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バトルロワイアルぺティー

410ノア </b><font color=#FF0000>(CMFYrBvc)</font><b>:2004/08/26(木) 21:09 ID:igZ3kd.k

 F=7には、自分以外にもう一つの点があった。

千嶋和輝(男子九番)は、辺りを見回すと、そこへ行ってみよう、と思った。

何だか、体中が軋むように痛かった。足も、顔も、腕も。
でも、このくらい――和輝はそう思って、一度考えるのをやめた治巳のことを、また思い出した。

治巳に何があったのか引っかかっていた。あの発言。

もう二度と殺させないよ。オレが守ってやる。


……ん?

あいつ、親いるじゃん。優しそうなお母さんが。

和輝はそこまで思って、あることを思い出した。治巳は他の県から引っ越してきて、中学で一緒のクラスになった。
初めての授業参観。一番後ろの席だった和輝は、自分の背後にいた保護者のひそひそ話を、聞いてしまっていた。

「ねえねえ、あの大迫君っていう子、二年前に起こった一家殺人事件の被害者だったんだって」
「まー、怖い。世の中も物騒になったものね。あの子だけ生き残ったんでしょ?」
「そうそう。今は伯母さんの家に住んでるらしいわよ」
「へー。可哀相ねー……」

母親達の粘着質な声音と、不躾な噂話に、和輝は幼いながらも嫌気がさした。そして、偶然にも友人の過去を覗いてしまったという、罪悪感のようなものがあった。

忘れようと、知らぬ間に努力していたのかもしれない。そして、そこからぷつりと記憶が途絶えるように、そのことは忘れていた。今の今まで。


……そっか。
和輝は何だか気が抜けて、ため息をついた。治巳が、何を考えて大島薫(女子九番)と、代々木信介(男子二十一番)を殺したのかは、わからなかった。
でも、あいつはずっと、一人で耐えてたのかもしれない。


「チクショー。だからって人殺していいわけじゃないんだよ!」
和輝は一人、呟いた。


あいつを掴まえて、山ほどのパンチの仕返しをしてやる。待ってろよ。


――独りじゃ、死なせないから。


和輝は歩いた。F=7。森。この中に、笹川加奈(女子十四番)がいてくれたら――

和輝は足を踏みしめ、簡易レーダーに映っている点に近づいた。


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