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第二汎用スレ

2305とある世界の冒険者:2018/08/02(木) 23:16:44 ID:QcW5K41c
>>2304

「否定が全くできないのが…少しばかり悔しいところだな」

何が悔しいのか、それを語りはしなかった。
ただ一つ言えることは、ヘルメスの在り様を彼自身は好ましく思ってると言うこと。

歩きながら幾人かの冒険者とすれ違い続けて抱いた結論。
このギルド、特にニクスと親しげにしている者たちは総じて、癖がつよいということ。

(なるほど、技量的に未熟であれど。たくましくなるわけだ)

同情するような呆れるような、何とも言い難い表情を浮かべながら、
三人と共に、道を抜け本部へと歩いてゆく。


そして、喧騒を潜りぬけ、目的の場所へとたどり着いた。

(これが、ニクスの師か)

「…お初にお目にかかる。キョウ・リーフィンドだ」

対面してわかったことはそう多くは無い。
だがその面構え、様相をみれば容易にわかる強者の器。
成程、これほどの規模の組織体の中で最奥に座す人物として、一切の違和感がない。

恐れは無く、気おくれも無く。だが確かな礼節を持って、彼の統括者の瞳を真っ直ぐ見つめた。

「貴方が指示していたことか、ジャックとニクスの独断かは知る由もないが。
棄てるだけだったこの身が拾われたこと、ここで改めてニクスへと共に感謝する。
受け入れてくれて、ありがとう」

そう言って、深々と頭を下げた。

2306ニクス ◆/yjHQy.odQ:2018/08/03(金) 00:39:23 ID:ekUuVSsc
「エスト、聞いているよ。ドクオ君からはここに来るであろう存在として、ではあるが、君をよろしく頼むと仰せつかっている」

「故に、師の顔を立てて精々とこき使わせていただこうと思う。期待しているよ」

各々の自己紹介を聞いて後、まずは一番近かったエストの前に立つ。
自身の顎に手を添え、少しばかりの冗談を交えた後、微笑と共に握手を交わす。
……明らかに、握手の瞬間の脱力に感じる【重さ】。
エストが聞いていれば知っているだろう。彼の体重は過密状態の血液と骨密度で200キロを超えるのだと。


「ではヘルちゃん、よろしく頼む。初対面の人間が来るとは考えていなかったが、これは僥倖と捉えるべきだろう」

「万が一獣化の兆候が出た場合、いつでも国外退去の手はずは整えてある。遠慮なく言って欲しい」

「撤退は恥でもなく、敗北でもない。今ここに君が立っていることこそが勝利と栄光を示すものだと、ネストは喜んで証明しよう」

笑顔で返しつつ、彼女に伝えるついでにと他の皆にも。
ネストの冒険者は交互に入れ代わり立ち代わり、この【ウェブ】を守るために国外から補充と交換を繰り返している。
これにより獣化を進行させないように拠点を維持している、と。
明るく、愛嬌のある彼女であるからこそ抱え込まないでほしいというリーチマンなりのエールだが。
言い方が言いたいことに特化しすぎて、含むような言い方になっているのは、彼の気質をよく物語っていると言えよう。
余談だが、リーチマンはヘルメスとの握手は体重をかけぬよう慎重に行っている。
エストに対して荒いのではなく、おそらくは女性相手だからだ。



