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【デルタフォース】クラスの三バカの日常Part5

1Ψ:2011/02/05(土) 22:54:39 ID:7MRi28Lg
「クラスの三バカ」こと上条当麻、青髪ピアス、土御門元春、並びに途中でできたバカップル【例:上条×ミサカ・土御門×白雪・青髪ピアス×白井・一方通行×打ち止め 等】はもちろんクラスメートや先生達、常盤台の生徒やオリジナルキャラも登場可能なリレー形式で学園都市や魔術世界の日常をどんどん書いていくスレです。ギャグ中心でシリアスは控えめに。雑談も控えめに。

初心者大歓迎です。

次スレは>>970 の人が建てること。(無理な場合は新しい番号指定お願いします。)

Part1↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1210612236/

Part2↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1262012651/

Part3↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1266059443/

Part4↓
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1273412014/

まとめwiki↓(2月5日現在、停止中)
ttp://www31.atwiki.jp/kinsho_second/pages/14.html

251±:2011/05/27(金) 22:11:26 ID:Wfa28teY
ёさん、ありがとうございます
多分、矛盾はないはず……?

――――――――――

「むっ、無理無理無理無理っ!!!」
「無理じゃないにゃー、やれ」
「ファイトやでー、紫木はん」
「そォだ紫木……やりやがれェ」
「俺はお前の事応援してるぞ、紫木!!」
「なんでこんな時に限ってバカルテット勢揃いで応援なんだよ!!つーかそういう交渉ならもっとふさわしいのがいるだろうが!井ノ原とか」

 本人に告白するのはいいのに口説く――もとい交渉するのは嫌がる男、紫木。
 紫木はいきなり背後から何者かに触られ振り向くとそこには笑顔の真夜がいた。

「そういうことは僕は得意じゃありませんから。お任せしますよ、友くん」
「………そういえば紫木くんの下の名前って友だったよね……」
「基本、みんな紫木か情報屋だしな……呼ぶとき」
「もしかして、もしかしたらじゃなくて、俺の下の名前、みんな忘れてたのか!?―――って、俺気がついたら逃げ場なし!?もはややるしかねーのか!?」
「「「「「「だからやれって言ってん(ン)だよ(言っているんですよ)」」」」」」

 上条、土御門、青ピ、一方通行、真夜、翔太ら全員につっこまれ逃げ場をなくす紫木。
 そんな紫木に残された行動はひとつ――上条の昔の口癖を叫ぶ事だった。

「ふっ、不幸だぁーー!!」

――――――――――

 結局、紫木は上条の真似をしてもどうにもなるわけではなく吹寄を口説きに―――もとい交渉しにきたのであった。
 そして当然交代したくない吹寄にこんな事を頼めば、紫木が酷い目にあうのは目に見えていた。

「情報屋………あたしを馬鹿にしてるのか?」
「しっ、してません!断じてっ!!」
「つまり情報屋、あんたはあたしより活躍出来ると?」

 多少なり怒った形相で話しかけている吹寄。
 紫木は吹寄を落ち着かせるために土御門に言われた殺し文句を実行した。

252ё:2011/05/29(日) 10:35:39 ID:CK7StjOI
「……正直言うと出来ないと思う。けど俺頑張るから! 吹寄に認めてもらえるように!」
「情報屋、貴様どうしてそこまであたしに……」
「それは……一緒に遊びに行った時にちゃんと言いたいから後にしてくれると助かる。俺は吹寄に勝利を捧げたい、吹寄の笑顔が見たいから」

 一瞬よぎったのは自分が吹寄に惚れた理由、しかし情報屋はここで言うのはお門違いだと思い口にはしなかった。
 吹寄は情報屋の言葉に心動かされたのか、顔を赤くさせたが本人に見られるわけにもいかないのでそっぽを向いてベンチへと向かう。
 しかしその途中、白雪に赤面してる顔を見られた吹寄はそれをネタに弄られてしまうことに。

「へー、吹寄さんの恥ずかしがってる顔って可愛いねー♪ いつものツンツンしてる顔よりもそっちの方が魅力的だよ」
「なんですと? 吹寄のデレ顔とはなんともレアだにゃー♪ これは是非とグオッ!」
「だっ、黙れ土御門! とっ、とにかく絶対に勝ってよね! あたしがベンチに引っ込んで負けたら全員タダじゃおかないから!」

 ベンチに下がった吹寄を見て上条は思った、ツンデレだなぁと。
 そして交代で入ってきた一方通行が空気を読めない宣言をする。

「よォし、ここで俺が逆転ゴールを決めて優勝……ンだよテメェら、その呆れたツラは」
「あのさアクセラ、ここは情報屋の顔を立てて情報屋にゴールを決めさせるもんだろ。それくらい上条さんにだって分かりますのことよ」
「全くアクセラは打ち止めちゃんの前だとカッコつけたがって困るぜい。前半結構活躍したんだからもう充分だろ?」
「せやでアクセラはん。紫木はんの事情を知ってる身としてはここは華を持たせるのが普通やで。どんだけ幼女に好かれブルゥへ!」

 デルタフォースに言われ、確かにその通りかもと揺らぎ始めた一方通行は悩みだす(青ピを殴ったのは無視して)。
 するとそこへ白雪、真夜、翔太が一方通行を後押しするように言葉をかける。

「得点は友くんに譲るとしてもそのアシストを一方通行くんがすればいいんですよ。それでも充分に活躍したことになりますから」
「井ノ原くんの言う通りだよ。ゴールを決めるだけがサッカーじゃないし、逆転劇の演出の方がカッコいいと僕は思うけど」
「それに普段はしない誰かの援護をするアクセラくんを見たら打ち止めちゃんだけでなく観客みんなもいい印象持ってくれるよ、きっと」

 3人の後押しで情報屋の逆転ゴールのアシストをする決意をした一方通行、彼の頭の中は打ち止めの笑顔6割と情報屋の恋の成就&チームの優勝が4割だったりする。
 一方通行たちの輪に入っていない姫神と浜面&半蔵も、

「紫木くんの為じゃない。吹寄さんの為に。私達も紫木くんをフォロー。2人とも。協力をお願い」
「「了解です姫神さま!!」」

 チームの勝利の為に頑張る事を改めて誓う、ただしモチベーションは情報屋ではなく吹寄だが。
 そして試合再開、【歩く教会】チームは絹旗がボールを持って先手のパターンでもある【窒素装甲】のパンチによるシュートを撃とうとするが、

「何度も同じパターンが出来ると思ってンじゃねェぞォ!」

 MFに入った一方通行が脚力のベクトル変換であっという間に絹旗との間合いを詰め、ボールに蹴りを叩き込む(翔太がDFに下がって)。
 しかし即座に絹旗も対応、本来得意としている防御の体勢に入って一方通行のシュートを吹っ飛ばされながらもボールを真上に飛ばした。

「……いたた。ったくアクセラの奴、超手加減無しですね。ステイル、ボールを超頼みます!」
「任せろ! 悪いが土御門、高さ勝負なら君に負ける気は全くしないよ」
「ちいっ!(DFのステイルが攻撃参加だと? ゴール前には結標、削板、心理掌握だけか。成程、攻撃特化で行くつもりか。面白ぇ!)」

 DFのステイルが攻め上がってきたのを受けて土御門はすぐさま【歩く教会】チームが攻撃集中の構えを取ったことを理解、楽しいと思いつつ受けて立つことを決意する。
 土御門と競り勝ったステイルがヘディングでエツァリ、エツァリからショチトル、ショチトルから五和へとダイレクトパスで素早く繋ぐ。

253ё:2011/05/29(日) 10:54:43 ID:CK7StjOI
 右サイドから猛然と切り込んでくる五和の前に真夜が立ちはだかる。
 先程の1対1の攻防がまた見られると思った観客は期待するが、

「すみません。今は自分のことよりもチームの勝利を優先します!」

 五和はPAへと走り込んでいた麦野と御坂妹を視界に収めてセンタリングを上げる。
 一見すると五和が勝負を投げたと思われるプレーだが、チームの勝利の為に無茶を控えたことに真夜は気付いていた。
 そのセンタリングに麦野が反応、ジャンプしてヘディングシュートを撃とうとするが、

「そない簡単にボク相手に制空権取れる思うたらアカンでお姉さん♪」

 長身の青ピ、しかも災誤によって鍛えられた体を前に競り負けてボールをヘディングでクリアされてしまう。
 しかしそこに守備完全無視で攻めに専念していたインデックスが詰めてボールをキープしてドリブルで情報屋をかわす。
 インデックスは御坂妹にパスを送ろうとしたが翔太がマークに付いていたので自分でゴールへと攻め上がり、この試合で初めて上条との一騎打ちをすることに。

――――――――――

 ようやく球技大会編のゴールが見えてきました、ここまで長くして本当にすみません……。
 吹寄と情報屋のデート編が早く書きたいなと思っていたりします。
 でもその前に初春がイギリス留学したことを知った神裂&建宮の扱いとか、学園都市入りしてる2人(オルソラとアンジェレネじゃない方)のことも少し書きたい……。

254Ψ:2011/05/29(日) 17:38:52 ID:/Xvrp.0w
たまに姿を現すψですw
ёさん、それは全部一緒にしてGWにやれば良いと思いますよ。
後球技大会になったら俺も少しは参加すると思います。球技大会は本当に何も内容が思いつかなったもので^^;
まぁ、時間が取れればの話なんですけどねww

255±:2011/05/29(日) 21:31:43 ID:x39T3aL2
僕もψさんの意見に賛成です
………でも、神裂と建宮は絶対いろんな意味でダメダメになってそうだな……

――――――――――

「覚悟するんだよ、とうま!右に蹴るんだよ!」
「あいにくとそこまで馬鹿じゃないぞ、俺は!」
 言った方向と逆の方向に蹴るという馬鹿しか引っかからない典型的な騙しを使ってきたインデックス。
 流石の上条もそんな簡単なのには引っかからず、なんなく左に蹴ってきたボールをキャッチした。

「よしっ、このまま逆転だ!土御門!!」
「了解だにゃー、いくぜい!」

 上条からのパスを華麗にトラッピングする土御門。
 そして土御門はそのまま持って上がろうとした時、その前に2つの人影が飛び出してきた。

「そんな事、超させませんよ!」
「ここは通しません!とミサカは身体をはってボールを奪いにはいります」

 ボールを奪うために土御門へと駆け寄った絹旗と御坂妹。
 流石の速攻に土御門もなすすべない――のように思われた。

「お勤めご苦労様だにゃー」
「「えっ?」」

 ニヤリと少し笑ってからバックパスを出す土御門。
 いきなりの行動に絹旗と御坂妹は反応出来なかった。
 そしてその出したパスに反応して駆け上がる影が1つ。

「行くぞ、情報屋!!」
「って、おい!いいのかよ、上条!ゴールほっぽりだして!」
「ここで決めれば何の問題もない!それにもしもの時は真夜に任せたから大丈夫だ!!」

 土御門からのバックパスを広い、情報屋を引き連れて駆け上がる上条。
 行かせまい、と追いかけようとする者達もいたが……

「悪いが、ここから先は一方通行だ!」
「悪いけど、紫木くんの恋路の邪魔はさせないよ!それっ!!」
「浜面。半蔵。やっておしまい」
「「了解しますた!姫神様!!」」
「僕もいるでー!」
「さあ、死にたいやつからかかってくるにゃー!」
「元春、それ死亡フラグ………まあ、何はともあれここは通さないよ!」
「ゴールは僕に任せて皆さんは当麻くんと友くんの援護を」

 上条チームの残り全員が守備に回り、【歩く教会】チームの動きを封じはじめた。
 そのために上条と情報屋のコンビは2人で削板と結標を抜き去らなければならなかった。
 残り時間はロスタイムも含めてあと僅か、ココで決めた方が勝つ事となる。

256ψ:2011/05/29(日) 21:46:21 ID:/Xvrp.0w
今更ながら>>254誤字してたorz
「球技大会になったら」じゃなくて「球技大会が終わったら」じゃん。
とりま、球技大会が終わったら多分参加しますので。
無駄にレスしてしまってすみません。

257ψ:2011/05/29(日) 21:47:38 ID:/Xvrp.0w
あ、後どうでも良いけど大文字のΨから小文字のψに変えますね。特に意味は無いのですけどww

258:2011/05/29(日) 22:39:01 ID:CCG5eQsY
±さん、ёさん、急に専門用語がいっぱいでてきましたが
勉強してきたんですか?
私もスポーツものは得意でなかったのでついさっきようやく追いついたと
いったところでした。
苑内達の様子ももう1回ぐらい書きたかったんですが、もう、決着付いてからで
いいや。

259ё:2011/05/31(火) 07:34:31 ID:LQPu0.MY
「さぁ来い上条! お前の根性と俺の根性、どっちが上か白黒ハッキリつけようぜ!」
(まさか削板の奴、ここですごいパーンチってのをやるつもりか? いや、いくら何でもそれは無い。とすると……)
「行くぜ、すごいスライディーング」

 削板のすごいスライディーング、要は音速の2倍の速度で繰り出されたスライディングである。
 しかし体は地面を滑っておらず超低空で飛んでいるのでスライディングというより飛び蹴りと呼ぶ方が正しいのかもしれない。
 普通に考えれば避けられないのだが上条は普通のカテゴリーに収まる人間ではない、強敵との戦闘をくぐり抜けてきた猛者なのだ。

「なにっ! かわしただと!」
「悪いな削板。今はお前と真っ正面から勝負するつもりはねぇんだ。何せ人の恋路がかかってるんだからな!」
(他人の恋の為か、ホントに根性入ったすげぇ奴だな)

 削板のすごいスライディーングをジャンプでかわした上条、着地して心理掌握の守るゴールへと切り込んでいく。
 ところがそこへ【歩く教会】チーム最後の砦が上条の進撃を阻む。

「削板を抜いたからって気を抜き過ぎよ!」
「うわっ! む、結標っ!」

 【座標移動】で上条の前に現れた結標の鋭いスライディングで上条はボールを取りこぼしてしまう。
 宙に舞ったボールにいち早く反応したのは白雪で、雪の翼の力強い跳躍ですぐさまボールに詰め寄ると雪の翼でボールを撃ち出す。
 コースは【歩く教会】チームのゴール右上隅、しかし心理掌握もきっちり反応していた。

(コースは厳しいですがキャッチは出来ますわ。そして近くまで下がっている削板さんへパス。すごいパーンチで逆転で試合終了、いけますわ!)
「ナイスセンタリングだァ白雪ィ! 行ってこいよ紫木くんよォ!」
「のわああああああああああああっ! へぶしっ!!」
「(アク様がチームメイトの誰かを撃ち出した!)し、しまったっ!」

