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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

611紫 斜六『アームチェア・トラベラーズ』:2015/11/10(火) 00:37:46
>>608

迷わず靴と靴下を脱ぐ。脱ぐのに手間取るようなら口も使ってやれ。
……人の足の指と言うのは、存外器用だ。手ほど器用ではないにせよ、包帯づくりの補助ぐらいはできる。
要するに、『抑える手』と『引き裂く手』があればいいわけだからだ。口も似たような用途に使える。
多少不格好でも、どうにか応急手当てを進めよう。出来る限りはしなければならない。

      「ええっ、まったく、その通りっ!」

そして手当を進めながら、声だけで『フライス』に応じる。
そちらも、答えねばなるまい。

      「私たちは」「『向かう意志』です」

      「私が今日死なない保証なんてどこにもない!
       ウィルという方が、『花嫁』になってしまわない保証などどこにもない!」

      「けれど、私たちは真実へと検討をつけて向かい続ける。
       向かっているのだから、いつかは辿り着く。
       例え私が死んだとしても、もしも全てが間に合わなかったとしても!」

      「私の足跡は誰かが見つけ、押し広げて行くでしょう。
       かつて大海原を進み、海図を広げていった『大航海時代』の船乗りたちのように。
       そうしていつかは必ず辿りつく。闇を照らす『真実』に。
       だって、人類の時間は限りなく無限に近いのですから」

かつて、人は地球が丸いと考えた。かつて、人は地球が丸いと証明した。
かつて、人は空を飛びたいと考えた。かつて、人は飛行機を発明した。
かつて、人は月に焦がれた。かつて、人は月に到達した。
どれもこれも、『人の意志』と『人の行い』が幾重にも積み重なって成り立った出来事だ。

      「『全ての道がローマに通ずる』として、
       誰かが道を拓き示さないことには誰もローマにたどり着けない!
       自覚的にせよ無自覚的にせよ、その役割を担うのが我ら『名探偵』なのです」

だから常に問い続けよう。
無意味な問いなどどこにもない。
問い続けることに意味がある。問いを重ねることに意味がある。

      「私はもう、この件に関わりました。――――そのもっと前に、『小角宝梦』も。
       だから本当のことを言えば、もう遅いんですよ、『Mr.フライス』。
       私か、彼女か、他の誰かが、貴方たちを追いつめてしまうでしょうから」

紫斜六は――――そういう、『赤い夢』を見ている。


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