「キョウ。私は何度か見かけたことがあるよ……バッカス以来だろうか」

「ニクスがどう君に言葉を伝えたかはわからない。だが敢えて言おう」

「気にせず、ただ君は君の戦いをしなさい。そのための助けを我々は惜しむことはしない」

「お互いの利害が一致することを願っている。今日はゆっくり休むといい」


頭を下げるキョウの肩に手を置き、簡潔に言葉を投げかけてから、離れた。
握手に感じるものは何だったろうか。
しっかりと繋いで握った指は、熱かった。


「――さて、改めて、ようこそ、【ウェブ】へ」

「ここは王都民の避難地域、及び敵性存在との戦闘における戦略拠点として機能している」

「一切の衣食住、生活のサポートは我々ネスト及びギルド連合が保証する」

「ここはあくまで戦うもののための寄り合い所だ、要請はしても強制はしない」

「自ら考え、自ら望むものへ、何をするべきか簡潔にさせるための場所と思って欲しい」

「ふむ……ヘルちゃん、君は女性でかつ魔術師だ。それも高位と見受ける」

「ゼオやジャックはこっちにはなかなか居着いてくれなくてね、魔術関連の面で協力してほしいことが間々あるのだ」

「それを加味して三層の奥の部屋を供与したい。広めの部屋で備え付けで一通りが済ませられる」

「エストとキョウには七層の一般区画の部屋を使ってもらおうと思う」

「ふむ、施設の詳しいことはこの冊子を呼んでもらえばと思うが…………」


手の中の冊子を手渡しつつ

「何か質問は? 緊急の案件があるなら今聞いておきたい」

2307とある世界の冒険者:2018/08/03(金) 21:46:34 ID:jripDoWA
>>2305,2306
「師匠から? ここに俺が来るのを見越してた……いや、可能性の一つとして考えてた程度か。こういう所は妙に抜け目ないな……。あぁ、世話になるんだ、俺の微力で良ければ存分に使ってくれ」
普段は考えるよりもとりあえず真っ直ぐ行ってぶった斬る、という脳筋……刀脳の癖に、組織だった行動をする時は打てる布石は打っておく、という二律背反な師匠に呆れつつ、苦笑を浮かべて握手に応じる。

「ちゃんとヘルちゃんと呼んで貰えるってイイね! まぁ、ここまで来たのは成り行きの部分が大半だけど、海苔の掛かったウニだし、私が納得行くまでは協力するよ。獣化したらサクッと殺して欲しいかなー。多分めっちゃ強いし、私の獣」
リーチマンの真摯で紳士な気遣いの甲斐も無く、あっけらかんと獣化したら殺せと宣う。決して自身の命を粗末に扱っているという風では無く、その対応が最善で確実であると確信している、という態度だ。
剽軽な性格とは裏腹にその辺りは随分ドライであるらしい。

「……珍しく真面目なところ悪いがな、ヘルメス。海苔の掛かったウニじゃなくて、乗りかかった船だ。なんだその美味そうなの。腹減るだろ……」

「わ、わかってるよわざとだよ! ジョークだよ!」
ヘルメスを前にして平然と自らのペースを崩すことなく、泰然としたまま普通にヘルちゃん呼びするリーチマンに戦慄を覚えつつ、流しきれずにヘルメスにツッコんでおく。


「慧眼だねぇヒルさん。うん、少なくとも衣食住の分は働かせて貰うよ。魔術のことならドンと来いさ! 錬金術にもそれなりの造詣があると自負しているし、あればそっちも回してくれても構わないよ」
魔術関連なら自分の出番、と自信たっぷりに胸を張り、ついでに錬金術もイケると付け加える。実のところ、彼女の衣装と杖は手ずから錬金術で創ったものである。

「あぁ、わかった。……緊急というわけじゃないが、俺とヘルメスから一つずつ、頼みがあるんだ」
冊子を受け取り、説明に頷くと、リーチマンに頼みがあると切り出す。

2308とある世界の冒険者:2018/08/03(金) 22:11:05 ID:RvcVe3xk
>>2306>>2307

「…気遣い、感謝する」

顔を上げ、握手に応えながら。
その言葉は、先ほどより強く、感情が込められていた。

(実力差で一切敵わぬ程劣るとは思わない、けど…敵わないな)

手から伝わるもの、彼から発せられるもの。
単純な強さではない、年月を重ね練磨された気配でもない。
゙背負うもの゙…今の自分が、手放してしまったもの。
彼がどんな気持ちでその位置にいるかは知らないが、それが決定的に違うと感じた。
ニクスとはまた違う意味で、リーチマンはキョウにとって眩しい存在だった。

