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バトルロワイアルぺティー

46リズコ:2004/03/09(火) 15:26 ID:1Nf1VncU
笹川加奈(女子十四番)は、泣き腫らした目で辺りを見回した。周りは暗く、自分達を照らしている月明かりの他は、一点の明かりも見えなかった。あそこにいると危ないからと、千嶋和輝(男子九番)に言われてここまで歩いてきたのだ。

加奈は、かつて好きだった先輩が今は政府の部下になっていたこと、これから殺しあいをしなければならないこと、そして、その結果、自分が死んでしまうかもしれないということに、深く絶望していた。
私、まだ生きたかった。やりたいことがたくさんあったのに・・・
そう考えると、一回止まった涙が、いくらでも溢れてきた。

加奈が泣いている間、和輝は黙って、何かを考え込んでいるように見えた。和輝は、こんな私に呆れてるのかも。加奈はそう思って、涙を拭いた。


まさか、和輝が待っていてくれるなんて思わなかった。自分と千嶋和輝は、中学が一緒で、それなりに仲がよかったが、何せ出席番号が離れているので、危険を冒してまで(現に田辺卓郎が門の前で死んでいた。きっと誰かを待っていたのだろう)二十分も待つなんて、ありえない。そう思っていた。
だが、その危険を冒して待っていてくれた。加奈は意外なほど嬉しかったので、余計に涙が止まらなくなってしまったのだ。

こんな殺し合いゲームの中で仲間が出来た。それだけで、安心した。勿論、その仲間が信用できるかどうかはまだわからないけど、和輝なら大丈夫だろう。多分。きっと。


和輝が、口を開いた。「まさか、こんなことになるとは思わなかったよな」加奈は頷いた。「しかも北川が絡んでるなんて」和輝はフッと笑いを漏らした。
多分、絶望で笑うしかないのだろう。

北川先輩。その名前を聞いただけで、加奈の心はズキっと痛んだ。ずっと好きだった。頭がよくて、スポーツが出来て、優しくて・・・
加奈にとっては永遠の憧れの人だった。勿論、私なんかじゃ釣り合わなかったけど。
その先輩が、政府の犬になってたなんて・・・

そう思うと、また目に涙が滲んできた。

加奈の様子を見て、和輝が言った。「俺、絶対お前には生き残って欲しい。だから、もし俺達を狙う奴がいたら、遠慮なく殺すと思う。それでも、いいかな?」

和輝がいつになく真剣なので、加奈は少し驚いた(まあ、当たり前か)。
「うん。勿論だよ」強く頷いた。

この夜の暗闇の中で、クラスメイトは、既に殺し合っていた。恐怖に震えながら、加奈は、また涙が出そうになった。
でも、いつまでも泣いてちゃ駄目だ。新たな決意を元に、夜の月を見上げていた。【残り40人】


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