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【マハ=ディヤルニ】 ルザナイ教 【バーフルード】

140言理の妖精語りて曰く、:2017/04/26(水) 18:46:05
「二万五千手返し」の時も、シン=グロークス側は、何も手をこまねいていたわけではなかった。
彼らも、彼らなりに無謀な決闘を防ごうと、様々な手段を講じたのだ。

その一例としては「雷」と「風」のシン=グロークスの兄妹による威嚇が挙げられる。
彼らは、決闘の約束を取り付けようとしていたセンジュを、得意の法術舞踏によって追い払おうと考えたのだ。

兄である「雷」のシン=グロークスは、一度狙いを定めた相手になら、どこからでも雷を降らせることが出来た。
しかも、その雷は、さらに複数の法術を重ねることによって、相手を傷つけないように威力を調整することも出来たのだ。
この術により、彼は「雷縛のシン」とも呼ばれていた。
聖なる像を盗んだ二十三人の盗賊を、法術によって、丸一晩に渡り縛り続けた「シン」というのは、他ならぬ彼のことである。
彼と戦うまでは無双を誇り、非情と謳っていた盗賊たちは、防ぐことも避けることも出来ない閃光への恐怖から、翌朝には、まるで幼子のように泣き叫んでいたという。

対して、妹の「風」のシン=グロークスは、名高い舞踏家であり同時に、義賊でもあった。
もっとも、彼女は通常の意味での盗賊でも、犯罪者でもない。
彼女が所属している宗派は、ルザナイ教において最も「喜捨」貧民への寄付の義務を尊ぶ宗派である。
そして「シン」である彼女は、当然ながらそこでの「武」の代表者であり、それゆえに、時にいざこざを招きかねない「喜捨」を催促する役目を率先して担っている、というただそれだけのことなのだ。
もちろん、専守防衛の教えを重んずる彼女は、その「武」によって、無理やり「喜捨」を迫ったり、財産を奪うようなことはしない。

しないのだが、そうなると今度は「義賊」としての彼女の出番が来る、とそういうわけだ。
法術を併用した彼女の舞踏は、風の天使を招き、偉大なるマハ=ディヤルニへ至る「天使の道」を拓く。
「天使の道」俗に言うところの「竜巻」である。
彼女は、その竜巻で人や物を傷つけることは無い。
彼女はただ、願い、祈るだけである。
どうか、我らの同胞が、正しき道を歩みますように。
悪しき行いを正しますように。
マハ=ディヤルニの偉大なる意志が、世の歪みを正し、貧しきものを癒しますように、と。
彼女は、真摯に祈り、真摯に踊る。
それは、方術となり、偉大なる神の御力を、その仲介者たる風の天使を世に招く。

そして、風の天使は、神の意志、すなわち「喜捨」を行わせるべく、不心得な者の元へと向かうのだ。
もちろん、不心得な者は、不心得であるからして、素直に風の天使に面会しようとしない場合も多い。
しかし、問題は無い。
そうした時にこそ、前述の「天使の道」が役立つのだ。
不心得な者が、たとえ鉄の城に引きこもったところで「天使の道」は、その城を砕き、その蔵から「喜捨」を行わせるであろう。
・・・・・・・・その結果として、不心得な者の家財一式が吹き飛んでしまうこともあるかもしれないが、まあ、大したことではない。
所詮は、歪んだ心で集めた穢れた私財。
貧しき者は「喜捨」によって、助けを得れば良い。
それだけのことである。


そう、無謀な決闘を挑むセンジュを止めんと立ちあがったのは、このような兄妹であったのだ。


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