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少女たちの夜

1プルヒッター:2012/08/16(木) 19:36:52
人里はなれた真夏のペンションの物語。
そこで少女たちは様々な恐怖の夜に巻き込まれていく

2プルヒッター:2012/08/16(木) 19:38:11
真夏の蒸暑い夏の日。
今日は少女たちが、撮影で海に来ていた。

3プルヒッター:2012/08/16(木) 19:38:47
真夏の蒸暑い夏の日。
今日は少女たちが、撮影で海に来ていた。

4プルヒッター:2012/08/16(木) 19:41:06
前田敦子『ねえ今日も暑かったねえ』
大島優子『本当ね、今日日焼け止めクリーム持ってきて良かったよ』

前田とは対照的に大島は子供のように意地悪っぽく言った。

5プルヒッター:2012/08/16(木) 19:42:57
高橋みなみ『あっちゃん…今日も無事にグラビアの撮影が終わったね』
麦藁帽子をかぶって来てやってきたのはAKBのまとめ役高橋みなみだ。

6プルヒッター:2012/08/16(木) 19:47:17
『ちょっと、みんないるっ』
暑さでもだえてやってきたのは小嶋陽菜だ。
『ただでさえ暑いのに今日はもっと暑いよ、南国にいる気分見たい』
板野友美が可愛い八重歯を除かせながら悪戯っぽく言う。
『うわあっ!!!30度超えているよ今日も』
篠田麻里子が目の前の壁の柱に掛かっている温度計を見ながら驚いている。
『溶けちゃいそうですよ』
渡辺麻友もそれに続く。

7プルヒッター:2012/08/16(木) 19:52:50
『日本じゃ考えられないくらいの暑さじゃないですか』
柏木由紀も真夏の暑さにすっかり参っているようだ。
『ところで今日はこれからどうするつもり』
前田敦子が高橋みなみに問いかけてくる。
『今日は泊まりで水着の撮影のロケだし、一足先に佐江ちゃんたちもペンションで合流する予定だと聞いたわ』
すっかり空が赤く染まっているにも関わらず、相変わらず気温だけは上がり続けているようだ。

8プルヒッター:2012/08/16(木) 20:01:09
少女たちが乗せたロケバスは山を登っていく。
『気味悪いねここの場所』
板野がちょっとぶるっと口を震えながら言う。
『そうですね、なんか…さびしい道ですよねここ』
柏木も同じ気分だ。
『…お化け出そう』
麻友もなんだか不気味に怖そうに言う。
かくして彼女たちを乗せたロケバスは山道を登り、一足先に着いた宮澤佐江たちと合流した。

9プルヒッター:2012/08/16(木) 20:07:40
『遅いっ』
宮澤佐江がちょっといらいらしながら高橋みなみたちに言ってきた。
待ちくたびれてどうやらイライラしていたようだ。
『佐江ちゃんごめん』
『ちょっと遅刻よ』
秋元才加が言った、どうやらほかのみんなと一緒にペンションの前で待ちあわていたんだろう。
『でもせっかくそろったことだし、これで全員だね。』
『うん、スタッフさんも何人か残っているし、今日はこのペンションにとまりだって秋元先生から聞いたんだ』
宮澤と秋元がそう言うと、皆はペンションの入り口に入った。

10プルヒッター:2012/08/16(木) 20:14:43
集まったメンバーは。
高橋みなみ、前田敦子、大島優子、板野友美、篠田麻里子、小嶋陽菜、柏木由紀、渡辺麻友。
そして合流したメンバーは。
秋元才加、宮澤佐江、北原里英、指原莉乃、高城亜樹、河西智美、横山由依の15人。
…あれっ秋元先生の話だと集まる人数は16人だと聞いたんだけど?

11プルヒッター:2012/08/16(木) 20:20:03
首を傾げるたかみな。
『遅れてくるんじゃないですか、ほら』
たかみなとは対照的に指原が言う。
『全く大事なグラビア撮影終了の跡に遅刻するとは』
『親の顔が見たいね。』
秋元と篠田がちょっと頬を膨らませながら言う。
来るはずだった峰岸は別の仕事で来れなくなったと言う。

12プルヒッター:2012/08/16(木) 20:26:02
その時!!
『RRRRRR』
たかみなの携帯電話が突然鳴り出した。
『こんなときに誰からだろう』
たかみなが携帯電話のスイッチを入れる。
『もしもーし私だよ!!!誰だかわかる?』
あっけらかんとした声、私も良く聞き覚えのある声。
『みいちゃん』
前田が割ってはいる。
『今こっちへ向かっているところなんだ、もっちぃも一緒でそっちのペンションに向かっているところ』
二人はどうやら遅れてくるとのことで秋元氏から話を聴いているようだ。
『たかみな…16人じゃなく19人くるって言ってたよ』
…えっ!!!
あっけらかんとした表情にメンバーの一同は呆れた表情だ。

13プルヒッター:2012/08/16(木) 20:33:26
『ちょっと、たかみな間違えたでしょう』
『今朝渡した紙読んでなかったんですか?』
にゃんにゃんはともかく。
指原にまで言われてしまうとは不覚だった。
たかみなは懐にしまってあった紙切れをもう一度見つめなおす…すると。

『ようこそ、本日はこのペンションに
 ご招待しご苦労様です。
 付きましては今宵楽しい時間を過ごすべく
 食事、様々なレジャーを楽しむべく
 皆…日ごろの疲れを癒していってください
 …なお、19人来る予定ですが。
 もう1人は遅れてやってくるので。
 申し訳ありませんが、しばらくくるまで
 よろしくお願いいたします。』
    
              ペンションの主

14プルヒッター:2012/08/16(木) 20:35:39
訂正10番と12番。

19人と書きましたが正しくは18人の間違いでした。
お詫びして訂正いたします。

15プルヒッター:2012/08/16(木) 20:38:21
『ちょっと18人くるって言ってるのにたかみな間違ってるじゃん』
佐江はきつく言う。
『ご、ごめん私が間違えた』
たかみなは必死で弁解しながら皆に謝る。
…おやっ?
でもちょっとまってよ招待状には18人来るっていっていた。
遅れてくる二人を入れると17人。
…じゃあ、18人目はいったい誰?

16プルヒッター:2012/08/16(木) 20:41:49
『あれっ招待状には18人来るって秋元先生が言っていたんだけども』
また首を傾げるたかみな。
『みいちゃんともっちぃも遅れてくるって言ってましたよねたかみなさん』
と高城。
『・・・・・・・・・』
その言葉にたかみなはいったん言葉を詰まらせるだけ。

17プルヒッター:2012/08/16(木) 20:48:54
PP!!
丁度その頃車のヘッドライトが皆を眩しく光らせた、車のクラクションとともに。
『みいちゃんともっちぃかな』
一台の車がやってきて扉が開く音と同時に峰岸みなみと倉持明日香が荷物のバックを肩にかけながら
車から降りる。

『ごめーん!!!遅れちゃってみんな』
『もっちぃ』
高城と北原が迎えにやってきた。
『ちょっとお父さんと一緒に仕事があったから遅れちゃって』
『私もちょうどもっちぃと一緒になって、早速秋元先生から私の携帯電話がかかって
 そうしたら今すぐそこに行けって言われたんだ。』

18プルヒッター:2012/08/16(木) 20:55:04
秋元先生が?
どういう事だろう…たかみなはまた困惑したまま。
首を捻るだけ。

『18人目って秋元先生のことじゃない
 だって招待状にひとり遅れてくるって言ってたんだし』
小嶋がドライに言う。
『そうだと良いんだけど』
『たかみな…あんまり深く考えてると年取るよ』
あっちゃんの言葉にちょっとたかみなはションボリする、しかしいつもの彼女の顔に戻った。

19プルヒッター:2012/08/16(木) 21:03:14
・・・談話室は静かな静寂を放っている。
やがてペンションの従業員の1人がやってきて部屋割りを決める。
『こちらが今日皆様が泊まる部屋です』

