自分のできる事を考え、行動し、結果としてゲームをリタイアする。戦った相手と場所以外に俺が参加者と違った事はあるか?」
「いや、ないね。本になってる間にどんな悟りを開いたか知らないが、なかなか良い演説だったよ。だが惜しいとは思わないかな。
もし次があってもその時は別の宮本輝之助を呼ぶとしよう。それじゃあ」
――俺の考えは決して間違っているとは思わない。
多くの人間から見ればそれが歪んでいると言われようとも。
だからせめて……祈るとは言えない、見てみたい。
運命に抗う覚悟と正義を持った参加者たちの戦いを。
どこかでまた、会う事があったのなら――
【宮本輝之助 死亡】
165
:
◆yxYaCUyrzc
:2011/05/20(金) 22:00:34 ID:???
以上、没ネタです
正直なところ、荒木の演説(スタンドと能力が一致しない)をパープルヘイズや問題議論スレでなく話として描いてみた、ってレベルの作品です。低クオリティで申し訳ないorz
宮本参戦案が〜という方がいたのでちょっと抵抗ありましたがまあ、没ネタという事で多めに見てやってください。
ここでの設定やら何やらは今後の話にも全く関係ありません、無視してくださって結構ですので。
まあ最終話までの繋ぎとして読んでもらえれば幸いです。それでは。。。
166
:
ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん
:2011/05/22(日) 14:17:24 ID:???
投下おつです
本になった後の宮本ですか… 意外ッ!
参加者でもないのに支給品を紙にし終えたら殺すなんて荒木マジ鬼畜
スタンドと能力が一致しない、って話は確かにそうかもしれない、と思ってしまった
他にも没ネタがあったらお待ちしております
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