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【ファンキル】SSスレ

1ゆるりと管理人:2019/07/21(日) 01:13:38

ファンキルの二次創作SSを投稿するスレです。

・18禁の内容はNGです
・原作のキャラクター性を著しく損ねる内容はご遠慮下さい、
また損ねている可能性がある場合は注意書き等でご配慮下さい
・複数レスに跨る場合は投稿者名(いわゆるコテハン)を利用しましょう
・投稿に対する暴言は規制対象になります
・ダモクレスばかり登場させるのは控えましょう

※物は試しのスレなので需要が無く過疎った場合は放置でOKです

710EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 16:59:18

ふとしたとき思い返す。

かつて、肩を並べて共に戦った彼女との記憶。

初めはナディア姫をケイオスリオンから取り戻すまでの協力関係だった。

彼女はお人好しだ。

他国の斬ル姫である私を信用し、自国を襲った斬ル姫にも迷い無く手を差し伸べる。

そんな彼女に希望を見いだした。

彼女の考え方こそが、本当の意味での平等社会を実現できるかもしれないと。

斬ル姫もイミテーションも、皆、平等に生きられる世界。

国の命令に反し、彼女と共に戦うことを選んだ。

それがトレイセーマの為になると、そう信じていたから。

しかし、私の想いが届くことはなかった。

トレイセーマに戻った私に待っていたのは、思想矯正施設エドゥーによる再教育。

識別系統B・02となり果てた私は、背中を預け合った戦友を騙し、

背後から斬りつけた。

彼女は、私のことを信じきっていた。

自国の斬ル姫ではない私のことを信じてくれていたのに。

私が彼女の信頼を踏みにじった。

今ここに居る私は、ただの抜け殻。

かつての誇り高き騎士、アロンダイト・獣刻・ユニコーンはもういない。

711EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:00:04

「ふっ……!」

トレイセーマの首都グライヒハイツより少し離れた所にある森。

そこが私の修行場所。

今日もまた、雑念を払うように剣を振るっていた。

「…………」

静かに呼吸を整え、剣を鞘に納める。

「アナタも懲りませんね、梓弓」

「……気づいていましたか」

木々の間から梓弓が姿を現す。

「こうも連日会っていたら、嫌でも分かります。何の用ですか?」

「アナタに会いに」

「冗談は結構です。またはぐらかすつもりですか?」

「用件を言えば、アナタは断るでしょうから」

最近はいつもこうだ。

私の行く先々で梓弓に会い、何をするでもなく別れる。

少しウンザリしていた。

「前向きに検討すると言えば、その用件を教えて貰えませんか?」

「引き受けては貰えないのですか?」

「……それは了承しかねます」

内容も聞かずに頼み事を請け負うことはできない。

断るのが目に見えているというなら尚更。

「……これ以上良い返事は、引き出せそうにありませんね」

だが、梓弓は観念したようだ。

「アロンダイト、もう一度トレイセーマの騎士となるつもりはありませんか?」

正直に言えば、こうなるような気はしていた。

今の私は騎士じゃない。

「私は、もう二度と騎士を名乗るつもりはありません」

「その資格が、私にはない」

「まだ気に掛けているのですか……?」

忘れられる訳がない。

「アルマス・妖精結合・ティターニアのことを」

あの時の後悔が、今も私を縛り付けているのだから。

712EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:00:51

「かつてのトレイセーマは、平等という名の絶対的支配を強いる国でした」

多種族間での諍いを避ける為に、規律を逸する者に厳しい罰を与えた。

国の意向に反する者には、思想矯正施設エドゥーで心の自由を奪った。

トレイセーマに仇なす存在は、オーダーキラーズが全て始末した。

「上辺だけの平等社会、平和という名の鎖が皆の自由を奪っていた」

「梓弓、アナタは今のトレイセーマをどう思いますか?」

梓弓は少し考えたようだが、答えるまでにそう時間はかからなかった。

「……トレイセーマは変わりました。様々な種族の良いところを尊重しあう、本当の意味での平等社会に」

「私も同意見です」

今のトレイセーマには思想矯正施設エドゥーもオーダーキラーズの暗躍もない。

「トレイセーマが理想社会を実現した今、もう私の役目はないんです」

梓弓は何か言いたげだったが、その言葉を飲み込み控えめに微笑んだ。

「それでも鍛錬は欠かさないのですね」

「……ただの習慣です」

剣を未だに振るうのは、何かに没頭していないと余計なことを考えてしまうからだ。

これは現実逃避だ。

私の嘘は、梓弓に見抜かれていたのかもしれない。

控えめに笑った彼女の目に、悲しみの色が混じっていた。

ーーーーーー

ーーー

「……梓弓、いつまでついてくるのですか?」

「帰り道が同じだけです」

梓弓は目を逸らしてサラッと答えた。

……もしかすると私は心配されているのかもしれない。

「……いつもより街が騒々しいですね」

「気にする必要はありません、早く戻りましょう」

梓弓のその発言に何か含むものを感じた。

「あーっ!アロンダイト!」

「!!」

数ヶ月ぶりに聞く、懐かしい声に心を揺さぶられる。

振り返るとそこには、私が裏切り傷つけた斬ル姫

「久し振りね」

アルマス・妖精結合・ティターニアがいた。

713EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:01:44

「アル、マス……?どうしてトレイセーマに?」

「えっと説明すると、ギルが外交官になってるんだけど今日はトレイセーマの会談で外交官として今日行くに当たって1人だと危ないから護衛として私とティニが同行するようにオベロン様に頼まれて普段はモラベガが付き添いなんだけど…」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「どうしたの?」

「端的に言ってください」

「言ってるでしょ!」

アルマスは相変わらず口下手だった。

ーーーーーー

ーーー

梓弓の協力で、アルマスの言いたいことを何とか理解することができた。

街がざわついていたのは、ティルヘルムからの使者が来るとの噂が流れていたからみたいだ。

「つまり、アルマス。アナタはギルの護衛でトレイセーマに来たのに、迷子になってしまったということですね」

「ギルとティニが迷子になったの」

「……変な所で強情ですね」

意地っ張りなアルマスに梓弓は呆れている。

「アルマス、護衛なら早く合流した方がいいのでは?」

「え?」

梓弓の提案に、間抜けな声を漏らしてしまう。

確かに、アルマスは早くギルと合流すべきだ。

でも、

「ん……、そうね。名残惜しいけどティニ達が心配だし、そろそろ…」

「ま、待ってください!」

まだ、伝えたいことを言えてない。

気がつけばアルマスの腕を掴んで、引き止めていた。

「私がギルに手を上げ、アナタを騙し、傷つけたことを謝罪させてください」

「良いわよ、そんなこと。ギルももう気にしてないわ」

……そんなこと?

「何を言ってるんですか?私はアナタを裏切ったんですよ…!?」

「エドゥーで再教育されてたから、でしょ。そんなのは裏切った内に入らないわ」

そんなの。

あの日の出来事に対するアルマスの考え方に、温度差を感じた。

ーーーダメだ。

アルマスは気にしないと言ってくれている。

だから、これだけは尋ねてはならない。

「アルマス、あなたは……」

聞けば、きっと後悔する。

そんな予感があった。

ーーーあったのに

「私に裏切られたことを、どう思っているのですか?」

止められなかった。

714EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:02:22

私は、戦友に裏切られたらきっと許すことはできない。

洗脳されていたという理由があるならまだ分かるが、それでも「そんなこと」の一言で片付けられない。

「私は……」

アルマスが視線を逸らして言い淀む。

それでも、意を決したのか、私に目を合わせてハッキリと告げた。

「私が至らないばかりに、アナタにつまらない負い目を感じさせた」

「アナタにあんな真似をさせたこと、後悔してる」

アルマスの表情は真剣そのもので、

それが彼女の本心だということは疑いようがなかった。

「…………」

「……ちょっと辛気臭い話になったわね。ティニ達が待ってるから、もう行くわ」

ギル達と合流する為に、アルマスはその場を去っていった。

再び呼び止めることはできなかった。

ーーー私が至らないばかりに、アナタにつまらない負い目を感じさせた。

アルマスが至らない?

そんな訳がない。本気で言ってるなら、それはただの傲慢だ。

ーーーアナタにあんな真似をさせたこと、後悔してる。

私が裏切ったのは、私の心が弱かったからだ。

アルマスが後悔するようなことじゃない。

そう、本来なら。

「…………滑稽、ですね」

温度差の正体。

アルマスにとって私は、戦友、ではなく。

もう、護られる側の人間だった。

715EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:02:59

その夜は、トレイセーマの宿で寝泊まりすることになった。

ベッドに寝転び、考え事にふける。

ーーー私に裏切られたことを、どう思っているのですか?

