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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

628小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2015/11/11(水) 12:43:51
>>623(GM)
>>624(エイノー)

ルルル・・・・
                     ──『NO』

小角としても、フライスと会話を続けている場合ではない。
つまり、もっと、調査を――

(……い、入り口はあるはずだ! 拠点からそう遠くない位置に!
 そうでなくとも、きょ、拠点の範囲は絞れているんだ……
 しかし、考えなくては……よりウィルくんたちがたどり着きやすく――)

                 ────ゴ !!

「――うわっ!?」

突然の、凄まじい風。
さらには、スヴァルトの蹴り。

「な」

      「何だと……」

      ・・・・状況はどんどん悪化している。

(まずい。このままでは……愛川さんが……
 い、いやそれだけじゃあない。みんなだ、みんな死ぬ。)

(こいつらを倒す……そ、そんなこと、できるのか?
 わたしは戦力外、ほかのみんなは大けがだ。向こうは二人とも無傷……まだ、あと何人来るかもわからない……)

ではどうすればいいか。それはフライスが言っている。
小角を――『イル・ソン・パティ』を差し出せばいい。

「……! よ、よせっ、エイノー先生!
 とっ、とてもじゃあないが勝てるとは思えない! よすんだ!!」

エイノーの攻撃行動は、無理やり引っつかんででも止める。

ここまで来て死なれてたまるか。
それどころか、もし愛川や紫まで攻撃でもされたら、最悪以上だ。

         ・・・・状況はヨハネス側に完全に傾いている。

「…………い、今敗けているのは……事実として認めるしかない。
 われわれにできるのは……ど、どれだけ被害を小さくするか……それだけだろう。」

(……つまり、わ、わたしが……やつらの軍門に、下るしか! …………それしか、もう、ない……みんなが生き残るには……)

           (いやだ! みんなが死ぬのもいやだ! 絶対に! でも、どうすればいい……!?)

「…………ど、どうしても……どうしてもわたしの身柄がいるのか……? ほ、他になにか、み、見逃してくれる方法は……?」

話しかける相手はフライスだ。
スヴァルトには何を言っても無駄だろう。

……小角には、自分から身を進んで差し出せるほどの勇気はない。

勇者ならばそうするのだろうか?
だが、小角は探偵だ。探偵を目指す意志だ。

(我が身を優先するのは……愚かだろうか? 情けないだろうか?
 それでも……こ、こいつらの軍門に下るのは、死ぬのは、い、いやだ……!)

だから『交渉』を持ちかける。
勇者ではないからこそ、『悪』に交渉を持ちかける。

どう考えても交渉の余地は無いように思えるが……大人しく身を捧げるよりは、意味がある。


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