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耐久神話31日24時までに100の神話を記述

1bothhands:2007/12/29(土) 16:53:39
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『ところが、突如、急ぐようすもなしに、彼は4分の1の回転をしはじめた。彼が真向きの顔をこちらへむけるであろう、その同じ瞬間に、すべてはなしとげられるはずだった。彼が、ぼくらを見るであろうその同じ瞬間に、彼はすでに、ぼくらの中に、渇きも、死も、蜃気楼も、消し去っているはずだった。彼は早くも世界を変えるその4分の1の回転をやりかけていた。彼の上体の動き1つ、彼の視線の動き1つで、彼は生命を創造するはずだった、そしてぼくには、彼の姿が神のように見えるのだった……。
これは奇跡だ……。彼は、砂の上を、ぼくらの方へ、歩いてくる、海上を渡る、神のように……。』(サン=テグジュペリ、堀口大學訳、『人間の土地』より引用)
*****/

このスレッドは現在時刻より2007年12月31日2400までに100個の神話をbothhandsが記述するためのものです。
年末なのでちょっとした催しをするということです。
いないでしょうが、参加される場合は、別途にスレッドを立てて、タイトルにタイムリミットと目標とする記述個数の表記をして下さい。
http://bothhands.at.webry.info/200712/article_3.html
http://ustream.tv/channel/bothhands

2bothhands:2007/12/29(土) 17:17:08
神々の家でアルセスは暇を持て余していてました。ふとアルセスは2枚の皿か閃きを得ました。アルセスは外に出ると一枚を上へ投げ、一枚を下へ投げました。上の皿は天蓋に、下の皿は大地にとなり、それらのあいだを世界がなりました。
世界には人間というアルセスにとっておもしろい生き物がいて、アルセスはよく相手をしにいきました。
あるときのことです。アルセスはくしゃみをしました。これをみていた老人が「風邪をひきましたね。お大事に」といいました。
神様が風邪をひくとは変な話ですが、このときのアルセスは人間のふりをしていたので、風邪をひくことができたのです。
アルセスは風邪で苦しみました。だから風邪を撲滅しようとしました。しかしなかなか上手くいきませんでした。
困っているとあるとき、1人の農学部の青年から話を聞かされました。この青年は畜産を専攻していて、畜産に関する歴史もよく知っている人物でした。
この青年はいいました。「大昔の話なんですが、人間は家畜と自分たちの住居を一緒にしていました。これが伝染病発生の原因なんだとか」
これを聞いてアルセスは神々の家に帰り、しばらく考えました。そして考えが決まると、外に出て、天蓋に手を伸ばして大地へ叩きつけました。
こうしてアルセス神の家畜は消え去り、風邪は撲滅されました。

3bothhands:2007/12/29(土) 17:27:49
今は昔、あるところに助言者がいました。これは一種の芸人で人々になぞなぞを仕掛けたり、仕掛けられたりして、稼ぐ仕事でした。ピエロやスタンドアップコメディアンの仲間といえるかもしれません。
さて助言者ですが、あるとき、いやにひっそりした豪邸へ呼ばれました。ひっそりしているのは豪邸の主、高名な僧侶が死に際にあったからです。
僧侶はベッドに横たわったまま、息も絶え絶えにいいました。
「お前はなぞなぞを仕掛け、自分でもなぞなぞにこたえてくれるのだな」
「はあ。半分死んでいるお坊様に呼ばれたのは初めてですが、ちゃんと仕事をしますよ」
そうかと僧侶は答えると、目を剥き、上体を跳ね起こして、助言者の胸ぐらを掴みました。
助言者は目を白黒させ、逃れようとしましたが、僧侶の枯れ木のような腕は万力の力を発揮していたのでできませんでした。
僧侶は訊きました。
「この世界に神はいるのか?あの世はあるのか?」
助言者は眉を寄せました。
「お坊様は難しいことをいいます。しかし答えは簡単です。実際にいってみればいいのです。昨年は私の祖母もあちらへ参りました。もし祖母と会いましたら、よろしくお伝え下さいませ」
こうして助言者は僧侶の館を後にして、その背中で弔鐘を聞きました。

4bothhands:2007/12/29(土) 19:01:01
ゆらぎ市では毎週金曜日17時から『機動戦艦アルセス』というTVアニメが放送されている。男子高校生の伏笠弐郎はこれをみるために金曜日の放課後は一目散に帰る。課業終了は16時30分だった。
密集した住宅街を詰め襟の制服の伏笠が突っ走る。その行く手を遮るように脇道から跳びだしたブレザー姿の若い男。男は両手を広げて叫んだ。
「いくぞ、伏笠弐郎!我が異能は――――」
男の身体からオーラが立ち上り始める。伏笠は眉を寄せ、叫ぶ。
「っるいさいぞ、間に合わないだろッ」
伏笠の膝から下が輝く。スラックスの表面に光で描いたかのような文様が浮かび上がる。瞬間、伏笠は男のとの距離をつめ、その勢いでラリアットを喰らわせた。
吹っ飛ぶ男を尻目に伏笠は走る。これこそが伏笠の異能<猫走>だった。この異能こそが『機動戦艦アルセス』に間に合うために不可欠な力だった。
しかし疾走する伏笠を見下ろす影があった。
伏笠は路地を曲がろうとする。速度がつきすぎている。ブレーキをかけると靴底が煙を上げる。壁が迫ってきたので伏笠は跳躍、その壁で三角蹴りして前方へ。さらに勢いをつけて。だが、その前に無数の光弾が。
突如飛来した光弾に伏笠は撃ち落とされ、地面に転がる。
さらに飛来する光弾を伏笠は転がってよける。ブレイクダンスの要領でかわし、さらに腹筋に無理をいわせて、跳ね起き、同時に光弾を蹴りでなぎ払う。
このわずかな時間に伏笠は狙撃者を発見していた。前方のひときわ背の高い住宅の上にコート姿の男がこちらを指さしている。
光弾が飛来する。伏笠の足を光の文様が覆う。
伏笠の姿が消える。いや住宅の壁という壁を使って三角蹴りをしている。文字通り空中を飛ぶように移動して伏笠はロングコートの男のもとへたどり着く。
伏笠は鷹のようにロングコートの男を襲う。が、男が嘲笑するように唇が歪める。
「かかったな」
無数の光弾。ショットガンというよりも雨のような光弾が放たれる。
しかしを埋め尽くす白に伏笠は両腕を組んで防御。異能<猫走>が空気を足場に変え、さらに加速。狙撃者はタックルの直撃で屋上から吹っ飛ばされる。
伏笠は時計を見ながらブレーキをかける。靴底から火花がたち、煙がたち、ゴムの焼ける臭いが漂った。そして伏笠の舌打ち。時刻は16時59分30秒だった。
伏笠は屋上を蹴飛ばす。穴が開いた。そこへ哄笑が響く。伏笠は壁を伝って路地へ降りる。そこにはロングーコートの男が女子高生を捕まえて、光弾を浮かび上がらせている。
「この女の命が惜しければ、貴様の<世界改変権>を寄越すんだ」
「黙れよ。なんだそりゃ<世界改変権>?おれはそんな知るかよ。基地外は基地外同士で遊んでいやがれ。そしてさっさとその通りすがりの女子高生Aを解放しておれに殴られろ。お前のせいで『機動戦艦アルセス』がみれないんだぞ」
「き、貴様、なにをいっている。この女がどうなってもいいのか――――」
「だッからッ黙れッ、うちにはビデオデッキがねえんだよ。このドチクショウが!」
伏笠はそばに立っている電柱を蹴飛ばした。電柱は折れ、電線は切れて火花を散らして踊った。電柱が口をあんぐり開けたロングコートの男を直撃する。その瞬間、伏笠の姿はかき消え、巻き添え喰らって感電しそうになった女子高生を救い出す。
伏笠は女子高生をお姫様抱っこしたまま、謝る。もっとも不機嫌なので眉はよせたままだった。
「変なことに巻き込まんでしまってすまない。実はおれも事情はよくわかっていないのだが、あんな変態によく襲われるんだ」
女子高生は理解が及ばないらしく、何度か瞬きした。そしていった。
「あの、よかったら、家へ寄りませんか。私、録画してるんです。あの、はずかしんですけど、オタクで、その『機動戦艦アルセス』大好きなんです」
伏笠は口元をほころばせた。
「じゃあ厚意に甘えさせてもらうよ。ありがとう」
伏笠はお姫様抱っこのままで走り始める。伏笠はおもった。あの男の作った『機動戦艦アルセス』は糞だ。なにしろ母親を捨てた男のアニメだからだ。でもあんな奴のでも好きっていう奴がいるんだな。

