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【差別か】 獣人の砦 【平等か】

9腐れ飯:2011/05/21(土) 23:58:34

随分と五月蝿い。

首輪に振動が伝わる。

阿呆な人間共の騒々しい声が聞こえる。剣呑な叫び、荒っぽい足音。

結局、こう必死になって、最終的には自分に頼るのだ。

「馬鹿らしい」

でもまぁ、自分以外がこの砦で好き勝手してるのはあまり良い気分ではないな

暗い部屋に振動がコダマする。



================

「あかん!どっちや!」
「しまったナ…守衛ヲまいテいたラ変な場所ニきてシマッタ」
「この砦だけでもこのデカさ…さすがとしかいいようがないね」
自分たちが奥に戻っていないことは確かだ。レキテルは自分たちの走ってきた方向を思い
返す。トン丸は少しだが息をきらしている。無駄に放電をしすぎたようだ。
「外に出たところでもっと危険になる…ここは一回休むか…」
「アホかい!止まってたら捕まってまうわ!今度はあぁ簡単に牢屋ぶっこわせんとこにぶち込まれんで!」
「ところで無駄にでかいナ…なんだここハ…」
出たところは牢屋もなにもないホールだった。砦にこんな場所が必要かと考えるとそうは
思えないほど無駄に広い空間だった。天井も高く、ドーム状になっている。道もいくつか
に分かれていた。
「…おい、あれ!」
ギルが指をさす。すると階段の続く穴があり、そこから光が漏れていた。
「出口!」
「結局がむしゃらのつもりガ、間違ってはなかっタということカ。」
「ぼさっとしてるとさっきみたいのがゾロゾロ来るで!はよせな…」
トン丸が跳ねるとたった二歩でホールをよこぎり出口の前にたどり着く。
そのまま通り抜けようと首を少し階段へと突き出した瞬間

悪寒に全身を包まれた。

一瞬のことだ。しりぞく。レキテルは咄嗟の判断をしてトン丸をさすがだと思った。ホー
ルの中心に着地し、そのまま勢いで後方に2〜3歩後ずさりをする。
無意識に体に電流を流す。
「どうした!?」というギルの声に気付いたのも、その後だった。
「あれみてみぃ!!」
ギルは出口に目をやる。
なにやら壁のようなものができている。

「…ギロチンカ…」
ラルが小さく呟く、ギルは息をゴクリと音がするほどハッキリと飲んだ。
「ただじゃ逃がさないということか…」

今度は右斜め前から気配をかんじた。
ズーンズーンと重く大きな音が等間隔に聞こえる。
三人はただその方向をじっと見つめるばかりだ。しかしいつでも闘えるようにと足をじり
じりと地面とこすりあわせていた。

姿を現す。

「うお…お…おおおおおおおおおおお!!」

大きな顔。髪の毛は生えておらず、スキンヘッドだ。眉間にしわが尋常じゃないほどよっ
ており、まぶたも大きく目の半分以上を隠していた。
口もおおきく、唇が厚い。
中年以降の顔…

をした巨大な亀…


…………

「きもちわるっ!!」

レキテルは思わず叫んだ。


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