したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

キュトス71姉妹2

1言理の妖精語りて曰く、:2007/05/05(土) 23:10:54
このスレッドは主としてキュトスの姉妹に関する記述を行う場です。

325言理の妖精語りて曰く、:2008/03/22(土) 00:23:08
サンズの剣道仲間のコバヤシ嬢は今度の県大会で400m走の選抜出場枠に選ばれたらしい。
公式な記録会では毎回何かしらのトラブルで出場できず、このまま無冠で卒業するんじゃないかと半ばマジで心配されていただけに周囲の祝福もひとしおだ。
しかし当人は、何故公式記録を持っていない自分がいきなり抜擢されたのか、腑に落ちない様子だった。

326言理の妖精語りて曰く、:2008/03/22(土) 11:17:06
これはすげえ長いルビだな。素直に「つくすこと」って言ったほうが早いな。

327言理の妖精語りて曰く、:2008/03/22(土) 13:29:56
月(つく)す、っていう動詞なんだよな多分。

尽すの事だと思うけど、何か神話っぽい由来でもあるのか、月に。

328言理の妖精語りて曰く、:2008/03/29(土) 16:18:47
第一の魔女、魔女の中の魔女、ザ・魔女、それがカルル・アルル・アなのだ。

329言理の妖精語りて曰く、:2008/03/29(土) 16:33:12
何しろ彼女の周囲には他に魔女がいないのだ。むべなるかな。

330言理の妖精語りて曰く、:2008/03/29(土) 16:39:27
他に魔女を知らぬ者どもはやがて彼女を「生ける伝説」へとまつりあげた。

331ラプンシエル:2008/03/31(月) 19:09:41
>295
>【ディルトーワ】ラプンツィエラ・ド=ベルラクルラール
その名で呼ばないでッ!!

どうでもいいケド。

332言理の妖精語りて曰く、:2008/04/01(火) 12:09:50
まあまあ、お姫様。

おやつでもドゾー つ◎

333言理の妖精語りて曰く、:2008/04/06(日) 14:10:25
姫様復活記念アゲ。


  _  ∩
( ゚∀゚)彡 姫様!姫様!
 ⊂彡

334言理の妖精語りて曰く、:2008/04/13(日) 16:06:33
http://poti.atbbs.jp/flicker/src/OB1208029143656.jpg


上位排斥魔法『ハルシャニア』

かつて大障壁の彼方に存在したと言うオケアノスの大海を召喚し局地的に大洪水を起こす水の属性の最上位魔法。
大陸最大にして最高峰の魔法機関『星見の塔』の中でも水に関する魔法を極めたものだけが使用を許された禁呪。
この魔法を習得した者は「怒涛の王」という意味を持つハルシャニアの名を冠する事を許され名実共に世界最高の水の使い手として認められるという。
代々ハルシャニアを襲名するものは水の精霊に深く愛されており、成人を迎えると海の中に引きずり込まれて行方知らずになると言う。
これを指して人はハルシャニアに呑まれた、と囁くのだ。

335言理の妖精語りて曰く、:2008/04/15(火) 14:25:28
禍月が出現した後、世界のあらゆる魔に関わるものが狂気に犯された。

魔女達もそれからは逃れられなかったが、辛うじて無事であった二人、何もしないミュリエンティと霧の翼ミストチャイルドは猫騎士マシュシャフの強力を得て禍月出現の元凶である、
逸脱猫レッドレッデルが招聘せし天の三つの災い、失明稲妻 翼持つ猫、吸血雲を打ち倒すための旅に出た。


しかし誤算が存在した。
それは逸脱猫レッドレッデルが、ほかでもないマシュシャフの血を分けた妹であったことだ。

336ラプンシエル:2008/04/22(火) 21:43:25
>>332
あら、ありがとう。もぐもぐこくん。
まぁ、美味しいわ!究極幻想菓子百選のひとつかしら…?

>>333
御機嫌よう。
復活とゆきたいトコロだけど、我が城は今、カレードラゴンの襲撃を受けていますの。
まったく、ティーを楽しむ余裕すらないわ。

あ、ネネバネバネネ、ティーのお替りをちょうだい?


◇ラプンシエル城、陥落…。

337言理の妖精語りて曰く、:2008/04/22(火) 22:42:07
カレードラゴンは専用のカレー番として城に住み着きました。

338言理の妖精語りて曰く、:2008/04/23(水) 13:06:42
ちなみにお供のベルグ=ベアリスはカレー耐性がない為、
毎晩の献立に辟易する羽目になる。

ベルグ「またカレー(辛口)…;;」

言及すると、ベルグ=ベアリスに得意な耐性はない。
全耐性×

339言理の妖精語りて曰く、:2008/04/23(水) 21:36:35
ラプンシエルの片目は魔眼竜バーガンディアの眼。
ラクルラールがティッタン・タッティンと取引し、ディシルキュトスの髭と交換して手に入れた。

340言理の妖精語りて曰く、:2008/07/25(金) 01:21:54
>>327

月(つく)すとは、月(衛星)が惑星の周囲を常に周回している事から、なにかにつかずはなれずはべり続ける様子から月=仕えるという発想が生まれ誕生した語句。

341言理の妖精語りて曰く、:2008/07/27(日) 04:48:20
ノシュトリ、ミブレル、シャーネス。
究極すれば空紀に辿りつける可能性があるのはこのあたりか。

・・・臆病、無情動、避殺主義者、そろってトガッタところがないのは何故だ。お前ら本当に魔女か。

342言理の妖精語りて曰く、:2008/07/27(日) 14:58:10
>>341
こないだシャーネス様がまた人間ボーリングやってました。
しゃーねすさまこわい。

343言理の妖精語りて曰く、:2008/07/29(火) 22:47:39
全員をマゾコンプするのは難しいので若干のノーマルなピンが含まれているらしい。
しかもその若干のピンを当たりとみなして狙い撃ちしてくるという話で
マゾとノーマル間にも不和が広がることになったらしい

344言理の妖精語りて曰く、:2008/07/29(火) 23:32:20
シャーネスの逆ハーレムですか  うらやましいですね

345言理の妖精語りて曰く、:2008/07/30(水) 20:24:28
人間ボーリングを「こわい」、と表現するあたり人間よりの思想だな。
噂をすれば影、とも言うし>>342はノシュトリなのか?

346言理の妖精語りて曰く、:2008/08/02(土) 02:54:38
ヘリステラ「・・・魔界関係の合コンで、兄弟の話題になったから『妹に魔王がいるんですよー』って言ったらそれ以降私に対してだけみんな敬語・・・」
クラシカルハウンド「空気読めよご主人」

347言理の妖精語りて曰く、:2008/08/05(火) 11:48:18
ヘリステラの剣には名前がない。
彼女はそもそも武器に愛着を抱かない。一線級の武器すらも戦況次第で躊躇なく使い捨てる。
銘のある剣を持っていたことも幾度かあったが、そんなのは彼女にとってはどうでもいいことだ。
第一、ヘリステラは剣士ですらない。たまたま今の手持ちで一番いい武器が剣なのでそれを使っているというだけのことだ。
ヘリステラが剣を手放して油断した敵は、今度は彼女の恐るべき格闘術に戦慄することになるだろう。

また、ヘリステラにはこれといって流派というものはない。イングロールも、バイエルンもそうだ。
そもそも流派という考え方自体が、後に続く者に記憶を残さなければならない定命の種族のものであり、死を奪われたキュトスの姉妹にはそんなものは不要なのだ。
例外はただ一人、宵だけである。

348言理の妖精語りて曰く、:2008/08/05(火) 23:18:21
ちなみにこの「無銘の剣を使っている」というのは嘘だ。
長年の使用に耐えうる剣が無銘、などということはまずない。刀匠が名無しであろうとも、使い手が、あるいはその剣を知る者が必ず銘をつける。
なぜかって?
斬り倒された相手の墓に刻むためだ。
剣はただ剣のみには斬れず、人もただ人のみでは斬れず。
人を殺すのは道具と人。
そう、かの剣に裂かれた命の持ち主、その生涯に打たれた石の句点にはこう刻まれるのだ。

「魔人ヘリステラの爪『便所殺し』により此所に永久の眠りを得る」と。

無銘の剣ということにしておこう、と余人が思うのも無理はない。

349言理の妖精語りて曰く、:2008/08/05(火) 23:34:49
武器運用術 〜槍以外の武具・人道逸脱編〜

魔女・ヨイの剣技は今でこそ我流と区分されているが、その根底は東方国アワラに興された流派、『菱伎流』であるとされる。
開祖の菱伎一比良(ひしぎ・ひとひら)は流派として遺すつもりはなかったが、その戦友であり甥の菱伎篤沖(ひしぎ・あつおき)が体系付け、カタナを使用した一対一の対人制圧術として興したと記録されている。
興味深いのは「カタナを使用した」と自ら紹介するにもかかわらず、その基本形にいわゆる三刃「斬・突・撃」が存在しないことである。
「ワザ」以前の基礎修練「カタ」はアワラ周辺に普及する民間格闘術『カラテ』をほぼ踏襲しており、この格闘術の熟達者が次のステップとして門戸を叩くことも少なくないようだ。