「それと、失礼した。
貴方ほどの存在に当時気付かなかったとは、この身の未熟さに他ならない。
がっかりさせぬよう、明日を生きる人々を護れるよう、全力を尽くそう」

彼から自身を認識されていることは意外に他ならなかったが、
勿論それに悪感情を抱く訳もなく。
自身が知らなかったことに謝罪を述べながら、冊子を受け取る。

「特にはないが一つだけ。地上に出る際は手続きをするものなのか。
或いはどこかに言伝をすればいいのだろうか」

ギルドについたときもそうだが、この場所も自分には少しばかり辛いものがある。
拠点として利用させてもらうのは勿論のこと、ギルド側の要請にも可能な限り応えるつもりではある。
だが、あまり長期に留まるつもりはなかった。

2309 ◆/yjHQy.odQ:2018/08/03(金) 22:38:03 ID:ekUuVSsc
>>2307>>2308

「彼が今何処で何をしているかは分からない。だがこうして私が生存できている以上、彼が斃れている可能性は無いだろう」

「他のエレティコスメンバーは……ふむ、此方では把握していないが、連合内には加盟しているはずだ」

「済まないね、従来に近い受注システムの都合上、ギルド間管理は危機的状況にならないと発生しない」

「エレティコスと友好関係が持続できている、という意味でもあるが。もしかすれば、他のメンバーにも逢えるかもしれないとだけ伝えておくよ」


「あぁ、承知した。確かに君が獣化した場合、ネストの中間ランク帯では太刀打ちできそうもないな」

「その時は私が直に出向くと約束しよう。そうならないことの祈念も忘れずに……」


二人のやり取りも微笑ましく見つめているリーチマン。
――その後ろで、ニクスが胸を撫で下ろしている様子は、目についてもおかしくはないはずだ。
魔術関連の要請は必然的に二箇所に大きく絞られるという。
魔術による遺跡都市の増築。
そして出入り口の管理と防衛用の魔術の編纂、というわけだ。

「錬金術に長けるならば回復薬や医薬品の補充、精製にも手を貸してもらえるかもしれないな……」

「ふふ、困ったな。君に頼めることが多すぎて迷ってしまう」


「ふむ。聞かせて欲しい。分かる範囲で答えよう」




「ふふ、私も酒場では日々行き交う美女に目を奪われていた。謝罪には当たらない」

「私に何かを見出してもらえることは素直に嬉しいが、あまり過剰に期待をかけないでくれたまえ」

「――年甲斐もなく、応えたくなってしまうのでね」


一度だけキョウに見せた眼光は、統べる者ではなく、戦う者の眼差し。
あまり自分もおとなしい男ではないという、彼なりの謙遜であろうか。
……やっぱりニクスはホッと一息。

「基本的に自由だ。ただネストの人間には外部に出る際の目的・出動時間・装備を本部で記載させている」

「ネスト以外の協力関係の者には義務付けてはいないが、あれば此方もありがたい」

「……冊子の後半には、緊急避難や補給に使える小拠点のマップも付いている」

「中には簡易的な宿泊機能も備えたものがある。都合がつくなら、活用してくれ」


にっこりとページを捲ってみせるリーチマン。
先程のバッカスのような補給拠点は大小あれどかなりの分布数のようだ。
……注意書きの中には、火事場泥棒に感づかれた場所なども記されている。
内外に敵は少なくないというのが、これだけでも伺える。

2310とある世界の冒険者:2018/08/03(金) 23:26:21 ID:jripDoWA
>>2308,2309
「私にもキャパシティの限界があるから、お手柔らかに頼むよ。個人的にやりたいこともあるしね」
売り込んだ甲斐あって随分高く買って貰えたものだとやや苦笑を滲ませながら、一安心した様子のニクスに向けて任せておきたまえ、とウインクしておく。

「師匠が死ぬのはちょっと想像できないな……弟子の贔屓目を抜きにしても。そういう意味では心配してない」
実際のところ何度も瀕死の重傷は負っているのだが、しかし決定的なラインで踏みとどまるという異様なしぶとさがある。いつかは死ぬのは間違いないが、エストとしてはどういったシチュエーションで想像しても不思議と死がしっくり来ないのだ。


「そうか……。いや、俺の頼みは正にそれだったんだ。他のメンバーが合流してないかと思ってね。もしこれから居所がわかったり、目撃情報があれば教えて貰いたい」
仲間はいないと知って些少の落胆を見せるが、気を取り直して一礼と共に頼み込む。

