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【アク禁】スレに作品を上げられない人の依頼スレ【巻き添え】part2

1名無しリゾナント:2011/01/18(火) 17:04:23
アク禁食らって作品を上げられない人のためのスレ第2弾です。

ここに作品を上げる → このスレの中で本スレに代理投稿する人が立候補する
って感じでお願いします。

(例)
>>1-3に作品を投稿
>>4で作者が代理投稿の依頼
>>5で代理投稿者が立候補
>>6で代理投稿完了通知

立候補者が重複したら適宜調整してください。ではよろしこ。

268名無しリゾナント:2011/08/13(土) 02:17:16

「明日も絶対来るよ、絵里。予定は変更。中庭に行こ。ね、何しよっか」



絵里が生きる目印を見失わないように。
絵里の約束が果たせぬ日が来ぬように。
絵里が明日もわらっていられるように。

時々弱虫になる絵里をさゆみは守らなくちゃいけないの。
明日も明後日もずっとその先も、さゆみは約束を守るよ。

明日の約束をすることがさゆみの約束
明日の約束を守ることが絵里の約束



寝癖で跳ねた頭に鼻先を押し付けて、さゆみは精一杯の弾んだ声で絵里に明日の約束を取り付けた。

269名無しリゾナント:2011/08/13(土) 02:23:16
>>265-268『やくそく。』
ちょっと真面目で懐かしい感じ、でした。
もうちょっとスマートに書けたら…と不完全燃焼ですが上げさせていただきます。

9期設定にも夢中になるけど、やはり、ふと原点に戻りたくなります
とりあえず形が変わってもリゾナンターは大好きだということです。

270名無しリゾナント:2011/08/13(土) 02:24:34
以上代理投稿宜しくお願いいたします。
この間まで大丈夫だったのに規制されてましたorz

271名無しリゾナント:2011/08/13(土) 17:29:10
行って来ましょうかね。上手く書き込めるか不明ですが。

272名無しリゾナント:2011/08/13(土) 17:42:33
投稿して参りました。改行の規制のためレスの区切りが変わってしまいました。
ご容赦下さい。

273代理投稿願います:2011/08/14(日) 15:05:58
 ■ クリミナルエネミー −鞘師里保− ■

イクちゃんってやっぱりKYだよなぁ

自分より年上で背も大きいくせに買い物を手伝うわけでもなく
カゴ一つ持ってくれるでもないその「美しきポンコツ」を横目に
鞘師は重たい買い物カゴを運んでいた。
水軍流によって、重量物を効率的に運搬するための体のコントロールは
知り尽くしている鞘師であったが、いかんせんもとの身体資源そのものが乏しいのだ。
瞬間的な動きの中なら敵の体重が100kg超であろうと片手で楽々放り投げる事が出来ても、
のんびり重いものを運びつづけるのは、やはりしんどい。

「カゴ持って」とか具体的に指示すれば生田は喜んで手伝ってくれるだろう。
だが、鞘師は頼まない。

ごく短い付き合いではあるが彼女の「ポンコツ」ぶりは身に染みてわかっている。
勝手にイチゴを取るぐらいならまだマシだ。
誰かの役に立てた、そのうれしさからカゴを振り回すかもしれない、
別の興味を引くものが眼に飛び込んできていきなりカゴを放り出す可能性もある…
なんにせよ、現状より良くなることは一切ない。その確信だけはある。

で、鞘師なりのささやかな抵抗が博多弁イジリというわけだ。

274代理投稿願います:2011/08/14(日) 15:07:10
例の一件は表向き、全て済んだこととなっている。
「特務安全調査室?」なるところと高橋との間でどんな密約がなされたものか、
『福岡県立防人中学集団ヒステリー事件』は、
思春期特有の不安定な精神状態により…とかなんとか、もっともらしい理屈とともに
ごく小さくとりあげられ、その他の瑣末なゴシップの中に埋もれて消えていった。

鞘師にはそういったことはどうでもいいことだった。
生田に対して同情も断罪するつもりもない。全く興味が無いのだ。

実はリゾネイターの中でも、高橋と新垣ぐらいしか気がついていないことだが、
鞘師自身、善悪とか合法違法に関しての感覚に大きな欠落部分を抱えている。
鞘師が全く問題を起こさない優等生であるのはそれが自分の安全にとってベストであるからだ。
善悪や道徳ではなく合理性によって『そうしている』にすぎない。
が、あの一件からわずかな期間で、喫茶リゾナントでの生活で、仲間との交流の中で、鞘師も大きく変わりつつある。

生田に対する不満からちょっとしたイジワルをする。
これなど、ほんの少し以前の鞘師には考えられないほどの「人間性」ではないか。

対して、生田の方はこの鞘師の不満には全く気がついていない。

一方的に「鞘師ちゃんは衣梨のことわかってくれる」そう生田は感じている。
だが、以前よりはるかに力のセーブが上達しているとはいえ、
実際のところ鞘師も生田の能力の影響をもろに受けているのだ。

275名無しリゾナント:2011/08/14(日) 15:08:05
「イクちゃんって何考えてるのか全然わからない」そう感じている。

それでも、わずかな足の向き、目線の変化、全身の微細なシフトウェイト…
そういった情報から一瞬先の行動ぐらいは判断できる。
通常、人間はこういった具体的な情報を正しく分析できず
「あてずっぽう」「たんなる思い込み」で判断し行動している。
鞘師は常人とは桁外れに多くの「具体的情報」を入手でき、それらを正しく判断できる。
生田の能力によってそれらが半減させられたとしても、それでも常人をはるかに超えている。
ただそれだけのこと。
感情にいたってはせいぜい喜怒哀楽が読み取れる程度の事だ。
犬がしっぽを振っていたら「多分喜んでるんだろう」誰にでもそのぐらいはわかる。
鞘師が人、生田を犬にたとえるなら、要はその「しっぽのこと」を鞘師だけが知っている状態。

276名無しリゾナント:2011/08/14(日) 15:08:57
本当に、ただそれだけのことだ。

あの一件の少しあと、リゾネイターにはもう一人、譜久村聖が加わっていた。
【残留思念感知】をもつ彼女もまた、生田の心を読める能力者であった。
鞘師、譜久村、そして能力のセーブが上達するに従い高橋、新垣…
いまや生田の心を読めるのは鞘師だけではない。
むしろ、高橋、新垣、譜久村のほうが鞘師よりはるかに生田に興味を持ち、生田を心配し、気にかけてくれている。
だが、「衝動性の塊」のような生田の突発的な奇行に対して「ダイレクトに」割り込めるのは今のところ鞘師だけなのだった。

先ほどのイチゴの事などもうすっかり忘れた生田が鞘師の前をスキップしている。
やっぱりかのんちゃんと一緒の班がよかったよ。鞘師は思う。
かのんちゃん…鈴木香音は譜久村聖と日用雑貨がそろう向かいのビルで買物しているはずだった。

ちょっとかのんちゃんに電話しよう。
高橋さんに用意してもらった携帯を取り出す。
「ほーいこちら神のケータイである〜」
「あ香音ちゃん。そっち終わった?」
「うんにゃ。でももうちょいかな」
「じゃさっき決めた待ち合わせ場所先行ってるから」
「ほーい…TVビル…とこの…プツツ…植木の前…っじゃあすぐ…プツ…」

切れた…圏外…?おかしい、さっきまでそんなことはなかったはずだが…

このとき、
もし、鞘師一人だけだったら?
もしかしたら、すでに異変を察知できていたかもしれない。
だが、それだとして、無事に何事もなく済んだだろうか?
逆にもし、このとき、生田がこの場にいなかったら?
 −生田がKYでは無かったら?−
鞘師は命を落としていたかもしれない。

危機が…迫っていた。

277名無しリゾナント:2011/08/14(日) 15:15:17
>>273->>276
 ■ クリミナルエネミー −鞘師里保− ■ でした。

以上、代理投稿願います。

278名無しリゾナント:2011/08/14(日) 21:53:07
遅れたけど行って来ますか

279名無しリゾナント:2011/08/14(日) 21:58:23
完了
本格的に9期の物語が動き出したって感じでしたね

280名無しリゾナント:2011/08/15(月) 03:37:19
>>627からです。
泉はバックステップをし、愛を庇うように前に出て再び構えをとる。
井坂は落ちていたナイフを拾いニヤリと笑って刃を泉に向けながら近づいてくる。
「逃げて、早く、逃げて!もう私の目の前で誰も殺させない、傷つけさせない、誰も失いたくないの!!」

泉が叫ぶ。

泉の脳裏には時間を魔術で戻す前、自分を犯人から守って血まみれになった高取刑事、港で灯子が
『愛してる』と言いながら銃をこめかみに当てて引き金を引き、そのまま海に落ちた事が浮かんだ。

その様子が泉の背中にいる愛に伝わってきた。

「泉さん……」

「うるせえ!」

281名無しリゾナント:2011/08/15(月) 03:39:29
井坂が銃をぶっ放す。
空砲が泉の耳をつんざく。思わず構えをとき、肩をすくめてしまった。

「次の弾は入ってるぞ……」
うすら笑いを浮かべながらゆっくりと近づいた後、一気に井坂は泉にナイフを振りかざしながら向かってきた!
「死ねぇっ!」

「危ない!」

井坂が愛めがけてナイフを振り下ろした時、泉は間一髪で愛の小さな体を抱いて受け身を取った。
ゴロゴロとアスファルトを転がっている間、泉の腕から鈍い音が聞こえてきた。

「泉さん!」
ナイフで泉の半袖のシャツを切り裂かれ更にそこからは深くはないが切り傷があり、ポタポタと血が滴り落ちている。
「泉さん……」
愛は悲しそうな目で泉を見た。
そんな愛を見た泉は顔を痛みでしかめながらも笑顔を作った。
「大丈夫よ。いつものことだから」
「でも……」
泉は思った。
彼女がこんなに怖い目に合っているのに自分を心配してくれている。
彼女を信じて良かった。
見ず知らずの女の子だったけど悪い人じゃなかった。

泉は愛の頭を撫でて立ち上がった。
(これだけ騒げばもうすぐ警察が来てくれる、それまで私が井坂を食い止めないと!)