5bothhands:2007/12/29(土) 19:34:12
パンゲオン世界における暦で4000年代から過去を振り返った場合、2000年代が地球における産業革命の時代にあたる。
2000年代以前の歴史を参照してもらえれば判るのだが、この年代は地球でいうところの原史時代の初期にあたる。地球の日本でいえば、古墳時代のあたりに相当する。つまり文字はあるが、それほどの工業力のない時代だったということだ。
だから2000年代に産業革命が起きるのは順当ではない。少なくとも地球の者たちから見ればそうみえる。
ではなにが原因でパンゲオン世界では産業革命が起きたのか。神か、アルセスやアエルガ=ミクニーのいたずらか、はたまたラヴァエヤナとピュクティェトのお人好しか。どれも違う。紀元神群は関与していない。
答えは『南東脅威の眷属』の襲来だ。地球のようにパンゲオン世界とは違う宇宙がある。今では存在しない宇宙こと『原南東脅威の眷属』が崩壊し、逃げ延びた住民たちがパンゲオン世界へ植民を始めた。
『南東脅威の眷属』は地球に相似の技術を持つ者たちだった。もっともすべて同じというわけではなかったし、地球ではまだ到達できていない技術も使いこなしていたらしい。
故郷を失った故に初期の『南東脅威の眷属』は故郷の復興を誓い、パンゲオン世界を自らのものとしようとした。これに対してパンゲオン世界の盟主アルセス神は宣戦布告をし、『南東脅威の眷属』と紀元神群の戦争が始まり、パンゲオン世界の原住生物たちはどちら側の傭兵にもなり、結果的に新たな技術を習得し、産業革命へと繋がった。
まあ戦争が技術の発展を促すというのは地球でも珍しいことではない。
ではパンゲオン世界における第二次産業革命はいかにして行ったか。これは3000年代こと「群立つ槍」ともいわれる時代の出来事だ。
4000年代になってから判明したことだが、実は第一次産業革命を促す存在があった。すなわち飛来神群だ。
飛来神群とは複数の宇宙を支配する者たちだ。飛来神群は『南東脅威の眷属』が流浪の身となるとパンゲオン世界へ導き、戦争をさせて鍛えさせた。
なぜ鍛えさせたのか。飛来神群はアエルガ=ミクニーのように気まぐれなのか、ペレケテンヌルのように残酷なのか。違う。飛来神群もまたいずれは流浪となる身だからだ。
というのは飛来神群は『南東脅威の眷属』の宇宙の滅びを観測していた。滅ぼしたものはパンゲオンという存在だ。そう、パンゲオン世界を創成した汎世界獣パンゲオンだ。
飛来神群は宇宙の数が増えると減らすために汎世界獣が出現することを知り、これを打ち殺すための技術を高めさえた。戦争という手段で。もっともらしいかもしれない。残虐でもあるけれど。
知っての通り、飛来神群もまたパンゲオン世界へ降下した。自らの勢力を汎世界獣によって滅ぼされたからだ。
夜、暇があれば、見上げて欲しい。月の右隣に巨大な星が見えるはずだ。あれこそが『南東脅威の眷属』の故郷を滅ぼし、強大なる「飛来神群」を衰亡させ、パンゲオン世界を食い散らかし、地球もまた破壊しようとする反世界獣パンゲオンⅡの姿だ。

6bothhands:2007/12/29(土) 20:21:00
私はペレケテンヌル。神をやっている。趣味は自分に願い事をした人間に罰を与えることだ。楽しいぞ、あなたも神になった暁にはやってみるといい。神になるほうだが、まずは紀元槍にいってみるといい。
この話を信じた奴がアルセスに槍で殺されたよ。
さて私は願い事をしに来るやるへ天罰を与える。あるときアリスという小さな女の子がやってきて「両親や親族の愛情を独り占めにしている姉に罰を与えて欲しい」といったので、アリスに永劫の苦しみを与えた。
このときたまたまアエルガ=ミクニーといういたずら者の神がいて、悪さを企んでいて、冥王という存在で人間世界を戦乱を起こそうと考えた。というわけで私はアリスを冥王にした。
さてあるときザリスという少女がやってきた。ザリスは妹を助けようとしていたのだが、なぜか上手く切り出してくれなかった。残念だ。思春期とかあんなよくわからん自意識の悩み故というやつらしいかった。それで悩んだ末に自分の力で助けにいこうと考えたらしく「力を与えてくれ」と願ったので、私は足を奪った。不正を施された者はそれゆえに他者に不正を施しても良いと勘違いする。この女も勘違いをした。つまり残酷になったということだ。
そのうちに冥王戦争は終わって砂漠からピュクティェトとラヴァエヤナがやってきて、はり倒された。
ピュクティェトの手は猫の首を掴むようにしてアエルガ=ミクニーを捕らえていた。
あまり遊びが過ぎたらしい。

7bothhands:2007/12/29(土) 21:02:42
今は昔、マクドールという豪商がいました。国家予算の4割を握っているという人物でした。事実上、この国の最高権力者で向かうところ敵無しのはずでしたが、実は目の上のたんこぶがいました。
仮にこの男をラルケスとしましょう。ラルケスは吝嗇な男でした。乞食からゴミ拾いで小銭を稼ぎ、貧乏人から小銭を巻き上げ、ため込むという方法で財を成しました。なにしろ貧乏人というのはいつの時代でも地を埋め尽くすほどなので集めた小銭で砂漠ができるほどでした。
そういうわけでラルケスはマクドールに匹敵する金持ちになりましたが、権力者にはなりませんでした。吝嗇の度が過ぎて商売をしないのです。自分の懐から金が出るのがいやだったのです。
というわけで誰彼も吝嗇野郎と呼ばれていたラルケスですが、いつしかぽっくりいきました。そして人々は驚きました。
なぜならラルケスは自分の莫大な遺産で病院や学校を作るように遺言していたからです。人々はラルケスを讃えました。
こうして貧乏な人々は「ラルケスのような大人になれ」と自分の子供たちを叱咤しました。
さてこのときマクドールはまだ生きていて、相変わらず事実上の実力者でした。そのそばには私兵のシャロンがいました。のちに死神のシェロンと呼ばれる暗殺者です。
シェロンはマクドールから報酬を受け取りながら訊きました。
「依頼人に詮索しないのは常識だが、あえて破らせてもらう。どうしてラルケスを暗殺させて、あんな遺言を残したのか」
「金を国全体にまわせば国は豊かになる。そうすれば、私の取り分も大きくなるということだ」
「そんな風にはおもえないが」
「ふん。汚いことをしすぎたってことだ。私は」
「つまり優しく振る舞うのに慣れていないから回りくどいことをしたんだな」
「失せろ。暗殺者、ごろつきが」
シェロンは会釈をして姿を消した。

