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バトルロワイアルぺティー

431ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/09/06(月) 23:31 ID:igZ3kd.k
「姫城海貴君、井上聖子さん、冬峯雪燈さん、吉野美鳥さんは死にました。残りは三人、頑張って」

北川のやけに呑気な声が、公園に響いた。


大迫治巳(男子二番)は呼吸を整えた後、千嶋和輝(男子九番)を見た。
「何で、お前がここにいるんだよ」

和輝は眉をひそめた。「傷……大丈夫?」

治巳はハッ、と言うように口元を歪めた。「大丈夫なわけねえだろ!」



和輝は治巳の腕を掴んだ。「雨宿りしよう。向こうには、加奈もいるから」

治巳は驚いた。「……笹川ちゃん? 会えたのか?」
和輝は頷いた。

「よかったじゃん……」
思わずそう言ってしまい、治巳は黙り込んだ。

和輝は無表情で手を差し伸べた。「行こうよ。俺を殺したいなら、その後でもいいから」


……何でだよ。たった今、オレが人を殺したの、ここで見てたはずだろ? お前を殺そうとしたんだぞ? 何でだよ。

治巳には、よくわからなかった。



加奈は治巳を見て、驚いていたようだった。「治巳君! 久しぶり」
「……ああ」

この女もおかしい。何で笑ってられるんだよ。

「何ぼーっとしてんだよ」和輝が言った。
「……別に」

和輝は一度咳払いをして、言った。「さて、治巳。お前が何でこんな凶行に走ったのか、聞かせてくれよ」

はあ?


治巳は言った。「オレ一人だけ生き残りたかったから。あと、楽しかったから。それだけ」
「――本当に?」

――違う。

オレは死にたくなかったんじゃなくて、殺されたくなかった。一人死んで、忘れられていくのが怖かった。
でも、誰かに止めてほしかった。あいつと同じ、殺人鬼に成り下がっていくオレを。


「――ああ。本当だよ」治巳は言った。

「このクラスの誰が死のうが何も思わねえよ! むしろせいせいした! お前らも、さっさと死んでくれないかなぁ!」
「――治巳君」加奈はショックを受けた顔で、治巳を見ていた。「本当に?」

「本当だって言ってるだろ。さっきから」
治巳は銃を持ち上げた。自分の手が、細かく震えているのがわかった。
苦しい。息ができなくなる。押しつぶされて、死にそうだ。


和輝は言った。「俺が何であそこにいたかって訊いたよな? 教えてやる」そう言うと、続けた。「探してたんだよ。お前が残していった探知機で加奈を見つけ出して、加奈にも了承してもらった。治巳がもし、本当は苦しんでるなら――」


和輝は静かに言った。「俺が治巳を殺すって」

「へー……」治巳は苦々しい思いで、頷いた。

「でも、違うんだな? お前はただ単に人殺しがしたいだけだったんだな?」
「だったら何だよ」
「代々木を殺した時も、大島さんを殺した時も、井上さんを殺した時も、何の躊躇もなくやったんだな?」
「だったら何だよ!」治巳は声を荒げた。

「……お前が苦しんでないなら、俺はお前を探す必要なんてなかった。一人にしておけばよかったよ」和輝は静かにそう言うと、ポケットから銃を取り出した。
「加奈は、殺させない」


治巳は皮肉な笑みを浮かべた。
「結局殺す気だったんだろ! ぐだぐだ言いやがって……」

和輝が近づいてきたので、治巳は銃をかまえた。


やめろ。くるな。――撃っちまう。
引き金に、指をかけた。


和輝の拳が右頬を歪めて、ゴッ、と、鈍い音がした。

治巳は地面に転がった。意外な思いを感じ、和輝を見た。


「違う。お前はそんな奴じゃないよ」和輝は言った。

それをきいた瞬間、治巳はある種、打ちひしがれた表情を浮かべていた。


「お前がいなかったら加奈を探せなかったよ。お前がいなかったら、俺はいつまでも、何もしなかったよ」

和輝は右手を差し出した。

「今のお前の顔見てると、すっごい辛そうだよ。何アホな真似してるんだよ!」

和輝は治巳の頭を掴んで、静かに言った。

「……一人が辛いなら、俺も逝ってやるから。これ以上、人殺しなんかしなくていいから」

「和輝……」加奈が悲痛な声音で呟いた。
【残り3人】


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