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汎用記述スレッド

1言理の妖精語りて曰く、:2006/02/19(日) 14:27:12
 この場所は特に制限を設けない総合記述スレッドとして汎用的に扱います。
 ここに記述された文章が神話を構成する断片となります。

72【ラニミーフ】:2006/03/20(月) 19:54:09
【南東からの脅威の眷属】のひとり。アリアローとダワティワとテンボトアンの父。
かつて神々や他の精霊族と戦いの中で率先して先頭に立ち、多くの古傷を追い、
呪詛を浴びた。彼はその後治療と延命の魔術によって命を永らえていたが、
三人の息子によって大魔女トルソニーミカとの取引材料にされてしまう。
南東からの脅威の眷属に伝わる治療魔法のあらかたが掛けられたラニミーフは
術素材としても有用であった。父親を代償に息子達が手に入れたのは高位の神をも
閉じ込める恐るべき法具。それはハーハーンにある、三兄弟が古き神アルセスとともに
暮らすための神殿に組み込まれることになる。

73言理の妖精語りて曰く:2006/03/21(火) 11:12:43
ウェウーレベルンの内容が「不明」とされる理由
第一にニースフリルが隠したという草稿の実物が現在まで発見されていない。
第二にニースフリルが草稿を隠してから一年後に現れだした「草稿のコピー」と称する文書が、
本当に草稿のコピーであるという確証が無い。また、「コピー」が出現した地域が
一ヶ所ではなく複数であり、それぞれの「コピー」の内容には食い違いがある。

74【セラテリス】:2006/03/25(土) 02:36:22
たとえばあの最強の力神が怒って暴れはじめたとしたら、
紀元神群はこれを抑えることができるだろうか?
いや、きっと不可能だ。
全ての神が束になったところで、セラテリスにはとてもとても敵うまい。
幸運なのは、強靭な精神を持つ彼女が我を失うなどありえないということだ。

75言理の妖精語りて曰く:2006/03/27(月) 12:48:28
ゲルンジ夫人の語る「幾億の猫が住まう世界」とは何か?
古代からの伝承をもとに彼女が構築したファンタジーなのか。

それは原初より以前に滅んだ過去の異世界だと言う者もいる。
逆にこの世界が滅んだ後に生まれる未来の異世界だと言う者もいる。
今ある世界と平行して存在する異次元の世界だと言う者もいる。

76言理の妖精語りて曰く、:2006/03/30(木) 02:54:44
世界の中心には槍がある。
とても巨大な、高く高く聳える槍だ。
この槍に触れるため、多くの挑戦者が旅立った。
しかし本当に槍の在り処まで辿りついた者は、本当に一握りしか存在しない。
彼らの行く手は、様々な試練によって阻まれるからだ。
                  その名は超絶の究極ダンジョン――PUNGEON

77言理の妖精語りて曰く、:2006/03/31(金) 04:39:59
オルガンローデ。
危機に追いやられた『南東からの脅威の眷属』が最後の希望として拵えた紀竜だ。
それは同時に、グレンデルヒの技術によって完成された機竜でもある。
オルガンローデは紀元神群に関わる世界中を荒らしてまわり、
最後は親とも兄弟とも言える自らの分身にして本体、紀竜オルゴーと相討った。

78言理の妖精語りて曰く、:2006/04/02(日) 03:56:20
神話体系と一概にいっても、実際は一枚板ではない。
紀元神群やデャルト・ンマリヒなど、異なる系統の神話を一度に扱っているからだ。

古き神々がどのようにして生まれたか、という問題に関して、一定の答は出されていない。
いくつかの諸説はあるが、どれも局地的な伝承に過ぎない。
今のところは、「いつの間にかそこにいた」と言うしかないのだ。

79言理の妖精語りて曰く、:2006/04/02(日) 03:59:24
いくつか代表的なエピソードはある。
神話の時代では『アルセス・ストーリー』。
最近では『ナプラサフラス・サーガ』。
あるいは数度の地獄解放事件の顛末などがそれである。

80【アルセス・ストーリー】:2006/04/02(日) 04:15:28
最も弱き神、少年アルセス。
何のためか彼が世界を巡り歩いたという伝説は各地に残される。
アルセスは持ち前の身軽さと機転によって、次々と難題を乗り越えた。
彼の旅こそが、この神話体系の中で最も有名なエピソードであろう。

81【ナプラサフラス・サーガ】:2006/04/02(日) 04:20:06
冒険者の神アルセスの影を追い、世界各地を旅したナプラサフラス。
彼は後に稀代の冒険者として永くその名を残すこととなる。
神代の遺跡の探検、紀竜との奇妙な関係、グレンデルヒをはじめとした大勢の仲間達。
そして物語の最後でナプラサフラスは遂にアルセスと出会い、
槍に触れて紀人の一柱として認められた。

82【ティーアードゥ・リリック】:2006/04/02(日) 13:59:26
ナプラサフラス・サーガが叙事詩(サーガ)であるのに対し
ティーアードゥ・リリックは叙情詩(リリック)の形式をとる。
新しき神ティーアードゥを語り手として、その誕生から
彼が神となり、そして没落するまでを嘆きと憂いに満ちた調子で語る。
ティーアードゥが行ったという残虐で過激な刑罰の事跡が
大量に盛り込まれていることから『虐刑の歌』とも呼ばれる。

83【グレフ・ディ・モズルによる改革】:2006/04/02(日) 23:28:46
ハルバンデフとの戦争であるバキスタの戦いに破れ、長年の宿敵であった北方帝国に多額の軍資金を支払っての皇帝パトゥーサによる征伐戦争にも失敗した西方諸国は深刻な二つの問題に直面することになった。
一つは経済難であり、もう一つは国内治安の悪化である。というのも、ハルバンデフのさらなる侵攻を防ぐため、喪った兵力を補填を目的に各国の傭兵団を草の民との国境地帯に集めたものの、警戒されたハルバンデフによる侵攻は行われず(既にハルバンデフの矛先は北方帝国及び南方のトゥルサに向けられていたため)、次第に各国はこの防御線の維持に要する費用によって国内経済が圧迫されるようになり、また彼らに支払う給料が滞りがちになったことから傭兵団が勝手に国境地帯の集落や街において略奪を行うようになったからだ。
草の民との国境に近いリクシャマー帝国においては、特にこれらの問題は深刻であり、彼らは今までの政策から大きく方向転換をせざるを得なかったが、経済の建て直しを優先するか、治安の回復を優先するかで国論は二つに割れた。
結局、皇太子であるロズゴールⅢ世とその腹心である司教グレフ・ディ・モズルの主導する治安回復を優先目的に掲げた改革派が政権を握り、後に「グレフ・ディ・モズルによる改革」と呼ばれる政治改革が始まった。
しかし、彼の改革案は、酒の製造・販売の中止や売春宿の廃止等、国教の経典に非常に原理主義的かつ理想論が先行しすぎていたため、当初から否定的な意見や批判が多く、各種の法律が施行されたにも関わらず、当初これを守るものは少なかった。
そこで、彼は憲兵騎士団を組織して、これを違反する者の摘発に乗り出したが、これは帝国各地において傭兵団や地元の在郷勢力をはじめとした各種勢力との衝突を招くこととなり国内治安をさらに悪化させる要因になってしまった。また、摘発を厳しくすれば厳しくするほどこれらの商売は地下に潜って巧妙化することとなり、各種の武装犯罪組織を産み出す土壌になった。
改革は始まってより15年後、グレフ・ディ・モズルが後ろ盾とするロズゴールⅢ世が事故で死亡したことにより頓挫し、この改革の後に新たな国内政治の改革の為に抜擢されたのは、皮肉にも彼が禁止した各種商売を闇で巧妙かつ組織的に行っていた豪商のマグドゥール・ドゥ・ギボンであった。

84言理の妖精語りて曰く、:2006/04/04(火) 01:36:09
クレンデルヒによる第五の試作機「タケダケしい神」はリクシャマー帝国軍に買い取られ、
のちにクレンデルヒ自身も新兵器開発顧問として軍に引き抜かれた。
彼の参入により「タケダケしい神」を基にした新兵器の開発はさらに促進された。
完成後、導入されたその兵器の部隊は「単眼神の群」と呼ばれ、周辺諸国を恐れおののかせることになる。

85言理の妖精語りて曰く、:2006/04/04(火) 17:10:20
「クレンデルヒによる試作機」の別名
(いずれも工学を司る妖精の名からとられている。)
零号:なし
一号:アーウィソーラ
二号:カウァエール
三号:ミシェムドガ
四号:アバト
五号:オルクパレル
六号:パルガレデ
七号:クレーグレン
※試作機の名の由来となったこれらの妖精たちが
科学を司る金属神ペレケテンヌルに仕える存在であることから
後代に、この神と零号機とを同一視する解釈が生まれる。

86【怪盗がある科学者宅に忍び込んだときの話】:2006/04/06(木) 09:32:26
「わー出るわ出るわお宝の山。でも危ないもんばっかであまりお金になりそうにないなー。
えーっと、あれ、なんだこれ」
「何者だ!」
「うわ、ばれるの早っ」
「貴様、そこで何をしてるッ」
「これはこれはグロンド博士。今日はちょっとお忍びで泥棒を」
「泥棒? アッ、さては怪盗クララリアだな!?」
「それにしても随分早く進入に気付かれちゃったわね。余裕を持って犯行に及んだつもりだったのだけど」
「それはな、さっき善意の第三者から通報があったから」
「あやしーい」
「一体誰の差し金だ? ノロ細胞をどうする気だ!」
「別に誰の差し金でも。ノロ細胞ってこれのことですか?」
「そう、そう、それそれ。大切なものだから返しなさい」
「ノロ細胞って言うんだ。しかも大切なものなのね。それなら是非とも持ち帰って高く売りさばかなくっちゃ」
「そ、そんなー! 言わなきゃよかった」
「というわけで、私はこれから博士の目を盗んでトンズラこきますので。それではごきげんよう」
「ま、待ってくれ! 最後にひとつだけっ!」
「あら、何かしら」
「わ、わしにも例のセリフ言ってくれんかのう?」
「『あなたの幸せ、ちょっぴり私に分けてください』?」
「うひゃあ、クラララリアちゃんっ! わし感激!」
「アホか」