問い掛けに答えた時の、アロンダイトの表情を未だに忘れられない。

「…………アロンダイト」

私にとって、アロンダイトは……

「アルマス、お客さんが来ましたよ」

ティニに呼ばれ、思考を打ち切る。

「私に?」

扉を開けると、そこにいたのは意外な客人だった。

「……梓弓?」

716EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:04:06

夢を見た。

かつての記憶。

アルマスと共にケイオスリオンへ向かい、

ハルモニアへ同行し、

またケイオスリオンに戻って。

そして、トレイセーマで再会した。

ギルに手を上げ、アルマスを騙し、傷つけた。

717EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:04:40

「…………」

最悪の目覚め。

雑念を払う必要がある。

今日も剣を振るうべく、修業場所へ向かう。

修業場所には、既に誰かがいた。

また梓弓かと思ったが、違う。

「アルマス……?どうして、アナタが……」

よく見るとティターニアやギルも傍に控えていた。

「……アロンダイト、アナタに決闘を申し込む」

突然の申し出に思考が固まる。

「アルマス、何言ってんだ!?」

「ギル、大切なことなの。黙って見てて」

ギルが慌てた様子でアルマスを諌めるが、彼女の決意は固い。

「……私達が戦う理由なんてない筈です」

「私にはある。勝負に乗れないなら、もう剣は捨ててしまいなさい」

「言ってくれますね」

斬ル姫にとって、武器は自分自身だ。捨てられる訳がない。

「何のつもりかは知りませんが、そんな挑発には……」

「逃げるの?まぁ、仕方ないわね」

「ーーーアナタはもう騎士じゃないんだから」

その言葉に、胸が強く痛んだ。

「アルマス、アナタには関係ないことです」

「本気で言ってるの?」

「……えぇ」

アルマスは唇を噛み締める。

「もう、いい」

718EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:05:24

「ーーー構えないなら、こっちからいくわ」

次の瞬間、アルマスの手元に剣が顕現され、

「!!」

私はアルマスの剣戟を自身の剣で捌ききった。

「アルマス!何を!?」

「アナタが分からず屋だからよ!」

再び斬りかかってくるアルマスに、真っ向から剣を振るい、鍔迫り合う。

「……この程度なの?昔のアナタはもっと強かった!」

アルマスに少しずつ押されていく。

力比べではアルマスに分があるようだ。しかし、

「それは、勘違いです!」

アルマスの剣を受け流し、がら空きの背中に蹴りを見舞う。

ーーー速さは私の方が上だ。

そう考えた刹那。

「甘い!」

アルマスは蹴り飛ばされた不安定な姿勢のまま、手をかざし氷弾を放ってきた。

身を捻り、氷弾をかわすが

「はあああ!!!」

体勢を立て直したアルマスに、大上段から剣が振るわれた。

「ぐっ……!」

咄嗟に飛び退き、事なきを得る。

不倒不屈の剣、それがアルマス。

彼女の眼は真っ直ぐ私を捉えていた。

「もう一度言うわ。アロンダイト、今のアナタは理想を追ってた頃のアナタより遥かに弱い」

「剣を交えた今ならわかる。どれだけ腕を上げようと、アナタの剣には心が伴ってない」

719EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:06:50

「アロンダイト、平等社会の実現はどうしたの?」

それは、かつて自分が思い描いていた夢。

しかし

「実現、したんです……」

今のトレイセーマに暗い陰はない。

「トレイセーマは、斬ル姫も常人も、皆が平等に生きられる国になりました」

本当の意味での理想社会になったのだと、心の底から信じている。

「夢は、叶ったんです……」

だから後悔なんて、ない。

だけど、アルマスは納得しなかった。

「夢が叶ったっていうなら、どうしてそんな辛そうにしてるのよ!」

「それは……」

「確かに平等社会は実現したのかもしれない。でも、それがどれだけ脆いものなのか知らないアナタじゃない筈よ……!」

「この平和を誰かが守っていかないといけない!そうでしょ!?」

そんなこと、分かってる。

「……でも、私にはその資格がないんです」

「私が、アナタを裏切ったあの日から」

仲間を裏切る人間が、国を護る者として必要とされることは決してない。

それが、私が騎士をやめた理由。

「この……絶バカ!」

「ティニ、アロンダイトの目を覚まさせるわ!一気に畳み掛ける!」

アルマスの背中から、蝶のような形をした蒼い翼が形成される。

これが、アルマスの本気。

「ーーー行くわよ、アロンダイト」

「!!」

声をかけられた次の瞬間には、目の前に剣を振りかぶっているアルマスがいた。

ーーー速い!

「ぐ……!」

彼女の一撃を剣で受け止めるが、踏ん張りがきかず吹き飛ばされる。

追撃を逃れる為に、すぐさま受け身をとるが、

「遅い」

背後から掛けられた声に、全身が総毛立つ。

ーーー間に合わない!