 そこにいつの間にか情報屋の後ろに回っていた一方通行が情報屋を風のベクトルを操作して射出した。
 暴風で飛ばされるという人生の中でもワースト3に入る恐怖体験をしている情報屋の顔面に白雪の撃ち出したボールが上手い具合にヒット。
 そしてボールは心理掌握とは逆方向に飛んでゴールネットを揺らしていた、上条チームの逆転である。

260:2011/05/31(火) 22:51:03 ID:dQWh5qN2
観客席(ロイヤル一家+浦上)

「ウワーーーー!!!スゴイスゴイスゴーーーイ勝っちゃったーーーー!!!
 やっぱり一方通行様ってスゴーイ、カッコイー!!!」
 セレナードは興奮しっきりでキラキラと満面の笑みをたたえて喜び、浦上は両親と共に、その様を微笑ましく見ていた。
しかしやがて
「さてっと。じゃぁそろそろ帰ろぉっと。」
と言って席を立ったのには驚いた。
「えっ。もう帰っちゃうんですか?これから式典とかがまだあるのに。」
 と、尋ねると、セレナは困ったように首を傾げて言った。
「うん。本当言うとこれからも楽しみたいんだけどぉ。でもねぇ、足を直しに行かなくちゃぁ。」
「え?だったら丁度いいですよ。今ここには学園都市1の名医が…」
 しかしその言葉を父が、何故かどことなく有無を言わせない様子で遮った。
「すみません浦上さん。ナターシャの足は専属医でないと直せないんですよ。」
「あ。でも、松葉杖が……」
「いいですよぉ。向こうに連れて行ってもらったら別にありますしぃ。
 ママァ、たしか真羅(しんら)さんは……」
「今は助手さんと一緒にここに来ているから先に行ってなさいって。」
「わかりましたぁ。じゃぁねぇ浦上さぁ…」
「ま、待ってください!!せめてちゃんと杖を受け取って……」
「ううーん、私もこれから先も見たんだけどぉ、ほら、この後いろいろあって落ち着いて
冷めちゃってから帰るよりわぁ、少しでも興奮とかときめきとか残したままにしたいでしょぉ?
ほらぁ、もう私じゅうぶん満足しましたしぃ。」
 まあ確かに1理ある。恐らく病院に行って入院するんだったら、ある程度試合のことを思い出して
余韻に浸りながらの方がいいだろう。しかし、あくまで麦野によるもので
天草式(自分達)は関係ないとはいえ、このまま帰してしまうのは飾利から世話を任された身としてはいささか気分が悪い。そこで、
「わかりました。じゃぁ、後で必ずあなたの下に素敵な松葉杖を送りますから。
 ロイヤル・N(ナターシャ)・セレナードさん、ですね?」
「うん、浦上お姉さん、初春飾利さんにもよろしくね。また会いたいって。」
「伝えておきましょう。」
 こうして、セレナは早々と両親にかかえられながらスタジアムを去って行った。
 浦上は知る由も無かった。彼女がこの後半、新しく投入されたある選手に注目していたことなど。
「あれが、真羅さんの息子、井ノ原真夜……『会うのは』初めてですねぇ。」

261:2011/05/31(火) 22:54:32 ID:dQWh5qN2
観客席(スキルアウト+剣道部員)

 自分達が応援しているチームが勝ったスキルアウトは、風船をヒューヒューと
上げるやらクラッカーや爆竹をバンバン鳴らすやら、挙句の果てにはビールや酒類をありったけ開けまくるやらで、周囲と比べて格段に騒がしくて浮いていた。
「ヒャッハ―!!やったぜ浜面さん半蔵さん。」
「てゆーかあの曲がるシュートってなんなの、未だ分かんないんだけど私。」
「細けえことはいいんだよ俺も何で曲がったのかわかんねぇし。」
「おい、打ち上げ会の予約とってあるんだろうな。例のディスコだぞ。」
「当ったり前だぜ!!今夜は呑みまくって浴びまくるぜ!!」
「ヒャッハ―」
「ヒ―ハー」
(客席でこうっていうんなら夜はどんだけはしゃぐのよこいつらは!)
「麗奈様ぁ。勝っちゃいましたね麗奈様の予想通り。」
「えっ。ええ、そうね。ほら、私の言った通りでしょう?」
「あーあ、こっちもいい試合していたと思ったんだけどなあ。」
(良かったー、これで京都に行ける蛍を見れる♪)
(ま、いっか。お泊まりなんて、夏の間いくらでも理由をつけてできそうだし)
 各々がまあそれぞれ胸中で結果について納得していると、スキルアウト達が一斉に新坂に詰め寄った。
「新坂―!約束通り連れてってもらうぜ京都―!」
「分かりましたー。そっちの浜面さんと半蔵さんも頑張ってたみたいだし、慰安旅行だと思えばいいですよ。
 ほら、ここでよかったんですよね麗奈様?」
 そう言って持っていたケータイで蛍観光ガイドのページを確認して、スキルアウト達と打ち合わせをし始めた新坂。
 そんな彼を横目で見て、麗奈はぼそりと呟いた。
「あなたの費用持ちそれ?」
「まあ、負けちゃいましたからね。だからちょっと行ける人数には限りがありますけど…ここに集まっている人々は……うん、全員行けますね。浜面さんと半蔵さんも含めて。」
「ねえねえ、どうせならあの2人の彼女達も連れてったら?出来る?」と、スキルアウトの女子1人が、郭と滝壺のことを思い出して尋ねたところ
「えっ?ええっと…あと、1人ぐらいなら……」
「そう……ま、考えとくわ。」
 滝壺の方は暗部の報酬があるので1人でもまかなえることをまだ知らない不良少年達。
 そんな中、植森少年は彼女達が試合中ときどきしていた会話の中で気になっていたことを訊いた。
「あ。それからさお前ら。なんか絹旗について心配ごととかある風だったよな。」
「ええ、あの人がいると、球技大会のパワーバランスが……」
「おまえらで十分賄えると思うけどな。なあ?」
「「「「うん。」」」」
 音頭を取っていた植森の問いに、他のスキルアウトは全員一斉にうなずいた。
「そうかしら?」
「どうでしょう?」
「いやだって麗奈、お前石やコンクリートぶった切ったって聞いたけど?」
「あれはあくまで木刀持っていたから……」
「「「「それで切れるお前が凄いよ」」」」
「それから新坂、お前なんかも」
「うーん…どうでしょうかぁ…」
 新坂は腕を組んで真剣に悩んでいる風だったが、彼の細身のどこにこんな力が……
かつては駒場利徳とスピード、体力でほぼ互角に渡っていた様をよく見ていたスキルアウト達に言わせると、
彼のことが絹旗より……ある程度能力で強化された彼らから見たらよくある種の手合いより遥かに脅威といえた。
 むしろ闘い慣れた彼らから見たら、下手したらまだ絹旗よりこいつらの方が実力が上なのではと真剣に考えてしまう位だ。
しかもこれで2人ともまだ修行中ということで腕を上げてきているというのだから恐ろしい。
「ま、後で直接絹旗と話し会った方が早いわね。」
「まあそうでしょうね。あーあ。以外と痛い出費ですよ。
 もし京都で面白いことが起こりそうとなったら、お父さんがいくらでもお金出してくれるんだけどなあ。」
「ああ、ありそうねあの男だったら。今ここに来ているの?」
「ええ、こんな面白いイベント逃すはずないでしょう?何より自分でセッティングしたんですから。」

262:2011/05/31(火) 22:55:49 ID:dQWh5qN2
 はしゃぐ選手達から離れた所では、審判としての仕事を終えてきた災誤を含めた教師陣が、
落ち着かない様子でそわそわしながら観客席のある方向を見ていた。
 やがて子萌先生の携帯が鳴り、彼女が緊張した声で応じ続け、やがてパタン、と、ケータイを閉じると、プルプルと震えていた。
「子萌先生…ダメでしたか?」
 災誤が心配そうに声をかけると、


「ヤッタ―!!!やりましたよー!!!」 


 子萌先生がバンザーイ,と伸びをしてニコニコと他の先生に報告し、その結果にワ―っと教師陣から歓声が上がった。
「ごっ合格ですか!?」
 思わず親船素甘が訊き返すと、子萌先生ははいーと応じた。
「今後こういう『面白そうな』ことやらかしてくれるんあら、わが校への出費は惜しまないそうです。」
「そ、それじゃあ修学旅行や能力強化合宿なんかは…」
「期待できそうですねー」
「私達(教師)のボーナスは!」
「もっちろんですよー」
「ヨッシャ―!!!」
「いやあ、子萌先生のクラス様様ですよ。」
「ほんとですねえ、よりによって統括理事会のあんな人の目に止まるとは。」
 教師達が見上げた観客席の最上段、そこではこの学校の校長がぺこぺこと側の男に頭を下げていた。
 黒のタキシードを着た、キザな風ではあるものの非情に優雅さを漂わせた青年といった面持ちの男は、どこか悪魔か吸血鬼を思わせた。
「あの方が以後私達のマネージャーになる学園都市統括理事会の1人、新坂道男(あらさかみちお)さんですよー。」
 子萌先生が指差した男を見て、黄泉川はケッと吐き捨てた。
「なーんかキッザな感じするじゃん。実際は馬鹿なことばっかりやりまくってるくせに。」
「よっ黄泉川先生、マネージャーさんにそんなこと言うもんじゃありませんよー、第一おバカちゃんが好きじゃなかったんですか―?」
「ブルジョワ階級の成金遊びはまた別じゃん。」
「そうですかねー、先生はああいう楽しい人は好きですよ―、子供みたいじゃありませんかー。あれ、親船先生?」
 親船素甘は、ホームページで見た彼の昔の写真と指差された男をきょろきょろと見比べながら呟いた。
「あの人……中学の息子がいるんですよね……それであの若さ……しかもしかも、どう見てもこの昔の写真より若返っている……
どんな健康法使っているのよ一体……」
「ええっと……やっぱり活気があふれるというか…子供の心を持っていると若返るんじゃないんでしょうかねえ。」

263:2011/05/31(火) 22:58:33 ID:dQWh5qN2
 子萌先生がそう言うのも無理はない。
 親船最中が外交、潮岸が軍事とするなら、
新坂道男の役割は情報と呼べた。
 主な仕事は学園都市に入ってくる外からの情報や、
逆に学園都市が外へ流す情報の取捨選択、操作といったものだった。
 その腕は優秀で、ロシアとの戦争時に学園都市内部に波風を立てず、
逆に外に対する情報開示により混乱を起こし、学園都市の交渉やアピール、世論操作に大きく貢献した事実がそれを物語っているのだが、彼が学園都市の人々に知られている所以は、
むしろ趣味が人をからかうことといっていいくらい、無駄に金をかけた様々な悪戯をしでかしてくる担ぎ屋ぶりで、周囲からは「大金を持った馬鹿」と見られている。
 かつては仕事人間だったのだが、礼男を生んだ奥さんに逃げられて以来、(そのため現在は父子家庭)精神年齢と
見た目の年齢が大きく若返ったらしく、事実親船教師が見ているかつての彼は、初めて見た人から見るとどうしても目の前の若々しい男が十年以上の時を経て貫禄を得て口髭を生やしている風にしか見えなかった。
(親船最中と対立したとき、名前と見た目を彼女そっくりに仕立てた部下に、本物の彼女とは正反対の主張の講演をさせて親船最中の講演のつもりで来た観客達を困惑させただの、
学園都市の成立日の祝日に、馬車を使ったパレードを行い、外国の王族がやってきたというデマを流して民衆を熱狂を起こして、実際は彼自身が乗って学園都市中を回っていただけだっただの、エイプリールフールに「学園都市がタイムマシンを発明した」という嘘ニュースを流して、昔の身なりをさせた人物と、人体消失の手品を使った大規模なセットや演出で本気で信じた人もいたりして、未だ学園都市ではエイプリールフールを「ロード・デイ」と呼ぶ人もいるだの、よくやるじゃん。こんな人だから、このイベントも見逃すはずなかったじゃん。)
 そう、他でもないこの男が、当初常磐台で行われる予定だった今回の球技大会の決勝戦の変更を提案し、その為にわざわざ管轄外の学園都市のスポーツドームを貸し切り、メディアの専門として面目躍起といった広報を行って、今回の1大イベントに仕立てたのだった。
 普通なら非常に有難いはずの存在の男に対し、黄泉川愛穂だけは親船とは違う意味で、即ち非情に胡散臭そうな目で彼を睨めつけていた。
(子萌先生はああ言っていたけれど……色々と悪い噂も絶えない男じゃん。拷問ショーなんかもよく見物して、自身も様々な責め苦を考え付いたりするような、興味の方向が危ないところにも向いていることもあるとか、無類のゲーム・ギャンブル好きで、その黒づくめで歳不相応の若々しい上品ないでたちと、多くの者達を負かしてその金・場合によっては命さえも奪う圧倒的かつ容赦ない勝ち方から「吸血鬼」の異名を取っているとか、勝負に関する取り決めはそれが『どんなものでも』容赦なく執行するとか……よくよく用心しといた方がいいじゃん。)

264:2011/05/31(火) 23:01:27 ID:dQWh5qN2
最後の投稿、改行あんまりしなかったせいで、無茶苦茶になっちゃった……
キャラのあまりの増加が叫ばれましたので、新坂道男については本編では
「友愛高校のスポンサー」という存在だけで登場させ、セリフなんかは
つけない予定です。
ただ、すごいキャラではあるので外伝で活躍させたいです。
あと、井ノ原真羅については、朝陽さんが出たんだから、研究者の父が出ても
いいかなって……

265:2011/05/31(火) 23:11:34 ID:dQWh5qN2
>>261の最後に付け加えるセリフ(新坂の)
「後で自分の仕事が何倍にも増えるっていうのに…自分の父ながらよくやるよ。」

266:2011/05/31(火) 23:14:19 ID:dQWh5qN2
あと、どなたか、井ノ原姉弟の外見的特徴が書かれている所を
知りませんか?2人は似ているようですが…
父親を書くとき、子供に似ている風にしたいので。

267§:2011/05/31(火) 23:45:45 ID:IQ7.xTGQ
ひさびさにやって来ました。とりあえず本編(ピッチ内)を投下です。

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「き、」
「「「「「「「「「「決まった(ァ)ーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」
「やりやがったな情報屋!」
「あの野郎なんて根性入ったヘディング(?)なんだ!!」
「お前らまだ気抜くんじゃないぜよ?まだ試合は終わってないんだからにゃー」
「あれ?友くんは…?」

テンションが最高潮に達するスタジアム。
そんな中このゴールの主役である紫木は…

「ぐふぅ、あ、アクセラぁ…。感謝してはいるが別な方法は無かったのかよぉ」
「ンだァ!?せっかくゴール譲ってやったンだろォが!?文句でもあるンですかァ!!?」
「いや、だからもっと優しくできなかったのかって…」
不機嫌になった一方通行におどおどしながらも自らの意見を述べる紫木。
しかし

「一方通行!!貴方のアシストいぶし銀で痺れちゃった!ってミサカはミサカは賞賛を送ってみたり!!」
という打ち止めからの声で機嫌をなおし
「打ち止めァ!次はオレがゴール決めて差を広げてやるぜェ!!」
と言い残し自分のポジションへと帰っていく。

その頃逆転を許した【歩く協会】チームは…
「すいません。あそこで私がもっとアク様の動きに気を配っていれば…」
「過ぎたことは仕方ないんだよ。それに相手の攻撃力を甘くみて選手をあげるようにいったの私にも責任はあるかも…。それよりもいま話し合わなくちゃいけないのはいかにしてこの短時間でゴールを決めるかなんだよ!」
「確かに。残り時間はあと僅かだね…。」
「でしたら…とミサカは最後の賭けとなる戦略を提示します。 ごにょごにょ」

「!!いや、でもそれは…!」
「でもここまで来たら超覚悟決めましょう!!」
「そうね、それしかないわ!」
「こんなに根性入った作戦は初めてだ!!」
「腹をくくるしかないね。」
「なんとしてでもとうま達にかつんだよ!!」

【歩く協会】チームは御坂妹の提案した最後の賭けにのった。

その『最後の賭け』の正体は

「「「「「「「「「「「決着はPK合戦で(超)お願い(するんだよ)(するよ)(します)!(とミサカは頭を下げます)」」」」」」」」」」」

「は、」
「「「「「「「「「「「は(ァァァァァァァァァァァァァ)ああああああああああああああああ!!!!???」」」」」」」」」」」

268:2011/06/01(水) 00:11:21 ID:fhXpXStQ
あれー、終わりじゃなかったの―?