87言理の妖精語りて曰く、:2006/04/06(木) 11:41:26
そしてグロンドはクララリアに恋してしまった。
ノロ細胞よりクララ細胞が欲しくなってしまった。
「わしの幸せ、もっとわけてあげたいのう・・・クララララララぁ・・」
そして彼はノロ細胞に続く「盗まれる価値あるもの」を生み出そうと
さらなる研究に取り掛かったのだった。

88言理の妖精語りて曰く、:2006/04/06(木) 19:25:38
【ノロ】
①義国の建国神話に登場する、神が最初に創造した両性具有の人間。
「原祖」とも呼ばれる。ノロは真ん中から引き裂かれて男と女となり、
これにより生まれた最初の男をノウ、最初の女をエモルという。
義国の歴代の王は即位時に「ノロの御霊」を体内に受け入れる儀式を行っていた。
②男女両方に広く用いられる人名。この名を持つ歴史上の人物も多い。
③グロンド博士らが研究した謎の肉塊。その細胞を「ノロ細胞」と呼ぶ。

89ゴシップの神・エーラマーン語りて曰く、:2006/04/10(月) 01:19:48
アルセスがエレヌールの才能を見いだしたのは、エレヌールが10歳の時である。その時既にエレヌールは『槍のタングラム』を書き始めており、また10歳にして既にゲルンジ・サロンの生き残りのメンバーを取り込み大きくなったニースフリルのサロンに出入りし、その才能を認められていた。エレヌールが初めてニースフリルのサロンに入ったのは8歳の誕生日で、その時当時13歳のオルザウンに出会い、一目惚れをした。アルセスとはあくまでも教師と生徒の関係であり、肉体的な関係はなかったようだが、それでも恋愛とも友情とも違う、一種精神的な絆で結ばれていたようである。ちなみにクラララリアの男女選り好みしない性癖は当初から社交界で有名で、ニースフリルとも一時交際していたようだが、どうやら一方的に縁を切られたようで、クラララリアはかなり未練を引きずっていたらしい。

90言理の妖精語りて曰く、:2006/04/14(金) 17:12:15
ここでまた誤解が起こった。
ある者はそれを錘(おもり)と理解し、ある者は鐘(かね)と理解した。
こうして紀元錘の定義は拡散した。
己が混沌の象徴であることをまさに体現するかのように。

91言理の妖精語りて曰く、:2006/04/15(土) 00:05:31
世界の始まりのときに古き神であるアルセスが槍を持っていたように、
世界の終わりのときに錘を持っている新しき神がいるという。
しかし、その神はいまだこの世界に現れていないのだとも。

92言理の妖精語りて曰く、:2006/04/15(土) 05:53:03
紀元槍と紀元錘。古き神と新しき神。秩序と混沌。時間と空間。竜と猫。
これらはいずれも対立軸をなしているものだが、しかしすべてが同じ対立を表しているのではない。
混沌の力を用いる古き神もいれば、時間に関わる猫も存在する。

93言理の妖精語りて曰く、:2006/04/15(土) 14:28:32
【アルセス教の神話】
●世界の創造
世界の初めにアルセスがあった。
アルセスは自己の一部を切り分けることで神々を、
虚無だった宇宙に自己を与えることで世界を創造した。
アルセスはこの偉大なる創造のため自己の多くを失い、
「最弱の神」と呼ばれるようになってしまった。
しかし聖ポルポフォンはアルセスこそが「最強の神」であると説く。
なぜなら万物はアルセスそのものでもあるからである。
●人類の創造
アルセスの汗から最初の男が、
涙からは最初の女が創造された。
●巡礼英雄ナプラサフラス
新しき神の一人にして冒険者ナプラサフラスは
アルセス教の重要な聖人でもある。彼の冒険は
ただの冒険では無く、アルセス神に近付くための巡礼であった。

94言理の妖精語りて曰く、:2006/04/15(土) 14:41:19
【アルセス教の「三信」】
●アルセス神と創造
アルセスが世界を創造し、運営し続ける。ゆえに神と創造は一体である。
●聖人と聖典
聖人の行いは聖典に記され、聖典の記述の中から聖人は信徒を導く。ゆえに聖人と聖典は一体である。
●戒律と来世
人々をよりよき来世に導くため、アルセス神は戒律を示した。
それぞれの来世は戒律に従うかどうかにかっている。ゆえに戒律と来世は一体である。

95【ラヴァエヤナ】:2006/04/15(土) 15:59:56
知識を司る神。世界のはじまりに、多くの知識を他の神々に与えた。しかし彼女は、争いの知識だけは他の神々に与えることをしなかった。自分が弱いことを知っていたからである。しかし、心猛々しいセラティスは、自ら他の神々との取っ組みあいを始め、そうして自分で争いの知識を作り上げていった。やがて他の神々はセラティスを見習って各々の争いの知識を作り上げ、こうして神々は別々の争いの力を手にすることとなった。ラヴァエヤナとセラティスの仲が悪いのはこうしたわけである。

96ゴシップの神・エーラマーン語りて曰く、:2006/04/15(土) 21:09:15
ラヴァエヤナはセラテリスのことをただ暴れるだけで教養のない馬鹿女だと思っている。
セラテリスはラヴァエヤナのことをただ年がら年中【神々の図書館】にこもって本を読んだり書いたりしてるだけの根暗女だと思っている。
しかしこの二人にも接点がある。実はセラテリスは、詩を書くのが好きなのだが、
これが彼女は戦いの知識以外はほとんど頭の中になく、必然的に書くことも戦いのことばっかりで、
しかも書く詩というものがどれもこれも幼い彼女ならではの清らかな乙女心が全開のベタベタな文体、
まあようするにイタイ系のポエマーだったのだ。
そんなセラテリスでも、文学の鑑賞眼だけは流石にラヴァエヤナのことを認めていたので、
セラテリスはしょっちゅう【図書館】にてってってと駆け込んではラヴァエヤナのもとに詩をもっていくのである。
ラヴァエヤナの方もほとんど毎日健気に通ってくるのを無下に断るわけにもいかず、
それでも自分の意見と鑑賞眼だけは絶対に曲げないので結果的に毎回毎回散々にやっつけることになってしまい、
またその度ごとにセラテリスは腹いせに【図書館】の本棚を思いっきり蹴倒したり柱を粉々に粉砕したりするので、
【図書館】では工神バッカンドラの振るうトンカチの音が絶えず鳴り響くことになり、これがまたラヴァエヤナの神経をイラつかせ、
こうして二人の仲は時代を下るごとにますます険悪なものとなってゆき、やがてあの『図書館完全倒壊事件』に至るというわけである。

ちなみに、ラヴァエヤナの方が明らかに詩才が優れているにもかかわらず、
もっぱらセラテリスの方が詩神と称えられるのは、セラテリスが自分のことを褒める詩を書く者に対して助力を惜しまず、
対照的にラヴァエヤナは人間ごときの書く詩なんか見向きもしないからである。基本的にお高くとまってやがるのだ。

さて、皆様方はどちらの方がいい女と思うだろうか?
おっと、私は二人に殴られないためにそろそろ退散することにしよう。

97言理の妖精語りて曰く、:2006/04/15(土) 21:37:05
セラティスは寡黙な少女。
紀竜すらもそれを認める、紀神一の人格者。
義に篤く、道理に倣い、静かに孤独に己を磨く。

そんな生真面目で無骨なセラティスの隠れた趣味は、実は詩を書くことだ。
ああ見えて意外と恥ずかしがりな彼女のこと、これはセラティス一人だけの内緒ごとなんだ。
胸の内に秘められた乙女の秘密、お前らも絶対に他言しちゃあ駄目だぜ。

98言理の妖精語りて曰く、:2006/04/17(月) 10:34:27
・・・と他言できるのはエーラマーンだけに違いない。
彼の存在を葬ろうとした神や精霊や人間は数知れず。
だがしかし、誰一人として「友達の友達」にして「知り合いの知り合い」たる
彼の実体に辿りつけたためしがない。彼が滅ぼされないということは
【紀】や【天則】によってゴシップや噂話の存在が許されていることの証なのかもしれない。

99言理の妖精語りて曰く、:2006/04/17(月) 12:30:17
【ジャホラット・パピルス】
亜大陸の東海岸にある都市ジャホラット近郊の洞窟で発見されたパピルス。あらゆる世界を貫く
という【高麗ニンジン】の起源と何千万もの猫が住むという異世界について記されている。
49枚の断片からなり、それぞれ異なる文体や方言で記されていることから、
多数の別々の著者らによって書かれたとみられている。

100言理の妖精語りて曰く、:2006/04/18(火) 09:56:48
あらゆる世界を貫くという【高麗ニンジン】の伝説は東亜大陸から伝わったものである。
亜大陸の西海岸の者達が本土との公益の拠点トゥルサをおさえた後、
東海岸地方では東亜大陸との貿易が盛んになった。物品だけでなく双方の文化が行き交うようになり
高麗ニンジンなどの伝承が西海岸にもたらされ、東亜大陸には【眷属】への信仰が持ち込まれた。

101言理の妖精語りて曰く、:2006/04/20(木) 10:34:40
【ラカジン・ネベル・ネブ】
ヘレゼクシュのネブ出身。ワリバーヤ王朝第8代国王ブラーサームの時代に、
自らをアルセス神から紀元槍で魂に紋章を刻まれた「神の伝令者」であると名乗り
極端な平和主義と光と闇・善と悪で構成される強烈な二元論を特徴とする教えを説いた男。
ブラーサーム王に献呈した基本的な教理書【ブラーサーマカーン】をはじめ、
多くの著作と書簡を残したがのちの弾圧によりそのほとんどは現存していない。
彼は当時の世俗主義に傾いたワリバーヤの社会を批判し、アルセス神への徹底的な献身
と清貧を説いた。そして彼の雄弁と信仰とカリスマ性にひかれ無視できない数の人々が
彼の教団に入信した。一時期は彼の教えはワリバーヤ国外にまで広がろうとするほどの勢いであったが、
ブラーサーム王の【刀狩】にもラカジンの絶対平和思想の影響が見られる。