振り向くこともせず、そのまま前方へ跳ぶ。

先程まで自分がいたその場所は、アルマスに切り払われていた。

720EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:07:27

「ハァっ……!ハァ……!」

力比べでは彼女に分がある。

今となっては、速さも圧倒的に彼女の方が上だ。

思い知らされるアルマスとの実力差。

満身創痍の自分に対し、アルマスは息一つ乱していない。

その余裕からか、アルマスは戦いの最中にも私を問い詰めていく。

「誰かを護るのに資格が必要だなんて本気で思ってるの!?」

「アナタの夢は……、たった一度の失敗や挫折で諦めるようなものだったの?」

「……たった一度?」

怒りで頭が沸騰していく。

その言葉を、アルマスから聞きたくはなかった。

「そのたった一度で、取り返しのつかないことを私はしたんです!!」

「他国のキル姫である私をアナタは信じてくれた……。本当に……、本当に嬉しかった!!」

「なのに、私は……」

例えアルマスが許しても、私は私を許せない。

「……無神経なことを言ったのは謝る」

「でも、私もギルもこうして無事でいる、取り返しのつかないことなんてない!!」

「!!」

アルマスのその言葉に、どれだけ救われたのだろう。

アルマスは、私を糾弾するために決闘を申し込んだのではなく。

「まだ、騎士に戻るつもりにはなれないの……?」

私を励ますためのものだった。

721EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:07:57

「ごめんなさい、アルマス」

「騎士に戻りたい気持ちは、あります。……でも」

この決闘で思い知らされた。

「トレイセーマを護るには、力が足りない。私は、余りにも…………弱い」

私がどれだけ望んでも、きっとアルマスには届かない。

いや、オーダーキラーズの足元にも及ばないのだろう。

だというのに。

「ーーー馬鹿にしないで」

「アロンダイト・獣刻・ユニコーンは、理想を求める誇り高き騎士よ」

「アロンダイト、例えアナタでも、私の戦友を馬鹿にすることは許さない」

こんな私を、アルマスは認めてくれた。

「長い旅の中で、共に戦ってきた」

「零装支配されていても他国の人間に手を差し伸べることを厭わなかった」

「例え命令に背くことになっても、自国の理想の為に自分を貫いた」

信じてくれた。どこまでも真っ直ぐに。

「そんなアナタを、弱いだなんて言わせない!」

きっと、アルマスはそれを伝える為だけに勝負を持ち掛けたのだろう。

言葉だけでなく、剣に乗せた想いを通して。

「……私も人のことは言えませんが、アナタも大概不器用ですね」

「今更でしょ?」

そう言って、アルマスは微笑んだ。

「どうして、そこまで私を信じてくれるのですか……?」

「そんなの決まってる」

「私が初めて背中を預けた仲間が、アナタだからよ」

722EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:08:27

決闘の途中だというのに、自然と笑みがこぼれた。

「信じます」

「自信がないんじゃなかったの?」

勿論、そんなものはない。

「私を信じてくれる、アナタのことを信じると決めたんです」

剣を構えて、目を閉じる。

私が思い描く強さ。

真っ先に思い浮かぶのは、アルマスの姿で。

あぁ、そうか。

アルマスの強さは、絆だ。

だから、もう大丈夫。必要なのは覚悟だけ。

だって、今の私には信じてくれる人がいる。

どこまでも、真っ直ぐに。

今までの弱い自分に別れを告げた。

723EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:08:58

「アルマス、あれは……」

ティニが驚きの声を上げる。

アロンダイトの身体が淡い光に包まれていく。

「綺麗ね」

そして、それ以上に彼女の剣は強い輝きを放っていた。

「アロンダイトの覚悟が位階〈クラス〉を引き上げた。……手強いわよ」

724EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:09:37

「アルマス、アナタの想いに応えさせてください」

「えぇ、仕切り直しね」

互いに大きく息を吸い、神経を尖らせる。

次の相手の一手を見落とさないように。

「行くわよ!」

仕掛けたのはアルマスだ。

アルマスは氷弾を放ちながら、猛スピードでこちらに接近する。

氷弾を最小限の動作で回避しながら、アルマスの元へ駆けていく。

互いの剣が鍔迫り合い、轟音が鳴り響く。

「流石ね!」

「この程度では、ありません!」

剣に力を込め、アルマスを吹き飛ばす。

剣が放つ輝きは更に強くなっていた。

「完全にこちらが力負けしています!アルマス、スピードで翻弄して……」

「そんな小細工、アロンダイトには通じないわ。私達の持てる力の全てをぶつける!」

アルマスが大きく距離をとった。

スピードを推進力にして、全力の一撃を放つ為に。

「ありがとう、アルマス」

上空にいる好敵手を見据える。

次の一振りで勝敗は決する。

蒼い蝶と光り輝くユニコーン。

両者の全力が交錯した。

725EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:10:10

一振りの剣が宙を舞う。

「私の……」

私の手元に、剣はない。

「……私の完敗ですね」

弾かれたのは、私の剣アロンダイト。

アルマスは自身の剣を強く握りしめていた。

「完敗、ね……」

アルマスの剣から鈍い音が鳴る。

刀身には亀裂が入っていた。

「よく言うわ」

726EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:10:52

「珍しいですね、アロンダイトが私の部屋に来るのは」

アルマスとの決闘を終え、帰宅する前に梓弓の部屋を訪ねた。

話さないといけないことが沢山ある。

「アルマスと決闘をしました」

「……どういう経緯でそんなことに?」

「まぁ、いろいろです。……完敗でした」

「その割には清々しい顔をしてますね。悩みは晴れましたか?」

「お陰さまで」

そこで、梓弓が自分をジッと見つめていることに気づいた。

「……妬けますね。私が何を言ってもアナタは立ち直らなかったのに」

そう言って、少し頬を膨らませている彼女が可愛らしかった。

「だから、アルマスに話をしたのでしょう?」

「気付いてたのですか?」

「アナタとも長い付き合いですから。だから、その……、ありがとうございます」

照れてしまい、視線を逸らしながら礼を言う。

「ふふっ」

梓弓はクスクスと笑っていた。

「な、何かおかしいですか?」

「ごめんなさい、アロンダイト。私にそういった一面を見せてくれるのが嬉しくて」

「えっと……?」

よく分からなかったが、梓弓は満足そうなので特に言及はしなかった。

「それで、私にお礼を言うためにわざわざ来てくれたのですか?」

「それもありますが……。もう一つ、頼みたいことがあるんです」

アルマスのお陰で、もう一度頑張ってみようと思えたから。

理想を叶えるためではなく、今度は理想を護っていくために。

「トレイセーマの騎士になるという話、今からでも間に合いますか?」

梓弓はしばらくキョトンとしていたが、すぐに笑顔で、勿論です、と答えてくれた。

727EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:11:50

ティルヘルムへ帰っている途中、ギルがボソッと呟く。

「まさかアルマスが負けるなんてなぁ」

「私は負けてないわよ!……勝った訳でもないけど。それよりティニ、どうしたの?」

ティニが何か言いたげだったので、声をかける。

「アルマス、どうしてデウスの力を使わなかったのですか?」

「ん……、アルマス、全力じゃなかったのか!?」

「全力だったわよ。デウス・エクス・マキナとしての力は確かに使ってないけど」

デウスの力は繋がる力。言い返せば、皆の力だ。

私が個人で振るっていい力じゃない。それに。

「あの決闘はアルマス・妖精結合・ティターニアとして、挑んだものだから」

決して、デウス・エクス・マキナとしてではない。

ティニは納得したのか、満足そうだった。

「アルマスも、うかうかしてられませんね」

「ティニ、小言はいいから!早く帰るわよ」

そう言いつつどこか嬉しそうなアルマスに、ギルとティニは笑いあった。

728EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:12:51

「……これで勝ったなんて言える程、図々しくなれないわ」

決闘の直後、刀身に亀裂が入った自身の剣を見つめて、アルマスはそう言った。

「それでも、やはり私の完敗です」

「引き分けでしょ、どう見ても」

「それ以前の問題です。心の上でアナタに、いや、自分に負けていた」

私がここまでやれたのは、アルマスのお陰だ。

この恩を、私は絶対に忘れない。

だから、今度は。

「アルマス、アナタが道を違えた時は私が目を覚まさせます。……約束です」

「うん、頼りにしてる」

アルマスが差し出した手をとり、握手をする。

「違う!」

「え?」

…………怒られた。

「小指を立ててたでしょ!指切りよ!指切り!」

「ゆ、指切り?」

不穏な言葉に、思わず聞き返してしまう。

「……知らないの?まぁ、私も昨日梓弓に教わったんだけど」

「その指切りというのは……?」

「大切な約束をする時に、互いの小指を結ぶんだって」

アルマスと小指を絡ませる。

「それじゃ約束ね」

「はい、今度は私がアルマスを助けます。それまでは……」

「もう一度騎士として、トレイセーマを護っていくことを誓います」

私の心の中に識別系統B・02はもういない。

誰よりも自分を信じてくれた彼女に報いよう。

誇り高き騎士、アロンダイト・獣刻・ユニコーンとして。

戦士、アルマス・妖精結合・ティターニアに強く誓った。


Fin

729EPILOGUE アロンダイト:2019/08/24(土) 17:17:23
最後まで読んで頂いた皆様、ありがとうございます。

今回のSSで初めてバトルを書いています。

描写が拙く、迫力不足だったかもしれません。

アロンダイト好きの方達に少しでも喜んで頂けると嬉しいです。

お目汚し失礼しました。

730名無しさん:2019/08/24(土) 20:37:31
>>729
月並みな感想しか出なくて申し訳ないが
アロンアルマスの一騎打ち、アロンの迷いを断ち切った後のクラスチェンジ描写が非常に良き…
本編でも待ってるぞ!

731名無しさん:2019/08/24(土) 21:19:18
いやー良いもの見させてもらいました。作者様ありがとう!

732名無しさん:2019/08/25(日) 01:09:13
毎回良きSSをありがとうございます
おかげで本編で感じていたモヤモヤも晴れました
戦闘描写は個人的には問題無いかと、なんとなくでもゲームと合わせてイメージ出来ましたし

733解決アロンちゃん:2019/08/25(日) 02:19:38
解決アロンちゃん5.5

カシウスはじーっとアロンダイトを見ていた

アロンダイト
「カシウスどうかしましたか?」

カシウス
「.......」

カシウスは自分の髪の毛先を見た

アロンダイト
「カシウス?」

カシウスはアロンダイトの頭を撫でた

アロンダイト
「??????」

カシウス
「あなたも私と同じ色を持つ」

アロンダイト
「同じ色...ああカシウスの毛先と私の髪色同じですね」

カシウス
「あなたは私を長く生きた者として私から甘美なる時を求めても良い」

アロンダイト
「私がカシウスの妹....!?」

アロンダイトに電流が流れた

734解決アロンちゃん:2019/08/25(日) 02:37:16
>>733
アロンダイト
「と言うわけで私はカシウスの妹でありアバリスの妹です」

マスター
「はぁーどういうわけだよ」

アバリス
「と言うことは私は今日で一気に妹が二人も増えたということですか?」

マスター
「そうなるね」

アバリス
「なんか少し頭痛が....」

マスター
「だから
長女アバリス
次女カシウス
三女アロンダイト」

カシウス
「姉と妹が出来た」

マスター
「カシウス嬉しそうだな」

アロンダイト
「私は楽しいですよ」

アバリス
「私は少し寝させてください」

カシウス
「お姉ちゃん毛布あるよ」

アロンダイト
「姉さん枕もあります」

アバリス
「あ、ありがとうございます」

アロンダイト
「ダメですよ妹なんですから敬語しては」

カシウス
「ダメ」

アバリス
「えっと...ありがとうゆっくりと眠れる」

アロンダイト
「はいゆっくりと休んでください」

カシウス
「お休みなさい」

アロンダイトだけじゃなくてカシウスの考えもわからないなと思うマスターであった

735解決アロンちゃん:2019/08/25(日) 02:44:14
5.5なので注意書きはありません
>>708の書き込みでネタが降ってきた
この場合アバリスと結婚したらアロンとカシウスが義妹になりカシウスと結婚したらアバリスが義姉アロンが義妹になりアロンと結婚したらアバリスとカシウスが義姉になる
誰と結婚しても待つのは楽園

736名無しさん:2019/08/25(日) 03:00:55
アロン愛されてるなぁ。ここの住人でアロン主人公にしたのこれで3人くらいか?

737リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 03:52:15
【持たざる者の狂騒曲】1

波の音が響く砂浜に3つの影が並んでいる。

以前とある騒動が起きたさいに協定を組んで以来、時々こうして集まっては互いに慰め合う関係が続いていた。



「はぁ…世の中は不条理だ。僕たちが一体何をしたと言うんだ…」

「あぁ…思い出すだけで羨ましい…」

「そうですね…」



グラトニー、エンヴィ、ミネルヴァの3人はぼんやりと海を眺めてため息をつく。



「ミネルヴァ、君のところには規格外の物を持った奴が2人もいるだろう?何か僕たちとは違う、特別な行動に心当たりはないかい?」

「そう言われても…」



そもそも話を合わせただけで、2人ほど悩んでいる訳ではないミネルヴァは返答に困ってしまう。

アレのサイズよりも、どう2人をなだめるかの方がミネルヴァにとっては悩みの種だ。

エンヴィも力無く呟く。



「もしかして私たちはこのままなんでしょうか…羨ましい…羨ましい…」

「僕は諦めないよ!諦めてたまるか!さぁ、3人で知恵を出し合うんだ!絶望や不可能なんて僕が喰らい尽くしてみせるさ!」

『ニケ、どうしよう…』



かくして「持たざる者」達は動き出した。理想を求め、掴み取るために。

738リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 03:54:01
【持たざる者の狂騒曲】2

別の日。再び集まった3人はトロピカルジュースを片手に話し合いを始めた。

議題はもちろんアレだ。



「ミネルヴァ。改めて聞こう。君のところにいる規格外の彼女たちから、有益な情報は得られないだろうか?些細なことでも構わないよ」

「普段の2人の暮らしぶりからあの羨ましいサイズになる理由を掴めれば、きっと私たちも…!」



グラトニーの言う規格外とはフライシュッツとグラーシーザのことだろう。2人の「それ」は確かに圧倒的な存在感を放っている。

エンヴィもやはり気になるのはその2人らしい。



「2人の普段ですか…そうですね。フライシュッツはよく誰かに甘えたり抱き付いたりしている姿を見かけます。グラーシーザは生活面では特に気になることはありませんけど、とにかく乳製品を好んで食べている、と言うことくらいですかね…」

「う〜ん、これと言って変わったことは無いように思いますが…」

「そうだね。他に……」



そこまで話したところで、突然グラトニーとエンヴィが目を見開き体を震わせ始めた。



「「それだ!」」

「……は、はい?」

「そんな…あのハグ…!?たしかに僕はハグする習慣なんて無い…はっ!!そうか、分かったぞ!ハグすることによって、胸が相手と接して押さえつけられる!その刺激が秘訣なのか……!」

「乳製品…たしか近くにアイスを売ってるお店がありましたよね?あ、でも食べ過ぎると体重が…食べてもあまり変化しない体質が羨ましい…」

「す、すごい食い付きですけど、もう少し冷静に…」



ミネルヴァの動揺をよそに2人は意気揚々と歩き出した。



「さすがに抵抗が無いとは言えないが、試してみる価値はある。あとは誰相手に行うかだな…まずは練習から…うん、それじゃあ僕は早速行動に移すことにするよ。ありがとう、ミネルヴァ。結果を楽しみにしていてくれ」

「アイス以外にも試してみたいなぁ…私も色々やってみます。では…」



訳も分からずポツンと1人残されたミネルヴァは途方に暮れる。



「何が何やら…嫌な予感しかしなよ、ニケ…」

739リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 04:01:57
【持たざる者の狂騒曲】3

グラトニーは極力、人気の少ない場所を探していた。


「この辺りでいいだろう…」



適当な木陰に入り、先ほどの会話を思い出してみる。


『ミネルヴァの話しに変わったことはなかった。しかしそれが間違いだ。今まで気にしてこなかった事にこそ、きっと意味があったんだ。今回は見落とさなかった。うまく行く!』