269ё:2011/06/01(水) 08:47:57 ID:MY2pJmJE
私が書いた>>259ではあくまで情報屋が逆転ゴールを決めただけであって試合終了とは書いてませんからねぇ。
☆さんの投下分は試合が終了してから繋げても大丈夫かと思いますよ。

それといきなり井ノ原ツインズの父親の名前が出て驚いてますが専属医ってことは医者なんでしょうけど職業違います…。
第11章の『終わりなきバカップル』でミニ情報として父親は科学者と書かれてます。
セレナの足が科学者でないとどうにか出来ないのであれば納得は出来るんですけど。

270:2011/06/01(水) 18:00:48 ID:MDrIPVIQ
そのとおり、医者ではなくて科学者です。
「専属医」というのは、あくまでセレナの父がそう言っていただけです。
>>168は完全にいらんかったなと痛感。

271:2011/06/01(水) 20:58:50 ID:WSSF4aiw
あと、当初の設定では月夜と仲良くなるはずが
浦上と懇意になったのには驚き。
こういう意外な展開が、リレー小説のいいところです。

272ё:2011/06/01(水) 21:01:30 ID:MY2pJmJE
§さんの続きから投下します。
試合終了後、☆さん投下分の>>260〜>>263に繋げる形で。

――――――――――

 【歩く教会】チームの最後の賭け、その内容に上条チームは怒りを通り越して呆れていた。
 何とか気を取り直した土御門が冷静に【歩く教会】チームキャプテンのインデックスに尋ねる。

「なぁ禁書目録。要するにお前さん達は今までの試合は無かったことにしてPK合戦で本当の決着をつけよう、そう言いたいのか?」
「うん。さすがはもとはる、察しが良くて」
「ふっざけんじゃねーーにゃーーっ! 今までの努力や汗を無駄にするような提案なんぞ呑めるわけねーーだろーーっ!」
「ふふんっ、超分かりました。土御門は私達とPK合戦で勝つ自信が超無いから拒否するんですね。まったくとんだ超チキン野郎です」

 【歩く教会】チームの不条理極まりない提案&絹旗の暴言に土御門もさすがに我慢の限界に来ていた。
 そこに真夜が割り込んで【歩く教会】チームを正当かつ容赦の無い追い込みを仕掛ける。

「すみませんがあなた達のそのプライドの無い提案、受け入れることは出来ません。試合終了後ならまだしも試合中ですよ」
「そ、それはそうだけど……」
「それに泣きの1回のようなPK合戦、今まで僕たちを応援してくれた観客の皆さんに申し訳ないと思います。それに潔くありません」

 真夜の物言いに【歩く教会】チーム全員が何も言えなかった、麦野や絹旗でさえも。
 そして止めとして真夜がPK合戦を反対する理由が語られるのだが、それは意外にも【歩く教会】チームの不利を示すものだった。

「PK合戦になったら僕達は当麻くんじゃなくて一方通行くんをキーパーにします。風のベクトルを操作すればどんな相手だって止められますから」
「……確かにそうよね。私は【座標移動】でのボール移動は禁止されてるから直接ゴールは決められないし……。誰も決められないんじゃないかしら?」
「流石は淡希さん、理解が早くて助かります。そちらもその白い学生服の人の奇妙なパンチがありますけど一方通行くんのシュートは止められないですし」
「そんなもん俺のこ」
「時間もギリギリあるようですから諦めるのは早いと思いますよ。さ、試合を再開させましょう。試合終了後、同点だった場合はあなた達の提案を受け入れることも考えますので」

 削板の発言を遮った真夜を見て削板以外の【歩く教会】チームは思う、間違いなく削板に怒っていると。
 真夜の言葉、そして早めに表示されたロスタイムが2分なのを見てインデックスは素直に引き下がり、奇跡的な逆転勝利を掴むことを決意する。

「いやー助かったぜよ井ノ原弟。あそこでお前さんが割り込んでくれなかったらオレらしくなく挑発に乗ってた所だぜい」
「いえ、正直ギリギリでした。一方通行くんの能力使用時間を相手の方々に悟られていたら危うかったです。さ、今は勝つことだけを考えましょう」
「よし! 情報屋の逆転ゴールでようやくここまできたんだ、絶対に勝つぞぉ!!」
「「「「「「「「「「おおっ!!!」」」」」」」」」」
「勝負は最後まで分からない。みんな、ここは出せる力の全てをもって逆転して優勝を勝ち取るんだよ!!」
「「「「「「「「「「オーーーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」

 両チームの最後の円陣の後、後半44分から【歩く教会】チームのボールで試合再開。
 そこからの3分間、余計な言葉は一切聞かれず、互いのチームは全力でぶつかり合った。
 お互いに一歩も譲らない試合展開に観客席に居る応援団も一生懸命彼らを応援し、選手もそれに応えるように更に頑張りを見せる。
 そして主審の災誤の試合終了のホイッスルが吹かれた、6対5で上条チームの勝利と共に上条のクラスの全種目優勝が決まったのだった。

273:2011/06/01(水) 21:43:18 ID:WSSF4aiw
もう順序がおかしくなっちゃいますけれど、
先に井ノ原真羅さんを出しちゃいましょう。
>>262
非情に→非常に

274:2011/06/01(水) 21:43:52 ID:WSSF4aiw
白衣の怪物

第十学区のとある研究所に停まった高級車の後部座席から、父親に背負われたセレナが出てきた。
 その顔は先ほどまでの試合にときめいたものと大きく違い、自分を背負う父親に、ニヤニヤ笑いながら話しかけた。
「まあ安心しなって親父。こんくらいの怪我だったら、レイシェルの奴にも直せるくらいの軽―いものさ。」
「ミランダか。」
「セレナの方は興奮しっきりのままおねんね状態さ。今頃麦野にやられた分、いとしの一方通行様の勇姿を思い描いてにやにやしているさ。あたいにゃ見えんがね。ケケケ!」
「お前にも試合、見えたか?」
「ああ、あの男(新坂道男)が目をかけるのもわからぁ。
 とーんでもねースペクタクルだったよまったく。あんたにとってもそうだったろ?」
「まあな。」
 軽口をたたき合いながら研究所の歩き慣れた長い廊下を歩き続ける親子。
 ふと2人は、別の方向からやって来た、元気がなさそうな男とすれ違った。
「止まって。あれー早乙女、確かあんた今日ここを出て行くんだってね。」
「あっああ。」
「確かあんたが担当していたところがとんでもない失態巻き起こしちゃって教授が、まあ多分上層部によるものだが、消されちゃったんだってねえ。」
「……」
「良かったなあ殺される価値ない下っ端研究員で。」
「………」
 歳歯も行かない少女に次々と図星を指摘されて、下を向いて押し黙るしかない研究員。
 少女はそんな彼をふん、と鼻で笑った。
「2度とここに来んな。私ら『実験生物(モルモット)』に言わせたら、あんたのような奴が1番むかつくんだよ。
 とっととそのぬるま湯気質が似合う所に行っちまいな。
 どうせあんたは、こっから先一生チャンスなく、しがない研究員で終わるんだからさ。」
「……ありがとう。」
 ペコリと頭を下げ、ややスッキリしたようにすれ違って行った。
 再び歩き出しながら、しばらく黙り、やがて父親は口だけを動かして呟いた。
(まあ、これもあいつなりの優しさなんだろな。)
「ま、ああいう奴が似合った所に落ち着くのを見るのが1番ホッとするかな。はて……そういえば一方通行の奴の保護者になっている芳川とかいう研究者も、丁度そのタイプだったな。」
 ミランダがそう一人ごちたとき、ふと、あの試合、いや、正確にはその前と間にセレナを介して関わった2人の超能力者が思い出された。
(まあ、確かに戦えって言われたら恐いんだろうけどさあ)
 しかしミランダやセレナに言わせると、これからここに来る男は……自分達が
これから入る部屋の主は、
『最強』だの『第1位』だのといった称号に悦に入っているガキや、
気に入らない奴を力で潰しまくることしか頭にないようなアバズレ女なんかより遥かに恐ろしかった。

275:2011/06/01(水) 21:44:42 ID:WSSF4aiw
2時間後

「いやあ待たせたね。」
 そう言って頭を掻きながら、白衣を来てメガネを掛けた男が金髪の少年と共に親娘がいる研究室に入って来た。(父は外のベンチに腰掛けている)
 その顔立ちは、中年ではあったものの、やはりピッチで活躍していた少年に所々似ていた。
「奇偶だねえ、よりによって試合前に一方通行と関わるなんて。
 レイシェル。まず君が見てやって。」
「はーい。」                                 ・・
 眼鏡の男に呼び掛けられた、黒い眼をした金髪の少年は、彼女の足元に膝まづくとカチ
・・・・
ャカチャといった音がし続け、やがてその脚部から顔を上げずに男に行った。
「軽い欠損を起こしていますが、まあ、取り換えやメンテですぐ直るでしょう。」
「そう、じゃあ任せた。ついでに他の四肢全てについても点検、メンテしてやって。」
「わかりました。」
「私はこっちの方やっとくよ。正直な話、今、重要なところに来ているから。」
 こうして白衣の男、井ノ原真羅は別の作業に、レイシェルと呼ばれた少年の方はセレナの脚に向き合った。
 真羅は作業の最中、鼻歌を歌いながらセレナに言った。
「どうセレナード。息子の活躍すごかった?」
ヴォン。
「悪いがあたいは今、ミランダでね。」
「あれ、じゃぁ君でもいいや、息子どうだった?」
ウイーン、ウイーン、ウイーン、
「どうしてあんたみたいな学者肌からあんなポテンシャルが生まれたんだ?」
「母譲りなんだよ姉弟そろって。
 あーあ、こっち譲りの奴もほしかったんだがなあ、レイシェルがいるとはいえ。」
ピーガガガ、ピ、ピ、ピ、ピ・・・・
「……さすがに近親姦やハーレム体質は誰からも受け継いでないよな。」
「こっちもびっくりだったよそこらへんは!まあ今考えるとそれによって、あいつの心身の著しい成長スピードの原動力になったんだからよかったといえばよかったんだけれどさ。」
そう言いつつも、とある父親はその後も心から嬉しそうに、楽しそうに、はにかみながら、息子自慢をし続けた。

目の前の、声帯や全身の骨を潰されて、もはやその感情を唯一表しうる表情すらをも機械で覆われた子供を、全身に取りつけた機器で更に犯しながら。

「………」
経歴上、ロイヤル家の娘達は多くの種類の研究者を見続けてきた。

 例えば。
今すれ違った栗野宮や芳川桔梗のような、善人にも悪人にもなりきれない生ぬるい研究者。
例えば。
木原数多のように、研究対象どころかあらゆる他者に悪意をふりまく地獄の炎のような研究者。
例えば。
生半可な良心や同情といったものを向けるようなことをせず、努めて能面のような表情で、或いは最初っからそんな苦悩すらなく、たんたんと実験をこなしていく氷のような研究者。

だが、この目の前の男は、敢えてそういった飲み物に例えるとするならば、
甘い飲み物と苦い飲み物とすっぱい飲み物やら、他にも色々な奴をまぜこぜにした結果、温度といった以前に、その舌触りや味を堪能してしまう前に一刻も早く呑み下してしまいたいような、そんな男だった。
 ミランダやファイネスに言わせると、神様なんてのはいないか、到底信じる価値なんかありゃしない奴だ。この期に及んで両親と共に十字教、正確にはローマ正教のカトリックの神なんてのを信じているセレナの精神がよく理解できない。
 それでも、井ノ原真羅という研究者を。
 実験動物に対するこの上ない残忍さと、妻に頭が上がらない家族思いでお人良しの両方の面を同時に見せ続ける男を見ると、つくづく思う。
(もしこいつが死んで天国の門とやらに来たら、神様…正確にゃあ、天国の門を守っているペトロとかいう奴が日本の閻魔さんの役割を担っているそうだが…そいつはこいつをどう裁くんだ?あたいらや、いわゆるジキル博士とハイド氏みたいなのだったら、精神か人格を分離させて別々の体にしちまえばいいんだが……)

276:2011/06/01(水) 21:48:09 ID:WSSF4aiw
井ノ原真羅(いのはらしんら)

 井ノ原姉弟の父。
 学園都市の研究者で『ある分野』のエキスパート
 実験対象以外に対しては息子の真夜並みのお人よしで、妻の朝陽に家計を管理されているかかあ天下。
 息子と娘の恋愛については激しい家族会議の結果、「子供を作らない(万が一出来たら実家と手を切る)」「籍を入れない」という条件下でまあ許容している。


Q:井ノ原真夜についてどう思う?