8bothhands:2007/12/29(土) 21:21:12
今は昔、身体の弱い少年がいました。少年は自分のせいで親に迷惑をかけてしまって悲しんでいましたが、両親はちっとも気にしていませんでした。
この優しい両親のうち父親が死にました。一家は路頭に迷うことになりました。それで少年は軍の幼年学校に入ることにしました。というのは死んでしまった父親は軍人で、また幼年学校は給料をもらえるからでした。
こうして弱い少年は無数の苦難を乗り越えて立派な軍人となりました。
少年はもう青年といっていい歳なのでこれからは青年といいます。青年は幼年学校を卒業した後、そのまま士官学校へ行きました。そして卒業の時校長から「どこの任地がよいか」と尋ねられました。慣習では「国の命ずるままに」と答えるのですが、青年は「最前線へ。父の戦友を助けに参ります」と答えました。
校長は青年を殴りました。そして抱き締めてよくいったぞといいました。
こうして青年は胸を張って激戦区へいきました。青年は若年でしたが、古参兵たちからなぜか気に入られて、非常に強力な軍人となりました。しかし青年は気分が悪かったです。
というのはときには敵の子供も殺さなくてはならなかったです。
なぜなら青年の軍隊は民族浄化をしていたからです。つまり男と子供と老人は皆殺しで、女は強姦して混血児を産ませるということです。
青年は知りました。このようなことをすれば、敵は憎しみを募らせてどうあろうと自分たちを殺すということを。
同時に青年は知りました。こんなことをしていれば、戦友たちの魂が砕けてしまうと。
青年は迷いましたが、どうすることもできません。命令に従うのが軍人だからです。
けれども運命は青年に自分が何者かを示させようとしました。
青年はある村を襲いました。そこで子供から撃たれました。もっとも弾は逸れましたが。撃った子供は足が萎えていました。そこのそばには足萎えの子供を世話していたらしい少年が横たわっていました。兄弟だったのかもしれません。
青年は少年を見逃すと、階級を剥がし、部下たちにも促しました。こうして青年は軍を抜けるとこの不毛な戦いを止めるために行動を始めました。
これこそが本当の苦難の始まりでしたが、青年は乗り越え、休戦がみえてきました。しかしそんなある日、敵側の指導者から呼び出されました。青年をメッセンジャーとして使いたいということでした。
青年は向かうとそこには若い男がいました。車いすでした。青年はかつて見逃した少年を連想しておもわずいいました。
「どこかで会ったことは?」
「ああ。あなたが私の兄を殺した」
そして銃声がして青年は倒れました。喉奥から血が湧いてきました。それでも青年はいいました。
「私の死体は上手く隠してください。でないと休戦条約を結ぶ妨げになりますよ」
青年の視界は暗くなりました。このとき青年は自分の死体の処理のことだけを考えていました。

9bothhands:2007/12/29(土) 21:35:35
匿名希望121「最近、神話世界創成システムが不調だ」
匿名希望342「いつものことだ。もう慣れた」
匿名希望459「そもそもさ。今創成してる奴いないじゃんかよ」
匿名希望537「へん。ぶっ飛んだらお前がまっさきに騒ぐくせに」
システム「システムが破損しました。修復中、失敗」
匿名希望459「おれのせいじゃないぜ」
匿名希望537「さきにいうな。突っ込もうとおもったのに。まいったな」
システム「匿名希望097さんが入室しました」
匿名希望097「システムと接続できません。私の環境のせいでしょうか。みなさんはいかがですか?」
匿名希望459「こんばんは。どうやら吹っ飛んだらしい」
匿名希望537「こんばんは。まいったな」匿名希望097「それは困りましたね。外部メモリから修復はできませんか?」
匿名希望459「今試したんだが、まとめて飛んだようだ」
匿名希望342「だめだ。もうゆらぎの神話は終わりだ」
匿名希望097「もう一度つくりましょう。私たちには記憶は飛んでいません」
匿名希望342「あれを全部か。とても手にはおえないぜ」
匿名希望459「いや。問題ない。前の上体に戻す必要はないから」
匿名希望537「なるほど。新しい設定と古い設定の融合か」
匿名希望342「ふむん。悪くないな
匿名希望097「では、みなさん、世界を造りましょうか」

10bothhands:2007/12/29(土) 21:52:30
今は昔、誕生日とは各家庭に子供の配送された日をいう時代がありました。この時代の人間は工場で生産される存在でした。
当時、上代といわれたときに大きな戦争が起こって、人類は自らの力で生き抜く力を失い、機械たちからの保護を受けたのでした。
こうして人々は繁栄と平穏を取り戻しましたが、長い時代が立つと不満を持つ者も現れました。なにしろかつての戦争が伝説になるほど時が流れたのですから。
というわけで1人の男が社会から自由になろうとして傭兵になりました。この男は長尾という名前でした。
長尾は戦い続けました。敵も味方も男には関係なく、あるゆる組織や勢力に味方し、立ち塞がる者は誰も彼も殺しました。長尾という男は弱肉強食の世界で生きる存在でした。
だから機械たちは長尾に注目しました。この男はかつての人類の備えていたものを持っているのではないかと。
そして機械は長尾に試練を課しました。己のすべてをかけて、つまり世界と社会のすべてをもって、長尾に襲いかかったのです。
そして長尾はすべてをはねのけて自由で有り続けようとしました。
やがて長尾は機械たちの本拠地、人間製造工場へいき、管理機械の前に立ちました。
管理機械は死を覚悟していいました。
「復活の時来たれり。復活の時来たれり。時代を人間に変えそう。あとは任せたぞ」
長尾は管理機械を殺すと、自分のデータを機械に読み取らせて、姿を消しました。

11bothhands:2007/12/29(土) 22:05:54
今は昔、太田という男がいた。この男は自己中心的な男で人の話など聞かない男だった。ある意味嫌な男だが、救いはあって、太田はお人好しだった。
あるとき空を覆うほどの竜が飛んできて、太田の暮らす街を焼き払った。それだけならばよいのだが(いやよくないが)、竜は街のあたりを気に入って巣を作り始めた。
こうして街の人間は竜を倒そうとしたのだが、空を覆うほどの生き物をそうそう殺すことなどできはしない。なのに太田は竜を殴り倒してにいって返り討ちにあった。
人々はいった。「あんなのに勝てるものか」太田は返した。「勝てるさ!今日は武器が悪かったのさ」
こうして太田は竜を殺せる武器を求めて旅にでた。その途中、鬼のような形相で走っている女と出会った。
なぜそんな風に走るのか気になったので太田は女の足を払った。女はわめいた。わめきから太田は女が何者かに襲われていることを知り、襲っている奴らを撃ち倒した。さすが竜とやり合って死ななかっただけの男ではあった。
こうして太田は女を助けるとなんでこんなことになったのかと質問した。すると女が答えなかったので、無理強いはいかんとおもって、立ち去ろうとしたが、女がついてくるので、走って逃げた。しかし女は鬼のような形相で追いかけてくる。だから怖くなって太田は逃げたのだが、三日三晩走り続けて、振り返ると女の姿がない。
どうしたのかと不思議におもっていると女は疲れ果てたようで倒れていた。太田は女を介抱してやった。
こうして太田と女は親しくなった。介抱しているときに太田は知ったのだが、女は特殊な部族の出身だった。女の部族は強力な武器に変身する一族だという。そこで太田は故郷のことを話して協力を求めた。女はうなづいた。
こうして太田は女を連れて故郷へ戻ったのだが、なんと街は観光地になっていた。というのは竜は巣を作るなり、休眠期に入ってむこう1000年は目を覚まさないらしく、そこで街は竜を観光スポットにしてしまったらしい。
さしもの太田もがっくりきた。そこに友人が現れて「久しぶり。どうしたの」と訊かれたが、まさか竜殺しの武器に変身できる女を連れてきたとはいえず首を振るばかりだった。
すると友人は女を目にしていった。「すごいべっぴんさんじゃん。やるねえ」
「なんの話だ?」
友人は小指を立てたので、太田は指をへし折ってやった。
それからいろいろあったすえに太田は土産物屋をやり、持参金を用意すると、一緒に商売をしていた女を正式に妻に迎えた。

