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少女たちの夜
122
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 15:02:27
こじはるは優子の隣にべったりとくっ付いたまま離れようとしない…よっぽど怖いのだろうか?
部屋全体が停電にあった以上ずっとこのままの状態である、まったくしょうのない人だ…優子の腕にしがみつく陽菜。
『ちょっとにゃんにゃん、いつまで私の腕にしがみついているのよ?
あっ!!!ひょっとしたら怖いのかな?』
『そ、そんなことないよ?ゆうちゃんだって同じじゃん、だってさこんな暗い部屋にずっといたら嫌じゃない』
子供のように駄々を捏ねる陽菜に佐江ともっちぃはクスクスと小さく笑う。
『あーっ、佐江ちゃん…もっちぃ笑ったでしょう」
子供っぽく怒る陽菜。
『あっはっはっ!!!!
ゴメンゴメン、だってにゃんにゃんって結構怖いもの知らずだし全然びびってないと思っていたんだだからその』
『ごめんなさいこじはるさん、私も同じなんです』
陽菜を小馬鹿にからかう2人。
『えーっひどいよ、ゆうちゃんからも何か2人にいってよ』
『・・・・嫌だよ、なぜ私が言わなきゃならないの?にゃんにゃんってそういうところが可愛いんだもん』
優子は無邪気に言う。
『もう意地悪っ!!!!』
にゃんにゃんはちょっと膨れっつらしたようにいう、部屋の中は薄暗いままではあったが
会話でちょっと空気が明るくなった気分だ…弱弱しい蝋燭の明かりの中で笑い声がしたのは言うまでもない。
123
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 15:40:43
そしてともちんの部屋では。
『とも…こわい』
ともちんの腕にしがみつくとも〜みはちょっと泣きそうな声を絞り出すように言った、ともちんは弱弱しい蝋燭の炎を憎憎しく見た。
自分の腕時計をチラッとみた、まだ8時20分だ。
『あきちゃ、怖くないの?』
ゆきりんがあきちゃに心配しそうに言ってきた。
あきちゃは小さく頷いた…ただ身の危険があると本人も十分承知していた…ただでさえ停電しているのに彼女が怖いっていうのは嫌だったと。
あきちゃは嘘をついていたのだ。
『ともちんさんどうしますこれから?』
『どうするっていったって、今夜は皆で一夜を過ごすしかないんじゃない…これじゃ身動きも取れないし』
ともちんは冷静に言うしか出来なかった…重い空気がのしかかる。
124
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 15:42:15
ともちんの告白はそれで終わり
皆何事もなく深い眠りに付いた。
125
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 15:50:48
ガチャッ!!
ペンションの一つの部屋の扉が開く音がした。
誰かが部屋から出る音がする。
部屋から出てきたのは…優子とともに一緒にいたまゆゆと優子だった。
何故彼女が?
…じつは部屋のトイレがあまりにも暗くて使うのが怖いためだったので1階の便所に行きたいと言ってきたからだ。
優子にお願いしたまゆゆは…快く良いと言った。
『…まゆゆ、大丈夫?』
ペンション全体は相変わらず停電したまま電気が未だ通っていない様子、部屋にあった蝋燭を持ち出しゆっくりと2階の廊下を歩くまゆゆと優子
2階の廊下は怖いくらい静かであった、まるで皆が死に絶えているような空間に張り込んだ気分でもある。
126
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 15:58:35
『優子ちゃん…怖いよ、お化け出そうだ』
『落ち着いてまゆゆ、私も付いているから…大丈夫だって』
優子の心強い言葉に励まされたまゆゆ、ちょっと安堵の表情を浮かべるまゆゆ。
廊下から1階に降りる階段までおおよそ1分ほどかかった…この廊下が妙に長く続いてると思った2人。
まるで長い道を歩いていた気分だった。
階段を降りる2人。
ギシッギシッと嫌な階段の音がするのがわかりまゆゆは一瞬耳を塞いだ
蝋燭の炎だけが今は頼りだ…でもどうにか1階に下りて談話室の奥にある便所までたどり着くことが出来たのだ。
急いでようを足したまゆゆ。
早く帰りたいと思っていたまゆゆ・・・ペンションなのに薄くらい場所に立っていて彼女の心臓の音はいつも異常に早く脈を打っていた。
ここには長くいては危険だとわかったからまゆゆは一刻も早く便所から出たかった。
127
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:10:47
長居は無用とわかり2人は1階の便所を後にし2階へ戻る。
優子もそんなことで頭の中がいっぱいいっぱいであった。
暗闇で何度も足を取られながらもどうにか2階への階段の前に着く
ゆっくりと階段を登りきり2階へ付く。
なんとか自分の部屋までたどり着いた優子とまゆゆ、すると…付いてきたはずのまゆゆがいない。
どこに行ってしまったのか?
必死で1人2階の暗闇の廊下を探し歩く優子、胸騒ぎがする。
彼女も心臓の脈が大きく脈を打つ…まゆゆ、どこに行ったの?いるなら返事して。
『まゆゆ…どこにいるの?返事して』
しかし返ってくるのは彼女だけの虚しい声だけ・・・
一刻も早くまゆゆを探さないと、焦りだけが募る優子。
と、蝋燭の炎を廊下の奥に照らす。
『麻友どこにいってたの!!
心配したんだからね…1人で勝手に行っちゃうんだから』
2階の廊下の奥に行っていた麻友、見つかってホッと安心する優子。
『どうしたのまゆゆ、扉の前にずっと立っていて…何かあったの?…ってここあっちゃんが言っていた例の開かずの扉の前じゃない、何しているのここで』
ここは昨日入ることが出来なかった開かずの間…佐江も扉を破ろうとした例の部屋?
何故ここに。
もしかしてまゆゆも扉を破ろうとするんじゃ?
128
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:21:16
いや。
いくらなんでもそれは無理な話…小さい体の彼女にそんなことが出来るはずがない。
非力の彼女では到底ありえないことだ。
優子はくだらない考えを捨てた。
『まゆゆ、ここにいてもしょうがないよ
ここは開かずの間だよ、私たちじゃ入れないんだからさ…部屋戻ろう』
優子はまゆゆにやさしく声を掛けるもののまゆゆはそこから一歩も動こうとしない。
『この部屋…なにかあるよ優子ちゃん』
『えっ!!って開かずの間だよ…誰もいないからさ…それにさこの部屋は扉に
釘が打ち付けられていて入れないんだ、だからここは諦めよう・・・ねっ』
優子は何度もまゆゆに声を掛けるものの彼女は全く優子の声に耳を傾けようとしない。
まゆゆは扉の真下のところを指差した。
お願いまゆゆ、私も怖い思いはしたくないんだ…だからこれ以上は。
ふと、扉の真下を蝋燭の炎で照らす優子。
するとそこに『麗美』と黒い文字で小さく書かれていた文字があった…一体誰のことだ?
そんな名前の人物は今までにはいなかった…誰かがいたずら書きしたのだろうと優子は思った。
129
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:26:50
まゆゆも文字を食い入るように見る。
だがそれ以上のことは全くわからない…2人はその場所を後にした。
結局解らずじまいで開かずの間を再び後にする。
優子は何事もなく部屋に戻って床についた。
130
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:29:38
あたりは大きな暗闇に包まれていた。
皆その場には誰もいない…まるで死に絶えたかのような静けさが包まれる。
電気は通らない、道は完全に遮断され、おまけに電話も繋がらない。
まさに少女たちは完全に閉じ込められてしまった。
このペンションに。
131
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:40:05
外は完全な夜に包まれていた。
大きな月が夜空を照らす…ペンションも大きく照らしていた。
しかし月がペンションを照らしていたとき。
2階には誰もいないはずの人影がペンションの床に大きく映し出す。
…その影は長い髪を大きく靡かせてゆっくりと床に照らしゆっくりと歩き出す。
外見からするとよくはわからないが女性の影であった。
足音は全くしない…一歩一歩影はゆっくりと歩いていき彼女たちのいる部屋を通り過ぎていった。
やがて影は動きを止め開かずの間の扉の前に立つ。
…少女たちが入ることが出来なかった開かずの間。
その時。
開かずの間の扉がゆっくりと音を立てて開いていく音がした…ゆっくりと歩き出し影はゆっくりと開かずの間の空間へと消えた。
そして、開かずの間の扉は音を小さく立てながらしまる音がした。
寝静まっている少女たちはまだその事を知らない。
132
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:41:51
開かずの間の扉は再び閉じられた。
だがどうやって音も立てずに入ることが出来たのだろうか?
何も知らない少女たちの夜がまた過ぎ去っていった。
133
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:45:55
夜が明けて3日目の朝。
料理長の細田が朝食を作ってくれた。
しかし皆食が細いせいなのかあまり食事は喉を通らなかった。
とくにまゆゆと優子とともちんは食事に手をつけずに大食堂をあとにした。
皆も気まずいせいなのか大食堂を後にする。
134
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 16:53:30
皆1階の談話室にいた…ペンションのスタッフ以外
ここは山の上、電話も繋がらなければ皆が持っている携帯電話も電波が通らない。
完全に檻の中に今はいる。
突然ともちんがソファから立ち上がった。
『どうしたのともちん、突然立ち上がってさ』
敦子の問いかけにともちんが答えた。
『ねえあっちゃん、ちょっと付き合ってほしいんだ一緒に』
『えっどうして?』
ともちんの言葉に敦子はちょっとしどろもどろした、付いてきてほしいって一体何処に。
135
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:03:23
『ピアノホールあったでしょう
あそこに行きたいんだ私、それにここにいたってじっとしているのは嫌だし』
ともちんは何を思ったのか?
