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【ミ】『黄金町の夕闇』 その2

342アウレア・グラウコーピデ『ラヴ・ランゲージ』:2015/06/23(火) 21:01:37
>>340
「あ、」

間の抜けた声が、口から洩れた。
これは……何だ? いや、想定していたはずだ。
想定した上で、対策していたはずだ。
懐に手を入れた上で何かしらの攻撃をすれば誤射が起きかねないから、
だから懐に手を入れる前に攻撃を仕掛け……それは成功したはずなのに。
掌底のダメージで蹲る男を連れ出し、事情を聴いて、それを解決する、そういうつもりだったのに。

「な、」

何で、こんな結果になっている?

(――――いや、まだだ! 『ラヴ・ランゲージ』の能力ならまだ終わりじゃない!
 傷口を『黄金化』すれば出血は押さえられるし、心臓の鼓動だって『黄金操作』で……、)

そう考え、『ラヴ・ランゲージ』の腕を伸ばし……思う。
まだ朦朧としていても意識があるなら、『本能』で『黄金操作』の仕組みを理解して、自己の修復ができるだろう。
だが、意識がなければ、止血はできるが衝撃で心臓が止まっていたら、そのまま死ぬしかない。
それに。
                  、、、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、、 、、 、、
……もし『黄金化』してみて、アウレアがその『黄金』を動かせてしまったら?
死んだ人間は生き返らない。『黄金化』してみて、その事実をはっきりさせてしまえば。

(わ、わたしのせい? これは……わたしが、殺した?)

男が怪我をしない程度に手加減をした掌底による、まさかの暴発。
想定しろという方が酷かもしれない。不運、と言っていいのかもしれない。
そもそも拳銃を持っていた男が悪いのだし、『事故』と言うこともできる。

だが。

その程度で納得できる程度の強度の『覚悟』だったら、
アウレアはとっくのとうに人殺しになっている。あの『ラフメイカー』を追い詰めたその時に。

(本当に、不運だったのか? 胸元への掌底じゃなく、両腕を攻撃していれば。
 それから改めて『黄金化』を施していれば安全に無力化できたんじゃないか?
 そもそもウィルに頼んでヴェノムを早めに帰還させてもらっていれば、
 わたしがいちいち動かずとも『針弾』で相手を麻痺させることができたんじゃないか?
 …………この人が、死ななくたって良い選択肢は、いくらでもあったんじゃないか?)

そして、罪を認めたとしても、アウレアに救いの道はない。
スタンド使いは裁かれない。
しかも、アウレアはお誂え向きに男本人からはともかく観衆からは疑われない言動を心がけていた。
ここでアウレアが『自分がこの男を殺した』と言っても、観衆は信じないだろう。
むしろ、目の前で起きた男の死に錯乱し、見当違いな罪悪感を抱えた薄幸の少女、くらいに思うかもしれない。
それが救いのなさだ。
アウレアには、自らが犯した罪を清算する機会すら与えられない。
たとえそれが、拳銃なんてものを使って他人を害そうとしていた悪党の死だとしても。

『人殺しの咎』を負ったクズが、『ウィルと一緒の世界』にいて良いはずがない。

「う、うう、うあ、あああ」

よろめく。
精神の根幹を形作っていた『何か』が、音を立てて崩れる感覚。
『ラヴ・ランゲージ』の像の維持すら覚束なくなるほどの衝撃が、アウレアを襲う。


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