102101下から2行目:2006/04/20(木) 10:37:02
×勢いであったが、
○勢いであった。

103言理の妖精語りて曰く、:2006/04/20(木) 12:50:08
【アルセスバハル三世によるラカジン派弾圧】
ラカジン派の布教を許可していたブラーサーム王が死に、
弟のアルセスバハル三世が即位するとラカジン派の信仰は禁止され、
信者には棄教が義務付けられ、それに従わない者は容赦ない弾圧がなされた。
ブラーサーム王の治世で行われた【刀狩】と王の死ぬ5年前から猛威を
振るい始めた、【ヘレゼクシュかぜ】の蔓延で社会情勢が不安定となっていた。

国内に住むゲヘナとともにラカジン派はこれらの災厄の元凶と決め付けられ
スケープゴートにされてしまった。さらに偶然にもこの疫病の分布とラカジン派の布教した地帯
とが重なってしまっていたことが「ラカジン派の暗躍を示す証拠」とされてしまい、
アルセスバハル三世の呼びかけとともに外国でもラカジン派が苛烈な迫害を受けることになる。

104言理の妖精語りて曰く、:2006/04/20(木) 13:10:14
【異端者ラカジンの処刑】
ラカジン派弾圧のさなかにラカジンの処刑が行われた。
アルセスバハル三世は彼に栄誉を与えず美しい殉教になってしまわないように
火あぶりの刑や磔刑にするのはやめ、汚泥の池にラカジンを沈めて
窒息死させることにした。処刑執行後、汚泥の池から引き上げられた
異端者の死体は獣や鴉の餌にされた。

――――「アルセス教史」

105言理の妖精語りて曰く、:2006/04/21(金) 16:42:23
魔法少女きゆらが喚起する振り子踊りは、人々の疲れ果てた命と魂を癒し、燃え上がらせる。
そして踊り終えた誰もが願う。「もう一度、きゆらに会って、おそろいの服で踊りたい」と。
やがてきゆらが次に出現する場所と時間を割り出すため占術や統計学的手法が研究されるようになり、
これらの分野は大きな発展をとげるのであるが、現代においてさえ彼女の出現場所・時間
を正確に割り出すことは出来ていない。

106言理の妖精語りて曰く、:2006/04/21(金) 23:32:51
とある深い森の奥、黒い霧に包まれた湖のほとりに、立派なお城が立っていました。
たくさんの召使いに囲まれたお城の主は、まだ年幼い女の子です。
召使いたちは皆とても女の子に忠実でした。
中でも信頼されていたのは、三代も前から城に使えている老執事。
執事はどんな時も決して女の子の側から離れません。
同年代の友達のいない女の子にとって、執事はいちばんの話相手でした。

女の子はお城の中を見て回るのが好きでした。
執事を連れ立って、地下室から天井部屋までを隅から隅まで歩くのです。
外の世界を知らない小さな女の子にとって、その散歩はまさに冒険でした。

「じい、この扉はどこに繋がっているのかしら?」
「古い物置きでございます。長い間使われていないので、綺麗な場所とは言えません。
 お着物が汚れてしまいましょう」
「でも一度くらい中を覗いておきたいわ。構わないでしょう?」
「お嬢様がそうお望みならば」

女の子はお城の中を何百回となく散歩しました。
やがて女の子は、お城のことについて誰よりも詳しくなりました。
どの通路がどの部屋に通じているかはもとより、
どの部屋にどんなものが置いてあるかといったことから、
どの柱にいくつの傷がついているかといったことまで。
いまや女の子には、お城の中のあらゆることが手に取るようにわかりました。

107言理の妖精語りて曰く、:2006/04/28(金) 15:28:34
1.『路の女王』ヘリステラ/『列算者』ヘリステラ
2.『燦然たる珠』ダーシェンカ
3.『歌姫』カタルマリーナ
4.『黒のサンズ』/『万色のサンズ』
5.『呪姫』エトラメトラトン
6.『傀儡師』ラクルラール
7.『七つの風の主』シャーネス
8.『白炎のビークレット』
9.『紀なるアーズノエル』/『すべてを見つめるアーズノエル』

108言理の妖精語りて曰く、:2006/04/28(金) 17:22:09
お城の中を知り尽くした女の子は、次に外に興味を持ちました。
「じい、このお城の外には何があるのかしら?」
「霧でございます。
 この城は湖からわき立つ濃い霧で包まれているのでございます」
「その霧の向こうには?」
「森がございます。
 外からやってくる者を阻んでこの城を守る深い森でございます」
「では、その森の向こうには?」
「人間が住んでいます」
「人間だったらこの城にもいるわ」
「その数が違います。
 森の外にはこの城の何千倍、何万倍という人間がいるのでございます」
「本当かしら?
 そんなにたくさんの人がいたら、ぎゅうぎゅう詰めになってしまいそうなものだけど。
 このお城にだって、そんなに人は入りきらないわ」
「いいえ、お嬢様。
 外の世界は途方もなく広大なのでございます。
 外の広さと比べれば、我々の城すら小さな点に過ぎません」
そんな広いところ、女の子には想像もつきません。
ずっとお城の中で育ってきた女の子にとって、世界とはお城と同じ広さだったのです。
女の子のいちばんの興味は、お城の中から外の世界に移りました。

109言理の妖精語りて曰く、:2006/04/28(金) 19:13:11
 「悪魔の九姉」の初期の活動のうち、最も有名でかつ最も大規模なものが、「パレルノ山六千人殺し」である。
 当時リクシャマー帝国領土内最大の鉱山であったパレルノ山では、マグドール商会による大規模な坑道の中に、鉱山で採れる貴重な鉱物を用いた錬金術研究所が密かに設けられていた。
 ここで行われていたのが、キュトスの48番目の姉妹ミュリエンティと70番目の姉妹カスミストを用いた人体実験である。
 度重なる薬物の投与と、副作用に対抗するための魔術による強制的な肉体補強により精神崩壊寸前にまで陥っていた二人を救ったのは、「九姉」第三位の歌姫カタルマリーナと第七位の白炎のビークレットであった。
 アーズノエルに報を届けられ、ヘリステラとシャーネスの助けによりこの地に辿り着いた二人は、白昼堂々と真正面から襲撃を行った。
 まず朝方に発掘物輸送の拠点であった山麓の街が、続いて抗夫たちのねぐらである山中の小村がビークレットによって焼き討ちにされ、女子供を含む三千人が死亡した。
 麓の村から異様な白い炎が噴水のように燃え上がったのを目撃した発掘監督官は、すぐに坑道の抗夫たちを呼び寄せ、それを見た抗夫たちは急いで山道を下っていった。
 そして夕方、山道で二人と抗夫たちが鉢合わせし、山彦に響くカタルマリーナの歌によって二千人が発狂死。狂気と戦いながらかろうじて逃げ延びた少数の抗夫は、帝国の役人に二人の恐るべき力を上告し、翌々日付けで帝国軍部は「単眼神の群」百人を含む軍隊千人をパレルノ山に派遣した。
 一方、「九姉」の二人は坑道に進入し、外の騒ぎに無関心だった哀れな抗夫を殺害しながら研究所に突入。暢気に研究に没頭していた錬金術師を弱火でじっくりとあぶり殺し、囚われていた二人を救出。そのまま山中で一夜と一日を明かし、ミュリエンティとカスミストの介抱に専念したが、容態は芳しくなく、カタルマリーナとビークレットは二人を背負って下山することを決意した。
 明朝。帝国軍は、まず山道を封鎖し歩兵による山狩りを行った。山中に潜伏し様子を伺っていた二人はまもなく三人の歩兵と遭遇し、ビークレットが歩兵を炎で瞬殺。炎を目撃した帝国軍司令官はその近辺に向けて弓による射撃を行うも、狙う対象が森の中で直接見えないことと山の下から上へという無理な地勢、それにカタルマリーナの歌による弓兵の混乱によって攻撃は失敗、まんまと四人を包囲網から取り逃がしてしまう。その後、救出した二人を山中の安全な場所に安置し、奇襲による各個撃破を行いながらカタルマリーナとビークレットが麓に下りた時には、帝国兵の数は五百人に半減していた。そして麓の平原での正面衝突で、帝国側は虎の子の「単身眼の群」を含む残存兵力による突撃を敢行、結果は全滅。山中の二人の妹を回収し、「九姉」の二人はようようと引き上げていった。

 この事件は大陸全土に衝撃を与えた。「キュトスの魔女に手を出してはならない」という通達が各国で出され、しかし圧倒的な魔女の力に恐れおののいた人々はますますキュトスの姉妹を迫害することをやめなかった。そのおかげで、この事件の後しばらくは、人里にいたキュトスの姉妹の大半が身を隠し、その中には「九姉」を逆恨みするものもいたという。
 しかし、この一件の後もキュトスの姉妹が不逞の輩によって拉致監禁されては九姉に報復されるという事件が後を絶たず、姉妹は自分たちが九姉の庇護を必要としていることをまざまざと認識させられ、また人々はキュトスの姉妹たちを本格的に忌み嫌い遠ざけるようになった。
 このような事態が緩むのは、やっと大暦が三つ下った頃、西域にトロス三国が興る時代に入ってのことである。