突然1階のピアノホールに行くと聞かない。
『ともちん突然どうしたのよ、ピアノホールに行きたいってどういうことなの?
そのわけを教えてほしい私に。』
たかみながともちんに問いかけてきた。
『あのね、たかみなは見ていないかもしれないけどもあそこって最初にアルバイトの人が殺された場所だよね
これは私の勘かもしれないけどもあそこになにかあるかもしれないんだ』
皆はえっと驚く表情を見せるものや、ビクッする者がいた。
敦子はただ黙っていた、しかしたかみなは。
『ともちん…それは無理
現に勝手な行動してはいけない…それなのに興味本位で危険なところに行くのは私は許さない』
『たかみな』
怒ってはいないもののたかみなの口調はちょっと怒った口調でもあった。
敦子もその場を見守るしかなかった。
136
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:09:56
『わかっているわ。
でもともだって皆の前でカッコつけているんじゃない…それに』
『それに…』
『皆も黙っていていられるわけないじゃない…秋元先生だって言っていた
黙っていたっても始まらないし行動あるのみだって』
ともちんの必死な言葉にたかみなも聞く。
声が聞こえたせいなのか女性アルバイトの岩下が廊下で話を聞いていたからだ。
『ともちん…いくら秋元先生の言葉でもそれだけは駄目だわ。
現に皆はこうしているだけでも精一杯なんだ…だから今は耐えて生き延びるしかないのよ』
たかみなははっきりと腹をくくって言葉を絞りながら言い切った。
と・・・突然岩下がやってきて。
137
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:14:22
『まるで皆は関係ない口ぶりね』
岩下の声がたかみなに突き刺さる。
『…どういう意味ですか?』
困惑したたかみなは
『まだ解らないの?
まったくおめでたいわねあなた達は…私はねそのとおりの意味で言っているのよ』
少女たちも言葉が出せずに岩下の言葉に耳を傾ける。
『皆も容疑者の人間だって事を』
静寂な談話室に嵐が吹き荒れた
私たちが容疑者?だって。
138
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:19:29
『ちょっと待ってよ
だいいち私たちが容疑者って一体どういうことなんだ』
才加は岩下に問いかける。
『だいいち最初に2人の死体を発見したのは
あなたたちじゃないの?それに』
岩下の言葉は更に続く。
『最初に風間さんを声を聞いたのはあなたたち2人だけじゃない
どっちかが風間さんを殺したのはおかしくないはずよ…私は少なくともそう思う』
岩下は敦子とともちんとあきちゃの3人の顔を見た。
確かに風間さんの叫び声を聞いたのは敦子とあきちゃだった。
そして…風間さんの死体を発見したのは敦子とともちん
139
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:28:39
そして厨房で殺された荒井さんの死体を発見したのは
麻里子、みいちゃんに才加の3人。
でも3人が死体を見つけた頃は昨日の夕食が終わった後だ。
とても犯行できる時間帯じゃ無理だ。
『とにかく私はこの目で見たわけじゃないからね…皆の目がそう言っているかもしれないわ
だからってグループ皆が証言しても無駄よそんなものは証拠にもなりえないのよ』
はき捨てるように言い切る岩下。
と、もっちぃときたりえが岩下に負けじと猛講義する。
『ねえさっきから黙って聞いていたらさ、私たちってずっと部屋にいたよ
それなのにさうちらを犯人扱いしてもらっちゃ困る…証拠がないよ大体』
きたりえの言葉が岩下に突き刺さるものの…彼女はいたって冷静な顔でいる。
『私も…だって私たちは客で来ているのにもかかわらず
犯行時間が大きくずれているんです、同時に2人の殺人に手を掛けるなんて無理な話です』
もっちぃも負けじと言い出す。
140
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:31:30
『フンッそんなことは知ったことじゃないわ。』
岩下はあくまで少女たちが殺人者だと思い込んでいる様子、強気な女だこの人は。
『何を騒いでいる』
新堂オーナーがやって来て、岩下は新堂の顔を見る。
141
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 17:37:06
『オーナー』
『お客さんの前で何をやっているんだ』
『…失礼しました』
岩下は無言のまま談話室を後にする。
『いやあ皆様すみませんね。
彼女も悪気があって言った訳じゃないので…どうかお許しください』
オーナーは平謝りをする。
『いいんですよ、私たちもここにいるわけですから疑われるのもおかしくありません』
たかみなは丁寧に話す。
『それにオーナーさんのせいではありませんし
私たちは仕事でここにいるわけですから…彼女をあまり攻めないでくださいね』
優子もたかみなに助け舟を出す。
『申し訳ない…』
新堂オーナーは納得したようでフロントの奥へと消えていった。
142
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 19:31:17
コンコン
岩下がオーナーのいる部屋に入る。
『失礼します』
岩下が扉を開け中に入ると、新堂が険しい表情で岩下の顔を見た。
『お客様の前でなんであんなことを言った』
怒っていないような口調ではあるものの、その言葉はいつもの客商売のものの声ではない。
ヒッとビクッと顔を引きつらせる岩下。
『でも、現に彼女たちがここに来てまでずっといるのは返って危険じゃないかと』
『ばか者、どうせ今は彼女たちは今は帰ることも出来ない・・・現にこうして電気も使えない、電話も通じないんだ。
それに俺たちや彼女たちもどうせ生きて変えることできない…かえって好都合じゃないか』
『しかしあの少女たちが2人を殺したに違いないって事はわかるわ・・・それに』
『それに・・・』
岩下が言いそうなことに新堂はまた自分の顔の眉を少しピクッと動かしこちらを見る。
『あの昔の出来事が起きなければ私たちは』
その言葉を喋ろうとしたとき新堂の顔色が変わった…づかづかと歩み寄る新堂オーナーは岩下の服の襟を強く掴む。
『その話はやめろっていったはずだ!!!
いいか、あれは事故なんだ…我々が駆けつけてきたときにはあいつはもう死んだと警察からも言ってた
それにいくら彼女たちが容疑者扱いだとしても彼女たちがやったと保障は何処にあるというのだ』
いつにもまして新堂オーナーの顔ではなかった、いやなにか昔の出来事にまだ取り付かれたように。
143
:
プルヒッター
:2012/08/27(月) 19:34:02
『とにかく今後このような話をするのはよせ
今度はクビではすまない・・・もう忘れるんだな』
新堂は岩下の掴んだ服をぱっと離した。
岩下は頭を下げながらオーナーの部屋を後にした…彼らが起こした過去とは一体?
144
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 15:55:53
ともちんはやっぱり気にしていた。
ひとり単独でピアノホールの大扉の前にたっていた、皆が何を言われようともいい。
私だけでも真実を掴むため。
私は大扉のノブに手をかけようとした。
…とその時。
だれかが私の肩に手を掛けた。
誰だ?
145
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:03:31
私は恐る恐る後ろを見る…すると。
『たかみな!!どうしてここに』
たかみなだった、誰かと思ってちょっとホッとしたものの…たかみなはちょっと表情は険しい。
『ともちん
あれほど言ったのに・・・もうっ!!言い出したら聞かないんだから』
『たかみな・・・ごめん』
私はたかみなに平謝りをする・・・すると後ろにはたかみなだけではなく敦子と優子もいる。
『ともちんって結構頑固ね・・・そういうところは昔から好きなんだ』
『でも・・・1人で行くのは危険すぎるよ、もしも何かあったら大変だし』
優子と敦子が私のことを心配してくれて私に言ってくれた・・・ゴメン私どうかしていたよ。
こんなに私のことを気遣ってくれて、とにかくこれだけいてくれれば怖いものなしだね、私は改めて謝る。
『ただし、もう絶対こんな事しちゃ駄目だよ・・・私たちも命の保障はないんだから』
私たちは最初に殺された場所への扉を静かに開けた。
地獄の扉をね。
146
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:14:12
ここに敦子と最初に死体を発見したのはあの時依頼に踏み入れるピアノホール。
まだ外は明るいのに妙に薄暗い。
私たちは死体がある白いシーツをなるべく見ないよう大きなグランドピアノへと向かう。
ピアノにたどり着く。
『なんか私たち現場検証の人みたいだ』
優子は探究心旺盛な気分で無邪気になっている。
明るいからなのかな?敦子とたかみなもピアノのあたりを詳しく調べる。
・・・とくにピアノ自体は怪しいものは見つからず何もなかった、やっぱり何もなかったのかな?
ともはちょっとシャクな気分だった。
諦めてピアノホールから引き上げようとする時敦子が大声を上げた。
『皆、来て』
敦子の声に私とたかみなと優子はそっちに行く。
『どうしたのあっちゃん・・・急に大声を上げちゃって何かあったの?』
『何か見つかったの?』
ピアノのあたりだけを探していて気づかなかったが・・・グランドピアノの隣にハンドルみたいな
ものがあった。
随分錆び付いてはいるものの何か仕掛けなのだろうか?
147
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:25:44
手を掛ける。
『うーーーーんっ』
たかみなが力いっぱいに錆びついたノブのハンドルを回す。
が・・・あまりに錆びついているせいなのか全く回らない、やっぱり女性の細腕では無理のようである。
『今度は4人で回してみよう』
たかみなの合図に頷く敦子たち
今度はどうか・・・4人の手に錆び付いたノブを回す。
ノブがゆっくりゆっくりと動くのが解る・・・これなら大丈夫だ、4人の手にますます力が入る。
すると…目の前にあるピアノホールの真ん中にある噴水の水が徐々になくなってきているではないか。
もっともっと力一杯ハンドルを回す。
手が痛くなってきた・・・でも我慢だ。
やがて噴水に異変が起きた、噴水の池の水がすべてなくなり噴水の下に隠し階段が現れたではないか。
148
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:31:32
『あっ噴水の水が無くなって噴水の下に階段が』
優子が最初に気づいた…この階段は一体何処に続くのだろうか?