282名無しリゾナント:2011/08/15(月) 03:41:16
「今度は外さねぇぞ」

「はぁ、はぁ……」
右腕を押さえても血はまだ滴り落ちている。
泉の息が荒い。

「逃げて、早く……」

「嫌や……」

「もう、誰も死なせたくないの」
泉は稟として言い放った。
「死ねえっ!!」

「嫌やーー!!」

井坂がナイフを振り下ろした時、愛は泉を突き飛ばした。

守られる愛ちゃん。
次と次くらいで終わりそうです。
保母さん強えー、ただの女子大生じゃねえ。
最終回には超猿達(英訳)に最後に入った人を出す予定です。
このスレの平均年齢の低さに嫉妬。
アク禁されちゃった……。

283名無しリゾナント:2011/08/15(月) 03:50:27
以上です。
初狼の代理お願いします。

284名無しリゾナント:2011/08/15(月) 04:43:09
書き込めました。
ありがとうございます。

285代理投稿願います:2011/08/15(月) 17:24:41
 ■ ミーティングオブリベンジ −保田圭・矢口真里・市井紗耶香− ■

「これで全部?」
「ああ、そうだよ」
「ふうん…
で、これらのデータから導き出された答えが、これなのね」
「なんだよ、なにが言いたいんだ?」
「矢口、あんた、このデータ見て何も気づかない?」
「ああ?」
「結論から言うわ。
その答えはほぼ間違ってるとみていい」
「なんだよそれ!意味わかんねーよ」
「このデータ、確かにみんな本物よ。こっちの内容…それ自体にも矛盾は無い。
でも…それらのデータを総合して出てきた答えが正しいものになるとは限らない。
いい?
この供述書、それとこっち、それからこっち、あとこっちも…
口調や文脈、勤めて特徴を変えてはいるけど、これ全部『同一人物の作った台本』を基に言わされてる内容よ。
こっちに教えたい情報だけを意図的に、ね。」
「なっ!?そんなはずは」
「あなたの尋問が甘かったわけじゃないわ。
彼らも台本を言わされてるつもりも、嘘をついているつもりもないはず…」
「じゃ…」
「そう。精神系の…例えば新垣のような能力者…それも、かなり強力な…」
「なるほど。和田、前田っていう子供のほかに、まだ能力者がいるってことか。」
「なんだよ市井まで」
「責めちゃいないよ。分析のミスは修正すればいいだけだ。」
「あんたも、あの二人が譜久村って子と接触している可能性を考えてたじゃない。
譜久村以外にも生き残りがいても何ら不思議はないわ。
おそらく、『大半が本当』のデータの中に巧妙に嘘が混ぜ込んであるのね。

286代理投稿願います:2011/08/15(月) 17:25:50
もう一度、廃棄物のデータを洗い直す必要があるわ。
それも、外部に持ち出されたとされる廃棄物のデータではなく、
完全に処理が完了していることが判明しているデータの方を、ね。」
「その中に…このシナリオを書いた子がいる…か」
「容易ならざる敵ね…矢口、アンタの言う和田って子より、もしかしたら厄介な相手かもしれないわよ」
「圭ちゃんはアイツと直接会ってないからそう言える。アイツは…」
「わかってる。過小評価はしていないわ。
和田彩花…自在に『空を飛び』まわり、至近距離からの銃弾にも『当たらない』、
そして、矢口と後藤の能力を『妨害』する力…
組織の歴史上かつて存在したことのない【三重能力者(トリプルアビリティ)】かもしれない相手。
しかも空を飛ぶ以外の能力に関してその実態は全く不明…
過小評価しろという方が無理よ。」
「厄介の性質が異なる…といったところか。
保田さん、矢口の考えた対和田攻略法については?」
「うーん…何とも言えないわね…それこそ私たちは彼女に会っていない。
彼女の能力を体験したわけじゃないわ。
ただ、こんな単純な手で防げるものかどうか…。それこそやってみないと何とも言えないわね。」
「認めたくはねーけど…和田のもってる【能力阻害】はオイラの比じゃない。
けど、『オイラ同様の能力である以上』オイラと『同じ弱点を持ってるはず』だ。」
「…本当に…【能力阻害】なのかしら?…」
「ん?なんか言ったか?」
「いえ。どの道、現段階ではその方法以外にいい方策は思いつかないわ。やってみるしかないわね。」
「つうかさ、この攻略法はもともと市井と二人でやるつもりで考えたもんだからさ。
圭ちゃんがいるなら最初から圭ちゃんに時間を止めてもらえばすぐ済む。」
「まあそうね。でも、まずはその作戦を試しましょう。」

全てが停止した中、三人の女が邂逅し、やがて別れ、世界に時間が戻っていく。

『和田彩花…必ず殺すわ…後藤を…真希の仇はとってあげなくちゃね…』

287代理投稿願います:2011/08/15(月) 17:26:41
>>285-286

■ ミーティングオブリベンジ −保田圭・矢口真里・市井紗耶香− ■ でした。

以上代理投稿願います

288名無しリゾナント:2011/08/15(月) 19:46:36
行ってきました

289いつもすみません 代理投稿願います:2011/08/16(火) 16:07:25
 ■ フリボラスマーチャント −岡守時秀− ■

「どうもどうもー。いつもさわやか明朗会計、"小売店"仕入れ担当さわやか伍郎です。
いやー福田さん今日もセクシーですねーいやホント。」
「そんなこと全然知ってます。てゆうか電話だし見えてないし嘘だし、どっちみち
さわやかさんに言われてもきもちわるいだけでちっとも嬉しくないんですけど」
「いやいや!またまた!サンキューフクーダ!」
「…チッ」
「い…いやー!しかし今回もまた見事な手際でございましたね!どれも実に状態がよろしくて!
私も上司も大喜びですよ!」
「話薄い。ってゆうか報酬値切るつもりならこっちだって考えがありますからね」
「いやいやそんなめっそうもない!ただー…そのぉ…『丸太』の数の方がちょっと合わないといいますか…」
「そんなことこっちの責任じゃないでしょ。回収はそっちがやるって契約だったんだから。
回収し切れなかったなら、それはそっちのミスじゃない?」
「いやーしかし、まさか『船』をあんな状態にしてしまうとはこちらも聞いてなかったといいますか…」
「あたし達が依頼されたのはあくまで『丸太』。やり方はこっちに任せるって契約でしょ?
もしかして、『丸太』代だけ払って『船』ごと手に入れようなんて考えてたわけじゃないですよね?」
「いやーそれは」
「とにかく、報酬は約束通り。交渉は一切しません。いやならこれきりです。」
「やだなぁ福田さん。値切ったりなんかしませんって。もちろんいつも通りお支払い致しますよ!ホントホント!」
「…もう切りますからね」
「あっ。待ってください!またいいバイトがありましてですね。是非一度お話を…あっ切られちゃったよ…相変わらず不機嫌だねあの娘も。生理かねぇ?」
ほぼトラ刈りの頭にちょび髭、どう見てもチンピラか、よく見てもチンピラ…そんな風貌の男が
一方的に切られた携帯に向かって一人愚痴をこぼす。

「つうかまぁ…、あんな『物騒なもん』くすねてなにする気なんでしょうねーあのお姫様たちは…」
さほど気にしているふうでもなく、男は携帯をかけ直す。

「どうもどうもー。いつもさわやか明朗会計、"小売店"『販売』担当、さわやか伍郎です。
ご注文の品、入荷いたしましたー。つきましてはお取引の日時と場所をですね…」

290いつもすみません 代理投稿願います:2011/08/16(火) 16:10:31
■ フリボラスマーチャント −岡守時秀− ■ でした。

以上、代理投稿願います
狼、最近また弾かれるようになってしまった…

291名無しリゾナント:2011/08/16(火) 22:22:12
エピローグ
「・・・ここに来るのひさしぶりなの」
「そうっちゃろ?」
れいなと道重は街を一望できる丘の上に来ていた
「なんで、ここに来たか、わかるっちゃろ、サユなら」
れいながまだ目が腫れぼったい道重に尋ねた

道重は目の前に広がっているまだ淡い白い雪を被った街を眺めながら言った
「ここは・・・エリが・・・大きい夢を言ってくれたところだから」

『れいなと手をつないで、さゆの癒しの力をさ、絵里が起こす風に乗せて、世界の人たちに幸せを届ける』
この丘の上で亀井が二人にそんな大きな夢、いや計画を語ったのはもう数年前のこと

「ここに来ると、いつも思うことがあるっちゃ。エリとサユのためにも頑張ろうって
 エリみたいな目標を持つことを素直に格好いいと思ったけん、少しでも出来ることはしたいって」
れいながさゆみの横に並んで立つ。その目はさゆみにも負けないくらいに大きく腫れている
「だけど、そんときはれーな思ってもみんかった。まさか・・・エリがその夢を最初に諦めることになるなんて」
隣に立っている道重は思わず涙ぐむ
「れいな、そんなこと思っても言わないで欲しいの」

そんな道重を知ってか知らずかれいなは語り続ける
「リゾナントは開いているけど、やっぱり愛ちゃんも元気ないと。だけどお店は休めないって愛ちゃんらしいと
もちろん、れーなも愛ちゃんも一緒に泣いたっちゃ。だってエリがおらんくなるなんて…信じられんもん」
事実れいなは一日中泣いて、泣いて、泣き通した
流れ落ちた涙がお気に入りのベッドに染みいり、大きな跡として今も残っている

「他のメンバーも気になって、こっそり見に行ったと。メールするの恥ずかしいっちゃろ?」
泣き崩れている高橋に気付かれないようにれいなは二階からこっそりと脱出したのだ
リンリンとジュンジュンはバイトしているようであったが、いつもよりも目の周りの化粧が濃かった
久住は生放送のテレビに出ていたが、笑顔がいつもよりもかなりひきつっていた
光井は授業には出ているようだが、うつむいて登校しているで首に巻いたマフラーは黒かった
そして、新垣はお店にすら現れていないらしい