・ロイヤル・ナターシャ・セレナード曰く
「えっと……人がいい分、却って恐いんですよねぇ……態度の変化が大きいことも含めて、真羅さんの息子なんだーってつくづく実感して……
 姉弟とも、能力や興味においては母譲りであることがせめてもの救いでしょうか。」

・ロイヤル・ミランダ・セレヌスティー曰く
「精神力が強いっていうより……性欲がないんじゃねえかいあの男。とっつきにくくて苦手だ。」

277ё:2011/06/01(水) 21:52:44 ID:MY2pJmJE
これは>>263の後に繋がるということで1つお願いします。

――――――――――

「よっしゃ勝ったーーーーっ! やったな情報屋!」
「ああ! ありがと上条、ありがとみんな!」
「今日ばっかりは紫木はんに華持たせんとな♪ 何せ吹寄はんに男が出来て大人しくなギャンッ!」
「青髪くんったらそんな打算的なこと考えてちゃダメだよ。あの元春でさえ純粋に紫木くんを応援してたんだから。ね? 元春」
「もちろんだぜい♪ まったく青ピはそうゆうトコロがダメダメなんだにゃー(少し打算があったのは秘密秘密っと)」

 球技大会の主役といっても過言ではない情報屋をデルタフォースと白雪が取り囲んで騒いでいた。
 その様子をやや離れた所から見ていたのは姫神、浜面、半蔵、そして吹寄。

「良かったね吹寄さん。紫木くんが頑張ってくれて。後でいいから。紫木くんにおめでとうって。言ってあげて」
「ま、まあアイツもそれなりに頑張ってくれたし、それくらいは……。で、でも違うからね! あたしは情報屋が頑張ってくれたのが嬉しいわけじゃなくて……」
「ホントに吹寄はいつでもどこでもツンデうぎゃっ! す、すびばぜん姫神さま……」
「ったく浜面、お前ってホントに学習しねぇのな。じゃあ姫神さま、俺たちは郭たちの所へ」

 姫神に殴られた浜面を引きずって半蔵は郭たちの居る所へと向かった、すでに上条と青ピもそこに居たりする。
 その騒がしい取り巻きを離れた所で見てるのは人が多くて打ち止めの所へ行けない一方通行と勝利したことで怒りを収めた真夜の2人。

「一方通行は他の皆と騒がないのか?」
「そうゆうのはガラじゃねェってわけじゃねェけどな。つーか弟、テメェこそあの2人の所へ行かなくていいのか?」
「閉会式が終わってからにするよ。抜け出したら真昼さんと赤音さんに追い返されそうだし。自分達に気を遣うなってさ」
「あ、あのアク様、それに井ノ原先輩。今日はありがとうございました!」

 そこに心理掌握が現れて一方通行と真夜にお礼を言った、全力で試合をしてくれたことに対して。
 心理掌握は愛する一方通行、尊敬する真夜に変わりつつある自分の在り方を見てくれることが一番の目的だったりする。
 短いながらも成長の跡を感じ取っていた一方通行と真夜はそれぞれに感想を口にする。

「テメェが正々堂々とスポーツするたァな、ちったァ見直してやるよォ」
「それにチームの皆ともちゃんと向き合ってたね。頑張ったね心理掌握さん」
「あ、ありがとうございます!」

 心理掌握の礼儀正しいお辞儀に一方通行は何も言わず手をひらひらさせて去って行った、口元に僅かばかりの笑みを作って。
 真夜はそんな2人の雰囲気を笑顔で眺め、心理掌握が頭を上げた後で試合について色々と会話を交わし始めた。

――――――――――

 心理掌握と真夜と別れた一方通行が向かった先は上条や青ピや浜面や半蔵が居る所、すなわち自分達の恋人が応援してくれた場所の前だった。
 応援していた美琴、黒子、滝壺、郭は観客席からグラウンドに下りていてそれぞれの恋人といちゃついていた、節度は控えて。
 1人寂しく佇んでいた打ち止めが一方通行に気付くと、元気いっぱいに自分の恋人へとタックルのように勢い良く抱きついた。

278:2011/06/01(水) 23:28:50 ID:5k9zKkGo
・レイシェル・フーバー

 真羅の助手で、15歳にして初春クラスの担任を受け持つ天才科学者。担当は古文。
 当然、マットサイエンティストである。
 教職は師に勧められて就いている「副業」といった感じで、真羅の助手としての研鑚の方を好むため学校に来ることは少ないが(1カ月に10日ぐらい)、「実年齢が生徒と同じ」ということで子萌先生に次ぐ名物教師とされている。頭はいいため、要領よくこなしているもののやはり教師としてはまだまだ半人前。
「1090(イチマンキュウジュウ)」という名前の恋人がいるらしい。

279:2011/06/01(水) 23:31:08 ID:5k9zKkGo
10090号は「青年」と言っていたけれど……
まあ、欧米人って背が高いから青年っぽく見えないこともない…かな…

280:2011/06/02(木) 00:51:23 ID:dE11ZFLQ
うーん、白と黒の色々とんでもないお父さんが出ちゃったなあ。
自分で作っといて何だけれど、真夜はともかく
礼男はよくこんな父ちゃんに育てられてまともでいられたものだ。

281■■■■:2011/06/02(木) 01:04:25 ID:kD7NNXWI
オリキャラが増えすぎて訳が分からなくなって来たな…
相関図とか無いものだろうか

282:2011/06/02(木) 07:25:24 ID:dE11ZFLQ
>>275
すれちがった栗野宮→早乙女
栗野宮は、当初の案でした。
どうでもいいことですが。

283ψ:2011/06/02(木) 10:32:15 ID:pYeYp93E
……ちょっと確認。
>>259の後に続くのが>>267>>272に行ってその次に>>260-263に行って、その後の>>274-275>>277はどちらへいけば良いのですか? 個人的には>>277の方が良いのですけどww

284ψ:2011/06/02(木) 10:40:13 ID:pYeYp93E
もう一つ言い忘れた。
前に球技大会が終わったらこちらで書くと言いましたが、無理かも知れません。
理由は俺が書いている小説の中で、ある一作品を電撃文庫の第19回電撃小説大賞に応募する事にしましたので。
締め切りは来年の4月10日何ですが、今から準備しておかないといけませんのでね。結構真面目に書きますし。
なのでたまに時間が空いたら書くという感じになりますかね? 分かりませんがww

285ψ:2011/06/02(木) 10:56:49 ID:pYeYp93E
最後に戯言を。レスの無駄をしてすみません。
今思えばこのリレースレが無ければ俺は小説を書くことなんて無かったと思うんですよね。
このスレには本当に感謝しています。このスレがあったおかげで今の俺がいるのですから。
それでは。

286:2011/06/02(木) 12:47:45 ID:IwZ7wFJw
>>274>>275は、球技大会編のエピローグみたいなものです。
第20学区と第10学区はかなり離れていますし、それから更に2時間が経過した
ので、とっくに球技大会は終わっていますし。
ですのでこちらの続きは、選手たちのエピソードが終わった後に投下しようかと思います。
ただ、皆さんに早めに真羅とレイシェルのキャラや設定を掴んでもらえたらなと。

ψさん、このスレが単なる趣味の集まりに留まらず、実際の人にも影響を与えうることを知って
嬉しいです!!もし当選したら、作品紹介お願いします!!

287:2011/06/02(木) 12:48:23 ID:IwZ7wFJw
混乱させてしまって誠に申し訳ありません。

288■■■■:2011/06/03(金) 00:31:00 ID:tIvV4uP6
オリキャラが増えすぎ

289:2011/06/03(金) 01:14:25 ID:f3lOh/p.
安心して。
私が予定している外伝ストーリーが滞りなく進めば、
セレナは当分、この物語から退場するから。

290:2011/06/03(金) 01:32:57 ID:f3lOh/p.
もしそれでも増えすぎて困っているっていうのならそうですね……
オリキャラの生死を決める権利を持つのは、そのキャラの作者だと私は考えているので、
(月夜や井ノ原一家の生みの親って誰?)整理案としては、
1、海外へ飛ばす(番外個体)
2、どこかで修業していることにする
3、どこかに封印してしまう(垣根帝督)
といったところでしょうか?

291■■■■:2011/06/03(金) 02:12:38 ID:cBJ9/SfA
俺ルール無双はじまた

292■■■■:2011/06/03(金) 12:04:19 ID:QxfbiaJY
月夜はずっと前に登場させてるんだから問題ないんじゃないかい?
オリキャラよりも原作キャラ(番外個体・ていとくん)をフェードアウトさせようという考えがわからねぇ。

外伝のオリキャラは外伝に留まらせておけばよかったと思うよ。

293:2011/06/03(金) 12:14:22 ID:HgdjP70Q
いや、フェードアウトというか、
比較的出番を押さえているなあって。

294:2011/06/03(金) 12:19:36 ID:OOmxNivg
あと、真夜のキャラが海原とかぶってきた気がしたなあ。
彼の現在の1人称は「僕」でいいんでしたっけ?

295ё:2011/06/03(金) 21:19:50 ID:mb4SSZvI
雑談ばかりでSS投下が無いので。

――――――――――

「今日の一方通行はいつもよりカッコよかったよってミサカはミサカは今の気持ちを体で表現してみた!」
「オ、オゥ、ありがとな……(ったくなンつータックルかましやがンだコイツはよォ……。チッ、腹が痛ェ)」
「むーっ、その気の無い返事は何なのってミサカはミサカはむくれながら勝利のキッスをむぎゅ」
「ンなコト人前でやるンじゃねェ!」

 自分達らしくイチャイチャしてる一打を微笑ましく眺めている上琴、当然こちらも自然な感じでラブラブモードだ。

「優勝おめでとう当麻♪ でも……当麻って前半はともかく後半は足引っ張ってたよね。オウンゴールまで決めちゃうし」
「うぐっ……そ、それは上条さんも気にしていたことなのに。けど実際、目立ってたのは他の奴らだったしなぁ。反論出来ねぇな」
「大丈夫♪ 私には当麻が頑張ってるのはちゃんと伝わったから。それに当麻はどんな当麻でも大好きなのは変わらないかキャッ♪」

 美琴の可愛さにあてられた上条、感動のあまり美琴を思いっきりハグする(キスは場を弁えてしない)。
 節度を意外にも守ってる上琴に対して節度やモラルなど関係なくいちゃついてるのは青黒、というか主に黒子。

「○○様、途中出場ながらすんばらしい活躍でしたわ! この黒子、文字通り○○様に惚れに惚れ直しました! というわけで2人の赤ちゃんを今ここで!」
「気持ちは嬉しいけどボクは犯罪者になるのは嫌やねん! 後生やからここは気持ちをクールに」
「よいではないですかよいではないですか。○○様の女性の趣味が黒子一択になればさらにギャフンッ!」

 暴走する黒子を黙らせたのは美琴の雷撃、気絶した黒子の表情は満ち足りているのを見た青ピは柄にも無く真面目に黒子に不安を覚えた。
 その一方でバカップルなのにいちゃついてる雰囲気を見せないのは浜滝と半郭。

「はまづら、優勝おめでとう。けど必要以上にひめがみに下僕っぽかったからちょっとマイナス」
「私も滝壺氏と同意見ですよ半蔵様。いくら球技大会の為とはいえ半蔵様が他の誰かにかしずいているのはちょっとショックでした」

 滝壺と郭がむくれていたのは浜面と半蔵の姫神に対する扱いのことで、球技大会に勝つ為とはいえあそこまでやられるといい気はしないもの。
 結局、姫神に対する態度は球技大会が終わったので改めることを約束させられた浜面と半蔵だが姫神への下僕モードはそう簡単には抜けないのだった。

「悪いが君達、いちゃつくのは閉会式が終わってからにしてくれないか。他の生徒や参加者はすでに集まっている、君達も早く来たまえ」

 バカップルの集まりに容赦なく割り込めるのはそういった空気を全く介さない木山で、上条たちも慌てて動き出す。
 その際、自分達のクラスに結標が居たことを不思議に思ったが翔太を満面の笑みで胸元で抱えてるのを見てすんなりと納得した。

――――――――――

 そして閉会式が始まったが、最初から優勝旗やトロフィーは用意されておらず授与式も無い上に校長の話は黄泉川から巻きが入ったので手早く終了。

「やれやれ、長い長い球技大会が終わってようやく落ち着……いかん、とんでもなく嫌な予感が頭をよぎったぜい」
「嫌な予感?」
「月夜も知ってるだろ? 初春ちゃんがロンドン行ったって話。仮にねーちんと建宮とシェリーに何も言わずに出立したらって考えたら」
「うわぁ……。で、でも大丈夫だと思うよ。初春ちゃんがあの3人に内緒でどこか遠くに行くなんてありえないもん」

 それもそうだな、土御門は白雪の言葉に納得して考える事を止めた。
 しかしシェリーだけが初春の渡英を知っていて、神裂と建宮には知らされていないというある意味悪い真実があることを土御門が知るのは先の話。
 そんな中、木山から今後の日程について発表がされようとしていた。

296ё:2011/06/03(金) 21:56:35 ID:mb4SSZvI
「さて、明日以降の予定だが……GWが終わるまで休みだ」

 まさかの木山の発言に会場に居た友愛高校の生徒は少しの沈黙の後、歓喜の声を高らかに上げた。
 木山はそんな状況下の中でも冷静かつ淡々と続きを話す。

「とはいえ課題はあるからな。課題は明日取りに来るように。それとこのGWを含めた大型連休は他の中学高校でも適用されているぞ」

 今度は友愛高校の生徒ではなく観戦に来ていた他校の中学生と高校生が歓喜の声を友愛高校の生徒に負けない勢いで高らかに上げた。
 他校の中学や高校も友愛高校と同じ形の大型連休にしたのは多くの優秀な新入生が入ったとはいえ、学校の地位的にはまだ低い友愛高校ばかりずるいというしょうもない理由だったりする。
 打ち止めは小学生なので大型連休にはならずにむくれていたが教師として付き添いで来ていた朝陽に元居た席まで連れられた後で宥められていた(赤見と白子が何故か気絶して倒れていた)。

「では最後に球技大会のMVPを発表する。これは優勝したチーム、というか月詠先生のクラス以外の生徒や参加者も対象だ」
「なお、MVPに輝いた選手の人には1つだけうちの学校で叶えられるお願いを叶えちゃいますよー。そのお願いは皆さんが本番前日に書いてもらったものです」

 実は友愛高校の生徒全員が何かのアンケート程度の認識しか持っておらず適当なことしか書いていないという何とも悔やまれる事実があった。
 特典はともかくMVPの称号は素直に嬉しいのでそれぞれに予想を立て始めていた。

「順当に考えりゃまず間違いなく俺だろうなァ」
「馬鹿抜かせアクセラ。ここは1日目と2日目を通してって考えれば上条さんしかいませんのことよ!」
「オレはそんなもん興味無いから誰でもいいけど真面目に考えれば白雪か井ノ原弟も候補だと思うにゃー」
「だったら俺は絶対に無いな。昨日と今日の準決勝の前半まで規制かかってたから大して活躍してないし。俺は白雪さんだと思うな」
「元春と井ノ原くんの推薦があったらもしかしたらって思っちゃうな〜」