地獄の底まで続くのか?それともある意味秘密の研究室なのか?
皆それぞれ思い思いの考えを浮かべていた。
『ペンションにこんな仕掛けがあったとは・・・全く知らなかった』
敦子もまだ目の前にある光景をいまだ信じられずにいる…たかみなもそうだった。
『どうするの
行くそれとも?引き返すの』
ともちんも行くかやめるかためらっている。
『・・・とにかく皆に知らせよう』
4人は一旦ピアノホールを離れ、皆を呼び再びピアノホールへ向かった。
149
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:44:05
全員が再びピアノホールに戻って5分程経った頃。
皆がその光景を見たときには信じられないとの表情だ。
『嘘・・・でしょ』
麻里子さまが疑うように見て言い出した。
『こんなことって』
とも〜みも同じだ。
『夢でもみているのかしら…私たちって』
『何か怪物でもいるんじゃないの』
ゆきりんの困惑言葉に佐江は恐る恐るに言ってきた。
『私も目を疑ったわ…でも現実にこういう風な仕掛けがあったなんて、ちょっと怖い気分だったんだ』
たかみなもまだ信じられずにいる。
『それでたかみなたちはどうやってこの噴水の階段を発見できたの?
まさか?噴水の水を全部飲んだ訳?』
陽菜の悪戯な言葉にたかみなはちょっと呆れた…私はゆっくりと皆を諭すように言った。
『私たちがここに来たときにともちんが最初1人できた。
でも危険だと解って私たちもこのピアノホールの部屋に忍び込んだの、私たちはしっかりとピアノホールの
グランドピアノの辺りを調べたんだ、だけどピアノには何も仕掛けもなく諦めて引き上げようとした』
たかみなの長い言葉の告白は続く。
『たかみなの言ったことはわかった。
でもたかみな最初に言っていたよ、ともちんがどうしてもピアノホールを1人で
調べに行くってたかみなが止めたんじゃない』
みいちゃんが私に問いかけてくる…あまりきつい言い方ではないがちょっと私に怒る表情を見せる。
150
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 16:55:47
『私も初めはともちんをとめた。
でも・・・なんかともちんのことを聞いてさちょっと気になってだから』
みいちゃんも食い入るように私の顔を見ている。
『本当私っておバカだよね、あれほど危険なところに行くなって私自身が言ったのに。
勝手なことをした私が死ぬほどバカだよ』
皆もそれに口を出すものがいなかったものの突然。
パンッ!!
陽菜がいきなりたかみなの右頬に軽く平手打ちをした。
突然のことだったたかみな、バランスを崩し床に倒れこむたかみな。
あーっ私って結局嫌われたのかな?
にゃんにゃんに平手打ちを食らって。
が、立ち上がろうとした時陽菜の目からは一筋の涙が?
『どうしてこんな危険な事したのよたかみな
自分でああいってさ、もしもたかみなや皆のことでなにかあったら私・・・私・・・』
陽菜の涙が止まらなかった…いや現に無理をしていたのか?いつものにゃんにゃんなら天然ボケのマイペースで終わるはずなのに。
こんな風ににゃんにゃんが私に手を出したのは初めてな光景だった。
同じくみいちゃんも泣いていた…同じユニットの『ノースリーブス』の絆なのか?
『たかみなは馬鹿だ・・・本当の馬鹿だよ・・・ともちんにあれほど言ったにも関わらずに
自分だけカッコつけちゃってさ、そんな風にカッコつけて本当に・・本当におばかだよ』
みいちゃんも声をあげながら泣き出した。
151
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 17:02:54
たかみなは何も答えることが出来なかった。
2人の涙にたかみなもまた涙を流す…やっぱり私は馬鹿だった
今改めてたかみなは認識した、仲間の強い絆だと。
『ごめんね、にゃんにゃん・・・みいちゃん!!!!』
たかみなは陽菜とみいちゃんに抱きつかれながらお互い3人で号泣した、他の皆も同情を誘ったのだろうか
この光景に涙するものもいる。
まゆゆ、ゆきりんも涙を浮かべる。
麻里子は涙を流してはいないものの淋しそうな表情を出す。
『いい友情の証ですわ・・・うちもそんな友情に憧れていて・・・ホンマにもう・・・ううっ』
由依もつられて泣き出す。
152
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 17:08:09
ピアノホール内の泣き声が大きく響く。
それを尻目に敦子は噴水を見る。
敦子が噴水の奥深くの地下の階段をチラッと見る…この先には何かがある
そう言い聞かせる敦子だった。
『たかみな。
ほらっしっかりして・・・これからはたかみながしっかりしないと駄目じゃないか。
どうするの?このまま黙って立ち止まっているんじゃ気持ち悪いよ佐江はさ。
そのためにここに来たはずだよ』
佐江ちゃんの言葉が私の背中を押してくれた・・・ゲンキングの彼女も内心心配をしてくれていたようだ。
ありがとう佐江ちゃん。
153
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 17:12:56
もう躊躇わない
私は地下の階段を見た。
『でもここに行くにしてもかえって危険じゃないかな?
地下だし何か武器に必要となるもの持ってきてもいいんじゃない、何かあるか解らないし』
『自殺行為に等しいですよたかみなさん。
それにこのままの丸腰ではうちらはかえってやられる一方じゃないですか』
きたりえとゆきりんの言葉にはもっともごもっともなことだった。
これから探索するときにメンバーに教えられるとは、まだまだ私も不覚。
154
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 17:20:16
とにかく武器を探す少女たち。
とはいったもののこんなペンションの山奥だからたいした武器は期待できない。
あるとしたら。
ペンションにあったモップ、カッターナイフしかない武器としては物足りないものだ。
厨房に包丁があったけども危険だから撤回した。
そして皆が部屋で使っていた数本の蝋燭を持ち出しいよいよ地下の扉を開く。
この先に何か待ち受けるのか
17人の少女たちがいま地下への扉を開いた。
155
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 17:29:29
もはやペンションの電気も通らない。
電話も使えない…帰る遮断も遮られた17人の少女たち。
ここのペンションにはもういられないとわかった17人の少女たち、出口を目指し危険な洞窟の中へもぐりこんだ。
一方その頃。
ピアノホールの大扉の前には人の影があった。
『・・・・奴らめ、遂に見つけてしまったのか?
秘密の入り口の場所を、知られてしまってからには生きては返さない』
『そうね、我々の秘密を知った以上彼女たちに逃げ場はないわ…待っていなさいよ』
『それにしてもあの少女たちがあんなに頭のいい連中だとは』
『厄介なことになりそうね』
4人の人影の声が続くなか。
『まあまて、これからが面白いじゃないか
あいつらは俺たちにとっては招かれざる客のメンバーだ、それに俺はああいった連中が
好きなんでね、まあ逃げられはしないさ』
ある男の1人が冷徹な言葉で喋りだしてきた。
この男の正体と4人の影は。
『逃がすなよ、あいつらは俺たちの手で殺るんだ
そして俺たちクラブの生贄の礎になるのさ…こんな面白いことはないぜ』
男はくくくっと不気味に笑い出した。
156
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 22:16:04
意を決してピアノホールの噴水の隠し階段の扉を開いた少女たち。
重々しい鉄の扉の開く大きな音が皆の耳に入る。
『もう後戻りは・・・出来ない、行くよ皆』
『絶対に生きて帰るんだ』
敦子とたかみなの言葉の合図に皆は頷く。
157
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 22:25:16
扉を開ける。
中は洞穴のような大きな空洞だった。
たかみなが最初に足を踏み入れる。
足を踏み入れた後、一度大きな深呼吸を吸った…気持ちを落ち着かせるようにと。
敦子、優子、そして他の皆も後に続く。
『信じられない
ペンションの奥にこんな洞窟が存在してたなんて、何か不思議だな』
あきちゃは洞穴の中の辺りを見回した、妙に落ち着いた雰囲気を作るあきちゃ。
『皆、足に気をつけて歩かないと』
『滑って転んじゃう』
才加ととも〜みの言葉にたかみなはペンションの部屋から持ってきた蝋燭に火をつける。
火がついて洞窟の壁が明るくなった…完全には明るくはならないものの今は
この炎の蝋燭だけが頼りになる。
一旦後ろを振り向くと、突然鉄の扉が音を立てて閉まっていく。
バターン!!!