「私の方のお願いだけど、『術編紙』が何枚か欲しいんだよ。できるだけすぐにだ。可能かな?」
『術編紙』とは、特殊な製法で作られた、主に魔術の研究などに用いられる用紙だ。魔力を込めたインクを用いることで、術編紙に書かれた内容を書いた本人だけが自由自在に編集できる。
文章であれば文字や文節を消したり入れ替えたり、絵や図であれば一部分を切り離して別の部分に貼り付けたりなどだ。
その性質上、魔法術式の編纂・開発や論文を書く場合などによく使われており、魔術書の原本が術編紙で作られてあることも少なくない。
製紙に手間と時間がかかるため、そこそこ貴重で高価なものだが、ここならあるのではないかと考えたのだ。

2311とある世界の冒険者:2018/08/03(金) 23:41:56 ID:RvcVe3xk
>>2309-2310

「なら、応えてもらう必要が無い程度に、奮闘させてもらうさ」

全てが全て、というわけではないのだろうが。
彼の冗談でもない冗談に、同じく冗談じみた言葉を返して見つめ返した。

「わかった、可能な限りニクスやわかる範囲のギルド員に声をかけるようにしよう」

「助かる。野営は慣れてはいるが、休める場所があることに越したことはない」

頷きながら彼と同じページを開き、今整理出来る情報を可能な限り脳に送る。
やけになっていた時にわざわざ避けていた場所もいくつか目に出来た。
次は多いに利用させてもらおうと、もう一度誰にともなく頷く。

…既に自分の動きを察せられてるような気もするが、あくまで尊重はしてくれるようだ。
先に二人に誓った通り、この巨大な輪に入れずとも彼らの為に。
ここにいる人々の為に、王都を愛した人々の為に。
地上でも暴力を振うのではなく、誰かの為になる行動を取ろうと。
゙戦ゔのではなく、゙護る゙為に在ろうと、もう一度心に誓った。

「ん、充分だ。後はおいおい自分で確認させて貰おうと思う」

2312 ◆/yjHQy.odQ:2018/08/04(土) 00:15:20 ID:QV.fXagI
>>2310>>2311

「済まないね。カイくんや一部の構成員とは共闘もしたのだが、如何せん最初期のここは戦場の前線だった」

「生命の無事は共に戦った力量から察するに保証も出来るが、今何処にいるかはまた……もしかしたら国外の連合拠点で獣化の進行を抑えているのやも知れないな」

「次回の物資搬入の際の確認事項に入れておく。目撃情報に関しても承知した、彼らには世話になった、微力だが恩を返せると思えば安いものだ」

「裏付けのない憶測を重ねたが、ここにいる以上は第二の家と思ってもらえるよう尽力しよう。改めてよろしく頼む」


「あぁ、勿論だ。君がしたいと思うだけを存分に。彼同様、よろしく頼む」

「術編紙……ふむ、寄贈品や確保した品々の中にいくつか在庫があるはずだ」

「ここにかくまった市民の中には、商品を総て寄贈してくれた商人もいる。これに関しては簡単ではあるが譲渡対象者の記載が欲しい」

ぱちん、と指を鳴らすと、屋根近くの手すりから何かが下りてくる。
鳩だ。訓練された伝書鳥の一種。
リーチマンが何かを書いて、血判(指を切らずして押すと血が滲んだ)を押した紙を足につけ、また飛ばした。