ペンションの部屋は全部で12個 二人一緒の部屋だ。
部屋割り表を見る。
たかみな・敦子
優子・ともちん
麻里子・陽菜
まゆゆ・ゆきりん
才加・佐江
きたりえ・あきちゃ
とも〜み・みいちゃん
ゆいはん・もっちぃ
さっし〜は1人だ。
『ちょっと私1人ってどういうことですかたかみなさん』
『文句いわないの』
『指原ならひとりでも大丈夫じゃない』
二人部屋なのに1人だけの指原。
篠田と北原が厳しく言う。

20プルヒッター:2012/08/16(木) 21:11:58
『なんや指原さんもしかしてもうおじけついたんやないんですか』
『横山…言って良いことと悪いこともあるじゃん』
ちょっと涙目にいう指原に対し…横山が意地悪っぽく言う。
『荷物を置きになりましたら1階の大食堂へといらしてください
 お食事の用意ができておりますので、はい』
ペンションの従業員の1人がそういってフロントの部屋へと消えて言った。
『…夕日がいつもと違って真っ赤だ』
敦子は窓を開けると…海沿いに見える太陽が赤く大きく染めているのがわかる。
まるでこの世の終わりが迫っている感じだった。
『本当ね、世界の終わりが来たって感じだよ。』
『秋元さん、どうして私たちをここに呼んだんだろう?』
『わからないわ、招待状にはそう書いてあったんだし、だいいち』
コンコン!!!
ドアの小さなたたく音がする。
誰だろうこんな時間に。
敦子がドアを開ける。
『やあっ!!!』

21プルヒッター:2012/08/16(木) 21:17:53
『麻里子』
篠田が2人の部屋を訪ねにやって来たのだ。
『ここのペンションの地図なんだ』
『それどこから持ってきたの?麻里子さま』
たかみなが不思議そうに言う。
『…あ、これ私の部屋にあったんだ』
『部屋に?じゃあ私たちの部屋にもあるかも』
たかみなは机の引き出しを開ける…と、机の引き出しの中には古くて汚い地図のようなものが。
だいぶボロボロにはなっていたものの見れない程ではないようだ。
よく見ると、ここのペンションの見取り図…ガイドマップのようだ。
1階は左側には大食堂、テラスの正面にはプール。
様々な施設があるようだ。

22プルヒッター:2012/08/16(木) 21:21:00
『このペンションの地図のようね』
『地図があるペンションなんて聞いたことないよ』
たかみながその地図を眺めると、敦子は不服そうに言う。

23プルヒッター:2012/08/16(木) 21:25:18
『お食事の用意ができました
 皆様1階の大食堂へおいでください』
メンバー全員が1階の大食堂へと足を運ぶ。
階段を下りて長い廊下を歩き続ける。
しばらくすると大きな両扉が目の前にあった。
フロントの1人が音を立てて両扉を開ける…中は白い布が掛かった長テーブルと18席の椅子があった
テーブルの上には誰か誰だか解るよう名前のネームプレートが書かれてある。

24プルヒッター:2012/08/16(木) 21:38:03
17人の少女たちは自分の書かれている椅子に座って腰掛ける。
そして目の前には一人1人に食器とナイフとフォークとスプーンが綺麗に置いてある。
『なんか凝ってない…ペンションなのにこんな豪華だっけ食堂って』
佐江はちょっと戸惑い気味だ。
『新しく作り変えただけじゃないの』
河西もその豪華ぶりにびっくり目を輝かせていた。
『映画でしか見たことしかないからびっくりしました』
『私も』
まゆゆ・ゆきりんもあまりの豪華さに初めて目を疑っているようだ。
ペンションのウェイターがグラスに次々とワインをつぐ。
ワインの飲めないメンバーはジュースだ。
『じゃあ、誰が乾杯の音頭取るの』
ワイングラス片手に大島優子が乾杯の音頭を誰に取らせるか決める。
『・・・えっ!!!』
指原の目を見る大島。
『誰も指原だって言ってないよ…ここは一つたかみなに取らせたらいいんじゃない』
『私もたかみなでよければ』
皆もその意見に賛同。
たかみなが一度深呼吸して乾杯の音頭を取る
『それじゃ…今日も一日ご苦労様、また明日もがんばりましょう。
 乾杯!!!』
『乾杯っ!!!!』
少女たちは自分の持っているグラスをもって乾杯した。
お互いのグラスの乾杯の音が心地よく聞こえる。

25プルヒッター:2012/08/16(木) 21:48:59
…そして運ばれた料理に舌鼓を打つメンバー
スープ・メインの肉料理や魚料理に皆は大変満足げに平らげていく。
それぞれの料理は皆の胃の中へと消えていった。

『こんな山奥にペンションがあったなんて考えもつかなかったよ。』
遅れてきた峯岸も喜びの顔があった。
『…しかし、気になるのはあの招待状に記された言葉』
『才加ちゃんまだ気にしているの?あの言葉を。』
北原が心配をよそに秋元に言う。
『でも…ちょっと怖い気もするし、やって来ないなんておかしいよ』
『大丈夫だよ、ちょっと用事で遅れてくるんだから気にしない気にしない』
優子が明るく言った。
…が、それが重々しい空気があるのは解っていた。
招待状に遅れて来るって書いてあるのは悪戯にもちょっと程がある。
大食堂が重い空気に包まれる。
『…7時過ぎか』
ともちんがチラッと自分の腕にしている腕時計を見る。

26プルヒッター:2012/08/16(木) 21:53:42
『時間がたつのは早いよね…今日はグラビア撮影だったのに色んなことが合った気分』
『長い一日だったよね』
陽菜と麻里子が口々に言う。
『…』
怖がりな指原もグラスのジュースを飲み干して沈黙が続く。

27プルヒッター:2012/08/16(木) 22:00:22
『あの…』
『ゆいはんどうした?』
佐江が横山に言う…沈黙していても仕方がなかったんだろう。
『今日なー秋元先生に言われたんやけど、グラビアの撮影って明日やろって言ってはりましたか?』
『さあー』
『ちょっと由依その話いつ聞いたの?』
佐江が横山に問い詰める。
『宮澤さんそんな怖い顔せえへんで、あたし聞いたんです、本当は今日はグラビア撮影じゃなくテレビの雑誌の撮影だとききはりまして』
あきちゃも横山の言葉に加担する。
『私もですよ、秋元先生に聞いたら本当はテレビの雑誌の仕事だと』

28プルヒッター:2012/08/16(木) 22:11:04
『ゴロゴロゴロゴロ』
一瞬静まり返った大食堂とともに大きな落雷が落ちるのがわかった。

『秋元先生もきっとスケジュールが合わないからじゃないの』
指原がドライに言う。
…が、皆はそれ以上言わなかった、いや言えなかったのだ。
ペンションのあたりの外は深い夜に包まれた。

29プルヒッター:2012/08/16(木) 22:13:09
夜8時
一同は大食堂を後にした。
気まずい空気に耐え兼ねないのか気分を変えて談話室へと移動。

30プルヒッター:2012/08/16(木) 22:17:45
『さて私はちょっと人泳ぎしてこようかな
 確かこのペンションって大きなプールがあるって聞いたんだけど』
その言葉に言ったことは才加だった。
『私も、ちょっと泳ぎたい気分なんだ』
麻里子も同じ気分だったんだろう…陽菜とたかみなも才加についていって
1階のプールへと足を向けた。

『こんな気分でよく泳げるよね』
ともちんは皮肉っぽく言う。
『ともちんは泳がないの?』
敦子が言う。
『そんな気分じゃないの…ただでさえ山の中なのに泳げないよ』
どうやらそんな気分じゃないのは解っていたようだ、敦子はこれ以上何も言わなかった。

31プルヒッター:2012/08/16(木) 22:22:48
結局1階の大広間の談話室に残ったのは
敦子とともちん
由依とみいちゃん
ゆきりんとまゆゆだった。

優子ときたりえ
佐江ともっちぃ
あきちゃと指原ととも〜みは暇なので
ペンションの中を紹介してももらおうと探検がてらに中を回っていった。

32プルヒッター:2012/08/16(木) 22:32:20
月夜に照らされた夜の中
大理石の石で作り上げたプールでたかみなたちが泳いでいた。
マーライオンの像の口から水が滝のように音を立てながら出ているのが解る。
4人は一度部屋に戻って水着を取りにここにやって来た。