佐江と才加がノブに手を掛ける。
だが、2人の力でさえ鉄の扉のノブは回らない。
『開かない・・・ここから先は行くしかないみたいね、たかみな』
才加の言葉に力強く頷くたかみな・・・そうだ、もう後戻りはもう出来ないのだ。
少女たちにとって過酷な道を選んだのだから。
158
:
プルヒッター
:2012/08/28(火) 22:30:16
敦子とたかみなと優子の3人を先頭に暗い洞穴の中を歩き続ける少女たち。
洞窟の中は思ったよりひんやりしていた。
『この洞窟一体誰が何のために作ったんだろう?』
優子が尋ねるものの知っているはずがない、皆もそう同じだ。
『知らないよ、だってここに来る以上にもう前に進むしかないじゃん』
ともちんが言う
『地震が来たらきっと皆、生き埋めじゃないですか』
由依が怖いことを言う、縁起でもないこと言わないでほしい。
159
:
プルヒッター
:2012/08/29(水) 22:41:17
『由依…そういうのは怖いからやめにしてよ…生きるか
やられるかの瀬戸際なんだからね』
『たかみなさん、結構気にしてはるんでしたね…すみませんでした』
たかみなが怖がっている中、由依は平謝りして歩く。
そのとおりだ…今は生きるかやられるか、彼女たちの脱出にかかっている。
しかし彼女たちはまだ知らないでいた。
あのペンションの従業員たちが実は裏で大きな糸を引いていることにはまだ知らない。
160
:
プルヒッター
:2012/08/29(水) 22:47:08
『そういえばおなかすきましたね
朝食もろくに皆口にはしていませんでしたし』
まゆゆがちょっとおなかがすいたことに気にしていたが。
敦子は言う。
『まゆゆ、ごめんね
でもみんなそれは同じことよ、確かにお腹がすいているのはわかるわ・・・でも今は辛抱して』
『そうよ、私だって同じだからねまゆゆ弱音はいちゃ駄目』
敦子とゆきりんの言葉にションボリすると思われたものの、まゆゆは小さく頷いた。
どうやら2人の言葉を素直に受け止めてくれたみたいだ。
どうせこの洞窟の中だ…食料を持っていったとしてもかえって邪魔になる。
だから彼女たちは最初は躊躇ったもののあえて諦める形をとったのだ…とにかく空腹に耐えるには
いまこそチームワークを見せるときなのだから。
161
:
プルヒッター
:2012/08/29(水) 22:52:36
『しっかしこりゃ随分と長い洞穴の中をとおっているよね
これで本当に脱出できるのかな?』
きたりえが心配しそうに言う、が敦子は言おうとしたが返って警戒心を煽るだけだ。
無駄な説得は返って逆効果を出すためだからなのだ。
『細い道を歩いていって随分かかるわこりゃ』
マイペースのあきちゃもちょっとお疲れ気味のよう。
『あきちゃ・・・諦めちゃだめだよ』
もっちぃがあきちゃを励ます…彼女はにこっともっちぃの顔を見て笑う。
あきちゃもまだ諦めることなんてない。
『これで怪物とか…お化けが出たらよりリアルだよこれ』
みいちゃんが突然怖いことを言い出す、リアルって言ったってここは本物の洞穴だよ。
本当に出たらそりゃ私も怖いんだから…たかみなはちょっとビビッた。
162
:
プルヒッター
:2012/08/29(水) 23:00:26
やがて長い洞穴の細い道を歩き続けて数分が経ち。
彼女の目の前にはようやく広い空間が目の前にあった。
大きな湖のような場所に出た少女たち。
『ようやく通路を出たわね…湖を一気に渡っていこうか』
勝ち誇るように言う麻里子。
『油断しちゃ駄目よ麻里子、湖といっても相当な深さだから』
『といってもどうやって渡ればいいのやら』
冷静にいう敦子とは対照的に麻里子はちょっと解らずじまいで困った顔をする。
『泳いでいくのはどうっ!?』
優子が大胆な言葉に皆はぎょっとする。
『えーっこの湖を泳ぐの優子ちゃん、そりゃ無理じゃ』
指原が急に情けない言葉を出す。
『指原、引き換えしたければ1人で戻ったら』
あまりにも優子の無常な言葉にさっしーは『えーっ』と困惑顔をする。
『そうね、指原を置いていっちゃおうよそれがいい優子』
『麻里子さまもひどいですよ』
子供のようにさっしーをからかう麻里子がふふっと小さく笑う。
163
:
プルヒッター
:2012/08/30(木) 22:04:34
『指原、我儘いわないの
岩場を利用して歩いていけばいい・・・間違えても湖に落ちるのだけはやめなよ』
佐江もそれにチャチャを入れる。
『うーっ佐江ちゃんまで
わかったよ、行けばいいんでしょもうっ』
駄々を捏ねながら渋々湖の岩場を渡る指原。
皆も足場に気をつけながらゆっくりと湖の岩を歩く…湖の水面はまるで鏡のような水面だ。
どうにか湖の岩場をやり過ごしていき再び洞窟の中を歩く少女たち。
と。
『あれっ行き止まりじゃない
もうここでおしまいかなこの洞窟は、なんか物足りないな』
きたりえがちょっとがっかりしたように言う、指原が行き止まりの壁に寄りかかっている。
『本当だよ
あれだけ散々期待していた洞窟探検もこれじゃ物足りないや、あーあかえってがっかり・・・』
『ちょっとさんざん1人で帰りたがっていたのは指原じゃないの』
才加がちょっと指原に文句をいう。
『文句いうわりには才加ちゃんも結構怖がりの場面あるじゃん。
ここでみんな一休みしようかなって…いーーーーっ!!!!』
指原が壁に寄りかかって一休み使用としたその時
行き止まりの洞窟の壁の一部が大きく音を立てて崩れ落ちる・・・あえなくバランスを崩し
後ろに大きく仰向けに倒れるさっしーは何が何だか解らなかったからだ。
164
:
プルヒッター
:2012/08/30(木) 22:10:25
『痛てててっ
一体どうなってるのよこれ…突然壁が崩れるなんて』
よくわからないさっしーはまだ状況を飲み込めずにいた。
『隠し通路ださっしーよく見つけたわね』
敦子も隠し通路に目を向ける。
『前田さんに褒められて指原うれしいです、指原ここが臭いんじゃないかなって』
調子に乗るさっしー
『嘘つけ』
優子がちょっと意地悪っぽい仕草な言い方でさっしーに言う。
『扉だ
この先にいけるのかな?』
まゆゆが心配しそうに言う。
『とにかく扉開けて行こう行こう』
にゃんにゃんも早く行きたくて仕方がない、まるで子供だ…たかみなはそう思った。
165
:
プルヒッター
:2012/08/30(木) 22:18:59
扉をあける…すると。
『ここは』
敦子は目を疑っていた。
『何…この匂い、まるで薬の匂いがする』
優子は思わず鼻を摘む…強い薬の劇薬の匂いが私たちの鼻にツーンと来る。
麻酔の匂いが辺りを大きく包む。
洞穴の部屋の中は狂気に満ちた空間だった…棚には見たことのない劇薬や薬…それにボロボロに朽ち果てた
ベッド2つがある。
ここは病院なのか?いや洞穴の部屋の中にこんな場所は見たこともない…少女たちは驚きを隠せないでいた。
166
:
プルヒッター
:2012/08/30(木) 22:27:53
『ねえこれ、何のくすりかな』
もっちぃが興味本位で床に落ちてあった薬のビンの1つを拾う。
『もっちぃ…ちょっと勝手に』
たかみなが注意するともっちぃがハッと驚く顔をした。
『たかみなさん、これ…昔の薬ですよ、私見たことあるんです。
お父さんからも聞いたことがあってこれは、やけど用の薬だ』
『火傷用の?』
火傷用の薬とは。
もっちぃの言葉にたかみなたちは唖然としていた、もっちぃが薬ビンの中身を確かめる。
『うーんっ名前は良くはわからないですけども、中はドローッとしていてクリーム色のようなものだわ
そうだわ!!!!たしか昔の人は火傷用の薬のことをチンク油と言っていた、正式には火傷用のかゆみを消す
塗り薬だって言っていた』
チンク油?
私たちの頭の中ではチンク油という薬は聞いたことも見たこともない、事実実物を見るのも初めてだ。
『もっちぃ、その知識どこから?』
敦子もちょっともっちぃの言葉に思いっきり困惑気味だった。
167
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 15:46:20
『私もともと歯科検視の方向に向かっていたんだ
だから看護婦の方にずっと勉強に力をいれていたからその方の知識に強みがあったんじゃないかな?』
以外だった。
彼女はAKBに来るまでは違う分野での将来に未来を託していたのだから。
敦子はもっちぃのことを大きく期待をしていたのかもしれない。
『見てしまったのか・・・遂にここを』
誰だ?
少女たちの背後からドスの聞いた男の声がした
少女たちが振り向いたときにはすでに遅かった…白衣を着た男どもが謎の男とともに少女たちを取り込んだ。
そして。
『うわっ!!
なんだこれ、何も辺りが見えないぞ』
優子は大声を挙げるが、徐々に意識を失いその場に倒れこんだ。
たかみなと敦子・・・それに他の皆もその白い霧のような空気に耐え切れず倒れこみ、そのまま意識を失った。
『も・・・もうだめ・・・・だ』
敦子は目を開けようとするも正体がわからずに深い闇の中へと落ちた。
少女たちの運命は。
168
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 15:52:01
一方その頃。
『前田さんたちがいなくなったって?』
舞台は前田たちが泊まっているペンションから大きく距離を離れている名古屋。
『うん・・・ニュースで言っていたんだ
前田さんたちが某所のとある場所でグラビアの撮影を行った後…3日経っても秋葉原に戻っていないんだ』
彼女の言葉にもう一方のほうは大きく顔を青ざめながら聞いていた。
『玲奈ちゃん
それってやばいんじゃ…だって私たち今回呼ばれなかったんだけども…なんかかえってやばくない』
彼女の名は…松井珠理奈
SKEのメンバーの1人。
そのもう1人は…松井玲奈だった。
彼女たちが東京に戻っていないまま3日が過ぎたからこうして報告してきたのだ。
169
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 15:55:22
もともとは2人も前田たちとともに同じグラビア撮影場所に
合流する予定であったが、急遽別の仕事がありキャンセルとなる形となった。
しかし、最悪な形は続いた。
合流するはずだったが、道が遮断されていくことは出来ず結局は
この名古屋で滞在するしか出来なかったからだ…二人の顔色に汗が流れる。
だが…2人は信じている。
必ず皆は帰ってくると…そう信じて2人は前田たちの無事を祈った。
170
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 15:59:07
『ようっ
お目覚めかいお嬢さんたち』
男の声がする。
…そうか、私たちは地下の洞穴に捕まってそのまま意識を失い倒れたんだ。
うっすら目を開ける敦子たち。
目を開けるとそこはペンションの内部だった。
まだ頭がぼんやりとしている、ずっと気を失っていたからなのか
ここは…ペンションの大食堂のなか…天井がぼんやりと姿を映し出す。
171
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 16:03:52
気が付くと皆床に倒れこんでた。
私もそこにいた…目の前には見慣れた顔があった。
新堂さん…それに岩下さんに福沢さんに料理長の細田さんまでもが
だが4人の真ん中の男の顔は見たことがない人物だった。
『ふふっお目覚めかねお嬢さん方…ようこそ我ペンションに
ここに来た君たちは我々の生贄となる準備でもあったんだよ』
男は得意げに淡々と語る…語るものの
その口調ぶりはどこか大きな寒気をも感じたからだ。
敦子とたかみなはそんなことさえ覚えていた。
172
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 16:08:46
深い眠りについていたメンバーたちもようやく目を覚ます。
『うーんっここどこなんだよ
あれっここ、ペンションの大食堂じゃない…どうしてまたここに』
意識からまだ目を覚ますことが出来ない優子は頭を抑えながら起き上がる。
『新堂さん…どういうことです?