「しかし、『甘える』か…僕には無縁過ぎてよく分からないな。とりあえず彼女の…フライシュッツの真似をしてみよう」


考えただけで顔が熱くなる。やはり人気の少ない場所を選んでよかった。


「くっ!これも理想のため!羞恥心がなんだ!」


意を決して引きつった笑みを浮かべる。


「ハ、ハグシヨ〜……」

・・・


「うん、僕には大きい一歩だ」
『実戦投入出来るのはいつになるだろう…』


遠い目をするグラトニーだった。


突然背後からガサガサと音がし、グラトニーはサッと身構える。


「誰だい!」

「あれ〜?グラトニーちゃん!」

「フライシュッツ!?なぜ君がここに?」

「え〜と、ボールを探しに来たんだけどぉ〜」


周りを見回すと確かにビーチボールが転がっていた。


「さあ。これだろう?早く向こうへ行ってくれないか…」

「あ、ありがとー!……う〜ん」

「まだ何か?」

「ちょこっと聞こえたんだけど、もしかして、グラトニーちゃんもハグしたいの?」

「なっ!?聞こえて……!」

「やっぱり〜!お姉ちゃん、嬉しいよ〜!」


ぱぁっと笑顔を見せ、フライシュッツは一直線にグラトニーへダイブをした。


「グラトニーちゃん、ハグだよ〜!」

「な、ちょっ…!」



グラトニーの視界に2つの大きな丸が飛び込んできた。

躱す間もなくも、その丸に顔が包み込まれていく。



『そんな、馬鹿な…本当に同じ物なのか?なんだこの柔らかさは!』



そして同時にグラトニーは悟ることになる。


『あぁ、僕には、無理だ…』


彼女の理想も意識も、その圧倒的な存在に飲み込まれていった。

740リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 04:06:00
【持たざる者の狂騒曲】4

一方、エンヴィは途方に暮れていた。

勢いでアイスを3つも買い込んでしまい、1つは食べたものの残りの2つはすでに溶け始めている。


「はぁ、どうしたものか…」


間違いなく2つを溶けてしまう前に食べ切るのは不可能だ。
仕方なく1つは諦めることにした。


彼女がアイスを口に運ぼうとしたそのとき、背後から声をかけられた。


「エンヴィじゃないか。久しぶりだな!」

「……げっ」


振り向くとグラーシーザが立っていた。嫌でもあそこに目がいく。


「げっ、て酷いなぁ!って言うか大丈夫か?アイス溶けそうだぞ」

「…1つ食べますか?どうせこのままじゃ捨てることになるんで…」

「え、いいのか?誰かの分じゃないのか?」

「2つとも私のですから、ご心配なく…」


グラーシーザは不思議そうに首を傾げる。


「2つとも?でもまぁ、その気持ちも分かるぞ!そこのビーチで売ってるのだろ?おいしいよな!」


2人は並んでアイスを食べた。


『まさかこんなタイミングで遭遇するなんて…いつ見ても大きいな…羨ましい…』


この時点でエンヴィは気付いていないが、2人が並んでいるため端から見ると格差はより強調されている。
しかしその静寂も終わりを告げた。



「あっ」

「あっ…」



もともと溶け始めていたとは言え何の偶然か、ほぼ同時に口に運んだアイスが同じようなタイミングでコーンからこぼれ落ちた。



「ひゃんっ!冷たっ…!」

「…………え?」



グラーシーザの持つアイスからこぼれたそれは、みごとに胸の谷間に流れ落ちた。

エンヴィの持つアイスからこぼれたそれは、みごとに砂浜へと吸い込まれて行った。



同じように持っていたアイスが、同じようにこぼれて、しかし着地点が違うと言うことはエンヴィに嫌でも1つの現実を突き付ける。


「うひゃぁ、ベトベトだ…なぁエンヴィ、さっさとアイス食べて泳がないか?洗う手前、省けるぞ!」


しかしエンヴィに反応はなかった。


「?お〜い、エンヴィ?聞こえてるか〜?」


グラーシーザが目の前でぶんぶんと手を振るが返事は無い。


衝撃のあまり思考が停止したエンヴィは再起動までかなりの時間を要した。

741リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 04:09:16
【持たざる者の狂騒曲】5

その夜。



「ふふふ、ボールが3つ…ボールが3つ…ふふふ…」

「アイスがすとーん…アイスがぽとーん…すとーん…ぽとーん…」



砂浜にちょこんと座り込み、生気の抜けた瞳でずっと同じことを呟くグラトニーとエンヴィにミネルヴァはただただ怯えていた。



『怖いよ〜ニケ…何があったんだろう…?』



「えっと、そろそろ戻った方が良いのではないでしょうか?グリードさんたちも心配しますよ?」



グラトニーとエンヴィはピクリと肩を震わせる。



「こんな僕を心配してくれるのかい?優しいな、ミネルヴァは…」

「あぁ、気遣いもできる優しい心…嫉妬しかできない私にはとても羨ましいです…」



憔悴仕切った2人を見かねたミネルヴァは、ふと思い付きである提案をしてみる。



「あの、もし良ければ今度はフライシュッツとグラーシーザを呼んで、直接お話を聞くと言うのはどうでしょう?きっと優しく色々教えてくれると思いますよ!」



言いながらミネルヴァは始めからこの提案をしておけばよかったと後悔した。2人のことを考えれば、回りくどい事などぜずに悩みを打ち明ける仲間が増えた方がよほど効果的だったろう。



しかし直後、今度はこの提案をしたことを後悔する。



「う…うぅ…」

「あ…あわわ…」



グラトニーとエンヴィは同時に叫んだ。



「「勘弁していてくれ〜!!」」

「はいっ!?」

「いいか、ミネルヴァ!ボールは最初1つだったんだ!1つだと思ったら3つになったんだぞ!僕にまた同じ苦痛を味わえと言うのかい?」

「知ってます?アイスってすとんと落ちるんですよ?それはもうきれいにぽとーんと…」



訳も分からず、もはやミネルヴァも叫ぶことしかできない。



「ふぇ〜ん!だからそれは一体何なんですか〜!?」





夜のビーチに3人の泣き声が虚しく響いた。

END

742リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/25(日) 04:11:21
>>648のリクエストシリーズ第1段です


今回は>>653さんより


他にもまだお届けする予定なので気長にお待ちください

743名無しさん:2019/08/25(日) 06:51:51
面白いのだが・・・行間が空きすぎでは?
何か理由があるのですか?

744名無しさん:2019/08/25(日) 08:10:03
>>735
アロンちゃんの人なら拾ってくれるかなと思った。
俺の楽園はここに有ったのか…

745名無しさん:2019/08/25(日) 09:16:44
そして何となく三姉妹(笑)を並べてみたら
3人とも髪を編んでて1人ニヤニヤしてました。

746解決アロンちゃん:2019/08/25(日) 11:41:45
>>744
ネタのご提供ありがとうございます

747名無しさん:2019/08/25(日) 12:13:04
>>746
おねだり紛いを受けて貰ってありがたき幸せ。
次回も楽しみに待ってます。

748名無しさん:2019/08/25(日) 12:19:10
ちょっとSSスレ民ageすぎちゃうか?

749名無しさん:2019/08/25(日) 12:36:47
別に荒らしてるわけでもないしageぐらい気にすることではないだろう

750名無しさん:2019/08/25(日) 15:50:04
えぇ…どうでもいいだろ

751名無しさん:2019/08/25(日) 16:28:16
スレ民のageが上がりすぎ?

752名無しさん:2019/08/25(日) 19:57:30
誰がジジイだって?

753リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/26(月) 23:15:14
>>743
亀レス失礼します

他サイトで記入したものをコピーしたのですが、なぜだか行間が空いてしまいました。
一話目がそうなってしまったので、仕方なく全体を統一させたのですがだいぶ読み難くなってしまいましたね。申し訳ないです。
次作よりきちんと修正します。

最後に、感想ありがとうございます!

754名無しさん:2019/08/26(月) 23:16:41
実は個人的にはこれくらいのほうが読みやすいと思ったり

755リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/26(月) 23:24:31
【でぃすらぷ!】
第1話「看病」

カリスが風邪を引いた。

チームの回復を担う彼女がこのような状態では、当分活動は出来そうもない。

「ごめんね、レーヴァ…」
「そんなこといいから、早く治す事だけ考えて」
「うん…」

とは言え、今まで彼女に頼りきっていたのも事実。

『無茶、させ過ぎかな…』

戦闘を避けるためにヘレナに見回りを頼んではいるものの、万が一彼女抜きのこの状況で幹部級の斬ル姫に襲撃されたら……
よそう。今は目の前のこの子の事が第一。

「今ソロモンがお粥?とか言う東の国にある看病食、作ってるから」
「わぁ!楽しみだなぁ、ケホッ、ケホッ…」
「無理しないで」
「うん…ねぇ、レーヴァ…」
「ん?」
「近くに居るとレーヴァに風邪、移しちゃうよ…?」
「風邪って誰かに移すと治りが早くなるらしいわ。私に移ってもカリスが治れば、すぐに治療できるでしょ?」
「そっか、うん!ありがとう、レーヴァ…!じゃぁ、このまま側に居てくれる?」
「そのつもりよ」
「えへへっ♪」

まったく…本当にこの笑顔には救われる。

「ちょっと熱、計るわね」

カリスの額に自分の額を当てる。

「ふぁ…!」
「!?」

ふいに柔らかい感触が唇に触れた。

事故だった。意図したわけではなく、偶然にも唇と唇が触れてしまった。

「……」
「……」

それでも、触れ合った唇を離す事が出来ない。
どちらかともなく、そのまま強く重なり合う。

「……カリス、その、ごめん……」
「えへっ…しちゃったね…!」
「う…忘れて……」

駄目、とてもじゃないけどこのまま居られない。
そそくさと席を立った。

「と、とにかく…早く良くなって。じゃないと、困るから」
「えぇ〜待って〜、側に居てくれるんじゃないの〜?」
「また来るから。ヘレナやソロモンも放っておけない」
「う〜……分かった…すぐ戻って来てね?」
「…ええ」

カリスの部屋を後にする。途端に顔中に血液が噴き上がって来るのを感じた。

「もう……バカっ……!」


この火照りは、しばらく納まりそうにない……


つづく

756名無しさん:2019/08/26(月) 23:31:22
名作の予感

757名無しさん:2019/08/26(月) 23:32:44
よきかな

758名無しさん:2019/08/26(月) 23:34:32
あっ、これ絶対に良作だ

759名無しさん:2019/08/27(火) 00:13:45
あんま関係ないけど和食はトレイセーマで食われてるイメージ

760リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/27(火) 00:14:59
でぃすらぷ!ですが、基本的に一話完結の形で今後ちまちま書いていこうと思っています
間が開いたりするかもしれませんがご了承ください

761名無しさん:2019/08/27(火) 01:52:26
いいんやで

762pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:36:23
『673からの続き』


「な、なんの……ま、だ、ま、だ……!」
 方天画戟はぎこちなく体を動かしながら、自分を貫く刃をずぶずぶとさらに食い込ませ、一歩ずつアロンダイトへ近づいていく。
 そして大剣の鍔が皮膚に接するまで近づいたところで方天画戟は右の拳を振り上げた。
 アロンダイトは動かせない右腕。
 その腕が振るわれアロンダイトの頬に突き刺さる。ガツンという鈍い衝撃音がアロンダイトの頭の奥に響いた。
 数秒後、だらり、と頬に押し付けられていた拳から力が抜ける。
「けっ……」
 方天画戟はもう一度したたかに血を吐くと、笑ったまま意識を手放した。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「……私は負けるわけにはいかないのです」
 大剣を一振りして血と脂を振り払う。
 今度こそ船を出よう。そう思ってアロンダイトが壁の穴に身を乗り出しかけた時である。
「行くのですか?」
 その背に声をかける人物がいた。その声質からあのハルモニア兵、キトであるとわかる。
 アロンダイトはその姿をあえて確認はせず、
「次はあなたが相手ですか? 力づくでも止めると?」
「まさか、今の私にそんな力はありませんよ」
 キトは好々爺のように笑いをあげる。年齢を聞いたことはなかったが意外と高齢なのかもしれない。