昼間とは蒸暑くうってかわって夜は涼しかった。
夜風が頬を撫でるように伝わっていくのが解る。
嫌なこともすっかり忘れ去るきぶんで泳ぐたかみな。
『ふうっペンションにプールがあるなんて』
プカプカと仰向けに浮く陽菜はまるで子供のような気分。
麻里子は泳がないのだろうか?プールサイドの白いベンチでサングラスをかけないまま寝そべっている。
才加も同じ。
『ちょっとにゃんにゃん、いつまでそうやって仰向けにやっているつもり?
 まさか泳げないんじゃ』
たかみなが陽菜のわき腹を突く。
『違うよ、こうやって仰向けに寝ながら空のお月さんを見ているだけなの』
子供のように頬をプーッと膨らませながら言う陽菜、3人は爆笑する。

33プルヒッター:2012/08/16(木) 22:36:32
あまり水に使っても仕方がないので一度プールから出る2人
『ねえ才加、ちょっとは落ち着いた』
陽菜の言葉にちょっとドキッとする才加。
まさかにゃんにゃんの口からそんな事を言い出すとは。
私もまだまだだなと言い聞かせる秋元才加だった。
『ああっもう忘れたさ、私はチームKのキャプテンなんだからさ』
『陽菜に言われたんじゃおしまいよね』
『もうっ麻里子!!!いじわるっ』
麻里子の無茶ぶりの言葉に2人が笑ったのは言うまでもない。
才加もちょっと照れていた。

34プルヒッター:2012/08/16(木) 22:42:23
『まあ才加が元気になって本当によかったよ』
たかみながその場を慰めるように言う。
『本当はね私も気にしていたんだ、
 秋元先生が何をやるかって私は秋元先生を信じるよ』
たかみなの言葉に3人は納得する。
『あーっなんだかすっきりした
 ちょっとひと泳ぎするよ』
才加は吹っ切れるようにプールへと飛び込んだ、水飛沫が大きくはね上がり3人の顔に掛かる。
『才加元気になったようね』
『元気だけがとりえだからね』
陽菜と麻里子が言う、あの顔を見たら安心してもいいだろうと思う2人だった。
丁度気持ちよく泳いでいる才加。
とその時。

35プルヒッター:2012/08/16(木) 22:49:21
気持ちよく才加がクロールで泳いでいる最中、自分の足元に何か感触を感じたのだ。
水の中に手を入れる才加…すると。
『なんだこれ?
 赤いシュシュだ…いつの間にこんなところにあったなんて』
才加が水の中に手を入れたときにはこんなものはなかった。
『誰のシュシュだろう、メンバーは今日髪のシュシュなんてしていないし』
私は最近誰かかここで何かあったのだろうと感じたのを覚えた。
『才加どうしたの?なにかあったの』
遠くから離れているたかみなたちがこっちへやって来た。
『ねえ今日シュシュしてきた人いた?』
『いないけど、どうしたの』
水の中で見つけた赤いシュシュのことをしゃべる才加。

36プルヒッター:2012/08/16(木) 22:53:06
『誰かが落としたものじゃない』
麻里子が言う…たしかにこういったシュシュはあってもおかしくないからだと。
『今見つけたのその赤いシュシュ?』
たかみなの問いに才加はこくんと頷く。
『捨てちゃえば』
麻里子が言うに対し才加も同じ気分だった、赤いシュシュを投げようとした時。
『捨てないで』
『えっ』
4人の頭の中で女の声がした。

37プルヒッター:2012/08/17(金) 22:10:05
『誰』
誰もいない夜のプールでたかみなが叫んだ。

38プルヒッター:2012/08/17(金) 22:19:10
『ちょっと隠れてないで出てきなよ』
強気とは裏腹に声は震えている才加
『まさか!!!幽霊』
麻里子もちょっと疑わしいように言う。
『嫌だ!!!怖ーい』
陽菜はちょっとなきそうに言った。
『そのシュシュは捨てないで…お願い』
謎の女性らしき声は4人の頭の中に響く、たかみなが耐え切れすに言う。
『どういうことなの!!!この赤いシュシュがあなたのものだなんて
 それにこのシュシュがあなたのものだなんて証拠がないわ
 姿を見せてよ』
…しかし、声の返事はなかった。
しばらくして…1分ほど。

『今は姿を見せることはできないわ、いずれ解るわ
 それまでに赤いシュシュはあなたたちに預けるわ』
『ちょっといい加減にしてよ、さっきからおかしな事を言って
 それにどうしてこのシュシュを私たちが持っていないといけない
 訳?』
才加は怒りとともに喋りだす、しかし返事はまたも返ってこない。
『お願い…』
謎の声の主は言って消えた。

39プルヒッター:2012/08/17(金) 22:24:48
しばらく4人はただただ黙っていた。
沈黙の中…やがて誰一人しゃべるまでには約1分以上はかかったと言う。
『私たち…幽霊に出くわしたのかな?』
麻里子が不思議そうに言う。
『ちょっと待ってよ麻里子、声も私の方もしたんだから
 4人同じ声が聞こえたなんて変よ』
まだ状況が飲み込めていない才加はちょっとパニック状態のようだ。
たかみなも同じく状況を飲み込めないでいた。
ただ1人陽菜だけは落ち着いていた表情の様子。
いや特に何にも考えていないだけのようだと思う。

40プルヒッター:2012/08/17(金) 22:30:41
『とにかくここで起こったことをみんなに話さないと』
才加がプールで起こった事をみんなに知らせるように急かす。
『才加、落ち着いて…たとえ本当のことを言ったとしても
 皆が本気で信じるとは思えないわ、この事で起きた出来事は
 私たち4人の秘密にした方がいい』
麻里子が落ち着いた口調で才加に告げた
『私も麻里子さまと同じ意見に賛成だわ』
たかみなも麻里子の言葉に乗ってくれた、陽菜もそれに頷く
『…わ、解ったよこのことは4人の秘密にした方がいいな』
納得はしてはいないものの才加もそれに従うしか他なかったようだ。
しばらくして湿った風があったものの、今の謎の声の出現によって夜風が寒く感じるのは気のせいだと
たかみなは思った。

41プルヒッター:2012/08/17(金) 22:32:00
いっぽうその頃
談話室に残った敦子とともちんたちは。

42プルヒッター:2012/08/17(金) 22:43:03
ボーンボーンボーン
談話室の目の前にある大時計が大きな音を立てた。
よく見ると時間は9時過ぎだ。
時計の針は9時を迎えていたようだ。
皆が談話室を離れてからだいぶ経っていた。
談話室は大きなテーブルを囲んでソファーが並んでいた、皆そこに腰掛けていて疲れた表情は見えなかったが。
なんか気分がそがれた雰囲気の様子。
『ねえみいちゃん、秋元先生…どうして私たちここのペンションを選んだんだろう?
 ともさっぱりわかんないよ』
ともちんが痺れを切らし峯岸に喋りだしてきた。
『峯岸さん、倉持さんとそういえば遅れてやってきたと言ってはりましたよね、その理由を聞きたいんですわ』
横山のキツイ関西弁に峯岸は答えが見つからない。
…そういえば、なぜ峯岸と倉持だけが遅れてやって来たんだろうと前田もふと思った。
『…ごめんね、実は。』
峯岸がそう言おうとした時。
廊下の奥で叫び声が。
『ぎゃああああああああああっ!!!!』

43プルヒッター:2012/08/17(金) 22:47:14
『今の叫び声
 指原の叫び声じゃない』
ゆきりんが言う。
『指原』
『優子たちに何かあったんじゃ』
敦子とともちんを先頭にペンションの廊下の方へと走った。
急いで叫び声の方にしたところにやってきた敦子たち。
『あっ!!!あっちゃん丁度良かった、さっしーが』
指原が…廊下の手前の奥の扉に手をかける前田。
恐る恐る扉をめいっぱいあける敦子。