 上条達がMVP予想をクラス内でしている一方で【歩く教会】チームもMVPを考えていた。

「私がMVPだったら嬉しいですけど恥ずかしいですね(これでMVPに輝いたら当麻さんの高校で一ヶ月実地研修が出来ます!)」
「根性って点なら俺だろうな!」
「いやいや、全試合通じて超活躍した私にもチャンスはあります(」
「キャプテンの私のが可能性が高いんだよ!(MVPでとうまの学校の食堂の食券5万円分はもらったね)」

 自己主張しているのは五和と削板と絹旗とインデックスだけで残りのメンバーは自分達は無いだろうと考えていた(2人ほど本気の願いを持っていた)。
 そして木山の口から球技大会のMVPが発表された。

――――――――――
☆さん、真夜の怒りは球技大会優勝で完全に収まったので一人称も「僕」から「俺」に、口調もすでに戻ってます。
垣根はともかく番外個体(+もう1人)はGW編に出す予定です、一応仕込みはそれとなくしてます。

297:2011/06/03(金) 22:00:48 ID:i7TjdIUg
・真羅の研究所
「なあ、レイシェル」
 真羅ののろけぶりを聞き流しつつ、ミランダは眼下で自分の脚を直しているレイシェルに、気になることを尋ねることにした。
「ん?何?」
「あんた確か、柵川中学の2年1組を担当していたろう?」
「そうだけど。まあ、ほとんど行ってないけどね。研究しっきりで。」
「そのクラスに初春飾利って奴いるでしょ?」
「ああ、いたね。」
「どんな人?」
「……………あんまり学校行かないからよくわかんないや。」
 それを聞いた真羅は、はあ、とため息をついて(『作業』は辞めずに)言った。
「勧めているんですから、ちゃんと参加してくださいよ。
 あなたはもっと人と関わる方法を身に着けてもらいたいんですから。」
 彼に言わせると、自分の研究においては『人の心』を知ることが重要なそうだが、
目の前で展開されている光景を見るにつけて、お前に言われたくない、とミランダはつくづくおもいつづけた。
「私は会ったことがありませんが。」
(ん?)
 まさか真羅の方から話が続くとは思っておらず、思わず顔を上げる。
「彼の父……隆俊さんとは、高校の頃の親友でしたよ。
 今はお互い家庭を持ったり、進む道を大きく違えたりで、同窓会ぐらいしか会えませんでしたがね。」
「へえ……」
「何故、彼女に興味を?」
「…………」
 この男に初春を関わらせることに激しい抵抗を感じはしたものの、こいつの研究分野には指し触りはないだろうし、
何よりつっぱねたらかえって興味を増やさせることになりそうだと感じたミランダは、彼女が『原子崩し』を圧倒した経緯を話した。
「へえ、超能力者達の中でも屈指の凶暴性、凶悪性を持つことで有名な麦野沈利を、ねえ……レイシェル、今度学校行ったときにでも見てみ……」
「いえ、それが。」
 しかしそこで彼から放たれた言葉は。
「今思い出したんですが、彼女、イギリスへの短期留学を申請してきたんです。一週間ぐらい」
 それを聞いたミランダは、げんなりと呟いた。
「間が悪いったらありゃしねえやまったく。」
 これにより、神裂先生の欠板が多くなったため、担任で会ったレイシェルの通勤が多くなるのは、後の話。
「…ん?ちょっと待て、なんで一週間なんていう超短期留学なんだおい?」
「ああ、何でも……」
 彼からこの後聞かされた『噂』により、始まった。
「科学」の恩恵と悲劇の申し子と、
「魔術」の交錯が。

298:2011/06/03(金) 22:07:26 ID:i7TjdIUg
あれ?井ノ原家の両親って
・朝陽、赤見、黒井 と
・真羅、レイシェル とに分かれていたの?
てっきり夫婦そろってだと思っていたのに(まあ、レイシェルがくっついていたようだけれどさ)。

299:2011/06/03(金) 22:08:43 ID:i7TjdIUg
担任で会った→担当であった

300:2011/06/03(金) 22:13:08 ID:i7TjdIUg
一週間ぐらい

一週間ぐらいの

301:2011/06/03(金) 22:15:30 ID:i7TjdIUg
彼の父→彼女の父

302:2011/06/03(金) 22:19:55 ID:i7TjdIUg
とりあえず、真羅の研究所のシーンはこれで終わりです。

303:2011/06/03(金) 22:56:06 ID:GWp1Gkvw
私的にはMVPは絹旗でしょうか?

304読者:2011/06/04(土) 18:58:56 ID:pFvHPswY

俺的には情報屋で良いと思いますね
なんとなくですけどww

305:2011/06/04(土) 21:15:19 ID:O1hN6zM2
ちなみに当初新坂道男はハーフタイムでセリフ付きで出す予定でした。(>>183
あと、もし新キャラ出さずの縛りがなかったら外伝に出ていた
セレナの友達も出す予定でしたが、まあ、彼女達の紹介は、やはり外伝スレにて
別の機会にでも。

あと皆さん、外伝の方の感想はなかなか書かないんですが、書きづらいかやっぱり興味ないんでしょうか?

306:2011/06/05(日) 10:27:41 ID:6dC0TH.k
>>297
真羅ののろけぶり→真羅の家族話

307:2011/06/05(日) 23:19:46 ID:77GelVcY
最近になってようやく茜の口調を掴んだ(というか、口調があることに「ようやく」気付いた)感じ。
あやうくこっちが考えていたキャラのと被る所だった危ない危ない。
こういうのを読者によくよく印象づけてしまう鎌池さんの技量には本当に
感服します。

308±:2011/06/07(火) 20:34:37 ID:A.nj1dwE
「MVPは………………………………削板軍覇!!」
「「「「「なっ、何だってーぇえーぇえ!!」」」」」
「ん?やはり俺の根性が一番だったか!」

 削板が選ばれた事に驚くその場にいた全員。
 そしてその様子を見ていた小萌先生がすぐに理由を説明し始めた。

「ちゃんとした理由があるのですよー。削板ちゃんは初日の野球で全打席ホームランの快挙をあげてたのです!それについさっきの試合でも守備の中心となって活躍してましたので見事MVPに選ばれたわけです!!」

 小萌先生の説明によりその場にいた全員が納得し、削板は表彰台に向かっていった。
 一方で、その場にいた生徒たちは削板の望みが気にかかっていた。

「いったい削板のやつ何をお願いするんだろうな?」
「アイツの事だァ………どうせ根性関連の事に決まってる」
「いやー、案外意外な所つくかもしれないぜよ」
「元春がそう言うならそうかもしれないね♪」
「それよりなんでボクじゃなかったんやー、MVP」
「お前の場合、願いが引っかかったんだろう?そんなに活躍もしてないし」
「それより。なぜ私が。MVPではないの」
「本当審査員の奴ら、真の主役が誰か分かってないな、半蔵」
「ああ、そのとおりだ浜面!」

 そんな事を話している間に削板は表彰台の上に上がっており、先生方から表彰をうけていた。

「削板ちゃん、特に何かお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」

 ここまで聞いた途端、その場にいた全員が削板がこの先に何をいうのか理解できた。

「俺は決めた!この友愛高校に転入する!!」
「なっ、なんだってーぇえ!!!」×その会場内にいた全員

 これにより削板軍覇の友愛高校三年への転入が決まり、友愛高校は結果としてレベル5を5人も持つ凄まじい高校となった瞬間だった。
 そしてこれにて閉会式は終了となった。

309:2011/06/07(火) 21:50:15 ID:EbdozAec
あれ?何言うか理解してたんじゃなかったの?

310:2011/06/08(水) 01:30:31 ID:Fl5OuDYc
 とある観客席には、興奮して腕を振り上げているメガネの男と、金髪の少年と、「歩く協会」チームの1名と全く同じ容姿をした無表情な少女がいた。
「先生、やりましたねえ。」
「ああ!やってくれたな真夜!こんちくしょうが!」
「おめでとうございます、とミサカ10090号は応援して送り出した10032号の敗北を少し残念に思いつつも賛辞を送ります。」
「先生、ところで出ているのは息子さんだけのようですね。」
 その指摘を受けた途端、先生と呼ばれた男はさっきまでの威勢が嘘のようにげんなりとしてハァーと、ため息をついた。
「ああ全く、よりによってこんな日に風邪だなんて真昼の奴。普段は馬鹿なぐらい健康な奴なのに。」
「正直ほんとなんですか?あの礼儀正しそうな子がすっごいただれた関係持っているなんて」
「爛れたとは…!!い、言えるかな?確かに私も初めて聞いたときはすっごい驚いたというか、息子を本気で精神病院に入れようかと……」
「ま……まあまた別の機会に窺うとしまして、正直顔や態度はまあ似ていますけど、あの運動神経はやっぱり……」
「言ったろう?朝陽譲りだって。」
「あれ?そういえば朝陽さんはこの会場に来ているのですか?と、ミサカはお父さんの方に聞いてみます。」
「ん?10090ちゃん、君、朝陽を知っているのかい?」
「ええ、私達の上位個体がお世話になっていますので、とミサカは言います。」
「ああそうだったうん。いや、来てはいるんだが……」
「ならどうしてわざわざ私と?」
 金髪少年が疑問の声を上げると、男が観客席のある一部を指差した。
「ほら、あいつが連れている赤やら黒やらが相当監視が必要な問題児みたいで……」
「現在気絶しているあの2人ですねと、ミサカは双眼鏡で確認しながら言います。」
「でも帰り際ぐらいはやっぱり息子に会ってみたら?」
「まあ…そうだな。」
 そう言って男は立ち去りかけ、その間際、少年にこっそりと呟いた。
「子供達の勇姿を見せるためとはいえ、済まなかったな私に同伴させて……」
「いえ、先生の……」
「今度こそゆっくり、彼女とデート楽しむがいいさ。」
 クールな印象を持っていた少年の顔をボンッと赤らめさせて男が去っていくと、少女は不思議そうに少年の顔を覗き込んだ。

311:2011/06/08(水) 01:31:54 ID:Fl5OuDYc
「何を言われたのですかあの人に?とても緊張していますよ、と、ミサカは不安と疑問を……」
「い、いやいやいやいや、な、何でもないから、それよりさ、ほら、なんというか、その……」
「???」
 男からの激励により、かえって話の持って生き方がわからなくなってきてしまった少年だったが、ここでどっかで聞いた豆知識が役立った。
(落ち着け!そ、そうだ、確かこういうイベントの後は、ご飯や買い物と言ったレジャーをしたくなるもので、現に……)
「わ、私はポップコーンだけじゃお、お腹いっぱいにはならないんで、その、も、もしよかったら、その、こっから更に食事に行くのに……」
「ああ、それは丁度いいです、と、ミサカは貴方の提案に渡りに船と飛びつきます」
「は?」
「実は私の妹達と、10032号の残念会を催したいのです。できたらそれに参加させてくれませんか?と、ミサカは貴方を他の妹達に紹介するいい機会を利用させてもらいます。」
「え、ああ、い、いいよ……うん、って、あれ?ちょっと待って待って待って」
 そこで呼吸を落ちつけようとした少年だったが……
「あ、ポップコーンの欠片、とミサカはもったいないと手を伸ばします。」
 ヒョイ、と唇の端についていたポップコーンを取り、そのままパクンと口に含んで美味しそうにゆっくり咀嚼する少女を見てまたも頭が真っ白になってしまった。
(え?あれー?何言おうとしたんだっけ私―?え?え?え?え?うわー!…)
「さて、では打ち上げ会場に行きましょうとミサカは立ちあがって貴方の手を引っ張ります。」
「ええーっと…あ、そうか!!」
「先ほどから一体どうしたのですか?とミサカはこれからの妹達への顔合わせに向けて心配を募らせつつ尋ねます。」
「そう!それだよそれ!」
 少年はようやく彼女に対し「本題」を告げた。
 「妹達」のことをよく……量産化計画から、絶対能力進化実験までを知っている彼だからこそ思い付けた大事なことを。
「ほ、ほら君達クローンでさ、なんか、いろいろいると見分けつかないからさ、とりあえず君のこと分かるように、なにか、そう、メイクとか、髪留めとかつけよう!10090」
「それはいい提案です、と、ミサカは大いに同意します!」
「じゃあさ、まずは近くの小物店にでも行く?」
「行きましょう行きましょう!出来ればひよこかゲコ太の目印がいいです!と、ミサカはどんなのを買ってくれるんでしょうとワクワクしながら貴方の手を引きます!」
 そう言って少女と少年は、幸せそうに、忙しそうに、スタジアムを後にした。

・ミサカネットワーク
「ムッ!何故か唐突に『リア充死ね!』という単語が思い浮かびましたと
ミサカ16254号は打ち上げ準備中に不審な感じと共に言ってみます。」
「まさかミサカ達の誰かが将来有望そうな若者を?と、ミサカ13577号は10090号あたりが発信源でしょうかと、今までの行動から朧気ながら予想してみます。」
「ムー、もしこの後の会でそれを確信させたら?と、19090号はややドキドキしつつ訊いてみます。」
「この会を「10032号の頑張りを称える会」から「10090号をシバく会」へ変更ですと
ミサカ20000号は柔軟な解決策を提案します。」
「「「「「「「了解(ラジャー)っとミサカ達は賛意を表明します」」」」」」

312:2011/06/08(水) 01:39:11 ID:Fl5OuDYc
付け足し。適当な所にでも。

「先生。とりあえず一段落したら…」
「ああ、分かってるさ。2時間後に私の研究所へ。ちょうどいいから
軽いものだったらできる限りあなたに任せてみるとしましょう。」
「ええ!というわけだからさ10090、悪いけどそう時間は……」
「1時間でも結構ですよとミサカは気にしないでと笑顔で励まします。」
(あ。なんとなくわかる。笑顔だ。)

313:2011/06/08(水) 01:44:37 ID:Fl5OuDYc
>>311後ろから5行目の
「そう言って」以後を「そして」にし、
その前>>312を付け足してください。
やっぱり自分で決めたいやこういうことは。

314±:2011/06/08(水) 07:32:39 ID:8x2ApYQ2
削板は他校からの助っ人という事で前日授業でこれなかったんじゃないか?という風に思ったのでこうしました。
なのでそれを含めた上で訂正をしておきます

「削板ちゃん、特に何かお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」
 ↓
「削板ちゃん、前日は授業でこれなかったからお願いを聞いてなかったので何にしますか?」
「俺はこの友愛高校の連中の根性に感動した!!だから―――」

で、おねがいします

315:2011/06/08(水) 12:34:18 ID:.qAH2E4Y
>>312
「2時間後」を「4時間後」にしてください。
セレナが研究所にいくまでに2時間はかかるんじゃないかなあ、と、
勝手に解釈しましたもので。