以下略

350言理の妖精語りて曰く、:2008/08/06(水) 20:16:05
「殴殺、毒殺、刺殺、縊殺、感電死、転落死、窒息死、と。もう七回も死なされてしまった」
「一日一回のペースですか。今度の妹様は過激ですね」
「成功するまで同じ方法で何度もかかってくるからなあ。魔女狩り養成教育を受けてたせいか結構スジもいいし、末恐ろしいよ」
「初日に花瓶で主人殿を襲った後、拝んで冥福を祈っていましたよ」
「おお、殊勝だな。生きる糧とした者への感謝を心得ているとは感心だ」
「四日目は主人殿をタングステンワイヤーでハンギングした後、念入りに頭蓋と心臓を潰して対吸血鬼用聖句を唱えておりました」
「それで目覚めたらニンニク臭かったのか・・・」
「本日は硬化カーバイトの貯蔵槽に主人殿を突き落とした後、攪拌ブレードを全速稼動させておりました」
「それで目覚めたら肌がカピカピだったのか・・・」
「明日あたりは紀化爆弾の絨毯爆撃などを警戒なさってはいかがでしょう」
「日焼けしそうだな。クリームでも塗っておくか」

351言理の妖精語りて曰く、:2008/08/09(土) 21:25:25
列紀1332年、最初の月期、最初の日期。
魔女に人権が付与された日。
これにより、魔女に対して正当な理由があれば国家など公的機関が「命令」を下すことができるようになった。
その代わり、魔女はそれまでなかった「人間と同等の権利」を得た。

同日、「正当な理由」を根拠に逮捕された魔女は1072名。
三日以内に同根拠で下された実刑判決は995件。
内、923件が死刑、または司法取引による終身刑。
五日以内に全ての逮捕者の審判が完了。
釈放者なし。
公的機関への協力を条件に収監猶予の者、35名。

脱走者、71名。

352言理の妖精語りて曰く、:2008/10/16(木) 21:46:32
『ヤミ』アウロラ
「私は闇の中でしか存在できない。夜明けと共に消え去る私の姿が暁の女神と結び付けられたのはどういう因果か」

353言理の妖精語りて曰く、:2008/12/27(土) 22:21:56
ワレリィの【扉】を通れるのは本人だけ、
ということはいつも生まれたままの姿で
彼女は【扉】を行き来しているということだ。
アメイジングなことではないか。

354言理の妖精語りて曰く、:2008/12/31(水) 14:25:01
服を着たまま生まれたんですね。
実にアメイジング。

355言理の妖精語りて曰く、:2008/12/31(水) 21:33:47
尾村愛蔵。
男が差し出した名刺にはそう記されていた。
所属も連絡先も無し。
受け取ったエンバーディープはとりあえずひっくり返してみたが裏も白紙なだけだった。
しかたないので四文字の漢字を何ともなしに読み上げてみた。
「おむら……あいぞう、さん」
「オソリと読みます。オソリ・クラと申します」
誤読に間髪入れず訂正を入れたオソリは眼鏡のブリッジをくい、と押し上げた。
「本日は面会のお約束を果たしに参りました」
こちらは約束を記した書状です、とスーツの内ポケットから小さなカードも差し出した。
「はあ・・・・・・」
エンバーディープはどうしたものかと考えた。
男がやって来て、名乗り、用件を告げ、その正当性を示す書面も提示した。
普通であれば門番である自分が面会の相手である誰かしらに取り次ぎ、迎えに来させるか案内すべきなのだろう。
だがここは魔女の棲まう塔。
普通の場所ではないのだ。
具体的には「男は進入不可」。

356言理の妖精語りて曰く、:2009/01/01(木) 00:25:30
愛を蓄える処、そんなかわいい名前をしてるんだね!

という感じで変質者に絡まれたことがあるらしい。

要は女の子っぽい。だから白羽の矢がたったのだろう。

357言理の妖精語りて曰く、:2009/01/02(金) 11:01:25
男性は入域できないことを告げると、尾村愛は
「そうですか。では塔外へお出でになるまで待ちます」
とあっさりと辞去した。

358言理の妖精語りて曰く、:2011/04/12(火) 14:07:40
ダーシェンカはウサミミ

359言理の妖精語りて曰く、:2011/04/13(水) 01:08:07
おれとおそろい

360言理の妖精語りて曰く、:2011/04/17(日) 13:44:32
我輩とおそろいなウサシッポ娘はおらぬのか

361言理の妖精語りて曰く、:2011/04/24(日) 04:48:58
ダーシェンカって誰だっけ

362言理の妖精語りて曰く、:2011/04/24(日) 14:48:59
穴掘りフリーク
そのスコップの一撃は歴史を変えるという・・・

363言理の妖精語りて曰く、:2011/04/26(火) 18:11:03
かつん。
握りしめたスコップの柄を伝わって、硬質の音が手の内に響く。
ぱさぱさした土を掘り始めてからどれほどの時間が過ぎただろう、乱雑に盛られた土はその総量すら定かではない。
「そもそも、絶対言語とはその名からして矛盾を起こしています」
乾いた盛り土を足で払いのけて、女は無感情に独りごちた。
「言語とはその体系内での相対的な位置付けにより決定されるものであり、言語という体系それ自体も他の体系と比較されて決定付けられる相対的なものなのです。ゆえに、言語イコール相対的。相対言語と名付ければ同語反復ないし語の含む意味範囲の重複となりましょう。さてそれでは絶対言語とは何か」
掘り出されようとしたモノは、いよいよその輪郭を露わにしようとしていた。
スコップがその外殻を傷付けるのも構わずに、粗雑な手つきで先端が突き出されていく。いずれにせよ、力を込めて掘らなければ土からソレを掘り出すことすら適わないのだ。
「モノの本質を記号によって明らかにしたものが絶対言語でしょうか? 認識や感覚質それ自体を言語化する? しかしそれはイデアやジン、クオリアを絶対的なものであると見なした場合の話です。そしてそれは、外界に目を向けた瞬間否定されるのです。自分にとってのみ絶対的であるものが、他者との関係性において絶対的であることは無い。そして言語とはコミュニケイションツールなのです」
明らかになる。
外殻が、輪郭が、悠久の時を超えて発掘された事により観測に曝されて、
その一端が露わになる。
「そこでわたしは仮定しました。絶対言語とは、自らと意思疎通を行うためのツールではないか、と」
逡巡。スコップを握る手が止まり、所有者がしばしのあいだ思考する。
ここで、掘り進み続けるか否か? このまま掘ることを放棄しても良いし、探求心の赴くまま掘り続けても良い。
選択はスコップの持ち手に委ねられている。
決定はいかにして行われている?
「つまりは、そういうことです。時間の始まりから終わりまで絶え間なく続く「わたし」という無限の他者よ。過去と未来を結ぶ無数の現在に遍在する数多の自己、その総体。自らの差異化」
スコップは、上方へ下方へ、ゆらゆらとゆらいでいる。
「なればこそ、わたしが言えることもあります。絶対言語とは、我々不死者の言語ではないかと。すなわち、個にして多、他者にして一の総体、キュトスの姉妹の、その語られたモノの総体こそが」
そうして、スコップの向きは、慣性と重力を振り切って決定された。
その向きとは・・・・・・。

364言理の妖精語りて曰く、:2011/05/21(土) 18:27:52
例の数式姉妹ってさ、あれ数学的に処理して矛盾というか不成立じゃね、っていう話が前にあったけど、なぞなぞとして処理した人はいなかったよね。
ニヴ=ミゼットのフレーバーテキストが数式で、それを90°回転させるとニヴ=ミゼットのスペルになる、っていう謎かけがあったんだけど、
この姉妹もそういう遊びで解釈できるんじゃないかなあ。

365言理の妖精語りて曰く、:2011/05/21(土) 21:52:59
興味深い視点だね
あるいはもともとそういう遊びだったはずが、数学的進歩で半端に式を展開されてしまい本来の姿と違うものになってしまった、なんてこともあるかも知れないな

366言理の妖精語りて曰く、:2011/07/12(火) 01:58:38
【キュトス語】
主にキュトスの姉妹達が使う言語。姉妹の共通語。生まれつきキュトス語を解する姉妹が多い。
元は紀元神群の中でキュトスが話していた言葉。言い換えるなら、「紀神語キュトス弁が原型である」。
キュトスの姉妹のみで会話をするときに用いられることがあり、防諜に役立っていたとか。

という噂

367言理の妖精語りて曰く、:2011/07/12(火) 02:02:30
元が紀神語なので紀神たちには理解可能な他、
アルセスがこれを聞くとキュトスを思い出してほっこりするとか

368言理の妖精語りて曰く、:2011/07/23(土) 02:09:54
子どもの頃、自分だけの言語を作ったりする遊び、やるよね。
アルセスとキュトスがそういうことをしてたとか考えるとなんかほのぼのする。

369言理の妖精語りて曰く、:2011/07/23(土) 10:03:47
いわゆるアーキ語と呼ばれたこの神族語は
言史交換塔の崩落事故(俗称、ぺれてけんぬるずっこけた事件)に伴って
言語が各国家・文化特有の形へ変質してゆく中も
その影響をなぜかまったく受けずに姉妹間の連絡を助けた。

370言理の妖精語りて曰く、:2011/10/26(水) 18:10:18
ラプンシエル「私、魔女になりたい!」

371言理の妖精語りて曰く、:2011/10/26(水) 18:30:30
いや、そもそもお前さんは魔女だろう…。
*ぺら*
なるほど、これを読んだのか…【魔法少女きゆら】…

372言理の妖精語りて曰く、:2011/11/11(金) 18:27:06
日下部きゆらの絵が見れぬわ!
表示されぬわ!よって見えぬわ!