292名無しリゾナント:2011/08/16(火) 22:22:55
「みんな、つらそうな顔してたと。ガキさんは見とらんけど、特にショックを受けとう。
 もちろん、一番ツライのはサユやと思ってるけど」
「・・・」
道重はカバンからハンカチを取り出し涙を懸命に止めようと悪戦苦闘している
「みんなエリがいなくなったことに向き合うことはできておらんっちゃ
 自分達に出来たことが何かなかったのかってずっと自問自答していると
 もちろん、れーなも悩んだとよ。れーなの思いが足りなかったんじゃないかって」

「ねえ、れーなはどう思ったの?・・・さゆみと戦っているとき」
最後の一言を口に出すのは苦しそうであった
「怖かった?それとも、悲しかった?」
「正直、複雑だったと。さえみさんを倒したらサユを失うことになったかもしれんっていう不安もあった
 さえみさんがれーな達を認めてくれるなら、無事に帰れると思ってたけどさえみさんが暴走して…
 それにさえみさん、手加減しなかったけん、れーな、途中で何をしたいのかわからなくなってたとよ」
「そうなんだ・・・ごめんね、れいな」
道重はさえみが表に出ていた時の記憶はほとんどなかった
「れーなに謝られてもどうしようもないとよ」

「でも、一つだけわからんことがあると・・・なんでさえみさんが消えたのにさゆは消えなかったと?」
「エリの傷の共有で体ボロボロになったのに、なんでサユの体は無事なんやろ?」
れいなはピンクとオレンジ色の光に包まれる直前の二人の姿を思い出していた

「・・・お姉ちゃんが守ってくれたの。『私が消えるからさゆみは生きなさい』って」

293名無しリゾナント:2011/08/16(火) 22:24:15
亀井の傷を移されたさえみは悟ったのだろう、このままでは自分も消えてしまうと
それは自分が存在する意味そのものであった何より愛しい妹を消すことになる
確かにさゆみとさえみ、二人の存在が消えることになれば永遠にさゆみを自分のモノにできる
ただ、それは・・・さゆみが望んでいることではないとわかっていた
さゆみの望むことを全て叶えてあげたい、それがさえみの生きる目的であったのだから―

「最後の最後までお姉ちゃんがさゆみを守ってくれたの。さゆみが拒否してもやっぱり離れられなかったみたい
・・・あのね、れいな、最後にね、お姉ちゃんと会話できたの
『さゆみちゃんに本当に申し訳ないことをしてしまった』って悲しそうな声してたの
それに『さゆみちゃんも大人になった。いつまでも守らなくてもいいのよね』とも言ってた
ただ正直、お姉ちゃんを許していいのかわからないの。だってお姉ちゃんは私自身だったから」
れいなは何も言わない方がいいのだろうと思い黙っている

「それから・・・お姉ちゃんにみんなに伝えてって言われたの」
「なにを言われたと?」
「『私がいなくなってもさゆみをよろしくって、それからエリちゃんのことは償わせてもらいます』って」
「『償う』ってどういうことっちゃ?」
道重はわからないという風に首をかしげているが
「多分、さゆみを守っていたようにエリを守ってくれるんで事だと思うの」

「ほら、そんなことよりれーな、持ってきたの?」
「もちろんとよ、提案したのれーなやけん」
そういいれいなが取りだしたのは猫の飾りのついた青色の携帯ストラップ
さゆみもカバンからピンク色のウサギの飾りのついたピンク色の携帯ストラップを取り出した

294名無しリゾナント:2011/08/16(火) 22:25:17
「本当ならエリの思い出のモノも一緒に埋めたいっちゃけどれーなお揃いのモノないけん」
そういいながられいなは凍った地面をスコップで掘り始めた
「これ、さゆみエリとお揃いのリングなの。変わりにこれを入れるの」
さゆみはれいなから受けとったストラップ、そして二つのリングを穴の中に丁寧に置いた

れいなが優しく土をかぶせていく
「エリ、ここでゆっくり眠るっちゃ。エリの分までサユとれーな頑張るけん
頑張ってきたぶん、休むと、れーな達負けんからね!」
「さゆみ達、前を向いて行かなくちゃいけないのわかっているの。
 今まで本当にエリと一緒に入れて幸せだったよ。あ、こういうのエリ嫌いだっけ?幸せがああだこうだ言うの
 ・・・そうだよ、今、全然幸せじゃないんだからね!もう幸せになれる気なんてしないんだから!
 エリがいて、馬鹿見たく笑って、泣いて、感情隠さないでいたから楽しかったんだから!!エリのバカ!」
そう大声で叫び、道重は涙を流しながらブーツをはいたその足で荒っぽく土をかけ始めた

れいなと道重の手によって埋められていく絆の証
携帯ストラップもリングも亀井絵里と共に時間を過ごしたという証明
それを忘れないために二人はこの丘に埋め、亀井の『墓』ではない

「エリはこの場所がとても好きだったの。愛ちゃんがこの場所を教えてくれたって言ってたの
 ここならエリも安心して笑っていられるでしょ?・・・この世界一の幸せ者がぁ」
「・・・エリはずっとここで生き続けるっちゃ。多分、れーな達は思いだすんやろうね、風が吹くと」
「アホっぽくて、適当で、天然で、だけど誰より考えていて、強くて、意地っ張りなエリのことを」
自然と手を握っていたれいなとさゆみ、そんな二人の間を一筋の風が吹きぬけた

「さあ、さゆ、リゾナントに戻って愛ちゃん達に何か作ってもらうよ!
 愛ちゃん達はまだ立ち直れていないっちゃけど、いつまでも立ち止まれないやろ?
 出会うのも運命、だけど別れ、それも運命っちゃろ!うじうじしてたらエリにバカにされるっちゃ!」
「・・・そうだね、愛ちゃん達にも早く向き合って欲しいの!エリ、さゆみ負けないから笑ってみてて!」
れいなとさゆみ、二人は小さく「ありがとう」と呟き、今来た道を駆け足で戻り始めた

295名無しリゾナント:2011/08/16(火) 22:28:17
『Vanish!Ⅱ〜independent Girl〜』のエピローグ(1)です
待たせてしまいましたか?待っていないですかねw
最近投下多いので…遠慮していましたが待っていられないので投下しました
(1)とあるように・・・少しだけ続きますw
(2)(3)で終わる予定ですのであと少しだけ辛抱を!


代理投稿よろしくお願いしたします

296名無しリゾナント:2011/08/17(水) 08:11:07
遅くなったけど行ってきました

297名無しリゾナント:2011/08/17(水) 08:16:02
すみません、自分で行けばすべて済むんですけど(汗
ありがとうございました。

・・・なんか最近、『外れた』話が多い気がする、なんてつぶやいてみる

298名無しリゾナント:2011/08/18(木) 13:59:13
>>289です
いつもお世話になっております
暫定保管庫で>>289の解説をしていただいておりますが(ありがとうございます)
さわやかさんの実際の名前は「さわやか五郎」「岡見時秀(おかみときひで)」です。
作中では伍と守に変えてあります
ご存じの通りさわやかさんはアップフロントの人ではあるんですが
まあ男は一文字づつ変えとこうかぐらいの気持ちで名前を少しいじったのが災いしてしまいましたね

299名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:00:21
                ★   ★   ★   ★   ★   ★

誰にもつけられていないことを確認して彼女は部屋に入った
施錠したことを確認して、ほっと一息つき、右手をのばし部屋全体に灯りをつけた

「元気にしてた?ほら、ここにあなたの大好物を置いておくから」
女は近くに立っている若栗色の女の子の足元にプリンを置き、目を閉じて手を胸の前に合わせた
「今日で、あなたがここにきて3年ね、どう?後悔してる?」
女の子は何も言わずに目を大きく見開いたまま微動だにしない

女は部屋の奥へと足を進め、奥に置かれたテーブルにカバンを置き近くの椅子に座った
「ただいま、久しぶりね、元気だった?」
椅子のすぐ横に立っている茶髪の女に声かけたが、その女もやはり反応はない
「・・・あんたが話せたらいいんだけどね・・・まだその時じゃないのよ、残念ね」
女は一人呟き、部屋を見渡した

部屋の中には数十人の人間の姿、ただしそれらはまったく動いておらず人形の館の様だ
思い思いの格好のまま止まっていて、呼吸すらしていないのだが、死んでいるのではない
彼らはこの部屋の主である女―保田圭によって永遠の時を与えられた存在だからだ

保田は時々この部屋にやってきては彼らの欲望のあまり止められた愚かさを確認しに来ていた
それは自分自身が強欲であることを戒めるためでもあり、同時に変化がないことを見るためであった

数日ぶりに来たこの部屋にはほとんど変化はない
保田がテーブル横の女の足元にかぼちゃプリンを置き、自分は持参した水筒からコーヒーを飲みだした
「あらやだ、おいしいじゃない。あのお店いいもの扱っているのね」

保田の目はゆっくりとかぼちゃプリンを置いた女の隣へと移動する
そこには栗色のふんわりとした髪の女の姿が。もちろん止められている
ゆっくりと保田はその女性の全身を眺め、変にねじれているところがないことを確認した

300名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:02:12
時々・・・保田の力が弱まり、勝手に動くことがあったのだ
それは主に、大きな相手、Gだの天使と戦う時に限られてはいたが用心にこしたことはないと考えている

時間を止めること、それが保田の能力
あの時−さえみに消されそうになった吉澤、マルシェを救いだしたのもその力があったためだ
マルシェと吉澤を連れて帰ってきたのはもう一週間も前のことになる

                ★    ★   ★   ★   ★   ★

「おかえり〜キャハハ、圭ちゃん大変だったねえ〜」
転送装置に乗って本部に帰ってきた保田、吉澤、マルシェを出迎えたのは矢口だった
「矢口さん、珍しいですね、お出迎えしてくださるなんて」
「キャハハ、誰か幹部が消えればおいらの出世も近づくじゃん、残念だけどみんな無事なようだね」
そういいながらも矢口が出迎えてくれたことがマルシェにとっては嬉しかった

