ボルトンによると、人類として実行可能な最もすばらしいことの1つは、惑星や恒星の周囲での航行方法を考え出すことだ。木星や土星、天王星や海王星をロボット探査機で訪れ、そこに到着するとすぐに周回軌道に乗り、まるで車でガソリンスタンドにでも行くかのように、惑星の衛星の周りを航行できるというのは、本当に驚嘆すべきことだという。ある意味、昔の船の航路を定めるのに用いられていたのと同様の方法で、今でも星を頼りに航行を行っているが、現在航行しているのは太陽系の天体の間なのだと、ボルトンは話した。
Bruce Dorminey
太陽のコロナ質量放出(CME)の様子を描いた想像図。左下は大きさ比較のための地球(Earth)(NASA/Goddard Space Flight Center/SDO)
NASAによると、2024年5月10〜11日に出現したオーロラの発光強度は2003年以降で最大であり、過去500年間で最も高かった可能性があると示唆する科学者もいる。だが、最終氷期に起きた大規模な太陽粒子嵐と比べると、その印象がほとんど霞んでしまう。史上最強の太陽現象と思われるこの太陽粒子嵐は、現代に観測された太陽嵐の約500倍強力だったのだ。
【画像】太陽活動に起因する宇宙天気現象によって影響を受ける技術やインフラ
■極端な急上昇
今から1万4000年以上前に起きたこの現象は、にわかには信じ難いものだ。学術誌Earth and Planetary Science Lettersに掲載された論文によると、仏アルプス地域での樹木年輪調査により、最終氷期末期に当たる紀元前1万2350年に、放射性炭素(14C)濃度の極端な急上昇が起きている証拠が明らかになった。
このように際立った太陽現象は、発見者である日本の研究者の名前にちなんで「三宅(Miyake)イベント」と呼ばれている。論文の共同執筆者で、オウル大教授のイリヤ・ウソーキンは「三宅イベントにより、いまだ定まっていない考古学的年代において正確な暦年の特定が可能になる」と説明している。三宅イベントから得られるC14の情報は、カナダ最東部ニューファンドランド島のバイキング集落や、ギリシャにある新石器時代の集落の正確な年代を歴史学者が特定する助けになっている。
Jamie Carter