いったい私たちをここに呼んでまで』
優子は新堂に答える。
『おいおい、まだ状況を理解できないのか?
まったくおめでたいやつらだなお前たちは…よく聞けよこれはお前たちにとって
これからが本当の地獄をみるためにここにやってきたんだぜ』
いつもの新堂オーナーの声ではない
まるで地獄の魔物に取り付かれているような口調であった…優子はぐっと唇をかみ締める。
173
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 22:04:10
大食堂の広間にいるのは敦子、たかみな、優子、ともちんの4人
それにペンションのオーナー新堂、岩下、福沢、細田。
そして・・・黒いダテ眼鏡を掛けている男の影がある。
他のメンバーはどこに行ったのか?
麻里子、ゆきりん、まゆゆ、にゃんにゃん…他のメンバーの姿は何処にも見当たらない。
どうしてしまったのだろうか?
ダテ眼鏡の男が喋り始めた。
174
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 22:10:56
『そんな顔をしなさんな。
彼女たちは俺たちのペンションに閉じ込めているさ…だからお前たちに聞きたいのさ
俺の名前を知りたいそうだな…いいだろう、俺の名は日野貞夫』
男の名は日野とそう語った。
『そしてこの日野さんこと俺たちの真のオーナーさ』
新堂がそう淡々と語った…では新堂はもともとオーナーではないのか?
優子は日野に問いただした。
『私たちを騙してここに来させたのも…全て罠だったって訳?』
優子は強気な口調で日野や新堂に直接問いかけた。
『そうさ、俺たちお前たちAKBがここに来るのはある事情があったわけさ
お前たちも見ただろう、あの例の招待状をな』
招待状?
175
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 22:13:27
そう言えば。
私たちが最初にこのペンションに来たときに謎の招待状が渡された。
確か・・・招待状には18人を招待したと記されていた。
秋元先生が私たちにくれたあの招待状。
でも秋元先生が私たちに招待状を書いて送ったのは身に覚えがないはず?
もしかして?
176
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 22:17:03
『そのとおりさ
俺たちが秋元に招待状を書いたのも全て我々の策略だ…秋元は俺たちにあっけなく承諾したよ
ふふっあの秋元もあっけない男だったな…招待状を書いた揚句俺たちに殺されるなんて
全くおめでたい男だお前たちの知っている人物は』
日野はおかしくってたまらないほど笑い出す。
たかみなは腹の底で怒りを覚えた。
なんてことを…私たちを出し抜いて秋元先生に招待状を書かせるなんて、しかも。
我々AKBのことを汚すとは、許すまじ行為。
177
:
プルヒッター
:2012/09/02(日) 22:24:35
『全くあっけない人物ですよね。
その秋元という男は…あっけなく調理するまでもなく誘いを寄こすなんて』
料理長の細田も履き捨てるように言う。
女性アルバイトの岩下と福沢とふふっと小さく笑う。
『どうしてこんなことをしたの?
私たちを利用してまで…ここに誘い出したのか教えて頂戴』
敦子は口をぶるぶる震わせながら言った…怒りに満ちた表情なのか
敦子は表情を大きく出す。
『全てあんたたちのせいなのよ、我々があなたたちを知ったのはある1人の少女が原因だったの
それでね、来る日も来る日もあなたたちのことを聞いてから日々忘れることはなかったわ』
岩下はヒステリックに言う。
『私たちはね、あんたたちとは違って落ちこぼれの日々をおくったわ。
でもそんな風に救ったのは日野さんだったのよ…あんたたちの復讐をも兼ねてね』
『それに…あの女があんたたちのかつての仲間だったとのこともね』
私たちの仲間?そんな人物いたっけかな
岩下、福沢の冷淡な会話は大食堂を大きく支配する、女性の会話がここまで怖いとは今日改めて知った。
178
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:07:55
仲間?
かつて私たちをはじめから知っている人物は存在しないはずだ。
じゃ・・・一体?
179
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:10:48
『お前たちの仲間も俺たちが至る所に閉じ込めた。
救出するんなら俺たちに逆らわないことだな…ま、お前たちが助かる見込みは
この俺たちのゲームに勝つことができればのはなしだがな』
ゲームだって。
こいつら私たちのことを寧ろ楽しんでいるようだ。
いわば私たちのことを駒と思っているようだ、こんなことになるなんて。
180
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:14:16
日野達はそういって大食堂から去っていった。
麻里子たちもきっとどこかに閉じ込められて助けを求めているはず。
敦子、たかみな、優子、ともちんの4人の力が今集結するときが試された。
私達があんな連中に負けるのはゴメンだ。
辺りはすっかり夜にふけた。
とにかく今は麻里子やにゃんにゃんやまゆゆたちを救出するのが先だ。
私達はすばやく行動を起こし大食堂を後にする。
181
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:18:52
大食堂をあとにしたのはいいものの
とにかく今は何をやるべきかは解っていた…相手の対決に欠かせないもの。
それは武器になるようなものだった。
いずれ相手となるべき厄介なものだから。
再び大食堂の部屋に何かないか探してみる。
…テーブルの上においてあった銀色のナイフやフォーク。
武器になるといえども頼りないものではあるが…そうは言ってられない。
私達は銀色のナイフとフォークを自分のズボンのポケットに入れる…そして後にする。
182
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:24:09
『あいつら、どこかできっと私達のことを見ているよ。
あっちゃん…慎重に部屋を調べてみる?』
優子の言った言葉ももっともだ。
一つ一つ部屋を調べてみた方が価値がある…しかし。
『あれっ
鍵がかかっている…これじゃ部屋の中を調べることが出来ないよ…こっちは急いでいるのに』
優子は不満そうに唇を尖らせながら言った。
『優子おちついて、こんなことしたって無駄だよ。
鍵を管理しているところに行ってみないと』
ともちんが言った。
鍵の管理している場所って一体?
優子はちょっと首を捻っているようだが、3人は既に目星が付いていたようだ。
183
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:28:27
『ちょ、ちょっと!!
鍵の管理している場所って一体何処?たかみな、ともちん、一体どういうことなの?教えてよ』
優子の問いかけに3人は既に廊下を走る、まだ優子はこの話にちょっと困惑気味だった。
『優子置いて行っちゃうよ、早く』
『ちょっと・・・たかみな(汗)こらっ!!置いていくな!』
たかみなの意地悪な言葉に優子も後に続く…私を置いてくなんてそうはいかないんだからね
たかみははちょっとふふっと小さく笑う。
184
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:44:50
大食堂から廊下を走って約1分ほど
談話室の前にたどり着いた4人…この談話室に何があるのだろうか?
優子はまだわからない風な顔をしていた
『談話室にきて何かあるの?ここって入り口以外何もないんじゃ?』
たかみなが変わって答えた。
『優子、あんたさっき部屋を一つ一つ調べようとしたよね、今更だけども鍵がかかっていては入れなかったよね。
だったら最初にここに来るべきはただ1つだよ』
ただ1つ?
あっ!!そうか…私達が談話室に来たのは談話室ではない…そう談話室の前にあるオーナーのいたフロントの部屋
ようやく私には理解した…この部屋にはきっと何かがあるって。
従業員以外は立ち入り禁止のプレームネートと札が扉のノブにかかっていた。
今、入るべきか?
それとも。
いいや、こっちから来たからにはそうは言ってられないわ。
優子は覚悟を決めた、鬼が出るか蛇が出るか・・・それはもう頭の中で解っていたからだ。
『たかみな、この部屋には何があるんだろう?
