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竜神信教スレッド

62ダメ巫女と言理の迷子15:2007/09/05(水) 01:13:33

日が暮れ始めた。小高い丘に立ち、地平線近くに見える人家の煙を見つめて居るところに
「竜参属・大潤さまですね?」
後ろから声がかかった。強くはっきりとしたものであったが、紛れも無く老婆の声であった。
「ええ、そうです。聖職者として九柱の創生竜さまに仕えさせて頂いている竜参属・大潤ですが、どうして私の名前を?」
「八位様に伺いました。焔竜の巫女様の話では貴方様は巫女様の命の恩人だそうで……巫女様は
四日ほど前にお目覚めになられたのですが、大潤さまが西に向かわれたと聞いて残念がられておりました。
せめて褒美だけでも受け取ってもらいたいと、こうしてこの私めをおつかわしになられたのです」
二週間も早く出発した壮年の男の足に、四日前に出発した一人きりの老婆が追いつく?
身なりも汚く、馬やその他の足を借りる金があるようにも見えない。
それ以前に九頭竜の巫女はたとえ一般人でなくともそう簡単に会える存在ではない。
それとも正体は老婦の姿をした妖怪・ズーズヤサ(山婆)だとでもいうのか。
ズーズヤサ、あるいはズージャス、個体数はさほど多く無いものの、その生息地は広く、
西方や東亜大陸でも目撃証言がある。その正体は零落した山の女神とも、
心がねじくれた悪魔に永遠の命を与えられた魔女だとも言われている。
女神や魔女に関連付けられることからもわかるように強大な魔力を持つが、
その何よりの特徴は、駿馬をも凌ぐ健脚。目の前の老婆がズーズヤサだとすれば、
自分に追いついたのにも説明がつく。それとも地元の老婆が気まぐれと暇潰しにからかっているのか。
あたりは暗く、彼女の衣も黒ずんでいる。ささくれた髪の毛に隠れて表情もよく見えない。
だがその手に持った袋には逆に光があった。これが褒美のつもりなのだろうが、貨幣や貴金属にしてはやけに赤い。
人か妖かを見極めるため、大潤は相手の出方を待った。
「ではこの袋の中身を受け取ってくれますね?」
老婆があけた袋の口を思わず覗き込むと、そこにあったのは燃え上がり、もがき苦しむ蛇か百足にも似た真っ赤な炎。
なぜか袋自体を焼くことは無いそれには、ヒルかミミズのようなぬめりがあるように見えた。
「これはいったい、なんですか」と聞くと、
「『幸福』だと聞」
老婆が言い終わる前に逃げだした。
(これは……まさか『ツカバネ』!そして大潤のその後!?)
(赤い炎、逃げ出した老婆………続き、考えたくないわ、多分、八位様にはあんまりにも気の毒な結末に成った気がするわ)


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