110言理の妖精語りて曰く、:2006/04/29(土) 03:31:06
女の子は、外の世界について執事に尋ねました。
執事はその質問に、ひとつひとつ丁寧に答えていきました。
「お前の話が本当なら、じい、外の世界はとても素敵なところだわ」
「まだお若いお嬢様にとっては然様でございましょう。
 しかし城の外は、良いことばかりではございません」
それは女の子も同感でした。
執事の話では、外の世界の人々の間には常に不和が絶えません。
誠実で温かい召使いに囲まれて暮らす女の子は、それが不思議でなりませんでした。
「じい、外に住む人たちは、どうしてああも争ってばかりなのかしら?」
「それは不思議なことではございません。
 たくさんの人間が集まったとき、そこに考えの違いが生まれるのは当然のことでございます」
「でも同じ人間でも、この城の皆はとても仲良しだわ。
 私はこのお城の中で、誰かが喧嘩しているような光景を見たことがないんだもの。
 外の人たちには、何かすぐ険悪になってしまう理由があるんじゃないかしら」
「お嬢様、それは反対でございます。
 外に住むの人々ではなく、この城の者たちの方が特別なのでございます」
「まあ、じい、たしかにお前の言うとおりだわ。
 私はどうしたって自分のことを中心に考えてしまうけれど、
 特別なのがいつも自分の方でないとは限らないのね」
そうして女の子は、どうして自分たちの城にだけ不和がないのかを執事に尋ねました。
執事は順を追って、この城の過去をひとつひとつ説明していきました。

111言理の妖精語りて曰く、:2006/05/02(火) 17:26:12
【リルモーラによる赤の書】
【蒼空の魔女教団】の長リルモーラによって書かれた五色の教典(白・黒・青・赤・黄)のひとつ。
赤の書では紀元神群を天空母神の敵たる悪魔の一族として描写する。
本文によればリルモーラは一族に代々伝わっていた「ウェウーレベルン」の写本を大母神から永遠の命を
与えられたオルザウンの所に持っていき、誤った部分を訂正し、欠けた部分を補ってもらったという。
それがこの「赤の書」であり、魔女教団では「赤の書」が正統なウェウーレベルンであるとされた。

112言理の妖精語りて曰く、:2006/05/02(火) 17:33:44
【ザフ・アーレードのウェウーレベルン】
貴重な紫羊皮紙が使われた豪華な写本。紫羊皮紙は王が持つ本だけに使うことが
許された高価な材料である。ザフ・アーレードは亜大陸と本大陸を結ぶ交通の要所
トゥルサの支配者で、そこらの小国の王より遥かに豊かな富を有していた。
彼がウェウーレベルンの「コピー」や関連する文書を集めさせ、
それを総合して作成させたのがこれである。内容は充実しているが、
ザフの好みに合わせたためなのか制作者の趣味なのか、明らかに脚色ととれる記述も多い。

113言理の妖精語りて曰く、:2006/05/03(水) 00:09:26
三代前の城主、つまり女の子のひいおじいさんはとある小国の大臣でした。
ひいおじいさんは公明正大な優れた政治家でしたが、宮中に起きた政争に敗れてしまいます。
一族とその召使いは国を追放され、人里離れ打ち捨てられたこのお城に住まうことを命じられました。
森から出ることを禁じられた一族は、最初のうちは生活にたいそう苦労したそうです。
なにせ、何の知識もないまま森に放り出されたことになるのですから。

「わたくし達は少しずつ森の中で生きる術を学びました。
それはそれは、困難な日々であったと記憶しております。
しかし何年もそうして暮らしていると、自ずと森との接し方が分かってまいります。
一度適切な距離感が掴めれば、森は決して脅威ではございませんでした。
やがて我々にとっての森は、外から来る者を阻む得がたい守り手とすらなったのでございます」

それから何十年の月日の後、遂に女の子は生まれました。
城主もその息子もとうに亡くなり、当時の城の主は女の子のお父さんです。
一族はすっかり森に溶け込んで生活を続けていました。
いまや波風の立たぬ穏やかな日々が当たり前、異変が起きたのはそんなときです。
にわかに、城内を恐ろしい疫病が襲ったのです。
人の身体を喰らい、人から人へと移る死病です。
森の加護も、目に見えぬ悪病までは阻んではくれませんでした。
もともと狭い城の中です。病はあっという間に伝染します。
召使いたちは次々と病に倒れ、その魔の手は城主にまで襲い掛かりました。

「幸いお嬢さまは病に染まりはいたしませんでした。
お父上の身を挺したご対処が功を奏したのでありましょう。
城のすべての者を病が侵す中で、お嬢様だけは最後まで健康であり続けました。
とはいえ、どの道ほかの者たちは助かりはいたしません。
この森にお嬢様一人だけが取り残されるのは、何とも酷なことでございましょう。
そうお考えになったお父上は、悩み抜いた末に一計をご案じになられたのでございます」

114【大荒野】:2006/05/04(木) 01:15:10
北方帝国最北端の農村マクシより70ガロオルクにわたって広がる不毛の荒野。
土地が酷くやせていて、開拓は不可能。
そのさらに果てには、大は天を突かんばかりに高くそびえ立つ大木、
小は茨のような低木などありとあらゆる植物が伸び育ち絡みあい
ひしめきあっているという【大森林】が広がっている。
未だこの【大森林】を制覇した者はいない。

115言理の妖精語りて曰く、:2006/05/04(木) 09:03:50
【ノロ・アリラッギ】
旧義国圏ガロアンディオン出身のクランテルトハランス研究者。
聖ポルポフォンの前に現れた「アルセス神」が実はクランテルトハランスの一種である
という説を唱えたために危うくアルセス教徒から殺されかけたことで有名。
「クランテルトハランスの生態分類」「クランテルトハランスと宗教」
「クランテルトエルス――尊厳を破壊するもの」等の著作がある。

116言理の妖精語りて曰く、:2006/05/04(木) 23:05:38
古き神ピュクティエトはかつて亜大陸にあった森林地帯に住んでいたティリビナ神群の
地母神たちとの戦いを有利に運ぶために森を焼き払い、かの地を不毛の砂漠に変えた。
ピュクティエトの企みどおり、力の源である大地を殺されたティリビナ神群は一気に弱体化したという。
亜大陸を砂漠に変えた後、彼は人間に灌漑技術や乾燥地帯で生活するその他の方法を教えた。
彼はまた火の神でありながら、他の神々と共同で大砂漠西側の地下水脈とオアシスを支配しており、
紀元神群とその信徒に敵対する者が大砂漠西側で水を手にすることはきわめて難しい。
ただし紀元神群を信じない者であっても、紀元神群に対して弓を引こうとさえしなければ水は普通に手に入る。

117言理の妖精語りて曰く、:2006/05/05(金) 12:07:38
ある時、アルセスがナプラサフラスにかつて自分が破壊した魔神の神殿を見せながら――
「これが敗北した神話の成れの果てだよ。そして一度敗北した神話に復権は無い。」
「敗北してしまったのは彼らが神話に過ぎなかったからです。」
「いや、我々の神話が勝利しただけだ。」
「なぜ『我々の神話』などとおっしゃるのか?あなたがたは真理であったゆえに勝利した紀の神々ではありませんか。」
「勝っただけなんだよ。勝ち残っただけだ・・・」
「ご謙遜が過ぎませんか?あなた方の神性と神威は世界が始まってから常に至高のものであり、神聖さは永遠に不動です。」
「だけど僕はその神聖さを疑っている。だから僕は神のなかで最弱なんだ。」

118言理の妖精語りて曰く、:2006/05/05(金) 21:24:32
「じい、お前の話はおかしいわ」
女の子は執事の言葉に疑問を挟みます。
「だって今でもこのお城の皆はぴんぴんしてるじゃないの。
 不治の病って、それはつまり治らないってことでしょう?
 辻褄が合わないわ」
執事は少しのあいだ口を噤みました。
にわかに沈黙がおり、しかしやがて話は再開されます。
「その通りでございます。
 わたくしたちの病は、治るようなものではございませんでした。
 どうせ助からぬ身であるのならば、たとえその身を捧げてでもと……
 それが父上様のお考えでございました」

女の子は理解しました。
実際にどのようなことが行われたかは分かりません。
それでも、今の自分がどのような意思によって生かされているのか、
その真実を直観的に確信したのです。

「お父上様は、森の大霊とご契約を交わされました。
 望む者は自らの命を森に捧げ、その霊の力を持ってお嬢様を守り続ける。
 城の者たちにも、もはや反対の声はございませんでした」

病に弱った魂とはいえ、何十人分もの生命の力は莫大なものでした。
その力を用いて、森の大霊は死んだ召使いたちに仮初めの命を与えました。
それは魂も意識も持たず、過去の記録を元として動く外の見だけの命です。
それでも召使いたちは生前の意志に倣って、そして森の大霊に操られて、
まるでどこにでもいる人間と同じような姿で女の子を見守っていたのです。

「つまり、じい。
 あなたもその仮初めの人間の一人と言うことなのね?」
「その通りでございます、お嬢様」

119言理の妖精語りて曰く、:2006/05/06(土) 00:54:26
 義国の大カクレヤ(隠矢)の『天体論』によってまとめられた当時の宇宙観は、夜月、幽月、精月、太月の四つの月と、土星、火星、水星、天星の四つの遊星、そして太陽が、地球を中心に回っているというものでした。これら九つの星は、それぞれその巡る軌道が球層をなしていると考えられており、これに夜空の星々の球層を加えた十の球層が地球を同心円状にとりかこんでいるというのです。それらの球層は、それぞれ夜光天、幽冥天、精霊天、太陰天、太陽天、土塊天、火力天、水晶天、そして天堂天と呼ばれ、さらにその外側に、夜空の無数の星々たちの球層、恒星天があり、それぞれにその天球層を支配する神々が存在すると考えられました。この図式を最初に引用し教義と引き合わせたのが、義国の大神院です。大神院の教義はまもなく廃れますが、大神院によって定められた球層と神々との対応関係は後にさまざまな陰秘学によって利用され、それとともに徐々にその神話的神秘性を高めてゆき、やがて今日の占星術の基礎をかたちづくったのです。