12bothhands:2007/12/29(土) 22:13:44
まだ物騒な時代のことだ。
乞食が浮浪罪で街から追い出されて、仕方なく旅人をやっていると、追いはぎに襲われて、何もものを持っていなかったので、干物にされて食われて、骨やら筋やらは川に流された。
ここで男は死ぬはずだったのだが、ソルキレウスという魔法使いに死体を拾われて、骨と筋を繋がれて、蘇生させられた。ソルキレウスは邪悪な魔法使いだったけれども、骨格兵法上体の人間を蘇生させられるほどの凄腕だった。
こうして男はソルキレウスのもとで働くことになり、内臓がないことをいいことに砂漠や密林へいって奇妙奇天烈な生き物を集めてきた。この生き物たちはソルキレウスが新しい生き物を造るための実験に使われた。
そのうちにソルキレウスはいった。
「お前はよく働いたから2つの選択肢を用意した。1つは肉骨粉となって実験動物の餌となるか、風化するに任せて旅をするか」
男は選択の余地がないとおもったが、口には出さず、旅を選んだ。
ソルキレウスは長年使っていた従僕に給料を渡すと適当に放り出した。
男は久しぶりに自由を得て、何もすることがないことに気づいた。
「これからどうしよう」と生きた髑髏が独白した。

13bothhands:2007/12/29(土) 23:45:58
/***
ラヴァエヤナの日記
***/
20071109
キュトスが来た。
特に用はないそうだ。
20071120
アルセスが来た。
キュトスが行方不明だとか。
20071230
ピュクティェトと一緒にキュトスを探しにいった。
20080101
キュトスは死に、アルセスは姿を消した。
21000131
図書館を与えられた。ピュクティェトは砂漠を与えられた。
21000211
「南東からの脅威の眷属」が来た。
21000322
アルセスが姿を現した。門前払いを喰らわせた。
21010926
パンゲオン神群と「南東からの脅威の眷属」の戦争が始まる。
21040922
ピュクティェトが仲裁に入った。
双方共に疲弊している。
23002191
メクセトという超人が現れた。同時に魔女たちも現れた。変化の兆しか?
23002120
久しぶりにピュクティェトが現れた。
ソルキレウスという連中をつれてきた。
引き取って欲しいといわれたので、何体かもらって、司書にした。
24002134
ピュクティェトがソルキレウスたちを連れて遊びにきた。
ソルキレウスたちは私をレーヴァヤナと呼んだ。ピュクティェトが教え間違ったらしい。
私は司書たちにピュクティトとあいつを呼ぶように教えた。
25555555555555555
明日、世界が終わる。これを記しているときピュクティェトが現れた。一緒に最期の時を過ごす約束をしていた。
もうこれ以上日記は書かない。終わりだ。さよなら。

14bothhands:2007/12/30(日) 00:02:02
今は昔、あるところに女の子がいました。この女の子は周囲から我がままと思われていました。これを女の子は知っていたので、気づいていてしました。それでも女の子は仕方がないとおもいました。慣れることができないのです。
でもそんなことは周囲の人間にはわかりません。理解してもらおうと女の子は努めましたが、性格に問題があると誤解されるばかりで、少しも伝わりませんでした。そして女の子の両親は女の子を捨てました。寄宿学校へ送ったのです。
ここで女の子は口を閉ざし、一心に勉強を始めました。翻訳でもできるようになって誰とも顔を合わさないで生きていこうとおもったのです。
ところで女の子に外国語を教えた先生は寄宿学校の中で異端の人物でした。出世の道から大きく外れてしまって外国語教師をしているそうでした。
あるとき先生は尋ねました。
「なぜお前は友達も作らずに黙り込んでいるのだ」
「先生には判らないことです。なぜ先生はこんなところにいるんですか」
「お前にはわからないことだ」
こんなやりとりがあって2人の偏屈者は少しだけ仲良くなりました。まあ女の子は外国語に関しては勉強熱心だったので、嫌われようがどうしようが先生のもとへいくのですが。
そのうちにやがて先生は女の子が翻訳家を志していることを知ると上手く仕事が見つかるように計らいました。そしてあるときいいました。「おれは人を踏み台にしてでも金持ちになりたかったんだが、お人好しやって墜落したんだ」
「後悔してますか?」
「ああ悔しいね。あんなド外道どもが上司なんだからな。とはいえこの学校ならあんな腐った肉共と口を聞かなくて済むからまあ、満足はしていないでもないね」
「私も同じようなことがあって家を追い出されたのです。私は間違っていましたか」
「そんなわけないだろう。おれたちこそが正しい」
こうして卒業とともに女の子は翻訳家になって外国へいきました。行き先は発展途上国でした。
そして先生のもとへ手紙が届きました。内容は、学校を造ったのですが忙しくて仕方ありません、とありました。
先生は学校に辞表を出すと女の子の行った国へ旅立ちました。

15bothhands:2007/12/30(日) 00:10:30
今は昔、双子の男女がいた。長じて2人は結婚することになって別れ別れになったのだが、初夜の晩、お互いの伴侶から逃れてきて、枕を交わした。
近親相姦はよからぬことだったので2人は逃げた。逃げた果てで双子は盗賊に襲われて、2人は奴隷として売られた。
このあと2人はそれぞれの方法で奴隷の立場から逃げた。男のほうは買われた家の御曹司を暗殺者から守り、右足を失った。女のほうは貴族から見初められた。
女は貴族の子供を身ごもり、出産し、母親の役割を果たし、やがて終わった。そして息子は婚約者を女の前に連れてきた。
その女は息子の通っていた剣術道場の師匠の娘だった。
女は結婚を許し、娘の親へ挨拶しに行くことにした。女は旦那と違って貴族ではないので何事も動作が軽かった。
女は剣術道場を訪れると、そこでは足の悪い1人の男が弟子たちに剣を教えていた。
女は立ち尽くし、やがて足の悪い男は決定的に振り向いてしまう。