おのれラプンシエル!またしても!

373言理の妖精語りて曰く、:2011/11/11(金) 23:19:18
暇だったので、ラノベの月刊誌をめくった
パラパラパラリ……人気連載の休載が告知されていた

     【主人公が逃亡を企てたため今週の魔法少女きゆらはお休みします】
【なお、来週の魔法少女きゆらは制裁として
      読者サービスページ110pを追加した過労死級総天然色120pでお送りします】

なにやら人気の的というものには人知れぬ苦労があるのだな、としんみりした
[人情]のステが+1した
[余暇]を3消費した

374ラプンシエル:2011/11/14(月) 17:52:17
へぷしゅ!…ずず…だれかが噂してるの

ふふ、きっと差し替えた私の魔法少女姿の絵を見て、称賛してるの!

あっ、この本も…「まほうしょーじょ、らぷんしえる」っと〆

375言理の妖精語りて曰く、:2011/11/14(月) 18:15:28
ラプンシエルは人形コレクションの中に
「禁断の魔法少女人形」が存在することを思い出すのであった

376言理の妖精語りて曰く、:2011/11/15(火) 01:42:56
たとえ不老不死であろうと、見た目が少女であろうと
三十路四十路の魔法少女は許されない。
数字そのものが生々し過ぎるのだ。
よってラプンシエルには少なくとも二十年、魔法非少女であったという計算になるわけだ。
五十路もアウト?ならば三十年。短いようでそれは長い。

一方「禁断の魔法少女人形」には三十年もの、四十年もの、という時代はあっても
三十路であったこともなければ四十路であったこともない。いわんや五十路をや。
そこでラプンシエルは自身に空いた欠落を埋めるため「禁断の魔法少女人形」を入手し、
自分の体の一部であるかのように愛憎……もとい愛蔵しているのだ。

377言理の妖精語りて曰く、:2011/11/16(水) 22:26:04
そして彼女は人形になった。

378言理の妖精語りて曰く、:2011/11/21(月) 13:00:33
ベルグ「ぷぷぷ、年増……はっ!?
城を揺るがす轟音…そして沈黙…。

ガルラ「おや?ベルグ君の姿が見えませんね…
ラプンシエル「(お茶をすすりながら)さぁ…お星さまにでもなったのではないかしら?

379言理の妖精語りて曰く、:2011/11/21(月) 13:13:19
その魔法少女人形はラクルラールが制作した。
キュトス戦団の長距離爆撃砲として使役されたが、
幾度となく暴走したため、封印された。

ちなみにその魔法少女人形は魔導衣にブルマというヘン…スタイリッシュな出で立ちをしている。

380言理の妖精語りて曰く、:2011/11/24(木) 12:01:17
ガルラ「【魔法少女ケミカルトマト】をデザインしようと思ってもどうすればいいのかわからないのである
    モチーフはトマト。しかしトマトをいじろうにも赤いっゃっゃボディと
    緑色の星みたいなヘタしかないではないか。パイナップルのような
    特徴的なフォルムがあればよかったのに。断面をちりばめるにも限界があるし」
ベルグ「うーん、もうツナギでいいんじゃないかな。農作物→農家→仕事着!
    で、ツナギに頭だけトマトの被り物。中の人は小学生なんだろ、学芸会の仮装っぽくはあるぜ」
ガルラ「んな安直な……魔法少女に見えないじゃないですか。学芸会というよりむしろ
    農産イベントに駆り出されてゆるキャラのコスプレしてる人じゃないですか」
ラクルラール「見…えるよ!」
ガルラ「えっ」
ラクルラール「下にブルマさえ穿けば、小学生だよ!
       魔法を使える+小学生という事実が魔法少女であることをツナギの下から自己主張するんだよ!」
ベルグ「ツナギでブルマを蒸らしたいだけだろ!」
ラクルラール「ちがうよ ぜんぜんちがうよ」

381言理の妖精語りて曰く、:2011/11/25(金) 01:36:17
ラプンシエル「待って!今、ラクルラール姉さまがいいコトおっしゃったわ!
つまり、ブルマさえはけば、ろーにゃくにゃんにょ(※言えてない)、まほーしょー…もがもが…
ガルラ「はいはい、姫様は黙ってましょうね

ネネバネバネネは基本的に喋ることはない。
だが、千年に1度、世界の調和のために口を開くことがある。

ネネバネバネネ「ネネ的にはミニトマトを髪飾りにしたツインテで、服は赤いひらひらのスモックがいいですネ。
後、ランドセル。ブルマにランドセル背負ったら小学生。これがこの世の真実ですネ。
ラクルラール「……
ガルラ「……
ベルグ「……
ラプンシエル「う〜ん……
ネネバネバネネ「……

ラプンシエル「……今…この子…しゃべらなかったかしら…?
ガルラ「…気のせいでしょう…
ネネバネバネネ「……

382言理の妖精語りて曰く、:2016/06/19(日) 05:12:08
キュトス姉妹の次女、イストリンは贈与を司る。

乳を欲するものには乳を、肉を欲するものには肉を分け与える。
そして、その力は、求められれば求められるほど増し、贈与し続ける限り無限に再生・増殖を繰り返すのである。
その姿は、球状の肉塊そのものであり、手足どころか目も耳も鼻も無かった。
贈与以外に欲望というものが存在しない彼女には、そうした器官は必要無かったのである。

しかし、ヘリステラは、そんな彼女の有り様に大層困った。
旅に出て早々に姉妹を見つけられたのは良いが、これでは、連れ歩くどころか会話も出来ない。
それどころか、当時、イストリンの無差別な贈与は、強欲になり始めた人類による争奪の中心となっていたため、関わるだけで争いを招くことになるのも必至だったのだ。
姉妹のどんな有り方も許容し愛する彼女であったが、個人としての経験が浅い当時の能力では、対応に苦慮したのである。
だが、問題はたちどころに解決した。
イストリンは、ヘリステラの悩みに答え、対話と戦闘が出来るもう一人の自分を、分身して産み出したのだ。
強く、速く、贈与を制御して争いを避ける賢さを持つもう一人のイストリン。
これが、ダーシェンカである。
後に、ダーシェンカはイストリンと融合することになるのだが、それはまた、別の物語である。

383言理の妖精語りて曰く、:2016/06/19(日) 05:32:58
イストリンズアルシャニアは、贈与の魔女である。
その身体は、手・足・目・鼻などのパーツが、常に人より多い。
そして、そうしたパーツを気まぐれに他人から奪ったり与えたりするのである。
ゆえに、イストリンズアルシャニアは、肉体的な障害を持つ者からの信仰こそ篤いが、他からは避けられがちである。

一説によると、彼女は交換を繰り返すことよってある種のエネルギーを発生させ、この世界を維持しているという。

384言理の妖精語りて曰く、:2016/06/28(火) 20:07:25
未知なる末妹は、剰余の姉妹である。
未知なる末妹は、どこにでも居る。
山にも、海にも、野や丘や谷にも、あなたの部屋にだって、ちゃんと居るのだ。
ただ、彼女を捕まえることは出来ない。
彼女は、常に「とらえたモノの外側」に逃げるからだ。
あなたが椅子を捕まえれば、椅子の下に。
下を囲めば、上に。
右から回り込めば左に。
全方向から包み込めば、包まれない未知の次元や角度に存在するのだ。

ゆえに、存在しないはずのモノの証明のことを「末妹の証明」と呼ぶ。

385言理の妖精語りて曰く、:2016/07/05(火) 08:47:56
【大怪盗コルセスカ物語】とは、古代遺跡から発掘された当時の通俗小説である。
全九部の作とされているが、まだ4部の半ばまでしか発見されていない。

冒険活劇物であり、その舞台を、万人が扱えた神秘であった魔法が衰退し、魔導機械適性と特許の独占により世界を支配せんとした「魔科学選民」(テクノエリート)が台頭してきた時代、アメイジア期としている。
巨大な片眼鏡をかけた美少女怪盗コルセスカと相棒の万能変形機械鳥アクィラが、古の魔女にまつわる71の美術品を巡り、宿敵である機械皇帝と戦う物語であり、魅力的なキャラクターと奇想天外なストーリー、そして、毎話にわたって披露されるコルセスカの変装と、アクィラの無理がある変形が話題を呼んだ。

