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アメリカ軍がファンタジー世界に召喚されますたNo.15

383ヨークタウン ◆.EC28/54Ag:2018/06/29(金) 20:10:55 ID:pfN/LKiE0
「か……は……ぁ」

血を吐いた彼女は、胸の谷間までせり上がった剣から手を放し、両脇にだらんとぶら下げる。
そして、顔をガクりとうな垂れさせ、自分の血で濡れた地面に、両膝を付ける。
意識が急速に薄れ、視界が暗くなる。
彼女はふと、好きだった恋人の顔を脳裏に思い描いた。

(いま……そっちに行くから……ね……)

心の中で呟くと、レニエスは半目になり、体の右半身から地面に倒れていった。


ウェルター大尉はハーフトラックから降りると、路地に向けて歩いていく。

「おい。衛生兵!」

彼は、味方が負傷した場合に備えて待機していた衛生兵を呼ぶと、共にレニエスの元へ近付いていった。
大尉は携えていたトミーガンを構えながら、1歩1歩、ゆっくりと近付く。
程無くして、レニエスの傍まで歩み寄った。
辺りには、咽ぶような血の匂いが充満している。
右肩から地面に倒れたレニエスは、自らの血の海に沈んでいた。
大尉はその体にトミーガンを向けていたが、彼女の様子を見てその必要はないと判断し、構えを解いた。
衛生兵が無言で彼女の体を診るが、その酷さに顔をしかめる。
水色の長袖服から露わになった豊満な乳房の間には、剣が柄の辺りまで深々と刺さり、それは腹の傷口と繋がっている。
背中からは剣が飛び出し、背骨に沿う形で一条の傷口が開かれ、そこから流血している。
腹からは、血と臓物が零れ落ち、凄惨な様相を呈している。
体つきを見る限り、女性らしいラインを保ちながらも、兵士として必要な筋肉を身につけているようだ。
恐らく、軍務の合間を縫って体を鍛えて来たのだろう。
女としても、その魅力は充分にあり、平時は男の視線を誘った事は想像に難くない。
だが、彼女は自ら、自らの人生に終止符を打ったのだ。
衛生兵はレニエスの首元に手を当てた後、顔を左右に振り、半目になっていた目を、手でそっと閉じた。
それを見たウェルターは、後ろに振り返り、両手で大きく手を振ってから言った。

「担架とポンチョを持って来い!」


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