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バトルロワイアルぺティー

78リズコ:2004/03/15(月) 18:12 ID:1Nf1VncU
「このまま、ずっとここにいられればいいのにねー」
加奈も同じことを考えているらしかった。

こんな形でさえ、加奈と一緒にいられるのは和輝には嬉しいことだったが、果たして加奈はどうなのか、疑問に思った。


何せ、中学の一、三年、そして高校で二年間一緒であるにも関わらず、加奈の考えは、和輝には読めることがなかった。
しかし、加奈の好きな人が北川哲弥であることは、ゲーム開始時の加奈の反応を見て、わかってしまっていた。

そして、北川の反応にも、和輝はある種の違和感を覚えていた。根拠はないのだが、ただの先輩と後輩の間柄ではない。そう感じていた。



和輝はふと訊いてみたくなった。「笹川ってさ、今、好きな奴いるの?」
加奈は驚いたような表情をした。「どうしたの?突然」
「いや、何か気になってさ」和輝はそう言って、気まずそうに頭を掻いた。
やっぱ、まずかったかな。

加奈は一瞬、何かを考えるような表情をした。
「うーん。今は・・・和輝かな!」


「・・・冗談ならやめてくれ」
「あはは、ごめーん」
冗談かよ。和輝は少しがっかりした。


加奈は話し始めた。「よくわかんないんだ。好きっていう感情がわかんなくなっちゃった。だから、この人いいかなーって思っても、それが恋なのかわかんないの」
それから少し間を置いて、小さな声で言った。「北川先輩以来、そうなっちゃったのかも」

和輝は唾を飲み込んだ。北川と、何かあったの?そう訊こうとした。


今度は加奈が訊いてきた。「和輝は、彼女とかいないの?」
「えっ、い、いないよ」どもってしまった。
加奈はフッと笑った。
「そっか。中学の時とか、結構モテてたのに、誰とも付き合わなかったもんね」

驚いた。何?俺ってモテてたのか?知らなかった。
「そういうとこが、また人気だったらしいよ」
「そうなんだ。言ってくれればいいのに」
まあ告白されたことならあるけど、せいぜい二、三回だ。それでモテてるなんて、気づかないさ、普通に。

「密かに人気あったんだよ。でも近寄りづらいって言ってた。加奈がいるから仕方ないかーとか言われちゃったりして」
「何それ?」和輝は興味津々になって、訊いた。

「なーんかね、付き合ってるって誤解してる人がいてね。羨ましがられてた。気分よかったから否定しなかったけどねー」

・・・しろよ。お前は北川が好きなんだろ。期待させるようなこと言うな。和輝は、加奈の気持ちが、余計にわからなくなった。

「あっ、何か怒ってる?顔怖いよ」加奈は少し怯えた表情になって、言った。「もしかして、私なんかと噂立てられてフザケンナって感じ?」
「・・・別に。ってか、北川先輩とも噂立ってたじゃん」

加奈の表情が、曇ったような気がした。

「あれは誤解だよ。困っちゃうよねー。嫌がらせとかされちゃったし」

「・・・へー」そういえば、中一の時、加奈は、休み時間いつもいなくて、帰ってくると泣き腫らした目をしていたことがあった。女子って怖いな。和輝は思った。

「でもね、北川先輩のことは好きだった。もうとっくに諦めたけどね」そう言った加奈の顔は、なぜか晴れ晴れとしていた。「今は彼氏募集中!どっかにいい男いないかなー」

「俺がいるじゃん」そう言って、和輝はためらいがちに、加奈を見た。
加奈の笑顔が、真顔になった。


それからすぐに、笑顔に戻った。「そうだね!私が、男に飢えてて飢えててしょうがない時は、和輝に頼むから!」

「・・・そうそう!俺も飢えてるしね!」乾いた笑いが響いた。


 クソッ。鈍すぎる、こいつ。肩透かしを食らわされたような気持ちで、和輝は空を見た。直球で言わなきゃ、伝わらないかもな。
夜の散歩がこのクソゲームで潰された以上、ここで自分も加奈に思いを打ち明けてしまおうか、という気持ちが芽生えていた。何と言っても、いつ死ぬかわからないゲームの中だ。迷っている暇はない。と思いつつ、躊躇していた。


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