316:2011/06/08(水) 20:01:35 ID:Fl5OuDYc
「はあ!?今何て……」
「も、元春、どうしたの?」
携帯電話でどこかと連絡を取っていた土御門が唐突に声を荒げたのに不安に感じた月夜が心配そうな面持ちで彼を見ていると、やがて電話を切った彼がガ―っと頭を抱えた。
「ちくしょうが!!なまじっかこっちが選手だったもんだから、試合に気を配り過ぎて見落としてた!!この土御門一生の不覚だ!!」
「元春!!まさか球技大会の間に学園都市に危機が!?」
「いや、そういうんじゃない、むしろ俺達にとってはある意味非常にいいことなんだがにゃー……」
 口調が戻りつつも、非常に渋い顔で彼が指差した先を見ると、
黒いタキシードを着た端正な顔の青年がこっちを見て、わざわざ手を振りながら穏やかに笑っていた。
「あ。あの人は……」
「月夜、お前も知っているか。」
「そりゃあ知っているよ。統括理事会の中でもこの人を知らない人っていないんじゃない?新坂さんがどうしたの?」
 騒ぎやデマを巻き起こしまくるお祭り男新坂道男は、学園都市の政治機構にあまり詳しくない生徒達にも、いや、
むしろだからこそ、統括理事会といったらまずこの人の顔が思い浮かんでしまうくらいの有名人だった。
「このイベント……前々から急な変更に疑問を持っていたんだが、どうやらそれ、あいつがやってたらしいんだ。」
「ああやりそうだねえ噂通りだったら。」
「それでな。今度の俺達の奮闘ぶりに満足したあいつは、以後友愛高校のマネージャーになるんだとさ。」
「えっ!?統括理事会の!?確かあの人ってすっごいお金持ちなんだよね?」
「ああ。要は『金をいくら使ってもいいからもっと面白そうなこと起こしてみろ』とでもいう感じなんだろうさ。他の奴らに知れるのは恐らく
連休が終わってからになるだろう。ま、その連休中にも情報屋あたりの耳聡い奴から『噂』として漏れるだろうがな。」
「スゴイスゴイ!私達の学校、スッゴイ大きくなっちゃうね!?大覇星祭や一端覧祭なんかもスゴイ豪華になりそう!」
「ああ、『学校としては』それでいいんだろうが。」
「?どしたの元春?何かヤバいことでもあるの?」
 あまり浮かない顔の土御門に要領を得ない月夜が疑問を呈すると、土御門は何故か両耳を抑えながら吐き捨てた。
「俺個人としてはな。あいつが世界で一番苦手なんだ。」

317:2011/06/08(水) 20:01:54 ID:Fl5OuDYc
 元から土御門は彼に莫大な借りがあった。
 いくら情報、人心を「ある程度は」操作するプロといっても土御門は所詮個人だ。
 様々な組織を裏切りつつある彼は、むしろそういった分野においては並みのプロ以上の苦労を強いられていた。
 新坂道男はその地位や権限もさることながら、情報操作の面ではもはや土御門ですら舌を巻くほどの腕前を持っていた。
 今まで幾度も起こって来た魔術師の侵攻を始めとする学園都市のトラブルにおいて、土御門が到底カバーしえないどころかどう始末をつけていいか思わず悩むようなところまでをも処理し続けてきた。
「だからこの後、初春飾利とイギリスのシスターが入れ替わりでイギリスと学園都市を出入りすることはもちろん、
そっから先に繋がるであろう『戦争』においてもこいつが間違いなく出しゃばってくるだろうから念を押して打ち合わせでもしておくかと
今こいつと連絡取り合っていたところだったんだ。そうしたら……」
「ああ成程。ふーん、単なる遊び好きの馬鹿じゃなかったんだね。」
「そんな奴だったら数百倍ましだったさ。」
「元春いつだったか言ってたよね、統括理事会は2つのタイプに分かれるって。
 真っ先に死ぬべきクソ野郎と善人であるが故に貧乏くじひちゃう人だって。
 あの人は?」
「間違いなく前者だな。」
(1秒もかからず即答しちゃったよ。騙し合いや頭脳戦が得意な「背中指す刃」のこいつにも苦手な相手がいるんだ。
 元春には悪いけどなんか面白いというか新鮮な気持ちだなあ。)
 しかし月夜がそれで納得してしまった分、やはり彼女自身はまだ土御門の術中に嵌っていたといえた。
(さすがに月夜には言えんよな。俺が一度あの悪魔と対決した結果………生涯最大といっていい煮え湯を飲まされたことなんか。)
 借りがあるどころではない。
 本来裏のかき合いといったものに十分自信があったはずの彼を、その得意分野で圧倒的に上回り、そして………
(未だ疼く。あいつの声を、噂を聞くと耳が……)
 今はもう問題がないが、負けの代償としてかつて限界をこえた音を聞かされたことで鼓膜が破られ、
数か月の間難聴と痛みと疼きに苦しんだ両耳を抑えつつ、
土御門は今もときどき考える。
(もし、あの時ほんの紙一重、俺が油断しなかったら。奴のあの策を見破り、逆手にとって打ち勝ったとしたら……ハッ!もう仕方ないか。いまさら考えた所で。)
 アレイスターがあらゆる要素を備える『人間』だとしたら、そういったセオリーを覆し得る正に「悪魔」といっていいかもしれない。
 その行動原理はあの『人間』と違って分かりにくくなく、単に「面白そうからか」という、単純、且つ最も厄介なもの。
 トリックスターと言われながらも自分の世界を守るという、まだ分かりやすい原理の下に行動している土御門とは根本的に格が違う気さえした。
 しかし、それでも。

(新坂。もし、お前が俺の仲間を、世界をその興味で弄ぶっていうんだったら。

 この「背中刺す刃」は今度こそ、いや、背後といわずどこからでも、お前をめった刺しにする。
 例えそれで俺自身が折れることになろうともな。)

318:2011/06/08(水) 20:27:25 ID:Fl5OuDYc
新坂。もし、お前が俺の仲間を、世界をその興味で弄ぶっていうんだったら。

…まあいいだろう。
だがな新坂。もしお前が俺の仲間を、世界を、その興味で弄んだなら。

319:2011/06/08(水) 20:29:51 ID:Fl5OuDYc
弄んだなら。 →弄んだときは。

320ё:2011/06/08(水) 22:09:07 ID:64EGBY3M
「えー、皆さん。球技大会優勝、おめでとうなのですー♪ そんな皆さんの為に優勝記念パーティーを開いちゃいますよー!」
 
 一度集合した上条のクラスの生徒全員は、小萌のパーティー開催宣言に心の底から歓喜した。
 その後、小萌からそのまま友愛高校の食堂へ向かうように告げられて少しテンションが落ちたが、それでもバカ騒ぎが好きなことには変わりない。
 上条達選手陣は汗を流すためにシャワー室へ向かおうとする中、真夜が1人だけ小萌に呼び止められる。

「頑張った真夜ちゃんにこんなことを頼むのは心苦しいのですが、パーティーに出す料理を作ってもらえますか?」
「別に構いませんよ。でも俺だけってことはないですよね? 他にも人手が無いと」
「その点は抜かり無いのです♪ 先生はちゃんと頼れる人達に声をかけてるので安心して下さい」

 分かりました、真夜は嫌がりもせずに引き受けると荷物を小萌に持ってきてもらうように頼むとその場を後にした。
 その足で真夜は医務室に直行、風邪もほぼ治りかけている真昼と意識を取り戻した茜川を連れて友愛高校へと向かうことに。

――――――――――

「みんな試合ご苦労さんなのよ。ほら、自分のはちゃんと忘れずに持って帰るんだぞ」

 こちらは建宮の居る魔術師達の得物預かり所、預けていた魔術師達は既にシャワーを浴びて着替えも済ませてここに来ている。

「確かに返していただきました。天草式教皇代理、信用できる人物のようですね。ではショチトルに五和さん、自分達も向かいましょうか」
「五和、お前さんどこに向かうってのよな?」
「これから【歩く教会】チームの皆さん、もちろんサッカーの方ですが食わせ殺しでパーティーをするんです」
「ほぅ、それはまた羨ましいのよね。こっちは上条当麻のクラスの連中の為にパーティーの料理作らにゃいかんっつーのに」

 建宮の愚痴を聞き逃さなかった五和とエツァリが建宮に詰め寄る、あまりの速さに建宮は驚きショチトルは呆れていた。
 五和とエツァリは建宮から小萌に自分のクラスのパーティーの料理を作る依頼を受けたことを話したが、2人の興味はそこには無くパーティーが上条絡みということにあった。

「当麻さんの参加するパーティーでご奉仕するべきか、今日の激闘を一緒に戦った仲間達と楽しい時間を過ごすべきか……迷いますね」
「上条当麻が居るということは御坂さんも当然参加するでしょう。そこで自分の出した結論をお2人に告げるいい機会ですがチームの皆さんとも親睦を深めたいですし……」
「2人とも、今日の所は試合を共にした仲間と過ごすのよね。お前さん方が言ったことはいつでも出来る、けどあのチームで楽しく騒ぐことはあまり無いだろう。そうゆう出会いは大切にするのよ」

 建宮のまともな物言いに五和とエツァリが【歩く教会】チームの方を選ぶのを見て、ショチトルは建宮という男に関心していた。
 こうして何の問題も無く終わるかと思われたが、五和の何気ない一言が問題を引き起こす。

「まあ建宮さんの言う通り、当麻さんに大っぴらにアタック出来るチャンスはいくらでもあります♪ 初春さんがイギリスに居る約2週間が勝負ですね」
「…………五和、海軍用船上槍を組み立てろ。悪いがアステカの魔術師のお2人さんは先に行ってるのよ。五和も後で向かうから安心しろ」

 エツァリとショチトルは建宮の豹変ぶりに驚きながらもそそくさと部屋を後にし、五和も言われるがままに海軍用船上槍を組み立てて念の為に構えを取る。
 次の瞬間、建宮がフランベルジェで袈裟斬りしてきたので五和も慌ててガードし、ガギィィィィィン! と大きな音を出すだけに被害を抑えた。

「なっ、ななななな何するんですか建宮さん! 今の斬撃、本気で殺す気満々じゃないですか!」
「五和、世の中には言って良いことと悪いこと、そして言ったら死んで侘びることがあるのよね。飾利姫が俺を置いてイギリスへ行くなどと、死んで償うしか道は無ぇぞ」
「ちょ、ちょっとタイムです! ここはきちんと話をぬぐっ! こ、今度は押し潰す気ですか! うわっ!」

 建宮の斬撃を受け止めたはいいが、私服に着替えてしまった五和には球技大会で見せたほどの力は無く大人げない建宮の押し込みに負け、部屋のドアを突き破って廊下の壁へと叩き付けられる。
 背中に強烈な痛みを感じながらも五和は体勢を立て直したが、それよりも速く建宮の横薙ぎの一閃が迫っていた。
 五和は割と本気でマヌケな人生の終幕に泣きそうになったがそうはならなかった、神裂が七天七刀の鞘で建宮の後頭部に一撃入れて建宮を気絶させてくれたお陰である。

321ё:2011/06/08(水) 22:11:34 ID:64EGBY3M
「まったくこのような所で何をしているかと思えば……。五和、怪我はありませんか?」
「は、はい。あ、ありがとうございます女教皇様」
「先程の試合、服装はともかくお見事でした。ところでどうして貴女が建宮に襲われていたのですか?」

 命を救ってくれ、自分の試合を褒めてくれた神裂に最初は感激していた五和だが、この経緯を説明すれば同じことの繰り返しになると思って頭を悩ませる。
 どうにかして切り抜けようとしたその時、神裂の横にいた佐天に気付くと、

「そのことなら隣に居る女の子に聞いて下さい! おそらく女教皇様の知りたいことも教えてくれますから! では私はこれで!」

 早口かつ大声で佐天へと責任転嫁をしてダッシュで逃げ出したが、神裂も初春のことを知りたがってると瞬時に推測したのは流石である。
 神裂は五和の逃亡に少しだけキョトンとすると、気絶した建宮を引きずって上条たちの居る控え室への歩みを再開させた。

「佐天、飾利はどこに行ったのですか?」
「(その質問97回目……)当麻兄さんか土御門さんが教えてくれます」
「そうであればいいのですが……。もしシェリー辺りが飾利が可愛いからと独り占めしていたらと思うと」

 同じ質問、似たような妄想をする神裂に佐天はげんなりしていた。
 少し歩くと一室のドアが開き、上条のクラスの決勝進出メンバーがゾロゾロと出てきた(美琴、黒子、打ち止め、滝壺、郭はスタジアムの外で待っている)。
 神裂、疲れた表情の佐天、気絶している建宮を見た土御門は状況を理解して自分と上条以外を先へと行かせた、神裂に食い下がる野原を力づくで黙らせて。

「佐天はあなた達に聞けば分かると言っていました。なので聞きます。飾利はどこに居るのですか? 嘘や黙秘は許しませんよ」
「(やっぱりそれか……。下手に引き伸ばすよりもスパッと真実を告げた方がいいな)さ、カミやん。ねーちんに教えてやるぜよ」
「ああ、別にいいけど。あのさ神裂、飾利なら今日からGWが終わるまでイギリスに留学するってさ。多分キャーリサやヴィリアン、最大主教の世話に……神裂、さん?」

 特に深く考えずに初春のイギリス留学を告げた上条、しかし神裂が何のリアクションも見せないことを不思議に思って神裂に近づいた。
 そして上条は気付いた、神裂が立ったまま気絶していることに。

「カミやん、お前さんは本当に残酷な男だぜい。ねーちんに初春ちゃんがイギリス留学してることを平然と告げるとはな。ねーちんの初春ちゃんへの依存っぷりを知ってるくせに」
「当麻兄さん、もう少しくらい優しく言ってあげても……。飾利が誰かと一緒って知っちゃったせいで神裂さん、考えること放棄しちゃったじゃないですか」
「……悪い。いくら神裂でも飾利のイギリス留学でここまでの反応するとは思わなかった。けどとりあえず神裂と建宮、どうし」
「おーい兄貴ー、上条当麻ー、佐天ー」

 自身の軽率ぶりの反省を終えた上条は気絶してる神裂と建宮を置いてはいけないと思い、どうしようか考えようとしていた。
 そこへ舞夏がのほほんとした雰囲気で現れた、珍しく警備ロボットの上に乗らず自分の足で。

「にゃー舞夏ー♪ 会いに来てくれたのは嬉しいんだがちょーっと間が悪かったかな。今カミやんと佐天ちゃんと一緒にこの2人をどうしようかと」
「それなら問題ないんだぞー。私はもともとこの2人を探してたんだぞー。なんてったって兄貴のクラスの優勝パーティーの料理を作るんだからなー」
「だったらこの2人を担いで学校に戻ればいいな。学校に着く間には2人も意識を取り戻すだろ」
「2人がこの調子というのはちと心配だが腕の振るい甲斐はありそうだなー♪」

 神裂を佐天と舞夏で、建宮を上条と土御門でそれぞれ運ぶことに。
 そして残ってくれていた美琴と白雪と合流し、同じく残ってくれていたマイクロバス(運転手は災誤)に乗って友愛高校へと向かうのだった。
 かくして球技大会は幕を閉じ、優勝パーティーというGWを含めた大型連休が始まるのであった。

322ё:2011/06/08(水) 22:13:46 ID:64EGBY3M
球技大会編、これにて終了とさせていただきました。
優勝パーティーからGW編としましたがまあ、優勝パーティーから大型連休の始まりと思ったので。

323:2011/06/08(水) 22:56:01 ID:Fl5OuDYc
私的には浜面と半蔵は、スキルアウト達のパーティーに
参加すると思うんですがどうでしょう?