「矢口いいの?仕事中でしょ?」と尋ねる保田にも矢口は「休憩」といって相変わらず笑っている
「それじゃあ、俺は疲れたからシャワー浴びて来るわ」
さえみと戦い自慢の髪の毛に埃が付き、汗をかいた吉澤が早々に立ち去ろうとした
しかし、矢口が吉澤を呼びとめた
「ちょっとよし子、少しくらい話聞かせてよ。おいらの部屋に来てさ、コーヒーくらい用意するからさ」
先輩の半ば強制的な誘いを断れることなく、4人は矢口の部屋へと向かった

矢口の部屋は巷で人気のフィギィアや漫画が置かれており、悪の幹部の部屋とはとうてい思えなかった
矢口は自分の椅子に座り、保田達は部屋に置かれているソファーに腰掛けた
机の上に置かれたボタンを押し、「すぐにコーヒー4つね」と矢口が注文する。どうやら厨房と繋がっているようだ

「それで一体何があったって?マルシェ、簡潔に説明してね」
「あ、はい。あ、でも一体矢口さんはどこから知っているんですか?」
マルシェは矢口が何を聴きたいのか把握するために尋ねた
「ん?おいらが知っていること?」
矢口がうーんと指を顎に当てて考え出した
「そうだね・・・あの誘拐現場での犯人がさえみさんってことくらいかな?」

301名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:03:20
「え?なんで矢口さん、そんなこと知っているんすか!?」
そう声を上げたのは吉澤だった。犯人がさえみだと判明したのは本人の口からでたからだった
にもかかわらず目の前にいる先輩は行かなかったにも関わらずそのことを知っていた
あの現場で唯一生き残った男の精神にダイブした吉澤ですら犯人がさえみであることはわからなった
なのに・・・なぜ?

そこにノックの音
「矢口様、コーヒーお持ちいたしました」「ごくろうさん、入っていいよ〜」
ドアノブが回される音がして「失礼いたします」と男が入ってきた
その男の顔に吉澤は見覚えがあった
「あ!お前!なんでここにいるんだ!」

吉澤が驚いたのも無理もないだろう、そこにいたのはさえみに消されなかった誘拐犯の唯一の生き残りの男だった
この男の心に吉澤は前日に飛び込んだばかりで、後の『処理』を矢口に任したはずだったからだ
処理とは言わずもがな―消すことだが、なぜかこの場にいる

「矢口様、こちらケーキもお持ちいたしました」
矢口にお盆に載せたケーキを渡している男に矢口は「相変わらず気がきくね〜」と言った
「矢口さん!こいつと知り合いなんですか?」
吉澤が尋ねると男は吉澤の姿を見て背筋を伸ばして、敬礼した

「ん?こいつ?ああ、おいらの部下の一人だけど、言っていなかったっけ?」
敬礼している男を指差して矢口が紹介した

「吉澤がこいつの心に飛び込んだときに教えていなかったけ?キャハハ」
矢口が憎たらしく笑うのをみて吉澤は苦虫をつぶした表情を浮かべた
「・・・どうりでこいつの心をしっかりと見れなかったわけだ
 矢口さん、あなたが外から俺の『ダイブ』を邪魔していたってわけですか」
吉澤の言葉にも動揺せず矢口はケーキにフォークを伸ばした

302名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:04:25
吉澤はマイペースにティータイムを楽しむ矢口を見て一人考えた
(よく考えれば、こいつらがどうやって能力者を選別して集めていたのかわかる
 矢口さんが頂点を務めている部隊なら能力の保有の有無を判定できるからな
 前もって矢口さんが部下に『こいつ』と指示すればただ隊員達は捕まえるだけでいいからな)

一年前の雅との接触の際にも矢口は雅を「能力者」として判断する目を使っていた
今回の「能力者のたまご」を集めるにも矢口の「能力者判定」がなければ不可能であるはずだ

マルシェも同じことを考えていたのだろう。思わず口に出してしまった
「まさか矢口さんが絡んでいたなんて思ってもいませんでした
・・・しかし、そうだとしてもなんで道重さゆみを連れ去ったんですか?彼女は強力な能力者なのに」
マルシェの疑問に対して矢口はぴくりと少しだけ体を動かして反応してしまった
「なにか大きな理由があるみたいですね。ただ、矢口さんが言わないってことは・・・」
「別に大した意味なんてないよ、よし子。メンドクサイだけ」
矢口が空になった皿を机に置きながら言った

言わないでいるものつまらないと思ったのか矢口は自ら口火を切った
「ねえ、マルシェはさ〜今回のおいらの目的は何だと思う?」
「え?それは新しい能力者を捕まえて支配下に置くためかと」
突然名指しされたとはいえ、まさにマルシェはお手本のような回答を示した
「キャハハ・・・マルシェは本当に教科書通りだね〜キャハハ・・・
 ブー、残念でした〜そんな普通のことしてたら道重なんて連れていかないって」
「つーことは道重は『あえて』連れ去ったということになりますね、矢口さん」
矢口はどうして、吉澤に対してだけ「どうだか」とはぐらかしてばかりだ
そんな先輩の姿を見て吉澤はなんとなくいらいらを感じずにはいられない

303名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:06:22
「あたしの考えなんだけど、矢口は道重を暴走させるつもりだったんじゃない?」
低い声で保田がマルシェと吉澤の視線を惹きつけた
「あんた達は知らないかもしれないけど、道重が連れ去られる前日、あいつらと私達の小隊がぶつかったの
 それはもちろん、ダークネスが撤退して終わったけど、それはどこの部隊かと言うと矢口のところ
 しかもそこで道重さえみによって一隊員が消されている」
矢口はなんでそのことを知っているんだ?とでもいう表情だ

「それから吉澤がだれよりも知っているだろうが…一年前の雅との接触の際にあいつの心の中に闇を感じたでしょう?」
「ええ、保田さん、雅の中には田中へのねじ曲がった愛情が詰まってましたよ」
「吉澤、あなた、撤退するときに雅になんて言ったか覚えているかしら?」
「『ダークネスは闇に巣くいし者。いつでも闇を持つ者がいれば、そいつに近づき…闇へといざなう』」
吉澤はゆっくりとそのボスから教えられたダークネスの存在する意味を噛みしめながら口に出した

「それなら道重さえみはどういう存在?正義という光の元に生きている道重さえみを支える影の存在
 その一方で彼女はリゾナンターとして戦ったことは一度もなく、たださゆみを守るだけの存在
 彼女は決して正義ではなく、むしろ雅に似たねじ曲がった愛情の塊であったといえないかしら?」
保田の推理の範囲でしかならない想像に矢口は鉄仮面をかぶったように表情は変えまいと必死だ
「さえみは闇に巣くいし存在。そして、矢口はこう思ったんじゃないかしら?
 『もし、さえみが仲間を裏切ったならば誰も止められず、リゾナンターは消される』とね
 そしてリゾナンターを消し去ったら、今度はダークネスがさえみを倒す、いや私が『止める』と」

ダークネスの言っていたさえみを止める手段、それはなんてことはない保田の『時間停止』だった
動きを止めてしまえば何も怖くない、そのために多少の犠牲はあるのかもしれないが致し方が無いことだと

「ついでに言うと熊井っていう子、あれは単なる偶然だったんでしょうね
 矢口が誰でもいいから身近にいた能力者を集めた時に偶然混ざってしまっただけの存在でしょうね」
マルシェは逃してしまった可愛い獣化能力者を思い、強く唇を噛んだ
「おい、マルシェ、目がやばいぞ」
マルシェの目をみて吉澤が肩をたたき、マルシェはウーっと唸った

                ★   ★   ★   ★   ★   ★

304名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:10:01
『Vanish!Ⅱ〜independent Girl〜』のエピローグ(2)です。
裏のボス登場ってことでw 今回無駄なシーンはありませんよ〜

motorシリーズ、マイケルシリーズ、Vanish!はすべて同一世界で起こっていますから〜
あと一回で終了です・・・長かったな・・・

代理投稿よろしくお願いします

305名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:14:11
行って来ますか

306名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:20:21
完了

307名無しリゾナント:2011/08/18(木) 22:56:31
ありがとうございました!本当に毎度毎度すみません・・・

308名無しリゾナント:2011/08/20(土) 23:40:15
保田の推理に対して矢口は何も言わなかったが、おそらく図星なのだろう
突然仕事の時間だといって部屋を飛び出してしまったのだから

保田の推理を聴いた吉澤とマルシェは何も言わなかった
別に自身が出世するためだとかリゾナンターが嫌いとかそんな理由でしたわけではないこともわかっている
全ては組織のため、だと、上から許可が下りているということを

そのことをあの二人がどうとらえたのかはわからない
本来ならばリゾナンターは私達にとっては邪魔だけの存在なのだが…奇妙な感情が湧いているのも事実だ

あれからそれなりの日にちがたっているが、あの二人はきっと前と変わらない日常を送っているのだろう
相変わらず矢口は笑っていて、吉澤は裏世界を駆けまわり、マルシェは兵器制作に取り掛かる
先程、表世界に出たが、喫茶リゾナントも開いているし、月島きらりもテレビで笑っている
大学受験の近い光井もおそらく学校に出ているだろうし、ジュンリンも生きるためバイトをしているだろう
雅も熊井も変わらず学校で笑っているようだ―熊井の記憶は雅が消したようだが

もちろん一人という人間が消えたこと、特に身近にいるならば、それは確かに精神的には大きい
だからといって日常が全て崩れるというわけではないのだろう
関わることが少ない、多い、そんなことは関係ないのであろう
変わらないのだろう、だってみんな、生きていくしかないのだから
命のある限り前に進み続ける、それは仕方がないこと

ただ思わざるを得ないこともあった
この世に生きること、それは人と人との関わりで、人は一人では生きていけないということ
でもそれは一人くらい欠けたって世界は変わらないことの裏返し
小さい一人がどんだけ大きな声をあげてみても、どれだけ立派なことを叫んでもそれは小さいこと
それを認め、共に動いてくれる存在がいなければ止まってしまう
仲間という存在は一人では生きていけない私達が生きていくために見つけ出した手段なのだろう

