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バトルロワイアルぺティー

57リズコ:2004/03/10(水) 21:39 ID:1Nf1VncU
「ごめんね、ありがとう。私なんかを信用してくれて」
「ううん」敏紀はそう言った後、気まずそうに続けた。「あのさ・・・そんなこと言っといて、実は怖かったりするんだよね。一緒にいてくれない?」
あかりはフッと笑った。「全然いいよ」


「あー、よかった。ところでさー・・・」
敏紀は視線を下に動かした。
「さっきから、ずっと虫が」


・・・虫?あかりはぎくりとして下を見た。自分の太ももに、緑色の毛虫が、我が物顔でよじ登っていた。


「きゃああああああ!」あかりは叫んで、敏紀に抱きついた。
「とってとってとって!追い払って追い払って追い払って!」
 虫は大嫌いだった。特に毛虫など、テレビで見るだけでぞっとする。
「早くとってー!」


敏紀が少し呆れの入った調子で言った。「・・・もう、いないけど」


あかりはおそるおそる、自分の足を見た。
・・・いない。はあ、よかった。ホッとしていた。



気がつくと、敏紀があかりをじっと見ていた。
「あっ、ごめんね」あかりは恥ずかしくなって、敏紀から離れようとした。

敏紀は物珍しそうに言った。「小笠原さんってさー・・・アイドルの花川愛に似てるよね」

えっ?「へっ、そうかな?何か結構言われるんだけどね」
「うん。似てるよ」えへへ。実はそう言われるのは嫌ではなかった。

「新島君はニホンオオカミに似てるよね」
「何それ。初めて言われたんだけど」
「えー、似てるよー」
あかりは笑った。仲間が出来てよかった。このゲームの中で、自分が笑えるとは思わなかった。

しかし、それはそうと―――



あかりは遠慮がちに言った。「あの、離してくれないかな・・・」


敏紀は少し笑みを含んだ口元で言った。「でもさ、俺―――」




ざくっという、どこか歯切れのよい音が聞こえた。あかりには、それが、何の音かはわからなかった。

ただ、首に、何とも形容しがたい、強い痛みが広がったことしか、理解できなかった。


ガッ。今度は骨付き肉を切るような音がした。


血が、一瞬、もみじのような形を成して飛び散り、そのまま、ぷしゅーっと広がった。

あかりの首と、そこから不自然に生えている銀色の物体にも、そして、それを握りしめていた敏紀の左手にも、その生温かい血は流れていた。



敏紀がナイフを引くと、地面に斜線のような赤い染みが広がった。
手を離すと、あかりは横ざまに倒れた。



「―――花川愛嫌いなんだよね」
敏紀は静かにそう言うと、あかりが置きっ放しにしていた銃を手に取った。あかりの支給武器は、べレッタ92Fだった。
敏紀はその性能を確かめ、それから、あかりの死体も見た。

この女に銃を向けられた時はちょっとやばいと思ったけど、思い切って、近づいてみてよかった。

「はは・・・」敏紀は声を抑えて笑い出した。人を殺すのは、思っていたよりも、ずっと、簡単なことだった。
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