324:2011/06/08(水) 23:14:25 ID:Fl5OuDYc
苦手なスポーツものを必死でこなして、作家の皆さんもお疲れさまでした。
今までの話を読み終わってからの途中参加でしたが「外伝キャラを本編に絡ませるべきか」の実験として私にとっても大変有意義な話でした。
どうやら皆さんのキャパをオーバーしているようなのでこれ以上の登場は控えさせていただくとします。
ありがとうございました。

325±:2011/06/09(木) 21:46:10 ID:23HLNIQM
長かった球技大会編もついに完結しましたね!
これで書き手も増える………筈
では優勝パーティー編もといGW編、はじめさせていただきます

☆さん
別に浜面や半蔵スキルアウト達が応援に来てるのを知ってるわけではないのでそのパーティーに参加する必要はないかと思います

――――――――――

「では、今回の優勝を祝して……」
「「「「「乾杯ー!!!」」」」」

 吹寄の合図で全員がグラス(言うまでもなく中身はジュース)を持ち上げて乾杯をした。
 しかし、その乾杯の時に揺れたグラスからこぼれたジュースが上条の頭にかかった。

「……不幸だ」
「と、当麻大丈夫だって!きっといい事あるからさ!」
「いや、美琴がいるだけで俺は幸せだぞ」
「当麻………」

 開始10秒ほどで早速いちゃつき始める上琴。
 周囲の人たちは、もう勝手にやってくれと言わんばかりに離れていった。

「みんなー、どんどん作るからどんどん食べてね」
「なあ〜、なんで優勝に貢献した真夜が調理とか雑用やってんだよ〜」
「真昼さん、そんな事言わないでよ。俺が好きでやってんだしさ。……はい、大好きな麻婆豆腐」
「ん、サンキューな。……ウチの味付けより辛くないな」
「………それは、あんだけ辛かったら殆どの人が食べられないよ」
「……アレがうまいのに」

 実は超辛党の真昼はこの麻婆豆腐の辛さが物足りないらしく、不満げに愚痴をもらしはじめた。
 それを見ていた真夜は仕方ないなと言わんばかりに豆板醤を真昼に渡した。

「……自分のとるぶんの所にいれてよ」
「やっぱり気が利くなー。そういう所、好きだぜ」

 そういう笑顔が俺も好きだよ、と言い残して真夜はまた調理場に戻っていった。

――――――――――

 一方、別の場所では白雪と茜川が仲良そうに話していた。
 当然、話の内容は今日の試合の事だった。

326:2011/06/09(木) 21:52:11 ID:28O/qz2E
……残念。
真羅さんの方はどうやら息子達とすれ違ってしまったようで……
朝陽さんと絡ませようかな……

327:2011/06/09(木) 21:58:36 ID:28O/qz2E
>>324
正確には今出ているキャラで精一杯といったところですのでこれ以上の新キャラの増加は
こちらでは控えることとします。

少し制作裏話を。

328:2011/06/09(木) 22:18:36 ID:28O/qz2E
実は新坂道男は>>96を書いている最中に、この賭けを成立させるために生みだされたキャラです。
あのカップルだと通常女の子の方が所謂お嬢様なのですが、それだとどうしても麗奈がこの賭けを成立させないということになるため、
通常とは反対に男の子の家の方がお金持ちということにしました。(まったく、作者の手を掛けさせる天然君です)

原作だと、やっぱり統括理事会がお金持ちの印象が強かったので職業は決まったのですけど
そうなると、土御門が19巻で言った「統括理事会の善人」の中に入らないような人である一方
やっぱり彼の父親なんだからとんでもない下衆や悪人は違和感あると悩んだ結果
ホーレス・デ・ヴェレ・コールという実在したとんでもない悪戯者のイメージが思い浮かび、
土御門以上のトリックスター的性格になりました。現在ではさながら
「封神演技」(藤崎竜)の申公豹というキャラみたいなものでしょうか。

あと、潮岸や親船のように、学園都市を運営しているキレ者としてちゃんと役割や得意分野を与えたいと考えた結果
大衆を煽るメディアなんかが相応しいような感じがしました。
当初は設定合わせの為に作ったキャラのはずなのですが、なんかすっごい暴走しそうです。

裏設定
・天体観測や宇宙開発部門にも力を入れていて、(礼男が星空に興味を持ったのは父の影響といえる)その理由は
「宇宙人がいたら面白そうだから」
「月や火星に行ってみたいから」といった彼らしいものらしい。

329:2011/06/09(木) 22:22:38 ID:28O/qz2E
彼らしいものらしい。→彼らしいものだという。

真羅とレイシェルも、セレナの設定でどうしても
科学者を絡ませたいので昔にちらっと出てきた設定を拝借させてもらったのと
「学園都市の大科学者」というとなんかイカレ狂った人という印象がある一方
こっちも真夜と真昼の父親という設定故の歯止めがあったのでこうなっちゃいました。
清々しい程の下衆な人を書くことって難しいんだなと痛感。

330:2011/06/09(木) 22:42:39 ID:28O/qz2E
ただ、こっちの2人はまだキャラがはっきりとしていない感じです。
せめて独特の口癖位決めとけばよかったかな。

331±:2011/06/13(月) 18:49:27 ID:W6hjWdpw
うーん………書き手が来ない……………
もし書きにくいのであれば白雪と茜川のからみをなくしてください
………むしろ試合の事が難しいのか?

332ё:2011/06/13(月) 18:53:57 ID:84frBEPA
 ちょっと考えることがあったので投下遅くなりました。

――――――――――

「赤音ちゃん、体の方はもう大丈夫?」
「うん♪ 来てくれた先生の腕が良かったからね〜。心配してくれてありがとね月夜ちゃん」
「良かった、安心したよ。けどお互い、決勝ではあまり活躍出来なかったね。赤音ちゃんの場合は前半しか出場してなかったこともあるけど私は……」
「しょうがないんじゃないかな〜。月夜ちゃんは徹底的に抑え込まれてたもん。でも決勝ゴールのアシスト、見事だったよ♪」

 白雪と茜川、親友同士の会話は実に楽しそうではあるのだが食べている料理がかなり変わったものだった。
 BLTサンドを食べているのは白雪だが挟まれているベーコン、レタス、トマトから冷気が発していて見るからに冷たそうなもの。
 片や茜川はミートドリアを食べているがあまりの熱さにミートドリアが激しくボコボコと音を立てているもの。
 両極端な料理を白雪と茜川が美味しそうに食べているのを周囲のクラスメートは信じられないといった風な視線を送っていた。

「月夜ちゃんが食べてるBLTサンドって土御門君の妹さんのお手製?」
「うん。舞夏のこうゆう気配りはさすがメイドって感じだよ。そうゆう赤音ちゃんのミートドリアは井ノ原くんが作ったんだよね?」
「もっちろん♪ 真優しくて気配りも完璧、でも時には怒ってくれる。私も真昼ちゃんも真夜君が恋人でホント幸せ〜♪」
「はいはいごちそうさま。でも料理を作ってくれる男の子が恋人ってちょっと羨ましいよ。私も元春に料理作ってもらおうかな〜」

 会話に華を咲かせつつ白雪と茜川は次の料理のリクエストを考えていた。

――――――――――

「いやー、一時はどうなるかと思ったが何とか2人でも回るもんだなー。なかなか出来るなー、えっと」
「井ノ原真夜だよ、土御門さん」
「そっかー、お前が例の双子の弟かー。よろしくな真夜ー」

 調理場で慌しくも会話をしながら料理を作る余裕を見せているのは舞夏と真夜、時折来るリクエストにもきちんと対応出来ている。
 本来ならあと2人調理場で料理を作っているはずなのだが、

「建宮のおっさんと神裂さんって人、料理作るどころじゃ無かったね。2人がどんな料理を作るのか楽しみだったのになぁ」
「私も同感だが無いものねだりしても始まらないんだぞー。それに今となってはあの2人が復活してもかえって邪魔だからなー、正直言って」

 舞夏の言葉を少し酷いと感じながらも真夜は今のリズムを崩したくは無かったので同意見だったりする。
 そして2人は楽しげに料理を作り続ける、皆にパーティーを愉しんでもらう為に手伝ってもらうことを断る雰囲気を出し続けて。

――――――――――

 その一方で本来なら調理場で料理を作っているはずだった神裂と建宮はテーブルの一角を占拠して、もの凄く落ち込んでいた。
 お互い無言でウーロン茶を飲んでいる神裂が落ち込んでいる理由、それは当然ながら初春の渡英に他ならない。
 そこへやや申し訳なさそうに土御門がやって来た、右手には沢山のねぎまと串かつを乗せた皿、左手には小萌にばれないように舞夏に用意してもらったオレンジチューハイを携えて。

「にゃー、お2人とも心中お察しするぜい……。2週間も初春ちゃんがイギリスにおぶっ!」
「よくもまあぬけぬけとそのようなことが言えますね。飾利の渡英をっ! 知っていながらっ! 止めなかったっ! 重罪人がっ!」

 いつもの調子で話したのが悪かったのか、土御門は神裂の怒りを買ってしまい5回ほど顔面をテーブルに叩きつけられてしまう。
 聖人たる神裂の手でテーブルに叩きつけられた土御門のダメージは深刻で意識が飛びかけるほどだった。
 そこへ周囲にばれないように回復魔術で傷を癒してくれた建宮に感謝しようとした土御門だが、

「女教皇様も落ち着くのよね。この重罪人を殺るなら話を聞き終わってからでも全く問題無えのよ」

 単に話をさせる為だけにしてくれたことを知ると一瞬で感謝の念は消え去った。
 土御門は目の前の初春バカの2人に真面目な口調で今回の件について話した、当然ながら自分が初春の渡英を今日知ったことも忘れずに。

333ё:2011/06/13(月) 20:10:23 ID:84frBEPA
「成程。あなたも飾利の渡英は今日知ったはいいが渡英理由は知らされていない。そうゆうことですね?」
「まあな。闇咲と対馬が同行するって話だから十中八九魔術絡みだろう。おおかた最大主教が」
「飾利姫のあまりの可愛さにとうとう我慢出来なくなって自分の手元に置こうって考えたわけか、あの年齢不詳の女狐め」
「いや、そんなことは絶対に」
「むぅ、飾利の愛らしさなら起きうる事態ですね。建宮、こうしてはいられません! 我々も急ぎ飾利を追いあうっ!」

 人の話を聞かず、勝手かつおバカな結論を出す神裂と建宮に呆れた土御門は暴走しかけた2人を止めようとした。
 そこへ個展の最終チェックを終えたシェリーが神裂の頭をはたいて暴走を抑えた、真夜に作ってもらったぺペロンチーノを食べながら。

「ったく天草式のトップとナンバー2のお前らが取り乱してどうすんだよ。そんなんじゃ飾利も安心してイギリス行けねぇだろ」
「シェ、シェリー……」
「事情なら私が話してやる、包み隠さず全部な。だからもう妙なこと考えたりするなよ。飾利を困らせたくなかったらな」

 そしてシェリーの口から初春の渡英の理由、その間に入れ替わるように学園都市入りするオルソラとアンジェレネの目的が語られた。
 神裂と建宮はローラの目的に多少納得できなかったものの、キャーリサとヴィリアンとの思い出作りの為の渡英に納得した。
 土御門はローラの呼び出しと初春のイギリスの2人の義姉への配慮にそれぞれのらしさを感じる中、オルソラとアンジェレネに監察役が務まるのか心底不安になった。

「基本、オルソラとアンジェレネの監察対象は私とお前ら2人だけど土御門、お前や他の学園都市支部の奴らも対象に入ってるだろうから気を付けろよ」
「心得てるぜよ。あの2人に監察なんて出来るとは思えねぇけどそれなりに大人しくするから心配いらないにゃー。ねーちんと建宮も分かってるとは思うが」
「分かっています。飾利が居ないからといって腑抜けるようなことはしません。しかしオルソラとアンジェレネが飾利の代わりとは全く以って割に合いませんね」
「それは仕方の無いことなのよ女教皇様。にしてもシェリーには話して我らにはお話して下さらなかったとは……物悲しいものがあるのよな」
(そりゃお前らがそうゆうリアクション取るって飾利が分かってたからだっての……)

 失意のどん底からようやく立ち直った神裂と建宮を見て土御門とシェリーは安心したが、やっぱり初春不在ということを考えると不安が少し残った。
 立ち直った2人が本来やるべきパーティーの料理作りに向かおうとしたが、調理場から発せられる雰囲気を感じ取り向かうのを止めるのと同時に暇になってしまう。
 とりあえず何か食べようとしたその時、神裂の携帯が鳴ると神裂は相手が誰かも確認せずに電話に出た。

『もしも』
「飾利ですね! 良かった、渡英する前に貴女の声が聞けて!」
『あ、あの火織お姉ちゃん、黙ってイギリスに行くことになってゴメンなさい。けど安心して下さい、必ず火織お姉ちゃん達の所へ帰ってきますから』
「いいんです、いいんですよもう……。私も建宮もこうして貴女が電話をしてくれただけで充分です。ところで今どちらに居るのですか?」

 電話を掛けて来た初春から第二三学区の国際空港に居ることを伝えられた神裂、今回は心に余裕が出来たので建宮にも初春と話す許可を与えた。
 建宮も初春の言葉を聞いて心から満足していた、ただし初春と神裂の会話内容と殆ど同じことに気付かずに。
 神裂は建宮から電話を返してもらうとオリアナが居ることを初春から聞かされたので、オリアナと電話を代わってもらった。