結局、私、そんな一人は小さい歯車(motor)にすぎないのだろう
歯車を集めて、互いに支え合って大きな力になる、そうなのだろうか

309名無しリゾナント:2011/08/20(土) 23:41:20
じゃあ、それが二人だったらどうなのだろうか?
それも大切な二人を―さえみと親友、亀井絵里を失ったならば?
ここで言っているのはもちろん、道重さゆみのことだ

あの子は自分では気付いていないが依存して生きていた
「気付いていないこと」、それは彼女にとって偶然ながら幸せなことだろう
なぜなら、今はまだツライだけの感情が先走っているのだから

私くらいの年齢になれば誰だって大切な人を失うという経験はしたことがあるだろう
悲しみにうちひしがれ、思い出を巡り、最後には居なくなったことを受け入れる、そんな過程を取る
関わりが深ければ深いほど立ち直るまでには時間がかかる
そう、彼女が耐えなくてはならないのはこれからなのだろう
笑ってくれる仲間は多くても、一番傍にいた人がいない、一番近くで慰めてた人を失った

でも、こういうときだから泣くのが一番なんだろう、悲しい時なんだからこそ
止めたりしちゃダメ、素直の心を溢れるままに任せていけばいつかは気持ちは晴れるんだろう
溜めこんでいて誰にも言えなかったからこそ、爆発してしまった
弱さを見せること、それは本当の意味での強くなるために必要なことなんだから

これくらいしか私はこの子にかけられる言葉は無いのだろう

あの日−道重さえみが暴走した日、私はダークネス本部に戻ってきた
それは、矢口の計画に隠されたもう一つの計画をするため
ボスから「矢口が動く」との連絡が入って来て、急いでここにやってきた
そして急いで…道重のもとへと『移動』した。そうあの『移動装置』を使って

マルシェ達もリゾナンターも疑問に思っていたのだろうか?訊かなかったが
どうやって道重と熊井があんな倉庫から遠く離れた森の中に移動したのか、ということを
どうやったとしても誰かに見つかってしまうだろう、あの二人だけの移動では

だからこそ私が時間を止めて二人をあの場所へと送ったの
もちろん二人ともなんであの場所に現れたのかは疑問に思うから、手紙を残しておいたけどね

310名無しリゾナント:2011/08/20(土) 23:42:24
ボスから「矢口が動く」との連絡が入って来て、急いでここにやってきた
そして急いで…道重のもとへと『移動』した。そうあの『移動装置』を使って

マルシェ達もリゾナンターも疑問に思っていたのだろうか?訊かなかったが
どうやって道重と熊井があんな倉庫から遠く離れた森の中に移動したのか、ということを
どうやったとしても誰かに見つかってしまうだろう、あの二人だけの移動では

だからこそ私が時間を止めて二人をあの場所へと『送った』
もちろん二人ともなんであの場所に現れたのかは疑問に思うから、手紙を残しておいたけどね
手紙には宛名は書かず、住所とこの建物が誰にも使われていないので人が来ないことを記しておいた
その手紙は・・・裏に熊井が雅を助けるために『逃げて』と書かれていたわね
そう、あの時、マルシェとリゾナンターをさえみの光から救う時に取り返させてもらったわ

ただ時間が止まった間は私が触れたもの以外は動かせないから、移動する時に余計なものも移動させざると得なかった
そう、それは死んだ隊員と部屋に置かれたテーブル
あの装置で隊員の一部とテーブルの角が削られて、その部分は異空間へと消えた
だからこそ、あんな綺麗な円形に抉られたテーブルが残してしまったのだ
もちろんすぐにリゾナンターが来てしまったので処理することが間に合わなかったのが残念だが仕方がない
幸運なことにあいつらはそのことに気がつかなかったのだが

なんのためかって?それはシンプルな理由
道重の暴走をより強力にするには一旦エネルギーを抑えなくてはいけないから
食事もこっそりと『嗣永印』の野菜を置いて届けるなど、支給していた
時間がたてばたつほど怒りのエネルギーが強くなる、そうボスがおっしゃっていたからそれに従っただけ
―そう、私はそれに従っただけのこと

そして実際に、さえみは私達の想像以上の暴走を見せてくれた
残念ながらリゾナンターを消すことは出来なかったが、まあ、それはいいだろう
必ず成功する作戦は無いのだし、リゾナンター達は仲間を失ったと思い落ち込んでいるのだから

311名無しリゾナント:2011/08/20(土) 23:43:40
・・・
そろそろ会議の時間だわ、またここに来るわね
さあ、強欲の象徴のみんな、またお会いしましょうね

あ、そういえばあなたにはまだ何も置いてなかったわね、新入りさん

はい、これ、あんたの好物なんでしょ?置いておくわね

ピンク色のお漬物とチーズケーキ

                ★   ★   ★   ★   ★   ★

『聖痕』−それはイエス・キリストが磔刑となった際についたとされる傷
足首なり手首なりに残され、科学では証明できない神秘の傷

部屋を去る保田を見送る人は誰もいない
みな、永遠の時の中に閉じ込められているのだから

しかし、保田は知らない、たった今『お供え物』を置いた栗色の髪の女が残したものを
それは服で隠れた彼女の背中の傷

タイプは違うのだろうがある意味ではその傷も『聖痕』と言っていいのかもしれない
女の背中には傷が浮かんでいた
そして、その傷は部屋を出ていった保田の背中にも同じ位置にできている

健康的なその肌に刻まれていたのは本当に短い文章
『絵里は生きてるよ』

保田が出ていき暫くするとその女の目が金色に光った・・・ように見えた
それは部屋に差し込む僅かな光の加減なのかもしれないし、そうではないのかもしれない

312名無しリゾナント:2011/08/20(土) 23:45:38
『Vanish!Ⅱ〜independent Girl〜』エピローグ(3)で、完結です
半年かかってようやく完成しました。お付き合いいただきましてありがとうございました
あとがき書いておくので、そちらも読んでいただけたら嬉しいです

最後の代理投稿よろしくお願いします

313名無しリゾナント:2011/08/21(日) 01:48:00
行ってまいりました

314名無しリゾナント:2011/08/21(日) 10:01:54
ありがとうございました。本当に何回もしていただきまして(+o+)

315名無しリゾナント:2011/09/18(日) 04:55:18
 ■ テンクトナイ −能力者− ■  

「吉澤サン!吉澤サァン!」
「あ?ああ…タ……シ…」
「よ…よじざわさぁ…」
「悪かったな…無茶な頼みごとばっか押し付けて…
それと…ふふっ…今夜はサンキューな…
さ…最後にお前と…"踊れて"楽しかったよ…ベイベー…」

"共鳴者"は首を振る。少女のように、そう「あの頃の」ままに。
吉澤と共にいた、あの頃のように。

あぁ…そうだ…勝ったら教えてやる…約束だったっけ…
三つ目は…」

吉澤の声は屋上に吹く突風にかき消され、言葉は"共鳴者"にだけに伝えられた。

「そう…さ…笑っちまうよなぁ…それが…俺たちの"能力"の本質さ…
そんなもののために…いや…だからこそ…俺たちは守らなければならな…
"D"から人間を…人間から…"D"を…俺たちは…そのための"器"…そのための"組織"…」

吉澤の声はかすれ…床には鮮血の海が広がっていく。

「た…た…シ…頼む…ぜ…"組織"を…"GOD"を…
お…俺たちは…"M"…悪を…粉砕…する…せ…せぃ…ひ…」

「…粉砕する正義の鉄槌。"モーニングスター"…明けの…明星…」

最後の言葉は"共鳴者"によって紡がれた。

316名無しリゾナント:2011/09/18(日) 04:56:51
…沈黙…

これ以上ないほどの、優しい、悲しい、微笑み。

吹きすさぶ風…

…そして"能力者"だけが残された。

朝日が昇る…剣のような一筋の光が、闇を切り裂いてゆく…
切り裂かれた闇は苦痛に身をよじり…
怯え、悶え、哭き叫び…それでも…光へ戦いを挑む…
やがて…全てを日の光に焼かれ…消えゆくとしても…闇は抗い続ける…
決して勝てぬと知りながら…

"能力者"は立ちあがる。
光の剣から己の体で最後の闇を守るように。

…もう、そこには、もう…

太陽に背を向け、"能力者"は…

317名無しリゾナント:2011/09/18(日) 05:02:37
>>315-316

 ■ テンクトナイ −能力者− ■ でした。

http://gree.jp/michishige_sayumi/blog/entry/599540353
この衣装のイメージと"あの歌"でようやく踏ん切りがつきました

318名無しリゾナント:2011/09/18(日) 10:28:54
♪おはよん
 今から行ってくるよん

319名無しリゾナント:2011/09/18(日) 10:32:07
♪いってきましたよん
 代理だということを書き忘れたけどw

320名無しリゾナント:2011/09/18(日) 15:05:05
 ■ ミスタームーンライト −共鳴者− ■ 

吹きすさぶ突風が屋上を駆け抜け、
"共鳴者"と"能力者"が相見える。

「よぉ、やっときたか新人」
「………」
「はは。もうすっかりそう呼ばれることも無くなったってか?…が俺からすりゃ新人だよ…まだ、な。」
「………」
「あぁ。下の?見てきたのか。
もう済んじまったよ。…遅すぎたな」
「……!」
「そんなことより、さ。
今夜はお前に言っとかなきゃならないことがあってさ。」
「……?」
「言っときたいことは、"三つ"。それと…
まあ、頼みごともあってさ。」
「………」
「相変わらず熱いな。よくそれでリーダーやってられんな。
まあ"だからこそ"お前には話とかなきゃならないんだ…」

「まず、一つ目。後藤が死んだよ。」
「……!」
「知らなかったか?だろうな…最初はお前らかと思ったが…どうやら別の連中らしい。
まあ今はそれはどうでもいいんだ。そう…"どうでもいい"。」
「………」
「優しい奴だなぁ…後藤もいい後輩持ったもんだよ。」
「………」
「二つ目…"A"の脳波に反応が出た…おそらく、目を覚ますだろう…新垣には言うなよ」
「……!」
「つうか誰にも言わねえか…お前は言わない…そう言う奴さお前は…優しいからな。」