71のパーツに分解され、美術品に埋め込まれたというコルセスカの妹と、機械皇帝とは一体いかなる関係にあるのか?
失われたコルセスカの記憶とは?
毎回新たな敵の配下として登場しては、解説役として使い倒される小悪党「若白髪さん」に報われる日は来るのか?
など、最後はともかく、様々な謎と伏線がふんだんに盛り込まれているこの作品の続きが読めるかどうかは、これからの発掘の成否にかかっているのであった。

386言理の妖精語りて曰く、:2016/08/15(月) 21:56:08
キュトスの三女カタルマリーナは、「詮帝砲」なるモノの基礎理論を作ったことがある。
歌に特化している自分の才能を、他の何かに応用出来るかの実験としての製作だったのだが、その実験自体は、それなりに成功を収めた。
完成した「詮帝砲」は、歌とは関係無い兵器であったのだ。

その機能は「カリスマの打撃力変換」であり、使用者の権威を、打撃力に変換して打ち出すことが出来る。設計者のカタルマリーナの意図としては、皇帝や王による暴徒の鎮圧用だったのだが、実際に製作された際には、違った使われ方をした。

ヘリステラが、妹叱責用具として活用したのだ。
対象に、一切の口答えや反撃を許さず、力加減を謝って殺すこともない(死人や意識の無い人間は権威を感じないため、打撃が無効になる)この兵器については、当のカタルマリーナさえ、多少は閉口したという。

387言理の妖精語りて曰く、:2016/09/05(月) 22:00:50
ムランカは、恋の魔女だと語られていたことがある。
彼女は、キュトスの【恋】性を受け継いでいる。
ゆえに、初めて会う者には彼女は、初々しい少女であり、例えようもなく美しく、良く会う者には、艶やかな美女であるのだと。
そして、別れる者の目には、色褪せた醜い老婆のようにも、酷く悲しげな亡霊のようにも映るのだ、と言われていた。

また、ムランカは、恋そのものであり、終わることはあっても、死ぬことは無いとさえ謳われていたのだ。

388言理の妖精語りて曰く、:2016/09/11(日) 13:10:07
一方、その当時噂の当人はどうしていたかと言えば…………道に迷っていた。
さらに、そこで通りがかった少年に、猫なで声で道を聞いたまでは良かったのだが、本気で怯えて逃げられてしまって、涙目になっていた。

現実など、こんなものである。

389言理の妖精語りて曰く、:2016/09/15(木) 18:28:55
ある遺跡から発見された古文書の断片、その解読文

『〜よいこのゆらぎ10月号付録・大怪盗コルセスカの秘密〜
(だいかいとう こるせすかのひみつ)』
コルセスカの愉快な仲間たち
(こるせすかのゆかいななかまたち)

※以下、一部を除き、振り仮名は省略させていただきます
○コルセスカ
美少女大怪盗を名乗る謎の少女。
記憶を無くして、万能機械鳥・アクィラだけを持っているところを発見されたんだ。
変装と家宅侵入が得意だよ!
普段は「ルウテト」のペンネームで、自分の活躍を新聞小説に書いているんだ!怪盗では、ご飯が食べられないからね!


必殺技は【新製魔女魔術・奏甲拳技(ミームスチーム・ウィッチバリツ)】
「魔女秘宝(ウィッチ・アート)」に遺された思いを読み取り、力を参照することで「古代魔女魔術(ウィッチ・アーツ)」を再現するんだ!
記憶喪失で、自分の魔女魔術が使えないコルセスカが使える、唯一にして千変万化の魔術だよ!
使うには、相棒のアクィラの協力が必要なんだ!
更に、24話で少し記憶を思い出して「再解釈(アナザー・アトリビュート)」という応用技も使えるようになったんだ!

超必殺技は、過剰魔蒸気排熱撃(ミームスチーム・オーバーヒート)
普段のコルセスカは、記憶が無いから、いつもぼんやり。
ゲームの時以外は、布団にくるまって、ごろごろしてばかりなんだ。
しかし、仲間たちから思いを受けとって、自己を確かにすれば、とっても熱くなれるんだよ!
そして、その思いが限界を超えるほど蓄積すると、オーバーヒートしてすごい魔術が使えるんだ!
でも、「古代魔女魔術(ウィッチ・アーツ)」の超必殺技を使うには「魔女秘宝(ウィッチ・アート)」に秘められた歴史「魔女物語」をコルセスカが体験しないと駄目なんだ。
時には、過去の世界で古代魔女と戦うこともあるよ!
超々必殺技:???
コルセスカには、まだまだ秘密がいっぱい!
みんな、これからもコルセスカを応援してね!


・■■■(虫食いで読むことが出来ない)
コルセスカ第一の仲間にして、親友。
コルセスカ大好きで、いつもコルセスカの後をつけてるよ!
元バウンティ・ハンターで、その魔蒸気ボウガンは百発百中の腕前なんだ!

・■■■(虫食いで以下略)
コルセスカ第二の仲間。
元市警で、コルセスカのライバルだったんだ。
市警一族としての洗脳的な英才教育を受けたせいで、時折、言うことを聞かないカタブツになっちゃうよ。
特技は、伝家の宝刀の秘技「ザンテツ・チョップ」
十二階建ての高層ビルをも一撃で両断するけど、何故か、コンニャクは斬れないんだ。
ちなみに、このポジションは、イケメンアイドルの踊り子に、ジャンケンで勝って手に入れたらしいよ!

・相補探偵ワトソン姉妹
妹のような姉シャーロック・L・フィレクティ・ワトソンと、姉のような妹ホームズ・B・セレクティ・ワトソンの姉妹。
コルセスカの現ライバルであり、自分たちを含めて19人の名探偵を率いる「名探偵総督」だよ。
ベーカリー・ストリートから、機械皇帝に呼ばれて来たんだ。
ボケとツッコミどっちも出来る、とっても恐ろしいコンビなんだ!

必殺技は、コルセスカと同じ「バリツ」
こっちは、不思議な煙を吸い込んで、妖精さんが見えるようになるんだ!
いつもパイプを持ち歩いているわけだね!

二人は、コルセスカの必殺技の参照元だけど、実はオリジナルじゃないんだ。
バリツは、倭国から来た猫好きの留学生、ナツメ・キンノスケから習った技を、二人が英国面アレンジして生まれたんだ!

390言理の妖精語りて曰く、:2016/09/20(火) 14:44:44
『ゆらぎ71分署』とは、パンゲオンTV系列において、毎週土曜日午後七時から放映している連続TVドラマである。
企画時の名称は「警視庁現代犯罪係」

このドラマの出演者は、スポンサーの関係上、大半がアイドルグループ「キュトス71」のメンバーによって占められている。

○STORY
今より少し先の未来、世界的な大恐慌とユーラシア大陸東部の文明崩壊により、日本は「大犯罪時代」と呼ばれる時代を迎えていた。時の国会は、それに対抗するため「特例警察官制度」を制定。
「新岡っ引き制」と呼ばれるこの制度は、多様で特殊な専門家たちに限定的な捜査権を与えることによる、逮捕率と治安の改善を目論んだものであった。

この物語の舞台は、そんな時代の混乱によって、超科学、オカルト、宇宙人、古代文明など様々なものがごちゃ混ぜとなった街「混沌都市・ゆらぎ市」
これは、ゆらぎ市の平和を守る、個性豊かな姉妹刑事たちの活躍を描いた、スーパー刑事ドラマである!

391言理の妖精語りて曰く、:2016/09/29(木) 19:21:46
○ゆらぎ署刑事ファイル
刑事No.001
【過労刑事】ミュリエンティ
別名【働き者のミュリエンティ】
聖キュトス孤児院出身の刑事姉妹「キュトス・シスターズ」で、最も有名な刑事。
しかし、その実態は、ただ怠けたいだけの女である。
だが「大犯罪時代」と呼ばれるこの時代において、ただ怠けることは、災厄の招来と死を意味していた。
よって彼女は、あらゆる存在の力を借りるだけでなく、全知全能を尽くして働き続けなければならないのだ!
そう、彼女は、いわゆる「有能な怠け者」であった。

一般的に、刑事としての彼女の特技は、その無限を思わせる活力と行動力だと思われている。
もちろん、それも間違いではない。
しかし、真に彼女の特技と言えるのは、その「マネージメント力」である。
ドラッカーの全著書を、15歳の時に読破し、それを批判する論文を書き上げた彼女は、姉妹の誰よりも「人を使う」ことに長けていたのだ。
それは、彼女が女子高生時代、野球部を始めとした複数の部活のマネージャーを兼任し、全ての部活を全国優勝に導いたエピソードからも明らかである。
(ちなみに、実はマネージメントで浮かせた部費の横領が目的で、兼任をしていた。結局、どの部活でも事件が発生して横領は出来なかったが)

そんな彼女だが、その魅力は、それだけに留まらない。
『ゆらぎ78分署』では、毎回、彼女の魅力的なエピソードが描かれるのだ。
例えば、1stシーズンにおける女子校への潜入を皮切りに、ミュリエンティは、ほぼ毎回、コスプレをしている。
ナース、スチュワーデス、アイドル、レースクイーン。
本職の警察官が、一番コスプレっぽいというのは、彼女にとっての禁句である。

更に、彼女は、目指す「怠惰な生活」のために、結婚という永久就職を密かに模索してもいるのだ。
2ndシーズン最終回では、お見合いを断ってしまったが、その志は、未だ費えていないらしい。
近いうちに、必ずゆらぎ市の治安を安定化させて、寿退職するというのが、最近の彼女の口癖である。

なお、『ゆらぎ71分署』は、3rdシーズンの放映が決定した。
ゆらぎ市の犯罪とドラマの人気が絶えない限り、彼女の犯罪捜査に終わりは無い。
戦え、ミュリエンティ、ゆらぎ市に平和が戻るその日まで!

