したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

754『ヴァージンロード・クルセイダーズ』:2016/02/24(水) 01:02:52
>>749(エイノー)
スヴァルト:
「『滑走路』は使うが、空港に着くとは限らん。
 無論、シンガポールに直接乗り入れるわけもない。
 手順は道中でブリーフィングされるが、
 余計な心配は無用だ、『プロフェッサー』。
 
 オレが届けると約束した以上、
 傷の一つもつけず、必ず届けてみせる。
 その後でどうなろうが、それはお前たち次第だがな」

エイノーはタラップの前に立ち、旅客機を見上げる。
小型とはいえ、ジェットエンジンを備えたそれは、
十分な威容と迫力を伴い、賓客の乗船を待っている。
コクピットには、すでに黒人のパイロットの姿も伺えた。

後は、二階に足を運ぶ程度の労力で、
彼らは日本を離れ、海を越えた戦場へと翔ぶことになる。

>>750(高遠)
【殺し屋】のセージ、そして【護り屋】の新妻の二人は
確かに、その場に姿が見えなかった。

服装こそ男性のものだが、
一目見たウィルの感想は、明らかに『男装の麗人』だ。
面識がない高遠にとって、男性であるウィルは想像し難い。

「・・・・『潜伏場所』? それは知らん。
 奴はシンガポールで『潜伏』なぞしてないからな」

スヴァルトは意味深な口調で高遠の質問に応じた。

「だが、奴の『予定』はすでに調査済みだ。
 奴を追い詰められるには絶好の場所だ。
 気にくわなければ、何処で襲おうがオレは構わんが、な」

>>751(ウィル)
集まったスタンド使い達に頭を下げるウィル。
老弱男女、大から小まで様々な人間模様が、
空港のコンクリートに怪物のような影を伸ばしている。

「初めまして。『浜岡 頼子』です。
 【護り屋】で隊長を努めております」

すまし顔で握手を求めてきたのは、
背の低い中年女だ。メイド服を着ているが、
小太りのその様子は、女中という表現が正しく思われる。

「うんうん、あんたはいい男だね。
 あたしにはわかるよ。
 これでこそ護り甲斐があるってもんさ」

従順な表情から一転、浜岡は人を食った笑みを浮かべる。

「結局来ちまッたんだな、『台場ウィリアム』。
 賢い選択じャあない・・・・だが、
 おまえさんは来る予感があッた。
 その勇気に敬意を表して、この『エルガマル』からアドバイスだ」

奇妙な髭を風に泳がせながら、
エルガマルはウィルに片目を閉じて見せる。

「短所は長所の裏返しだ。
 どんなにヤバくなッても、生き抜くことを考えな。
 頭はクールに、指先は慎重に。
 それが『ガンスリンガー』の心意気だ・・・・憶えとけヨ」

>>752(井上)
並んだ面々の自信に感化されたのか。
井上の中の怯懦は雪のように解け去った。

戦士の表情でタラップを踏み、旅客機に乗り込む。
その後を追うのは【殺し屋】の『ナツメグ』だ。
ウィルに挨拶もせず、感慨の一つもなく、
タラップを盛大に揺らしながら登ってくる。

「──さっさと終わらせて、
 『チキンライス』でも食っていくか」

旅客機の屋根にまたがった『ハッピー・オルガン』に、
乱杭歯を剥き出しにして笑いかけた。

>>753(ロンパリ)

スヴァルト:
「・・・・・・・・・・・・何だ、この『ゴミ』は?」

歯に衣を一切着せず、
あまつさえロンパリではなくエルガマルを見ながら、
スヴァルトは率直な感想を吐き出す。

「オレがそうしていいなら、
 この場でこいつを引き裂いて、
 牛か豚を一匹、座席に突っ込むがね。
 その方がまだしも役に立つんじゃないか?」

「・・・・さて、ねえ。
 オレが一つだけ言えるとすれば、
 『可能性』ッてのは、あきらめねェ奴しか掴めねェッてことだ。
 こいつばかりは、牛や豚にャ期待できねェ」

両手を広げるエルガマルに、
スヴァルトは改めて、ロンパリに視線を注いだ。

「質問か・・・・いいだろう。
 おまえが生きてここに戻って来れたなら、
 三つ、質問に答えてやろう。
 本物の『戦士』と認めた上でな」


ひりつくようなエンジン音が、ロンパリの耳に蘇った。
今夜は風が強い──
何処から飛んだか、草の葉交じりのそれが、
スタンド使いの背を押し、満天の星まで駆け抜けていく。

出発の時が、近づいている。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板