321名無しリゾナント:2011/09/18(日) 15:06:15
「………」
「三つ目、こいつは言葉だけじゃ伝わんねえ。
うん。これは伝わらねえ…。」

「だから、さ、新人。
あのときの"続き"をしようや。」

「………」

「勝ったら教えてやる…
おまえがもう新人じゃねぇってとこを見せてみろよ。」

「…!…!」

「ああ…だがお前は逃げない…優しいからな…そうだろ?」

風が止んだ。

月光がステージを照らす。


「さぁ…『僕と踊りませんか?ベイベー』」


力と、破壊の、インプロンプト。

322名無しリゾナント:2011/09/18(日) 15:08:05
>>320-321
 ■ ミスタームーンライト −共鳴者− ■ でした。

以上代理投稿お願いいたします

>>319
どうもありがとうございました
お手数おかけします

323名無しリゾナント:2011/09/18(日) 16:00:17
行ってきますかね

324名無しリゾナント:2011/09/18(日) 16:07:34
完了しました
敢えて時間軸を遡って描いたことで戦士の非情な宿命みたいなものが感じられたように思えます

325名無しリゾナント:2011/09/19(月) 19:01:37
>>324
投稿、感想ありがとうございます

それと…
>テンクトナイってなんだろう?
>歌の英語部分の音読とか?
御明察の通りです

326名無しリゾナント:2011/09/19(月) 20:12:15
ちょっと静かなうちにうpしようと思ったら、やっぱり規制されました。
どなたか代理お願いいたします


映画チラシ風?完全自己満足画像集です
【Resonant00】の9期は勝手にオリジナル設定です。こんなのもありかな、くらいの緩い気持ちで見ていただければ嬉しいです。
そして【Resonant-I】は『R-Infinity(5) 最後の夜を、君と』の作品からリゾナントさせていただきました
作者さんのイメージと異なっていたらすみません…
『00』の方に8期がいないのは自分のイメージとあう画像が見つからなかったからです
決してはぶってるとかそういうのではありません!(なんてったって作った人が愛佳推しですw)
いいのが見つかり次第すぐに作ろうと思っています。その時はまたお付き合いいただけると嬉しいです

ttp://www1.axfc.net/uploader/H/so/143069  リゾ00
ttp://www1.axfc.net/uploader/H/so/143075  リゾーI
パスワードは『resonanter』

327名無しリゾナント:2011/09/19(月) 20:46:46
まだ見てませんが楽しみです
早速貼ってきます

328名無しリゾナント:2011/09/19(月) 21:42:37
>>327
早速ありがとうございました!
またお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

329名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:14:00
 ■ トラストオアコンフィデンス −鞘師里保X生田衣梨奈− ■

「じゃさっき決めた待ち合わせ場所先行ってるから」
「ほーい…TVビル…とこの…プツツ…植木の前…っじゃあすぐ…プツ…」

切れた…圏外…?おかしい、さっきまでそんなことはなかったはずだが…

「なんか電波が悪いみたいだ…」

静寂

「よ…あれ?」

無人

鞘師は周囲を見回した

先ほどと変わらぬ景色。
青果コーナー、鮮魚、精肉…。
だが、消えている。

人が…消えた。

―――――

330名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:14:31
「里保ちゃん?」
鞘師の前をスキップしていた生田はふと鞘師に声をかける。
すぐ後にいると思っていた鞘師ははるか後にいた。
床にカゴを置き、ぼぅっと突っ立っている。
「もー鞘師ちゃんおっそいっちゃ」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる
「はやくはやく」
ぼぅっと突っ立っていた鞘師がふと我に返ったように周囲を見回す。
顔を撫で、両手を握ったり閉じたりしている。
やがて生田の存在に気づくとカゴを抱えこちらに歩き出した。

―――――

331名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:23:22
「イクちゃん?」

静寂

返事はない。

不覚だった。

きっと予兆はあったはずだ。
普段の鞘師ならばもっと早い段階で何かしらの異変を察知できていたはずだ…だが…
「イクちゃんか…」
【精神破壊】その副産物のような効果によって生田の周囲には常に精神的な妨害作用が撒き散らされていた。
思考は鈍磨し、注意力、集中力、あらゆる精神活動は本来の精度を保てなくなる。
水軍流によって育まれた危機を察知する鞘師の能力もまた生田の能力の影響を大きく受けてしまっていた。
そのうえでなにをしでかすかわからない生田の一挙手一投足を観察し先を読み続けるのである。
知らず知らずに生田に注意力を集中しすぎてしまっていた。
こういう事態もありえると、常日頃、鞘師自身気を配ってはいたはずだった。
若さ、経験の不足。まだまだ、未熟だった。
水軍流に限らず武術の世界でいの一番に教えられる教訓『一つ所に留まらない』これを完全に見失っていたといえる。
それにしても、ここまで鈍らされるとは。

332名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:32:07
だが自分ひとりを除いて一瞬で
これだけの人間を煙の如く消し去る。

333名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:33:04
だが自分ひとりを除いて一瞬で
これだけ大量の人間を煙の如く消し去る。
そんな非常識な事が起こりえるのだろうか?
これだけ大規模な事態の予兆にまったく気が付かないなどということがありえるのだろうか?

334名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:41:13

「かのんちゃん達、平気かなぁ」

335名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:44:42
生田の事など、

336名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:46:14
まるで

337名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:46:47
まるで気にする様子もなくそうつぶやく。

338名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:48:15
「イクちゃん?」

静寂

返事はない。

不覚だった。

きっと予兆はあったはずだ。
普段の鞘師ならばもっと早い段階で何かしらの異変を察知できていたはずだ…だが…
「イクちゃんか…」
【精神破壊】その副産物のような効果によって生田の周囲には常に精神的な妨害作用が撒き散らされていた。
思考は鈍磨し、注意力、集中力、あらゆる精神活動は本来の精度を保てなくなる。
水軍流によって育まれた危機を察知する鞘師の能力もまた生田の能力の影響を大きく受けてしまっていた。
そのうえでなにをしでかすかわからない生田の一挙手一投足を観察し先を読み続けるのである。
知らず知らずに生田に注意力を集中しすぎてしまっていた。
こういう事態もありえると、常日頃、鞘師自身気を配ってはいたはずだった。
若さ、経験の不足。まだまだ、未熟だった。
水軍流に限らず武術の世界でいの一番に教えられる教訓『一つ所に留まらない』これを完全に見失っていたといえる。
それにしても、ここまで鈍らされるとは。

だが自分ひとりを除いて一瞬でこれだけ大量の人間を消し去る。
そんな非常識な事が起こりえるのだろうか?
これだけ大規模な事態の予兆にまったく気が付かないなどということがありえるのだろうか?

「かのんちゃん達、平気かなぁ」

生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶやく。
ここにいても仕方がない、鈴木香音らとの待ち合わせ場所に行ってみよう。
鞘師は歩き出した。

―――――

339名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:48:51
「でね!エリおもったっちゃ!
やっぱりチョコクリームよりホイップクリームのほうが
イチゴには合うって!そうおもわんと?」
「うん」
鞘師がにこやかに微笑む。
先ほどからずっと生田が一方的に話し続けている。
「衣梨奈ちゃんおトイレ一緒に行こう」
しばらくすると鞘師がそう提案してきた。
「うん!行く!行く!」
二人は手を繋ぎ歩いていく。

―――――

340名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:51:16
「ふーん」

鞘師は立ち止まった。

「違ってた」

鞘師は周囲を見回した

先ほどと変わらぬ景色。
青果コーナー、鮮魚、精肉…。

出られない。

鞘師は待ち合わせ場所まで行こうとした。
が、しばらく歩くと、いつの間にかここに戻ってきてしまう。
このフロアから、この食品売り場から出られない。

「違ってた」

もう一度そうつぶやく。

自分ひとりを除いて一瞬で人を消し去る…そうではなかった。

消えたのは…

「私のほうか」

特に何の感慨もない。
鞘師は、ただ淡々と事実を確認した。

―――――

341名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:51:56
それぞれが個室に入っても生田はしゃべり続けていた。
「やっぱり平成ライダーの中ではWが一番かっこいいっちゃ!
ふぃりっぷ君としょうたろうだったらやっぱ攻めはふぃりっぷ君で…」
鞘師は無表情のまま貯水タンクの蓋を開ける。
タンクに手を入れ何か包みを手に取る…隣の生田に聞こえぬよう静かにビニールを破る…
鞘師は、ちいさな顔の、ちいさな眼と口で、にまーっと笑った。

ズガン!