(アケルナ・エリル『占星術入門』)

120言理の妖精語りて曰く、:2006/05/07(日) 09:59:27
ゲヘナとルスクォミーズとの間に生まれたモロレク(悪鬼)どもは絶滅し、現在では或る意味で
伝説上の存在と言える。その代わりある種の犯罪組織がモロレクの名で呼ばれるようになっている。
彼らはあろうことかその忌まわしい入団儀礼を神々の名の元で行う。これは邪悪なる犯罪者集団に服従する
ことを聖なる神々にかけて誓う、という悪魔崇拝に勝るとも劣らぬ冒涜行為である。
この不浄極まりない悪行は、一説には裏社会の王者でもあったマグドゥール・ドゥ・ギボンによって
創始されたという。このリクシャマー帝国の商人は自分がセルラ・テリス女神を想像したと言った涜神者であった。

121言理の妖精語りて曰く、:2006/05/07(日) 10:25:34
その儀式は名を【杯儀】といい、主に酒を注がれた杯が使われる。この杯を入団者と団長と
が交わすことで入団者とモロレク(犯罪者組織)との契約が成立する。この契約は「血のつながり」
や「家族」「一家」等という呼び名で表現されるように、擬似的な血縁関係である。
一口に杯儀といってもモロレクの系列によって手順や様式が若干違う。
また杯儀は入団儀式以外の時、例えば誰かが後を継いで新しい団長になる時にも行われる。

122言理の妖精語りて曰く、:2006/05/07(日) 23:47:50
槍神アルセス、ヒトを友とし、ヒトを槍となす者。
不死神キュトス、死を禁じられた者には生もまた無い、死を求めぬ限りは。
唖之神マロゾロンド、彼の者、語らずとも多弁なり。
零之神アレ、彼の者を語り得る者もまた零。
流闘神シャルマキヒュ、千里眼に約束されし勝利の激流を下る者。
戦鬼神デーデェイア、彼女の差し出す命運はただ二つ、殲滅か駆逐か。
金錐神ペレケテンヌル、無機なる知恵の頂は、才なき者にただただ非情。
鉄願神セルラ・テリス、力でありながら力に焦がれて已まぬ者。
乾錐神ピュクティェト、緑の霊峰を枯らし、これを地母神どもの墓標となしたる者。

123言理の妖精語りて曰く、:2006/05/08(月) 07:27:27
本来ドルネスタンルフは古き神でなく丸き神に分類すべきだが、
カテゴリーの増えるのを嫌った学者によって古き神とされた。

124言の葉の精たち曰く、:2006/05/09(火) 00:10:32
「なんだこれ。どう見てもアマンとノルドールじゃないか。しかもご丁寧にAvloniaなんて名前つけやがって。お前にはプライドってものがないのか」
「そういうあんただって、あそこのあの部分はレ・コスミコミケそのまんまじゃない!」
「何をー!」
「やるかー!」

125ニースフリル:2006/05/09(火) 09:50:14
「あー、月か。
月ってよく分からんよね。出たり消えたりするし。
ああいう変なもんが浮かんでりゃ、そりゃ魔力だって溜まるでしょう。
さて、今晩の月は……お、三つか」

126言理の妖精語りて曰く、:2006/05/09(火) 10:06:03
セラティスが何考えてるのかよう分からん、というのは確かにその通り。
あの幼神の行動原理は、紀神の中でもとりわけ特別なようだ。
マロンゾロンドほどではないにせよ、留守の間何をやっているのかは見当も付かないね。

とはいえ、セラティスの行いに明確な基準が存在するのもたしかなことだ。
と言うのも、彼女の全ての行動はどうやらある神跡を守護するためであるらしいの。
紀神など一部の例外を除いて、セラティスはある場所に他者を決して立ち入らせようとしない。
あのとき千の異神を屠ったのだって、結局はその場所を守るためだったと言う。

もちろん我々は例外なんかではないから、彼女が何を守っているのか知りはしない。
だから想像するしかないが……まああの幼い神のことだ。
きっと心を込めて大切に育てた、美しい【花園】でもあるんじゃあないのかな。

127言理の妖精語りて曰く、:2006/05/09(火) 13:05:52
【ウィータスティカ】
①紀元神群統治以前の亜大陸の伝説に登場する潤星(水星)にあるという楽園の大宮殿。
②【南東からの脅威の眷属】に属する三兄弟アリアロー、ダワティワ、テンボトアンが
アルセスと一緒に暮らすための「愛の巣」として作り上げた神殿風建築物。所在地は
トルメルキア近郊にある都市ハーハーン。内部には三兄弟が実の父親と引き換えに
大魔女トルソニーミカから受け取った、高位の神をも閉じ込め得る法具が組み込まれている。

128言理の妖精語りて曰く、:2006/05/09(火) 15:08:06
亜大陸人のなかで【ウィータスティカ】のイメージが広がったのは
マーディキ神群やティリビナ神群が滅ぼされ、紀元神群と新しく亜大陸に入ってきた
【南東からの脅威の眷属】との戦いが始まってからであるとされる。急激な砂漠化に加え、
激しい戦闘に巻き込まれて多くの町々や村々が破壊され、人々は困窮に陥った。
人々はせめてもの慰めに、楽園とその大宮殿への夢想を豊かにしていったのだろう。

129言理の妖精語りて曰く、:2006/05/11(木) 16:18:12
【天使長フレナブレ】
紀元神群の兵士である妖精・フェ―リム(天使)を統率する天使長。
褐色の肌に碧色の目を持ち、彫りの深い秀麗な顔立ちをしている。
頭髪と羽は目をみはるような黄金色。天使長だけあって戦士としてのレベルも極めて高い。
輝くような外見と武勇とは対照的に口数は少なく、ただ黙々と神々に従う。

130言理の妖精語りて曰く、:2006/05/11(木) 16:22:22
>>129訂正
1行目
天使長→「天使長」
3行目
天使長→フェ―リムの長

131言理の妖精語りて曰く、:2006/05/11(木) 18:34:41
【南東海諸島】
【南東からの脅威の眷属】の故郷とされる南洋の島々。その昔【眷属】は
ここから海を越えて亜大陸にやってきた。熱帯気候であり、その熱帯雨林
には本大陸や亜大陸では見られない珍しい動植物が繁殖し繁茂している。
特に植物の生い茂るさまは「南の【大森林】」と形容されるほどである。
海岸線を中心に大陸とは違う人種の人々が居住しているが、奥地には
【剣歯長虫】や【深緑豹】といった危険生物が跋扈しており、大陸には
ない感染症や寄生虫の類も恐ろしいものである。

132言理の妖精語りて曰く、:2006/05/13(土) 00:09:04
妖精皇帝エフラスが天に切り離されたアヴロニアに置き去りにされた後、
指導者を失った妖精たちの間では、新たに種族の統治者の位を得ようと諸王が乱立した。
エフラスの配下で大陸を任される将軍の一人であったハジュラフィンは
号を【蛇蝎将】から【蛇蝎王】に変え、繭衣のルウテトは【銀の森】の木で王座を作らせた。
他にも有象無象の者たちが【妖精王】を名乗り、それぞれで勢力を形成して
紀元神群に立ち向かったり、逆に抵抗を止め、「共存」することを選んだ者もいる。

133言理の妖精語りて曰く、:2006/05/14(日) 17:24:35
【アヴロノ】
妖精。神話の時代に西の果ての【アヴロニア島】から大陸に侵攻した種族。
(アヴロノ(妖精)の大陸侵攻に関しては【エフラス】の項参照)
世界的にみると「妖精」と呼ばれる存在にはアヴロニア島起源ではないもの
もいるのだが、その多くがひっくるめてアヴロノと呼ばれる傾向がある。
アヴロノには翼が二つ(一対)のものと四つ(二対)のものとの2タイプがある。
前者は飛行時のスピードに、後者は飛行時の小回りに長ける。
羽の数と飛び方の違いから、前者を【鳥態】後者を【虫態】と言う。
どちらかといえば虫態が多数派である。

□知られているアヴロノ
妖精皇帝エフラス、蛇蝎王ハジュラフィン、繭衣のルウテト、孔雀色のブリシュール
など

134言理の妖精語りて曰く、:2006/05/15(月) 18:46:57
【各伝承におけるフェーリムの起源の例】
■ウェウーレベルンによると
フェーリム(天使)は、神話時代の戦いにおいて
同胞を裏切り紀元神群の側につくことを選んだアヴロノ(妖精)である。
伝説で言われる火葬の煙と遺灰は神々に対する服従の証を立てる儀式で使われる。
それは儀式のその場で同胞たるアヴロノの死体を焼いてつくられる。
■義国の建国神話によると
人類最初の夫婦ノウとエモルが子供達を残して先立った時、神々は夫婦の遺体を
火葬し、そこから出た煙と灰から子供達の守護者を創造した。それが天使とも呼ばれる
フェーリムである。フェーリムは子供たちを守るだけでなく教育を施す役目も持っていた。

135言理の妖精語りて曰く、:2006/05/15(月) 22:05:27
【貪蝗相】(読み:どんこうそう)
蝗の皇ロシンバズイの体から分泌されているとされる物質あるいは魔力の影響で
相変異(とりわけ群生相)にも似た心身の変異が起こったアヴロノのこと。
羽が普通の個体よりも大きくフォルムが鋭い印象があり、引き締まった体つきをしている。
痩せて体が細いように見えるが、筋肉の強度や膂力は一般的な個体を遥かに超えている。
その代わり、普通とは比べ物にならない程の栄養を摂取し続けなければならない。
このため、貪蝗相のアヴロノは異常なまでに食欲旺盛で一般のアヴロノの四倍の兵糧
を消費するという。貪蝗相化したアヴロノ自身の精神も変化しており、必要とあらば、
飢えを満たすために同族や人間を喰らうことさえ厭わない、とも。