44プルヒッター:2012/08/17(金) 22:54:15
すると目の前には。
『指原大丈夫』
敦子が心配そうに言うが。
『ぎゃあああああ私、ゴキブリがだめなんですよ
 前田さん助けてください』
えっ!!と敦子は目を丸くする。
じゃあさっきの叫び声は。
『優子、今の叫び声って
 このゴキブリのせいなの…ひょっとして』
声をブルブル震わせながら敦子の口調は何処となく怒った表情だ。
『うん、ちょうど空き部屋を調べていたら指原が勝手にまだあけてない空部屋の
 扉を開けたんだすると』
『こうなったわけ』
優子が言い続けた後、佐江は呆れた表情ではき捨てるように言う。
尻餅をついたまま指原はその場を動けなかったようだ。
『さーしーはーら!!!!』
敦子の声が鋭くペンション内に大きく響き渡った。
その圧倒的な声にまた指原は大きく尻餅をついて転んでしまった。

45プルヒッター:2012/08/17(金) 22:58:35
『ごめんなさい前田さん、指原ちょっとこの部屋を調べようとしたとたん
 突然ゴキブリ3匹がベットの下から指原の顔にくっついたんです、だから
 思わず私叫び声をあげて』
涙目ながら指原はそう言った。
皆は呆れるやらため息交じりに呆れるしかなかった。
『もうっびっくりしたのよ
 突然談話室で大きな叫び声がしたんだから私たち前田さんとともちんさんもさっしーになにかあったと
 思ったんじゃない、それなのに…人騒がせなんだから』

46プルヒッター:2012/08/18(土) 19:07:20
後ろにいた柏木も呆れた顔の表情で指原に言う。
いつもは後ろにいるのに、ちょっとしたことで腹黒い事を言う柏木。
それはメンバーの面々も解っていた。
『でもまあ怪我なくてよかったんだし談話室に引き上げようよ
 指原も悪気あってやったんじゃないからさ』
ともちんがその場をどうにか納めるものの。
さっしーはまだ半泣き状態だ。
『こら指原いつまでも尻餅ついたまんまじゃだめ、これからは気をつけて行動しなさい』
『北原…ゴメン、グスッ』
指原の腕をつかんで立たせる北原。
どうやら指原が調べた空き部屋は何にもないただの部屋だった。
一同は談話室へと戻る。

47プルヒッター:2012/08/18(土) 19:13:51
指原も反省気味のまま廊下を歩き出していた。
敦子の言葉が応えたのか、ちょっとシュンとした表情。

『あっ』
いきなり立ち止まる敦子。
『ちょっとあっちゃんどうしたのよ、急に立ち止まってさ
 危ないじゃん、さてはさっきさっしーがあんまりかわいそうで許すって言わないでしょうね』
優子が言うには敦子は別の方向を指していた。
目の前にはさっきとはうって変わって変わった色のドアがあった。
先ほどまでに来るまでには気がつかなかったのか、メンバーが泊まる客席とは随分と離れていたらしい。
『あっちゃんときどきボーッとすることもあるからさ、佐江びっくりするよ』
宮澤も心配もよそに敦子に言ってくる。
『ねえ、あのドアってあったっけ今まで』
『そういえば』
『廊下を歩く途中には気がつかなかったはずですよ』
ともちん、ゆきりんも気づかないくらいだ。

48プルヒッター:2012/08/18(土) 19:20:57
『いかにもお化けでそうですよ』
こわがりのまゆゆはゆきりんの後ろに隠れていた。
『大丈夫よまゆゆ、ここペンションなんだからお化けなんていないって』
『ほんとうゆきりん』
彼女たちの泊まる部屋から結構とおく離れている扉…なんだか古くからある扉のようだ。
誰の部屋なのだろう?
赤茶色した扉の前にドアのノブに手をかける敦子。
…が。
ガチャガチャガチャ。
いくらノブに手をかけて回しても手ごたえがない…鍵かかかっているようだ。
ほかにもいろいろ試した結果、やっぱり鍵がかかっていて駄目だったようだ。
『よーし佐江が体当たりでこの扉をぶち壊してやるよ』
自信たっぷりに言う佐江、鍵がかかって入れないのをわかっていて直接体当たりをする佐江。
どーーーーんっ…と大きな音がし佐江はそのまま扉に跳ね返されたまま後ろ手の壁にぶつかってしまった。

49プルヒッター:2012/08/18(土) 19:55:41
『いったあーい』
壁に自分の後頭部をぶつけた佐江、その表情は痛々しい。
ゲンキングの愛称でもある佐江でもこの扉を破ることはできなかった。
『大丈夫佐江ちゃん、怪我してない』
もっちぃが佐江の怪我を心配しながら言った
『うん、大丈夫だよ』
まだ自分の頭を痛々しくさする佐江…ちょっとはずきずきするくらいの痛みでもあった。
『よーし今度は私が』
北原がかわって扉に体当たりをしようとする途端、優子は手できたりえを遮った。
『きたりえ、無駄だよ』
『優子ちゃん…どうしてまた?この部屋の中を知りたくないの?』
『私も皆と同じだよ、でもここをよく見て皆』
優子が扉の四つの隅を見た…よく見ると扉の隅には釘で打ち止めされていたのだ
『優子、どうしてわかったの』
敦子が問いただす。
『うんいまさっき佐江がさ扉に体当たりして跳ね飛ばされてたよね、簡単に言うと
 ここの扉ってよっぽど頑丈に作られたんじゃないかと思うんだ私は。』
『まさか』
『それに、このへやって私たちの2回の宿泊部屋から随分と離れているし
 もしかしたら誰かが昔使っていた部屋なんじゃないかと思うんだ』
優子が淡々と語っていく中
『信じられないよ、だいいちもともとここってペンションじゃないそもそも昔
 人が住んでいたなんて保証なんかないじゃん、どっちみちただの作り話だよそんなの』
体当たりで吹っ飛ばされた佐江は優子に対してちょっと怒り気味だった。いや怒りの矛先は
優子ではなく、さっき吹っ飛ばされた古い扉に向けていた。
よっぽど悔しがったのに違いない、なんだかやりきれない佐江だ。
『佐江落ち着いて、これは私の勘なんだけども…本当は誰かがここにいたって話しだから
 あんまり考え込んでも仕方ないよ、とにかく今はここの部屋は入ることは出来ないけど
 なんか気になるんだ』
優子はそれだけ言って終わったようだ。
『まあ優子が言うんじゃしょうがないし、気になるってそれは皆同じことだよ』
どうやら佐江を落ち着かせるのは失敗に終わったようだ、でももう扉に体当たりするのだけはやめたようだ
怪我してまで体当たりするのだけは勘弁のようであったからだ。

50プルヒッター:2012/08/18(土) 19:58:55
『なんにしろこの場所に扉があるのは覚えた方がいいんじゃない』
とも〜みの結論で結局片付けられたようだ、皆もそれにうなずく
『とにかくここの場所だけは覚えていた方がいいかもね』
敦子もそれに賛成したようだ。
…結局なにもわからずじまいで謎の部屋の探索は諦め一同は談話室へと再び戻っていく。

51プルヒッター:2012/08/18(土) 20:01:42
『結局あの部屋は何だったのかな?』
『まあ開かずの間じゃないかな…よく言うと』
『そうか・・・私もテレビで見たことあるからきっとそれだよともちん』
とも〜みとともちんがお互いに言う。
開かずの間…そう考えるとちょっと不謹慎だ、だいいちここはペンションなのだ
お客を閉じ込めてまで開かずの間だとはちょっと考えにくい。

52プルヒッター:2012/08/18(土) 20:07:04
『あっちゃんはどう思う?
 昔人が住んでいたと考えられる』
優子が言うと、敦子はちょっと首を捻っていた。
『わからない』
『そっか、あたしもわからないのにあっちゃんに解る分けないよね…ゴメンね変なこといって』
『誤らなくてもいいよ、優子だって本当は何を知りたいかあの扉に目をつけたわけ?』
『女の勘かな?』
『女の勘…どういうこと』
敦子が言うが優子はそれ以上何も言わなかった、メンバーはすっかり忘れてペンションの廊下を歩き続けた。