一瞬の出来事だった。

トイレの個室を仕切る壁は、薄い合板二枚で出来ていた。
その壁が突然ぶち破られたのだ。
同時に生田の腕が突き出され、鞘師の腕をわしづかみにする。
その腕に握られていたのは…拳銃だ。
バリリッ!バリリッ!
恐ろしい力で壁を破壊し生田の肩と頭が現れる。


「お前…だれっちゃ?鞘師ちゃんを…どこにやった?」


―――――

342名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:52:54
さて、どうするか…

鞘師は一応考えてはみる。

が、答えはもう出ていた。

どうしようもない。

おそらくは能力者による攻撃を受けたのだろう。

幻覚か?…白昼夢のようなものを見せられているのか?…いや違うな…おそらくこれは…
近距離での物理的戦闘においては、ほぼ無敵の鞘師の弱点、それは心の脆弱性。精神系能力者からの攻撃だった。
初陣のとき、戦況を有利に進めていながら一瞬のうちに気を失い、ズタボロにされた苦い経験がよみがえる。

訓練で新垣さんに【精神干渉】をかけてもらったことがある。
そこで得た結論は
『かかったらどうしようもない』という事実。
何度もかけてもらい自分なりにたどり着いた結論だった。
精神系の能力であれ、その発動の直前、敵意や殺意、あるいは害意のようなものは必ず発生する。それを察知し、敵の能力の発動前に何らかの対処をする。それしかない。
まったく無防備な状態で"かけきられてしまっては"もうどうしようもなかった。

結論としてはどうしようもないのだが、鞘師は別に悲観しているわけでも
絶望しているわけでもなかった。

ただ事実を確認しただけだ。

343名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:53:43
だが事実とは常に過去にのみ適用される。

鞘師はそう考えている。

少なくとも未来を諦めるための言い訳の道具ではない。

方法はある。

鞘師は確信している。

鞘師にはどうしようもない。これは事実だ。だが…

「さて、"そろそろ"かな」

―――――

344名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:56:32
「お前…だれっちゃ?鞘師ちゃんを…どこにやった?」

「くっくっく。よく見破ったな。おっと馬鹿なことは考えるなよ?
この体は間違いなく鞘師里保なんだからな。」

「鞘師ちゃんを返せ」

「さぁどうかな?そいつはお前次第だ。まずは手を離してもらおうか?
…どうした?この体がどうなってもいいのか?」

「鞘師ちゃんを返せ」

「おい…聞いてるのか?この手を離せ。このまま舌を噛み切ってもいいんだぞ?」

「鞘師ちゃんを返せ…返せ…」

「おい?待て待てどうするんだ?え?返して欲しくばおとなしく言うことを…」

「 カ エ セ ! 」

生田は力を解放する。
生田の憎悪が、怒りが、無限地獄となって鞘師へとなだれ込む。

【精神破壊(マインドデストロイ;mind destroy)】

ぐ…ぐぎゃあああああああああああああああああ

―――――

345名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:57:06
気が付くと鞘師はリゾナントの入っているビルの倉庫にいた。

「鞘師っ!しっかり!鞘師っ!よかった…鞘師!無事?」

リゾナントのみんなが鞘師をコンクリの床に押さえつけていた。

みな汗にまみれ全身に打撲と大小の傷を負っている。

大体の想像は付いている。

どうやらほぼ思ったとおりの展開になっていたようだ。

「すみません…みなさん…」

傷は鞘師がつけたものだろう。

いや、"鞘師に乗り移っていた能力者が"鞘師の体を使って暴れたのだ。

そう。発狂して。


―――――

346名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:57:56
高橋が駆けつけたとき、生田は泣きながらへたり込み
鞘師は白目を向いてひきつけを起こしトイレの床をのた打ち回っていた。

即座に状況を把握した高橋は二人を連れてリゾナントへと飛んだ。

【精神干渉】により、
鞘師が【憑依】系の能力者によって支配されたこと、
その能力者を生田がまったく無計画に衝動的に"焼いた"ことを理解したとき
新垣は戦慄した。

もしかしたら鞘師の精神まで破壊するかもしれない。
生田はそんなことまるで意に介さず
躊躇することなく鞘師の"中にいるもの"を破壊したのだ。

―――――

347名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:58:33
「ごぇ…ごぇんなざいざやじぃぢゃぁん」

生田が泣きながら鞘師にすがり付いてくる

「鼻水…きたないから…」

鞘師が傷だらけの腕で…やっぱり傷だらけの生田の顔を押しのける。
生田の顔や腕には、ささくれた木の破片が無数に突き刺さっていた。
血まみれのその顔を見ながら、鞘師は生田に笑ってみせる。

「いいよ。イクちゃんなら、躊躇しないって判ってたから。」

もし、仮に生田が空気の読める子だったのなら…
大切な仲間の身体を気遣い、鞘師への攻撃をためらうような子だったのなら…
事態はさらに最悪な状況へと陥っていただろう。
鞘師の命だけで済めばよい。
場合によってはフクちゃんや高橋さんたち…
最悪の場合、鞘師の身体が、かのんちゃんの命まで奪っていたかもしれない。
考えるだけでぞっとする。

そうだ。思ったとおり生田はベストな選択をしてくれた。

それは、信頼…というより確信だった。

『イクちゃんはポンコツだから』

必ず後先考えず、目の前の敵を攻撃する。

あとは、鞘師が憑依されていることを生田が見抜けるかどうか?

不確定材料があるとすればそれだけだったのだが…

348名無しリゾナント:2011/09/25(日) 15:59:03

「それにしても生田、よく鞘師が憑依されてるって見抜いたっちゃね」

田中が生田に問いかける。

「???ひょう?い?」

「え?」

「え?」

一瞬その場の空気が凍りつく。

「えええええ!!!!」

「もしかして勘?勘?勘だけで何の根拠もなく鞘師に【精神破壊】をぶっ放したって言うの?!」

生田の顔に???が並ぶ…
何も考えていない。その表情が物語っている。

「コラアアアアアア!生田ぁ!アンタねぇ!!」

新垣さんのお説教が始まった。

ははは…

鞘師は心の中で笑った。叱られている生田を見るのは、なんだか気分がいい。


「ははは…イクちゃんって…やっぱりKYだよなぁ」

349名無しリゾナント:2011/09/25(日) 16:03:52
>>329-330
および
>>338-348

 ■ トラストオアコンフィデンス −鞘師里保X生田衣梨奈− ■ でした

以上代理投稿お願いできませんでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします

途中、NGワードがありまして
ワードを特定できず、貴重なレスを無駄に消費したことお詫びします

350名無しリゾナント:2011/09/25(日) 19:36:45
長いな
まあ行ってみますかね

351名無しリゾナント:2011/09/25(日) 19:53:04
だが事実とは常に過去にのみ適用される。

鞘師はそう考えている。

少なくとも未来を諦めるための言い訳の道具ではない。

方法はある。

鞘師は確信している。

鞘師にはどうしようもない。これは事実だ。だが…

「さて、"そろそろ"かな」

―――――

352名無しリゾナント:2011/09/25(日) 20:01:06
慌てた所為で1レス抜けてしまった
ある意味一番の見せ場というか鞘師の真骨頂の部分があたら間抜けたことにw
申し訳ない

353名無しリゾナント:2011/09/27(火) 00:07:21
>>352
いえ
こちらこそ途中に無駄レスが挟まって紛らわしい投稿だったので…
気になさらないでください

面倒な投稿依頼を引き受けてくださりありがとうございました
--------------------------------------------------------
※補足願い

このスレで言うと>>338
本スレで
>309 :代理募集中。。。:2011/09/25(日) 19:41:09.32 0

なのですが末行から6行目、
>生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶ

となっていますが、ここを

生田の事など、まるで気にする様子もなくそうつぶやく。

に変更していただけないでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします

354名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:25:26
私の名前は譜久村聖
喫茶リゾナント近くのアパートを借りて、えりぽん、香音、里保ちゃんと共同生活をしている
初めは某大人な子供が「いやなの、りほりほはさゆみと一緒に住むの!」と散々駄々をこねたが・・・
リーダーの高橋さんが「4人で住ませた方がいい」と必死に説き伏せた
新垣さんは「中学生だけで住ませるのってどうなの?」と思ったようだがそれも何とかなった
だって高橋さんは知っているから・・・私が・・・『未来から来たリゾナンター』だということを・・・


「みずぽん、何してるの?さっきから何回もカレンダー見ているけど?」
「え?そうかな?」
「そうだよ、聖ちゃん、なんどもカレンダーの方ばっか見てるんだろうね」
「え〜そんなことないって〜二人とも思い違いだって〜」
そういって私は笑いを顔に浮かべているが、横から飛んでくる冷たい視線がなんだかイタイ

「ほらほら、そんなこと言っていないで4人ともれーなが作った特製セット食べると」
そう言って私の目の前にどうしても『お子様ランチ』と称せざるを得ないプレートがならんだ
「わ〜かわいい!」
そう言ってさっそく旗の刺さったチキンライスにスプーンを入れるのはえりぽん
一方えりぽんの横に座っている香音は口いっぱいにハンバーグを頬張って幸せそうな表情だ

「ほらほら、そんなことすると喉詰まるから、ゆっくり食べる!」
新垣さんの注意にも香音はあんまり気にしていないようでグフフと笑ってばかり

それに対して
「ほら、りほりほも早く食べるの!さゆみも手伝ったの。
 真っ赤なうさちゃんウインナー、さゆみが作ったの!食べて、食べて!はぁはぁ・・・」
道重さんの必死なアピールにも私の横に座っている鞘師ちゃんは「はあはあ」といってあまり嬉しそうではない
・・・それはそうだろう、こんなおこちゃまの食べるものを『水軍流』の継承者、鞘師里保が好むはずがない
冷静沈着、頭脳明晰、努力の天才、そんな言葉が似合う彼女には『お子ちゃまランチ』なんて似合うはずもない
おそらく今無理やりされている二つ結びも引きちぎりたいくらいのものなのだろう

355名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:26:38
「あれ?フクちゃんも食べとらんと?もしかして遠慮しとると?」
「まあ、確かにフクちゃんにはちょっと子供かもしれないけど、ほら、子供向けのメニュー会議だからさ」
田中さんと新垣さんの会話を聴いて慌てて私はフォークを手にしてナポリタンをくるくるっと巻いた
意外に美味しかったのでほっぺに指当てて「ヴォーノーーー」と言ってみた
一瞬の静寂の後、みんな笑いだした
「フクちゃん、何言っていると〜」「ふくちゃん、面白いの」「みずぽん、どうしたっちゃ?」
その輪の中にもやはり鞘師は入ってこようともしない

目の前でケラケラ笑っている生田衣梨奈は『精神破壊』の能力者
それも制御できておらず、常に垂れ流しの状態で自分自身の心まで壊れる寸前だったという
そんな生田の心を溶かし、人間らしさを再び与えたのは今、横に座っている鞘師里保だという
感情を、表情を失った生田を優しさで包み込んだ里保ちゃんには力ではなく技術で人の心を読むことができる

だからこそ・・・私は恐れているのだ
こうやって・・・高橋さん以外には誰にも言っていない秘密を、未来から来たことを知られることを
今でも思えている、もう半年以上前になる、高橋さんに告白した日のことを