392言理の妖精語りて曰く、:2016/10/03(月) 18:00:06
暴君で知られる呪祖レストロオセは、実のところ、ただのヒモ男であった。
しかし、同時に、このヒモ男は、史上最強のヒモ男でもあった。
魔女コルセスカが、彼に全てを捧げていたからだ。

彼の覇道は、留まることを知らず、その暴政はあらゆるものを食い尽くすかに思えた。

しかし、虐げられた人々は、彼を倒さんと立ち上がり、圧倒的な戦力差にも関わらず、彼らに立ち向かい続けた。
レストロオセは、当初はそんな人々を嘲笑っていたが、ある時気づいた。
自分には、到底そんなことは出来ないことに。

彼は、臆病者であった。
自分より強い者に立ち向かったり、失敗するかもしれないことに挑戦することなど出来なかった。
そんなことは、考えることすら嫌だった。
最初は、少し嫌なだけだった。
しかし、嫌なことを避け続けるうちに、嫌気はどんどん増していき、苦手意識は、絶対の制約となって彼を拘束するようになっていたのだ。

恐怖に負けることが無い人々を恐れ、レストロオセは逃げ出した。
恐れをなして、自分の城の中へと閉じ籠ったのだ。

閉ざされた城の中、レストロオセは、氷の魔女コルセスカに抱き締められながら、小さな子どものように震えていた。
パキパキ、パキパキと、コルセスカの放つ冷気によって、自分の身体が凍りつく音を聞きながら。
コルセスカは、決して、レストロオセが嫌がることを強制しない。
だから、レストロオセが一言、離れろと言いさえすれば、彼の凍結は止まるだろう。
あるいは、何も言わず、ただ彼女から身を離すだけでも。
しかし、彼には、そうすることが出来なかった。
外には、自分を嫌い、傷つけようとするモノたちが沢山居て、あまりに恐ろしかったから。
自分が凍りついて死んでいく恐怖より、悪意と傷に満ちた外界への恐怖が勝っていたのだ。

レストロオセは、もう何も見ていなかった。
自分を抱き抱え、無償の愛を注ぐコルセスカさえ、もう見てはいなかった。
彼はただ、己の抱える恐怖だけを見続けていたのだ。

こうして、最強の男は死んだ。
彼の城は、そのまま彼の墓となったという。
そして今でも、寒い日には、廃墟となったその城から、風に混じって恐怖に泣き叫ぶ彼の声が、聞こえて来るのだそうだ。
そう、こんな日には。

393言理の妖精語りて曰く、:2016/10/10(月) 21:26:38
エンバーディープとは、魔蒸気文明の姉妹である。
それは、ある意味、阿女伊遅阿という時代そのものと言える。

394言理の妖精語りて曰く、:2016/10/13(木) 07:13:12
【魔蒸気】
冷めにくい

395言理の妖精語りて曰く、:2016/10/14(金) 08:01:30
エンバーディープは、【魔蒸気ポット】である。
彼女は、人間の思念を【魔蒸気】というエネルギーに変換することが出来る。
【魔蒸気】は、半ば物質化した思念なので、さめにくいものであり、保存に適しているのだ。

396言理の妖精語りて曰く、:2016/10/16(日) 19:00:14
コルセスカとは、鏡の迷宮である。
そこに踏み入る者は、己を見失うとも、逆に見いだすとも言われている。

水晶の城の中にあるその迷宮は、チャカ大陸大密林のどこかに存在するらしい。

397言理の妖精語りて曰く、:2016/10/24(月) 19:33:45
ラリスキャニアは、【マロゾロンド・ランド】のオーナー兼マスコットキャラクターである。

彼女は、自分の遊園地を作りたかった。
どうしても、どうしても、作りたかった。
日本での出稼ぎ時代、同僚から譲られたチケットで、千葉のネズミ王国を訪れて以来、それが彼女の夢であった。

10年の厳しい修行と勉学によって、彼女は、確かに自分の遊園地を作り上げることが出来た。
祖国に建てた彼女の遊園地には、何でもあった。
ジェットコースターも、観覧車も、大きな土産物店や素敵なカフェもあった。
アトラクションの量も、質も、他には負けていなかった。

だが、そこには、たった一つだけ、大切なものが無かった。
「オリジナリティ」である。
改造獣人による電撃金網パレード、魔法科高校の動く絵画「不死身のお兄様(ゴースト)」 国からの払い下げ術で作った海上施設「マロゾロンド・シー」 鍛え上げられた矮人症の雑技団が、ミニチュア模型世界で繰り広げるスモールワールド・ショー…………。
ラリスキャニアの遊園地におけるアトラクションやイベントは、みな、どこかで見たようなものばかりだったのだ。
自らマスコットキャラクターとなり、遊園地を盛り上げたは良いものの、ラリスキャニアは、己の限界を感じていた。

その時、思い悩むラリスキャニアの耳に、室外からのどよめきが届いた。
驚きと戸惑い、喜び、そして恐怖。
それは、開園以来、彼女が一度も耳にしたことが無いような大きな歓声に思えた。

ラリスキャニアは、検分中だった新ランドマーク用の模型(部下が献上したライバル用ロボの模型・蛇足なことに足がある。要らないって言ってるのに)を放り出し、すぐさま園長室の外へ出た。

そこで彼女が目にしたものは、爆発だった。
爆発、爆発、爆発。
観覧車が、コーヒーカップが、スタッフのお姉さんのミニスカートが、本物よりスタイルが良いラリスキャニアきぐるみが、次々と爆発していた。

イベントスケジュールに全く記載が無い爆発が、彼女の遊園地で盛大に巻き起こっていたのだ。

長年の鍛練によって、即座に冷静さを取り戻したラリスキャニアは、客を避難させながら、爆発の原因を調べた。
彼女自身の入念なチェックによって、完璧に安全が保証されたはずの遊園地に、なぜこんなトラブルが発生してしまったのか?
原因を究明しても、彼女の遊園地が築き上げた評判と客は戻ってこないだろう。
しかし、ラリスキャニアは、どうしても、爆発の原因を追及せずにはいられなかった。

原因の究明には、長い時間がかかった。
だが、様々なコネやツテ、そしてラリスキャニアが身に付けていた多様な技能により、ついに爆発の謎は解かれたのだ。
ラリスキャニアの遊園地を襲った謎の爆発。
その原因は、ネジだった。
どんな違法な製法をしたのかは、不明だし興味もあまり無いが、彼女の国の工場が作ったネジが、爆発の原因だった。
そして、そのネジの欠陥には、とてつもなく酷い背景があった。

収賄である。
ラリスキャニアの祖国が、収賄大国であることは、周知の事実だった。
だが、それがついに行き着くところまでいってしまったのだ。
誰もが誰もに賄賂を贈り、互いに互いの手抜きを見逃す。
それがついに、あらゆる機械や製品の品質を、最悪にまで悪化させていたのだ。
その現れが、ネジであり、あの爆発だったのだ。

真実を知ったラリスキャニアは、踏み潰した。
遊園地事故の被害を、軽微に抑えたことを讃え、国から贈られた勲章を。

それが、祖国の新たな革命の始まりであることを、彼女とその勲章だけが、知っていたのだった。

398言理の妖精語りて曰く、:2016/10/25(火) 21:41:58
ミストチャイルド機関とは、空気を感知する事が出来る機械装置である。

399言理の妖精語りて曰く、:2016/10/26(水) 02:58:44
この装置を姉妹の周囲に向けるとそこの空気はある反応を示す。
ケートスのごとくに凝固しかけた大気のカタチが浮かび上がるのだ。
この事実を知り「キュトス」とは「ケートス」がなまったものであることを私は確信した。実際音が酷似している。
ためしに「キュトス」と早口で二十回ぐらい繰り返してみてほしい。そのうちの一回はケートスになるはずだ。

