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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

942『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/06/27(月) 01:49:33
>>936(ロンパリ)

全身に突き刺さる、『蟻』の無数の牙。
その激痛を振り切るようにして、ロンパリは駈け出した。
皮膚が破れ、肉が穿たれ、藻屑と化した血管から血が噴き出す。
痛みを痛みとも思わず、ロンパリが目指すのは、
『天使』のラッパの方向──教会入り口前だ。
音は間違いなく、その上空から聞こえてくる。

だが──

        ゾ! ゾゾゾゾゾ!!ゾゾゾ!

入り口前にたむろしていた『赤い絨毯』、
血から生まれた『蟻』の大群は、いち早く反応した。
激痛に苛まれながら足を動かすロンパリの前に広がり、
その行く手を阻む──

逃げ出す隙を与えず、第二の波がロンパリを包み、
さらなる牙を撃ち込んだ。

         ザグ!ザグ! ザグ! ザグ!

両足の腱が断ち切られ、どうと転がるロンパリ。
芝生にまき散らされる鮮血。
全身の肉が骨から千切られ、ミンチ状にされていくイメージ。

その間にも無慈悲な『ラッパ』は、
ロンパリの上空で高らかに響き渡り──

数秒の後、そこに残されたのは、
肉の衣に包まれた、白い『骸骨』のみであった。



                 ロンパリ(マンティコア)──『死亡』


>>939(ウィル)

ルンクス:
「・・・・『ダイヤモンド』が『割れた』ナ」

ぐったりと身を委ねた若い女体を、
聖なる書物の枚葉で拭きながら、黒人は呟く。

「日本からシンガポールへ──
 『イル・ソン・パティ』なり何なりの能力で突き止めたにせよ、
 『脚』がなけりゃあ、『追いつく』ことは出来ない。
 『どこでもドア』でも持ってるなら別だが、
 もしそうなら、昨日のうちにオレを襲撃してるはずだ。
 残された時間が多くないことは、
 ウィル、おまえが体で理解してるはずダ」

「つーまり・・・・『ヤング・ダイヤモンド』の誰かが、
 おまえらを手引きしたってワケだ。
 オレを牽制する為・・・・あわよくば倒させる為、カ?」

「まァ、いいサ。
 そろそろ『窮屈』だったからなァ・・・・
 オレの野望は、『ヨハネスブルグ』に収まらない。
 この自慢の『一物』が、並の下着を拒むようになァ」

                        ブル ン !

いまだ雄々しく屹立したそれを、
大きな角でこしらえた『』ペニスケースに収めると、

             ニカ!

「──オレはこの星を統べる『雄』だ。
 日本を訪れたことで、それは確信に変わった。
 『ヨハネスブルグ』という隠れ蓑も、もはや不要よ」

「ウィル・・・・
 おまえは、そんな『雄』に選ばれた『花嫁』だ。
 おまえがここに来たのも、『運命』だな。

 ・・・・予告してやるゼ。
 おまえは、この教会から一歩も出ることなく、
 オレを『夫』として、受け入れることになるだろウ」

ウィルに向けた顔は笑っているが、目は笑っていない。
大言壮語の極みに思われる数々の台詞のどれ一つとて、
彼にとっては当然の『運命』であり、寸毫の懸念もない──
その場にいる誰もが、それを感じ取れる、そんな表情だった。

高遠がごく小さな声で、菊川から得た情報を伝えてくれる。

          ──ズクン!

ウィルは自身を『嫁アレルギー』に変える。
反応は──『2つ』。
先刻潜った扉の向う、即ち教会の外に二つ──
ただ、それだけだ。

半径『20m』、教会をすっぽりと覆う範囲内に、
ウィル自身を除いては、『嫁』は『一人もいない』。


   ゴ ゴ  ゴ  
                  ゴ    ゴ  ゴ


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