高橋さんは私の話を聴いている間、何も言わずにあのまっすぐな瞳を私に向けてくれた
もちろん初めは信じられないようであった。仕方ないであろう、逆の立場でも信じられる話ではない
ただ、カバンに入れられていたボロボロの「A」「R」のお守りを見せたところ信じてくれたようだ
「私は何も教えられないかもしれないけど、聖ちゃんなりに私達を見て、学んでほしい」
そう言った高橋さんからは本当にたくさんのことを学ばさせてもらった
優しさの本当の意味、強くなることの価値・・・数え切れない

そして一つだけ高橋さんにお願い事をした
私―譜久村聖が未来から来た人間だと誰にも言わないで欲しいと

356名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:29:09
それは未来から私を送ってくれた光井さんの手紙に書いてあったことだし、私も望まなかったから
だって、未来が変わってしまったら私が消えてしまうかもしれないから
そんなことをみんなに考えさせたくなかったから知って欲しくなかった
「本当にいいの?」
そんな私の思っているのを当然のように悟った高橋さんに私はこう答えた
「いいんですよ、未来が変わってくれればみんなが幸せになるんだから」

その言葉を聴いた高橋さんの表情が一番残っている
悲しいとも怒っているとも何とも言えない表情で『そう』と呟いたのだから

その小さい呟きは私の中で今も渦のように消えない
『自己犠牲』、そんな簡単な言葉で済ませられる簡単な事実
小さな勇気をもって、勇者となるために私は未来から送られてきた
それは仕方ないと思っていたし、自分でも納得していた

でも高橋さんと出逢い、新垣さんに怒られ、田中さんに気を使って、道重さんから里保ちゃんを守って
えりぽんのテンションにあきれ、香音と笑って・・・気持ちが揺らぎ始めていた
みんなと一緒にいると『楽しい』『心の底から笑顔でいられる』何かが変わり始めているのを自覚していた

『何のために過去に来た、何のためにリゾナンターになった』

それを迷うことが多くなっていた。本当なら・・・未来は変えたい、でも、みんなと一緒にいたい

でもそれは同時に叶えられることなのか・・・わからない
だからこそ、こうやって誰にも言わないでいるのだと思う
言ってしまったら、もう戻れないような気がして

だから一番怖いのは里保ちゃんになっていた
嫌いなわけではない、むしろ大好きだ。もちろん道重さんとは違う意味で
でも、あの目が怖い―全てを見透かそうとしてくるあの無邪気な刃
もちろん、そんなことを里保ちゃんは考えてもいないのだろう

357名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:30:55
普段から食べるのが人一倍遅い私だったためかこうやって考えながら食べても誰も不思議に思わなかった
「ごちそうさまです」
ナプキンで口元を拭き、ついでに香音ちゃんの口も拭いてあげた
「フクちゃん、お母さんみたいなの」
道重さんの言葉に若干傷つきながら私達4人はアパートへと帰るために席を立った

「どうだったと?」と田中さんが訊いてきたので「美味しかったです」と答えた
えりぽんも香音もうんうんと大きく首を振って答えたからか、田中さんは満足げだ
「それではまた明日も来ますね。ご馳走様でした。おやすみなさい」
里保ちゃんが挨拶をするとそれぞれ「おやすみ〜」と返してきた

「ねえねえ、えりぽん、アイス買いに行こうよ〜」
「いいっちゃね!よし決めたっちゃ!コンビニに後に着いた方が二人分奢るとよ!よーい、ドン!」
勢いよく走っていくえりぽんを追って香音が駆け出した
「もう、二人とも知らないよ・・・」
大抵里保ちゃんはこういう遊びには参加しない

「そんなことよりフクちゃん、何かあった?おかしいよ、最近」
・・・ほら来た。やはり水軍流の目を誤魔化すのは至難の業
「二人ですら気がつくくらいにカレンダーを見てるし、やたら時間を気にしている」
うん、時間、時、それが気になってしまうんだよね。時が・・・
「二人に言えないことだとしても私に相談してくれてもいいんだからね」

その優しさが辛かったりするのよ・・・時間が止まればいいのに

「ねえ、フクちゃん。私達は仲間である以上に友達なんだからね、だから・・・」
「え〜里保ちゃん、ありがとう〜かわいい〜」
「!!ちょっとやめてよ!フクちゃん、恥ずかしいって」

・・・道重さん、あなたの技借ります。こうやっておけば里保ちゃんは何も言えなくなるって知ってるから
そうしてこの日はなんとか誤魔化しきったが・・・次の日、『その日』がきた、いや来てしまった

358名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:31:54
                ★   ★   ★   ★   ★   ★

寝ぼけた頭で朝に弱いみんなを起こし、身支度を済ませた
そしていつも通りに朝食を作ってもらうためにリゾナントに向かった
「おっはようございま〜す!」「おっは〜」
これもまた、いつも通りに能天気な二人が元気にあいさつする

「・・・何かおかしい」
里保ちゃんが呟くと同時に、田中さんがキッチンの奥から飛び出してきた
「あ、4人ともおはよう!ねえ、愛ちゃん知らんと?
 愛ちゃんがどこにもおらんっちゃけど!
サユもガキさんも愛佳も愛ちゃんがどこにいるか知らんっていってると!」

驚きの声をあげる能天気な二人に対して私はまた隣の水軍流から刺される視線を浴びることになった

それは今から約一か月前、10月1日のこと

359名無しリゾナント:2011/10/30(日) 23:43:07
・・・いいタイトルが浮かばない。
3時間くらいで作った話なので簡単ですがフクちゃんの生誕も込めて(笑)
一応『聖なるもの』シリーズの続きです
一日限定で復活してみました。日付が変わったらまたホゼナンターに戻ります。

360名無しリゾナント:2011/10/31(月) 22:28:17
ヤバイ
折角の生誕作品がw
取り急ぎ行ってまいります

361名無しリゾナント:2011/10/31(月) 22:36:38
とりあえず終了
作品が来てないか見に来た時は無くて、見に来れないときは来てるのねw

362名無しリゾナント:2011/11/01(火) 08:30:21
代理ありがとうございます。
生誕間に合わせるなら自分で投下しろよって話ですよねw
>>361さんの気持ち凄くわかります。あまり更新されないですからね(汗

363名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:13:31
この日、愛はあるひとりの男に自分のいれたコーヒーを飲んでもらいに新宿のある喫茶店を訪れた。

「どう?」
「前よりもコクが出てきた。あの人の味に近づいている。」
「よかったやざ。伊集院さんにどんなことを言われるか心配しとったやざ。」
「頼むからその伊集院さんはやめてくれないか。」

男はサングラスをかけており、黒人風の巨漢の男である。
とても喫茶店のマスターには見えなかった。
だが、今は愛に名前を呼ばれて妙に恥ずかしがっているものも・・・

「だって、ばあばがそう言ってたやよ。伊集院さん。」
「だからそれはやめろ!」
「何を朝から騒いでいるの、ファルコン。あら、愛ちゃんいらっしゃい。」
「美樹さん、お邪魔しています。」

実はこの喫茶店は開店する際に愛の祖母から手ほどきをうけており、ここのマスターであるファルコンこと伊集院とそのパートナーである美樹にとっては愛の祖母は恩人のひとりなのである。

「あっ、そろそろ店に戻らんと。それじゃあ、また来ます。」
「ええ、もう帰っちゃうの?」
「その方がいいだろう。そろそろあのもっこり野郎が現れるかもしれんなからな。」
「そうね、愛ちゃんを見たら冴羽さんがもっこりするのは確実だから。」
「噂だけは聞いてますけど、その人に一度でいいから会ってみたいやざ。」
「やめろ、お前とあいつが会うと店が破壊されかねない。」
「そんな大げさな・・・」

いろいろ気になることを聞かされながらも店をほおってはおけず愛は新宿を後にした。

364名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:15:07
喫茶リゾナント
「いらっ・・・・あ!愛ちゃんおかえり!」

店ではれいなが必死に接客をしていた。
その傍らでは絵里とさゆみも手伝っていた。

「今日はごめんやざ。すぐに店に戻るから。」
「いや、いいの。さゆみたちで手が足りているし。愛ちゃん、新宿から帰ったばかりなんだから少し休んでもいいの。」
「そうか、じゃあ1時間ほど上で仮眠するやよ。でも、何かあったら遠慮なくいってや。」

愛が二階に行こうとすると・・・

「愛ちゃん、待った!」
「何や?絵里?」
「1時間ほど前に愛ちゃんにお客さんが来てた。」
「あーしにか?どんな人やざ?」
「うーんとね?見た感じが愛ちゃんにそっくりで・・・でも愛ちゃんと違ってすごく高貴な印象だったよ。」

「絵里軽く失礼なことを言ってるの。」
「・・・他には・・・」
「後は亜麻色髪の乙女かな?」
「絵里、それだけでわかるわけやなかと?」
「誰かわかったやざ。」

365名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:15:54
絵里の説明だけで愛は尋ねた人が誰かわかった。
「それで何か伝言か何か残したんか?」
「うん・・・確かね・・・・はい。」

絵里がエプロンのポケットから紙を取り出した。
愛はそれを受け取ると二階へと駆け込んでいった。

魅惑の水さんルーム
愛は絵里から渡された手紙をじっと見ていた。
そこには高貴な雰囲気を醸し出す紋章が描かれていた。

「サファイアが日本に来たんか・・・そしてあーしに助けを求めとる。」

366名無し募集中。。。:2011/11/21(月) 17:25:37
>>363-365
「リゾナンターSP シルバーランドの姫君 (1) 」

どうもリゾクラ作者です。
ある程度骨組が完成したので序章を公開しました。

前スレが突然落ちたためなのか愛ちゃんが卒業したショックなのかリゾスレ全体的に
元気がないのかなとも思いましたが、リゾナントリゾートが久しぶりに登場したので
まだまだリゾスレは続くなと思いました。

それと現在、パソコンも忍法貼のために投下不可能なのでこちらに投下しました。
代理投稿、よろしくお願いします。

367名無しリゾナント:2011/11/21(月) 17:59:18
代理投稿承って候


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