「貴女のその胸の重り。ハルモニアであれば解放できたものを。なぜあえて苦難の道を選ぶのか私にはわからない」
 確かにハルモニアにギアハックされればアロンダイトの悩みは消えるだろう。イミテーションや斬ル姫に人権がない理由に『選ばれなかった者だから』という答えを押し付けられるのだから。
「ハルモニアが与えるであろう答えでは私には足りないからですよ」
 だがそれでは満足できないのだ。
 アロンダイトが思うにハルモニアのそれは呪いだ。
 ありもしない身分、人の価値とやらを押し付けられ何重にも規律や法律、目に見えない鎖に縛られるその在り方は、とても悲しく思えた。
「さようなら」
 だから帰るのだ。少なくとも自分がいるべき場所はまだトレイセーマであると思うから。



「あっはっは! 振られたなぁおい?」
 がばり、と倒れていた方天画戟が身を起こした。
「生きていたのですか?」
「そうみたいだな! ぶっちゃけ意識飛んだ瞬間、オレも死んだと思ってたけど!」
 胸の風穴から判断するにどう考えても致命傷なのだが方天画戟は快活に笑っていた。
「オレは誘ってくんねえのか? ちょうど向こうの大将もつまんねーなって思ってたんだけど」
「貴女はいりません」
「っけ、面食いが……」
 お互い重傷を負っているからだろう。キトも方天画戟も戦闘には発展しないようだ。軽いやりとりをすませ離れていく。
「あー、喋んの辛いわ。やっぱ肺破れてっからかなー」
 口から血を垂らしながらふらふらと方天画戟は歩いて部屋の奥に、アロンダイトとは逆方向に消えた。
「…………………………」
 キトは壁に空いた穴の外を、アロンダイトが走っていく方角を見つめる。
 シェキナーの矢が時折彼女に向かって放たれるがこのまま逃げ切ることができるだろう。
 その一瞬見えた横顔はとても凛々しく。信念を持つ者特有の力強さがあった。
「ああ、その魂のなんと熱く、また眩いことか……」
 知らずのうちに涙を流しながら彼は膝を折っていた。
 そういえば、自分も腹を打ち抜かれていたことを思い出す。
 直後、がくんと首が折れてキトの意識は薄れていった。

763pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:37:04



「あん?」
 戦場となっていた『船』と呼ばれるハルモニアの輸送車を脱出し、ケイオスリオンの陣営に戻った方天画戟・D. plug・アバドンがまず見たものは死体の山だった。
 ケイオスリオン軍が使っていたみすぼらしい旧式の輸送車は木片になるまで破壊されていた。
 友軍のケイオスリオン兵たちの姿を探してみると変わり果てた姿で辺りに散らばっていた。上半身と下半身で分断された者、上顎だけ斬り飛ばされた者、原型も残さず潰された者。
 それらの血だまりの中で指揮官だったと思われるケイオスリオン兵が斧を片手に佇んでいた。
 方天画戟は和やかに片手をあげて彼に近づく。
「おう。帰ったぜー。いや、負けた負けた」
「役立たずが」
「ずいぶんな挨拶じゃねえか。そっちも味方相手にずいぶん楽しくやってたんじゃねえの?」
「これは粛清だ!」
 突然大声を上げてそのケイオスリオン兵、ラーザは方天画戟を睨みつけた。
 割れた仮面の奥で見開かれた目が血走っている。
「こいつらが悪い! 使えないくせに敵前逃亡だと! ふざけるな!」
 ラーザは怒りのままに同胞の死体を何度も踏みつける。
「そんな怒るなって、アンタは悪くねえよ。そうだな。実際オレもそういう仲間殺しは嫌いじゃねえし。で、これからどうする?」
「当然、報復だ! 今回はたまたま負けただけだ! 何度でもやり直せばいい! 兵員も! 斬ル姫も! 幾らだって揃えられる!」
「おうおう。いい気迫じゃねえか」
 にやにやと笑いながら方天画戟はラーザに近寄っていく。
 戦闘で受けた傷は斬ル姫特有の回復力で既に塞がっており、普段通りとは言い難いが力も戻ってきていた。
「ところでだ」
 手が届く距離まで近づいて気が付いたが方天画戟の方がラーザより背が高い。
 自分がそんなことにも気が付かないほどにこの指揮官とは今まで腹を割って話し合ったことはなかったのだなあとぼんやり思った。
「なんだ早く言え方天画戟。この無能が」
「ああ、悪い悪い」
 あのトレイセーマの斬ル姫にやられたせいだろうか。まだ少しボーっとしていたらしい。
 方天画戟は気を取り直して極めて気さくな調子で、
「オレはな。同じ敵に二回負けた指揮官は見限ることにしてるんだぶっ殺すぞ」
 ひゅうん、と。
 方天画戟の青い長髪が風を切ったと思うと。
 その三つ編みにまとめられた髪の先にある鎌がラーザの喉笛を掻き切っていた。
「は……?」
 ラーザの口から最後に漏れたそれは単に空気が漏れ出しただけだ。
 ずぶり。と直後にダメ押しで方天画戟が放った貫手が心臓をえぐり取った時。ラーザは絶命していた。
「つまんな」
 吐き捨てるように言い捨てて方天画戟は掌でてらてらと赤色に光る臓器を握り潰す。
 その後はケイオスリオン軍などまるでいなかったかのようにあてもなく歩きだしていた。
「さア、次はどこに行こうかなー」
「……また、やったんですのね」
「お、起きたかデュランダル」
 片手で肩に抱えられていたデュランダル・D. plug・アレスが目を覚ました。
 方天画戟が戦場から脱出するときについでに拾ってきたのだった。
「まったく。助けてくださったのには感謝しますが。こう何度も何度も主人を裏切っていてはもう誰も雇ってくれませんわ」
「いーんだよ。気に入らなけりゃ裏切ったって。だってそうだろ? 嫌いなヤツを順に消していけば最後には好きなヤツだけ残るんじゃねえの?」
「その思考が羨ましいですわね」
 デュランダルのため息。

764pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:38:33
「これでまた傭兵暮らしに逆戻りですの。もうましな領主もいませんし。そろそろ皇帝陛下に直接お目見えしてみます?」
「いいなそれ! 戦いにはことかかなそうだ! もしかしたら皇帝がオレの理想の主君になるかもしれねえしな!」
「だといいですわね。……もしダメでしたら?」
「そんときゃ国を出るさ。武者修行の旅ってやつ」
「豪快ですわね。D. plugで縛られたわたくしたちがそんなことしていいものかしら?」
「いーんだよ。人一人のエゴも受け止められなくてなにが理想社会だ。ケイオスリオンってそんな懐の狭い国か? どーんと行こうぜどーんと」
「まあ好きにすればいいと思いますの。……ところで、もう一人で歩けますからそろそろ降ろしてくださらない? ちょっとこの格好どうかと思いますの。淑女的に! まるで盗賊に攫われた村娘ですのー!」
 方天画戟とデュランダル。彼女たちの旅はこれから始まっていく。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 
 人には必ず、生まれた意味というものが存在する。
 そういうものがあるとそのハルモニア兵は信じている。
 彼の名はキト。宝物室の室長だ。
 だがその立場と地位に彼はなんの意味も見いだせなくなっていた。
「きっと私の役目は終わったのですね」
 おそらく去っていくアロンダイトを見送った時に。
 彼女を見出し、世界に対する疑念を植え付けたことだけがキトが生まれてきた意味だったのだ。
 アロンダイトを見送った時にキトはそのことを悟った。

 方天画戟が暴れ回った結果、半壊して動かない『船』の甲板でキトは日が沈む地平線を眺めている。
『国を愛し、繁栄を誓いなさい。友を愛し、友のために戦いなさい。友が背徳に染まる時、その友を再生しなさい』
 ハルモニアの住人なら誰もが知る言葉が静かに合唱されている。
 合唱しながら小声で話し合っているのはキトの部下たちだ。
 トレイセーマの斬ル姫を許可なく生け捕りにしたうえにあっさり逃がし、あまつさえケイオスリオンやトレイセーマと連戦を繰り返し多くの死者を出して反省もしない上司に向けて恨み言だろう。
 キトは近いうちに部下によって浄化、粛清される。
 誰も止めるものはいない。護衛として健気に働いているシェキナーもおそらく止めないだろう。部隊の守護とキトの守護は必ずしもイコールではない。
 その事実をさしたる感慨もなくキトは受け入れていた。
「私のことなどもはや些末なこと」
 惜しむらくはアロンダイト。あのトレイセーマの斬ル姫の人生を観察できないこと。そして彼女の記憶に自分の存在はただの敵としてしか刻まれていないだろうことを無念に思う。

「……?」
 不意に部下たちの合唱がやんだ。
 静寂の中耳を澄ましていると遠くからズン、ズンという音が響いている。
 まるで巨大なハンマーで地面を何度も叩いているような音だ。
「この音は……! いや、なぜこんなところに!?」
 音はどんどん大きくなる。近づいてくる。
地平線から白い鎧の一団が出現し、こちらに向かってくる。
 それはハルモニアの近衛兵の一団だった。
 数は優に千人は超えているのかもしれない。
 先ほどからズン、ズン、と響く衝撃音は彼らの軍靴の音だ。動作を極限まで同調させた結果。およそ千人分の足音が一度に鳴っているのでそう聞こえるのだ。
 その軍の中からボンと赤い光点が飛び出した。

765pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:39:11
 赤い光点はみるみるうちに急接近し、甲板に降り立つ。
 それは斬ル姫だった。

