一方、ウクライナの戦死者は24年末で4万3000人という(”43,000 troops killed in war with Russia, Zelensky says,” BBS、8December 2024)。どちらの数字も過小ではないかと言われているが、ロシアの戦死者が9.5万人、ウクライナの戦死者が4.3万人という数字が正しいとすると、ロシアの人口はウクライナの3倍だから、この比率での戦死者数が増えていけば、ウクライナはロシアに勝てない。
実際、ドイツや欧州連合(EU)は防衛費拡大のための財政赤字であれば容認するという方針に転換した。ここで、前回本欄「経済の常識 VS 政策の非常識」で述べた英独仏伊のGDP合計はロシアの2.6倍、ウクライナに援助しているヨーロッパのすべての国のGDPの合計は4.7倍という事実が生きてくる(本欄「トランプに「論語と算盤」なんて言葉はない!ゼレンスキー会談で思うこと、ヨーロッパはもっと力を尽くすべきか?」2025年3月10日)。ヨーロッパは、防衛費拡大によって自らを防衛できる。
トランプ米大統領(写真)がホワイトハウスに復帰して以来の権力行使は、18世紀に確立された米国の憲法上のチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)体制を試練にさらしている。2024年11月、大統領選のキャンペーン中だったペンシルベニア州ピッツバーグで撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
John Kruzel
トランプが縮小を決定したVOAの本部前で、トランプの決定に抗議する男性 ANDREW LEYDENーNURPHOTOーREUTERS
中国は大喜びだ。トランプ米大統領が3月14日、米政府系放送局、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)などを統括する米グローバルメディア局の機能縮小を命じる大統領令に署名した。
3月24日、 米海運業界の幹部らはトランプ大統領の国内造船業活性化計画について、中国に関連する船舶への料金徴収案に依存していることから米国の船舶運航会社、港湾、輸出業者、雇用に打撃を与え、裏目に出る可能性が高いという見解を示した。オークランド港で6日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Lisa Baertlein David Lawder
2003年のパリ航空ショーに出展されたR-73E短距離空対空ミサイル。2003年6月17日、フランス・パリ郊外ルブルジェ(Flying Camera / Shutterstock.com)
1991年にソビエト連邦が崩壊したとき、ウクライナはR-73空対空ミサイルの在庫を相当数引き継いだ。重量105kg、赤外線誘導のR-73は通常、ウクライナ空軍のMiG-29戦闘機とSu-27戦闘機から発射され、敵機のジェットエンジンが発する熱シグネチャーを追尾して最大30km先まで飛んでいく。
グレイブホークや改修型オサーなどの発射機から発射されるR-73に、改良型シーカーが搭載されているのかどうかは不明だ。とはいえ、改良型シーカーはウクライナに、少なくとも設計図としては存在する。ウクライナ軍が前線上空の防空の穴を埋めるための適応を続けるなか、それを活用していないほうが不思議だ。
David Axe
3月24日、 米海運業界の幹部らはトランプ大統領の国内造船業活性化計画について、中国に関連する船舶への料金徴収案に依存していることから米国の船舶運航会社、港湾、輸出業者、雇用に打撃を与え、裏目に出る可能性が高いという見解を示した。オークランド港で6日撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
Lisa Baertlein David Lawder