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バトルロワイアルぺティー

96リズコ:2004/03/18(木) 21:38 ID:1Nf1VncU
ゆきが行きたくもない学校に毎日休まずに通っていたのは、和輝の顔を見るためだったと言っても、過言ではなかった。
夏休みは楽しみではあったが、和輝に会えないのは、少し辛かった。まあ、その夏休みはもう、永遠にこないのかもしれないが。

 千嶋君に会いたい―――。ゆきの目からは、涙がこぼれ落ちていた。今、どこにいるんだろう。何で、勇気を出して待たなかったんだろう。
実を言うと、ゆきはスタートの時に和輝を待っていた。だが、田辺卓郎(男子八番)が、後からきて、門の前を陣取り始めたので(全く迷惑なヤツだ)、早々に通りすぎてしまったのだ(大島薫と卓郎が争い始めたのは、それからほんの三十秒後のことだった)。
あれから、やっぱり待っておくべきだったと後悔した。

千嶋君は、生きてるかな。ゆきはそう考えて、すぐに首を振った。生きてるに決まってる。でも、もし、たった今、誰かに襲われてたら。
ぞっとした。そんなの嫌だ。死なないでね。お願いだから。ゆきは祈っていた。



物音がして、ゆきは驚いて顔を上げた。

向こうから、人が走ってくるのが見えた。顔はよく見えなかったが、男子だ。背の高さも同じくらいだった。
もしかして―――ゆきの胸を期待がよぎった。


その期待は、一瞬にして裏切られた。走ってきたのは、新島敏紀(男子十四番)だった。
何だ、違った。ゆきは和輝以外の生徒を信用する気がなかったので、身を翻し、逃げようとした。
が、もう一度敏紀の方を振り向いた。一瞬、敏紀が銃をこちらに向けるのが見えた。


何よ、私何もしてないじゃない。ゆきはそう思ったが、敏紀はためらいもなく、引き金を引いた。


ぱん。

「きゃあ」


ゆきは叫んだ。近くの草むらに、ボコッと穴が空いた。


何こいつ、怖い。ゆきは夢中で逃げだしていた。

敏紀はゆきを追わずに、もう一度引き金を引いた。


今度は当たったらしかった。逃げているゆきの肩を、強い痛みが襲った。


嫌、死にたくない、死にたくない!ゆきの頭は恐怖でいっぱいになった。



逃げるゆきを、敏紀は遠目で見ていた。思った。ふうん。撃ったことなかったけど、案外当たるもんなんだな。衝撃が凄いけど、すぐ慣れるだろ。そう思いつつ、銃をしまった。

次は、殺してやる。敏紀にとって、これはゲームの延長線上だった。

こういう男が、実は一番やっかいなのかもしれなかった。【残り36人】


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