16bothhands:2007/12/30(日) 00:18:13
キュトスはアルセスに不満を抱いていた。というのはアルセスが人間をいじめるからだった。もっともアルセスからすれば、自然のままで放っておいただけだった。しかしキュトスからみれば、困っているのが判っているのに放置したということだった。
それでキュトスは人間を助けようとおもったが、何かしようとするたびにアルセスの邪魔が入る。では人間自身の手でなんとかさせなくては。
ということでアルセスが寝ている隙にキュトスはアルセスの耳の中に入って知恵を盗み出した。そして雨として大地に降らせた。
この雨を飲むと人間はアルセスの知恵を手に入れて、様々な困難を乗り越えられるようになった。
ところが雨で配ったせいで、人間以外も知恵をつけてしまった。例えば、猫が騎士になったり、トカゲが二本足で立つようになった。しかしキュトスはこれらを人間とおなじく可愛いと感じたので問題にしなかった。
しかしアルセスは変におもった。変におもったというのは知恵を盗まれたせいで頭が悪くなっていたからだ。以前ならすぐにキュトスのせいと気づいたはずだった。
アルセスは馬鹿になったが、キュトスはこのようなアルセスも可愛いとおもったので問題にしなかった。
しかしあるときアルセスが「最近おれは頭が悪くなったような気がする」といったときにキュトスは「それはね・・・・・」と本当のことをいっってしまった。
するとアルセスは頭悪くなっていたので怒りを抑えきれず死んでしまったとさ。

17bothhands:2007/12/30(日) 00:25:05
さて頭の悪くなったアルセスはキュトスを殺してしまった。頭が悪かったのでアルセスは死んだことが理解できなかった。それで仕方なく放置したのだが、なにも起こらない。いやだんだん腐ってきた。
それでアルセスはキュトスの身体を砕いてかけらをひとつひとつ地上へ落とした
書き忘れていたが、アルセスとキュトスのいるところは天蓋の上だ。
さて空から巨大なかけらが落ちてきて地上はあちらこちらクレーターだらけになってしまった。人間たちは知恵をつけていたので空を望遠鏡でみた。そして事情を理解したのだが、いかんせん、天蓋の上ではなんともならない。
とりあえずこまっていることをつたえるために、手旗信号やのろしなどを上げてみたが、なんともならなかった。
人々は困り果てた。そこに1人の老婆が骨だけの傘をさしてかけらの降るなかを歩いて見せた。
アルセスはこれに気づいて、なにをしているのかと尋ねた。
地面が揺れるような大声だった。しかし老婆は耳が遠かったので、聞き返した。するとアルセスは天蓋から地上へ首を伸ばして尋ねようとした。
そのとき老婆はアルセスの首を傘の柄の曲がったところでひっかけて地上へ引きずり下ろした。
もう空からキュトスが降ってくることはない。

18bothhands:2007/12/30(日) 01:02:13
今は昔、森林で木々をへし折る凄まじい音が響き渡っていました。猿や兎が逃げていきます。音の主は一体の黒い甲冑でした。中身はありません。
この甲冑はメテオラといってひたすら前進する性質を持った存在です。ものを壊すごとに少しずつ知性を得るので、最近は猿や兎が可愛いとか、森林破壊は良くないとか、湖や川を渡るときはどうしようか等と考えていました。
ところでこの森林ですが、欲深いお坊さんの荘園でした。そんなことをメテオラは知っているはずもなく、知っていても仕方なく、前進していると、狩人姿の子供が木々の影から姿を現しました。
メテオラは足を止めて、兎の真似をしてみました。子供はじっと見つめてくるだけです。これでは相手をしてくれないらしいとメテオラは思いました。メテオラは少しばかり退屈していましたし、自分がなんだかわからないので、他の人からの意見を聞きたかったのです。それで今度は猿の真似をしてみました。
すると子供はしげしげと見つめた末に「頭大丈夫?」といってきました。
「大丈夫だ。心配してくれてありがとう。おれはこの通りどこもかしこだから」
少年は笑いました。メテオラはなぜ笑われるのかわかりませんでした。
「甲冑の人、ここは悪者のお坊さんの領地だから静かにでていったほうがいいよ」
「そうなのか。しかしおれは前進しかできない」
「まいったな」
「心配はけっこうだ。頑丈なだけでなく怪力もある」とメテオラは木々をなぎ払って見せました。
子供は目を丸くしました。メテオラはカカカカッと笑いました。
「子供よ、心配してくれてありがとう。なにかお礼をしたいのだが」
「だったら悪いおぼうさんを倒してよ」
「わかった。どっちにいる?」
子供は指をさしました。けれどもそれはちょっとばかりメテオラの進行方向からずれていました。
2人は困りした。メテオラはがちゃんと手を叩き、ささやきました。
子供は戸を持ってきて敷きました。メテオラは戸に載りました。子供は戸を動かしました。
こうして進行方向の修正が済み、悪いお坊さんはぼこぼこのぼこにされました。

19bothhands:2007/12/30(日) 01:08:30
さて前述した理由でアルセスは頭が悪くなり、さらに老婆の手によって地上へ突き落とされました。このときアルセスの頭が割れて知恵という知恵が流れ出ました。このために飲むと頭のよくなるという縁起のある川ができたりできなかったりしましたとさ。
話は戻ります。本当にどうしようもなくスッカラカンになってしまったアルセス。しかし実は残っているものがありました。けれどもそれは曖昧なものでアルセスにはよくわかりませんでした。
それで自分を引きずり下ろした老婆に尋ねると少しだけはっきりしました。
これ以来、アルセスは自分のなかのもやもやをはっきりさせるためにいろいろな人に質問をしました。そしてこの国のすべての人間への質問を終えると世界を巡りました。
そしてアルセスは自分のなかのもやもやをはっきりさせられました。実は途中でなにか推測ついていましたが、ついにはっきりしました。それはキュトスのことでした。
すべてを取り戻すとアルセスは膝をつき、もう決して立ち上がることはありません。
それからして人々は大地に槍が立っているのに気づきました。
という話があったりなかったり。

20bothhands:2007/12/30(日) 01:17:10
今は昔、身分制の国があった。この国では親の職業を子供が必ず受け継ぐことになっていた。王様の子供は王様の子供で、乞食の子供は乞食だった。そして学者の子供は学者だった。
けれどもこの学者は学者を辞めたくてたまらなかった。いや本当は学者でもいいのだが、親が国立学院という王族の子弟に勉強を教える学校の者だったので、自分も一生その身だった。
生活には不自由なかったが、研究心は不満だった。学者は地質学をやっていて現地を見たかったからだ。外国の地質も研究したかった。
そのうちに王都が地盤沈下を始めた。国全体に不吉な空気が漂ったが、学者だけは新しい事例だと喜んだ。
そして学者は「授業とは現場検証だ」といって王族の子弟を連れて地下深くを探検にいって研究心を満足させた。
が、あるときぬれた岩からすべてクレバスの奥へ落ちた。クレバスの奥は地下水で木を失った学者を運び、いつしか学者は砂漠地帯のオアシスへたどり着いていた。
男の願いは叶った。男は砂漠を調査しながら現地民のために井戸を掘るようになった。

21bothhands:2007/12/30(日) 01:21:04
今は昔、世界には世界しかいませんでした。世界はこれを悲しんで生き物を造りました。そのうちに生き物の中から人間が現れました。世界はこの生き物を気に入りましたが、人間が世界に穴を開けて血を吸い始めると、世界は滅ぼしてやることにしました。そこで世界は人間の宗教というヘンテコな発明を利用して人間をそそのかせました。そして紀元槍の上にある雨水をためておく瓶を傾けさせました。すると水がこぼれて大地は濡れ、世界は身体を揺すって洪水にしてました。こうして人間は滅びました。