136言理の妖精語りて曰く、:2006/05/16(火) 00:29:37
お城の秘密を知ってからも、女の子は今まで通りの生活を続けました。
ただし、ひとつだけ変わったことがあります。
女の子は、以前のように頻繁にお城の中を散歩しないようになりました。
それよりも、自分の部屋で何か考え事をしている時間が多くなったようです。
そうしてまた、何事もなく何週間かが過ぎました。

ある晩、女の子はとつぜん老紳士の部屋を訪ねました。
「ねえ、じい。
 このお城に不和がないのは、お父様たちが森と契約したからと言ったわね」
「は、お嬢様。たしかにそう申し上げました。
 我々の魂によってお嬢様に与えられた森からの加護が、
 城民を命あるかのように動かし固く結束させているのでございます」
「じゃあ、森の外に出たとしても、お前たちは今のように振る舞えるのかしら?」
「加護の対象であるお嬢様は、出来る限りこの森にいらっしゃらねばなりません。
 しかし加護の結果である我々は、森の外に出ることに何ら支障ございません」
「そう。それじゃあもうひとつ、
 お前たちに新しい仲間を加えることは出来るのかしら?」
「は、お嬢様がそう望まれ、依り代となる肉体さえございますれば、
 森の加護がその者を新たな仲間として我々に招き入れましょう」
「うん、そう。よく分かったわ、じい」
女の子は、何かを決意した風に老執事を見上げました。

「それで、じい。私考えたのだけれど。
 もしも外に住む人たち皆にお前たちと同じ魔法を掛けてあげたら、
 きっと世界中から悲しい不和がなくなってしまうんじゃないかしら?」
「それが成し遂げられれば、確かにお嬢様の仰る通りになりましょう」
「ねえ、じい、本当に私にそれが出来ると思う?
 お前は私を手伝ってくれる?」
「は、お嬢様のお望みとあらば」

 このようにして、あの長く恐ろしい死者の森の侵攻が始まったのです。

137汎用記述スレッド・第1次まとめ:2006/05/16(火) 11:05:05
言理の契約(>>2)マロンゾロンド(>>3>>8>>32)マロゾロン(>>12)シャルマキヒュ(>>4)
アルセス(>>4-5)二大祖国(>>6>>22)【人類】という魔術(>>7>>11)オルザウン禁忌集(>>7)
ミアスカ(>>13>>24)ミアスカ流脚撃術(>>15)オウィ・K・トカーム(>>16)パンゲオン(>>14>>20>>30>>43>>76)
パケロ・アグレロ・クロイイ著『幻想博物誌』(>>17)「ゲヘナの一人」のつぶやき(>>21)
大神院(>>22>>119)メカメカしい神(>>23>>38>>85)ハイダル・マリク(>>25)【φ】(>>27)
ハルバンデフ(>>26)古き神アレ(>>27)オルザウン禁忌集(>>7>>28>>60)古代魔術と近代魔術(>>29)
パンゲオニルド哲学(>>30)ミルー・バオルオン(>>30>>44)
ウェウーレベルン(>>31>>60>>66-67>>73>>111-112>>134)

138汎用記述スレッド・第1次まとめ:2006/05/16(火) 12:34:19
ハイダル・マリク(>>24)パケロ・アグレロ・クロイイ著『幻想博物誌』(>>40)
パンゲオン(>>40)オウィ・K・トカーム(>>40)ミアスカ(>>40>>47>>64)
アルセス(>>51>>53>>79-80>>89>>91>>93-94>>117>>122)ハルバンデフ(>>83)

ゼダ公爵家のサイクロプス・クラウド(>>4)ナプラサフラス(>>4>>93>>117)
ニースフリル(>>28>>31>>66>>89>>125)タールシャー通り(>>32)ティーアードゥ(>>32)
“冒涜の魔女〟ファルナビス(>>32)フリグメルタ(>>33)マーブラーミグ(>>33)
蟻の子(>>33)紀元ブランコ(>>34)ソウゾウしい神(>>35)食鬼人バルガラッド(>>36)
猫騎士ミューン(>>36-37)「クレンデルヒによる試作機」シリーズ(>>38>>85)

139汎用記述スレッド・第1次まとめ:2006/05/16(火) 12:37:58
レメス(>>41-42)エフラス(>>41>>132-133)聖ポルポフォン(>>45>>93>>115)
アルセス教(>>45>>93-94>>115)ブラーサーム王(>>45-46>>50>>101>>103)
ワリバーヤ王朝の君主(>>46)【共通語】(>>47)【刀】【カタナ】(>>45>>48-49)
トロス三国(>>54)トルクルトア(>>54>>56)小ペルネー(>>54)アロイ(>>54)紀石(>>53>>55)
月刊『男の暴君』(>>56)本大陸・亜大陸の地図(>>57)大山河(>>58) トゥルサ(>>58>>83>>112)
紀元神群(>>59-60)【南東からの脅威の眷属】(>>59>>61>>131)言語戦争(>>60)
マーディキ神群(>>61-62)ティリビナ神群(>>116)ケールリング派(>>63)チャカ・チャカ大陸(>>47>>64)
デーデェィア(>>68-69>>122)エレヌール(>>70>>89)大魔女トルソニーミカ(>>71-72)
ラニミーフ(>>72)セラテリス(>>41>>71>>74>>95-97>>120>>122>>126)
ゲルンジ夫人幾億の猫が住まう世界(>>40>>75)オルガンローデ(>>78)
神話体系と一概にいっても、実際は一枚板ではない(>>78)アルセス・ストーリー(>>79-80)
ナプラサフラス・サーガ(>>79>>81)ティーアードゥ・リリック(>>82)
グレフ・ディ・モズルによる改革(>>83)バキスタの戦い(>>83)皇帝パトゥーサ(>>83)ロズゴールⅢ世(>>83)
マグドゥール・ドゥ・ギボン(>>83>>120)北方帝国(>>83)リクシャマー帝国(>>83-84>>120)

140汎用記述スレッド・第1次まとめ:2006/05/16(火) 13:01:53
ピュクティェト(>>35)北方帝国(>>114)リクシャマー帝国(>>109)トロス三国(>>109)アルセス(>>101)

刀狩(>>45>>49>>103)刀匠の館(>>50)ヘレゼクシュかぜ(>>50>>103)
「クレンデルヒによる試作機」の別名(>>85)クラララリア(>>86-87>>89)
グロンド博士(>>86-88)原祖ノロ・ノロ細胞(>>86-87>>88)エーラマーン(>>89>>96-98)
ラヴァエヤナ(>>95-96)ジャホラット・パピルス(>>99)高麗ニンジン(>>99-100)
ラカジン・ネベル・ネブ(>>101-102>>104)アルセスバハル三世(>>46>>103-104)
きゆら踊り(>>105)悪魔の九姉(守護の九姉)(>>107>>109)パレルノ山六千人殺し(>>109)
【大荒野】(>>114)【大森林】(>>114>>131)ノロ・アリラッギ(>>115)ピュクティェト(>>116>>122)
『天体論』の宇宙論と占星学(>>119)モロレク(悪鬼)(>>36>>120)モロレク(犯罪者組織)(>>120-121)
【杯儀】(>>120-121)神々の称号(>>122)ドルネスタンルフ(>>124)ウィータスティカ(>>127-128)
天使長フレナブレ(>>130)【南東海諸島】(>>131)アヴロノ(>>132-135)フェーリム(>>129>>134)貪蝗相(>>135)

141言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 13:41:13
「あたしにとって音楽は……カイと出会うためにあったんだ」
このままじゃカイといっしょの学校には行けない。そう気付いたミユキは一大決心をして受験に専念する。だって、あたしたちは最果ての二人なんだから!
離ればなれになるなんて考えられない、ずーっとずーっといっしょにいたい!!そんな2人のアルセス・ストーリー。
割部亜矢 微熱のタングラム3 好評発売中

142言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 15:22:48
【地球】はかつてばらばらに散らばった大地の欠片であった。それぞれの大地には
各々の住民が住んでいた。のちに「神」「悪魔」「精霊」「妖精」などと呼ばれることになる者達である。
ある時、とある大いなる者がその手を宇宙の彼方から他方の彼方にまで手を伸ばし
散らばっていた大地を集め、その髪で縫い合わせて一つの大きな盆状の大地となした。
【平たい大地の時代】の始まりである。一つとなった大地を見て、住人たちはより広い大地を
手に入れることを求めるようになった。自分たちが住んでいる大地の欠片がちっぽけなものに思えてきたからだ。

143言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 15:31:12
彼らは外の世界に飛び出し、より広い領地を求めて戦った。
その戦いぶりの凄惨さに大地は涙を流し、それが海となった。
勝利した者たちは己を「高き者(神々)」と称し、広く良質で美しい土地を得、
敗北した者たちは「悪魔」と蔑称され、狭く荒れ果てた醜い土地に追いやられた。
神々の住む場所は「天国」や「楽園」と呼ばれ、悪魔の住む土地は「地獄」と呼ばれた。
中立の立場に立った者達や、勝利を得ながらも「神々」であることを拒否した者達は
「精霊」や「妖精」と名乗った。

144言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 15:57:39
時が経つと以前ほど戦いは熾烈でなくなった。だが別に平和になったためではない。
勢力の強い者と弱い者がはっきりと分かれ、弱い者は強者に歯向かうことがなくなり
勢力の強い者達も無理に戦って消耗することを嫌って他の勢力と同盟を組むようになっただけである。
一部の、戦いから開放された者達の余興として【人類】を含む様々なものが創造されたのもこの時期である。
この「平和」な時代は千年続いたとも、一万年続いたとも、それ以上の年月続いたともいわれる。

145言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 16:08:26
「平和」な時代を終わらせたのは一つの急報だった。とある神々の宮廷に被造物たる
真鍮の伝令鳥が伝えた。多くの欠片からなる大地を繋ぎ止め支えていた大神の髪が
朽ちてほどけ、大地の結びつきが弱くなっている、と。しかし応対した神は
それを信じず、気分を害されたといって真鍮の伝令鳥を粉々に砕いてしまった。
それから数日後、世界各地で大地震が相次ぐようになった。大地の淵にある土地の
なかには大地と切り離され、宇宙のどこかに飛んでいってしまったものもあった。