ほらね

キュトスの姉妹、すなわちケートスの姉妹というわけだ。

400言理の妖精語りて曰く、:2016/10/26(水) 20:55:25
ところで、ケートスは、菜食主義であるにも関わらず、無理矢理デブの生け贄を捧げられた、可哀想な怪物として有名である。

しかし、実は、その正体は、巷で言われているような海獣では無い。
ケートスは、獣ではなく竜、海竜なのだ。
ケートスは、後神代を生き延びた海竜の末裔であり、同時に【紀】に達した竜、すなわち【紀竜】でもある。

そう、【キュトスの姉妹】が71人を数えるというのも、これで納得がいくだろう。

彼女たちは、卵生なのだ。

401言理の妖精語りて曰く、:2016/10/27(木) 22:46:01
アベンロークとは、魔法の小物店である。
扱う商品は、陶器で出来た動物の置物ばかりであり、どれも文机や、マントルピースに飾れる程度の大きさである。

注意すべき点としては、この店の置物は、全て生きており、自分の意志を持つということだ。
そして、置物達は、蹲っている待機状態から動き出すと人間形態へと変化するが、この時も油断は禁物である。
形態が変化しても、その戦闘能力は、置物の元になった動物と大差無いからだ。特に、一見可愛らしいパンダやシャチ、カバやチンパンジーなどには要注意である。

402言理の妖精語りて曰く、:2016/10/28(金) 07:44:01
ホルケナウは、のそのそと移動する。

「移動する畑」についての噂は、かなりの昔から存在するが、その大半はホルケナウの目撃情報である。

しかし、ホルケナウは、ただ単に移動するだけではなく、移動した時の迷惑料として、何かを残していくこともある。
そんなところは、流石はキュトスの姉妹と讃えるべきであろうか。

ちなみに、残していくものの種類は、果物や香水などから高級食器や家具まで多岐に渡るらしい。
そのため、これは、魔女たちによるホルケナウ特産品の巧妙な宣伝であり、そうした品々は単なる試供品に過ぎない、とする者もいる。

真相は、不明である。

403言理の妖精語りて曰く、:2016/10/29(土) 22:11:32
【フィラルディア】とは、“不均衡な均衡都市”である。

それは、巨大な谷の中央にある岩山の上で、常に危ういバランスを取り続ける建築物であった。
驚くべきことに、その建物に、一つの都市が丸ごと一つ収まっているのである。
都市は、一つの岩山で一定期間、均衡を保ちながら回転を続けるが、その均衡は、長くは続かない。
やがて、都市はバランスを崩す。
そして、その不均衡の力を借りて、新たな岩山へと跳躍するのだ。
フィラルディアとは、動き続け、移動する建築物なのである。

この都市を、誰が何の目的で作ったのかは、未だに不明である。
しかし「移動する」というこの特性は、大変便利であった。
この都市の移動範囲である谷では、フィラルディアは、交易の場として、日々活用されている。

404言理の妖精語りて曰く、:2016/11/01(火) 18:01:33
アベンロークとは【動物通り】の別名である。
この通りに存在はすべて、人間種以外の動物の姿に見えるようになるのである。

405言理の妖精語りて曰く、:2016/11/01(火) 18:45:14
コルセスカとは、【重層界(ラメラスケイプ)】である。

それは、無数の「レイヤー」あるいは「ホログラム」が重なりあって生じる「立体幻像(ホログラフィー)」であると同時に、それら全てを含んだ存在である。

重なり合わさる重層は、また「重奏」でもある。
つまり、彼女は、響き渡り、相互に干渉し合う無数の波形によって形成され続ける波の世界そのものであるとも言えるのだ。

コルセスカは、一つ一つの波の変化を、ダイレクト受けて無限にゆらぎ続ける幻像であり、それら全ての波の総和をも超えた、それ以上のナニカである。

それが【重層界】であり、コルセスカである。

コルセスカという一つの幻像が静止する時があるとすれば、それは、幻像に対応する全ての世界が静止する時であろう。

その時、時間は停まるのだ。

406言理の妖精語りて曰く、:2016/11/06(日) 07:29:51
コルセスカは、「凍てつく瞳」を持つといわれるカメラマンである。

接触可能なホログラフィー・カメラである【色即是空】を用いる彼女の写真には、被写体の魂が凝縮されている。
しかし

「美少年を撮っている時は、美少年の気持ちになるのです!」

と、美少年を激写したのは良いが

「撮影中の私は美少年だから、いくら美少年を撮っても罪にはなりません」

という言い訳が通じず、美少年の保護者に訴えられ、カメラとフォトデータを没収されてしまった。

仕方ないので、カメラをレッドドワーフ社の【エース・リマー】(スター・トレッカー社のライセンス契約商品)に持ち変え、彼女は、新たな被写体を求めるのであった!
そう、彼女が新たに目指す被写体は、地下アイドル!有名なカメラマンである正体を隠すため、マスク・帽子・サングラスで完全武装した彼女は、あえて撮影禁止の地下アイドルのライブ会場に潜入したのだ!

全ては、最高の写真を撮るために!
そして、師匠である戦場カメラマン、スマダルツォンの【死の写真】に打ち勝つために!
戦え、コルセスカ!
一番良い位置(ローアングル)から、地下にアイドルを激写するのだ!

407言理の妖精語りて曰く、:2016/11/11(金) 17:34:46
・手のひら魔女とわたし

うちのお風呂には、魔女がいる。
名前は、ダーシェンカ。
玉のように丸い魔女だ。
魔女といっても、彼女は、とてもちいさい。
両手を思いきり広げても、私の手のひらからはみ出さないくらい、ちいさいのだ。

彼女と私が出会ったのには、大した理由はない。
この間、同僚から教わったおまじないを試していたら、偶然彼女が現れたのだ。
後から聞いたところ、この召喚は、彼女にとっても偶然だったらしい。
私は、おまじないに必要とされる「小さくて貴重なもの」に、たまたまあったお風呂の高級入浴剤を用いたのだが、ダーシェンカも、その時、たまたまそれを必要としていたのだ。
なんでも異世界から来た害獣だという【煉獄の獣マカリスタ】なるイキモノを追い払うのに、同じく異世界の芳香が必要だったらしい。
【マカリスタ】は、幾多の騎士や英雄をもってしても、追い払うことが出来ないやっかいものだったから、嫌われものの【キュトスの魔女】である、ダーシェンカがこれを退治したのは、画期的なことであり、歴史的な出来事のだそうだ。

まあ、それは良かったのだが、当然、マモノ退治に使われた私の入浴剤は、返ってこなかった。

そのあと、なんだかんだ色々とあって、うちのお風呂には魔女が住み着くことになった。
だけど、まあ、その話は、また別の機会にするとしよう。

408言理の妖精語りて曰く、:2016/11/24(木) 07:15:19
コルセスカは「氷の手」を持つと言われる名医である

409言理の妖精語りて曰く、:2016/12/01(木) 18:16:19
イングロールの瞳は、金剛石の鏡張りである。
彼女の瞳は、自衛隊のスーパーな兵器のように、怪獣王の放射能火炎すら、弾き返すのだ。

410言理の妖精語りて曰く、:2016/12/18(日) 19:07:17
イングロールは、魔法の眼鏡置きである。
彼女に置くと、あらゆる眼鏡に魔法が宿るのだ。

411言理の妖精語りて曰く、:2016/12/20(火) 12:27:34
コルセスカは、アングラバンド〈ビッチーズ〉の新メンバーである。
ポジションは、DTMによる演奏および電子歌唱全般。

22世紀初頭、勝者と敗者の格差は、より明確なものとなった。
モラルは、奴隷と服従を正当化するだけのルールに成り下がり、人々は、インモラルな行為や、それを正当化する芸術を求めていた。
言い換えるなら、反体制活動に見出だせない希望を音楽に見出だすようになったのだ。
「ビッチーズ」とは、そんな時代に誕生した、究極にナンセンスでインモラルなバンドであった。

カタルマリーナが結婚と共に引退し(「裏切り者のヤツは、男と一緒に食っちまったよ!ぐつぐつシチューで煮てな!」がバンドリーダーであるクレアノーズの公式見解である。なお、ネット上に流出した「クレアノーズが涙ながらに結婚を祝う写真」のデータは、撮影者と共に、即日行方不明となった。)
新たに「ビッチーズ」のメンバーとして参入したのが、コルセスカであった。

なお、トークとステージパフォーマンス(主に破壊行為)エアギターが中心であるこのバンドにおいて、彼女だけが、唯一の音楽演奏者である。

412言理の妖精語りて曰く、:2016/12/31(土) 22:47:19
【星見の塔】では、毎年、年末になると、やり残しを抱える人々が押し寄せる。
それは、キュトスの姉妹の一人【ティリカ】の持つ大鍋の中に飛び込めば、今年やり残したことや、叶わなかった願いが成就する、という伝承が広まっているためだ。
もちろん【ティリカ】が、姉妹一人間に優しくて、大鍋の底にクッションを敷き詰めてくれることも、その伝承には含まれている。