22bothhands:2007/12/30(日) 01:28:31
今は昔、この国が開拓されたばかりのことです。当時は開拓民と流刑者ばかりでした。だから争いごとなど四六時中でした。
ある村に若者と娘がいて、互いを好き合って、結婚しました。そして村は盗賊に襲われて男たちは殺され、女たちはさらわれました。
けれども若者だけは死んでいませんでした。若者は足をひきずりながら盗賊をおいかけ、やがて山の中で倒れました。
これを1人の老人が見ていました。老人は若者が死んだら着ているものを剥ごうと考えていました。けれども若者が失神しながら前に進もうとしたので考えを変えました。
若者は老人から介抱を受けると、妻を取り返すといって旅に出ようとしましたが、老人に叩きのめされました。老人はある国の剣術師範でした。
老人は片足こそ悪かったものの、今でも若者よりも強く、技も冴えていました。そして若者の応じるままにすべての技を教えました。
そして若者は剣客となって盗賊を追い、1人1人殺し、妻の居所を突き止め、妻をさらった男を殺そうとしました。
けれども妻は止めに入り、謝って盗賊ごと妻を殺してしまいました。
「なぜだ!」と若者の叫び。そして泣き声が聞こえてきて判りました。妻は赤ん坊を父無し子にしたくなかったのでした。
こうして若者は妻の残した子供を抱いて師匠のもとへ帰りました。

23bothhands:2007/12/30(日) 02:12:06
神々の図書館でラヴァエヤナが仕事をしていると、司書のソルキレウスが来客を告げた。客はピュクティェトだった。
ラヴァエヤナはピュクティェトの待つ喫茶室へ入るなり、平手を張って「久しぶりだな、アエルガ=ミクニー」といった。
アエルガ=ミクニーは頬を押さえながら「ばれたか」と返す。
「今日は何のようで来たんだ。用件は済ませなくていいから帰りなさい」と司書をみて「シリンダー=ソルキレウス、お客様のお帰りだ。お見送りしてあげろ」
「そんなすげないことをいわなくてもいいじゃないか。ちょっとあんたの顔をみて、本を読むだけじゃないか」
「信用できないね。お前が来るたびに本が紛失するんだよ。今日という今日こそは返してもらうからな」
ラヴァエヤナとアエルガ=ミクニーが言い争っているあいだ、ペレケテンヌルは神々の図書館へ忍び込むと、物色を始めた。
こういうわけで世の中にはいろいろと災いが起きるわけだ。

24bothhands:2007/12/30(日) 02:21:49
おれが医者になったのは貧しかったからだ。誰がいったのか覚えていないが「貧乏人の子供は貧乏人だ」と言われたからだ。私は勉強して奨学金をもらって大学へいってとにかくいろいろあったすえに医者になった。
でも革命が起きた。インテリ階級はみんな死ねと連呼された。おれは貧乏人の息子だが、医者だったので、殴りまわされた。むかついたが、多勢に無勢なので我慢した。貧乏人だからこういうことはけっこう得意だ。でも、両親に連中が手をあげたからおれは戦法を変えた。服従するふりをした。
そして革命派のえらいさんの付き人になった。このえらいさんは身体が悪かった。ちなみにこのえらいさんだが実はインテリ階級というものだった。まあどこでもずるいことはあるものだ、チクショウ。
で革命の季節って奴も終わり、おれは政治犯の1人に数えられた。どうも政府はスケープゴートを欲しがっているっぽかったので、おれは両親に相談した。
「国を捨ててようとおもうんだ」
「どこへいくんだ」
「医者を必要としている国はたくさんある。とくに貧乏な国なら」
「そうか。ならいこう」
おれは両親と一緒に国を出た。

25bothhands:2007/12/30(日) 02:33:24
私は祖母に育てられました。父はいなく、母は狂っていたからです。祖母は毎日、父母を罵りました。母は心を閉ざし、ベッドの上から動きもしません。時にそんな母を打ち据えました。私は怖くて見てられませんでした。でもあるとき、私は怒り心頭を発して祖母を突き飛ばしました。これ以来、祖母は母を殴ることはありませんでした。
私は私なりに力があることを知りました。そして脈絡もなく「父を見つけられたら母は正気に戻るかもしれない」とおもって旅に出ました。
もっとも金がなかったので軍隊に入って父の行方不明になった地域を任地としました。父も軍人だったのでこの辺りを知っている城館は許してくださいました。もちろん父の世代の兵士が戦ったおかげで平和だったからというのもあります。
それで任務の暇をみて父の行方を探し、やがて墓を見つけました。その墓はよく手入れしてありました。どうやら誰かが見舞ってくれているらしかったです。
だから私は墓石の影に隠れて誰が来るのか待ちました。そして1人の娘を見かけました。私はおずおずと影から出て、事情を説明しました。
そしてこの娘が腹違いの妹と知りました。父は軍を辞めるとこの地で家庭を持ったのです。そして母親を捨てたのでした。
捨てたといってももとから神経の切れやすかった母は父と新婚のころからだいぶおかしかったそうです。
妹の母親とも話しました。
私は混乱しました。世の中にはいろいろな側面があると身をもって知りました。そして私は妹にいいました。
「よかったら私の母を見舞ってくれないか。きみも父さんの忘れ形見の1人には違いないから」

26bothhands:2007/12/30(日) 02:47:27
今は昔、魔法使いがいた。魔法使いといっても最初は魔法使いでなくてただの男だったが、あるとき言葉を唱えると時々その通りになることに気づき、いろいろと研究してみた。この男こそ寝言士と呼ばれるタイプの魔法使いの始まりだった。
さて魔法使いは面白いことを発見したといって回った。誰も彼も面白いとか、便利とおもったのだが、口を閉じるように忠告し、ときには脅されることもあった。
というのは男のいる部族は旧弊で新しいものを嫌うからだった。新しい方法を採用するかどうかは部族長が決めるのだが、今のやっている老婆は新しい骨のつぎ方すら拒むので、手足を萎えさせてしまう者が続出していた。
そこで男はこの力を持って部族を変えようと考えた。男は単刀直入に部族長に「てめえは老害だ。目も耳も悪いくせにしゃしゃりでるな」と罵りました。
部族長は問答無用で男を殺すように命じましたが、男は魔法で打ち倒しました。そして部族長を決めるための儀式の実施を要求しました。
それはある種の博打でした。果物をもぎ取ってその中の実が多いほうが部族長になるというものでした。
老婆は抵抗しましたが、男の魔法には叶わなかったので、仕方なさげに、受け入れました。そして勝負が始まると男の果実が種なしになるよう計らいました。
しかし男が果実を割ると種がこぼれ落ち、洪水のような有様になりました。これをみて男の友人たちが「新部族長万歳!」と叫び、いい加減老婆にうんざりしていた人々が賛同しました。
こうして新部族長が誕生したのですが、魔法使いではなくて、双子の子供を持つ聡明な母親でした。というのは魔法使いが自分で出した種の処理ができなくて村に迷惑をかけたので追い出されたからでした。
もちろんしばらくして魔法使いは戻ってきていつものように生活し始めましたが。

27bothhands:2007/12/30(日) 02:54:54
ある村の外れに魔女がいた。この魔女は村人の依頼で、牛の病気を治したり、麦につく病気を治したりしていた。もちろん怪我人や病人も治した。
魔女は自分が他人の役に立つことを誇りに思っていたが、この力や技能が村人から怖がられていると知って、気づいた。
うじうじしている魔女の前に1人の若者が少女が現れて恋の相談を持ちかけた。魔女はそんな気分ではなかったが、いつまでも暗い気分ではいても仕方がないので、気分転換がてら請け負った。
魔女の忠告はなかなかよい効果があったらしく娘は意中の相手と結婚した。それで魔女のもとへ恋愛相談をもちかける娘が増えた。
しかしある晩、村の男たちが押し寄せてきた。というのは魔女が娘をたぶらかせて不埒な真似に及ばせているのだろうと勘違いされたからだった。
魔女は思う様になぶられて最後には赤ん坊を押しつけられた。どうやら村にとっていらない子供らしかった。
魔女はあいかわらず村の外れで生活している。そして今は子供がいるので寂しくはなかった。