53プルヒッター:2012/08/18(土) 20:10:37
『あっ皆さん…何処へ行っていたんですか?
 心配して探していらしてたんですよ、談話室がもぬけの殻でしたもんで』
フロントの女性の人が心配で待っていたようだ。
『ごめんなさい、お友達がちょっと部屋を間違えたので探してたところだったんです』
敦子が事情を説明する…しかしあの開かずの間の部屋のことは一切口には出さなかった。
客商売だと思い余計な気遣いはきわめて警戒心を煽るだけのためである。

54プルヒッター:2012/08/18(土) 20:15:32
『そうでしたか』
フロントの女性もほっとしたような様子。
『ちょっと敦子…談話室空っぽにして何処に行っていたわけ』
『心配してたんだから、ひょっとしてペンション内で迷子になってたわけ』
たかみなと陽菜が心配した表情でいった。
ただたかみなはすこし怒りっぽい表情のご様子。
『ごめんたかみな』
ちょっと険悪なムードが漂ったが、その場は麻里子がどうやらやり過ごしたので険悪ムードは
落ち着いたようだ。

55プルヒッター:2012/08/18(土) 20:20:22
…再び談話室に少女たち17人が集う
相変わらず静かな談話室の集まりだ。

『お茶をお持ちいたしました…良かったら皆様でどうぞ』
フロントの男の人がワゴンとともにお茶のティーポットとカップを持ってやって来た。
フロントの男がお茶を注ぐ。
『ありがとうございます』
敦子がお礼の返事をする。
メンバーはそれぞれの熱々のカップに入ったお茶を口にする。

56プルヒッター:2012/08/18(土) 20:28:18
『おいしい』
そのお茶の味に感激したのは陽菜だ。
『本当ねこんな味の紅茶飲んだの初めて』
麻里子もその味に舌をうつ。
『なんか、日本にはない味だよねこれって』
『なんっつーか外国の国にあるお茶だよねこの味は』
『花の香りがするよ』
あきちゃと佐江…まゆゆもこのお茶の味に不思議がって飲んでいたようだ。
 
『当店自慢のラベンダーティーでございます』
男がそう言う。
『えーっラベンダーってあの紫色の花の』
『ラベンダーから作ったんですかこのお茶』
『そんなわけないでしょうが…ラベンダーの匂いがするから言っただけじゃないの』
『もう指原…笑わせないでよもう』
みいちゃん、指原の言葉に続きまたもゆきりんが腹黒い言葉をいった。
北原もちょっと笑いを浮かべた。
さっしーの意味不明な言葉にちょっと皆の笑いがしたようだ。

57プルヒッター:2012/08/18(土) 21:04:27
ラベンダーティーの味は予想通り彼女たちにお気に入ったようだ。
『なんかすべてを忘れさせる味だな』
才加もすっかり先程の事で起きた出来事は忘れたような雰囲気だ
『お茶って結構疲れを取れるよね』
とも〜みも満足のようだ、テーブルの上においてあるお茶菓子のクッキーを一つつまむ
『あ〜っ麻友もこの味にやびゃあですよ』
ずっと怖がっていた麻友もいつもの笑顔に戻った…テンションもあがりつつあるようだ。

58プルヒッター:2012/08/18(土) 21:11:16
『そうですね、嫌なことも忘れる気分ですもんね』
もっちぃは笑顔を見せながらカップのラベンダーティーをすする。
『よかった…皆に笑顔が戻って』
『食事のときもろくに笑わなかったもんね』
敦子と優子もお互いに笑顔をかわした様だ。
たかみなたちはプールサイドで起きた出来事。
そして…敦子たちも謎の開かずの間の発見のことはすべて忘れ去られたようだ。
お互いに談話室が明るくなった気分だ。
…それからペンションの従業員の人が様々なゲームや遊び道具を持ってきて仲間入りした。
トランプやらオセロ…それにすごろくもやってもうたいへんな騒ぎだ。
いつしかさっきまで起こった出来事はもうすべて忘れたい気分だった。
少女たちはお互いに楽しい時間を過ごし大変な有意義に時間を楽しんだようだ。

59プルヒッター:2012/08/18(土) 21:19:02
10時頃…少女たちは談話室を出て解散した。
それぞれ自分の部屋へと帰っていく。
部屋の明かりが一斉に消えていくのがわかる。
皆それぞれ深い眠りに就いた。

…しかし、この話はここから本当の恐怖が始まる。
そのことに少女たちはまだ知らないでいた。
はたして…少女たちの運命は?
そして、招待状に記されたまだ来ない18人目の人物とは

60プルヒッター:2012/08/18(土) 21:25:29
敦子は深い眠りについていた。
…ここはどこなんだろう?
よく見ると私は夢を見ていたようだ。

強い強い雨風とともにずぶ濡れのままの状態の敦子。
Tシャツとショートパンツがもうずぶ濡れのままだ…目の前に白いレインコートをきた人物が私の方をチラッと見る。
フードで素顔を見ることが出来なかったもののジーッと敦子の顔を見た。
『たかみな?優子?それとも…指原?』
なんでこんな場所で指原の名前が出るんだ!!!
私はちょっと憤慨まじりに言う。
すると、白いレインコートを着た人物が問いただしてきた。

61名無しAKB:2012/08/18(土) 22:07:14
『誰なの貴女は』
突如白いレインコートの人物は敦子に襲い掛かる。

62名無しAKB:2012/08/18(土) 22:13:49
夜の強い雨風に敦子は必死になって逃げ出す。
『助けて!!!たかみな!!! 優子 !!!!』
私は叫びにならない声で必死に叫んで逃げ出していた。
しかしそれは虚しく響くだけ…ひとり闇の中を1人走り出している敦子
何度も何度も足をとられ転びそうになり必死になって逃げる。
…やばい、本当にやばい…このままでは私は。
必死になって逃げ出した途端、ぬれた足にとられ転びだす…そのせいで上手く立ち上がれない。

動きを止めた白いレインコートの人物はゆっくりと私の方へと歩き出す。
動けない…私は殺される…絶体絶命だ。
白いレインコートは腕を振り上げ爪を立てて彼女に突き刺した。
『うわああああああああああっ』
闇夜の雨風のなか、私の叫び声がこだましたのを耳にした。

63プルヒッター:2012/08/18(土) 22:20:20
『!!!!!!』
突然目を覚ます敦子。
夢なのに額には汗が…心臓がまだドキドキいう、喉がカラカラと乾いていた。
『…夢か、それにしても怖い夢だった』
夢だと言い聞かせて何度も深呼吸する敦子。
私は本当に殺されると思ったのか?それにしてもいったいあの夢は。

ふと自分の腕時計を見ると夜中の2時30分だった
あれから眠りについて4時間ほどたったのだろうと敦子はそう自分に言い聞かせた。
ちょっと心を落ち着かせるために夜風に当りに行った。

64プルヒッター:2012/08/18(土) 22:26:24
部屋を出て2階のすぐそこのテラスに出る…そこに。
『あっ!!!あきちゃ』
テラスを出るとあきちゃがいた。

『あっ前田さん』
ドキッとしたあきちゃ、服は部屋着のままだ…赤いTシャツにショートパンツ姿だ。
『あきちゃも眠れないの』
『はいそうです、あっでも決して怖いんじゃなくちょっと眠れなかったんですよ』
意外だった。
いつも深夜の放送ではすぐに眠くなるといっているのに…今日はいつも違った。

65プルヒッター:2012/08/18(土) 22:31:36
『何か不思議だね、あきちゃっていっつも眠くなるって1人でいつも言っているのに
 今日に限ってあきちゃは違うって感じだよ』
『そうですね私も今日はいつもと違うんだと自分で言ってますから…その証拠に
 私とこうして前田さんと話が出来るのもそうそうありませんしね。』
いつも2人は離れ離れの活躍をしてきた証拠
チームAといえども個々の活躍の躍動感は全く違っていた、常にトップを維持してきている敦子に対し
あきちゃはまったくつかみどころのないマイペースで生きてきた人物だから。
『前田さんはどうしてここに』
『ちょっと夜風に当りたかったんだ…隣でグースカ眠っているたかみながうらやましいよ』

