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【ファンキル】SSスレPart3

853キル姫アルマスは改造人間である:2021/11/21(日) 00:38:30
地面に倒れ伏すマスターの目に最初に映ったのは保健室で馴染みの白衣。そして走るたびに激しく乱れるグレーの長髪。

「ティターニア先生!」
「ちょっと……どうして!」

 がばりとティターニア先生は傷だらけのアルマスを抱えた。当然、ガ・ジャルグの攻撃を代わりに受けることになる。

「うっ……」
「わたしを離して早く逃げて! このままじゃあなたが!」
「ううっ……! できません! 私の仕事はケガした子を助けることだから……!」

 ショックで気絶しかねないほどの苦痛に顔を歪ませるティターニア先生。
自分に構わず逃げるよう訴えるアルマス。
毅然とそれを断るティターニア先生。
上空から鎗を掲げ強襲をかけるガ・ジャルグ。
 マスターの目にはそれらの全てがスローに映っていた。そんな中で思考だけは明快に回る。

(こんなのダメだ)

 ティターニア先生の白衣が自分とアルマスの血で赤黒く染まっていく。

(こんなことで終わってしまうなんて絶対にダメなんだ)

 せめて自分が何かできるなら!

「アルマス……僕が君の痛みになれたら……」

 その苦痛、不調の一端でも自分が肩代わりできるなら!
 ガ・ジャルグの鎗と重なり合ったアルマスとティターニア先生が刹那の後に衝突する。マスターは惨劇から目を逸らさずただ強く願った。
 その時である。
 その時、ふしぎなことが起こった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 地面が爆発し粉塵と土塊が辺り一面に飛び散った。
 その爆心地にいたはずのアルマスとティターニア先生はひとたまりもない。そのはずだった。

「やって……ない!」

 もうもうと立ち込めていた粉塵がかき消える。ガ・ジャルグの羽ばたきによる内側からの風圧で弾け飛んだのだ。

「どこに……」

 直撃の衝撃により校庭に空いたクレーター。その中心にいるガ・ジャルグは「はっ」と顔を上げる。
 マスターも釣られて空を見た。

「なんだ! 何が起きている!?」

 パラケルススの声。彼女も気づいたのだ。

「……あれは」

 アルマスがティターニア先生を抱えたまま空へ飛びあがっていた。ガ・ジャルグが落下してくるより先に高くジャンプすることですれ違い気味に回避したのだ。
 どこにそんな体力が残っていたのかはわからないがそこは理屈付けできる。
 しかし、抱えられたティターニア先生が光の粒子に分解され消えていくのはどういうわけだ?

「遅いかな……今ごろになって言うのは」

 完全に消滅したティターニア先生。その名残を追い求めるように空に手を伸ばしながらアルマスが呟く。
 風が吹いてきた。


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