「三層の魔術品の倉庫に向かって欲しい、予め通しておいたのでスムーズに受け渡しができるだろう」

「何に使うかは不明だが、役に立つならネストとしても喜ばしい」

ニクスはヘルメスの反応に苦笑いを返す。
見られているとは思っていなかったようだ。



「戦果の報告を期待するよ。もっとも、積み上げた首級に価値を見出す君ではないだろうが、ね」

「我らもここを安定した維持にまでは漕ぎ着けたが、これから先何が起こるかは分からない」

「かつての王都を愛し、懐かしむ者同士。ここに何が出来るかを解い続けるのは避け得ぬ命題だろう」

「お互い、悩んでいこう。いずれまた、隣で語り合うその日まで」


分かっているのか、と、もし問えば、笑って誤魔化すだろう。
彼はそういう人物であり、キョウがどうするかに関してもただ見守るに留めるつもりらしい。


「それと、個人的な案件だが」

「ニクスが世話になったようだ。師らしいことも出来ぬ身だが、礼を言わせて欲しい」

「ありがとう」

2313とある世界の冒険者:2018/08/04(土) 00:56:05 ID:qM2xtVG.
>>2311,2312
「今回は戦わずに無事に終わったけど、これからは共闘することもあるだろう。改めてよろしくな、キョウ」
隣に立つキョウに視線をやり、笑みを浮かべて言う。


「あぁ、ありがとう。よろしく頼むよ。仲間が見付かれば戦力にもなるし、友人としても心配だ。……師匠に関しては、多分熱心に探さなくても問題ないと思う。またどっかで派手に暗躍してるんだろうさ」
快く引き受けてくれたリーチマンに礼を述べ、肩を竦めて矛盾した言い様で師を揶揄する。


「手持ちのが尽きててねー。ここに有って良かった、助かるよ。三層だね、了解だよ、ありがとう。……まぁ、ちょっと開発しておきたい魔術と物があるんだ。術編紙が無くても作れるけど、作業のスピードがかなり遅くなるからね。完成すればネストにとっても役に立つと思うよ」
貰った冊子で詳細な場所の確認をしつつ礼を言い、自信有りげに眼鏡をキラリと光らせる。


「何の魔術を作るつもりなんだ?」

「んっふっふー……今は秘密だよ! 自信はあるけど絶対に出来るとは限らないから、期待を外してしまうかもしれないしね。完成してからのお楽しみさ」

「そうか……まぁ、ヘルメスがこの状況で優先するなら必要なものなんだろうな。楽しみにしてる。精々俺達を驚かせてくれよ」

「プレッシャーかけるの上手いなぁエストくん……!」
エストとリーチマンの期待と信用に流石のヘルメスも重圧を感じて冷や汗を流し、失敗できないなぁと笑う。

2314とある世界の冒険者:2018/08/04(土) 01:24:08 ID:Rj1W9qjE
>>2312-2313

その日…彼自身決して軽く言った言葉ではないのだろう。
それでもその言葉は、キョウにはあまりに遠い言葉だった。
明日へと生きる人の為に命をつかうと誓いはすれど。
その明日に、自分はいないのだから。
いずれではなくいつか…果たして、そんなものはあるんだろうか。

「そうだな。…あんたの隣で語れるほどの器になれるかは、わからないが」

゙あなだではなぐあんだ。
一見すればやり取りに慣れて思わず砕けた物言いになったようにしか見えないだろう。
けれどもキョウにとって、取り繕う必要のないと判断できたもの。
かしこまったフリをせずとも、身綺麗にせずとも伝わると思ったが故の警戒の解除。
彼にとって、それは最大の敬意だった。

「…世話になったのも、冷えた心に熱をくれたのも。いつかの声を思い出させてくれたのも彼の方だ」

一度ニクスの方をちらりと見て。

「まだまだ伸び代はある…なんてこと俺が言うまでもなくわかってるんだろうが。
それでも既に、彼は誇られるべき人だと、俺は思う」

「だから俺は、ここに来たんだ」

彼のような人こそ、きっと生き残るべきだと。
今自分がここにいることこそが、彼の゙強ざが生んだものだと。
直接言葉にはせず、そう彼の師に返した。


「ああ、その時は頼りにしてくれ。俺も頼りにさせて貰う。
勿論、ヘルメスも」

一つ頷きで返し、互いを助ける約束を交わす。


キョウはニクスとジャックに出逢った瞬間から、一度として笑みをその顔に浮かべていない。
それでも身に纏う少し暗いながらも柔らかい空気に、まだ短い付き合いでも伝わる者には伝わるだろう。
今の彼は、きっと笑っているんだろうと。

「話が以上なら、俺は指定してもらった通り七層に向かおうと思うのだが」


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