66プルヒッター:2012/08/18(土) 22:37:47
『たかみなさんらしいですね』
あきちゃはクスクスと小さく笑う。
『たかみながきいたら怒るよきっと』
敦子も小さく笑った…なんとなくあきちゃに会って気が楽になった気分。
夜風が2人の頬を優しく撫でていく
『そろそろ部屋に戻ろっか』
『そうですね、前田さんお休み』
2人がお互い自分の部屋に戻ろうとしたとき…

『う、うわあああああああああっ助けてくれ』
大きなペンション内に男の叫び声らしい悲鳴が響き渡った、2人は一瞬ビクッと体を震わせた。
その叫び声に危機感を感じた2人。

67プルヒッター:2012/08/18(土) 22:42:46
『あきちゃ』
敦子の声にあきちゃも頷く。
私は急いでたかみなをたたき起こしに自分の部屋へ、あきちゃも自分の部屋へと走った。
『たかみな!!!たかみな!!!ねえ起きて』
ベッドに眠りについているたかみなを揺さぶって起こす私。
全然起きそうにないたかみな。
『なーにさ敦子!!!こんな時間にもう!!!』
眠い目をこすりながらたかみなが目を覚ます。

68プルヒッター:2012/08/18(土) 22:47:40
私は先程起きた出来事をたかみなにすべて打ち上げて話した。
『そ、そんな…ちょっとこれってやばいんじゃない』
信じられないといった表情でたかみなは急いで部屋着にすばやく着替えた。
『私が2階のテラスで夜風に涼みに行ったあとあきちゃと一緒に凄い叫び声を聞いたんだ』
『それで!!!悲鳴の主は』
『…男の人の声だったよ』
まだ状況が飲み込めないたかみな…これは一大事だとおもいたかみなは皆をたたき起こす行動に移った。

69プルヒッター:2012/08/18(土) 22:52:56
『あっ!!!たかみなさん』
廊下の外ではすでにあきちゃときたりえが廊下の前に集まっていたようだ。
『話は後…とにかく皆を起こして事情を話そう』
たかみなの一声で4人はいっせいに行動に移った。
敦子はまず麻里子・陽菜のいる部屋へと向かった。
ドンドンと扉をたたく敦子。
『ちょっと誰っこんな夜中にもう!!!
 って、あっちゃんじゃない…どうしたのよこんな時間に』
突然の敦子の訪問に麻里子はびっくりする。
『にゃんにゃんはいる』

70プルヒッター:2012/08/18(土) 23:00:06
『ちょっと待ってて今起こすから』
麻里子は部屋の奥へと消えていった。
『どうしたのこんな夜中に、もう美容に悪いよ』
『それどころじゃないの、いま私とあきちゃ一緒に2階のテラスで』
敦子は先程起きた出来事を2人に話した。
『ちょっとそれ悪い冗談…私たちにはそんな悲鳴は』
麻里子は悪い冗談とばかりに信じてもらえない、無理もない聞いたのは敦子とあきちゃだけだから。
『たかみなも最初は信じてもらえなかった、でもこうして私が現に悲鳴を聞いたのは事実だし』
『そうなの?だとしたらそれって』
『ねえ麻里ちゃん、あっちゃんの言っていること本当みたいだけどもどうする』
陽菜は困惑した様子で麻里子に言った。
『どうするって、起きたことだから協力するわけないじゃん…あっちゃんが聞いたのも事実だって言うから
 それに…怖いのどうこう言っても始まらないし何とかしないと』
無茶振りな麻里子は声は強気なものの、彼女は怖い怪談話が苦手なのだ。

71プルヒッター:2012/08/18(土) 23:03:03
意を決したのか陽菜と麻里子は協力してくれた。

『どうしたんです』
ゆきりんのへやをたずねたたかみな。
敦子から聞いた出来事を話すと…ゆきりんはちょっとふらっと倒れそうになった。
『待っててください、麻友を呼んできますので』
ゆきりんは麻友を起こしに部屋の中へと消えた。

72プルヒッター:2012/08/18(土) 23:09:30
『呼んだ〜』
とも〜みが部屋の扉を開けてやってきた小さい欠伸をしながら敦子が今起こった出来事を話す。
『うっそ〜信じられない怖いわ』
『横山は起きてる…呼んできて』
とも〜みは由依をたたき起こして部屋を出た。
たかみなと敦子は全員を部屋からたたき起こし、全員を談話室へと集結させた。
眠くて文句を言う者や…ショックで倒れそうな者もいた。
たかみな、敦子、優子、ともちん、麻里子、ゆきりん
陽菜、まゆゆ、佐江、才加、みいちゃん、きたりえ
あきちゃ、もっちぃ、さっしー、とも〜み、由依
全員いるようだ。

73プルヒッター:2012/08/18(土) 23:17:04
深夜の3時
皆全員が談話室へ集結してから10分が経とうとしていた。
『ねえ一体どういうことなの、さっきからずっと黙っていてなんかしゃべってほしいですよ』
もっちぃがイライラしながら話しかけてきた。
無理もないさ・・・深夜にたたき起こされた揚句眠い時間に集まったのもイライラするのは
十分解っていた、敦子とたかみなはただただ黙っていたままだ。
『そろそろ話をしたらどうあっちゃん
 今ここで黙っていても仕方がないよ…それにあっちゃんとあきちゃとたかみなしか知らない
 んだし今この場で話をして』
敦子がたかみなの顔をチラッとみた
いいよと頷くたかみな。

74プルヒッター:2012/08/18(土) 23:25:22
小さく咳払いをする敦子
『私とあきちゃが2階のテラスで夜風を当っていたときに起きたことなんだ
 テラスから出ようとしたときに突然男のような悲鳴の叫び声がして急に危機感を
 覚えたんだ、あきちゃも聞いたよねあの叫び声もさ…それにあの叫び声は
 まるで誰かが助けを求めているような叫び声だった…怖いくらいに』
長い話を切り出した敦子。
皆黙っていた、話す人も口を噤むものもいない…何も言えなかった。
『私も最初敦子のことを信じられなかったけど実際に敦子が聞いたんだ
 誰も信じてくれとはいわないわだから』

75プルヒッター:2012/08/18(土) 23:26:19
小さく咳払いをする敦子
『私とあきちゃが2階のテラスで夜風を当っていたときに起きたことなんだ
 テラスから出ようとしたときに突然男のような悲鳴の叫び声がして急に危機感を
 覚えたんだ、あきちゃも聞いたよねあの叫び声もさ…それにあの叫び声は
 まるで誰かが助けを求めているような叫び声だった…怖いくらいに』
長い話を切り出した敦子。
皆黙っていた、話す人も口を噤むものもいない…何も言えなかった。
『私も最初敦子のことを信じられなかったけど実際に敦子が聞いたんだ
 誰も信じてくれとはいわないわだから』

76プルヒッター:2012/08/19(日) 00:21:36
『でもなあ、その叫び声のような悲鳴は現にあっちゃんとあきちゃだけしか聞こえていないし
 ひょっとして…ここのペンションの人の悪戯が趣味なんかの一つとしてのことじゃないかな?』
にわかに信じがたい佐江はその話をまだ理解しがたいようだった、まあ悪戯にしては
手が込んでいるんだと思ったからだろうと…
『それにしてもおかしいとおもいません、妙に眠りについているとは皆さんが普通悲鳴が
 聞こえないなんてありえへんですか…ふつうきずくはずですから』
横山もそのあとを追う。
『それってここのペンションって防音装置がなっているんじゃないの
 それだったら私もとっさに飛び出してその悲鳴をいち早く聞いていたはずだ』
『それはありえません、ここのペンションはすべて防音装置はありません
 だいいちここはすべて古くから木造のつくりでしたから』
才加の言葉にペンションの従業員がそれを打ち砕くように言った。
防音装置は一切ついていない?
どういうことだ。