あのオーナーの言っていた部屋だからきっと何かが秘密があるんじゃないかな』
『うーんっ私達も入ることの出来なかったオーナーの部屋だからね…このペンション自体がお城みたいに作られているんじゃ』
『躊躇う必要なんかないさ、私達が入ってその証拠を潔白しようよ』
ともちんの言葉に皆賛成だ…反対するものはいない
これから先何があっても驚くことはない、こんなに強い仲間がいるんだ私には。
たかみなは意を決しフロントの扉のノブを静かに回す
185
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 16:53:51
ドアは音を立ててゆっくりと開く。
フロントのオーナーの部屋だからつくりは結構豪華だ。
ペンションのフロントの机にテーブル、それに本棚…オーナーの入る部屋だからかちゃんとベットがあった。
敦子とたかみなが先に足を踏み入れる。
特に仕掛けなどはない、どうやら大丈夫のようだ。
優子とともちんも足を踏み入れようとしたとき…
…ポッポ、ポッポ、ポッポ。
2人はいきなりビクッとした、よく見るとオーナーの部屋の鳩時計が11時を指す時報が鳴る。
窓の外はすっかり闇の漆黒の夜と染まった。
『あーもうびっくりした
もう誰かと思ったらこの鳩時計のせい、驚かすにも程がある』
強気の口調のともちんがちょっと口を尖らせる…優子も同じだった。
『まったく、あいつらのせいで私達は』
優子が鳩時計を叩き壊そうとしたとき敦子が優子の手を止めたからだ
『まって優子』
『あっちゃん急に止めてどうしたのよ?何かあったの?』
コクンと小さく頷く敦子…優子はこぶしを降ろす…鳩時計の鳩の出る方を手探りで探る敦子。
…すると。
自分の指に何か金属みたいなような抵抗があったからだ。
慎重に手を入れて探る敦子。
186
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:04:31
『あっちゃん何か見つかった…そこに何かあるの?』
優子が敦子に問いかける…すると。
敦子の手から鳩時計の中から何か出てきた…それは。
『あっこれ…鍵束じゃん』
『ここのペンションの鍵束じゃないかな?』
敦子の手にはどうやらペンション内の鍵束が握っていた。
鍵束にはどうやら他の鍵も混ざっていたようだ、ここ以外の部屋って一体あったんだろうか?
敦子はちょっと困惑する。
『ここの時計って他に何かあった』
ともちんが答えるものの敦子はただ首を振った…どうやらこの鍵束以外は何もないようである。
が、ともちんは納得いかず更に鳩時計の中を探ると。
『あっ!!』
ともちんがちょっと大きい声を出す。
ともちんが何か手ごたえを感じたようだ、更に手を入れるともちん…何か小さいボタンのような
手ごたえを感じたからだ。
『ともちん何かあったの?』
『この時計の中に小さい押しボタンみたいなものがあったんだ』
『押しボタンだって…ともちん押してみて』
『えーっこわいよ、優子一緒に押そう』
『えーっともちん怖いの…しょうがないな、私が変わりに押すから』
小さいボタンを押すのにちょっと躊躇うともちん、優子がともちんの隣に立ち
変わりに鳩時計の中にある押しボタンを押した。
187
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:08:28
優子がボタンを押したあと
『カチッ!!』と音がしただけで何の手ごたえもない。
あれっ!!何も起こらない?
そう思ったときだった。
ゴゴゴゴゴ!!!!
オーナーの部屋にあるベットが音を立てて動き出したからだ。
4人は動くベットの動きにあっけにとられながらその光景を見た。
188
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:15:05
やがてベットの動きが止まる。
それまでベットのあった場所に大きな隠し階段が姿を現したからだ…その階段は
大きな口をあけたように私達を誘うかのように誘い込んでいるようだった。
『えっ!!!これは』
優子はまだベットが動くと解ってちょっとびっくりしていた。
『こんな秘密があったなんて…このペンションにこんな仕掛けがあったなんて』
たかみなも驚くやら呆れるやらこれ以上の言葉は出なかったようだ。
『きっとこの先に麻里子たちやまゆゆたちも捕われているに違いない…どうする敦子』
ともちんの言葉に敦子は心に決めた・・・そう迷いはなかった。
『皆、覚悟は出来ている
ここまで来たらもう後には引けないわ…行こう』
敦子の言葉に3人は大きく頷いた。
蝋燭だけじゃ物足りないので、途中オーナーの部屋にあった懐中電灯を持ち出し。
いよいよこの部屋の隠し階段に足を踏み入れる。
189
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:18:16
隠し階段が私達の足元に踏み入れると妙にヒンヤリする。
階段を降りただけで寒気を感じたからだ。
敦子とたかみなはそう思った。
敦子が持っていた懐中電灯に明かりを付ける。
ゆっくりと懐中電灯の明かりを地下の辺りをぐるりと照らしていく。
190
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:24:23
歩くこと数分。
妙に狭い、この廊下が地獄の底まで続くことのないように祈る敦子だった。
丁度突き当たりのところに古い扉が1つ目にあった。
『妙に古ぼけた扉ね』
ともちんが目の前にある扉をみてそう答えた…確かに見ると
扉のペンキの一部が錆びて剥げていた。
敦子が扉のノブに手をかけようとする。
しかし鍵がかかって入れない…こりゃだめだ。
戻ろうとしたときたかみなが言った。
『あっちゃん、この部屋に入れないの
おかしいよ…ここで行き止まりって言うのも変だし…引き返すのも悔しいじゃん』
たかみなの言葉ももっともだ。
どうにか考えようとする敦子、手にポケットを入れた瞬間…金属音のような音がポケットの中から聞こえた。
191
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 17:27:26
そうさっき部屋の中の鳩時計の中から見つかったあの鍵束のことをすっかり
忘れていた。
敦子はポケットから鍵束を取り出した。
鍵束を取り出し扉の鍵穴に鍵を入れる敦子。
…すると。
扉の開く音がした。
192
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 18:26:55
敦子は一度大きく深呼吸し、ゆっくりと鉄の錆びたドアを開ける。
中を覗いた。
193
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 18:32:23
『誰っ!!』
女の声がする。
その声は・・・麻里子なの?
敦子は麻里子の声がするほうへ耳を傾けた。
『麻里子…何処にいるの?』
何もないヒンヤリとした部屋からは麻里子の声しかしない…何処にいるのだろう?
もう一度よく耳を済ませる敦子は。
『その声は・・・あっちゃんね無事だったの?』
『うん、たかみなと優子とともちんも無事だよ…それより麻里子は何処にいるの教えて』
『ここよ』
ここと言われても周りの部屋は何にもなく壁しかない。
敦子は壁に耳をあてよーく麻里子の声をたどった。
『あっちゃん、ここよ』
だんだんと麻里子の声がはっきりとわかった…この壁が怪しい。
194
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 18:36:05
部屋の壁の一部の色が怪しい。
この奥の向こうに麻里子がいるのでは?
敦子は思いっきり壁を押してみた。
グイグイっと何か手ごたえを感じるのがわかる。
更に壁を押してみる…そして。
ガラガラガラと大きな音を立てて壁の崩れる音がした。
そして麻里子がいた。
『麻里子!!!』
『あっちゃん』
お互いに声を掛け合い2人で抱き合う。
麻里子は泣いてはいないものの助けを求めていた彼女にはちょっと怖がっていた。
195
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 18:38:15
『敦子、大丈夫!!!』
ともちんの声がする。
『その声はともね…大丈夫よ』
『麻里子…無事だったのね、良かった』
ともちんの安堵の声がここまで聞こえた…なんだかちょっと安心感が感じた。
196
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:03:07
『麻里子さま、大丈夫!!!!』
心配してきたたかみなが麻里子に突然抱きついてきた、あまりにびっくりした麻里子はちょっと
迷惑そうな顔をしたが…素顔に笑顔を見せる。
『みなみ、この私を誰だと思っているのよ
私がムチャぶりの行動を知っているのだから簡単にくたばるわけがないでしょ』
『・・・良かった』
たかみなはちょっと涙ぐんでいた・・・仲間が見つかってホッと一安心したのだろう。
197
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:07:52
『たかみな、泣いている暇は無いよ
早く他の皆も探さないと・・・それに今こうして麻里子が無事だったなら他の皆だって
きっと生きている、早く助けに行かないと』
『うんっ
ごめんねあっちゃん、泣いてちゃ駄目だよね・・・あっちゃんごめん』
敦子に慰められたたかみなはすぐに涙を拭い直しいつもの顔に戻る。
『でも・・・麻里ちゃん
あたし達が大食堂に捕われてからずっとここにいたの?私達が来てあいつらが来たってことなの?』
麻里子が捕われてから優子たちはずっと大食堂にいた。
だが麻里子には優子の言っていたことが全く解らなかった…あいつらって一体誰のこと?