「セイントキラーズが一人。フォルカス・聖鎖・ウリエルです」

 翻るハルモニアの紋章入りのマント。流れるような美しい黒髪に混じる青色。
「おお……おお……」
 セイントキラーズ。ハルモニアが誇る最強の武具の一振りが目の前にいる。
 キトは感傷的な気分を束の間忘却して感動に打ち震えていた。
「これは『大穴』に向かっていたという輸送車ですね? ここで何があったのですか?」
 フォルカスは挙動不審なキトに対して質問をしてきた。キトはそれに対してなるべく簡潔に返答する。手を煩わせてはならないと思ったからだ。
 最後にこう付け加えた。
「此度の不始末。非は私にあります。処断するならば今ここで貴女にしていただきたい。正義と断罪の天使であらせられる貴女に」
「その必要はありません」
 部下の手にかかるよりはと思い申告した願いであったがそれはあっさりと否定された。続けてフォルカスは、
「『大穴』にあるハルモニアの砦は先日玉砕しました」
「は? それはどういう……?」
 意味が分からなかった。
 今、『大穴』にいるのはハルモニア軍だけではなかったのか。ケイオスリオンとトレイセーマの砦も城塞もあの戦いで陥落させたはずだ。
 もはやハルモニアに敵はいなかったはずなのに。
「一体何者が……」
「ディスラプターズ」
 フォルカスは憎々し気に、だがどこか思うところがあるように躊躇いがちに言い捨てた。
「三国に所属しない斬ル姫たちのグループの名です。活動を開始したのは最近のことです。『大穴』付近に根城を構えておりその周辺の軍を手当たり次第に襲っているようです。おそらくハルモニアの砦もその標的に」
「斬ル姫が徒党を組むなど……」
 フォルカスの口調からディスラプターズとやらにはハルモニアの斬ル姫も含まれていることがわかる。だが信じられなかった。教皇様の聖なる鎖をその身に宿しておきながらあえて反逆する者がいるなど。
 それではまるで人のようではないか。
「許されざることです。それは剣が持ち手を傷つけるようなもの。道理に反しています。極めて質が悪い」
 キトの言葉に小さくフォルカスは頷いた。
 教皇様の最も身近に控える斬ル姫だからこそ思うところはあるのだろう。
「今、そのディスラプターズ討伐に向けた軍を動かしています。貴方たちの部隊も合流させましょう。負傷者も随時手当させます」
「承りました」
 フォルカスの提案を跪いて受諾する。
 顔を下に向けたままキトは静かな興奮に打ち震えていた。
 人生の意味は終わってしまったが、個人の役割。ハルモニアの部品としての役割は未だに残っているらしい。
「は、は、は、は、は、は、は、は」
 武具になろう。キトは思った。
 主の意思で振るわれる武具に。美しく誉れある斬ル姫たちのように。
 揺ぎ無き魂をもった武具になろう。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「結局どうにもならないのよ」
 所在なさげに立つアロンダイト・獣刻・ユニコーンを慰めるような口調でガ・ジャルグ・獣刻・イーリスは言った。

766pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:40:05
 彼女たちいる部屋には液晶画面が壁に備え付けられていてそこから話し合いの様子が見える。
 自然共生委員会と呼ばれる十三種族の長達が行う会議だ。
 トレイセーマではあらゆる決まり事がここでの話の末、決まる。
 独裁もない。暴力もなく。全員が納得したした上で物事は決定される。
この平等性こそがトレイセーマの理念なのだ。
 だが今はどうにも揉めているらしい。
「あなたを処分するべきとの意見が半数。問題なしとの見方が少数。あとは日和見かしらね。正直足の引っ張り合いよ」
 ガ・ジャルグが不快そうに眉をひそめる。
 彼女の怒りの矛先が議会に向いているのを感じ取りアロンダイトは彼らを弁明するように
「ですが私は……」
「いいの。何も言わないで。あなたは何も悪いことはしていない。捨て石にされて生きているだけでも立派なのよ。さらにあなたは生きて帰った。褒められることはあれ非難される筋合いはないわ」
 アロンダイトの言葉を途中で遮ってガ・ジャルグは早口で言った。

 あの後、アロンダイトは無事にトレイセーマへ帰還していた。
 寝ずに待っていた梓弓に迎えられ暖かな時間を過ごしたのもつかの間。十三議会に連行されこうして裁きを待っている。
 ハルモニア兵と過ごした時間が長すぎたのだ。危険思想を持って帰ってきたのではと疑われている。
「結局どうにもならないのよ」
 ガ・ジャルグは同じことをまた言った。
 彼女はカシウスというトレイセーマの盟主と議会との連絡役をしている斬ル姫だという。アロンダイトの動きもかなり前の段階から見ていたらしい。
「もうじき議会はあなたへの対応どころじゃなくなるわ。『大穴』で厄介な奴らが動き始めているんですから。あなたは『忠実かはともかく問題なし』なんて中途半端な処分で放り出されるわ」
「ガ・ジャルグは、どうなのですか」
「ん? 何が?」
「トレイセーマのやり方は本当に正しさについて。平等とは何なのか。どう思っているのですか?」
 アロンダイトの唐突な質問にガ・ジャルグは少し沈黙して、
「カシウス様はね。何もおっしゃらないの」
 ガ・ジャルグの紅い目がここではないどこかを見つめた。
「政治に軍事、内政もそう。この国の盟主って立場なのに地下に籠りきって何も干渉しない。意見を伺っても謎かけみたいな返事でどう思っているのかもわからない。なんでだと思う?」
 アロンダイトは少し考えてから首を横に振った。
「……わかりません」
「私もわからないわ」
 ガ・ジャルグは悪戯っ子のように微笑んだ。
 ころころと表情の変わる斬ル姫だ。
「思うのよ。十三議会っていつも揉めた末に何も決まらない。でもカシウス様が一言おっしゃればその方向に彼らは動くわ。だからカシウス様は何も伝えようとしないの。あの方は優しいから。自分の一言で誰かの意思を強制的にねじ伏せたりは決してしないのよ」
 ちなみに私は今のトレイセーマの議会は腹が立つけど嫌いじゃないのよ。とガ・ジャルグは続ける。
「だって誰の意見も通らない状態ってすごく平等じゃない?」

767pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:40:35

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 数ヵ月がたった。
 アロンダイトはしばらくの間はトレイセーマの領内で活動していたのだがある日、上層部から奇妙な任務を任された。攫われたティルヘルムの姫を奪還するためにティルヘルムの者たちと共同で追跡にあたれと言うのである。
 そのようなわけで彼女は久しぶりに国外に出ていた。


「たくさんのケイオスリオン兵が倒れてる……」
「これは……かなり激しい戦闘が行われたようですね……」
 青い短髪の少女の言葉をそばを飛ぶ乳白色の妖精が補足した。
 青髪の少女はアルマス。妖精の名はティターニア。
「ですが、敵兵の姿が見当たりません。倒れているのは全てケイオスリオン兵のようです」
 アロンダイトは周囲を見回して警戒を強めた。
 周りに倒れているケイオスリオン兵を倒した犯人はまだ近くにいるのだろうか。
 アロンダイトは同行する者たちに気づかれないようにそっと隠れて追跡してきている梓弓の方を見た。岩陰からこちらをじっと観察している梓弓が誰もいないとアイコンタクトを返してくる。
「で、でもっ。これってチャンスなんじゃねえか!? 今のうちに行こうぜ!」
 仲間からはギルと呼ばれているツンツンとした赤毛の少年が急かすように言った。今にも駆けだしそうな雰囲気である。
 事実そうするのが最適解だとアロンダイトも判断した。敵兵が動けない今ならばこの場所を突破するのは容易い。
 その時、普段は奥の方で静かにしている無口な青年が珍しく口を開いた。
「彼らを助けよう」
 え? とアロンダイトが思った時、呼応するようにアルマスが、
「マスターに言われなくても分かってる。いくらケイオスリオン兵でも負傷者は救助しないと。私達は人類の復権を目指しているんだから差別なんかしないわよっ」
 と宣言するが早いか近くにいたケイオスリオン兵に向かって走り寄った。
 アロンダイトは追従しかけ、はたと立ち止まって少女に聞く。
「……このかたがたを助けるのですか? 敵になるかもしれないのに」
「そんなの今はいいでしょ!」
 アルマスの一喝。
 反論する根拠はたくさんあったはずなのに、その言葉はなぜだかすとんとアロンダイトの心に入ってきて何も言えなくなってしまった。
「傷口は塞がっているようですけどまだ動ける状態ではないのでしょう」
「じゃあ、せめてゆっくり休めるところに運んだ方が良いわね」
 いつの間にか来ていたティターニアが診察を始めておりそのまま流れるように治療する流れになっていた。
「いや、無茶だって! 人数が多すぎるよっ」
 ギルが泣き言をもらすが、
「口を動かす暇があったら手を動かしなさい!」
 とアルマスに怒られてすごすごと手伝いに戻る。
「……………ふふ」
 そのやり取りがなんだか姉妹のようで、おかしくて、微笑ましくて。なんだか関係のないはずのアロンダイトまで楽しくなってしまった。
(さて、私も手伝わなければ!)
 肩をぐるりと回して気合を入れるとアロンダイトは負傷者を抱えては柔らかい地面へと運んでいった。

 ティルヘルムの住人がトレイセーマの斬ル姫と協力してケイオスリオン兵の治療をしている。
(言葉にすればなんて不思議な光景でしょう)
 どこかの物陰で隠れている梓弓もこの光景を見ているのだろうか。
 後で話す機会があったなら彼女ともこのことについて考えよう。
 だけど今は今するべきことに集中しなければ。
「全員運び終わりました! 他に私にできることはありますか!」
 仲間たちが手を振ってアロンダイトを呼んでいる。
アロンダイトは小さく頷くと、彼らの元へ歩いていった。
この時だけはトレイセーマの識別系統B・〇二ではなく。

 彼らの仲間、—―――――斬ル姫アロンダイトとして。






『完結』

768pixivにあげたけど掲示板にも書きたくなったマスター:2019/08/27(火) 14:50:39
これで完結です。
今まで長い間書いてきましたが宣言通り八月までに終わらせられてよかったです。

終わらせてみると達成感よりこの戦闘もっと盛り上げられたんじゃないかとかこのキャラこんなこと言わないとか反省点ばかり目についてしまいます。読んでいただけた方はありがとうございました。
読んでくれた方はお分かりの通りロスラグ本編に続くような終わらせ方をしたのでアロンダイトに救いを与えることができませんでした残念です。でもそのあたりはEPILOGUEシリーズの方が私以上の筆力で書いてくださったので正直私も救われました。ありがとうございます。

なお今回は間に合わなかったので短編はないです。そのうち上げるかもしれません。
最期に二か月くらいの間付き合っていただいて本当にありがとうございました。

769名無しさん:2019/08/27(火) 20:54:23
>>768
待て、早まるな

770名無しさん:2019/08/27(火) 21:11:24
>>768
最期とか言うなよ!一緒に一年後の水着コマンドラグナを見ようぜ!!

771リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/27(火) 22:49:15
【でぃすらぷ!】
第2話「上空にて」

同行を申し出たヘレナと見回りをしている。
どうもニールの調子が悪いらしく、ムーに二人乗りすることを半ば強引に決められてしまった。

「気持ちいいな、ニールとは違った乗り心地だ」

背中に掴まるヘレナが呟いた。

「ねぇ、やっぱりムーに同乗することは無かったんじゃない?」
「もしかして疑っているのかい?ニールは前回の見回りで負傷したと話したろ?くふっ」

嘘であろうことは理解した。

「はぁ…いいわ、ムー。ひとまず戻って」

ムーは「おう!」と返事をして旋回を始める。

「……ところでレーヴァ」
「何?」
「拠点に着く前に、ちょっと確認したいことがあるんだが、いいか?」

ヘレナはスルリと腰に腕を回す。

「ヘレナが一生懸命みんなのために見回りをしている間、カリスと何か妙な事は無かっただろうね?」
「な、何の話し?」

腰に回された腕はそっと躰を撫でながら徐々に上へと移動してくる。

「ちょっと…ヘレナ…!」
「ほ〜ら、しっかりムーに掴まっていないと振り落とされるぞ?ヘレナはただ確認したいだけなんだ。くふっ…!」

こちらが手を離せないのを良い事に、その手はついに胸元を撫で始める。

「…っ!や、やめて、ヘレナ…」
「レーヴァがヘレナに隠している事を話してくれれば、直ぐにでもやめるさ」

おそらくある程度の察しはついているのだろう。
ヘレナの追求はいよいよ服の下まで入り込み、直接刺激が行われる。

「っふ…っはぁ…!」
「ヘレナは怒ってるわけじゃないぞ?ただ、不公平は良くない。レーヴァもそう思うだろ?」
「…そうね…じゃぁ、これでいい…?」

ヘレナの腕を振りほどき、振り向きざまに抱き付き耳元で囁いた。

「心配しなくても大好きよ…いつも、感謝してる…」

最後にヘレナの額に口付けをする。

「〜〜!!!」

さっきまでの勢いはどこへやら、簡単にヘレナは卒倒した。
二人して上空に投げ出される。

「うぉい!何してんだ、二人とも〜!!」

間一髪、ムーが急降下して背で受け止めてくれた。

「ごめん…ムー。しばらく休ませて…」
「お、おう?どうしたってんだ?」

激しい脱力感。あれ以上身を任せていたら危なかった…。

『ちょっと…良かったけど…』

ふいに出た考えをとっさに振り払う。

『よ、良くないし!』


つづく

772リクエストあれば気が向いたら書くかも:2019/08/27(火) 22:53:39
消されたらすみません

773頑張れネスちゃん:2019/08/27(火) 23:19:36
大家さん「マスターさん、いい加減滞納してる家賃払ってくれない?」

マスター「・・・・・・・・・」

大家さん「払ってくれないならもう出てってもらえる?」

ネス「わたしが、わたしが代わりに払いますからっ・・・あれ?」

大家さん「どうしたの?」

ネス「あの・・・マスター、棚に仕舞っていたいたお金知りませんか?」

マスター「あー、増やそうと思ったんだけどな・・・悪いw」

ネス「・・・・・・・・・もうやだ」

774名無しさん:2019/08/28(水) 11:55:21
>>771
えっちだ…(いいぞもっとやってください)

775名無しさん:2019/08/28(水) 11:56:18
>>773
大工のお兄さんはよ来てください(現場ネスネタ)

776名無しさん:2019/08/29(木) 11:19:52
今現在作者さんって何名くらいかな?

777名無しさん:2019/08/29(木) 13:30:21
>>771
攻めは容赦ないけど初心なヘレナいい…
レーヴァは…そうやって思わせぶりなことしてるから取り返しのつかないことになるんだね

778名無しさん:2019/08/29(木) 15:01:19
>>776
はっきりとわからないけど三人は作者いる
他にもまだいるだろうけどよく書くのは三人

779名無しさん:2019/08/29(木) 15:30:06
アロンちゃん
ホラー路線の人
シリアス路線の人
ぴくちぶの人
くらいかな、他に3人くらい居そう

780名無しさん:2019/08/29(木) 16:07:50
エピローグの人
アバリスの人
ライダーネタ混ぜる人
過剰編の人

誰かと誰か被ってるかも?

781名無しさん:2019/08/29(木) 16:11:07
同じ人でも違うのを書いてるって可能性があるからあまり断言出来ない

782名無しさん:2019/08/29(木) 16:18:47
みんな違ってみんないい

783名無しさん:2019/08/30(金) 00:21:22
SS勢特オタ多くない?

784名無しさん:2019/08/30(金) 00:24:14
あろ〜んライダー・・・ジオウ〜!

785名無しさん:2019/08/30(金) 00:34:26
アロンが全てのライダーになれるのか....それってディケイドじゃね?

786名無しさん:2019/08/30(金) 01:52:21
アルマス「ラグナロク神令ユグドラシル絶対に許さないわ!」

787名無しさん:2019/08/30(金) 02:01:35
最低者「全部私のせいだ!ハハハハハハハッ!」

788チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 15:54:16
チャレンジアロンちゃん10

これはアロンダイトをバカにするものではございません出来ないアロンを愛でるためのものです
と書いてあるが今回あまりアロン関係ない

マスター
「アロン今日のチャレンジは...」

アロンダイト
「マスターすみませんが私今日は忙しいので出来ません」

マスター
「ええ!今日なんかやるの?」

アロンダイト
「はい今日は竜に乗る練習をするので」

マスター
「まだ諦めてなかったのか...」

アロンダイト
「諦めたらそこで終了ですので」

マスター
「そう」

アロンダイト
「では」

マスター
「では」

マスターはアロンダイトを見送った

マスター
「さてどうしようか」

フェイルノート
「お前さん今は暇?」

マスター
「うんまあ暇かな?」

フェイルノート
「それじゃあ一緒に調査を手伝って」

マスター
「調査?」

789チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 16:08:02
>>788
二人はケイオスリオンに来ていた

マスター
「ケイオスリオンってこんなきらびやかなところだったけ?」

ケイオスリオンは絢爛豪華な街並みになっていた

フェイルノート
「違うわねもうちょい暗い色合いよ」

マスター
「でもなんでこんなことになってんだ?」

フェイルノート
「あれよ」

マスター
「あれ?」

フェイルノートが指さしたところには街の中でも一際大きくて豪華な建物があった

マスター
「あれは?」

フェイルノート
「カジノね」

マスター
「カジノ...」

フェイルノート
「ギャンブルとかで金儲けするところね」

マスター
「ここの調査ってことね」

フェイルノート
「ええそうねちょっと行ってみましょう」

二人はカジノの前に来ると立て札のようなものを見つけ読んだ

『ここは絢爛豪華なカジノですそれ相応の服装の方のみ入れます』

マスター
「どういうこと?」

フェイルノート
「ドレスコードって奴ね」

マスター
「ふーんなるほど....ってアバリス?」

マスターは路地で座り込んでいるアバリスを見つけた

マスター
「どうした?大丈夫か?」

アバリス
「あ、マスター大丈夫です買い物に来たらきらびやかなところになっていて少し立ちくらみがしたのでここで一休みしてました」

フェイルノート
「二人とも私がそれ相応の服を持って来るからここで待っていて」

マスター
「わかった」

アバリス
「え?私なにかに勝手にカウントされてません?」

790チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 16:25:29
>>789
フェイルノートが持って来た服を二人は着替えて集合した

フェイルノート
「ふふどう似合ってるかしら?」

フェイルノートは紫のドレスを着ていた

マスター
「なんか子どもが背伸びして着てる服みた..」

フェイルノートの後ろにいるルシファーが弓を構えてマスターを狙っていた

マスター
「トテモオ似合イデスオ嬢様」

フェイルノート
「ふふそうでしょう」

アバリス
「マ、マスターどうですか?」

アバリスは水色のドレスを着ていた

マスター
「////」

マスター
「に、似合ってるよ/////」

アバリス
「あ、ありがとうございます////」

フェイルノート
(私はなにを見せられているのかしら)

三人はカジノに入った

アバリス
「う、眩しい」

マスター
「大丈夫アバリス?」

アバリス
「大丈夫です」

フェイルノート
「とりあえずカジノだから賭け事でもしてみましょう」

マスター
「調査は?」

フェイルノート
「賭け事ついでに調査よ」

マスター
「わかった」

791チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 16:47:08
>>790
三人はそれぞれ調査と一緒にカジノをした

マスター
「負けた...次こそは」

フェイルノート
「お前さんもう止めときなさい」

マスター
「フェイルどうして?」

フェイルノート
「賭け事は熱中すればするほどダメよ」

マスター
「なるほどそれじゃあアバリス呼んで帰ろう」

アバリスがポーカーしてるところに行くとアバリスには少し山盛りになったチップがあった

アバリス
「えっと...じゃあこれぐらいで」

アバリスは少しのチップを賭けた

フェイルノート
「なによ!そんなにチマチマと賭けて!」

フェイルノートはアバリスが持ってたチップ全部賭けた

アバリス
「フェイルノート!もし負けて無くなったらどうするんですか!?」

フェイルノート
「逆に全部無くなったら変にしがみつかずに済むでしょ?」

アバリス
「わ、わかりました....ビット150枚」

客A
「ほう嬢ちゃん強気だねそれじゃあ俺はレイズ200枚」

客B
「面白いねこういう気狂いの賭け事は嫌いじゃないレイズ300枚」

従業員
「それではカードを公開してください」

客A
「フォア・カード」

客B
「勝ったなストレート・フラッシュ」

アバリス
「えっと...これはなんと言うんでしょう?」

アバリスは従業員からもらったポーカーのルール本を読み役を確認した

アバリス
「えっと...ロイヤルストレートフラッシュ」

全員黙ることしか出来なかったはっきり言うと自分から賭けさせておいたフェイルノート自身も驚いた

792チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 17:06:55
>>791
三人はチップを現金に換えてカジノを出た

マスター
「アバリスって意外に豪運だったのね」

フェイルノート
「そうねスロットは回す度に777が出てルーレットなんて一流のディーラーが相手なのに勝つし」

フェイルノート
(もしかしたら...使えるかも)