77プルヒッター:2012/08/19(日) 00:26:49
『叫び声ってどの方から下のあっちゃん
 場所さえわかれば探しようがあるんだきっと』
優子も真相を突き止めるために敦子に加担する
『うーんっよくは解らないけども1階の奥のほうでその悲鳴のような叫び声はしたんだ
 でも1階の施設ってプールと大食堂しかないんじゃ』
『その点は心配ありません、皆様はきっと1階のごく一部しか見ていないんですよ。
 なんなら私が案内いたしましょうか?』
『…お願いします』
ペンションの従業員に任せ敦子たちは案内される。

78プルヒッター:2012/08/19(日) 00:33:11
談話室をでて右側をすすむ少女たち。
そういえばこっち側に来るのはなかったっけ
明かりを頼りに進んでいく少女たち、ペンションの従業員を先頭にずんずん進んでいく17人
ただでさえ暗いのに上の電気がより暗く見えるのは気のせいなのだろうか?敦子はそんなことさえ考えてた。

79プルヒッター:2012/08/19(日) 00:39:00
『着きましたよ
 皆様…ここはペンションで最も綺麗なピアノホールです』
たしかに扉も豪華なつくりでそれらしいものだった、だが話によると今は使われてはいない
何故なのか?
やっぱり明かりもつかない暗闇の部屋だった…従業員の1人が部屋のスイッチをつける。
明かりが灯った
『ちょっとねえ、なんかさ血のような臭いがしない
 様子が変よこの部屋』
ともちんが最初にこの部屋の異変を気づいたようだ…目の前には大きくて黒いグランドピアノが
あった

80プルヒッター:2012/08/19(日) 16:07:09
目の前にあるグランドピアノに近づくともちんと敦子。
すると・・・2人は突然の悲鳴とともに信じられないものをみた。
『きゃああああああっ』
大きな悲鳴がピアノホール内を響かせる。
なんと、ピアノの鍵盤の上にぐったりと男がぐったりと倒れている姿があった。

81プルヒッター:2012/08/19(日) 16:13:46
『ど、どうかしましたか…!!!』
ペンションの従業員の1人が慌てた様子でグランドピアノの前にやって来る。
『ああっなんということだ』
『…えっ知っている人なんですか』
『知っているも何も彼はここのペンションの従業員の1人なんですよ』
ピアノの鍵盤の上に顔を歪ませながら倒れている男がそこにあった、胸には小さい果物ナイフが刺さっており
出血は殆どないものの表情は愚問に満ちた表情…白目をむいていた。

『ああっなんてこった…私の従業員の風間が』
亡くなった男の人物の名は風間とペンションの従業員は言った。
『うっ!!!』
嫌なものを見たともちんはちょっと吐き気を催したようだ…ただでさえ暗くて怖いピアノホールなのに
余計なものを見た以上黙ってはいられなかった様子…敦子もそんな気持ちだ。

82プルヒッター:2012/08/19(日) 16:17:31
2人は死体をみて寒気を覚えた。
これは…殺人、いや誰が彼を殺したのか?
死体を見て敦子とともちんは恐怖の戦慄を覚えた。

他のメンバーは部屋の外でただただ2人の姿を見つめるしか出来なかった。

83プルヒッター:2012/08/19(日) 16:23:11
しばらくしてピアノホールを後にした一同。
17人の少女は再び談話室へと戻った。
…ペンションの従業員も集めて緊急事態だとわかり談話室へ集まっている。
『これで従業員は全員です』
改めてペンションのオーナーが名前とともに従業員を紹介する。
ちょっと小太り気味な料理長のコック・細田
アルバイトの・荒井、福沢、岩下。
そして、オーナーの新堂と…先程殺された風間もペンションの従業員の1人だという。

84プルヒッター:2012/08/19(日) 16:29:54
『あの・・・前田さん、ともちんさんいったい何があったんです?
 先程のピアノホールで、私たちちょっと遠くから離れて見えなかったんですけど』
痺れをきらしたのはまゆゆだ。
確かに殺された風間の死体を見たのは敦子とともちん…それにペンションのオーナーの新堂だけ目撃しただけだ。
『そうよわたしたち遠くで見ていたから良くわからないし
 その辺を詳しく説明してほしいなあ…もう黙っていてもしょうがないし』
峯岸も黙っているのは嫌だっただろう…皆も同じ考えだ。
『あっごめんねまゆゆ、みいちゃん…説明すれば長くなるけど、いま敦子といっしょに
 ピアノの前に行ったんだ、そしたら私たちの目の前に従業員の人が殺されたみたいなんだ。』
…みんな絶句した。
声を出さない人も、泣き出しそうなメンバーもいた。

85プルヒッター:2012/08/19(日) 16:35:33
『ほんとうなのそれ?』
たかみなが怪訝したそうに言うが…敦子とともちんはこくんと小さく頷く。
『嫌だっ怖い』
とも〜みはちょっと半泣きしたそうな表情で言った…きたりえとゆきりんは信じられないといった表情だ。
『うん、私とともで踏み込んだ時にちょっとした血の匂いがした
 何となく変に思った私はピアノに近づいてみたのよ…すると』
『殺されてたってわけ?』
敦子の問いかけに麻里子は慎重な口調で問いかけた、敦子はただ頷くしかなかった。

86プルヒッター:2012/08/19(日) 16:44:07
『そんな』
麻里子も信じられない現実を突きつけられた表情だ。
『しかし、いったい誰がこんなことを』
『まさかうちら1人ずつ殺されるって思ってはりませんか、そう考えるとちょっと怖いですよ』
きたりえ、ゆいはんはちょっと恐る恐るに答える。
『大丈夫よ
 一晩過ごせば…大丈夫だって、これだけの大人数がいれば何とかなるよ』
強がるみいちゃん…しかし強気とはうって変わって声はちょっと震え気味だ、空威張りのつもりなのか?
『オーナーさんはその叫び声をご存知だったんでしょう、だったらどうして気づかなかったんですか?』
詰問口調の優子は厳しく言う。
『私たちも叫び声まではまったく気づかなかったんです、ここのペンションは木造のつくりだったので防音の装置までは作られていませんし』
オーナーの新堂はそう言った。

87プルヒッター:2012/08/19(日) 16:46:33
『それにピアノホールだけは防音の装置が作られていました
 気づかないなんてありえませんか?オーナー』
女性のアルバイトの1人福沢はそう言った

88プルヒッター:2012/08/19(日) 16:58:31
『そういえば…あそこだけ防音装置がきいていたな、私もここに来たときは
 前オーナーの話には聞いた覚えがあるけども…詳しくは知らない』
オーナーの新堂も首を傾げるだけだ。
『僕もです』
料理長の細田ものんびりした口調で言う、アルバイトの荒井は無口のままだ。
『馬鹿馬鹿しい、そんなの信じられないわ…大体どうして私たちが殺されなきゃならないのよ
 風間さんがどうしてかは知らないけども私たち…こんなことに付き合うのはこりごりなのよ
 ただ・・昔のあのときのように』
ヒステリックに声を上げるのは女性アルバイトの1人岩下だ、その言葉に新堂は岩下の顔をギッと睨む。
『おいっどうして今になってあのことを言うんだ
 お客さんのいる前だぞ…こっちは客商売としてやっているのに余計なことを言うな』
『す、すいません』
オーナーの新堂は小さい小声で岩下を叱り付ける。
ビクッとする少女たち。
昔のことで?敦子とたかみなは良くわからなかった…しかし、そのことはいずれにしても後に
解ることだったが…それはまだ先のようであった。

89プルヒッター:2012/08/19(日) 17:07:09
『すいませんね、アルバイトの1人が余計なことを言ってしまって
 どうか彼女が言ったことは気にしないでほしい、申し訳ない本当に』
新堂は平謝りをしながら言った。
『…昔のことって何だろう?』
優子が敦子に小さく耳打ちしながら言ってきた。
『さあ?』
あの岩下って女性の剣幕な言葉に私はちょっとビクッとなった、ただでさえ怖いのに
あの人はなんだかちょっと苦手な人物だな…でも昔のことって一体何のことだろう?
『とにかく皆様、落ち着いてください
 今夜はもう皆様もお疲れのご様子です、今夜はもうお部屋にお戻りになさってお休みください
 明日の朝になれば直ちに警察に連絡しますのでどうか安心してください』