198
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:14:35
敦子が変わりに説明してくれた。
これまで大食堂で起こった出来事を全て麻里子に話す。
『麻里子がここにくるまで私達は大食堂に捕われていたの
ねえ覚えている…あのピアノホールの奥にあった洞穴の秘密の部屋で起こったこと
あのあと私達は妙な白い空気のような霧にのまれてあそこに倒れたんだ』
敦子は麻里子にさらに説明を続ける
『あの霧を吸ったあと私達は深い眠りに付いた
で、その時私ははっきりと聞こえてたの…このペンションの本当のオーナーがいたってことを
その男は秋元先生を裏で糸を引いていた人物でもあった』
敦子の長い長い説明の言葉に麻里子は愕然とする
『ちょっと待ってあっちゃん、その男って一体何者なの
それに私達をおびき出してここに来たって言ったはずじゃない…どういうことなの一体』
199
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:19:01
こんどは優子が説明してくれた
『おそらくあの新堂って人は本当はここのペンションのオーナーじゃなかったわけ
現に言えばあの新堂達はあの男の部下のような存在だったと思うの』
『で・・・その男の名前は皆聞いているの?』
恐る恐るに4人に尋ねる麻里子
『確か・・・日野って言っていた、とももちゃんと聞いてたんだ
あの日野って男こそここの本当のペンションのオーナーだとおもうんだともは』
なんて事だ。
私達がみたペンションのオーナーはあの新堂ではなかった
そんなことって…麻里子はちょっと言葉を詰まらせるだけしか出来なかった。
200
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:35:05
『じゃあ岩下って人や福沢って人の女性アルバイトの人も全て・・・』
麻里子の言葉に4人はそれ以上は言わなかった、もう当然だという表情を麻里子に見せながら。
細田というあの男の料理長もそう思えたからだ。
『ったく冗談じゃないわよ、私達は
結局あいつらにはめられていたって訳ね、ペンションの従業員っぷりもきっと演技だんじゃないの
とも、あんな奴らだけに情けを掛けられたのは初めてだわ』
ともちんは心の底で怒りに満ちていた、普段おとなしいともちんがこんなに熱くなったのは
AKBに入って以来だった…たかみなと優子もそのおなじくらいの気分だ
ただ敦子だけは1人無表情のままであった。
『こうなったらこの怒りあいつらにぶつけてやろうじゃない
うられた喧嘩はこっちからうってやろうじゃないの』
優子も再び怒りの炎が燃え上がった…これは彼女にとってはかつて無い屈辱だったのだろう。
『そうね。
私達に優しいフリをして騙したのもあいつらね…許せない。
こうなったら私もあいつらに怒りをぶつけるまでには絶対に皆生き延びて帰るんだから…だったら
私も』
魅惑のポーカーフェイスの麻里子に火がついた。
お姉さん気取りの彼女にこんなに激昂したのは初めてだった…たかみなと敦子も大きく頷いた。
『麻里子、頼もしく見えるよ…だから絶対に皆見つけて生きて帰ろう
そしてあいつらを追い詰めてこの勝負に勝つんだからね…絶対に!!!』
無表情の敦子も同じ気分だったに違いない。
それがAKBなのだから。
絶対皆を見つけ助け出しあいつら全員をとっちめてやるんだから。
たかみなにもその心の思いは熱く熱くゆれるのだった。
『ねえ、この部屋になんかあったわけ麻里ちゃん
ここにずっと捕われたいみたいだから何かきっとあるはずよ』
相手の打倒にすっかり気持ちもそっちにいっていた皆は…麻里子の捕われていた部屋の中をくまなく探すことからはじめた。
だがそれらしいものは無かったものの変わりに通信機のようなものを発見。
201
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:40:38
敦子が部屋内に落ちてた通信機を拾った
通信機のスイッチにボタンを入れてみる。
どうやらまだこの通信機はまだまだ使えるようだった
バッテリーもまだまだ十分に残っている、これは使えるのでもって行くことにした
お互いに連絡を取り合えるので役に立つ事だろう。
さ、こうして入られない…次に行動を移さなければ。
202
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:43:53
『ここの扉怪しくないか』
麻里子が扉のある方に指を刺す
確かに何にも無い部屋だけだったが…扉があることだけには全く気づかなかった。
敦子はフロントで手に入れた鍵束を使い扉のドアを開ける。
203
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:46:10
中はどうやらただの客室のようであった
でも・・・こんな地下に客室があったとはどうも信じがたい。
と、その時
ギシッと誰かの足跡の音がした。
204
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:53:07
だんだん二つの足音が向こう側のほうから大きく音がする
たかみなと敦子が身構えて攻撃の態勢に入る。
そして大きな足音が聞こえたとき2人はいっせいに体当たりを仕掛けた。
ドターン!!!!
次の瞬間…床でもみ合う4人の大きな音がいっせいにした。
『こいつ・・・私達をさらってどういうこと』
敦子はたおれた相手に馬乗りして攻撃をしようとした・・・すると。
『痛い痛い痛いですよ!!!』
『ちょっと、一体どういうことなのこれっ』
えっ!!
205
:
プルヒッター
:2012/09/09(日) 21:55:57
聞き覚えのある声に耳を傾ける敦子とたかみな。
と、床に倒れていたのはゆきりんととも〜みだったではないか。
足音が聞こえたから敵かと思いこんだ2人は
『もう前田さん、たかみなさんどういうことですかこれ…突然私達を襲いにきて何の冗談ですこれ?』
『あっちゃん、たかみなひどいよお〜とつぜん私達に攻撃するなんて』
ゆきりんととも〜みはびっくりしている。
206
:
プルヒッター
:2012/09/15(土) 22:13:18
『ゆきりん、とも〜み
どうしてここに?』
敦子の言葉にゆきりんととも〜みはまだ起き上がれずにいた。
いきなりの攻撃にちょっとビビリ気味の2人…とも〜みはちょっとふくれっつらの顔をしている。
ゆきりんは何が何だか解らずの顔をしていたようだ。
207
:
プルヒッター
:2012/09/15(土) 22:22:17
『とも〜み、何やっているの?こんな場所で』
ともちんが問いかける。
『何やっているのじゃないよ、それはこっちのセリフのセリフだって、とつぜんあっちゃんとたかみながいきなり
飛び掛ってきてさ、もうっひどいよ』
ふくれっつらのとも〜みはちょっと泣き顔を見せる。
『あなたたちどうやってここまで来ていたのよ?
あの地下の部屋で霧にまかれて以来無事だったの?』
優子は2人に尋ねてきた。
『あっ優子ちゃん…あのピアノホールの地下の洞穴で突然皆さん霧に巻かれて
見えなくなってその場に倒れたんですよ…それ以来どうやってここにつれてこられたのかははっきりと覚えていない』
そうあの地下の洞穴の秘密の病室で皆全員あの妙な白い霧に巻かれて気絶したのを覚えているだろうか。
優子もその場にいて霧を吸い込み倒れていたところは覚えている。
…しかし、大食堂にいた頃にはとも〜みとゆきりんの姿はない。
『それは私達もその場にいたんだし
あの霧を吸い込んで気絶したのは覚えているのよ…ところが私達ここに突然つれてこられて誰に連れてこられたのかは
全く覚えが無いの』
優子も同じ気持ちだった。
『変じゃないか。
あの時みんないたのにどうしてここでとも〜みとゆきりんの2人が遭遇するとなるとかえって変じゃない』
麻里子も訳がわからない風に答える。
208
:
プルヒッター
:2012/09/15(土) 22:42:44
そう少女達があの妙な白衣の男達に取り込まれて。
あのドスの聞いた男の声がしたんだ。
おそらくあのドスの聞いた声こそ日野貞夫だろう。
…じゃああの白衣の来た男達も多分日野の子分だろう。
少女達は日野の想像できない危ない考えをしたからだ。
あの日野って男は多分この病室やこのペンションにおける秘密を握る人物だ。
『この客室に役に立つものあるかな?』
1人優子が客室の中を探る。
朽ち果てた木のテーブルにはトンカチやらのこぎりの大工道具がおいてあった。
あの日野たちと対決するには何か役に立つはず。
優子は自分の半ズボンのベルトにトンカチとのこぎりを挟む。
まるで二刀流の侍の姿を感じさせる気分だ。
『優子中々にあっているよ…まるで宮本武蔵の気分じゃん』
たかみなも優子の姿を見てキラキラしている…他に何か武器になるか客室の中を調べる。
『ぱちんこだわ。
何かと頼りないけど…護身用の武器としては上出来だわ』
ゆきりんはぱちんこと鉄の玉100個ほど見つけズボンのポケットに入れた。
とにかく他の武器がないか探したものの後は無かった。
『この客室には何も無いみたいだね…ここはもう離れて次の場所に行こうよみんな』
とも〜みの言葉ももっともだ。
しかしたかみなと敦子はどうも疑問に感じていた。
どうしてとも〜みとゆきりんがこの部屋にいたのか?
そればかり考え付かず少女達は客室の部屋を後にする…もうこの地下には用はない。
さっさとペンションに戻ろう。
待っていろよ…日野、新堂。
少女達の逆襲が始まった。
209
:
プルヒッター
:2012/09/15(土) 22:49:00
ペンションに戻って鳩時計を見る。
もう真夜中の12時だった。
辺りはすっかり真っ暗闇の中だ。
このペンションのオーナーの部屋だけは眩しいくらいに明るい。
さてこれからどうするべきか。
敦子たちはこれからどうするか行動を考えていた。
行動を考えている際にゆきりんが先に答えた。
『ねえもう一度あの例のピアノホールに行って見ません?
怪しいものがあるとすれば最初に私達が来た場所へ行ってもう一度調べてみません?』
ゆきりんの意外な言葉に敦子はちょっと言葉を詰まらせる。
ピアノホールにどうして?
最初に私達が行ったあの例の洞穴にか?
またあの悪夢がよみがえるとなるとちょっと考え深い敦子は
210
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 15:34:58
敦子たちは賛成しなかったものの渋々ゆきりんの言葉に従うしかなかった。
音を立てずにペンションのオーナーの部屋から静かに出る少女達。
オーナーの部屋以外は辺りは真っ暗であった、きっと私達を待ち伏せしているかのように
部屋全体の明かりを落としたに違いない。
今頼りになるのはオーナー室の部屋で見つけた懐中電灯の明かりだけが頼り。
でもどうにかピアノホールの大扉の部屋の前にまでたどり着く少女達。
211
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 15:43:18
再びピアノホールの部屋に忍び込む少女達。
一度大きく深呼吸する敦子。
『真っ暗だね、やけに静かすぎて怖いよ』
敦子は懐中電灯片手に持ちながら恐怖に耐えるしかなかった。
そしてその隣にはゆきりんもいる。
『ゆきりんここに来て何かあったというの?
ここに来たってことはきっとまたなにか秘密があるっていうの?』
『これは私の直感です』
・・・しどろもどろに答えるゆきりんに敦子はガクッとずっこけるリアクションを見せる。
直感っていっても。
じゃあどうしてここのピアノホールへきたって訳?
敦子は困惑していた。
ピアノホールの外にいるたかみなたちもちょっと呆れるやら何やら。
『もう、ここに来たとしても意味がないん・・・!?』
ちょうど敦子がピアノホールの部屋から出て行こうとしたときに懐中電灯を天井に照らす。
すると…天井の上には。
「外のプールサイドへ行け」
天井の上には乱暴に赤い文字で書かれてあった。
『前田さん・・・どうしたんですか急に立ち止まって!!!ああっ』
ゆきりんは天井の明かりをともしている赤い文字をみて驚いた表情で手で口を押さえる。
212
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 15:50:00
『あの人たちが書いたのかしら?』
ゆきりんはそう思った。
しかし、敦子は違った。
『いや、きっと違う人物だと思う私は』
えっ!!!前田さんこの字を見てなんとも思わないんですか?