146言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 16:16:15
とうとう神々も大地どうしが離れかけていることを認めざるを得なくなった。
だが、危機はこれだけではなかった。前々から神々の統治する大陸に侵攻の手を
伸ばしていたアヴロニア島の妖精どもがこの混乱に乗じて
これまでとは比べ物にならない程の大軍でもって大陸に侵入したのだ。
その理由は一目で明らかだった。彼らの郷であるアヴロニア島は
【平たい大地】のまさに端にあったのだ。彼らがあのまま島にいたら大地本体から
離れつつあるアヴロニア島ごと虚空の宇宙に飛んでいく羽目になっていただろう。

147言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 16:26:58
妖精軍の総数はアヴロニア島全人口にほぼ等しいと言っても過言ではなかった。
死にもの狂いの彼らは、優秀な司令官である妖精皇帝エフラスに統率され
瞬く間に版図を広げていった。その間神々らは分離する大地への対策も立てねば
ならなかった。ここで神々の賢者は結論を出した。大地を最も安定した形である【球】状
にすれば大地は離れていかなくなる、と。神々と呼ばれる者すべての力を合わせれば
それは不可能ではない。ただ、大地を球化するならば【地球】の核などの内部となるもの、
つまり「詰め物」が必要であった。その「詰め物」となるべき候補は、悪魔の住む「地獄」であり
その他妖精や精霊の住む土地であった。神々の企みを知った悪魔、精霊、その他妖精らは
勢力の大小を問わず神々の領地に攻め入り、神々の園めがけて進軍した。

148言理の妖精語りて曰く、:2006/05/17(水) 18:02:38
このエフラスという妖精の皇帝はじつは神でもあった。前にもエフラスは妖精軍を率い、
大陸に侵攻し大きく版図を広がったことがあった。この時、神々はエフラスに
神の力を授け神に昇天させることを条件に軍の撤退を約束させたのだった。
彼の率いる妖精の軍勢はただそこにあるだけで大きな影響力があるというのに、
今回はその数をさらに増やして襲い掛かってきたものだから
紀元神群をはじめとする神々にとってはたまったものではない。
今回のようにやむをえない事情があったとて以前に結んだ和平の条約を大きく裏切った
ことは間違いない。神々はこの機会にアヴロニア島を大地から切り離そうと考えた。

149言理の妖精語りて曰く、:2006/05/18(木) 00:09:01
神々は地上で敵と戦うグループとアヴロニア島を大地から分離させるグループとの二手に分かれた。
後者の神々は「魚の服」を着てアヴロニア島沖の海底に潜った。海底にも亀裂は走っている。
「魚の服」を着た神々が亀裂の底に潜っていく。3日続けて潜り続けた結果、
神々はそこに大地を縫う大神の髪を見出した。間もなく、それは切断される。
グループの他の部隊によって同じことがアヴロニア島の海のあちこちで行われるが、
妖精軍も黙ってはいない。妖精達も海中に潜り作業中の神々に襲い掛かる。
水中の乱闘が始まった。この戦いで犠牲となった者も多かったが、
ほぼ全ての髪を断ち切ることに成功した。しかしこれで任務は終わりではない。
神々はグループ総出で亀裂の中からアヴロニア島の岩盤を外へ外へと押していく。

150言理の妖精語りて曰く、:2006/05/18(木) 23:22:51
まあるいドルネスタンルフと鉄願神セルラ・テリスは茶飲み友達である。
ドルネスタンルフはしぶいマイス茶を好み、セルラ・テリスは甘いロクゼン茶を好む。
またこの甘みに釣られて、ときおり黒衣のマロンゾロンドが茶会に同席する。

この言い伝えから、ドルネスタンルフへの捧げものはマイス茶が、
セルラ・テリスとマロンゾロンドへの捧げものはロクゼン茶が定番である。

151言理の妖精語りて曰く、:2006/05/19(金) 12:25:05
【ミューブラン】
亜大陸の中央からやや西寄りの地点にある山。四角錐に近い形状(ピラミッド型)をしている。
かつて魔神族が一、ティリビナ神群の聖域であり、豊かな緑に恵まれていた。そのため『緑の霊峰』
とも呼ばれていたが、古き神ピュクティェトの炎に焼き尽くされ、草一本生えぬ禿山になってしまった。
その変わり果てた姿は『乾いた錐』と称され、ピュクティェトの号の一つ『乾錐神』の由来となっている。

152言理の妖精語りて曰く、:2006/05/20(土) 15:36:51
【ヘレゼクシュ】
西域トロスの東に位置する地域。かつてワリバーヤ王朝が栄えたが
王朝が滅びるとともにトロス三国が一・アロイの支配する地となった。
ワリバーヤ王朝時代の政策の影響で、アロイ統治後もキュトスの姉妹
への忌避と蔑視が強く残る。姉妹への蔑称である【キュトスの魔女】と
いう言葉が生まれたのもこの地である。この蔑称はトロスを通して
トルクルトアや小ペルネーにも広がっていった。

153言理の妖精語りて曰く、:2006/05/21(日) 23:22:41
【ティリビナ神群】
魔神族が一。女性神のみで構成される珍しい神々。かつて亜大陸全土で崇拝され、
他の魔神族と協力し紀元神群に対抗していた。彼女らは亜大陸全体に茂っていた
木々から力を得ることができた。一説ではこの木々は彼女らの一部であったとか。
常に木々から力を得続け、木々に紛れ込む彼女らに紀元神群は苦戦していた。
そこで森を焼き払うことを決心したのがピュクティエトである。
彼女らの力の源である木々を焼いた結果、ティリビナ神群は弱体化し、
この戦いは紀元神群の勝利で幕を閉じた。

154言理の妖精語りて曰く、:2006/05/23(火) 10:16:39
神々に挑んだ妖精と精霊は追い返され、悪魔は神々のさらなる怒りを買うことになった。
そして大地の球化が始ると、【地球】となる大地の内側に詰めるものとなったのは勿論
悪魔と蔑称された者達が住む【地獄】、そして精霊や妖精の居住地であったけして少なくない土地
であった。世界中の神話で地獄や冥府は地下にあるとされるのはこの出来事の記憶ゆえである。

悪魔、またの名を「低き者」あるいは「底に有るべき者」達は世界の最も低い場所に住むものとなった。

155言理の妖精語りて曰く、:2006/05/23(火) 17:21:34
つまり【地獄】とともに悪魔も埋め立てられてしまったというわけである。
それ以後、悪魔(底に有るべき者)たちがどのようにして生きながらえてきたかは
定かではない。だが、地下に閉じ込められた後も伝説や民話に悪魔は登場し
現代でもまれに彼らと思しき者が目撃される。もしかすると、
地底の住民の中に地上世界への道を拓いた者がいたのかもしれない。

156【死びとの森の姫】:2006/05/25(木) 18:15:48
黒き森の姫に操られた五十人の死者の群れは、
たちまちにして近隣のいくつかの村落を取り込んだ。
一晩にして、彼らの数は千人にまで膨れ上がった。

勢いを増した彼らは、続いて鍛冶の街サルテミを襲った。
優れた武器を持つサルテミの自警団はそれなりに優秀だったが、
死者の軍団を前にしては満足な力をふるえなかった。

こうして死者たちは武器を作る技術を手にした。
この時点で彼らの数は五千人。
ヒュールサスの王都が死者たちに埋め尽くされるまで、もう時間はかからなかった。

157言理の妖精語りて曰く、:2006/05/25(木) 21:59:57
【猿薪姫】
東亜大陸の極東に伝わる女神。猿田彦と薄女の娘。
八山八谷を見通す程背が高い。
戦場で命と引き替えに片目を無くす。

158言理の妖精語りて曰く、:2006/05/26(金) 00:58:51
【五法五則】
東方において神すらも守らねばならない原則。

一・罪無き者を害さず
二・他を思う事を害さず
三・友を喰らう事無かれ
四・近親交わる事無かれ
五・【国中の太刀】触れる事無かれ

以上をもって五法とする。
五則は神のみが見る事が出来る。

159言理の妖精語りて曰く、:2006/05/26(金) 01:41:51
【真神】
東方の妖怪・妖精が信仰する名の無い神。
神々よりも古き神とされ、万物を導いた者。
目は東方全てを見渡し、声は東方全てに響き、耳は東方全てを聞き、手は東方全てを抱いていた。

だが人は厳しい真神の導きを捨て、新たな神々を作った。
その新しき神と人は古き真神を討ち果たし、幾重にも切り裂いた。

無数に分かれた体は各々命を持ち、人、動物、神のいずれでも無い者となる。
そのいずれでも無い者は人傷付け、導く者となった。
また一説に、真神の四肢は肋骨、黒御魂、白御魂、剣の四つに変じ、妖怪の頭領に代々継がれると云われる。



柳葉兵々衛国定著『妖怪考五巻・祖霊信仰における真神説の是非』および『同八巻・祭の道具に見る妖の印』より引用

160言理の妖精語りて曰く、:2006/05/27(土) 00:22:09
【泡良紅玉記】

彼の地今だ土なく、海無き頃。
風の揺らぎ寄りて三つ現る。
一つを天子と言い、一つを狗子と言い、一つを蛇子と言う。

三つ各々争いて、休まる事無く。
されど年老いて、狗子躯硬くなり山原となり、蛇子溶けいで海川となり、天子薄らぎ天空となる。
なれど三つ更に争い、時々に血を吹き出す也。