フェイルノート
「アバリス少し私に付き合って」

アバリス
「は、はい」

フェイルノートはアバリスを連れてどこかに行った

それからフェイルノートはアバリスを連れて色んなカジノに行った

そしてアバリスはその豪運でありとあらゆる賭け事に勝って行き色々なカジノが潰れていった

マスター
「あれから全くアバリスに会えてない」

アロンダイト
「そうですね5回目以降からよく出ていたので会えないと少し寂しいですね」

梓弓
「マスター宛に手紙です」

マスター
「俺宛?」

マスターが手紙を見た

マスター
「これは手紙と言うより招待状みたいだな」

アロンダイト
「二枚ありますね」

マスター
「書いてある場所に一緒に行ってみるか」

アロンダイト
「そうですね一緒に行きましょう」

793チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 17:23:24
>>792
二人は書いてある場所に行くと大きな屋敷があった

マスター
「なにこの建物」

屋敷の前に行くと兵士に止められた

兵士A
「ここはアバリス様のお屋敷です入りたければ招待状を提示しろ」

アロンダイト
「アバリス...様?」

マスター
「招待状ってこれ?」

兵士B
「お持ちなら最初から言え」

兵士は二人を屋敷の中に入れた

アロンダイト
「広いですね」

マスター
「それでアバリスはどこにいるの?」

アロンダイト
「あれじゃないですか?」

マスター
「なんで解るのアロン」

アロンダイト
「ほら」

アロンダイトが指さした部屋の扉には『アバリスの部屋』と書いてあった

マスター
「なんとわかりやすい」

二人はアバリスの部屋に入ると部屋は豪華な飾り付けされていてアバリスは豪華なドレスを着ていた

794チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 17:47:10
>>793
マスター
「アバリス...」

アバリス
「マスター...マ"ス"タ"ー」

アバリスは大粒の涙を流しながらマスターにしがみついた

マスター
「アバリスどうした?」

アバリス
「実は...」

アバリスは自分の運のせいで勝負に負けた人カジノを潰してしまったことそれに罪悪感を感じていたことを話した

アロンダイト
「でもフェイルノートに嫌と断れば良かったのでは?」

アバリス
「フェイルノートからはあれやこれやの正論で言いくるめられたり話をそらされたりと」

アロンダイト
「苦労していると」

アバリス
「はい」

マスター
「力ずくで戻ろうにもフェイルが相手だと勝てるかどうか」

アロンダイト
「はっきり言うと無理ですね」

マスター
「そうだなどうしよう?」

二人が悩んでいると兵士が入って来た

兵士
「面会の時間は終了だ!出てけ!」

二人は屋敷からつまみ出されてしまった

マスター
「面会時間ってあそこは刑務所か!」

アロンダイト
「でも作戦を考えないといけませんね」

マスター
「そうだな考えよう」

アルマス
「二人ともこんなところでどうしたの?」

カシウス
「なんらかの困り事?」

マスター
「二人とも実はな...」

795チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 17:58:56
>>794
マスターは事情を説明した

アルマス
「なにをやってるのかしらフェイルノートは?」

カシウス
「でも彼女は完全悪意であるわけではない」

アルマス
「そうね彼女はなにを考えているのかしら?」

マスター
「なにか良い案ないかな?」

カシウス
「ある」

マスター
「あるの!?教えて!」

カシウス
「こういう作戦」

カシウスはこしょこしょ話で教えた

アロンダイト
「そういえば二人はなぜあんなところに?」

アルマス
「ちょうど私たちもアバリスを探していたのよ」

マスター
「アバリスを?なんで?」

カシウス
「甘美なる一時を再び求める」

マスター
「また姉に甘えたかったのね」

アルマス
「姉?え?どういうこと?リサナウトじゃダメなの?」

カシウス
「彼女は不採用」

マスター
「残念リサちー不合格」

その頃リサナウト

リサナウト
「へっくち風邪かな?」

796チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 18:14:32
>>795
マスター
「ねえ上手く行くと思う?」

アロンダイト
「行きますよなぜなら私の姉が考えたので」

マスター
「その話まだ引きずるのね」

その頃フェイルノートが歩いているとぬいぐるみが置いてあった

フェイルノート
「.......」

フェイルノートは辺りを見渡して誰もいないのを確認した

フェイルノート
「中々かわいい見た目してるじゃない私がもらってあげるわ」

フェイルノートがぬいぐるみを取ると道になるようにぬいぐるみが置いてあった

フェイルノートは道に続くようにぬいぐるみを追った

フェイルノートがある部屋に入るとアロンダイトとカシウスが待っていた

フェイルノート
「あなたたちどういうつもりかしら?」

カシウス
「フェイルノートあなたはぬいぐるみに弱いのは変わらずね」

フェイルノート
「うるさいわね」

アロンダイト
「私たち二人の姉を...アバリス姉さんを返してもらいます」

フェイルノート
「ん?姉?どういうこと?」

カシウス
「細かいことは気にしない」

フェイルノート
「いやそこは気にするところでしょ」

アロンダイトとカシウスは武器を構えてフェイルノートに向かった

フェイルノート
「良いわ二人とも死なない程度に痛めつけてあげる!」

797チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 18:31:28
>>796
その頃マスターはこっそりとアバリスのいる部屋まで来た

マスター
「アバリス迎えに来たよ」

アバリス
「マスター迎えに来てくれたんですねでもどうやって脱出するんですか?」

マスター
「窓から」

アバリス
「え?危なくないですか?」

マスター
「大丈夫大丈夫助っ人がいるから」

マスターがお姫様抱っこした

アバリス
「え!?なんでお姫様抱っこするんですか?」

マスター
「そっちの方が安全だから」

アバリス
「え?安全ってどういう..」

アバリスが言い終わる前にマスターは窓から脱出した

二人はラグナロクが乗ってる竜に乗っていた

マスター
「ありがとうラグナ助かったよ」

ラグナロク
「私の意志と志を共感してくれたアロンダイトからの頼みだからよ」

マスター
「はいはい」

フェイルノートは窓を見るとアバリスが逃げているのを見た

フェイルノート
「はぁー私としたことがあなたたちに気を取られ過ぎていた」

フェイルノートは机の中から鍵を取り出し金庫を開けた

アロンダイト
「なんですか?そのお金」

フェイルノート
「ほら最近金欠でしょ?だからよ」

カシウス
「良いことかも知れないけど手段を考えて」

フェイルノート
「悪かったわよ」

三人はお金を回収して屋敷から出て行った

カシウス
「フェイルノートこれって...夜逃げ」

フェイルノート
「それ以上言わない!」

798チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 18:38:45
>>797
マスター
「大変だったなアバリス」

アバリス
「はい自分がこんなにも運を持ってるとは思いませんでした」

マスター
「それでフェイルはどうなったんだ?」

カシウス
「シャルウルの説教受けてる」

カシウスはアバリスに頭を撫でてもらっていた

マスター
「それはきつそう」

アロンダイト
「一件落着ですね」

マスター
「そういえば今回なんのチャレンジだったの?」

アロンダイト
「『アバリスをフェイルノートの魔の手から救出するチャレンジ』ですかね」

マスター
「今回はそれで良いか」

まだまだチャレンジすることはありそうだなと思うマスターであった

799チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 18:41:09
>>798
いつもよりも長くなってしまった
アバリスは幸薄そうだけど意外に豪運あると思います

800名無しさん:2019/08/30(金) 18:58:10
>>799
姉のピンチに駆けつける妹達

801名無しさん:2019/08/30(金) 19:02:12
>>800
途中送信しちゃった
不採用のリサナウト
フェイルノートの調査が結局なんだったんだろう
あとドレスアバリス実装して(切実)

802名無しさん:2019/08/30(金) 19:04:40
嫁フェイルに期待、シユウでもいいぞ
通常のが1つで恒常しかないのに一躍人気になったアバリスってほんとアババババ

803名無しさん:2019/08/30(金) 19:19:39
>>802
我が調査では(独断と偏見)フォルカス人気投票と一緒に実装したから多くのフォルカス狙いの人が見初めた可能性があると思われるゾ
あとたまたまかもだが元旦に人気投票verと共に実装してる経歴を2回持ってるゾ
つまり運営はアバリスを売り込みたかった…?

804名無しさん:2019/08/30(金) 20:17:55
ところで連載系が多くなってきたこの頃見返しとかで前話を探すのが辛くなってきた。
何か良い手はないものか

805名無しさん:2019/08/30(金) 20:24:54
管理人さんがまとめてくれるのを待つとか?
それ以外は思い付かないな

806チャレンジアロンちゃん:2019/08/30(金) 20:55:33
チャレンジアロンちゃん10.5

マスター
「そういえばフェイルの調査って結局なんだったの?」

フェイルノート
「それは秘密よ」

マスター
「なんだてっきりカジノに興味があるからだと思ってた」

フェイルノート
「そんなわけないでしょ!」

マスター
「そうだよな」

フェイルノート
「そうよ私があんな運だけゲームやるわけないでしょ」

マスター
「いやポーカーとかルーレットとかは頭を使うみたいなこと聞いたからもしかしてと思って」

フェイルノート
「勘違いも大概にしてほしいわ」

フェイルノート
「私も聞きたいことがあったわよくあんな数のぬいぐるみ集めれたわね」

マスター
「ああ、あれは全部アルマスのお手製ぬいぐるみ」

フェイルノート
「アルマスってあれよね?」

マスター
「まあ人造であってもあれだね」

フェイルノート
「私が言うのもなんだけどもうちょい敬いなさい」

マスター
「アルマスが率先してやるって言ったから」

フェイルノート
「彼女はまず自分の限界を知るべきね」

マスター
「アルマス自分の限界知ってもそれを越える!とか言いそうだけどな」

フェイルノート
「全く世話の焼ける友達ね」

フェイルノートは少し呆れていたのであった




今回のはとりあえず補足説明みたいな感じです

807名無しさん:2019/08/30(金) 21:09:04
>>806
補足サンクス!
調査(デート)だとしたらアバリスは連れてかないだろうなともんもんしてた。
神のみぞ知る…

808名無しさん:2019/08/30(金) 21:22:31
いや逆に調査(デート)でマスターとの二人っきりがあまりにも恥ずかしくて胸がドキドキしたから気を紛らわすためにあえてアバリスを呼んだのかもしれない

809名無しさん:2019/08/30(金) 21:38:25
>>808
なんて奥ゆかしいんだ…!




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