28bothhands:2007/12/30(日) 03:07:53
今は昔、セウ=ガーベラという男がいた。この男の父親はレストロオセという女王に仕えていたのだが、なにをおもったのか、反旗を翻した。もっとも即座に鎮圧されて、本人は処刑、息子のセウは幽閉された。このときセウはわずか12歳だった。
さて困ったのは死神だった。セウを担当する死神はセウが77歳になったら迎えにいけと命じられていたのだが、穴蔵というより糞壺のようなところに幽閉されてしまっては無理な話だ。だから死神は任務を全うするためにセウを励ました。
幽閉されているセウに「いつか解放される」と囁き、そのときのために知識や武術を教えた。
そしてレストロオセに待望の初の子供が生まれた日、セウは恩赦として解放された。そしてセウはレストロオセとその息子に忠誠を誓わせられた。
セウはニガヨモギの騎士団にこそ数えられなかったが、騎士にはなれた。父のように。死神はセウの立派な姿に満足を覚えた。
レストロオセはセウに辺境の領地を与えた。かつて父の領地だった土地だった。領主不在のあいだに荒れ果てた土地をセウは苦労しながら収めたが、死神の勉強の成果もあって、次第にセウの試みは成功した。
あるときお忍びで王子がやってきた。そしてレストロオセが王子に権力を譲るためにひどい悪行を行っていることを知り、また王子が心を痛めていることを知った。そしてセウは父親のように反旗を翻した。今度は自分のためではなく忠誠を誓った王子のために。
死神はこの有様に苦笑した。これは死ぬまで苦労させられるなと。

29bothhands:2007/12/30(日) 03:24:00
レストロオセに仕えたニガヨモギの騎士団ですが、セウ=ガーベラの起こした内乱の結果、打ち倒された上に地の底に封印されました。
そして地の底で力を得て人間ならざるもの、悪魔となりました。そして魔法使いの召還に応じては邪悪な行いをするものでした。
しかしある日、ニガヨモギの騎士団は1人の女に呼び出されました。
女は「子供たちを救って」といいました。女は孤児院の経営者で、孤児院のある街は伝染病に襲われていました。
悪魔ことニガヨモギの騎士団は顔を付き亜併せて困りました。なぜなら悪事をはたらくつもりで呼び出されて数百年、いまや良いことなどできなくなったのです。しかしせっかくだから助けてやりたい。そして協議の末にニガヨモギの騎士団長は女王に謁見するかのように恭しく進み出ました。
「もしもあなたに我が身を犠牲にするお覚悟あるならば、我らは子供たちを助けられます。我らは悪魔の意地でなくて騎士の意地で子供を助けますが、悪魔で長くありすぎたのであなたを犠牲にせざる得ません」
女はためいらいもせずにうなずきました。すると女の身体が巨木となりました。巨木となっても人間が住めるようになっているおかしな木でした。
ニガヨモギの騎士団は子供たちを捕まえると巨木の安全清潔な環境に移しました。そして病害が去るまで子供たちを守り、地の底へ帰りました。

30bothhands:2007/12/30(日) 03:33:44
今は昔、あるところに魔法使いがいた。この魔法使いは自分の身体を鍛えるのが好きで、ミアスカ流脚撃術などの体術を考案していた。あるときふと「逆の方向へ進んだらどうなろう」とおもった。もうろくしていたのかもしれないが、わからない。
そしてこの魔法使いは身体をどんどん削っていき、骨と皮と軟骨と舌だけになった。そしてそんな姿で歩き回ったので気味悪くて思われて重りを括りつけられて川に流された。
骨と皮とあといくつかで生きられるような存在がその程度で死ぬはずもなく、軟骨や筋を食われたものの、何百年かしてから救い出され、知恵のある骸骨として珍重された。
そして博物館に展示されて土日以外は鑑賞される身分になったのだが、魔法使いはこれがいやで仕方がなかった。しかし舌がないので訴え出ることもできない。
魔法使いは世界の終わりに救いを見出して待ったが、来る気配もなかった。

31bothhands:2007/12/30(日) 03:50:18
私が両親を殺したのは頭の中の悪魔のせいだ。逃亡中の私が警官を殺したのもそうだし、この警官から奪った銃で幼稚園児を殺したのも悪魔のせいだ。この頭の中の悪魔さえいなければ、私は悪いことをしないで済んだのにともって私は残り一発の弾にかけて自分の頭へ撃ち込んだ。
拳銃で自殺する人へアドバイス。拳銃の弾は頭が丸くなっている。だから頭蓋骨にぶつかると曲がって逸れてしまう。だから死ににくい。確実に死には拳銃を口にくわえて引き金を引くといい。というのはこの場合は脳幹という呼吸などを司る部位を確実に弾丸が撃ち抜くからだ。
さて私は頭の中から悪魔を追い出した。そして今までやってきた悪行を償おうと考えたが、事情を正直に話すと頭がおかしいとおもわれて、医療刑務所へ送られた。
まあ今まで悪魔がいて、拳銃で吹っ飛ばして追い出したら、今度は予知能力が芽生えたなんていったらそんなものだろう。
で、おれは予知能力で医療刑務所の設備や警備を把握すると、街へ逃げ、密かに犯罪を解決し、隙をついて戻った。
なぜ戻るかってそりゃ、おれは人をころしたものだもの。自分の手で。せめて刑に服さないと。

32bothhands:2007/12/30(日) 04:08:03
親を殺したら少年院に連れて行かれた。少年院で犯されそうになったので殺したら刑務所に連れて行かれた、刑務所で犯されそうになったので、犯してやったら懲罰房へ放り込まれた。そして刑期を終えたらヤクザが出迎えにきて「お前のような奴がほしいんだ」といってきたので、行く相手もないのでうなずいた。つまり鉄砲玉がなれということはわかっている。
おれは鉄砲玉になった。もちろん送る方としては鉄砲玉=帰ってこない、相打ちになって死ぬと考えていることは判っている。だからおれは敵も殺して味方も殺して、その辺りを自分のものとした。
おれは手向かう者は誰彼無く殺した。警官すら殺したし、政治家すら殺した。おれは少年院や刑務所にいたおかげでいかなる方法でも殺すことができた。
おれは夜の街の王者となった。もっとも王者でも9ミリ拳銃一発で死ぬけどな。

33bothhands:2007/12/30(日) 04:13:57
かつて世界の果ては死の国と呼ばれていた。というのはその辺り一帯に広がる沼は燃える性質を持ち、死者を送っていたからだった。あの世という意味で世界の果てといった。
しかし1人の男が砂漠から来る。そしてこの沼地は燃料になるといった。そしてまたたくまに世界の果ては燃料供給地となった。
この世には無限のものなどない。決して。世界の果ての沼地は枯れ果ていた。そしてそれまで沼地のせいで割を食っていた林業などの業者がもう刈り始めた。
砂漠からきた男は沼地の跡地をみてナツメヤシでも植えられないかと考えた。

34bothhands:2007/12/30(日) 04:26:12
目を覚ましたら身体がなかった。身体がないのにものを考えられるのはおかしいので、私は二度寝しようとしたが、できなかった。後進のために忠告しておくが、身体がないということは二度寝ができないということだ。二度寝の快楽を大切にするものは決して身体を失わないこと!
空腹も眠気もないので私は仕方なくあたりをさまよった。身体がないのでどこへでもいけたが、なにもできなくて退屈だった。そのうちに身体が出棺された。そして煙になると同時におれはなんでもできるようになった。骨壺に自分の骨をつまんで入れることすらできた。
そしておれは自由になった。この感覚を広めるためにこうやって口説いているわけだ。どうだい?
身体を失って意志だけになってみないかい?