その血形持ちて、山原に住み、海川に住み、天空に住まう。
各々祖の血引きて、強き者也。

三つとうとう死に至り、狗子八つに散り散りと成り、蛇子八十に割け狗子の間と周り囲み、天子魂粗く八つの姿と成る。

三つの子等、三つ無くして彼の地を治むる。

161言理の妖精語りて曰く、:2006/05/27(土) 00:42:54
【泡良紅玉記】
強き者住みし八つ島、八千夜明けとも荒ぶり、各々島が勝手気侭に動く也。
強き者共は其れをほとほと困り、集まりて話をす。

武神の長の【眞速馬神】腰の長き太刀抜き、島々の中の島にそれを突き刺し、島を止むると申す。

強き者共それに賛成し、力合わせ真ん中の島に太刀を刺す也。
島は痛がり熱き血潮振り撒き身を大きく振るわせど、思う通り太刀通りて、島止まる。

強き者共散り散りの島を真ん中に集めるも、蛇子の亡骸が邪魔をし、島は近けれども離れ離れとなる。

162【アルセス・ストーリー】:2006/05/27(土) 03:30:06
「アルセス。こちらにいらっしゃい」
呼んだのはラヴァエヤナだった。知の神、書の守、ラヴァエヤナ。
槍の神のアルセスはゆっくりと振り返る。
「なんだい、ラヴァエヤナ。今日もまたおつかいかい?」
「いいえ、今は別の用事よ。あなたの槍を私にお見せ」
アルセスは槍を掲げた。紀元槍、世界の中心。
ラヴァエヤナはじっと静かに槍を見つめる。
「やはりそうだわ。この槍は死んでいる」
「死んでいる? 槍が?」
「その証拠に、輝きが褪せているわ。
 あなたは槍の所持者として、輝きを取り戻さないといけない」
「それは、一体どうやって?」
「紀元の地へ向かいなさい」

163地名まとめ(暫定)本大陸:2006/05/27(土) 17:19:20
【国家】ミアスカ(御飛鳥):鈴国の分裂後、その中でもっとも勢いのあった国。国技のミアスカ流脚撃術が非常に盛ん。
【国家】トルクルトア:本大陸の近世西域トロスで栄えたトロス三国が一。優れた文化人を多く輩出した。
【国家】北方帝国:ジャッフハリム時代より二千年近い年月にわたって続いた歴史ある国家。
【国家】リクシャマー帝国:商業と軍事を両輪にして繁栄を謳歌した帝国。北方帝国をも支配していた時期がある。
【国家】ガロアンディアン:旧義国圏にある。クランテルトハランス研究者アリラッギの出身地
※ミアスカはチャカ大陸とメアレンに関する記述から本大陸でない可能性もある。
【地域】トロス:西域という地帯にある。トルクルトア、小ペルネー、アロイが栄える。
【地域】ヘレゼクシュ:トロスの東にある地域。かつてワリバーヤ王朝が栄えた。
【地域】ハイダル地方:キュトスやキュトスの姉妹、レメス等の伝承が多く残る土地
【都市】フロントクロン:マロゾロンドによって滅ぼされた商業都市
【都市】ハイダル・マリク:ヌト語で「いとしきこきょう」という意味。世界最古の都市。同名の都市も多い。
【自然】大荒野:北方帝国最北端の農村マクシより70ガロオルクにわたって広がる不毛の荒野
【自然】大森林:【大荒野】のさらに果てにある、ありとあらゆる種類とサイズの植物が伸び育ち絡みあう未踏の地。
【自然】パレルノ山:リクシャマー帝国領土内最大の鉱山であったが、「悪魔の九姉」に襲撃され約六千人が死んだ。
【自然】銀の森:大陸西部にある広大な森。銀色の霧が発生し、【銀の虹】が数十年に一度目撃される。

164地名まとめ(暫定)亜大陸・その他:2006/05/27(土) 17:23:50
【地域】大砂漠東部:遊牧中心の暮らし・精霊信仰(南東からの脅威の眷属)
【地域】大砂漠西部:農耕中心の暮らし・神々信仰(紀元神群)
【都市】トゥルサ:本大陸と亜大陸をつなぐ交通の要所たる都市。
【都市】ジャホラット:亜大陸の東海岸にある都市。ここで高麗ニンジンを語るパピルス文書が発見された。
【都市】トルメルキア:亜大陸地方の東海岸地帯にある大都市で、大砂漠東部のオアシス共同体の総元締め。
【都市】ハーハーン:精霊三兄弟がアルセスと暮らすための神殿風建築物を建てた街。トルメルキア近郊にある。
【自然】大砂漠:亜大陸のほぼ全体を覆う砂漠。かつては森林地帯だった。
【自然】ミューブラン:亜大陸の中央からやや西寄りの地点にある山。かつて緑に恵まれていたが、今では禿山。
上に該当しない土地
【地域】南東海諸島:亜大陸の南東にある熱帯の島々。【南東からの脅威の眷属】の故郷。
【地域】東亜大陸:「高麗ニンジン」の伝承はこの地から交易を経て亜大陸に伝わった。
【地域】【国家】アワラ(泡良):東亜大陸の東にある円環状の島々。
【地域】チャカ大陸:2000年前の地層の調査の結果、当時ミアスカはこの大陸に向かって移動していたらしい。
【地域】メアレン:現在ミアスカが近づいている地。32万年後には両者は一つになると見る人もいる。

165言理の妖精語りて曰く、:2006/05/28(日) 13:35:35
【皿鮫】
東方に棲息する妖怪の一種。水陸両方で活動できる「二足歩行の鮫」。
伝説によると彼らの祖先は人間と鮫の混血であるという。
頭部や皮膚は鮫そのものだが、尾鰭は無く、頭部は皿に似た甲で覆われている。
手は人間のそれに似た複雑な動作が可能なつくりをしており、人のように道具
を作り使いこなすことができる。その性質は獰猛かつ効率主義的。
彼らの行動原理は「他種族は食料、同族は保存食」などと表現される。
のちに東方に来訪した西方の学者は皿鮫を【人魚】のなかまに分類した。

166言理の妖精語りて曰く、:2006/05/28(日) 23:26:56
【泡良紅玉記】
泡良の中島に二柱の神ありて、一柱の名を安良手ノ信彦と申し、もう一柱の名を季稜姫と申す。
舞姫の季稜姫は賢き妻にて、武神の信彦は優しい夫なり。互い慈しみ、信彦は常々季稜姫守りける。

真魔ノ禍神が季稜姫の体を乗っ取りて、信彦に太刀を向けん。
信彦、禍神を払わんと月維剣抜き払い、季稜姫と戦わんとす。
なれど払う手段なくして、太刀合わせたまま七夜明くる。
一番の長鳴鳥が鳴きし時、季稜姫が信彦の顔を突きて、切っ先信彦の左目を貫かん。
信彦はその痛みに堪えかね、乱雑に月維を振いて、季稜姫の脇腹を切り裂かん。
その傷によりて禍神逃げ出ししも、信彦は季稜姫を傷付けた事を恥じて山に隠り、月維剣は帯を幾重に巻きて封じられた。

167言理の妖精語りて曰く、:2006/05/29(月) 15:41:16
パンゲオンは義国の神話では「創造神」、鈴国の神話では「根源神」である。
義国の神話ではパンゲオンは無から世界を創造した。
鈴国の神話ではパンゲオンが世界の素となり、そこから世界が生まれた。
のちに義国と鈴国との国境線付近にあるヘレゼクシュで発祥したアルセス教では
パンゲオンは主神アルセスと同一の存在とされる。アルセス教の創世神話では
アルセス=パンゲオンは「虚無に自らを分け与えることで世界を創造した」とされ、
ここには義国と鈴国の神話が融合したようなパンゲオン観がみられる。

168言理の妖精語りて曰く、:2006/06/02(金) 01:06:37
荒野の一面に広がる、無数の妖精の潰れた死骸。
その惨状の中心に血塗れのセルラ・テリスは立ち尽くす。

やがてそこに、もう一柱の神が現れる。
鎮座する球神ドルネスタンルフ。

「これは私がやった」

セルラ・テリスは驚いて振り返る。
無機たるドルネスタンルフに表情はない。

「私が殺したのだ。連中にはそういうことにしておこう」
「だけど、」

セルラ・テリスは次の言葉が続けられない。
口を開いたまま放心し、やがて俯き目を瞑る。

「……ぐすん」

169言理の妖精語りて曰く、:2006/06/09(金) 15:47:33
【ウィ―タスティカの三兄弟】
【南東からの脅威の眷属】の精霊三兄弟。トルメルキア近郊の都市ハーハーンに
アルセスと暮らすための愛の巣【ウィ―タスティカ】を建てた。ウィ―タスティカ
の名は亜大陸の伝承に登場する、【潤星】(水星)にある楽園の宮殿に由来する。
その名に恥じぬ神殿風のたたずまいは美しいが、内部には神をも閉じ込める法具が組み込んである。
・・・三兄弟はアルセスがたとえ一度自分たちの元に来ても、もう逃がす気はないのだ。

170言理の妖精語りて曰く、:2006/06/09(金) 16:00:17
長男【アリアロー】
三兄弟の長兄。「兄弟のまとめ役」を自負しているが、その暴走ぶりは三兄弟でも随一。
傍目から見ようと、どこから見ようと「まとめ役」のあるべき姿からは程遠い。
次男【ダワティワ】
その名はダワティアとも発音する。「女性的な」言動や身振り手振りが特徴。
「ハァハァハァハァハァハァハァ.........ウッ」→「ウッ、ウッ、ヵァ――ッ!」
「ただ愛したいだけなのに。」→「否、愛し愛たいだけなのよ…」への流れは定石である。
三男【テンボトアン】
かの強大なる紀竜【オルガンローデ】の製作にも参加した【眷属】でも有数のインテリ技術者。
【ウィ―タスティカ】の設計を担当したのも彼である。アルセスへの愛も兄達に勝るとも劣らない。

171言理の妖精語りて曰く、:2006/06/09(金) 16:07:22
>>170
6行目
「ハァハァハァハァハァハァハァ.........ウッ」→「ウッ、ウッ、ヵァ――ッ!ところで」
に訂正。




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