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手記に関する書評

4いのげ:2002/11/04(月) 11:47
http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/~minato/cgi-bin/bookres/20001107124517.html

(略)
隼三くんの死に際して杏林大学病院が責められる事柄の根本は,
するべきことをしなかったことだという点が,問題を複雑にしている。
もちろん,杉野さんがそれ以上に問題にしているのは,事態を隠し,
カルテをねつ造してまで責任回避をするという傲慢な態度であり,
そのままでは同種の過誤が再発するかもしれない救急医療体制の
お粗末さであって,わが国が欧米諸国と同様に科学技術を進歩させ,
高度医療や救急医療を充実させて長寿を目指すという選択をしてきたことを
考えれば,「医療は最新の知見に基づいて慎重になされ,
十分に手を尽くされねばならない」という価値観は社会の合意事項に
なっていると思うし,杉野さんの批判点には大いに同意する。
しかし,杏林側に罪の意識が薄い理由は,積極的な殺人ではなかったからだ
と思う。たぶん,社会の要請に対する自覚が薄いのだ。担当医師や救急外来医長に
この本を読ませて,正面から回答させてやったらいいんじゃないだろうかと思う一方で
,もしそれが期待できないなら,そういう体勢しか作りえていない私立の病院を
地域の救命救急センターに指定している厚生行政に問題があるんじゃないかとも思う。
(略)
話を戻せば,医療機関が情報を隠匿し,ねつ造さえするというのは時代錯誤的な発想だと思う。
積極的に自己点検をし,情報公開しながらシステムを改善した方が営業的にもプラスだと思う。
要するに,それができないような医療機関ならば,厚生省が認定を外せばいいのだ。それが
医療という文化を受け入れた社会に課せられた宿命だろう。冒頭に書いた微妙な食い違いを
埋めるようなシステム構築をしなければ,医療の未来はないと思う。病院管理学,人間工学,
医療社会学といった分野の視点が,医療制度にシステムとして取り入れられる必要があるのだろう。
例えば,救急医療での診断は最低2人の経験のある当直医によってなされるべきだとしても,
その体制が推進されるような診療報酬制度とか税制上の優遇措置がなければ,市場経済における
医療機関としては,それを推進しようという気になりにくいのではないか。

杉野さんの祈りが医療システムの改善に結びつくことを祈っている。隼三くんに合掌。


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