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バトルロワイアルぺティー
94
:
リズコ
:2004/03/18(木) 21:32 ID:1Nf1VncU
I=4は草むらで、ゆきの目線の先には森が見えた。あそこの辺りは、九時から禁止エリアになるはずだ。行かないようにしようっと。
ゆきはそう思いながら、武器をきちんと握りしめているかどうか確認した。
ゆきの支給武器は金槌だった。贅沢を言えば銃がよかったのだが、まあ仕方あるまい。
汗でべとついてきた金槌をもう一度しっかり握り直しながら、ゆきは更に東に向かっていた。
動かない方が安全だということはわかっていたが、ゆきには、動かなくてはならない理由があった。どうしても、会いたい人がいたのだ。
男子九番、千嶋和輝。背はやや高めで、あまり口数が多くなく、ギャーギャー騒ぐタイプではなかったが、どこか他の人とは違う雰囲気があり、たまに見せる笑顔がかっこよかった。
それに―――
あれは、もう一年も前のことになるだろうか。高校に入って初めての定期試験も終わり、夏休み前で浮かれていた時のことだった。
ゆきは私立の高校に通っていた。
その日は、学校の近くから出ているバスの停留所で、次のバスを待っていた。友人達と長時間井戸端会議をしていたせいで、すっかり遅くなってしまっていた。
停留所には、ゆきと、違う高校の制服をきた男子がいただけだった。
ゆきは思った。ここのバス停って殆どうちの高校の生徒しか乗らないのに。
誰だろう?ゆきはその男子をチラッと見た。結構、格好よかった。目があったので、ゆきは少しドキドキした。
その男子は、思い切ったように近づいてきた。
・・・えっ?何?ゆきは焦った。
男子は言った。「あの・・・ここから○○駅に行くには、どうやって行けばいいんですか?」
○○駅!?全然違う地区じゃん。
ゆきは言った。「・・・一時間くらいかかりますよ」
「えっ、そんなに・・・」男子高生は落ち込んでいた。
「で、そうしたらコモディタケダがあるから、そこを左に曲がって・・・」
「・・・すいません。もう一回最初からお願いします」
埒があかない。ゆきは言った。「案内しますよ。ここから一番近い駅まで二十分くらいだから、そこから乗り換えて三十分くらいかな」
「すいません!ありがとうございます」男子高生は丁寧に頭を下げた。何となく育ちがよさそうだ。ゆきはそう思った。
名前は聞かなかったが、その男子高生は友達に置いてけぼりにされて、道に迷っているうちにここにきてしまったと言っていた。
他に何を話したかは、覚えていなかったが、とりあえず最寄の駅まで送って、ゆきは男子校生と別れた。
名前と学校くらい訊いておけばよかった。ゆきは少し、いや、かなり後悔していた。
一年の三学期、ゆきの父の会社が倒産してしまったので、ゆきはこれ以上私立の高校に通うことが出来なくなってしまった。
そうして編入したのが、県立第三高校だった。女子の制服が可愛かったことと、英文科があるということで、ゆきはそこに決めた。
そこで、ゆきはいつかのバスの男子高校生に、もう一度会うことになった。
千嶋和輝は、ゆきの顔を見た時、特に表情を変えなかった。もしかして、忘れられてるのかな。少し寂しかったが、まあ仕方ないかと納得した。
だが、ゆきが紹介されて席についた後、休み時間に和輝がゆきに話しかけてきた。
「梅原さんって言うんだ。あの時は、どーも」少し恥ずかしそうに言った。
それから、小声で言った。「あの時のことは、誰にも言わないで」
「えっ、何で?」
「またからかわれるから。あいつだよ。俺を置いてった奴」小さく指を差した。
ゆきは笑った。
色素の抜けた茶髪で、明るい感じの男子。それは、大迫治巳(男子二番)だった。
運命かもしれない。そんなことを、つい考えてしまっていた。ずっと、もう一度会いたいと思っていたのだ。嬉しかった。そして、すぐに、その感情は恋に変わった。
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