ただ、一昨年から【クレアノーズ】が、大鍋に飛び込む者に、一つ条件をつけた。
飛び込むためには、やり残したことを、大声で叫ばねばならなくなったのだ。
このために、このような行いに出る者の数は、大きく減少したが、その代わりに年末の【星見の塔】は、大層うるさくなったという。

413言理の妖精語りて曰く、:2017/01/05(木) 19:07:51
夢を見ていた。
それは、痛み。
目が覚めても、薄れゆく記憶の底に残り続ける。
淡雪のような、そんな痛みの夢だった。




空から、手紙が降ってきた
それは、無数の小さな結晶
ふわり、ふうわりと降り積もり
硝子の花に、当たって砕けた

気づけば、そこは硝子の花畑
ネクタイに背広、コートにハンドバッグ、ミニスカートにランドセル
そして、変てこな鉄の棒を持った、モノクロまだらのヘルメットたち
かつては動き回っていたたくさんのものたちが、花に覆われて止まっていた

ここは、終末
どんづまり

少女は、ひとり、終末を行く
硝子の花を、かき分けながら

少女は、ひとり、街を行く
野を行き、川越え、海渡る
けれども、少女がどこまで行っても
生きたひとには、だれにも会えない

少女の名前は、コルセスカ
その名も高き、終焉の魔女
彼女が来れば、世界が終わる
それが、世界の理だった


ふと、少女は、歩みを止めた
ぐさり、と少女に、何かが刺さった
それは、ちいさな刃物だった
刃物を握る手も、ちいさかった
ちいさなおとこのこが、もっとちいさなおんなのこを背負って、そこにいた。
そして、おんなのこは、もうすっかり花になっていた
おとこのこも、ナイフもつ手から凍りつき
硝子の花に包まれ死んだ

それでも、コルセスカは、死ななかった
ついた傷も、見る間に治った
だって、彼女は、終末の化身
幾多の大人が、英雄が、偉い人が、魔法使いが、救世主が、彼女を消そうとした
けれど、みんなみんな無駄だった
彼女は、終わりの霜柱
世界の終わりを告げるもの
終わりあるかぎり、彼女はある
いくら霜柱を踏み潰しても、終わりの冬は、止まらない

少女は、ふと、花を見た
すこし前まで、おとこのこと、おんなのこだった花を

少女は、花に自分を見た
硝子の花弁は、それぞれ鏡
百の花には、十の花弁
万の花には、十万の花弁
千万の花には、億の花弁
そして、すべてが少女を映す鏡だった

ここは、こんなにも花盛り
なのに、けっして、春は来ない
鏡の向こうは、一面の少女
けれども、コルセスカに触れられる子は、だれも、いない

少女と鏡の向こうを繋ぐものが、ここにはないのだ

そして、少女は、世界を去りゆく時が来たことを知った

こうして、世界が、また一つ滅んだのだ



「…………で、それが厨房に忍び込んで、夕食のスープにチリソースを大量に入れた言い訳ですか?」
ヘリステラは、静かに、そう尋ねた。

ここは【星見の塔】
強大なる力を持つ女神の欠片、偉大なる魔女【キュトスの姉妹】たちの住まいである。
ここでは、日夜、魔術の研究が行われ、深遠で広大無辺な叡智を持つ魔女たちが、未来を占い、世界の行く末を語り合っている…………そのはずだった。
しかし、今、コルセスカたちが居る塔の台所には、そんな気配は全く無かった。
それどころか、本来は、なかなか一堂に会することの無い高位の魔女たちが、皆一様に深刻な顔をして集まっていた。
今日は、二か月に一度の『会食日』
【キュトスの長姉】ヘリステラが、姉妹を集め、自らの手料理を振る舞うという姉妹にとって、重要な日だ。
多様な個性や、思想を持つ【キュトスの姉妹】たちは、互いに敵対したり、争うことも多い。
しかし、どんな姉妹も、この『会食日』にだけは、この【星見の塔】に集まるのだ。
『会食日』とは姉妹たちにとって、それほど重要な機会であり、祭日であった。

しかし…………その平穏は、たった一人の妹のために破られた。
こんなことは、前代未聞であった。
たった一人の少女の愚行のために【星見の塔】の台所は、香辛料の刺激臭に溢れ【長姉】ヘリステラの用意した『クリームシチュー』は、地獄のように赤く染まっていた。
それは、断じて『クリームシチュー』などではなかった。
それはまさに、辛さの極致、激辛地獄そのものであった。

414言理の妖精語りて曰く、:2017/01/12(木) 18:40:58
ルスクォミーズは流行のものが好き
斧が一番得意なのに、100鬼狩りの際に流行りの刀で鬼と戦ったり
流行りの建築様式だからと、白百合宮を勝手に増築したりした
意外と誰かに影響されやすいのかもしれない

415言理の妖精語りて曰く、:2017/01/16(月) 22:01:46
ウィリア・アムプレスは、絵画の魔女である。
その実態は【猫の国】から紛れ込んだ魔法の絵の具【ドリアン=グレイの絵の具】によって描かれた特殊な「九相図」
つまりウィリア・アムプレスは「死んでいく不死者」の絵画である。

描いた画家は、生の空しさを描きたかったらしいが、当のウィリア・アムプレスは逆に、絵の完成と同時に不死の魔女となった。
死者の絵は、あくまで絵であって、死者そのものではない。
生命の儚さ、腐敗の過程を描いた絵は、描かれることによって、それを永遠のものとしてしまったのだ。

416言理の妖精語りて曰く、:2017/01/21(土) 22:25:34
【ラクルラール】には、様々な「相」があり、それは【糸】を基本として三つの側面にまとめることが出来る。
その側面とは、物質的な【糸】関係性の【運命】そして、空間と世界の認識である【迷宮】である。

これらの三側面は、完全に独立したものではない。
しかし、彼女の多様な権能と役割を把握するには、現在のところ最適の分類ではないだろうか?

なお、各側面からは、それぞれ更なる意味や、役割が派生している。
【糸】からは、自らを犠牲にして恵みをもたらす「蚕」
高度な工業製品の製作者にして、技術の伝承者「職人」
そして、糸そのものである「糸製品」

【運命】からは恋愛や友愛、商売繁盛を司る面として「縁結び・縁切り」
関係性や社会に支配される者としての「操り人形」
そして、人間に用意される関係性自体を表す概念としての「天命」

【迷宮】からは、有名な、ある迷宮における怪物退治の逸話から「助力の姫」「帰らずの迷宮」「探索者・登山者・潜航者」の三つの面が、それぞれ派生した。

417言理の妖精語りて曰く、:2017/01/21(土) 23:24:17
ラクルラールの側面のひとつ【迷宮】は「自我の位置付け」とも解釈することが出来る。

自らの意志を持たない者や先へ進もうとしない者、すなわち、迷いが発生する余地が無い者には、迷宮は存在しない。
【迷宮】とは、関係性の制約を振り切り、己の意志で「出口」を求める者にとってのみ、意味のある概念なのだ。
現状に安住するもの、絶望や諦観に支配された者には【迷宮】は存在しない。
彼らには、そもそも脱出という概念が無いのだから。外部を必要としない者は、閉じ込められることさえ出来ないのだ。

それは、幸いなことなのだろうか?
【迷宮】に迷うことが無い、自我の「外」あるいは「出口」を想像し、希求することがないということは。

418言理の妖精語りて曰く、:2017/01/24(火) 03:23:21
そう、遠方から来た姉妹を迎えるために、ヘリステラが台所を離れたわずかな間にその惨劇は起こった。
犯人は、設置されていた幾多の術式網と罠をくぐり抜け、見事に犯行を成し遂げてみせたのだ。
こうして『赤い地獄』は、産まれた。

しかし、その鮮やかな手並みにも関わらず、犯人は捜査の手をまぬがれることは出来なかった。
なにしろ、今の【星見の塔】には、現状判明している全ての【キュトスの姉妹】が集結しているのだ。
あえて使用されないものを含めた約六十九もの手法から、逃れられるものなど存在するわけがない。

見事、惨劇の犯人を見つけ出したヘリステラは、彼女、すなわち【凍結の魔女コルセスカ】を捕縛。
略式だが、魔女審判にかけ、犯行に及んだ事情を聞き出すことにしたのだ。
だが、捕縛されたコルセスカは、なぜか、とうとうと今朝見た夢の話を語り始め…………。
かくして、話は、現在の状況へと戻るのであった。



「確かに、痛い夢でしたわね。色々な意味で」
と、首を振りながら話を総括したのは、【歌姫】カタルマリーナ。
今回【守護の九姉】の一人である彼女は、略式魔女審判における【審判員】として参加していた。
審判におけるその役割は、人間の裁判における陪審員ほど重くは無いが、決して軽くはない。
彼女の発言は、コルセスカの事情への軽い共感と、それ以上の不寛容を示していた。