90プルヒッター:2012/08/19(日) 17:09:35
新堂オーナーが落ち着いた対応な口調で皆に言った。
『…じゃあ、皆気をつけて解散』
たかみなの言葉に少女たちはそれぞれ自分の部屋へと戻り眠りについた。
こうして暗く恐ろしい最初の夜は嫌な思いを残して過ぎていった。

91プルヒッター:2012/08/19(日) 17:16:04
…翌朝
私たちは何事もなく全員目が覚めた…腕時計を見ると朝の7時30分だ。
敦子とたかみなはベッドから目を覚まし服を着替えて1階の談話室へと向かう。
『おはよう敦子、どう昨日は眠れた?』
『…まあね、嫌な夢を見た後だったから少し』
私はすこし寝ぼけ眼の目をこすりながらたかみなに言う。
よく言うよ、私と違ってグーグー眠っていたんだから、全く無神経というかなんと言うか
どこでも眠れるたかみなが羨ましいよ。

92プルヒッター:2012/08/19(日) 17:22:46
『おーはーよーございまず!!!』
なさけない挨拶をしたのは1人部屋で過ごした指原だ。
『さっしーなんなのよその声は…声が擦れているよ』
どうやら彼女はあまり一睡も出来ないまま1人の夜を過ごしたようだ…一人で眠っていたから無理もないようだ。
両目はちょっと赤目をしたまま眠い目をこすっていた…おもむろに欠伸をするさっしー
たかみなの膝の上に膝枕しながら倒れこむようにして寝た。
『こら指原、いつ私の膝が枕になったんだ』
『そんなことーいわずにーたかみなさん』
『もうっしょうのない子ね』
たかみなは嫌がる指原を膝から引き離そうとしていた、しかしさっしーは離れようともしない。
まったく同じチームAなのにしょうのないやつ、私もちょっと呆れてた。

93プルヒッター:2012/08/19(日) 17:31:00
そして他の皆も部屋から出て起きてきたようだ。
優子、ともちんもそして皆も自分の部屋から出て談話室へとやってくる。
…ただ麻里子とにゃんにゃんの一緒の相部屋からはまだ出てこない?
まだ眠っているのだろうか?私はちょっと心配して2人のいる部屋のドアをノックする。
コンコン。
しかし返事が返ってこない…おかしいなあ。
と、その時
『キャア−ッ!!!』
にゃんにゃんの悲鳴がした、まさか2人のみに何か?
ドアをいつも以上にノックする…私はただならぬ気配を感じた。
開けてにゃんにゃん…早く。
『どうしたのよあっちゃん』
眠い目を擦りながら麻里子がドアを開けてきた、まだ寝ていた麻里子とはうって変わってちょっとほっとする敦子
それどころではないにゃんにゃんの悲鳴を聞こえなかったかと私は麻里子に訪ねた。
『えっ!!!!陽菜』
部屋の洗面所に行く2人。

94プルヒッター:2012/08/19(日) 17:39:09
洗面所の扉を開ける2人。
『大変なの・・・ちょっときてよ』
陽菜の叫び声が部屋へと響く…洗面所でなにかあったのか。
『怖いっ…』
『ちょっと落ち着いてにゃんにゃん…一体何があったの?』
『1人大声上げて、どうしたのよ』
ちょっとパニック状態の陽菜に敦子が洗面所の中へと入る、すると…洗面所の蛇口の水からでる水が赤く?出ているではないか。
『えっ!!!ちょっと冗談、どうして私たちの部屋の洗面所の蛇口から血が出ているわけ』
麻里子も蛇口から出ている水が異変だと気づいたときには一瞬びびった。
確かに紛れもなく蛇口から出ているのは赤い水だった…にゃんにゃんは起きて顔を洗おうとしたときに蛇口を捻った瞬間だった。
『嫌だっ怖い…これじゃ顔も洗えないよ』
にゃんにゃんは赤い水のことよりも顔を洗えないことが困っていた様子。

95プルヒッター:2012/08/19(日) 17:47:52
『どうする敦子…オーナーに言ったほうがいい』
『・・・・・・・』
麻里子の問いかけに敦子は半ば冷静でいた様子…やがて
赤い水はじょじょにではあるが段々ときれいな透明の水へと変わっていく、やがて赤い水も出てこなくなり
蛇口の水は普通の水へと変わった…きっと蛇口の中のパッキンが随分と錆びていたんだ。
『何々、どうしたのにゃんにゃん悲鳴を上げて』
優子も心配してやってきた。
『あっ優子、大丈夫よもう安心して…ちょっと蛇口の水がおかしかったってにゃんにゃんが1人で騒いでたの』
『もうっ脅かさないでよ陽菜…ただの錆だったんじゃない』
麻里子は陽菜に小さく叱った…事実にゃんにゃんは血だと思っていたに違いない。
『だってー血だと思ったんだもの』
『えっそれマジ!!!』
優子もマジなドヤ顔しながらにゃんにゃんに言う…俄には信じられないものの結局普通の水に戻って事情を説明した
ので優子もほっとしたご様子だった。

96プルヒッター:2012/08/19(日) 17:53:27
『でもどうして私たちの蛇口だけ錆び付いてたんだろう?
 幽霊じゃあるまいし…』
まだ麻里子は信じ固い傾向だったけども、一瞬蛇口から出ている水を見てホッとしたのだ。
幽霊?
私はそんなことが信じられなかった。
幽霊って人を脅かす脅威のものだと思っていたから、私は幽霊の存在を消したのだ。
結局何事もなく麻里子とにゃんにゃんは顔を洗って急いで服を着替え部屋を出た。
私もちょっと顔を洗い部屋を出る。

『朝食のご用意が出来ました。
 皆様大食堂へどうぞ』
オーナーの新堂さんが朝食の御用が出来たと知らせに来てくれた…私たちは大食堂へ移動した。

97プルヒッター:2012/08/19(日) 17:58:26
テーブルには人数全員の朝食が用意されていた。
焼きたてのパンの匂いが私の鼻に届くのが解る…いい匂いだ。
そしてカリカリに焼いたスクランブルエッグに色とりどりのカラフルな野菜サラダ。
椅子にすわり食事にあり付けた。

そして朝食も終わってグラビアの撮影に出かけロケバスに乗る私たち。
…仕事は何事もなく無事終了、そしていつものようにバスは山奥の上にあるペンションへと
向かっていった。
今日も夕焼け空が赤く染まった…いやそれ以上に赤かった。

98プルヒッター:2012/08/19(日) 19:28:55
山奥のペンションに戻ってきて1時間。
ロケバスを降りペンションの入り口に入るところ…優子が突然ピタッと足を止める。
『どうしたの優子ちゃん、急に立ち止まって』
立ち止まった優子にきたりえが急に話しかける。
…まただ。
昨日と同じ血の匂い…皆は優子の行動に読めずその場にいる。
『優子…何かあったの?急に立ち止まって』
あっ!!!この匂いって血の匂いじゃ・・・またこのペンションで何か起きたんじゃ。
嫌な事を想像した私と優子。

99プルヒッター:2012/08/19(日) 19:33:02
『あっちゃん、これって昨日と同じ空気だよ』
優子の震えた声にちょっと私は怖く感じたのだ。
『優子さん、前田さん…何かあったんですか?
 こんな所にいて立ち止まっておると風邪ひくで〜早く部屋いって着替えんと』
『あっ由依』
由依は私の言葉を無視し2階の自分の部屋へむかって階段を上ろうとする。
とその時だった!!!
『キャアアーッ!!!』
由依の叫び声だ。

100プルヒッター:2012/08/19(日) 19:41:35
『ちょっと今、由依の叫び声じゃない
 優子なんで黙っていたのよ、助けに行かないと』
佐江の声で後押しした私は、言われる事無く急いで悲鳴のした由依の方へ行く。
由依…無事でいてくれよ。
急いで走る優子と佐江…すると床に尻餅をついた由依が泣きそうに優子に泣きつく。
『由依・・・何があったのよ
 泣いてたんじゃ解らないよ・・・ちゃんと説明してよ』
佐江の体に蹲って泣いている由依が泣きながら説明をした。


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