334:2011/06/13(月) 21:09:45 ID:NcHUVPb2
「はーい。天草式の聖人さーん。こちらオリアナ・トムソン。
 貴方とまあた遊べなくなっちゃったのは残念だけど安心してえ。
 プロの『運び屋』の名に懸けて貴方の可愛い妹ちゃんはお姉さんが責任を持って
運んであげるからね♡」
「また…?」
「あっ。いやいや、こっちの話よん。」
 何だか気になることを言われたのだが神裂にとってそれ以上に気になることは。
(な……何ていうか……私とはとても相いれなさそうな危険な香りを感じさせる女ですね。
 こんな女に本当に飾利を預けて大丈夫なんでしょうか)
 若干の不安を感じつつも、とりあえず飾利の『輸送』についての確認を慎重に取ることにした。
 だがこの後の彼女の卑猥極まりない発言の連発により飾利の身を別の意味で非常に案じることになるのだった。

 一方盛り上がっているパーティーの中、その誰にも気付かない異変に気付いたのは同じく誰にも気づかれずにいたとある少女だった。
「……服部君と。半蔵君は。どこ?」

・男子トイレ
『えー。そっちの方に参加するんですか―?』
「ほんっとゴメンな。まさか正直お前らが来てくれてたとは知らなくて……」
『仕方ありませんね。後日2人の為に別に打ち上げ用意してあげますよ。主役なんですから。』
「いやもうほんとすまん!!」
 半蔵は別の場所でパーティーを開催していたスキルアウトの仲間達と連絡を取り合っているところで、側では浜面もメールで謝罪していたのだが。
「……ん?お、おい!半蔵!代われ!貸せ!」
「どうした浜面?」
 半蔵から携帯をもぎ取った浜面は電話の向こうにいるスキルアウトに確認した。
「植森、本当か!お祝いとして京都に行けるって!費用なしで!」
「なにーーーーー!!」
『ああ、言い忘れていましたね。ほら、新坂と苑内の奴らも来てて、ノリで一緒に楽しんでたんですが……』
「ゲッ!まじかよあの化け物カップルが!!」
「ええ、それでですね……」
 それから浜面は、彼らが新坂と苑内のトトカルチョの外ウマとして乗ったこと。
 その結果乗った苑内に勝ったということで、天然坊ちゃん新坂礼男の費用持ちで、夏休みの蛍体験もできる京都観光旅行に行ける旨を知らされた。(ついでに学園都市統括理事会が友愛高校のマネージャーになる件も)
「うわー!マジかよ!!」
『ほんっとあなたたちさまさまですよ。行きますよね?』
「あったりめえだろ!なあ、半蔵!」
「異議なし!!」
『あ。ですが一つ補足が……』
「ん?何?」
『俺達とお2人さんと新坂、苑内を入れたらあと1人しか連れてこれないらしいんですよ。
予算の都合で。
 ですからその、2人の恋人に関しては……』
「………」
「………」
 互いに顔を見合わせる浜面と半蔵。しかしやがて
「…譲るよ。半蔵。」
「…い、いいのか?だって、お前も、その、あいつと…」
「滝壺は暗部で稼いだ貯金があるって。
 だけど……」
「?」
「こういうのってさ……男の方が他人に出してもらって、女には自費でって……何かかっこ悪いだろ?」
「………」
「だからだ、その……もし行くとしたらさ……何とかバイトでも何でもしてちゃんと稼いで……自分の分は自分で支払いたい。
 というわけだ植森。
 俺の分は空けて郭ちゃんを入れてくれ。」
『浜面さん……』
 思ったら初めてかもしれない。
 それまで裏路地の汚い仕事で金を得てきたただの高校生の浜面が、全うな方法で金を得たいと思ったのは。
 それはもしかしたら、それまでの不良少年としての人生からの決別をはっきりと決意した故だったかもしれない。とにかく。
『分かりました。でわ……』
「ちょっと待って。」
「「え?ひ…姫神様?」」
 球戯大会が終わったにも関わらず、特訓によって背後から感じてしまった威圧に思わず振り向いた2人。その目の前には。
「聞かせてもらった。その話の流れだと。あと1人分は空くんだよね。」
『「「そ、その通りですが……」」』
 物静かな威圧を込めた声に、彼女と話したことのない植森ですら敬語になった。
「2人を率いて。抜群の。チームワークを見せて。チームに貢献した私を外すって話は。無いよね。」

335:2011/06/13(月) 21:12:15 ID:NcHUVPb2
そういうばかなり昔の話なんですけれど
月夜の超能力者昇格パーティーで、一方通行と土御門が
「よく人を殺した後に飯なんか食えるな」って言い合っていましたが
店に行く前に「グループ」として何か仕事していたんでしょうか?

336:2011/06/13(月) 21:19:10 ID:NcHUVPb2
 その結果乗った苑内に勝ったということで、
 ↓
 その結果乗った苑内が勝ったということで、

以後の本編で絡ませるべきか外伝で出すか迷うエピソード

・学校全体のパワーバランスを保つために苑内に呼び出された絹旗。
 その場に同行した佐天(苑内×新坂の関係は知らない)が、苑内に新坂への想いを打ち明けてしまい……

後日談
・新坂と佐天のデートをセッティングしてしまい、浮かない気持ちでいた苑内。
 絹旗達と会ったことでB級映画で憂さ晴らししようとし。

337:2011/06/13(月) 21:26:50 ID:NcHUVPb2
余談ですが、苑内と新坂は
現在それぞれの家に帰っています。彼らは健全な青少年ですので。

338:2011/06/13(月) 23:41:47 ID:NcHUVPb2
パーティー本会場では、別の人物の電話も鳴っていた。
「ん?母さんか。ああ、真夜は今パーティーの調理中。
 そっちは?ああ、父さんと。」

339ё:2011/06/14(火) 20:45:35 ID:EbLoHZv.
 真昼に電話をかけて来たのは母親でもある朝陽、子供達(茜川含む)への釘刺しが主な用件だった。
 朝陽に言われるまでも無く真っ直ぐ家に帰るつもりだった真昼は少しうんざりしながらも母親の忠言を最後まで聞いた。
 真夜と茜川はともかく真昼は羽目を外しまくると予想していた朝陽は娘の態度に安堵した後で、

『それはそうと真昼。さっきから私や真羅のことを母さんとか父さんって言ってるけどどうかしたのか? いつも通り』
「ちょ、ちょっとは女らしくしようって思ってだな……。いつまでも母ちゃんや父ちゃんじゃ女らしくねぇだろ?」
『無理する必要は無いと思うぞ。真夜だってありのままのお前に惚れたんだろ? だからそのままでいろ、変わる必要なんてどこにも無いんだからな』
「……ありがとな母ちゃん。今日は父ちゃんと飯食えるといいな」
『どうせ今日も研究に没頭して泊り込みってパターンだろ。ま、そうなったら2人分の飯を私が食えばいいだけだし』

 我が娘の追求する女らしさのズレに呆れながらも真昼に自分らしくあれと諭した。
 ちなみに井ノ原家の父でもある真羅だが、自身の研究に没頭する癖があり約束を忘れることもあるのだが家族全員慣れっこだったりする。

「んじゃそろそろ切るな。母ちゃんは父ちゃんが喜んでくれそうな美味い飯でも作ってやれよ」
『ああ。それとな真昼、女らしいお前を想像してみたんだが正直に言う。親の私から見てもすっげー不気味だぞ。じゃあな♪』

 最後にとんでもない暴言を残して電話を切った朝陽に最初は怒った真昼だが、冷静に考えてみて自分でも不気味だと納得してしまいちょっと悲しくなった。
 気晴らしに真昼は【線形視認】を使って周囲の感情のベクトルを見ていると面白い動きをしている2つのベクトルに気付く。
 その2人が何かコソコソと話しているのに気付いた真昼は会話内容を聞きたいと思ったが当然ながら小声の会話など聞こえるはずもない。
 するとどうゆうわけか1人寂しくブラックコーヒーを壁にもたれてストローで飲んでいる一方通行を発見すると、

「おーいアクセラ。何1人で黄昏てんだよ?」
「ンだよ姉の方か。今、打ち止めが上条と御坂の所に行ってて暇してンだよ。そうゆうテメェは俺に何か用事でもあンのかァ?」
「あそこに吹寄と紫木が皆から離れて話してんだろ。紫木はともかく吹寄がオレンジとピンクの入り混じったいい感じのベクトル出してんだよ」
「確かオレンジは好意でピンクは愛情……それがゴチャゴチャになってるベクトルをデコ女が出してるってかァ。面白ェ会話が聞けそうじゃねェか」

 球技大会を経ていい感じになっている吹寄と情報屋の会話を盗み聞きさせるようにベタながらも誘導、一方通行もあっさり受け入れた。
 一方通行は少し精神を集中し、周囲の声を遮断しながら吹寄と情報屋の声のみをよく聞こえるようにベクトルを操作し始めた。

――――――――――

「というわけで初春は無事にイギリスまで送り届けるから安心なさい。第二王女と第三王女たっての頼みでもあるし。あ、お姉さんのおっきな胸でもあの子を守ってあげるから♪」
『どうやら移動手段には別段問題は無さそうで……待ちなさい! 誰の胸で飾利を守ると?』
「お姉さんの胸でよ♪ 何だったらこの柔らかくて気持ちいい胸であの子を抱きしめちゃおうかしら? 一緒に添い寝もいいわね〜♪ そうそうお風呂も一緒に」
『そこで待っていなさい破廉恥魔術師! 私の唯閃では、放しなさい土御門! 建宮にシェリー、あなた達ま』

 イギリスまでの移動手段を神裂に説明した後、気紛れに神裂をからかったオリアナだが予想以上の反応に途中で電話を切った。
 少しやり過ぎたと反省していると初春、対馬、闇咲から窘められてしまう。

340:2011/06/14(火) 21:11:19 ID:X9rjNO4o
いや、単に忘れていただけです。
真昼が両親を「母ちゃん」「父ちゃん」と呼ぶこと。

もし、戦争における対抗戦案を採用するのなら、「ブレイン」の幹部達の総称ですけれど、
「ジャック・スポット」っていうのはどうですか?

341:2011/06/14(火) 21:11:59 ID:X9rjNO4o
違った、「ジャックポット」だった。

342:2011/06/14(火) 21:15:03 ID:X9rjNO4o
メンバーについては色々思い浮かぶんだけど
みなさん新キャラ増加についてこれていないみたいで……
もし気があるのならちょっと設定とか載せてみます。
あと、>>336のエピソードっていつかやる予定…あります?

343ё:2011/06/14(火) 21:25:25 ID:EbLoHZv.
「ダメですよオリアナさん。火織お姉ちゃんは純粋な上にいい意味でも悪い意味でも真っ直ぐな人なんですから」
「初春の言う通りだ。私は君とは初対面だがただの好奇心で人をからかうのは良くないな。もう少し大人の対応を望む所だ」
「確かにからかいが過ぎたわ、反省してる。……それよりも対馬って言ったわね。お姉さんの喉元に突き立ててる物騒な物を引っ込めてくれない?」

 初春と闇咲は割と軽めの窘めだが天草式の対馬は女教皇である神裂へのからかいを許せず、迷い無くオリアナの喉元へレイピアを突き立てる。

「ご心配なく。きちんと認識阻害の術式をかけてますので。先程の女教皇様への態度を改めると誓ってくれればすぐに下げますのでご安心を」
「わ、悪かったわよ。これからは天草式十字凄教のトップに相応しい対応をするから、ね?」
「対馬さんもこの辺で許してあげて下さい。オリアナさんも悪気があったわけじゃなくて火織お姉ちゃんとコミュニケーション取りたかっただけなんです。悪乗りが過ぎたとは思いますけど……」
「……まだ反省の色が見えない気はするけど初春もああ言ってくれてることだし許してあげるわ」

 多少納得出来ない所はあれど初春からの言葉も受けてオリアナを許した対馬、スムーズにレイピアを袋に収めた。
 そして搭乗手続きを済ませた初春たちはオリアナの案内で自分達が乗る飛行機がある場所へと向かう。

「それにしても王族の専用機に乗れるなんて夢みたいです♪ てっきり噂に聞く超音速旅客機に乗らされるとばかり思ってましたから」
「第二王女と第三王女からのお達しでね。イギリスまでの空の旅を快適かつ幸せなものにしろって話なのよ。ホントに貴女ってあの2人に愛されてるのね」
「アハハ……。じゃあステイルさんも?」
「ステイルって確かルーン魔術の子でしょ? あの子は問答無用で超音速旅客機よ。最大主教が結構怒っててね、地獄の空の旅を提供するみたい」

 ステイルに同情しながらも対馬と闇咲は初春と同行するだけでVIP扱いされることをラッキーと思っていた。
 そして王族の専用機に乗り込んだ初春一行はイギリスに着くまでの長い間、快適かつ幸せな空の旅を堪能することに。

――――――――――

 その頃、吹寄と情報屋の会話を聞く為のベクトル操作を終えた一方通行はかなり楽しみにしていた。
 聞こえてきた内容、それは今日の決勝の頑張りと明日の学校で課題を受け取った後のデート(吹寄曰く遊び)についてだった。

――――――――――

☆さんの>>336のエピソードは外伝でお願いします。
こうゆう本編にあまり関係無さそうな話こそ外伝でやって欲しいと思うので。

344■■■■:2011/06/14(火) 23:39:28 ID:LFJ/Wzgg
ついてこれないというか、あまり登場させ過ぎて原作から離れすぎるのが嫌なんじゃ無いかと
特に原作キャラとオリキャラのカップリングとかは嫌悪感とまで言っていいかは分かりませんが
好み時では無い方も多いでしょうしね。

そういう意味で原作キャラとオリキャラの日常パート以外の絡みは
外伝スレの方でやった方がいいかと

345■■■■:2011/06/14(火) 23:42:07 ID:LFJ/Wzgg
訂正

好み時では無い方も多いでしょうしね。

好みでは無い方も多いでしょうしね。

346:2011/06/15(水) 00:42:40 ID:bnl1b3DM
ありー、柵川中学も友愛高校並みの曲者ぞろいにしたかっただけに残念。
個人的には原作キャラ×オリキャラ(土御門×月夜)なんかより
白井黒子×青髪ピアスのカップリングの方に違和感を感じますね。

どうでもいい話。

登場させる気は毛頭ないんですが、この調子だともし月夜の母親なんてのがいたとしたら、
「黒夜」は被るから「闇夜(やみよ)」といったところでしょうか。
白雪闇夜……なんか悪の親玉みたいだな。

347■■■■:2011/06/15(水) 01:07:57 ID:h1rqyeZg
どうでもいい話のベクトルがその文体だとわからねェんだが
上下どっちに向いてるんですかァァァ

348:2011/06/15(水) 12:45:56 ID:o.Hd9lWY
下。のつもり。
でも上もどうでもいいっていえばどうでもいい。

349■■■■:2011/06/15(水) 16:58:52 ID:4fg0njdY
勃起不全のおっさんvsヤリマン娘w※画像有り
ttp://yariman.zxq.net

350:2011/06/15(水) 17:58:38 ID:dqk4y2Yk
>>344
え?>>336の佐天×新坂って
日常パートの絡みだと思っていました。


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