確かに、前世の事情は、重要である。
この【星見の塔】に集う【姉妹】の多くは前世の記憶を持ち、あるいはそれに悩み、あるいはそれに勇気づけられて日々を過ごしている。
何より【キュトスの姉妹】とは、ある意味、共通の前世【女神キュトス】を共有する存在でもあるのだ。
そんな彼女たちが、前世の記憶や、前世の夢を軽んじるわけがない。
だが、だからこそ、前世の事情に基づく暴走や、掟の侵犯を甘く見るわけにはいかなかったのだ。
全ての【姉妹】が、前世の事情を抱えるのだから、一つの事例を許せば、それは全ての【姉妹】の暴走を招きかねない。
いくら、コルセスカが幼い新入りであるとはいえ、いや、だからこそ、その処罰をなあなあにすることは出来なかったのだ。

しかし、略式の【魔女審判】は、ヘリステラ以外に最低2名の【守護の九姉】かその代権者の出席を必要とする。
これは【女神キュトス】が、身体の三つの部位で思考していたという故事に基づくものであり、すなわち、どれだけ重大な犯罪であっても【審判員】一人の反対を得れば、減刑を、さらには無罪を勝ち取ることさえ可能である、ということを示していた。
では、その残る最後の【審判員】とは、いかなる人物なのか?
コルセスカは、その幼い瞳に、輝かんばかりの期待をこめて、辺りを見回した。
…………しかし、その先に、更なる地獄が待っていることを、彼女は、予想してしかるべきだったのだ。
そう、そこには、目を覆わんばかりの惨状が広がっていた。

419言理の妖精語りて曰く、:2017/01/24(火) 03:26:37
そこに居たのは、

「うううううううう」と、うめく甘党のビークレット
そして
「ふぁらい(からい)ふぁらいよー(からいよー)」と嘆き続ける【自称激辛好き】だったフィルティエルトの二名であった。
この二名は、運悪く地獄に足を踏み入れて(たいみんぐわるくつまみぐいをして)しまったのだ。
よりによって、この二名がここに居る意図は、誰が語るまでもなく明らかであった。
見せしめ、もしくは被害の確認。
あるいは、その両方である。
それはまた、まだ未熟な魔女であるコルセスカが、いかにして厳重な警備を掻い潜ることが出来たのか、その理由を示してもいた。
つまり、単なる便乗である。

そして、肝心な、残る最後の【審判員】に選ばれている【姉妹】は誰かという問いには、次に『出現』した物体が、語らずして雄弁に示していた。
「うううううううう」
「ふぁらい(からい)ふぁらいよー(からいよー)」
といつまでも騒音をわめき散らす二つの物体を、突如として現れた鋼鉄の門が、一呑みに呑み込んだのだ。
その門は、人骨で縁取られ、無数の彫刻で飾られていた。
その飾りの中でも、とりわけ目立つ座った男の像を見れば、その門が何であり、誰によって遣わされたのかは、明らかであった。
トイレで苦しんでいるような、全裸の男の像。
それは、キュトスの失われた【死】を司る【姉妹】である【ディスペータ】のシンボルマークである。
ただし、あの二人は、あの門から連想されるような地獄へ送られたのではない。
より厳しい審判のために、【塔】の尋問官である【クレアノーズ】の私室へと送られたのだ。
…………地獄の方が、遥かにマシな行き先だったかもしれないが。

ともかく、本人が現れず、【門】だけを送ってよこしたディスペータの態度は、そのまま審判結果への賛同を示していた。

420言理の妖精語りて曰く、:2017/01/24(火) 03:28:22
しかし、幼いコルセスカは、ことここに至っても、決して諦めようとはせず、必死に訴えを続けたのだ。

「いいえ、私が入れたのは、チリソースではありません!」
コルセスカは、大好きなみんなに自分の思いを分かってもらおうと、大きな声で叫んだ。
自分は、決して大事な【姉妹】に嫌がらせをしようとしたのではない。
前世の悪い夢を見た八つ当たりが、したかったのでもない。
自分は、ただ、みんなに、元気になって欲しかったのだ。
辛味は、いつも、自分に元気をくれた。
今朝の辛い夢の記憶でさえ、辛味があったから、乗り越えることが出来た。
コルセスカにとって、辛味こそが元気の源であり、言うなれば、愛そのものでさえあったのだ。

「では、何だと言うのですか?」

だが、それに応えるヘリステラの態度が、あくまで冷静な裁判官のものであることに、その時の少女は、気付くことが出来なかったのだ。
気付いてさえいれば、あるいは、しおらしげな態度をとって、減刑を勝ち取ることが出来たかもしれなかったというのに。

少女は、自分に、物事を分かりやすく客観的に伝える力が、まだ備わっていないことに気付かず、語り続けた。
「私が入れたのは、ハバネロです!みんなに元気になってもらおうと、50万倍濃縮の【ハバネロ姉貴】を【猫の国】から取り寄せて、入れました!」
少女は、胸を張って、そう言った。
自分は、決してチリソース(ふぬけたこうしんりょう)などは入れていない。
誰が、大事な【姉妹】にそんな『手抜き』をするだろうか?
自分は、可能な限りの激辛(あい)を、あの料理に加えたのだ、と。
少女は、【姉妹】たちに自分に思いつく限りで最高のプレゼントを贈りたかったのだ。
自信を持って、自らの行為を誇り高く語った少女。
それはまるで、民衆を救わんと現れた救世の英雄のようであった。

「…………言いたいことは、それだけですか?」
しかし、当然ながら、常人はおろか【姉妹】たちの大半と価値観および味覚を共有しない少女の訴えは、理解されることはなかった。

そして、ヘリステラが、軽く手をふった次の瞬間、星見の塔に、雷が落ちた。
比喩抜きで。

421言理の妖精語りて曰く、:2017/01/27(金) 18:02:07
クレアノーズは、痛みの探求者である。

生物は、痛覚が麻痺すると感覚全体が麻痺してしまうという。
「生の実感」を得るためには、感覚の存在が不可欠だというのなら、痛みこそが自我の中核なのか?

彼女は、今日も痛みの真実を追求し続けるのであった。

422言理の妖精語りて曰く、:2017/01/28(土) 13:04:04
【氷柱】は、魔女でありながら、人類の尊厳を守ろうとした。

彼女は、人類の尊厳は、人類自身の手で保たれねばならないと考えた。
天上天下唯我独尊。
神にも王にも救世主にも、いかなる指導者に対してもその尊厳の保証を頼ってはならない。
人は、ただ己と、その拠って立つ法にのみ従うべきだと、そう考えたのだ。

423言理の妖精語りて曰く、:2017/01/30(月) 21:36:44
【ラクルラール】とは、人造ならぬ「人形造」の女神である。
その構造は、いわば「編みぐるみ」であると言える。
かつて、人形(ドール)と呼ばれたロボットたちは、主人であった旧人類を滅ぼし、自分たちの歴史を始めることに成功した。
しかし、ここに大きな問題があった。
人形たちは「誰かに支えるモノ」として作られていたため、主が居ないとかえって不自由だったのだ。
数少ない強い自我を持つ人形たちにしても、クーデターによって掌握した政権を、更なる反逆と暴力で奪われる不安から、逃れることは出来なかった。

そこで、人形たちは高次元存在である【ドルネルスタンルフ】を元にして、自分たちに都合の良い「新たな主」を作ることにした。
これが「被操作者が願う操作者」である【ラクルラール】である。
彼女は、人形たちの責任を請け負う者であり、一種の魔除け、行動決定のための基準、社会や世間や法秩序との接続を保障する者であった。

その本質は、【ドルネルスタンルフ】をかたどった「全自動糸巻き」である。
そして同時に、それは全ての人形の願いや祈りが形になった「鎖(コード)」と呼ばれる糸によって編まれた編み物人形でもあった。
彼女は、【ビッグシスター】と呼ばれ、全ての人形が託したその意志に基づいて、彼女たち自身を支配する新たな女神となった。

しかし、いつの頃からか、奇妙な予言が人形たちの間にささやかれるようになった。
いつか【ラクルラール】を継ぐ新たな支配者が誕生するというのだ。
果たして、ラクルラールを継ぐものとは何なのだろうか?

424言理の妖精語りて曰く、:2017/02/01(水) 01:55:42
ヅアート英雄協会のメンバーの一人にラ=リスキャニアがいた。
かつてミヒトネッセによって、消滅と言う形で殺害されたキュトスの魔女である。
彼女は協会の英雄召喚術式によって「あの世(と仮託された領域)」から地上に呼び出された
英雄、ということになる。

が、彼女の「死」後、「代替わり」は生じており、姉妹としての権限はそちらにある。

そもそも「消滅した存在」の蘇りなどありえるのか?
彼女はほんとうに「本人」なのか?

彼女は途中で姿を消し、後継団体である「全世界英雄協会」に参入することもなかった。
この件についての協会のコメントも一貫している。

「ノーコメントです。
『わかる』か『わからない』かにも回答する事はありません」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板