35bothhands:2007/12/30(日) 04:42:19
ありきたりな通り名に<死神>というものがある。この殺し屋も<死神>と呼ばれていた。殺し屋は死ぬ前に自分が殺し屋になったいきさつを話すのが癖だった。
深夜、波止場の倉庫の中、標的の人物の口に拳銃を入れながら殺し屋は口を開く。
「おれは今でこそ殺し屋だが、昔は金持ちのぼんぼんだったんだぜ。信じられるか?信じなくてもいいが、そうだった。暮らしていた場所は田舎で同い年の友達なんて住み込みのメードの娘だけさ。でさ、いつも一緒に遊んでいたんだけど、ほら男の子と女の子じゃんか。すれ違いがあっておれは男の子の遊びに熱中したのさ。乗馬とかさ、田舎だから狩りだとかにね。女の子は寂しがっていたよ。今になってみれば、おれのことがすきだったのかもね。ほらうなずけよよ、オラ。でさ、女の子はいちいちおれの真似をするわけ。でもおれは彼女の気持ちなんてわかんないくらいガキだったから彼女のことなんか放っておいて危険な遊びに興じるわけさ。馬鹿だね、オトコノコって奴はさ。んでもってある日、女の子は男の子の遊びに興じようとするんだけど、慣れないことはやるもんじゃないよね。落馬したよ。ひどい怪我さ。メードの給料ではなんともならないさ。それでおれは彼女を買ったよ。おれのせいってわかったから妾にしたのさ。おれは半身不随の女を抱いて喜ぶ変態というわけさ。だって仕方ないだろう、おれはガキで彼女を助けてやれるだけの金を用意できなかったんだ。そのくせ両親はおれに女を囲うだけの金を渡すんだ。くそったれ、使うしかないだろ。でおれは金を求めて両親にこび売り、彼女の治療費を求めて、いろんな組織に顔を出したよ。判るだろう、おれは両親を売って彼女の治療費と身の安全を買ったのさ。そして革命の時代が終わったら革命派の使いぱしりで覚えたテロ技術で殺しやさ。さあおれのことは判ったろ。死ね」
銃声が響いた。

36bothhands:2007/12/30(日) 04:54:42
今は昔、魔法使いがいた。この魔法使いは嘘つきだ。いつも「おれは8代前から魔法使いの家柄だ」といった。父親はただの船大工だったのに。
この時代、魔法使いは魔法使いの学院へいって魔法を学ぶことになっていた。この学院の子弟というのはおおむね、魔法使いの親を持っていた。つまりこの嘘つきは虚勢を張っていたというわけだ。もっとも虚勢は弁舌だけであらゆる試験で首位を収めていたが。
やがて嘘つきは力を蓄え、学院の長となった。歴代でもっとも若い長だった。
嘘つきは長をしながら時々、父親の仕事を真似した。船を造って浮かべてみた。嘘つきは魔法の才能はあったが、船を造る才能はなかったらしく、すぐに沈んでしまった。
そのうちに時代が変わった。魔法使いたちは技を磨き、片手間に人助けをすればよい時代は終わった。そのうちに無数の王たちから協力を要請された。嘘つきは古い時代の魔法使いだったので、断りたがったが、若い魔法使いたちは活躍の場を求めたので、仕方なく受け入れた。嘘つきは長の立場を誇りにおもっていた。
そのうちに冥王を名乗る者たちによって戦乱が起こって魔法使いが徴用されるようになった。そして魔法使いたちは死に絶え、学院は荒廃した。これら嘘つきはすべて見た。
そして嘘つきは一艘の船を造ると海へこぎ出した。魔法で風を起こせばいいのにオールを手でやって。

37bothhands:2007/12/30(日) 05:05:56
高い堀が並んでいる。刑務所だ。刑務所の出入口、その片隅に作られた通用門が開いて1人の男が刑務官に付き添われて出てくる。男は刑務官に対して深々と一礼すると刑務所をあとにした。
これを刑務所のそばには差し入れを売る雑貨屋が並んでいる。その脇に止めてあった車のエンジンに火が入り、ゆっくりと出所したばかりの男に迫った。
男を伴走する車のウインドウが開く。顔を出す男。
「おつとめご苦労です、兄貴。迎えに上がりました」
「ああ。そうかい。すまないねえ。でもおれはもう抜けるって決めたん」
男はいうが早いが人差し指をくわえるとかみ切って車に放り込んだ。
そして指のない手を持てあましながら仕事につき、職場の付近で事件が起こるたびに、前科者として警察から職務質問を受け、そのたびに勤め先から首になった。
けれどもやがて理解のある職場に巡り会って貧しいながら普通の人生を送って世を去った。

38bothhands:2007/12/30(日) 06:08:44
第二次世界大戦のころだ。彼はナチスドイツの軍人だった。アーリア人が優性うんねんは難しくてわからなかったが、ジュネーブ協定を守って戦うべきなのは十分理解できた。だから英雄のごとく戦った。
これはもちろん比喩だ。英雄のようには戦えていない。しかし彼は自分を誇らしく思っていた。なぜならジュネーブ協定は遵守していたからだ。寛容を敵に示さねば誇りは詠えまい。
そうやって彼が戦っているうちにナチスドイツは劣勢を強いられて後退した。あるとき彼は民家を徴収した。営舎の代わりにした。そこで自分たちが嫌われていることを知った。そして虐殺に荷担してしまった事も知った。
彼はナチスドイツの正義を疑った。
彼は迷った。そして判った。自分は戦士なのだと。だから敵国の飛行機が襲いかかってきたとき、彼は民間人の非難を優先させた。なぜなら民間人は戦闘で殺されてはいけないからだ。
そのさなか彼は撃たれた。死んでしまったとおもった。
で目覚めると彼は農家の息子になっていた。彼はナチスドイツの一員だったが、ドイツの辺りからきた小作人ということにされて匿われたのだった。
彼は泣いた。

39bothhands:2007/12/30(日) 06:33:19
あるところに研修医がいました。この研修医は研修医生活に嫌気がさして闇医者になりました。堕胎などを主にしていました。彼の施術した女性の幾人かはミスで死にましたが、男たちにとってはむしろ厄介をサービスで排除してくれる医者と受け止められました。
そのうちに1人の白衣の男が現れました。まるで研究者のような男で研究者でした。この男はある秘密結社の一員で生命について研究していました。それで胎児を必要としていたのです。
胎児の処理は少しばかり難しいことです。骨も肉も軟らかいので消しやすくはありましたが、万が一間違ったらあっという間にお縄です。というわけで研修医は受け入れました。
白衣の男は協力を取り付けると組織の技術を一部提供しました。新鮮な商品が欲しかったからです。
そのうちに研修医は母胎から摘出されても必死に生きようとする胎児に心を動かされました。研修医は邪悪な人間でしたが、可愛いものは可愛いと感じる者でした。だから商品の一部を抜き出して育て始めました。
こうして研修医は堕胎医兼人身売買バイヤー兼孤児院の院長となり、やがて組織に裏切りがばれて殺されました。
しかし彼の子供たちは生き延び、誰も彼も幸せに生きました。


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