現に私達をおびき出すために相手はきっと私達を誘う罠だと思うし。
しかしゆきりんはこれ以上前田にあえて追求することはやめにした。
私達は一刻も早くここから早く離れたかった・・・あの気味の悪い赤い文字をみてしまっては
なおさらである。
『たかみな…ここにいては危険、早く離れよう』
敦子の言葉にたかみなはわけがわからずその場を離れた
213
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 16:27:27
その時。
ピピッ!!!ザザーッ
敦子の持っている通信機に通信連絡が突然入った。
『誰かいる!!!!』
通信機の方から声がした。
この声は・・・みいちゃん
『みいちゃん…今何処にいるの?
私達いま一階のペンションのピアノホールの外にいる…みいちゃん無事』
敦子は通信機を通し峯岸に声を通す。
『その声は…あっちゃん?
無事だったんだね、私達いま洞穴の中にいるの』
洞穴?
『それでいまどうしているの?今助けに行く場所を教えて』
『音が・・・水の音がするんだ』
水といえば。
そうプールサイドだ。
敦子たちはたかみなに尋ねて急いでペンションの外に出てプールサイドへと向かう。
214
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 16:30:51
『あっちゃんどうしてプールサイドへ?』
ともちんの言葉に敦子は言うまでも無く走っていた。
『今みいちゃんから通信機で通信がはいったんだ…だからきっとみいちゃんもそこにいる』
『でも水が聞こえるって言っても私達そこから入ることできないじゃん』
『行けば解るわ』
ともちんのことばに敦子は走り出した。
他の皆もその言葉に頷く…プールサイドといえばたかみなたちが最初プールで例の赤いシュシュを見つけた場所。
そんなところに何故今更。
215
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 16:41:44
ペンションの裏側を回り裏手に行く少女達。
辺りはずっかり暗闇の中に包まれている…木々のはっぱが不気味に揺れ動く。
ペンションの裏道を回り、プールサイトへ着くには約5分もかからなかった。
『ここだ、みいちゃんたちが水が音する場所にいるのは』
敦子の言葉に皆頷く。
『あたしが最初ここにいて泳いだ場所』
たかみなが呟く…プールに激しく流れ落ちるマーライオンの噴水水が音を立てて流れていく。
『たかみな、ここで何かあったわけ?』
優子の問いかけにもう黙っていることが出来なかった、麻里子も同じ考えだった。
『みなみ・・・もう隠す必要は無いよ
今ここで全て言わないとかえってよくないわ』
『・・・麻里子さま、わかったわ』
意を決してたかみながここで起こったことをすべて話す。
『たかみな…いったいどうしたのよ急にまじめな顔しちゃってさ、はやくしないとみいちゃんが』
とも〜みがちょっとイライラ気味だ。
『わかったわ。』
たかみながこのプールサイドで起こった出来事を今話した。
216
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 21:37:49
『私達が最初このペンションに泊まったときにそれは起こったの
あの頃の夜最初にプールで人泳ぎしていたことに才加がおかしな赤いシュシュ
を拾ったのが全ての始まりだったんだ。』
麻里子もその場所にいたから小さく頷き、たかみなはさらに話し始める。
『で、才加がプールで泳いでいたときにそのシュシュはプールの中で拾い上げていたんだ
私と麻里子さまとにゃんにゃんも最初は誰かの落し物だと思ったの。』
敦子たちと最初に別れたときに起こったことを全て話したたかみな。
『でもその赤いシュシュって一体誰のものなの、たかみなと才加もそのシュシュの
持ち主の人物は知っていたわけ、だったらなお更そのシュシュは誰のものか解らないんじゃ』
優子もその話に乗り出してくる。
たかみながフーッと深呼吸をし、更に話す。
静かな夜のプールサイドがますます不気味な静けさを増す。
『才加がそのシュシュを捨てようとしたときなんだ。
突然私達の頭の中で女性らしき声がした、誰かは知らないけど…その声は何処と無く悲しい感じだった』
『その女性らしき声の正体は一体誰?』
『解らないわ、私達もはっきりと聞こえたんだ。
頭の中でね…でもそれ以上問い詰めようとしたら声が聞こえなくなってね、あれ以来あの出来事を話すのは
しばらくやめにしてね…それからずっと4人だけの秘密にしようと思って胸のうちにしまっておいてたんだ』
たかみなの長い長い出来事の告白はここで終わった。
『で、その赤いシュシュはたかみなが持っているの今も』
とも〜みがたかみなに例のシュシュを見せてほしいとせがんだ
たかみなが才加から預かっていた赤いシュシュをポケットのズボンから取り出した。
『これよ』
ポケットのズボンから取り出したシュシュを皆に見せるたかみな、確かに赤いシュシュだった。
『・・・チユウ、これが全ての私達が起きた出来事の全ての始まりなの
これで信じてくれたかな』
たかみなはとも〜みにそう言った…とも〜みは信じるまで10秒ほどかかったもののどうやら小さく頷き納得してくれたようだ。
『うん、疑ってゴメンたかみな
でも・・・このシュシュってさ何だか赤い色しているのに不気味に見えるんだチユウは』
食い入るように赤いシュシュを見つめるとも〜み。
するとシュシュの裏側には白い小さな文字でこう書いてあった。
『たかみなシュシュの裏に何か小さい文字みたいなものがある』
とも〜みはその文字を見る・・・すると白い文字でK・Rと書かれているイニシャルの文字が
K・Rって一体誰のことなのか。
217
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 21:50:27
そのイニシャルを調べようとしたとき突然プールサイドの草むらから音がした。
『そのシュシュこっちへよこせっ』
プールサイドの草むらの影から鋭い男の声がした。
皆はとっさに交わすことが出来たもののたかみながちょっとテンポがおくれてしまう。
たかみながこっちへ振り向いたとき男が突然たかみなをプールサイトの床に叩きつけるように
倒し…男はたかみなのうえに馬乗り状態になって赤いシュシュに手を掛けた。
『だ、誰だ・・・離せっ!!!』
仰向けに倒れた状態でたかみなは男の腕を振りほどこうとするも
相手の力強い攻撃に逆に抑えられビクともしない。
『たかみな!!!』
優子が男に攻撃を仕掛けようとするが
『動くな!!!
動くとこいつの命はないぞ』
たかみなを盾にとる男・・・暗くてよく見えないがその男の声を聞いて優子はすぐにわかった。
『その声は!!!!新堂、たかみなを離せ』
優子が怒りをあらわにし新堂に攻撃を向ける、たかみなも必死で新堂からふりほどこうとするものの
相手の力の方が大きくいつしか動けない。
『こいつの持っているシュシュを渡してからにするんだ、渡せば命だけは助けてやるぜ』
なんて卑怯なやつ・・・命よりもシュシュのほうが大事なんて。
うかつに攻撃すればたかみなに危険がさらすだけだ。
『・・・フッ、楽になんなお嬢さん』
駄目だ・・・・と、その時。
『楽になるのは、こっちよ』
『何っ!!』
新堂がこっちを振り向いた瞬間、後ろにはプールサイドにおいてあった椅子を持った麻里子の姿が。
218
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 21:53:46
椅子を振り下ろす麻里子。
ガツン!!!
『ギャッ』
麻里子の振り下ろした椅子が新堂の頭に思いっきりヒットする。
新堂は体制を崩され、たかみなの体から離れた。
2度、3度椅子で新堂の体を殴りつける麻里子。
隙をついてたかみなに駆け寄る優子が助け出した。
219
:
プルヒッター
:2012/09/16(日) 22:04:01
『大丈夫たかみな、しっかりして』
優子が心配しそうにたかみなの小さい体を揺する。
『大丈夫よ』
たかみなは大丈夫のようだ。
『お前ら、ただで済むと思うなよ・・・女だからといって俺を怒らせたな』
椅子で麻里子に殴られた新堂の怒りの声がプールに響き渡る。
水面が揺れると思うくらいに声を挙げた・・・額からは血が流れている。
『もう勘弁しないぜ、おまえら3人プールへと落としてやるぜ』
新堂が怒り狂いながら3人に襲い掛かる、やつは本気で私達をプールへと落とすつもりだ。
このままでは、とその時。
しげみに隠れていたゆきりんがパチンコを使い鉄の玉を新堂の顔めがけて打ってきた。
弾に当ってのけぞる新堂。
『今だ!!!』
先程のお返しとばかりにたかみなと優子が新堂に体当たりを仕掛け、新堂はそのままプールの水辺へと落ちる。
大きな水飛沫をたてて新堂は溺れる。
220
:
プルヒッター
:2012/09/27(木) 17:39:24
『こおらあっ!!!!
お前らただで済むと思うなよ』
プールの中に入っておぼれている新堂は怒りをあらわにして彼女達に怒りを向けている。
あんなやつに情けを掛けるのはゴメンだ。
221
:
プルヒッター
:2012/09/27(木) 17:42:50
急いでそのプールサイドを後にする敦子たち。
『ナイスフォローねゆきりん』
パチンコで応戦したゆきりんを褒める優子。
『たかみなさん、大丈夫ですか?』
新堂に馬乗りをされてちょっと体がぐらつくたかみな、しかしすぐに体制を取り戻す。
たかみなはにこっと笑顔を見せる。
『大丈夫よ、それよりゆきりんありがとう…助けてくれて』
『何言っているんですか、皆のピンチを黙って見ているわけにはいかないじゃないですか』
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